05/08/11 独立行政法人評価委員会調査研究部会第19回議事録             独立行政法人評価委員会調査研究部会                  (第19回)                  日時 平成17年8月11日(木) 15:00〜16:55                  場所 厚生労働省省議室 出席者 市川委員、岸委員、酒井委員、清水委員、鈴木委員、田村委員、武見委員、     政安委員(五十音順) 〇田村部会長  定刻となりましたので、 ただいまより第19回調査研究部会を開催させていただきま す。  委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、まことに ありがとうございます。今回は、岩渕委員、中村委員が御欠席でございます。  それでは,初めに事務局から本日の議事につきまして簡単に御説明をお願いいたしま す。 〇政策評価官  本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  本日、議事の第1は「財務内容に関する報告について」でございます。前回の部会で もお話がございましたとおり、各法人の財務内容につきまして、8月9日に岩渕委員、 清水委員がヒアリングを行ってくださいましたので、このヒアリング内容について御報 告をお願いしております。この御報告のあと、個別評価シートの修正・確定をお願いし たいと存じます。  議事の2は「総合的評価について」でございます。総合的評価書の案につきまして は、各法人の御担当の起草委員の皆様方に御作成をいただき、あわせまして財務内容に 関係する部分については財務担当委員にも御確認をいただいて、本日、案をこの席に提 示をさせていただいているところでございますので、御審議をお願いいたします。  議事の3は「財務諸表に関する意見について」でございます。このとりまとめをお願 いしたいと存じます。  意見、案につきましては、担当起草委員でいらっしゃる清水先生、岩渕先生にヒアリ ング結果を踏まえて作成いただきまして、本日ここに御提示いたしておりますので、審 議をお願いいたします。  本日の議事は以上でございます 〇田村部会長  ありがとうございました。  それでは、議事に入らせていただきます。初めに、財務内容に関する報告に入りま す。財務内容につきましては、8月9日に岩渕委員と清水委員が各法人からヒアリング を行っております。それでは、初めに清水委員からヒアリングの内容を含めて各法人の 財務内容等について報告をいただくことにいたします。その後、各法人から補足等を受 けたうえで質疑を行いたいと思っております。それでは清水委員、よろしくお願いいた します。 〇清水委員  お手元に追加説明資料ということで、私が各法人の方にお願いしました資料が配付さ れているかと思います。  させていただきました手続を簡単に御報告申し上げますと、事前に財務諸表をいただ きまして、またこの分析資料もあわせておつくりいただいて、それらをもとに八月九日 午前中に約2時間のヒアリングをさせていただきました。そこでまた追加質問等をさせ ていただきまして、その回答は皆様のほうにはお配りされていないということですが、 回答もきのうまでにいただいております。それらを踏まえまして、財務の状況について 御説明申し上げたいと思います。  追加説明資料は昨年と大体同じような形式でございまして、損益計算書の科目を中心 に過年度推移をやっていただきました。そのほか、自己収入等の研究費等の収入の分 析、あとは利益とか運営費交付金債務の残高の分析ということでお願いいたしました。  順番に研究所さんごとにお話しさせていただきたいと思います。まず収入面のことを お話しして、それから経費の面を御説明して、あと、特記事項ということで御説明いた したいと思います。  まず栄養研さんですが、追加説明資料の研究費等の収入というところの13年度からの 推移が載っております。  見ていただきますとわかりますように、施設賃貸が今期初めて発生しているという状 況でございます。  知的財産権については、該当がございません。  受託研究ですが、こちらが昨年と比べて1億1000万、約40%減っている状況でござい ます。これは、予算は実は9600万円と、この実績のほうが上回るような形になっており ますが、過去2年間は2億円ぐらいの水準の受託研究収入があったことからしますと、 固めに見積もられたということでやや低い水準に予算が設定されておりまして、それは クリアされているということですが、実績としては昨年より大幅に減り込んだことにな っております。  逆に科研費ですが、こちらはオンバランスにはならない収入でございますが、約1億 円、59%ほど増えている状況でございます。  それから、御説明にありましたように寄付研究部等の創設によりまして寄付金収入も その分だけ、3000万円程度増えている状況でございます。  あと、新しい事業としてNR事業収入ということもございますが、こちらも1,800万 円程度増えている形でございます。  次のページの利益というところで、あとからも御説明しますが、6,100万円の当期総 利益が計上されております。あとで御説明する過年度修正益の1,900万円を除きますと 経常利益が4,100万となっておりまして、かねがね申し上げていますように利益とか運 営費交付金債務の残高の部分は分析をしていただきたいということでしたが、9日のヒ アリング時点でそちらの分析は未了ということでしたが、きのうの時点で一応分析して いただいた資料はいただいております。ただ、これが非常に問題がある内容になってお りまして、実はこの4,100万のうち840万が運営費交付金を取り崩した利益であるという 御説明でございます。  栄養研さんは、ほかの2法人もそうなのですが、費用進行型という会計処理基準をと っておられまして、これは財務諸表の重要な会計方針のところも読んでいただければわ かるのですが、発生した費用を限度に運用費交付金債務を取り崩すという処理でござい ます。成果があったから取り崩すという形での利益計上は本来は認められないことでご ざいます。実はこの点につきましては、一昨年以来、成果進行的な取崩しの方法がみら れましたので指摘させていただいていたところでございますが、こちらの点もまだ直っ ていない状況でございます。  今後、実態に合わせて会計方針を変えるのか、あるいは会計方針に従った会計処理を とるのかということになると思うのですが、こういった問題も含めて利益分析を今後も 徹底していただきたいと思いますので、その点は意見として加えさせていただいており ます。  目的積立金、この利益の中から三項積立金は申請できるのですが、今期はその申請は ございません。  次に、経費の面でございます。  まず人員でございますが、御説明に訂正がございまして、期末人数が47名ということ で、既に目標期間終了時点の47名の予定を達成されているということでございます。人 件費の推移を追ってみましても、これまでは増加傾向にあったのですが、ことしに関し ては、非常勤も含んだところで若干減少傾向に転じたという傾向がみられるところでご ざいます。  そのほか、光熱水料も、初めてこういったところも数値で減額のところを示していた だき、今回はそういった形で示していただいたことは非常に評価されるべきものだと思 います。ただ、支払手数料の節減というお話もございましたが、ファームバンキングを 集中化して行うことによって約9万円節減されたということでございます。  あと、外部委託の推進というお話もございましたが、1件、データ入力業務という定 期業務について、随意契約で見積者数を増やしたところ、金額が減額になったというこ とでございますが、今後、これ以外の契約も含めて契約方法等も検討していただいて、 外部委託、委託費自体の節減の効果も測定していただく方向でぜひお願いしたいと思っ ております。  最後に、特記すべき事項ということで、先ほどの過年度修正益の1,900万円、これを 御説明したいと思います。お手元の法人の財務諸表の注記に説明があるかと思います。 こちらについては、昨年の評価委員会の場で受託収入の中で購入された固定資産の会計 処理について、本来はそのまま損益計算書内で減価償却費を認識していくような会計処 理をとるべきだったのですが、見返り勘定というものを立てられて損益ニュートラル的 な形での処理をされていたということで指摘をさせていただいたのですが、これに関し ては、実務的に昨年度の決算には間に合わないということで、今年度になって、過去2 か年の分を含めて修正されるような形になっております。こちらについては、こういっ たことで評価委員の皆様方に御判断を願いたいと思っております。  もう一つ、受託収入の中で購入された固定資産については、いくつか論点がございま す。一つは耐用年数の問題です。これは、研究の目的で使う固定資産については、その 研究のみにしか使われないようなものですと研究期間内で償却を完了させるべきとされ ております。ヒアリング時点ではそこのところが確認未了ということであったのです が、昨日いただいた回答ですと、いずれもそれ以降も使えるような汎用性のあるもので あるという御説明を受けましたので、税法等の耐用年数で適切かと思いますが、この点 についても、今後は会計処理をされる前に御確認のうえお願いしたいと思っておりま す。  説明責任上の問題ということで、一昨年、昨年と予算あるいは年度計画に織り込まれ ない事業ということで、国際産学共同研究センター経費とか研究所セミナー事業費とい った点をきちんと予算に織り込んでくださいというお話を申し上げておりました。この 点については、16年度の予算からは反映されている状況でございます。このほか、健康 食品安全情報ネット事業とか生活習慣病関連遺伝子解析事業など、新しい事業の予算項 目が入っております。こういったことからも積極経営がうかがわれるわけで、多方面に わたって活動している様子がうかがわれます。  ただ、前回も定員の問題とかオーバーワークの問題なども話題に出ていましたが、別 の観点からみますと、この財務諸表上にみえない実態として、栄養研さんの業績は職員 以外の研修生、実習生、特別研究員といった方によって支えられているという事実があ るというお話でございます。これは、人数はざっと200名ぐらいにのぼるというお話で、 これらの方の人件費は財務諸表上あらわれてきません。そういった方々がどういった形 で研究所の成果に寄与されているのかといったことについては、これは今後の課題とし てなのですが、事業報告書等でいろいろ説明されていくことが望ましいのではないかと 考えております。  現在の事業報告書を拝見しましたところ、ほとんど評価シートと同じような形になっ ているだけなのですが、交流もされていることは記載されてはいるのですが、そういっ た成果と結びつけて記載されることも必要なのではないかと思っております。  一方、評価という観点、それはこちらの厚労省さんの評価委員会だけではなく、総務 省さんの今、見直しがかかっているところの評価の観点からいえば、それほど多くの外 部の方に支えられている研究所の業務の中で、そうすると47名の研究所プロパーの方た ちの果たす役割はなんなのかということについても十分に説明していかないと、研究所 さんの存在意義が納得してもらえないであろうと思われます。他法人もいろいろ工夫さ れて事業報告書で成果をアピールされていると思うのですが、そうしたことをいかに説 明していくかということが今後の課題ではないかと感じました。  以上が栄養研さんでございます。  次に、産業安全研究所さんです。やはり同じように追加説明資料ということで、研究 費等の収入ということで推移を追っていただいております。  収入に関しては、施設、機器貸与が若干使用料としては減っております。  ただ、知的財産権ということで今期はかなりの伸びがみられるところでございます。  受託研究ですが、こちらは残念ながら前期の260万から100万に落ちてしまったという ことで、これも予算200万円に比べても下回っている状況でございます。実態としては、 独法化当初は依頼が多くあったそうなのですが、それが一巡した形で減ってしまったと いうお話でございます。もっとも、どんな研究課題でもいいということではなくて、研 究所の目的に沿った研究課題でなくてはいけないのですが、こういったところの増収策 も今後の課題になってこようかと思います。  科研費でございますが、ここの表ではゼロとなっております。これはオンバランスで はないのでゼロとしていただいたようなのですが、実は収入としてはございまして、そ れは研究者個人の収入になるわけなのですが、14、15年度はいずれも1400万、16年度は それから増加して3600万円という形で、増加傾向がみられるところでございます。  そのほか、謝金収入もわずかながら増えている状況でございます。  そういった結果、当期総利益は900万円となっておりまして、財産、賃貸収入とか講 師謝金等を初めとするその他事業収入が主な要因ということでございます。  この法人につきましても、今年度は三項積立金の申請はございません。  次に経費の面に移りますが、期末人員は表では53とありますが、実際には職員の方は 49ということで、中期計画期間終了時点では48名と予定されておりますので、あと1名 ということですが、それはこの17年度中に達成見込みというお話でございます。  人件費の推移でございますが、こちらは若干、増加傾向にございます。一つは、非常 勤職員もこの給与の中に含まれているということで、そこの表示の仕方が栄養研さんと 違っております。産医研さんも産安研さんと同じように給与の中に含める形で表示され ているのですが、そこも含めたところで非常勤職員も増えているのと、あとは人事交流 によって異動のために、比較的給与水準の高い方が出向されたこともあって、人件費は 増加傾向にあることが読み取れます。  そのほか、経費の節減でございますが、光熱水料は若干の減が達成されておりますの と、総合管理業務ということで庁舎を総合的に管理する業務、これも今年度は一般競争 入札をやられたということ、かつ複数年契約をしたことで、かなりの節減をはかってお られる状況でございます。  その他、御報告するべきこととしては、御説明の中で労働災害原因究明調査費という ことが強調されておったように思います。これの調査費に係る費用が、今期どの程度支 出されたのかという推移を追ってみますと、過去3年間、金額的には同じような水準に なっておりまして、約2000万程度を前後している状況でございます。そういった意味 で、額的にはほぼ横ばい状況にあるといえますが、今期、アピールされていた要因とい うことでいきますと、安全ガイドという形で年度計画にないものについて公表されたこ とが要因だったということでございます。  この災害調査は、昨年お話ししたことをもう一度繰り返させていただきますと、会計 処理上は委託契約という形をとっていないのですが、実質は行政からの委託という形で ありまして、結果については成果物が行政に帰属するということで、その守秘義務等に よって公表できないというお話でございました。ただ、いろいろ研究報告書等の形で公 表することは検討していきたいというお話だったのですが、今期、よくお伺いしてみま すと、安全ガイドとか安全資料という形で事前に厚生労働省と協議のうえ、出すことは これまでも行われていて、それらはあらかじめ年度計画に織り込まれているということ でございました。  ことしの成果としては、先ほど申しましたように織り込まれていなかったものについ て、1件、安全ガイドを出されたということで自己評価も高いということでしたが、そ れは臨機応変な対応として評価されるべきことということもできますが、司法手続に支 障のない範囲で一般国民に役に立つような情報については積極的に開示されていくこと を、むしろ計画に織り込んでいただきたいと考えられるところでございます。  以上が産安研さんの状況でございます。  最後に、産医研さんの御説明でございます。同じように追加説明資料で研究費等の収 入についてごらんいただきたいと思います。  施設貸与に関しては、若干額が減っている状況でございます。  また、知的財産権についても実績はございません。  受託研究も、ほかの2法人同様、前期に比べますと1,700万円程度、実績が下がって いる状況でございます。  予算は2,700万とかなり低めの水準で設定されていますので、一応それは達成されて いるのですが、傾向としてはちょっと減っている状況でございます。  科研費及びその他の事業収入については、ほぼ横ばいの状況であるかと思われます。  そういった結果、当期総利益は680万でございまして、その内容は、講習料等、その 他事業収入が主な要因でございます。  こちらの法人さんも、今年度は利益の三項積立金への積立はございません。  経費面に移りますが、期末人員が中期計画終了時点の目標が73名ということでござい ますが、既にこれは平成16年度の期初に達成されているということでございます。派遣 職員も入れたところでの人件費も若干減少傾向にありますので、節約がうかがわれると ころでございます。  一方、物件費ですが、説明会の際には光熱水料3%減を達成という御説明があったの ですが、実は財務数値のほうは増えておりまして、御説明を伺いますと、実は0.3%増 加したというお話でございました。この点については、今後とも節約の努力をお願いし たいと思っております。  また、庁舎管理総合委託等についても、昨年は一般競争入札で節減しておりますの で、今期、新たにという節減の効果はないというお話でございます。  その他、提携業務に関してはなるべく派遣職員を使われるということで、研究員が本 来の研究業務に集中ができるようにという配慮がされているというお話でございまし た。  あと、特記すべき事項といいますと、一昨年も同じようなことをお話ししたのです が、研究棟の設備の老朽化が進んでいて安全性等に問題があるというお話をさせていた だきまして、それに対して修繕計画等が中長期的な観点からつくられていないという指 摘をさせていただいていたのですが、次期の中期計画に向けて改修計画について優先度 をつけて策定されていらっしゃるところで、8月から耐震診断も始められるということ ですが、今後、そういったことをもとに次期中期計画期間に向けて予算要求をされてい く予定であるとお伺いしております。  大体以上のようなところで、最後に、例の中期目標の新規拡充を除き、平成13年度の 運営費交付金の最低限2%に相当する額を節減するという大目標があるわけなのです が、3法人さんともこれはクリアできるという御回答をいただいております。ただ、こ れは法人さんのみならず厚生労働省さんにもお願いしたいのですが、何と何を比べるの かといったところが法人によってバラツキがございまして、運営費交付金なのかあるい は支出額なのかということで、運営費交付金だとすれば、それは交付額ではなくて使っ た金額であるはずだと思うのですが、そこら辺のとり方が若干統一されていないように も思われます。この点は非常に重要なところでございますので、ぜひ17年度以降は、こ このところはどういった形で判定していくのかということを統一した形でお願いしたい と思っております。  以上でございます。 ○田村部会長  どうもありがとうございました。  それでは、国立健康・栄養研究所から補足等がございましたらお願いしたいと思いま す。時間は5分以内でよろしくお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  今、清水委員からいろいろ御指摘いただいたことにつきまして、特に財務上の処理に ついては、いろいろな御指摘、ありがとうございました。私どももこれから勉強させて いただきまして、今後につなげたいと思います。その中で1点、職員常勤の数と外部か らのマンパワーのバランスについて、少し補足でお話しをさせていただきたいと思いま す。私どもの研究所の補足資料の2−5の8ページをお開きいただきたいと思います。  独立行政法人になりまして、制度的には、公務員の定数枠からは外れたわけですが、 実質的には交付金の中での人件費枠で人の数が縛られているという状況で、平成17年度 末で研究職員を35に減らしていかなければいけないことになります。今後も、独法とい う性質を考えると、研究職員を増やすというのは難しいかと考えております。  その中で私どもの業務を考えたときに、その人の数を減らして交付金の範囲でやれば 良いかというと、どうもそのような状況にはないとい思っています。また、私どもの研 究所は、行政ミッション型といいながら、外部的な資金を獲得しながら研究者一人ひと りが質の高い研究を行うということを重視し、また論文として発表をしてしています。 一般的に一流のアクティブな研究機関は常勤職員というのはごくわずかです。プロフェ ッサーが中心となって、外的な研究費、事業費で人を雇い、また、ポスドクや学生は、 良い研究をしているところに集まるというのが普通です。そういう意味では常勤研究職 員35名に対して200名というのは、さらに一人ひとりの常勤研究者が一流どころになれ ば、ますますその比としては外部的な者が多くなるだろうと考えております。  また、アウトプットに関しましても、常勤の研究職員がかかわらずに外部の者だけが やるということはございませんで、中心的には常勤の職員が行う。そのサポートであ り、また、若い人を育成し送り出すという意味合いでもやっておりますので、そういう ことについて、今後、きちんと説明がつくような資料等も用意をいたしたいと思ってお ります。  また、1か所、訂正をさせていただきます。前々回、鈴木委員から原著論文のリスト についての重複の御指摘がございました。それを受けまして、もう一度見直しをいたし ました。お手元の評価シート、事業報告書の正誤表という1枚紙をごらんいただきたい と思います。研究業績をなるべく効率化、データベース化して処理をしているところか ら生じたわけですが、通常は各研究者が確認するので起こり得ないのですが、3月末で 任期満了で退任した理事長分の論文の幾つかが重複して登録されていて、そのチェック が十分ではなかったことで発生した誤りでございます。前回、論文数は計118報と御報 告いたしましたが、これを110報に御訂正いただきたいと思います。また、常勤1人当 たりの論文数は3.3報を3.1報、インパクトファクター2以上のものは58報を55報告と修 正をいたします。この場をお借りしておわび申し上げます。  このように下方に数値が動くわけですが、原著論文等の1人当たりの件数等について は、前々回御説明申し上げましたように13年度からこの4年間、増加傾向にあるといっ た全体の傾向、あるいは中期目標との関係についての大枠には大きな変化はないと考え ております。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  次に、産業安全研究所から補足等がございましたらよろしくお願いいたします。 ○産業安全研究所研究企画調整部長  産業安全研究所からでございますが、本日の資料では、5−3について修正済みであ ることが今わかったのですが、評価シートの中の一部、数値に誤りがありまして、その 部分の訂正を1点いたします。  評価シートの6ページでございますが、前の資料ですと資料3−3−1、今回では資 料5−3でございますが、横長の評価シートのうち6ページの上から4行目、支出総額 が計画内かという部分でございます。中期計画中に執行される支出総額63億2900万、 「6329百万円」と書いてございます部分が、「5,950百万円」、59億5,000万円というの が正しい数値でございます。これは、本日の配付資料の中では既に訂正されているとい うことでございます。ただ、前回部分としてはそういう修正がございます。  同様に、前回、パワーポイント資料をお配りしていますが、資料3−3−2の10ペー ジ、19番目のスライドでございますが、同じ数字が出ておりまして、「6,329百万円」 を「5,950百万円」と御訂正いただきたいと思います。それが1点でございます。  それから、本日配られました資料5−1の中で、個別評価に関する評価結果未定稿と いうものの2枚目に産業安全研究所のまとめがあるようでございますが、実は今年度分 ではなくて14年度評価結果が出ておりますが、その中で2か所「C+」というところが ございます。これは、14年度の評価結果が何回か修正された確定前の値のはずで、それ は「B」に訂正いただいたと記憶しております。それは転記ミスと思われますので、御 検討をお願いしたいと思います。 ○政策評価官  そこは事務局で確認します。 ○産業安全研究所研究企画調整部長  お願いいたします。  同じく今年度の評価のところでございますが、資料5−1の2枚目、項目21が中期目 標計画どおりでBと取り扱うように下に注記が書かれておりますが、研究所といたしま しては、この項目についてはもともと計画がなかった部分で、13年度と同様に評価の対 象から外して空白という形でお願いしたいと思っております。  理由としては、前回のときには、ここの部分はべつに平均値をとるわけではないので Bでよろしいのではないかという結論だったと思いますが、役員の退職金の評価のとき に実際に平均値をとるという作業がございますので、ことしはたまたまここをBに置く かどうかで点が上がるかどうかということなのですが、仮にここの項目がSだったとし ても、本質的にここは平均値から外すべきであると考えまして、ここの評価については 対象外とお願いしたいということでございます。  産業安全研究所からは以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  次に、産業医学総合研究所から補足等がございましたら、よろしくお願いいたしま す。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  それでは、産業医学総合研究所から。  先ほど、経費のデータの間違いのことがございまして、その点を修正いたしたいと思 います。評価シートでは3ページでございますが、経費の節約の部分でございます。こ れは、評価シートの説明のときには3%の費用削減と御説明いたしましたが、所内的に 計算の問題がありまして0.3%増えているという状況でございます。それにしましても、 パワーポイントでもお示ししましたが、平成13年度からしますと確実に減少傾向ははっ きりしておりまして、長期的にみると経費の節減は達していると考えております。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして質問等がございましたら、委員の先生方、 いかがでしょうか。 ○清水委員  先ほどの産安研さんの施設・設備に関する計画で該当がなかったというお話で、空欄 にすべきかどうかということなのですが、これは決めの問題なのでどちらでもいいのか なと思うのですが、中期計画の中で計画がないのも一つの計画だと私は思うのです。13 年度はたまたま新規ということになっているのが、私は13年度は委員ではなかったもの ですから事情はわからないのですが、中期計画の中で配分するということで、当然、そ ういう計画がない年度もあっていいと思いますので、そうするとやはり計画どおりなの だろうという気がいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。この件について、いかがでしょうか。事務局では何かお考 えがございますか。 ○政策評価官  先般、本件について評価をどうするかという御議論があったときには、私は計画どお りですからBでよろしいのではないかと発言いたしました。  それから、そのときに、この評価結果については各項目ごとの評価であって全体を平 均するわけではないので、特に気にしなくていいのではないのかということを申し上げ たわけでございます。それに対して今、法人の側からは、これについてはそうだけれど も、役員退職金の業績勘案率の決定のときにそれを使用しているので、外してもらいた いという御意見があったわけでございます。御判断も委員の皆様方にしていただければ と思いますが。 ○田村部会長  この取り扱いをどうするか、いかがでしょうか。役員の査定のときにこれが関係して くるということですね。 ○政策評価官  ちょっと補足すると、役員の業績勘案率の件は直接関係ないと思うのですが、今、清 水委員がおっしゃったようにもともと施設・設備に関する計画に該当部分がないという ことを、今年度、計画どおりと考えるか対象外と考えるかということでございますの で、その点の御判断をいただければと思うのですが。 ○田村部会長  いかがでしょう。 ○産業安全研究所理事長  産業安全研究所でございます。ここでお決めいただければ結構なのですが、私どもは 平成13年度と平成16年度は施設・設備の関係で全く同じ状況でございまして、平成13年 度の御評価をいただいたときには評価項目から外された形で評価をいただいています。 一応そのことだけ申し上げたいと思います。 ○田村部会長  かつてはそういうこともあったということでございます。委員の先生方、何かそれに ついて御意見はございますか。かつて、外したという経緯もあるわけですね。そのあた りの継続性ということも含めて、特に入れなければいけないという強い理由もないです よね。であれば、外すことで対応するということでいかがでしょうか。清水委員、よろ しいですかね。 ○清水委員  この中期計画期間は、13年度の事情がそういうことであれば、それでもかまわないの ですが、今後の対応としましては、設備投資をしない年があるといいますのも計画だと 思うのです。ですから、そこは今後の決めということでそういうふうにしていただいた ほうがよろしいのではないかと思います。 ○田村部会長  今年度は中期計画の最後の年になりますね。継続性という意味で、今年度はそれから 外すということで対応させていただきますが、今後は、ないということも一つの計画で あるという理解で、入れてはどうかということで対応するというのはいかがでしょう か。 ○政策評価官  ちょっと事実関係だけ確認させていただきます。 ○産業安全研究所理事長  今は5年分の中期計画、それに基づいて各年度の設備の計画をつくっております。そ の中で13年度と16年度に関しては、施設・設備の計画がないという全体の計画になって います。 ○政策評価官  ですから、中期計画の中では各年度ごとの施設・設備の計画はもともと書いていない わけですね。 ○産業安全研究所理事長  中期計画の中には書いてございます。 ○政策評価官  中期計画の中に年度別に書いてあるわけですか。 ○産業安全研究所理事長  年度別には書いていなかったと思います。そして、各年度ごとに該当する施設なりな んなりが年度計画の中に書かれています。 ○政策評価官  ですから、中期計画の中では、中期計画期間全般に係る施設・設備の計画が書いてあ るのであって、それを、どの部分をどの年にやるかということは書いていない。 ○産業安全研究所理事長  中期計画には具体的には書いていません。 ○政策評価官  そして、法人のほうで毎年、年度計画をおつくりになりますが、その中で具体的にや る年と、どこをやるか、ことしはやらないかということは、法人が定めた各年度の計画 に書いていらっしゃるということですね。 ○産業安全研究所理事長  そのとおりです。 ○政策評価官  そして、その法人がおつくりになった年度計画の13年度と16年度には書いていないと いう事実関係だということですね。 ○産業安全研究所理事長  はい。 ○田村部会長  それでは、この取り扱いについては、先ほど申し上げましたような方向で、つまり今 年度の対象からは外す。しかし、今後はそれについても考慮するということでこの委員 会としては判断したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか……。それで は、この件はそういう取り扱いにさせていただきたいと思います。  ほかに御質問等はございますでしょうか。 ○酒井委員  今回、この財務諸表を経年的に書いていただいたことによってみえてくるものはたし かにあって、大変いい資料だろうと思うのですが、特に産業医学総合研究所と産業安全 研究所の受託研究のことについてお伺いしたいのです。確かにこのように横に見ます と、各年度の予算に対する成績とは別に減少していることははっきりみえるのですが、 その点、議論にもありましたように、皆さん方、大変な業務をこなしている中で、一方 で自己資金の確保という要求もあって、御努力していることはわかるのですが、こうい う減っていることに対して、今後、受託研究をどのように研究所として考えていって伸 ばそうとしているのか、そうではない方策をとろうとしているのかというあたりを御説 明していただけるとありがたいというのが1点です。  もう1点、科研費のことです。安全研究所だけはゼロということで、これは個人に入 るからゼロだという御説明のようですが、ほかの研究所は記録していただいて、使い方 は別として、ゼロではなくて数字を入れていただいた方がよろしいのではないかという 個人的な感想なのですが、もし何かあったらお教えいただきたいと思います。 ○田村部会長  では最初に、受託研究の件について各法人からお考えをお聞かせいただければと思い ますが、いかがでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  受託研究につきましては、まず競争的資金については一つ、研究者が自発的にとりに いくということで、そのときの提案課題によって大きな波があるわけですが、幸い、私 どもは基礎的、応用的研究の中でもきちんと論文として出せるような研究を目指してお りますので、そういう意味で競争的研究資金における外部評価も比較的高い評価をいた だいて、研究費をいただいていると考えております。  また、先ほど清水委員から御指摘がありました受託収入の中で、厚生労働省からの各 年度ごとに生じた緊急的な行政ニーズに対応した形での請負事業等がございます。これ は、私どもが積極的に手を挙げるというよりは、その都度その都度の行政ニーズがあっ て私どもがその仕事をお引き受けするというものです、たまたま一昨年度はそれが多く て、結果として昨年度が少なかったということで、その分が結果としての減少を生んで いるのではないかと考えられます。  いずれにしてもきちんとした仕事をして初めていただけるものと思っていますので、 今後も積極的にこのような収入が確保できるような努力は続けてまいりたいと思ってお ります。 ○田村部会長  ありがとうございました。産安研はいかがでしょうか。 ○産業安全研究所理事長  二つ、御指摘があったと思います。  まず一つ、科研費の分ですが、これは資料としてもおわかりいただけるように書くべ きだと私も思いますので、これから件数なり、あるいは科研費の金額なりは明記してい きたいと思います。資料として非常に足りない部分があったかと思いますので、改めた いと思います。  それから、受託研究が減ってきていることに関してですが、言い訳になりますが二つ ほど理由を述べさせていただきたいと思います。  一つは、我々は基本的に本来業務第一に考えております。どうしても受託研究となる と、ある意味で二の次ということになります。実際、我々は受託研究のお話があったと きに所内で審査会を設けまして、その中で受託に値するかどうか。これは基本的に金儲 けではなくて、産業安全の受託研究を通してどれだけ世の中に貢献できるかということ を第一で審査をしております。そういう意味で件数がどうしても減ってきているという 状況はございます。  ただ今後、次の中期計画に向けては、むろんこのままでいいとは考えておりません で、受託研究の増収も考えていきたいと、今、検討しておるところでございます。  そういう意味で二つお答えいたしました。 ○田村部会長  ありがとうございました。産医研は何かお考えはございますでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  それでは、産医研から説明いたします。  一つは、受託研究費が減っているという御指摘でございますが、産医研の政府受託の 部分につきましては、これは環境省からの委託で、毎年数件受けている状態だったわけ です。金額も大きいのですが、これが減り気味ということで、結果的に金額的には減っ ているということでございます。  これは、前は環境省の資金による研究費は応募自体もそれほど多くなかったのです が、近年、わりと競争率が厳しくなったことがあって、若干、採択件数が減っているこ とで減っているという状況でございます。応募自体は従来から変わりなく行っていると いう状況でございます。  それから科研費を見ていただきますと1件になっておりますが、これは間接経費がと れる部分で1件となっておりますが、実際には科研費そのものは10数件ございまして、 科研費は国研時代はほとんどとっていなかったということで、独立行政法人化するよう になって、たくさん応募するようにということで応募してとれているという状況でござ います。したがいまして、科研費ですと1件当たりの金額はそれほど大きくないという ことがありまして、限られた人員の中で例えば科研費にたくさん応募するとなると、他 方、政府受託には同じパワーを振り向けることはなかなか難しいという状況もございま す。  そのような状況があって金額的には減ってはおりますが、これも減った状態でよしと しているわけではございませんで、環境省の課題にも従来以上に今後、果敢にチャレン ジしていきたいと考えております。 ○田村部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。 ○清水委員  確認なのですが、産医研さんの最後の御説明で、科研費の比較表に載せていただいて いる数値は間接費収入の部分だけということですか。 ○産業医学総合研究所事務局  そうです。 ○清水委員  そうしましたら、先ほど酒井委員が安研さんにお話ししたことと同じで、ここの部分 は必ずしもオンバランスではなくて、全体の預かり金処理ですが、収入として入ってく る部分について記載いただいたほうが業績がわかると思いますので、そういうことでお 願いできませんでしょうか。 ○産業医学総合研究所事務局  追加で発言させていただきたいのですが、今の科研費は個人収入ということで5300 万、16年度実績がございます。 ○田村部会長  先ほどの清水委員の御意見はいかがですか。今後入れていただくということでよろし ゅうございますでしょうか。 ○産業医学総合研究所事務局  そういうことで。 ○田村部会長  よろしくお願いいたします。  そのほか、ございますでしょうか。 ○鈴木委員  先ほどから、本来業務と受託研究の両立というのはなかなか大変だというお話だと思 うのです。行政ミッション型研究所のことがよくわからないのでお伺いしたいのです が、受託研究の研究課題と科研の研究課題は通常、一致しないということなのでしょう か。一つの課題を両方に応用するという性質のものはなかなかないということなのでし ょうか。 ○田村部会長  3法人ございますが、順番に。 ○産業医学総合研究所理事長  基本的に科研費は国研時代はほとんどゼロだったのです。その理由は、国からいただ くプロジェクト研究が大部分で、あと、基盤研究が一部で、科研費の場合は基本的には 研究所ひとりの自由意志で応募するということでございますから、いろいろなのです。 確かに一部重複はありますが、そんなにはないですね。 ○田村部会長  これは、3法人とも同じようなことでよろしゅうございますか。あるいは法人で違っ た意見はございますか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  私どもは、おそらくほかの2研究所と比べると、特別会計的な制度もないことから国 からくる研究費がもともと少ないので、研究者としては当然、外部的な資金を獲得して 研究するというのはごくごくあたりまえのことと思っております。仕事の内容が全く中 期目標計画と外れていることを行うことはないわけで、あくまでも中期目標を達成する ための一手段であり、科学研究費や受託の研究費をとりながら仕事を積み上げていくと いうことをやっております。 ○産業安全研究所研究企画調整部長  科研費として競争的資金のたぐいでいただく研究課題と民間受託として委託してもら う課題は、うちの場合にはかなり性質の違った研究になっていると思います。民間受託 ですと、中でも製品開発に直結するような基礎研究というよりは応用的な色彩が強い研 究が多いという状態になっております。 ○田村部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。  では、ただいまの報告等を踏まえまして、個別評価を修正したい方は、ここで評価シ ートの修正、確定の時間をとりますので、よろしくお願いをいたします。なお、修正に あたりまして事務局より留意事項がございますので、御説明をいただけますでしょう か。 ○政策評価官  前回までに御記入いただきました個別評価シートが各委員の机の上に置いてございま す。本日の御報告、そのあとの御質疑などによって個別評価の修正が必要となった場合 には、恐縮ですが赤鉛筆で修正をお願いします。そのうえで、付箋がつけてありますの で印をつけていただければ、間違いなく処理できると思います。  それから、資料5−1で未定稿ということで、確定前の各委員の評価結果をつけてお りますが、これは便宜上、Sを5、Aを4、Bを3、Cを2、Dを1ということで点数 化をしまして、各委員の現在の評価の状況がわかるようにしたものでございます。委員 名は空欄にしておりまして、委員ご自身の部分だけお名前を書いてございます。  先ほど、産業安全研究所さんから御指摘いただきました平成14年度の評価結果の表の うち、10番目の項目の産業安全に関する国内外の科学技術情報等に関して「C+」とな っている部分、それから、19番目の予算、収支及び資金計画について「C+」となって いる部分は、御指摘のとおり「B」の誤りでございました。大変申し訳ございません。 訂正いたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。では、適宜修正等をお願いいたしますが、修正等にあたっ ての質問事項等がございましたらお願いしたいと思いますが、何かございますでしょう か……。よろしゅうございますか。  それでは、ここで5分ほど時間をとらせていただきますので、評価シートの修正や見 直し等をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。                 (評価シート記入)  それでは、次の議題に移らせていただきます。「総合評価書案、財務諸表に関する意 見につきまして、起草委員の方々には大変お忙しいところを御尽力をいただきまして、 まことにありがとうございました。  初めに、総合的評価について審議をさせていただきたいと思います。総合的評価書起 草案につきましては、第16回の部会のときに御報告いただく起草委員を指名しておりま したので、法人の起草案について概要を御報告いただきまして、そして事務局による案 文の代読を行ったあとで、最後に3法人まとめて審議したいと思います。  まず最初に、国立健康・栄養研究所の起草委員を代表して、武見委員からよろしくお 願い申し上げます。 ○武見委員  それでは、資料5−2になります。7月22日でしたか、個別報告の審議の内容で、先 生方がお書きくださいました評価シート、その内容等を踏まえて事務局で原文を作成し ていただき、それについて起草委員である私と政安委員とが内容を十分に検討した結 果、さらに先日行われました財務担当委員からの指摘などを含めて、資料5−2の最初 の1ページから3ページに総合評価のことが書かれております。  詳細は後ほど代読されるということですので、結論から申し上げますと、1ページの (2)のパラグラフの二つ目の「これらを踏まえると」というところに書いてあります ように、平成16年度の実績評価については、この研究所の目的に該当して、ほぼ適正に 業務を実施したと評価できる。しかしながら幾つかの留意点があるということで、その 辺も具体的に代読の中で御確認いただきたいと思います。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  では、事務局から案文の代読をお願いいたします。 ○事務局  代読いたします。  独立行政法人国立健康・栄養研究所の平成16年度の業務実績の評価結果(案)  1.平成16年度業務実績について  (1)評価の視点  独立行政法人国立健康・栄養研究所は、厚生労働省の附属機関であった国立健康・栄 養研究所が、平成13年4月に新たに独立行政法人として発足したものである。  今年度の当研究所の業務実績の評価は、平成13年4月に厚生労働大臣が定めた中期目 標(平成13年度〜平成17年度)の第4年度目の達成度についての評価である。  当研究所に対しては、国の附属機関から独立行政法人となった経緯を踏まえ、弾力的 ・効果的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上によ り、国民の求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」に基 づき、平成15年度までの業務実績の評価において示した課題等を踏まえ、評価を実施し た。  (2)平成16年度業務実績全般の評価  平成16年度において、業務運営体制については、プロジェクト研究を中心として研究 部間の連携がとやりすい体制へと柔軟な組織編成が行われている点や、寄附研究部を設 置し、組織の活性化に努力している点を評価する。  また、調査研究業務のうち基盤的研究については、当研究所が担うべき研究領域につ いて的確な研究を実施するとともに、健康食品等の安全性情報ネットワークを活用し、 情報提供や社会的ニーズのくみ上げに努力していることは評価できるす。  さらに、研究成果の普及及び活用については、インターネット等による研究成果の情 報提供が引き続き積極的に行われており、ホームページのアクセス数の多さが社会的ニ ーズに合致したことを示している。  これらを踏まえると、平成16年度の実績評価については、全体としては当研究所の目 的である「国民の健康の保健事業及び増進に関する調査・研究並びに国民の栄養その他 国民の食生活に関する調査・研究等を行うことによる公衆衛生の向上及び増進」に資す るものであり、適正に業務を実施したと評価できる。一方で、以下の点に留意する必要 がある。  (1)寄附研究部の設置や連帯大学・大学院の開始、「独立行政法人国立健康・栄養研 究所認定栄養情報担当者(NR)制度」の運用等、新たな取り組みについては、その成 果について今後注視し、評価していくべきものと考える。  (2)独立行政法人化された趣旨に鑑み、特許出願件数を維持するとともに、運営費交 付金以外の収入を確保するよう、一層の努力が必要と考える。  なお、中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  業務運営体制については、プロジェクト研究を中心として研究部間の連携がとりやす い体制へと柔軟な組織編成が行われている点や、寄附研究部を設置し組織の活性化に努 力している点を評価する。今後は、寄附研究部設置による成果について注視していきた い。  内部進行管理については、プロジェクトの進捗状況管理が適切に行われている点や、 研究業務の評価について、所内LANを通じた個人業務登録システムを構築し、事務的 な負担を軽減しつつ、プロジェクト単位の評価と、理事長自らが常勤研究員全員につい て面接して行う個人評価等、からなる評価システムを有効に活用した点を評価する。ま た、「創造的特別基礎奨励研究費研究」制度等を活用し、外部審査員も交えた方式で所 内公募により競争的資金を配分したことや、研究業務評価を元にした人材配分等等を適 切に行った点も評価できる。今後は、評価結果の低い研究員のモチベーションを高める 仕組みが必要である。  また、経費節減については、機関誌の電子メール化や所内文書のペーパーレス化によ り経費の削減を図ったことは評価できる。  運営費交付金以外の収入の確保については、競争的資金等の外部資金を広く多領域よ り獲得していることは評価できる。  研究施設等の利用については、市民へのプール施設の提供による健康影響調査の実施 など、研究と市民へのサービスを両立させる等の工夫は評価できる。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  (1)調査研究に関する業務内容  平成16年度においては、当研究所の目的である国民の健康の保持、増進に資するため の調査研究等の業務を、行政ニーズ及び社会ニーズに即して着実に実施している。  国民の健康に対する関心が高まる中で、社会的ニーズの把握については、健康・栄養 に関連する諸団体との連携により、適切なニーズの把握がなされている。「独立行政法 人国立健康・栄養研究所認定栄養情報担当者(NR)制度」については、平成16年度6 月に第1期生が誕生し、「健康食品」等に関する情報提供に努めるなどにより、徐々に 社会的認知度が高まりつつあるが、今後は認定したNRの継続的な質の確保、実際の業 務内容のモニタリングなどを行い、本制度が社会に果たす役割を適切に評価していくこ とが必要である。  重点的調査研究については、ヒューマンカロリーメーターや二重標識水法による測定 システムを確立することにより、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」の策定に貢献 した。また、健康増進法に基づく健康・栄養調査データのデータベースの充実を図り、 健康日本21の中間評価に向けて調査データの提供等の支援を行った。さらに、国民の ニーズの高い健康食品及び栄養補助食品の生理的有効性や安全性の評価について、専門 家や一般人を対象として情報提供を積極的に行うなど、有効な取り組みを積極的に行っ ている点は評価できる。  これらの研究については、その活用・分析を徹底して、国民の生活水準の向上をはか る必要がある。また、食品成分の有効性、安全性については、分析方法をシステム化、 効率化していくことも望まれる。  基盤的研究については、社内公募により申請された15課題のうち7課題を選定し、研 究を実施するとともに、健康食品等の安全性情報ネットワークを活用し、情報提供や社 会的ニーズのくみ上げに努力していることは評価できる。なお、生活習慣病関連遺伝子 解析の研究については、着実に成果をあげており、今後の社会における「テーラーメイ ドの栄養管理」の推進に寄与するものと期待される。  健康増進法に基づく業務のうち、平成15年度実施の国民健康・栄養調査の集計業務に ついては、健康増進法の改正による調査規模の拡大に対処した。また、特別用途食品の 表示の許可等に係る試験については、そのほとんどを2月以内に処理するなど、努力の 成果が認められる。  職員の資質の向上については、研究所セミナーの開催、国内外の学会発表等により職 員の資質向上に努めているが、資質向上のためのより多様な方法の検討を期待する。  また、外部評価委員会において、研究業務の外部評価を適切に実施し、研究業務の評 価・運営に有効に活用している。  (2)調査研究成果の普及及び活用  平成16年度においても、調査研究成果の普及・活用について着実に実施していると考 えられる。  学会発表、論文発表数等については、中期目標を大幅に上回っており、研究員1人当 たりの発表数も多く、特にインパクトファクターの高い欧米誌への掲載が多いなど、水 準の高い点が高く評価できる。  研究成果の発信については、インターネット等による情報提供が引き続き行われてお り、ホームページのアクセス数の多さが社会的ニーズに合致したことを示している。さ らなるコンテンツの充実を期待したい。  講演会、セミナーの開催については、一般向けには生活習慣病を、専門家向けには 「日本人の食事摂取基準」や国民健康・栄養調査をテーマとする等、対象者に応じた開 催が活発に行われており、適切であると評価する。  知的財産権の取得等については、7件の特許出願を行うなど、長年の努力の成果が認 められる段階になったと評価できる。今後、出願件数が減少することがないよう期待す る。  (3)外部機関との協力の推進  若手研究者等の育成については、平成16年度にお茶の水女子大と連携大学・大学院を 発足させるなど、外部機関との協力の推進を着実に実施するとともに、特別研究員、協 力研究員、研修生の数も多く、若手研究者の受入れに積極的である点は評価できる。今 後は、若手研究者の育成を更に拡大することを期待する。  国際協力については、WHOやFAO/WHO合同食品規格委員会(CODEX)と いった国際会議で職員を派遣したほか、アジア諸国との間で共同研究を実施している。  (3)財務内容の改善等について  平成16年度においても、経費の節減をはかるとともに、運営費交付金以外の収入の確 保を進め、必要な人材の弾力的な採用に努めている。  競争的研究資金、受託研究等の収入については、広く多領域より獲得しているが、受 託研究収入については金額が昨年実績を下回っていることから、より一層の努力が求め られる。また、適切な目標額の設定についての検討が必要である。  運営費交付金を充当して行う事業に係る経費の節減については、外部委託の推進など の取り組み等がなされているとの説明であるが、その結果、どの程度効率化されたかに ついて数値により客観的に示すことが必要である。また、当期純利益61百万円が計上さ れているが、多岐にわたる事業を展開していることから、利益発生要因についても十分 に分析することが必要である。  施設・設備に関しては、既存施設の有効利用をはかり、概ね計画どおりに実行されて おり、自己収入の確保をはかっている。  職員の人事については、任期付研究員として顕著な研究業績をあげた者の任期切れ時 に、任期を付さないポストへ任用するなど、優秀な常勤研究員の確保と流動化を両立さ せている。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  次は、産業安全研究所でございますが、起草委員を代表いたしまして私から報告させ ていただきます。  産安研の評価につきましては、委員会での御議論、そして各委員の先生方からのコメ ントをもとにいたしまして事務局で案を作成していただきました。そして、それをもと にして起草委員で検討いたしましてまとめたものでございます。  今回の評価につきましては、1ページの下から1/3のところにまとめてございます ように、これらを踏まえると平成16年度の業務実績については全体として当研究所の目 的である労働者の安全の確保に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できる ということで総合評価をつくらせていただきました。  なお、留意点についても指摘をさせていただいております。  詳細については、事務局から朗読をお願いいたしたいと思います。案文の朗読を事務 局でよろしくお願いいたします。 ○事務局  独立行政法人産業安全研究所の平成16年度の業務実績の評価結果(案)  1.平成16年度業務実績について  (1)評価の視点  独立行政法人産業安全研究所は、厚生労働省の附属機関であった産業安全研究所が、 平成13年4月に新たに独立行政法人として発足したものである。  今年度の当研究所の業務実績の評価は、平成13年7月に厚生労働大臣が定めた中期目 標(平成13年度〜平成17年度)の第4年度目の達成度についての評価である。  当研究所に対しては、国の附属機関から独立行政法人となった経緯を踏まえ、弾力 的、効果的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上によ り国民の求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」に基 づき、平成15年度までの業務の評価の過程評価作業等に係る課題等を踏まえて評価を実 施した。  (2)平成16年度業務実績全般の評価  平成16年度は、「研究者評価指針」等、研究者評価のための各種規定を整備し、研究 者の業績、能力、適性等を公正に評価することを通じて研究活動の活性化を図るなど、 研究活動の質の向上を図る取り組みが必要になっている。業務の中心である調査研究に ついては、行政ニーズ、社会的ニーズに対応した研究を的確に実施し、研究の成果が 2004年度安全工学会論文賞を受賞するなど、高く評価されているほか、大型自動回転ド アの安全規格策定手続への参画や、ごみ固形化燃料(RDF)の爆発・火災の危険性と 安全な取り扱いに関する安全ガイドの策定など、国内外の安全基準の策定に大きく貢献 しており、継続中の調査研究の今後の成果に留意が必要であるが、個別項目に関する評 価結果にもみられるように、全般としてほぼ適切に行われていると考えられる。  また、厚生労働大臣からの要請等に応じて、引き続き迅速かつ的確に産業災害の調査 も実施しており、厚生労働省において、行政通達の発出などに当たって有効に活用され ている状況がみられる。  これらを踏まえると、平成16年度の業務実績については、全体としては当研究所の目 的である「労働者の安全の確保」に資するものであり、適性に業務を実施したと評価で きるが、以下の点に留意する必要がある。  (1)労働現場のニーズの把握に関して、産業安全に関する情報交換会の開催、産業安 全関連団体等への委員の派遣等により積極的に行われているが、研究員が把握したニー ズを組織として活用できるような仕組みが望まれる。  (2)研究成果情報の発信に関して、ホームページの内容の充実などの努力を行うこと により、研究成果が積極的に公開されているが、アクセス件数の減少が見られることか ら、原因の把握と的確な情報の発信に向けて一層の工夫が期待される。  (3)運営費交付金以外の収入の確保に関して、科学研究費補助金等競争的資金の獲得、 特許収益の大幅な伸び等により成果かあがっているが、受託研究の減少が見られている ところであり、受託研究の増加に向けて一層の努力が求められる。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  業務運営の効率化については、業務運営体制、内部進行管理の面で進捗が認められ、 中期目標に沿った取り組みが行われている。  業務運営体制に関しては、「研究者評価指針」の策定など、研究者評価のための各種 規程を整備し、研究者の業績、能力、適性等を公正に評価することを通じて研究活動の 活性化を図るとともに、若手任期付研究員の採用、フェロー研究員の委嘱等、効率的で 柔軟な体制が着実に構築されている。  内部進行管理に関しては、内部研究評価会議の結果、災害調査、委員会活動等、研究 外業務への貢献を考慮して研究予算を増額するなど、研究員のインセンティブを高める 取り組みが実施され、軌道に乗り始めている。ポイント制による個人業績評価を実施す ることにより、評価の客観性、公平性を高め、研究予算の増額など、個人の業務に反映 できるように努力しているが、評価負担の軽減、評価のあり方と活用等の評価制度のよ り一層の改善が望まれる。  経費の削減に関しては、光熱費の節減等、省エネルギーの取り組み、ペーパーレス化 の促進、競争的資金の獲得等の努力を行い、目標を上回る成果が得られており、今後、 一層の努力を続けることを期待する。  研究施設、研究設備の共同利用等については、共同研究実績の件数が増えているな ど、努力の跡が認められる。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  (1)調査研究に関する業務内容  調査研究業務については、当研究所の目的である「労働者の安全の確保」への寄与と いう観点から、適正に実施されている。  労働現場のニーズの把握と業務運営への積極的な反映に関して、産業親善に関する情 報交換会の開催、産業安全関連団体等への委員の派遣等により積極的に行われている が、研究員が把握したニーズを組織として活用できるような仕組みが望まれる。  プロジェクト研究については、中期計画に基づき行政ニーズ及び社会的ニーズを踏ま えた研究を適切に実施しており、着実な成果を挙げている。また、外部研究評価会議が 適切に機能し、研究計画の評価が効率的に行われている。  基盤的研究については、中期計画に基づき研究活動を実施するとともに、行政ニー ズ、社会的ニーズに対応した研究を的確に実施し、研究の成果が2004年度安全工学会論 文賞を受賞するなど、高く評価されている。今後は、萌芽的研究が生まれる環境づくり に努めることが必要である。  上記の研究の一方、当研究所は行政機関等からの要請に対応して、迅速かつ的確に産 業災害の調査を行うことが求められているが、当該災害調査に関しては、行政ニーズに 対応し、調査を精力的かつ迅速に実施しており、調査結果の報告、行政施策への反映が 行われいるほか、研究員のインセンティブにつながる工夫がなされているなど、高く評 価できる。  国内外の労働安全に関する基準の制定改定に際しては、大型自動回転ドアの安全規格 策定への参画や、ごみ固形化燃料(RDF)の爆発・火災の危険性と安全な取り扱いに 関する安全ガイドの策定など、当該法人の研究成果を各種委員会において提供し、労働 者の安全、作業快適性の改善向上に多大の貢献をしている。  また、産業安全に関する国内外の科学技術情報、資料等の調査については、各種業務 活動の中で国内外の安全に係る情報・資料の収集に努めているほか、特定機械が関わる 爆発火災事例、探傷検査スプレーが関わる労働災害事例等、行政からの要請に基づき、 調査が的確に行われている。  外部評価に関しては、外部研究評価会議において内部研究評価会議の実施状況に対す る意見、提言を受けるとともに、プロジェクト研究の評価を研究計画に反映させるな ど、評価システムが有効に機能し、その結果が研究活動に反映されている。  (2)調査研究成果の普及及び活用  調査研究成果の普及及び活用については、多忙な研究、研究活動の下、学会発表等に 積極的に取り組み、発表件数が大幅に増加し、中期目標を上回っている。また、研究成 果を安研ニュース、研究報告、安全資料等として発信するとともに、技術専門誌、雑 誌、講演など幅広い手段を活用してその成果の普及を行っている。ホームページに関し ては、内容の充実等の努力を行い、研究成果が積極的に公開されているが、アクセス件 数の減少がみられることから、原因の把握と的確な情報の発信に向けての一層の工夫が 望まれる。  講演会等の開催に関しては、全国3か所で安全技術講演会を主催し、成果の普及に努 めており、年々、参加者数が増加しているところであるが、開催地の拡大、テーマやタ イミング、わかりやすさなど、一層の工夫が望まれる。  また、研究所の一般公開については、よりきめ細かい対応が可能となるよう、少人数 のグループ制を導入する等の工夫を行い、前年を大きく上回る126名の参加を得ている 点が評価できる。  知的財産権の活用促進に関しては、特許に結びつきにくい研究が多い中で、知的財産 活用に向けた独特の成果があらわれ、4件の製品化がなされた点は大きく評価できる。  (3)外部機関との協力の推進  若手研究者等の育成への貢献については、我が国唯一の産業安全に関する研究機関で ある産業安全研究所の責務として、研究員等の受入れ、研究所職員による他機関への講 演や技術支援、労働大学校・安全衛生教育機関・災害防止団体における研修講師として の派遣等の協力による直接的な安全に係る担当者の育成等、中小事業者や産業現場のた めの活動を実施している。今後、海外の研究者、技術者の受入れの充実を図ることが望 ましい。  また、フェロー研究員制度、流動研究員制度の活用、研究協力協定等により、国内外 の研究機関との研究交流を積極的に進めている。  (3)財務内容の改善等について  運営費交付金以外の収入の確保に関して、科学研究費補助金等競争的資金の獲得、特 許収益の大幅な伸び等で成果が上がっているが、受託研究が減少しているところであ り、受託研究の増加に向けて一層の努力が求められる。また、職員の採用、人事の計画 については、若手任期付研究員の採用を行う等、順調に行われている。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは最後になりましたが、産業医学総合研究所の起草委員を代表していただきま して岸委員からよろしくお願いいたします。 ○岸部会長代理  それでは、御報告いたします。  委員会での議論、それから全委員の個別項目に関する評価コメントを踏まえまして原 案を作成されました。それに、起草委員であります酒井委員と私、それから財務の清水 委員の御意見を踏まえましてできたのが、本日の資料番号5−4でございます。  全般的なところは、1ページの下から4行目にまとめてございますが、平成16年度業 務実績全般の評価といたしましては、理事長を中心に管理運営手順の改善を図られてい る、あるいは調査研究についてニーズに対応した的確な研究がなされている、あるいは 研究成果の普及について目標を大幅に上回る成果があがっているなど、適正に業務を実 施したと評価できる、とまとめました。  ただし、以下、留意する点として3点を1ページから2ページにかけて挙げておりま す。研究の戦略性について、国民の健康に深く関係し、関心が高い領域が研究分野です ので、それをさらに国民に理解しやすいように工夫していただきたいという点、また研 究施設・設備の利用に関してでございます。  具体的な評価内容につきましては、2ページ以降4ページまで詳しく書かれておりま す。これが要約でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、事務局から案文の代読をよろしくお願いいたします。 ○事務局  独立行政法人産業医学総合研究所の平成16年度の業務実績の評価結果(案)  1.平成16年度業務実績について  (1)評価の視点  独立行政法人産業医学総合研究所は、厚生労働省の附属機関であった産業医学総合研 究所が、平成13年4月に新たに独立行政法人として発足したものである。  今年度の当研究所の業務実績の評価は、平成13年4月に厚生労働大臣が定めた中期目 標(平成13年度〜17年度)の第4年度目の達成度についての評価である。  当研究所に対しては、国の附属機関から独立行政法人になった経緯を踏まえ、弾力的 ・効果的な業務実績を通じて業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上により、 国民の求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」に基 づき、平成15年度までの業務の評価の過程で生じた評価作業等に係る課題等を踏まえて 評価実施した。  (2)平成16年度業務実績全般の評価  平成16年度は、理事長を中心として重要事項が迅速に決定できるよう、研究所管理運 営手順の改善を図ることにより、業務が機動的に実施されるとともに、個人業績評価の 実施とその結果に基づく適切な個人指導等が行われており、これらが有効に機能してい る。  また、労働衛生重点研究推進協議会の継続的運営、国際研究交流情報センターにおけ る「アジア労働衛生研究センター会議」の開催など、国内外における労働衛生分野の中 核的機関としての取り組みが進められている。  業務の中心である調査研究については、行政ニーズ、社会的ニーズに対応した研究を 的確に実施し、平成16年度においては、労働環境における全身振動ばく露の計測と対策 に関する研究で得られた成果をISO規格に反映させるべく提案するとともに、蛇紋岩 系モルタル混和材中の石綿分析方法の調査研究の成果が厚生労働省通達の内容に反映さ れるなど、国際規格や行政施策に直接結びつく調査研究が行われている。継続中の調査 研究の今後の成果に留意が必要であるが、個別項目に関する評価結果にもみられるよう に、全般としてほぼ適切に行われているものと考えられる。  また、研究成果の普及については、学会、論文発表等が活発に行われ、目標を大幅に 上回る成果があがっているほか、マスコミやホームページの活用等、多様な媒体により 積極的な情報の発信が行われている。  これらを踏まえると、平成16年度の業務実績については、全体としては当研究所の目 的である「労働者の健康確保」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価でき るが、以下の点に留意する必要がある。  (1)労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映に関して、「労働衛生重点研究 推進協議会」等の活動を通じ、現場のニーズの把握を行ない、優先研究課題を選定し、 研究を推進する活動が行われている。今後、国内外における労働衛生分野の中核的機関 として、労働者の健康の確保に向けて一層、研究戦略性を持った効果的な活動を実施す ることが期待される。  (2)研究成果の情報発信に関して、当研究所の研究分野がアスベストのように国民の 健康に深く関係し関心が高いものであることから、その研究成果等を国民が理解しやす いように工夫し、ホームページ等により情報発信することが期待される。  (3)研究施設・設備の利用に関して、外部機関との共同利用や貸与を促進する必要が 認められ、また、研究スペースの配分にも工夫が図られているが、より効率的な施設等 の利用に向けて、研究施設・設備の共同利用等を一層推進するための努力が求められ る。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  業務運営の効率化については、業務運営体制、内部進行管理、経費の節減等、一定の 実績を上げており、中期目標に沿って取り組まれている。  業務運営体制については、昨年度設置した国際研究交流情報センターの体制を強化 し、「アジア労働衛生研究センター会議」「21世紀の公衆衛生と産業保健に関する中国 ・日本国際シンポジウム」を開催し、国内外における労働衛生分野の中核的機関として の取り組みが進められている。今後は、国際研究交流情報センターの成果に期待する。  内部進行管理に関しては、研究所の管理運営手順の改善を図ることにより、理事長を 中心として業務運営が機動的に実施できる体制が確保されるとともに、個人業務評価の 実施及び評価結果に基づく予算配布等の実施により、研究活動の活性化、業務運営の効 率化が図られている。また、配置転換を積極的に行い、機能的な業務運営体制が構築さ れている。今後は、研究費の執行管理と法人の財務会計管理との関連について工夫が望 まれる。  経費の節減については、努力は見られるものの、光熱水料が前年に比べて増加する傾 向が見られるため、一層の省エネルギー活動が求められる。また、外部研究資金の獲 得、受託研究収入は昨年を下回る結果となったため、一層の自己収入の確保等の努力が 必要である。研究施設・設備の利用については、外部機関との共同利用や貸与を促進す る姿勢が認められており、また、研究スペースの配分にも工夫が図られているが、より 効率的な施設等の利用に向けて、研究施設・設備の共同利用等を一層推進するための努 力が求められる。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  (1)調査研究に関する業務内容  調査研究業務については、当研究所の目的である「労働者の健康の確保」に照らし、 適正に実施されている。  労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映に関しては、「労働衛生重点研究推 進協議会」「客員研究員交流会」等の活動を通じ、現場ニーズの把握を行い、優先研究 課題を選定し、研究を推進する活動が行われているが、今後、国内外における労働衛生 分野の中核的機関として、労働者の健康の確保に向けて、一層、研究戦略性を持った効 率的な活動を実施することが期待される。  プロジェクト研究に関しては、中期計画に基づき、行政ニーズ及び社会的ニーズを踏 まえて研究を着実に実施しており、内部評価委員会、外部評価委員会等が適切に機能し ている。今後は、研究の成果を行政や社会に還元する努力を行うことが望まれる。  基盤的研究については、多様なテーマを取り上げ貴重な成果を上げており、また、適 切な評価の実施により予算配分の適正化が図られている。  また、数多くの研究を抱える中で迅速に災害調査等を行い、行政に貢献している。  労働衛生に関する国際基準、国内基準の制改定等への科学技術的貢献については、17 の国際委員会94の国内委員会等、多数の国際・国内委員会等に委員等を派遣し、国際・ 国内基準の制改定に協力しており、労働環境における全身振動ばく露の計測と対策に関 する研究で得られた成果をISO規格に反映させるべく提案するなど、貢献度は高く評 価できる。  また、労働衛生に関する国内外の科学技術情報、資料等の調査に関しては、厚生労働 省からの要請に応じて、諸外国の暑熱作業基準の適用状況を調査し報告するなど、行政 等からの要請等に応じて科学技術情報、資料等の報告を適切に行っているが、さらに広 範囲な科学技術情報の収集等を行い、行政ニーズに対応することが期待される。  外部評価に関しては、評価の実施及び公表が定着しており、その後のフォローアップ も適切に行われている。今後、研究課題の分野に応じて、当該分野の評価者を加える等 の考慮も必要である。  なお、アスベストについては、予防的な観点から研究を実施し、成果を上げてきてお り、アスベストの新たな分析方法に関する調査研究の成果が、従来「無石綿製品」とし て販売されていた商品を市場排除するための厚生労働省通達の内容に生かされるなど、 研究の成果が行政施策に反映されていることは評価できる。今後、引き続き予防的な観 点から調査研究を実施し、行政施策に的確に反映されるよう取り組むとともに、研究の 成果が国民に理解されるよう積極的に情報発信していくことが期待される。  (2)調査研究成果の普及及び活用  調査研究成果の普及及び活用については、多忙な研究、調査活動を行っている中で、 学会発表等に積極的に取り組み、中期目標を大幅に上回る成果が上がっている。また、 マスコミやホームページを活用し積極的な情報の発信が行われている。ホームページに 関しては、わかりやすさについて一層工夫することが期待される。  国内外の労働衛生研究の状況把握等に関しては、客員研究員交流会、産業医学総合研 究所・産業医科大学産業生態科学研究所研究交流会、「労働衛生重点研究推進協議会」 等の活動を通じて積極的に行われており、特に「Industrial Health」の発行により、 アジア諸国の研究者に対して発表の機会をつくっている点が評価できる。今後は、 「Industrial Health」に関しては、インパクトファクターを上げる努力が期待される。  講演会等の開催については、公開シンポジウムやセミナーを開催し、情報発信に努め ているほか、研究施設の一般公開など、多様な方法で積極的な研究成果の普及が行われ ている。  知的財産権の活用促進については、成果を求めにくい分野ではあるが、一層の努力が 求められる。  (3)外部機関との協力の推進  研究員の受入れ、他機関への研究所職員の派遣等については、計画どおり実施されて いる。  若手研究者の育成等については、11名を受け入れるなど、積極的に対応しているが、 今後、途上国支援及び後継者育成を視野に入れた研究者の受入れ、若手研究者の育成を 考慮する必要がある。  研究協力については、「労働衛生重点研究推進協議会」の開催、「アジア労働衛生研 究センター会議」の開催、「21世紀の公衆衛生と産業保健に関する中国・日本国際シン ポジウム」の開催等、国内並びにアジア地域における労働衛生関係機関等との協力が着 実に進んでいる。今後、プロジェクト研究への外部研究者の一層の参画や、学会でのイ ニシアティブなどについて期待したい。  (3)財務内容の改善等について  運営費交付金以外の収入の確保については、技術指導、委員派遣、パンフレットの有 償配布等の活動を通じて自己収入の確保に努めているが、受託研究収入や科学研究費補 助金等競争的資金の獲得に一層努力を行うことが求められる。また、研究施設・設備の 利用に関して、外部機関との共同利用や貸与を促進する姿勢が認められるが、より効率 的な施設等の利用に向けて一層の努力が求められる。さらに、経費の節減についても一 層の努力が求められる。人事の計画に関しては、中期目標期間の早期に目標を達成して いる。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいま御報告をいただきました3法人の総合的評価書(案)につきまし て、御意見等がございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。何かご ざいますでしょうか。 ○清水委員  産医研さんの方で確認させていただきたいと思います。2ページの下から5行目で、 先ほど研究費収入の推移のところで、間接費しか記載されていなかったということでし たので、総額について推移が把握できないままここを書いてしまっているのですが、昨 年より減少したということを書いているのですが、これは間違いございませんでしょう か。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  外部資金につきましては、昨年度よりは減少しております。金額としては、科研費は 平成15年度が5,550万に対して平成16年度が5,330万でございまして、微減という状況で ございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。ほかに何か御意見はございますでしょうか……。よろしい でしょうか。  それでは、修正意見がないようでございますので、平成16年度の業務実績に関する評 価結果として、各法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えすると ともに、これを公表させていただきたいと思います。  また、各評価書につきましては、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付さ れておりますが、きょう、評定の確定を行っていただいたことにより、SないしDの評 定が変更になった場合、また、コメントが修正、追加等がされた場合は、これらを反映 した評価シートの集約版を添付いただきますので、御承知おきいただきますようお願い いたします。  なお、この評定の変更のほか、万一、誤字とか脱字、事実誤認などによる修正が必要 となりました場合の対応については、私に御一任いただきたいと思いますが、以上のよ うな取り扱いでよろしゅうございますでしょうか……。それでは、そのような形で進め させていただきたいと思います。ありがとうございました。  では次に、財務諸表に関する意見案の審議に入らせていただきたいと思います。財務 諸表につきましては、当委員会の意見を聞いたうえで厚生労働大臣が承認することにな っております。それでは、財務諸表に関する意見についての御報告を清水委員からまと めてお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○清水委員  まず事務局に御確認なのですが、栄養研さんの財務諸表について修正ということで1 点、やりとりさせていただいたのですが、今の状況はいかがなっておりますでしょう か。 ○政策評価官  清水委員から御指摘がございました臨時利益に関する部分の記述につきまして、御指 摘を受けて修正をするということでございますが、修正したものはまだ当委員会にはき ておりません。財務諸表ですが、提出は厚生労働大臣宛てで所管部局に提出をしたもの でありますので、過去にも例はあるのですが、修正が必要だった場合には所管部局と手 続をとっていただくことになります。まず、そこのところはよろしいですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  私どもとしては、修正した内容については事務局にもう既にお伝えをしているつもり でございます。 ○政策評価官  大臣宛てに提出した書類の修正は済んでいるのですか、ということですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  正式な手続上のことは事務部から説明をいたします。 ○政策評価官  では続けますが、大臣宛てに提出した書類の修正については、監督の所管部局の手続 によって正式に書類は直していただく。当委員会は、大臣に提出された書類が当委員会 に回ってきて意見を求められているという状況でありますので、もともとこちらに回っ てきた書類をもとに御審査をいただいたわけでありますが、こういう修正が施されると いうことを踏まえたうえで、当委員会として本日、意見はまとめていただければよろし いかと存じます。 ○田村部会長  よろしゅうございますでしょうか。 ○清水委員  すみません、ちょっと長くなってしまったのですが、先ほど御説明しました1,900万 の臨時利益のところの注書きだったのですが、皆様方にお配りされている当初の案で は、その理由は必ずしも明確に記載されていなかったものですから、先日のヒアリング のあとに私から私案ということで訂正案を出させていただいて、それを参考に調整をは かっていただくということで御依頼いたしました。その結果、それをもとに修正してい ただくことを前提にお話しさせていただきたいと思います。  資料5−5になりますが、細かい点については冒頭、議題1のところで御説明申し上 げましたような問題点、検討点等はございますが、先ほど総合評価の中で業務の効率化 とか財務の内容に関するところで課題として正式に述べさせていただいているつもりで ございます。ですので、全体的にいいますと、この意見書(案)で記載しておりますよ うに、修正後の財務諸表について3法人とも承認申請のとおり承認することが適当であ ると考えております。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、この件につきまして御意見等がございましたら いただきたいと思いますが、いかがでしょうか……。よろしゅうございますでしょう か。  特段の修正意見は出なかったかと思いますので、平成16年度の財務諸表に関する意見 書として厚生労働大臣に提出したいと思います。なお、このあと、万が一、誤字、脱 字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応につきましては、私に御一任を いただければと思います。以上につきまして、そのような取り扱いでよろしゅうござい ますでしょうか……。ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただき たいと思います。  また、今般の意見書には「財務諸表について承認することが適当である」としており ますが、これまで財務諸表に関する意見として出たものについては当然のことですが、 当部会の意見ということで各法人とも御承知おきいただきたいと思います。ありがとう ございました。  なお、本日、御審議いただきました総合的評価と財務諸表についての意見について は、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定第3条に基づきまして、当部会の決定 が評価委員会の決定となり、法令に基づく通知先への通知、公表等の手続が行われるこ ととなります。よろしく御了解いただきたいと思います。  本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりまして熱心な御審議を賜りまし て、まことにありがとうございました。                                     (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)