05/08/08 運動所要量・運動指針の策定検討会第1回議事録            第1回運動所要量・運動指針の策定検討会          日時:平成17年8月8日(月) 10:30〜12:30          場所:厚生労働省共用第8会議室  瀬上参事官  おはようございます。定刻にはやや早いようでございますが、委員の皆様は既に全員 おそろいでございます。ただいまから、第1回運動所要量・運動指針の策定検討会を開 催させていただきたいと存じます。私は健康担当官房参事官を務めております瀬上でご ざいます。どうぞよろしくお願いいたします。しばし司会をさせていただきたいと存じ ます。  委員の皆様でございますが、本日は鈴木先生、田中先生、吉池先生のお3方の欠席の 御連絡をいただいている以外、全員おそろいということでございます。配付資料の2枚 目に委員名簿がございます。後ほど御紹介を申し上げます。  資料は、座席表に続きまして資料1〜資料13までそろっております。資料1はこの会 の設置要綱、資料2は「生活習慣病対策の総合的な推進」についての説明資料、資料3 が「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会におけるこれまでの議論の整理」という ことでございます。この部会はこの1年間、精力的に議論を重ねてきております。その 大体の流れがこれでおわかりいただけるかと存じます。資料4につきましては、「「健 康日本21」の概要」でございます。資料5は、「「健康日本21」における目標値に対す る暫定直近実績値等(抜粋)」でございます。資料6が、暫定直近実績値に関するデー タ分析の資料で、特に身体活動と運動に関して、この検討会のために用意したものでご ざいます。資料7は、健康増進施設の大臣認定制度の説明でございます。資料8は、運 動指導者に関する概要が書いてございます。資料9は、平成元年に出されております運 動所要量策定検討会の報告書でございます。資料10につきましては、「「健康づくりの ための運動指針」について」、同じくその時期のものでございます。資料11は、「生涯 を通じた健康づくりのための身体活動のあり方検討会報告書」、平成9年に出された報 告書でございます。資料12は、この会議で運動所要量・運動指針に関する御検討をいた だくに当たりましての、策定方針についての私どもとしての考え方でございます。資料 13は、検討会の今後のスケジュールで、検討会にあわせてワーキンググループあるいは 小委員会を開かせていただくことについて説明をしております。  それでは、開会に当たりまして、田中健康局長よりごあいさつを申し上げたいと存じ ます。  田中健康局長  おはようございます。健康局長の田中でございます。今日は、運動所要量・運動指針 の策定検討会、第1回目でございます。開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げ ます。  本日は大変暑い中、また御多忙の中、この委員会に参集いただきまして深く御礼を申 し上げます。  さて、生活習慣病対策でございますが、2000年から「健康日本21」ということで、9 本の柱、70項目にわたる指標を設定しまして対策を進めてまいりました。今年、中間評 価の年ということで、御承知のとおり健康増進部会でその進捗状況について評価をして いるという状態でございます。中を見てみますと、特に成績が芳しくないのがどうも運 動の部分でございまして、だからといってこの会を始めたわけではないのですが、どう も運動というのは目標値を掲げて旗を振っても、必ずしもうまくいっていないというの が少なくとも現実としてあると。では、どうしたらいいのか、何が問題なのか、という ようなことを私どもはいろいろ考えたところでございます。  その中の一つとして、やはり運動所要量あるいは運動指針というのが少しアウト・オ ブ・デートというか、運動所要量については平成元年に決められたわけでございます が、その後、科学の進歩に伴いまして、もう少し見直しをするということがあってもい いのではないだろうか。あるいは私どもの日常生活、日常環境も大きく変わってきてい るわけでございまして、そういうことを踏まえて、運動指針というのもやはり変えてい いのではないだろうかというような議論がされたところでございます。  ぜひ、このかなり大きな委員会でございますが、先生方の御経験、知識をもとにして 御議論いただきまして、立派な見直し作業ができることを御期待申し上げたいと思って いるところでございます。  資料13のところには一応のスケジュールということで、来年早々には何とか結論を出 していただけたらなというようなこともありますが、これは非常に大きな仕事でござい ますので、その辺のところも含めて、先生方にこれから一体どういうことをやるべきな のかというようなことを、いろいろとお話しいただけたらと考えているところでござい ます。  簡単ですが、ごあいさつにかえさせていただきます。  瀬上参事官  着座で失礼いたします。本検討会の委員の御紹介を私からさせていただきます。空席 であります座長席の左から、五十音順に並んでいただいておりますので、そのお席の順 に御紹介申し上げます。  日本ウオーキング協会から泉様です。  国立長寿医療センターの太田様です。  日本女子体育大学の加賀谷様です。  筑波大学の久野様です。  東京大学の小林様です。  日本フィットネス産業協会の斎藤様です。  鹿屋体育大学の芝山様です。  東京医科大学の下光様です。  名簿では、今日御出席いただいておりませんが、神奈川県立保健福祉大学の鈴木様で す。  NPO法人JWSの相馬様です。  御欠席ですが、福岡大学の田中様です。  左へ行きまして、前方からですが、国立健康・栄養研究所の田畑様です。  愛知県健康づくり振興事業団の富永様です。  慶應大学の戸山様です。  信州大学の能勢様です。  ハートフィールド・アソシエイツの信藤様です。  習志野市の塙様です。  早稲田大学の樋口様です。  日本医師会の藤村様です。  財団法人健康・体力づくり事業財団の増田様です。  御欠席ですが、国立健康・栄養研究所から吉池様がおられます。  以上、委員の御紹介を簡単にさせていただきました。なお、本検討会では設置要綱に ありますように、座長を1名置いていただくこととしております。初めてお集まりのと ころで御推薦いただくのも大変かとは存じますが、どなたか御推薦いただける方はおら れますか。田畑委員、お願いします。  田畑委員  厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の委員であるとともに、現在行われており ます「健康日本21」中間評価の「作業チーム」の座長であります富永委員がいいと思い ます。  瀬上参事官  富永委員の御推薦をいただきましたが、いかがでございましょうか。                  (拍手で承認)  瀬上参事官  ありがとうございます。御異論ございませんようでありますので、富永委員に座長を お願いしたいと思います。恐縮ですが、中央の座長席に御移動願います。  それでは、富永委員から一言お言葉をいただけますでしょうか。  富永座長  ただいま御指名いただきました富永でございます。私は特に運動などの専門ではござ いませんが、今、田畑委員から御紹介いただきましたような立場で、座長を務めさせて いただきます。  先ほど来、瀬上参事官、田中局長から運動の重要性、これにもっと力を入れないと、 ということで縷々御説明がありまして、そのためにこの検討会が設置されたものと思い ます。大変重要な検討会だと思いますので、委員の皆様方、よろしく御協力いただきま すようにお願い申し上げます。  瀬上参事官  どうもありがとうございました。それでは、以後の検討会の運営につきましては、富 永座長にお願いを申し上げたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  富永座長  それでは、議事に入らせていただきますが、まず議事次第をごらんいただきますと、 本日は議題としまして、検討会の設置趣旨、これは入り口で大変重要な点でございます が、あわせて2番目に自由討議とございます。これは第1回目の検討会でございます し、検討会の設置趣旨、あるいはこれまでの運動所要量・運動指針などの御説明、今後 どうするかということのあらましをお聞きした上で、各委員の皆様方から忌憚のない御 意見をいただきたいと思っております。うまくこの会が進行しますと、最後に多分30分 ぐらいは時間ができるのではないかと思いますので、説明などもできるだけ簡潔にお願 いしたいと思います。  それではまず、議題(1)の検討会の設置趣旨について、御説明いただきたいと思い ます。  中島生活習慣病対策室長  生活習慣病対策室長の中島でございます。私の方からは、資料1〜3までを使いまし て、本検討会の設置趣旨等について説明を申し上げたいと思っております。  順番が前後いたしますが、資料2をごらんいただけますでしょうか。先ほど私どもの 局長からのあいさつにもございましたように、生活習慣病対策につきましては昨年の10 月以来、地域保健健康増進栄養部会の方で御検討もいただいているところでございます が、まず資料2では生活習慣病対策の大きな方向性と、その中で運動施策といったもの がどういう位置づけなり、今後どういう方向で展開していくべきなのかということをま とめたペーパーを用意させていただきました。その中で、では具体的に地域保健健康増 進栄養部会ではどのようなサジェスチョン、御提言をいただいているのかということが 資料3でございまして、それらを踏まえまして資料1ということで、本検討会の設置趣 旨という形で説明を申し上げたいと思っております。  「生活習慣病対策の総合的な推進」、資料2でございますが、3部構成になっており ます。一つが「「健康日本21」の進捗状況について」ということで現状、それから8ペ ージからがパートIIということで、「生活習慣病対策の基本的考え方について」、そし て15ページからが「運動施策の充実強化について」という形でございます。  まず、パートIの「健康日本21」の進捗状況でございますが、これは後ほど私どもの 渋谷の方から具体的に詳細を説明申し上げます。  ページをおめくりいただきまして2ページでございます。生活習慣病の最たる原因と される肥満の割合について、特に男性で増加する一方であるというデータが示されてお ります。運動については5ページでございますが、日常生活における歩数の増加という 点では、男性の場合は1日9,200歩を歩くようにということを2010年の目標値にいたし ましたが、逆に減少傾向にある。日常的な身体活動の量が減っていることを表している 一つのデータであろうと。  6ページでございます。運動習慣者の増加ということについては、6ページの図では 少しずつ増えているような感じがするわけでございます。これについては、実は60歳以 上の、いわゆる高齢者の方の運動習慣者の割合が増えていることによるもので、その結 果トータルとして運動習慣者の数は上がっているということでございます。20歳代から 50歳代の男女とも、運動習慣があると答えておられる方の数は少ないということになっ ているわけでございます。  そうしたことから、7ページでございます。肥満、それから説明を飛ばしましたが食 生活、そして運動不足というところから、典型的な生活習慣病であります糖尿病につい ては、糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性が否定できない人を合わせると、平成 14年で1,620万人にも上るのではないか。平成9年と比べても、250万人の増加の傾向が あるということであります。  次のページ、もう1枚さらにめくっていただいて9ページでございます。生活習慣病 の現状というのは、右の欄に書いてありますように、糖尿病、高血圧症、高脂血症、そ してそれがさらに進んでいきますと脳卒中、心筋梗塞ということになるわけですが、こ うした生活習慣病をお持ちの方の人口といったものは、今後増えていかざるを得ないの かなということがあります。ここをいかに抑制していくかということが課題です。右の 図の上ですが、肥満の方を調べてみますと、肥満だけで済んでいるという方は2割であ りまして、肥満の方の8割は何らかの疾患を有しておられる。それが1つなのか、2つ なのか、3つなのかということはございますが、典型的な内臓肥満というところで考え なければいけないわけで、そういう傾向があるわけでございます。  10ページでございます。いわゆる生活習慣病というのは、一番上ですが、食生活、運 動不足、喫煙などで起こる病気ということで、後ほど説明しますが、メタボリックシン ドロームとしてとらえるべきではないかということを、私どもは考えてございます。そ れが進行していくことによって、脳卒中や虚血性心疾患をもたらすということでござい ます。がんにつきましては、生活習慣病の一つとして分類されておりますが、これにつ いては生活習慣を変えていただくことよりも、「早期発見」「早期治療」が課題でござ いますので、若干メタボリックシンドローム型の病気とは施策の対応方向が変わるのか なということでございます。  それで、下のところでございますが、私どもが特に重点を置いてやっていかなければ ならないと考えておりますのが、生活習慣病の発生機序を4つの箱に、進行段階に応じ て整理をさせていただきましたが、まずはやはり不健康な生活習慣を是正していただく という、いわゆるポピュレーション・アプローチ的な施策の充実が必要だろうと。健康 な人が生活習慣病予備群、さらには生活習慣病にならないためには、栄養、運動、禁煙 という形でのことが大切だということです。それからもう一つ大切なのはここの境界領 域期、予備群を早期発見して、右の箱、明らかな病気にならないように食いとめること が大変重要かなと思っております。ここは、まさに健診でこうした兆候のある方、危な い、黄色信号の方を効果的、効率的にピックアップして、徹底した保健指導、事後指導 を展開していくということで、生活習慣病にならないという、ここで食い止めるんだと いうことが重要かなと思っております。こうしたここの生活習慣病予備群を早期に発見 し、的確な事後指導につなげていくことが大変重要かなと思っております。その中で、 栄養、運動、禁煙指導は大変重要になってくるということでございます。  11ページでございます。こうした生活習慣病につきましては、いわゆるメタボリック シンドロームとしてとらえるべきであると。高血糖、高血圧、高脂血、内臓肥満といっ たことは、実はばらばらなものではないんだと。代謝異常が引き起こすそれぞれ一つの 現象面なので、それぞれ高血糖、高血圧、高脂血等々に対する個別の薬剤の投与だけで は、必ずしもメタボリックシンドロームを是正することにはならないわけであります。 「氷山のひとつの山を削る」にすぎないわけでありまして、根本は運動習慣を徹底して いただくということと、食生活を改善していただくということでしかないわけでありま す。そのことによって、消費エネルギーを増大、摂取エネルギーを減少させる。心身機 能の活性化ということで、代謝を活性化させ、内臓脂肪を減少させていくということ。 そのことによって、適正な血糖・血圧・血中脂質に持っていく。それが一人一人にとっ て達成感をもたらし、さらには快適さを実感していくということであります。すなわ ち、個々のクスリで、1つの山だけ削っても、他の疾患は改善されていない。氷山全体 を縮小させていく。そういう意味では、メタボリックシンドロームといったものに着目 したポピュレーション・アプローチを展開しなければいけませんし、健診、事後指導の あり方も、メタボリックシンドロームの発生機序に対応した形で、中身を見直していく 必要があると思っておるわけでございます。  12ページでございます。そういう中で、実は座長の後ろにポスターも張らせていただ いていますが、こうした考え方。地域保健健康増進栄養部会でも御審議いただき、御了 承いただいたわけでございますが、やはり今後の生活習慣病のスローガンとしては、 「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」であると。そして、よい生活習 慣は気持ちがいいんだということを、一人でも多くの国民の方に実感していただくこと が大変重要かなということで、こうした「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後に クスリ」、クスリは最後なんだよということを、メッセージとして発信しておるという ところでございます。この「1に運動 2に食事」、この順番につきましては、若干部 会の方でも議論がございました。富永座長及び加賀谷委員には健康増進栄養部会の委員 にもなっていただいておりまして、なぜ栄養が2番目にきたの、今まで栄養が一番だっ たんじゃないの、という話もございますが、それは後ほど説明をいたします。  そういう観点から12ページの下、施策の方向性としては、健康づくりの国民運動化を 図るということと、予備群に対する積極的な支援をしていくという意味では、網羅的、 体系的な保健サービスの推進をしていくことが大変重要かなと思っております。  13ページでございます。健康づくりの国民運動化という一つの大きな施策の柱につい ては、黄色の箱、「全ての国民に、わかりやすく、正しい情報が、繰り返し提供される 」ということが重要。それから下の緑の欄、身近で、無理なく、継続して取り組めるサ ービスの提供体制を整備していくことが、大変重要かなと思ってございます。  14ページでございます。また、予備群の発見、そして確実な事後指導という観点で は、医療保険者、市町村、事業主、都道府県、国等がそれぞれの役割分担といったもの を再規定し、それぞれの役割を確実に果たしていく。役割分担を明確にし、連携をして いくシステムを組んでいくことが重要ではないかということが、ここに記されていると ころでございます。その際には、当然医療機関との連携を図りながら、また下の方では 民間事業者の方々の創意工夫といったものも、積極的に活用させていただくということ がポイントかなと思ってございます。  15ページでございます。こうした大きな流れの中で、運動施策といったものはどうい う方向に行くべきかということでございます。  16ページでございます。16ページの説明に入ります前に、実は運動と栄養の順番をめ ぐりまして健康増進栄養部会でも若干御議論がございましたが、先ほどの局長のあいさ つにもございましたように、運動面は必ずしも「健康日本21」の中間評価が芳しくない 傾向にあるということと、もう一つはやはり私ども行政から見まして、運動施策といっ たものが栄養施策と比べて、施策の取り組みなり体系化が若干遅れている面もあるかな と思っております。  栄養に関しましては、管理栄養士、栄養士という専門職が位置づけられています。そ れから、保健所、市町村保健センターでは、栄養指導、栄養相談等の窓口が施策のサー ビスとして位置づけられて、現実に提供されている。それから、エビデンスについては 食事摂取基準というものがございまして、これは5年に1度、最新の科学的知見を踏ま えて見直されて、栄養所要量については昨年の12月に見直した。それから、食生活指針 というものも作り、さらには食事バランスガイド、いわゆるフードガイドといったもの も、先般農林水産省と共同で作らせていただいたという、いわゆるマンパワー、専門職 の問題、サービスの提供体制の問題、エビデンス、プログラム、ツールといった点、そ うした点で栄養施策といったものは、効果はじわりしわりとしか上がっていないという 意見もありますが、形としては整っている。  それに対して、運動面では運動の専門家の話、そしてエビデンス、プログラムという 点でも、エビデンスは平成元年に作ったまま、運動指針というメッセージ、ツールにつ いても平成5年に作ったままということになっております。そういう観点から、運動施 策により力を入れていくという自戒の意味も含めて、「1に運動 2に食事」という形 で順番を規定させていただきました。しかし、現実には「1に運動 2に食事」、この 重要性というのはほぼ変わりがないわけでありまして、後ほど説明しますが、運動と栄 養は一体として指導がなされないといけないわけで、そこがばらばらになされていたの では効果は大いに減殺されるということでございます。  16ページ、そういう観点から、「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ 」でございまして、基本的にはまず運動習慣の定着に向けた国民運動を展開していく必 要がある。それから、健診後のハイリスク者に対して、栄養指導とあわせた運動指導を 徹底していく必要があるだろうということでございます。  そういう観点から、今後、運動施策を大きく3つの柱で進めていきたいなと思ってい ます。1つ目が17ページ、「運動プログラムの提供」、2つ目が18ページ、「運動の専 門家の養成・定着」、3つ目が19ページ、「健康づくりの国民運動化」、こういう方向 で施策を展開できればと思っております。  まず、「運動プログラムの提供」ということでございまして、エビデンスに基づき個 人の特性に対応した運動プログラムを開発していく。これはまさに国の役割ではないか と思っております。そういう観点から、本検討会では運動所要量及び運動指針の見直し をお願いできればと思っておりますし、ここでの御成果を踏まえて、本年度後半には糖 尿病予防のための運動・栄養指導プログラム、これはハイリスク者に対する栄養士なり 健康運動指導士等の運動の専門家が活用していただく事後指導マニュアルでございます が、そういうものも作っていきたいと思ってございます。  18ページ、「運動の専門家の養成・定着」でございます。これまでは、いわゆる運動 といえば健康な人がより健康になる、健康な人がストレスを解消していくということで したが、今後はやはり生活習慣病予備群、健診において黄色信号だと言われた人たちに 対する運動指導のウエートが高まってくるだろうと。そういう観点からは、安全で効果 的な運動指導を担うことができる資質を有し、かつそうした人材を生み出す側、さらに はそうした人材を受け入れる側、双方にとって魅力のある専門性を有した人材像といっ た、まさに専門家といったものが必要なのではないかと。そういう意味では、体育系の 大学に健康運動指導士養成校になっていただくことによって、今申し上げたような資質 を有した人材の輩出に期待できないかという問題がございますし、健康運動指導士の質 の向上という観点からは、養成カリキュラムをどうしていくかという議論がございま す。そして、そうした専門家を受け入れていただくフィットネス産業界の側における今 後の事業展開についても、いろいろお考えいただく余地があるのかなと、こう思ってい るところです。  この(2)につきましては、既に健康運動指導士の人材養成を担当していただきま す、本日委員にもなっていただいている増田委員のところの健康・体力づくり事業財団 の方で、別途検討会を置かせていただいて、この運動の専門家の養成・定着については 御審議をいただいているところでございます。  19ページ、「健康づくりの国民運動化」ということで、国民の意識啓発と運動に親し む環境の整備ということでございます。1つ目が、最も手軽な運動であるウオーキング の普及促進を図っていく必要がある。本日、副会長の泉先生にもお見えいただいており ますが、ウオーキング協会はこれまで環境省の所管でございましたが、現在厚生労働省 との共管になるべく最終調整もさせていただいて、今後自然保護という観点と並んで健 康づくりという観点から、ウオーキングに国を挙げて取り組んでいくという方向の第一 歩かなと思っております。それから、身近で、無理なく、継続して、自らに合った運動 に取り組める場を整備していく。これはまさにフィットネスクラブ等々の役割も大きく なっていくのかなと。それから、これも健康・体力づくり事業財団でお世話いただいて いる健康づくりに取り組む全国連絡協議会の活動を一層活性化させていただいて、国民 に対する普及啓発に汗をかいていただくことも必要かなと思っておるところでございま す。こういう3つの方向性に従って、今後運動施策は展開していきたいなと思ってござ います。  資料3でございます。こうしたことも念頭に、健康づくりに関しまして御議論いただ いている厚生科学審議会の部会では、どのような意見が出ているかということを簡単に 紹介いたします。資料3の4ページでございます。「身体活動・運動」の箱の左から3 つ目でございます。ピックアップをして申し上げますと、一つが上から2つ目の黒ポツ ですが、単に「歩数を増やす」というだけでなく、ライフスタイルに応じた具体的な対 応方法が重要なのではないかということ。それからその下、「動機付け」の手法という ことも大変重要なのではないか。それから、先ほど申し上げましたように、栄養と運動 の連携が重要ではないかという話。  5ページでございます。一番上、民間の運動施設の有効活用が重要ではないか。それ から、運動指導の専門家をしっかり位置づけていくことが必要ではないか。大まかに整 理をすると、こういった御意見が出ておるところでございます。  こうした御意見も踏まえまして、今般、本委員会を設置させていただいたということ でございまして、資料1に戻らせていただきます。「「運動所要量・運動指針の策定検 討会」設置要綱」ということでございまして、1の目的につきましては、これまで縷々 説明したことが書いてございます。2の組織でございますが、構成メンバーは専門家等 で構成し、座長を1名置く。そして(2)、これは後ほど説明をいたしますが、ワーキ ンググループ等を設置して、検討を進めていくことが効率的ではないかということで す。具体的検討事項といたしましては、最新の科学的知見を踏まえた運動所要量の見直 し。そして、それを踏まえた健康づくりのための運動指針の見直し。そして、平成5年 につくった運動所要量・運動指針の反省も含めまして、運動指針をいかに普及啓発して いくか。それから、行政のみならず教育、さらには運動指導の現場でどのような具体的 な活用方策があるのか、といったことまであわせて御検討いただければ、大変ありがた いなと思っております。そういう観点から検討事項は所要量・指針、それぞれを見直 し、その活用方策についてまで本検討会では御検討いただければと思っているところで ございます。  ちょっと長くなりましたが、私の方からは以上でございます。  富永座長  ありがとうございました。ここで御質問をいただかないようにしまして、後で一括し て御質問、御意見をいただきまして、先に関連資料などの説明に進ませていただきま す。それでは引き続きまして、運動・身体活動の状況、現状について事務局から御報告 をお願いします。  渋谷運動指導専門官  生活習慣病対策室の渋谷でございます。私の方からは、身体活動・運動の状況につい て御説明させていただきます。最初に、「健康日本21」におけます身体活動・運動分野 のデータ分析につきまして、お手元の資料4〜6についての御説明をさせていただきま す。  まず資料4でございます。「健康日本21」の概要を簡単に御説明させていただきたい と思います。「健康日本21」でございますが、21世紀の我が国を、すべての国民が健や かで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸 及び生活の質の向上を実現するために、第3次国民健康づくりとして策定されました。 平成12年より2010年度までを期間としまして、現在推進をしているところでございま す。「健康日本21」の基本的な方向としましては、ここにございますように、一次予防 の重視、健康づくり支援のための環境整備、目標の設定と評価、多様な実施主体による 連携のとれた効果的な運動の推進、ということとしております。  「健康日本21」の一つの大きな特徴でございます目標値の設定でございますが、栄養 ・食生活、身体活動・運動といった生活習慣の分野、それから糖尿病、歯の健康といっ た生活習慣病の分野、あわせて9分野にわたり70項目の目標を設定しているところでご ざいます。目標としましては、下の表にありますように、生活習慣の見直しといったよ うな目標項目を掲げまして、それによりまして危険因子の減少、または健診等の充実と いった目標項目、そしてさらには疾病等の減少といった目標項目を立てまして、最終的 に健康寿命の延伸と生活の質の向上を目指した形の構造となっております。  なお、「健康日本21」は2005年度を目途に中間評価を行うこととしておりまして、本 検討会の富永委員が座長を務めておられます「健康日本21」中間評価作業チームにおい て、現在「健康日本21」の中間評価を実施しまして、厚生科学審議会地域保健健康増進 栄養部会で御審議をいただいているところでございます。  次に資料5でございます。「健康日本21」における目標値は、具体的にどういうもの があるかというところを示したものでございます。今回は運動所要量・運動指針の策定 検討会ということでございまして、身体活動・運動分野のところを抜粋しております。 身体活動・運動分野でございますが、6つの項目についての目標を設定しております。 目標項目としましては、大きく成人についての目標項目と高齢者に対する目標項目で、 成人ですと意識的に運動を心がけている人の増加、日常生活における歩数の増加、運動 習慣者の増加、そして高齢者は外出について積極的な態度をもつ人の増加、何らかの地 域活動を実施している者の増加、日常生活における歩数の増加、といった目標を掲げて おります。ここには策定時のベースライン値と目標値、そして暫定直近実績値等とござ いまして、一番最新のデータを掲載しております。  次のページが、この中の一番特徴的な目標項目における暫定直近実績値等のデータを グラフで示したものです。先ほど中島室長からも御説明しましたように、2ページ目の 歩数ですと、平成15年国民健康・栄養調査では、男女とも策定時のベースライン値と目 標値に比べますと、増加するというよりはむしろ減少しているというような状況にござ います。  次の3ページ目でございますが、運動習慣者の割合に関しましては、男性は若干増加 しておりますが、女性は策定時よりも若干減少している、大きな増加は見られていない というような現状があります。  次に、「健康日本21」のデータについて、もう少し詳しくデータ分析をしていただい たものが資料6、「「健康日本21」暫定直近実績値に係るデータ分析」になっておりま す。これは、本検討会の下光委員、田畑委員におかれましては、「健康日本21」中間評 価作業チームの委員になっていただいており、身体活動・運動分野の暫定直近実績値の データ分析を行った結果がこれになります。なお、このデータ分析につきましては、昨 年の10〜11月において行いましたために、暫定直近実績値が平成14年の国民栄養調査の データとなっておりますが、今後さらにデータを更新しまして、中間評価におけるデー タ分析としていくこととしております。  それでは、1ページおめくりいただきまして、平成14年、昨年の10〜11月の段階で は、身体活動・運動分野では、日常生活における歩数の増加と運動習慣者の増加に関す るデータのみが算出されておりましたので、この2項目についてデータ分析をしていた だきました。こちらが大きな概要になっております。  次の2ページ目をごらんください。こちらが詳しいデータ分析でございます。2〜5 ページまでがデータ分析になっておりまして、6ページ以降がそれぞれ関係する図表に なっています。では、最初に日常生活における歩数の増加について御説明させていただ きます。データ分析ですが、下線部が主な要約点といいますか、重要な項目になってお ります。まず、策定時のベースライン値と暫定直近実績値のデータの比較はどうである かということですが、基本的にデータの比較は可能であるということです。データの経 年変化を踏まえた分析ではどうなっているかと申し上げますと、平成9年の基準値に対 しまして、実数で男性では449歩、女性は142歩、また70歳以上の男性におきましても649 歩、女性では276歩、それぞれ減少しているといった現状でございます。  6ページ、7ページのところを見ていただきますと、折れ線グラフで経年変化を示し ております。こちらの方を見ますと、平成4年からデータがございますが、平成9〜10 年にピークを迎えて、その後減少傾向にあるといったことが読み取れます。詳細なデー タ解析で、これを性・年齢階級別に見たときにどういうものが言えるのかといったとこ ろでございますが、特に注目するところとしましては、男性の50歳代で約1,100歩と非 常に大きな減少を示している。また、70歳以上でも減少を示している。そして女性で は、20歳代と60歳代では増加しているのですが、ほかの年齢階級層では変化が見られな いといったようなデータ解析が得られております。  次のページで、こうしたデータ分析に基づいた今後の課題及び対策の抽出としまして は、先ほども申し上げましたように、50歳代男性において歩数の減少が認められている ということから、この年齢階層に対する地域・職域における対策の推進が必要であると 考えられております。また、70歳以上の男性においても歩数は減少し、女性においても 横ばいであることから、生活機能低下の防止の観点からも、地域における高年齢層に対 する対策も今後必要ではないか、といった意見が出されております。  次に4ページ、運動習慣者の増加でございます。ベースライン値と暫定直近実績値の データの比較ですが、こちらに関しても比較は可能であるということです。8ページ、 9ページが運動習慣者のデータの推移を折れ線グラフで示したものでございますが、経 年変化のトレンドを見ますと、平成9年から増加傾向にあるということが言えます。詳 細なデータ解析ですが、性・年齢階級別に見ますと、男性では20歳代から50歳代では変 化がありませんが、60歳代では増加、一方70歳以上でも変化は見られていない。女性で は、20歳代から50歳代までは変化が見られないが、60歳代、70歳以上で運動習慣者の割 合が増加しているといった傾向が見られております。つまり、高年齢層に運動習慣を有 するものが増加しているのですが、若年齢層では横ばいであるといった現状にあるとい うことです。  次のページでございます。こうしたデータ分析に基づく今後の課題及び対策の抽出と しまして、60歳代以上における運動習慣者の割合は増加しているのですが、その他の年 齢階級層では増加傾向はなく、地域・職域における対策が必要ではないか。それから、 20歳代女性の運動習慣者の割合は他の年齢階層と比較しても低く、こういった20歳代女 性に関する対策も必要ではないか、というような問題点が挙げられております。  以上、私の方から「健康日本21」に関しましての状況を御説明させていただきまし た。続きまして、厚生労働省の主な身体活動・運動施策であります健康増進施設、それ から運動指導者の養成につきまして、生活習慣病対策室長補佐の成田の方から説明させ ていただきます。  成田室長補佐  それでは、早速ですが資料7をごらん願います。厚生労働省では、健康づくりの推進 に適切な内容の施設を、優良施設として認定をいたしまして、その普及を図るため、昭 和63年に健康増進施設認定規程を告示いたしました。フィットネスクラブ等に代表され る運動型施設、クアハウス等に代表される温泉利用型施設、そして平成15年には温泉施 設等による温泉利用プログラム型施設を3番目の類型として設け、各施設からの申請に 基づきまして、補強運動が安全に行える設備の配置、体力測定等の設備の配置、それか ら指導者の配置、医療機関との適切な連携等の要件を満たす施設を、健康増進施設とし て認定しているところでございます。  それぞれの施設には運動プログラムの指導、あるいは健康増進のための温泉利用等を 指導する人材としまして、運動型施設には健康運動指導士等の運動指導者、また温泉利 用型施設には健康運動指導士等と温泉利用指導者、それから温泉利用プログラム型施設 には温泉入浴指導員を配置しているところでございます。ちなみに現在、温泉利用指導 者は342名、また温泉入浴指導員は1,877名が養成されているところでございます。  なお、温泉利用プログラム型につきましては、本年7月、第1弾としまして3施設、 いずれも山梨県内の施設でございますが、これを認定いたしました。このほか8施設を 現在審査中でございまして、そのほかまだ12施設が調査中となっているところでござい ます。  また、運動型及び温泉利用型施設につきましては、健康運動指導士等の配置、それか ら健康スポーツ医等との連携等を条件としまして、指定運動療法施設として認定をし、 利用料が1回5,000円以下であることを条件に、交通費を含め、医療費控除の対象とし ているところでございます。  続きまして、資料8をごらん願います。運動を健康づくりに役立てるためには、何よ りも適切な運動の実践が必要なことから、昭和63年1月、健康づくりのための運動指導 者の知識及び技能に係る審査及び証明の事業の認定に関する規程を告示いたしました。 この規程に基づきまして、財団法人健康・体力づくり事業財団による健康運動指導士及 び健康運動実践指導者の養成事業を、奨励すべき事業として認定いたしまして、また平 成13年以降は省令に基づく事業としまして、引き続き認定しているところでございま す。  この健康運動指導士は医学的な基礎知識、運動生理学等の知識を持って、安全かつ効 果的な運動プログラムの作成と指導、また健康運動実践指導者はこの運動プログラムに 基づきまして、ジョギング、エアロビックエクササイズ等の実践指導の担い手として、 養成をしているところでございます。平成16年度末現在で健康運動指導士は10,304人、 健康運動実践指導者は18,124人となっているところでございます。その職場を見ます と、フィットネスクラブが最も多く、次いで保健所等、次に診療所・病院等と続いてい るところでございます。  なお、行政改革の一環といたしまして、国によるこの養成事業の認定制度は今年度を もって廃止となりますが、当室におきましては本年1〜2月にかけまして、この健康運 動指導士等の今後について、関係団体やフィットネス業界の主要企業から意見聴取を行 いまして、高齢化に伴う対象者の変化等に適切に対応できる指導者の養成、あるいは資 格を生かすことのできる環境づくり、あるいは大学等による養成講習会の実施等の御意 見、御提案をちょうだいいたしました。こうしたことから、健康づくり運動の指導者と して、一層の資質向上、普及定着を図るため、先ほど中島室長からも御説明申し上げま したが、健康・体力づくり事業財団と協議をいたしまして、先月28日、同財団を事務局 としまして、健康づくりのための運動指導者普及定着方策検討委員会を設置いたしまし た。この委員会には、当委員会の斎藤委員、田畑委員、樋口委員にも御参画をいただい ているところでございます。今後養成カリキュラムの改訂ですとか、あるいは健康運動 指導士の養成校制度の創設、あるいは活動の場の拡大等をテーマとして検討が進められ る予定でございます。  以上で説明を終えさせていただきます。  富永座長  ありがとうございました。大変たくさんの資料を御説明いただきましたが、最初に中 島室長から今回設けられた運動所要量・運動指針の策定検討会の位置づけ、ねらいなど を御説明いただきまして、引き続き渋谷専門官から主として「健康日本21」、特に運動 ・身体活動面でどういう現状かという御報告をいただきました。最後に資料7、8にご ざいます健康増進施設関係と運動指導者関係について、現状を御説明いただきました。  ここで一度各委員から特に御質問、あるいは御意見をお受けしたいと思います。一般 的なことは、また最後に自由討議の時間をとっておりますのでそのときにお願いしまし て、とりあえず今事務局から御説明いただきました点について、どうぞ御質問などがご ざいましたら、御意見でも結構ですございますが、御遠慮なく。  よろしいですか。それでは、最後に自由討議の時間をたくさんとっておりまして、そ のときにまた振り返って御質問、御意見をいただいても結構でございますので、次に移 らせていただきます。次は、お手元にたくさんの資料がございますが、「運動所要量」 「運動指針」及び「生涯を通じた身体活動のあり方」、それぞれ平成元年、平成5年、 平成9年に策定されておりますので、これらについて事務局から御説明いただきます。  中野室長補佐  生活習慣病対策室の中野でございます。よろしくお願いいたします。座って御説明を させていただきます。  それでは、各委員におかれましては資料9〜11まで既に配付させていただいておりま すので、事前に内容を読んでいただいて、御了解いただいているということではござい ますが、自由討議の前に、資料12でその策定の方向性みたいなものを御提示させていた だきましたので、それに関連するところがございますので、特に資料9に関しまして所 要量のところを少し丁寧目に御説明させていただいて、お時間もございませんので、ご く簡単にさせていただきたいと思います。  まず資料9をごらんください。1ページ目の1.から書かれておりますが、運動所要 量というのは1986年から1989年、3年間をかけまして、最後のページには委員の名簿が ございますが、今回の委員でもございます加賀谷委員も御参画いただいておりますが、 こういった8名の委員で御審議をいただきまして報告書が作成されております。  最初に戻っていただきまして、2.に書かれておりますとおり、「運動所要量」とい いますのは、健康を維持するために望ましい運動量の目安というような形で、前回の所 要に関しましては考えられておりますが、6.におかれまして、疾病を持っている者や 成人病の危険因子を持っている者は、医師の指導の下に実際に行ってもらいたいという ような注書きを書いておりますとおり、対象はあくまでも健康をターゲットに設定さ れ、審議されているというふうに理解できるかと思います。  次のページからは所要量の検討会の報告書の内容でございます。3ページ目、下の欄 に1)と書いてございますが、そこでは策定に当たっての考え方ということで、健康と 体力に関する考え方について書かれております。そこでは、その次のページの最初の行 でございますが、健康の維持には一定水準の体力が必要であるということです。その体 力とは何かということで、2)のところでございますが、体力の構成要素には幾つかご ざいますけれども、2行目から、当時のことでございますが、疫学的調査や臨床的研究 によれば、全身持久力が一定水準以上の者には肥満症、高血圧症、高脂血症、虚血性心 疾患の罹患率が低いことが明らかになりつつある。したがって、全身持久力をある水準 以上に維持している者では、成人病におかされる危険性が少ないというような形で考え られておりまして、そういったことから全身持久力というのをターゲットに絞ったとい うことです。  そういった全身持久力でございますが、では全身持久力の評価をどうするかというこ とで、3)に全身持久力の評価という観点から、その評価は最大酸素摂取量によること が適当であるということで、最大酸素摂取量に代表して設定をしていくということで す。4)は維持目標値の設定ということで、20歳代から60歳代、それぞれの年代におき ましての男女別の最大酸素摂取量の維持目標値を設定しております。  次のページでございますが、運動の強度に関しまして5)で書いております。健康づ くりに適した運動強度としましては、最大酸素摂取量の40〜70%の間の強度が必要で、 その中で特に推奨強度ということで50%が示されております。そしてさらに6)に関し ましては健康づくりに必要な運動量とは、目標設定した最大酸素摂取量を獲得・維持す るための運動量ということで、運動強度を最大酸素摂取量の50%とした場合の1週間あ たりの合計運動時間と目標心拍数を、表にありますとおり各年代ごとにあらわしており まして、これが運動所要量ということで報告がなされております。  簡単ではございますが、資料9についてはそういった運動所要量の検討の結果が示さ れております。  続きまして資料10でございますが、「「健康づくりのための運動指針」について」と いうことで、そちらの説明についてはごく簡単ではございますが、こちらの方も最後の ページにございますとおり、検討会のメンバーに関しましては太田委員、加賀谷委員が 今回も御参画いただいておりますが、11名からなる先生方により御検討いただいており ます。平成元年に策定された健康づくりのための運動所要量をベースにいたしまして、 運動をもっと普及させ、親しみやすいものにすることによって、明るく、楽しく、健康 な生活を創造することを目的としまして、「健康づくりのための運動指針」が策定され ております。したがいまして、所要量よりもより広い視点で策定されているということ になっておりますが、特に基本的な考え方にもございますとおり、健康づくりのための 運動は、特別に時間をつくらなくても、生活の中で無理なく継続して行うことによっ て、安全で効果的な健康づくりができるもの、そういったものをこの指針の中では考え ているというふうに書かれております。そういった最も基本的ではありますが、男女は もちろん、幅広い年齢層のだれにでもあてはまる重要なことがらについてまとめられて いるということで、具体的な指針としましては、下に書かれておりますような、「生活 の中に運動を 歩くことからはじめよう」等々、標語的な、スローガン的なもので指し 示されております。  そして、次のページからはそういった概要をもとに、どういったことで考えられたか ということが具体的な説明書きとして書かれておりますので、御参考いただければと思 います。  続きまして資料11でございます。「生涯を通じた健康づくりのための身体活動のあり 方検討会報告書」、こちらは大部でございますが、ごく簡単にまとめさせていただきま すと、メンバーとしましては先ほど来説明しておりますが、最後のページに22名、今回 はかなりいろいろな方面の方々を集めさせていただいて、専門家だけではなく、今回の 所要量・指針の検討会と同様の形で、各界の運動に関係する専門家、あとは運動の関係 者、そういった者を集めまして作成されております。  それで今回、ここでは身体活動ということで、運動ではないということで、身体活動 の定義に関しましては、こちらの3ページ目以降に書かれているのですが、主に身体活 動を「骨格筋の活動によって安静時よりも多くのエネルギー消費を伴う活動」というよ うなことで定義をさせていただいております。そういった定義をもとに、日常生活活 動、趣味・レジャー活動、運動・スポーツに含まれるすべての身体活動を対象としてお ります。そして、年齢も成長期、青・壮年期、高齢期と3つに分けておりまして、生涯 にわたる健康づくりのための身体活動のあり方について報告をされております。  ごくごく簡単ではございましたけれども、以上で御説明を終わらせていただきます が、太田委員と田畑委員に補足説明をということで、事前に事務局からお声がけさせて いただいておりますので、よろしくお願いいたします。  富永座長  では、田畑委員から先に、運動所要量についてお願いします。  田畑委員  健康づくりのための運動所要量、1989年策定の手順について御説明させていただきま す。この健康づくりのための運動所要量につきましては、まず冠動脈硬化危険因子と体 力の関係から、このような状況の時間可能性が低くなる体力を明らかにしました。冠動 脈硬化危険因子確定時は収縮期血圧、拡張期血圧、総コレステロール濃度、HDLコレ ステロール濃度、肥満度でした。さらに体力は最大酸素摂取量を見ました。このやり方 ですが、横軸に各危険因子の値をとります。縦軸に最大酸素摂取量をとります。その分 布から得られました回帰直線を引きます。その回帰直線が異常値になるところの値とし て、最大酸素摂取量を求めるというような方法を持ちました。これは男女5,000人程度 の被験者を対象とした研究から得られたものです。  例えば収縮期血圧では最大酸素摂取量として33.7ml/kg/分、拡張期血圧は34.6ml /kg/分、トータルコレステロールについては34.6ml/kg/分、肥満としては36.2ml/kg /分、これは男性です。これで安全をとりまして、男性につきましては60歳代の最大酸 素摂取量として37.0ml/kg/分と定めました。さらに女性におきましても同様に行いま して、女性では31.0ml/kg/分と定めました。ここが60歳代の値ですが、各年齢別の値 といたしましては、最大酸素摂取量の加齢による低下率を考慮して求めております。こ れによりますと、最大酸素摂取量の一目標値としては男性20歳代が41ml/kg/分、30歳代 が40ml/kg/分、40歳代が39ml/kg/分、50歳代が38ml/kg/分、60歳代が37ml/kg/分となっ ております。女性では20歳代が35ml/kg/分、30歳代が34ml/kg/分、40歳代が33ml/kg /分、50歳代が32ml/kg/分、60歳代は先ほど申しましたように31ml/kg/分となっており ます。  さらに実際の健康づくりのための運動所要量というのは、今申し上げました最大酸素 摂取量の一目標値を得るために、どれぐらい運動すればいいかというような観点から策 定されました。運動の強度としましては最大酸素摂取量の50%の強度で、週あたりどれ ぐらい運動すればいいのかということで決められています。これについても、習慣的に 最大酸素摂取量の50%の同一強度で、1週あたりの運動のトレーニング時間が150分以 上という、継続している中高年男性をもとに、横軸に週あたりの運動時間、縦軸に最大 酸素摂取量をとり、安全率を加味しまして各年齢別に置きます。例えば60歳代では先ほ ども言った37ml/kg/分を維持するには週あたり140分、20歳代で41ml/kg/分を確保する には180分というような形で求めました。それで、実際に得られた健康づくりのための 運動所要量は、最大酸素摂取量の50%の強度で、1週あたりの合計の運動時間が20歳代 で180分、30歳代で170分、40歳代で160分、50歳代で150分、60歳代で140分という値と なっております。  以上です。  富永座長  ありがとうございました。今、各委員の皆様方のお手元には資料が何もなかったと思 いますが、図や表を口頭で御説明いただきましてもよくフォローできませんので、もし できましたら、先生、それを各委員に配付していただいてもいいですか。  田畑委員  はい。  富永座長  それでは、パワーポイントか何かだと思いますので、ファイルを事務局へ送っていた だきまして、それを後日各委員に郵送していただくような格好でいいでしょうか。大変 貴重な御説明だったと思いますが、十分フォローできませんでした。ありがとうござい ました。  では太田先生、運動指針と生涯を通じた身体活動のあり方について、お願いします。  太田委員  まず、今、所要量が平成元年だったと思いますが、その後、平成5年に「健康づくり のための運動指針」というものがつくられました。さっき中野先生からの御説明のとお り、所要量に基づいて運動の指針をつくるということと、総論的なことを考えていくこ との中で、生活の中や安全性やその他の生活習慣との関係を踏まえた、本当の意味の総 論的な運動の普及を図る、そういうものをつくったという気持ちで記憶をしておりま す。  それで、また運動に関するいろいろな国民的な関心が高まってきている中で、資料11 の「生涯を通じた健康づくりのための身体活動のあり方検討会報告書」が出たという位 置づけだと思います。これはどちらかというと先ほどのものよりは少し各論的で、その 当時にしてはエビデンスをかなり集めたというふうに記憶をしています。それから、身 体活動というふうに実は名前が変わっていまして、当時は運動のあり方という検討会で 始まったのですが、後で御説明しますように身体活動という、より広い概念にしていこ うという御意見が多くてそうなりました。  目次を開いていただきますと、この特徴は特に4番目にありますように、成長期、青 ・壮年期、高齢期、女性というふうに、年齢対象別のものを一応つくったということ。 それから、このとき十分ではなかったかもしれませんが、このVにあるような動機づけ と継続であるとか、あるいはその下の5にあるような推進方策というものを考えたので すが、どうも後から考えると、ここがその後十分生きてこなかったのかなということを 感じております。  ただ、ちょっと話がずれますが、先ほどの資料を御説明いただいていると、平成元年 の所要量の策定、それから平成5年の運動指針、それから平成9年の身体活動指針、こ の辺まで歩数であるとか、いろいろな運動習慣みたいなものがじわじわっと上がってき ているような数字が見られたのですが、このころまでは運動に対する国民的な関心は結 構高かったなということを印象として感じております。  ちょっとまた戻りまして、1ページ目のちょうど真ん中のところに、「また」という ところが行を変えてありますが、平成7年にアメリカのSurgeon Generalというんでし ょうか、公衆衛生総監の指針として、健康と身体活動に関して情報収集したかなり厚い 指針が出ました。それから、平成8年にはWHOのハイデルベルグの指針というので、 高齢者の身体活動を強調したものが出まして、こういう流れの中で運動よりは身体活動 の方がより広いのではないかということで、このときは名前がそういうふうに位置づけ られたと記憶をしています。  もうちょっと具体的な話を申し上げますと、8ページをごらんいただくといいと思い ますが、ちょうど真ん中ぐらいに青・壮年期というのがあります。ここのところで一つ の事例を申し上げますと、(1)で身体活動の現状と問題点ということで調査データを お示しして、(2)で目的と効果というところがありますが、次の9ページの一番上の 方に、この世代では(1)健康の保持・増進、(2)疾病の予防・改善、(3)ストレス対策と いうふうに、各世代によってこの目的を少しずつ変えた、目的を明記したものがござい ます。次に(3)のところに、目的別の具体的な身体活動というのがございますが、そ の1)のところで健康の保持・増進というのがありまして、この中に先ほど中野先生が 言われましたように、身体活動の種類としては(1)として日常生活活動、(2)として余暇 活動、(3)として運動・スポーツというふうに、デイリーアクティビティーとかレジャ ータイムアクティビティーとかスポーツというふうに、いろいろな受け皿がありますよ ということをつくっていった、そういう記憶がございます。  当時から有酸素運動と筋力の問題がいろいろ云々されていましたので、その次のパラ グラフで有酸素運動のことを少し書いてございます。それから、その次のパラグラフで は、筋力のことも少し書いてございます。  こんな形でつくって、2つのものができ上がっていますが、そのときたしか加賀谷先 生も一緒に委員をされてみえましたので、もし追加がございましたらよろしくお願いし ます。  富永座長  そうですね。加賀谷先生は平成元年から、平成5年、平成9年、全部の検討会に御参 加ですので、田畑先生の運動所要量も含めて何か補足説明がございましたら。  加賀谷委員  いえ、特にありませんので。  富永座長  そうですか。遠慮をされていませんね。  加賀谷委員  はい。具体的に質問がありましたらお答えいたします。  富永座長  そうですか。ありがとうございます。それでは、ただいま田畑委員、太田委員からそ れぞれ「運動所要量」、それから「運動指針」「生涯を通じた身体活動のあり方」につ いて、過去に策定された指針について補足説明をいただきました。それで、これから自 由討議に入りますが、その前に資料12、「運動所要量・運動指針の策定方針(案)」、 これをまず事務局から御説明いただきまして、それから本当の自由討議に入りましょう か。それでは、事務局、お願いします。  中野室長補佐  それでは、本日初めての検討会でもございますので、この後、運動所要量と運動指針 の策定に関しまして自由討議をいただくわけでございますが、その発言のきっかけ、何 か目安というものがないかということで、本日御参画いただいた委員の何人かともまた 打合せをさせていただきながら、資料12ということで策定方針(案)を事務局なりに作 成させていただきましたので、読み上げながら説明させていただきたいと思います。  なお、参考までに2ページ目には、先ほどもちょっと説明をさせていただきました が、体力(運動能力)と身体活動量という大きな2つの柱に関しまして、定義、構成要 素、論点、運動・身体活動量の示し方、そういった等々についても、少し御説明をつけ させていただいておりますので、そちらもごらんいただきながら1ページ目をごらんい ただければと思っております。  それでは1ページ目でございますが、「運動所要量・運動指針の策定方針(案)」と いうことで、今回運動所要量と運動指針、両方一度に検討していただくということで考 えております。大きく総論、各論と分けましたが、各論にもございますとおり、運動所 要量と運動指針という2つの大きな柱がございます。  そういった中で、全体をまず眺めたところというので上に○が2つございますが、今 回の所要量・指針に関しましては、生活習慣病の発症予防を含めた健康の維持・増進の ために必要な身体活動量(運動量)、あるいは体力、そしてその身体活動量と体力を踏 まえた上での具体的な身体活動・運動の実践方法、あるいは行動の方法、そういった実 践方法について提示をしていただくということを考えております。  2つ目に、そういった対象者はどういう人たちなのかということで、事務局で考えて おりますのは、健康な方々と、あと健康診査において軽度な異常、例えば血圧がちょっ と高いですねとか血糖値が少し高いですねと言われたような人たち、生活習慣の改善に よって健康に戻るような、そういった必要性が指摘されている人、そういった人たちを 今回の対象にしていきたいということを考えております。ただ、議論の中には病気の方 でも実際に病院に行っていなかったり、健康診査を受けていなかったりする方々がいら っしゃって、無自覚の方々も入ってきますので、そういった方々はどちらかというと注 書き、あるいはそういった安全性を含めた上で指針を出していただくというところで、 主なターゲット、対象者は1と2というような形で、今のところ事務局なりには考えさ せていただいております。そういったことによって、今回国民の平均的なライフスタイ ルの中に、運動を取り込んでいただけるようにしていきたいなと考えております。  あとそれを各論のところでもう少し細かく申し上げますと、所要量に関しましては、 その策定の目的というのは、身体活動・運動を指導する人を中心に、国民に対してもあ る程度わかりやすくはしたいと思いますが、どちらかというと指導するような方々をタ ーゲットにして、生活習慣病の発症予防を含めた健康の維持・増進のために必要な国民 各人の身体活動量と体力の目安を示すということで考えております。運動所要量の策定 の検討事項としましては、身体活動量と体力に関して検討していただく。ただ、特にこ こで強調したいのは、可能な限り最新の科学的根拠に基づいて所要量を策定していきた いと考えております。  そして2つ目、運動指針でございますが、指針の策定の目的というのは、国民各人が 使うということから、身体活動・運動の実際の国民各人の現状、あるいは目標を知った 上で、生活習慣病の発症予防を含めた健康の維持・増進に向けて、自分はどうしていっ たらいいのかということの理解を深めていただきながら、実践するためのツール、具体 的な身体活動・運動の手法を提示していただいて、それらを活用していっていただきた いと考えております。  では具体的に検討事項というのはどういうことかといいますと、生活習慣病の発症予 防を含めた健康の維持・増進、そういったところにターゲットを当てて、身体活動・運 動について国民それぞれの人たちが簡単に理解して、活用しやすい内容にしていただき たい。例えば性別、あるいは年齢別といった視点で書いていただくということもあろう かと思いますが、そういった活用しやすい内容にしていただきたいと思っております。 そして、それにあわせて専門家や関係者が普及啓発をしたり、あるいはどういうふうに 活用していったらいいか、そういうこともまたあわせまして検討していただきたいと考 えて、このペーパーを出させていただきました。  簡単ではございますが、以上でございます。  富永座長  ありがとうございました。それでは、各委員の御協力のおかげで、本日12時30分に終 わる予定にしておりますので、最後の10分間ぐらいは今後の予定を議論するにしまして も、約30分自由討議の時間がとれました。第1回の検討会でございますので、ぜひ各委 員から忌憚のない御意見などを賜りたいと思います。  私は、座長をしておりますとなかなか発言の機会がございませんので、最初に私自身 が発言させていただきますが、事務局の方でただいま御説明がございましたように、 「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 5にクスリ」、運動か食事かという議論もござ いましたが、この検討会でございますと運動関係の委員が非常に多くて、当然これは 「1に運動」でいいと思われると思います。しかし、事務局から御説明がありましたよ うに、特に「健康日体21」の中間評価などをやっておりますと、運動面が大変おくれて いることがわかりました。ですから、これに力を入れないといけません。  それから、運動……。失礼しました。マイクが入っておりませんで失礼しました。  もちろん運動・身体活動というのは、私は3つぐらい目的があると思います。第1に は直接的に健康づくりや生活習慣病の予防、それから今日あまりお触れになりませんで したが介護予防ですね、これに大いに関係します。  それから2番目の目的といいますか、メリットとしましては楽しめる運動。グループ で一緒にやれるような運動をしますと、やはり心の健康づくりにも大変役に立ちます し、ストレスの発散にも大変いいと思います。それから、グループでなくても、例えば 夫婦でも一緒に散歩などをするとコミュニケーションもできますし、運動もできますの で、いいのではないかと思います。ですから2番目は心の健康づくりにもいいというこ と。  3番目は食生活との関係でございまして、やはりしっかり運動するとしっかり食べる こともできます。食べ過ぎということはないわけです。それで、私自身も告白します が、10年ぐらい前に運動しようと思って室内で使う自転車を買いまして、3日ではギブ アップしませんでしたけれども、1週間か10日でやめてしまいました。テレビを見なが ら自転車をこいでいたのですが、例えば100キロカロリー分ぐらい自転車をこごうとし ますと、20分ぐらいかかります。大変こたえるわけです。それで、あまりおもしろくな かったんですけれども、一生懸命20分ぐらい自転車をこいでも、たった100キロカロリ ーぐらいしか消費していないということがわかりまして、それからは私はピタッと間食 をやめてしまいました。ですから、それはそれなりにプラスになったのではないかと思 いますが、食生活とも大いに関係しているということがございます。  それで、今から各委員から御意見等をお伺いしたいと思いますが、ただいま資料12で やや系統的に次の2ページ目などの資料も見て御説明になりましたが、これに沿って、 あるいは特に沿わなくても結構ですから、ぜひこの場でこれから策定する運動所要量あ るいは身体活動の指針、見直しについて、こういうことを考慮したい、こうすべきだと いう御意見がございましたら遠慮なく賜りたいと思います。どうぞ。  斎藤委員  斎藤でございます。今日の参加者の名簿を見ますと、皆さん健康とか運動とか医療の 御専門の方で、そうじゃないのは経営者をしている私と、フィットネスジャーナルの編 集人の信藤さんくらいじゃないかと思うので、皆さんはもうわかりきったことかもしれ ませんが、違った立場からもう一度確認しておきたいのですが、この検討会の目的が何 かということです。  もう運動か休養か食事か、そういうこと以前に、じゃ、新聞等によると平均寿命が日 本は世界一だと。健康寿命も世界一だと。何が悪いの、何でこれをやらなければいけな いの、というようなこともあると思うんですね。だけど、やらなければいけないという ことは、これは私が言うまでもなく医療費が伸びていて、厚生労働省の試算だと、最近 変わったのかもしれませんが、2025年で70兆円近くになるという。これは少し前のデー タかもしれませんが、その中で老人医療費が半分くらいだと。それに伴って健康保険組 合が破綻してきている。今でも破綻しているのに、もっとすごい破綻になるんじゃない か。支払い側も1割から2割、3割になって、これはだんだん問題が出てくる。経営者 側もそれと同じ支払いが出てくる。同じというか、健康保険の掛け金のですね。そうい うようなことで、財政的に破綻するおそれがあって、それの大きな原因が生活習慣病じ ゃないかというようなことから、この検討会が始まったと思うんですね。  世界と比べるだけだったら、別に一番なんだからいいじゃないかと。でも、これはや らなければいけない、生活習慣病を減らさなければいけない、あるいは増えるのをとめ なければいけないというようなことを一応確認した上で、現在アメリカの運動するとい うのにはいろいろなパターンがありますが、フィットネスクラブをその一つの形とする と、日本は今民間のフィットネスクラブの参加率が約2.5%前後です。いろいろなデ ータがありますけど。スイミングスクールに結構子供が行くんですね。それまで入れて 平均すると3.12%です。公的なスポーツジムの、あるいは運動施設のデータが日本の 場合は残念ながらほとんどありませんので、系統的なデータがないので、推定で出すと 多分それを合計して4.5〜5%かなと。これに対してアメリカは、民間だけで6%ぐ らいあるんですね。それで公的なもの、大学のフィットネスクラブなどを入れると12% です。ただ、見るとわかるように、肥満は多いし、平均寿命だって日本より低い。それ から、医療費もGDPに対してOECDの中で一番悪くて14%です。日本は7%です。 別に厚生労働省の肩を持っているわけではないですが、要するに国が無策の方がフィッ トネスクラブは栄えるというようなことがあると、何もやらないでくれた方がうちがい いということになるかもしれないんですが、それはもちろん冗談でして。  ひとつ経営者として、フィットネスクラブだけの経営者じゃない、経営者として考え ると、今経済同友会や経団連でやはり話題になっているのは、いかに医療費の伸びを抑 えて、予防で自助努力でやっていただく方向にいかないだろうかと。これは我々も参加 してということなんですね。ただ残念ながら、私はフィットネスクラブの代表として出 ているので、ここには経営者の代表が出ていないというのは、ちょっと見方が偏るかも しれないけれども、一応経営者なので経営者的な発言でいきますと、10〜10何年前に運 動の所要量や指針を出されたと。この細かいことをここで論議する方が目的を達成でき るのか。あるいは運動所要量や指針を、今回これだけの専門家が大勢集まっても、みん なが自分に関係するところを述べるともう大変なことになると思うんですね。その結果 出てきて、多少変わったところは、委員で同じ人もいるわけですから、変わったところ で成果が出て1年後に、それでまた同じ方法で施策を始めて、果たして目的が達成でき るのかなと。むしろ、出た施策に対してどうやって実行していくかという、施策に重点 を当てて討議した方が、目的が達成できるのかなという気がするんですね。  ですから、運動する方、あるいはこれは休養や食事もすべてひっくるめてやった方が いいというのが正しければ、それをやらせる施策をまず考えたらどうかと。もちろんそ の前提の、さっきいろいろデータを聞きましたけれども、それはそれで私は勉強になり ますからありがたいんですが、むしろ国が本気になっているということをやっていただ いた方が、目的が達成できるんじゃないかと。  味の素のおもしろい話では、使用量を増やすのにいろいろなデータを出すよりも、穴 を大きくした方が味の素を使うようになったというんですね。笑い話ですが、多分本当 かもしれませんね。それだったら、むしろ厚生大臣もやったことがある小泉さんが、毎 回あそこの廊下でインタビューするときに、「郵貯のためなら死んでもいい」と言うよ りも、「健康のためなら死んでもいい」くらいのことをしょっちゅう言っていただいた 方が、私は目的を達成できると。  ですから、ちょっと違った切り口から皆さんになじまない話法で話しましたが、むし ろマーケティングを考える方がいいんじゃないかと。「方が」とは言いません。それも 必要なんじゃないか。アメリカで大統領選挙の判断材料に、ブッシュとゴアがどれだけ 運動して、どれだけマラソンの能力があるかというのが話題になるくらいです。頭はち ょっと悪くても運動した方がいいと。運動能力があった方がいいくらいのことが争点に なっているという、ああいう国柄。だけど、さっきの一番最初の話につながるので、こ れはちょっと断絶しますが、そういうような関心をいかに国が本当に持っているんだと いうことを知らしめるような、マーケティング的な観点から、もっと分科会の中では討 議して、それをこのデータがどうなるということと同等、あるいは以上に出していただ きたいなというような気がします。  富永座長  ありがとうございました。大変重要な御指摘をされました。いろいろな御意見があり ましたが、まず特に運動・身体活動にしっかり力を入れようということ、運動を強調す ることは、やはり最近肥満も増えており、糖尿病も増えておりということで、そういう 生活習慣病の予防、ひいては医療費の削減を目的としているのではないかということに なりましょうが、もちろん第一義的には生活習慣病の予防ができれば大変いいことで、 健康寿命も延伸しますのでいいわけで、結果的に医療費が減ることも大いにあると思い ます。後ほど厚生労働省の方からも御意見いただきたいと思います。  それから、私自身思いますに、過去にいろいろ指針はたくさん出しておりますが、や はり指針がどれだけ本当に受け入れられて実行されているかという、その辺をフォロー するのが大変弱かったと思います。「健康日本21」は日本ではなじまない数値目標を初 めて設定して、一定期間後にどれぐらい達成できたかということを評価しますが、本当 に今回のような形で、必ずしも運動指針は数値目標を設定する必要はないかもしれませ んけれども、あとどういうふうにすれば実際に運動・身体活動につながるかという、そ の実際的な方法についても十分議論しないといけないと思います。  特に前半のことで何か御意見がございましたら、事務局の方。はい、どうぞ。  瀬上参事官  大変貴重な御意見をありがとうございました。たくさん申し上げたいなという気もし ますが、時間の節約のために簡潔に申し上げたいと思います。  一つは、現在既に世界一の平均寿命、健康寿命を達成しているから、これ以上いいで はないかということに関しては、私どもはそうは思っていないということを申し上げた い。と申しますのは、今の状態で続くのであれば場合によるとまだいいのかもしれませ んが、スーパーヘビーな、スーパーオベシティーな、超肥満児が子供たちの中にかなり 大量に出てきている。それは皆さんの世代、我々の世代にはなかったことです。勤労 者、働く者も、私も含めて内蔵肥満が相当出てきている。それは今の高齢者の中にはな かったことです。こういう世代がこのままあと10年、20年続いていくと、ちょうど今の 米国と同じような死亡率になり、平均寿命は確実に下がってしまうということが予想さ れていますから、そういう点で今のうちにそれなりの手だてを打っておけば、悪化する 状態を防ぐことができるかもしれない。健康面からはまずこれが第一の目標であると考 えています。  その結果として、先ほども座長におっしゃっていただきました、脳卒中や心筋梗塞と いう不可逆的な疾患になり、命を落としていく人の増加を減らすことができる。あるい は身体活動が制限され要介護になる、そういう人の数も増加するのを抑えることができ るようになる。結果的に将来医療費が、このままだったら大変な金額の増大が予想され るけれども、それを抑制することができるだろうという予測をしている。要するに、私 たちがここでやりたいことは、因果が逆転しているのではなく因果どおりにやりたい。 でも、結果的にはそれは国民の経済にとっても大きなプラスになるので、そういう点か ら見て、これが医療費抑制にもつながるかもしれないということは、そのとおりだと考 えています。  そして、この検討会の設置目的は、おっしゃるように幅広なそうした総論の議論もし ていただくのは大いに結構でございますが、資料1の設置要綱の検討事項にございます ように、具体的に運動所要量の見直しと運動指針の見直し、そして、ただいま斎藤委員 におっしゃっていただいたことの一つでございますが、運動指針の普及啓発・活用方策 をどうするかという、3つの視点を中心的にしていただきたいと考えているところでご ざいます。  富永座長  どうぞ。  藤村委員  日本医師会の藤村です。医療費の問題が出まして、医療費がこのままどんどん伸び続 けたら大変なことになると、御指摘になりました。厚労省の方からもお話がありました が、大体厚労省の予測というのは合ったことがないんです。医療費の伸びは必ずこれよ り下回ります。  日本医師会は国民医療推進協議会というのを、日本医師会がまず発声をして、ウオー キング協会なども含んでほぼ35団体でもって、健康を守る国民運動をやろうという活動 を始めているわけです。先ごろ禁煙に対して運動を展開いたしまして、禁煙促進を全国 的に訴えました。この国民医療推進協議会というのは都道府県単位で活動の場を持って いるわけです。都道府県で集会をしたり住民に周知徹底したりするのに、非常に都合の いい組織を持っております。禁煙運動をやったわけですが、次回は運動に移ってもいい と思うんですね。生活習慣を改善して健康な日本国民をつくるということは、絶対大切 なことです。禁煙に続いて「1に運動」をまずやろうと、国民に徹底する運動を展開し たいと思っております。  それから、日本医師会には健康スポーツ医学を専門にする部署がございまして、日医 の認定健康スポーツ医制度があります。日医の認定健康スポーツ医は1万6千人いるんで す。そのほかにスポーツ医というのは日体協、日本整形外科学会、これでそれぞれつく っておりまして、あと4,000人ぐらい増えるわけですが、日体協というのは、競技スポ ーツの帯同ドクターなどをつくるのを目的としたスポーツ医制度です。それから日整会 というのは、スポーツ外傷を主にターゲットとしてやっているわけです。  日医の認定健康スポーツ医というのは、例えば内科であったり外科であったり、当然 整形外科も含まれますし、いろいろな専門家のドクターが集まって、主に健康を守るた めの運動量とか、その方向とかを検討する目的でつくられた制度であります。ですか ら、今、健康運動指導士が1,600人と言いましたが、健康スポーツドクターというのは もっと多いわけです。生活習慣を改善して健康な国民をつくるということは、みんなが 集結して協力してやればいいんですよ。つまり、民間の運動施設、健康運動指導士、実 践指導者、健康スポーツ医、あるいはOT・PTみたいな者がすべて結集して、協調し て、いかに国民の健康を守るために適切な運動を指導していくか。そういうことが非常 に大切であります。運動量というのは非常に難しい。個別的に、例えば性別、年齢別、 それからリスクのある者、運動障害で足が動かない人、歩行困難な人、そういう人たち を排除するわけにはいきませんから、そういう人たちすべてに個別的にどうやったらい いかという、非常にきめ細かな運動指導が必要です。それには、誰かが一人でやるとい うのではなくて、全員で協調してやらなければならない。当然運動というのはカロリー を消費して、肥満を防いだり筋力をアップしたりするだけではなくて、循環器や呼吸器 の機能トレーニングにもなるわけですよね。それと、精神的にもリフレッシュメントと いうことで、非常に有意義であります。ひとつ総力を挙げて、結集してやる方法を考え ていただきたい。  それと、もう一つだけ申し上げますと職域ですね。5,000万人の労働者がいるんです。 それで、職域保健と地域保健とが連携をとらなければいかんと言っているのですが、な かなかそれがとれていない状態。職域5,000万人の労働者の安衛法による定期検診があ りまして、年に1遍義務づけて健診をしているわけですが、その健診による有所見率が 67%というんです。こういう人たちを拾い上げなければ国民運動になりません。したが いまして、それもあわせて考えていただきたいと思っております。  富永座長  貴重な御意見をありがとうございました。国民医療推進会議で今年は禁煙を中心に取 り上げていただきまして、また多分この検討会の結論がまとまった時点、来年になろう と思いますが、運動を取り上げていただけるという大変心強い発言でございました。  残りの時間が非常に短くなりまして、これからできるだけ多くの委員から御意見をい ただきたいと思いますので、できるだけ短くお願いします。どうぞ。  加賀谷委員  スケジュールを見ますと、この検討会はあと2回ほど開かれるような予定になってお りますので、先ほどから出ております検討事項の3等は、2回目か3回目に集中してや っていただきたいと希望します。  最初にやはり運動所要量というのは一体何なのかというのを再度、時間もたっており ますし、現場も、それから科学的なエビデンスも随分蓄積されてきておりますので、今 回の所要量はどういう方向のものをどうすべきかということを、今日は御議論いただけ ればいいのではないかと思います。  それで私は、先ほど策定方針の総論のところを拝見しまして、所要量についてはもう 少し広い観点で、生涯にわたって健康で充実した生活を送ることのできる身体活動量の 基準と実践方法を示すと。生活習慣病の発症というのが前に出て……、後で含めてもい いんですけれども、その予防と同時に、動くことができる体、自分のやりたいことがで きる自己実現ができる体等も含めた、そういうものをつくっていく必要があるのではな いかと。一応それに対応できるような研究等も、少し進んできているのではないかと思 います。  もう一つは、では対象をどの辺まで含めるか、考えるか。前回は60歳くらいでいいん じゃないかということでしたが、やはりもう少し広げる必要があるし、それから個別対 応、あるいは有疾患者に対する運動所要量を示す必要もあるのではないかということ。  それから、指針の内容ですが、前回はもうほとんど循環器の疾患を予防するために、 全身的な持久力ということでしたが、もう少し範囲を広めるべきではないかというよう なことを思います。ですから、そういうところを議論して、方向を出していただければ 大変ありがたいと思います。  富永座長  ありがとうございました。加賀谷委員には大変いいポイントの整理をしていただきま した。過去の3つの検討会の報告、これからどうすべきかということを、反省を込めて 大変いい点を御指摘いただいたと思います。  それで、検討会は今日が1回目で、2回、3回ですけれども、その間に後で事務局か ら御説明があると思いますが、ワーキンググループ、小委員会を検討し、数回にわたっ て各論的なことを議論しますので、そこでもう一度きちっと議論していただけるのでは ないかと思います。  どうぞ、ほかの先生方。では順番に、戸山委員から。  戸山委員  私は整形外科なので、少し整形外科の視点からお話しさせていただきたいと思いま す。運動というものは、確かに生活習慣病等をこれで抑えられてということになれば、 クスリが減って、そういう効果も当然出てきますけれども、その対象のところの1が健 康な者と書かれていますが、これはあくまで前提は、こういう運動をやるために運動器 が健全であるということが当然必要なわけですよね。  ところが、御存じのように非常に高齢化になっていますから、その健康なやつをその まま全部引っ張れるかということは、多分これは無理だと思います。例えばひざが痛い 人に、運動の指針がこうだから60歳ないし65歳の人にこれをやりなさいと言うのは、こ れはもう絶対に無理ですし、ひざが痛い人が今1,000万人ぐらいになってきていますね。 それから、腰の痛い人が2,000万人とか3,000万人いると言われている。そうすると、そ ういう人たちがかなり多くて、それが高齢者で、本当はその人たちが何か運動ができれ ば、生活習慣病を抑えられるということに多分なってくると思うので、そういうふうな 配慮というものをやはり今回は少し出さないと、一番上の絵のところだけ言って、これ でいきなさいよと言っても、多分これは対応しきれないと思うので、ぜひそういうふう な方向で組み入れていただきたい。そのためには多分、私は人事院の健康専門委員もや っているんですけれども、運動器のチェックをところどころで入れて評価してやらない とやはり無理だと思うんですね。ですから、それをぜひお考えいただきたいと思いま す。  富永座長  全く同感でございまして、これからますます60歳代、70歳代、あるいは80歳代の人口 が増えまして、そのぐらいの高齢者になりますと、今、戸山委員が御指摘になりました ように、ひざが痛いとか腰が痛いとかいろいろの症状を訴える方も多いと思いますが、 そういった人でもうまく取り組めるような指針をぜひつくりたいと思います。ありがと うございました。では、能勢委員、どうぞ。  能勢委員  こういういろいろな方針を策定する場合に、ぜひ考えていただきたいのは、5年なり 先にこの策定がよかったのかどうかということを評価できることを意識して策定してほ しいのです。評価するということはどういうことかというと、先ほど1年に何歩歩くと か、いろいろなのがありましたよね。ああいう数値目標みたいなものを具体的に持っ て、それで何%達成できたとか、ちょっとこれを策定してよかったとか悪かったという もの、数値目標をかなり意識した方針を決めてほしいと思います。  それだけですが。  富永座長  ありがとうございます。「健康日本21」も運動・身体活動で幾つか指標が挙がってお りまして、数値目標もあるのですが、先ほど御説明がございましたように、歩数などは むしろ減ってしまっています。これをどうやってこれから増やしたらいいかということ を検討していかなければいけませんし、やはりこれまでの指針を、つくりっぱなしでは なくて評価する、そういったことが本当に大事だと思います。どうぞ。  久野委員  筑波大の久野です。一番思っていることが、加賀谷先生を隣にして言いづらいのです が、なぜこれまでこれだけ一生懸命やってきていただいたものが、必ずしもうまく使わ れてこなかったのかという視点。そこはきっちり一回評価して、それを生かしたものに しないと、同じことを繰り返す可能性があるんじゃないかと。基本的にこの段階で国が こういうものをきっちり示すことは、非常に意味深いのだと思うんですね。だとすれ ば、それだけの責任があるわけですから、そこをやはりちゃんと考える必要がありま す。  一つはエビデンスベースできっちりやることはもう当たり前ですが、ただ一方で例え ば先ほどの御説明の中でVO2maxという基準値で出ますが、VO2maxをはかることは 実は大変なことになりまして、その基準が出てもほとんどの人がはかれないから、じ ゃ、使えない手法ということにもなりかねない。だからといってそれを否定するわけで はないですが。ですから、研究者側の視点だけで、いわゆる測定法からいくとこういう ものじゃないと絶対言えないという論理だけでつくってしまうと、現場との乖離が出ま すので、そのあたりをきっちり今回は議論した上でつくることが、一番国民の方に使っ ていただけるキーポイントになるんじゃないかなと、非常に感じております。  富永座長  そうですね。ありがとうございます。では、芝山委員、どうぞ。  芝山委員  鹿屋体育大学の芝山です。私は多分文科省側から来ているからかと思いますが、例え ば資料12に運動所要量や運動指針というのがあるのですが、文部科学省では定義を変え て、昔は例えば体育(スポーツ、レクリエーションを含む)というふうになっていまし たが、今はスポーツ(体育、武道、レクリエーション、レジャー活動、その他の身体活 動を含む)となっておりまして、以前は例えばジョギングというのは運動ではあっても スポーツではなかったわけですが、今は全部スポーツに含まれています。ですから、国 民のスポーツ時間調査でも、散歩に何分、ジョギングに週3回と述べられています。例 えば体育学部がなくなって、スポーツ科学部とか健康スポーツ科学部とかスポーツ大学 ができてきたのは、そういう定義の変化にのっとっています。こういう運動所要量、文 部科学省の言葉でいえばスポーツ活動量の指針。ですから、これを国として発表すると きに文部科学省とよく話をして、用語の統一を図っていただきたいと思います。  それからもう一つは、資料7、資料8に健康運動指導士のいろいろな資格に関するこ とがあります。この教育内容はスポーツ好きの中卒者や高卒者に当てはまるカリキュラ ムであって、例えば大学卒でもバスケットをやっていて文学部を卒業したとか、バレー ボールをやって経済学部を卒業したという人が対象であるべきです。体育系学部の卒業 者は、この健康運動指導士養成講座にあるような授業を、健康運動指導士の講座の養成 時間は大体2時間か3時間ぐらいが最高ですが、体育系大学ではほとんどの場合、最低 でも30時間、大体60〜120時間ぐらいを一つ一つの科目についてやっています。だから、 当然健康運動指導士の養成というときには、体育系大学のカリキュラムを見ていただき さえすれば、これは全員管理栄養士に匹敵する健康運動指導士だということがわかると 思うのです。ぜひともちょっとその辺を文部科学省と協議して、大学の単位制度を国と して尊重するという指導者養成法を考えるべきではないでしょうか。  特に、私たちは文化を運動しなくても済む方向へと発達させてきたわけです。その中 でもう一回運動が必要というわけですから、言うなれば文明の進歩に逆らった発言をし なければならないわけで、到底トータル40時間ぐらいの講習会で、そこまで迫力のある 教育ができるかなかなか難しいわけです。そういう点でも、体育大学はそれこそ健康づ くりのための運動指導士養成の講義科目の一個一個が、大体100時間単位で行われてい るということをよく御理解いただいて、教育のシステムについて今のような40時間、50 時間の講義では、到底文明の進歩と健康づくりの原則に関する理屈はなかなか言えない ということを、御理解いただきたいと思います。  富永座長  ありがとうございました。もうちょっと予定の時間が終わりかけているのですが、で は下光委員、どうぞ。  下光委員  では簡単に。2点この委員会でお願いしたいことがありまして、私は「健康日本21」 の策定と中間評価にかかわらせていただいているのですが、先ほど御紹介がありました ように歩数が減っているというようなことで、少しコメント、解析をしました。一つは やはり中間評価といっても、実際まだ市町村でその計画が策定されていないところもあ ったりするということで、広報活動なり何なりがまだ不十分だったということがあると 思いますが、もう一つは、環境へのアプローチというのがなかなかきちっと行われてい ないということで、やはりマンパワーだけではなくて、施設等々についても考えていく 必要があるだろうと。それまでの健康づくり施策に比べて、「健康日本21」はやはり健 康への支援や環境への支援という視点が入っているという意味では、1986年のオタワチ ャーターの流れをくんでいると思うんですね。そういうことで、環境へのアプローチと いう視点をこの委員会でも持っていただきたい。この委員会は運動所要量や運動指針と いうことですから、個人へのアプローチになるのですが、同時にそういう環境というも のを、やはりどこか視点に置いた策定ということが必要だろうということ。  それからもう一つは、先ほどから出ていますように運動所要量と身体活動所要量と。 身体活動と運動という言葉についてもしっかり定義をしておく必要がありますし、従来 の健康づくり施策では栄養、運動、休養とか、運動ということが中心になっていました が、「健康日本21」では身体活動ということを前面に押し出して、もちろん運動も入っ ているのですが、その辺の流れが少し変わってきておりますし、先ほどのメタボリック シンドロームなどでも全体でのエネルギー消費を増やして、そして内蔵肥満を取ってい くというような流れもありますので、この委員会でその身体活動の所要量をつくってい くのか、あるいは運動所要量をつくっていくのか、あるいは先ほど言ったようなスポー ツという言葉でやっていくのか、その辺をどういうふうにディスカッションしていくの か、ワーキンググループでしっかりやっていただければと思います。  以上でございます。  富永座長  ありがとうございます。実はまだ各委員におかれましては、いろいろと御意見などが おありだと思います。それで、予定の時間が来てしまいましたので、一応今日の口頭に よる自由討議、自由発言はこれで打ち切らせていただきまして、まだまだ意見が出尽く しておりませんので、大変申しわけありませんが、ぜひこのことはこの検討会で発言し たいというようなことが追加でございましたら、今日は9日ですね、ですから12日の金 曜日ぐらいまで、今週中ぐらいに、できましたらメールかファクスで生活習慣病対策 室、特に御説明いただきました中野室長補佐あてにお寄せいただけませんでしょうか。  また今日発言された委員におかれましても、言い忘れたこと、あるいはぜひこれはと いうことがございましたら、お送りいただいて結構です。それを事務局でまとめていた だきまして、今日の自由討議で御発言いただきましたことは、議事録だけですとわかり にくいと思いますので、重要な論点を事務局でもう一度整理していきまして、それをま た今度私が相談しまして、整理したものを各委員にお送りしたいと思います。そんな形 で自由討議を、ちょっと中途半端ですが、切らせていただいてよろしいでしょうか。  それでは、あと一つ残っておりますので、今後の検討会の進め方を事務局の方から御 説明ください。  中野室長補佐  それでは、手短に御説明させていただきます。資料13でございますが、3枚ものでご ざいます。今後の進め方でございますが、今事務局として考えておりますのは下に(今 後の進め方)と書いております。まず大きく所要量と指針に分けさせていただきまし て、それぞれワーキンググループと小委員会を設置させていただきまして、それぞれに 検討していただいた結果を、検討会に報告するというような形で考えております。具体 的には、所要量についてはワーキンググループを設置し、指針についてはそれぞれの小 委員会を設置いたしまして、できれば8月末ごろから9月にかけて第1回の所要量のワ ーキングを開催させていただきまして、11月ごろに検討会の第2回で、ある程度所要量 についての、先ほど御議論いただきました定義の話や実際の所要量のイメージ、そうい ったことについて御意見をいただきたい。また、指針に関しましては、9月終わりごろ から10月にかけまして小委員会を開催しまして、あと所要量のワーキンググループの動 向を踏まえつつ、指針の小委員会についても定期的に、今回どういった指針にするか、 そういったことの枠組みもあわせて委員会で検討させていただきまして、できましたら 年明けごろにはある程度指針についても骨格、イメージを取りまとめて、次の第3回の 検討会で検討させていただきたい。  そういうことで、具体的に事務局で現在考えております委員の構成案が次の2ページ 目でございます。運動所要量のワーキンググループにつきましては、今回検討会で御参 画いただいた先生方の中からピックアップさせていただいているところと、また改めて 御参画いただかれている先生方もいらっしゃいますが、こういった案で考えておりま す。  また、その次の3枚目に関しましては、運動指針の小委員会ということで、以下のよ うなメンバーの案で考えております。  こういった形で進めさせていただいてよろしいかどうかについて、御審議をいただき たいと思います。よろしくお願いいたします。  富永座長  ありがとうございました。資料13、「運動所要量・運動指針等スケジュール(案) 」、このスケジュールと、どういう体制で報告書を取りまとめるかという御説明がござ いましたが、今この資料13を見ればわかりますので、こういう形で進めたいと思います が、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。  それでは、この線に沿って具体的な作業に入りたいと思います。  本日は自由討議の時間が十分あるかと思いましたが、あと30分ぐらいないとだめだっ たと思います。司会の不手際もございまして、完全に自由討議が終わっておりません が、先ほど申しましたように、ぜひこのことは強調しておきたいということがございま したら、面倒でございますが12日、金曜日ごろまでに、生活習慣病対策室あてにメール かファクスでお寄せいただきますようにお願いいたします。では、本日はどうもありが とうございました。  中野室長補佐  すいません。次回の予定でございますが、また改めて事務局から御連絡をさせていた だきます。それをもってまた次回の日程に関しましては設定させていただきますので、 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。                                     <了> (照会先) 厚生労働省健康局総務課 生活習慣病対策室 内線2974,2338