05/08/04 独立行政法人評価委員会国立病院部会 第10回議事録             厚生労働省独立行政法人評価委員会                第10回 国立病院部会 日時:平成17年8月4日(木)17:00〜20:15 場所:厚生労働省 9階 省議室 出席者:井伊委員、大道委員、開原委員、黒川委員、住田委員、辻本委員、夏目委員、     渡邊委員(敬称略、五十音順) ○黒川部会長  それでは定刻になりましたので、第10回独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催 いたします。お忙しいところありがとうございました。また、特に今日は暑いのに本当 にありがとうございます。今日は山田委員が御欠席と、渡辺委員が少々遅れて来られる ということです。  実はこの間、私がうっかりしておりまして、私は7時ちょっとぐらいに退席させてい ただこうと思っていますが、おしまいは8時までという予定でおりますので、よろしく お願いします。それ以後の議事は部会長代理の開原先生にお願いしますので、よろしく 御了承いただきたいと思います。  まず初めに、前回もかなり長丁場でしたけれども、事務局から今日の予定、議事等に ついて説明をお願いします。 ○政策評価官  (議事等説明) ○黒川部会長  はい。そういうことでありますが、国立病院機構というのはいろいろなミッションが あるし、それぞれの病院によってもこれが違うということですが、実際に現場の院長先 生からお話を聞いてみるのもいいんじゃないかという話がありまして、熊本医療センタ ーの院長先生と東埼玉病院の院長先生に来ていただいております。お忙しいのにありが とうございます。  皆様方かなり頑張っておられることと、全体として相当意識改革等いろんなことが起 こっているのは十分承知しておりますので、10分間ということでプレゼンテーションを していただいて、その後皆さんに質疑応答の時間をとっていただく方がいいんじゃない かと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは熊本医療センターの宮ア院長先生から、よろしいでしょうか。よろしくお願 いいたします。 ○熊本医療センター院長  熊本医療センターの宮アでございます。お手元に資料を4枚ほどお届けしております が、御説明は映像でさせていただきたいと思います。  まさか熊本を御存じない方はいらっしゃらないかもしれませんが、ここでございま す。飛行機で1時間20分ぐらいで東京に着きます。熊本県は185万人の県民人口です。 その中心部の熊本市が67万人です。公的病院が36ありまして、医師は1400名ぐらいで す。10の二次医療圏に分かれておりまして、三次医療はほとんど熊本市の医療圏に集ま っているという特殊な事情がございます。その中に公的な急性期病院が7つほどござい ます。それぞれの病院がそれぞれ特性を持っております。私どもの病院はお城の中にご ざいます。こちらに急性期病院が集積する一帯がございます。私どもの病院はそこから 少し離れております。  明治4年創立の鎮西鎮台病院ですが、137年お城の中にあるわけですが、西南戦争の ときにもそこで診療をしたということであります。現在は国際医療協力が研究テーマの メインになっております。診療科目は24診療科。550床。外来患者が800名ほどです。私 どもの病院で診療をほぼ終えられた方は地域のかかりつけの先生方に逆紹介するという ことで、そんなに多くはありません。救急車の搬入台数は昨年1年間で5300台。ことし は6000台になるんじゃないかという感じがいたします。それ以外の救急患者さんは1万 5000名ぐらいで、そう多くはございません。紹介率が63%。平均在院日数が14日以内。 先月が13.6日でした。開放型病院として運営しておりまして、1055名の登録をいただい ております。急性期特定入院加算を国立病院として最初に、平成12年8月に、また、地 域医療支援病院としての認証を平成14年の3月、これも国立病院として最初に取得させ ていただきました。こういった病院でございます。  基本理念等についてはお手元に資料をお配りしておりますので、ご覧になっていただ ければありがたいと思います。言えば、良質で安全な医療を提供するというのが基本理 念であります。国の医療機関としてやるべきことをやっている。健全経営に努めるとい うことであります。それにのっとって運営方針を6つに分けて出しておりますが、いず れにしても、良質で安全な医療を提供するというのが基本でございます。  活動状況は、診療のほかに教育研修、臨床研究、国際医療協力と多岐にわたります。 診療に限って申し上げますと、3本の柱で動かしております。いずれにしても、良質な 医療の提供というのがその眼目であります。一つの柱は、診療機能の向上と医療の質の 向上。もう一つの柱は、医療連携の推進。これは開放型病院を基本として行っておりま す。病診連携とか病病連携というものであります。私どもの病院が役割を果たした外来 患者さんは、できるだけ地域の先生方にお願いするという逆紹介の推進をやっておりま す。当然のことながら、医療連携をやっておりますと、紹介した患者さんが急変のとき には病院で受けないといけないということで、救急医療がその根幹になっております。 国民に、医療機関に期待され、信頼される医療機関であろうという願いを持って今まで 運営してまいりました。  医療の質の向上、診療機能の向上が第一の柱でありますが、それぞれの診療科の医師 数は多くありませんが、例えば循環器科と心臓血管外科を合わせますと7〜8人のマン パワーになりますから、心臓血管センターとしてはパワーとして上がっております。こ ういう構想で幾つかのセンターを構築して病院を運営しております。外来も同じよう に、集約して1カ所で受けるようにしております。  また、病院のレベルを上げるのに先進医療という分野に力を入れる必要があろうとい うことで、十数年来取り組んでまいりました。現在は普遍的に行われておりますが、当 時としては骨髄移植に熊本県で初めて、平成3年に取り組みました。また、その翌年に は、私どもの病院で骨髄を採取して、それをドイツのデュッセルドルフに空輸して、そ ちらで移植するという、これは日本で最初だったということです。世界で初めての免疫 療法とか、日本で初めてのことというのも幾つかやっております。成人も小児も両方と も骨髄移植をやっております。  特に同種PBSCTの分野においては、日本で有数の症例を持っております。最近の傾向 としては、末梢性の血管疾患に対する血管新生治療も開始しております。これは骨髄液 をとっているところです。こちらが頭側です。腹ばいになっております。血管の閉塞疾 患のある部位にこういうふうに地図を書きまして注射している。今のところ8例やって おりまして、かなりの高い率で、足切断にいかないように回復の傾向にあるという成績 を持っています。同じような技術で、心筋内に骨髄幹細胞の移植療法もやっておりま す。これはまだそんなに症例は多くありません。  もう一つ、診療機能の向上の中で、医療の質の向上ということで取り組んでおります のが、クリティカルパスを導入しております。目的はこれでございます。現在、病院の 中で患者用と医療者用のクリティカルパスを一組として、341種類のクリティカルパス があります。退院患者の5〜6割はクリティカルパスで動いております。診療科によっ て患者に対する使用率は違いますが、整形外科あたりですと100%。この月はたまたま 低いですが、眼科もほぼ100%。婦人科も非常に高いです。クリティカルパスにかなり 力を入れております。  これは、医療情報システム開発センターのWeb上に載せていただいておりますクリテ ィカルパス・ライブラリーです。開原先生にお世話になっておりますが、こういうふう にして全国レベルでクリティカルパスを供覧しております。私どもの病院もこのライブ ラリーの中にかなりの数のクリティカルパスを供覧させていただいております。これが 医療者用のクリティカルパスで、横に日にち、縦にケアの項目があります。達成目標を つくるということがクリティカルパスの基本であります。それに向かってきちんとした 医療をやっていく。これは患者さん用のクリティカルパスです。わかりやすい内容を書 いております。  もう一つの大きな柱は医療連携の推進です。取り組みを始めたのは非常に早かったん です。地域医療連携室を開設したのが平成2年でございます。地域としてはまだまだ熟 していない時期でございます。しかしながら、5年後にはほぼ各病院で医療連携のシス テム化が進みつつあります。私どもの病院としては、市の医師会と開放型病院との協定 を結ぶという作業をこのときに開始しました。平成8年から開放型病院としての届け出 を行いまして、現在までだんだんと登録医も増えてまいりました。最新号がこちらで す。これは毎月、登録医の先生方にニュースレターをお届けしております。私どもの病 院に紹介してくださっている医院のマップ、これは熊本市です。熊本県になりますと、 県を越えて紹介していただいております。  もう一つは救急医療であります。基本は断らないということ。一方では体制を整備す る。この2つでございます。救急車はモービルCCUとして24時間365日対応しておりま す。これは平成16年1年間の熊本市内だけのデータでありますが、幸いにしてこの2年 間、私どもの病院への搬送件数が一番多い。この赤印がついているのが救命救急センタ ーを持っているところです。  教育研修では、看護学校を持っております。そのほかに、地域の医療従事者の卒後研 修を担当しております。ちょうど20年目に入ります。当初は1万5000〜1万6000名の利 用だったんですが、努力して4万に近い方々が利用されるようになってまいりました。 1日に大体100名以上は利用しているということになります。  臨床研究も病院に元気をつけるためには推進する必要がある。臨床研究も非常に活発 に活動しておりまして、病院全体で臨床研究に取り組んでおります。一昨年のデータで は、182件の論文が出ております。学会発表は432件です。年々増えております。こうい うこともやっております。  これはほかの国立病院機構の病院と連携をとって、MRSAを初めとする薬剤耐性菌に感 染して発症した患者さんのデータをHOSPNETで私どもの病院に集めまして、それを各病 院にフィードバックしております。現在29の病院に参加していただいております。これ が基本になりまして、厚生労働省が行っております院内感染対策サーベイランスの一部 門を私どもの病院が担当させていただいております。検査部門、ICU部門、全入院部門、 大きな柱としてはこの3部門を私どもが担当しております。  国際医療協力については、派遣はそんなに多くありませんが、しかしながら、病院で 診療をしながら受け入れるということにおいては全力を尽くしております。2004年は2 名派遣、研修受け入れは45カ国から77名受け入れていますが、これまでのほぼ20年間で 19カ国に58名派遣、111カ国から1024名を受けています。一番多いのはアジア、それか らアフリカという順番です。  私どもは絶えず医療の原点を忘れないようにしたい。現場中心の医療に取り組もうと いうことでやっております。目指すところは遠いのですが、よちよちながら少しずつ進 んでおります。  さて、質問等がございましたので、少しほかのものを用意いたしました。独立行政法 人化したときにどういうことをやったか。職員の意識改革はその前から少しずつやって いたわけですが、他力本願から自力本願であると。自分たちで切り開かないとだめだと いう話を職員にもしておりますし、九州ブロックの職員研修等でも話をしております。 あとは、医療の質と健全経営の2つだろうと思っております。これは院内広報誌なんで すが、私自身も4月に当たっては院内広報誌でその方針を示しました。副院長は翌月号 に出しております。事務部長とか看護部長もそれなりに広報誌に掲載して、意志の統一 を図っております。  診療機能の向上については、この1年間何をやったかというと、能力のある医師の確 保は引き続きやっております。診療科の増設を行っています。在院日数が14日を切ろう というところですので、これを2.5:1でケアするというのは非常に難しいので、これ を2:1の看護体制にシフトさせていただきました。あとは研修の充実。新しい臨床研 修システムがスタートしましたので、これにかなり力を入れている。新人の看護師さん も増えておりますので、看護の新人研修。こういうことも含めて研修に力を入れており ます。  もう一つ、ブロック担当理事として何をやったかということです。まず第一にはブロ ック事務所の業務を把握するということからスタートしました。全体が一堂に会して意 志の統一を図りました。ブロック事務所は各施設の支援システムであるということを認 識して作業にかかろうということであります。統括部長以下、よく理解してくれて、そ の姿勢でやってくれていると思います。  もう一つは、各病院の現状把握と幹部職員の認識を把握することに努めております。 各病院を見させていただいておりますが、各病院の運営への提言を私どもなりにやらせ ていただく。サポートしてほしいという要望がある病院については重点的な支援を行っ ております。特に医師の不足、標欠問題が起こりそうなところにはそういうふうなこと をやっております。  一つだけ言いますと、施設基準の取得施設数なんですが、急性期特定入院加算という のがありますが、これは去年1年間で1施設増えました。独立行政法人化する前に1施 設ありましたので、合わせて2施設です。地域支援病院、これが2施設増えました。現 在4施設になっております。開放型病院が5増えています。その前に9施設ありました ので合わせて14。九州ブロック28病院のうち14病院は開放型病院にシフトしたというわ けでございます。  以上、ちょっと時間をオーバーしましたが。 ○黒川部会長  ありがとうございました。いろいろ御意見あると思いますが、東埼玉病院の川城先生 からお願いいたします。 ○東埼玉病院院長  東埼玉病院の川城でございます。よろしくお願いします。  私どもの病院は埼玉県にございまして、東京から電車で小1時間というところであり ます。東京への通勤圏内でベッドタウン的なところで、気持ちは東京人、住んでいると ころは埼玉人というような典型的な地方都市でございます。  お手元に資料を配付しておりませんけれども、言葉で失礼させていただきたいと思い ます。当院の特徴は、昭和19年に結核の療養所として国で最後に整備された病院で、傷 痍軍人の療養所としてスタートしました。終戦直前には厚生省もうちの病院に避難して くるというような話があったという立地条件であります。結核がだんだんと減ってまい りまして、当院の機能もいろんな種類の診療機能を入れてまいりました。例えば筋ジス トロフィー、重症心身障害、リハビリテーション、小児慢性、神経難病、HIVというよ うな、民間では比較的やりにくいだろうと思われるような診療機能を取り込んでやって きております。  しかし、それ以外にも一般的な医療としては、整形外科とか、呼吸器とか、そういう ものもやっております。例えば眼科だとか皮膚科、耳鼻科、精神科といった診療科は持 ち合わせておりませんので、非常勤医師で対応しております。  病院の理念としては、質の高い医療を提供して、患者さん及び周囲の人々により満足 していただこうということでやっておりまして、具体的には、患者さんの目線に立って 安全な医療、安心できる医療を提供していこうと、日々研鑽を積んで仕事に還元しよう ということでやっております。  意識改革としましては、経営と良質な医療を展開することというのは車の両輪のごと くにあるので、経営を無視してはよい医療は提供できないということを常日頃から申し ております。  この1年間取り組んだことということで、かいつまんで御報告申し上げたいと思いま す。医療面では、小児慢性の入院患者数が著減しまして、病棟を維持することができな くなってしまいました。それは子供の数が減ったとか、入院するようなことでなく外来 で治療できるような医療システムができてきたとか、そんなようなことで当院の預かっ ている小児慢性の病棟が維持できなくなって、医者も退職、開業してしまったというよ うなことがこの1年間にあった大きなことの一つであります。  もう一つは、大学の医局からの医師引き揚げに遭いまして、その一つは整形外科の医 者、もう一つは麻酔科の常勤医師でございました。整形外科の医師は、結局1人になっ てしまいまして、1人では整形外科を運営できないものですから、近々これも休診しな ければならないということで、医師問題が表在化しております。  しかし、そういう話ばかりでなくて、従来から当院が重点的にやってきておりますの は神経難病、神経系の病気と呼吸器系の病気ですけれども、呼吸器の外科を随分熱心に 探しておりましたけれども、幸いにこの6月に呼吸器外科の医師が2人着任しまして、 手術が相当に始まっているというプラス方向の話もございます。  当院の現状を申し上げますと、神経内科の柱と呼吸器系内科・外科の柱、リハビリテ ーション、これは病院全体のリハビリテーションをやっております。そういう状況で動 いております。  もう一つ、今年1年間の中で、看護師のことですけれども、やはり不足ぎみでござい ます。結核病棟が緩目になってまいりましたので、1病棟集約しまして看護師を不足し ている病棟に配置することができ、人件費も節約することができたということ。それか らもう一つは、筋ジス病棟も4個病棟ございましたけれども、それを1つ集約して看護 師を重点的に院内に配置して、3人夜勤を実現したというようなことでしのいでおりま す。しかし、全体的には看護師は不足しております。  この1年間いろいろなことを工夫してやっておりましたけれども、例えば経営的なこ とでは評価会とか、あるいは経営改善委員会というものを、病棟別、診療科別、病院全 体のP/LとかB/SとかC/Fを出しまして、それぞれの職場が経営的に見てどういう位置付 けかということを毎月認識してもらい、それを改善するための提言を各職場長からいた だきながら、それを検証するというようなことを積み重ねながら毎月やっております。  いろいろ細かいことを申しますと、患者さんから意見をいただくルートをかなりたく さん設けて、御意見箱やインターネット、あるいは退院患者さんのアンケートをいただ くとか、そういうものを迅速に処理して、一つ一つ答えを公開して開示するというよう なことで、そのことが我々病院を管理する者たちにとって非常に勉強になっておりま す。それ以外にも細かい工夫、例えば重症室の適切な配置だとか、後発品の導入を促進 するとか、特別食を工夫するとか、いろいろなことを重ねながら今日に至っておりま す。  これからの問題点としましては、医師確保問題が一番大きい問題でございます。引き 揚げに遭った点、幸いに採用できた点ありますけれども、それ以外のところでも、多く の部門で医師を必要として採用活動を熱心に続けております。機構本部とかブロックと も相談しながら、手伝っていただきながらやっておりますけれども、まだ残念ながら院 長とか副院長の個人的な人脈に頼って医師を探すという実態がかなりの部分を占めてお ります。  もう一つは看護師確保問題ですけれども、これは日々看護部長を先頭に努力しており ます。例えば、今日も『サンデー毎日』の全国版が出ましたけれども、そこにも努力し て、かなりのお金を払いましたけれども、そこに載せさせていただいたり、あるいは地 域の広報誌に載せたり、あるいは新聞折り込みをしたり、あるいはいろんな看護学校を 訪ねて就職してくれるように頼んだり、いろんな努力をしております。我々の病院には 看護学校がございますけれども、この看護学校からの就職率はただいま40%ぐらいです けれども、それをさらに高めるように努力するということもしております。しかし、残 念ながらこの看護学校が平成20年には閉校することが決まっておりますので、その後、 看護師確保問題が今以上に深刻になるのではないかと心配しております。その視点から 看護学校の後利用を上手に転換できないかということで、いろいろ今考えて、少しずつ 運動を開始しているところでございます。  もう一つは、結核病棟のことなんですが、収支が常に赤でございまして、特に最近、 平均在院日数が著しく短くなってきておりますので、在院患者数が下がってきておりま す。そうしますと収入も少ないものですから、従来から赤であった病棟がますます赤に なってきておりまして、当院にとっても大変つらい問題でございます。しかし、集約す ることも病院のみの意思ではできず、地域医療計画にも関係しておりますので、県とも 折衝をしていろいろ相談を重ねております。  あと、当院で工夫をしておりますのは、神経難病の患者さんを集めて神経難病専門病 棟にして、施設基準を取って収入を増加させようというような工夫もしております。そ ういう事情でいろいろ工夫は重ねておりますけれども、予期しなかった医師の引き揚げ 問題とか、結核入院患者数の減少によって、平成17年度の事業計画から下方に乖離して おりまして、苦渋しているということであります。当院にとっての大きな問題は、やは り医師確保問題と看護師確保問題ということでございます。  駆け足でございましたけれども、とりあえず御報告申し上げました。 ○黒川部会長  ありがとうございました。非常に対照的な背景を持った病院ですので、それが一まと めになったときにどうなるかという視点もあるし、皆さんからいろいろ聞いていただい て、建設的な会話ができればいいかなと思っていますので、よろしくお願いします。ど うぞ。 ○開原部会長代理  これは独立行政法人の評価委員会なものですから、独立行政法人になったことで、前 の国立病院の時代に比べてどのように変化を来したかというところが一番興味のあると ころなんですね。熊本医療センターの宮ア先生のところは、国立病院時代からすばらし い病院であったということもあって、今もそれがいよいよすばらしくなっているんだと 思うんですけれども、それが独立行政法人になって、特に院長先生として一番何が変わ ったとお感じになっているのか。そのことが院長としてはやりやすくなったとか、逆に やりにくくなったとか、非常に苦労であったとか、何かそういうことをもう少しお聞か せいただけるとありがたいと思います。 ○東埼玉病院院長  それでは私の方から。独立行政法人になってどう変わったかという点について私の感 じを申し上げますと、職員一人一人が、自分たちで自分たちの給料を稼ぐんだという意 識はかなり根づいたと思います。目の色が変わったんじゃないかと。昔は言われた仕事 を左から右にするというやり方が多かったように見えましたけれども、最近は自分で工 夫して、このテーマについてどうしたらいいのかというようなことを考える職員が多く なってきたということが言えると思います。先ほど申し上げましたように、当院の理念 を実現するためには健全な経営が大事だということを常に言っていますので、その点が 少しはわかってくれたのかなということで、芽生えてくれたような気がします。  それからもう一つは、院長としてはお金の面も最終責任があるということになりまし て、物事の決定が、国の時代にはよく見えないところで決まっていたような、例えば事 務系が考えて、そんなことを言っても無理だからというようなことで院長の気持ちとう まく合わないこともあったんじゃないかと思うんですけれども、最近ではそういうとこ ろをきちんと詰めて、最終的には院長が決断するというスタイルが定着してきたという 意味で、院長としては大変に健全でやりやすい、明るい雰囲気になったんじゃないかな と感じております。 ○熊本医療センター院長  いろんな作業工程を速やかにできるようになりましたね。独立行政法人の本部からの 回答が速やかにできる体質ができたんじゃないかなと思っております。 ○黒川部会長  それはこの間から議論になっているところで、意識改革というのは一番大きなインパ クトがあったというのは確かだと思います。どうぞ。 ○夏目委員  収支改善について御説明がなかったのでお聞きしたいんですが、国立病院機構全体と しては計画に対して相当の収支改善をしているんですが、それぞれの病院について、計 画に対してどういう実績だったのか、簡単で結構なんですが、もし計画どおりに進まな かったとしたら、その理由は何なのか。東埼玉病院の方は医師・看護師の不足という理 由を言われていましたが、その理由なのか、ほかにまだ理由があるのかということ。収 支改善についての計画と実績との差違についてが1点目。  2点目は、それに関連して、意識改革について、独法化した最大の理由の一つが職員 の意識改革を進めるということだろうと思いますが、それに当たって、国立病院機構は 公務員型で独法化したということになっているんですが、公務員型であることのマイナ ス、支障というのはあったのかなかったのか、それはあまり意識しなくてもいいのかど うかという点。  あと労働組合について、独法化して変化が見られるのかどうか。労働組合の対応が独 法化して変わってきているのかどうか、その辺についてのお感じで結構ですので、教え ていただければと思います。 ○東埼玉病院院長  当院の乖離の問題は主として医師不足がありまして、上位基準が取れないとか、そう いうことがメインだと思います。もう一つは、結核患者数が減ったということもその中 に含まれております。  それから、公務員型だからといって特別困ったかということはそれほど感じていませ んけれども、個人的には、講演とかそういう活動のときに倫理手続をしなければならな いということがありまして、それはやや煩雑かなという点はありますけれども、決定的 に自分の行動を制約するというようなことはございませんで、それほど私は難儀には感 じておりません。  それから労組の問題に関しては、私はこの点に関しては視野が広くないのでほかの施 設のことは申し上げられませんが、当院のことに関しては何の変化もなく平穏に過ぎて おります。 ○熊本医療センター院長  収支の差なんですが、それだけいろんなものを投入しましたので、それ相応の収益は 上がったということです。細かく話しますと時間がかかりますが、それに伴って医療の 質が上がりましたので、新しい患者さんを病院として早く入院させることができたとい うことはあります。支出の削減はかなりやっております。九州ブロック全体で医薬品の 共同購入で2億円、検査用薬品等で2億円ぐらいです。  公務員型でどうかという話ですが、以前より改善したと思っています。以前も堅い公 務員でしたから、それよりも緩やかに対応しておりますので、以前よりかなり動きやす くなりましたが、しかし、ある程度の縛りはやむを得ないのかと思っております。  労働組合に対する対応というのは、特に変わった対応はしておりませんけれど。 ○夏目委員  いや、労働組合側の対応というか、姿勢に変化が見られるかどうか。 ○熊本医療センター院長  組合側の姿勢ですか。特に大きな変化はございません。 ○住田委員  私はドクターじゃありませんので、健全な経営という観点からもう一回お聞きしたい んですけれども、熊本医療センターも東埼玉病院も、140幾つあるうちの半分以上が赤 字なんですけれども、両方とも黒字なんですね。特に熊本医療センターというのは一番 成績のいいところなんですけれども、大変失礼な質問になるかもしれませんけれども、 熊本医療センターと同じ赤字の数字の医療センターもあるわけです。国民の一人として お聞きしたいんですけれども、どこがうちは違ったんだということを端的に教えてもら えませんか。  それと、評価シートの中で評価会というのが、これは私も評価させていただいている んですけれども、例えば先生がおっしゃったP/LとかB/SとかC/Fという、私にとてもな じみのある言葉をおっしゃったんですけれども、これを集めてよかったよかったじゃな くて、例えばこういうことが話題になった、こういうことを次にしようということもあ ると思うんですね。将来の改善策ということで。そういうことについてもしよろしけれ ば教えていただけませんですか。 ○東埼玉病院院長  ほかの病院が赤であって、うちが黒であって、どこが違うかという御質問がポイント だと思うんですけれども、ほかの病院の理由を検討したことはございませんけれども、 当院の気持ちとしては、実は計画より下回ってるんです。しかし、いろんな細かい工夫 の積み重ねで、出の方も何とか工夫して、入りと出のバランスを保ったというのが本心 でありまして、院内でもいつも言っているのは、出を細くするような考え方も必要だけ ど、入りを太くすることを考えなきゃいけない、患者さんに来ていただけるような病院 にしなきゃいけないというのがうちの病院の実状であります。 ○熊本医療センター院長  他の病院との比較というのは難しいですね。先ほど申し上げましたように、私はブロ ック担当理事として各病院を訪問して勉強させていただきまして、私ならこういうふう にしますけどという提案を各病院にしております。ただ、それを各病院が実行されるか どうかは別問題ですし、それぞれの病院の立地条件も違いますので一概には言えないと 思っています。 ○東埼玉病院院長  先ほど御質問のあったもう一つの点、ああいう表を見たときに建設的などんな意見が 出てくるのかというお尋ねだと思いますが、例えば自分の担当している病棟の医長が、 何でうちの病棟はこれだけ働いて赤なんだというような、具体的なことをイメージして しゃべりますと、そうすると、共用の固定費の分配がおかしいんじゃないかとか、だれ もがお世話になっている人々の人件費の割合はどうなっているか、そういう細かい質問 まで出るようになりました。もう一つは、ほかの施設と比べてみたときに、うちは1人 の患者さんへの検査料が低いじゃないかということで、ほかの病院はどういうことを工 夫しているんだろうかというようなことで、それを調べてくれというようなことを医長 から事務担当に指示があったり、そんな細かい積み重ねをやっております。 ○黒川部会長  この独立行政法人は非常に大きく全国レベルの問題なんだけど、もともと政策医療を やるとか地域のニーズとか、歴史的な背景があって成長して医療が進んできたというと ころで、どうやって再編していくかという話が結構大きな論点になってるんですね。熊 本医療センターの場合は今までの歴史もあって、前の国立熊本大学附属病院そのほかの 役割はどうするのか、東埼玉病院だと、どういうふうに政策医療を執行していくかとい うのは、国民としては一番大事なわけで、個別の病院の意識が改革されて、そのフレー ムの中で効率化する、意識が変わってくるというのは当然なんだけど、どこの病院でも 何とかの質とか言ってるのは、もともとやってるのが当たり前で、今さら何を言ってる んだという感じが大学病院でもするわけなんです。そういう意味では、どう全体として の機構をやるかというのが理事長以下の腕の見せどころかなという話をしているわけで す。第5次医療計画もそうだし、平成18年の医療計画にしても、今議論しているところ では、それぞれの地域のニーズをくみ取った病院機能の再編を自発的にやっていったら どうですかという話になってきてますから、そこでそれぞれの病院が、自分たちはいい ぞと言ってるだけじゃ国立病院機構としては極めて私どもは不満であるという話になっ ていますので、どういうふうにリーダーシップをとりながら地域的な医療をつくってい くかという話をぜひやっていただきたいという話を進めているところですので、そうい う視点でいろいろ聞いてみたいという話だと思います。 ○開原部会長代理  これは特に宮ア先生の方にお伺いしたいんですが、先生の病院は国際医療協力をやっ ておられるというところが非常に特徴があるのではないかと思うんですが、それの財源 というか、病院経営との関係というか、それは一体どうなっているのかという話と、そ の国際協力のやり方自体が独立行政法人になって何か変化したのか、それとも、この辺 は全く同じなのかということを伺いたいということが1点。  もう1点あるんですが、運営方針の中に政策医療の推進というのがあるんですけれど も、この政策医療というものをどういうふうに受けとめておられるのかということを伺 いたいんですけど。これは主として宮ア先生の方にお願いしたい質問なんですが。 ○熊本医療センター院長  国際医療協力をやって職員の意識がかなり変わりましたね。それまで外国人との接触 というのはそんなにない病院でもあったわけですが、外国人の前で講演をしなきゃいけ ないとか、いろいろ勉強するということが意識改革になりました。それと、財源はJICA の方からの財源で、国際保健医療交流センターの方で金銭的には受けていただいて、私 どもが協力するという体制でございます。  政策医療は、これは政策医療とは何ぞやの定義が難しいんですが、厚生労働省の決め られた、それぞれの病院にこういうことをやろうという話がありますので、私どもはそ れにのっとってその分野にかなり力を入れているわけであります。地域医療を抜きにし て政策医療というのはあり得ないと思っておりますので、地域の患者さんの信頼を得て 初めて政策医療がやれる。したがって、私どもの病院は血液疾患も政策医療の一つだと いうことで、恐らく入院患者数においては全国の施設の中でもかなり高い方だろうと思 っています。成績も多いんじゃないかと思っています。循環器疾患も結構力を入れてお ります。 ○黒川部会長  そのほかにどうでしょうか。どうぞ。 ○辻本委員  患者の立場ということでお尋ねしたいと思います。独法化以後、特にそれぞれの病院 で患者サービスということで、こういうことを努力しましたということがあればそれを お聞きしたいという点が1点。  それからもう一つは、東埼玉病院のお話にもございましたが、患者さんの声を聞く投 書箱とかインターネット、アンケート、その中でこれまでと何か大きな変化、違いをお 感じになるようなものがあればそれをお示しいただきたいと思います。 ○東埼玉病院院長  後半の質問の、声に何か変化があったかということですが、それはあまり感じないん ですけれども、とにかくいろんなことをおっしゃいます。例えば廊下が暑いとか。当院 は古い建物でありまして、病棟は何とか空調しておりますけれども、共通の大きい廊下 はそのままなんです。そういうところは何とかしてくれというような、ちょっと無理な んだけどというようなことを書かざるを得ないような、とにかくいろんなことをおっし ゃいますが、国の時代と独立行政法人になってからおっしゃる内容が変わったかという ことは感じておりません。  それからもう一つお尋ねの、独立行政法人になってから何か患者さんへの工夫を変え た点があるかということに関して、当院では特に変えてはおりません。従前から同様に やっていて、かなりそれは配慮してやっているつもりです。例えば私が回診するときは 看護部長が必ずつく、栄養管理室長がつく、調理師がつくというようなことで、一人一 人のところに毎月1回は行こうということで、お話を伺いながら、医学的な話にとどま らず、周辺の話を聞きながら一人一人回っていくという回診を、それは従前から10年以 上前からやっております。そんなようなことで、一人一人の気持ちを大切にしているつ もりです。だけども、独立行政法人になってからどこを工夫したという特別なことはな く、従前どおりやっております。 ○熊本医療センター院長  川城先生と同じなんですが、独立行政法人化したからどうとかいうことじゃなくて、 医療機関としてやるべきことをずっと計画的に継続してやってきているということで す。特に最近力を入れているのは、接遇の研修をずっと継続してやっております。  投書の中身で最近変わったのは、この病院はよく挨拶をしてくれるというお褒めの言 葉が多いですね。もう一つは、食事がおいしくなったという2点です。医療機関という のは一挙にすべてやれるわけではなくて、年を経て計画的に一つずつ改善していく。そ れが独立行政法人化したからどうということじゃなくて、医療機関としてどうあるべき かということを進めてきました。 ○井伊委員  熊本医療センターにお伺いしたいのですが、地域医療の取り組みということで、熊本 市内には大きな公的病院が多いところです。済生会、赤十字、市民病院もありますし、 熊本大学の大学病院もありますが、その中で国立病院機構として役割分担がどのように されているのか。特にその中で熊本医療センターはどういう役割を考えているのかとい うこと。  あと、先端医療に力を入れているという話があったんですが、果たして国立病院機構 の病院として担うべき点なのかどうか、そのあたりをどう考えていらっしゃるのか。2 点お伺いしたいと思います。 ○熊本医療センター院長  役割分担は、それぞれの病院長が集まってこういうふうに分担しようということはや っていません。各診療科ごとで役割分担をやっていることはあります。例えば、小児科 あたりだと、こちらの小児科はどこどこの分野が得意であるとか、医師の専門によって 役割分担が行われていることはあります。救急のことに関しては、これは地域性が高い ですね。作為的に役割分担をやっているということはありません。自然発生的に起こっ ていると思います。  それから先端医療ですが、これは地域住民の方々に必要だが行われてない医療に我々 は取り組んでいくべきだろうと思います。地域において行われていない医療を。そこに 住んでいる人たちのためにはニーズに合った医療をやっていく必要があろうかと思って います。 ○黒川部会長  この大きな機構への期待も大きいし、社会的な責任も大きいしという話を、私どもは 個々の病院として評価するわけじゃなくて、全体として地域の役割、歴史を反映しただ ぶりの話とかありますよね。そういう話と難病の患者さんとかいうような話と、どう整 合性をつけていくかという全体のビジョンがいずれ出てくるんじゃないかなと思います ので。今まで一つ一つのインスティテューションだったのが、ぐっと横に一つになった という意識改革の部分が大きかったし、まだまだやれることはいろいろあるんだけど、 第5次医療計画、平成18年の医療計画とかいろんな話があって、地方分権の話もあっ て、どういう役割をしていくかという全体の評価をぜひしてみたいなと思っておりま す。それがこの評価委員会としての社会的な責任じゃないかという話をしていますの で、ぜひまたいろいろな意見を聞かせていただければと思います。今日はお忙しいとこ ろありがとうございました。  この後は議事どおりに進めたいと思っておりますので、もしお時間があったら滞在し てくださっても結構だと思いますので、このような話をしているということを御理解い ただきまして、先生方にもぜひ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございま した。 ○黒川部会長  それではこの間からの続きですが、時間も効率的にいかなきゃいけないので申しわけ ありませんが、国立病院機構の平成16年度実績の評価を続けさせていただきます。本日 はほかの議題もありまして、時間も限られていますので説明はできるだけ簡潔に、しか もいいとこばかりじゃなくて、こういうところに問題があるんだということもはっきり 言ってくださいねということで、よろしくお願いいたします。  それでは個別評価12の評価ということであります。29ページからですね。よろしくお 願いいたします。 ○国立病院機構企画経営部長  それでは第3の予算、収支計画及び資金計画について御説明したいと思います。その 前に、前回ITのところで、どんなシステムなのかという点で少し説明不足の点がありま したので、簡単に御説明したいと思います。  21ページに戻っていただきますが、月次決算をやっておりますが、全部の病院で個別 にやっているということ。全部のデータが翌月には見られるということで、個別の分析 をしてどうかということを実際にやっております。例えば上位基準を取るための在院日 数を短縮するための計画をつくったり、紹介率アップのための計画をつくったり、患者 数が落ちている診療科については具体的にヒアリングをしたり、機構本部としても医師 不足のあるようなところで収支率が落ちているところについては、医師の派遣を関係す る病院にお願いするというシステムをつくって、そういったものの活用に使わせていた だいております。特に官庁会計から企業会計の下で、システムとしては財務会計のシス テムなり医事会計のシステムなりと連動した形で行っておりまして、例えば減価償却費 も直に直結しておりますので、年度末で処理したり、予算の12分の1を上げるというこ とではなくて、生の数字を発生日で置いて把握して計上するという形に、システムとし てもより近いものとしてつくっております。また、レセプトの未請求分についても同様 でありまして、毎月把握できる。あるいは患者未収金についても当月計上するというこ とで、できるだけ決算が月次で終わるような、引当金のたぐいの特別な処理が必要なも の以外のものができるようなシステムとしてつくって、なるべく生の数字で議論できる ようなシステムとしております。  それでは29ページに戻っていただきまして。経営の改善ですが、中期計画においては 5年間累計した損益計算で経常収支率を100%程度とするということでありまして、計 画では100%以上を目指すことになっております。16年度計画は97.4%ということであ りまして、額にするとマイナス215億円という計画となっているところでございます。  結果ですが、計画についての御議論がありましたので、今日は追加資料として2−7 というのをお出ししております。これを先にご覧いただきたいと思いますが、財務諸表 の御説明でP/LとB/Sについて資料を用意しましたので、これを見ていただきたいと思い ます。計画の総収支差はマイナス214億7300万円でございます。見積もりがどうだったか という議論がございましたが、計画自体はつくり方として、そもそも14年度の決算数字 から15年度決算の実績見込みをつくって、そこから16年度計画をつくっていくという作 業をしておりまして、官庁会計から企業会計に切り替えますので、法人期間分にかかる 退職手当引当金が209億円と当時計画しておりました。また、減価償却も進めなきゃな らないということでありまして、その分の経費と、官庁会計は借金の元金の返済額は予 算に計上しますので、その差が大きく出ておりまして111億円ございます。合計します と320億円余分に費用がかかるという前提でありましたが、そのベースになるものから 138億円の経営改善を見込んで215億円という計画をつくったということであります。  具体的な内容ですが、収支改善をする以外に方法はないわけでありまして、経常収支 を80億円程度改善を図るということでありまして、収益増あるいは養成所の授業料見直 しなどを盛り込んでおります。費用についても、本部・ブロックのスリム化ということ で大分経費を落としたという御説明をしましたが、それでも58億円程度の改善を図ると いうことで、何とか138億円はカバーできるのではないかということで215億円というこ とであります。  結果は実績欄をご覧いただきたいと思います。収支差実績マイナス16億円という結果 です。改善額としては199億1200万円の改善ということになったわけでありまして、こ の具体的な改善ですが、説明資料の393ページ以降を見ていただきたいと思います。こ れと資料2−7を両方見ていただきながら御説明したいと思いますが、収益の改善であ ります。診療業務の収益については55億円の改善を図るということにしておりまして、 診療報酬の上位基準の取得を図るということで、26億円の改善を図っております。医業 収支の計画と実績の差が26億1800万円、これがその内容であります。  それ以外のセクションになりますけれども、例えば教育研修のセクションでいいます と、1億4500万円の改善でありますが、このうちのほとんどの数字が看護学校の授業料 を適正化したことによる収益増が含まれているということであります。臨床研究であり ますが、計画に対して2億4800万円の減ということになっておりますけれども、これは 計画段階で治験のオーバーヘッド分、これが当時は臨床研究のセグメントに計上してお りました。実際決算を打ってみると、この金については病院で自由に使えるようにした 方がいいんじゃないかということで、計上の仕方をその他の方に振りかえております。 そのオーバーヘッド分全体で8億円ございます。これを足し上げますと、決算としては 確かにマイナスですが、その他に移っていました8億円を臨床研究の方に乗せて当初の 計画と比べていただきますと、約6億円のプラスということになります。  その他の中の運営費交付金が、退職手当が国期間分が増えているということ。臨時の 分の83億6500万円、このうちの75億円については国時代に診療行為を行って請求ができ ない状態、例えば公費負担医療の番号がついていないとか、交通事故の方の補償の話が ついていないということで、請求もできないといういわゆる保留分が生じるわけであり ますが、この分が75億円あります。この分が増えて約83億円のプラスになったというこ とであります。  費用の面を見ていただきたいと思いますが、横串で給与体系の見直し、調整額の廃 止、賃金職員制度の廃止をして、新しい人が入って、古い人の多くの方が退職されたと いうこともあり、職員の平均年齢が若くなったことなども勘案しまして、あるいは欠員 も当然います。1.7%程度出ておりまして、こういったものを勘案して93億円というの が、すべてのセグメントで共通して出てきているところでございますが、これで大体診 療部門で83億円は出ているというものであります。  診療の部分でいいますと、材料費で33億円、共同購入なり契約方法の見直しなりとい うことで実現しておりますが、この部分も費用の減という中に含まれているものであり ます。消耗品などの経費節減なども費用の中で賄われているということであります。教 育研修のセグメントについても12億円の改善を図っておりまして、例えば光熱水料、通 信費、消耗品などについてもかなりぎりぎりの節約を各病院、学校ごとに行っておりま して、一生懸命努力して経費節減に努めたということであります。  臨床研究のセグメントでありますけれども、この中身については、特に治験について 契約なり実績なりが増えております。その関係の人件費なり材料費、あるいは委託費な どが増えているという関係でございます。  その他のセグメントでいいますと、例えば退職給付費用が増えている。395ページの 財務費用について、10億円ほど減が立っておりまして、利率変更、これは実際の財投の 借入利率が年度計画作成時より下がったということ。それから、我々は各病院が銀行で メイン口座を持つという形になりましたので、本部とのやりとりについては手数料がか かります。この分は入札なり何なりで低廉化の努力をした結果、支払手数料減が約2億 円程度出ているということであります。  それから、消耗品についても経費節減の努力をかなりしておりまして、その分もこの 中に入ってきているということであります。  臨時費用については、85億6600万円の増となっておりますけれども、具体的に特に大 きいのは医療賠償でありまして、実際に払った金額は17億円かかっております。弘前病 院を中心とした損害賠償の関係の引当金をするべしということで監査法人ともお話をし まして繰り入れましたが、それが約11億円ございます。このうちの10億円は弘前病院の 関係の経費です。  といったことで、かなり経費がかかったこと、移譲した施設あるいは廃止した施設に ついて、昔は医療廃棄物の処理というのはその場で埋めるということで構わなかったの ですが、そこから医療廃棄物が出てくると、これを処理しなければならないということ がございまして、再編成を進める観点からも、出てきたものは全部処理させていただく ということで進めております。実際のところ、国から出資されなかった分も債務である ということで、我々の方で負担しておりまして、それが約5億円。水戸病院が移転改築 しまして、その移転費用など、あるいはこれから再編成するところでは埋蔵文化財の調 査費などもかかっておりまして、こういったもので費用がかさんだということでありま して、ここは差額で2億1000万円が出ているということでございます。  次のページのB/Sの方ですが、これは時間をかけないように主な内容だけ御説明した いと思います。資産・負債の部を分けて、期首と期末の差額という形で載せさせていた だきました。資産が大きく増えた要因でありますが、現預金が917億円のプラス。医業 未収金が121億円のプラス。固定資産についても221億円のプラスとなっておりまして、 トータル1242億円のプラスとなっております。具体的に申し上げますと、現預金につい ては業務活動、投資活動、財務活動、それぞれのプラスを足し上げた結果となったとこ ろでございます。医業未収金については、診療報酬の2月、3月請求分が未収金になり ますが、これが大きく膨らんでいる大きな要因は、2月、3月の診療収益が好調であっ た結果、ここが膨らんだということであります。ですから、P/Lの方の成績もそれにつ られて大きくなっているということでございます。  負債・資本の関係でございますけれども、負債が増になっている要因ですが、これは 買掛金、未払金が増えている。それぞれ257億円、355億円のプラスということになって おります。退職給付引当金は新たに積むことになりますので、その分が当然プラスとな ってまいりますが212億円。長期負債については、流動負債と固定負債に分かれており ますので、合計したものを参考欄に書いておりますが、75億円を減させていただいたと いうことであります。資本については179億円のプラスということになりましたけれど も、追加出資を受けております。国期間分の借入金なり何なりの分が出てきたというこ とで、230億円。  奈良病院の移譲を行いまして、これはただでもいいということで、特措法の規定に従 った処理をさせていただきました。これが35億円のマイナス。当期損失は16億円でござ いますので、これを合計した金額278億7100万円を計上させていただいたところでござ います。  次に、スケールを使って御説明したいと思います。396ページをお開けいただきたい と思います。これはセグメント別の構成を掲げたものであります。我々の事業では診療 事業が一番大きな割合を占めておりまして、収益でいうと約9割、費用でいうと85.5% が診療セグメントということになっておりまして、それぞれの金額は下につけておりま す。診療業務については298億円のプラス。教育研修については35億円のマイナス。一 般管理費については、本部等の経費、国期間の退職給付費用などが計上されて489億円 になっているところでございます。  収益性の向上でありますが、これはこれまでいろいろ御説明してきたものであります けれども、在院患者数あるいは新規入院患者数はどういう数字で推移したかというのを 月別にとっているものでございます。棒グラフが平均患者数、折れ線グラフが新規入院 患者数でありまして、1月以降特に新規入院患者数が高い数字を維持しておりまして、 1日平均の新規入院患者数は1422人ということで、15年度実績に比べて1日当たり62人 増えているということであります。これが収益にも影響しておりまして、ホットな期間 ということですので点数も高くとれているという一つの要因になっているかと思いま す。  紹介率が次に出ておりますが、紹介率も依然高い数字で、平均40.5%であります。折 れ線グラフが月別紹介率の推移でございまして、2月に下がったんですが3月にまた上 がりまして、全体では高い水準を維持しているということであります。現時点でいいま すと42%ぐらいの数字を出しておりまして、高い紹介率は維持した状態にあるというこ とであります。  398ページでありますが、1人当たりの診療収益がどうだったかということでありま して、上位基準の取得が行われたものがどうなっているのかというのを表したものであ ります。主な施設基準の取得は、I−1が取れたのが12病院増えたということはこれま で御説明したところですので飛ばしますが、それ以外でも結核の分野において在院日数 28日以下というところが取れる病院が出てきている。あるいは、急性期入院加算も3施 設プラス。精神の分野においても2が取れる病院が1つ出てきているということ。熊本 医療センターは精神医療についても1が取れたということで、7月からその算定に入れ るということで、上位基準を目指した活動を皆さん進めていただいているところでござ います。  障害者施設の入院基本料についても、2:1、2.5:1、それぞれの上位基準が取れ た施設が9病院、8病院と増えてきておりまして、I−1が取れる、あるいは急性期特 定、地域医療支援病院以外にもこつこつと各病院で努力していただいているというこ と。それから、紹介率もどんどん上がっておりまして、紹介率加算が取れる病院もかな り増えてきているということでございます。  400ページをご覧いただきたいと思います。月次決算をちゃんとやったということで、 これは病院関係について月次決算をやってきた成果をここに並べさせていただいており ます。ちなみに3月をご覧いただきたいと思いますが、1月と比べてはるかに高い収益 を上げておりまして、これが今年の好調だった原因でありまして、3月はインフルエン ザが下火にならなかった時期がありました。それと、例年花粉症の時期でもあるという ことで、ここは随分大きな稼ぎが稼げているということと、それまでに救急患者を断ら ないとか、必ず患者を受け入れるとかいう活動を一生懸命やってきて、紹介率が高くな ってきたものが重なった結果、高い収益につながったということであります。  401ページをご覧いただきたいと思います。各病院の経常収支、総収支率、医業収支 率、材料費率、人件費率、委託費率、患者1人当たりの診療収益なり平均患者数といっ たものを表にまとめたものでございます。なるべくジャンルに分けてということで、最 初は旧国立病院グループであります。特に急性期入院加算なり急性期特定入院加算なり が取れた病院が16病院ございまして、これを掲げさせていただいております。次が、そ れ以外でI−1が取れた病院を掲げさせていただいております。  4ページ以降は療養所でございまして、療養所については分け方が非常に難しいので すが、406ページの一番下をご覧いただきたいと思います。病床ごとに患者1人当たり の入院診療収益の平均をとったわけですが、かなり幅がございます。これを基本に分け て御説明するのがわかりやすいということで分けさせていただいているところでござい まして、一般病床の国立療養所は大体2万7000円程度であります。重心は2万530円で ございますが、これに支援費が別途入ってきまして、これが8000円強です。筋ジスの療 養所については2万5691円でありますが、これに7600円程度の支援費が乗ります。結核 については2万円を割る金額、精神については1万4000円を割る金額というので、かな り収入が低いというものでありまして、そういったジャンルに分けて見ていただくのが いいのかなということでつけさせていただいたものであります。  403ページにお戻りいただきたいと思いますが、旧療養所については一般病床が中心 ということで、欄外に*印をつけている病院がございます。これは神経難病の患者さん を抱えている病院も多ございまして、そういったものは別途*印をつけるということで 見ていただこうということで工夫させていただきました。一般病床が50%以上を占める ような病院を4番目のジャンルに入れております。5ページ目は、重心・筋ジス医療が 中心の病院ということで分けさせていただいておりまして、一般の中でも重心・筋ジス の病床数は把握できておりますので、それについて特に割合が大きい病院、40%以上を 占めているような病院をまとめさせていただきました。  405ページでありますが、これは結核と精神です。結核もかなり空床が出るというこ とで、点数も低いし患者数も少ないというケースが出てまいりますので、100床以上持 っているような病院、あるいは全体の20%以上の病床割合があるような病院について は、結核の影響が大きいのではないかということでまとめさせていただいております。 7番が精神が中心の病院ということで、精神病床数が50%を占めるような病院をまとめ させていただいております。  406ページは、そういったジャンルで分けられない施設がございます。重心・筋ジス は持っている、一般病床は持っている、結核もやっている、帯広病院に至っては再編成 の結果、重心を持っていて一般をやっていて、結核も精神も持っている。一般は心臓が 中心でありまして、収益としてはすごい額を上げるということで、急性期から結核のよ うなものまで幅広くやっている病院もあるということで、なかなか分け切れないものは 8ということでジャンルを分けさせていただきました。  401ページに戻っていただきまして、順にポイントだけ御説明したいと思います。こ こで経常収支がマイナスになっている病院はどういう内容かということで簡単に御説明 したいと思いますが、最初の急性期入院加算なり、いわゆる在院日数17日以下を取れる ような病院でありますが、こういった病院はほとんど医師の欠員が生じているような病 院であります。それも6名とか7名とかの数字が出ている。それから、減価償却の額は 資産の割合で高い額が出ていて、その分費用がかかっているというような病院でありま す。1−1の病院は非常に成績が悪い病院が多いわけですが、仙台は好調なんですけれ ども、それ以外は非常に悪い結果が出ております。これはほとんどが医師の欠員が生じ ている病院でありまして、北海道・東北ブロック、北関東のあたりはなかなか医師の確 保が難しい病院が多い状況になっているということであります。  次のページですが、函館病院は医師が少なくなっている。ここも医師の欠員の影響が 多い病院。それから、水戸医療センターは建て替えを終わって移転しましたので、移転 までの間に患者数を調整したり、一定の経費がかかったりということでマイナスが大き く出ているということであります。今申し上げているもの以外はほとんど医師不足であ ります。甲府病院は再編成をした結果の影響が出ているということであります。それか ら、大竹病院、これも再編成をやることになっていて、病棟を整備するのにローテーシ ョンで病棟を順番に閉めて入れ替えをやっていくという工事をやりますので、どうして も患者数が落ちてしまったということがございます。  次のページをご覧いただきたいと思いますが、療養所の関係でございます。札幌南病 院は医師も欠員が生じていますが、今後、西札幌病院と統合する予定になっている病院 でありまして、整備するにしてもお金を入れにくいということで、最低限のことしかし てあげられないということがございまして、施設が老朽化しているという関係がありま す。西札幌病院はこの地で統合しますので、今後の再編成に向けて努力をしているとこ ろでございます。以前に行った小樽との統合もここで行いましたので、まだその余波が 残っていて職員の数が少し多いという状況になっている。医師数も欠員が生じていると いうことであります。療養所の関係は、一部のものを除いては医師の確保が難しいとい う影響が出ていまして、スケールも国立病院とは違って、収益も費用も50億円以下ぐら いのところが非常に多いわけで、1人、2人の医師の欠員の結果が収益の減に大きな影 響も与えるという状況になっているところでございます。ちょっと違いますのは千葉東 病院であります。住田先生と井伊先生に見ていただいたところでありますが、ここもロ ーテーション工事をずっとやっていて、それが遅れたこともあり、計画したとおりには いかなかったということであります。それから、静岡てんかん、石川病院は再編成の影 響が出ているということでありまして、人件費が余分にかかるということとか、整備が まだ終わっていないということで影響が出ている関係がございます。それから、統合整 備の関係が、山陽病院も統合整備をしたんですが、減価償却が非常に高いので収益が追 いつかないという結果が出てしまって、計画どおりにいかなかったということもござい ます。それから、熊本南病院は再編成を15年度に行った病院なんですが、そこの病院に 両方から人が集まるという形になりますので、人員がどうしても多いということの影響 が出ているということであります。  次のページでありますが、青森病院であります。ここも再編成で、最後の整備がちょ うど16年度でありまして、その関係で除却損が出たり、事業規模も大きな数字ではあり ませんので、なかなか挽回し切れなかったということ。例えばあきた病院とか箱根病院 などについては筋ジスの患者さんが在宅でというパターンも最近は出てきておりまし て、そういった影響を受けているということもございます。それを除きますと、なかな か医師が確保し切れないという影響で、収益が上がりづらかったという結果が出ている ところでございます。結核とか精神については医師不足もありますが、空床が多くてと り切れないという関係もございます。精神も単価が低くて収支を回復するのは難しいと いった状況があるという点でございます。  評価シートに戻っていただきますが、そういった中ではございますけれども、全体で 見ていただきますと、中期計画では5年間で累計100%以上になることを目指そうとい うことでありましたが、経常収支については100.03%ということで、各病院非常に頑張 っていただいた結果であります。何とかこれで中期計画に掲げた目標を1年目はクリア できたかなということでありまして、5年分の計画を初年度は達成できたと考えており まして、自己評定としてはSをつけさせていただいております。 ○黒川部会長  大変御苦労されているということはよくわかるなということと、カテゴリーとの複雑 なコンビネーションという話かなと思います。さらに地域性を考えると、ますます複雑 ですが、どうぞ御質問。どうぞ。 ○住田委員  質問じゃないんですけど、本来は部会長にお断りしてやるべきだったと思ったんです けど、時間がなかったもので、先週の金曜日に、評価委員に公認会計士がいる場合は、 通則法に基づく会計監査人に会ってヒアリングをすることが多いというお話で、29日に 新日本監査法人の方々にお目にかかりました。監査の方法と概要、もし何か感じるとこ ろがあったら教えてもらいたいという2つの話をさせていただきまして、監査の方法と 概要は、財務諸表の後ろに適正にと書いてありますので、新日本監査法人も日本のリー ディング監査法人でありますので、今お話の数字の担保はされていると思いますことを 御報告させていただきます。本来は部会長に断って行かなければいけなかったんです が、時間的なあれがなかったものですからお許しいただきたいと思います。それから、 御自慢の月次ができるというシステムもあわせて見させていただきました。そのときも 言ったんですが、今は月次決算ができるのは当たり前のことでして、システムはすばら しいシステムですから、経営分析等何でもできるようなすばらしいシステムだと思いま すので、ぜひ活用を将来されることを期待します。報告申し上げます。 ○黒川部会長  ありがとうございました。そのほかにどうぞ。 ○渡辺委員  素朴な疑問として、403ページからの各病院のあれで、赤字のところは主に医師不足 という御説明があったんですが、人件費率が異常に高いところがありますね。石川病院 の97.6%とか、これはどう解釈すればいいんですか。 ○国立病院機構企画経営部長  石川病院の人件費率については、ここは再編成による統合をした後の病院でありまし て、まだ人の数が多いということであります。正直言うと稼ぎもまだ低い。それは見て いただいたとおりであります。 ○渡辺委員  医師不足もそうなんだろうけど、概して人件費率が高いところは経営がよくないとい うことが読み取れるわけでしょ。ここは個別を評価するところじゃないにしても、やっ ぱり努力してもらわないと困るなという気はします。 ○井伊委員  私も素朴な疑問です。400ページのところで、先ほど月次決算状況で3月に収益が上 がっているのがインフルエンザや花粉症が原因だという説明がありましたが、費用もほ かの月に比べて非常に上がっています。12月は収益は上がっていませんが費用がかなり 増加していて、収支差額というのが12月と3月に際立ってマイナスが多くなっていま す。これはどのように解釈したらよろしいでしょうか。 ○国立病院機構企画経営部長  12月の費用はボーナスの支給時期に当たりますので、どうしても出てまいります。我 々も12月を越せるかどうかというのは非常に注目しておりました。3月は引当金などを 計上しますので、どうしてもここは特別な経理処理をしますので、そういった関係でこ こは膨らんでまいります。 ○井伊委員  個別の財務状況のところで、経常収益とありますが、これは国庫からの繰入金という か、運営費交付金は含まれていますか。 ○国立病院機構企画経営部長  個別の病院には入っております。例えば結核医療の部分だとか、精神医療の部分だと かというふうに、特定のものが出ております。そういったものがここに入っています し、そういったものが出ている病院については入っております。それから、研究の関係 も交付金で充当されるようなものをやっているところはこの中に入っております。 ○井伊委員  個々の機関によって異なっていると。 ○国立病院機構企画経営部長  はい。大半は退職金の国期間分と整理資源とかいう国の共済に集配するお金が中心に なりますので、400億円以上がそれになっておりますから、そのお金については本部の 方に入っていまして、そこから出るという形になっていますのでここには載っておりま せん。 ○黒川部会長  そのほかにどうでしょうか。どうぞ。 ○大道委員  オーバーオールの結果はおっしゃるとおり、計画を上回ると。これはそのとおりだと 思うんですけれども、状況をかなり率直にお聞かせいただけるような流れになってき て、具体的なお話を伺うと、確かに統合に伴う人の問題、現実に医療活動が及ばなかっ たためにというのは一つの説明ですよね。それはそれなりの事情があるかなと思うんで すが、気になるのは、医師の確保が不十分なために収益性が上がらないという基本的な 医療機能の問題が、これも16年度計画として織り込み済みですとはなかなか言いにくい 状況ですよね。こういう問題をこの評価委員会はどう受けとめるんですかね。確かに国 立病院機構さんだけの問題ではないと。必ずしも新しい臨床研修制度だけではないと思 いますけれども、しかし、結果であれ、あるいは過程であれ、国立病院機構の病院群が 医師に選ばれなかった、ないし従来の派遣の仕組みの中で大学が引き揚げたという判断 があってのこの結果なので、こういう問題は新しい時代に向けて国立病院機構を独立行 政法人としてつくったわけですけど、こういう実状をどう考えるのか。単純に考えれば 医師の処遇だとか給与などでの対応の問題なのかなとは思いつつ、特殊な事情ではな く、むしろかなり一般的な状況、場合によってはこの問題は拡大する可能性がある中 で、16年度の問題としてどう受けとめているのか。これはどちらに向いてお話ししてい いのかわかりませんけど、今日は理事長おいでになっていらっしゃいますから、このあ たりも含めてもし御発言いただければありがたいと思います。 ○国立病院機構理事長  最初に申し上げましたように、146の病院で3分の2ぐらいは収支はむしろマイナス の方向であって、そこの病院の立地条件というと、昔の傷痍軍人病院で、むしろ人里離 れたところにあるということで、極めて条件の悪いところにあります。先ほど御説明の ありました総合的な、医師として勤めて非常に魅力を感じるような病院には医師は十分 来ている。ですから、収支と医師の需給のバランスを、全体で見るとある程度いいんで すが、個々に見ていくと極めて厳しい状況がある。ですから、私どもの使命としては、 厳しいところを今後重点的に対応していかないと、なかなか独立行政法人の機構として 先行き展望が開けない。私どもが取り上げたのは旧療養所の方々をどういうふうに活性 化するかということで、去年20回近く検討委員会を開きまして、その結果として、結核 の医療が我が国では多剤耐性菌を除いた患者でも在院日数が外国に比べると3〜5倍長 いんですね。それは医療の質が悪いのではないか。患者さんにとっては、退院していい のにずっととどめ置いているわけですよね。それを学会その他に先駆けて退院基準をつ くって、しっかりしたEBMに基づいた医療を、結核とか旧療養所の扱っている政策医療 についてもきっちりと、例えば精神医療に関してもこれからはしっかりした枠組みをつ くって医療をやっていかないと、従前のような精神医療とか、今までずっと捨て置かれ た、あまりアカデミックな目で見ていなかった。旧療養所で人里離れたところで目立た ない存在で医療をやっていたので、あまり大きな注目を浴びるようなことがなかった。 私どもは一つの組織になったことによって、見えてこなかった問題をこれからきっちり 取り上げて対応していきたいと思っています。そうすると、医師としても疾患の医療に 対する関心を呼んで、そういうところにも医師が行ってくださるような状況になると思 いますので、これは1年目では、結核については随分努力しました。今後は精神医療と かその方面もやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○黒川部会長  今日のヒアリングを聞いても、熊本医療センターなんていうのはもともと伝統もあ り、熊本大学もあり、いろんなのがあるんだけど、救急はいつでもやってるよなんてい うけど、それじゃ大学病院とかいろんなところと一緒にやればいいじゃないという話 を、例えば5年先にそうしましょうという話を今から根回ししておかないと、そこで研 修医が来、看護師さんも出てくると、小児の救急も人が足りないっていうけど、1カ所 でみんな使えばいいじゃないという話をぜひ、5年先ぐらいを目安にどういうことをす るかという話をイニシアティブをとってやれる。骨髄移植だって別に熊本大学でもやっ てるんじゃないかなという気もするので、そういう役割をどういうふうに再構築してい くかというリーダーシップをとれるといいんじゃないかなという気がしますよね。お医 者さんの不足というけど、それぞれの病院がすべての診療科を持ってすべてやってなん ていうと、みんなくたびれちゃうだけなので、ぜひそういうふうにやっていただけると いいんじゃないかなと。例えば今度の18年の医療計画が出てきたときに、すぐにはでき ないかもしれないけど、そういう話をぜひ、エグザンプルでいろんなのが出てくるとい いんじゃないかなという気がしています。  そのほかに。 ○国立病院機構理事長  今のお話で、医師の養成というのも、今、黒川先生がおっしゃったように、地域でコ ンソーシアムをつくって、各自治体病院、国立病院機構病院、公的病院というのがあっ て、それぞれやっていくのではなくて、地域ごとに医療ニーズも違いますし、環境も違 いますので、その地域に合った医師の育成というのを行っていかないと、医師の地域格 差というのは永遠に残ってくると思うんですね。ですから、何も大学病院が中心とか、 国立病院機構の病院が中心ということではなくて、その地域でリーダーシップをとれる 病院が中心となってコンソーシアムをつくっていかないと、個々に持ち上がった医療を そのたびに対応してたらエンドレスになるんじゃないかなと思います。 ○黒川部会長  例えば5年先とか言わないと、お互いに疑心暗鬼になってしまいますので、矢崎先生 は大学のこともよく御存じですので、そういう話が出てくると、地域の活性化をもって 新しいモデルがどんどん出てくるというのは、今度の医療計画でも多分そういう骨子が 出てくるので、そうなると、本当にお医者さんが足りないのか、重複を減らすと24時間 仕事をする必要はないわけなので、ぜひそういうオープンな外来とか、いろんな話も構 築できると思いますので、ぜひ先生よろしくお願いいたします。そういうのは評価委員 の一つの役割ではないかなと思いますよね。  それでは次の項目にまいりましょう。よろしくお願いします。 ○国立病院機構財務部長  それでは30ページの御説明をさせていただきます。中期目標上、固定負債割合の改善 ということが求められております。総資産に対する負債の割合はおよそ6割を超えてお りまして、公的病院あたりだと3割ぐらいというように聞いておりますので、そういう 意味ではかなり多額の負債を引き継いだということが言えるんだろうと思います。  しかし、病院の機能を維持しなければならない。昭和50年以前に整備した病院が6割 近くなっているということは、毎年耐用年数を超える病院が出てくるということであり ますので、何とかこれを上手に建て替えしていかなければならない。したがって、一方 では投資をしつつ、一方では負債の割合を減らすという、かつてJR東海さんとかJR東日 本さんもそうでありましたでしょうが、旧官業系のところがおやりになったことを我々 もさせていただくということでございます。  計画上は、当初抑制的に行いつつ負債を減少させるということでありました。その 際、大型医療機器などの投資については償還確実性を確保せよ、あるいは一定の自己資 金を持てというようなことが計画で目指したところでございます。16年度の計画におい ては、15年度中に予算を組んだわけでありますので、財政融資資金の借り入れを、機械 と建物を合わせて441億円という予定にしておりました。これについては言ってみれば 枠でございますので、これを16年度中の事業の中でどれだけ合理化あるいは効率化して いくかということが私どもの使命であったわけでございます。  固定負債の割合を改善するためには、非常に泥臭い取り組みとしてやっていかなきゃ いけないということであります。例えば、既に国の時代に随意契約したところについて も、16年度の整備について契約する際には内容を見直させていただくということで、国 の時代から継続整備したものは全体でいうとおよそ15%ぐらいカットしたということ で、日々現場の病院、あるいは私どもの営繕技官がグレードの見直しなどを積み上げた ものがこの結果であるということを御理解いただきたいと思います。  そういう意味では、方向性としては当初の基本的考え方、投資は回収するものだと、 再生産に結びつけるんだということをきちっと理解していただき、あわせて機能維持も していただく。長期借入金の償還確実性ということで、各病院に対して、例えば病院自 身が機械を購入する場合にあっても、償還確実性、毎年の元利償還がきちんとその機械 の収益で賄えるのか、あるいは耐用年数6年だけれども、4年とか5年で回収できない のか、あるいは再投資の自己資金をちゃんとためられるのかという細かな表の作成まで 全部指示しまして、各病院が単に本省から示達された額を消化すればいい、欲しい機械 を買えばいいというのではなくて、責任を持って投資を回収するということをやってい ただくようにしております。  そういう形で償還確実性の検証を、個々の病院の機械ごと、特に収入のある機械ごと にやっていただいておりますし、建物についても投資枠を1床当たり全面建て替えの場 合は2000〜1500万円という、国の時代の半分以下の水準で機能を確保せよといったよう な指示をすることにより、投資を行いつつ負債の減少を図るという努力をしておりま す。もちろん、そういう指針が出る前もあわせて個別に見直しをしてまいりました。  機械についても、病院ごとの投資可能な枠、再生産可能な枠を減価償却費の枠という ことで見つつ、一定の自己資金を確保する。建物については3分の1を確保することを 目標にしております。全体として抑制的な整備を進めたということ、泥臭い努力を現場 の職員一同でやらせていただいたということで、16年度の長期借入金は借入予定額の 441億円、これは機械44億円、建物397億円を含みますが、368億円を借り入れるという 形で73億円の効率化を図ったということでございます。国の時代も含めてずっと借入残 高は増えておりまして、ナショナルセンターを含めて毎年1000億円ぐらい特別会計全体 で借り入れるという状態でございましたけれども、独立行政法人移行直前に若干ドライ ブをかけて減少ぎみでしたけれども、73億円という、1%以上を減らすということは今 回が初めてでございます。  そういう形で固定負債の減少の方向を前倒しで実施した。当初441億円借りますと、 この1年間に440億円返すということですので、実は1億円借入残高が増えるという予 定だったんですけれども、73億円とか一生懸命減らすということも含め、全体として は、この7471億円というのは財政融資資金からの借り入れ分だけでございます。産業特 会からの借り入れはここに入れておりませんけれども、財政融資資金の7471億円を16年 度末の借入総額7400億円ということで、当初の予定から見れば71億円の減少をさせたと いうことでございます。  次に短期借入でございます。これは中期計画上、1100億円の枠ということで計画を認 めていただいておりまして、想定される理由としては、交付金の受け入れ遅延、あるい は12月のボーナスでお金が回るか回らないかというような時期、あるいは4月の立ち上 がりの時期ということで、限度枠の設定をお認めいただいておりました。16年度はこの 限度額で借り入れるということにしましたが、4月、5月、6月、何とか運営費交付金 を早くいただくような努力ですとか、内部で一生懸命投資の抑制をやるとかいうような 努力をした結果、16年度における短期借入を外部からすることはなくて、何とか1年間 キャッシュを回すことができたということでございます。  それから、重要財産の処分でございます。これについては、再編成計画に基づくもの はそもそも予定されておりますのでここで計画はしておりませんでしたが、平成16年度 は国立病院部会の御了承をいただいた2件がございました。一件は旧秋田病院の跡地に ついて、私どもが災害時医療活動の拠点用地として使用するということで継承しており ましたが、16年10月になって本荘市の方から、跡地を使って防災施設あるいは保健福祉 施設、教育施設を有効活用したい。あるいは、空地については私どもが防災の対応をす るときにも使うことができるというような、私どもの計画を包含した上で、それを超え る内容の提示がございました。そういうことでしたので、十分公益性に資するというこ とで、有償譲渡させていただいた。ただ、戦前からの経緯もございまして、一部寄附 地、また、将来使わなくなれば返すということもあるということは御説明したとおりで ございますので、一部減額しつつ有償譲渡させていただいたところでございます。  それから、奈良病院については、11月1日に奈良市に移譲するということで、奈良市 の方が職員数を十分確保して引き受けるということが実現できましたので、国立病院等 の再編成に伴う特別措置法の経過措置を適用して、無償で譲渡したということでござい ます。  それから、剰余金については、剰余を生じた場合は将来の投資に充てる。これから病 院の機能維持を図っていくということが大切になってくる。特に老朽化したもの、機能 が低下したものについての拡充を図っていかなければならないわけですが、それに充て させていただくという計画にしていたわけですが、16年度の決算においては剰余は生じ なかったということですので、引き続き頑張っていきたいと考えております。  以上、全体を評価しますと、私どもの評価としては、投資活動について国時代のやり 方をすべて見直しまして、投資可能枠を設定したり、投資の基本的な考え方、手順をオ ープンにして各病院が自立的に考えることができるようにした。投資を行う場合の償還 確実性の検証を厳しく見ていただくということで、手順も示したということ。過剰な整 備については私どもが全部審査をさせていただきまして、単価の見直しも統一的にやら せていただいているというところでございます。そういったことで、地道な努力の集積 が73億円の借り入れ圧縮という効果をもたらしたということと、借入金が返済額を大幅 に下回ることによって固定負債を当初の予定よりも大幅に上回る額の減少をさせたとい うこと、自己資金の確保をルール化したというようなこともございまして、多くの職員 の地道な努力の成果ということでSをつけさせていただきました。 ○国立病院機構企画経営部長  次に31ページでございます。人事に関する計画でございます。中期計画、年度計画と もあまり変わりませんけれども、医療を取り巻く環境に応じて医療従事者の配置につい ては柔軟に対応していく。技能職などの職種についてはアウトソーシング化等による効 率化を図る。人材確保という観点で、ブロック単位での職員の一括採用、人事交流を促 進するための人事調整会議の設置などを行うということ、有意な人材の育成や能力開発 を行うための研修を行うということを掲げさせていただいております。基本的には、医 療従事者の配置については17年度においても、例えば救急医療とか高度医療、あるいは 上位基準の取得ということ、あるいは治験の推進ということを図るための措置というこ とで、17年度に向けた定数の見直しを実施しております。  また、柔軟な配置ということで、特に長期療養患者さん向けの、患者のQOLを向上さ せるという観点から療養介助職の創設を決めまして、17年4月から導入することとして おります。技能職でございますけれども、基本的には後補充をしないということで、短 時間の非常勤職員による後補充、あるいはアウトソーシング化ということで対応してい くという方針を立てておりまして、258人の純減が図れたということでございます。  業務委託についても、ブランチラボあるいは給食の全面委託などを進めております し、人材確保の観点でいいますと、ブロック単位での一括採用を行いまして、ブロック 担当理事が任命する職員の人事異動の調整を行う人事調整会議をブロックごとに設置 し、4月1日付の人事異動については大変な調整をしていただいて、人事交流を促進す るということを行ったところでございます。  また、研修でございますけれども、資料の407ページからでございまして、非常に膨 大な研修を行っております。有意な人材ということでありますけれども、本部で行う研 修については2つのパターンに分かれております。幹部の医療職種になるような幹部看 護師の管理監督者の研修。それから、循環器病、がん、精神、神経・筋といったような 専門研修ということで、医療従事者の技能アップを目指した研修を行っているところで あります。本部では32コースを用意して、1139人の方が受講しております。また、ブロ ック単位については、労務管理あるいは看護師長、資料の411ページからですが、これ は労働法令が国家公務員と独立行政法人では違っております。不当労働行為だとか、労 組法、特労法、労働協約、労働基準法などの労働関係の法令が係ってくるわけでありま して、そういった基本的知識を身につける必要があるということで、労務関連の研修。 それから医療安全対策の研修。身近で起こったものを情報共有しやすいようなものにつ いてはブロック単位での研修などを行うということでありまして、ブロック事務所につ いては81コース、3412人の方が受講していただいている。これ以外にも病院単位でも、 新人の方の研修というのは当然行います。これは1358コース、5万人の方が受講してい ただいた。  人員に関する指標でございますが、16年度期首については常勤職員数4万6607人とい うことで配置しております。欠員もございまして、1月1日現在の職員数は全体で4万 6153人となっていまして、欠員が生じているという状況にはございます。しかしなが ら、人件費率の抑制に努めていくということと、技能職については特に15年度定数の2 割相当は純減を図るということにしておりまして、16年度においては143人純減すると いうことを計画しております。人員については、4万6153人という数字でございまし て、残念ながら欠員があった状況ではございますが、技能職については143人減員する 計画のところ、258人の純減という結果になったところであります。人件費率ですが、 事業計画上は59.1%の人件費率と委託費率の合計で計画したところでありますが、結果 は58.0%となりまして、抑制することができたと考えております。  ということで、基本的に職員の配置については柔軟な見直しを行ってきているところ でありまして、技能職については後補充をしないでアウトソーシング化、非常勤化を図 った。業務委託についても、ブランチラボあるいは給食の全面委託を導入し、人事調整 会議などの人材確保のためのシステムの確立を行っているということで、Aランクをつ けさせていただいております。 ○国立病院機構財務部長  続きまして33ページの、医療機器と施設設備に関する事項ということでございます。 これは総合的に勘案して着実に実施するということで、中期計画上は5年間で医療機 器、施設整備を合わせて1900億円ぐらい投資を行う。ただ、これは経営状況を見て増減 あり得べしと。5年間で1割相当の固定負債割合の削減を図るということでございまし た。  そういう中で、医療機器については16年度計画では長期借入金、要するに経営をやり ながら内部資金で回るという部分があれば、これを活用しまして整備を行うというふう にしております。実績ですけれども、基本的に各病院が自分の経営を考えて、償還確実 性を考え、どの程度自己資金を入れ、どの程度長期借入金を借りるのかという形で、投 資のルールに基づいて整備を行っていただいております。  16年度についてはできるだけ医療機器の投資を重点的に行うということで、建物につ いては継続整備あるいは老朽化の著しい施設の整備といったようなものに限定し、抑制 を行ったところでございます。  医療機器については113億円余りの購入ができた。そのうち財投から借りたお金が44 億円ございますので、都合69億円を自分たちの経営の中でキャッシュフローで回ってい る部分を投入させていただいたということでございます。  それから、建物整備については、財源としては長期借入金、補助金がございます。補 助金については、耐震整備の関係で補正予算で32億円ほど追加でいただいております。 その財政融資資金の324億円、補助金の90億円、自己資金の14億円、これらで428億円の 整備をしたということでございます。初年度のスタートでありますので、半年ぐらいは 慎重にし、ルールができてから実質動き出すのは半年後でございますので、投資のルー ル化もできたことですし、一定抑制も図ったわけで、借入金の抑制もしたんですけれど も、私どもの評価としては、効果は今年から満年度化するということで、初年度はAと いう評価にさせていただきました。 ○国立病院機構企画経営部長  次に34ページでございます。再編成でございます。中期計画では、中期目標期間中に 予定されている9件を実施するということで計画を立てておりまして、平成16年度にお いては5ケースについて再編成を行うという計画でございます。実績ですが、5ケース については計画どおり統合を完了しておりまして、甲府病院は10月1日、奈良医療セン ターは12月1日、大牟田病院については12月1日、豊橋医療センターは3月1日、長良 医療センターは3月1日にそれぞれ統合を完了しております。さらに、統合関係の業務 については平成17年度7月に実施した分でありますが、医王・金沢若松、大竹・原、鳥 取・西鳥取の3ケースを予定しているところでありますが、統合のための準備を確実に 行っておりまして、18年3月1日の鳥取・西鳥取の計画でしたけれども、早期に竣工し たということもあり、17年7月1日ということで前倒ししました。また、統合によって 廃止予定の原病院については、後利用を行うことができまして、後利用の移譲を決める ことができまして、17年1月に関係者、我々、県、市、社会福祉法人などの関係者会議 を開催しまして、三篠会という社会福祉法人に経営移譲することを決定しておりまし て、これは予定どおり終わっております。あと2ケースでありまして、西札幌・札幌 南、善通寺・香川小児でございますが、この2ケースが残っておりますけれども、基本 構想の見直し、あるいは地元との調整などに着手しているところでございます。  ということで、予定どおりということでありまして、統合後の運営に支障がないよう に留意して実施しております。奈良病院は経営移譲しました。自己評定としてはAをつ けさせていただいております。 ○国立病院機構財務部長  最後のページでございますが、機構が承継する債務の償還ということで、承継した債 務の処理を確実に行うという指示がされております。経営改善を図りながら元利償還を 確実に行うということで計画しました。国の時代から財務省に対して一度も遅れること なくお金は返しておりますので、これはきちんと引き続き返していくということで、借 りたものはきちんと返すということでしております。  16年度については元金439億9405万9000円、利息が220億2888万4000円、合計660億2294 万2000円、きちんと耳をそろえて償還日には確実にお渡ししたということで、一度も資 金ショートも短期借入もせずお返しできたということでございます。約定どおりに従っ たということで、Aということにさせていただいております。 ○開原部会長代理  部会長が退席されましたので、私が残りの座長を務めさせていただきます。それでは 30ページ以降の御説明を伺ったわけでありますので、そこについて何か御質問があれ ば、どうぞお願いいたします。どうぞ。 ○夏目委員  設備投資の関係なんですが、抑制的に実施されたと、初年度ということもあっていろ いろと努力はされていると思うんですが、一般的に、医療機器の整備なども含めて、必 要なものはやらなければいけないという考え方があると思うんです。その際、特に医療 に関することなので私は素人なのであまり言えないんですが、老朽化した医療機器であ ればあるほど、良質な医療を確保するためには取り替える、あるいは新たなものを入れ る、特に医療の分野は日進月歩なので、より新しい、よりよい機器を入れるという必要 性が増してくるんじゃないかと思うんです。その際、今お聞きすると、どちらかという と財務的な視点が非常に強調されて判断されているようなんですが、そうすると、老朽 化した設備を変えるというインセンティブには働かなくなってしまうし、良質な医療を 確保するという質の面での検証みたいなものが、財務的な視点だけで確保できるんだろ うか、維持できるんだろうかと。特に医療機器については、普通の設備であれば古くて も我慢すればいいということでいいんだろうと思うんですが、医療機器については相当 古いのを無理やり使うというのは、医療の質を確保する意味でも非常に問題ではない か。質の面をどういう形で投資を行う際に判断基準や枠の設定に加味されたのか、どう いう方法をとられたのか、その辺について。 ○国立病院機構財務部長  おっしゃる側面は当然ございますが、今までが投資回収という発想が全くなくやって おりますので、十分機械を使いこなしているという病院から、ほとんど使わないという ところもございます。そういう意味では、地域の医療に、あるいは政策医療に貢献する ように機械を使っていただきたいということと、経営と医療の質の両立を目指していた だきたいということで、私どもは枠という考え方にしております。ですから、枠の範囲 内で各病院が医療機器の老朽化について変えていくという意味では、私どもは従来、国 の仕組みよりも購入しやすくしたと考えております。もちろん、老朽化したものもきち んと修理して使っておりますので、全くだめということもないのでありますけれども、 できるだけ上位機種を導入したいということで、今年あたりはかなり進んでいるのかな と考えております。質の観点でいえば、枠の中で現場の方で当然MRIの撮れ具合だとか、 CTの写り具合だとか、それぞれきちっと判断して、真に壊れたものについては緊急整備 でやっていくという形で認めております。  たまたま初年度だったのでそういう感じなんですが、今後は少し放射線関係の機械に ついては、もう少し機能あるいは技能といいましょうか、放射線の診断医とか治療医と か技師とか、そういう技能とかみ合わせて、さらに機械をどう扱っていくのかというふ うに考えたいと思っておりまして、それについては今年から内部で勉強会をつくって、 より標準的な考え方を次は明らかにしていきたいと思っております。初年度はそういう 形で、ある程度現場の裁量に任せて機器の購入をしていただいたと思っております。 ○夏目委員  しつこいようなんですけど、投資の枠というのには、これは財務的な指標で枠を決め たんでしょ。 ○国立病院機構財務部長  減価償却費というのは、これまで必要な機械を買ってきたという形ですので、初年度 は維持的な形にはなりますけれども、それを投資に振りかえたという考え方で、そこは 飲み込んだ指標かなとは思っております。 ○開原部会長代理  ほかにどうぞ。いかがでしょうか。特にありませんか。もしよろしければ、今の30ペ ージ以降のところについて評価の記入をお願いしたいわけでありますが、前の方も振り 返っていただいて、今の段階で御修正いただくということも可能かと思いますので、ち ょっと時間をとって御記入をお願いしたいと思います。 ○大道委員  若干時間があるとのことで、あえて御質問なんですけど、研修については精力的に御 対応いただいているようにも見えますが、これは中央の本部での研修課題の列挙は見え ています。少し気になるのは、幹部に向けた研修はともかく、臨床専門的な課題名がか なり並んでいるんですけれども、例えば医療における倫理の問題とか、散見はされてい るんですけど、昨今の医療提供側と受療側との関係の大きな変化に伴う適切な対応と か、要は時代のニーズに見合った研修課題というのは各病院にゆだねられているんです かね。それともブロックはこういうことでいくという何か方針があるんですか。ブロッ ク対応の研修と施設内の個別研修の、そのあたりのことを聞かせていただければと思い ます。 ○国立病院機構医療部長  全国レベルでやるものについては、政策医療に係るものがございます。それがいろい ろな疾病の名前がついたものでございます。それ以外には、本部として推進しなければ いけないもの、例えば治験とか、講師も限られるものについては本部でやっております が、逆に本部に集まるのはかなり大変なわけですから、ある程度先進的なものから各ブ ロックに落として、たくさんの方が受けていただかなければならないものについては各 ブロックで研修をしているところでございます。御指摘のありました倫理というところ は、これは研修に向くかどうかわかりませんが、例えば接遇とかそういことになります と、これは各病院の中で考えていただくということになると思います。中央倫理審査会 という、研究などに関するIRBについては、どんな小病院でも網がかけられるように中 央倫理審査会が小病院の倫理審査もできるようにはしたところでございます。 ○住田委員  人員にかかわる指標のところで、技能職については258人純減したんですね。だけど、 アウトソーシングをしたわけでしょ。そうすると、これにかかわる費用というのは258 人分が純減した分だけじゃないですね。アウトソーシングはその分だけ増えているか ら、プラスマイナスという人件費で見るとどういうふうに合理化できたんですか。 ○国立病院機構企画経営部長  おっしゃるとおりでございまして、非常勤に変わった方とアウトソーシングするとい うことですから、非常勤職員という人件費とアウトソーシングによる委託費に分かれて いくということであります。ただ、単価的にいいますと単価は下がりますので、その分 は当然節約になっているということでありますが、ちなみに委託費率だけ取り上げます と、人件費率と委託費率を足した数字が59.1%というのが年度計画でありましたが、委 託費率だけでは3.81%ぐらいの計画であります。ところが、アウトソーシング化を図ら なきゃならないし、ブランチラボだとか給食の委託というのを図りますので、どうして も委託費自体は増えていきます。決算ベースで置きかえていきますと、委託費率は全体 で4.13%ということで、0.31%ですが委託費率自体は上がります。トータルでいうと人 件費の落ちた分と委託費が上がった分で、率としては全体では1%ぐらいの節約にはな ったということでございます。 ○開原部会長代理  まだこれを書いていただいた後に補足的な議論をしたいと思っておりますので、まだ 終わりにはなりませんものですから、まずはこの評価シートを書き上げてしまっていた だきたいと思います。この評価の書き方に関しては特にこれ以上議論する必要はありま せんですかね。これは5年のうちの1年目でありますので、そういう形で評価をしてい ただく必要があるのかなという気はいたします。病院というのは年によっていろいろ動 くものですので、今年よくても来年がまた悪くなるということも決してないわけではな いと思いますので、今年の評価は実績に基づいてそのとおりに評価していただければい いのではないかと思っております。  じゃあ、大体お書きいただいたということでよろしゅうございますか。それでは、一 応これで個別評価は終了したということでございますけれども、前回、前々回の審議も 含めて、これまでの評価について機構の方から補足的な説明をしていただくとともに、 これまでいろいろ御質問などもありましたので、それに対しての補足的な御説明もあり ますし、また何か改めて御質問があればということもありますので、最後の総括的な議 論をさせていただきたいと思います。まず事務局の方で多少資料をつくってくださった のがあると思いますので、では機構の方からお願いいたします。 ○政策評価官  初めに追加資料について御説明申し上げます。まず個別的評価における評価委員から の質問・意見等という縦長の資料をお配りしております。これは評価シートに御記入い ただいた中で、内容からいって特に国立病院機構からさらに補足的に説明していただく ことが必要ではないかと思われた事項を事務局で整理したものでございます。この後機 構の方からこれをカバーする形で説明していただく予定でございます。  それから、個別項目に関する評価結果(未定稿)という横長のマトリックスがござい ます。これは既に御記入いただいた評点を、各委員のお名前を消して記入したものでご ざいます。御参考までにお手元にお配りしております。  さらに、大判で字がいっぱい詰まったものがお手元にございますけれども、前回まで に評価シートに記入いただいたコメントをそれぞれの事項ごとにまとめて書き込んだも のでございます。参考にしていただければと存じます。  以上については評価の半ばの未定稿ということでございますので、委員限りの資料と させていただきたいと存じます。  これから機構の方から補足的な説明をいただいて御審議をお願いするわけでございま すが、さらに個別評定に修正が必要となりましたならば、評価シートの方に赤字で記入 していただければ間違いなく反映できると思いますので、よろしくお願い申し上げま す。  それでは機構から補足的説明をお願いいたします。 ○国立病院機構医療部長  では補足的説明をさせていただきます。個別的評価における評価委員からの質問・意 見等の評価シート1の関係、まずセカンドオピニオンについて、実績にかかるデータは どのようになっているかということでございます。追加でお配りした資料をご覧いただ きたいと存じます。セカンドオピニオン窓口に関する調査、平成16年度でございます。 16年度3月末までに窓口を開設した45施設において、16年度に来られたセカンドオピニ オンの利用者の方は1288名でございました。施設別に見ますとかなりばらばらでござい まして、50名を超えた施設が7カ所あった一方、利用のない施設というのもございまし た。利用者の少ない施設においては、患者さんへの情報提供方法の検討、セカンドオピ ニオンという概念や制度を広めていくよう働きかけを行っていきたいと考えておりま す。  2番目、セカンドオピニオンの窓口設置の前向きな取り組みは評価するも、料金体系 や地域ごとの患者ニーズの実態が不明ということでございます。料金体系については各 病院で独自の料金体系を設定しております。時間当たり、1回当たりの料金を設定した のが32施設でございまして、逆に病院によっては無料というところもありますし、窓口 を通さないで一般診療で来られている方もございまして、そういった場合には保険診療 ということになってしまう場合もございます。  3番目でございますが、各病院の分布状況や残された課題への言及が欲しいところで あるということでございますが、平成16年度の患者満足度調査の結果だけでは判断でき ませんけれども、今後この調査については経年的に調査結果を見て、患者満足度の向上 が図られていない病院に対しては本部の方からきちんと指導していかなければならない と考えております。課題といいますと、説明資料の41ページをご覧いただきたいんです が、患者の価値観の尊重というところで、待ち時間対策の外来というのが一番評価点数 の悪かったところでございます。「予約したのに待たされた」2.8、「医師の遅刻」が 4.0ですのでこれは少ないかなと思うんですが、待ち時間対策が改善していくべき事項 であると考えております。これについてはいつになったら診てもらえるのかわからな い、待っている環境が悪い、待っていることに対してねぎらいがないなど、いろんな声 をいただきまして、それが患者にとっての待ち時間が実際よりも長く感じられるのでは ないかと考えております。そういうことを言われた病院については、待ち時間調査を踏 まえた予約人数の設定など、直接的な待ち時間を短くする取り組みに加え、電子掲示板 による時間の表示とか、待っていただくときの図書コーナーとか、待ち時間が長くなる 場合の事前説明の声かけなどの取り組みを行っているところでございます。これは42ペ ージに記載しているところでございますが、徐々に改善されていくのではないかと考え ております。  次に4番目ですが、手法の工夫、その実施の徹底は評価できる。改善に結びついてい る事例や全体的な成果・改善は必ずしも見えていないように思われたということでござ います。実際に患者満足度調査でいろいろなデータをいただきまして、その結果を踏ま え、患者さんの目線に立った医療の提供に向けた取り組みを行っているところでござい ますが、実際の改善に結びついていると思われる具体的な事例を紹介させていただきま すと、わかりやすい説明をということがございます。これについては、例えば東京医療 センターでは各診療科の説明書・同意書の内容が統一されていないために、患者及び家 族への説明が不十分な診療科があるというような課題がございました。説明書・同意書 の基となるインフォームドコンセントの指針及び留意事項というのを院内で作成して、 院内に周知したという事例がございます。また、相談しやすい環境づくりということが ございますが、これについては患者さんが相談しやすい雰囲気づくりをつくり出すとい う課題に対して、待合室の患者さんに目を向け、気安く声をかけるように、これは外来 の看護師を初め、職員が患者さんに声かけをするというようなことをやっているところ でございます。また、診療時間の見直しについては、福井病院でございますが、以前か ら受付の終了時間が早過ぎるという声がございまして、これは受付時間を延長しまし た。待ち時間対策については、医師と患者さんとで予約時間の認識が違うこともござい まして、予約時間を過ぎて診察となる場合に非常に不満を感じられますけれども、予約 時間についての認識を徹底すること、予約時間帯の枠の見直しを図り、待ち時間調査を 踏まえて予約人数の設定を行ったところもございます。図書コーナーを設置するとか、 患者さんに対して声かけをするというような試みをしているところでございます。この ように患者満足度調査の結果を踏まえ、各病院が自らの利点と欠点を分析しまして、着 実な改善をして患者満足度調査の結果を上げていきたいと考えております。  次に患者満足度調査、5番ですが、患者満足度調査は全体によい成績と考えるが、実 際の世情の評価と乖離した部分があることに問題があるという御指摘がございました。 患者満足度調査の項目については、全体にネガティブクエスチョン、悪いと思うがどう かという質問をしております。そのことにより、患者さんの満足度調査に対する心理的 障壁を取り払い、本音を引き出しやすくするということで、調査精度の向上と客観精度 を追求した調査としております。そして、自由記載欄には、例えば看護師の態度が患者 の気持ちを見下したような態度であり、若い看護師の指導を望むとか、先生は忙しいと 思うけどもう少し自分の説明を聞いてくれないかなと思うとか、同じ科で複数の医師に かかったが、同じ症状でも医師によって2週間後まで投薬などの治療なしの経過観察で あったり、即刻入院が最善と言われたり、対応に大きなばらつきがあるように感じたと か、率直な意見をいただいておりまして、この調査についてはかなり患者さんの本音の 部分がとらえられているのではないかと考えております。この結果を踏まえ、国立病院 機構の患者満足度の向上を図っていきたいと考えております。  意見の6番にございますが、満足度調査についても、アンケート項目をより細かくわ かりやすく、17年度にも実施することが望まれるという御指摘でございますが、これに ついては、かなりきちんとしたことを書いていただけるということを感じておりますの で、この内容のまま経年的に実施していきたいと考えております。また、ほかの経営主 体の病院群との比較も今進めておりますので、それも参考にして我々のところでの今後 の患者さんへの対応の指標にしていきたいと考えております。 ○国立病院機構企画経営部長  次にクレジットカードとデビットカードの関係の手数料について、問題があるのでな かなか進まないケースがある、どういう対応をしたかということだと思いますが、これ については4月の独立行政法人移行に際して導入したわけであります。患者サービスの 向上を目的として導入したわけですが、手数料の問題というのはかなり大きな問題がご ざいます。施設ごとに入札して契約するということではなくて、本部で一括して入札し て契約するというやり方をとらせていただきました。入札では11社ほどから提案書をい ただいて比較検討しましたが、手数料あるいは利便性などを評価して三井住友など4社 を選定し、価格交渉もしまして、相場よりは低い手数料になったのではないかと考えて おります。 ○国立病院機構医療部長  次の9のところでございますが、土日休日診療の導入検討に際して、公務員法との関 係に考慮が必要ではとの指摘があるが、公務員法の制約はあるかということでございま す。これについては、独立行政法人国立病院機構の職員の勤務時間は国家公務員法及び 一般職の職員の勤務時間・休暇等に関する法律の適用は受けません。我々の就業規則及 び勤務時間等規程の適用を受けることになっております。その就業規則及び勤務時間等 規程には土日休日の勤務に対する制約はございません。  次に評価シート2の関係に移らせていただきます。まず1番で、今後医療事故がどれ くらい減少するのか。同じような事故が他の病院で多発することを防げるかといったよ うなデータが出せるかという質問でございますが、国立病院機構においてはヒヤリハッ ト事例の分析、医療事故事例の分析、再発防止策の検討を行うための医療安全管理委員 会の設置など、院内における医療安全管理の体制整備、各病院内やブロック単位での医 療安全管理に関する研修の実施、医療機器・薬剤の安全管理マニュアルの作成など、医 療安全対策の取り組みを行っているところですが、将来的な効果とか、事例がどのよう に変化したかというような定量的なデータの解析については難しいのではないかと考え ております。また、各病院で発生した事故事例については、リスクマネージャーを対象 として各ブロックが実施する医療安全管理対策の研修の中で、各病院の事例を紹介し、 その病院がとった再発防止策の検証を行うというようなことで、研修を通じて全体で経 験を共有するという体制をとっております。このような取り組みがほかの病院での事故 多発の抑制につながっているのでないかと考えています。  2番目、安全に関連した情報提供について、重大事故事例の報告は決して十分ではな いとの指摘があり、対応が必要であるという御指摘を受けました。これについては、平 成17年7月29日に日本医療機能評価機構の方から、医療事故情報収集等事業の第2回の 報告書が公表されました。その報告書では、この制度が創設された平成16年10月〜平成 17年6月までの9カ月間、国立病院機構からの報告件数は196件であり、報告病院数は 64病院、未報告病院は85病院という指摘を受けております。国立病院機構においては、 この制度が創設されたときに、独立行政法人国立病院機構における医療安全管理のため の指針を改正しまして、各病院に医療事故情報収集等事業に基づく日本医療機能評価機 構への報告義務の周知をしているところでございます。今回、医療事故情報収集等事業 の第2回報告書で85病院で報告実績がないということを指摘されましたが、これらの病 院についてはそもそも報告が必要な事例が生じなかった病院なのか否かについては確認 が難しゅうございます。といいますのは、これを報告するような事例というのは、明ら かに誤った医療行為や管理上の問題により患者が死亡もしくは患者に障害が残った事 例、あるいは濃厚な治療を要した事例、誤ったものではないけれども予期しない形で患 者が死亡もしくは患者に障害が残った事例、あるいは濃厚な治療を要した事例、その他 軽症的が大きいと医療機関が考える事例ということでございまして、特に急性期の病院 にはこういう事例が見られることが多いと思いますが、療養所系の病院にはなかなかこ ういう事例を確認することは難しいと考えております。しかしながら、この制度の周知 を図る観点から、対象となっている全病院について報告義務の徹底を行ったところでご ざいます。  次に3番目、救急医療に限らず、全体で何件、何%アップしたか、個々の病院でどう 変化したか。県、ブロック単位で救急体制にどのような変化を与えたかについてのデー タがあるかということでありますが、典型的な例は資料の70ページにお示ししましたよ うに、青森病院の例については、青森県内で初めて24時間365日の小児救急受け入れ体 制を整備した例でございます。個々の病院でこういうふうに改善したというのは、我々 本部の方でも折に触れて報告を受けているところでございますが、これは定量的なもの ではなくて、定性的なデータでございますので、一括してお示しするわけにはいきませ んが、地域の救急医療体制の充実には各地で貢献しているところがあると考えておりま す。 ○国立病院機構企画経営部長  次のページの最初であります、小児医療の関係でございまして、取り組みは評価でき るものの、現場の繁忙や疲弊への配慮が必要ではないかということで、人員配置の関連 の情報が欲しいということでございます。小児救急医療の拠点病院11施設ございます。 うち5病院が独立行政法人移行後に拠点病院になった病院でございますけれども、11病 院の常勤・非常勤を合わせた小児科医師数というのをお出ししようと考えております。 大きい病院、小さい病院がありますのでかなりばらばらになりますけれども、例えば香 川小児病院、これはまさに大きな小児の病院でございますが、51人医師がいる中で41人 が小児科の医師であります。岡山医療センターは15.4人。下志津病院だと11.8人。三重 病院で11.8人。長崎医療センターで9.0人。長良医療センターで9.0人。福岡病院が8.8 人。金沢医療センターが7.8人。青森病院が5.0人。松本病院も5.0人。横浜医療センタ ーも5.0人となっておりまして、青森病院については全体で18人しか医師がいないんで すが、そのうち5人ということで、小児科に力を入れて医師を集め、地域医療に貢献し たということではないかと思います。全体を合計しますと130人の小児科医師がいると いうことで、全体の約2割は小児科の医師になっているということでございます。 ○国立病院機構医療部長  5番でございます。倫理委員会、IRBなどにおいて、外部のメンバー構成が地域の名 誉職に偏る傾向がある。会議のお客様にならないよう本部の指導を期待ということでご ざいますが、本部でつくっております中央倫理審査委員会において、規程の中で、自然 科学の有識者のほか、人文・社会科学の有識者、一般の立場を代表する人物、男女双方 を審査委員に含むことを規定しておりまして、審査委員がさまざまな視点から倫理審査 に係る議論に参加するように努めております。個々の病院における倫理委員会に関して も、外部委員の選定に関してはそのような形で、実際の倫理審査委員会が有効かつ妥当 に運用されることを第一の目的として構成しているところでございます。  次に評価シート3の関係でございます。パスの実績は評価される。各施設の実状に関 する情報が少ないと思われるということでございますが、これについてはお配りした色 刷りの資料をご覧いただきたいと存じます。クリティカルパスの作成数別の病院数と、 2ページ目が実施症例数でございます。作成数が少ないところは大部分が重心、精神、 筋ジス分野の慢性期型の病院でございます。作成数の多いところは熊本医療、東京医 療、大阪医療と、病床数の多い急性期型の病院でございます。また、実施症例数につい ても、これが多いところは急性期の病院であり、実施症例数が少ないところは慢性期の 病院でございます。  次に2番でございますが、連携体制の整備、紹介促進、共同利用などは一層の成果を 期待する。各施設の格差情報は必要であろうということでございます。地域医療連携室 については全病院に独立行政法人移行後設置したところでございます。また、紹介率及 び高額医療機器の共同利用については、御指摘のとおり、かなり病院間格差がございま す。これについても各病院にお知らせした上で、その推進を図っているところでござい ます。  3番目、EBMの推進、長期療養者のQOLの向上、病診連携等の推進は、医療機能評価機 構など信頼できる第三者評価を受けるべきということでございます。病院機能評価につ いては、29病院が認定を受けておりますが、受けたい病院はたくさんございまして、昨 年の独立行政法人移行に際して、この評価を受けるというのは非常に大変な作業でござ いまして、独立行政法人移行の体制整備を優先しましたので、今後この機能評価を受け る病院は増えてくると信じております。  次に評価シート4の関係でございます。他病院の参加のメカニズム、受託研究や厚生 科学研究のみなのか、ピアレビューはあるのか、外部からはどの程度か、公定書協会の 機能は民間に比べてどうかということでございますが、受託研究は依頼者から受託する もので、これは機構の研究者が主任研究者となるものではございません。また、厚生労 働科学研究費は厚生労働省による評点制度がございますし、文部科学省の科研費、委託 研究事業、この委託研究事業もナショナルセンターが委託するものについてもちゃんと した評点制度がございます。また、EBM推進事業のような本部内部で行っている研究に ついても、本部が外部委員による臨床研究推進委員会を設置しまして、課題選定の際に ピアレビューを行っております。臨床研究推進委員会はすべて外部委員から、これは 368ページにリストが出ております。また、本部はEBMの推進研究の運営に関して、国立 国際医療センターにある臨床研究支援センター及び財団法人日本公定書協会を母体とす るデータセンターと契約を結んでおります。現時点では民間と競合する一般的な領域の 臨床研究に関する研究支援及びデータマネージメント組織はほとんど存在しないので、 こちらが一番質が高いものと考えております。  次に評価シート5の関係でございますが、前期の研修医がどのくらい残るのか。後期 研修プログラムはあまり具体的ではない。看護師のキャリアパスのその後もということ でございますが、これについては、臨床研修制度修了の第1期生が来春3月に出てまい ります。国立病院機構内にどのくらい研修生が残ってくれるのか、また後期研修の人が 来てくれるのか未知数でございます。国立病院機構では来年度から臨床研修制度修了後 の医師を対象とした後期臨床研修制度を立ち上げ、機構内に残っていただくように努め ているところでございます。国立病院機構では、質の高い看護師の育成のため、特色あ る看護サービスとの関係において、看護師としての経験を積みながら、それぞれのレベ ルにふさわしい内容の研修を受けることができるキャリアパス制度を整備しているとこ ろでございます。この研修を受けることにより、看護サービスのさらなる質的向上が図 られると考えております。また、看護師については就職後3〜5年目が最も離職しやす い時期と言われております。国立病院機構としては、この時期をとらえた研修を通じ て、我々が促進する看護の役割や重要性、看護師としての仕事の魅力を改めて認識させ て離職防止対策をとらなければと考えております。  次に2番目が、医師養成についての我が国の構造的問題などについて考えられていな いということでございますが、学位制度などについて我々が議論するかどうかというこ とはございますが、国立病院機構の使命として、教育・研修・研究、これは機構の基本 理念に掲げられている主たる役割であると考えております。医師養成について、臨床に 即した教育・研修・研究というのは非常に大事だと考えておりますが、医師が学位を希 望する場合にはそういった方向も選択する、患者さんを診た結果が学位につながるよう な研究をしていただければいいのではないかと考えております。  看護師の業務のあり方も考えられないか、夜勤専門とかということでございますが、 勤務体制については、病院・病棟の実状に応じて柔軟な勤務割りが行えることになって おります。2交代制の導入も可能になっておりまして、療養介助職を導入したことなど により、看護職が看護業務に特化できる体制も整えられたと考えております。実際、夜 勤専門の看護師に来ていただいている病院もございます。 ○国立病院機構企画経営部長  評価シート7の関係で、人事評価制度についてであります。非組合員の範囲に限られ ているのが問題ではないか、限界があるのではないかということ、手法や訓練も必要で はないか。管理者の評価とはいえ、患者の視点からの評価項目、チーム医療の円滑な実 施の観点からの評価項目にも配慮してほしいということであります。基本的に人事評価 制度については昨年冬のボーナスでは、確かに組合に加入できない管理職員からスター トしましたけれども、3月の年度末賞与の段階では組合とも交渉した上で、組合に加入 できる看護師長あるいは事務の専門職などについても対象としておりまして、職員数で いいますと、管理職全体の約5割になります。管理職すべてについて業績評価を行うと いうことにしました。この方針は変わっておりませんで、17年6月の賞与も引き続き対 象として行っているところでございます。一般的に、管理職以外の一般職員も人事評価 制度の対象にするということで、我々も拡大していきたいと思っておりますけれども、 経団連とか民間の会社がどうやっているかといろいろ聞いたんですが、組合との交渉も しなければなりませんし、同意をとっていくということ、考課する人間の訓練も重ねて いかなきゃならないということで、どうしても実施に移すには数年は必要ではないかと いうことで考えております。3年程度は必要ではないかと我々は考えております。評価 の基準ですが、確かに患者の視点からの評価、あるいはチーム医療の実施という観点か らの評価も重要だと考えておりまして、知識だけではなく、患者満足を呼ぶような行動 や調整力なども業務の遂行能力という形での評価として行っておりますし、患者の視点 からの評価項目やチーム医療の推進からの評価ということも項目として含めて評価して いるところでございます。  次に、本部とブロックとの役割分担ということで、中途半端なブロックの役割、連絡 調整業務というのが残っているのではないかということであります。連絡調整を盾にし てブロック事務所による管理的要素を含んだ業務が復活するんじゃないかという御懸念 と理解しておりますけれども、役割分担としては月次決算や年度計画、増員計画、投資 計画といった業務を、本部と病院で直接行っております。ただ、各病院に個別にメール でいろんな照会をすることになるんですが、それを一々やると150回近い業務を行わなけ ればならないので、ブロック単位に分けて、ブロックにそれぞれの送信と回答の集計だ けをお願いするケースはございます。ただし、この場合もブロックとしての意見を求め たりはしないようにしておりまして、我々は直接管内の病院との会話を行うということ で、多少のお手伝いということで連絡調整業務を行っていただくことはあります。特に 増員関係になりますと、その結果どうなるかという議論については、人事は当然ブロッ クで行いますので、ブロックは当然知っていていただかないと困る分野がありますの で、必要な情報はその都度本部からブロックへも流しますし、協議の進捗状況を知って いただくということはブロックにとっても必要でありますので、その情報は絶えず流す ということにしているところでございます。  次に、院内の効率化、弾力的組織の外部評価を活用してはどうかということでありま すが、組織のあり方についてこれがいいかどうかというのは、我々内部の議論もござい ますし、外部評価を受けた方がいいというケースもあるかもしれません。少し研究させ ていただいて、どうしていったらいいかを研究させていただきたいと思います。  会計監査の指摘の活用であります。16年度は最低年2回会計監査を受けております。 個別に各現場で担当の会計士が病院の方へ訂正なり修正なり、あるいは指摘を行ってお りまして、それについては我々の方にも概要報告をいただいているところでございま す。間違いの多い事項とか、指示が明確に示されていないといった事項などについて は、取りまとめて留意事項として毎月各施設に通知しております。具体的に言います と、15年以前の診療分のうち独立行政法人になるまでに請求できなかった分の計上方法 なり、変えなきゃならないというのを一斉に指摘を受けて、各病院に指示をして直して いただいた。未請求のレセプトの計上方法についても会計監査の御指摘を踏まえて統一 的な指示をしました。措置費、支援費の計上方法も、どういう科目で計上するかという のが各施設でばらばらだった面がありますが、これも医業収益に統一してやろうという ことで指示をいたしました。医業未収金の洗い替え処理という難しい処理を間違ってい るケースが非常に多かったので、その処理方法の周知についても御指摘を踏まえて徹底 したということであります。監査法人からの指摘は常に留意事項としてまとめて、各病 院にフィードバックして、会計処理の統一を図っていく努力をしているところでござい ます。  評価シート8の関係でありますが、一般管理費の削減内容がよくわからないという御 指摘だと思います。無駄があったかどうかというのはなかなか答えにくい面がございま すけれども、官庁会計の下であっても、財務省なり会計検査院なりからの指摘は当然あ るわけで、それなりの適切な執行はしていたと我々も思っておりますけれども、独法化 の際には19億円の削減をしたわけでありますが、一番大きいのは職員数が97名削減され ておりますので、本部として人件費の大幅なカットを行っております。それで約6億円 程度になります。残りの経費ですが、会議費を、国時代は頻繁に院長などの幹部会議を 開いていたわけですが、それを抑制して、できるだけ電子メールなりで対応できるよう にしております。それから、通信費あるいは会議費も削減しましたし、役割分担をしま したので、ブロックとの関係でいえば重複した業務がなくなるということもしました。 財務会計システムを導入しましたので、無駄で重複していた国時代の調査報告は見直し をして、かなり現場の業務量自体を少なくしております。財務会計システムで経営分析 ができるようなシステムを構築して、必要なデータは本部の方でとるということができ るようになったということであります。それ以外に、光熱水費だとか消耗品の節約など も、本部もブロックもかなり具体的に行っておりまして、研修内容も見直しをして、不 必要な部分はカットして適切化を行うということで、何とか経費の節減を行っていると ころでございます。17年度以降もさらに節減を図っていかなきゃならないと思っていま して、テレビ会議システムを導入しておりますので、こういったものを通じてさらなる 通信費や会議費の抑制を図っていきたいと考えているところでございます。 ○国立病院機構医療部長  3番でございます。薬についても、患者のジェネリックへの期待が高まっていること を考えれば、前向きな取り組みも必要ではないかという御指摘でございますが、ジェネ リックの医療経済上の効果とか、それは承知しているところでございますが、ジェネリ ックの使用については、棚卸がきちんとできるかということとか、ジェネリックは一般 的に量が少ないので、今まで使っていたものから変わるときに患者さんに不便を強いる ようなことがあるのではないかとか、そういうことにも配慮しつつ、医療上の必要性か らそれで十分なのかということを考えた上で対応していきたいと考えております。 ○国立病院機構企画経営部長  4番でありますが、御指摘のとおりかと思いまして、我々もまだまだ努力できること はあると思っておりまして、士気を維持しながら経費の削減などに取り組んでいきたい と思います。  評価シート9の関係ですが、具体的には、取り立てのような姿勢が問題ではないかと いうことでありまして、具体的な箇所がわかれば我々の方も指示はしていきたいと思い ますけれども、現場からそういうのは今のところ聞いていないものですから、お答えに くいということで、こういうことがあれば我々としてもちゃんと現場には伝えていきた いと思っております。以上でございます。 ○開原部会長代理  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの補足的な質問や御意見に対し て、さらに御質問がありますでしょうか。どうぞ。 ○住田委員  前回、会計監査人にヒアリングさせてもらったとき、深田企画経営部長の前で私はお 願いしたと思うんですけれども、この会計監査の指摘の活用というのは、ここに書いて あるのは非常にクラリカルなことですよね。ミスだとかちょっとしたこと。それより も、会計監査人にも頼みましたけれども、理事長あてに平成17年度からは監査法人とし ての正式な指摘事項、経営者に対するマネージメントレターというのが非常に貴重なわ けです。会計監査人もそれについては今回出してないということで、約束はさせてもら いましたけど、ぜひこれを17年度から取り寄せるように、高い報酬を払ってるんですか ら必ずくれますよ。お願い申し上げます。 ○国立病院機構企画経営部長  それはこの前お伺いしたとおりでありまして、監査法人ともそういう相談をしており ますので、それは次の経営改善の弾ということにもなると思っておりますので、それは いただいて活用していきたいと思っております。 ○開原部会長代理  ほかに何かございますか。 ○住田委員  私、医療のことはわからないんですけれども、全般的な話の中で、経営に関しては非 常に改善されているわけなんですね。210何億の赤字が19億でとどまったわけですから。 ですけど、私どもが評価するのは単年度じゃなくて、5年間についての評価ですよね。 そうしますと、初年度はどこの組織でも一生懸命やらなきゃいけないといって、かなり 懸命の努力をする。インセンティブも与えていますよね。年度末賞与とか、ですからみ んなが張り切っていい成績を上げたということになるわけですけれども、先ほどから月 次決算、月次決算とおっしゃってますけど、既に新年度は4カ月たってるんですけど、 その面では新年度4カ月間の概略をちょっと私は教えてもらいたいんです。 ○国立病院機構企画経営部長  今日は手元に資料がないので具体的な数字は申せないんですが、傾向で申し上げま す。収益は依然として上位基準の取得を目指して各病院頑張っておりまして、収益は向 上しております。16年度決算に比べても、1病院当たりの平均診療単価は高い数値をず っと維持しておりまして、収益的には好調ではないかと考えております。ただ、費用 も、収益が上がれば増えていくという側面がございまして、触法関係の人は採用してい かなければなりませんので、人員増があった分がございます。ということで、費用も増 えている面がございまして、病院によっては医師不足が続いている側面がかなりござい ますので、かなり苦戦している病院、どんどん新しいものに取り組んで収益も上げてい る病院ということで、この2つがはっきり出てきているということではないかと思って います。17年度は上位基準を取ったりということをやっていかなきゃならないと思って おりまして、それが万全になるように、これからいろんな支援を各病院に対してしてい きたいと思っております。  評価のことについて一言だけ申し上げたいと思います。我々の自己評定と委員の先生 方の評定の仕方は観点が違うというのは当然あるかと思いますけれども、5年間の評価 というのは5年後にするので、今年は1年目の分の評価ということではないかと思って います。それが中期計画に対してどこまで至っているのか、至っていないのかというこ とで評価をしていただいているのではないか。そういった目で見ていただけるのではな いかと思っております。 ○開原部会長代理  それでは、今の補足説明をいただいて、誤解に基づいて評価していてはいけないの で、既にお書きになった分を今から修正していただいてももちろん結構でございますの で、修正される場合には赤字で書くようにということのようであります。  ほかに何か御質問とか御意見とかございますか。評価の仕方をすべての委員の考え方 を統一するというのは難しいんだと思いますが、確かにこれは5年の中の1年目という ことでもありますし、今年よかったから次の年が必ずいいというわけでもないので、い いときには率直にいいと評価してもいいんじゃないかという気もしますので、その辺は ぜひよろしくお願いいたします。  よろしゅうございますか。それでは、一応これで終わりということになりますが、大 変長い時間ありがとうございました。何か疑問点が出てまいりましたら事務局あてに御 質問をいただくということで結構かと思います。今後はこの審議と個別項目に関する評 価結果を踏まえて、起草委員において総合的な評価書を作成することになりますけれど も、それを最後に御議論いただくということになると思います。 それでは、どうもありがとうございました。                                      [了] 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電話 : 03−5253−1111(内線7784)