05/08/02 社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム第2回議事録 社会保障審議会 第2回介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 : 平成17年8月2日(火) 午後6時から8時           東京會舘 ゴールドスタールーム 2 出席委員:井形、大内、大川、開原、川越、高橋、栃本、吉池の各委員        辻委員は欠席 3 議題 (1)通所系サービス(介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーシ ョン)の基準・報酬に関する論点・基本的考え方 (2)その他 ○渡辺企画官より資料に沿って説明 (開原委員)  6ページの「サービスの基本的構造のイメージ」について、このサービス には時間的な考え方というものはないのか。  例を言えば放射線をかけるのにも1クールという考え方があるが、いつま でもだらだらとやってもいいのか。それとも、ある時間がくると見直しがく るのかどうか教えてほしい。 (香取振興課長)  前回も少し説明したが、基本的に予防のサービスは10ページの新予防給付 の基本的な考え方の(1)の2つ目の丸にあるように、基本的には目標、期 間を定めて提供する。その段階で評価するので、それぞれのサービスごとに プロトコルがつくられて、ある程度期間を定めて評価し、その結果に基づい て継続あるいは自立の判断をするということを考えている。 (大内委員)  個々のサービスについてはイメージのところでも6か月とか3か月ごとと か期間の長短があったが、最終的に地域包括支援センターがやるケアマネジ メントとして最初にアセスメントをしてある程度計画を立てて、その全体と して評価するものには特に期間は決まらないのか。厚生労働省令で定める期 間に応じてというものがそうなるのかと思っている。 (香取振興課長)  基本的には個々のサービスについても全体のアセスメント、介護予防のマ ネジメントの中で設定された目標を、それぞれのサービスごとに共通の目標 を分担してやるという形になるので、全体のマネジメントについても一定の ところで評価をすることになる。  資料1の14ページの後に「アセスメント・ケアプランの構造」という絵が 付いている。介護予防のアセスメント全体の構造を図にしたもので、真ん中 から少し右のところに1表、2表と囲っているところがあるが、その中で全 体の予防マネジメントで先ほどから出ている改善する生活行為を定めて、一 定の目標を設定する。長期、短期の目標を設定して、それぞれを実現するた めに個々のサービスを位置付けるので、マネジメント全体としても一定の長 期目標、短期目標、それを達成する期間を設定して一定の評価をするという ことになる。  それぞれのサービス内容によって基本的には違うと思うが、1つのクール を想定して、その段階でその目標の達成度を評価することができるように考 えているので、期間を定めずやり続けるということは想定していない。 (栃本委員)  介護予防通所系サービスについて、基本構造を共通的サービスと選択的サ ービスに分けて、共通的サービスについても基本的なサービス、日常生活上 の支援と今回の「できる生活行為」、「している生活行為」を向上させる支援 ということでこの2つを共通的なサービスにした上で、選択的なサービスを 組み合わせることになるが、選択的サービスの部分がどのくらいのボリュー ムになるかによって、成功報酬をどのくらいのウェートをかけて考えなけれ ばいけないかが変わる。そこら辺を事務局の方かここで議論することになる のか教えてほしい。  もう一つは「介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションの報酬 設計に係る検討課題」の中に「その場合、「個別リハビリテーション」、「運動 器の機能向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」等のメニューごとに包括化 してはどうか」と書いてあるが、他のサービスとの関係で包括化した場合、 例えば支給限度額が幾らくらいまでとなったときに、例えば訪問介護サービ スを使わないようになるから、全体でも考えなければいけない。それぞれの メニューごとの包括化というもののイメージが、この中だけで議論してしま っていいのかどうか教えてほしい。 (香取振興課長)  包括の議論を今回はデイサービスに関して、そのデイの個々に提供される サービスについて包括を考えるということでいかがかと書いてあるが、もち ろんその考え方によってはデイサービス全体で中身のいかんにかかわらず、 丸めてパッケージにしてしまうということもできるし、今のデイサービスの ように時間単位で刻むということも可能である。ここで今回示ししているデ イサービスについてはこういう形のアウトカム評価を前提にした包括化が考 えられるのではないか。あるいは、そのことを踏まえて、例えば成功報酬を どう組むかということが議論できるのではないかということで示していて、 訪問系がどういった形で包括化ができるのかについても別途考えることがで きると思う。  それから、あるサービスを提供することによって他のサービスが代替され る、あるいはデイサービスの一定の機能と同じ、例えば生活機能行為の向上 ということを考えたときに、デイサービスというサービスを使ってそれを達 成するという手法もあるし、訪問サービスを使うということもあると思う。 そこでどのサービスを使うかということは、ある目的を達成するためのサー ビスの選択としては幾つかあり得るし、あるいは介護保険以外のサービスを 使うということもあり得るから、結局はマネジメントの問題になり、それは 基本的には予防のマネジメントの中でその目標設定に対してどのサービスを 選択するかということになる。 (栃本委員)  それをマネジメントの問題だけでやってもだめなので、デイとほかのサー ビスとの関係のある程度の枠組みが報酬上で必要ではないか。 (香取振興課長)  その議論はあると思う。重ねた場合に1足す1を2と考えるのか、あるい は1と1を足して包括化なのかという議論はあると思う。 (三浦老人保健課長)  先ほどの基本的なサービスの部分がどれぐらいのボリュームになるのかと いうことについて、ここの箱の高さが報酬の高さを示しているというもので はなくて、字を書くのに必要なスペースを取ったものである。  この共通的なサービスについては、例えば運動器と比べてどうかというこ とよりも、むしろ要介護度が重い方に比べればこの部分は、かなり少ない部 分になるのではないかということは一般的には言えるのではないか。 (栃本委員)  例えば選択的サービスをチョイスして、リハビリテーション等を活用した 場合も、リハビリテーションだけ単体としてやってもだめで、アクティビレ ートする介護というものが合わさった状態で初めて日常的な意味で改善する のであって、目的とするのは後になっていろいろ活用することによって日常 的にサービスを使わないで済むようになるということで、それこそが本来の 目的だから、そういうところを結び付けて考えなければいけないと思う。 (三浦老人保健課長)  そういう観点で、共通的なサービスについてはベースとして全員にあり、 プラスで選択的なサービスが乗ってくるというイメージなので、それが両者 連携するというのは指摘のとおりだと思う。 (吉池委員)  選択的サービスの運動・栄養・口腔については今回、新たにいろいろ検討 がされたが、アクティビティ等が同じ並びになっている。  14ページの「支援基準のイメージ」では、より目的志向的であり、有効性 が確認されているということで各メニューを見ていこうということになった と思うが、このアクティビティ等についての検討がどの程度議論されてきた のか。運動・栄養・口腔と並びで扱ってしまっていいのか疑問に思っている。 (三浦老人保健課長)  国会等の審議において特別の機能を持たない、例えばデイサービスという ものが残るべきではないかという指摘もあって、ここではアクティビティだ けを行うということも残しているが、委員の方々の議論の中で検討していた だければと思っている。 (開原委員)  11ページの「評価対象をどう設定するか」というところで、今のところこ の成功報酬というのはサービス業者に対して、それを評価して成功報酬を与 えるという考え方だと思うが、本来、実際にサービスを受ける人のインセン ティブが一番大事なので、受ける人に対して成功報酬が与えられるような仕 組みを何とかつくれないものだろうか。例えば、サービスから離脱したら介 護保険料が少し安くなるとか、それは制度上無理であると思うが。 (井形座長)  こういう成功報酬の考え方というのは余り世界に例がない、非常にユニー クなものである。しかしこの3つの運動・栄養・口腔はそれぞれ達成度の差 があり、やってみないとわからない面がたくさんあると思う。  やはり頑張れば頑張るほど自分の負担が多くなるというのは受け入れにく いと思う。 (高橋委員)  成功報酬について、今のところ18年に同時施行を考えているのか。  やはり介護予防給付の構造をきちんと確定すれば、おのずから成功報酬の 議論がもう少し具体的にやりやすくなるので、時間的な段階論という考え方 も入れた方が、より堅実なのではないかと考えている。 (栃本委員)  成功報酬についてはやはり同時にやらなければいけない。  それと、介護保険が始まるときにその成功報酬のことばかりやったわけで はないが、介護報酬の組み立てをどうするのかという議論を重ねてきた中で、 その時点ではまだこれから始まるということと、事業者単位か個人単位かと いう議論もしたわけである。  しかも、実績が5年間あって、今回その新予防給付を入れた理由が要支援 と要介護1を精査した結果、こういうことだからということで改善に向けた ケアをしようということなのだから、きちんと同時にやらなければいけない。 (高橋委員)  事業者のモラルハザードを抑止するのが成功報酬の場合は大前提で、事業 者の動きを見ると、事業者自身のモラルハザードを誘発するような制度設計 だけはやめてほしいということも含め発言している。 (三浦老人保健課長)  介護保険制度では保険料を3年に1回、介護報酬を3年に1回変えていく ということで、来年4月からの報酬をどうするかという点では今回の議論は 4月以降の対応についてのものであるが、これは成功報酬を入れるための議 論というよりも、成功報酬の課題等も含めて議論いただきたいと思っていて、 成功報酬を入れなければいけないという状況でもない。 (川越委員)  成功報酬とは書いていないが、介護報酬上で評価するというところが事業 者にいくというところに違和感を感じる。事業者はプロとしてケアをした結 果、介護予防ができたというのは当たり前のことで、それに何で成功報酬を 出すのか。もし成功報酬を出すとしたら、一生懸命通って頑張った利用者が もらうものなのではないか。利用者がもらえるものとなるとインセンティブ がすごく働いて、閉じこもっている人もやってみようかという気持ちになる かもしれず、 その利用者への報酬としては、元気になって自立して、ボラ ンティア的なことをしたら介護保険料が安くなる等、利用者がメリットを被 るとよいのではないかと思う。 (栃本委員)  医療や看護では治療してよくなるのは当然で、それは喜びとしなければい けない。喜びとしなければいけないというのは、以前介護報酬を審議会で議 論した際の専門家の委員の発言であるが、介護の場合、亜急性期や安定期の 継続した中でケアをしていくということで、だらだらしたケアではなくて違 う意味のケアというものが求められる。  この間、現場においても介護の仕方というものは大分変わってきたし、介 護の目的も、目的志向型のケアにするとか、変わってきたと思うが、それを もっと後押ししないとうまくいかない。漫然とやっていればお金になるとい うものではない形にするために、いいことを日常のケアの場面でして、積極 的介護をやることによって短期間で切り上げられた。それでもうサービスを 使わなくなったということがあれば、サービス提供者側に対して、ある程度 の評価をするということは当然だと思う。  評価ということでは、ケアプラン上これが達成できた等を介護報酬上評価 するとか、地域包括支援センターでプールして配分するとか、いろいろなア イデアがあると思う。個々の状態像が少し改善したという点から、介護報酬 上の、位置付けを行うのは非常に難しい。  むしろサービスを使わなくなったところで評価すべきであり、基本的には サービスを使わなくなったということが重要である。 (大内委員)  成功報酬の件について、対象の選び方、実際の評価指標等今回出ているも のの組合せを考えていくだけでもそれぞれに問題があって、モラルハザード を誘発しないで、しかもインセンティブにつながるということは、具体的に どうするかということは難しい部分があって、前回から思っていたのは、成 功報酬とかインセンティブというよりは、頑張ったおまけということではな いだろうか。  それと、他のシステムでサービス内容の質を担保しないと、この介護報酬 の成功報酬だけでうまく動かしていこうというのは難しいのではないか。 (井形座長)  これは、認定時に効果がありそうなものをセレクションするし、効果を上 げるためには一生懸命やるということになるが、年齢とともに一般には悪く なるから、よくなる人には一生懸命やるが、悪くなる人は放ったらかしとい うことも起こり得るので、基本的な報酬はきちんと置いて、それに成功報酬 を加味するということになるのではないか。 (吉池委員)  前回論点のイメージとしては、達成したら施設にお金が入るという想定で あり、そうすると高橋委員が指摘したように逆のモラルハザードが起こるの ではないか。また指標の難しさという意味では、大内委員が指摘したように 施設側にとってしっかりと取り組んだ結果が情報公開として利用者に伝わる 仕組みをつくっていくということで、結果的にインセンティブが働く仕組み がいいと考えている。  評価対象を事業者単位としたときの利点で「目標の達成度により、利用者 が事業者を選定することが可能となる」とあるが、これは基本的に情報の開 示を前提として、いわば社会的に見た施設の格付けが見えてくるような事だ と思うが、そういう方向でいいのではないかと思っている。 (大内委員)  「介護予防通所介護」「介護予防通所リハビリテーション」を、共通的なサ ービスと選択的なサービスという二層構造にすることについて、国会答弁等 で現行の事業者が指定を受けられるようにということもあると思うが、基礎 的部分だけをやるということでも、指定は認めるということなのか。 (香取振興課長)  現行制度上でも、今の提供されている機能を整理してこの形になっている わけだが、共通的なサービスのみ提供するデイサービスセンターというのは 一応基準上はだめで、例えば通所介護であれば何らかの機能訓練を行ってい るということが前提になる。特に予防なので何らかの予防効果のあるサービ スを提供することを前提としてこの基礎的共通的なサービスを考えるという ことになる。  現在行われているアクティビティについても予防の効果に資するかどうか という観点からある程度検証することは必要だと考えている。 (栃本委員)  共通的なサービスの部分も中身を変えるということが重要で、先ほど開原 委員から期間について指摘があったが、期間を限定するとか、仕組みでうま く今までやっていたのんべんだらりとした形でないものというのは可能だと 思う。  「介護予防通所リハビリテーション」でOT、PT等と説明があったが、 その他にはどういうものを想定しているのか。 (香取振興課長)  人員配置の議論になるが、通所リハビリテーションの人員基準の中でリハ ビリテーションの職員として「PT・OT・看護職員・介護職員等」という ことになっているが、これは、現在のリハビリテーションの機能を担ってい る人としてこういう職員配置になっているということである。 (山崎総務課長)  成功報酬については、5年前も同じような議論をしており、何とか形にし たいとは思っているが、一番懸案の部分というのは資料11ページのAの部分 で、利用者単位で見た場合に、だんだん軽くなってくるのに利用者負担が重 くなるというのは確かにおかしな話で、そこをどう判断するかということで、 事業者単位という考え方、短期間で非常によくする事業者があれば、最初か ら加算するというのは利用者にとっても意味があると思う。  逆に言うと、事業者単位での評価が可能かどうかは議論があるが、ある一 定時期になったときには、この事業者というのは徹底的にサービスをやって うまくやっていて、ここはだらだらやっているということがある程度わかる とすれば、評価としては可能ではないかと思うが、その辺の御意見をいただ きたい。 (栃本委員)  今の指摘のように、利用者単位というのはやり方として難しくてできない が、一方では利用者単位で見るとケアプランの目的達成等、アセスメントレ ベルではいろいろなことができるが、それはサービスを使わなくて済むよう になったとか、だらだらと使うのではなく、他の訪問介護サービス等の利用 も無駄がないような形になっていくということで、やはりこれは事業所単位 が一番いいと思う。  その場合、問題はサービス利用者の割合で、そのうち何割がどう改善した らいいか等の考え方は工夫する必要があると思う。  利用者単位で見るというのは個別アセスメントではよくわかるが、それを 全体的に検討することは難しいから、枠組みで考えるということでやる以外 にないと思う。それで、サービスの質や中身が改善すると思う。 (高橋委員)  情報開示が要支援に限って改善のデータが1年ごとに入ってくると、地域 差もバラエティがあるわけだから、そういう形でそこの加算点数になるとい うようなイメージで、機動的に動き得ると思う。 (栃本委員)  ドイツの医療費の目標管理で、あるものより使い過ぎてしまったら後で減 算の対象になるとする方法、つまり、だらだらやって改善されないというこ とであれば、減算するというやり方もあるし、いろいろな工夫はできると思 う。 (開原委員)  評価のない包括化というのが一番モラルハザードを起こす可能性がある。 包括化をやるならば片方でその評価を入れておかないと非常に危ないことに なる。そういう意味では、包括化と、それから評価というのは連携している ので、この際、入れるほかないと思うが、大事なのは一体だれが評価するの かという問題だと思う。  自分で評価して請求するという考え方もあるが、この場合微妙なところが あり、何らかの第三者的評価がないと危険な感じがするので、そこの評価の メカニズムをどうつくるかということが大事ではないか。 (井形座長)  この報酬設計をサービスの基本的構造に即して行うということは合理的だ と思う。3つの運動機能の向上と栄養改善と口腔と、メニューごとに包括化 というのもいいと思うが、包括払いにするとケアプランもワンパターンにな りやすい傾向があるから、若干の流動性を持たせた方がいいのではないかと 思う。 (吉池委員)  事業者単位でサービスの達成、目標、質を開示することを評価をして、そ れを金銭的なことに結び付けるとしたら、直接何かしたらすぐ入るというよ りは、次のときに少し加算されるということにつながればいいと思う。  その加算がされたことによって施設がビジネス的に潤うという額ではなく て、要するにその施設の人員等を充実させていくための資金にするとか、あ るいはそれ自体が額よりも施設のステータスとなるような形にするのがいい と思う。 (高橋委員)  サービスの公表制度とリンクさせればいいと思うが、開原委員の言われた 評価の仕掛けをきちんとやらなければいけない。これはできるだけ主観性を 排除した形で端的に、客観的にデータが出てくる仕掛けというのはどうなる のか。地域包括支援センターの機能の一つとして、すべてそこに押しつける のはそこを担う職員にはかわいそうだが、どこかで中立性を担保する仕掛け を入れないと、議論ができないのではないかと思う。 (井形座長)  評価そのものはやはりスタンダードを決めて自己評価以外でないと、第三 者が入って評価することは不可能ではないだろうか。 (高橋委員)  先ほど栃本委員の説明から言えば、改善の結果、サービスを使わなくなっ たという数字が出てくる事になる。 (栃本委員)  評価というのを重層的な意味で使ってしまっているから混乱するが、事務 局でまとめたケアプラン上、位置付けられた生活行為の改善という意味でア セスメントをしてやるというものもあれば、要介護度の改善と、あとは目標 を達成したことによるサービス上の指標、使わなくなったという指標もある。  ただ、問題は使わなくなったと言っても無理やり使わなくなったというこ とがあったらいけないから、その場合には全数調査は難しいから,抽出でや る等いろいろな工夫はできると思う。 (川越委員)  この成功報酬というのは通所サービスだけではなく、訪問系等でもまた検 討されるのか。  それからもう一つ、評価が大事ということはよくわかるが、自己評価、第 三者評価、監査や情報開示等で、現場はそれに翻弄されているので、この評 価はシンプルにしてほしい。それは栃本委員の説明にあった、本当の意味で 利用しなくなるという指標がいいのではないかと思う。 (井形座長)  「目標を達成したことによるサービス利用の終了」という項目があるが、 これはなかなか難しいと思う。介護予防というのはその人の習慣として定着 して初めて威力を発揮するので、目標を達成したからもうこれでやめるとい うイメージでとられるとまずいのではないか。 (栃本委員)  「目標を達成したことによるサービスの利用の終了」というのは、要する に本来であればサービスを利用しなくても済むような人たちで、しかも少し 働きかけをすれば大分よくなる、又は使わないでやっていこうという方向に 持っていける人たちにターゲットを当てていると思う。  そうでない人はまた別途すればいいし、もう一つは基本的構造のサービス そのもののやり方も変えなければいけないし、目標設定も変えなければいけ ないが、その部分を使ってずっとやるということもあり得る。この場合は本 当にサービスを使わなくて済む、又はいずれ使うことになってももっと効率 的ないい形での使い方を学習するだろうと考えているので、「(3)目標を達成し たことによるサービス利用の終了」という考え方でいいと思う。 (高橋委員)  これは個々の問題ではなく、事業者がサービスを終了させることができる ような力量を持ったケアを持っているということの評価だから、一つの代表 指標で、全員がそうなるという話ではないと思う。 (大内委員)  評価対象は施設単位でやらざるを得ないと思う。ある程度短い期間で数字 が拾えて客観性もあるというと、やはり「(3)目標を達成したことによるサー ビス利用の終了」が一つの指標になると思う。  それで、新予防給付に限ったことだとすると、ここでのサービス終了は新 予防給付のものであって、これがもしサービス終了になったら地域支援事業 等のフォローも対象になっていくと思う。 (大川委員)  成功報酬については、事業者単位の方がやりやすいと思うが、この問題は、 ある事業者1つだけでやるのではなくて、今後はチームワークとしてもっと やっていくというところが介護予防では大事だと思う。  ただし、そこでコーディネートするということを特に介護予防の場合は通 所介護や通所リハはかなり大きな役割を果たすとすれば、そのコーディネー トを評価してその事業者に成功報酬を付けるということでもいいと思う。  それから、一番頑張ったのは本人だと思うので、少なくとも自己負担が増 えるようなことは絶対してはいけないし、本人によく頑張ったということを どう評価するか考えるべきである。  評価指標について、例えば生活行為の改善にしても目標をどれだけ達成し たかだけでは微妙なところがあるから、むしろ自立度として自立をしたとか、 ある程度ラフなスケールで評価するというのも現実的ではないか。基本的に 状態がよくなったということで評価すべきであって、サービスを切ったとい う指標はなじまないと思う。  離脱するということは大事なことだが、離脱したときにそれで報酬として 評価するというよりは、離脱後に生活機能の状態をいかに向上させるかが大 事だと思う。終了後どうフォローするのかということもこのサービスの体系 としては考えておくべきと思う。  共通的なサービスについて、高齢者リハ研究会や他の検討会でも議論をい ただいており、もともとは既に前回の介護報酬の改定におきまして、リハビ リテーション関係ではこの考え方は既に入っていたのではないかと思う。  やはり介護予防において生活行為を改善させるというのは非常に重要な観 点だと思う。その生活行為を改善するためにどう対応するのかということを 考えたときに、生活行為向上支援の考え方は介護予防関係の一番核になると ころとして位置付けるべきである。  資料15ページに具体的な内容が書いてあると思うが、ここだけを切り離し て考えるのではなく、ケアマネジメント全体の中で位置付けるというのが大 事だと思う。  0表も2表のところにも「するようになる生活行為」というものが位置付 けてあるから、これが明確になり、向上させようと思ったら直接的に生活行 為に対して指導をすることが一番の基本になる。介護予防の議論というのは、 生活行為が悪くなっているのにそうではなくて、心身機能に対応して生活機 能が自然に上がるのではないかという思考過程に陥っているという表現はき ついかもしれないと思う。  そのときにポイントとなるところが幾つかあり、生活行為向上支援という 中に「できる生活行為の向上」というのは、要するに訓練として本来もっと 伸ばせるような能力を伸ばそうということで、これによって生活行為を向上 させるということである。  訓練でだけ生活行為の指導をしても、それで定着するというわけではない ので、幾ら訓練をやっても実生活の中で行わなかったら効果がないから、そ ういう指導をきちんとして生活行為の向上を目指すということで、自宅でど ういうやり方をするかというところまで含めて指導をするということだと思 う。  在宅生活での定着を目指すということが大事であり、通所のときに何をや るかということだけで評価すべきではなくて、在宅生活でそれがきちんと実 行されて初めて効果があるから、ここをきちんと認識してやるべきだと思う。  もう一つは、先ほどコーディネートと言ったが、地域の介護保険以外のサ ービスで外出機会を増やすとかは重要であるが、そういう内容をどこにも書 いていないので、これも生活行為の向上支援としてとらえていいのではない か。  それから、0表の(3)のところに支援のポイントとして「生活不活発病 の改善・予防の要点」について、介護予防とは生活不活発病の予防・改善が 重要だと言われているが、それはただ体を動かせばいいということではなく、 なぜ生活不活発病が起きたのかという原因を明確にしてそれに対応するとい う具体的な生活行為自体に対する対応というものがあるし、コーディネート する能力ということ、それから生活不活発病に対する具体的なプログラムづ くりという3つを合わせてこの生活行為向上の支援であると思っており、こ れを重視した構造になっているということは非常に画期的なことである。  それで、通所介護、通所リハに共通的なサービスと選択的なサービスがあ り、1つのサービス事業者の中でもたくさんのサービスを活用するわけだか ら、そのサービスの中で統一的なプログラムをきちんと組むということはか なり大事なことだと思う。  例えば研究報告書の中に、それぞれの評価要旨とか効果判定というものが あるが、個々のものをプラスすれば全体像になるという分業ではなくて、一 人ひとりの生活行為をよくするためにはどういうプログラムを組むのかとい うことで個別的なプログラムを位置付けるべきで、効果の判定についても、 生活行為がよくなるという観点が一番大事だと思う。  報酬の在り方に関しても、介護予防全体の中でそのサービスがどういう役 割を果たすかということも評価すべきであり、全体的な効果を上げるような 対応をしたときにも報酬を付けるとか、個別的なところだけではなくて全体 としてうまくコーディネートされながら介護予防の効果を果たしたかという ところを意識して報酬を考えてほしい。  介護予防というのは介護予防サービスだけを考えるのではなくて、インフ ォーマルサービス等をいかに活発化させるかということを考えないと、離脱 後、結局はまた落ちてしまうから、その長期的なことも考えて対策を立てる べきである。 (栃本委員)  13ページ「介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準について」 の中に「基準の位置付け」とあり、14ページにそのイメージが書いてあるが、 そもそも新予防給付に係るアセスメント・ケアプランというのはかなりオー バースペックであり、これはある種の介護基準みたいになる。  その場合、間違っても指導という言葉を入れてはいけない。アクティベー トする介護が下手をすると権威的介護になりかねない。少なくともアセスメ ント・ケアプランを見ると、生活全体に関わることなので、基本的な人間観 をどう持つかということは非常に重要であり、それは先ほどの改善について の報酬にも関係してくる。  つまり、「支援基準のイメージ」については、簡略であるべきだし、これは まさに新予防給付のケアスタンダードになるから、重要である。 (井形座長)  介護予防というのは一般的には今まで楽しくデイサービスと言っていたの を、目的を持って介護予防の方にシフトするということなので、まずは来て もらう必要がある。  例えば、栄養改善でいつまでもおいしく食べて健康になろうとか、運動機 能もいつまでも歩ける体でいるように努めようとか、かみ砕いた表現にする と皆の受け取るイメージが楽しそうということになるので、相当理解しても らわないとこの制度が生きないと思う。 (香取振興課長)  先ほどの栃本委員の指摘は十分認識していて、アセスメントの基本的な構 造の中でも「指導する」という言葉は基本的にはできるだけ使わない。本人 の主体的な意思をできるだけ尊重するという考え方でやっている。  新基準というのは事業者向けに基準をつくることになり、事業者にこのこ とをきちんと守らせたいのでこういう表現になっているが、井形座長からも 指摘があったように、利用者にやさしい表現ということをできるだけ考えて いきたいと思う。  それから成功報酬については、先ほど大川委員からも指摘があったように、 マネジメントはマネジメントで今回はきちんと目標達成の指標を出し、その 結果を評価するということを基本的に行う。それで、個々のサービスについ てもできる限り目標設定を提供するということをするので、目標設定と評価 あるいは一定の期間で達成度を見ていくということは、すべてのサービスに ついて該当するし、個々のサービスの集積として全体の評価をしていくとい うことがサービスの基本になるわけであるが、成功報酬のような形で報酬の 評価がすべてのサービスについてできるかということを考えると、そこは技 術的なことも含めて議論があると思う。  例えばケアマネジメントについては、モニタリングしたり、訪問するとい うことは評価し、逆に行わない場合は減算するという形で、プロセスで評価 をする形でウトカムを担保しているが、今回予防については通所系が中心に なると考えているし、生活改善指導ということをベースに入れているので、 成功報酬の議論というのはまず基本的にはすべてのサービスについて議論は 可能だと思うが、通所系のサービスについて可能かどうかを議論することが 基本になるのではないか。 (開原委員)  13ページの基準作成で「3つのメニューごとに、必要な基準を追加しては どうか。その場合、3つのメニューの一部を提供する場合についても指定を 受けられるようにしてはどうか」とあるが、この3つをすべての通所リハビ リテーションか通所介護に備えるのは無理な話なので、これはこれでいいの ではないかと思っている。  ただし、アウトカムの公表というものをどこかに入れておくと、評価のと きにいいのではないか。どこかにアウトカムの情報公開という部分を「望ま しい」くらいで入れておくといいのではないか。 (大内委員)  「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」の3つを全部やらな ければいけないというのは現実にも無理だと思う。  ただ、本来の考え方として、実際の市町村のモデル事業の実施のときの意 見にもあったと思うが、「栄養改善」と「口腔機能の向上」が密接に関連して いるとか、運動機能向上トレーニングをやるときに栄養改善も一緒にやった 方が効果が上がるという事例がかなりあると思う。そこを何か担保できるよ うな形にした方が実効性が上がると思う。 (香取振興課長)  アウトカム評価については、これからの議論の中で一定の基準に基づいて、 例えば先ほどの成功報酬なり達成度評価ということで、この施設はこういう 加算を付けるというルールができれば、それに従って付いているかどうかを 情報開示の項目の中に入れ込むことが可能になると考えている。  それから、仮に成功報酬とは関係ないとしても、あるいはこういうサービ スについて例えば平均要介護度がどれだけ改善したかというようなことを示 すべきであるということであれば、そのことを開示項目に追加することは可 能なので、サービスの質や選択に関わる事項ということになると思うが、基 本的には何らかのスキームやルールが決められれば、それは標準的な開示項 目の中に取り込むことで対応することは可能と考えている。 (中村老健局長)  国会でも相当介護予防については議論があり、3つの新規メニューが効果 があるということで提案されたことが国会の議論では逆にそのメニューに限 られてしまうのではないかという懸念も表明されたことから、通所サービス で従来のメニューであっても介護予防の通所サービスということはできるよ うにするということになったところである。介護予防については研究会など で今の評価しない、期間も区切らないやり方について問題があるのではない かということがベースになっているので、せっかく新しい予防給付、生活行 為向上支援ということを核にしてやっていきたいので、是非従来のサービス にない新しい試みにチャレンジできたらと思っているので、今日いただいた 意見を踏まえながら作業していきたい。 (三浦老人保健課長)  「送迎」「入浴」についてどのように評価するかという点について若干コメ ントをいただければと思います。先ほど説明したように、かなりの方々に「送 迎」「入浴」が行われているという実態を見てどのように評価することが適当 か。  現在のように「送迎」「入浴」が行われれば、その行為を加算という形で評 価する方法もあるが、ほとんど行われているのであれば報酬本体の中に入れ て包括的に評価するという方法もあるのではないかと考えている。 (井形座長)  実際問題として「入浴」というのは高齢者が参加する大きなファクターな ので、これが抑制されることのないような対処が望ましい。  それから食事が自己負担になり、今までの通所サービスのイメージが少し ずつ変わるので、どういう点が変わってどういう魅力が出たかということを PRして理解を求めないといけないと思う。 ○井形座長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)