05/08/02 第1回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 議事録      第1回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 議事録 1 日時: 平成17年8月2日(火)15:30〜17:00 2 場所: 中央労働委員会205会議室 3 出席者:     公益代表   清家委員、宮本委員     労働者代表  谷口委員、奥島委員、村上委員     使用者代表  山野委員、杉浦委員       事務局  上村職業能力開発局長、皆川審議官、妹尾総務課長、            半田キャリア形成支援室長 4  議題  (1)  労働政策審議会職業能力開発分科会運営規程の改正について  (2)  労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会運営規程の改正について  (3)  第8次勤労青少年福祉対策基本方針の方向性について 照会先: 厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室企画係・小倉 03−5253−1111(内線5937) 03−3502−8931(夜間直通)        第1回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会                        日時 平成17年8月2日(火)                           15:30〜                        場所 中央労働委員会205会議室 ○半田キャリア形成支援室長  定刻前ですが、今日ご出席の予定の委員の皆様が既にお揃いですので、第1回労働政 策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会を開催いたします。本日は委員の皆様の改 選後初めての部会の開催となりますので、部会長が選任されるまでの間、私、半田が議 事進行を代行させていただきます。  なお、本部会の名称です。7月8日に開催された職業能力開発分科会において運営規 程の改正がなされました。ただいま申し上げた「若年労働者部会」という名称になって います。経緯などについては議題の中で後ほど詳しくご説明しますので、よろしくお願 い申し上げます。  労働政策審議会の委員については4月の任期切れに伴う改選があり、これに伴い、本 部会についても委員の改選が行われたところです。これにより、本部会の部会長であっ た若菜委員が労働政策審議会委員をご退任になりました。新たに部会長が選任されるま では、私が代行させていただきます。  今回の委員の改選について、改選後名簿は資料1としてお手元に配付しております。  新たに委員になられた方をご紹介します。公益委員代表として、慶応義塾大学商学部 教授の清家委員にご就任いただいております。使用者代表委員として、日本経済団体連 合会教育問題グループ長の岩松委員、ビューティートップヤマノ代表取締役の山野委 員、全国中小企業青年中央会会長の杉浦委員にご就任いただいております。労働者代表 委員については、変更はありません。  本日の出欠です。公益委員代表の小杉委員、使用者代表委員の岩松委員がご欠席にな っています。  各委員の辞令についてです。政策審議会委員でいらっしゃる清家委員及び能力開発分 科会委員でいらっしゃる山野委員については、既にお渡ししてございます。他の方々に ついては、本日の資料と併せて机の上にお配りしてございますので、ご確認ください。  それでは、事務局を代表して職業能力開発局長の上村からご挨拶を申し上げます。 ○上村職業能力開発局長  能開局の上村でございます。今日はお暑い中、またお忙しい中、委員会にお集まりい ただきまして、本当にありがとうございます。  いま半田室長から説明があったように、先月20日の職業能力開発分科会でこの部会の 名称が変更になっています。フリーターやニートの増加といったことから言われるよう に若者の問題が大変大きな課題になってきており、取り組むのもどこから何に手を付け たらいいのかというなかなか難しいところはあります。そこは正直言って本当に悩んで おりますが、とにかく考えられる手を少しでも打っていくような努力をしていこうでは ないかということで取り組んでおります。そういったことについてご議論をいただけれ ばということで部会の名称も変更になったという次第です。  この部会で議論していただく大きなテーマとして、勤労青少年福祉対策基本方針とい うものがあり、この第7次の基本方針が今年度で終わることになっています。したがっ て、来年度から第8次の方針をスタートさせる必要があり、その策定が必要です。能力 開発基本計画も同じ数字だったと思いますが、第7次の計画が今年度で終わり、来年度 から第8次ということで、そちらも分科会でこれから議論をしていただくことになって います。一緒のタイミングになりますが、若者の問題について大いに議論をしていただ き、我々とすればお知恵を拝借させていただき、中身のあるものにしたいと思っており ます。よろしくお願いします。 ○半田キャリア形成支援室長  資料の確認をいたします。お手元の資料は右上に番号が振ってありますので、ご確認 ください。資料1から4まで、参考資料として参考1から参考11まで用意しておりま す。よろしいですか。  当部会の部会長の選出についてご説明します。参考2の2頁目、労働政策審議会第7 条第6項に「部会に部会長を置き、この部会長は、部会に属する公益を代表する労働政 策審議会の委員のうちから選出する」とあります。本部会の公益を代表する本審の委員 でいらっしゃるのは清家委員のみですので、恐縮ながら、自動的に清家委員に部会長を お願いすることになります。どうぞご了承の上、よろしくお願いいたします。  ここから清家委員に座長をお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。 ○清家部会長  清家でございます。私は労働経済学者ですが、研究の対象は、どちらかというと若者 の反対のほうの高齢者のことを研究しておりましたので、この問題はあまりよくわから ないところもあります。幸い、この部会は宮本委員をはじめこの問題についてご見識の 深い方々がお揃いですので、いろいろ教えていただきながら進めてまいりたいと思いま す。どうぞ、よろしくお願いいたします。  本日の議題は、大きく3つあります。(1)労働政策審議会職業能力開発分科会運営規 程の改正について、(2)労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会運営規程の 改正について、(3)第8次勤労青少年福祉対策基本方針の方向性についてです。  最初の議題は「労働政策審議会職業能力開発分科会運営規程の改正について」です。 先ほど事務局からお話がありましたが、7月20日に開催された職業能力開発分科会にお いて分科会の運営規程が改正され、本会の名称及び分科会との所掌に関する変更がなさ れています。この件について、事務局よりご説明いただきます。 ○半田キャリア形成支援室長  資料2をご覧ください。この分科会規程は1頁のように変わっていますが、大きく3 点あります。まず、当部会における所掌事務を少し拡大する。これまで勤労青少年とい うことで、どちらかというと在職青少年を中心にした福祉対策ということで来ていたわ けですが、昨今の情勢に鑑みると、若者の就労促進も含めた対策が青少年福祉対策とし て重要であろうということで、無業者も含めた対策といったところに切り込んでいきた いということで、所掌事務、勤労青少年から若年労働者に拡大しております。そう言い ながら他方では、この分科会との関係でもありまして、専決事項の部分の所掌事務の切 り分けを少し整理し直しております。  3頁の正誤表をご覧ください。ただいま申し上げたようにこれまでの分科会規程では 勤労青少年福祉方針の策定に関すること、福祉の増進に関すること、専門事項の調査・ 審議となっていますが、上に書いてあるように「その他若年者の職業能力開発に関する 事項」を付け加えます。第7条が第8条に変わっていますが、所掌事務について、これ までは所掌事務については専決だったわけですが、分科会との関連もあるので部会のほ うのものに関しては、「勤労青少年福祉法第6条第1項に規程する勤労青少年福祉対策 基本方針の策定に関する事項」とさせていただいております。専決事項の範囲が少し狭 くなっているというわけです。以上のとおり規程を変更しております。 ○清家部会長  委員の皆様方、ただいまご説明のあった件についてご質問等はありますか。よろしい ですか。  それでは、ただいまご説明のあったような形で改正された運営規程に基づき本部会を 運営してまいりますので、よろしくお願いいたします。  議題2「労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会運営規程の改正について 」です。これは、職業能力開発分科会運営規程第9条において「この規程に定めるもの のほか、部会の議事運営に関し必要な事項は部会長が部会に諮って定める」とされてい ますが、今般の分科会運営規程の改正を受け、本部会規程も改正を行うというもので す。これについても、事務局からご説明をお願いいたします。 ○半田キャリア形成支援室長  資料3をご覧ください。肝心な部分は、ただいまの分科会規程のほうですべて規定さ れています。部会運営規程については、第1条で「勤労青少年部会」となっていたもの が「若年労働者部会」に変わるというだけです。 ○清家部会長  いま事務局からご説明いただいた部分についてご意見等はありますか。よろしいです か。それでは、そのような形でこれから進めさせていただきたいと思います。今後は、 本部会の運営規程に則って運営を行うことにさせていただきます。  議題3「第8次勤労青少年福祉対策基本方針の方向性について」です。これも事務局 よりご説明をいただきます。 ○半田キャリア形成支援室長  基本的に資料4をご覧ください。資料4を中心にしながら参考の1から11まで、大量 ですが、これを急ぎ、ご説明申し上げます。先ほど私どもの局長からお話があったよう に、いま第7次基本方針で運営していますがこれは今年度で終わる、来年度からは第8 次方針を策定するということが必要になっています。そのためのご検討をお願いしたい ということです。  この方針を策定することについて。資料4の5頁に勤労青少年福祉法の概要が抜粋で 書いてあります。この(3)の所です。勤労青少年福祉法の第6条、第7条に「厚生労働 大臣が勤労青少年福祉対策基本方針を定めること。都道府県知事はこれを参酌して都道 府県勤労青少年福祉事業計画を策定するように努めること」、このようになっていま す。これに基づいて策定するものです。  勤労青少年福祉法の理念、目的といったものです。6頁には、第1条から第3条まで の条文をそのまま引用しております。勤労青少年、第1条(目的)です。勤労青少年の 福祉に関する原理を明らかにするとともに、勤労青少年について、職業指導の充実、職 業訓練の奨励、福祉施設の設置等の措置を計画的に推進し、もって勤労青少年の福祉の 増進を図ることを目的とする、このようになっています。  (基本理念)です。第2条、すべて勤労青少年は、心身の成長過程において勤労に従 事する者であり、かつ、特に将来の産業及び社会をになう者であることにかんがみ、勤 労青少年が充実した職業生活を営むとともに、有為な職業人としてすこやかに成育する ように配慮されるものとする。第3条、勤労青少年は、勤労に従事する者としての自覚 をもち、自ら進んで有為な職業人として成育するように努めなければならない。  私は、この法案を策定した当時の勤労青少年課長から、教育でもなく成長でもなく 「成育」という所に自ら育ち、それを皆で支えるという思いを込めたのだというお話を 度々伺っています。このようなことで福祉法が制定されています。この理念そのもの は、今でも有効かと思います。ただ、先ほど申し上げたように「勤労青少年」という文 言はこの法律上では決して在職青少年に限っているわけではありませんが、ご覧いただ いてもわかるように、どうしても在職青少年が中心になるといった政策を展開してまい りました。しかし、後ほど申し上げますが、青少年をめぐる問題にはニート、フリータ ーなどの問題もありますので、この辺をもう少し幅広く展開していきたいと考えており ます。  これまでの第1次から第7次にわたる方針がどのようなものであったかをごく簡単に ご覧いただきたいと思います。  7頁、第1次方針です。計画期間、昭和46年度〜昭和50年度。最初の計画ですが、大 きく5つの柱があり、その(1)福祉の増進に関する気運の醸成が入っています。(2)は、 ただいまの法令の中にもありましたが、適職の選択、職業適応に対する措置、(3)職業 訓練の奨励、(4)職場環境の整備、(5)余暇時間の有効活用、この5項目で整理されてい ます。第2次方針は、基本的にこれに則ってやっています。  第3次方針では、3の2行目の所ですが、社会参加の促進が新たに付け加わっていま す。余暇活動の充実策として、従来のスポーツ活動、クラブ活動に加え、社会参加の促 進としてボランティア活動等の自主的参加が取り上げられています。下の2行ですが、 ワーキング・ホリデー制度にも言及されており、国や地方自治体が実施する国際交流事 業に勤労青少年交流を積極的に促進するといったことが特記されています。  第4次方針では、先ほどのボランティア活動に関する意識の高揚に加え、これをさら に強化するという観点から「ボランティア体験講習会」、「ボランティア・リーダー養 成講座」、こういったものが言及されています。  第5次方針では、いちばん下の行ですが、勤労青少年指導者体制の整備及び勤労青少 年指導者教育の促進といったところに重点を置くということが1つの特徴です。  もう1つ大きく変わるものとして第6次方針です。下4行ほどの所ですが、勤労青少 年ホームのあり方について、かなり新たな提言をしてきています。今後の勤労青少年ホ ームに期待される機能として、1つに(情報発信基地としての機能、社会人・職業人・ 国際人としての知識体得の場としての機能、地域に根ざした活動の場としての機能、相 談機能)この4つの機能を明示し、ホームのあり様について示しているものです。  第7次方針は、基本的に第6次方針の延長線上にあるとお考えいただいてよろしいか と思います。このように時代の変遷とともに内容もだいぶ変わってきていますが、な お、在職青少年に対する目線が強いかなと感じております。  これから若者の状況、参考資料について少しご説明します。参考6に「労働市場を取 り巻く状況」と書いてあります。最初の頁は、若者の人口が減っていっていますという ことを示しています。14歳以下、1995年に2,001万人。これが2003年に1,790万人に減っ ています。2005年には1,773万人と見込まれています。2030年には1,323万人にまで減少 すると見込まれています。  それを受けて次の頁、生産年齢人口の動向です。当然ですが、全体の生産年齢が縮小 する中で若者も同じように減っていっているということです。  次の頁、労働力人口の動向です。2004年の現状と2015年の状況、あるいは2030年の状 況とを比較してあります。この推計の肝は、若年者の就業支援策を行った場合と行わな かった場合の見込みです。例えば2015年であれば、就業支援策を行わず放置すれば 1,088万人程度。ここに、就業支援策を行って80万人増と見込まれれば1,170万人ぐらい になるでしょうとあります。こういった数字が出ています。  4頁は、団塊の世代が2007年辺りで大量に引退しはじめる状況にあるということ、そ れを補う若者が先ほどご覧いただいたように不足しているということです。  5頁は、年齢別の失業率、有効求人倍率を示したものです。有効求人倍率が15歳、24 歳では1.25と他の年齢階層に比べて高くなっていますが、他方、完全失業率も、9.1% とかなり高くなっているということです。  6頁、フリーター、無業者等の状況です。2003年が217万人、2004年が213万人。状況 は景気がやや好転しているので少し減っていますが、それでも213万人という数になっ ているということです。  7頁は、若年無業者の増加の様子です。  参考資料7は企業における若年者の評価で、アンケート結果から集めたものです。最 初の頁です。採用の際の企業のフリーターに対する評価として、当然ですが「マイナス に評価する」が3割、その理由としては、「根気がなくいつ辞めるかわからないから」 が7割、あるいは「年齢相応の知識、技能がないから」が4割弱を示しています。  2頁、企業が重視する能力です。順に並べてありますが、いちばん上には「コミニュ ケーション能力」と書かれています。3頁も似たようなことです。  4頁、新規学卒者の採用計画です。これは、高校卒、大学卒(文系・理系)に分け、 その新規採用計画がある会社がどれぐらいありますかという調査です。1989年、例えば 高卒で75%だったものが今は26%減っている。大卒でも大体50%前後だったものが30% 台に減っているということです。企業が新規学卒者の採用を大幅に減らしてきていると いう状況です。  参考の8です。後ほど縷々出てきますが、キャリア・コンサルタント、キャリア・コ ンサルティングについて、ごく簡単に申し上げます。キャリア・コンサルティングとは 何かということが1頁のいちばん上に書いてあります。「個人がその適性や職業経験等 に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練受講等の職業能力 開発促進を効果的に行うことができるよう、個人の希望に応じて実施される相談」、こ れをキャリア・コンサルティングとしています。  3つ目の○、キャリア・コンサルタントです。ご存じかと思いますが、私どもは平成 14年度から5年間で5万人養成計画という名の下にキャリア・コンサルタントの養成を 促進しておりますが、このキャリア・コンサルタントそのものは、まだ国家資格ではあ りません。複数の民間機関、公共訓練機関等によって、それぞれの講座、評価試験を実 施していただいており、各機関がそれぞれの資格を出しているという状況です。2頁、 3頁にはキャリア・コンサルタントの養成の現状等が書かれていますが、省略させてい ただきます。  続いて、先ほどの方針の中にもチラリと出てきましたワーキング・ホリデー制度の概 要です。参考の9をご覧ください。これは、2国間の口上書交換に基づいて青少年の相 互交流といったことを目的になされています。基本的には、2行目、3行目に書いてあ りますが、「長期にわたり休暇を過ごす目的で相手国に入国し、その間の旅行資金を補 うための付随的な就労を認める」という制度です。制度の経緯が縷々書いてあります が、現在、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イ ギリス、この7カ国との間で口上書を交換して実施しているところです。  参考資料の10、勤労青少年ホームです。これは、これまでの勤労青少年福祉行政の中 核的施設、中核的インフラと言えるかと存じます。その目的は、本文4行目に書いてあ ります。勤労青少年福祉法の第15条において定められています。まず、昭和32年に愛知 県に1カ所新設されて以来、随時新設されてまいりました。一頃は550施設に近い位と 記憶しておりますが、その後、利用が下火になってきています。平成17年4月1日現在 では、全国479カ所となっています。この勤労青少年ホームは、参考の第15条にあるよ うに、基本的に地方公共団体の市町村のレベルですが、これらが設置するものとされて います。その目的は、2項にありますが、「勤労青少年に対して、各種の相談に応じ必 要な指導を行う。レクリェーション、クラブ活動その他勤労の余暇に行われる活動のた めの便宜を供与する施設」と定義付けられています。2に勤労青少年ホームの特色が書 いてありますが、特に面白いのは(3)、新しい交流の場になっていると言われています。 次の頁の(4)、地域の拠点として機能しているということです。3、運営の部分です。 基本的に市町村の設置ですが、最近は民間団体への委託等も進んでいます。特に今年度 からは地方自治法が改正され指定管理者制度が導入されているので、民間機関への委託 が一層進むものと思われます。最後の頁に4月1日現在の勤労青少年ホーム設置状況、 都道府県別のものを示しております。  参考の11は勤労青少年福祉方針です。現在の方針の全文をお示ししておりますが、内 容は、先ほど簡単にご説明しておりますので省略させていただきます。  これまでの来し方、若者を取り巻く現状についてごく簡単にご説明しましたが、こう いったものを踏まえて第8次方針をどのように作っていくかということです。これにつ いては、先ほど既に申し上げましたが1つには、ややもすれば目線が在職青少年に限ら れていたわけですが、在職青少年となるべき若者、つまりまだ未就労の青少年をも対象 とした対策が必要であろう。もとより福祉行政とはかなり幅の広いものであり、いわゆ る基準行政、安定行政、訓練行政、こういったものに入らないものを福祉行政として整 理したような部分もありました。その中でこれまでは特に中小企業の若年労働者を対象 として余暇活動の支援ということに力点を置いていたわけですが、いま求められる若者 に対する福祉政策としては、キャリア形成支援というものがいちばん重要になってくる のではないだろうか。職業意識の啓発、職に就けないでいる、あるいは就こうともしな い若者に対しては、職業意識をきちんと育てて、職に就いていただくような支援をして いくということが重要になってくるのではないかと考えております。  そういったことから第8次方針では、資料4の1頁にその基本的方向性(案)を示し ております。目的としては、例えばこのように整理していただいたらいかがかなと考え ているところを申し上げます。「若年者が働く喜びを見いだし、自信と意欲をもって社 会参加ができるようにするため、勤労青少年福祉行政において、従来の余暇活動の支援 に留まらず、地域における若年者の職業意識の高揚を図り、職業的自立支援を図る取組 に重点を置き、若年者の職業的キャリア形成に資することを目的として講ずべき方針を 明確にするために策定する。」このようにやっていったらいかがかなと考えておりま す。  柱立てとしては、最初に勤労青少年(若年者)を取り巻く現状について言及した後に 勤労青少年福祉行政の方向性、ただいま申し上げたようなことですが、について言及す る。3番目に職業生活の充実といった観点から4項目ほど、職業意識の啓発の推進、職 業選択・職場定着の支援、能力開発の推進、労働条件等の整備充実に関する支援、いろ いろなことを入れたいと思います。4番目の項目として国際交流の促進、これまでの勤 労青少年行政の重要なインフラであった勤労青少年ホームを以上の観点から有効活用し ていく、活性化していくといったことを考えたいと思っております。  もう少し詳しいところを2頁に書いております。第8次方針策定におけるポイントと して、私ども事務局で考えておりますところです。1番目、勤労青少年を取り巻く現状 です。これはそこに書かれているとおりです。  2番目、勤労青少年福祉行政の方向性です。先ほど来繰り返し申し上げておりますが 基本理念に即して、下の3行です、従来からの余暇活動支援という方向に対して、これ を否定するものではありませんが、今後新たに強化していくべき部分としては、増加す るフリーター等にかんがみ、就業・職場定着、職業意識啓発、キャリア形成支援、こう いったことへの取組が必要であろうと考えております。  3番目、職業生活の充実では、繰返しになりますが啓発、支援、キャリア形成支援、 こういったものに取り組んでいく。キャリア・コンサルティングの技法等についても、 行政機関、企業等での活用を促進していくということを考えております。  4番目の国際交流の促進についても、ワーキング・ホリデー制度に関してキャリア形 成の観点からその有効性をもう少し見直していきたいと思っております。実はワーキン グ・ホリデー制度に関しては、日本ワーキング・ホリデー協会に委託してワーキング・ ホリデー制度を活用した若者のキャリア形成支援のあり方等について併せて検討してい ただきたいところです。  5番目、勤労青少年ホームの活性化です。キャリア形成支援のための相談機能等をは じめとして、少し曖昧な言葉ではありますが、人間力の強化というようなことの拠点と して充実させていきたい、このように考えております。こういったラインも含めて委員 の方にご検討いただき、最終的に方針を作っていきたいと思っております。  3頁、全体日程です。今日8月2日、第1回部会を開催させていただき、事務局から ご説明した基本方針の方向性の案についてご検討いただきたいと存じます。それを踏ま え、私どもでしばらくお時間をいただき、2カ月、3カ月弱になろうかと思いますが、 私どもで検討させていただき、素案を作成させていただきます。素案をもちまして、10 月の上旬から中旬にかけてどこか適当なところで2回目の部会を開催し、ご検討いただ きたいと存じます。なお、これを踏まえ、私ども事務局でまた修正を加え、12月下旬に 3回目のご審議をお願いしたいと思っております。その後、各都道府県知事に意見照会 を私どもでいたします。目処としては、明年1月下旬に部会を開催いたし、基本方針の 諮問・答申とお願いしたいと存じます。  ただ、これに併せて能力開発基本計画の策定というものも今年度、当局全体の事業と してあります。そちらとも密接に関連しますので、スケジュールが若干変わることはあ り得ます。前倒しになることはあまりないと思いますが、遅れることがあるかもしれま せんので、その辺はご承知おきいただきたいと思います。  先ほど申し上げたように、今日の部会から次回の部会までの間に私どもで素案を策定 します。それに際しては、部会の委員の方も含め、適宜ご意見を頂戴しながら進めさせ ていただきたいと思っておりますので、その点もよろしくご了承願いたいと存じます。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは半田室長からご説明がありました第8次勤労青少 年福祉対策基本方針の方向性についての素案ですが、ご質問あるいはご意見ありますで しょうか。 ○奥島委員  久しぶりに開かれた部会だと思いますので、再度、この部会の役割について確認した い事項、質問と意見と併せて話させていただきます。まず、私たちは何をしたらいいの でしょうかというのが1点目です。基本方針の方向性を示すということは、今のお話で わかったのですが、そのほかに何か役目があるのかどうか。そして、対象年齢は、前に お伺いしたとき、確か15歳から35歳だとお聞きしたのですが、再度確認させていただき ます。対象年齢です。それで、意見も含めてなのですが、基本方針の方向性を示して、 都道府県知事に照会しますが、そのあとの扱われ方の検証、それからどうなったのかと いう検証をやっているのかどうか。それと、第7次基本方針の評価と課題について、何 か出されているのか。そのうえでの第8次基本方針の検討をなさっているのかどうか。 青少年ホームの活性化という形でご提案がありますが、参考10の目的で「各種の相談に 応じ、必要な指導」と書かれていますが、どのような内容か、利用状況はどうなってい るのか。予算につきましては、地方公共団体から出ているということで、民間への委託 もあるみたいですが、大体どのぐらいの予算で行われているのか。  次に意見なのですが、この青少年ホームにつきましては、1つは学習の場と考えても いいのではないか。社会に出て社会人となって、権利・義務の問題、権利で言えば例え ば6か月勤めたら有給休暇の権利が発生する等、社会人となったときの最低限の知識、 そして義務としては、年金保険料はきちんと払わなくてはいけないなど、そういうこと を教える場であってもいいのではないかと思います。また、それをどういう形でやるか というときに、衛星放送を考えたい。私はアビリティーガーデンの委員をやっています が、衛星放送の素晴らしい設備があります。これを受信するだけなら、それほど費用も かからないのではないか。どんどんこういうものを広めて行く手もあるのではないか。 そのためには、国としてきちんとした予算も必要です。勤労青少年ホームに対しても、 国の予算は全然ないので、予算も取られたらいいのではないか。ばらばらになりました が、以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。いくつかご質問にわたるところがあります。事務局からお 答えいただきます。 ○半田キャリア形成支援室長  まず、最初のご質問です。この部会で何をしたらいいのかということですが、先ほど 申しました第8次方針の策定をお願いします。私どもで、若者を巡る状況を調べまし て、こういう方向ではいかがかという案を作りますので、それを叩いていただいて、方 針を策定していただきます。従来の部会でしたら、そのほか勤労青少年福祉行政に関す ることがありましたが、先ほどの分科会規程、部会規程でご説明申し上げましたよう に、かなり能開行政本体との密接度が高まっていますので、部会での専決はなかなか難 しい部分が出てきています。部会では恐縮ですが、基本方針の部分にかなり限定される ようになります。お許しいただきます。  2番目の対象年齢の問題です。多分、これは前回の部会の際に、ホームの利用者など のところで申し上げたのではないかと思います。15歳から35歳が多いのですが、例えば ホームによりましても40歳ぐらいまで見ているところもあります。この辺は法令できち んと書いている部分ではありません。柔軟に対応していきますし、そのようにご検討い ただきます。  3番目は7次方針の検証をやっているかです。これは一応やっていますが、委員方に 大変申しわけないのです。一例を申し上げますと、先ほど法令の中でご説明したよう に、県でも作ることになっています。作っているかというのは、以前質問しているので す。そうしましたら、47都道府県の中で策定したのが2県だけでして、あとはどこも作 っていないということです。しかし、そういうものだからどうでもいいのではなくて、 それはいまでも勤労青少年福祉方針行政の有り様が現状からずれていたところがあった のだと思います。だから、この若年労働者部会と名称を変えたことでわかりますよう に、もう少し視点を広げ、必要な対策を盛り込んでいくことによって、都道府県も重要 性に気づいてやっていただけるのではないかと思っています。ご案内のように、ジョブ カフェなどは、ほとんどの県に設置されています。若年労働者対策の必要性は、都道府 県でも、つとに意識してくれていると考えています。  次は青少年ホームの相談の実態です。法令の中でも書いてありますが、従来の青少年 ホームには勤労青少年福祉指導員を置くことになっています。この指導員はいわゆるキ ャリア・カウンセリング、コンサルティングとは違うのですが、カウンセリング・マイ ンドを持った相談支援が行えるような人として養成されることが期待されていまして、 その必要要件が告示などで定められていました。ただ、これは一連の規制改革の中で、 福祉指導者の要件を労働大臣の告示で定めていたのですが、これは1つの資格規制であ るということで、大幅に緩和されました。以来、正直申し上げて、じり貧です。養成講 座も一頃はこの方針の中にもありました養成をしっかりやるということで、サンプラザ で勤労青少年福祉大学講座などもやっていたのですが、これも廃止になりました。すべ ての指導者に対する養成、研修がなくなってきています。これではいかんということ で、私どもでやっていますのは、新たな視点からの相談支援ということで、先ほど申し 上げましたキャリア・コンサルティングです。こういった観点からの指導ができるよう な人を養成していこうということで、従来の非常に手厚い研修には及ぶべくもありませ んが、例えば今年度も導入レベル、キャリア・コンサルティング研修を全国5か所で実 施するようにしています。そのほか、いまいらっしゃるカウンセラー、コンサルタント の皆様にお願いしまして、過去3、4年はハート・ナビゲーションという「職場の悩み ・相談」ということで実施してきていました。そして、今年度からはヤングキャリア・ ナビゲーションと改めまして、「悩み・相談」とともに「キャリア支援」をやってい き、相談・支援体勢を作っていっているところです。  次の質問はホームの管理が民間に移されるということでの予算のお話でした。申しわ けありませんが、予算はどれくらいになっているか、正直承知していませんが、基本的 には予算額は減っているところが多い。民間に運営を委託することによって、安いお金 でより効果的に実施していくことが期待されています。例えば、宮古のホームが昨年の うちに民間法人、公益法人に運営を委託していますが、そこは少ない予算で比較的成果 をあげている。成果というのは利用者が増えるという意味ですが、そういう成果が出て いるところもあります。  ご意見としていただきました学習の場の問題です。これは別の検討会で清家部会長か らも同じご指摘をいただいています。勤労青少年に関しましては手帳を発行したりし て、教育に務めていたのですが、清家部会長、奥島委員のご指摘と裏腹にしぼんできて います。8次方針あるいは今後の対策の中では、ただいまの点もいま一度きちんと盛り 込んでいきます。私自身若い人たちといろいろお話をする機会があります。聞いてみま すと、当人たちも仕事が長続きしないなど、問題が多いのですが、同時にちゃんと働い ていた対価は受け取る権利があるのに、一週間働いていて態度が悪いとクビになります と、対価を貰うこともなしに辞めてしまう。それを要求することも知らないという若者 もたくさんいますので、あまり権利ばかりを強調するのはどうかと存じますが、法令で 守られている権利はきちんと若者にも知っていただくようにしていきます。 ○妹尾総務課長  アビリティーガーデンのお話がありました。勤青ホームを学習の場所に使うのは、お そらく有効なのだろうと思います。1点、アビリティーガーデンネットに関して申し上 げますと、これは現在相当程度活用させていただいています。しかし、実は設置してか ら相当年数が経っていまして、聞き及ぶところによると、そろそろ装置の更改をして、 新しいものにしないと耐用年数がきているのだということです。アビリティーガーデン ネットを今後どういう形で使っていくかは、ちょっと未定のところがあるようです。お そらく奥島委員がおっしゃっているのは、アビリティーガーデンネットそのものという よりも、いろいろな通信手段や最近の流行で言うとeラーニングなど、いろいろな形の ことを考えたらどうかというご指示だろうと思います。そこはおそらく検討に値するの だろうと思います。 ○清家部会長  奥島委員よろしいですか。 ○奥島委員  はい ○清家部会長  それでは、ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員  先ほど、半田室長からこの方針を受けて、都道府県は計画を作ったのかどうかという アンケートを取ったところ、2つしかなかったということでした。これは前回の部会で 資料として出していただいた、アンケート結果だったのかと思いますが、平成15年1月 と書いてありました。もう2年ほど経っていますので、若干状況が変わっているのかと 思います。是非、今回方針を見直すにあたって、新たにアンケートなどを取っていただ けないかというのがお願いです。  それから、資料4の1頁目に「基本的方向性(案)」が載っていまして、いまご説明 を伺っていながら、従来の方針とは違う方向性を打ち出したいという、多分ご提起だと 思うので、その方向には賛成しています。しかし、「従来の余暇活動の支援に留まらず 」という表現は、「余暇支援もあって、それにプラス、キャリア支援もやりますよ。ど っちもやっていいですよ」というような感じに受け止められます。これでは、やはりい ままでやってきた継続性や地域の実情を持ち出され、余暇活動の支援に重点が置かれた ままで、付け足しのようにキャリア支援が付加されていくのではないかという気がして います。もう少し大胆に、こちらに転換するのだという方向性を国として出されてもい いのではないかという気がしています。以上2点です。 ○半田キャリア支援室長  最初のご指摘の8次方針にあたっては、その状況をきちんと確認していくということ を承りました。そのようにやらせていただきます。それから、2番目のご指摘です。私 もどちらかというと、割と「減り張り」をつけたい方ですが、これはやはり特にホーム などを見ていますと、ホームの館長さん、あるいはそこを運営している市長部局は、ま だまだ頭が30年前で止まっている方が多いのです。こういう方々に、「もう余暇活動支 援は要らない、キャリア支援なのだ。」と言ってしまいますと、その次に出てきますの は、「じゃあ、ホームは全部やめましょう。勤労青少年福祉行政は、やめましょう。」 となっていくところが多いのです。実際、勤労青少年ホームの数も、479と書いていま すが、1年前はまだ500を超えていた。ところが、キャリア形成支援を少し強調してき たところで、このように変わってきています。もちろん、やる気がない所は、やめてい ただいて結構という考え方もありますが、せっかく全国に展開されているこのインフラ を、少しでも多く新しい方向に転換していこうとしたときに、地方でも受け入れやすい ような表現ぶりに配慮しなければいけないのかなと思います。至極曖昧な言い方です が、そういう思いの中で取っている表現です。ただ、ご指摘はよくわかりますので、そ こを踏まえてやっていきます。 ○清家部会長  ほかにいかがですか。 ○山野委員  要するに我々から見ると、例えばフリーターなど、職場に馴染まない、基本的に人と 人とのコミュニケーション能力が足りない若者がものすごく増えているわけです。だか ら、職場に入っても、先輩なり上司なり、指導する者からきつく何か言われただけで、 もう次の日から来ないということが結構あります。勤労青少年ではない者を、ではどう したら勤労青少年にしていけるのかというところが、いちばん皆様で智恵をしぼったほ うがいいのではないか。もちろん、勤労青少年ホームの活性化など、いろいろな問題も あるのですが、私がいま感じていることは、非常に若い人たちがちょっと変わってきて いるということです。仕事の何たるかがわからないし、きちんとした職場に入って挨拶 をする自覚もない。そういうことから、まず会社は教えていかなければいけないわけで す。働く前に、もう一度予行練習みたいなものがあると、会社はこういうものなのだと いう第三者的に見ても、社会に心構えができて出てきてくれるのではないかという気が します。特に、低年齢の高卒、短大の子たちは、やはりその辺のところの自覚がないの かと思っています。 ○半田キャリア形成支援室長  いまの山野委員のご指摘は、一言で申し上げると、職業意識なりをきちんと植え付け ていくことと考えてよろしいのでしょうか。 ○山野委員  社会の中に入っていくコミュニケーション能力です。 ○半田キャリア形成支援室長  そういう部分を広く育てていこうというのが、例えばキャリア教育でもあります。い ま、そういう観点では、ご案内のように1府3省、文部科学省と私どもの間でも共同の 「若者自立挑戦プラン」などを作って、いろいろ取り組んでいます。勤労青少年福祉行 政の中、あるいはそれに近いところでできる政策としまして、若い人たちにひとつ欠け ていますのは成功体験といいますか、自らの有用性の実感です。その辺りを損ねている というか、持てない若者が多いように感じていますが、こういう人たちはそれなりの何 らかの成功体験をさせることによって育っていくというのが、私はこの仕事に取り組ん で3年余になりますが、その間で経験しているところです。ヤング・ジョブスポット、 「ふるさと交流会」などいろいろな事業をやってきていますが、その中で若い人たちが 何らかのそういう事業に参加して、自分が役に立つのだということによって、自信を回 復していくのをいくつか見ています。そういう輪に、うまく若い人を引っぱってくるこ とができれば、「育て直す」というとおこがましいのですが、山野委員のご指摘のよう に、コミュニケーション力がある、職業意識を持った社会人に成長していくことが可能 だと思っています。問題はそういう輪っかの中にどうやって引っぱってくるか。それが 難しいところですが、先ほど申しましたキャリア教育のような予防策とともに、すでに そういう状況に陥っている方に対しては、私どもも若者自立塾、ヤング・ジョブスポッ ト、あるいはさらに地域のネットワークを整備して、そういう人たちを拾い、育ててい く仕組みを作っていこうといろいろ考えています。 ○清家部会長  宮本委員よろしくお願いします。 ○宮本委員  この第8次の基本方針でカバーする現在ある制度、施設などの範囲はどの辺りなので しょうか。つまり、勤労青少年ホームだけは名前が出てますが、それ以外には出ていま せん。大体どの範囲の中で基本方針がカバーできるものなのかどうか。その辺りを最初 にお話ししていただければと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  ただいまの視点は、正直申しまして、なかなか即答いたしかねますが、基本方針です から、かなり幅広くやっていただいてよろしいと思います。ホームと書いていますが、 これは従来との整合性もありまして、こういう書き方をしています。ホームだけに視点 をしぼるつもりはありません。先ほど申し上げました地域のネットワークの構築も考え ていきますと、むしろホームだけに拘っていると、うまくいかない部分もあると思いま す。ホームを活用しつつという観点でやっていきます。 ○宮本委員  そうですか。わかりました。 ○妹尾総務課長  今回の会議の冒頭に運営規程の改正について、半田室長からご紹介しましたように、 若年者の能力開発に関する事項の調査審議ということです。基本的に言うと、もう1つ 若年者の能力開発に関して、すべての面でご議論していただければ結構だと思います。 必要に応じて基本方針の中で、若年者能力開発に関する部分の施策について、記述して いただければいいのだろうと思っています。他方、この部会の上にある能力開発分科会 では、年齢にかかわらず能力開発に関する施策については、全体の議論をしていただく ことになっております。現在のこういう雇用・失業情勢の下ですので、能力開発分科会 のほうでも、特に若年者について相当集中的な議論なり、密度の高い議論がいただける のではないかと思っておりますが、そこは書き分ける必要があるのか、あるいは同じこ とを書いておいてもいいのか、いろいろなやり方があって、それは今後のこの会での議 論とか能力開発分科会での議論の様子で、決まっていくことになるのではないかと思っ ております。 ○清家部会長  宮本委員が言われたようなことは、私も初めてなものですから、もう少し詳しく伺い たいような気もします。つまり、この基本方針というのができた場合に、例えば、いま の青少年ホームはあれでしょうが、そういった施設の運営とか、あるいはこの方針に基 づく立法措置とか、あるいはこの方針が、こういうものが望ましいと考えたとすると、 普通、それを進める施策としては「飴とむち」と言いますか、先ほど、国全体の予算は 限られているということがありましたが、そういう形で何らかのインセンティブをつけ るとか、あるいは何らかの立法措置を講じて、何らかの規制のようなものが行われると か、そういうこともあるかなと思うのですが、その辺はどのように考えたらよろしいで しょうか。 ○半田キャリア形成支援室長  まず、ここでご議論いただくことが時期的に間に合えばですが、平成18年度の予算の 中に反映していける部分はもちろん取り組んでいきたいと思います。しかしいま部会長 ご指摘の法律の部分は、残念ながらこの法律に直接関わっているのは勤労青少年福祉法 で、その勤労青少年福祉法そのものには、もちろん議論によってはその中に権利の制 限、あるいは義務化というようなことで、法律事項が入ってくる場合もあるかもしれま せんが、次の法改正にはたぶん難しいだろうと思いますので、そういうご議論をいただ きましたら、引き続き事務局で検討させていただくと申し上げるしかないだろうと思い ます。それ以上の部分になると、今度は能開法との関係が出てきます。先ほど申し上げ ましたように能開法、第8次の能力開発計画、これとの関連がありますので、そこと密 接関連、不可分の部分が出てきた場合には、ここでは専決ということは言いにくくなり ますので、この部会で言える範囲内で表現させていただいて、その意見は能開分科会に 紹介して議論していただくということになろうかと思います。 ○宮本委員  柱だけ拝見していると主に若年者の力をつけるというか、エンパワーメントの部分 が、つまり、教育学習、訓練、意識啓発というような部分が中心になっていまして、1 項だけ、労働条件等の整備充実というのがありますが、いまの状況からすると若年者、 主体の側のエンパワーメントは重要ではありながら、もう一方で言うと、雇用そのもの が不足していますよね。そこら辺のところは、この基本方針で当然カバーするべきもの と考えてよろしいのでしょうか。というのは、いまの状態でどんなに若者に力をつけ て、意識啓発をして訓練をしても、受け皿の部分の問題があって、特にいまのニート問 題などの場合は、そこの部分をどう解決するかということを同時にやっていかないとた ぶん解決できないのではないか。その辺のところがこの基本方針の案の中でははっきり しないところがあります。 ○半田キャリア形成支援室長  勤労青少年福祉法の考え方では、事業主にももちろん応分の義務がある、義務という か努めるべきことが書かれていますが、職業訓練とかその学業に対する配慮といったよ うなことで、いま委員ご指摘のようなことはあまり書かれていません。ということで私 どもも、あまりその辺りの頭がなかったわけですが、重要なご指摘だと思いますので、 この3の策定の際に、ただいまの点も含めてやっていきたいと思います。ただ繰り返し になりますが、能開法のほうで書くべきもの、あるいは分科会で審議していただく必要 があるものが出て来得ると思います。そこの部分との整理、表現の仕方は、一生懸命努 めて、うまく書き分けるように努めたいと思いますので、その辺ご了解いただきたいと 思います。 ○清家部会長  その辺のところは私も宮本委員がおっしゃるとおりだと思うのです。つまりどちらか と言えばこれは、雇用の供給サイドと需要サイドの話でいえば、供給サイドの個人とい いますか、若者に働きかけてどうするかという話が中心かと思うのですが、その政策が うまくいくかどうかは、その人たちを受け入れる需要サイドといいますか、企業のほう の状況によって、いまから進めようという政策が成功するかどうかが、相当決まってく る部分もあると思います。企業の行う能力開発関係にかかわる策なり法律の改正の際 に、是非こういった指針が意識して考えていただけると、局長もいらっしゃいますか ら、いいと思いますね。例えば、これはこの分野と違うかもしれませんが、最近、若い 人たちの雇用先というか、若い人たちを主に積極的に雇おうとしている所として、いわ ゆる製造業の請負企業とか、あるいは派遣とか、そういうような所が増えているわけで す。それはいろいろな理由があって増えているのでしょうが、1つの問題はそういう所 で、従来は普通の企業が行っていたような若者に対する能力開発がきちんと行えるかど うかということが心配なわけです。ある面ではそれは、先ほどちょっと申しましたが、 こういう指針を受けてそういう請負とか派遣、もちろんそれらは増えてもいいのです が、そういうところできちんと若い人の能力開発が担保されるような施策を講じていた だくとか、あるいは少なくともその情報を公開する、この会社はちゃんと能力開発をや っている会社で、若い人が安心して就職できる、あるいは、親御さんとか学校の先生が 安心して就職を紹介できるということがわかるような、そういうことが担保できるよう なことが一方で講じられていないと、若い人たちの就労意識やそういうものをせっかく 喚起しても、場合によってはそれが悪い方向にいってしまうということもあるかと思い ますので、その辺、是非供給側と需要側、表裏一体で考えていただくといいかなと思い ます。ほかにいかがでしょうか。 ○谷口委員  今回、部会の名称を変更した、その趣旨は、現在のフリーター問題あるいはニートの 問題を取り扱う部会としては、名前も変えて、気分も新たにやっていくということ。そ れは重要なことで理解ができると思いますが、基本方針のそもそもの名前が「勤労青少 年福祉対策基本方針」ということであれば、いま部会長ご指摘のような範疇までカバー する方針を書こうとすると、どうしても、この名前からとらえられるイメージは非常に 狭いというのは、否めないのかなと思います。すぐに方針の名前を変えるのは無理かも しれませんが、そういった意見があるということも是非念頭においていただければと思 います。  関連するのですが、先ほど来、局長あるいは室長のご挨拶、説明等で、フリーターや ニート問題が非常に重要だというご指摘があって、そこに施策の重点をおくべきだとい うように私は受け止めました。これまでの経緯を考えれば、そういうようにドラスティ ックに書きかえることは難しいということも理解はできるのですが、やはり重点はそち らに移るべきだということが、もう少しわかるような方向性をしっかり打ち出すべきで はないかと思います。  先ほど、第7次の基本方針にそって、現場の都道府県でどういう方針が策定されてい るかという件について、室長のほうから、残念ながら2県しか策定されていなかった。 その背景は、第7次の方針の内容が現場の実態に合っていないからだという説明だった かと受け止めたのですが、それぞれの都道府県での施策がいまのニート、フリーター問 題に照らし合わせたものとして、全都道府県が書いていただけるような基本方針を策定 するとすればやはり、また元の話に戻りますが、若年層の職業意識の啓発等、フリータ ー、ニート問題をしっかりと中心に据えた基本方針を策定するべきではないかと思って おります。以上が意見です。  1つだけ質問で、細かいことですが、勤労青少年ホームの活性化。これはいまある器 を、いま申し上げたような方向でさらに活性化していく、機能を強化していくというこ とであれば、それは非常に重要なことではないかと思います。その中で2頁に、人間力 の強化等について活性化するということで、先ほど室長からも、若干漠然とした表現だ というようなご説明だったのですが、やはり若者に求められる人間力とは何かというこ とをはっきりさせていかなければ、具体的な施策には踏み込めないのではないかと思っ ておりますので、人間力というのは、イメージで結構ですから、どういうお考えかお聞 かせいいただきたいと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  3点ありましたご指摘の2番目と3番目。フリーター、ニート問題をもう少し強調す べきではないか、そういったことが都道府県の意識にミートする意味でも必要ではない かというご指摘は、まさにそのとおりだと思いますので、もう少し、村上委員のご指摘 にもありますし、書きぶりは工夫してみたいと思います。  1点目のご指摘の名称の件は、これは申し訳ありませんが法律の中に、勤労青少年福 祉基本方針を策定するとなっていまして、類似のいろいろな計画がありますが、やはり 法律の中に書いてあるものは、法律が変わらない限り変えられないのです。ですから名 称は変えられませんが、副題をつけるなどによって、従来のものと違うということがわ かるような工夫をする余地はあります。そういったところで検討したいと思っておりま す。  ご質問があった人間力。これは、いつだったかは覚えていませんが、2年ほど前、内 閣のほうで行っていた検討会から出された報告書に使われていた言葉だったと記憶して おります。正確には覚えておりませんが私のイメージでは、先ほど山野委員のご指摘に もありましたようなコミュニケーション能力とか、社会に参加していける能力と言った ら変ですが、社会人として立っていく能力というようなことで言っていたかと思いま す。この辺はもう一度調べてみます。 ○上村職業能力開発局長  そこは経済財政諮問会議か何かで議論はされていたと思います。本当の定義かどうか はよくわかりませんが、人間力の強化とは何かというようなことを書いているものはあ りますから、それを真似するようにします。 ○谷口委員  労働組合も労働組合員としての教育というのをよくやるのですがやはり、先ほどの参 考資料にもあったと思いますが、コミュニケーション能力というのは非常に重要ではな いか。私は、個人的な意見としては、人間力というのはやはりそれぞれ、人と人のつな がりを重視して、コミュニケーションをしっかりとれる力を、若いうちから身につける ことが非常に重要だと思っていますので、参考にしていただければと思います。 ○上村職業能力開発局長  曖昧な言葉が流行している。1対1対応の定義ではない、みんながそれぞれ違う理解 になっても曖昧な議論になってしまうというのが。最近はそういう言葉が多すぎる。本 当はこういう言葉ではなくて、誰が読んでも同じように理解するような言葉をつける努 力をすべきだとは思っていますので、そういう努力はしたいと思います。 ○清家部会長  谷口委員、よろしいですか。 ○谷口委員  はい。 ○杉浦委員  初めてこういう会議に出させていただいたものですから、皆さんのご意見を伺いなが ら、中小企業の立場の、私は印刷屋をやっているのですが、印刷屋の親父として話を聞 かせていただいて、まず、国の方向性は一体どこに向いているのだろうかということが 基本方針として、いままでずっと、自分たちの生活をずっとアウトソーシングし続けて きた日本人が、どこかで振り戻しをする時代に入ってきたかなと考えています。その振 り戻しの時代の中で、例えば、自分の家の前を掃除するのに昔はホウキで掃いた、それ がいまは大型の掃除機の車が通って掃除してくれる。「自分の前ぐらい自分で掃けよ。 」みたいな、そういうイメージは自分の中にあります。昔は自分で井戸に水を汲みに行 ったけれど、いまは水道をひねれば水が出る。その時代に戻れとは言いませんが、そう いう時代がやって来たなというように感じます。ですから国の基本方針として、自分た ちでできるところは自分たちでやろうというようなことを、ここでも明確に出すべきで はないかという気が、心の中ではしています。  もう1つは、初めてのことなのでお門違いなことを言ってしまうかもしれないのです が、中に「キャリア・コーディネート」という言葉が出てきました。このキャリア・コ ーディネートの基本は親ではないかという感じがしています。子供に対して親がしっか り教育する、しっかりとそういうことを言ってあげるべきではないかというように感じ てなりません。実は今日、1人面接をしてきました。職業安定所から1人来たのです が、どちらが社長かわからないような態度をとられて、相手は一言もしゃべりません。 ソファーにドカッと足を組んで、私の前に履歴書をポンと出したものですから、お話を 伺ってみようと思いました。話をしたのですが。働く気がございますかという話をした ら「ありません」。それがどのくらいの割合でと言うと、10人を面接すると約半分がそ のような人たちです。確かに高学歴者を採るということに関しては、中小企業にはすご く苦しい状況というか、そういうことがあります。ですから職業安定所から来るのは、 6カ月のお金をもらう為に来ているのだろうというような。判子をもらうと6カ月間続 けることができるので、それをもらいに来ているのだろうという感じがしてなりませ ん。  何が問題かと言うと、私はずっと高校でバスケットボールを教えていまして、挨拶を することができない子、人を敬うことができない子がものすごく多くなってきたから、 徹底して「原因と結果の法則」というか、「こうなったらこうなるんだ。」ということ をしっかり教える。地域として、また親としての教育が足りないのではないかというこ とは強く感じています。  私は浜松市に住んでいまして、浜松市の商工労働課から依頼を受けて、月に1回です が、企業啓発セミナーというのをやらせてもらっています。なるべく小さな子に話させ てくださいということで、大体小学校6年生か5年生ぐらいの子供たちに、企業啓発セ ミナーということで話をします。何を言いたいかというと、これからの時代、21世紀は どういう時代になって行きつつあるのだろうか。それで、子供たちに何を伝えたいか。 先ほど言いました原因と結果がどうなっているか。一生懸命働くと、お金がもらえるん だよ、人に挨拶をすると人に挨拶を返されるんだよ、人の悪口を言うと悪口を言い返さ れるんだよ。単純なことですが、そういうことをしっかり教えるべきではないか。それ を教えるのは本当は親の仕事なのだろうけれど、私たち企業家として、それを子供たち に伝えていくべきではないかという気がしてなりません。  ちょっとトンチンカンな話になってしまっているのかもしれませんが、1つの、勤労 青少年のファンダメンタルとするならば、若年の、いちばん小さな底辺の人たちの教育 と、親の教育というのが、不可欠な部分になってくるかなと感じています。先ほど室長 から、文部科学省との連携が組まれているというようなお話があって、ちょっとほっと した部分もあるのですが、是非、私たちはメンバーから言うと、約8万人の、中小企業 の40歳以下のメンバーですので、そういうのを狩り出していただいて、そういう企業啓 発セミナーとか、働くとはどういうことか。私は基本的に働くというのは、「傍を楽さ せるために」ということが司馬遼太郎の本の中に書いてあったと思いますが、それを伝 えたいと思っています。是非協力をさせていただければ有難いと思います。以上です。 ○上村職業能力開発局長  ハローワークのことが出ましたので。私が役所に入って、夕張の安定所に半年ほどい たのが昭和49年で、失業保険から雇用保険に切り替って、失業保険の時代からだったの ですが、たぶんおっしゃっているのは、雇用保険を支給するためには働く意志と能力の 確認が必要であるというところです。当然要件を満たしていなければいけなくて、被保 険者期間があって、働く意志もあって能力もある。この能力のほうはいいのですが、意 志の確認がかなり難しい。本当にその気があるのですかと窓口で聞くと、それはひどす ぎるではないかという議論が出たりする。本人の心理がどうなのかわからないところが あり、たぶん、ハローワークの窓口では一生懸命働く気があります、では紹介しますと いうことで、行った先ではそういう態度をとるというのは、翻って考えればその気はな いのかもしれない。ハローワークとしてはそれがいちばん頭の痛いところなのです。あ まり過度にやると、給付をしたくないから厳しくやっているのではないかという非難を されたり、その現場に行ったときの経験では、そういう辛いところがありました。  そういうことがあるからハローワークの評判をどんどん悪くしてしまうのです。本当 は一生懸命やっているのですが、本当にほしい人を送ってこないしということになる。 忙しい業務の時間を割いて面接していると思います。特に中小企業では、専門の人がい るわけではなくて、社長をはじめとした皆さん方が会われているでしょうから、先の例 のような人たちがどんどんハローワークの評判を悪くしてしまうのですよね。 ○杉浦委員  ハローワークが悪いとは全然思っていません。 ○上村職業能力開発局長  そこがいちばん気になっているところです。今日はこの柱立て、そもそもについても いろいろ意見を出していただきましたし、今日も、まだこれからご意見があれば出して いただければと思いますが、それを踏まえてまた案を作って、具体的なもので議論をし ていただいて、先ほど部会長から話がありましたように、議論の中で、これは予算措置 で対応すべきことであれば、我々が財務省相手に予算獲得の汗をかくか、あるいは、法 律改正をやるか。その法律改正が我々の所管であれば、我々のほうで受け止めますし、 ほかの所管であれば、そこはどうするか、またご相談させていただかなければいけませ んが、そういう意味では広く議論をしていただいて、我々のほうもそれを受け止めて一 生懸命努力はしたいと思いますので、暑い最中からのスタートではありますが、いろい ろお知恵をいただきたいと思います。  指針の名称も、現状では法律にそう書いてありますので。法律改正をすればなんでも できるのですが、その法律改正ができるかどうかということの議論もあります。そこは 半田が言ったように、サブタイトルみたいな形で、中身は広くという内容にすることも 可能だと思います。こういう計画なり指針の名称変更だけの案を出したとしても、いま どきそういうのがいるのかという意見のほうが、たぶん強くなってしまうのではないか と思いますね、この規制改革、行革云々の世の中で。そういう話が出てくるから、実態 はどうなのかとか、そこのところもありますので、そこら辺は、ご意見は十分参考にさ せていただいて、我々のほうも勉強したいと思います。 ○宮本委員  いま各県レベルでこの若年者の雇用問題は、各県で名称は違うかもしれませんが、商 工労働部などがかなりやっていますよね、聞くところによると。そういう意味で言う と、ここで議論しようとしている内容と重なるところを、各県がすでにやっていると思 うのです。この第8次の基本方針を決めたとして、その基本方針が、各県でいまやって いることを全体として、きちんと枠づけるような、そういう役割を果たすものになるの でしょうか。それとも、それとは別に県としては独自にやるということになりますか。 ○上村職業能力開発局長  この基本方針は、上段にありますように勤労青少年の福祉という観点が強いですか ら。いまおっしゃっているようなテーマは、雇用対策とか若年、なんて言うのかな、若 者対策と言っても、福祉という観点でやっているかどうかよくわからないところがあり ます。ただ、重要な問題にはなっているという受け止め方はして、いろいろやってきて いるのだろうとは思います。この法律の立て方からいくと、まず国が、いまは地方自治 の時代で、どうかという議論もあると思いますが、国がまず基本計画、指針を作って、 それを参考にしてそれぞれの県で作ってくださいと。いま、国は作る、県は努める。 「それを参酌して策定するように努める」となっていますね。「努める」ですから、努 めていない所が多いから、先ほどのような数字になっているのだろう。そういう意味で は、国がいいと思うものを作って、これを参考にして作ってくださいということになっ ています。ですから、国が作る中に現に地方がやっているものを盛り込んで、それを追 認して後押しする、一生懸命やってくれというような計画や指針になっても、それはい いのではないかというようには思います。 ○宮本委員  実際に県レベルの場合には、勤労青少年というか若年者福祉も雇用も、これは一体で 議論していて、もうすでに、具体的に何がどうやって動くか、そこのところまできてい ると思います。そういう意味でここで作業することは、それを追認することなのかある いは、それぞれの事情の中で個別やっていることを、全体としてならしていくというよ うなことになりますか。 ○上村職業能力開発局長  いいアイディアがあれば、いいアイディアを盛り込んでいきたいと思っています。い ま地方がやっているもので尽きてしまっていて、もうそれ以上ないということであれ ば、委員がおっしゃるのは、あまり作る意味がないということをおっしゃっているのか もしれませんが、それで尽きていなくて、まだ、こういうことをやったらどうかとか、 そういうアイディアは盛り込んでいきたいとは思っています。 ○宮本委員  作る意味がないということを申し上げるつもりはなくて、むしろ、こういう形で国と して、従来の余暇活動支援から、重点を完全にひっくり返す。むしろ意図としては雇用 支援というか職業支援である、そこのところが大事だという形で今回打ち出すというこ と自体が、若者のいま何が大事かということをきちんと押さえるという意味で重要だと 思っているのです。 ○上村職業能力開発局長  おっしゃられた方向での整理をし、盛り込んだ方針になれば、一生懸命やっている地 方も改めてこういうのを、錦の御旗を立てて取り組むという格好になりますので、それ こそ、作る県が増えてくるのではないかという気がします。 ○奥島委員  モデル事業みたいなものも考えられますね。 ○村上委員  勤労青少年ホームのことについて追加して意見を言わせていただきます。先ほど、キ ャリア支援のことをやらない所はやめてもらって構わないというような発言があったの ですが、そういうことを申し上げたかったのではなくて、若年者の対策をやる施設は、 国の施設でも都道府県の施設でも、ジョブカフェとかヤング・ジョブスポットとかさま ざまできています。しかし都道府県に1つとか2つとかいう単位ですので、アクセスと いう面で見れば、勤労青少年ホームは500カ所近くあるということで、大変アクセスが 便利、アクセスしやすい施設ですので、是非それは有効活用していただきたいと思って います。その点から、先ほど、政策の重点を移すという提起をしても、現場のホームの ほうはなかなか変わってもらえないというようなお話だったのですが、それは、意識の 面もあるでしょうが、もしかしたら財政的な面もあるのかもしれないと思っています。 一応市町村が運営主体で、そちらが予算措置をすることになっていますが、こういった キャリア支援を重視した施策をするホームであれば、一定程度モデル事業として認定し て、予算措置をしていくということも、少し考えたほうがいいのではないかと思ってい ますので、是非ご検討いただきたいと思います。 ○清家部会長  ただいまのは要望というか、意見ということでよろしいですか。 ○村上委員  はい。 ○奥島委員  先ほど民間委託をしているというお話がありましたが、そのときには市場化テストみ たいな感じで入札制度か何かやっていらっしゃるのですか。 ○半田キャリア形成支援室長  まず村上委員ご指摘のところですが、基本的にホームの運営は現場にお任せですの で。ただ、いまのご時世、ここに交付金を流すとか補助金を流すということはなかなか 難しいのですが、その中でも私ども工夫して、先ほどちょっと、「地域のネットワーク をつくっていこう。できればそのときにホームが核になってくれればいいですね。」と いうお話を申し上げましたが、そういった事業をうまく展開していけるということにな った場合には、その500カ所全部できるわけではありませんので、何十カ所かを選んで、 モデル事業的にやっていきたいと思っております。ただ、ちょっと残念なのは、先ほど 来、お話が出ていますように、都道府県レベルではこの若年雇用問題というのはかなり 注目して、若干の濃淡はあるにしてもそれなりに取り組んでいるのですが、市のレベル になるとこれはかなりまちまちで、若年労働者の福祉というとやるのですが、「福祉と いうのをもっと広く、キャリア支援というようにとらえてください。そこでは就労支援 を含めてやるのです。」と言った途端に、「就労支援、それなら労働対策や雇用対策で あって、それは国がやることだろう、県がやることだろう。」という市がまだ少なくな いのです。こういった方々にどうやって意識を持ってもらうかということで、いま私ど もは過去の反省から、市とやると言いながらも、やはり都道府県をうまくインボルブ (関与)させる必要があるということを考えております。  奥島委員ご指摘の民間委託、これは、今後どうなるかわかりませんが、国の委託も、 つい最近まで基本的に随意契約でやっていましたので、市場化する云々とかいう状況で はないと思っております。大体のところは、やはり関係の公益法人に委託している所 が、過去は多かったです。今後は、自治法改正の中でどういうようになっていくのか、 そこは承知しておりません。  先ほど杉浦委員ご指摘の中で、「自分でできることは自分でやる。」ということ。そ れをそのまま勤労青少年福祉対策に書くのは、やりづらいところがありますが、それ は、例えば職業的自立支援といった概念の中で整理していけるかなというのが1点で す。それから、現在私どもは文部科学省の担当部局あるいは内閣府とも結構良好な関係 を維持しておりますので、私どものほうの政策ではできないことは、そういった中で反 映していただく。特に内閣府などはそのあたりのことはご承知だと思いますが、私ども からも努めてそういったところをお伝えするようにしたいと思います。  杉浦委員ご指摘の2番目の点で、私どもはキャリア・コーディネーターではなくてキ ャリア・コンサルタントと言っておりますが、いまご指摘のところはまさにコーディネ ーターかなと思って伺っておりました。いずれにしてもおっしゃるところは、親の問題 が大事だとの御意見だと理解しました。実は、キャリア・コンサルティングの普及促進 は、私どもの室のもう1つの大きな事業で、そのためにいろいろな導入展開事例あるい はモデル事業をやっております。また、若年者支援でヤング・ジョブスポットとか、ジ ョブカフェへのキャリア・コンサルタントの派遣等ということもやっていまして、その 中でも委員ご指摘のような親の問題というのは、つとに言われております。今年度、私 どものモデル事業みたいな格好で、足立区で若者支援の取組をやってもらっています が、その中でも親に対する教育、親に対するセミナーというのを入れておりますし、ニ ート対策の拠点として整備していこうとしている若者自立塾の中にも、塾生の若者だけ ではなくて、その親御さんにも集まっていただいて、そういう勉強会をやっていただ く。こういう流れは織り込んでおりますので、ご指摘の点を踏まえて、ますます努めて いきたいと思います。 ○清家部会長  よろしいですか。それでは時間もきましたので本日の議事はこれで終わりにさせてい ただきたいと思います。先ほど局長のお話もありましたので、できるだけ議論は前広に していって、もちろん最終的にできることとできないことというのは、仕分けが自ずと されるかと思いますが、是非皆様方から、あまり制約のない議論をいただきたいと思い ます。先ほどのお話ですと、いまから2カ月ぐらいの間に、少し具体的な案を作ってい ただき、その間にヒアリング等も行うということです。また、その間に何か意見等があ りましたら、事務局のほうにメール等を送るということでもよろしいかと思いますの で、そのようにさせていただきたいと思います。  事務局のほうから何かありますか。 ○半田キャリア形成支援室長  日程につきましては、いま部会長からも言われましたが、大体10月ごろを目処にやら せていただきたいと思っております。また改めてご相談させていただきます。一部の委 員の方には随時、私どものほうからもご相談申し上げることがあると思いますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 ○清家部会長  それでは本日はこれで終了といたします。議事録は私と私が指名させていただきます 委員お二方に署名をお願いすることになっております。本日の署名委員は村上委員と山 野委員、お二人にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。本日はどうもあり がとうございました。                                      以上