05/07/28 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成17年7月28日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】平成17年7月28日(木) 9:59〜10:53 【場所】中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(6階国会側) 【出席者】小沢委員、工藤委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員、      中澤委員、堀江委員、山添委員(敬称略) 【事務局】外口食品安全部長、中垣基準審査課長、加藤課長補佐、      古賀課長補佐 【議題】 (1)2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定の可否について (2)5−メチルキノキサリンの新規指定の可否について (3)その他 ○事務局  それでは、定刻より少し早いですけれども、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添 加物部会を開催させていただきます。  本日は御多忙のところ、御参集いただき、誠にありがとうございます。  本日は石田委員、米谷委員、吉池委員、西島委員、山川委員の5名の委員より欠席と の連絡を受けております。  現在、添加物部会の委員13名中8名の委員の先生方に御出席いただいておりますの で、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、ます始めに外口食品安全部長から御挨拶をお願いいたします。 ○外口食品安全部長  おはようございます。先生方には日頃から食品添加物行政に御協力いただきまして、 誠にありがとうございます。  本日は新規指定に向けて2−エチル−3−メチルピラジン及び5−メチルキノキサリ ンについて御審議をいただきます。  国際的に安全性が確認され、かつ汎用されているものとして国が主体的に指定に向け た検討を進めている品目として、平成17年3月7日に食品安全委員会に食品健康影響評 価を依頼したものであります。  本品につきましては、食品安全委員会の添加物専門調査会における食品健康影響評価 の審査結果案についてのパブリック・コメントが、7月7日から実施されているところ でございます。食品安全委員会における最終的な評価はもう少々時間がかかりますが、 本日は審議結果案を基に御審議いただければと思っております。  また、本日は平成16年度に実施されました既存添加物の安全性の見直しに関する調査 研究について御報告させていただく予定でございますので、併せてよろしくお願い申し 上げます。 ○事務局  それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいた します。 ○長尾部会長  それでは、配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○事務局  本日、先生方のお手元に置かせていただきました資料は、3つの束になっておりま す。まず、最初の一くくりでございますが、議事次第、委員名簿、資料一覧、座席表の 他、議題1、2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定の可否についてに係る資料と いたしまして資料1、資料2「2−エチル−3−メチルピラジンを添加物として定める ことに係る食品健康影響評価に関する審議結果案」、これは食品安全委員会の報告書案 でございます。  資料3といたしまして、2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定に関する添加物 部会報告書案。  参考資料といたしまして、2−エチル−3−メチルピラジンのガスクロマトグラムを お付けしてございます。  議題2、5−メチルキノキサリンの新規指定の可否について係る資料といたしまして 資料4 「5−メチルキノキサリンの新規指定の可否に関する薬事・食品衛生審議会の 諮問について」。  資料5「5−メチルキノキサリンを添加物として定めることに係る食品健康影響評価 に関する審議結果案」。  資料6「5−メチルキノキサリンの新規指定に関する添加物部会報告書案」。  参考資料といたしまして、参考資料2「5−メチルキノキサリンのガスクロマトグラ ム」でございます。  2つ目の束でございますが、先ほどのひとくくりの中にある資料3に一部印刷でミス がございまして、差し替えとして付けさせていただいたものでございます。  3つ目の束でございますが、議題3「その他」に係る資料としまして、報告資料がご ざいます。  報告資料1「既存添加物安全性の見直しに関する調査研究」。  報告資料2「既存添加物の安全性見直しの状況」。  報告資料3「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価の結果について」で ございます。  本日お手元にお配りしております資料は以上でございます。もし過不足等ございまし たら、お申し出ください。よろしく願いします。 ○長尾部会長  皆さん、揃っていますでしょうか。よろしければ審議に入りたいと思います。  それでは、まず議題1の2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定の可否について 審議を行いたいと思います。事務局より資料について説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、まず背景から御説明いたします。  平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認され、かつ欧 米で汎用されている添加物としての香料の取扱いに従いまして、厚生労働省において資 料をとりまとめ、平成17年3月7日に香料として、食品安全委員会に食品健康影響評価 を依頼した品目でございます。  食品安全委員会では、平成17年6月14日の添加物専門調査会におきまして審議が行わ れ、その審議を踏まえた報告書案がまとめられたことから、平成17年7月7日より食品 安全委員会においてパブリック・コメントか実施されているところでございます。  本日お諮りいたします2品目とも同じ取扱いでございます。  それでは、まず資料1、諮問書でございます。「2−エチル−3−メチルピラジン及 び5−メチルキノキサリンの食品添加物としての指定の可否について」でございます。  資料2が食品安全委員会の審議結果の報告書の案でございます。  最初に2−エチル−3−メチルピラジンでございますけれども、このものはナッツ様 の加熱香気を有しておりまして、食品中に天然に存在し、または加熱により生成するも のでございます。  欧米におきましては、焼き菓子やアイスクリーム、肉製品、ソフトキャンディー、清 涼飲料等、さまざまな加工食品として香りを再現するために添加されているものでござ います。  今回の指定の背景でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、国際汎用の 香料といたしまして、食品安全委員会に検討を依頼したものでございます。  名称はこちらに示しておりますとおり2−エチル−3−メチルピラジンでございま す。  「4.安全性」でございますけれども、まず遺伝毒性につきましては、細菌を用いた 突然変異試験、チャイニーズ・ハムスター培養細胞を用いた染色体異常試験、9週齢B DF1 雄マウスを用いた強制経口投与によるin vitro小核試験、いずれにおきまして も、結果は陰性、あるいは小核の誘発は認められなかったというものでございます。 「反復投与」につきましては、雌雄ラットへの混餌投与によります90日間反復投与試 験におきまして、いずれも対照群との差が認められなかったということから、無毒性 量、NOAELは5.22mg/kg 体重/日とされております。  「発がん性」につきましては、国際機関等において、発がん性の評価はなされていな いものでございます。  また、内分泌かく乱性を疑わせる報告は見当たらないとのことでございました。  「摂取量の推定」でございますけれども、年間使用量の全量を人口の10%が消費して いると仮定するJECFAのPCTT法によります1995年の使用量調査に基づく米国及 び欧州における一人一日当たりの推定摂取量は、それぞれ9μg及び84μgでございま す。  我が国におきましては、現在使用されておりませんけれども、既に許可されている香 料物質の我が国と、欧米の推定摂取量が同程度との情報があることから、我が国での本 物質の推定摂取量はおおよそ9〜84μgの範囲になると想定しております。  なお、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は意図的に添加された 本物質の251 倍であるとの報告もございます。  「安全マージンの算出」でございますけれども、先ほど御説明いたしました90日間反 復投与試験のNOAEL5.2mg/kg体重/日と、想定される推定摂取量9〜84μg/ヒト /日を日本人の平均体重で割ることで算出されます体重当たりの推定摂取量と比較し、 安全マージンは3,107 〜29,000が得られております。  「構造クラスに基づく評価」でございますけれども、本物質はピラジン誘導体に分類 される食品成分でございます。アルキル基(炭素数2以上)の置換ピラジン類は、ピラ ジン環に直結するメチレン基がチトクロームP-450 によると考えられる酸化によりまし て、2級アルコールに代謝されます。この2級アルコールは更に酸化されケトンになり ますけれども、細胞質のカルボニル還元酵素により還元されて2級アルコールに戻る。 そして、アルキル基の酸化が進行しない構造では代わってピラジン環が水酸化され、そ のままグリシン抱合体として排泄されるとされております。  本物質及びその推定代謝産物は生体成分ではございませんけれども、ピラジン誘導体 には側鎖の酸化及び環の水酸化の両方の代謝経路が存在することから、クラスIIと分類 されております。  「JECFAにおける評価」におきましても、2001年にピラジン誘導体のグループと して評価され、クラスIIに分類されております。  本物質の推定される推定摂取量9〜84μgはクラスIIの摂取許容量であります540 μ g/ヒト/日を下回ることから、JECFAにおきまして、香料としての安全性の問題 はないとされております。  「国際的に汎用されている香料の我が国における安全性評価法に基づく評価」におき ましても、本物質は生体内における遺伝毒性はないと考えられる。また、クラスIIに分 類され、安全マージンは90日間反復投与試験の適切な安全マージンとされる1,000 を上 回り、かつ想定される推定摂取量はクラスIIの摂取許容値を超えていないという評価に なっております。  以上のことから、食品安全委員会におきまして、2−エチル−3−メチルピラジンを 食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとの評価をいただ いております。  この食品安全委員会の評価を踏まえまして、資料3として、差し替えでも示しており ますけれども、本部会の報告書の案をお示ししてございます。差し替えの部分は資料3 の一番下のμgがうまく印刷できなかったものですから、差し替えさせていただいてお ります。修正はその点のみでございます。  この報告書でございますけれども、品目、構造式等は先ほどお示ししたとおりでござ います。  用途は香料、海外での使用状況も先ほどお示ししたわけでございまして、5.に示し ております食品安全委員会の評価結果案としまして、食品の着香の目的で使用する場 合、安全性に懸念はないと考えられるということです。  摂取量の推定におきましても、先ほどの評価結果にあるとおりでございます。それを 踏まえまして、7ページ「7.新規指定について」でございますけれども、本部会報告 書の案といたしまして、「本物質を食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定 することは差し支えない。ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、次のとおり使用 基準と成分規格を定めることが適当である」。  「使用基準案」といたしまして、「香料として使用される場合に限定して食品健康影 響評価が行われることから、使用基準は『着香の目的以外に使用してはならない』とす ることが適当である」。  更に「成分規格案」につきましては、次のページに示しております別紙1のとおり設 定することが適当であるとしております。  別紙1が2−エチル−3−メチルピラジンの規格でございます。この規格の設定根拠 につきましては、更に2ページをおめくりいただきまして、10ページでございますけれ ども、こちらに規格設定の根拠を示してございます。  2−エチル−3−メチルピラジンは、JECFAにおきましては、エチルメチルピラ ジンといたしまして、2,3−,2,5−,2,6−異性体の混合物について規格値を 設定しておることから、2−エチル−3−メチルピラジンとして規格値を設定しており ますFCCの規格を基に成分規格案を策定し、JECFAの規格は参考データとして取 扱うということで設定してございます。  まず「含量」につきましては、FCCの基準を採用し「98.0%以上」としておりま す。  「性状」につきましては、JECFA、FCCではいずれも「無〜淡黄色な液体で、 強い生ポテト様のにおいがする」としてございます。  本規格案におきましては、このような生ポテトの臭いと特有の臭いが規定されている ことから、「無〜黄色の液体で、特有のにおいがある」としたところでございます  「確認試験」につきましても、JECFA、FCCと同様、IRを採用することとし ております。  「純度試験」につきましても、FCCの規格を基本的に参考として採用しております けれども、水分につきまして、FCCには参考項目といたしまして、水分含量がござい ます。一方JECFAにもそもそも規格項目がございません。  本品は蒸留精製され、製造過程から生じる水は十分除去されていること。また、本品 は吸湿性ではないということから、本規格案では「水分」を設定しないこととしている 添加物がございます。  また、「定量法」につきましては11ページでございますけれども、FCCの規格に合 わせてGC法を採用することとしてございます。  以上が2−エチル−3−メチルピラジンの報告書案に関してでございます。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。今回、成分規格をまとめられました国衛研の添加物 部の方々より何か追加ありますか。ありませんか。  それでは、2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定の可否について、御意見をお 願いいたします。  私が感じたことは、海外ではナッツとかポテト様のにおいがすると、割合具体的なの ですが、日本では特有のにおいがするというふうにするのが慣例になっているのですか ね。 ○事務局  規格の設定におきまして、通常、特有のにおいがするという形で統一をさせていただ いているところでございます。 ○長尾部会長  もう一つ、細かい字句の問題ですけれども、10ページの含量のところですが、「な お、JECFAではエチルメチルピラジンとして『97.0%以上』としているが」とか、 何かちょっとつないだ方がいいかと思います。 ○事務局  設定根拠のところですか。 ○長尾部会長  そうです。 ○事務局  エチルメチルピラジンとしてはJECFAのみでございますので、そこは誤解のない ように書き加えさせていただきます。 ○長尾部会長  流通品の場合には。 ○事務局  その場合の規格値は2−エチル−3−メチルピラジンとして98.0%以上です。 ○工藤委員  10ページですが、「性状」のところで、「無〜黄色の透明な液体」という表現なので すが、化学物質としては無色であるということで、混入物として黄色がどのくらい入る かということなのでしょうか。 ○佐藤委員  実際の試料を見ますと、2−エチル−3−メチルピラジンについては、透明だったの ですけれども、ピラジン系の化合物は置いておきますと、だんだん着色してくるような のです。そういったことで混入物というよりも、そのものの中で変化が起きて色がつく ということがあるようなので、それでJECFAでも「無〜淡黄色」という規格ができ ているのだと思います。 ○工藤委員  細かくて恐縮なのですが、10ページの「性状」の真ん中のところに、「劣化しても褐 色とならないと考えられること」というのは、このもの自体が変化して色が変わってく る可能性があるととらえていらっしゃるのですか。そうすると、この文章はちょっと違 うかなという気がします。 ○佐藤委員  褐色というのが外国の褐色と日本の褐色のイメージが違うと思うのです。日本では褐 色と言うとチョコレートとか濃い色を想像するのですが、英語のブラウンには、黄色、 淡い色から濃い色まで含まれるかなと思いまして、劣化してちょっと色がついたもの を、向こうの方はブラウンと表現しているかもしれないけれども、それは、日本の標準 でいくと、黄色までとしておいた方が品質上問題が起きないかなと思いまして、規格と しては黄色という標準までにしました。そういうことでよろしいでしょうか。 ○工藤委員  はい。 ○中澤委員  今のことに関係すると思うのですが、このものは安定性がそんなによくないのではな いかという懸念がちょっとあるのと、それに関連して、純度試験として屈折率、比重、 水分というもの、特に屈折率と比重を規定しているんですが、これはもっと見る必要は ないのかというのをちょっと感じるんです。  例えば参考試料の12ページにガスクロのデータがあるのですけれども、水素炎のイオ ン化検出器で測っていますので、いろんなものを測っているのだろうと思うのですが、 非常に小さいのですけれども、マイナーなピークが若干存在しているというのと、純度 試験としてこの2つで担保できるのかどうかという点。安定性を含めていかがなのでし ょうか。 ○棚元委員  今の御指摘のように確かにガスクロのチャートで細かいピークが出ていますが、これ は経時的に変化を見たものではありません。。従って不安定なためにこのピークが出た ものか、もともとスタート物質としてこうなのかいうところがわからないと思います。 物質の安定性を確認するにはそういった検討をやる必要があると思います。  ただ、物として99%という保証があるわけですから、これはガスクロで検出される範 囲内ということになると思いますが、その中では品質としては保証されるのだろうとは 考えます。 ○長尾部会長  中澤先生のお考えでは、98.0%以上ということだけでは不十分ですか。 ○中澤委員  香料ですので、使用される量もものすごく少ないと思うのです。こんなにたくさんは 入れないと思うので、食品衛生的な安全性というのは、私は問題ないと思うのですけれ ども、物がちょっと不安定なので、例えば遮光するとか、密閉容器に蓄えるとか、そう いうことについて何か記載することはないのでしょうか。 ○棚元委員  保存規定ということですね。 ○中澤委員  はい。 ○長尾部会長  添加するまでのことですね。 ○中澤委員  そうです。 ○佐藤委員  実際、この化合物は試薬として販売されているものなのですが、それについては特に 遮光とかいう規定がないので、今回もそういう特別な保存規定を設けなくてもいいと判 断しております。 ○山添委員  先ほどの色のつくこととすべて関連してくると思うのですけれども、色がつく最大の 理由は、この化合物はポリマーをつくって着色するわけですね。恐らくそれは純度とし て保証するということで98%以上で色の限度はそのくらいになるということで、それ以 上になれば純度が落ちるからということで保証はできると思うんですけれども、先ほど 中澤先生おっしゃったように、これは水を含んでも含水するわけですね。ある程度この 化合物は混じると思うのです。それでFCCは恐らくそれを入れているのだと思うので す。その辺のところで結構数値的にはふれやすい条件下で、化合物の特性はほかの化合 物についてはある可能性はあると思うのです。その辺のところで、確かに中澤先生がお っしゃるように、何からの形で重量%以外に何か保証しておくのは1つの方法としては いいのではないかなという気がします。 ○佐藤委員  水分3%というのはちょっとわからないのですが、IRで見ますと、水分とかがかな り含まれている場合、IRのスペクトルはちゃんと変わりますので、ある程度わかるの ではないかと思います。IR参照スペクトルの違いとかでわかると思います。  結局、水分というのはカールフィッシャーではかっているのですけれども、0.1 %の 水分をカールフィッシャーではかるというのか難しいので、現実的ではない規格は避け た方がいいのではないかということ。  あとJECFAでもFCCでもこれ以上の試験を設定していないのです。そうする と、国際的汎用ということから、ほかに新しく規格を設けてしまうと、それは国際汎用 から外れてしまうのではないかということで今回は入れておりません。 ○山添委員  わかりました。 ○棚元委員  色の変化ということですが、私も今まで香料等の全体について色というものを意識は していなかったのですが、多分かなり幅を持って規定されていると思うのです。そうい った色の変化そのものは、確かにこれは物性の変化というのは間違いないと思うのです が、それは非常に感度の高い変化じゃないかという気がいたします。  そのことによって問題があるとすると、今までの香料の色の規定自体がかなり問題に なってくるんじゃないか。例えば、次の品目もそういうことになってきますね。  ですから、色というものを物としてどう捉えるかというところの問題になってきます ので、その感度の問題になると思います。 ○長尾部会長  いかがでしょうか。そういう国際的に汎用されているというものでも、こういう規定 が必要だということなら設けられないことはないでしょうけれども。 ○山添委員  実際に流通しているもので、現在のところ問題がないわけですね。問題があればしな ければいけないだろうし、現在のところその範囲に収まっていて、現在、色の規定も今 回の方が厳しいわけです。範囲を指定しているということで、私はこれに別に問題があ るとは思いませんので、これで結構でございます。 ○長尾部会長  中澤先生もよろしいでしょうか。 ○中澤委員  結構です。 ○長尾部会長  よろしいですか。ほかに御意見ありますか。 ○中澤委員  これはちょっと教えていただきたいのですが、資料3のところに書いてありますよう に、4番の概要で「食品中に天然に存在」するという記述があるのですが、これはどう いう食品に、ナッツとかに入っているのでしょうか。  「加熱により生成される成分である」。これはどういうメカニズムで生成されてくる のでしょうか。もしおわかりになりましたら教えていただきたいと思います。 ○事務局  まず、天然に存在するものにつきましては、幾つか報告が出されておりまして、焼い た食べ物であるとか、コーヒー、ピーナッツ、ポテト製品、豆製品、それからフライド チキン、肉類、ココア、紅茶、エビなどにも含まれているという報告がございます。  どのように生成されるかという機構につきましては、今手元に資料がございません。 ○中澤委員  わかりました。結構です。 ○長尾部会長  ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、2−エチル−3−メチルピラジンの新規指定については可とするというこ とで、この案どおりでいいということで、この案につきまして、今後のスケジュールを 御説明願いたいと思います。 ○事務局  今後は今回の審議結果につきまして、先ほど推定根拠と一部書き直した部分につきま しては、こちらの方で整理いたしまして、早急に報告書のとりまとめをさせていただい た上で、食品衛生分科会での審議のほか、パブリック・コメント、WTO通報等の所定 の事務手続を開始したいと考えております。 ○長尾部会長  それでは、その手続きを進めていただきます。  次に議題2の14ページの5−メチルキノキサリンの新規指定の可否について審議を行 いたいと思います。事務局より資料について説明願います。 ○事務局  14ページに資料4といたしまして、諮問書が付いてございますが、先ほど御説明いた しました2−エチル−3−メチルピラジンと同様に国際的に安全性が確認され、かつ欧 米で汎用されている香料でございます。先ほどの2−エチル−3−メチルピラジンと同 時に、平成17年3月7日、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼した品目でござい ます。  食品安全委員会におきまして、先ほどと同様、平成17年6月14日の添加物専門調査会 で審議が行われまして、その審議を踏まえた報告書案がまとめられ、7月7日よりパブ リック・コメントが食品安全委員会の方で実施されておるところでございます。  16ページを御覧ください。  資料5といたしまして、食品安全委員会の健康影響評価に関する審議結果案でござい ます。  この5−メチルキノキサリンでございますけれども、こげ臭、ロースト臭、またはコ ーヒー様、コーン様の加熱香気を有し、これも食品中に天然に存在、または加熱により 生成するというものであります。  欧米におきましては、アイスクリーム、肉製品、清涼飲料等さまざまな加工食品にお きまして、香りを再現するために添加されておるものでございます。  先ほど申し上げましたとおり、国際的に汎用されている香料ということでございまし て、食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針に基づかず、国際的に汎用されて いる香料の安全性評価の方法に基づき資料の整理を行ったものでございます。  名称等はこちらにお示ししているとおりでございます。  安全性でございますけれども、遺伝毒性につきまして、細菌を用いました復帰突然変 異試験におきましては陰性でございますけれども、チャイニーズ・ハムスター培養細胞 を用いた染色体異常試験において、細胞毒性の見られる最高濃度におきまして、S9mix の有無にかかわらず、染色体異常誘発性が認められております。  更に8週齢のICR雄マウスを用いました強制経口投与によりますin vivo 小核試験 におきましては、小核の誘発は認められなかったとの報告がなされております。  これらの結果を踏まえまして、17ページでございますけれども、in vitroで観察され た陽性反応、このチャイニーズ・ハムスター培養細胞を用いた染色体異常試験の結果で ございますけれども、こちらは細胞毒性がかなり強く認められる用量域での反応である こと。  また、十分高用量まで試験されたげっ歯類を用いる小核試験において陰性であること を考慮しますと、生体にとって特段問題がある遺伝毒性はないものと考えられるとの評 価でございました。  「反復投与」につきましては、90日間反復投与試験におきまして、無毒性量は17.1mg /kg 体重/日とされております。  「発がん性」につきましては、国際機関等において、発がん性の評価はされておりま せん。  そのほか内分泌かく乱性を疑わせる報告は見当たらないとのことでございます。  次に「摂取量の推定」でございますけれども、先ほど同様、JECFAのPCTT法 によります1995年の使用量調査に基づく米国及び欧州における一人一日当たりの推定摂 取量は、それぞれ1μg及び26μgと報告されております。  我が国におきましても、同様の推定摂取量と考えますと、おおよそ1〜26μgの範囲 になると想定されております。  なお、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は意図的に添加された 本物質の28倍であるとの報告もございます。  これらを踏まえました「安全マージンの算出」でございますけれども、先ほどの90日 間反復投与試験の結果で得られましたNOAEL、17.1mg/Kg 体重/日と想定される推 定摂取量、1〜26μg/ヒト/日を日本人の平均体重で割ることで算出されます体重当 たりの推定摂取量と比較し、安全マージンにおきましては、32,885〜855,000 が得られ ております。  次に「構造クラスに基づく評価」でございますが、本物質はピラジン誘導体に分類さ れる食品成分でございます。2環性の複素環化合物におきましては、単環化合物に比べ てピラジン環が水酸化されやすく、キノキサリンのラット及びウサギ肝臓可容性分画を 用いたin vitro試験におきましては、2−ヒドロキシキノキサリン及び2,3−ジヒド ロキノキサリンが生成すると考えられております。  5−メチルキノキサリンも同様にピラジン環の水酸化を受け、また、アルキル置換の 単環ピラジン類と同様にメチル基の酸化を受け、水溶性のキノキサリンカルボン酸が生 成すると予測されております。  本物質及び推定代謝産物は生体成分ではございませんが、ピラジン誘導体にはこのよ うな代謝経路が存在し、また芳香環が縮環しており、効率よい経路であるかどうかが不 明ということから、クラスIII に分類しておるものでございます。  「JECFAにおける評価」につきましては、2001年にこのピラジン誘導体のグルー プとして評価され、クラスIII に分類されております。  想定される推定摂取量(1〜26μg/ヒト/日)は、クラスIII の摂取許容量であり ます90μg/ヒト/日を下回ることから、香料としての安全性の問題はないとされてい るところでございます。  また「『国際的に汎用されている香料の我が国における安全性評価方』に基づく評価 」におきましても、本物質は生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと考えられ、 また、クラスIII に分類され、この得られた安全マージンは適切な安全マージンとされ ます1,000 を大幅に上回り、かつ想定される推定摂取量はクラスIII の摂取許容値を超 えていないと評価してございます。  これらを踏まえまして、食品安全委員会におきます評価結果は、「5−メチルキノキ サリンを食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられる」との評 価をいただいているところでございます。  この評価を踏まえまして、資料6として、本部会の報告書案をお示ししております。  品目名、構造式、用途、使用状況、評価結果、推定等は先ほど申し上げたとおりでご ざいます。  これらの食品安全委員会の評価も踏まえまして、22ページ「新規指定について」「本 物質を食品衛生方の第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えない。 ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、次のとおり使用基準と成分規格を定めるこ とが適当であるとしまして、「使用基準案」といたしましては、「香料として使用され る場合に限定して食品健康影響評価が行われたことから、使用基準は「着香の目的以外 に使用してはならない。」とすることが適当である」。  また、「成分規格案」につきましては、次のページ、別紙1のとおり設定することが 適当であるとしております。  23ページが成分規格案でございます。  25ページの別紙2、こちらが5−メチルキノキサリン規格設定の根拠でございます。 この5−メチルキノキサリンにつきましては、JECFAに規格がございます。FCC には未収載でございまして、基本的にはJECFAの規格を基につくっておるところで ございます。  特に異なる点につきまして、まず「性状」でございますけれども、JECFAでは 「無〜淡黄色な液体で、焙煎した時のナッツ、コーヒー様の匂いがする」としておりま す。  また、海外流通品2例の場合におきましては、本品の融点が20〜21℃でありまして、 低温時に固体になることから、「琥珀色の液体〜暗褐色の固体」、又は「無色〜褐色の 液体(冷時固体)」とされているところでございますが、このJECFAの規格及び先 ほどの本品の化学的性質に基づきまして、本規格案におきましては「無〜だいだい色の 液体又は結晶塊で特有のにおいがある」としたところでございます。  「確認試験におきましては、JECFAの規格に合わせまして、IRによる確認法を 採用しております。  また「純度試験」におきましては、JECFAの規格及び海外流通品2例の比較値を 参考といたしまして「1.615 〜1.625 /20℃」を採用することとしております。  また、比重におきましては、JECFAの規格を採用したところでございます。  定量法につきましては、GC法を採用することとしておるところでございます。  以上でございます。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。国衛研の先生方、何か追加はございますでしょう か。 ○棚元委員  特にはありません。 ○長尾部会長  それでは、5−メチルキノキサリンの新規指定の可否について御意見をお願いいたし ます。  食品安全委員会の報告書の方ですが、17ページに「我が国の本物質の推定摂取量はお よそ1〜26μgの範囲になると想定され」とあります。これは意図的に添加された本物 質の28倍であるとの報告があるというのですが、元がこれだけ開いていますので、28倍 というのは、26μgとしてなんでしょうかね。1μgで28倍だと、26μg摂っていれ ば。 ○事務局  28倍というのは、米国の報告書をもとに作成されておりますので、米国の推定摂取量 である1μgを28倍いたしますと、欧州の推定摂取量とほぼ同程度になります。 ○長尾部会長  そうですか。ほかには何か、成分規格とか御意見ありますでしょうか。 ○工藤委員  最後の参考資料2というガスクロのパターンが、一番下のところがカットされたよう な図が出ているように思うのですが、先ほどのものと大分イメージが違うのですが。 ○長尾部会長  そうですね。これはちょっとわからない。 ○佐藤委員  これは測定した装置が違って、データ処理装置の違いでパターンが違っているのです が、上が振り切れた状態で下を拡大して見ている図なのですが、片方は解像度が高いと いうか、こちらは昔ながらのインテグレーターみたいな形のもので取り込んだチャート なのでがたがたしているので、下が切れたという意味がちょっとわからないのですが。 ○工藤委員  先ほどのだと定量とは言え、夾雑物の小さいピークが見えますね。こちらは下のとこ ろで周辺のピークが全然ないのだけれども、ここまできれいだということですか。 ○佐藤委員  きれいだということです。 ○工藤委員  そうですか。失礼しました。 ○長尾部会長  よろしいでしょうか。特に御意見がないようでしたら、5−メチルキノキサリンの新 規指定については可とするということでよろしいでしょうか。  それでは、5−メチルキノキサリンの今後のスケジュールについて事務局から御説明 願えますか。 ○事務局  こちらにつきましても、今回の審議結果に基づきまして、食品衛生分科会での審議の ほか、パブリック・コメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと考えてお ります。 ○長尾部会長  それでは、次に報告事項に移らせていただきます。  最初に平成16年度に実施されました既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究の 報告書について、事務局から説明願います。 ○事務局  それでは、報告資料1と付いておりますひとくくりを御覧ください。  この調査研究報告書でございますけれども、既存添加物の安全性の見直しに関する調 査研究といたしまして、国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター長で あります井上先生を中心に、ここにおられます先生方にとりまとめていただいたもので ございます。  2枚おめくりいただきまして、1ページ目、この研究の概要でございます。  既存添加物の安全性につきましては、平成8年度厚生科学研究報告書におきまして、 国際的な評価結果、欧米での許認可状況、安全性試験成績結果等から、既存添加物の基 本的な安全性について検討した結果、489 品目のうち139 品目については、今後安全性 試験の実施も含め、その安全性について検討することが必要であると報告がされている ところでございます。  今回はその報告書におきまして、更に検討する必要があるとされた139 品目のうち、 平成11年度において報告された14品目及び平成15年度において報告された17品目を除き ます108 品目を対象に、新たに安全性試験成績が収集できた品目につきまして、検討を 行ったものでございます。  本報告書におきましては、アグロバクテリウムスクシノグリカン、アマシードガム、 アロエベラ抽出物、魚鱗箔、サンダラック樹脂、スフィンゴ脂質、パフィア抽出物、ヒ キオコシ抽出物、ヒメマツタケ抽出物、ベタイン、ベニバナ赤色素、メバロン酸、モリ ン及びログウッド色素の14品目についての検討結果をまとめて収載してございます。  検討した14品目につきましては、90日間以上の反復投与試験及び変異原性試験の成績 を入手することができまして、この試験成績により、個々の既存添加物について、基本 的な安全性を評価することができました。  結論といたしましては、現時点で直ちに人への健康影響を示唆するような試験結果は 認められず、新たな安全性試験を早急に実施する必要はないものと考えられるとの結論 をいただいているところでございます。  4ページ以降に評価した14品目の評価の概要をお付けしてございます。  この評価を踏まえまして、既存添加物の安全性の見直しの状況でございますが、27ペ ージを御覧ください。「報告資料2」とあるものでございますが、16年度の調査研究の 結果を踏まえまして、現在245 品目について国際的な評価が終了、もしくはこの厚生労 働科学研究等での評価が終了しているものでございます。  現在、試験を実施中、これから検討を行うものとしましては42品目。  3番目としまして、「基原、製法、本質等からみて安全と考えられ、早急に検討を行 う必要がない品目」として116 品目。  4番目としまして、我が国において流通実態を確認できない品目、47品目は、こちら は現在、都道府県を介して調査を行っておりますが、この47品目の計450 品目が現在既 存添加物名簿に収載されているものでございます。  先ほど489 品目と申し上げましたけれども、残りの39品目につきましては、この下に ありますものです。  まず38品目につきましては、流通実態がないことから、既存添加物名簿から消除し、 更に1品目、「アカネ色素」につきましては、その後の情報に基づき追加試験を実施 し、安全性に問題があるとされたことから、同様に名簿から消除されたところでござい ます。  以上が既存添加物の安全性見直しの状況でございます ○長尾部会長  何か御質問等ありますでしょうか。 ○小沢委員  流通実態を確認できない47品目というのは、例えばもう少しわかってきて、流通実態 がないということになれば、また消除するという段取りになるのでしょぅか。 ○事務局  そのとおりでございます。既に38品目を消除してございますが、この47品目につきま しても、確認の上、流通実態が無いものは消除する、流通実態のあるものは試験を実施 するという形になると思います。 ○長尾部会長  ほかにはよろしいでしょうか。よろしければ報告資料の3の説明ををお願いします。 ○事務局  報告資料3でございます。いつも付けさせていただいております、食品安全委員会の 意見聴取及び食品健康影響評価結果の表でございます。こちらの方におきまして、これ まで食品安全委員会の意見聴取を依頼したものや、現在進行中の進捗状況をお示しして おりますので、御参考にしていただければと思います。  以上でございます。 ○長尾部会長  これについて何か御質問等ありますか。  ほかに何かございますか。 ○事務局  ありません。 ○長尾部会長  それでは、次回の予定をお願いいたします。 ○事務局  次回の添加物部会は、定例としております第4木曜日の8月25日木曜の午前10時より 開催を予定しております。議題につきましては、7月22日に食品安全委員会の添加物専 門調査会での検討が終了いたしました香料のブタノールになるかと思いますが、改めて 御案内させていただきます。 ○長尾部会長  それでは、本日の審議はこれで終了いたします。  どうもありがとうございました。                        ┌──────────────┐                        |照会先:厚生労働省医薬食品局|                        |    食品安全部基準審査課|                        |          添加物係|                        |  内線:2453.2444|                        └──────────────┘