2005/7/27 第10回医薬品・医療機器等対策部会議事録 第10回 医薬品・医療機器等対策部会                     日時 平成17年7月27日(水)                        15:00〜17:00                     場所 厚生労働省7階専用第15会議室 ○事務局  定刻を過ぎておりますので、「第10回 医薬品・医療機器等対策部会」を開催させて いただきます。なお、本部会の名称ですが、前回まで「医薬品・医療用具」となってい ましたものが、今回から「医薬品・医療機器」と変更になっておりますのでご了承くだ さい。  委員の方々におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、まことにありがとう ございます。本日は本部会委員15名のところ、堀江委員が欠席でございまして14名 の出席をもって開催させていただきます。  また、前回の部会以降、事務局に人事異動による交代がありましたのでご紹介させて いただきます。医薬食品局安全対策課の山田安全使用推進室長です。医政局総務課の小 林医療安全対策専門官です。同じく総務課の平野医療安全対策専門官です。  それでは部会長、よろしくお願いいたします。 ○桜井部会長   桜井でございます。よろしくお願いいたします。それでは、最初に配付資料の確認か らお願いします。 ○事務局  では、資料の確認をさせていただきます。まず、「資料10−1 第12回ヒヤリ・ハ ット事例収集結果」、「資料10−2 第13回ヒヤリ・ハット事例収集結果」です。  続いて、「資料10−3−(1) 今後の医療安全対策について」です。こちらの報告書で すが、当日配付として、その概要版を委員のみ別途付けております。「10−3−(2) 医 療安全対策検討ワーキンググループの運営要綱」、「10−3−(3) 医療安全対策検討ワ ーキンググループ委員名簿」。「10−3−(4) 医療安全対策検討ワーキンググループ開 催日程一覧」になります。  続いて、「資料10−4−(1) 医薬品類似性検討ワーキンググループ開催報告」、「資 料10−4−(2) 新規承認医薬品名称類似回避フローチャート(案)」、「資料10−4 −(3) 点滴用キシロカイン10%の限定供給について」です。  続いて、「資料10−5−(1) 医療機器安全対策検討ワーキンググループ開催報告」で す。「資料10−5−(2) 医療機器安全対策検討ワーキンググループの運営要綱」、「資 料10−5−(3) 医療機器安全対策検討ワーキンググループ委員一覧」、「資料10−5 −(4) 人工呼吸器事故記事」、「資料10−5−(5) フライングリードの誤接続対策につ いて」です。  続いて、「資料10−6 医療事故防止等に係る代替新規申請品目の承認及び薬価基準 上の取扱いについて」、「資料10−7 平成17年度税制改正」、「資料10−8 簡 易血糖自己測定器・自己血糖測定用グルコースキットに関する安全対策」、「資料10 −9 第9回医薬品・医療用具等対策部会議事録」になります。  さらに、先ほど申し上げた当日配付の資料として、資料10−3−(1)に関する「今後 の医療安全対策について」の概要版と『日刊薬業』6月8日の記事の切り抜きです。 ○桜井部会長  それでは、議事次第に沿って進めていきたいと思いますが、最初は第12回、第13 回の「ヒヤリ・ハット事例収集結果」についてで、資料は10−1と10−2です。よ ろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、「第12回ヒヤリ・ハット事例収集結果」の医薬品・医療機器・諸物品の 分析についてお話させていただきます。  まず、12回の1頁になります。今回の収集期間は、平成16年5月25日から平成 16年8月23日までです。総事例数「416」、うち医薬品関連情報が「319」、医療機 器関連情報が「89」、諸物品は「8」です。  医薬品については、前回とほぼ同様の、「名称類似」、「規格違い」、「勘違い」が 上位を占めております。医療機器関連情報については、「故障」、「複数の規格による 間違い」及び「管理不十分」が占めております。なお、この医薬品の部分に戻らせてい ただきますが、「その他」のところが「163」と、非常に多くなっております。こちらに ついては、第13回のところで、この「その他」に入っているものをさらに細分化した ものを付けさせていただいております。  続いて、13回の1頁です。平成16年8月24日から平成16年11月24日まで に収集されたもので、総事例数「367」、うち分析対象事例数が「364」、医薬品「291」、 医療機器「60」、諸物品は「13」です。  下から6行目くらいのところですが、「163」をさらに確認不足「80」、管理の問題「50」、 情報伝達の問題が「17」、未開通「13」、その他は「3」ということで分けております。 それに基づいて、13回はそれと同じ分類をさせていただいております。  そういうことで、いままでは大体、「記号違い」、「規格違い」、「勘違い」が上位 で、数が非常に多かったのですが、今回新しく項目を設けた「確認不足」、あと「管理 の問題」というのが非常に多く報告されているという結果になっております。医療機器 についても同様に、いままで「管理不十分」といわれていたものの中から、「保守点検 不足」、「管理不足」、「誤った操作によるもの」というものに分けさせていただいて おります。  大きな数値的なものはそういう内容になっております。あと、また個別の内容につい ては、医薬品と医療機器に分けて、土屋委員及び目黒委員のほうからご解説いただきた いと思います。よろしくお願いいたします。 ○土屋委員   それでは、医薬品の部分について、この12回、13回は特に対象が広がったという こともあって、報告件数が急増しました。その結果、先ほどお話がありましたように、 いままでですと分類が「その他」にあまりこなかったものが、新たに発生してきたとい うことで、12回では約半数が「その他」のところへ行ってしまった。そのまま、いつ までもそのようにするわけにはいきませんので、13回から「その他」のところを、「確 認不足」、「管理の問題」、「情報伝達の問題」、「未開通」ということを表に出して、 それに対して、13回に対して12回の部分も、「その他」のところを、そのように変 更したということです。前回は括弧付きで入っておりましたが、そういったことにしま した。  その結果、注意を要する例としては、いくつかございます。これは、事故の問題もあ りましたが、例えば10頁の38の例でございます。これは、持参薬の問題です。持参薬 については、さまざまなことが言われておりますが、やはりかなり使われる率が高くな ってきたということも含めて、そういった管理をどうするのか。あるいは、その切り替 え時に発生するエラーというものが報告されております。  12頁の48番、49番のところですが、これは実は、キシロカインの10%が、一応供 給中止になって、その対策として、オリベスKというものを採用するという形になった わけです。しかし、これに関して、流量の設定を誤ったということからいうと、オリベ スKのほうが、キシロカインの10%よりも総量としていえば大量にあるので、これはや はり、オリベスKに切り替えたということで、安心感があって、もう事故対策は終わっ たというように思うと、とんでもないことになります。したがって、こういう流量設定 による誤りというものが出てきておりますので、少なくとも事故対策というものは、も のを変えたからすぐそれで対策がとれて完了ということではないということを、確認す ることが必要かと。これは、後ほど申し上げるカリウム製剤でも、やはり起きておりま す。せっかくこのカリウムとキシロカインについては、病棟にはもう置かないとか、そ ういうさまざまな管理上の手続をとったわけですが、しかしそれの代替品、あるいはそ の代わりのものにおいて、こういうエラーが起きているということは、かなり注意を要 することであると考えております。  少し飛んで20頁の90番です。そのほかの例もありますが、いわゆる手術前、検査前 に、いままで飲んでいた薬を休薬しなくてはいけないということは当然あるわけですが、 それに対してのチェック漏れというか、結果としてこれはオペを延期したりとか、そう いうような事例が出ております。したがって、手術前や検査前で、薬を休むという場合 には、これはやはり多職種間にもわたると思いますが、そういったところでチェックす る仕組みをきちんともつということが、結局、予定どおりオペを行うということを守る わけですので、是非そういった注意が必要かと思います。  26頁124番です。これは第12回の報告のところでも、23頁の119番、120番の 例ですが、ラキソベロンが点眼されてしまったという例です。これは、点眼薬の類似の 外用薬については、目に入れないことということ、あるいは10cc以上にするというよう な対策がとられているのですが、ラキソベロンの場合、どうしても形が何となく似てい るということもあって、これが12回、13回、連続して出てきているということは、 やはり注意喚起が必要なのかなという気がいたします。  それから先ほどちょっと申し上げましたが、34頁の164番、165番の例です。アス パラKですが、カリウム製剤を直接入れてしまったとか、事故には至っていないようで すが、やはりカリウムというものをワンショットしてしまえばいけないということはわ かっているわけですが、法的には普通薬ですが、医薬品の上では、特に安全管理が必要 な医薬品ということで、こういったものに対しての注意をもう一度徹底する必要がある。 法律面ではなく、管理上注意が必要ということがいえると思います。  飛びまして45頁224番から後は、ずっと、先ほどのオペ前の薬をやめるということ も含まれています。221番からもそうですが、こういったところに、いろいろコメント を付けておりますが、やはり糖尿病用薬、あるいは抗がん剤といったように、当然ハイ リスク薬として、注意が必要なものに対するものが、どうも確認を怠っていたとか、そ ういったことが起きております。やはり、その確認不足が事故につながるということを 考えると、やはりそういった薬に対しての確認の手順というか、そういったことをもう 一度徹底する必要があるのではないかと思います。  それから、これは法的規制で、57頁の286あたりから280台はみなそうですが、麻 薬です。麻薬は、当然いつも厳しい管理の下に、医薬品の管理そのものも厳しく行われ ているのですが、依然としてその管理の仕方がちょっと問題になるような事例が多数報 告されておりますので、そういった点について、もう一度注意しなければいけないかと 思います。大きなところでは以上でございます。 ○桜井部会長   目黒委員、続けてお願いできますか。 ○目黒委員   それでは、医療機器の事例について報告させていただきます。まず初めに、検討要因 の中で、番号のすぐ隣に管理が不十分だったという部分があるのですが、このほとんど は、人の問題、要するに取扱いの問題であったり、ヒューマンな部分のことが多くて、 機械そのものに関する部分は比較的少なかったです。  それで、この中でいろいろ見ていたのですが、多いのはやはり、輸液ポンプに関連す る部分、それからあとは接続ルートに関する接続がきちんとされていなかった、要する に確認で済む部分も結構ありました。そのほか最近、臨床工学技士の人たちもきちんと 報告してくれるのか、透析関係の報告も比較的多くされるようになってきています。  今回は、私のほうとしてはすべての機器全部というのは非常に大変なので、人工呼吸 器と輸液ポンプに関する部分、その他必要な部分について報告させてもらおうと思って います。まず、12回のヒヤリ・ハット事例の7番の「その他」の分類になっていて、 これは一般の家庭でもよく考えられることですが、個室で人工呼吸器を装着中の患者さ んがいて、隣の部屋でも同様に、洗髪あるいはケアをしていたわけです。そのときに、 ドライヤーを使用したところ、隣の部屋と人工呼吸器を使っている部屋の電源が同じ系 統からきていて、そこで容量が超過して電源が切れてしまったという事例です。コメン トのところに書いてあるように、「本事例については電源供給の遮断による作動停止で あって、正常な作動と考えられる」。止まったことが正常というのかどうかは別にして も、この当時の機械は、私どもも使っているのですが、電源が切れた場合のバックアッ プのバッテリー等を積んでいないことが多いので、使用の場合は、医療機器とは別です が、やはり電源の供給についても認識として必要だなと思いこれを取り上げてみました。 要するに電源の容量がオーバーすると、機械は止まりますよと。バックアップがなけれ ば、どうしてもそれは基本的に動きませんということです。  次に26番をご覧ください。これも管理が不十分だったのですが、この具体的な事例と しては一年以上、人工呼吸器を使用して呼吸管理を行っているのですが、人工呼吸器の ほうからかすかに「シューッ」と漏れるような音が聞こえたということで、確認してみ ると、中央配管と人工呼吸器をつなぐ部分からシューッと漏れた音がしていた。MEが きて一応点検してもらったけれども原因がわからなかったということです。私も同様の 事例を経験して、酸素を使うような機械のホースはやはりかなり劣化が激しい。コネク ターとかゴム部分の劣化が意外と激しいことがあって、私が経験したのは、やはりその 接続部分、機械とつなぐ部分は金属なのですが、チューブはビニールで、その接続部分 で、経年使っていると、緩みが出てきて漏れが出てくるというようなことがあります。  ただ、この内容で問題なのは、そういう中央配管と人工呼吸器をつなぐガス用のホー スラインをきちんと何年ごと、あるいは何時間ごとに交換してくださいという文書は、 私もあまり見かけた記憶がないものですから、そういう部分についても注意を払うこと が必要なのかなということで、取り上げさせていただきました。  次に、38番、モニターです。患者さんが重症になって、心電図モニターが必要になっ たのですが、患者さんが心肺停止状態になったときに、モニター上に心拍動が見られた ということになっているのです。こういうことは本来あってはならないのですが、病院 で電波管理委員会が実際に委員会を開いていて、そういう電波管理を行っているところ もあるし、コメントのところにも書いてありますが、やはり誰かが総括責任としてチャ ンネル、FM東京であれば80メガというチャンネルがあるのですが、そういう同じ周波 数帯で、同じような出力をもった、親機・子機というのですが、セントラルモニターで 心電図が見えて、それで発信機は患者さんの傍にあるわけです。この子機が近くに二台 あったわけです。二台あったがために、同じ人のところに二人分の心電図が出てきて、 偶然にも亡くなられた心肺停止になった患者さんのところに、実際にはいま心臓がきち んと動いている方の波形が見えてきたということで、これは非常に、私も困りました。 そういう機械というわけではないのですが、こういう事例は非常に大きな問題で、その 発信機の数が多ければ多いほど、周波数をきちんとコントロールしなければならない。 小まめにきちんとやらないと、こういう事態が起きます。もし間違って、亡くなられそ うな患者さんの波形が出ていたということであれば、重要な問題なので、取り上げてみ ました。  次に、41番は輸液ポンプの件で、ビニールチューブが可塑剤で、非常に毒性が強いと いうことで、最近PVCフリーの、こういうチューブに換えてきているのですが、その 換えた当初、一部の輸液セットに関しては、輸液ポンプの滴下数を見る滴下センサーと いうのは赤い光の透過性で見ているわけです。それが、センサーはきちんと働いている のですが、チューブ自体が濁っていて、どうも動作があまりよくなかったということで す。最後のほうに書いてあるように、ポリブタジエンという素材らしいのですが、当初 頻発して、現在は安定して発生しておらず、医療機関においてはチューブを気泡センサ ー部に十分密着させることが重要であるというコメントになっています。この辺も、医 療機器が変わるときに起こりやすいことかなと思って、取り上げさせていただきました。  次に、52番の人工呼吸器の件は、人工呼吸器のアラームが鳴りやまないので訪室した のですが、回路のアラームが止まらない。要するに故障だということだったのですが、 メンテナンスの時期を十日過ぎていて、予定どおりメンテナンスに出したら防げたかも しれないということです。この機械が非常に古くて、コメントに書いてあるのですが、 「企業への報告がないため、原因の特定は困難である。企業において該当する製品を想 定し、機器側の原因を仮定すると、ダイヤフラムやバルブの劣化、トランスデューサー やサーボバルブ等、電気系統の故障、ミキサーの異常による換気停止、種々の可能性が 考えられる」となっています。  しかし、これらの部品については、点検時に点検・交換されるものであり、防ぐこと が可能であるということで、前回点検からの使用時間、オーバーホールの時期、及び保 守管理を施設内で行ったのか、企業に依頼したのかが不明であるが、いずれにしても保 守管理を適切に行うことが重要であるということです。  これについて、メーカーへの報告がないものですから、いつもこういう報告について は、作業部会でいろいろ議論するのですが、憶測の域を出ない議論が結構ありまして、 憶測というか、推測しながら回答を出すということなので、やはり、もう少しユーザー 側からの情報提供が多ければ、もっと細かな原因がわかるのかなという気がして取り上 げさせていただきました。  次も、これも管理が不十分だったという例で73番です。人工呼吸器の回路交換を行っ た後、あらかじめ組んでおいた人工呼吸器回路の呼気弁の一部に組み付け不良があり、 その回路を使用した患者さんの呼吸状態の悪化が起きて、病棟看護師、医師による酸素 投与、臨床工学技士による回路交換を行ったというものです。  これはコメントのほうに書いてありますが、本事例と同様な呼気弁の組立て不良の事 例が、平成14年8月に発生して、平成15年1月に、医療用具不具合症例報告書が、 平成15年4月に、医療機関向けに注意喚起文書が出されています。これを取り上げた のは、私たち臨床工学技士、あるいはユーザーはこういう注意喚起が、きちんと末端ま で報告書が行って、皆さんわかっているかどうかという部分は、まだ周知徹底されてい ないなということがちょっと気にかかったもので、これを取り上げさせてもらいました。  あとは、76番と79番があるのですが、これは同じような事例で、コメントのところ に書いてあるように、スイッチが二つありますが、テストモードによる点検終了後に、 本体パワースイッチをオフにして、テストモードを解除しないで、本体正面の電源ボタ ンをオフにして解除した状態において、再度、本体正面の電源スイッチをオンにして、 自己診断中、要するに操作が非常に複雑に絡み合っているのですが、そのような操作を してしまうと、動作異常を、自己診断中に、輸液開始スイッチを早押しというのですが、 それが行われると、どうも輸液が早く落ちてしまうことがあるということなので、これ に関しては、コメントの右側のいちばん下のほうに書いてあるように、医療機関から、 医療機器安全性情報報告書が提出されていて、ユーザー側、医療機関側には注意喚起し ているということになっております。  それと、あと非常に気になった事例で、80番で、全く医療機器でないわけではないの で、これは医療機器に関しての注意かどうかという問題なのですが、アルコールを使っ た消毒薬を、乾かないうちに電気メスを使ったら、火花が引火してしまったという事例 があります。ときにやはりこういうことがあるので、ある意味で示唆に富んでいる事例 なので、どういう形でも、何か医療機関に、ときにはこういう事例には注意したいとい うことで、アルコールはきちんと乾かしてやるようにということが、皆さんに報告でき ればいいなと思って、選んでみました。  次に13回のほうに移らせていただきます。まず10番、サーボベンチレータという、 一般的にはサーボIといわれる人工呼吸器ですが、機械そのものの故障ということで、 電源基盤の中にあるコンデンサーが非常に耐久性の弱いもので、それを使用中、熱を帯 びて発熱損傷してしまったということです。これに関しては、回収を実施中ということ になっています。機械はそういうこともあり得るということで、取り上げてみました。  それから、13番の輸液ポンプの例です。実はこれは私もいま仕事場で、よく遭遇する のですが、輸液ポンプの場合には、±10%の誤差が一般的です。ですから100ccでいけ ば、90から110mlの間で動くということで、それが長時間、例えば1000ml を一日かけ たり、二十四時間かけて入れたりした場合には、ある程度の時間誤差が出てくるわけで す。それで、ここでは輸液ポンプの誤差に触れているのですが、右側の検討結果で、要 するにもっと精度の高いものを使えば誤差が少ないよということをいっているのです が、実は、輸液に関していいますと、バッグの中、これは薬剤にも関係があるのですが、 約5%から10%、実は薬事では2%と決まっているのですが、メーカーとしては、プラ イミングとある程度の容量の余分を見て入っているわけです。7%くらいが一般的だとい われているのですが、1000ccでも7%だと、結構な量になって、それを低い流量、時間 流量が50とか、それくらいで長時間使いますと、どうしてもそういうふうに一時間くら いの誤差が出てきてしまうということで、取り上げさせていただきました。最近は、輸 液ポンプの安全対策がとられて非常に良くなって、輸液ポンプを使用する機会が多くな り、その辺の問合わせが非常に多くて私もちょっと困っているところもあります。  19番のところは、これもやはりメーカーの回収で、ちょっと稀な事例かなとは思うの ですが、これは人間のやることですので、心電図の生体情報モニターから黒い煙が上が っているのを発見して、焼けた臭いが部屋中に充満しているということです。これは、 実際には自主改修したときに、プリント基盤の中にある素子を交換した。その素子を交 換する操作手順の中で、新たに間違いを起こしてしまって、それが故障原因になったと いうことだったかと思うのですが、もし間違っていたら、事務局で後で訂正してくださ い。一応そういうことで、改修中に、メーカーのほうでもミスを起こされた事例という ことで報告させてもらいました。  あとは、機器の誤動作ということで、31番人工呼吸器のアラームです。パワーLOS Tの表示になって、呼吸器の動作不良ということですが、この事例については、機器本 体部センサーの故障で、外部電源使用の判断を機器が誤認識したものと推測されたとい うことです。これは回収とされているはずで、いちばん最後、「また本機器は内部電源 への切換不良を理由に基盤の交換を行う回収が行われている」と。ヒューズの接続の部 分が問題だったのですが、そこをハンダ付けして以来は、その報告事例はないというこ とで、そういう機械の改修を行った報告があるということで、報告させていただきまし た。  実はそれ以外にも、透析等いろいろあったのですが、今回は、初めての私の報告とい うことで機種を選んで報告させてもらいました。以上です。 ○桜井部会長   どうもありがとうございました。いまのご報告について、何かございますか。 ○土屋委員   済みません。一つ飛ばしてしまいました。第13回でいえば、38頁の187、188あた りにございますが、例の二槽式、あるいは三種のものの未開通です。これについては実 は対策がとられ、またポスターも出ているのですが、どうもいろいろ見ていくと、この 対策、要するに、どうしてこういうふうになったのかということが、必ずしも医療機関 において徹底されていない。わざわざぶら下げる穴のところを、開通確認ということで 塞いでいるわけですが、先にそれを取ってしまうとか、そういうようなことも起きてい るようなので、取られた対策を、医療機関に対して徹底する方法というものを、もう少 し考えなくてはいけないのかなということがございます。 ○吉澤委員   収集事例の中で多いのが、やはり、規格違いで、その中でも、薬剤師さんが払い出し をするときに規格を間違われるのが、二回とも最も多いようです。これについても、や はり何らかの対策を急ぐべきで、「医薬品類似性検討ワーキンググループ」のほうでの 検討も進んでいますが、早く結論を出して対策を講じたほうがいいかと思います。  もう一つは、いま土屋委員が言われた、ダブルバッグの未開通ですが、これが第13 回報告のまとめの中でまとめてありまして、第12回が13件、第13回が9件なのです が、対策がとられたのが去年の秋ですから、第12回については全く対策がとられる前。 第13回はとられている最中ということで、徐々に減ってきているので、対策が浸透す ればかなり効果があるのかなという感じを受けました。  ただ、第13回の9件の中の3件については、対策を講じなくてもいいよという、徐 外したもので、片方の液に色がついているので二槽であることがはっきりわかるから、 対策を講じなくてもいいということで除外したのですが、除外したものがやはり3件発 生しているので、安易な除外はまずいのかなという印象を受けました。以上、感じたと ころです。 ○山本委員  医療機器のほうからもちょっと追加させていただきたいと思います。まず第12回、 72頁の46番で、接続外れということで、対策としてロック式を使うべきだというコメ ントが出ています。これは第13回でもかなり同じような事例が出ています。接続のと ころがロック式になっている医療機器、これは大体、アメリカでは九割くらいがロック 式だといわれています。日本では残念ながら、三割くらいしか入っていないというのが 現状です。私たち業界としては、ロック式を勧めているところですが、なかなか採用し ていただけないという問題がございます。業界からの調査では「高いから買わない」と いわれていますが、別の理由もあるのかどうか、どこか医療機関のほうでも調査してい ただけるとありがたいと考えております。  それから、75頁の54番で、同一患者さんのフォーリーカテーテルが六回破裂したと いうことですが、ここの医療機関からのコメントにもあるように、非常に珍らしいケー スであった。しかしながら原因を追及する姿勢が弱かったということですが、メーカー にこういうことを知らせていただいたほうが、今後の製品改良につながりますので、是 非そうしていただけたら大変ありがたいと考えております。  この事例にかかわらず、全般的に見ると、医療機関から企業のほうにご連絡がいって いないケースが非常に多いために、原因の特定ができていないケースが多いのではない かと思っています。できれば、連絡していただいて、一緒に原因追及をするようにして いただいたら、大変ありがたいと考えております。  続いて、第13回で、例えば11番で、機械を見ると、購入年月日が1982年という ことになっていて、古い機械を大切に使っていただくのは大変ありがたいのですが、や はり、非常に年月が過ぎたものについては危険を伴うということを、ご理解いただきた いと考えております。  次に、65頁の20番で、ガイドワイヤーを、再使用禁止というものではあるけれども、 高いためにいつも再使用していたということが、医療機関のコメントに書いてあります。 私たちは添付文書の「禁忌・禁止」の項目に、「再使用禁止」という形で注意を促して います。添付文書をすべて読んでいただくというのは、なかなか難しいと思うのですが、 「禁忌・禁止」及び「警告」の欄は、最も重要な注意事項を記載していますので、せめ て読んで守っていただきたいと考えているところでございます。 ○寺井委員  医療機関の医療安全管理をしている者からの希望としては、先ほど目黒委員がおっし ゃっておられましたが、こうした事例を分析した結果、アルコールに電気メスから引火 したとか、そういう事例をフィードバックしたいとおっしゃっておられましたが、是非 実現していただければと思います。一生懸命報告しても、医療機関にすぐに返ってくる ものがあまりなくて、いま、それも問題に挙がっているかと思いますが、イメージとし ては、「医薬品安全情報」のようにデータとして、または情報紙としてフィードバック していただけると、非常によいかと思います。  先ほど、人工呼吸器の回路の組み方についても、注意喚起文書が提出されていた平成 14年にということでしたが、いまなおされていないのであれば、重要なことですので、 こういったことも併せて、情報のフィードバックを是非お願いできればと思います。 ○原田委員  二点ほどあります。まず土屋委員からご報告いただいた、あるいは事務局のほうから ご報告いただいた、「その他」を分けていただいた点です。特に医薬品のほうで、「そ の他」を分けていただいて大変わかりやすくなったと思っておりますが、一点、特に「管 理不足」のところで、結局、その薬品について何を管理していなかったかというところ で、まだもう少し分けていけるという点です。特に譫妄状態等で転落があったというの が、全部管理不足になっていますが、それと薬剤等の管理とは、やはり意味が違ってき ていると思うのです。特に「自己抜去」とか、「転倒・転落にかかわる部分」と、それ 以外の「実際の医薬品そのものの扱いに関しての管理不足」、「確認不足」は分けてい ただいたほうがよろしいかと思いましたというのが一点です。  もう一点が、医療機器のほうで、目黒委員のほうからご発言いただいた、第12回の ほうの82頁、76番、79番の事例ですが、こういう事例は私は初めて見せていただいて、 同一メーカーで、おそらく違う病院で全く同じエラーが出ている。これはやはり、かな り重く見ていただく必要があると思っております。  特定のメーカーさんについてコメントするつもりはありませんが、こういうテストモ ードを作る、モードを変えたときに動き方が変わってしまう、そのことをユーザーが知 らなかったがためにエラーになるというのは、結果的に「そういう使い方をしないでく ださい」と書いただけでは、絶対またエラーは起きてしまいます。そういったモードを 切り換える等をどういう状況で使うのか、そのモード切換が必要ないか、製造元のほう でもう少し踏み込んで対策をとっていただく必要があると思います。  実際には、失礼ですが、同じメーカーさんのお名前がズラズラと並んでおりまして、 輸液ポンプについても、ユーザビリティ・テスト、つまり実際に使われる方がどういう ふうに使うのかということを、一度でも見ていただくと、かなり問題点をカバーしてい ただけると思われます。やはりこれだけヒヤリ・ハット事例が出てきていることを重く 見ていただいて、是非各社でご対応いただきたい。とりわけモードを変えるということ に関しては、必ずエラーが出るということを念頭に置いてご検討いただければと思いま す。以上です。 ○外委員  私も二点ほど、今日の報告を聞いて感じたことですが、一つはやはり、リドカインの ヒヤリ・ハット事例がまだこういうふうに続いて出てきているという点です。リドカイ ンは生命に危険が及ぶ可能性が大きいので、やはりこの点の注意が必要かなと思います。 10%リドカインはなくなったものの、ある意味ではそれよりも含量の多い2000mgのリド カインが臨床の現場では使われざるを得ないわけですが、それを知らずに使っているわ けです。  ですから、何らかの方法で、例えばそれを使うときに、1パックが何mgに相当するの か。そういう改善点が示されておりますが、パッと見てすぐわかるように、1ccが何mg になっているのかということと、それを急速投与した場合には、重篤な局所麻酔薬中毒 が起こるのだということが、何かわかるような表示でもあればよいかなと思いました。  もう一つは、先ほど聞いてびっくりしたのですが、電波の問題です。電波を飛ばして モニターに出す。画面として、いま患者さんの目の前にある画面のデータが、その患者 さんのデータではないということが、実際に生じ得るという怖さなのですが、もう二十 年くらい前に、そういうことがあって、一応電波を飛ばすのは一回は止めになったと私 は思っていました。  それが、こういうふうに使われているということは、そういう点が改善されたのかと 思ったのですが、それが改善されないまま、こういう臨床の現場で、別な人のデータま で飛んでくるモニターというのは、かなり大きなリスクをはらんでいると思います。  ですから、それは個々の事例として終わらせるのではなくて、やはりこれは全体の取 組として、そういうことが起こらないような仕組みをつくるべきかなと思います。  やはりこれは、この一例だけではなくて、もしこういうものが全国にあるとしたら、 やはりあちこちで起こる可能性があるし、病棟でのチャンネルを、この病院だけで注意 しましょうでは済まないような問題のように思います。全体では何らかのアクションが 必要かなと思います。 ○井上委員  お聞きして、全体を通じて思うことは、収集結果についてという議題ですが、この収 集結果をどう反映していくのかということは、これから大事だろうと思うのです。これ が予防にどう結び付き、次の事故の発生の防止にどう結び付いていくのかということを、 やはり検討しておかないといけないのかなと思います。  それから、先ほど土屋委員のご報告の中に、ラキソベロンを点眼したのが二例あった という話でしたが、それでは何例あれば、メーカーに、厚生労働省(厚労省)のほうか ら注意がいくのか、判定の基準みたいなものを策定していく必要があると考えます。ヒ ヤリ・ハット事例から次の事故が発生するのに関して、予防に結び付く判定の基準みた いなものを策定する必要、事例がある程度、ここまで集まってくると、ないといけない のかなという感じがしております。  その結果、どういうふうな措置が取られたのかということを、できればこの部会なの かどうかわかりませんが、結果をちゃんと報告できるような形が必要かと思います。そ うすると世間、一般ユーザーに、事故防止に関する行動基準を広く周知できるのかなと いう気がしております。 ○菊地委員  先ほど、推測しながら回答を書いているというお話がございました。それで、もう少 し詳しい情報があればということでしたが、事例を集める段階で、そういった、もうち ょっとこのあたりの詳しい情報を、医療者側から収集することができればというところ を、何らかの形で現場にフィードバックしていくことが必要かと思います。 ○目黒委員  いまの情報を集める話ですが、私も機器管理をはじめてから、病棟のほうから、ユー ザー側の輸液ポンプの誤作動とか、トラブルに関していろいろ情報を書面で書いてもら うのですが、忙しくなると、忙しいさ中に起こった事例は過ぎてしまうと忘れてしまっ たりということもあって、なかなか届かない部分もあります。そして、またそういう情 報収集するシステムが根づいていない部分もあります。看護師さんの方々も多分いろい ろな業務がたくさんあって、書く記録というのはたくさんあるのだと思うのです。それ は私たちも中にいてわかることですが、何か簡単に報告できるシステムが出来上がって いければいいのかな。  薬の副作用も同じだし、検査の異常データも、多分同じようなことだとは思うのです が、現状としてはそういうことがあるので、何かみんなで工夫しなければいけないこと なのかなと考えていますけれども。 ○事務局  先ほどの寺井委員からのご質問の部分ですが、医療機関に対するフィードバックの部 分で、いま、医薬品医療機器総合機構のホームページについては、新しいものを立ち上 げておりまして、このヒヤリ・ハットに関するデータベースの掲載を開始しております。 ここで検討した、例えば医療機器とか医薬品に関するコメント部分等を盛り込んだ上で 掲載しておりますので、そちらのほうである程度情報提供はされていると思っておりま す。それと、ほかにまた別な手法として必要であれば、この検討というのも考えていく べきだと考えております。  それと、医薬品ではなくて、医療機器については、ほぼ全例について、企業のほうに 照会をかけていて、ここに書いてある改良点、改修とかの処置については、そこにコメ ント等が書いてあるとおり、すべて聞き取っただけで終わっているものではなくて、す べて必要な措置というものを、何らかの形でとっております。先ほど申し上げたホーム ページに掲載しておりますので、そちらを見ていただければ、医療機関側へのフィード バックはできていると思っております。 ○寺井委員  ホームページに掲載しているというのは、医療機関側からアクセスをしていかなくて は取得できない情報だと思うのですが、目黒委員が先ほどおっしゃっていた要旨も、や はり危険と思われるような、危険度の高い、あるいは重要事例と思われるようなことに 関しては、積極的にそれを選択して、そして医療機関に発信していってはどうかという 要旨と伺ったのですが、私はそちらのほうをしていっていただきたいと思っております。 ○事務局  ありがとうございます。こちらから積極的に情報を提供するということについても、 今後検討させていただきたいと思います。 ○桜井部会長  安全対策というのは、やはり効率的かつ効果的にやらないと意味がないと思うのです。 要するに、なるだけ短い時間で、労力も少なくやれる、自然にできるというのがいちば ん大切なのです。前回、私を含めて何人かの先生が、これは労作だと思いますが、田舎 のおばさんに道を聞いたようなものがズラズラ書いてある。これをいくらやっても解決 になるのかという話が出たわけですが、今日は土屋委員と目黒委員お二人の解説があっ たものですから、前回に比べれば、我々も大変よくわかったと思います。  これで何をしているかというと、結局、ハザード分析だと思うのです。要するに、ど こにリスク、ハームを起こすような要因が潜んでいるか。潜在的なハームの源を探ると いうことを、このヒヤリ・ハットでやっているわけです。  それでその後に、リスク分析とかリスク評価とか、あるいはリスク管理とか、いろい ろなものがぶら下がってくるわけで、そこまでいかないと、なかなか効果的なフィード バックができないということだろうと思うのです。  今日伺った限りでは、例えば、ハザード分析ということでまとめると、目黒委員のほ うの医療機器のほうは、例えば接続を確認しなさいとか、あるいは管理、保守をよくや りなさいとか、あるいは、電源の容量をよく考えろとか、バックアップシステムをちゃ んとしろとか、あるいは電波管理の問題、混線の問題、あるいは高分子化学の化学的な 汚染の問題、あるいは安全情報をよく知って操作をそれに則ってやるとか、いくつかハ ザードと思われる項目が出たような気がします。  土屋委員に伺いますが、土屋委員の薬のほうは、機械に比べれば単純と言っては申し 訳ないですが、製品としては割合均一ですね。そうすると、一体誰がいろいろな確認や チェックをやるのか。これは前々回たしか水野薬局の先生がおっしゃったファーマシテ ィカル・ケアということや、あるいは臨床薬学など、薬学部も六年制になったなどのい ろいろな問題があります。そうすると、これからこういうことをやるのは誰なのかとい うことを、ある程度明確にする必要があるのかなという気がしたのですが、もしご見解 があればお願いします。 ○土屋委員  実は使用の安全ということ自体が、まだ定着していないと言いますか、比較的新しい ものであるために、そういったものをどのように情報伝達し、またどう徹底していくの かということが、必ずしもまだできていない、いまはまだ発展途上の段階であると。薬 の副作用につきましては、その収集からすべての分析までのシステムがかなり出来上が っているのですが、使用の安全につきましては、企業も医療機関も含めて、まだ発展途 上にあるというのが現実だと思います。  ただ、せっかく副作用のほうでさまざまな対応が取られ、私は基本的にはそれと一緒 だと思いますので、例えばすでに一部の薬でも行われましたが、毎月行われている「医 薬品・医療機器等安全性情報」のところに、きちんと載せることによって各医療機関が、 先ほど寺井委員が言われたアクティブなやり方として、きちんと取れる仕組みをつくる。 あるいは、製薬企業がせっかくその対策を取ったのに、何々が変わりましたとしか書い てなくて、これが何のために取られたのかということが説明されていないというのもま た現実でして、名称などもかなり変わったわけですが、名称変更のお知らせと言われて も、受け取る側によってはそれが一体何なのだと、どうしてそういうことになったのか ということが、まだその仕組みが知られていないというのが実情だと思いますので、そ ういったところから始める。  こういった医薬品全体でいうと、供給体制がいま変化しつつありまして、いわゆる昔 の薬剤は病院の中ですと、注射薬というものは病棟でやるもので、薬剤部というものの 関与は非常に少なかった。これがだんだんいま薬剤部が関与し出すことによって、さま ざまな変化が出てきました。その供給体制を含めて、全体としてエラーを防止する。医 薬品に関する誰がプレーヤーであるかということではなく、医薬品のプロセスとして納 品から使用までの間をどう考えて、そこを誰がやってどうやるのかという管理をきちん としていくというところを、いま一生懸命やり始めておりますので、もう少し時間が必 要かなと思います。ただ、それぞれの医療機関で立てられる対策というものが、まだな かなか徹底していないのかなと。対策のやり方は、例えばオーダリングでも、いまだに まだ一文字検索、二文字検索にしている。こういったものは検索方法を変えるだけで、 それはある程度ゼロに近くできるのに、まだそれが取られていないということもありま すが、ITも含めて、なぜそういうことをやるのかということの原理原則を知った上で、 対応を取るということが必要ではないかと思います。 ○桜井部会長  私はこれを見ると、やはり当事者というところに圧倒的に看護師さんが多いですね。 ○土屋委員  はい。 ○桜井部会長  だからいろいろなことが看護師さんにしわ寄せがいっているようなどうも気がしてな らないです。そうすると、やはり臨床薬学やファーマシティカル・ケアということをお っしゃるのであれば、そこへ薬剤師が出て行って責任を持ちますというような体制がな ければ、本当はいけないのではないか、原則的にはそこだと思うのです。 ○土屋委員  いわゆる最終投与形態までを薬剤師がきちんとやるということが、基本的に医療安全 を高めるということになると思いますので、いま病棟に薬剤師がきちんと常駐していて というところでは、そういう例が減っているという事例もあります。それをどんどん普 及させていくことが必要だというように思います。 ○桜井部会長  ほかに何かございますか。 ○目黒委員   いまの話でつくづく思うのですが、基本的に人工呼吸器のことですが、あとでまたこ この事務局のほうで何か話が出るかもしれないですが、アメリカの場合には呼吸療法士 というのがもうありまして、大きな病院の集中治療をするようなところには、常時二十 四時間、看護師さんたちと一緒に呼吸療法をやるために、抜管挿管までをやるところも ある。それで、教育カリキュラム二年間というコースが出来上がっているというシステ ムがあるわけです。日本以外にもない国があるのですが、日本にはそれがないがために、 人工呼吸療法に関してはかなりいろいろ出て来ますが、非常に初歩的な部分のトラブル は、結構多々あります。ここで議論すべき問題ではないかと思いますが、いまの話が出 たものですから、臨床の場にやはり工学というものがないために、かなり悲惨な状況な のではないかなという気がしています。  要するに医療機器に関して、どこが医療機器の受け口かと私はいつも言うのですが、 医療機器のことは臨床工学のほうが窓口になって、薬剤部と同じように医療機械のこと に関してのインフォメーションを各部署に、機械のことは複雑な部分がありますので、 噛み砕いて伝えるなり教えるなり、実技までやることができるのは我々ではないかと思 っています。何かオーガナイズ、きちんと組織的に動けるように、厚労省も考えていた だきたいと、いつも考えております。 ○奥村委員  いま目黒委員が大変大きな病院のケースをおっしゃって、そういった受け口もこれか ら考えなければいけないと思うのですが、私ども歯科関係は歯科診療室がメインです。 例えば、私がいつも気にしていることは、ペースメーカーを入れている患者さんが、結 構な比率でいらっしゃる。そのときに私たちはメーカーサイドから注意がないものです から、しばらくペースメーカーの患者を終えるまでは高周波電気メスは使わないという ような指示を出しています。  今回の事例の中はまだざっと見た範囲では、そういった一般病院でもたぶんレーザー メスや高周波メスを使ったりすると思うのですが、そういったペースメーカー患者との トラブルというのは起こってないのでしょうか、あるいは起きているケースがあったら、 それがどういうようなメーカーからの注意事項、指示が出ているのか、教えていただけ ればありがたいと思います。 ○目黒委員  私の想定領域の中でしか答えられないのですが、一応電気メスは非常に体に近いです から、電気メスは、もうノイズ発生機なので、いろいろな機械にいろいろな影響を及ぼ しますので、かなり影響はあるかとは思います。歯科領域やそういう小さい診療所形態 の部分に限って起きた事故というのは、ペースメーカー学会や諸団体からの報告という のも、申し訳ないですが、私もいまのところちょっと記憶にないです。ただ、影響がな いわけではないとは思います。いちばん電気メスが大きいと思います。 ○桜井部会長  時間もだいぶ過ぎましたので、次の議題2「今後の医療安全対策について」のご説明 を願います。 ○事務局  今後の医療安全対策についてご報告します。資料10−3−(1)、10−3−(2)、10 −3−(3)、10−3−(4)、あと本日配りました「今後の医療安全対策について(概要)」 を使用させていただきます。  平成14年4月に「医療安全対策検討会議」がとりまとめました「医療安全推進総合 対策」に基づき、医療機関における安全管理体制の整備、各都道府県に患者相談窓口と しての医療安全センターの設置、事故事例やヒヤリ・ハット事例の収集、分析事業の実 施等、医療安全に関するさまざまな施策を、私どもは進めてまいりました。今般、医療 安全対策の推進を図るため、医療安全対策検討会議のもとに設置したワーキンググルー プにおいて、今後の医療安全対策についての報告書がとりまとめられ、この報告書は6 月8日に開催した医療安全対策検討会議での検討を経て、私ども厚労省に報告されまし た。  ワーキンググループですが、本部会の委員でもあります井上委員、土屋委員、寺井委 員、野中委員に参加していただいております。委員の名簿は資料10−3−(3)に記載し ています。こちらの報告書は、医療安全推進総合対策の考え方を尊重しつつも、医療の 質の向上という観点を一層重視しまして、対策の強化と新たな課題への対応について提 言しております。  報告書の2頁に書いてあります重点項目を三つの柱としておりまして、それぞれの項 目ごとに将来像のイメージとその実現に向けて、当面というのは二年前後というように 設定していますが、当面対応すべき課題と施策を挙げております。一つ目の項目としま しては「医療の質と安全性の向上」、二つ目の項目として「医療事故等事例の原因究明 ・分析に基づく再発防止策の徹底」。三つ目は「患者、国民との情報共有と患者、国民 の主体的参加の促進」の三つの柱を挙げております。  また、院内感染対策については、平成14年7月に設置された「院内感染対策有識者 会議」において、別途専門的に検討されております。平成15年9月にとりまとめられ た「今後の院内感染対策のあり方について」の報告書に基づいて実施することとされて おります。院内感染対策についても、医療安全対策と同様に医療機関等の取組と同時に 国、自治体、関連団体等が相互に連携し、組織的、体系的な取組が重要であるというこ とから、今後はこの報告書でもそうですが、医療安全対策の一環として、総合的に取り 組んでいくこととしています。  では、内容について説明します。時間の関係により、将来像のイメージと当面取組む べき課題のうち、当面取組むべき課題について、重点的にご報告させていただきます。  まず一つ目に、医療の質と安全性の向上について、将来像のイメージとしましては、 3頁に医療機関等における医療の質と安全に関する管理体制が整備され、有効に機能し ていること、二つ目に、医薬品、医療機器の安全確保がなされていること、三つ目に、 情報技術(IT)の活用がされて、情報共有、事故の未然防止がされていること、四つ 目に、医療従事者の資質向上が図られていること、また行政処分を受けた医療従事者に 対する再教育が行われていることが、将来像のイメージとして挙げられております。  報告書の5頁以降に、当面取組むべき課題について記載しております。まず、医療機 関等における医療の質と安全に関する管理体制、院内感染対策の充実・強化につきまし ては、現在一定の安全管理体制、院内感染防止対策の確保を義務づけられておりますが、 それに加えてすべての施設、薬局に対しても安全管理体制、院内感染制御体制の充実・ 強化を求めていくことにしております。一定の安全管理体制、院内感染対策と申します のは、安全管理のための指針とマニュアルを整備すること、医療従事者に対し医療安全 に関する研修を実施すること、ヒヤリ・ハット事故等事案について、院内報告等により 情報を共有し、それに基づき必要な対策を講じること、となります。  感染対策につきましても同様に、院内感染防止のための指針とマニュアルを整備する こと、医療従事者に対し院内感染対策に関する研修を実施すること、医療機関内におけ る感染症の発生動向などの院内報告等により情報を共有し、それに基づき必要な対策を 講じること。病院又は有床診療所においては、院内感染対策のための委員会を開催する こと、また組織横断的に院内感染対策を行う部門を設置すること、現在は特定医療病院 に対してのみ義務づけられています院内感染対策を行う担当者の配置も、それぞれの医 療機関の規模や機能に応じて、順次進めていくことなどが挙げられております。  医薬品の安全確保につきましては、5〜6頁に書いています。医薬品の安全使用と医 療機器の管理に関する責任体制の整備、具体的には集中管理で、先ほど目黒委員がおっ しゃいましたように、集中管理と管理者の明確化を行うということ、また、医薬品の安 全使用のための業務手順書の整備を行うこと、医薬機器の保守点検と使用に関する研修 を実施すること、医療機関及び医薬品医療機器メーカー等による有害事象の情報収集、 共有、提供体制を整備すること、となります。  13回のヒヤリ・ハットにありましたようにヒヤリ・ハットの原因となるということ で、特に持参薬の情報などについて医療機関と薬局との連携強化を行うことが挙げられ ております。  医療従事者の資質向上につきましては7頁に書いておりますが、臨床研修を受ける、 医療従事者のための医療の質と安全のための研修資料や教材の提供などと、指導者の研 修、職種横断的な研修、意見交換を実施することが挙げられており、行政処分を受けた 医療従事者に対する再教育に関しましては、平成17年4月にとりまとめられました、 「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会(報告書)」を踏まえた再教育 制度の構築及び行政処分を受けた看護師等、ほかの医療従事者に対する再教育の検討の 必要性について書いております。詳細な内容につきましては、こちらは省かせていただ きます。  二つ目の柱としましては、医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防止対策の 徹底があります。  8頁の将来像のイメージとしまして、医療事故の発生予防・再発防止策の徹底と医療 事故が減少していること、医療事故の届出、原因分析、裁判外紛争処理制度及び患者救 済の制度が確立されているということです。当面取組むべき課題につきましては、9頁 に記載していますように、医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防止の徹底に つきましては、先ほど目黒委員がおっしゃいましたように、ヒヤリ・ハットや事故事例 報告様式の内容について検討をすること、医療機関の管理者及び医療安全管理者の役割 を明確にすることと、研修ガイドラインを作成すること、また薬局におけるヒヤリ・ハ ット事例の収集も行うこと、医療機関、国民に対しヒヤリ・ハットや事故事例の分析結 果と発生予防・再発防止策を迅速に周知するためのルールを明確にすること、こちらは 先ほど寺井委員からご指摘をいただきましたが、これは「医療安全緊急情報(仮称)」 として周知するということについて、検討することとなっております。  医療関連死の届出制度、中立的専門機関における医療関連死の原因究明制度及び医療 分野における裁判外紛争処理の制度につきましては、10頁にありますように、本年秋 より行う予定ですが、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業を通じた課題の整 理と基礎資料の整理を行うこと、また医療機関、医療従事者や患者遺族との調整、調停 を担う人材の養成方法などについても検討することが挙げられています。  同じ頁の三つ目の柱としましては、患者、国民との情報共有と患者、国民の主体的参 加の促進について、将来像のイメージは、患者、国民との情報共有と患者、国民の主体 的参加が促進されているということ、また医療安全支援センターが充実しているという ことが挙げられております。これに向かい当面取組むべき課題としては、11頁以降に あります。まずは患者、国民への医療への主体的な参加を促すために、自治体、医療機 関などによる情報提供、啓発普及活動の推進を行うこと、また患者からの相談などを受 け付ける機能や窓口の設置に関する検討を行うこと、医療従事者や相談担当者への研修、 情報提供を実施することが挙げられております。12頁にありますように、医療安全支 援センターについても、充実することとしています。  現在、「医療安全支援センター」は、平成16年5月の時点ですべての都道府県に設 置されています。また、現在は保健所設置市・特別区又は二次医療圏ごとの設置推進を 図っているところです。これらの内容につき、さらに充実し評価、制度的な位置づけの 検討又は整備促進を行うということ、これらの職員に対する必要な研修とカウンセリン グ等による心身面での健康保持への留意を行うことが挙げられております。  上記三つの柱に対して、「医療安全に関する国と地方の役割と支援について」が四つ 目として挙げられていますが、こちらは当面取組むべき課題としまして、13頁にあり ますように国、都道府県、医療従事者の責務及び医療安全の確保における患者、国民の 役割などについて明確にすること、国、都道府県によるハイリスクの部署や診療科に特 化した対策と、個別具体的な取組を推進し、財政的な側面への配慮を行うこと、国、都 道府県による医療機関における機能分化と連携、効率的、効果的な医療提供体制の構築、 医療における必要な人材の確保とその適切な配置促進を行うとなっております。上記四 分野につきまして、これらの早期実現に向けて行政、医療機関など関係者の一層の努力 を期待したいと、この報告書は締め括っております。  報告書の内容は以上となるのですが、この報告書は医療提供体制の改革に関する議論 が現在行われている「社会保障審議会医療部会」に提出されております。この中でさら に議論が行われているところです。以上です。 ○桜井部会長   何かご意見はありますか。 ○外委員  ちょっと感想を言わせていただきます。このように今後の医療安全対策についていろ いろ言葉としてきれい事と言っては何ですが、あるべき姿が謳われています。医療者に はこういう教育が必要だ、こういう取組が必要だ、医療安全のためには病院ではこのよ うに工夫しなさい、あるいは事故を起こした人への再教育はこれが必要だと、次から次 へと医療者側へ要求がなされてくるわけです。もちろん事故を防ぐためには、そういう ことが必要なことはよくわかります。  でも、根本的な医療事故の底流にある問題、そこには踏み込んでないように思います。 一つの要因として、すべての医療事故がヒューマンエラーが、何らかの形でかかわって います。ヒューマンエラーを生むヒューマンに課せられる過剰な勤務条件、医療人がど んな状況でいま働いていて、それが単なる不注意で医療事故が起きているのだから、そ の不注意を起こす医者が悪い、医療者が悪いというだけではなくて、その労働条件と言 いましょうか、そういう現場へ踏み込んだ分析が、ここには見られないように思います。 へとへとになって仕事をせざるを得ない医師、看護師、薬剤師がいるわけですが、それ はなぜなのか、なぜそういう状況がずっと続いて、しかもそれに対して病院では、こう いうようにまた新しい部門を設置しなさい、こういうように時間、お金を使いなさいと 言いながら、何の補助もないし、それに対する姿勢が、私としてはないように思ってい ます。  医療事故を根本的になくすためには、物から医薬品から制度、システムも必要です。 根本のところでいまの医療人がどういう状況で働いているかという分析もやった上で、 そこに潜んでいる研修医制度もありますし、その上の医療の現実をやはり見据えた上で の対策なり展望も必要かなと思いました。  本当にみんな事故を起こしたくないのですが起こしてしまわざるを得ない、「ざるを 得ない」というのはあまりですが、いろいろなことが要求されている状況ですし、私た ちも研修医や仲間の声を聞くと、いまの医療の現状は、気が狂ってしまわざるを得ない ような状況だと私は思っています。 ○桜井部会長  ほかに何かございますか。 ○北澤委員  私も似たようなことなのですが、今回、12、13回のレポートの中でも、医療機関 で例えば確認を何回するとか、あるいは似たような薬の名前は貼り出しておくなどをや っているにもかかわらず、やはり同じようなミスを繰り返してしまって、内心困ってい るというコメントが書いてあったところがいくつか見られました。ではどうすればいい のかという、医療従事者、あるいは医療機関の側も、とても困られている現状があるの かなというように推察しました。  その背景にあるのは、いまの医療従事者の方々のお仕事がとても忙しくて、かつスト レスも高いということや、その結果として患者とのコミュニケーションやケアに実質的 にかけられる時間がない。医療従事者の方は説明をした、患者にもう言ってあるという ように思っていながら、患者のほうは実はわかっていなかったりするような実態がある のではないかと思います。逆に患者がよく理解して、説明を受けて納得していると、こ の中にもいくつかあったのですが、むしろ患者の側から間違いを指摘されてミスが未然 に防げたというケースがいくつか報告されていました。医療従事者と患者とのコミュニ ケーションをもっと密にすることにより、事故が減らせるのではないかと思います。  では、コミュニケーションをもっと深めるためにどうすればいいのかということにつ いては、ここで今日いろいろな対策をご紹介いただきましたが、それよりももう少し基 本的な部分で業務上のゆとり、あるいは一人一人の患者にどれだけ目配りができている のか、そういったところから振り返ることも、また必要ではないかなというように感じ ました。 ○目黒委員  医療機器の安全確保ということで、非常にいいことを書いていただいて私も助かるの ですが、いま外委員が言われたところのできることとできないことで言いますと、管理 者の責任の下で医療機器の定期的な保守点検を実施するとともにとありますが、薬事法 が施行されまして、医療機器もきちんと添付文書なり、あるいは取扱説明書に書かれた 保守点検項目をきちんとやりなさいというようになりますと、これは無理です。現状で はできません。多分、きちんと書かれたとおりやっているところはないと思うのです。 一カ月に一回何をやって、二カ月に一回何、三カ月に一回何というようなことは、多分、 できないと思うのです。それは、メーカー側との今後のいろいろな話し合いで医療機関 がやるべき点検の内容、あるいはメーカー側が何をしてほしいのかということを、今後 突き詰めていかなければいけないのですが、実際にはできないのが現状だということを わかっていただければいいなと、私は考えています。 ○桜井部会長  ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。これは検討会議で前々回にも私は申 し上げたのですが、日本の役所の報告書というのは全部大体こういうものですが、この 報告書も何はしてはいけない、何はすべきだ、何は必要だということを網羅的に書いた のです。ところが、それでは一体何をいつまでにするかということを、全然書いていな い。要するに当面やるべきこと、あるいは将来像というのは書いてありますが、その将 来というのは百年先なのか二百年先なのか、わけがわからないというようなことです。  これはこの前に申し上げたかとは思いますが、クリントンは、五年で医療事故を半減 すると。そのためには何百億ドルかけるということを言ったんですね。それがいいかど うかはわかりませんが、やはりそのくらいのデフィニティブなことを言ってもらわない と影響がない。皆さんのご発言はごもっともで、私はちょっと考えたのですが、例えば シュミレーションしてみたらいいと思うのです。要するにいまの医療費で看護師さんが 何人、臨床工学技士が何人だと事故はこのくらい起こると。これが何人になったらこの くらいになる、あるいは減ったら何倍になるなど、そういう示しを一度したらいいので はないかと思いますが、どうでしょうか。  次に、議題3「医薬品類似性検討ワーキンググループ」、これはどなたでしょうか。 ○事務局  では、医薬品類似性検討ワーキンググループの開催報告をさせていただきます。第3 回のワーキンググループを3月30日に開催しておりまして、そちらのほうの議題に上 がっている「類似名称データベースとその評価フロー」ということで、本日、資料10 −4−(2)として、「新規承認医薬品名称類似回避フローチャート(案)」というものを 付けさせていただいております。以前こちらのほうは、平成15年度に検討したワーキ ンググループで一度お出ししておりますが、こちらの表の中の赤い点線で囲まれた部分 が、新しく追加された部分です。具体的には、名称のうち頭三文字が一緒のものについ ては「要変更」というものを入れています。  続きまして、資料10−4−(3)ですが、こちらのほうは点滴用キシロカインの限定供 給についての文書です。前回のこちらの部会のほうでは、供給の停止ということでお話 をしておりましたが、そちらの作業を進めていく段階で、ホスピスの団体のほうから、 末期がん患者に対する疼痛治療に使われているということから、限定的に供給をしてい ただきたいというご要望がありまして、こちらのほうで協議した結果、一定期間を目処 に供給をするという取決めに至ったものです。一応こちらの文書のほうを見ていただけ ればわかるのですが、期間としては9月末となっておりますが、ホスピス協会のほうで そのあとでどのような判断になるかというのは、今後話し合いがもう一度必要ではない かと考えております。  次の議題の中には、二槽バッグの輸液製剤についてというのがあると思います。こち らは先ほどヒヤリ・ハットの事例で出てきておりました二槽バッグで、いまは赤い点線 と開通確認のシールというのを付けているのですが、その適用を除外した製品というの が、いくつかございます。それは、上下の液の色が違っていたりしたものについては、 特例的に除外の対象にしておりましたが、前回の12回もそうですが、その製剤による 未開通事例が今回も報告されております。現在対象の除外としました製品についても、 基本的には同様の未開通防止対策を取るようにというような通知を、現在作成中です。 来月には交付の予定です。以上です。 ○土屋委員   あと少し追加です。いま赤い点々のところをやりましたが、その前に赤い枠で囲った 前処理と言いますか、いわゆる「バビブベボ」、「パピプペポ」といったものが付いて いるものはそれを外したものも両方やる、あるいは小さい「ュ」や「ッ」、そういうも のは大きいものもやる。類似性を見るときに、一応そういったことも含めて前処理をし たあとに対して、いろいろこういうチェックをするというのが、一年間システムを運用 しまして、そういう問題がいろいろございましたので、それでフローを一部前処理、あ るいは一部変更したということです。 ○桜井部会長   何かご意見はございますか。 ○吉澤委員   いま言われたフローチャートの案の取扱いについては、どのような取扱いという考え でしょうか。 ○事務局  本日こちらの部会のほうでご了承をいただけるのであれば、早々に日本製薬団体連合 会(日薬連)等関係の団体さんのほうに、配付したいと考えております。日薬連のほう では会員等の企業のほうに配付していただければと考えております。 ○桜井部会長   それでは、議題4「医療機器安全対策検討ワーキンググループ」です。 ○事務局  では、医療機器の安全対策検討ワーキンググループの開催報告をさせていただきます。 こちらのワーキンググループは、前回ご報告したとおり、今年の1月28日に第1回を 開いて、4月に第2回の開催をしております。検討内容として第1回におきましては、 今後どのような医療用具・機器について検討するかということで、話し合いをさせてい ただきました。  資料10−5−(4)にありますように、人工呼吸器事故というのが、本日、目黒委員の ほうからもお話があったとおり非常に重要なものであるということから、第1回のワー キンググループにおいては、人工呼吸器に対する安全対策を取るということで、検討を 始めております。  第2回の開催におきましては、人工呼吸器の操作パネル、操作上のミスが報告されて おりますので、パネルの標準化等についての検討を開始しております。それに伴いまし て、人工呼吸器の取扱いに関する安全対策としまして、メンテナンス等についても並行 して検討を進めているところです。以上です。 ○桜井部会長   外委員、何かご発言ありますか。 ○外委員   特にありません。 ○桜井部会長   次は、議題の5「コード表示標準化検討会」ですが、これは資料はないのですね。 ○事務局  こちらは資料のほうは付けておりません。事務局からお話をさせていただきます。「コ ード表示標準化検討会」及び「コード体系検討ワーキンググループ」ですが、現在、コ ード体系については検討最中でございまして、来月に予定しているワーキンググループ である程度とりまとめをする予定です。内容については現在検討中ということで、こち らは差し控えさせていただきたいと思います。 ○吉澤委員   本日、参考資料として新聞のコピーが配られておりますが、それにつきましては、日 薬連側の説明も必ずしも正しくなかったこともあって、日薬連の真意を反映していませ ん。 そこで、今日は日薬連のほうで進めているところを説明させていただきたいと思 います。  日薬連のほうでは「医療用医薬品流通コード標準化検討プロジェクト」で、昨年の7 月に企業向けの説明会をした上で、RSSコード128等のコードシンボルと電子タグの 実証実験をやってまいりました。その結果を受けて今年の4月に日薬連から通知を出し まして、電子タグについては、現在の技術水準では必ずしも推奨できないということを、 企業のほうに通知しています。  一方RSSコード128等のコードシンボルにつきましても実証実験を行いました結 果、その性能は実用レベルに達しているということを確認しています。  以前にこちらの部会でも討議されましたが、コードそのものについての検討がコード 表示標準検討会で行われていまして、その結論がこの秋に出て来るだろうということに なっています。コードが決定したところでまた実証サンプルを卸や医療機関に配付して、 モニタリングを行うことを予定しています。これと並行して表示の位置や詳細な運用方 法等を今後検討していかなければいけないと考えておりまして、積極的に取り組んでい きたいと思っています。  当初は今年の秋には業界の標準を公にしますということを言ってきたのですが、コー ドそのものの検討から再スタートしなければいけないということになりましたので、今 年の秋に予定していたコードの標準をオープンにするというのを、いつごろそれができ るかは、現時点では言うことができなくなってきています。ただ、いまから積極的な検 討を行っていきますと、来年の第1四半期には、いつごろにはコードのスタンダードを オープンにできるかということが発表できるだろうというように考えています。以上、 現状を報告させていただきました。 ○桜井部会長   これは、一からコードを作るのですか。もうある程度の骨格はできているのですか。 ○土屋委員   それにつきましては実際具体的な基本路線が決まっておりますので、ワーキングでい ま具体的な作業をして、最終的にそういうところが、漏れがないかを含めて検討してい ますので、それが終わるのが9月ぐらいだろうということで、前回に一年ぐらいと言い ましたが、それよりは少し早目にということでやっています。 ○桜井部会長  そうすると、国際整合を知った形になるわけですね。 ○土屋委員  そうですね、国際標準ということも含めて考えております。 ○桜井部会長  「その他」について、いくつかございますが、これはどうでしょうか。 ○事務局  では、その他の項目について、一つずつご説明させていただきます。まず、資料10 −6です。医療事故防止等に係る代替新規申請品目の承認及び薬価基準上の取扱いにつ いてというものです。1頁は、「1」と「2」という二つの項目に分かれております。  まず「1」として、こちらの表題のとおりの内容でして、こちらは医療事故防止等で 代替新規申請をした場合に、承認は年一回の収載となりますので、一回の収載だと現場 の入替えに非常に時間がかかってしまうというところから、下にありますとおり、医療 事故防止対策及びBSE対策として、代替新規申請され、迅速審査等とされた品目につ いては、年二回収載とするとしたものです。これによって現場での製品の入替え期間が 短縮されると考えています。  「2」として、薬事法関係手数料令の改正についてですが、「1」で例に出ていた代 替新規申請に係る費用というものを、新しく費用の設定をしたものです。基本的には申 請費用がこちらに記載してありますとおり35,600円と非常に安価にさせていただいて おります。  なお、よく照会で来るのですが、医薬品に限定されたものではありませんで、カッコ 書きの「第17条第1項第1号ホ」に記載されているとおり、こちらは医薬品、医薬部 外品、化粧品、または医療機器に及ぶものです。下のほうに付けているのは、それの関 連通知及び価格のリストになります。ご参考までに付けておりますので、あとでご覧く ださい。  資料10−7ですが、こちらは平成17年度の税制改正についてです。「医療安全に 資する医療機器等の導入に伴う税制優遇措置」です。次の頁に、本税制の概要が記載し てあります。医療安全に資する医療機器等を購入した際に、購入額の20%の特別償却を 行う制度です。本制度は、平成16年度までの税制優遇措置であったところですが、当 該制度を平成19年3月末まで二年間延長及び本制度の対象の医療機器の追加を行うこ ととなったものです。  延長期間としては先ほど申し上げたとおり、平成19年3月末まで。新しい品目とし て「分娩監視装置」、「生体情報モニター等・ナースコール連動システム」、あと薬剤 側でいちばん関係がありますのは、「調剤監査システム」です。これにつきましては散 剤調剤の監査システムと、水剤の調剤の監査システムを含むものです。後ろに付けてい るのは、本税制の実際の法令部分で、参考に添付しておりますので、あとでご覧いただ ければと思います。  資料10−8は「簡易血糖自己測定器・自己血糖測定用グルコースキットに関する安 全対策」です。次の頁ですが、こちらは2月7日に交付したものです。もともとこちら のグルコースキット等につきましては、平成16年9月29日にマルトースを含有する 輸液を投与中の患者に対し、当該機器・キットを使用し、その測定結果を基にインスリ ンが投与され、低血糖を起こした副作用が報告されていることから、対策を取ったもの です。ただ、その後も報告がされているということで、2月7日に再度、注意喚起をし たものです。  なお、その際に医療機関サイドにおいて、情報が的確に伝達されているかどうかとい うのを、メーカーサイドに調べていただくようにしておりまして、結果を見ますと、4 月末の段階で、まだ二割程度のところが窓口までの情報伝達で止まっていたというよう な報告が入っております。  なお、その後、6月中旬までの状態でもう一度調査をかけましたところ、6月中旬ま でにはすべての医療機関のすべての関連部署に対して、情報提供が終わっているという 報告を受けております。  いちばん最後に付けている第9回の議事録ですが、こちらは今後、ホームページ上に 掲載することを考えておりまして、以前に委員の皆様方には一度ご覧になっていただい ておりまして、そちらの部分は修正等は終わっておりますが、もし誤字、脱字若しくは 再度若干入力ミスなどで修正が必要な場合は、事務局のほうにご連絡をいただければと 思います。8月5日過ぎには掲載したいと考えておりますので、それまでにご連絡いた だければ幸いです。よろしくお願いします。 ○桜井部会長  これらについて、何かご質問、ご意見はございますか。また、本日全般に関しての何 かご意見ございますか。 ○事務局  済みません、先ほどの税制の部分の品目の一部ですが、新しく入ったものもあります が、若干削除された品目もあります。その部分は品目が書いてないので、アンダーライ ンを引いてありませんが、「人工呼吸器」のあとに、以前は「輸液ポンプ」が入ってい ましたが、今年度からは輸液ポンプを外しております。品目追加と書いてありますが、 抜けているものもありますので、変更ということになっております。  あと、先ほど日薬連の吉澤委員のほうからコードの今後の進みについて若干ご発言が あったように思いますが、秋口を目処に、当方で体系等についてはとりまとめることと なっておりますので、そちらの進捗状況等を見まして、どれぐらいに導入するかという のは、事務局のほうで検討していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 ○野中委員  先ほど外委員が、ワーキンググループの医療安全対策についてご意見を言われたのは もっともだと思います。私もそのワーキンググループにおりましたので、多少その辺で 意見を言わせていただきます。  現実にはワーキンググループの中で、確かに医療の現場に対しての財源確保に対する 財源の言葉を入れるために、相当の議論がありました。結果的には入りました。さらに 医療安全対策検討会議では、高久座長からもこの四つ目のマルに国及び都道府県は安全、 安心で良質な医療の確保に必要な基盤整備と人材の確保、それに必要な財務確保につい て配慮することをあえて入れていただいたことをご報告します。  ただ、もう一つ、今日のさまざまな事故報告をこの会議でお聞きしまして、確かに現 場、ある面ではこういう表現がいいのかわかりませんが、現場の医療はJR西日本状況 と表現できます。でも、現場の医師やさまざまなスタッフは、先ほども外委員が言われ たように、何とか取り組んでいますが、やはりその状況を医療の現場の人間だけがそれ らを把握しても、実際にはそのことが世の中に的確に理解されないと思いますし、やは り国民が、自らが将来受けるかもしれない医療の現状がどうであるかをよく認識される ことが必要であります。本日の事故報告に対して先ほど部会長が言われましたように、 本当にそのことを、どう防げるのかどうか、本腰を入れ検討しないと、JR西日本のよ うな事故が起きて、犠牲者が出てから悔やんでも始まらない、私はそういう状況と思い ます。是非この財源の言葉が入ったことを、厚労省として深くお受けとめられて、今後、 それを活かしていただきたいと思います。患者さんに対する医療は患者の視点でという ことはありますが、現場の人間がいくら患者の視点で頑張ったとしても、制度自身が患 者の視点でなければ、この制度は患者のためにならないことを是非ご認識をいただきた いと思いますので、追加として発言させていただきました。 ○山本委員  ただいまの税制優遇措置の中で、輸液ポンプが外されて、残っているのがシリンジポ ンプということなのですが、業界としては輸液ポンプの継続をお願いしておりました。 厚生労働省としても継続を認めていただいたと理解しておりました。シリンジポンプよ りは輸液ポンプのほうが金額が大きいことから、医療機関にとっても影響が大きいと思 われます。し、しかも今度はJIS化に合わせて輸液ポンプをまた改良することになっ ていますので、それはちょっと何かの手違いではないかというような気がするのですが、 その辺を確認していただけますでしょうか。 ○事務局  今回輸液ポンプが外れてしまったというのは、実際に税制の中で、実績というのが明 確に示されなかったということで、新しいものを追加するのであれば中身的に入替えと いう話にどうしてもなってしまうものですから。ただ、今後に次回に延長等の話の中で、 輸液ポンプを再度対象にというのであれば、また現存のものと多分、入替えという話に なるとは思いますが、検討はできると考えております。 ○山本委員  それは何年度の調査の結果でしょうか。と申しますのは、輸液ポンプの新しい安全対 策が出された後、医療機関に採用されるには時間がかかります。まだ導入をされていな いときに調査をされて、数字が出なかったのではないかと思うのです。ですから、実績 がないというのは、ちょっとおかしな話だと思っています。シリンジポンプがなぜ残っ たかというのも、ちょっと私としては理解ができない感じがするのです。また、いまの ご説明ですと、変更があるとしても平成17、18年のあとに入れるということになる のですか。 ○事務局  本税制につきましては、二年おきですので、延長が平成19年3月までになっており ますから、平成19年度の税制になると思います。 ○山本委員  そうしますと、もうこれはいまからの改正は、全然駄目ということですか。 ○事務局  平成17、18年の中でということですか。 ○山本委員   そういうことです。 ○事務局  済みません、本税制のほうはもう確定しておりますので、それは難しいと思います。 ○桜井部会長  そういうのはあれですか、パプリックコメントはないのですか。 ○山本委員  いままではこういうものについては、パブリックコメントは特になかったですね。業 界としては少なくとも安全対策課にも審査管理課にもお願いして、ご理解いただいたと いうように考えていたのですが、ちょっといまのままですと非常に困る事態になるとい うように私たちは考えています。 ○桜井部会長  数量的には、相当多いでしょうからね。失礼しました。北澤委員どうですか。 ○北澤委員  ちょっと質問なのですが、今日の医療安全対策検討ワーキンググループ報告書という ものの中で、当面取組むべき課題の一つに、ヒヤリ・ハットや事故の事例を分析したり して、医療安全緊急情報というのを発信するというのが出ていました。今日の議論でも そういうものがあればいいというご意見があったと思いますが、いつごろからかなど、 そういう予定はわかるのでしょうかを、事務局にお尋ねします。 ○事務局  これから検討の予定でして、ちょっと申し訳ないのですが、日程については細かく決 まったものはありません。 ○桜井部会長  支援センターというのは、もうできているのですか。 ○事務局  支援センターにつきましては、各都道府県には平成16年5月の時点で、すべて設置 されております。 ○桜井部会長  もうワーキングはしているわけですか。 ○事務局  もう実際に働いております。 ○桜井部会長  いまのご質問では、例えばどういう案があるのですか。何もないのですか。 ○井上委員   そこの部分を提案したのは私でございまして、基本的には医薬品の緊急安全性情報と 同じようなものを想定をしております。機器等の使い方や医療安全に係る緊急に周知し ておかなければいけない、次の事故の発生を防止できるような事案、事例を、緊急に出 すというようなイメージです。  もう一つ付け加えますが、ワーキンググループに私も参加させていただいて、この報 告書を作ったわけです。いちばん最後の会議でやはり問題になりましたし、医療安全対 策検討会議の親部会のほうでも最後に問題になったのが、費用の部分をどう見るかとい うことが、いちばん問題になってくるわけです。現場に係る過重な負担を費用、報酬で どう見ていくのかということが、最後に残された部分になっていくのかなと。  例えば、電子機器部門を薬剤部のDI室と同じように立ち上げれば、そこに当然費用 が掛かってくるわけですので、そういった大所高所からの解決方法をどうやっていくの かということが最後に課題になり、日本医師会の野中委員のご提案で、第4章が入った わけです。それは大変なご苦労があったわけでありまして、クリントンが言う何億ドル というわけにはいかないのかもしれませんが、事務局がお約束をいただいておりますの で、そういった費用面についての手立ては、今後考えていただけるものというように考 えています。 ○桜井部会長  費用も大事ですが、システム構築はどのようになっているのですか。 ○井上委員  簡単に言うと、推進、推進というのですが、いまある体制をどう推進していくのか、 いまある体制をどう確保していくのか。確保する部分に係る費用、もっと安全なものを 作っていくために推進していく費用をどういうように切り分けていくのかということ は、まだ今後の課題として残っているとは思います。 ○桜井部会長  ほかによろしゅうございますか。それでは、ちょっと時間も過ぎたようですので、こ れで閉会いたします。どうもありがとうございました。次回の予定をお願いします。 ○事務局  次回の予定につきましては、委員の皆様方の日程等を調整しまして、またご連絡させ ていただきます。どうもありがとうございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)