05/07/27 第5回未承認薬使用問題検討会議速記録             第5回 未承認薬使用問題検討会議                    速記録                       日時  平成17年7月27日(金)                           14:00〜16:00                       場所  法曹会館 2階「高砂」  川原医薬食品局審査管理課長  定刻になりましたので、ただいまより第5回未承認薬使用問題検討会議を開催させて いただきます。議事に入ります前に本日の先生方の出席状況について報告させていただ きます。本日は全員の構成員に御出席いただいております。  本日御議論いただきます個別品目の検討に当たりまして、事前に黒川座長よりワーキ ンググループの専門家4名の方を御指名いただいております。資料4のようにワーキン ググループの先生方4名を御指名いただいておりまして、本日の会議で検討結果を御報 告いただくために、国立がんセンター中央病院の藤原先生と、国立成育医療センターの 中村先生に参考人として御出席いただいておりますことを報告します。  それでは黒川先生、以降の議事進行をお願いいたします。  黒川座長  よろしくお願いします。きょうの資料ですけれども、事務局の方からまず説明しま す。  川原課長  配付資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、配付資料一覧のほか、資 料1として類型I薬品のリスト、資料2−1と2−2ということで横書きのリスト。資 料3として、ワーキンググループの報告書ということで全部で5セットございます。資 料4がただいまの専門家のリスト。参考資料は1〜8まで配らせていただいておりま す。その下に、NPO法人医薬ビジランスセンター、医薬品・治療研究会からの意見書。 薬害オンブズパーソン会議からの意見書。京都大学医学部附属病院の福島雅典先生ほか からの意見書。この3つを入れさせていただいております。最後のものはコピーが足り なくて、傍聴者の方の中に入っていないものがありますが、後ほどお配りいたしますの でよろしくお願いします。その下に、個別に今回御検討をお願いします医薬品について のアメリカの添付文書を、英文で恐縮でございますけれども、配らせていただいており ます。かなり大部のものでございまして、英文なんですが、傍聴されている方々の中で この資料を御希望の方がいらっしゃれば、恐縮ですが後で事務局まで声をおかけいただ きたいと思います。以上でございます。  黒川座長  どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。傍聴の方も御不自由かもしれま せんが、後で必要であればということですのでよろしくお願いします。  それでは議事に入りますが、個別の検討に入る前に、前回4月の会議で検討が行われ た3品目について、その後どうなったということについて報告します。  川原課長  事務局から報告させていただきます。前回4月の会議では3品目御検討いただきまし て、これについての事務局からのその後の報告ということでございます。  まず1品目目、多発性骨髄腫の抗がん剤でボルテゾミブというものでございました が、これについては現在開発中のヤンセンファーマ社に対して、現在進行中の治験が終 了次第、早期に承認申請を行うとともに、承認までの間に安全性確認試験、これは当然 治験という形になりますけれども、を実施するように要請を行ったところ、この要請に 対応できるように企業として前向きに取り組みたい旨の意思表示があったところでござ います。  2番目がラロニダーゼ、これはI型ムコ多糖症の薬剤でございますが、これを開発し ておりますジェンザイムジャパン社に対して、国内での治験を早急に開始するととも に、欧米での治験データをもって早期に承認申請を行うよう要請を行いました。現在、 同社により承認申請及び治験の開始に向けた準備が行われておりまして、間もなく承認 申請と治験計画の届け出がなされるものと考えております。  3番目が、高インスリン血症による低血糖症用のジアゾキサイドでございます。これ を開発する意思があると見られるシェリングプラウ社に対して、国内での治験を早期に 開始するよう要請を行いましたところ、企業としてもできるだけの努力をしたい旨の意 思表示がございまして、現在、治験実施に向けた準備を進めているという状況でござい ます。  以上が前回御検討いただいた3品目でございますが、1月の検討会議で御検討いただ きましたサリドマイド、これも多発性骨髄腫の薬剤でございますけれども、これについ ては一部マスコミ報道等もされましたけれども、藤本製薬より6月に治験届けが提出さ れまして、間もなく治験が開始される旨のアナウンスが20日にあったところでございま す。  前回4月の会議までに、これら薬剤を含めて6つの未承認薬について御検討いただい たことになります。きょうお配りした参考資料7をごらんいただきますと、検討を行っ たということをおわかりいただけると思いますが、この部分について、既に承認された オキサリプラチンを除く5剤について、医薬品名、対象疾病、治験依頼者名、連絡先を リストにしまして、先日厚生労働省のウェブサイトに掲載したところでございます。そ れが参考資料8でございます。こういう形でリストにしまして、私どものウェブサイト で未承認薬使用問題検討会議のセクションがございますので、そこに掲載をさせていた だいております。これが参考資料8で、本日はそのプリントアウトしたものをここにお つけしているということでございます。この資料は、今後この検討会での検討が進行す るのと並行して、今後も適宜アップデートしていくということでございます。  以上、前回からの進捗状況について御報告させていただきました。  黒川座長  報告を受けたわけですが、先生方の方からコメントその他ございますか。これ、やり ますといってなかなか難しい。企業としてはオーファンみたいに数が少ないとか、患者 さんのリクルートが難しいとか、そういうのだとやれやれといっても、やる体制も協力 しなきゃいけないわけだから。多発性骨髄腫というのは新規にどのくらいでいるんです かね。  堀田構成員  5000人くらいですね。  黒川座長  この場合は比較的患者さんのリクルートとか、専門の先生が診るから割合やりやすい かな。  堀田構成員  既存の薬剤では治る病気ではありませんので、そういう意味ではいつかは新しい薬の お世話にならなきゃならなくなる薬になるという意味では、治験の対象となる方はがた くさんあると思いますが、今いろんな治療のオプションがふえてきたので、そこら辺が どうなるかですね。  黒川座長  そうですね。ジアゾキサイド、インスリンノーマなんかは少ないかな。こういうのは 難病になってるのかな。比較的レアだね。これも専門の人が診ると年間に100とか200と か言ってたような気がするけど。そのくらいですよね。  中村参考人  ジアゾキサイドは数百例というレベルだと思います。  黒川座長  そのくらいですね。そうすると、この患者さんもみんなが知るようになれば比較的協 力体制はすぐできるような気もするし、ラロニダーゼ、I型ムコ多糖症、これはどうで しょうね。もっと少ない。これがどのくらいいるかというのは、厚生労働省の難病対策 の調査研究班なんかあるから、ああいうのはむしろ患者さんが少ないから、この治療が どうとかこうとかというのも大事なんだけど、患者さんのレジストリをつくるとか、診 てる先生自体が少ないんだから、そういうことをしっかりやってみてって、今年の評価 委員会でかなり言っておいたんですけどね。それが出れば、患者さん1人か2人かもし れないけど、すぐできるのかもしれない。  中村参考人  実際に今使うという形になると数名。ただ把握はされているということです。  黒川座長  そうなると、サリドマイドは前から問題になってるし、資料8の悪性胸膜中皮腫、こ れは今始まってるわけ。  川原課長  これは治験が開始されております。  黒川座長  これもわっと患者さんがいるような気がするね。ニュース性が高いんですが。  川原課長  治験が開始されたばかりでございますので、現時点では恐らくドーズの検討とかそう いったところが行われて入るんじゃないかと思われます。  黒川座長  はい。もう一つは、メーカーとしてはやりますというときに数が少ないとかいろんな ことがあって、患者さんと主治医の関係というのはかなり密なところの患者さんが多い から、比較的治験はやりやすいんじゃないかという気はするけれども、その患者さんを 診てるお医者さんの方にも、患者さんの団体にもよく知ってもらうということが一つ。 それから、審査のプロセスでなるべく早く見てあげるということを審査機構がやってく れないと、ほかと同じでやたらとアポがとれないとか、うるさいとか言われて高圧的な ところがあるから。  川原課長  そこについては、ここで議論していただいたような品目については治験相談等も大体 優先的な治験相談とか、審査の方においても優先的な審査というのが受けられると思い ます。もちろん、出てきた結果にもよると思いますけれども。  黒川座長  甘くする必要はないけど、なるべく早く審査してあげないと意味がないなと。よろし いでしょうか。どうぞ。  堀内構成員  サリドマイドですけれども、IRB等でプロトコールの検討が始まっていると思います が、例えば薬品の管理については適切に管理するという程度しか書いてないということ ですので、プロトコールの段階から厚生労働省の方でチェックをしていただいて、後で トラブルが起こらないように進めていただきたいと思います。  黒川座長  これは治験のスポンサーだから、治験やるドクターがいるわけじゃないの。その人た ちがやればいいんじゃない。  川原課長  プロトコールの中にも治験薬の管理の部分のプログラムが入っているというふうに… …治験の相談の段階で指導しているというふうに私どもは承知しておりますけれども。  堀内構成員  我々の病院でもプロトコールの審理をやっておりますけれども、厳密になっていない ようですので、もう一回見直していただければと思います。  黒川座長  相談に行ったときにはきっちりやってくださいねというわけで、厚生労働省がやるわ けじゃなくて治験の先生たちがしっかりやればいいんじゃないの。厚生労働省が言って くれないとできないなんて言われても困る。  堀内構成員  今の件は自主研究だと思いますけれども、結局同じことだと思いますので。  堀田構成員  その件に関しては、日本臨床血液学会とがん治療学会でガイドラインをつくって、そ のガイドラインにもかなりきちんとした記載がありますので、それにのっとって自主研 究がやられていれば大きな問題はないと思うんですが、各施設の対応がかなりまちまち だということだと思います。治験に関してはこれからしっかりやられるんだと思ってい ます。  黒川座長  むしろインターネットで買われるよりははるかにいいんじゃない。そうだと思います ので、ぜひ治験の担当者と、担当している施設をきちっとモニターできるような工夫を すればいいかなと思います。ということでよろしいですか。施設によっては薬剤部がき ちんと管理しているところとそうじゃないところがあるわけでしょ。それはそちらでど ういうふうにするかというのをみんなで知恵を絞ればいいんじゃないかなという気がす るけど。よろしいでしょうか。  じゃあそんなことで、審査機構の方も相談に乗るとか、なるべく両方が早く、そして いいスタディが終わるようにできればいいなと思います。よろしくお願いします。よろ しいでしょうか。何かそのほかに。よろしければ、資料1に従って次の議題に進んでよ ろしいですか。これから4〜6月に(欧米で)承認されたいろいろなものがありますの で、このリストについて検討しようかという話ですので、皆さんの御意見を伺うという ことにしたいと思います。  川原課長  資料1について簡単に御説明申し上げます。このリストは、今年の4月から6月まで の3カ月間に欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬品ということでござい ます。全部で4剤ございました。簡単に御紹介します。  1番目がエキセナチドという成分でございます。アメリカで4月28日に承認されてお ります。II型糖尿病患者さんに使う注射剤でございます。  2番目、ガルスルファーゼという成分の薬で、これもアメリカで6月に承認されてお ります。VI型ムコ多糖症に使われる注射剤でございます。  3番目、チゲサイクリンという注射剤でございまして、これもアメリカで6月15日に 承認されたということでございます。  4つ目、チプラナビルという薬でございます。こちらもアメリカで6月22日に承認さ れました抗エイズ薬でございまして、プロテアーゼ阻害剤の部類に属するものでござい ます。  以上4剤でございますけれども、いずれの薬も今のところ学会とか患者団体からの要 望というのは出てきておりませんけれども、既存の治療法がない重篤な疾病に用いられ る薬も中にはございまして、本日御意見等いただければと思います。  なお、チプラナビルについてはHIV関係の薬でございまして、HIV感染症治療薬につい ては私どもの方で別途、迅速審査というスキームをつくって審査しておりますので、そ ちらの方のスキームで対応させていただきたいと考えております。以上でございます。  黒川座長  はい。それでは、これは事務的に調べていただいているわけで、このようなプロセス がこれから入ってくるわけですが、これについてそれぞれの分野で調べていただけると いうことなので、参考人がきょう来ておられますけれども、そちらの方から追加の発言 その他あればお願いします。  中村参考人  国立成育医療センターの中村でございます。小児関係でガルスルファーゼについて少 し追加説明をさせていただきます。これはムコ多糖症VI型マラトー・ラミー症候群とい うものに対する遺伝子組み換えの酵素製剤でございますが、前回ラロニダーゼの際に紹 介したものはI型ムコ多糖症で、これと非常に似ておりますが、中枢神経症状がない、 常染色体劣性遺伝というふうに理解しております。欠損酵素がアレルサルファターゼB というものでして、これまで治療法というものが造血幹細胞移植のみであったというこ とですが、効果が不十分である、移植をしても病態が進行する。この疾患は中枢神経症 状がない。中枢神経症状に対してはたんぱくが脳に移行しませんので、酵素補充療法等 はあまり効かないと言われていますけれども、この疾患についてはそれがないというこ とで、酵素補充療法の効果が期待される。造血幹細胞移植の副作用も考えると、現時点 で最も適した治療法であると認識されていると言ってよろしいかと思います。  日本で確認できている症例は3例でございまして、これは好中球中のアレルサルファ ターゼBの測定で確定診断がついております。そのうち2例は造血幹細胞移植は受けて いますが、2人とも車いすの生活をされているということで、2人ともこの薬の使用を 希望されているそうです。もう1名はまだ小さい方で、この方は車いすほどの状況には なっていませんが、保護者の方が強く使用を希望されているということで、専門家から も患者からも要望が強い。患者の会の方では現在、要望書の提出も検討中だと聞いてお ります。添付資料にありますように、かなりの有効性は示されているということでござ います。  これは米国バイオマリン社の製造販売でございますが、現時点では日本で治験販売を する意思のある会社があるとは聞いておりません。そこが問題でございます。患者数が 極端に少ないようなケースで治験をどのような形で行うのかという判断が非常に難しい ということで、既存の枠組み以外の対応を視野に入れた検討が必要ではないかというこ とも考えております。以上でございます。  黒川座長  はい。そういうことですが、ぜひ構成員の先生方からも何かコメントがありました ら、ぜひ言っていただければと思います。確かにこれは少ない。難病の調査研究班があ って、患者さんが今どんなふうで、どんな治療をしたらどんなことが起こったなんてい うのをファイリングしてあるんですよね。全体でファイリングしてるのかなというのは まだわからないんだけど、参加している先生方というのは診る患者さんが限られてるか ら、その先生ばかりのあれになっててね、どんな治療をしたら何とかが起こったという 話がずっとあるんだけど、ただ、難病だから、指定されているから治療研究班もあるは ずなので、その辺とどうタイアップするかというのは、コストとか、患者さんの団体も あるし、そういうのをうまく組み合わせなくちゃいけないんじゃないかなという気がす るんだけど。  今、日本では3例しかこの患者さんがおられなくて、2例は造血幹細胞移植を受けら れてるんだけど、車いす状態になっていて、受けてない人も含めて3人とも希望してい るし、受け持ちのドクターも希望しているという話がわかっていると。それから、ムコ 多糖症というのはレアなディジーズで、いろんなタイプがあるんですけども、その診断 基準もはっきりしていて、厚生労働省の難病対策治療研究班というのがあって、そこで はどういう患者さんが何例ぐらいいて、どんな治療をしたらどんなことが起こっている というフォローはかなりしてあって、ドクターもその患者さんを診ている人は少ないで すから、そういうデータがかなり集まっていて、患者さんの団体の方もそういうことを よく知りたいという話があって、その辺は情報の公開がうまくいっているんですが、あ とは難病指定されているから、それに対応する治療研究班があるはずなので、例えば公 費負担の分とか、いろんなことについてはある程度サポートできるんじゃないかという 気はしますし、つくった会社がバイオマリンという、日本では売る会社がないからどう するかというような話だから、3人の患者さんであれば差し当たりどうするかとい話 と、非常に急ぐのであれば治験をやるドクターに許可をしてという話もあるんだけど、 それは考えてもらったらいいんじゃないかな。そのプロセスからどういうふうに認める かというのは、さっきのエイズのような、日本では患者さんが少ないからなかなか治験 ができないという扱いのやつもありますよね。そういうことでやるのかなということも 考えられるんじゃないかなということです。何かありますか。  川原課長  前回御検討いただきましたラロニダーゼと同じように、日本での患者さんの数がムコ 多糖症I型よりもさらに少ないわけでございますので、日本での治験を待って承認申請 ということは現実的でないというのははっきりしているかと思いますが、むしろ将来的 に承認を受けてなおかつ販売する意思を持った企業が出てくるかどうかということで、 私ども規制を担当している部局だけではなくて、医政局の方とも連携して、そういう企 業探しといいますか、これまで黒川先生からもお話がありましたけど、場合によっては 企業で手を挙げてくれるところがあるかもしれない。社会的なことも考えて。というよ うなことで、これについては病気としても重篤であるということもありまして、もう少 しワーキンググループと一緒に、どこか引き受け手がないかどうかを探すことも含めて 検討させていただければと思います。  黒川座長  ぜひお願いします。これからはパターン化してきて、この会が3カ月に1回というこ とで開催されるのであれば、その間に書類で報告するなり何かしていただいた方がいい ですよね。ラロニダーゼだって、ジェンザイムジャパン、準備中なんて書いてあるんだ から。まだ準備してるのかな。早くやって言った方がいい。患者さんの状況は把握され ていると思うので。  川原課長  これは私の認識での話でございますけれども、欧米でもベンチャー企業という形で、 日本に子会社があるといいましても、開発担当の人の数というのは限られております。 場合によっては数名というところもございますので、そういうところで実際に医療機関 との契約ですとか、臨床試験のオペレーションの管理、承認申請のための翻訳作業、い ろいろな業務をやりますと、リソースという点で厳しい面もあって、その限界の部分も あるやに聞いております。  黒川座長  特に慈恵の衛藤先生のグループで、患者さんを診てる人たちの調査研究はやってます から、その辺がすぐに参加してくれるとは思うので、3人であれば治験がどのくらい、 審査機構がディジットな状況をするのか、その辺も必要なのかもしれないね。そういう ことを全部合わせて、難病の問題、難病の調査研究班、難病の治療研究班というのもあ りますので、その辺も含めて行政的にできるだけ対応を考えていただくというのが一番 いいんじゃないかなと思いますが。そのほかに構成員の方から、どうでしょうか。ちな みにアメリカでは幾らぐらいで売ってるの。  川原課長  この品目については、現時点ではマーケティングされたという情報はつかんでおりま せん。認可は受けたけれども、実際にマーケティングされたということは把握しており ません。添付文書はできておりまして、それは本日お配りしております英文の添付文書 ですが、そこには価格は掲載されておりませんので価格は不明でございます。  黒川座長  価格は向こうは自由だからね。困っちゃうね。そういうことですので、これも皆さん 聞いておられる方でわかる方もそうじゃない方もいるかもしれないので、ちょっと解説 的に言ってるだけですけど、日本の場合、難病対策があって調査研究班というのと治療 研究班というのがあるのは大変ありがたいシステムではあるなと思いますので、一言つ け加えさせていただきます。じゃあできるだけということで、よろしいでしょうか。  そうすると、ガルスルファーゼというVI型ムコ多糖症についてもできるだけしなきゃ ならないということでいこうと思いますが、向こうでもまだ販売されていない、承認さ れているだけとなると、両方の情報をよくとって、どのようなことをするか、向こうの 製剤をそのまま輸入して治療研究班みたいな格好でやるのか、向こうでもそういう程度 にしかならないんですね。患者さんが2人とか3人でこういうふうにやったよと。それ でどうなったという話が調査研究でも多いので、その辺をどんなタイミングでするかと いう話もワーキンググループでまた検討していただいていいのかな。先生の方と行政の 方でできるだけのことをしたいということでやっていただければと思います。どうでし ょうか。ではそのようにお願いして、これについては報告していただくということでい いですね。よろしくお願いします。ありがとうございました。  それでは次に資料2に進ませていただきたいんですが、これは学会その他から追加で 要望のあった医薬品のリストというのがありまして、これについて事務局の方から簡単 に説明していただこうかなということです。よろしくお願いします。  川原課長  資料2−1と2−2を中心に御説明申し上げます。前回4月までの本検討会議におい て、その時点までに学会、患者団体から早期承認、早期保険適用の要望があった国内未 承認薬についてはリストを作らせていただきまして、今回の参考資料7という形で配ら せていただいておりますけれども、そちらの方で前回までに御要望いただいた医薬品に ついては、アメリカで重篤な副作用が出て販売が中止されている薬は除き、すべての薬 剤について一通り御検討いただいたというのが前回までの作業でございました。その 後、この4月に学会、患者団体から本検討会議での検討を要望する薬剤のリスト、早期 承認を要望する薬剤のリストというものが追加で提出されました。今回その追加の要望 をもとに資料2−1と2−2という形でリストをつくらせていただいたという経緯でご ざいます。  まず資料2−1でございますけれども、本検討会議で検討をお願いしたいという要望 があった医薬品のリストでございます。すべて抗がん剤でございまして、全部で41個リ ストアップさせていただいております。ただし、欧米4カ国で承認が確認できなかった ものが3つほど入っていましたので、それらは除いてございます。  資料2−2でございますが、早期承認の要望という形でいただいた医薬品でございま す。42〜45番ががん性疼痛の鎮痛薬でございます。46〜49番がてんかんの関係の薬でご ざいます。早期承認の要望リストでございまして、治験の枠組みを利用した未承認薬と しての使用要望というものではございませんでしたので、こちらは今回の紹介にとどめ させていただきたいと思います。  資料2−1の方に戻っていただきたいんですけれども、このリストをつくってワーキ ンググループの先生方に内容について御検討いただきまして、備考欄に各薬剤の治療上 の位置づけなどのコメントを書いていただいたということでございます。それをざっと 分類させていただきますと、全部で41ございますけれども、1〜8番については医療上 の必要性が比較的高いんじゃないかということで整理していただいております。9〜20 番までは12薬剤ございますけれども、国内に類薬が幾つか存在していて対応可能ではな いかということでございます。21〜34番まで、14個薬剤がございますが、欧米でも標準 薬とは言えないんじゃないかとか、要望のあった効能について欧米4カ国で承認を持っ ていないというものもございまして、それについて分類させていただいております。35 番以降については7剤ございますが、既に国内で承認されているもの、本検討会議で既 に御検討いただいたもの、例えばペメトレキセドとか、そういうものもございましたの で、それは最後に整理させていただいております。  1ページにお戻りいただきまして、1〜8番の8つ、この中でさらにワーキンググル ープの方で医療上の必要性等を御検討いただいて、特に急いで検討すべきものについて 1〜5番まで今回、別途詳しい報告書をおまとめいただいたという経緯でございます。 本日、1〜5番の薬剤について個別に御検討いただきたいというのが一つでございま す。  もう一つが、事務局とワーキンググループとしましては、9番以降の薬剤については 本検討会でさらに詳しく御検討いただくまでの必要はないと考えているんですけれど も、これらの薬の中でも特に今後検討すべきであるというものがございましたら、そち らについても御意見をいただきたいと思っております。以上でございます。  黒川座長  はい、ありがとうございました。そうすると、今言ったように、いろいろ出てきたの をシステマチックに分析して、どういうふうなカテゴリーになるかということです。そ うすると資料2−1の1〜8というのは、医療上の必要性が比較的高いんじゃないかと いう判断。9〜20については国内に類似が存在して対応可能であるということですけれ ども、それについて何か、そうじゃないよということがあればそれなりに御意見をいた だき、またそれについてのエビデンスとか参考文献があるとさらにいいんじゃないかな ということかと思います。21〜34までは、よく調べてあるなと感心するんだけど、欧米 でも標準薬とはまだ言えない。あるいは要望のあった効能については欧米4カ国で承認 を受けているわけではないというのもある。35〜41は既に国内で承認されているから、 今回の検討会では済んでいる。サリドマイドなんかそうですね。そういう話です。何か 先生方の方からコメントございますでしょうか。何かあるかもしれませんが、もしあり ましたら後でまた言っていただくか、事務局の方にこういう文献があるんだけどどうか なと、検討に値するかなという話も言っていただければと思います。特にきょうはワー キンググループに来ていただいておりまして、1〜8のうちの医療上の必要性が特に高 いんじゃないかという判断がありまして、それについてワーキンググループの先生方に 5薬剤について個別に検討いただいておりますので、まず報告をしていただいてはどう かということです。よろしいでしょうか。それではお願いしてよろしいでしょうか。そ れでまた質疑応答ということであります。お願いします。  藤原参考人  国立がんセンター中央病院の藤原でございます。資料3−1から3−5までがワーキ ンググループ報告書でございます。まず3−1でございますけれども、ベバシズマブ、 アバスチンといった方が名前の通りがいいのでアバスチンと言います。  対象疾患は転移性の結腸・直腸がんです。いわゆる大腸がんでございます。本剤の医 療上の有用性については、アバスチンはVEGFに対するモノクロナール抗体でございまし て、腫瘍血管新生を抑制することによって腫瘍増殖を阻害する新規作用機序を有した薬 剤でございます。海外ではこれまでに種々の試験が行われておりまして、『New England Journal』に昨年出た、イリノテカンと5FU/LVと本剤、あるいは本剤のかわりにプラセ ボを用いたランダム化比較試験では、本剤投与群の方がプラセボ群に比して全生存期間 でいいますと5カ月延命、すなわちプラセボとイリノテカンを併用した群では15.6カ月 だったものを、本剤を加えることによって20.3カ月と著明な延命効果が得られておりま す。  副作用でございますけれども、出血、血栓症、たんぱく尿、高血圧などがよく知られ ておりまして、重篤なものとしては消化管穿孔、脳血管障害や心筋梗塞等の血栓症が VEGFに作用するということからよく認められるということで注意を喚起されておりま す。これが一次治療と申しまして、前化学療法を受けてないような方に初めて抗がん剤 を投与する方での治療成績でございます。  二次治療、すなわち、既にいろんな抗がん剤を受けられた方が2回目の抗がん剤の投 与を受けられるケースでございますけれども、今年のASCOの年次総会で二次治療を対象 にしたFOLFOX4+アバスチン、FOLFOX4、アバスチン単独のランダム化比較試験が行われ ております。FOLFOX4というのは5FU/LVに加えてオキサリプラチンを用いた併用療法で ございます。FOLFOX4にアバスチンを加えた群の方が生存期間で12.9カ月、ほかのもの は10.8カ月、10.2カ月と、やはり2カ月余りの延命効果を示しております。同じような 毒性が認められております。  これ以外にも、FOLFOX4にアバスチンを加える群、加えない群、さらにはXELOXといい まして、日本のフルツロンと同じようなものですけれども、日本でも既に乳がんに対し ては承認されています経口フッ化ピリミジンであるカペシタビンにアバスチンを加える 群、加えない群の4群の比較試験が現在海外で実施されておりまして、静注用製剤と経 口製剤がどうかというような検討も出てくるものと思われます。  イリノテカンあるいはFOLFOXといった治療群に加えまして、5FU/LV、旧来からある 5FUとLV(ロイコボリン)を用いた治療群にアバスチンを加えてもいい効果が得られて いるというのが現在までの成績です。さらに今年のASCOで注目されたのは、非小細胞肺 がん、あるいは再発乳がんに対してもアバスチンを既存抗がん剤に加えることによって 著明な延命効果が得られるという成績が出てまいりましたので、注目に値すると思いま す。  まとめますと、現在までに報告されている臨床試験成績は、いずれも第III相試験か らなるものであり、臨床的有用性は検証されていると考えられることから、これらの臨 床試験成績及び主要な評価が終了した国内第I相試験成績をもとに早期の承認申請がな されるべきである。並行して、申請準備期間中並びに審査期間中にFOLFOX4+アバスチ ンの併用療法に関する安全性確認試験を実施して、国内の使用実態を想定した臨床試験 成績が収集されることが必要と考えるというのが私どもワーキンググループの判断でご ざいます。  さらに、投与量に関しても、今までの試験は2週ごとに5mg/kgのivだったんですけ れども、E3200試験では10mg/kgという高用量が使われていますし、高用量になってくる といろんな副作用がふえてまいりますので、高用量下での安全性確認も今後必要になる と思います。米国等で今問題になっているのは、この薬が非常に高額でございまして、 それを転移性大腸がんという患者さんの多いポピュレーションに使うことによって、医 療経済学的に大きなインパクトがあるということが懸念されております。  日本では従来から経口抗がん剤が非常に広く日常臨床で使われておりますので、それ とこの薬を安易に組み合わせることによって海外にないエビデンスを日本で作ろうとし たり、類推から日本での経口抗がん剤を使った併用療法の治療が勝手になされる恐れも 懸念しているというのが私どもの感想でございます。以上です。  黒川座長  はい。さて、いかがなものでしょうか。御意見をいただければと思います。どうぞ。  有吉構成員  藤原先生のお話の中で、最後の検討結果のところで、第I相試験成績等をもとに早期 の承認申請がなされるべきであるという結論をしながら、最後のコメントとは矛盾を感 じるんですが、いかがでしょうか。というのは、早期承認というのは非常に承認後の使 用が怖いわけございまして、安全性の問題で、安全性確認試験をきちっとやるというこ とがその後に続くわけですから、きちっとした第II相試験までやって承認をするべきだ と私は思うんですけど、いかがでしょうか。  藤原参考人  最近出た『New England Journal』の総説等を見ますと、アバスチンを加えることに よる延命効果の伸長というのは2倍になっていることを考えると、これまで転移性大腸 がんというのは5FU/LVで主に治療されてきた中で、オキサリプラチンが出、さらにアバ スチンが出ることによって、通常、延命効果というのはせいぜい比較試験の中では2割 とか3割程度の延命しか出てこないのが通常なんですけれども、2倍近い延命効果が数 年前に比べてふえているということは、大きな福音であるというふうに考えられるの で、私どもとしては安全性の件には十分配慮しつつ、早くこの薬を世に出すべきではな いかという考えでございます。  吉田構成員  これはなかなか苦労された検討結果でありまして、文字どおり読むと論理の矛盾のよ うに聞こえますが、私は多少事情を知っているのであれですけど、国内第I相試験は既 に始まっておりまして、ただ、その国内第I相試験を始めた当時はオキサリプラチンも 認められていないし、インフュージョナル5FU/LVの投与法も認められていないという状 況下で、ワンショット5FU/LV+アバスチンという形で治験が始まっています。そういう ことでいいますと、アバスチン本体を早く承認するためにワンショット5FU/LVの併用に おける安全性を見ると同時に、ここに書かれている安全性確認試験というのは、今度使 用できるようになったFOLFOX4+アバスチンの併用療法、恐らく第II相程度のものを考 えておられると思うんですが、そういったものを並行してやることによって、できるだ け早くアバスチンを国内承認としてほしいということだと思います。先生のおっしゃる ように、これを第I相試験から第II相試験とやりますと、ワンショット5FU/LV+アバス チンを第II相試験の段階でもさらに継続していって、その安全性を見て、さらにFOLFOX4 +アバスチンの新しいレジメンをそこで再度第I相試験から始めてということになりま すと、日本の患者さんには恐らく5年以上はアバスチンが使えないという状況になって しまう。そういうことを恐れてこういう文章になったのではないかと思います。  有吉構成員  先生も御存じのように、FOLFOX4がわずか3カ月くらいで3000例を超えているという 実状がございます。しかも、それがきちっとした形で行われていればいいと思うんです が、いろいろな使い方を既にされているという話さえ出ているわけです。ですから、承 認というのは、ある意味では、市場に出るということは野放しになるような可能性があ ると思うんですね。ですから、きちっとした治験施設を定めてやっていくということ が、先生のお話のような形で、多くの患者さんは治験の中に組み込んでいくということ で安全性を確認しながらやれる体制を今考えているわけですから、承認を簡単にすると いうことには怖さがあると思うんですけど、いかがでしょうか。  吉田構成員  先生のおっしゃるとおりだと思います。ここに掲げている安全性確認試験を実施しと いうのも、治験の範囲内の拡大治験という形で実施しという意味だと私はとっておりま すので、きちっとした管理の中でこのエビデンスを、少なくともフェーズII段階ぐらい まで持とうという意味だと私は思います。  黒川座長  キャンサーの場合のフェーズIというのはどういう意味で言ってるんですか。  藤原参考人  通常は単剤でのI相試験ですが、併用のフェーズIというものもあります。FOLFOXとア バスチンの併用に関しては今までデータがないので、安全性確認試験の中でFOLFOX4と 使ってくださいという試験です。  有吉構成員  私が聞いている範囲内では、アバスチン単独ということは当面あり得ないということ でございますので、恐らく日本で初めて、最初から併用試験という形で入ってくると思 うんです。確かにこれは有効性が高いかもしれませんが、出血などの可能性もあるわけ ですので、施設がある程度限定されたような形で承認試験をしないと怖いことが起こっ て、しかもそれは薬を傷つけることになると思いますので、そういう意味でフェーズI からフェーズIIという、あるいは施設の限定というのを、地域を考えた上での臨床試験 施行という形で、それから承認へ持っていくというプロセスを私は考えるべきだと思い ます。  藤原参考人  私も同感で、ここに書いてあるのは早期承認しろとかいうことは書いておりません で、早期に承認申請をする、早く申請をしていただいて、その間に安全性確認試験も同 時に、FOLFOX4との併用療法としてのアバスチンの安全性を日本国内でも確認して、さ らに患者への投与機会も与えて、医師もこの併用療法に慣れて、その間に審査が進んで いく中で、淡々とこの薬の評価がされるでしょうという予測をしておりますので、私ど もは承認してくださいという話ではありません。早く申請なり何なりしてくださいとい う話のつもりで書きました。  黒川座長  申請ができるようなスタディをやってくださいということね。それだったらいいです か。共通の認識かしら。文章の書き方が悪いか。どうぞ。  堀内構成員  リコメンドしているのはFOLFOX4とアバスチンの併用ということだと思います。それ に関する安全性確認試験を実施することになっていると思いますが、経口剤ですから、 最近の外来での化学療法がどんどん進んでいることを考えると、FOLFOX6でやるケース が多くなると思いますが、FOLFOX4とFOLFOX6の関係はどう考えたらよろしいでしょう か。  藤原参考人  FOLFOX6は、1日目に投与して、その後インフュージョナルポンプを患者さんに取り つけておうちに帰っていただいて、自分で自己抜針するという方法ですけれども、がん センターでもFOLFOX6を現場でやっておりますけれども、アバスチンに関していえば、 併用療法としてエビデンスがあるのはFOLFOX4との併用療法なので、FOLFOX6をいきなり リコメンドするということは過去のエビデンスに反することになりますから、『New England Journal』等の成績を見ると、FOLFOX4との併用下での使用ということになって いるので、これに関してはFOLFOX4と併用した安全性確認試験をやっていただきたいと いうのが結論です。  堀内構成員  私もそれで結構かと思います。例えばオキサリプラチンもFOLFOX4をメインに使うと いう話になっていますけれども、完全にFOLFOX6を使ってはいけないという話にはなっ ていないと思います。ドーズを下げて使うとか、いろいろな使い方をされてくると思い ますので、その辺のことも考慮した、実際に臨床の場で使えるような治験を組んでいた だければありがたいと思います。  黒川座長  実際は治験のときはある程度きちっとしたプロトコールでやるわけだから、その後の 問題もちょっと考えているわけでしょ。何かありますか。どうぞ。  堀田構成員  要するに市販後を想定して安全性確認試験をやらないと、これだけが特別にあって、 これが終わっちゃったら全然使い方が変わるということでは困るわけで、市販後臨床試 験を前倒しで安全性を確認するという立場からいうと、市販後の使用状況を想定しない といけないという発言だと思うんですね。それならばFOLFOX4との組み合わせで市販後 もいくのか、あるいは市販になったらいきなりFOLFOX6との併用になっちゃうこともあ り得るんですかね。その辺はどうでしょうか。  藤原参考人  当院でFOLFOX6をやっているのは、単にスタッフの数と病院の狭さということから FOLFOX6をやらざるを得ないという環境で、エビデンスからすればFOLFOX4を、看護師も ふえて、ベッドがちゃんと回るような状況であればFOLFOX4をやるのが筋だと思ってお りますので、実際に臨床現場でアバスチンが出てきた際に、FOLFOX6をほんとに採用す るかというのはなかなか難しい話でありますし、FOLFOX6を使うというのはあくまでも 現場が困っている中でしょうがないからやっているということで、FOLFOX4が本来は筋 だろうし、そちらを使うべきだと思います。  堀田構成員  問題は、天下の国立がんセンターでさえそうなら、一般の医療機関はもっとそうなる のではないかということを言ってるんです。  吉田構成員  今の藤原参考人の意見は、事実としてそうであるということを申し上げていて、この 間ドイツの連中と話したときに、FOLFOXは一体どこまでいくんだと言ったら、9か10 か、どんどんいくぞという話でございました。これはどういうことかというと、まだ完 成してない段階で工夫しているということだと思います。ただ、FOLFOXに関しては世界 じゅうでトライアルしておりますので、例えばFOLFOX4と6の同等性ということ、あるい は安全性の問題とか、オキサリプラチンの神経毒性をどうやってクリアするかというこ とでいろいろなことが問題になっておりまして、最終的にはある程度の評価が下される と思っております。ですから、基本的にはFOLFOX4でやるということを原則として、そ れ以外は認めないという形でスタートするのが適当かと思います。時間がたてば、例え ば数年を経ずして次の評価が出てくると思いますし、そのときにはブリッジングで、あ るいはグローバルスタディで日本の症例も入っているという時代がきているだろうと思 っていますので、そう心配しておりません。  黒川座長  それはあり得るかな。そうすると、適切なフェーズIIが早く終わるようにするという のも大事ですね。どうでしょうか。それは今いろいろ先生方から言われたこともテイク ノートして、先生の方でこの書きぶりを変えて、どういうことができるのかなというの とメーカーと相談しなきゃいけないかもしれないね。JCOGとかいろいろあるから、ここ にいる構成員の先生とも相談すればいいのかもしれないけど。ナカジマ先生もがんセン ターにいってよく知ってるから。事情もよく知ってるから。どうかね。  藤原参考人  私は早くこれを保険診療下で使うことによって、FOLFOXとかIFLとかXELOX、いろんな 方法があって、大腸がんに関してどの治療法がいいかというのはいまだに結論はないわ けですから、それを市販後の第III相比較試験等をきちっと回答を出していくというの が日本の医師の使命だと思っております。  黒川座長  それが承認された後にどういうスタディを組むかという話も考えておいてくれればい いわけだね。どうぞ。  堀田構成員  心配するのは、一旦承認されるとどういう使い方でもでやられてしまうという現実が ありえることです。これはこの検討会の問題ではないのかもしれないけども、市販後の 使い方にきちんとした方向性を指し示さないと、思わぬ薬害が出てくる可能性もあると いうことを常に警告する必要があるということだと思います。  黒川座長  そういう使い方で承認されてるんだよという話のウォーニングは必要かもしれないで すね。新しいFOLFOX6みたいなことをやるのであれば、ある程度のフレームでやらなき ゃいけないという話は、どちらかというと医療従事者の責任でもあるし、JCOGなんかが やってるのはそういうシステムが使えるわけだから、メーカーの方も十分注意しておく 必要はあるなという気はしますね。そこは確かにここで議論すべきことではないので、 これについてはなるべく早く、こちらでも承認させてもらって使えるように持っていき たいということで、よろしいでしょうか。ディテールについてはいろいろ問題があるこ とは十分認識したということで、それは別のテーマかなと思いますので。よろしいでし ょうか。  それでは次の3−2、よろしくお願いします。  藤原参考人  資料3−2について御説明申し上げます。セツキシマブ、販売名はアービタックスで ございますけれども、結腸・直腸がんに対する薬でございます。本剤はEGFRの細胞外ド メインに結合して二量体化を阻害して抗腫瘍効果を示すと考えられておりまして、海外 臨床試験ではイリノテカン抵抗性の転移性大腸がんに対してイリノテカンとの併用で臨 床効果が報告されている薬でございます。  本剤の医療上の有用性ですけれども、これまで公表されている文献等の成績を書いて おります。本剤に関する海外臨床試験成績は、イリノテカン+本剤第II相試験、対照群 は121例、あるいは本剤単剤の第II相試験57例が報告されておりまして、それぞれ奏功 率は19%、11%。単剤ではTTPが1.4カ月、OS(全生存率)が6.4カ月として報告されて おります。  もう少し大きな試験として行われていますのは、本剤単剤と、イリノテカン+本剤の 併用療法のランダム化フェーズII試験が『New England Journal』に一昨年報告されて おりまして、これも対照群はイリノテカンに効かなくなった対照群でございますけれど も、奏効率で見てみるとイリノテカン+本剤の併用群の方が11対23と統計学的に有意に すぐれておりますし、OSを見ても6.9カ月と8.6カ月ということで有意に併用群の方がす ぐれております。  有害事象としては、アクネ様皮疹、皮膚の乾燥・亀裂等が主体で、インフュージョン リアクションというものも観察されております。  検討結果に移りますけれども、国内ではこの薬の第I相試験の主要な評価が終了して おりますので、今までに報告された臨床試験成績から、本剤単独の使用というのは可能 性が少ないだろうと。これはアバスチンよりトーンダウンした感じで書いているんです けれども、それは臨床試験成績の結果等を冷静に見るとそう書かざるを得なかったんで すが、イリノテカン+本剤の併用をするということでこの薬の効果がはっきりするであ ろうことから、イリノテカンとアービタックスを併用する国内での第II相試験というも のを治験として早期に開始していただきたいというのがワーキンググループの判断で す。  さらに、海外で行われた臨床試験成績、大半が海外での承認申請に用いられた試験で すけれども、対照群は免疫組織染色でEGFR陽性の大腸がんということが条件とされてお りました。したがって、国内でそういうものをもし承認申請あるいは承認するに当たっ ては、EGFRの免疫組織染色キットの検査法の同時検討確立、体外診断薬としての申請あ るいは臨床開発というのも同時に進んでいかなければならないだろうと思っておりま す。  しかし、科学の進歩に従って、最近の報告の中ではEGFRの染色性とレスポンスレート のようなものとの関連性については必ずしも明確でないというものも出ていますので、 ほんとにEGFR免疫組織染色キットの体外診断薬としての同時開発が必要かどうか、ある いはこの薬がEGFR以外の機序で作用している可能性もあるということから、ほかの体外 診断薬が将来必要になってくるかもしれないということも考えられます。以上です。  黒川座長  はい、ありがとうございました。どうぞ。これはイリノテカン併用によって副作用は ふえてるんだね。だけど、効果は倍近くなってるのかな。TTPは1.5から4.1。さっきの やつのは副作用はあると書いてあるんだけど、高血圧、出血、神経毒性、嘔気、血栓症 が多いというけど、何%ぐらいの話なの。  有吉構成員  これはセカンドラインの……  黒川座長  それはあまり問題にしなくていいわけね。  有吉構成員  副作用が強く出やすい症例だと。  黒川座長  パーセントがこっちは書いてなくて、こっちはきちんと書いてあるからちょっと聞い てみたんだけど。どうぞ。  藤原参考人  アバスチンの方でいきますと、イリノテカンの入った治療法にプラセボあるいはアバ スチンを加えるランダム化比較試験を見てみると、グレード3、4の有害事象の比率は イリノテカンが入った方では74%、アバスチンが入ると84.9%でございます。  黒川座長  はい、ありがとうございました。どうぞ。  篠山構成員  本薬は、EGFRのチロシンキナーゼドメインに効く薬ですよね。そうするとイレッサを 思い出すんですが、チロシンキナーゼドメインのミューテーションは日本人と白人とで は随分違って、そのために効果が違うという文献を見たことがあるんですが、同じよう なことがこの薬には考慮する必要は無いのでしょうか?もしそうであれば、日本独特の 効果を検討する必要があるのではないですか。  藤原参考人  特に注意してその領域をフォローはしていませんけれども、おっしゃるとおり、海外 の添付文書を見ますと、7ページにアービタックスの添付文書、ILDとしては、この薬 に関しては633分の3、0.5%未満という患者さんで認められておりますけれども、これ が日本においてどのくらいになるかというのはまだわからないところがありますし、 EGFRのミューテーションとこの薬のレスポンスがどう反応するかというのはなかなか難 しいところもありますし、イレッサ等に関しても、EGFRのジーンのオーバーエクスプレ ッションだけではなくて、ジーンのアンプリフィケーションともしかしたら相関するか もしれないという成績も出ていますので、そのあたりは今後の検討の推移を見ないと何 とも言えないところだと思います。  黒川座長  ありがとうございました。そのほかに、これについて何かありますか。どうぞ。  川西構成員  私のコメントは少し別の角度になってしまいますけれども、先ほどのアバスチンと同 様に抗体医薬で、投与量で考えると60kgの人だと1g近くたんぱくを突っ込むわけです ね。昔を考えると相当シビアなことがあって、先ほど黒川先生が優先で早くやれやれと おっしゃいましたけど、私はこういうものを見る立場に立つわけですけれども、たんぱ くの場合は製造する場所を変えたり、製造する条件を変えたりしますと、ものが変わっ たりすることは少なくありません。アバスチンの方はまだいいんですけれども、セツキ シマブのインフュージョンリアクションというのはちょっと気になっておりまして、そ の辺は結構慎重に考える必要があると思います。私は品質の方の審査をしますけれど も、そのときに、どういうロットを使ってどういう臨床試験でやっているかというのは 結構注意してみて、日本で導入するときに製造場所が変わる可能性もあったりして、そ ういう部分は慎重に見なくちゃならないということで、早くやれというときに、何をぐ ずぐずしているかと思われるかもしれませんけれども、こういう新しい薬の場合はそう いう事情があるんだということは御承知おきいただきたいなと思ってコメントさせてい ただきました。  この場合は、どちらもある部分完成された薬とは私自身は言えないと思っていますけ ど、今の時点ではベストに近い薬ですから、使いたい患者さんは、制約はありながらも なるべく使う機会を早く提供するという基本的な姿勢は重要だと思っています。ただ、 そういう特殊事情がありますから、気をつける必要があるということです。  黒川座長  おっしゃるとおりだと思いますね。抗体の場合、モノクロナールにしたって、ロット 側の問題とか、何がつくってるのかというような話は結構問題があるので。  川西構成員  このセツキシマブはキメラなんですね。そういう部分が多少出るかもしれません。  黒川座長  それは向こうのデータを見せてもらうわけだけど、そうするとイムノジェネシティが どのくらいあるかという話も常に問題がありますよね。この種類のは常にそういう問題 はあって、製品の問題とロットの問題という話は常にあるわけだから。日本でも抗体の 医薬をする場合にはあらかじめ製造タンクをつくって均一なものをつくってないといけ ないわけでしょ。  川西構成員  基本的にはそういう姿勢なんですけれども、もともともこういうものはヘテロじゃな いということがありますから、その辺が評価するときに難しい部分がもちろんありま す。  黒川座長  たくさん量産できるようにつくって、小さなプレパレーションにした後承認されなか ったなんていうことはいくらでもあるわけだから。メーカーとしてもそんなこと言われ てもたまらんなというところはありますよね。言うのは簡単だけどやるのはそうはいか ないというのはいくらでもあるから。そのほかに何か。これは私も専門じゃないから、 こういう患者さんを診ている人たちから言ってもらわないと困るんだな。  吉田構成員  応援演説というかあれですが、ここに結腸・直腸がんに対する有効性ということで報 告されておりますが、昨年のASCO総会で頭頸部がんの患者さんに、これと放射線を合わ せたアームと、放射線単独のアームの第III相試験の結果が出ておりまして、ものすごい 大きな違いで、セツキシマブをオンした方の群の予後がよかったと。局所制御率もよか ったという成績も出ておりまして、大腸のみならず、頭頸部、食道、その他新しい分野 にも効果が期待されているということもありますので、そういったことを含めて早く国 内での治療成績を示してもらいたいと思っています。  黒川座長  早くできるようにだけでなく、製剤その他についても慎重さが必要だということです ね。これはメーカーはやろうという気はあるわけでしょ。  川原課長  現在もう日本で治験実施中でございまして、I相の主な評価が終了したところでござ います。  黒川座長  そうですか。わかりました。それだといいですね。さっきのやつもそうですね。もう 始まってるのね。そういう注意が必要だということですね。わかりました。よろしいで しょうか。  それでは次にいかせていただいて、資料3−3ですね。よろしくお願いします。  藤原参考人  資料3−3、エルロチニブ、商品名はタルセバでございます。非小細胞肺がんという ものが対象疾患でございます。御存じのように肺がんは男性の死因のナンバーワンでご ざいまして、日本で一番悩まされているがん種の一つでございます。  本剤の医療上の有用性についてでございますけれども、非小細胞肺がんに対して初回 化学療法はプラチナ製剤を含む2剤併用療法が標準的治療であって、プラチナ製剤を含 む2剤併用療法が施行された後の病勢進行を認めた症例に対する二次化学療法として は、現在ドセタキセルが標準的治療と考えられております。エルロチニブ、タルセバに 関してはゲフィチニブ(イレッサ)と同様に、上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシン キナーゼ阻害を作用機序とした薬でございます。本剤は抗体ではございません。1〜2 レジメンの化学療法歴がある非小細胞肺がん患者を対象にしたタルセバとプラセボの無 作為化比較試験において、タルセバによる生存期間延長の効果が示されております。こ れが一番大きな試験成績と思われております。ASCOで昨年報告されましたが、つい先 週、7月14日付の『New England Journal』でもこの試験成績が公開されました。結果 は、奏功率に関していえばタルセバ群が8.9%、プラセボ群が1%。OSについてはタル セバ群が6.7カ月、プラセボ群が4.7カ月ということで、有意な延長が認められておりま す。  毒性はイレッサと同様で、そんなに強いものはございませんので、皮疹、下痢という のが一番注目されております。  プラセボとの単独の比較試験では生存の有意な延長が示されたんですけれども、昨年 のASCOの報告を見てみますと、併用の抗がん剤にこのタルセバを加える、あるいは加え ない群の比較試験が2つ報告されているんですけれども、一方はシスプラチンとゲムシ タビンにタルセバを加えるか加えないか、もう一つは、カルボプラチンとタキソールに タルセバを加えるか加えないかという比較試験でございますけれども、いずれに比較試 験においても生存期間の延長は認められておりません。したがって、アドオンされた場 合にタルセバの効果はあまり大きくなかったということでございます。  さらに、現在国内でも治験が行われておりまして、第I相試験は一昨年の世界肺がん 会議で第I相試験の成績が公開されておりまして、そのポスターセッションを見ますと、 国内の患者さんでも間質性肺炎が1例観察されていて、その人は死亡している、グレー ド5とカウントされていますので死亡していると理解しておりますけれども、イレッサ と同様、間質性肺炎はちゃんと出る薬であるということがI相試験の段階から明らかだ と思っております。  検討結果を述べます。本剤はゲフィチニブ(イレッサ)と同様、EGFRのチロシンキナ ーゼ阻害を作用機序とした薬剤であって、国内第I相試験において間質性肺炎が認めら れていることから、急性肺障害、間質性肺炎などへの安全性の注意が必要である。した がって、現在国内において化学療法歴のある非小細胞肺がん患者を対象とした第II相試 験が進行中であることから、当該試験の中で本剤が使用されることが適当であって、そ の状況を注視していく必要があるだろうという結論に達しました。以上でございます。  黒川座長  はい。コメントその他ございますでしょうか。治験が進行中ということですが。  堀田構成員  現在の第II相試験をやっているので安全性確認試験でなくて進行中の第II相試験の中 で確認しろということですか。  藤原参考人  ワーキンググループの報告書としては、治験が進行中のものは進行中と書いてありま して、早く追加的治験をやれとか、安全性確認試験をやった方がいいという記載はして おりません。ですから、これは第II相試験が進行中なので、淡々とやってはいかがでし ょうかという記載ぶりのつもりです。  堀田構成員  例えば、第II相試験が終わって申請段階で承認までの間に安全性確認試験の実施を勧 告することまでは踏み込まないということですね。  川原課長  第II相試験での有効性とかそういったものがどういうデータが出てくるかでございま すけれども、欧米での奏功率とか、延命効果に関するデータはあると。ただ、この系統 の薬剤については人種差的なものもかなり示唆されているというところもございますの で、そこは安全性確認試験という形で患者さんへの使用の機会を広げるというのも、出 てきたデータによってはあり得るかと思いますけれども、現時点ではそこまで踏み込む というところまでワーキンググループの方では考えていないということで、事務局とし てもそのように受け取らせていただいております。現時点ではということでございます けれども。  堀内構成員  この薬はイレッサとかなり挙動が似ていると思います。添付文書を見ても、ノンスモ ーカーに効くとか、アジア人に有効性が高い傾向があるとか、全体の傾向についても作 用機序の面から考えても大変似ていると思われます。この前からずっと議論されており ますように、EGFRの遺伝子変異がある患者には有効性が高いけれども、そうでない場合 には有効性は低いということもイレッサの場合には出ているので、遺伝子変異について は第II相試験でやるのが妥当か、それプラスアルファの臨床研究でやるのが妥当かわか りませんけれども、申請までにこれについての関連はきちっとさせておく必要があるの ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  川原課長  これはゲフィチニブの検討会のときにもございましたけれども、EGFRの遺伝子変異を 現実に調べられる、組織の採取ができるかとか、検査法の問題ですとか、そういったと ころはございますが、堀内先生が御指摘のように、そういう論文とかいろいろなものは 出てきておりますので、審査の過程ではその辺も、将来的にこれについてのデータがま とまってきて申請されれば、審査の段階でそれが要求されるだろうということで、企業 の方もできる範囲で行うのではないかと考えておりますけれども、実際そこまでやって いるかどうかについては、この場では承知はしておりません。  堀内構成員  今の件については、例えば理化学研究所等で検討しているやり方が、イレッサについ ては既にほとんど系が確立していると思います。正常細胞と変異した細胞で100分の1 〜1000分の1、数百分の1のがん細胞のコンタミネーションでディテクトできるという 系ができつつある、あるいはできている段階だと思いますので、3月の段階での議論と 状況が変わってきていると思いますので、調査していただければありがたいと思いま す。  川原課長  その辺の測定系とかそういったところがかなり進歩しているということであれば、そ の辺を踏まえて私どもも将来的にこれを審査することになると思いますので、それは十 分に参考にさせていただきたいと思います。  黒川座長  そうですね。先生の方で資料その他あったら教えておいていただければと思います。 どうぞ。  吉田構成員  関係ないかもしれませんけど、審査管理課に質問なんですけど、エルロチニブに関し てはイレッサの類薬という整理になるんでしょうか。お伺いしたいのは、イレッサに比 べてということで評価しようとしますと、審査のときに何か問題になるということはあ るんでしょうか。  川原課長  吉田先生がお尋ねになりましたのは、例えばII相試験で比較をすべきではないかとい う意味ではなくて……  吉田構成員  そういう指導が飛び出すようなことが予想されるのか、それともどういうふうな展開 になるのかなと思ったものですから。イレッサはイレッサ、エルロチニブはエルロチニ ブという形で、それぞれ別の薬という認識になるんですか。  川原課長  まだ開発途上の薬でございまして、私どもも十分承知していないところがございます けれども、かなり似てはいる部分があるけれども、基本的には別の薬ということだと思 います。化学構造は別でございますので。  黒川座長  ほかにはよろしいでしょうか。これは治験が進んでいることだし、審査の方も対応は できるわけなので、それで粛々と進めるということでいいですかね。  よろしければ、次に5番目、テモゾロミド、テモダールについて、よろしくお願いし ます。  藤原参考人  資料3−4でございます。今度はテモゾロミドで、欧米での販売名はテモダールでご ざいます。対象は、脳腫瘍の中でも非常に予後の悪い退形成性星細胞腫と膠芽腫等で、 欧州及び米国では既に承認されている薬でございます。対象疾患の悪性神経膠腫として 膠芽腫と退形成性星細胞腫というのがございますけれども、原発性の脳腫瘍の約15%を 占める悪性の腫瘍でございます。5年生存率は膠芽腫の場合で6%、退形成性星細胞腫 の場合で23%と、極めて予後不良という疾患でございます。  日本においても、こういう腫瘍に対してどういう治療をするかというのは非常に難し いものが以前からあったのですが、主に日本ではACNU、海外ではCCNUとかBCNUというニ トロソウレア系の薬を主体にした治療が、放射線との併用等を含めて行われてきたけれ ども、顕著な効果はそれほどなかったというのが実態でございます。  医療上の有用性について見てみますと、テモゾロミドはアルキル化剤の一つで、脳脊 髄液に良好な移行性を特徴とする新規経口の抗腫瘍剤でございます。再発退形成性星細 胞腫に対して高い有効性が1999年の『Journal of Clinical Oncology』、これはASCOの 機関誌でございますけれども、『Journal of Clinical Oncology』に報告されておりま して、1999年に米国FDAで承認されております。  さらに、膠芽腫に対して、術後補助療法において、放射線単独に対して、放射線との 併用というランダム化比較試験が今年の『New England Journal』に出ておりまして、 その中では放射線との併用の方が高い延命効果が得られるということが示されておりま す。したがって、テモゾロミドというのは長年停滞していた悪性神経膠腫の治療開発に とって非常に大きなインパクトを与えていまして、悪性神経膠腫の治療体系を一変させ る可能性が高い薬剤というふうに認識しております。  まとめますと、2005年6月30日現在で、世界73カ国で承認されて使われている薬でご ざいまして、国内でも退形成性星細胞腫に対する第II相試験が終了しており、この結果 と海外での膠芽腫に対する治験の結果等を合わせて、早急に承認申請がなされるととも に、膠芽腫に対しては放射線との併用が標準的治療であると考えられることから、審査 期間中に放射線との併用による安全性確認試験が実施される必要があるのではないかと 私どもは考えました。以上でございます。  黒川座長  どうもありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ。  浜田構成員  生存率でどれくらいの延命効果があるんでしょうか。  藤原参考人  添付文書をごらんいただければ一目瞭然でございまして、2枚目にOSのカーブが出て おります。  川原課長  中央値で、放射線治療のみで12.1カ月が、テモゾロミドを加えて14.6カ月まで延びた と。  藤原参考人  それが膠芽腫の方で、退形成性星細胞腫に関しては比較試験はないんですけれども、 過去の『Journal of Clinical Oncology』のペーパーを読みますと、中央値でOSが13.6 カ月となっております。  堀田構成員  世界では73カ国で既に承認を受けていて、日本で今治験をやっているという状況とい うのは、何が原因ですか。着手が遅いということですか。  川原課長  詳細は把握しておりませんが、恐らく開発着手が遅くなっているんだと思います。こ れについては海外での承認もそうですけど、今年の『New England Journal of Medicine 』でかなりエビデンスレベルの高いデータが出てきたということで、今年に入ってから さらに評価が高まってきた薬剤ということが言えるかと思います。  黒川座長  こういう企業がやりたいというときに、最初社内でいろいろ検討しながら、審査機構 に相談くるのかね。審査の方も忙しいから、なかなかアポくれないとか、そんなことな い。  川原課長  そこはかなり改善させていただきまして、医薬品医療機器総合機構の方で治験相談と いうのもございまして、その治験相談の中にも最初のコンタクトの段階での事前面談と いったものから、いろいろなメニューがございますので、それに応じて相談には対応し ているということでございます。その際に、もちろんデータの問題ですとか、海外デー タの利用の問題ですとか、いろいろなファクターがあるとは思いますけれども。  黒川座長  73カ国だから、もう50カ国ぐらい来ようと思ったんだけどちっともアポとれないと か、そんなことあるのかなと。忙しがっちゃって半年以上待たされるとか。怖いとか、 いろいろあるんじゃない。そんなことないか。最近親切になったとか、最初の相談から お金高いの。どうぞ。  篠山構成員  このトライアルは、最初はマルチナショナルに行われたトライアルなんですか。それ とも1つの国が単独でそれぞれこのトライアルを行ったんでしょうか。私自身も治験に 関係してきた人間なんですが、循環器関係のトライアルは、マルチナショナルに行われ ているものが多いと思います。新しい薬に関しては日本では最初からマルチナショナル というのは入ることができません。ひょっとしたらそういう点が関係しているのではな いかなという気はするんですけどね。  藤原参考人  このトライアルは1999年の『Journal of Clinical Oncology』と今年の『New England Journal of Medicine』を見てみますと、99年の『Journal of Clinical Oncology』で は、主にアメリカのMDアンダーソン、UCSF、デューク等とありますけれども、ロイヤル マースデンが入っております。これは多国籍といっても2カ国程度かなという感じです けれども、『New England Journal of Medicine』の方を見てみますと、これはEORTCと いいまして、ヨーロッパで一番大きいところとNCIカナダ、最近いい試験をたくさんや るので有名なんですが、そことのジョイントのトライアルで、ここはヨーロッパ、カナ ダ含めて多数の国が入っております。日本に関していえば、最近は国際共同治験のみな らず、国際共同試験というのもたくさん抗がん剤の領域では試みようとされております が、そのあたりはいろんな問題があるので、それは治験のあり方検討会等で話されるん じゃないでしょうか。  黒川座長  結構難しい問題で、ヨーロッパだと、ぱっと認められるとEC24カ国で認めた格好にな るから急にふえちゃうのかもしれないし、ECの場合全部でどのくらいの患者さんが入っ たかというと、各国はかなり少ないと思うし、同じコーカシアンだから同じかというと 最近はそうでもないよね。ミックスが多いんだけど。日本だと日本だけでやらなきゃい けないとか言われるとつらいよね。全体でやったスタディに日本が参加したときに、全 体の患者さんのポピュレーションは日本は多分5%だといったときに、審査機構は何て 言うかね。  川原課長  治験のあり方検討会というのが別途ございまして、そちらの方でも国際共同治験の問 題、それから、エスニックディファレンスみたいなものも考えますと、アジアでの治験 といったようなこと、体制の整備、その辺も論点としては挙がってきております。まだ 治験のあり方検討会の方も本格的な議論というところまでいっておりませんけれども。  黒川座長  アジアも中国とかそういうところと一緒にやった方がいいんじゃないの。日本の人は 5%とかになるんだけど。  川原課長  そういう議論もこれから出てくるかとは思いますが。  黒川座長  さっさとやった方がいい。何でも日本人でなくちゃいけないなんていうことはあまり こだわらない方がいいんじゃないの。どうぞ。  林構成員  1つ教えてください。臨床成績全体からすると、脳脊髄液へ当然移行すると思われま すが、移行性のデータが文献等にあまり出てないようですが、脳脊髄液への良好な移行 性を特徴とするという報告書のまとめの根拠となる数値ですが、どのくらいの値か、お 持ちでしたら教えていただけますでしょうか。  藤原参考人  これは公表論文等で書いてあるので、実際何%というふうに私は把握しておりませ ん。すぐは出てまいりませんので……  川原課長  これは恐らく『Investigator’s brochure』みたいなものには書いてあると思いま す。そこがかなり、これまでの脳腫瘍の数字と違って、そこの移行が良好なところが特 色ということでございますので。これは事務局の方で申請企業の方にも確認しまして、 特に秘密になってるとかそういう情報ではないと思いますので、後ほど御報告させてい ただければと思います。  藤原参考人  今論文を見て、99年の『Journal of Clinical Oncology』のイントロダクションのと ころで、ノンヒューマンプライメートのモデルと、1人のメラノーマの患者さんでテモ ゾロミドのCSFの移行を見ると、プラズマの大体35〜39%が存在したというふうに記載さ れておりますので、結構高いというふうに思います。  黒川座長  よろしいでしょうか。それではこれはよろしいですかね。治験のあり方検討会は確か に大事なんだけど、藤原先生がおっしゃったような放射線との併用による安全性確認等 が実施される必要があるという話も、治験の相談と両方でやっていただければと思いま す。よろしいでしょうか。ではそのように扱わせていただきます。  次にストレプトゾシンですね。どうぞ。よろしくお願いします。  藤原参考人  資料3−5でございます。ストレプトゾシン、欧米での販売名はザノサールです。ス トレプトゾシンといいましても、糖尿病を起こす薬として非常に有名ですが、オンコロ ジーの領域でまいりますと膵島細胞がん、膵臓がん全体の2%程度と考えられておりま すが、非常にまれな膵島細胞がんに対してこの薬が従前から効果があると考えられてお ります。  本剤の医療上の有用性については、切除不能の膵島細胞がんで臨床症状を有する症例 や、増殖速度の速い症例には全身化学療法が適応となっておりまして、このような膵島 細胞がんに対してストレプトゾシンとドキソルビシンの併用療法が第一選択の治療法と して国際的には認められております。しかしながら、ストレプトゾシンというのは我が 国では未承認でございまして、個人輸入で主に国内に入ってまいりまして、それを投与 されているという実態がございます。  どんなエビデンスがあるかといいますと、大きな比較試験は1992年にECOGのグループ が出したストレプトゾシンとドキソルビシン、あるいはストレプトゾシンと5FU、ある いはストレプトゾシンの系統の薬でアメリカでも承認されていないクロロゾトシンとい うものの3群の比較試験が行われておりまして、その結果を見てみますと、奏功率とし て69%、45%、30%。生存期間中央値でいいますと2.2年、1.4年、1.5年という成績が 出ております。単剤の効果というのは必ずしもここでは明確ではありませんけれども、 非常にまれな疾患に関してストレプトゾシンというのはファーストラインの治療として 欧米では使われております。  それを裏づけるように、『Cancer Principles & Practice of Oncology』というアメ リカの有名な教科書がありますけど、それとか、NCCNがたくさんのガイドラインを出し ているので有名なんですが、その中で神経系の腫瘍に対するストレプトゾシンの使用が 推奨されております。  したがって、これらの結果から、本剤は膵島細胞がんの治療には不可欠であって、そ の作用機序や安全性を考えると、将来的にも本剤をキードラッグとして併用療法の治療 開発が行われていく可能性が十分あり、本剤の適用対象となる患者さんは非常に少ない という状況も考慮した上で、国内で膵島細胞がんを対象とした本剤の治験が早急に行わ れるべきではないかと考えます。国立がんセンター中央病院でも年間数例しか来られま せん。  黒川座長  いかがでしょうか。これは有名な薬剤だけどね。実験糖尿病をつくるのにしょっちゅ う使ってるから。どうぞ。  有吉構成員  この薬には日本の置かれた問題が2つあると思います。一つは、ストレプトゾシン+ ドキソルビシンが第一選択ということになりますと、今の日本の薬事法の基準からいい ますと、ドキソルビシン自身も許可されないわけですね。範疇に入らないと思います。 ですから、こういう数の少ないケースというのをどうしていくかという問題は、きょう 最初にガルスルファーゼという日本に3例しかない症例の薬をどうするかということと かなり似ていまして、これは行政と医療サイドがきちっと話し合ってやっていくべき問 題であって、これを未承認薬云々という考え方ではなくて、これは欧米では確立されて 昔からある薬でございますので、そういう意味では、こういう問題を解決する体制をつ くる方向に発展していかないと、いつもこういう問題が出てくるんじゃないでしょう か。  黒川座長  何かありますか。どうぞ。  川原課長  一部追加させていただきたいと思います。現在ドキソルビシンについては膵臓がんの 効能は一応有しております。  藤原参考人  膵臓がんの登録として、その中で膵島細胞がんというのはたしかあったと思いますの で、それを広く考えれば膵臓がんでドキソルビシンも通した方がいいのかという話にな りますけど、そこは難しい。膵臓がんに対して保険でちゃんとつければ、ドキソルビシ ンは一応は使えるでしょう。ただし、ストレプトゾシンというのは個人輸入がされるま まで、患者数も非常に少ない中で、それを使いたい患者さんに今まで光が当たっていな いのはおかしいとワーキンググループでは考えたので、非常に有名な薬でもあります し、この俎上に乗せるべきではないかなと考えて本日上程させていただきました。  黒川座長  不正確かもしれないけど、血糖が下がったりするから多分そうだなと。画像で見てみ ると多分そうだなと思ってるんだけど、それまでは診断名は膵臓がんの疑いとかいうの で始めるのかな。診断が正確になれば使えなくはないんだけどね。それは行政的な解釈 なのかもしれないけど。インスリンノーマとつけちゃったらだめだという話になるのも 変な話でね。より診断ができる人は使えなくなるなんて、そんなことはないかもしれな いね。これはそういうことでぜひやってもらいたいとは思うんだけど、これはやれるん ですか。もうやってるの。これ古いよね。  川原課長  これについてはまだ日本での開発が行われておりません。治験も行われておりません ので、これから治験が行われるように、開発を行う可能性がある企業等に働きかけてい くということになります。  黒川座長  わかりました。膵臓がんは予後が悪いわけですよね。2%程度っていうけど、日本で は10万人に対して男が12.8、女性が7.4と書いてあるから、両方足すと大体2万人ちょ っとぐらいいるわけでしょ。400人ぐらいいるということになるのかな。これはプリバ レンスだよね、きっと。インシデンスじゃないよね。プリバレンスなんだけど、年間死 亡率が1万9000と書いてあるから、大体1年で亡くなっちゃってるということかな。  藤原参考人  膵臓がんに関してはそうですね。  黒川座長  そうですね。ありがとうございました。何かよろしいでしょうか。ぜひ交渉して進め るようにしていただければと思います。そうするとまた機構も相談しやすくなるし、早 くやってよという話ですね。よろしいでしょうか。それでは、この5薬剤については以 上です。ありがとうございました。  そのほかに個別に審議を行うべきものがこの中であれば、資料2−1ですけど、あれ ば御意見をいただきたいと思います。リファレンス、サジェッション、その他あれば文 献などをつけて言っていただければと思います。もちろん事務方も専門家の参考人の方 たちも調べていただくと思いますが、ぜひそのようにしていただきたいと思います。よ ろしいでしょうか。ほかに参考人の方から何かないですか。先生方からも意見がありま したら。どうぞ。  藤原参考人  2−1でいろいろなコメントを書いているんですけど、日々臨床試験成績というのは 公開されてまいりますので、それを踏まえてダイナミックに判断していきたいなと考え ておりますし、患者団体等から要望がなくても、ほかにもタルクというのがあるんです が、日本では承認がないので、呼吸器の先生は多分困ってるということもあるでしょう し、ジンカードといって、アドリアマイシンの心毒性を軽減するような薬も要望書には 入ってないですけど、そういう幾つかの薬はまだ眠っているものもあるかなと思ってお りますけれども、大半は2−1のところで、国内未承認で海外既承認というものは割と カバーされているように感じます。  黒川座長  ありがとうございました。そういう意味では、事務局もそうだし、特に参考人の先生 もそうだし、先生方もそうだと思いますし、患者さんの方もかなり気にしていますの で、いろいろサジェッションがあると思いますので、それなりに対応していって、調べ た上で先生方に御相談したいということでやっておりますので、よろしくお願いしま す。  そのほかに構成員の先生方から。大分御意見いただきましたけど。きょうはがんのこ とが多かったので、その専門のことが多かったんですけど。どうぞ。  堀田構成員  進め方について確認ですが、2−1の資料で5つ取り上げていただいたんですが、今 後は過去に海外で承認されたものに対する取り上げ方というのはなしで、新たに海外で 承認を得たものをやっていくということなのか、あるいは過去に海外で承認された国内 未承認薬に対する検討も並行してこういうものをやっていくということなのか、どっち なんでしょうか。  川原課長  これは並行してやっていくという形でございます。今年の4〜6月までの間に承認さ れたものについて見ていただきまして、この中でワーキンググループでもう少し細かく 検討していただく必要があるだろうと、これは小児科の薬剤でございましたけれども、 そういうものについてはまたワーキンググループでもう少しもませていただきまして、 次回10月の会議に報告させていただきます。  それから、この資料2−1のまとめでございますけれども、1〜8までが優先順位が 高いということで、本日1〜5番までを検討させていただいたんですけれども、次回も 6〜8といったところとか、そのほかに過去2年間の欧米承認薬で重要なものがあれば ということでの検討も行うことになっております。今まで十分手がつけられなかった部 分がございますけれども、類型II、IIIの部分も幾つか準備ができたものはここに挙げ させていただくという形で進めさせていただきたいと思っております。  黒川座長  ありがとうございました。そのほかに。もしよろしければ、堀田先生のお話もそうで すけど、一つの形に決めているわけではなくて、いろんな状況が起こり得るので、それ を先生方のお知恵を拝借したいということでございます。局長から。  阿曽沼医薬食品局長  補足いたしますと、基本的には今年の4月以降に承認されたもので国内未承認のもの をフォローするというのが原則ですから、堀田先生がおっしゃったように、きょうは最 初に4品目やりましたけれども、今度は7〜9月のやつを10月にやるということで、そ れで時計回りに回っていくというのが原則です。  2つ目は、過去に承認されているやつで国内未承認のもの、今回は学会、患者団体か ら御要望のあったものを4月の時点で追加的にお話があったものをすべて挙げさせてい ただいて整理しましたので、ある意味ではたまっている部分の整理を今していると。こ れから新たに追加的に要望があるやつもあろうかと思いますけれども、それはそれで適 宜対応したいと思っておりますが、基本的にはできるだけリアルタイムでキャッチアッ プするというのがこの検討会の趣旨なので、その線に沿ってやっていきたいと思ってい ます。  もう一つ、きょう御指摘ございました、そもそも国内未承認とか海外で承認されてい るけど国内未承認だということがずっと続くのはおかしいじゃないかという議論は当然 あり得るわけなので、それについては共同治験を推進するとか何とか、構造対策は別途 考えていかなきゃいけないと思っておりますので、それについてはこの検討会のミッシ ョンではございませんけれども、我々としても十分重く受けとめて対応していきたいと 考えております。  黒川座長  そのほかにはいいですか。よろしければ、先生方の討議はこれで閉めさせていただい て、事務局から。  川原課長  本日の会議の結論については、いろいろコメントをいただきました点も踏まえて、基 本的にはワーキンググループからの報告を御了承いただいたものと理解しております。 したがって、本日の結論、議論については、事務局から該当企業に伝達しまして、治験 開始等の要請を行うとともに、その後の状況等については次回10月の本検討会議で報告 させていただきたいと思います。  次回の会議は、既に御案内のとおり10月31日・月曜日・午後2時からを予定しており ます。次回は7〜9月の3カ月間に欧米4カ国で承認されたもので国内未承認のもの、 幾つになるかわかりませんけれども、今回と同様の方法でリストを提示させていただき まして、その中でさらに検討すべきものがないかということを御検討いただく予定でご ざいます。  本日の会議で、ワーキンググループでさらなる検討を行うべきとされた品目、これは ムコ多糖症の薬剤でございましたけれども、これについてもその結果を報告させていた だきます。そのほか付随的に、抗がん剤でプライオリティが高いもので残っているもの 等について、準備が整いますれば検討していただくということは考えられます。  一部議論が出ましたけれども、前回堀田先生に座長代理をしていただきました検討会 において、治験のあり方検討会での議論の状況についても、ある程度議論が煮詰まって きたら、その概要をこの検討会にも報告させていただきたいという旨のアナウンスをし ました。実は本日の午前中に第5回治験のあり方検討会が開催されまして、論点整理等 の御議論をいただきましたけれども、ちょっとまだ議論が煮詰まるまでには時間がかか るという状況でございます。先ほど来御議論いただいております国際共同治験の問題で すとか、アジアの問題ですとか、そういう論点も出ておりますけれども、ここに御報告 するにはまだ少し議論が煮詰まっていないと判断しますので、その報告も次回10月の会 議でさせていただければと考えております。この点は御了承いただければと思います。  なお、治験のあり方検討会についても、配付資料、速記録についても厚生労働省のウ ェブサイトに掲載するようにしておりますので、適宜ごらんいただければと思います。 もちろん、この検討会についても同様にウェブサイトに掲載するようにしております。 事務局からの連絡等は以上でございます。  黒川座長  今のことについて何かありますか。治験のあり方検討会の方も遅々としていうか、委 員会は進んでるんだけどなかなかインプリメントできないところが悩ましくて、ICHか らずっと長々とやってるんだけど、やってるうちに病院も大学も独法化されちゃったと か、世の中どんどん変わっちゃってるなという気がします。次回の10月の会議で治験の 方の報告をしていただくということですし、ウェブサイトにはどんどんアップデートさ れるようですので、そういうことで見ていただければと思います。  そのほかには何かありますか。なければよろしいですか。  川原課長  1つ傍聴の方への事務的な連絡です。先ほどの要望書のうち、京都大学の福島先生ほ かからの要望書については、急にコピーしましたので傍聴者の方の分は間に合いません でしたので、必要な方はお帰りの際に事務局まで申し出ていただければと思います。  黒川座長  はい、よろしくお願いします。それでは以上で終わります。ありがとうございまし た。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03−5253−1111