05/07/13 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時 :平成17年7月13日 (水)    午後1時28分 〜午後2時44分 ○場所 :経済産業省別館1028号会議室 ○出席者:   委員   井上(達)委員(部会長)、青木委員、井上(松)委員、加藤委員、        志賀委員、豊田委員、米谷委員、吉池委員   事務局  外口食品安全部長、中垣基準審査課長、加藤課長補佐、宮川課長補佐、        広瀬課長補佐、近藤専門官、駄場主査、坪井主査   関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小峯専門官        農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室 佐々木係長 ○議題:   (1) 食品中の残留農薬等に係る基準の設定について        ・カズサホス(農薬)        ・ピリダリル(農薬)        ・鶏コクシジウム症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ・ミチス)         混合生ワクチン(動物用医薬品)   (2) その他 ○事務局  済みません。定刻より少し早いんですけれども、委員の先生方がお集まりようでした ので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」 を開催させていただきます。  本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  役所の方は、6月、7月はクールビズということで、ノー上着とノーネクタイで対応 させていただいておりますので、委員の先生方、傍聴の方も暑いようでしたら、涼しい 服装で御対応いただければと思います。よろしくお願いいたします。  開会に当たりまして、まず外口食品安全部長からごあいさつ申し上げます。 ○食品安全部長  「農薬・動物用医薬品部会」の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  委員の先生方におかれましては、日ごろから食品衛生行政の推進につき、種々御協力 を賜り、誠にありがとうございます。  本日は、食品中に残留する農薬でありますカズサホス、ピリダリルの残留基準、食品 中の動物用医薬品である鶏コクシジウム症混合生ワクチンについて御審議をいただくこ とにしております。  カズサホスとピリダリルの2剤は、いずれも国内で既に登録されているものですが、 今回新たに適用作物の拡大の申請があり「食品安全委員会」で審議が行われたもので す。  動物用医薬品の1剤は、急性の下痢等を主徴とする鶏コクシジウム症に対する5種類 の原虫弱毒株の混合生ワクチンで、今回新規に申請があり「食品安全委員会」において 審議が行われたものであります。  また、今回食品中に残留する農薬等に対するポジティブリスト制についての審議はご ざいませんけれども、当部会で御審議いただきました結果に基づきまして、6月3日に 最終案を公表し、国民からの意見募集やWTO通報を開始いたしました。これらの御意 見を踏まえ、改めて当部会で今後御検討をお願いすることとしております。  簡単ではございますが、開会に当たりごあいさつ申し上げます。よろしくお願いいた します。 ○事務局  それでは、本日は大野委員、小沢委員、下田委員、中澤委員、山添委員より欠席の御 連絡をいただいております。「農薬・動物用医薬品部会」の委員13名中8名の御出席を いただいておりますので、部会員総数の過半数に達しており、本日の部会が成立してお りますことを御報告いたします。  なお、7月に人事異動がありました関係で、課長補佐の宇津の後任が加藤です。 ○事務局  よろしくお願いいたします。 ○事務局  また、新たに私、広瀬が着任いたしましたので、この場をかりて御報告いたします。 よろしくお願いいたします。  それでは、配布資料の確認をさせていただきたいと思います。  お手元の議事次第という数枚つづったもので、資料と委員名簿の付いたものがあるか と思います。  資料1−1ということで「食品健康影響評価の結果の通知について」。  資料1−2が「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料2−1が「ピリダリルに係る食品健康影響評価に関する審議結果について(案) 」。  これは、資料ごとにつづっておりますので、資料1−1の後ろに資料1−2が、資料 2−1の後ろに資料2−2がということになっております。  資料2−2が「ピリダリル(案)」。  資料3−1が「動物用医薬品の承認に係る意見について」。  資料3−2が「鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ・ミチス) 混合生ワクチン(パラコックス−5)の食品健康影響評価について(案)」。  資料3−3が「鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ・ミチス) 混合生ワクチン(案)」ということでございます。  参考資料といたしまして「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂取 量(平成10〜12年の国民栄養調査の結果より)」。  参考資料2といたしまして「食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度に おける暫定基準の設定(最終案)等に対する御意見の募集について」。  参考資料3ということで「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果に ついて」というものでございます。  特に不足等があれば、教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。特によ ろしいでしょうか。  それでは、井上部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○井上(達)部会長  それでは、配布資料に不足などありましたら、事務局の方にお申し越しくださるよう にお願いします。  事務局から御説明がありましたように、もう皆様御承知のとおり、軽装で御参加くだ さいますように私からもお願い申し上げます。  本日は、先ほど部長からの御案内がありましたように、食品中の残留農薬に係る基準 の設定についてということで、農薬2品目、動物用医薬品1品目について御審議いただ くということでございます。  最初に、まず農薬のカズサホスについて、資料1を御参照いただきます。それでは、 事務局から資料の御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、ただいまから資料1につきまして御説明をさせていただきます。  まず1ページ目から、資料1−1ですが「食品安全委員会」の方でとりまとめられま して、平成17年6月30日付で通知された評価書となっております。同じ冊子の33ページ からは、資料1−2となってございまして、これらは本部会の報告書の案ということに なっております。  それでは、資料の説明に入らせていただきます。  まず6ページ目になるんですが、これまでの審議経過が記されております。カズサホ スは、2000年10月21日に初回の農薬の登録申請がなされまして、2004年5月13日に新た にキャベツ、レタス、ホウレンソウ及びいちごについて適用拡大の申請がなされました 農薬でございます。  カズサホスにつきましては、1996年9月2日に食品衛生法に基づく残留基準が既に設 定されております。昨年4月26日付で農林水産省より基準値の作成依頼がございました ことから、それを受けまして「食品安全委員会」に対し残留基準の設定に係る食品健康 影響評価について要請をいたしました。「食品安全委員会」で御審議をいただきまし て、先月30日に「食品安全委員会」にて報告書がとりまとめられ、厚生労働大臣に対し て通知がなされております。  続きまして「食品安全委員会」による報告書につきまして、8ページ以降簡単に御説 明申し上げます。  カズサホスは、有機リン系の殺虫剤でございまして、特に殺線虫剤、線虫に対する活 性を持つ殺線虫剤として利用されている農薬でございます。アセチルコリンエステラー ゼの活性を阻害する作用により、殺虫活性を持つと考えられております。  カズサホスについて評価いたしますため、各種試験が行われておりますが、27ページ の「総合評価」に基づきまして、要点につき簡単に御説明させていただきます。  まず、動物体内運命試験ですが、主な排泄経路は尿中でございまして、主要代謝物と して代謝物R、Cが認められました。また、主要代謝経路がリン酸エステルの加水分解 等によるということが示されております。  トウモロコシ、バナナ及びはつかだいこんを用いました植物体内運命試験では、カズ サホスは可食部ではほとんど認められなかったということが示されております。また、 代謝物といたしまして、動物体内では生成しない代謝物G、H、K等が認められたとし ております。  土壌中運命試験あるいは光分解試験では、カズサホスが比較的速やかに土壌中、水中 で分解されるということが示されまして、最も長い嫌気的条件下での土壌中運命試験で も、カズサホスの半減期が55日であるということが示されております。  一方、水中加水分解試験では、pH5及び7では安定であったとされております。  また、カズサホスの本体に用いました容器内及び圃場での土壌残留試験では、半減期 が28日〜46日であったということが示されております。  これらの試験の結果から、農産物中の暴露評価対象物質をカズサホス親化合物のみと 設定しております。  続いて、各種毒性試験の結果に移らせていただきます。  カズサホスの急性経口LD50は、ラットの雄で48〜131mg/kg体重、雌で30〜42 mg/kg 体重、マウスの雄では68〜74 mg/kg体重、雌では67〜82 mg/kg体重となっております。  経皮のLD50は、ラットの雄で12〜24 mg/kg体重、雌で11〜42 mg/kg体重でありまし て、吸入のLC50は、ラットの雄で0.04 mg/L、雌で0.026 mg/ Lでございました。  一方、動物体内では生成しない代謝物として、Gが選ばれておりますが、代謝物Gに おきましても、ラットを用いた急性経口毒性試験が行われておりまして、代謝物Gの急 性経口LD50は、ラットの雄で2,584 mg/kg 体重、雌で2,537 mg/kg 体重であるという ことが示されております。  カズサホスがアセチルコリンエステラーゼ活性の阻害剤でありますということから、 急性の神経毒性試験が行われておりまして、本試験により得られました無毒性量はラッ トで0.02 mg/kg体重でした。このとき、急性神経毒性あるいは急性遅発性神経毒性は認 められなかったとされております。  また、同時に観察されております血漿中のコリンエステラーゼ活性の低下につきまし ては、毒性学的に意義が小さいと考えられておりますことから、無毒性量設定の対象所 見としなかったという旨が、断り書きされております。  続きまして、慢性毒性及び発がん性試験に移らさせていただきます。慢性毒性及び発 がん性試験では、発がん性は認められなかったとされております。慢性及び発がん性試 験により得られた無毒性量は、イヌで0.02 mg/kg体重/ 日、マウスで0.072 mg/kg 体重 / 日、ラットで0.045 mg/kg 体重/ 日でございました。ただし、イヌの試験では、投与 量0.02 mg/kg体重/ 日は最高量であるということでございます。  2世代繁殖試験では、繁殖能に対する影響は認められませんでした。  また、発生毒性試験では、催奇形性は認められなかったとされております。  次に遺伝毒性試験では、すべての試験において陰性でございました。  一方、マウスの胎児細胞BALB/3T3を用いました形質転換試験というものが実施されて おりまして、S9mix の存在下におきまして陽性反応が認められておりますが、これらは 用量反応関係がなく、また再現性も認められないことなどから、ヒトの健康被害におい て問題となる所見ではないと結論づけられております。  また、遺伝毒性試験につきましては、代謝物Gにつきましても、復帰突然変異試験は 実施されておりますが、結果は陰性でございましたことから、代謝物Gは遺伝毒性を発 現しないと考えられます。  29ページの表を見ていただきたいんですが、こちらに「各試験における無毒性量」の 一覧がございます。  これらの表の中で、最も小さい無毒性量は下の方にありますイヌにおける91日間亜急 性毒性試験(2)の、0.01 mg/kg体重/ 日になるわけなんですが、同じイヌにおける1年 間慢性毒性試験におきまして、最高用量である0.02 mg/kg体重/ 日でも毒性試験が認め られなかったということを考慮いたしまして、これらを除きましたラットにおける2世 代繁殖試験の中間用量でございます無毒性量0.025 mg/kg 体重/ 日を「食品安全委員会 」としてのADIの設定根拠としております。  これらの結果から、最終的に無毒性量0.025 mg/kg 体重/ 日を安全係数100 で割りま した0.00025 mg/kg 体重/ 日が許容1日摂取量、ADIとして設定されております。  以上が「食品安全委員会」がまとめました食品健康影響評価の簡単な御説明でござい ます。  それに基づきまして、私どもの方で作物残留試験等から残留基準値の案をまとめさせ ていただいたものが、資料1−2、33ページ以降のものになります。  33ページをごらんいただきたいんですが、カズサホスは、今回登録の適用拡大が申請 されております殺線虫剤でございます。  まず項目5といたしまして、カズサホスの適用範囲と使用方法が列挙されてございま す。カズサホスは、すべて3%マイクロカプセル剤として使用がなされるということで ございます。だいこん、なす、キャベツ、いちご等々に使用が認められております。あ るいは申請中でございますが、いずれも播種前、定植前あるいは定植時といった、生育 の初期の段階で1回土壌混和にて施用を重ねるということになっております。  それらにつきまして、作物残留試験が行われておりまして、提出されました試験成績 をまとめた表が36ページ〜37ページにかけて記載されてございます。  基本的には、示されております使用条件下で使いました際、最もたくさん残留すると 考えられる試験のデータ、すなわち最大使用条件下の作物残留試験、これについては、 回数と経過日数のところに下線を入れている条件がそれに当たる部分でございますけれ ども、いわゆる最大使用条件下で得られました試験の結果を最大残留量といたしまし て、一番右の欄に記載してございます。  なお、今回のケースでは、使用方法といたしまして播種前、定植時、植付時などとな ってございますことから、実際の農薬の使用から収穫までの日数に非常に開きがござい まして、最大使用条件下のPHIが明確にならないということがございました。  しかし、農林水産省から御提供いただきました農業技術体系の資料によりまして、お おむね作物残留試験成績の記載のPHIと標準的な生育スケールとが合致しているとい うことを確認しております。  具体的には、例えばレタスなんですけれども、ちょっと戻りまして34ページを見てい ただきたいんですが、適用は定植前というふうになっております。提供していただいた 資料によりますと、植付が4月下旬、収穫の始めは6月上旬となってございまして、こ の間の日数を大体概算いたしますと、約四十六日ぐらいということになりますが、いろ いろ飛んで恐縮なんですけれども、37ページの方に戻っていただきますと、4例あるレ タスの作物残留試験におきまして、PHIは43日〜64日です。一番最初に分析した地点 として、43日〜64日と設定されておりますので、先ほどの理論上の値とおおむね一致し ているということを御理解いただければと思います。  36ページ〜37ページの表につきまして、もう少々幾つか説明させていただこうと思い ますが、例えば、きゅうりでは、農薬使用から35日経過した時点で0.006ppmの残留が認 められております。  あるいは、すいかでは95日経過した時点で0.002 あるいは0.001 未満の農薬の残留が 認められております。  基準値案は、ここに記載の最大残留量を参考にいたしまして設定させていただいてお ります。  続きまして、37ページの下段の7にまいります。  カズサホスのADIは、先ほど御説明申し上げましたとおり「食品安全委員会」での 評価のとおりでございます。  ページをめくっていただきまして、38ページになりますが、項目8の「諸外国におけ る使用状況」といたしましては、コーデックス、アメリカ、カナダ、EU、オーストラ リア及びニュージーランドにおいて調査いたしました結果、国際基準がばれいしょ、バ ナナに設定されていますほか、米国あるいはオーストラリアにおいて残留基準が設定さ れております。  最後に、「基準値案」の説明に移らさせていただきます。  まず、「残留の規制対象」となりますのは、カズサホス本体としております。  規制対象化合物につきましては、先ほど少し御説明申し上げましたように、代謝物の 毒性が親化合物に比べて小さいと考えられるということ。また、現行の残留基準や国際 基準、あるいは海外基準における分析対象が同様にカズサホス親化合物となっているこ と等を考慮いたしまして、親化合物のみと設定しております。  実際に「基準値案」の方は、40ページに記載しております。この表に記載してござい ますカズサホス本体の作物残留試験成績を用いまして、また国際基準等を参考にいたし まして基準値案を設定してございます。  なお、カズサホスには、既に食品衛生法による残留農薬基準がございますが、既に設 定されている項目につきまして、特に基準値の変更は今回ございません。  また38ページに戻っていただきまして「暴露評価」の説明をさせていただこうと思い ます。カズサホスにつきましては、39ページに「(試算の具体例)国民平均摂取量を用 いた試算」というものがございますけれども、こちらに示しましたように作物残留試験 成績がある食品分類については、EDIの試算、ない食品分類についてはTMDIの試 算を用いまして、ADIと総合的に比較しております。  EDI試算に用いました作物残留試験成績の代表値は、一般的には表の、例えば、さ といも、かんしょのところを見ていただきますとわかりますように、作物残留試験成績 の平均値を採用しているところでございますが、40ページの表においては、$というと ちょっとわかりにくいところもあるかと思うんですが、$が付いている試験成績につき ましては、基準値案設定の際に、ばらつきを考慮いたしまして、当該試験成績、すなわ ち$が付いた試験成績の値を代表値といたしまして、暴露評価を行っております。  いろいろ飛んで恐縮ですが、また38ページになるんですけれども、その結果、カズサ ホスの1日当たりに摂取する量、推定1日摂取量EDIのADIに対する比率は、国民 平均が24.5%、幼少児が50.4%、妊婦が20.9%、そして高齢者が25.7%という結果にな っております。  このように、ADIの範囲内おさまっていますことから、基準値案として設定いたし ましても安全性として問題はないと考えられます。  なお、急性暴露につきましては、米国において急性参照用量、一般的にはAcute Reference Doseと呼ばれておりますが、こちらを用いました試算が行われておりまし て、その試算結果によれば、健康確保上の懸念はないと評価されております。  最後に補足的な情報ではございますけれども、本剤は平成17年5月に公表いたしまし たいわゆる暫定基準の最終案に含まれておりますが、今般、農薬取締法に基づく登録拡 大申請により残留基準を設定するため、暫定基準の案からは削除するということとして おります。  以上、カズサホスに関する資料1の御説明を終わります。 ○井上(達)部会長  続いて、どうぞ。 ○事務局  追加で資料の訂正をさせてください。  41ページに「答申案」というものが載っておりますが、現行基準で既に設定をされて いるものまで書かれています。具体的に申し上げますと、ばれいしょ、さとうきび、も う少し下の方にいきますとトマト、しようが、バナナの5つにつきましては、現在既に 基準が設定をされておりますし、今回変更はございませんので、答申の案からは落とさ せていただくということにさせていただきます。訂正をということで、申し上げておき ます。よろしくお願いします。 ○井上(達)部会長  御説明どうもありがとうございます。  それでは、カズサホスの評価書、基準値案、暴露評価、ただいまの5点の物質を除い た答申案について、御審議をいただきますが、まず評価書のところだけ御意見があれ ば、どうぞ。よろしゅうございますか。  進行役を承っている立場でちょっと恐縮ですし、また評価書は「食品安全委員会」の 資料に属するものですので、あくまでも参考意見ということになりますが、私からちょ っとカズサホスの評価書に限らないんですけれども、最近評価の記述が一言で言うと乱 雑になっているということを感じております。  それは、例えば、みんな安全だ安全だと書いてあるんですけれども、私ども毒性の立 場からすると、ある程度の量が暴露されれば、毒性はあるんです。それがこれ以下であ るならば、毒性が検出されない。したがって、これ以下なら安全だという論理なので、 一応御審議は当然なさっているはずですから、その辺の記載をそれなりに書いていただ きたいと思います。  その中には、例えば20ページの5.0ppm以上の投与群の中で、偶発的だということは私 ども専門の立場からすぐわかりますけれども、死亡が1例出ている、コリンエステラー ゼの活性の低下が確認されているとか、そういうことがあるんですけれども、本文の中 では、それが毒性に該当する量がそれよりも低いということだけしか書いていないか ら、読み下すとわからないんです。  あとは、21ページをとってみますと、10の「慢性毒性試験及び発がん性試験」の(1 )の3行目のところをごらんいただきますと、0.005 mg/kg 体重以上で……活性の低下 が見られたが、この次に無毒性量設定の対象の所見としかなったとあるんですけれど も、これはこうこうこういう理由でという1行が事実上抜けているわけです。  そういうようなことをやはり丁寧に書いていただいた方がよろしいんだろうと思いま す。ポリシーが毒性のところを書くと、とかく世の中がうるさいというようなことで抜 いていらっしゃるのではないだろうと思いますので、単なるお忙しくてのことだろうと 思いますので、ちょっとお手間ですが、丁寧に書いてくださるように、もし可能でした ら伝達していただければと思います。  これは私の専門の立場からのコメントですけれども、ほかにはございませんでしょう か。ないようでしたら、評価書の次の基準値の設定以降について、暴露評価等を含め た、この部会に課せられた部分の御審議をお願いいたします。いかがですか。加藤先生 ございますか。 ○加藤委員  特にはありませんけれども、せっかくですので作物残留分析の際に、代謝物がどうな ってきたか、そこのところだけちょっと追加するようなことで説明させていただきま す。  代謝試験のところで出ておりますように、この剤というのは、土壌を経由して吸収さ れるというものでして、非常に簡単に分解されています。リン酸チオエステルのところ が切れてしまって、コリンエステラーゼ活性を持たないであろうと想像されるようなも のになってしまうということです。  トウモロコシ、バナナ、大根の代謝試験ではリン酸チオエステルの加水分解で活発に 代謝されてしまいまして、少なくとも作物代謝試験でやられた3作物に関しましては、 総放射能の10%以上を占めるような代謝物で、リン酸部分を持ったような代謝物はなし ということです。  検出された代謝物の主なものは、リン酸部分を持たない反対側のブチルチオールの誘 導体、メチルがSメチルになって、更にそれがスルホンに酸化されたもの、そういった ものが主体だったんですが、それは今、申し上げたようにリン酸部分を持ちませんの で、恐らくはアセチルコリン活性、阻害には影響しないであろうと。毒性上恐らく問題 ないだろうということで、作物残留分析の中では代謝物については、全く分析されてい ないということです。ただ、そういう理由があったということです。 ○井上(達)部会長  御説明、誠にありがとうございます。  ほかにはございませんか。米谷先生よろしくお願いいたします。 ○米谷委員  暴露評価について質問があるんですが、当然最初にTMDIをされて、その後EDI に持っていくときに、38ページの下の方に注がございますけれども、今回残留基準を決 めたもの以外についてはEDI試算を持ってこないということで、よろしいのでしょう か。  あるいは、先ほど5つの作物を除かれましたけれども、それにつきましてはどちらで やっておられるんですか。 ○井上(達)部会長  御説明お願いいたします。 ○事務局  40ページの表を見ていただきたいと思うんですけれども「作物残留試験成績」という 欄に、数字が幾つか入っておりまして、例えば一番上のさといもというところを見てい ただきますと、0.008 、0.007 と両方のところに下線が引かれておりますけれども、こ ういったところについては平均値を用いておりまして、例えば大根の葉っぱのところを 見ていただきますと$が付いていて、左側が0.010 というところに下線が引かれている んですが、こういった$が付いているところについては、ばらつきを考慮して最大値を 用いているということになります。 ○事務局  同じページを見ていただいて、今回はばれいしょを削っておるんですが、ばれいしょ のところはTMDIの計算で基準値に摂取量をかけてやっているということになりま す。ですから、いわゆる日本式EDI計算という形で混じっているんです。 ○井上(達)部会長  いろいろ混じっているんですね。 ○事務局  現行基準の部分は、基準値に摂取量をかけているということになります。 ○井上(達)部会長  よろしいですか。ほかにも何かわかりにくいところも、ベンチャーより資料は公開さ れますので、ここの先生方がわかりにくければ、一般の方がごらんになればますますわ かりにくいので、遠慮なくどうぞ御質問ください。  豊田先生、何かありませんか。 ○豊田委員  ありません。 ○井上(達)部会長  それでは、先生方の御了承を得られているようですので、御意見がないようでした ら、この報告案をもちまして、当部会の報告ということにさせていただきたいと思いま すが、よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、この件に終了しまして、次の農薬ピリダリルの審議に入ります。事務局か ら資料の説明をお願いいたします。  なお、関係の委員の先生方には事前にごらんいただいているところでございます。お 願いします。 ○事務局  それでは、ピリダリルについて御説明させていただきます。資料の方は、2−1、 2−2になります。  ピリダリルという剤につきましては、平成14年9月26日に農薬登録の申請がなされま して「食品安全委員会」による食品健康影響評価をいただきまして、平成16年2月に本 部会において御審議いただいたものでございます。  この辺りの経緯につきましては、資料2−2、ページといたしましては33ページにな りますけれども、33ページの2「これまでの経緯」として、まとめてございます。  昨年7月6日告示がなされておりまして、大根類の根、大根類の葉、はくさい、キャ ベツ、レタス、ねぎ、トマト、ピーマン、なす及びいちごにつきまして、残留基準が設 定されております。  今回、大豆、ブロッコリー、ミニトマト、ししとう及びとうがらしにつきまして、適 用拡大の申請がなされております。  資料2−1になりますが「食品安全委員会」の食品健康影響評価につきましては、現 在国民からの意見聴取を行っているところでございますが、おおむね前回の評価から変 わっておりません。  ごく簡単に御説明いたします。  資料の8ページのところに「要約」が載っております。許容1日摂取量ADIといた しまして、0.028 mg/kg 体重/ 日と設定されておりまして、この値につきましては、前 回の評価から変わってはおりません。  また、この物質につきましては、下から2つ目のパラグラフになりますが、発がん 性、遺伝毒性、繁殖毒性及び催奇形性につきまして、本剤の影響は認められなかったと いう結論でございます。これにつきましても、前回の評価と同じでございます。  以上が「食品安全委員会」がまとめた食品健康影響評価の概要でございまして、これ に基づきまして、私どもで作物残留試験等からMRLの案をまとめさせていただいたも のが、資料2−2でございます。ページで申し上げますと33ページ以降になります。  34ページに、この農薬の適用方法と適用の申請に書かれてある範囲を記載してござい ます。  今回の製品につきましては、フロアブルという剤型のものを適用いたします。これも 前回の申請から変わっておりません。  今回適用拡大の申請があった作物は、表の中で下線を付けてございますが、使用方法 が大きく変わっているというものはございません。  作物残留試験を行っておりまして、本剤が適用される条件におきまして、一番多く残 っている最大残留が得られたものをまとめた表が37ページにお示ししてございます。基 本的には、最大残留量につきましては、申請のございます最も大量かつ収穫までの期間 が最も短い場合、いわゆる最大使用条件下での作物残留試験の結果を書いてございます が、一部申請の範囲内であっても、最大使用条件下以外の条件下でより高い数値が出て いるものがございます。そういった数値を記載したものにつきましては、※印をつけて ございます。  今回適用拡大の申請のあった作物につきまして具体的に申しますと、ししとう、大豆 につきましては、最大使用条件下とは異なった条件の下で行ったもので、高い数値が出 ておりますので、そちらの数字を記載しております。  ししとうでは、圃場Aにつきましては、使用回数が2回、収穫前日という条件が最大 使用条件となりますが、使用が2回で収穫前7日というものの残留量のデータの方が高 かったので、そちらのデータにございます1.23という数字を記載しております。  次に38ページの方にまいります。  ADIについてですけれども、ADIにつきましては、先ほどの「食品安全委員会」 の方での評価のとおりでございます。  海外での使用、残留基準の設定ですけれども、コーデックス、アメリカ、カナダ、E U、オーストラリア、ニュージーランドにつきましては、残留基準は設定されておりま せん。  「基準値案」につきましては、40ページ、41ページに記載しております。  表の中で、今回変更を予定しているものに下線をしておりますが、作物残留試験の成 績を考慮いたしまして、大豆につきましては0.2 、ブロッコリーにつきましては2、ト マトにつきましては、ミニトマトの作残試験の成績を考慮して5に改め、その他のなす 科野菜につきまして、5という基準案をつくりまして、それらの値につきまして基準値 案で出しまして、TMDIを計算しているのが39ページの上のところに示してございま す。  ADIとの比率としてお示ししてございますが、国民平均では16.4%、幼少児では 27.6%、妊婦では13.3%、高齢者で15.7%となっておりまして、ADIの範囲におさま っているということになります。  なお、40ページ、41ページにお示ししております表の中に多くございます0.02という 値につきましては、ポジティブリストの最終案の中で、定量下限を考慮して一律基準に 変わる値としてお出ししたもので、現在広く意見を求めているところでございます。  以上が、ピリダリルに関する資料2の説明でございます。 ○井上(達)部会長  追加ありますか。 ○事務局  済みません。これも事務局から訂正をさせていただきます。  最後の42ページの「答申案」のところをごらんいただいて、訂正を申し上げたいと思 います。現在、基準が設定されておりまして、今回現行基準の変更がございませんもの を削除させていただきたいと思います。全部で9つほどございますが、上から2番目の 大根類の根、大根類の葉、その下のはくさい、キャベツ、1つ飛びましてレタス、ね ぎ、ピーマン、なす、いちご、以上9つの食品の基準値については、答申案の中から削 除のお願いをしたいと思います。  したがいまして、答申案の方で残りますのは、今回基準の設定を御審議いただいてお ります大豆0.2 、ブロッコリー2、トマト5、その他のなす科野菜5、以上でございま す。訂正を申し上げます。 ○井上(達)部会長  御説明ありがとうございます。  ミニトマトとトマトは違うんですか。 ○事務局  済みません。私どもの作物分類では、トマトの中で全部まとめておいているんです が、農薬取締法上では、ミニトマトは適用として別に扱っていらっしゃるということの ようです。 ○井上(達)部会長  そういうことだそうです。  これは、今、御説明がありましたように、適用拡大ですので、毒性部分、評価部分に ついては、特にないかもしれませんけれども、一応御意見がありましたらお願いいたし ます。よろしゅうございますか。  それでは、基準値案、暴露、答申内容についての御説明も含めて、何かありましたら お願いいたします。米谷先生、どうぞ。 ○米谷委員  最後に御説明がございました0.02というところなんですが、今回は暫定基準ではなく て本基準でございまして、本基準で空欄になっているところは、これからは一律基準を 適用するということだと思います。  一律基準は一般に0.01が入るだろうということでございますけれども、分析法でそこ までカバーでき得ないものについては、分析法の定量限界をもってくるということで、 この剤の場合には0.02というのが今のところ入っておりますけれども、最後はどういう 御説明をされたんですか。ちょっと私にはわかりませんでした。 ○事務局  後ほど、参考資料2、参考資料のページでは5ページでございますけれども、こちら の部会で5月たしか二十何日だったかと思いますけれども、御審議をいただきました暫 定基準の最終案の意見募集についてでございます。 ○井上(達)部会長  参考資料1の後ろの方に付いておりますので、ごらんください。 ○事務局  参考資料1と右方に書いてございますホチキス止めの資料の5ページ目を開けていた だきますと「食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度における暫定基準の 設定(最終案)等に対する御意見の募集について」というところです。  最終案の意見募集をする前に、こちらの部会で5月の終わりに御審議をいただきまし た。その際には、5ページの下の方にございますけれども、意見を募集する範囲の(1 )と(2)がございますけれども(1)の中で(2)の一律基準の設定に相当する都道 府県などの分析に用いられる試験法の定量限界が0.01よりも高い、一律基準よりも高い ものについては、定量限界をもって数字を定めるということの説明を申し上げて、今の 最終案では、したがいまして一律基準の代わりに現在の分析法の定量限界の数字を定め るという案をお示しをして、意見の募集を行っているという状況です。  まさに、資料2−2の40ページ、41ページのところにずらずらずらと「暫定基準(最 終案)」と書いてある0.02というものは、そのことが書かれているということになりま す。今回は0.02につきましては、まだ意見を募集している段階のものであります。つま り、一律基準を0.01にするということについても意見を募集しているわけですので、現 段階でこの数字を幾らにするとか、一律基準を幾らにするとかという議論も併せて、意 見の募集をしている段階ですので、この部分については意見の募集が終わってから、改 めてピリダリルについても御議論をいただく。  今回は、そうではなくて適用のある作物の部分について、基準値の設定、暴露評価と いうもののお願いをするということです。 ○井上(達)部会長  基準の値はともかくということですか。 ○基準審査課長  説明の仕方を変えますと、一律基準とか暫定基準とかというポジティブリストという 列車が走っている。もう一つは、今回やっている本基準という列車が走っている。この ポジティブリストの列車と本基準の列車は違う列車で、総合干渉はいたしませんという ことを言っているわけでございまして、本日御議論いただいていますのは本基準でござ いますから、ポジティブリストに関わりますところの一律基準、一律基準に代わる数値 については、全く議論する場でもないし、これはこれで別の手続で進む。本日、議論し ていただいているのは、あくまで本基準でございますということです。 ○井上(達)部会長  暫定基準の基準値は、とにかくもう問題外ということです。 ○米谷委員  本基準があるもので、勿論定量限界も示されているものがたくさんありますが、その ときの空欄に、そのときの定量限界をそのまま持ってくるというようなことはしないと いうか、勿論別の話なので考えていないということでよろしいのでしょうか。 ○基準審査課長  御質問の趣旨がもう一つよくわからないんですが、先生の御趣旨がポジティブリスト に係る一律基準、あるいは一律基準に取って代わる数値であれば、それはまたポジティ ブリストに関するところで御議論させていただきますというのが、まず正式な答えでご ざいます。  では、今日はポジティブリストを議論しないから一切私の質問に答えないのかと言わ れますと、当然答えなければいかぬわけでございまして、そういう意味で答えさせてい ただきますが、既に本基準があるものであっても、基準値がない作物に対する考え方と いうのは、ポジティブリストの下では一律基準が適用になるわけでございます。  今、一律基準は案として0.01ppm を示しておるわけでございますが、0.01ppm まで測 定することができないというようなことがございますれば、それは本基準だけしか設定 を予定していない農薬等であっても、それに適用する一律基準については、定量限界の 問題も含めて、暫定基準を設定する農薬と同じような取扱いをせざるを得ないのだろう というふうに考えている次第でございます。 ○井上(達)部会長  なるほどね。  よろしいですか。 ○米谷委員  今までに暫定基準が決められている農薬に対する定量限界というものは、今回のポジ ティブリスト制のために出させていただいたときの、定量限界を求めたときの判断基準 とかなり違うと思いますので、これは既に出されている本基準のときの定量限界の値を そのまま持ってきていいかというのは、もう一度お考えいただければと思います。 ○基準審査課長  米谷先生がおっしゃっておりますのは、5月末のこの部会、あるいは4月の部会にお いて御議論をいただきました一律基準といわゆる定量限界の関係についてでございま す。  そのとき、この部会で御決定いただきましたのは、一律基準案を0.01ppm とする。そ の上で0.01ppm まで、今、米谷先生を中心として検討をいただいているポジティブリス ト化における分析法において、はかれそうにないものについては定量限界に相当すると いう数字をもって0.01ppm という一律基準に代わる数字にするということで、ポジティ ブリスト全体の案をまとめさせていただいたところでございます。  今の御質問というのは、定量限界に相当するという数字を考える際に、先生方がよく 御存じのとおり、試験法はいろいろあるわけでございます。特に、従前使っておりま す、あるいは現在使っております試験法というのは、個々の農薬ごとに調べることを目 的とした試験法でございます。  それに比べまして、ポジティブリスト下の世界におきましては、対象となる農薬が膨 大になるということもあって、一斉分析法といって、100 種類、200 種類を一斉に分析 できるような方法というのを御検討いただいておるわけでございます。  この両者で、定量限界と目される数字が異なる。そのときに、一律基準案である0.01 ppm に基づき、0.01ppmに取って代わる数字という、この部会で決めていただいた方針 に取って代わる数字にどちらの分析法を当てるかというようなことでございまして、こ れは米谷先生のおっしゃっている御意見は重々我々も承知しているところでございまし て、また、米谷先生を中心とした研究班の意見も聞きながら、パブリック・コメントで 出された意見等を踏まえて、最終的な御審議をこの部会で行っていただくことにしてお りますので、その中で、また御相談させていただきたいと考えております。 ○井上(達)部会長  大体、内容は御了解下さったでしょうか。  それでは、一律基準の問題に係るところは、ここでは置いておいて御審議をお願いい たしたいと思います。  事前に資料をごらんいただいている先生も、それ以外の先生も御遠慮なく御意見いた だきたいと思いますが、吉池先生は何かございませんですか。 ○吉池委員  特にございません。 ○井上(達)部会長  よろしゅうございますか。  ほかには、加藤先生いかがですか。 ○加藤委員  基準値の方ではないんですけれども、評価書の書き方の方で非常に気になる点が1つ あるので、参考意見ということで申し上げます。  「試験結果概要」の「動物体内運命試験」の(3)のところで、泌乳期のヤギのデー タが出ているんですが、この剤に限らずですが、もともとなぜああいう試験をやってい るかというのは、畜産品についての基準値を定めるための基礎データをとるということ で、代謝試験としてやっているわけです。  気になりますのは、投与量の表し方です。抄録を見ますと、抄録では投与量をえさ中 の濃度で出しているんです。えさ中の濃度で10ppm に相当する濃度でえさに混ぜて試験 をして、ミルクなり体内の組織、肉にどれだけの濃度が残ったか。それによって基準値 に反映させることができるわけですけれども、それでえさ中の濃度をベースにして出し ているんですが、評価書ではそれをわざわざ1日当たり、1頭当たり17.84 mg〜20 mg というラットの代謝試験と同じような、毒性試験のための表現に書いておられますの で、かえって何のためにやっているか、結果への意義づけができなくなってしまうよう な表現になっているので、そこをこれから検討していただければどうかなという問題が 1つです。  もう一つは、せっかくですので、先ほどと同じようにピリダリルの作物残留試験で代 謝物の分析がされておりますので、そのデータをちょっとお話しますと、はくさいとい ちごとトマトの代謝試験では、ほとんど代謝されないということと、代謝されてもごく 微量であるということで、主な代謝物というのは、ジクロロノプロペニル基が脱離し て、フェノールになったDP体と呼ばれるものでして、作物代謝試験の中では、このD P体も一応分析されています。何種類かの作物でやられているんですが、果菜類は下の いちご、ピーマン、トマト、なす、大根の根っこ、はくさい等では、DP体というメイ ンの代謝物ですが、これは不検出か検出限界相当量しか出てこない。葉菜類のキャベ ツ、レタス、大根の葉っぱ、ねぎでは検出されるんですが、これもピリダリルの2%な り9%程度、濃度で言いますと0.1ppm以下ということで、親化合物ではかれば規制目的 には十分だろうということで、ピリダリルについては、規制対象はピリダリル本体。暴 露評価量も、規制上の残留値も、使用基準が守られているかどうかの監視用もピリダリ ルと考えれば大丈夫だろうというふうに考えております。  以上です。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。お話は、御指摘があったというふうにとどめておけばよろし ゅうございますか。 ○事務局  事務局からお伝えします。  井上部会長、ちょっと1点あるんですが、先ほどのトマトとミニトマトの関係で、若 干私の方と農水省の方から補足をしていただこうと思いますが、40ページをごらんくだ さい。  今回、トマトが現行1ppm の基準から5ppm の基準になっておりますが、その根拠の 部分を40ページの下の方のトマトと書かれているところを横に見ていただきますと、作 物残留試験の成績が4つ書いてございます。途中でスラッシュが入っておりますが、左 側の0.38、0.31ppm という作残データは、トマトの方の試験のデータです。これは前回 の部会で、この数字をベースにトマトの設定をしていただきました。  右側の1.13、1.76というのは、今回のミニトマトのデータということになります。し たがいまして、今回基準の設定に用いたのは、こちら側ということになります。  なぜ、ミニトマトの側がこうなるのかということについては、今日出席いただいてお りますので、農水の方に若干補足をしていただけたらと思います。 ○井上(達)部会長  補足をお願いいたします。 ○農林水産省消費・安全局  農林水産省でございます。  農林水産省では、トマトとミニトマトの違いにつきまして、およそ直径3cm以下のも のはミニトマトということで扱うようにしております。通常の大きさのトマトとミニト マトを見ていただくとわかりますように、表面積と体積の比が異なることなどから、今 回40ページにございますように残留量に違いが生じます。トマトの使用基準でもってミ ニトマトに使用した場合には、基準を超えるおそれがあるということで、農薬の登録上 の適用作物としては、トマトとミニトマトを区別して、トマトの登録があっても、ミニ トマトには使用できないこととして、より安全性を確保するという観点から分けており ます。 ○井上(達)部会長  という御説明でございます。  ほかに御質問等ございませんでしょうか。よろしいようでしたら、御意見ないようで すので、本報告案をもちまして、当部会の報告ということにさせていただきたいと思い ますが、よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、次に動物用医薬品鶏コクシジウム感染症混合生ワクチンの審議に入りま す。  事務局から資料の御説明をお願いいたします。資料の作成に当たっては、関係委員の 方々に既に資料を御検討いただいているところでございます。よろしくお願いします。 ○近藤専門官  それでは、お手持ちの資料3につきまして御説明を申し上げます。  資料3−1の1ページでございますが、こちらにお示ししておりますとおり、平成17 年6月7日、薬事法に基づきまして、農林水産省より動物医薬品としての承認等に係る 意見を求められているものでございます。  この要請に基づきまして、厚生労働省としても残留基準の設定に係る食品健康影響評 価を内閣府「食品安全委員会」あてに平成17年6月に依頼をしておりまして、現在こち らの資料の3ページ目になるわけでございますが、食品健康影響評価の案につきまして は、6月30日〜7月21日までパブリック・コメントの募集がなされているところでござ います。  それでは、資料3ページをごらんください。  資料3−2でございますが、今回御審議いただく品目につきましては、表題にござい ますように鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ・ミチス)混合生 ワクチン、製品名はパラコックス−5というものでございます。  これは、1にお示ししておりますとおり、鶏コクシジウム感染症に用いられるワクチ ンでございます。鶏コクシジウムにつきましては、盲腸や腸管に寄生する原虫でござい まして、我が国でも広く蔓延しているものでございます。また、病原性の高いコクシジ ウムの種類になりますと、急性下痢等を引き起こしまして、死亡例も見られるというも のでございます。  このため、国内におきましても、広く予防的にワクチンを投与することが行われてお りまして、今回御審議いただくワクチンにつきましても、同様のワクチンでございま す。  次に2の製品の内容でございますが、パラコックス−5は、鶏コクシジウム原虫であ りますアイメリア属のテネラ、アセルブリナ、マキシマ、マキシマにつきましては2種 類がございます。更にミチスの5種類の弱毒株オーシストを主剤とした混合生ワクチン となっております。  参考までに3ページの下の欄外のbに示しておりますが、オーシストというものにつ きましては、虫体が膜に包まれたものという形で認識をいただければと思います。膜に 包まれましたオーシストにつきましては、耐乾燥性等を有しておりまして、体外に排出 されることで、他の宿主に摂取され、そして感染をするというものでございます。  なお、主剤のほかには、リン酸緩衝食塩液のみとなっておりまして、使用方法としま しては、ブロイラーのひなの餌付け用飼料に混合して投与されるものとなっておりま す。  次に「3.パラコックス−5の安全性に関する知見等について」でございます。  こちらにございますように、コクシジウム類は宿主特異性が非常に高く、鶏にしか感 染しないと。このため、ヒトに対する病原性はないとされております。  また、鶏に対する安全性につきましては、ブロイラーのひなに対しまして、常用量、 10倍量、これは通常の使用方法としては単回投与でございますが、常用量の4回投与が 行われております。しかしながら、臨床症状、体重、剖検ともに以上は認められており ません。  更に、SPFひなに対する単回投与試験としまして、常用量、10倍量、100 倍量とい うものの投与が行われておりますが、生理学的、肉眼的、病理学的検査のいずれにおき ましても、ワクチン接種に起因する異常は認められていないというものでございます。  4ページをごらんください。  これらのことから4に書いてございますように、食品健康影響評価としましては、コ クシジウム類は宿主特異性が高くヒトに感染しないこと。また、本製剤は主剤以外にお きましては、リン酸緩衝食塩液のみであることから、当生物学的製剤が適切に使用され る限りにおきまして、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるもの と考えられるとされております。  次に7ページ目をごらんください。こちらが当部会の報告書案となっております。  「1.概要」でございますが、まず「品目名」といたしまして、鶏コクシジウム感染 症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ・ミチス)混合生ワクチン。「商品名」といたし ましては、パラコックス−5でございます。  次に「用途」ですけれども、こちらはアイメリア属のアセルブリナ、テネラ、マキシ マ、ミチスによる鶏コクシジウム感染症の発症抑制であります。  「有効成分」は、コクシジウム類の弱毒株5種類という形になっております。  「適用方法及び用量」につきましては、先ほど説明したとおりでございますので、割 愛させていただきます。  なお「諸外国における使用状況」に関しましては、本ワクチンは既にEUやニュージ ーランド等、合計21か国で販売されておりまして、さらに類似品でありますテネラ、ア セルブリナ、マキシマの3箇のワクチンにおきましては、既に国内において承認・販売 等もなされているところでございます。  次に「2.残留試験結果」でございますが、こちらにつきましては、ヒトに対する病 原性がないこと等から、対象動物等における残留性試験は実施されておりません。  次の「ADIの評価」も先ほどの説明と同一ですので、割愛をさせていただきます。  次に8ページをごらんください。  以上の結果が「残留基準の設定」につきましてでございますが、当部会といたしまし ては「食品安全委員会」における評価結果を踏まえまして、残留基準を設定しないこと とするとして、取り扱うこととしているものでございます。  以上につきまして、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長  御説明ありがとうございます。  この案件につきまして、コクシジウム感染症に対する混合生ワクチンにつきまして、 御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。  ヒトとの交差性は全く知られていないということです。 ○豊田委員  つまらないことで恐縮なんですけれども、語句の意味をちょっと教えてほしいんです けれども、7ページの案のところの「適用方法及び用量」のところに「餌付け時の平飼 いブロイラーヒナ」と書いてあります。平飼いというのは、特定して書いてあるのはど うしてなのか、ほかにもあるのかとかちょっと教えてほしいです。 ○井上(達)部会長  いかがですか。 ○農林水産省消費・安全局  農林水産省でございます。  平飼いというのは、一番比較しやすいのは、採卵鶏用は2段とか3段に鶏のケージな っておりますけれども、平飼いというのは、コンクリート打ちされた地面の上で飼うと いう形式です。採卵鶏の場合は、ケージなんかは下が金網でふんが下に落ちていくんで すけれども、これは平飼いという形になっておりますので、ふんがそのまま床に落ち て、それをまた食べて感染を繰り返すという形をとるということです。 ○豊田委員  意味はわかったんですけれども、そうすると餌付け時のブロイラーひなでは、なぜい けないのかというのが知りたいです。 ○井上(達)部会長  この際ですので、御説明をお願いします。 ○農林水産省消費・安全局  ひなの飼い方には、平飼いだけではなくて、ほかの飼い方もありますので、特にこの ワクチンが効果を発揮するのは、平飼いでということになります。 ○豊田委員  わかりました。 ○井上(達)部会長  ひなに感染しやすいということですか。そう理解していいんですか。 ○農林水産省消費・安全局  そもそもブロイラーの場合は、出荷は60日前後になりますので、免疫効果を考えて も、それよりも2週間以上前に投与しないといけないというので、これは1日齢でも構 わないんですけれども、大体生まれて1週間以内に免疫をかけて、出荷されるまでの間 担保できればいいということになりますので、接種対象はひなということになります。 ○井上(達)部会長  それで、ひなで毒性限界を定めてあるわけですね。それで安全だから大丈夫だという わけですね。  ほかに御質問ないでしょうか。  それでは、御意見ないようですので、本報告案をもちまして当部会の報告ということ にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  そうしますと、事務局から3件全体の今後の手続についての御説明をお願いいたしま す。 ○事務局  本日、御審議いただきました3件のうち、カズサホスにつきましては、既に「食品安 全委員会」の方から通知を受けておりますが、他の2件につきましては、まだ「食品安 全委員会」の方から正式な通知を受けておりませんので、正式な通知がきた段階で、食 品衛生上の修正が必要なければ、報告案を部会報告書というふうにさせていただきたい と思います。  また、農薬2品目につきましては「食品衛生分科会」にお諮りするとともに、パブリ ック・コメント、WTO通報の手続を進める予定としております。  動物用医薬品の鶏コクシジウム感染症混合生ワクチンの方については、今回残留基準 を設定しないということとされましたことから「食品衛生分科会」に報告するととも に、農林水産省に通知する予定としております。  以上です。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。  御質問ございますか。 ○豊田委員  遅くなって申し訳ないんですが、一番最初のカズサホスのところでちょっと忘れてし まった部分があるんですけれども「答申案」の一番最後の41ページのところの語句上の 問題だけなんですけれども、答申案の表のところを見ていると「ほうれんそう」のとこ ろの「そう」が平仮名になっているんですけれども、これは食品分類表から見ると「そ う」というのは漢字ではないかと思います。  以上です。 ○井上(達)部会長  漢字なんですか。では、御訂正お願いいたします。なかなか難しいものですね。 ○事務局  今の現行の告示で確認をして、たしか私は平仮名だったような気がするんですけれど も、40ページはたしかに「ほうれん草」で漢字になっているんですが、確認をして統一 したものにいたします。 ○井上(達)部会長  事務局の方が正しいかもしれません。どうもありがとうございました。告示に関する ことですので、小さいことでも何でも事務局は助かると思いますので、おっしゃってく ださい。  それでは、議題2はその他ですけれども、これについてよろしくお願いいたします。 ○事務局  先ほど少し話に入ってしまいましたけれども、この部会の方で御審議いただきました ポジティブリスト制度の関係で、現在最終案につきまして、パブリック・コメントを求 めておりますので、その旨ちょっと御報告させていただきたかったということでござい ます。  現在、パブリック・コメントを求めておりますが、意見が出てきたものについて、ま たこちらの部会で御審議いただきまして、暫定基準の告示化に向けた所要の手続を進め ていくこととしておりますので、よろしくお願いいたします。 ○井上(達)部会長  それだけですね。追加ございませんね。 ○事務局  ほかにはありません。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。  ほかにないようでございますので、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。 皆さん、御協力ありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係、残留農薬係 (03−5253−1111 内線2489、2487)