05/07/07 第2回社会保障審議会統計分科会疾病傷害及び死因分類部会議事録     第2回社会保障審議会統計分科会 疾病、傷害及び死因分類部会議事録 1.日時 :平成17年7月7日(木) 14:30 〜16:30 2.場所 :経済産業省別館1031号会議室 3.出席者:   <五十音順>    飯島正文委員、飯森眞喜雄委員、石名田洋一委員、大江和彦委員、    落合和徳委員、加我君孝委員、勝又義直委員、嘉山孝正委員、北島政樹委員、    北村聖委員、北村惣一郎委員、黒川清委員、菅野健太郎委員、田中紘一委員、    永井良三委員、藤原研司委員、堀江孝至委員、増田寛次郎委員、松尾宣武委員、    柳澤正義委員、山本修三委員   事務局    統計情報部長、人口動態・保健統計課長、保健統計室長、    疾病傷害死因分類調査室長 4.議題   (1)世界保健機関勧告によるICD−10(2003年版)の日本への適用について   (2)その他 5.議事内容 ○疾病傷害死因分類調査室長  定刻になりましたので、ただいまより「第2回疾病、傷害及び死因分類部会」を開会 いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありが とうございます。  4月1日付けで疾病傷害死因分類調査室長に着任いたしました。どうぞよろしくお願 いいたします。  本日の出席状況は、名和田委員が御欠席、大江委員と増田委員は少し遅れられるとい う御連絡をいただいております。現時点で御出席いただいている委員数は、定数の3分 の1を超えておりますので、会議が成立していますことを御報告申し上げます。  それでは、北村部会長、議事進行をお願いいたします。 ○北村(惣)部会長  先生方、各学会の重鎮の先生方をお集めしての会議でございますが、お忙しい中、お 集まりいただきましてありがとうございます。  本日は二部に分けて議事を進めたいと思います。  一つは、先生方にお願いしてまいりました世界保健機構(WHO)によるICD−10 の1990年版から2003版への切替え作業です。先生方の御意見を踏まえて、事務局が整理 した書類を見ていただきまして御検討を賜り、本日中に決定していただければ、その後 の処理がスムーズにいくということでございます。もう一つは、今後のICD−10の活 用、利用、我が国のあり方について、先生方の御意見を伺って参考にさせていただきた いということでございます。  それでは、最初のWHOによるICD−10(2003年版)の日本への適用について、先 生方に検討していただいた意見を基にまとめられた資料について、厚生労働省の方から 説明していただきたいと思いますので、お願いいたします。 ○人口動態・保健統計課長  まず私の方から、前回、部会長から御依頼もありまして、私どもが今回の部会に至る までの間に、委員の皆様方にお願いしましたことについて御報告させていただきます。  まず、部会長の御指示によりまして、委員の所属される各学会あてに、各委員の皆様 への御協力をお願いしたいという依頼をさせていただきました。それから更に、これも 部会長からの御指示ですが、事務局案についての委員の皆様に御検討いただく内容の再 確認、御意見をいただくための様式、追加参考資料等をお示しいたしました。更に、I CDに関する御意見、御要望等をお寄せいただくためのメール先等を設定し、御連絡を させていただきました。  委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず、大変熱心に検討いただきま して、多くの御意見をお寄せいただきましたことに、改めて御礼を申し上げます。 ○北村(惣)部会長  それでは、先生方の資料を基にして、事務局でとりまとめいただきました書類の説明 を、かなり大量にございますので時間が少しかかりますがお聞きいただきたいと思いま す。  それでは、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、お手元の資料を御説明させていただきます。  まず資料1、資料2、資料3でございますが、これが先生方からいただいた御意見の 中で総務省の告示の改正に該当する部分を抜き出したものでございます。総務省の告示 の改正の手順につきましても後で御説明をさせていただきますが、この告示改正案を取 り急ぎまとめていただくことが第一に必要な事項でございます。疾病、傷害及び死因統 計分類は、総務省から出されております告示でございまして、「統計調査に用いる産業 分類並びに疾病、傷害及び死因分類を定める政令」に基づくものであり、このような分 類は、総務省の告示をもって国民に公示されることになっております。  総務省の告示は大きく三つございます。資料1にありますのが一つ目で「基本分類」 といいまして、現行でおよそ14,000ございます。資料1は、この「基本分類」の中で、 今回変更、改正されるものを新旧対照表として書き出させていただいたものでございま す。  それから二つ目の資料2でございます。これは「疾病分類」という告示でございまし て、疾病用の統計を表章するためのものでございます。1ページ目が「大分類」の改正 案、2ページ目が「中分類」の改正案、そして3ページと4ページが「小分類」という ものの改正案でございます。この「大分類」というのは現行で81分類ございます。その うち、ここに書かれているものが今回の改正の中身でございます。「中分類」は、現行 144分類ございまして、そのうち資料2の2ページ目の部分が今回の改正案でございま す。「小分類」は現行371 分類ございますが、そのうち今回改正されるのがここの部分 でございます。  三つ目が資料3の「死因分類」であり、現行130分類ございますが、そのうちここに 書かれているものが改正されるということになっております。  お手元の参考資料1、これは資料1の基本分類の改正案と内容的には同じものでござ います。資料1は日本語の新旧対照表でございますが、参考資料1にはWHOの英語も 左側に付記し、内容別の整理もしておりますので、これから参考資料1について御説明 をさせていただきます。  参考資料1でございますが、大きく3つに分かれておりまして、1ページ目から11ペ ージ目まで、これはWHOの勧告によるものでございます。つまり今回、WHOがIC Dの本体である英語を修正したものでございますので、これに連動して日本語も当然変 えなければいけないというWHOの勧告に基づくものでございます。そして12ページ目 から18ページ目まで、これは今回英語は変更されていないのですが、日本の法令等の改 正に伴いまして、日本語版のICD、日本語訳を変えようというものでございまして、 「精神分裂病」を「統合失調症」に変える、あるいは「痴呆」を「認知症」に変えると いうものでございます。ICDの英語は変わっておりませんが、法令等の改正によりま して日本語を変えるというものでございます。  そしてここの案を見ていただいておわかりのように、ICDの告示の中からはすべて 「精神分裂病」という言葉と「痴呆」という言葉は消えるという形になっております。 すべて「認知症」あるいは「統合失調症」に置き換えるという形になっております。こ れは一部学会等によれば、すべての会員の合意が得られていないので、括弧書きにとい ったような御意見もございましたが、行政的な判断によりまして、我々としましては 「精神分裂病」、「痴呆」という用語は、すべてICDの告示上からは消えるという形 にさせていただきたいと考えております。  なお、ここの部分につきましては、省内の関係部局等とも調整済みでございます。そ れが12ページから18ページの法令の改正等によるものでございます。  それから19ページ以降最後まで、これが3番目でございますが、これは今回、WHO の勧告で修正された部分以外に委員等から寄せられた意見でございます。学会等の総意 に基づくものもこの中には多数含まれております。例えば、「妊娠中毒症」という用語 を「妊娠高血圧症候群」に変える。資料1の「基本分類」の告示の名前としては「妊娠 中毒症」というのはございませんが、資料2の疾病の分類の中で、例えば大分類であれ ば、大分類のa-1502の「妊娠中毒症」、これが学会等の総意によりまして「妊娠高血圧 症候群」と変わることになっております。  参考資料の1ページ目に戻っていただきまして、参考資料1の1ページ目でございま すが、「A18.1 尿路性器系の結核」といった「尿路性器」という言葉は、すべて「腎泌 尿生殖器」というふうに変えるべきであるといった御意見をいただきまして、すべて変 えるという形にしております。これにつきましても、関係学会には照会済みでございま す。  それから資料の34ページでございます。資料の34ページの下の方に「K30 消化不良」 という言葉がありますけれども、これも学会からの御意見によりまして、「ディスペプ シア」に変えるというふうになっております。  39ページでございます。39ページにいっぱい並んでおりますが、「慢性関節リウマチ 」、これもすべて「関節リウマチ」と置き換えさせていただいております。  以上が今回の変更の主だったところでございます。  この参考資料1につきましては、先週の金曜日の時点で最終御確認をお願いしますと いうことで全委員に最終確認をいただき、なお若干変更した方がよいという御意見をい ただきました。その部分が見え消しになっておりますので、その変更があった点のみ御 紹介をさせていただきます。  まず1つ目、5ページ目でございます。5ページ目の中ほど「M72.6 え<壊>死性筋 <腱>膜炎」の「腱」は削除をした方がよいという御意見をいただきまして、「え死性 筋膜炎」というふうに最終案ではさせていただきたいと思います。  それから22ページでございますが、下から3番目、「上咽頭の悪性新生物」と最終案 ではなっておりましたが、やはり「鼻咽頭」という言葉を残した方がいいということで すので、この右端の「上咽頭の悪性新生物」を当初案の「鼻<上>咽頭の悪性新生物」 に戻すという御意見をいただいております。  それから23ページでございます。23ページ目の中ほど、「(C43-C44)」のところで ございますが、「黒色腫およびその他の皮膚の悪性新生物」という意見がありまして、 これは前回、第1回目のときに御説明させていただいておりますが、数年前に設置され ていたICDの補助分類についての専門委員会で出された意見として、そういう御指摘 があったのですが、今回の部会の委員の御意見で、当初どおり、その一つ左側の「皮膚 の黒色腫およびその他の悪性新生物」に戻した方がいいという御意見がございまして、 そのように直させていただきたいと思います。  それから26ページでございます。26ページの上から2つ目、「D17 良性脂肪細胞性新 生物」につきましても、これは左にあります「良性脂肪腫性新生物」のように、「脂肪 細胞性」ではなく「脂肪腫性」にした方がいいという御意見がございましたので、それ もそちらの方に戻させていただきたいと思います。  それから29ページでございます。上から3つ目の「E22.2」 のところでございます が、「ADH 分泌過剰(異常)症候群」につきましても、当初どおり「E22.2 抗利尿ホル モン不適合分泌症候群」、これに戻しておいた方がよいという御意見をいただきました ので、そのように戻したいと思います。  あと30ページ目の一番下で、「G40.3 全身性特発性」のところに更に特発性と続け て書かれており、誤字脱字でございますが、このような誤字脱字も幾つかございまし て、それについても御指摘をいただいておりますが、誤字脱字等につきましては、事務 局の方で自動的に修正をさせていただきまして、ここでの御紹介は差し控えさせていた だきます。  それから49ページの下から2番目、「Q80.1」 の「X連鎖性」とあるのは、当初の 「伴性」に戻した方がいいということですので、専門委員会から出た意見を元に戻しま して、「伴性」とさせていただきたいと思います。  最後に51ページでございます。下から3つ目の「S44.5 肩及び上腕の皮膚感<知>覚 神経損傷」につきまして、これも専門委員会から当初出された意見でございますが、こ れは「知覚神経」に戻した方がいいという御意見でございましたので、そのように修正 させていただきたいと思います。  以上が金曜日に送らせていただきました最終調整案の中から、各委員より寄せられま した、更に最終意見ということで訂正した箇所の御紹介でございます。  今回、改正の対象となっているものというのは、基本的にはWHOの勧告に載ってい た箇所のみを改正の対象とさせていただいたのですが、それ以外にもICDすべての章 を見ていただいたり、特定の章すべてを見ていただきまして、いろいろな改正案の御意 見等を寄せていただいた委員もおられますが、それらの部分につきましては、一応、事 務局でお預かりさせていただきまして、つまり今回の改正に反映されなかった部分等に つきましても事務局でお預かりさせていただきまして、今後見直しが行われるときに、 また反映をさせていただきたいと考えております。  それから一点御報告でございますが、今回いただいた御意見の中で、いろいろとIC Dのルール上、変更できないような御意見もございました。例えば、「not otherwise specified」という言葉につきましては、ICD上は「明示されていないもの」と訳さ れております。これは「原因不明」とすべきではないかといった意見が多数寄せられて おりますが、実はこれはICDのルールであります。ICDは、疾病の符号をつけるコ ーダー等も利用しておりまして、例えば調査票に「肝炎」としか書いていない場合、コ ーダーにとっては、これは詳細が不明となる。例えば、本当は「B型肝炎」であるが、 医者が調査票に単に「肝炎」とだけ書いてしまった場合、コーダーにとってはその詳細 がわからないということになりますので、「詳細が明示されていない」とせざるを得な いということで、決してそれは原因不明の肝炎であるということではない。そういう意 味で「not otherwise specified」は、ICD上は「明示されていないもの」といった 取扱いにされておりまして、その点の御意見につきましてはICDのルールであります ので、取り入れることができませんでした。その他、幾つかICDのルール上取り入れ られないもの等がございますので、その点については御了解いただきたいと思います。  なお、いただいた御意見の中で、取り入れられなかった理由等については事務局まで 御連絡いただければ、御説明をさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、資料の1と2と3、総務省の告示の案につきましては、本日の 会議で、確定をさせていただきたいと考えているところでございます。  次に、参考資料の2と参考資料の3につきまして御説明をさせていただきます。参考 資料2は2枚紙でございます。参考資料3は1枚紙でございます。  参考資料2は、今回のICD−10(2003年版)の主な改正点を挙げたものでございま す。  まず、主な改正の第1点目は、WHOの勧告、英語そのものが変わったことに基づく 改正です。その1つ目の勧告は、新たな分類項目が設定されており、ここに「Uコード 利用」と書いていますが、Uコードというのは特殊目的用のコードとされており、暫定 的に使用するものでございます。重症急性呼吸器症候群、あるいは抗生物質に耐性の細 菌性病原体、これらは暫定的に「U」に位置づけられています。これは将来、恐らくI CD−11になったときに、どこかのコードに割り振られると考えられます。いろいろ議 論があり、最終的に特定のところに割り振ることができなかったものにつきましては、 暫定的にUコードを使用するというWHOのルールがございまして、今回、Uコードが 使われております。  2つ目のWHOの勧告は、項目の移動です。これは、例えば胃のポリープなどは、I CD−10の1990年版におきましては、新生物、Dコードに位置づけられておりました が、今回の改正によりまして、消化器系の疾患へ移動することになっております。その 他、大腸<結腸>のポリープ等も新生物から消化器系の疾患へ移動、といった項目の移 動というのが若干ございます。  3つ目のWHOの勧告は、分類項目が廃止や、削除がされたり、あるいは新設されて いるものでございます。廃止されているものは8つ、新設されているものが13でござい ます。新設されているものは主に医学の進歩等によるものでございますが、例といたし ましては、肝臓の提供者、あるいは心臓の提供者、こういったものが分類項目として新 設されております。  4つ目のWHOの勧告は、剣印、星印の変更ということです。この剣印、星印につい ては、後で御説明いたしますが、剣印の変更ということで剣印が削除されたものが11、 剣印が追加されたものが2つございます。  剣印、星印等についてですが、ある特定の疾患には、剣印のコードと星印のコードを 2つ付けることができるとICDのルール上なっております。これはダブルコーディン グと呼んでおりますが、これはICD−9から導入された方法で、ICD−10でも引き 続き用いられております。  基礎疾患名としては剣印のコードがつきます。そしてその疾患から症状が発現した特 定の臓器部位における症状としては、星印のコードをつけることができるとなっており ます。 この理由については、基礎疾患のみでコード化をしますと、症状が現れている 専門領域の統計が十分とれないということからでございまして、このシステムにより、 星印のコードで集計をすると特定の臓器部位における症状の統計が得られるようになっ ております。  なお、死因統計については、この基礎疾患である剣印をもって集計をしております。  1つ例を挙げさせていただきますと、「成人型糖尿病性白内障」というのがございま す。これを基礎疾患としてコードした場合は「E11.3 インシュリン非依存性糖尿病」と なります。基礎疾患は糖尿病ですので、これは糖尿病とコードされます。そして発現し た症状をもってコードした場合には「H28.0」 、これは「糖尿病性白内障」ということ で、白内障としてコードされることになっております。もし、この「成人型糖尿病性白 内障」をダブルコーディングしておいた場合、集計するときに糖尿病の患者を集計した いということであれば、基礎疾患「E11.3」 を集計すれば糖尿病の数が出ますし、白内 障として集計したいという場合は「H28.0」 の方で集計をすればいいというように、1 つの病態で2つ潜在的にコードができるというルールがICDにはございまして、それ が変更になっているということでございます。  主な改正点の2番目でございますが、法令の改正等に基づく名称の変更ということ で、先ほど御説明させていただきましたように、「精神分裂病」を「統合失調症」と変 える、あるいは「痴呆」を「認知症」と変えるということで、これによりまして、IC Dの総務省告示上は、「精神分裂病」及び「痴呆」という言葉はなくなるということで ございます。  それから、主な改正点の3番目が医学の進歩等に対応した名称の変更ということでご ざいまして、先ほど御説明した「慢性関節リウマチ」を「関節リウマチ」、あるいは 「妊娠中毒症」を「妊娠高血圧症候群」に改正をするということでございます。  ここで「妊娠中毒症」の改正につきまして、落合委員の方から補足の御説明をいただ けると聞いておりますので、よろしくお願いいたします。 ○落合委員  日本産婦人科学会の落合でございます。従来、「妊娠中毒症」、これは非常に慣れ親 しんだ名称でございます。英語ではトキシコーシス、あるいはドイツ語ではトキシコー ゼと呼ばれております。そのとおり「妊娠中毒症」でございましたけれども、昨今、欧 米でも「pregnancy induced hypertension」という概念になってまいりまして、先般行 われました日本産婦人科学会の理事会におきましても、これを取り上げようということ で、総会の議を経まして、正式に今年の4月から「妊娠高血圧症候群」と呼ばせていた だくことにいたしました。例示の中には、「妊娠高血圧腎症」とか、あるいは「妊娠高 血圧症」といったような細分類がございますけれども、全体を示す、「妊娠中毒症」を 「妊娠高血圧症候群」という名前とさせていただきたいということでございます。  以上です。 ○疾病傷害死因分類調査室長  落合先生ありがとうございました。続きまして、参考資料3の御説明をさせていただ きたいと思います。参考資料3の「ICD−10(2003年版)適用に向けての今後の日程 」ということでございまして、まず、総務省の告示の改正のスケジュールでございます が、平成17年の7月7日、本日、第2回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因 分類部会において、改正告示案を部会として決議し、統計分科会への報告としてとりま とめたいと事務局としては考えております。そして7月中旬頃に、部会の決議をもって 統計分科会の決議及び社会保障審議会の決議とし、社会保障審議会の会長より厚生労働 大臣へ答申ということを予定しております。そして7月下旬に総務省への報告及び協議 を開始いたしまして、10月、これは予定でございますが、疾病、傷害及び死因分類の総 務省の告示がなされる予定として考えております。そして、これも予定でございます が、平成18年1月より新たな分類を施行したいと考えております。  以上が告示の改正のスケジュールでございます。  それから2つ目の「○」で「疾病、傷害及び死因統計分類提要」の改訂ということで ございますが、ICDは、御存じのようにこのように緑色の3分冊の本になっておりま す。今回の改正に伴いまして、この本も改訂する予定にしておりまして、第1巻の総論 につきましては、7月末を目途に全体の案をとりまとめたいと考えております。また、 今回、御議論いただく告示に該当しない部分につきましても、先生方から御意見をいた だいております。お手元に委員の配布用の資料1と2として、分厚い資料を配布させて いただいているものであります。  告示に反映しない部分につきましては、特に第1巻、第2巻につきましていただいて いる意見、第3巻は量が膨大でございまして、本日御提示できないのでございますが、 全体として御意見はとりまとめられております。これをもとに今、第1巻の総論、IC Dのルールを定めたものでございますが、それと、第2巻、これは内容の例示表という ことで、ICDの4桁分類と病名の例示がありますが、これも今とりまとめの作業を行 っておりまして、7月末をめどに全体版をとりまとめまして、それは委員の先生方にま たお送りさせていただこうと思っております。来年の1月1日より新たな分類が施行さ れますので、年内にこの本は発行をしたいと思っております。  第3巻の索引は辞書のようなものでございますが、この索引につきましては、量が膨 大であるとともに、WHOの並びは英語、ABC順に並んでいますが、当然、日本語の 索引は日本語順で流れが全然違いますので、改訂の作業が膨大になりまして、量的にも 年内にまとめられる状況ではございません。来年の4月から5月を目途に書籍を発行し たいと考えております。  具体的な統計調査における対応でございますが、平成18年1月に施行された場合は、 ICD−10(2003 年版) につきましては、調査日が平成18年以降の統計調査の結果を統 計表章する際に適用するものと考えております。つまり今年、平成17年中に行う統計調 査につきましては、たとえ結果の表章が18年になろうとも、今の1990年版で統計表章を するということになっております。  具体的には、人口動態調査は平成18年1月分以降が新しいICD−10(2003 年版) で 統計表章、統計として表示されます。患者調査につきましては、今年の17年10月に実施 いたしますが、その結果につきましては、1990年版で表章いたします。3年周期ですの で、次回は平成20年ですが、その調査分につきましては、ICD−10(2003 年版) で統 計表章をしたいと考えております。  長くなりましたが、以上でございます。 ○北村(惣)部会長  どうもありがとうございました。  大体のスケジュールと何を変えるかについて説明してもらいました。第1回目の部会 のときには、WHO勧告の部分と法令改変の部分を主に行って、先生方の御意見がどの くらいとりこめるかということも多少議論になっておりましたが、今回は先生方の、あ るいは学会の意見が大々的に組みこまれているように思います。こういったことで、我 々としては、この部会としても、皆様方としても大変歓迎される姿勢ではないかと思い ます。その修正で先ほどいろいろ説明がございましたが、勧告部分について、あるいは 法令の部分については簡単だと思います。特に御意見があればおっしゃっていただきた いと思います。更には以前の補助分類の専門委員会で出された意見、この部会からの意 見、あるいは先生方の学会の意見として出てきた幾つかの問題、御異議がないかどう か。御意見があれば10分間ほどという短い時間でございますが、お願いしたいと思いま す。  例えば、泌尿器科の「genitourinary」となっているところ、日本語で「尿路性器系」 を「腎泌尿生殖器」と訳していこうというのは、これは委員からの意見であります。W HO勧告は、参考資料1の真ん中の「A18.1」 の剣印を1個取ることです。訳し方を変 える以上、全部統一して変える必要がありますので、変えていただいております。泌尿 器学会等もこれで賛成されているのだと思いますが、こういった幾つかの例を踏まえ て、整形外科では、例えば「慢性関節リウマチ」の「慢性」をとるのが流れであるとい う形で全部変わります。索引からみんな変えないといけないのです。特に消化器の「消 化不良」を「ディスペプシア」と訳すという意見ですが、これは御異議ないですね。日 本語で「ディスペプシア」でよろしいですね。 ○菅野委員  いろいろ考えたのですが、結局、適当な日本語がないということで、「ディスペプシ ア」でいいというのが多くの専門医の意見です。消化不良と訳しますと、要するに消化 がうまくいかないというニュアンスとなりますが、「ディスペプシア」は上腹部の痛み や不快感を伴う疾患概念ですので、「消化不良」より、「ディスペプシア」そのままの 方がいいということです。 ○北村(惣)部会長  そういうことで、これもすべてこの方向に変えます。医療関係者がよく理解できる国 の統計でないと、誰が読んで理解できるのかということになりますので用語を変えるの は重要になってくるのですが、ここに出席されておられる学会の方々としては特に御異 議ございませんでしょうか。 ○菅野委員  29ページ目ですが、「E80」 が「遺伝性赤血球生成性ポルフィリン症」となっており ますが、英語を見ますと、これは「Disorders of porphyrin and bilirubin metabolism 」であり、「bilirubin」 が入っています。この「遺伝性赤芽球増殖性ポルフィリン 症」というのは、「E80」 の中の細分類の1つではないかと思いますが、いかがなもの でしょうか。「E80」は「ジルベール」とかを含むので、このように訳してしまうと妥 当性を欠くのではないかという懸念が生じますが。 ○北村(惣)部会長  訳から「bilirubin」 という言葉が一切抜けていますね。 ○菅野委員  抜けてしまっています。 ○北村(惣)部会長  いかがですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  そうすると、どのように修正をしたらよろしいのでしょうか。 ○菅野委員  「ポルフィリン及びビリルビン代謝の異常」と素直に訳せばそうなります。 ○北村(惣)部会長  第2巻の「E80」 は、チョボ付きがいっぱいありますか、これだけですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  「E80」 は、「Disorders」 はこれと一緒です。  「porphyrin and bilirubin metabolism」です。 ○菅野委員  「E80」の下の分類として「遺伝性赤芽球増殖性ポルフィリン症」があるのですが、 「E80」全体をこれに変えてしまうと、細分類が全体に繰り上がったような形になりま すので、妥当性を欠くのではないかと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  そうですね。例えば「E80.4」 に「ジルベール」とかがあります。 ○菅野委員  細分類に「ジルベール」が入りますから、名前にそれを含まなくなってしまう。 ○菅野委員  「ポルフィリン及びビリルビン・メタボリスム」という形で大分類をつくって、その 中の一つが「遺伝性赤芽球増殖性ポルフィリン症」だと思うのです。 ○北村(惣)部会長  「ギルバート症候群」もこの下に分類されるのですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  「E80.4」 は「ジルベール」(英語読みはギルバート)です。 ○北村(惣)部会長  やはり「ビリルビン」ですね。「ビリルビン」という言葉が抜けているのがいけない ということですか。このようなものがいっぱいあるのではないでしょうか。それが心配 で2回にわたって修正をお願いしてきたのですけれども。 ○黒川委員  これは先生がおっしゃるように、点検するのに時間がないことと、どれだけみなさん の意見がそろった形で回答されてくるのかわからないことによるもので、委員の人たち は、みなさんすごく苦労したと思うのです。ここ10年から20年、用語集を作っている学 会が多く、それを統一するために、日本医学会に用語集委員会があります。学会によっ て結構違う言葉を使っていることが多いので、それを統一しようと、日本医学会で医学 用語集を作っています。常に日本医学会を窓口とするのが適切かどうかわからないが、 医学用語集をウェブサイトに載せて、常に各学会で何か文句があったら言ってくれとす る。例えばある用語が、学会によって違えば、それを日本医学会が調整し、これにしま しょうといって各学会の用語集を見直すことにしてはどうか。例えば、腎臓学会も内科 学会も全部用語集を出しています。内科学会も用語集を多分4年に一回ぐらい改訂して いるから、このような調整の話がたえず入ってくると、用語集に整合性が出てきていい のではないか。それがなく、突然このようにしたいと出されたってたまったものではな い。常に調整していったらどうか。ICDにしても次の改訂が来るわけでしょう。 ○北村(惣)部会長  私も学会の用語集とICD−10を比べてみたら、ICD−10を付記している学会もあ りますが、全くICD−10には無頓着で、その学会対応だけの形もあります。これは疾 病統計、死亡統計、人口動態の統計に使っていくものになりますので、各学会の方がそ れに従ってくれないといけないことだろうと思いますが、WHOの勧告の訳し方がおか しいということは、確かにこの委員会としても大変問題になりますね。 ○黒川委員  だから、医学会にも具体的な役割がある。 ○北村(惣)部会長  例えば「システィックファイブローシス」というのも、その下ですね、「E84」 の日 本語訳も全部英語になったのですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  これは括弧< >書きで、英語が併記される形に変わるということでございます。 ○北村(惣)部会長  三角括弧< >にですね。 ○疾病傷害死因分類調査室長  はい。もともと日本語だけだったものが、英語も横に付記されるという形に変わると いうことです。 (注)< >は「ある用語について、その中の一部または全体にわたって異なった表現 がある場合の表示」 ○菅野委員  多くは妥当だと思うのですけれども、ここは細分類が繰り上がっている形になってい まして、変えた方がいいのではないかという気がします。それからもう一つだけいわせ ていただきたい。 ○北村(惣)部会長  これは誰に見てもらったところですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  章ごとの割り振りというのはございますが、一応、皆さんにお目通しをいただきたい というようにしていました。 ○北村(惣)部会長  それから菅野先生。 ○菅野委員  11ページ目の「U88」 ですが、これは訳の問題でしょうけれども、「多数の抗生物質 耐性病原体」というと、「多数」がどちらにかかるのかよくわかりませんので、私の個 人的な感想ですけれども、「抗生物質多剤耐性」というふうに書いた方が一般的に通り がいいのではないか。要するに、多剤の抗生物質に対して耐性を持つ病原体という意味 だろうと思いますので、「多数の」というよりは、「抗生物質多剤耐性病原体」とした 方がすっきりする感じがするという印象でございます。 ○北村(惣)部会長  これはWHO勧告の部分で、新しく追加されたU分類のものです。訳し方の訂正がで きていない。これは最初に訳された方がこう書いているのに、訂正がかかっていないと いうことですね。 ○菅野委員  それは細菌学会の方と感染症学会の方が担当されたのでは。 ○北村(惣)部会長  もう一度、今日一日見てもらいましょうか。 ○菅野委員  一応、見たのですが。 ○北村(惣)部会長  どうぞ。 ○柳澤委員  ちょっと気になるところは、参考資料1の49ページに、「Q80.1 伴性魚りんせん」を 「X連鎖性魚りんせん」とするという改正の提案があったのを、「X連鎖性」を削って 元に戻しているのですけれども、「X-linked」 という場合に、今はむしろ一般的に 「X連鎖性」といっていると思われます。他にも病名として「X-linked 何々」という のはたくさんあると思いますけれども、それは全部「伴性」になっているのか、確認す る必要があると思います。 ○北村(惣)部会長  担当された学会の先生がおられたのでは。 ○飯島委員  私の担当ですが、全体を統一していただきたいということで、疑問を投げかけさせて いただいたものです。どちらかに統一していただきたいと思います。他はどうなってい ますでしょうか。 ○柳澤委員  どちらかに統一しないといけないと思いますけれども、統一するならば、「X連鎖性 」の方が、今はポピュラーだろうと思われます。 ○疾病傷害死因分類調査室長  今の件については、全部「伴性」ということで統一されてました。それを「X連鎖性 」にした方がよいという御意見があって、その意見が認められれば、今の「伴性」はす べて「X連鎖性」に変えようと思っていたのですが、別に「伴性」に戻した方がよいと いう御意見がありました。 ○松尾委員  「X連鎖性」の方が正確だと思います。「伴性」というと、Yに関連した疾患もある といわれる気がしますので、あいまいになると思われます。 ○北村(惣)部会長  「伴性」という言葉は、「性伴性」というか、「セックス・リンクト」と「セックス ・クロモソーム・リンクト」という意味ですか。 ○松尾委員  元々はXという意味です。 ○北村(惣)部会長  「X-linked」 のことだけを「伴性」というのですか。そうしたら、「伴性」でもい いんですか。 ○柳澤委員  Yに関係したものもあるので、正確ではないと、松尾先生が言われたのです。 ○北村(惣)部会長  Yもあるのでしょう。それから性染色体に関係したということもある。 ○松尾委員  古典的には、X染色体に連鎖したものを「伴性」と呼んでいたわけです。 ○北村(惣)部会長  そうしたら、これは元の「X連鎖性」へ戻した方がよい。 ○疾病傷害死因分類調査室長  「X連鎖性」にもう一度という御意見でございますね。そうなった場合は、すべての 「X-linked」 は「X連鎖性」にさせていただきます。 ○柳澤委員  それは統一すべきだというふうに思います。 ○松尾委員  「genital」 というのを、「性器」から「生殖器」に変えるように提案した者の一人 ですけれども、その理由は、疾患の中に卵巣の異常を含んでいたからです。参考資料1 の47ページ、「P15.5」 ですが、「外性器の出産損傷」というのが「外生殖器の出産損 傷」となっていますが、どこから出てきた意見かわかりませんけれども、これはちょっ とおかしい。 ○落合委員  全部同じように訳すというのは、時と場合によるのでは。すべて「生殖器」と訳して しまうと、不適切な場所もあるかもしれない。 ○黒川委員  WHOも「Reproductive organ」とか、「system」とか区別するようになってくるの ではないか。日本が先取りしていたということになるのかもしれない。英語だと確かに 「genital」 と書いてあるけれども、「リプロダクション」がいいのかもしれない。 ○北村(惣)部会長  「genitourinary」がすべて「尿路性器」から「腎泌尿生殖器」に変わったんですね。 ○黒川委員  「ジェニトユリナリー」とかいろいろ書いてある。 ○北村(惣)部会長  それから「urinary」 がなくて「genital」 となると、それを「性器」と残すかどう か。医学の各分野の言い方があると思うのですが、やはり、何らかの形で統一していた だかないと、索引もややこしくなってしまう。そこで、これは困るというところは変え なくてはならないが、十分対応できる範囲のものは、同じ言葉でまとめないと仕方がな いのではないか。そうしますと、「外性器」というのと「外生殖器」では、やはり非常 に問題があると考えるか、それで十分であると考えるか、それは泌尿器科の先生、産婦 人科の先生でも多少また違うのか。 ○松尾委員  「外生殖器」というものは存在しないので、これは誤訳です。 ○黒川委員  そういう意味では、英語を変える話にしなくてはいけないのかもしれないけれども、 用語集を作っている学会が、いろいろなところに常に示していればよい。今の時代だ と、個々の学会が医学会か何かのウェブサイトに用語集を出し、別の学会の用語委員会 などに常にチェックして欲しいという話にしておくと、常にフィードバックがあってい いのではないか。2、3の関係する学会から同じ英語について違った言葉も出てくると 思うが、そのようなものを指摘して日本医学会で統一して示すことにすると、それぞれ の学会の医療関係者も同じ用語を使うようになるし、ICDの分類名も整合性がとれて いいのではないですか。ICDの大きな改正があれば、直させていただくことにすると しても、そういうシステムを組み込んでおいた方がいいと思う。 ○北村(惣)部会長  それでは、「external genitalia」だけ外性器としましょうか。  「external genitalia」と出てくる言葉だけです。例えば、「genitourinary 」とい う言葉はたくさん出てくるのですが、「genitourinary 」は、「尿路性器」から「腎泌 尿生殖器」で統一する。「external」という言葉がついた「external genitalia」はす べて「外性器」としますか。産科、婦人科、泌尿器科の方々、その方がよろしゅうござ いますか。事務局で対応できますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  対応できます。 ○北村(惣)部会長  では、「external genitalia」と書いてあるものを「外生殖器」と訳すのはおかしい ため、「external genitalia」とつながっているものだけを「外性器」と訳すとしま す。それと、先ほどの「ビリルビン」のところをどうするかですが、もし訂正があれば 今日中に訂正したい。事務局としては、今日中にでも決定したいという気持ちとのこと ですが。 ○石名田委員  今の47ページの一番上の「O86.1」と「O86.3」、英語では 「genitourinary tract」 ですが、日本語が違うと思います。今、座長の言われたとお り、「O86.1」を「腎泌尿器のその他の感染症」とするということになりますか。 ○北村(惣)部会長  「O86」の一番上ですね。 ○石名田委員  46ページの一番下もそうなっていますね。 ○北村(惣)部会長  そうですね。「unspecified genitourinary」 となっていますね。この訳では腎泌尿 が抜けていますよね。 ○疾病傷害死因分類調査室長  これは統一させていただきます。 ○北村(惣)部会長  これは事務局の訂正違いかもしれませんね。 ○疾病傷害死因分類調査室長  はい、そうです。失礼しました。 ○北村(惣)部会長  ありがとうございました。そこはそのように直した上で、他に御指摘いただいている 中で困った点は、先ほどの「ビリルビン」のところです。それから先ほどの「U88」 で す。これを「多数の抗生物質」と訳しているのを「多剤」ということにすると、「抗生 物質」という名前は省いていいのですか。「antibiotics」 はどう訳しますか。 ○北村(聖)委員  抗菌薬とか抗菌剤。 ○北村(惣)部会長  そうしましたら「U88 多剤抗菌薬耐性病原体」ですか。菅野先生、今日一日で全部見 ることができますか。 ○菅野委員  専門ではないところは難しい。 ○北村(惣)部会長  難しいね。2回委員の皆様に見ていただいていますので、むしろ我々の方が責められ るべき立場にあるのかもしれません。どう取扱うかですが、幾つかの御指摘いただいた ところはこの場で訂正させていただきますが、まだ見落としがあるのではないか、更に 見てもらうものが出てくるのではないかという心配は拭い切れないところがあります。 例えば、8日の金曜日に委員から電話をいただき、もし訂正意見があったら、もう一 遍、各委員に連絡し訂正するということが可能か。 ○人口動態・保健統計課長  部会長の言われたように、更なる確認で訂正がある場合には必要な対応をする前提 で、留保条件付きで告示改正案をこの場でご了解いただけるということでありました ら、そのように進めさせていただきたいと思っております。 ○北村(惣)部会長  もしものことがあったら、明日電話してもいいのでしょうか。 ○人口動態・保健統計課長  その条件を皆様に同意していただいて進めていただければと思います。 ○北村(惣)部会長  それは決して多いとは思わないですが。 ○人口動態・保健統計課長  その部分は留保ということで改正案に同意していただければと思います。 ○北村(惣)部会長  そしたら時間も大分過ぎましたので、WHO勧告の部分はよろしいですね。それから 「認知症」、「妊娠高血圧症候群」等々、医学の進歩の部分と、それから政令等による 「認知症」に「痴呆」を変える、それから「精神分裂病」を「統合失調症」に変えると いったところもよろしゅうございますね。他に、委員側の意見として提出したところ に、確かにまだ少しばらつきが残っている。統一できていないところが残っている。本 日の資料を全面的に組んでもらったのは厚生労働省で、2回、委員の皆様に見てもらっ ていますのが、我々のミス等もございます。基本的に御指摘の点を直すこととしたいの で、もし本日、自分の御専門のところを見ていただいて、どうしてもおかしいというと ころがあれば、金曜日、明日中にICD室長まで届けていただいて、それを含め最終決 定という形にさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。 ○落合委員  資料1の11 ページの神経系の疾患ですけれども、「G24.5」で「痙攣」の文字が、旧 漢字になっているが、総論として、こういう古い漢字は、どういう取扱いをされるので しょうか。といいますのは、産婦人科領域でも、古い漢字を使っていたものに関して指 摘があり、新しい漢字に直してほしいという意見があって、私から意見を提出していた 経緯があります。「痙攣」に関しては、他のところ見ると、全てこの文字なので、何か 特別な理由があって残っているのか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  こちらからの提案では、今の告示が旧漢字のままになっておりまして、特に御意見が 無かったので、我々もそのまま使っていました。これを新しい漢字に直した方がいいと いうことであれば、その方向で検討したいと思います。 ○大江委員  記憶がはっきりしないので間違っているかもしれないのですが、今、パソコンのワー プロで略字体が出ない文字というのが幾つかあるはずです。もしかすると、「痙攣」の 「攣」も簡略字体が実はパソコンでは出せないという事情があるのではないかと思いま す。「痙攣」の「攣」がそうだったかどうかは記憶がはっきりしませんが。 ○北村(惣)部会長  「痙攣」という字は確かに難しい。コンピュータでは確かに難しい字が出てくるので はないか。室長のところでわかりますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  今、確認いたしましたところ、「痙攣」につきましては、対応する簡略字がワープロ で出ないので、本資料ではこの形になっております。疾病、傷害及び死因統計分類提要 (第2巻)の本では略字体であり、この資料とは違う漢字になっております。 ○北村(惣)部会長  それでは、対応できるようです。 ○大江委員  現実問題として、ワープロで出ない字が使われると、世の中で使うときには非常に困 ることが多い。私は日本医学会の用語管理委員をしているのですが、この問題は、今、 用語集の改訂のときにどう扱うか議論をしているところです。勿論、手で書くときには 画数の少ない方がよいし、読みやすいということで、過去においては幾つかの字体につ いて、「痙攣」の「痙」もそうですし、「攣」もそうですが、画数が少ない字を採用す るとしており、日本医学会もそれを標準用語にしています。しかし、現実にはそれが出 せないため、ワープロで漢字変換すると、むしろ画数の多い難しい字しか使えないとい うことで、若干ジレンマがあるようです。 ○北村(惣)部会長  文部科学省かどこか分からないが、漢字の簡略化として認められている字なのにワー プロでは出ない。 ○大江委員  そうですね。国語審議会の字体と日本工業規格の字体というのは違うわけです。 ○北村(惣)部会長  そういうところ、どうしようもない点もあるのかもしれませんけれども、事務局が対 応できるところはしてもらうということでよろしいですか。 ○柳澤委員  漢字で書かれていたに違いない「痙攣」にしても「癲癇」にしても、みんな平仮名に なっているわけですから、平仮名で書いて一向に差し支えないのではないか。山括弧で 「<攣>」を入れてもいいと思います。 ○北村(惣)部会長  ワープロでその単語が出ない場合は平仮名にしてはという意見がありますけれども、 これはマイナーだから事務局にお任せすることにします。  それでは、一応、今の御指摘いただいたほかに特になければ、明日一日、できれば午 前中ぐらいに、自分の担当部分を見ていただいて、どうしてもというところがあればI CD室長に御連絡いただくという形で御了解いただけますか。これは先ほどから何度も 申しておりますが、我々、専門の委員の主張する改正の趣旨を無駄にせずに、今度の改 正に含み込んでくれということで行っておりますので、間違いがある場合は我々の責任 という形にしたいと思います。  厚生労働省からは、WHO勧告に基づく改正と我が国の「法令改正等に基づく名称変 更」、ここまでは御異存ないと思うのですが、「医学の進歩等に対応した名称の変更」 まで入れていますので、この部分は我々の責任であるという形で、是非、今日と明日の 午前中までに、もし変更があれば御連絡していただくという形で、課長、室長、よろし いですか。 ○人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長  よろしくお願いいたします。 ○北村(惣)部会長  それでは、一応、告示案の98%ぐらいは御承認いただいたということで、明日までに 残りの2%を詰めていただきます。  それから、これができ上がった時点で、廣松先生が分科会長をされている統計分科会 に、この部会の検討結果の報告書を提出し、それから統計分科会からの社会保障審議会 への報告を経て厚生労働大臣へ答申し、総務省に提出するという手順を踏みます。部会 の報告書の表紙書きを先生方に見ていただくため、事務局から案を配っていただけます か。  配られた時点で、課長から説明をお願いします。                  (資料配布) ○人口動態・保健統計課長  北村部会長から廣松分科会長あての報告の表紙がお手元に届いたことと存じます。  その「記」にありますように、まず最初の前書きのところではICDとはという説明 をしております。第2段落でございますが、世界保健機関の最新の勧告の適用について 諮問されたところで、審議した結果、先ほど明日までに御確認いただけるということで 御了解いただきました、基本分類表(別紙1)、それから疾病分類表(別紙2)、死因 分類表(別紙3)。疾病と死因は基本分類表に関係してございますので、基本分類表が 直れば自動的に直るということで、これも改正して適用することが適当との結論をいた だいたとさせていただきます。なお、今回の適用につきましては、前回の部会において ICDの活用として御説明申し上げましたとおり、一部改正の適用とはいうものの、現 在、ICDの活用範囲が著しく拡大していますので、この部会の御意見といたしまして は、「適用について関係者への周知徹底には特段の配慮が必要」という御意見を書かせ ていただいています。これは部会長の御指示もあり御提案させていただいております。 よろしくお願いいたします。 ○北村(惣)部会長  ありがとうございました。ここの一番最後のところに、適用の関係者への周知徹底に 配慮するということがありますが、提要が出来上がれば、それが配られたらよいという ことですが、実際に改めますと、各学会あるいは日本医学会、日本学術会議等の対応が ありうるのではないか。それから、先ほど説明がございましたように、死亡統計等はこ の新しい形で18年から20年使われる。平成18年1月分の統計からこの新しい形で、名称 も先生方の提案された方向に変わっていくということになります。  それから、更にはDPCへの対応などにも変化がありますので、我々は大変重要な仕 事に関わっている。基幹になる分類であるという自覚をもって、是非、明日の午前中ま でに、繰り返しますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  何かこの表紙等々につきまして、先生方の御意見ございますか。なお、今日の検討結 果について告示をする際に、これを総務省との対応の中で一部どこかが変わる可能性は 否定できぬところがあるので、その点は各委員の先生方にも御了承いただきたい。よろ しいでしょうか。  本日、鳥生統計情報部長に御出席いただいており、この後、都合により退席されるの で、ここでご挨拶をいただきたいと思います。 ○統計情報部長挨拶 明日まで御検討いただくという前提ではありますが、本日の会議 をもってこの告示の関係はとりまとめるということでございますので、一言お礼のあい さつを申し上げます。  委員の皆様方には、御多忙のところをICD−10(2003年版)の日本への適用につき まして、本当に熱心に御議論いただきまして、統計分科会の報告として大筋御了解いた だきました。前回の部会から本日までの間に皆様方御自身の検討ということは勿論です けれども、それ以外に所属学会等の意見のとりまとめにも非常に御労苦をおかけしたと 聞いておりまして、重ねて御礼申し上げる次第でございます。  最終的な確認をいただいて、報告をとりまとめていただいたあかつきには、社会保障 審議会会長から厚生労働大臣へ答申をしていただきまして、事務局として告示改正の手 続を遺漏のないように進めさせていただくということにしております。  また、告示改正と対を成します疾病、傷害及び死因統計分類提要につきましても、い ただいた御意見をもとに全体版を作りまして、できるだけ早く刊行するように準備を進 めていきたいと思っております。  疾病、傷害及び死因分類は、広範な分野で利活用されておりますので、今回御審議い ただいた改正内容につきまして、関係各方面に、その適用に関する周知徹底を図ってま いりたいと考えております。  最後になりますけれども、委員の皆様方には、我が国における疾病、傷害及び死因分 類をよりよいものとするために、引き続き御意見、御協力を賜りますように改めてお願 い申し上げまして、私からのお礼のあいさつとさせていただきます。本当にありがとう ございました。 ○北村(惣)部会長  ありがとうございました。先ほど申しましたように、鳥生部長はここで別の会議のた めに御退席されます。どうもありがとうございました。                (統計情報部長退室) ○北村(惣)部会長  それでは、残り時間が1時間切ってしまいましたが、議題のその他です。先生方にい ろいろな御意見を賜ったわけですが、せっかくの機会でもございますので、ICDにつ いての問題意識、あるいはお気づきになったこと等の意見交換をさせていただきたいと 思います。  まずWHOの動向について、事務局より説明をお願いしたいと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、お配りさせていただきました参考資料の4と参考資料5で、現在のWHO 動向について若干御報告をさせていただきます。  参考資料の4、3枚紙の最後に「WHO−FICネットワーク」の図がございます、 現在、ICDをはじめとする国際分類ファミリーにつきましては、WHO本部に対しま してこのような委員会単位での活動となっております。各委員会につきましては、参考 資料の1ページ目から2ページ目に書いてございまして、簡単に御説明をいたします。 まず、企画実行委員会(Planning Committee)でございますが、ネットワーク、全体の 運用を担当しまして、委員長と直近の開催国センター長、次回開催国センター長、次々 回開催国センター長、それから5つの委員会の委員長等によって構成されております。 本年は、日本でセンター長会議や、ネットワーク会議の開催国でございますので、我々 も企画実行委員会に関与しております。  それから、国際分類ファミリー拡張委員会(Family Development Committee) につき ましては、これは各分類が全体としての整合性を保っている、確保できるように、ある 分類をWHO−FICに加えるかどうかの基準を設け、新たにWHO−FICに参入す る分類についての審査等を行う。それから各分類の改訂方法についても勧告を行うとこ ろで、この国際分類ファミリー全体の進み具合を監督するところでございます。  それから普及委員会(Implementation Committee) ですが、これはWHO加盟国にお けるWHO−FICの導入・普及を図る。つまり、途上国等ではまだICD等適用でき ていないというところもございます。例えば、ICDの統計が一番必要な国、死亡率が 高い国ほどデータがないということをインフォメーション・パラドックスと呼んでおり ますが、そういったことに対して普及・導入を図ることを目的とするものでございまし て、ICDとICFの2つに分かれて活動しております。  それから教育委員会(Education Committee)ですが、このICD等の分類は、個別の データを単純に分類できるようなものではなく、その分類は複雑なルールを理解し、経 験をつむことが必要で、医学的な知識も必要とするなどコーダーと言われるある程度ハ イレベルなマンパワーを必要とするところでございまして、そういった教育のレベルを 確保するための委員会でございます。  それから分類改正委員会(updating and Revision Committee)というのは、このWH O−FICの各分類のアップデート(一部改正)等の必要性を評価して、改正の作業に 携わるというところでございまして、今回のICD−10のアップデートにつきまして も、中核的な役割を果たしているところでございます。  それから下部部会につきましては、死因分類改正グループというのを作っておりまし て、死因に関するコーディングのルール等の明確化や変更といったものも行っておりま す。  最後に、電子媒体委員会(Electronic Tools Committee)ですが、これはWHO−F ICの各分類の電子化の企画実施等を目的とした委員会でございます。  それから参考資料の5に移らせていただきまして、本年WHO−FICネットワーク 会議が東京で開催される予定になっております。平成17年の10月16日から22日にかけて 1週間、高輪プリンスホテルでWHO主催、社会保障審議会統計分科会が共催というこ とで開催します。事務局は統計情報部でございます。参加者はWHO、協力センター、 日本、そして世界各国からのオブザーバーということで、昨年度はアイスランドのレイ キャビックで行われました。約100 名の参加がありました。内容につきましては、全体 会議及び各委員会においてICD等に関する技術的諸問題について専門家による意見交 換を行うとともに、WHOへの提言をまとめるということで非公開、クローズドセッシ ョンになっております。なお、会議報告は、WHOのホームページ上に公開される予定 でございます。  国際疾病分類について若干経緯を説明させていただきますが、国際疾病分類は、1900 年(明治33年)に国際統計協会により人口動態統計の国際死因分類として制定されて以 来、医学の進歩や社会の変化に伴い、ほぼ10年ごとに修正が行われております。  第2次大戦以降は、WHOの所管となり、世界保健憲章に基づいたものとなっており ます。また、大戦後の1948年に行われた第6回修正において、「死因の分類」から「疾 病、傷害及び死因の分類」とする配慮が行われまして、準則を設け原死因の取り方を国 際的に統一するとともに、死亡診断書の様式を統一するなどの大修正により、今日の分 類の基本的な形がつくられております。そして2001年からは、ICDと「国際生活機能 分類」、これはICFと呼んでおりますが、これを中心としてその他の関連分類をまと めまして、「WHO国際分類ファミリー」(WHO−FIC)となっております。  1979年から毎年10月に協力センター長によるセンター長会議が開催されておりまし て、2003年以降は協力センター以外の国も参加できるようになっております。名称もW HO−FICネットワーク会議に変えております。そして現在12ある協力センターを中 心とした専門家による定期会議が、協力センター国の持ち回りで開催されております。  日本につきましても1979年から毎年参加しており、また過去2回開催国となっており まして、今回が3回目でございます。  以上でございます。 ○人口動態・保健統計課長  私の方からもう一つ情報でございますけれども、現在、疾病、傷害及び死因の分類 は、幅広く電子カルテ、DPC等に使われており、どのように連携することが考えられ るかという問題意識から、厚生科学研究の一環として、関係者による意見交換の場とい うのを設けたいと考えており、手続を進めているところでございます。ここで皆様から いろいろ御意見をいただいきたいと存じますが、部会長からも御発言がございましたよ うに、この会議は公開会議であり、御発言は、議事録としてホームページ上で皆さんに ごらんいただくということもありますので、問題意識の共有を図ることができればとい う観点で御発言いただければありがたいと思います。 ○北村(惣)部会長  先生方から感じておられるところなどをお伺いいたします。ただ今ご説明がありまし たWHO−FICネットワーク会議、日本はオブザーバーという位置づけですけれど も、10月に日本でその会議がとり行われるということも御紹介いただきました。 ○山本委員  WHO−FICネットワークの御説明がございましたし、また今年秋、日本でその会 議が開かれるわけですけれども、WHOとICDにつきまして日本で行われている活動 について、御説明させていただきたいと思います。  先ほどコーダーという話が出ましたが、ICD−10のコードをつける専門家、コード スペシャリストをコーダーといっていますが、日本では、疾病については「診療情報管 理士」という名前で登録されていまして、これは日本病院会を中心とした4つの病院団 体でその認定をしております。実は、30年前からこの「診療情報管理士」の養成を日本 で行っておりまして、現在その認定を受けた人が既に1万人を超えています。ICD− 10のコードをつけることができるということを認定している。そしてこの人たちが、3 枚目のWHOの教育委員会で日本の教育システムを発表したところ、それが非常に高く 評価され、それを契機に教育委員会でいろいろな問題を検討する中で、国際的な認定制 度を作ろうか、コーダーについて国際的に共通するレベルにあるという認定資格を作ろ うか、という話が出てきている。  そういうこともあって、日本で今まで1万人以上の人を育ててきた実績が認められた と考えており、是非ここに何らかの形で関与していきたいと考えています。日本ではコ ーダーの教育システムがきちんとできています。通信教育と大学と専門学校で教育をし ています。そして教育内容もカリキュラムがきちんとしており、それから日本では本日 の部会のようにドクターが関与していることが非常に強い。一般的に他の国では見られ ないのですが、日本ではドクター、看護師にこのICD−10のコードスペシャリストの 資格を持っている方がかなりいる。そのこともあって診療録管理学会というのがあり、 そこで更に生涯教育や指導者の養成もやっている。一連の教育の中で実務的なこともと りあげられていますので、WHO−FICネットワークの教育委員会への対応だけでな く、新たな分類の見直し等にもお役に立てるような環境が日本にはあります。例えば低 開発国でICDもまだ行っていないところが実際にコーダーを養成するのに手を貸すと いった国際貢献ができるのではないか。何らかの形でICDの問題に国際的に関与して いくというのは非常に大事ではないかと思います。提案というか、意見をいわせていた だきました。 ○北村(惣)部会長  ありがとうございました。ここにおられる先生方はどなたも感じられると思うのです が、WHOの会議を日本で開催し、日本はオブザーバーという位置づけであります。国 連安全保障理事会の常任理事国になるわけではないけれども、こういう組織の中に入っ て、今おっしゃられたような教育委員会の運営を行わせるには、誰がどのようにしたら いいのかというようなところはどうですか。私もよくわからないけれども。日本学術会 議は貢献できませんか。 ○黒川委員  WHO−FICネットワークのメンバーには何か任期があってローテーションしてい るのですか、あるいは国連のように常任理事国みたいになってしまっているのか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  この組織図にはWHO本部とありますけれども、実際にFICを担当している部局と いうのは、ある特定の10名ぐらいのグループであって、WHO全体からいうと、数十分 の一ぐらいの規模のところです。 ○黒川委員  各国の協力センターというのはローテーションするのか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  協力センターとは任期があって任命されるというよりも、WHOが各国の専門家に声 をかけて集まっていただいているという感じでございます。委員長に関しましては、企 画実行委員会で皆さんの同意を得て委員長が代わることはありますけれども、明確なル ールとか任期がある形にはなっておりません。 (注:各委員長の任期は再選を許して2年とされている) ○黒川委員  協力センターについては、ドイツは2003年からだけれども、その前はいつからやって いるのですか。 ○人口動態・保健統計課長  ドイツと日本は最初からオブザーバーでずっと参加してきております。2003年にドイ ツとオランダの共催でドイツにおいてネットワークの会議を開催しましたが、もともと そういう意図があったとのことです。補足でありますが、日本はオブザーバーといって おりますが、日本はICD−1から適用しており、政令の形できちんと国内で国際基準 に準拠して適用しております。ですから、機能としてははっきりいいまして協力センタ ー以上かもしれません。ただ、私どものICDに関する窓口、これは前回も御説明申し 上げましたが、大臣官房の統計情報部ICD室で担当しているという事情があります。 政府の直接の政策担当部局で、しかも大臣官房でございますので、従来よりオブザーバ ーという形をとらせていただいております。部会長がいわれるように、現在の形よりも っと何かいい形という御意見もあろうかと思いますが、今はそういう考え方でやってい るということです。十分、ICDにかかわっていると思います。 ○黒川委員  国によってその窓口が違うところが結構あって、大学がもとになっているところもあ るし、パブリックフェースのところが窓口になっているところもあるし、役所がやって いるところもある。マンパワーも国の組織によって違うと思うので、それはそれでいい が、日本はWHOの出資金の何%出しているのか、幾らぐらいか。  国連に日本は出資金の19.5%出しているが、安全保障理事会の件もそうだけれども、 戦略が全くない。各省庁がやっているからそういうことになる。本日のG8サミットで アフリカに援助金を出してくれという話になると、日本はこれまでいろいろ援助してい るのだからアフリカに出しましょう、その代わり国連の19.5%の分担金の1%を削って アフリカにやります、というぐらいの戦略を考えていた方がいいのではないか。そうす ると、日本の国連安全保障理事国入りなど、アフリカの国はみんな賛成するに決まって いる。そういうことは各省庁が考えているから、国家的な戦略という意味でろくなこと がないのではないか。今度のG8サミットを前にして、日本学術会議をはじめG8各国 の学術会議(アカデミー)とアフリカ学術会議ネットワークは、6月8日に共同声明を 出したが、知っているか。知らないでしょう。予算がないことでやっていることという のは結構たくさんある。  日本学術会議は英国王立協会(ロイヤルソサエティ)と一緒になって、6月7日の朝 10時に英国王立協会(ロイヤルソサエティ)で声明を発表したが、それは当日、ブッシ ュ大統領とブレア首相がアメリカ・ホワイトハウスで会うことがわかっていたので、そ の前に出しておこうとした。その結果、アメリカの全米科学アカデミー(ナショナルア カデミー)も署名している。中国とブラジルとインドも学術会議(アカデミー)が署名 しているが、そのことがイギリスのメディアにはずっと出ていて、昨日一昨日もブッシ ュ大統領はここまではサインするかなという話にもっていっている。そういう全体の動 きがWHOに対してもすごく大事だ。日本の出資金は何%なのか。つまり、出資金を国 のビジョンや、政治に戦略的に使わなくてはいけないのだが、国連に19.5%負担してい る割に、余り何もいっていないのではないか。 (注)本声明は、日本学術会議のホームページに掲載(http://www.scj.go.jp) ○人口動態・保健統計課長  WHOの正確な数字はわかりません。国連に準じた程度だということだそうです。 ○黒川委員  20%出しているのか。 ○保健統計室長  10%後半だと思います。 ○黒川委員  エイズとか、日本としていろいろなことをやれるのではないか。 ○保健統計室長  WHOへの拠出は大臣官房国際課が担当しております。 (注)2005年のWHOへの日本の分担率は、19.5%(8,354万ドル)アメリカの22.0%に 次ぐ世界第2位。なお、日本はこの他に任意拠出金(1,066万ドル)を負担している。 (厚生労働白書) ○黒川委員  国家ビジョンの問題だから、国際課ではいろいろやることは難しいに決まっている。 どう使っているのか。中国の国連の分担金は1%程度ではないか。 ○保健統計室長  あまり多くないと思います。 ○黒川委員  ソ連も2%くらいではないのか。どうして分担金を活用しないのか。そういうところ に、今行き詰まりが来ている。つまり、日本には国家のビジョンも戦略もない。そこに 問題があるのではないか。20%の拠出金をどう使うかは、厚生労働省はできない。そう いうことは政治力の問題だから。そういうビジョンがなさ過ぎるのではないか。あなた たちに言ってもどうしようもない話だが、大臣や官邸に言う必要がある。 ○北村(惣)部会長  この分類そのものがおかしいのではないかという意見も委員からでている。つまり、 WHOのICD−10(2003年版)そのものの分類がおかしいのではないかという意見が ないわけではない。そういうところ、どのように日本の意見として言えるか。 ○山本委員  これは先生方よく御存じの話なので、改めて説明は要らないとは思いますけれども、 ICD−10というのはもともと死因分類として作ったものですが、それを疾病に応用す るようになり、ICD−10ではかなり臨床的になってきた。ICDのベースは病理の変 化なのです。病理的な分類なのです。だから、臨床の病名の分類とは最初は大きく違っ ていたのですが、改訂を重ねるうちに大分近づいてきて、ICD−10になると臨床的に も使えるようになってきた。ICDは国際分類ですから、日本だけで変えようというの は無理な話です。今、医学の進歩があってICDは臨床と合わないというのは確かだと 思います。もし日本だけで臨床に合わせようとすると、例えばアメリカではICD−9 CMといってClinical Modification というのを作っているのと同じように、日本でI CD−10のJapan Modificationというものを作るか作らないかという話になるのだろう と思います。 ○北村(惣)部会長  日本の発言権がしっかりあれば、WHOのICD−11を作るところに、この分類はお かしいという意見を出して承認させることができる。20%の出資金を出しているならや ってはどうか、という考えに対してはどういう御意見ですか。 ○黒川委員  日本の学会とか医学会の委員が出ていっていない。だから、医学会全体の意見は一致 しているというコンセンサスを作っておかないと、厚生労働省も大変だ。そういうこと ではないか。 ○北村(惣)部会長  そういうことも将来像として考えていくというご意見ですね。本日は御欠席になって おられますが、名和田委員から意見書が届いていますので御紹介していただきます。そ の後他の先生方から御意見があればいただきたいと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、今日御欠席されています名和田先生から事前に意見交換の場における御発 言をいただいておりますので、御紹介させていただきます。  1.今回ICDを精査したところ、やはり医学的に不適切と思われる用語がまだ多数 含まれている。その中にはそもそもICD本体の英語表記自体によるものも多いと考え られる。例えば、現在は「インシュリン依存性糖尿病」とはいわず「I型糖尿病」と呼 んでいる。しかし、ICDの英語表記は依然として「Insulin dependant 」となってい る。  2. このようなICD本体の不適切なところについては、今後日本としても積極的に 関与し、改善する方向での検討が必要だと思われる。  3.昨今ICDは汎用性が増してきており、今後も国際標準としてますます重要性が 高まるのは間違いないので、その改善に向けて我が国が一定の貢献を果たすのであれ ば、私としても厚生労働省の求めに応じ引き続き尽力したいと考えている。  以上が名和田先生の御発言要旨でございます。 ○北村(惣)部会長  この御意見が今の皆さんの意見の代弁というか、集約的な御意見ではないかと思って 御紹介させていただきました。こういうことだけに限らず、ほかにお気づきになったこ とがございましたら。あるいは厚生労働省から、WHOそのものに影響力をもっていく ことについてどうですか。WHOの組織も医師は結構少ないので、医師の意見を日本か ら強く出して、いい分類法に変えていくということが考えられるが、誰がどのようにし ていったらよいのか、お考えでもあれば御披露していただければ。 ○黒川委員  日本医学会かどこかが常に分類についてチェックしていけばいいのではないか。 ○北村(惣)部会長  誰がするかというと、日本学術会議か、日本医学会か、総務省か、厚生労働省か。 ○藤原委員  厚生労働省内でICDに関連している医政局、保険局等々と共通の認識を持っていた だいたかどうかについて説明してほしい。 ○人口動態・保健統計課長  藤原先生がおっしゃっているのは、医政局は電子カルテあるいは電子レセプトによっ て、保険局はレセプトとDPCによって、直接このICDに関わっており、前々から連 携すべきと言っているがどのようになっているのかというお尋ねかと思われます。今 回、このICDの告示のとりまとめにつきまして、皆様方からいただいた御意見等々に つきましても、あるいは現在の動き等につきましても、医政局や保険局等と連絡のため の打ち合わせをもちまして、こういう動向にありますということは、常に連絡しており ます。また、情報を交換して、関係部局からの情報をもらい、合意を図りながら進めて いるということでございます。今後もまた、そういう連携を図っていこうと考えており ます。 ○黒川委員  ICD室長のポストは、着任した方がずっとキャリアを積んでいくのか、それとも 2、3年すると代わるのか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それは人事に関する話なので申し上げにくいのですが、ICD室長に着任した方は 2、3年単位で交代しています。 ○黒川委員  責任をもって何かをやろうとするよりは、役所の仕事をこなすということにどうした ってなってしまいますね。 ○北村(惣)部会長  最新の医学を知っていて、WHOの委員会で堂々と意見が言えるだけの知識が必要で す。 ○黒川委員  そこをサポートするグループ、日本医学会などが作っておいてはどうか。ICD室長 のポストは、そのグループから来る人が着任するとしておけばいいのではないか。 ○北村(惣)部会長  そのようなことはやっておられるのですよね。 ○黒川委員  行政がやっているから、やっていないです。日本医学会の代表の人が座っていれば。 ○藤原委員  それを(日本医学会のサポートグループを作る)厚生労働省の幹部に言わなきゃだめ ではないか。 ○黒川委員  だから、日本医学会の方が、そういうことを一生懸命やろうという話になってくれ ば、だんだんそうなってくるのではないですか。 ○北村(惣)部会長  最近、日本医学会の用語委員会では、ICD−10をどのように取り込んでおられるの ですか。 ○大江委員  医学会の用語委員会としての発言ではなく、私の個人的な印象ですけれども、恐らく 歴史的な経緯もあって、用語管理委員会では、どちらかというと用語の表現を標準化す ることに主眼が置かれていました。 ○北村(惣)部会長  カルテ業務ですか。 ○大江委員  必ずしもカルテというわけではなく、カルテ以外のものもあります。医学全体におけ る用語です。ただ、ICD−10のような分類体系について一定の考え方を示すとか、日 本医学会としての分類体系を策定するようなミッションは全く持っていません。ただひ たすら用語が並んでいるだけです。  これから2010年以降には、ICD−11の策定というのも表面化すると聞いていますけ れども、私の個人的な意見としてはそれまで待つのではなくて、今のICD−10を臨床 上、あるいは医療保険の制度上、活用していく傾向が強まっている中で、臨床的な視点 を大幅に取り入れた分類体系に変えていくということ、日本オリジナルのバージョンを 持つということが非常に大切だと思っています。 ○北村(惣)部会長  日本バージョンが要るということか。 ○大江委員  そうですね。ICD−10の「Japan Modification」にするのか、それとも「Japan Clinical Classification of Diseases」 というものをつくり上げるのか、考え方は2 つあると思います。ただ、どっちを作るにしても、ICD−10をベースに修正すべきと ころは修正する、あるいは詳細化すべきところ詳細化してつくっていくということにな ると思うのです。日本医学会の中に、そういう分類体系をつくる専門の委員会を組織し てそこが作っていく。そういう分類体系を持っていると、ICD−11などに向けたWH Oの中の動きに、日本として発言しやすいのではないかと思っています。そういう体制 が、現在、日本医学会の中には恐らくまだできていないと感じているのです。  個人的な印象ですけれども、WHOのFICのネットワーク会議に出て、個別の表現 でここは変えてほしいとか、ここの分類はおかしいとかということを、勿論言う必要は ありますけれども、大きな流れについては、全体の体系をどう変えていくのかというポ リシーを決めた上で個々のことを発言しないと、なかなか取り入れられにくいと思いま す。 ○北村(惣)部会長  各国が作ったModificationは、ICD−9CMとか言っていて、WHOでまとめてI CD−XMと言っているものだね。 ○疾病傷害死因分類調査室長  はい。 ○北村(惣)部会長  我が国にそういうものが必要な理由はどういうところにあるんですか。日本バージョ ンが要るというのは、それはWHOの分類が不十分、不適当だからか、あるいは日本独 特の何か別のものがあるからですか。 ○大江委員  日本独特のものがあるということではなくて、臨床医学上の分類が十分反映されてい ない部分がかなりあるということと、それからもう一つは、改定のスピードが遅いの で、1990年の頃に議論され、存在していた分類のままであり、今も1990年頃の分類体系 で残っているものがあるということではないかと思います。 ○黒川委員  でも、WHOに日本の意向を反映させるには、WHOの加盟国に案を提示していくプ ロセスで、WHOも結局根回しによる仕組み(ビューロクラテイックなシステム)にな っているから、加盟国に念を押しながら案を提示していったときに、その案が通るため にはその支持者(サポーター)を多くするようにしなくてはいけない。そういうときに は、結局、会っていて信頼関係が持続するのは個人の顔とその人の信用だから、2、3 年で代わっている人が窓口だとなかなか難しい。日本の意向を反映させる気があるのか どうかというのは、医学会の関連の人たちがやるのかどうかという話にしないといけな い。それが、厚生労働省にお願いしますと言っているようでは、最初から話にならない と私は思ったのです。 ○勝又委員  こういうふうに各学会の方々が集まってICDの分類をどうしようかという話は、前 回のICD―9からICD−10に改訂した、1994年にはあったかもしれないですけれど も、多分ずっとなかったと思います。だから、各学会の方々が集まるという継続的な対 応を全くしてこなくて、今回突然集まっているというのが実態です。死因分類、あるい は死体検案書、死亡診断書をどう作っていくのかというのは、非常に重要なことです。 こういう実態を反映して、ICD−10のいろんな分類というのは、現実に医師が書く死 亡診断書とか、死体検案書に反映されていないというのが実情だと思うのです。それを 取り持つのはコーダーといわれる方で、実際に出ている死亡診断書の病名をコードとし てはどうするのだということをいろいろ御検討していただいている。  だけど本当はもう少し使いやすいものが順番にでき、そしてそれが効率よく分類に反 映できるように次第にもっていくということが大事です。こちらが医学会としてもって いるのも重要なんですけれども、これからはICD−10そのものに対して積極的に関与 していく必要があるのではないでしょうか。ですから、今御議論されているように、今 は窓口が厚生労働省にあって、学会は案外関与してこなかったということがあるので、 ICD−10に対応するために医学会、学会をうまく組み込んだ仕組みをつくって学会が 継続的に関与していく。それから、これからのビジョンですけれども、日本がオブザー バーでいると積極的に関与していくという姿勢が見えないので、ビジョンとしては、近 いうち、オブザーバーではなくて正式なメンバーになってきちっと対応するんだと、こ ういう考えをそろそろ打ち出していく必要があるのではないですか。そういうビジョン があれば、実際にどう対応するのだという問題になるので、何らかのワーキンググルー プなりを作って、医学会、学術会議等々と御相談いただいてどうするかというのを、こ れを機会に考えていくというのはどうですか。また10年後にこのように学会の方々を集 めてというのでは、とてもではないけれども、ビジョンとして寂しいので、是非お願い したいと思います。 ○北村(惣)部会長  大変貴重な御意見を黒川、勝又委員からいただきました。 ○藤原委員  先日、大江先生がお話をされたかどうだか、記憶がしっかりしないのですが、もとも と統計分類のためのもので目的の違うICDを直接臨床に使う(DPCに使う)のは日 本だけだと確かおっしゃっていました。((注)平成15年6月28日疾病、傷害及び死因 統計分類専門委員会議事録参照)しかし、よく考えると、視点が違うだけであって、世 界を見渡し、ICDを、特に死因や病気の統計分類の問題だけではなくて、いろいろな 病態等も含めて扱うものとして、今の医学というレベルの目でみると、統計分類用と臨 床用が一緒にならざるを得ない。日本が今2003年版の適用を検討しているやり方で進め るのであれば、2003年版の一部改正に続いて話を進めて、臨床の視点からこうであると いうことを提出して、WHOにICD−11は日本のものに従って行えと、このぐらいの 発言はするべきだと思う。アメリカはアメリカ、オーストラリアはオーストラリアで臨 床用に、独自のものを持って使っていますから、外国に「どうぞ作ってくれ」と言って も作ってはくれないのです。だから、もし本当に統計分類と臨床を一緒にするという視 点で進めるというのであれば、日本ではこの2003年版の検討の後も積極的にどんな委員 会でも結構ですから作って、組織立って検討を進めて、ICD−11はこれでやりなさい とWHOに言う。そうすると、結果として日本は常任理事国になるのではないですか。 ○黒川委員  話は違うが、ICDを死亡診断とか、統計にすぐつながるように使っている国という のはどのぐらいあるのですか。死亡統計を出すのに使っている国はあるのか。 ○人口動態・保健統計課長  もともとこのICDというのは、WHO加盟国が死亡統計と疾病統計をWHOに報告 するための統計分類の標準ですので、日本も当然、このICDに従って死因をとり、年 報等を報告しています。この死因は私どもの課で行っております。世界各国もこれによ って行っておりますが、先ほど少しありましたけれども、WHOの加盟国は約190 ヶか 国ありますが、死因統計をICD−10の形できちんと出している国が約110 ヶ国、残り 80ヶ国は、ICD−10で出せず、そもそも死因統計そのものがとれないところもあると いう状況にあるということです。 ○黒川委員  日本はどうなのか。 ○人口動態・保健統計課長  日本は、勿論ICD−10に基づいて、2003年版はこれからの適用ですが、きちんとW HOに報告しております。私どもの人口動態・保健統計課から報告しております。 ○黒川委員  日本の死亡診断書が、そういう統計に反映しているということか。 ○人口動態・保健統計課長  そうです。先ほどの先生の御発言のように、死亡診断書がございます。その死亡診断 書に先生方に実際に疾病名を書いていただき、その内容を、私どもの課で読み取りまし て、具体的な細かい分類は提要第2巻を見ながら、提要第1巻にある具体的なルールに 従ってコーディングをします。最終的に先ほど御議論いただいた告示の分類1万4,000 に振り分けた統計を作ります。 ○黒川委員  厚生労働省で死亡診断書から電子情報をもう一回作っているのか。 ○人口動態・保健統計課長  私どもで作っております。 ○黒川委員  100 万人死んでいるのだから、死亡診断書を作るときにクリックして情報を作るわけ にはいかないのか。 ○人口動態・保健統計課長  年間に約100 万人です。 ○黒川委員  電子何とかいろいろやっている割には、死亡診断書を作る時に情報を入力するという ことはないのか。 ○人口動態・保健統計課長  現在はそういう形にはなっておりません。少なくとも事務手続のことだけを申し上げ ますと、そうなっていないのです。 ○黒川委員  情報を普段から電子データで入れるようにすれば、死亡診断書から情報を写す人件費 も減らせるのではないかということをいっているのだが。 ○飯島委員  今、亡くなった方の話をされていましたが、生きている方の話です。山本先生の話と も関連するのですが、保険局医療課との話がどうなっているかということです。生きて いる方について、今、包括医療をやっているものですから、否応なしに病院でICD− 10のコーディングをさせられています。私は特定共同指導に行く立場のメンバーの一人 ですけれども、指導に行ったとき、診療録管理士のいない病院では、医者が否応なしに ソフトウェアでICD−10のコーディングをさせられています。データを出してみると 4桁目全部が「.9」という分類(○○○.9)で、詳細不明のものがゴロゴロ出てく る。極めて不適切なコーディングがされている。僕はICD−11の話をしているのでは なくて、ICD−10を日本国内でもっと有用に活用するようにしてはどうか。今、黒川 先生がコンピュータでクリックすれば便利になるというお話をされましたが。実際には クリックして使うソフトがいかにお粗末かを実感しております。 ○黒川委員  利用者に親切には作らないから。 ○飯島委員  医師の認識が極めて不十分であるので、むしろ診療録管理士をうまく活用するシステ ムを厚労省全体として取り組んでいただければいいのではないかということを実感して おります。  以上です。 ○石名田委員  底上げということで言いますと、各学会の用語委員会が、用語集の用語の1つ1つに ついて、これはICDの幾つに相当するものだということを検討しながら、ICDを付 記していっていただくというようなことをまずやってもらえば、各委員の先生がICD というものを意識しだす。そうすると、用語集を見た会員の先生方が、これは一体何だ という疑問が出てくる。そして更に底上げができて、これはおかしいのではないかとい う声もどんどん上がってくる。大江先生も黒川先生も活躍しやすくなるのではないかと 思います。その辺はまた御検討をいただくということでいかがか。 ○大江委員  ソフトウエアの話は置いておいて、WHOのICDの基本的なニーズとして、各国の 国際的な死因の統計に使うということがあります。そのスタンスでの分類体系というの は、今後も維持せざるを得ないと思うのです。一方で臨床の現場で、さきほど生きてい る方といいましたけれども、臨床の患者さんの診断名の体系というのは、国際的に共通 分類で死因統計をとりたいといったときの分類体系と完全に同一にできることはあり得 ないというのが基本的な考え方でないといけないと思うのです。それを無理やり、どっ ちかをどっちかに合わせようといっても、これは無理なのです。勿論、共通の部分もか なりありますけれども、どうしても共通にできない部分があるわけで、そうなると、臨 床でもICDをそのまま使うというのではなくて、臨床で使える分類体系というのを、 ICDをベースにして、修正してもたないといけない。ただし、それで臨床の分類を作 ったときに、きちんとICD−10に、あるいは将来のICD−11に対応づけられるとい う仕組みが維持できるようにしておかないといけないということだと思うのです。 今はそこができていないので、ついついICD−10をそのまま無理やり臨床でも使うは めになっていて、検索ソフトは、幾ら検索してもうまくいかない。そもそもそれはソフ トが悪いのではなくて、ICD−10のコーディングルールを知らない人が使っているの ですからやむを得ない。そういう現状だと思います。 ○黒川委員  僕が言っているのは、こういう話では、国際協力(インターナショナル・コラボレー ション)とか、比較をするために、ある程度自分の国のものとは整合性がなくてもやら なくてはいけないものでしょう。国連(ユナイテッドネーションズ)と同じなんだと。 何だかんだといっても、結局アメリカは独自にイラクに派兵するとかいうことがある。 それをどうやって協力させるかという方が先進国としては大事なのではないかというこ とをいっているだけの話である。こういう用語の分類(classification)は問題がある かもしれないけれども、医学会の医者の方々がこういうふうにしましょう、何々学派と 何々学派はある程度違うかもしれないけれども、その辺は合わせてやる、というのは結 構大事なのではないかなと思っているだけの話である。日本流がこうなのだから、世界 各国に、さあ、みんなどうだというほど世界的に信頼されているかどうかというのは、 また別に考えた方がいいのではないか。 ○北村(惣)部会長  DPCにICD−10を使っていますね。だから勿論、今回の一部改正に対応すると思 うが、アメリカのDRGというのは、ICD−10は全然使っていないのではないか。ア メリカのDRGの分類はアメリカの疾病分類で行っているのですか。 ○黒川委員  あれは国内の保険制度の問題です。 ○山本委員  アメリカではICD−9CMというものがあり、基本的にはICDに準じているので すけれども、アメリカは毎年ICD−9CMを改訂していますからICD−9とかなり 違ったものになってしまった。それで、ICD−10になったときに、ICD−9CMを かなりICD−10に合わせたのです。今、そんなに大きな違いはないのですけれども。 (注)アメリカではICD−10をもとにしたICD−10CMを近年に導入予定。 ○北村(惣)部会長  我国の包括払いのDPCに、ICDを入れていくことに反対の方はおられるのです か。そういうものに無理やり合わせておかしいのではないかということですが。反対の 方はおられない?おられませんね。  DPCは全部で9桁あり、その中の4桁にICD−10に対応したコードが入ってい る。初めの3桁目から。そのように取り込まれている。それともう一つ、先ほども言っ ていましたけれども、医師が書く死亡診断書は、書き方もいろいろある。何がプライマ リーの疾患(ディズイズ)かという見本も書いてございますけれども、それによって医 師自らがICDコードをコーディングさせるということを義務付けたら、医師たちはこ れに精通しますね。それは難しいのですか。 ○山本委員  なかなか難しい話です。例えば、今いろいろな病院でやっていますけれども、医師が サマリーに病名を付けてきます。それをそのままコーディングしたら、疾病統計はめち ゃくちゃになってしまいます。 ○北村(惣)部会長  勿論それはICDの専門家が調整しなければいけないけれども。 ○山本委員  ドイツの場合、DRG的なものを導入したときに、自分の専門分野の疾患については 医者自身がコードを入れなくてはいけないというルールを作った。ドイツの場合は、自 分の専門分野だけに関してですが、進歩した部分があります。 ○北村(惣)部会長  しかし、専門の方以外には確かに大変弱い分野だと思います。学会が出している分 類、疾患、名称の本にもICDを取り入れていない学会は非常に多い。ICDは全く関 係ないという形になっている学会もある。例えば、循環器学会は取り入れていないです ね。永井先生、ICDは入っていないですね。ICDに医師を慣らすには専門分野の疾 患は自分でコードするというシステムを組み込めばそういうICDを取り入れた本もで きるし、本もよく売れるかもしれません。 ○人口動態・保健統計課長  医師へのICDの周知ということでございますが、私どもの方で、「死亡診断書の記 入マニュアル」という本を、医政局と私どもの共同を作っておりまして、新医師臨床研 修制度で死亡診断書の書き方が必須化されたこともあり、新医師臨床研修を行っている 病院等にはこの本を配って、新医師の方には、死亡診断書の書き方を学んでもらう。こ の本にICDの紹介もありますが、別に「ICDのABC」という本があり、これは私 どもの方から配らせていただいています。死亡診断書の書き方等もこの本の中に、入っ ておりまして、関係しているものなのでよろしくということで、配らせていただいてい ます。 ○北村(惣)部会長  ICDの研修を義務付けてはいないけれども、紹介はしているということですか。 ○人口動態・保健統計課長  新医師臨床研修制度の中で平成15年から必修科目の中に死亡診断書の作成が入りまし たので、必然的にICDの方についても研修していただいていると思っております。  それから先ほどの部会の報告の中に、広く周知徹底するようにという記述があります ので、今回は新医師だけではなくて、既存の方にも、できるだけ広く、死亡診断書の書 き方も含めて御紹介させていただくように考えたいと思っております。 ○北村(惣)部会長  わかりました。  そろそろ時間になりましたが、こういった会議を継続させるとことも重要であるとい う勝又先生の御意見もございましたし、ICDに関する御意見は、開いていただきまし たメールを残しておくということでございますので、意見を寄せていただきたい。講習 を持てとか、開けとか、あるいは、もうちょっとこうしていただきたいという御意見が あれば、いただきたいというのが事務局の方の希望でございます。  それでは、ほぼ時間になりましたが、どうしてもという方がいらっしゃいませんでし たら、最後に事務局の方からの連絡事項と御挨拶で終わらせていただきたいと思いま す。 ○人口動態・保健統計課長  今まで大変貴重な御意見等を賜りましてありがとうございました。それから、告示の 関係につきましては、先ほど部会長の方から御整理いただきましたとおり、報告という 形では今回の会議で了解をいただきまして、明日までの間で特に御意見等がございまし たら、ICD室長の方に御連絡をお願いしたいと思います。 ○人口動態・保健統計課長  先生方には、今申し上げました告示に関する御意見等は、明日までによろしくお願い いたします。それから途中で御説明させていただきましたが、提要に関しましては、参 考資料1と2で本日、委員の皆様に限ってお配りさせていただきましたが、全体版を7 月末を目途に私どもで作りまして、皆様方にお送りさせていただきますので、それを御 確認いただければと思います。申し訳ございませんが、引き続きのお願いをさせていた だきますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○北村(惣)部会長  全体版というのは。 ○人口動態・保健統計課長  第1巻と第2巻の変更部分です。 第1巻と第2巻が 7月末目途で全体版ということで お送りさせていただきます。それから第3巻の、いわゆる索引につきましては、時間が かかりますので、年内目途ぐらいに全体版を作って、またお送りさせていただき確認を していただいて、来年の4〜5月ぐらいには刊行したいと考えております。また引き続 き御協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次回の部会の開催につきましては、また、部会長とも御相談の上、改めて御連絡をさ せていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。 ○北村(惣)部会長  それでは、もし告示案について訂正等がありましたら、医師側の責任において発行さ れますので、是非、明日の午前中までにお願いしたいと思います。どうもありがとうご ざいました。                                      以上 照会先:厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態保健統計課     疾病傷害死因分類調査室(03-5253-1111内線7493)