05/07/07 第2回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会議事録           第2回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会                         日時 平成17年7月7日(木)                            15:00〜                         場所 明治記念館2階「紅梅」 ○事務局  定刻になりましたので、加藤委員と佐藤(章)委員が遅れているようですが、第2回 の妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会を開催いたします。本日ご出席の委員の先生 方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。本検討会 はご覧のとおり公開で行うこととしておりますが、もしカメラ撮りをされるマスコミの 方がいらっしゃいましたら、議事に入る前までとしますのでよろしくお願いします。本 日は石井委員と吉川委員が欠席です。前回は1月に開催しましたが、今年4月に人事異 動があり、事務局側の安全使用推進室長が山田に代わっておりますのでご案内させてい ただきます。  それでは議事の進行をお願いいたします。 ○佐藤(郁)座長  ただいまから第2回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会を開催します。皆さん大 変お忙しいところをお集まりいただきありがとうございました。  まず事務局から本日の資料の確認をお願いします。 ○事務局  委員の先生方のお手元に「第2回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会」という題 名で日時、場所、議事次第を書いた1枚紙と、委員名簿と本日の座席表がそれぞれ1枚 と、ナンバーがついた資料があります。資料1が「検討事項(案)」、資料2が「妊婦 と薬情報センター事業について(案)」、資料3−1は「厚生労働科学研究補助金 医 薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業 患者にとって重篤な副作用 をもたらす催奇形性等のリスク評価の手法及びその情報提供のあり方に関する研究 平 成16年度総括・分担研究報告」と題したものです。資料3−2は「妊婦使用医薬品に関 するリスクカテゴリーの比較研究」と題したものです。本日の配付資料は以上です。 ○佐藤(郁)座長  それでは議事次第にしたがって進めてまいります。まず議題の1、前回の検討会で配 付した検討事項の修正版を、いまお手元に配付しておりますので、事務局から説明をお 願いいたします。 ○事務局  これから議事に入りますのでマスコミの方々、カメラ撮り等はご遠慮いただければと 思います。  資料1。これは、前回の検討会で「検討事項(案)」という資料を提出し、委員の先 生方からご意見をいただきましたので、それをもとに項目を一部追加しております。追 加した項目は、2の情報提供方法に関しての検討事項の(2)情報提供を担当する者の 資質です。前回、どういった資格を持った人たちが情報提供したらいいのかというよう なご意見をいただいておりますので、その項目を追加しております。それと、3の「情 報提供後のフォローアップ(情報収集)に関しての検討事項」の中の(8)情報収集の 範囲(感染症、放射線、化学物質、ワクチン等)という所ですが、これも薬に限らず、 どういった範囲を集めるのかというご意見がありましたので、この範囲はどうするのか という項目を追加しております。  それと4の「その他の検討事項」。前回の資料ではここに個別の項目はありませんで したが、前回の検討会でご意見をいただきましたので(1)から(4)までを追加して おります。(1)が相談事業による情報収集以外の文献情報等の収集、整理。前回の検 討会で、今回想定しているような事業を行わなくてもすでに文献情報等があるので、そ れをどうやって収集、整理するのかというご意見をいただきましたので、その項目を1 つ追加しております。(2)として、妊婦だけでなく、医師への情報提供の方法につい てどうするのかというご意見がありましたので、その項目を追加しております。(3) は、情報提供を担当する者の資質という2の(2)で追加した事項と関係しますが、情 報提供を担当する人材の育成に関連するご発言がありましたので、その項目を追加して おります。(4)として情報収集対象の期間(授乳期を含むか)、これは妊娠中の薬の 服用ということではなくて出産後、授乳期間中の薬の服用というものも対象に情報を集 めるのかどうか、というご意見をいただいておりましたので、その項目を追加しており ます。  今回、この修正した検討事項(案)の各項目を踏まえて成育医療センターで、どうい う実施方法をしたらいいのかを検討していただきました。これからの議題の中で、成育 医療センターの村島委員から、この各項目についてどう考えて、事業を進めることとし たのかをご紹介いただく予定です。  その中で4「その他の検討事項」の(1)から(4)までについて、どういう形で事 業を進めていこうかと考えているところを紹介しますと、相談事業による情報収集以外 の文献情報等の収集、整理という部分については、本日これから説明していただく資料 の2の1頁目の枠で囲った図をご覧下さい。今後、事業を始めて相談された方に対して は、すでに得られている文献やデータベースなどの情報を成育医療センターで整理し、 取りまとめたものを提供する、あるいはすでにある情報を活用しながら相談に応じてい く形で、ご検討いただいております。(2)医師への情報提供方法。これも後ほどご紹 介されると思いますが、資料2の2頁目に、受付から情報提供までの業務の流れという 図が示されています。これは、相談者である妊婦から成育医療センターが相談を受けた ら、回答書を作成して、相談者の方には当然その回答書をお送りするのですが、妊婦の 主治医の方が紹介された場合には、その主治医の方にもその回答書を送る形を考えてい ることをご紹介します。(3)情報提供を担当する人材の育成。これは実際にこれから 成育医療センターで業務を開始していくということで、担当の方々が検討されていると ころです。(4)の情報収集対象の期間。現在、成育医療センターには妊娠中の服薬に ついてご検討いただいております。相談の内容としては妊娠中であり、授乳期は今後の 検討課題で、現時点では妊娠中の相談を対象として検討を進めておられます。  以上で前回のご意見を踏まえた検討事項(案)の修正の紹介を終わります。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。それでは、いま事務局から検討事項を踏まえた上で一部説 明がありましたが、本年10月からの事業の進め方について検討していきたいと思いま す。まず、妊娠と薬情報センターの事業について事業の進め方など、成育医療センター の村島委員からご説明をお願いします。 ○村島委員  お手元の資料1と2をご用意ください。資料2に沿ってご説明します。  まず、提供する情報に関しての検討事項についてですが、ご説明する前に、用語につ いて簡単に説明します。ここでMRPと略しているのは、トロント小児病院のMotherisk Programの略です。このステートメントはMotherisk Programのオリジナルサマリーの ことを指します。薬剤情報データベースは、Motherisk Program Statementおよび文献 情報を要約・整理したものです。成育サマリーは、上記を相談者向けに要約したものを 指します。回答書は成育サマリーを挿入し、相談者に送付する形態にしたものです。こ れは後ほど図を用いて説明します。  (2)は提供する情報に関する説明です。提供する情報は、科学的検証が済んだ客観 的文献情報を提供することを基本的スタンスとしていまして、文献情報の要約を「薬剤 情報データベース」として作成し、患者向けには要約した「成育サマリー」として提供 します。四角が3つ並んだ図をご覧ください。左側の四角の中に入っているのは情報源 です。情報源としては、Motherisk Program Statementを基本として、Briggsや Micromedex、Medlineで検索した文献及びインタビューフォーム、医学中央雑誌、JA PIC DOC(日本医薬情報センターの日本医薬文献抄録情報)、このようなもので す。これらの情報源から妊娠中の薬剤使用に関する文献を収集して、吟味・要約したも のを、その研究のエビデンスレベルに基づいて整理します。それが真ん中の四角に入っ ているものです。ヒトを対象とした疫学研究の中でもメタアナリシスとかランダム化試 験、前向きコホート、後ろ向きコホート、症例対照研究、このような順序で整理してい きます。また、症例報告、動物実験結果、市販後情報についても情報があればこちらに 入れます。これらを情報データベースと呼んで、この中から抽出し、また、わかりやす い表現でまとめたものを成育サマリーとします。  このような作業で作ったものを添付資料の1番に付けておりますのでご覧ください。 通し番号の4頁目です。まず薬剤情報データベースですが、薬品名ロラタジン、商品名 クラリチンをサンプルに作成してみました。分類の次に文献的考察として、疫学研究を エビデンスレベルで整理してあります。クラリチンはヒトでの疫学研究のうち、メタア ナリシス、ランダム化研究がありませんので、情報検索が行われたけれど、情報がない ということで「なし」と記載し、それを確認した日付を記載しております。次がC)前 向きコホートは4つの研究がありますので、その要約を記載します。文献についても引 きやすいように、このように載せておきます。次はD)として後ろ向きコホート研究。 この場合1つありましたので、ここに1つまとめを載せております。次に症例対照研究 が、E)として載っております。以上が疫学研究のサマリーです。  次にヒトでの症例報告として、6頁の真ん中の四角に書いてありますが、ケースシリ ーズ、ケースレポート、このようなものがあればこれについてもサマリーを載せます。 動物実験結果であるとかインタビューフォーム、このようなものもここに整理します。 ただし、ヒトでの疫学研究がある場合にはヒトでの症例報告、動物実験結果、インタビ ューフォームの情報は提供しないと、いまのところ考えております。疫学研究がない場 合には、これらの情報を提供することになるかと思います。  以上、薬剤情報データベースについて説明しましたが、これらの中からエッセンスを 抽出してわかりやすくまとめたものを成育サマリーと呼びます。下の大きな四角の中に 入ったものです。この成育サマリーが次の7頁の「回答書見本」の中段にそのまま挿入 されます。これは相談者に直接渡されるものです。  続いて7頁の回答書見本について簡単に説明します。いま述べましたようにこれは、 そのまま相談者の手元に渡すことを考えて作られたものです。冒頭に注意事項が3つほ ど書かれています。まずBaseline riskについて、薬剤の使用がない場合でも2〜3% の奇形発生率が報告されているということ。2点目として、医学情報は常時変化してい るので、現時点での最新情報だということを明記してあります。医療従事者と相談する ことが最善だということも記載してあります。このような注意事項の次に先ほどの成育 サマリーが挿入されて、最後に回答書に関する問い合わせ先を記載しております。「本 情報に関するお問い合わせは下記までお願い申し上げます」ということで、住所と電話 番号を記載することを考えております。以上が薬剤情報データベースと成育サマリー及 び回答書作成の実際についての説明でした。  1頁の(4)に戻ります。薬剤情報データベースの更新についてですが、定期的な更 新はMotherisk Program Statementの新規情報に基づいて、3カ月ごとに行うことを検 討しております。問い合わせの都度の見直しもするよう、相談があるたびに最新文献に あたり、検討が必要な情報があればカンファレンスで協議し、成育サマリーに反映させ ることを考えております。以上で検討事項1番の(1)から(4)までを説明しまし た。  2頁目をご覧ください。いままでは、提供する情報をどのように作成するかというこ とでしたが、これからは、その作成された情報をどのような形で提供するかということ になります。まず情報提供の手段です。これは検討事項2の(1)に相当します。情報 提供の手段、媒体として電話、面談、文書、主治医経由、妊婦直接等いろいろな場合が 想定されるのですが、その提供手段として、面接による直接的なものと、電話ないし文 書による間接的なものとの2通りが考えられます。私どもは当面は、均一な情報をでき るだけ多くの方に提供するため、間接的な提供に関しては文書による情報提供を考えて おります。その方法としましては、郵便により問診票を送付された相談者に対し回答書 を送付することを考えていますが、これは本日の検討会での意見も踏まえてまた検討し ていきたいと思っております。直接的なものとしては、相談者が回答書の郵送を希望し ない場合もあると思いますが、相談者が希望する場合と面談による相談のほうが妥当だ ろうと判断される場合は面談によって行い、遠隔地など面談方法がとれない場合には、 当面、主治医経由の相談を原則としたいと思います。主治医からの紹介の場合には、回 答書は相談者及び主治医の両方に同じものを送付したいと考えております。  次に、検討事項2の(2)に情報提供を担当する者の資質という項目があります。こ の点については、文書回答の場合は医師、薬剤師が合同で作成した成育サマリーを提供 し、面談の場合は、この分野の知識を十分に持った医師が行うということでご理解いた だけると思います。将来的に電話相談をする、ないしは協力病院とネットワークを構成 し、全国規模で行う場合には、担当者は当センターで行う研修などで十分なスキルを身 につけた上で業務に就くことになると思います。  次は(2)情報提供の際の留意点についてです。情報提供の際の留意点として、入手 可能な範囲内で、最も精度の高い客観的情報を提供する。妊娠の自然奇形発生率は先ほ どの回答書とあとで合わせますが、1〜3%程度存在することを十分に説明する。客観 的態度で情報提供を行う。この点に留意していきたいと思っております。  次に実際の情報提供の業務の流れについて、図を見ながら説明します。2頁の図をご 覧ください。まず、相談を希望される方はホームページないし主治医から問診票を入手 します。それが不可能な場合は当センターから用紙を郵送することも考えております。 問診票に必要事項を記入したら、その問診票を書留などで当センターに送付していただ きます。それを薬剤師、医師が見て、既存の薬剤情報が使用できるかどうかの判断を行 い、必要があれば先ほど示したような薬剤情報のデータベース、成育サマリーの更新を 検討します。これは図の(3)に相当します。次に(4)医師、薬剤師によって作成された回 答書は、書留郵便等で相談者に送付されます。この際、妊娠結果調査はがきも同封され ます。次に(5)相談された方は分娩後の1カ月検診が終わった時点で、妊娠結果調査は がきに必要事項を記入の上、目隠しシールを貼って返送します。いまのところはこのよ うな流れを考えております。  次は大きな3番、収集した情報の活用についてです。(1)収集した情報を活用でき る形にして広く公表。(2)添付文書の改定に活用ということになります。  次の頁にいって大きな4番、今後の業務計画としては、平成17年10月より地域限定で 運用を開始し、状況を見ながら業務を拡大していきたいと考えておりますが、医師会や 関係学会への協力依頼はまだ行っていませんので、この検討会が済みましたら依頼して いきたいと考えております。(2)情報収集、相談業務の充実を目的として、協力病院 の全国的なネットワークの整備を来年度から本格的に始めたいと考えております。そし て、国内外の医療機関との連携の方法について検討して具体化していきたいと思ってい ます。  大きな5番、国立成育医療センターにおける事業の進捗状況(6月現在)です。当事 業における院内の組織作りが完了しております。提供する薬剤情報(回答書)の整備に ついては、Motherisk Program Statementの薬剤については和訳は全部終了して、現在、 成育サマリー及び相談者向け回答書について整備中です。また、Motherisk Program Statementと公表されている文献情報との整合性についても、薬剤ごとに確認作業を行 っています。Motherisk Programにない薬剤については、製薬企業からの情報を中心に 回答書の作成を検討しております。(3)問診票、妊娠結果調査はがきの試案を作成し ました。(4)相談事例をデータベース化するためのシステム開発はいま検討中です。  戻って(3)の問診票と妊娠結果調査はがきの案について説明します。8頁が相談者 に記入して送っていただくものですが、これは将来の疫学調査データの共有などの点を 考慮して、Motherisk Programの問診票をたたき台にして作成してあります。名前・住 所はともかくとして、連絡先を何カ所か聞いていますが、これは問診票をもとに回答を 作成しなくてはいけないことから、問診の不備、不名な点の問い合わせのために、いく つかの連絡方法を用意しておくべきだということで、このようにいくつも設けてありま す。  1番が相談内容、2番が妊娠歴についてです。9頁にいって、妊娠している方につい てはこのような項目を聞く。妊娠している方についても妊娠していない方についても、 慢性疾患や合併症で産婦人科以外にかかっている方もいると思いますので、その医療機 関について書いてもらう項目も設けてあります。5番目は、これがいちばん重要なデー タかと思いますが、今回相談の薬剤について聞く欄をこのような形で設けてあります。  11頁にいって嗜好品についての欄があります。妊娠結果に影響する因子として、一応 聞いておかなければいけない項目として、このようなものをリストアップしておりま す。次に既往の病気や現在治療中の病気についても、このような項目を設けておりま す。次の8番については、面談のときにはもう少し細かいニュアンスが伝わるのです が、間接的な相談の場合にはその相談者の気持が伝わりにくい場合もあるかと思います ので、このように一応スコア化して、本人はどのくらいの確率で奇形が起きてしまうと 危惧しているかを聞く。それと、妊娠継続の意志がどのくらいあるかどうかも、このよ うな形でスコア化してお聞きしたいと思っております。  最後の所は、次回の検討会の議題になるとは思いますが、この問診票に記入された情 報を利用するかどうか、その同意について欄を設けたということ。もう1つは、間接的 な相談を希望するのか、直接面談による相談を希望するのかを、最後にチェックしても らう項目を設けてあります。これが問診票です。  細かいことについては次回の検討会の議題になると思いますが、この妊娠結果調査は がきは、回答書とともに相談者に送ることになります。とりあえず今日皆さんにご覧い ただきたいと思ってここに付けました。これは1カ月検診のときに相談者が直接記載し て、こちらに送り返すものです。以上、いま考えている事業について当センターから報 告いたしました。 ○佐藤(郁)座長  どうもありがとうございました。資料1の検討事項(案)にしたがって、資料2をも って詳細に報告していただきました。いまご説明があった内容についてご質問等があり ましたら、ここで少しお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。非常に膨大な形 で、例えば初めは薬剤のデータベースについて、それから問診の内容、どのような形で データを構成するか。それから問診票というような形ですが、何かご質問ありますか。 ○大澤委員  2点教えてください。資料の2頁、大きい2番の(2)の(3)、情報提供の際の留意 点として、客観的態度で情報提供を行うとあります。これは当然のことと思うのです が、その情報を受けた方の心の動揺に対するケアは、どのような形で行う予定でしょう か。主治医がカウンセリング的なことを行うことになるのでしょうか。もう1点は、い ちばん最後、13頁に妊娠結果調査はがき(案)がありますが、これは、はがきで出され る場合は、情報保護シールか何かを貼るのですか。 ○佐藤(郁)座長  村島委員、まず2頁の(2)の(3)、患者に対しての心のケアという点についてはど のような配慮というか、この辺についてはどうですか。 ○村島委員  回答書見本の所に記載していますように、主治医がいることを前提に、私たちは客観 的な情報を提供するという立場を貫きたいとは考えております。ですから理想的には、 この情報をもって主治医の先生とよく相談していただくのがいちばん良いとは思います が、実際問題としてなかなか相談できないという例も出てくるかと思います。場合によ っては私たちも対応せざるを得ないときがあるかと思いますので、電話番号を記載して ありますが、基本的には主治医にお願いしたいと考えています。 ○佐伯委員  前回お聞きすべきだったのかもしれないのですが、妊娠して、医師にかからずに助産 院に行って出産まで経過する方もいらっしゃると思います。特に自由診療になると、あ る程度地域で、自宅に来てもらえるという利便性とか、費用が安く抑えられるというこ とで、今後は増えるかもしれないと先日インターネットでも見たのですが。今回は主治 医、医師ということになっているようですが、そうなると、そこの部分はどうなるのか ということが、1つ大きな疑問点です。もう1つは、市販薬は対象にしたのかどうかと いう点です。  それと、あまり多くなってしまっても申し訳ないのですが、ちょっと気になったの が、11頁の既往の病気とあります。ひょっとしてここに例えば、不妊治療とか婦人科系 のものが、本当は必要なのではないかという気がしました。ついでに言えば最後12頁 の、中絶を強く考えているというこの文言は、誘導にならないかと言いますか、ここは かなりデリケートな難しい面があるかなという印象を受けました。以上です。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。村島委員、お答えできる範囲内で。 ○村島委員  助産院におかかりの方の場合の主治医がということですね。これにつきましては、主 治医は産科医に限らないと思うのです。例えば風邪薬か何かを処方されて、薬を飲んで しまったのであれば、薬をもらった先生の所に相談に行けばいいのかなと思います。た だ、確かに市販薬の場合は相談する所がないということが考えられます。その場合には やはり先ほど言いましたように、ご本人がこの回答書の中で解決できない問題であれ ば、電話をかけていらっしゃるかなとは思います。あと、助産院で産みたいという方で も、すごく不安のある方は産科医に、ご自身の意志でかかられることもあるのではない かと思います。市販薬は対象かどうかということにつきましては、一応医薬品として市 販薬も考えております。  既往の所の不妊治療についてどうするか。それは確かに重要なことだとは思います が、デリケートな問題でもありますし、これはMotherisk Programの問診票をたたき台 にしているので、いまのところ、その不妊治療の項目を設けることについては考えてお りません。中絶を強く考えているという文言が入っていることが誘導にならないかどう かということですが、逆にもう少しソフトな表現にしてしまうと、理解しにくいかなと いうことが1点。もう1つは、いままで私どもは1年半ぐらい外来をやっていて、そこ で同じ問診表を使っていますが、その中でこれが誘導になっているような印象は受けて いませんので。この表現以外にちょっと考えられないのですが、もう少しいい表現があ れば、皆さんのご意見をお聞きしたいと思います。以上でよろしいでしょうか。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。佐伯委員、よろしいですか。 ○佐伯委員  その辺は、妊娠継続に大変不安があるとか、そういう中間のような言葉があってもい いのかなと思うのです。 ○佐藤(郁)座長  また委員の先生方からこの辺の文言等については、いいご意見があればと思います。 それでは佐藤孝道委員、よろしくお願いします。 ○佐藤(孝)委員  この前のディスカッションにも出たのかもしれませんが、相談を受ける内容というの はこの問診票に出てくる、要するにこれから服用する可能性のある薬について知りた い、すでに服用してしまった薬に対する影響を知りたい、というようなことになると思 うのですが、すでに服用してしまった薬についての相談と、これから服用するかもしれ ない薬に関する相談というのは、かなり異質のものだと理解しています。特にこれから 服用する薬についてということになると、添付文書に記載されている内容と、回答する 内容が異ってくる可能性が、実際問題としてありますよね。そこら辺の問題を考える と、この問題は絶対一緒にしないほうがいいのではないか。回答も決して同じものはで きないと思いますし、少なくとも、郵送で回答するというものの中に、これから服用す るかもしれない薬の内容は、絶対に入れないほうがいいだろうと思っているのですが、 その点についてお聞きしたいというのが1つ。  もう1つは、実際に自分で遺伝のことなどをやっていますと、例えば精神系の病気 や、遺伝的な背景がある病気に関して手紙で聞くのは、非常に慎重にやったほうがいい のではないか。これはいくら書留で送られてきても、どこかに漏れる可能性はあると思 いますし、そうしたときに一体誰が責任を持つのか。いま、個人情報保護ということが 非常に問題になっていると思うのですが、そういう中でこういう非常にプライベートな 情報、中絶に関することとか、その上の「麻薬、覚せい剤、ドラッグ」なんて、書くの かなという気もちょっとするのです。こういう情報を郵送でやり取りすることに関して は、どのようにお考えなのかお伺いします。 ○佐藤(郁)座長  いまの質問の中で、「もうすでに服用した薬とこれから服用しようとする薬に対して 」ということ、そのあとがちょっと聞き取れなかったのでもう一度お願いします。 ○佐藤(孝)委員  8頁の問診票に「どのような内容ですか」と書かれていることをそのまま申し上げた のですが、大きく分けると、これから服用する薬剤と服用してしまった薬剤とに分かれ ると思います。もう1つ催奇形性に関する問題と胎児毒性に関する問題、これも分けて 考えないと非常に混乱する。胎児毒性に関して言うと、今度は量的な問題なども結構絡 んでくると思いますし。だから、そこら辺をどのように分けていくのか、どのように整 理しようとしているのかをちょっと伺いたかったのです。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。その辺、村島委員いかがですか。内容にかなり難しいとこ ろもあるかと思いますが。 ○村島委員  まず、すでに服用してしまった薬とこれから服用する予定の薬の回答書は、変えたほ うがいいだろうというアドバイスをいただきましたが、そのとおりと考えております。 先ほどの回答書の見本は、あくまでも見本であって、実際問題として回答書を送る場合 には、問診票を見ながら医師が最終チェックをして、それで少し文言を変えることを考 えております。それと、もちろんおっしゃるように、これから内服したいという方はた ぶん合併症、基礎疾患がある方が多いと思いますので、そういう方はもちろん面談を優 先してやるべきだと考えております。  催奇形性と胎児毒性の場合は、最後がよくわからなかったのですが、すみません。 ○佐藤(孝)委員  その前のお話のほうからいきますが、要するに主治医がいて、これから妊娠しようと している人に処方するときに質問をされる場合も入ってくると思うのです。だから、そ の場合はもっと複雑な問題が出てくると思いますし、その場合も考えておかないといけ ないということになるかと思うのです。  胎児毒性の問題もこの相談の中に入るだろうと思うのですが、胎児毒性の問題が入っ てくると、やはり回答の仕方がだいぶ違ってくるだろう。だから、妊娠の時期などに応 じて非常に微妙な回答の違いが出てくるだろうと思います。催奇形性の問題も量の問題 があると思うのですが、たぶん胎児毒性のほうがもっと量の問題が微妙に絡んでくると 思うので、なかなか回答書どおりにいかないものが、実際には結構たくさん入ってくる 可能性があると思うのです。 ○村島委員  これから妊娠したい方の相談の場合には、いわゆる慢性疾患で主治医がいると思うの です。ですから、いま私たちが外来でやっている場合にも、主治医からの紹介状を持っ て来てくださいということにはしております。情報センターとなっても、なるべくそう いう基本姿勢は変えないでいきたいと思っています。  胎児毒性の問題についても、やはり難しい問題がたくさんあると思いますので、これ からその回答書を作るにあたりましては、その分野の、佐藤先生をはじめいろいろ専門 家の先生にご相談しながら、検討していきたいと思っております。  問診票の郵送に関しましては、確かにプライベートなデータであるということはごも っともですので、今後、どういう方法が良いかということは、試行しながら、その中で 検討すべきことですが、当初は先ほど申しましたように、均一な情報を提供するという 意味では、やはり文書による返答をせざるを得ないケースもあるので、その辺につきま してはやはり書留などの手段に頼らざるを得ないかなと思っております。その辺につい ても何かいいアドバイスがありましたらお聞きしたいと思います。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。佐藤委員どうでしょう。質問に対するいまのお答えでよろ しいでしょうか。 ○佐藤(孝)委員  またそのときにお願いします。 ○林委員  いろいろな角度から検討されていて、ここまで準備されるのは大変だったろうなと思 います。私どもの所でも実際にいままで8千人に、カウンセリングと情報提供をしてき た中で、いつも直面している問題があります。今回、妊婦に直接情報提供をするという ことが、説明されたシステムの中に取り込まれているのですが、前回の検討会はどちら かと言うと、主治医の先生に情報提供するほうがメインだったような記憶があります。  そこはいろいろ検討されてのこととは思うのですが、私どもが経験するのは、どうし ても、一般の方だと薬剤疫学とか、あるいは医学とか薬学とはまた別の視点で、むしろ 直感的に数字を把握することがあることです。今回のロラタジンの例は、疫学調査で、 概ね自然の奇形発生を上回らないというケースなのですが、多くの薬品を調査すると数 値自体が、一般ポピュレーションの想定値より大きくなってしまう場合がとても多い。 それから、疫学調査がある薬というのはむしろまれです。例えば2,000薬剤調査したう ちのごく一部、100〜200ぐらいであって、残り1,000何百はたぶん疫学調査がなくて、 奇形を認めたというヒト症例報告だけがあるようなケースも多いと思うのです。  これを伝えるべきか伝えないべきかは、私どもは面談方式でやっているので、一応伝 えた上で、意味がないことをご本人が納得するまで十分、補足説明をしています。専門 家は、なんで問題ないと位置づけるのかということを説明して、不安を取り除くように しています。しかし、紙媒体で患者に渡ったときに、それがかえって不安を助長してし まうケースは、ある程度あると想定しなければいけないと思うのです。できればこの事 業が多くの妊婦の不安を解消し、その赤ちゃんの命も守って、将来の赤ちゃんのための データも蓄えられることを目指すものであって欲しいと考えています。文書による情報 提供だけでは妊婦が情報の消化不良を起こすケースが、現実には起こりそうです。その 辺についてどのように今後考えられているか、また今回こういうシステムを考えられた 経緯について、少し教えていただければと思います。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。非常に難しい問題ですね。確かに今日お集まりのような皆 さんでしたら、そのデータの意味するところを理解できると思うのですが、患者の場合 だと、自分のバイアスでものを判断してしまうということ。この辺どうでしょう。 ○村島委員  確かにこの情報提供の手段の所にいくつか方法を書きましたが、先ほど言いましたよ うに、主治医経由でなくても直接面談できれば、しっかりコミュニケーションがとれて 理解してもらえるだろうということが、まず第1点です。将来的にはこの事業のネット ワークが全国に広がって、なるべく直接面談で相談できるようになればいいのですが、 当初はそれも難しいと思いますので、限定された地域ということでPRさせていただい て、来られる方にはなるべく直接来てもらう。もちろん先ほど言いましたように、主治 医からの紹介があれば、なおさら良いだろうと。ただし、実際に外来をやっています と、虎の門と多少違うかもしれませんが、主治医に相談できなくてセカンドオピニオン を求めていらっしゃる方もいますので、そういう方々に相談するという道もあっていい だろうということ。それと、トロント小児病院のMotherisk Programでは、スキルのあ る5人ぐらいが電話でフルに対応しておりますが、私どもの所では当初はまだそのよう な方法がとれませんので文書という手段も考えております。 ○林委員  是非妊婦さんも、目の前の赤ちゃんについても救ってあげたいという思いがあるので す。資料の情報提供の手段の所に、相談者が希望される場合と当センターが必要と判断 する場合にこの面談を行う、と書かれています。どういう場合に情報提供にとどめて、 どういう場合に面談をするかという基準みたいなものも、不安を助長しないという点で 必要になってくるだろうと思います。  当院で1週間に12人ぐらい妊婦カウンセリングを行うと、3分の1はもともと抗不安 薬か抗うつ薬を飲んでいらっしゃる方が相談にみえます。もともと不安を持っている方 は、文書だけ見ると、さらに不安になることも考えられます。あるいは抗てんかん薬で 治療中の方は、明らかにパーセントが上がるということを情報提供せざるを得ないとこ ろもあると思います。その場合には、やはりカウンセリングがある程度必要と考えてい ます。  あるいは、情報が少なくて、そこで得られている情報だけを見せると、一般の方には かえって不安を与えてしまう薬剤もあります。いろいろなケースを想定して胎児の命を 守れる面談と情報提供の振り分け基準を作っていただきたい。おそらくマンパワーの問 題との兼合いもあるのだろうと思います。情報収集を満足しつつ、目の前の方も救って いただけるような情報提供、カウンセリングの兼合いが重要です。明らかにこれは大丈 夫だと思っていただけるような、アセトアミノフェン、ペニシリンなどという場合は多 分文書でも多くの方がご理解いただけると思います。その辺を是非、国の事業として行 うときに、国民の信頼がより増すような方向でこの事業が発展する意味でも、どういう 場合に面談にするか、あるいは電話相談にするかが大きな分岐点になるような気がしま す。 ○佐藤(郁)座長  いまの林委員のご意見は、これまでのたくさんの症例から得た体験が非常に滲み出て いると思います。今後、相談利用というものが広がっていくためには、いま林委員が最 後にお話になったようなことをきちんとした形にしていくことが非常に大切かなと私は 考えました。村島委員何かございませんか。 ○村島委員  本当にそのとおりだと思います。遅ればせながら先生方のご指導で外来を1年半ほど やっていても、いま林委員がおっしゃったような高リスクの明らかな抗痙攣薬剤や精神 領域の薬など、そのような方の場合には、とてもこの文書でお答えできるとは私たちも 思っておりません。できれば面談がベストだとは思いますが、面談ができない場合に は、やはり電話などになると思います。先ほど言いましたように、トロント小児病院で は1人最低15分の時間をかけて相談にあたっています。今後この事業を全国展開させ て、協力病院のネットワークができたとしても、やはりこのセンターにアクセスされる 相談数はかなりの数になると思いますので、同時にマンパワーを整備する面でも考えて いかなければいけないと思います。是非いろいろな面でご協力いただければと思ってい ます。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。 ○佐伯委員  先ほど来の林委員のご意見は、私もそのように本当に思います。例えば6頁の成育サ マリーを拝見すると、素人の人には通じないだろうなという言葉として、「前向きに追 跡した研究」「尿道下裂」という言葉が出てきます。この奇形が生死に関わるものなの か、簡単に治療できるものなのか、そういうものがここに入ってほしいという気がしま す。何で見つかり、それは出産後、直ちに手術で完全に治りましたなど、何かあればい いと思います。そしてそのつながりですが、11〜12頁の(1)で、「奇形が起きてしまう 確率」とあります。この奇形も程度問題でいろいろあろうと思いますが、ただ単純に不 安を持ったまま読んでしまうのと、「奇形が起きる」、そしてその次の項目を見ると 「中絶」となって、直結していくような気がするのです。本当に妊娠していることで母 体にも危険が及ぶし、助かる見込みがもうない、本当に健康上中絶ということを考えな ければならない以外の所では、できるかぎりお腹の中での治療も可能かもしれないこと を考えていただければ、こういうものを素人は前向きと言うのです。前向きの言葉もい ろいろありますので、よろしくお願いします。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。確かに専門家同士では極めて常識的な言葉であっても、一 般の人たちにどのように受け入れられるか、一般の患者さんを対象にしたときには、気 を付けなければいけないというのが、佐伯委員のご指摘だと思います。 ○林委員  もう1点角度を変えて教えていただきたいことがあります。当院の「妊娠と薬外来」 では、産婦人科の医師と薬剤師、ここに参加されている加藤委員と私がペアでやってお ります。薬剤部は主に薬品の情報を精査して、その後評価のために医師とディスカッシ ョンできる体制を作っているのですが、このサマリーの文書を作るというのが、膨大な 作業量になることが予想されています。  しかもデータを確定していく日時が、トロントサマリーがアップデートされたとき と、もう1つは来院されたごとに全部文献検索をかけてという説明なのですが、当院で 1人分をやるのに、1週間ぐらいかかって文献調査と新たな文献の入手とそのデータの 評価を行っています。医薬情報科長が見て私が見るという形でトリプルチェックをした 上で、産婦人科医と検討しています。先生の病院には周産期の先生などいろいろな先生 がいらっしゃると思いますが、多分、ナショナルセンターがリリースする文書という意 味から責任問題が発生する可能性も考慮すべきと思います。実は少し違った数字を記載 した場合、これがもとで妊娠をあきらめた、実はその文言が心に残ってしまったなどと いうことがあり得るのではないかと心配しますが体制は確保できていますでしょうか。 先ほどの「中絶」という1つの言葉でも、医療人にとってはそれほど不自然な言葉では なく、客観的な1つの出来事だと思うのです。しかしご本人にとっては一つひとつの言 葉も、一つひとつの数字も自己判断で独り歩きしそうなデータです。それを精査して、 なおかつアップデートして、作り続けていくというのは、膨大な時間を要することが予 想されます。  例えば先生と一緒にトロントに見学に行ったときに、あそこはステートメントがあ り、ステートメントは意外と使い古しているぐらい使い込んであって、それを基に誰か がしゃべるという形式だったので、新しい文献が1、2本あっても、骨格の危険度評価 に影響を及ぼさないデータであればステートメントは修正しない方針と受け止められま す。しかし紙で渡す場合には、それが大したことはないデータかどうかを精査して、ま た紙に載せるという作業が生じるので、成育の先生方が膨大な作業量を抱えることにな らないかと少し心配します。その辺はいまどのように計算されているのでしょうか。 ○村島委員  さすがに現場の先生の鋭いご指摘だとは思います。文書になるとということで、ご心 配をいただいていますが、建前から言うと、文書になろうが電話であろうがスタンスは 同じでないといけないのだろうなとは思います。実際問題としては確かに文書になると いうことは一字一句きちんと整理されたものでなければいけないと思います。その上、 相談があるごとに全薬剤についてアップデートというのは、非現実的だとは思います。 しかしそれは私ども医師、薬剤師のほかに周産期の医師もおりますので、そういう複数 の目で見て、これはアップデートすべきだというものについては、文献検索はやはりで きるかぎりやって、新しい情報を提供しなければいけないと思っています。それこそナ ショナルセンターが発信しているこういう事業で、最新の情報が抜けていたというの は、まずいと思います。しかし、その作業はマンパワーが必要なことなので、是非、厚 生労働省に頑張っていただきたいところです。 ○佐藤(郁)座長  あと10分以内でこの辺をまとめたいのですが、佐藤委員どうぞ。 ○佐藤(孝)委員  やはり文書にするのがまずいわけではなく、文書にした内容が患者に正確に伝わるか どうかが問題で、そういう意味からではやはり来て面談をするに関して、不可能なこと はないと思うのです。非常に辺鄙な所でも、もし国の事業としてやっていくのであれ ば、それこそネットワークを作り、そこに専門家とまでいかなくても、それほどこのこ とに関して詳しく知らなくてもいいですが、大体話がきちんとできる人、こういう資料 を見たら話ができる人を全国のいろいろな所に作っていき、その人を介して話をする形 にしないかぎりは、文書にしてこれをわかるはずだと言われても、多分わからないだろ うなと思います。ですから基本は面談で、それでやっていくことが非常に大事なことだ と思います。文書にすることに関しては、大変な労力が要ると思いますが、やってくだ さるのは非常にありがたいことだと思っています。そうしたほうがいいと思います。基 本はとにかく面談で、それでやるのだということで、日本全体にネットワークを作って いくという方向で是非やっていただきたいと思います。  もう1つは、「人での疫学調査がある場合には、以下の情報は提供されない」と書い てありますが、「人での疫学調査」とは正確には「人での十分な疫学調査がある場合は 動物実験のデータは要らない」と思います。しかしそのようなデータはというのは多分 ほとんどないと思います。やはり十分なデータがない以上は、動物実験の結果も話をし なければいけないと思います。そういう意味でいうと、どんなに不安な患者さんが相手 であっても、情報を隠すことは絶対してはいけないと思っています。それはやはりこの 情報提供事業の大事なことで、それをわかりやすく説明してあげるというのが、この事 業の非常に大事な所だと思います。こういう形の情報提供の制限は基本的にはかけない ほうがいいと思います。 ○佐藤(章)委員  簡単に質問と私の意見です。細かい所ですが、8の先ほどから問題になった問診票で す。これは必要がなぜあるのか。先ほど佐伯委員がこれをすることによりバイアスがか かるのではないかとおっしゃいましたが、バイアスがかかってもこのデータを使って将 来何かするという大きな具体的な目的があるならば、教えていただきたいです。それが なければ、何パーセントなどと人間はわからないから、情報を提供してもらいたいと思 っているのであり、これは60%、70%などとそんな尺度があるならば、もう初めからこ ういうことは必要はないのであり、今後特別やる上で情報提供するときに、何か利用し てもっとどんどんよくなる、そういうものがあるからこういう質問をするのであるなら ばわかるのですが、そこが見えないのです。そこの所を教えていただきたいのです。こ れは妊婦さんは大変だと思います。これはわからないからやっているのです。 ○村島委員  これは、例えば皆さんは赤ちゃんに奇形が起きるのではないかと不安で相談されると は思うのですが、不安の度合がどの程度なのかを知る目的で考えています。例えば疫学 調査などで安全性が確立しているようなものでも、奇形の確率がとても高いと思ってい る方もいらっしゃいますので、このスケールを見ながら、回答書の内容を多少アレンジ できるという面があると思います。あとはやはり私たちが専門家の中で当たり前と思っ ていることが、一般の方々にとっては当たり前ではないことも多いと思います。こうい うチェックをしてもらうことで、一般の方々が妊娠中の薬に対して、どのような考えを 持っているかを知ることは、この事業を続けていく上で、私たちスタッフ、従事する者 にとって、必要であると考え、敢えてここに載せました。ですから簡単に言うと、回答 書に多少アレンジを加える材料として、活用できるということ、これに関わる者が一般 の方々の考え方を少しでも知ることができるという2つの目的を考えております。 ○佐藤(郁)座長  いまの佐藤章委員のご質問は、確かにデータというものは、他人事のときには非常に 冷静に読めるが、自分に関わったときには、100分の1の確率でも、1万分の1の確率 でも認識が違うということです。これから村島委員が相談事業をやられていく過程の中 で、おそらく、この種の質問が多くなるのではないでしょうか。いま村島委員に佐藤章 委員のご質問に正確に答えろというのは、ある意味では難しいとは思いますが、ただデ ータ上のパーセンテージというものは、本人にとって判断の材料に全くならなくなって しまうという佐藤章委員のご指摘も、是非考慮していただきたいと思います。  村島委員は佐藤孝道委員、林委員と非常にコンタクトを強くお持ちですから、どこに 問題点があるかは十分にご存じだとは思いますが、ただ折角これをナショナルセンター でやられ、いろいろな批判で尻つぼみにならないようにということは、おそらくこの検 討会の意図する所でしょうし、ある意味では佐藤委員が先ほど言いましたように、やは り面談というものが非常に重要だとすれば、これはやはり厚労省の強力なバックアップ で人的・物的なサポートが必要かなと思います。ただ産婦人科医会で先生がたくさんや られている平原委員は何かございますか。 ○平原委員  いま意見が出尽くしましたが、同感の意見が多かったです。それよりもむしろ気にな っているのは、妊婦さんが薬を飲んでいるという不安に対するサービスという部分と、 薬を飲んでいることによりどのようなことが結末として起こるのかというデータベース を取りたいという、その2つを同時に成立させようとしているから、こういう無理が起 こっているのではないかという感じがするのです。欲張って両方をやろうとすると、結 局妊婦さんには山ほどの情報をくださいということになるし、それをきめ細かに対応し てあげられるだけのマンパワーも実際にはないです。しかし一方では、データがセット アップされれば、情報が集まります。そこの所がなかなかマンパワーにしても、お金の バックアップにしても、果たして協力してくれる人たちの人的資源がどこまであるかを 考えると、2つを一遍に欲張ってやるのは、なかなか難しいのではないかなという印象 がありました。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。おおよそ予定した時間が参りましたが、このシステムを全 国的なネットワークにするためには、何が必要かといった本質的な問題を各先生方から いただきました。この辺はもう村島委員、十分ご承知のことだとは思います。さらに、 どうしても一言申し上げたいという方はどうぞ。 ○林委員  短く申し上げますが、先ほどの市販薬の件です。私どもの所に来られる妊婦さんたち の中で、18%の方は市販薬を使われている相談でした。市販薬だけの場合と医療用の両 方という方もいます。主治医が前提でいろいろと作図がされていますが、状況を考案い ただき、調剤薬局、保険薬局からの紹介もあり得ることを想定いただけるようお願いし ます。 ○佐藤(郁)座長  どうもありがとうございました。村島委員がご説明の資料1、2についてですが、非 常に多くの委員の先生から極めて価値のあるご意見をいただきましたので、これらを踏 まえて、成育医療センターでは妊娠と薬情報の先端の事業をこれから推進していただけ ればと考えております。是非委員の先生方からのご注文を重く受け止めていただき、こ の事業のスタートの大きなインパクトの1つになればと考えています。この辺でこの問 題については一応終わりたいと思います。ここで事務局から今後の進め方についてご説 明をお願いします。 ○事務局  いま先生方からいただいたご意見を踏まえ、今後成育医療センターと私どもでさらに 協議を行いながら、準備等を進めたいと思います。今回は情報の提供を主眼に成育医療 センターで検討した内容を村島委員からご説明いただきましたが、情報の収集について も同意の文書案などを現在、成育医療センターで検討しておりますので、次回の検討会 で同意の文書案に検討結果を示して、ご意見等をいただければと思っております。特に 検討するに当たり、注意すべき点等が今日の段階でありましたら、次回の検討会までに そのような意見を踏まえ、成育医療センターと私どもで検討を進めることができますの で、ご意見をいただければと思います。 ○佐藤(郁)座長  資料1と2に関しては、先ほどお話したように、先生方からのご意見を踏まえ、成育 医療センターと厚労省で同意文書の作成を是非していただきたいと考えています。作成 した同意文書については、次回に検討したいと思っております。続いて議題2に移りま すので、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  本日欠席の吉川委員が主任研究者をされている厚生労働科学研究で、「患者にとって 重篤な副作用をもたらす催奇形性等のリスク評価の手法及びその情報提供のあり方に関 する研究」を平成16年度に行っていただきました。その分担研究として、本日ご出席の 林委員が、日本とアメリカとオーストラリアの妊娠期ごとの医薬品のリスクのカテゴリ ーの評価を研究しておられます。本日は、林委員の分担研究の「妊娠時期ごとの医薬品 リスクカテゴリー評価の検討」の研究成果についてご紹介いただければと思います。お そらくこのセンターの事業で、将来的にはたくさんのデータが集まってくると思います が、これは集まった後の評価等の参考になると思います。 ○佐藤(郁)座長  それでは林委員、よろしくお願いします。 ○林委員  お手元の資料3−1の目的に書いてありますが、医薬品情報がグローバル化してきて いる中で、海外の妊婦リスクカテゴリーを使いやすいと考える臨床の先生もいらっしゃ います。そのカテゴリーには例えばFDAのPregnancy Categoryもオーストラリアの医 薬品評価委員会のPregnancy Categoryも、A,B,C,D,Xで表記されているので、 どちらも共通の評価となると受け取られがちです。しかし、両者は、かなり違う構造を していること、そしてその構造の違いが、いま課長補佐からもご指摘ありましたよう に、本邦でも今後の妊婦リスクカテゴリーのヒントになるのではないかということで研 究した内容をご紹介します。  次の頁の「研究方法」に、FDAのPregnancy Categoryと豪州の医薬品評価委員会の Pregnancy Categoryを比較したということで、要素として判断根拠となる情報がどのよ うに定義されているのか。危険度が中に示されているか。それから臨床的に使わないほ うがいい、使ってもいい、そういうことが定義されているかを基に、分類したものを示 しました。次の頁に、FDA Pregnancy CategoryのA,B,C,D,XのAとBの部 分があります。最初だけ英語を使ってご紹介すると、まずAというのは、1行目の後ろ に、pregnant women(つまり人)で、真ん中辺にwell-controlled studiesがあって、 そしてfail to demonstrate a risk to the fetus(胎児への催奇形性は証明されず)、 関連は認められなかったという情報に基づいて、その下に危険度評価があります。 possibility of fetal harm appears remoteということで、「おそらくないのではない か」という表現が出てきています。  次の頁に要点だけの日本語にしてみました。そうするとAとBにはどちらも危険度評 価として胎児への有害な可能性は薄いのではないかということが書いてあります。この ことが中身の情報以上に、FDAのカテゴリーでAとBだったらば、臨床家の先生はま あまあ問題はないのではないかと思って、ベネフィットがあれば使い易いという構造に なっているように思われました。本邦の添付文書の記載要領では「投与しないことが望 ましい」あるいは「投与しないこと」あるいは「有益性と安全性を考えて投与すること 」というように使用を制限する方向の注意のみで構成されています。むしろ適正使用上 は、ぜんそく、甲状腺疾患など使ったほうがいい場合があり、あまり問題なさそうだと いう薬を「問題なさそうだ」と表現する区分が求められています。これはFDAのカテ ゴリーが、使い易い特徴と思われました。  一方で、C、D、Xとなっていくと、Cは、動物の研究では催奇形性あるいは何らか の胚致死作用があるのだが、人では何も研究がまだ行われていない。あるいは動物も人 もまだ何も情報が存在しないという古い薬があるなどというケースが全部Cに来るの で、厳密に分類していくと、意外とCが多い。そしてDは明らかな胎児への危険が存在 していて、あとは臨床判断で抗てんかん薬のように、それでも特殊な状況下では使うこ とが容認されるというものです。次のXは動物と人で、明らかな危険があり、いかなる 場合も禁忌になっています。臨床的措置が使ってもいいのではないかというものと、そ れから禁忌であるという2つに、比較的安全なものと最も危険なものに絞られている構 造ですので、臨床の先生に使い易いカテゴリーになっています。  次にADECカテゴリーを説明します。ADECカテゴリーのAでは、Drugs which have been taken by large number of pregnant women and women of childbearing age(妊婦又は妊娠可能年齢の大勢の人たちに長年使われてきているのだが)without any proven increase in the freguency of malformations or(奇形発現頻度の増加は 証明されていない)というような形で、well-controlled studyという定義は、ここで はない形になっています。ですから臨床では例えば臭化ブチルスコポラミンのような薬 はそれほど危険だと思わない先生が多いのではないかと思いますが、長年妊娠可能女性 に使ってきていて、well-controlled studyはないけれども、多分問題ないと考えてい る辺りが、ここに分類し易いという構造です。FDAのように明らかにwell-controlled studyがある、なしと言わないで、このように分類していくスタイルも有用かもしれま せん。このように両カテゴリーのAが示している内容が全く違うということが特徴的だ と思われます。そしてFDAのカテゴリーは動物と人の情報をAからXまでいろいろな 所に出てくるのですが、ADECカテゴリーではBの所だけ、人での情報量が少ないと ころだけで、動物でプラスだマイナスだ、動物実験もないというように分類していて、 動物の情報が定義されているのはここだけです。  次にこちらのカテゴリーは、CとDがFDAとは全く違います。Cは催奇形性はな く、薬理作用が問題。先ほど佐藤委員のご指摘にもありましたように、胎児への有害作 用が薬理作用によりあるかもしれない。これはおそらくドース・ディペンダントであっ たりする側面もあるだろうということで、Cが全くFDAのカテゴリーの中にはないカ テゴリーになります。ですから両方のCが全く違うことを意味しているということにな ります。そしてDがあり、Xが恒久障害の高い危険性ということで、”shuold not be used”、これはほぼコントラインディケーションに近いものになると思います。そのよ うに両方の構造の違いがあることを前提にして、妊娠合併症で使用することがあるので はないかという薬剤を果たしてFDAととADECはどう分類しているのかを14頁に比 較してみました。そうするとNifedipineがC,C、Sulfasalazine(サラゾスルファピリ ジン)がB,A、TheophyllineがC,A、PropylthiouracilがD,C、PredonisoloneがB, A、ParoxetineがCとB3に位置づけられていることがわかります。繰り返しになりま すが、A,B,C,D,Xで分類していて、漠然と同じようなランク分けになっている ようですが、先ほどご紹介したように、カテゴリーを定義している情報が違いますの で、自ずとこのように評価はずれてきます。これを私が精査した情報に基づき、再分類 すると、FDAのカテゴリーでは多分NifedipineはCですが、Bではないか、 SulfasalazineもBではないかなどというように、最新情報のチェックをすると少しず れも出てきます。以上をまとめます。1つは最後の考察に書きましたが、possibility of fetal harm appears remoteという表現があることが臨床家に使い易いカテゴリー構 造だろうということと、FDA−PCではカテゴリーDとX、ADEC−PCではカテ ゴリーXのみに臨床的措置が存在しているということです。そして次頁、両者の差異を 書いていますが、動物実験を人にどう外挿するかというのが、臨床家を悩ませています が、この組合わせが両者では全く違うということです。またADEC−PCに薬理作用 という切り口での分類があるということ。そしてADEC−PCでは「drugs which have been taken by large number of pregnant women」と、かなり使用実績があるの だけれども、何も起こしていないという分類で使えるので、well-controlled studyが なくても、Aに分類していくことで、比較的問題ないと考えられるような分類ができる のではないかという組立てになっているということなど我が国でも参考になる内容で す。両者はA,B,C,D,Xでありながら、大きく異なるカテゴリーの体系でありま したのでご参考になればと思いご紹介しました。 ○佐藤(郁)座長  どうもありがとうございました。アメリカとオーストラリアの判定基準を非常にクリ アカットにご説明いただきました。この研究の中には林委員、それから研究協力者の中 には、加藤委員もお入りいただいております。いま林委員からご説明いただいた3− 1、3−2の資料について、何かご質問等がありましたらお願いします。加藤委員、研 究協力者として何か付け加えることはございませんか。 ○加藤委員  確かに日本の添付文書そのものの不備、十分でないことにより妊娠特殊外来そのもの のニーズがあると思います。そういう意味では是非そういうものを補填して、先ほど平 原委員もデータ解析に関するものと、患者さんに対するものを2つに統合などというこ とをおっしゃいましたが、日本人としてのデータをきちんととることを国レベルでやっ ていただくことはとてもいいと思います。そういうものを基準にして、日本でしか発売 されていない薬の1つの基準を作るという意味では、大事だと思います。添付文書のさ まざまな違いに関して、日本の中で、日本人のデータとして作るということが大事かな と考えています。 ○佐藤(郁)座長  どうもありがとうございました。林委員らのこの研究に関して何かございますか。 ○大澤委員  いまご説明いただいた中で、少しわからなかった所があります。資料3−2の14頁の 右端の「根拠情報によるカテゴリー分類」で、分類がCからBあるいはBからA、Cか らBという部分は、実際にはそのように分類されているけれども、新たなデータを入れ てみると、これに代わり得るのではないかというご提案ですか。 ○林委員  はい、そうです。左側からカラムの表示が必ずしもわかりやすくなかった状況があり ましたらご容赦ください。Fと書いてあるのが、FDAのPregnancy Categoryで、Aと 書いてあるのがADECのPregnancy Categoryです。これが米国なりの添付文書で何と 表記されているかというのが、例えばNifedipineで言えばCCです。それをFDAのカ テゴリーに合わせて、あるいはADECのカテゴリーに合わせて根拠情報をもう一度精 査をして、現状で得られる最大限の情報で割り振っていくと、実は多分割り振りが変わ ってくるものもすでにありそうですということが、右側になります。 ○大澤委員  日本の添付文書もこういう形で妊婦に対する安全性という部分が、何らかの形でもう 少しプラクティカルに変わり得るのではないかということですか。 ○林委員  こういうデータ分類構造にすると、例えばここに書いてあるものはおそらく合併症妊 娠では治療上の必要性に応じて使うこともあり得る薬剤だとわかり易いと思います。禁 忌というだけの表現ではなく、もう少し分類が変わってくる可能性もあります。また臨 床家もリスクと同時に本来使って母児ともにベネフィットのある薬剤については、使い 易い分類になっていたほうが、実際には健康上は母児ともにいいのではないかという方 向が見えるのではないかということで、こういう最後の資料にしました。 ○大澤委員  ありがとうございました。 ○佐藤(郁)座長  佐藤孝道委員、何かございますか。 ○佐藤(孝)委員  この検討会の目的を私がよくわかっていないのですが、これを契機にして添付文書の 書き方を変えようというのなら、大いに賛成で是非やっていただきたいと思います。た だどういう目的でこれが出てきたのか、それを聞いては申し訳ないのですが。先ほどの サマリーシートを作るための、何か書き方をしようとしているのか、その辺がよくわか らないので、どういう目的でこれを厚生労働省は出されたのか、是非教えていただきた いと思います。 ○大澤委員  私が変な視点を言ってしまったのかもしれません。 ○佐藤(郁)座長  いや、折角ここで議題2の中に入っているわけですから、是非その辺のところを事務 局からお願いします。 ○事務局  いま先生方からご指摘いただきましたが、まだ厚生労働省で妊娠中の投与について、 添付文書の書き方を変えるという具体的な検討はしていない状況です。林委員に今回こ の研究成果をご紹介いただいたのは、妊婦の情報センターを成育医療センターにお願い して、今年から開始して、データを集めますので、海外で妊娠中の薬の服用についてリ スクの分類がどのようにされていて、どのような情報提供がなされているのかという現 状を林委員がご研究されているので、委員の先生方にもご紹介いただければ、集まった データを今後活用していく際に参考にして、日本でも活用できるのではないかというこ とで情報提供の意味からです。 ○佐藤(章)委員  ということは、いまのところ薬を第三者的に簡単に評価する方法としては、この2つ が代表的であるということですか。今後この情報提供を受けるとき、紹介するときに、 FDAでいくのかADECでいくのかを統一した意見を作ろうというつもりなのです か。林委員が先ほど言ったように全く同じではない、性質が違うというカテゴリーを2 つ併記すると、主治医ならまだわかりますが、患者さんに言ったら混乱するだけで、大 変なことになり、良いことをやっているのに、かえって悪いことになる。そこのところ のフィロソフィがどうであるかを聞かせていただければ、意見が言いやすいのです。 ○佐藤(郁)座長  事務局としてはおそらくそう深い意味はなく、この検討会のメンバーの中に、吉川委 員、林委員、加藤委員が厚生科学研究で類似した研究をしているということで、紹介を していただいたということなのでしょうね。 ○事務局  そのとおりでございます。いま佐藤章委員がおっしゃっていたように、年度内に始め る成育医療センターの中の情報をオーストラリア、FDAの情報の分類の仕方で提供す るというわけではなく、現状、海外でこういうリスクのカテゴリーの分類がされている というご紹介という意味で、林委員にお願いしました。 ○佐藤(郁)座長  孝道委員どうぞ。 ○佐藤(孝)委員  よろしいです。 ○佐藤(郁)座長  折角こういう形で出ているわけですから。林委員、この報告書を見ると、この厚生科 学研究というのは、まだ来年度以降も続くわけですね。 ○林委員  そうです。 ○事務局  いま佐藤郁夫座長からもご指摘いただきましたが、平成17年度以降も、厚生労働科学 研究で、筑波大学の吉川先生が主任研究者として、妊娠中の医薬品の服用についてご研 究いただく予定です。その中で継続して、動物実験でどのようなデータがあったら、あ るいは人でどのようなデータがあったら、どのような形の情報提供がいいのかというこ とを研究していただく予定で、その結果を踏まえて、今後我々も検討していければと考 えております。 ○佐藤(郁)座長  確かに資料1と2で、村島委員のプレゼンテーションに対して、委員の先生から極め て運用上ご苦労されているようなところを的確にご指摘いただいているので、この資料 2の中の、すでにアメリカ、オーストラリアの薬害に対する説明、判断の基準をこうい う形で説明していただいているとすれば、先ほどの佐藤孝道委員のこれからナショナル センターでの妊婦の服薬に対する情報提供というときに、例えば記載にしても、面談に しても、この辺をどのような形でプレゼンテーションすればいいかのひとつのきっかけ にもなるのではないかと考えました。是非そういう方向に持っていっていただけると、 これからの妊婦さんの薬の服用に対する情報に、大きな力になるのではないかと思って おります。これに関連して先生方で何か、この資料2に関連したことで、この場で是非 発言したいことがあればどうぞお願いします。 ○石川委員  いま林委員から見せていただき、私どもも実際に使うときに、添付文書にこう書いて あるから、先生がこうおっしゃったという症例を患者さんからいただくことがありま す。実際、添付文書には処方する側の立場に立って、非常に有益な情報が入っているこ とを我々は希望しており、そういう形になっていけば今後も、非常に有効であると考え ています。いま見せていただいた内容、アメリカ等の薬剤情報には、そういう意味で処 方するときに有益な情報があり、日本の場合は責任の所在を明らかにするための内容、 そういう部分が強調されているという印象を受けました。ですからお話は非常に参考に なり、今後の事業でも添付文書等をより良くするための検討に活かしていければと思っ ています。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。そのほかにご発言はございますか。 ○佐伯委員  確認ですが、医師主導の治験ということは、想定は全くしていませんよね。今回の妊 婦さんの服薬をしてデータベースを作るということで、ほかの疾患であれば、医師主導 の治験も今後積極的に行われるのでしょうかと聞いているのです。この領域に関しては それは行わないということで、了解が得られているのでしょうか。 ○安全対策課長  それは少し趣旨が、目的とするところが違うと思います。医師主導の治験というのは あくまでも、新たな効能を取得するために、メーカーがあまり手を出さないところを、 医師主導で治験を進めてやろうと。こちらはどちらかと言うと、実際に使われていたと きに、副作用の中の1つとして、催奇形性がどの程度なのかを調べていこうという調査 です。向こうは有効性を調べる試験と考えていただくといいと思います。有効性を調べ るものは、非常に患者さんをかぎってやっても、それはきっちり答えが出るのですが、 害作用はあまりにも頻度が低いものですので、本当は比較試験をやるとすれば、1,000 人、1万人という大きな試験をやらないかぎりははっきりしないのです。それをやるの は日本では特に現実的ではないので、一応こつこつとこういう体制でまずは情報を集め ていこうということです。少し趣旨が違うかと思います。 ○佐伯委員  わかりました。 ○佐藤(郁)座長  そろそろ時間ですが、先生方から何かご意見、ご質問はございませんか。 ○大澤委員  いま妊娠中の薬剤の添付文書の話になりましたが、最近医薬食品局では、前向きに動 いているということを実感しております。そういう点でも是非、そちらのほうも進めて いただきたいなと思います。1番目の議題に関してですが、やはりカウンセリングをで きるネットワーク・システムと同時に、教育者を育てていくということを是非、一緒や っていだきたいと思います。よろしくお願いします。 ○佐藤(郁)座長  ありがとうございました。それでは予定の時間が参りましたので、今日の検討会をこ の辺で終わります。まず資料1、2では、ナショナルセンターが中心となり、これから 大変な仕事をしていくわけですが、これが全国にいい形で広がるようなシステムの構築 をこれからもよろしくお願いしたいと思います。最後の資料3の問題についても、林委 員からご指摘いただいたようなことを集大成されると、村島委員がこれから中心となっ てやっていく上で、非常に大きな力にもなるのではないかと考えております。その辺を 是非よろしくお願いしたいと思います。予定した議題はこれで終了しますが、事務局か ら何かございますか。 ○事務局  特にございませんが、次回の検討会は先生方の日程を調整させていただき、改めてご 連絡いたします。 ○佐藤(郁)座長  それでは以上をもちまして今日の検討会を終わらせていただきます。お忙しいところ をどうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省医薬食品局安全対策課  渡邊、井上(内線2748,2753) Tel.03-5253-1111(代表)