第8回検討会資料(修正)
資料5

第7回検討会において「助産所の嘱託医師について」に関して出された主な意見


(助産所・助産師のあり方・位置付け)

安全性と快適性は別物ではなく、助産所、病院のいい所を融合させなければいけない。

病院で何でもやるのは問題であり、助産所の役割が拡大できるよう支援すべきである。

産科、小児科の医師が不足している現状では、妊婦が遠くまで通う必要がある。分娩の際の経験から、もう子どもを生みたくないという意識もある。消費者の立場、患者本位の安全を考えた場合、助産所の開業権を狭めない方が消費者に利益が大きい。

オーストラリア等では助産所が活発化しており、正常産については、快適さとか子供を育てる視点、医療費の効率化の観点から助産所が評価されている。神奈川県における帝王切開率の低さは助産所の努力を物語るもので印象的。

助産所では正常産しか扱わないが、出産の過程において異常に移行したか否かの判断は助産師が責任をもって行うべきで、今回の検討に当たっての当然の議論の前提である。

助産所も安全の確保が重要。産科診療所においても正常産を取り扱っており、産科診療所と助産所の役割区分を明確にすべき。遠隔から医師の指示があれば、助産所で緊急でなくとも異常があった場合の医療ができるとすることはおかしい。助産所での取扱いは、リスクがほとんどない分娩に限定すべき。

資料にある約束規定の中には、判断を伴う薬剤の使用についても事前に医師が認めるかのような表現があるが、医師の責任の取り方として大きな問題を孕んでいる。

地域で分娩場所を確保する意味で、助産所も重要だが、現実に問題も起きており、医師の指示の下で、助産師がどこまで判断できるかを考えつつ、産科医会としても支援していきたい。

助産師が、正常から異常への移行の判断を行うために、最新の医療水準に即した超音波等のスクリーニングに伴う検査を行うことは当然である。

助産業務に当然に付随する行為として、現実を踏まえて何ができるのか、薬剤や緊急処置のあり方について、産婦人科医ときちんと議論して個別問題の解決を図るべき。その上で合意が取れればプロトコールの形式が出来ていくことになる。


(嘱託医師制度の現状・評価)

嘱託医師の機能が実際にどうなのか評価することが必要。緊急時に限らず、身近な相談者として、助産所にとってもメリットがあったはずである。

妊娠中期におけるスクリーニングの重要性などもあり、嘱託医師というかどうかはともかく、日常的に相談できる医療機関を持つことはいいことである。

緊急の場合であっても、嘱託医師を通さない直接搬送は受けられないとする医療機関が現に存在している。病院の医師が嘱託医師である場合、嘱託医師がいない時には対応できないとする病院もある。また、緊急の場合には、嘱託医師を介す余裕のない状況もあり、助産所の責任者が直接医療機関にコンタクトを取って、搬送する状況が見られる。

緊急の場合に、嘱託医師をとばして緊急処置のできる医療機関に搬送することは不自然ではない。

嘱託医師が精神科、皮膚科、分娩を取り扱っていない産科医等の場合もあるが、実は名前だけで緊急時には近隣の周産期センターと連携しているという現実がある。


(嘱託医師制度の見直しの方向性・連携医療機関の必要性)

【嘱託医師の専門】

産科でない医師にどれだけコンサルタント能力があるか疑問であり、産科以外の医師を嘱託医師とすること、また、せざるを得ない現状だとすると大変問題であるので、必要な改正を行って早急に対応すべき。

嘱託医師は、身近で助言できる医師あるいは何かあったときにすぐ対応できる医師とする位置付けが必要であり、産科医が嘱託医師となるよう改正すべきである。その上で、嘱託医師では対応が十分できない場合には、後方医療機関を確保することが必要である。

嘱託医師は、2人以上確保することとし、医師が連帯して責任を持つ体制をとるべき。


【緊急時の連携】

医療安全の視点から考えた場合、出産の途中で異常産に移行することはままあるので、助産所と医療機関を連携させることを最低限の基準とする必要がある。

母子の安全を考えたら、緊急時には嘱託医師を介さず、また、医師個人ではなく、24時間受け入れることのできる産科医療機関との連携が必要である。

嘱託医師制度は、名目だけの制度となっているので、むしろなくした方が2次救急、3次救急とうまく連動できる。緊急時の搬送先としての医療機関を決めておき出来る限りの検査データ等を添付して助産師が同行するなど、緊急時の直接搬送システムを確立すべきである。

夜中に何かあったとき、嘱託医師個人に連絡がつき、すぐ処置できるかが問題である。医療機関であれば、当直医もおり、応招義務もあるはずなので、より安全だと考えられる。

緊急の受入れ体制の整備に関しては、総合周産期医療システムなどのネットワークの中に、助産所を診療所と同じように位置づけないと大変危険である。地域医療全体として、助産所を救急医療システムに組み込む必要がある。

医療機関との連携は、責任の所在がより不確実となる懸念がある。また、医師でない医療法人の責任者が増加することも予想される中で、本当に安全が確保されるのか。

嘱託医師必置の規制を見直して、病院でもよいこととすべきではないか。


【日常的な連携】

嘱託医師の目的は、異常産の対応のためとする解釈が一般的だが、当初から異常にならないよう助産師と連携しながら健やかなお産に導いていく役割も期待されていたことがうかがわれる。したがって、嘱託医師をすべて医療機関に切り替えることがいいのかよく考える必要がある。

連携の方法として、オープンシステムのような形で、助産所の助産師も病院に来て指導するようなあり方が出来たらよい。

病院、助産所双方のスタッフが自由に出入りできる環境をつくることがうまく連携することの鍵になる。この連携によって安全も確保され、双方ともにメリットがある。

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