医師の需給に関する検討会中間報告書(概要)


1.はじめに
 ○ 医師の需給に関する諸課題のうち、医師の偏在による特定の地域や診療科における医師不足といった、喫緊の課題としてできる限り早期に手当てすべきと考えられるものに関する施策について、本検討会における議論を取りまとめたもの。

2.医師の需給に関する現状についての議論
 ○ 平成10年の「医師の需給に関する検討会報告書」においては、医師の需要を最大、医師の供給を最小に見積もっても、平成29年には医師は過剰になるという推計が示されている。
 ○ 本検討会では、今後、最終報告書に向けて定量的な調査・分析を行っていく必要があるが、医師の需給についての現状に関する、現在までの主な議論は以下のとおりである。
(1) 患者及び医師の双方から見て、医師は不足していると感じられる場面が多い
(2) 医療機関、診療科、時間帯、地域による医師の偏在があるのではないか
 ○ 上記(1)の理由としては、インフォームド・コンセントの普及をはじめとした患者と医師の関係の変容などの需要側の変化、女性医師の増加などの供給側の変化が考えられる。
 ○ 上記(2)の理由としては、病院の勤務医から開業医へといった医師のシフトが起こっていることや、医師の間に特定の診療科や地域に行くことを避ける傾向が高まっていることなどが考えられる。

3.当面の対応策
 ○ 医師の偏在による特定の地域と診療科における医師不足は深刻な問題となっており、喫緊に対応すべきである。それらに対する当面の対応策として考えられるものは以下のとおり。
(医師不足地域における医師確保(へき地の医師確保を含む))
 ・医師のキャリア形成における地方勤務の評価など、地方勤務への動機付け
 ・地方医療機関と勤務希望医師のマッチングなど、地方勤務への阻害要因の軽減・除去
 ・医学部定員の地域枠の拡大など、医師の分布への関与
 ・医師の業務の効率化など、既存の医療資源の活用
(医師が不足している産科等特定の診療科における医師確保)
 ・診療報酬での適切な評価による、不足している診療科への誘導
 ・診療所の医師も含めた地域の連携・協力体制の構築による、不足している診療科における診療の負担の軽減
 ・医療資源の集約化の推進など、既存の医療資源の活用

4.今後の検討課題
 ○ 最終報告書に向けての将来の医師需給の推計は、本中間報告書で述べたような変化を十分考慮に入れたものとすべきである。また、労働法規の遵守の影響、医師養成の在り方などの検討課題について、引き続き議論を進めていくべきである。



「医師の需給に関する検討会」メンバー


いけだ  やすお
池田 康夫
 慶應義塾大学医学部内科学教授
 
いずみ  ようこ
泉  陽子
 茨城県保健福祉部医監兼次長
 
えがみ  せつこ
江上 節子
 東日本旅客鉄道株式会社顧問
 
かわさき あきのり
川ア 明コ
 学校法人川崎学園理事長
 社団法人日本私立医科大学協会長
 
こやまだ   けい
小山田 惠
 社団法人全国自治体病院協議会長
 
すいた   さちよ
水田 代
 国立大学法人九州大学病院長
 
つちや   たかし
土屋  隆
 社団法人日本医師会常任理事
 
はせがわ   としひこ
長谷川 敏彦
 国立保健医療科学院政策科学部長
 
ふるはし   みちこ
古橋 美智子
 社団法人日本看護協会副会長
 
ほんだ   まゆみ
本田 麻由美
 読売新聞東京本社編集局社会保障部記者
 
やざき   よしお
矢崎 義雄
 独立行政法人国立病院機構理事長
 
やまもと しゅうぞう
山本 修三
 社団法人日本病院会会長
 
よしあら みちやす
吉新 通康
 東京北社会保険病院管理者
 社団法人地域医療振興協会理事長
 
よしむら ひろくに
吉村 博邦
 北里大学医学部長
 全国医学部長病院長会議会長
 
(○:座長)

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