第73回労働政策審議会労働力需給制度部会議事概要


 日時
 平成17年7月20日(水) 15:30〜

 場所
 経済産業省別館1020号会議室

 出席者
 <委員>
 公益代表 清家委員、北村委員、鎌田委員
 雇用主代表 輪島委員、山崎委員
 労働者代表 池田委員、川畑委員、長谷川委員
 <事務局>  坂口需給調整事業課長、篠崎需給調整事業課長補佐
 佐藤需給調整事業課長補佐

 議題
 ・ 労働力需給制度に係るヒアリングについて
 ・ その他

 議事経緯


・公開部分の議事録

清家部会長
 本日は「労働力需給に係るヒアリング」を実施することとなっておりますが、本日は最初に公開で「製造業の請負事業者団体からのヒアリング」を行います。また、その後、「製造業の請負業者からのヒアリング」、「派遣先の企業からのヒアリング」、「派遣先の労働者からのヒアリング」を行います。これらについては「個人に関する情報を保護する必要がある」あるいは「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当すると考えられるため、非公開とさせていただきたいと思いますので、傍聴をされている方には、始まる前に退席いただくことをあらかじめご了承いただきたいと思います。
 それでは議事に入ります。最初に、製造業の請負事業者団体からのヒアリングを行います。


(清水氏、田村氏、三澤氏入室)
清家部会長
 本日はお忙しい中、私どものヒアリングのためにご足労いただきまして、ありがとうございます。まず初めに、業界の概要、状況等について、恐縮ですが時間で1、2分程度でお話をいただき、その後、改正法等による変更点についての影響、メリット・デメリット等についてお伺したいと思います。その後、私どものほうから質問をさせていただきたいと思います。それでは社団法人の日本生産技能労務協会会長の清水唯雄様からお願いいたします。
清水氏
 当労務会は主として、製造業における生産請負を業とする企業を会員とする社団法人でございます。現在、正会員62社、現業従業員が14万人、年商約5,000億円となっています。生産請負は製造業の生産業界における業務アウトソーシングの一形態であり、自動車、電気等の大手製造メーカーにおいての大型の企業によって採用されています。
 我が国固有のものづくりの基盤を支え、製造業の維持・発展、重要な役割を担っていると考えております。生産請負業界において、とりわけ労働者数については、詳細は不明ですが、100万人というふうに言われています。
 労働者の雇用機会確保、労働力需給システムの円滑な運用において、一定の役割を発揮していると考えます。特に若年労働者であるフリーターに対しては、雇用機会を提供し続けていることはもちろん、彼らの生活基盤の向上の支援を果たしております。多くの社宅生活者に対しての雇用管理責任者、労務管理による私生活全般における定期的なアフターケアをすること、また労働意欲の向上を図るモチベーションをつくっています。
 さらに、ニートと言われる若者に対しても、雇用の機会を提供していくこと、多くの若年就業者を雇用し、請負企業が最も彼らを取り込めるということが、雇用の安定につながる考えております。
 従来、労働者派遣法において、ものづくり業務にかかわる労働者派遣業はなかったというところの、生産現場における外部労働力の調達、活用する形態としては、生産請負が重要な役割を果たしていました。昨年3月から、労働者派遣法が改定されて以来、製造業の生産現場においては、労働者派遣の活用が非常に広まっています。
 半数以上の会社、企業が労働者派遣事業の許可を取得し、許可を取ると同時に、労働者派遣のニーズに応じる体制をつくっています。
 この1年の経過として、製造業の生産現場においては、労働者派遣による労働力の調達・雇用が相当進んでおり、従来業務請負で行われていたものも、今後の動きについては労働者派遣事業が製造業の生産現場において、労働力の確保・雇用という観点からどのようなウエイトを占めるのか、あるいは生産請負方針に取って替わっていくのか、定かではありません。
 製造業の生産現場における外部労働力の活用という観点からいくと、労働力の外部的な調達という面において、請負の形態が派遣の形態よりも機能的であり、ある程度まとまりのある業務を要する相当数の労働者を調達する場合においては、労働者派遣よりも多くの労働者を調達し、ユーザー企業において労働管理、労務管理、雇用管理を行うよりも、生産現場における請負業務を一括請負として、生産請負方式による方が効率的であり、また技能の蓄積、継承の観点から、期間制限のある派遣形態よりも、そのような限定のない請負形態のほうがより効果的で、請負形態のほうが派遣よりも馴染むものであると思っております。
 さらには、労働者にとっても請負形態による場合は、当該請負企業の直接労働者である、雇用と使用の一致ということから、雇用の安定にもつながると。労働者派遣に比べて好ましいものと考えています。
 当協会としまして、製造業の生産現場における外部労働力の調達、活用の方法として、生産請負の方式が有効であるということであります。今後とも、生産請負業界の発展に向けて、協会傘下企業の指導、支援をしていくというところです。そのために主として次のような事業を実施いたしております。
 労働者派遣法等の法令遵守の意識の啓発。当協会独自の雇用管理責任者資格制度による、労務及び現場管理の研修。リーダーシップ研修等による現場管理者の資質の向上。労務及び現場管理者に対する安全衛生の研修。衛生管理者の資格取得の支援。安全衛生ガイドブックの作成等によって安全衛生意識の啓蒙に取り組んでおります。
 当協会としては、今後とも生産請負の健全な発展のために事業を進めていくこととしておりますが、国においても業務請負業界が、製造業の重要な役割を果たしているということ、並びに労働者の雇用機会の確保、同時に労働力需給システムの役割を果たしているという観点から、積極的な指導、援助をお願いいたします。以上です。
清家部会長
 どうもありがとうございました。ただいまの清水様からのご報告につきまして、質問などがあればお願いいたします。
輪島委員
 会員企業の数ですが、増加しているのでしょうか。いちばんよく売れるコマーシャル、よく見ることがありますよね。会員数というのは増えている傾向にあるのでしょうけれども。それから従業員数14万人というふうに、また、労働者数を相当数と言われましたが、相当数と14万人との関係を教えていただきたいのですが。
清水氏
 当協会の正規会員62社の雇用している人数が、総括として約14万人というものです。製造系の民間会社で、そういう企業が数千社だと伺っています。なかなかデータがありませんので、その数はちょっとわかりません、推定ということです。いちおう100万人というか、労働者はそのように言われています。先ほどの現場従業員14万人ですが、企業の規模は大小様々であり、だから62社で割ると2,400、平均的ではないか。ただし、1社においては3万人を超えている企業もあるというのが現状です。
輪島委員
 62社という会員企業は増えているのかというのは。
清水氏
 増えています。まだ、当協会は社団法人の認可をいただきまして4年と10カ月くらいになりました。年々5社ないし8社くらい増えています。
長谷川委員
 請負労働者の、製造業というと1つの事業所に入った場合に、どこかにいろいろと出入りがあるのだと思うのですが、非常に最近の技術の変化は激しいわけですが、請負の場合に労働者の訓練というのは、それぞれの会社で行っているのでしょうか、それとも横断的に事業者団体でそのようなものがあるのでしょうか。
清水氏
 両方ありまして、大手の企業は自社で研修施設を持っていて、製造業に必要な教育研修を行っています。500人規模、1,000人前後の請負業者は、協会が中心として教育訓練をしています。例えば管理監督者の訓練をしています。これは制度において必要な職長研修、それから安全衛生の管理者、または管理責任者の教育訓練、いろいろな階層に分けて教育研修を年間17、18回ぐらいの規模で行っています。
 全国にわたっている団体ですので、関西、東北など、その地域、地域に講師が出て行って、会場を設定して研修を行っています。
池田委員
 労働側委員の池田と申します。私は町田の建設職人の労働組合を組織をしております。全建総連でいつも問題になっているのは、うちは下請けなのです。ゼネコン、専門業者、その下です。単価は叩かないのですよね、我々の言葉でいうと指値発注、言いなりです。いまそういうことがありまして、大変儲からないと。
 そういうことで、先ほど長谷川委員が言われたように、もう自分のところで常用雇用で雇っていけないのだと。したがって、みんな下請けにしてしまうという。貴会は62社ありますよね、自動車とか、電気とか。こういう状況ですから、どうなるでしょうか。請負について、自動車会社、電気会社から、値段を下げられているのではないかという心配を持ったのですが、その辺りはどうなのでしょうか。
清水氏
 メーカーによってまちまちで、発注の仕方もまちまちです。メーカーのほうで値段を提示してくる場合もあります。何社まで見積りをしましたと、非常に低コストで見積りをする業者もありますと。そういった関係から、相対的にコストが高くなるのは落ちてきているという現状です。
 同時にコンプライアンスということで、当分雇用も派遣もそうなのですが、社会保険のことがあります。社会保険の加入に関して、当協会はかなり促進をしています。しかし、コストが下がるとどうしてもその辺をカットされる、せざるを得ないこともあって、コンプライアンスを守りきれないということもあります。そういう点において、メーカーに対しても理解というか、そういうものをきちんとすると。社会保険も掛けられないようなコストで発注するのはおかしいのではないかと我々は言っております。
池田委員
 やはり社会保険、建設関係の社会保険はメーカーは結局やっていけませんよね。そうすると、私どもの下請けはどこを詰めるかというと、社会保険です。ということは常用雇用は少なくしなければなりません。そして社会保険は払わなくていいというふうになっているので、そこはやっぱりいじくられますか。
清水氏
 結局コストをかなり叩かれますと、そこに皺がいってしまうことになるのです。ですから、当然我々としても派遣法改正になりますと、派遣に関しては社会保険加入の義務がありますから、当然その義務を守って、同時にその価格を設定して、見積りを出そうと。どうしてもこれ以下で発注してくれ、あるいはそれを受注する業者もおりますので、コストの面からそういう結果になるということです。
池田委員
 そのようになりますと、いま世界的に技術部分は向上していますが、品質管理はうるさくなりますよね。そうすると、そこの部分だけを請負ってやると、その部門品質を向上させるためにうるさいのです、守らなくてはいけませんよね。守らなくてはいけないということは、先ほど長谷川委員も言われましたが、労働者の働く人たちの技術、技能を向上させなくてはいけません。そうなると、結局請負については相当コストダウンをさせられて、結局低いのではないかという考えになります。
清水氏
 ですから、当協会の企業のように、管理監督、この中身は、品質においては管理監督者なのです。管理監督者がしっかりしている者を常駐させると品質はかなり保てますし、品質の問題に関しても、いわゆる定着の問題もいろいろあるのです。定着することによって熟練するわけです。ですから、管理監督者がしっかりしているということが、我々の請負業界としてみれば非常に重要なことです。ところが派遣で行うと、それがカットされるので、非常にそのような問題に発展していく可能性はあります。
北村委員
 62社の方が加入しているということですが、加入に当たっての条件、資格はどうしているのでしょうか。
清水氏
 これは人数の規模や売上を基準とし、入会基準は不適格事項に該当するものは入会できません。それから、入会に当たっては会員の推薦、これは1つのガードです。推薦をしてもらって、理事会の承認という形を取っています。
北村委員
 不適格事項の中に、ただいまの話だと社会保険に関する加入ですが、例えば、これもきちんと会員間でチェックするシステムもあるのですか。
清水様
 そのチェックは理事会でやるということです。
川畑委員
 会員社が62社ということですが、この中に、会社の中で派遣と兼業されている割合はどの程度の会社でしょうか。
三澤氏
 会員企業は派遣事業と請負業があるのですが、全体の会員数の中で、一般労働派遣が61%です。有料職業紹介事業が17%になっています。
鎌田委員
 今は物の請負企業を中心にやっておられると思うのですが、派遣が改定になったということで、派遣の事業許可を求められて活動されている企業も多いと思いますが、会員企業で結構ですが、売上げベースで見ますと、派遣のパーセンテージはどの程度でしょうか。つまり、改定になってから派遣でおやりになったところがいくつかあると思うのですが、どのくらいでしょうか。
清水氏
 この昨年から許可になって、大体派遣で15%ぐらいです。
鎌田委員
 協会としての評価は予想よりも多い、あるいは予想よりも。まだこれはなかなか難しいものがあると思うのですが。
清水氏
 まだ1年の期限限定がありますので、このようなものではないかという感じはありました。ただ、請負業というものは、派遣は馴染まないということは我々は認識しています。ですから、そんなに伸びるとは思っておりません。
鎌田委員
 事業の性格にもよると思うのですが、馴染まないと言いますか、もう少し詳しく。
清水氏
 これは例えばホワイトカラーの一般労働者派遣に関して、専門職、経験者を派遣します。ところが製造業においては、フリーターと言われるような人たちが非常に多いわけです。ですから、製造の経験のある人というのは極めて少ないのです。そういうものを派遣するといっても、そこに管理監督者がいないと、先ほどのご質問のように、品質、災害の問題といったことが起こる可能性があります。
 当然派遣先で管理監督することになっておりますが、雇用と管理が一体になってないと、従業員そのものが、経験や何か自分で仕事をきちんとできるものではありませんので、管理監督者がきちんといて、それできちんとやるということです。ですから、請負契約ということによって、きちんとした管理監督者の下に仕事をすることが望ましいと思います。
鎌田委員
 そういう感じで、今回コンプライアンスの観点として、特に偽装請負の問題などでも、厳しくやっておられたと思うのですが、製造業の派遣を解禁して、以前は派遣が許されていなかったのでどうしようもなかったと思うのですが、極めてグレーゾーンについては、派遣に指導を受けて切り替えるところもあるかと思っておりますし、そういうことも期待をされているのですが、そういったような動きというか、切替えは進んでいるのでしょうか、会員企業は切り替えておられると思いますが。
清水氏
 請負といっても簡単にできることではないのです。請負もコンプライアンスといろいろある中に、完全請負というのはなかなかできるものではありません。では何パーセントぐらい現実に絡むかということで、従来は、製造業で派遣が許可になる前は、確かにそのような問題があって、行政から指導を受けたと、もっとひどい状況、マスコミなどにも、いろいろなことがありました。しかし、最近では調査、行政指導によりまして、請負ではない派遣でやれということは言われており、そういう点においては、比較的仕事がしやすい状況になったことは間違いありません。
長谷川委員
 外国人労働者が結構入ってきているのですが、そのときに請負のところに、フリーターのことが多いのですが、外国人労働者も多いのだと思うのですが、請負企業には、外国人労働者というのはどういう形で入ってくるのかというのと、外国人労働者の扱い方について、雇用管理について、皆さんの協会で注意すべきことなど、周知することはなさっているのでしょうか。
清水氏
 外国人と言っても、比較的日系人は非常に多いです。その他の外国人に関しては、原則許可になっていません。ですから、それは雇用すること、少なくとも我々の協会においてはゼロということです。日系人もほとんどいないと思います。ということは、日系人にしてもなかなか言葉が難しいものですから、結構雇用されていますが、言葉が通じないものですから指導しにくいということがあります。製造メーカーのほうは、そういった経営というか、特に最近の社会保険の問題もありますので、非常に日本人に切り替えてという要望がかなり出ています。
清家部会長
それでは時間も過ぎておりますので、製造業の請負業者団体からのヒアリングは以上にさせていただきます。清水様、田村様、三澤様、どうもありがとうございました。

(清水氏、田村氏、三澤氏退室)

(傍聴者退席、以下非公開)


・非公開部分の議事要旨

(1) 製造業の請負事業者から以下のような意見があった。

(労働者派遣事業について)
 昨年の改正以来の状況で、特に派遣の就労率が高いのは自動車メーカー、またはそれに類する自動車の部分メーカーが非常に派遣の就労率が高いと見ている。これは、基本的には十分に組み付けられるという、非常に大きなラインが我々のような業者が請負をするというのは難しいということ。非常に短期間で生産が変動するという、この2つの理由から派遣の利用率高いのではないかと考えている。当社のスタンスとしては、一時的、臨時的な業務については派遣、継続的な業務については請負で行うというのが基本的な形態である。
 ホワイトカラーを扱っている人材会社というのは安全面ということの認識がない。というのは、通常は仕事をとおしてそのようなことは発生しないので、そういうことに対して入社前に教育をするとか、入社後にいろいろなメーカーとの連動した動きをする、こういうことが低すぎる。ホワイトカラーの場合は比較的新規派遣というのが最近はあるが、スペシャリストを派遣することが前提となっているのに対して、フリーターと言われる方々にある程度教育訓練をして現場に配属するというのが我々のやり方なので、全然違う。
 派遣的に昨日、今日ポンと連れて来た人が、すぐに製造工程に従事できるということは正直言って考えにくいと思う。よって、結果としては、1年という縛りを受けている中で派遣で使うとすれば、使うメーカー側もおそらくそれを知っているので、スキルを要求されるところには従事させることはできないのではないかと思う。特に、基本的に半導体とか、前工程は請負でないとできないだろうし、一人前と言われるまでに2、3年はかかると言われている。

(請負労働者の研修について)
 フリーターと言われる方々が非常に製造における経験が少ないことがあり、その方々を製造現場で活用するためには、入社前研修ということに力点を置いている。安全教育を中心とした入社前研修は不可欠である。一方技能系社員の能力開発については、OJTを中心に考えているので、OJTに耐えられるような現場監督者の育成が必要だということについて、そのようなことを展開している。

(2) 派遣先の企業から以下のような意見があった。

(派遣受入期間制限について)
 一般事務系については特に資料業務を中心に利用していたので、この期間の制限がなくなったということで、総じて非常にいいという印象で、各事業部門は利用している。
 専門26業務のスタッフが期間に制限がなくなったことについては、長期のプロジェクトで途中で替わられるよりも、できるのなら長く勤めていだきたいという思いがあり、派遣スタッフのほうも長く雇用してほしいという方もいるので、そこがうまくできたという気がする。
 デメリットとしては、自由化業務ということで、原則1年、最長3年ということになったが、1年を超える場合はあらかじめ労働組合の意見聴取義務となっており、まだこういう仕組み自体はできてないので、実質自由化業務はない。

(物の製造への派遣について)
 物の製造の業務の解禁については、期間が1年ということなので、かなり単純作業でしか使えないという抗議も出ていて、さらに1年後はクーリングオフ期間が3カ月必要というところで、なかなか実際の利用は思うように進まない実態にある。

(その他)
 製造業務専門の派遣元・派遣先責任者については、特に我々派遣を受ける側の派遣先企業として、100人当たり1人の派遣先責任者というもので、連続で置かなければいけないというところで、費用の問題とか、それなりに部署をきちんと用意しなければいけないというような声も聞いている。
 必ず雇用保険、労働保険、社会保険に加入している派遣労働者を、基本的には派遣会社が派遣するというスタンスで臨んでくれているので、最初から短期の2カ月しかないというような場合だと、保険に加入していない派遣労働者の方もいるが、長期の場合は保険に加入している方を紹介してもらうというスタンスで対応してもらっているので、その辺については特段に問題ないと考えている。
 派遣労働者も社員と同じように、福利厚生を使えるようにということだが、これについては同じように差別の排除はしてはしているつもりである。
(派遣労働者の)教育訓練についても、可能な限り協力するという形でやっている。
 専門の26業務をやってもらう中で、附随業務と言われるものが約1割を超えると自由化業務とみなされるということで、非常に気にしていて、1割を超えないような努力をしている。
 期間経過で嘱託で1年間採用して、この人材は使えるということで嘱託から中途採用にしたという例は本社ではあるが、事業所のほうで、いわゆる一般事務でそういうことは特に聞いていない。

(3) 派遣先の労働者から以下のような意見があった。

 いまは大変社員数が少なくなって、派遣社員が増えてきたのを見れば、教育、福利厚生は全部一緒である。福利厚生、社会保険関連は、派遣元で入っていないときは雇用しないので、その辺はきちんとやられていると思う。うちの会社内における共有スペースなどは全部社員と同じように使わせてもらっている。
 女子社員は制服があるが、3カ月を超えたら制服を支給するということで、長期の人は全部制服は配付されている。このため、ちょっと見ると、誰が社員で、誰が派遣社員かわからないというのが現状である。
 賃金が少ないというのは、どちらかというと、派遣元によって違うので、そちらの問題のほうが大きい。できるだけ安くて優秀な社員が欲しいが、雇用した時期によって全部違う。そうすると、どうしても夏場の繁忙期に欲しいなというときには、本当はこの人員で雇えるのですが、今はいない。だから高くなってしまう。
 (派遣が長い人で)10年ぐらいいる。社員になれる制度もある。契約社員になれる制度があって、契約社員が社員の登用と中途採用の方式というのがある。全員に告知をして、社内のインフラ情報というので全員に呼びかけをして、全部登用できるようにしている。(本人がそれを望むかどうかであり)その場合に、当然派遣元があるので、派遣元と話をして登用試験を受けるか受けないかを決める。
 社員になったら転勤をしなければならないことや、異動になってはいけないことから、私はいいですと言う人が多い。仕事も様々なセクションなど支店によってまちまちなので、派遣社員からは、たいてい「社員になりません」という話がある。
 (派遣労働者は)残業をしている方がものすごく多い。残業時間が5分単位であり、社員より残業に関してはきっちりやられている。20時間も残業している派遣労働者もいる。希望としては定時にきっちりやめて帰ってもらいたいが、どうしても繁忙期などはしごとを終わらせてから帰ってもらいたいので、その場合だと何十時間も残業することになるが、それはそれできちんと契約している。社員よりも残業している派遣労働者もいるし、もちろん早く帰る方もいて、まちまちである。
 社内教育制度というものがあって、通信教育や外国の講師を入れることに対しても、派遣社員が自由に受けられる形をとっている。社員と派遣社員のスキルの差があっては困るためである。利用者から見たら、派遣社員も社員も変わらないので、同じようにやるという教育は、ちょっと不足しているが、力を入れているというのが現状である。

照会先
 厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係
   〒100-8916東京都千代田区霞が関1-2-2
  TEL 03(5253)1111(内線5747)
  FAX 03(3502)0516

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