平成17年度第2回目安に関する小委員会議事録

1 日時  平成17年7月14日(木)10:00〜11:40

2 場所  厚生労働省専用第21会議室

 出席者
【委員】公益委員 今野委員長、石岡委員、中窪委員、樋口委員
労働者委員 加藤委員、久保委員、須賀委員、中野委員
使用者委員 池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員
【事務局】厚生労働省 松井審議官、前田賃金時間課長、名須川主任中央賃金指導官、
 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐

 配付資料

資料No.1 平成17年賃金改定状況調査結果 (PDF:278KB)

資料No.2 春季賃上げ妥結状況及び夏季賞与・一時金妥結状況 (PDF:57KB)

5 議事内容

○今野委員長
 それでは、目安に関する小委員会を開催いたします。最初に、事務局からお手元に配付してあります資料についてご説明願いたいと思います。

○前田賃金時間課長
 資料No.1をご覧いただきたいと思います。「平成17年度賃金改定状況調査結果」でございます。表紙で賃金改定状況調査の概要についてですが、調査の地域は都道府県庁所在都市と、都道府県ごとに原則として人口5万人未満の市から選んだ地方小都市です。調査産業が、都道府県庁所在都市については製造業、卸売・小売業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、サービス業という5つの産業です。地方小都市については製造業のみです。調査事業所については、今年6月1日現在で常用労働者数が30人未満の企業について1年以上継続して事業を営んでいるものから抽出したということで、合計4,000事業所が対象です。そのうち、都道府県庁所在都市が3,000事業所、地方小都市が約1,000事業所です。これは例年どおりです。調査対象労働者については、その調査事業所に雇用される労働者ということで、約4,000事業所、労働者数にして3万1,000人ぐらいということです。
 調査の内容ですが、今年6月1日現在における事業所の属性と労働者の性別及び就業形態。昨年6月分と今年6月分の所定労働日数、所定労働時間数と所定内賃金額について調査しました。賃金改定率については今年の1月から6月までの間の賃金改定の事実について調査しました。年間所定労働日数については平成15年度と平成16年度の所定労働日数の調査ということです。
 次頁の第1表ですが、賃金改定実施状況別事業所割合ということで、今年の1月から6月までの間に賃金の引上げないし引下げを実施したか、あるいは改定を実施していないか、今年7月以降に改定を実施する予定があるか、という区分で事業所ベースで調べたものです。一番左の産業計の所ですが、1月から6月に賃金引上げを実施した事業所の割合が35.9%です。括弧内が昨年ですが、昨年が31.2%でしたので4.7ポイントほど増えております。その右が1月から6月に賃金引下げを実施した事業所の割合ですが、産業計でいくと1.9%ということです。昨年が2.8%でしたので0.9ポイント下がっております。それから、賃金改定を実施しない事業所が54.2%で、昨年が58.0%でしたので、これも3.8ポイント下がっております。あと、7月以降に賃金改定を実施する予定については8.0%で、昨年が7.9%ですので、若干上がっております。
 産業別にみますと、いずれも1月から6月に賃金引上げを実施した事業所の割合は昨年と比べて上がっておりまして、賃金改定を実施しない事業所の割合は昨年と比べて低下しているのは、いずれの産業においてもそういう傾向です。産業別にみますと、医療,福祉については1月から6月に賃金引上げを実施した事業所の割合が高くて62.8%です。逆に、飲食店,宿泊業については1月から6月に賃金引上げを実施した事業所の割合が低くて18.6%となっております。あと、ランク別に示していますが、このランクについては調査結果はすべて今年のものについては昨年の目安制度のあり方に関する全員協議会で都道府県のランクの入替えがありましたので、新しいランク区分によって各都道府県を振り分けて表示しております。Aランクの方が賃金引上げを実施した事業所の割合が高くなっております。
 次頁、第2表ですが、事業所の平均賃金改定率ということで、1月から6月までの間に賃金の引上げないし引下げを実施した事業所については、その事業所ごとに平均の賃金改定率がどのぐらいであったかということを答えていただいておりまして、それを事業所ベースで平均したということです。左側の賃金引上げ実施事業所ですが、賃金引上げ実施事業所において賃金引上げ率の平均が全体では2.7%ということで、括弧内では2.8%ということですので昨年に比べると0.1ポイント下がっております。賃金引下げ実施事業所については賃金引下げの平均の率がマイナス7.2%で、昨年がマイナス5.3%ですが、引下げの幅は若干拡大しております。
 一番右が、賃金改定実施事業所と凍結事業所のそれぞれの事業所の割合で、全体を加重平均したものですが、産業計では0.8%の上昇ということで、昨年は0.7%でした。全体としては引上げ実施事業所の割合が増えて、引下げ実施事業所の割合が減っていますので、それぞれでみた場合に引上げ率が若干下がっていたり、引下げ率がやや広がっているのですが、事業所割合全体の加重平均でみると昨年よりも改定率は0.1ポイント上がっております。
 次の頁が、事業所の賃金引上げ率の分布の特性値ということで、1月から6月までの間に賃金改定を行った中で、引上げを行った事業所についてその引上げ率の分布をみたものです。産業計は第1・四分位が1.0%、中位数が1.8%で、これは昨年と同じです。第3・四分位が3.0%で、昨年が3.1%でした。第3・四分位の所が0.1ポイントずつ下がっているのですが、分散をみると0.57で、昨年が0.58ですが、若干小さくなっているというところです。あと、産業別にみると、飲食店,宿泊業は0.82で、少し分散が大きくなっております。逆に、医療,福祉は0.49で、分散が小さくなっている状況です。
 次の頁ですが、第4表で一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率についてです。産業計の男女計の所でみていただくと、1時間当たり賃金額が昨年6月が1,366円、今年の6月が1,372円ということで6円上がっておりまして、率にすると0.4%の上昇となります。ランク別にみると、Aランクが0.6%で、一番高くなっております。Bランクが0.2%、Cランクが0.3%です。Dランクは0.0%ということで、上がっておりません。男女別にみると、男が0.2%、女が0.7%ということで、女性のほうが上昇率が高くなっております。
 産業別にみると医療,福祉が1.3%上がっておりまして、これが一番高い上昇となっております。逆に、製造業は0.0%で、上がっておりません。平成16年の上昇率をこの中に書いておりますが、注にありますように、平成16年の上昇率はパートタイム労働者の構成比の変化を反映した数値であることと、平成16年については当時のランクでやってありますので、例えばAランクは東京、神奈川、大阪の3つだけになっております。今年はAランクに愛知、千葉が加わっているということで、ランクに属している都道府県の違い等もあるということで、平成16年度、平成17年度の所は単純に連続して比較できないところがあることにご留意いただきたいと思います。
 次に、参考1で、賃金引上げの実施時期別事業所割合ですが、1月から6月までに賃金引上げを実施した事業所を100とした場合にその引上げの実施時期が昨年と比べてどうかということです。一番左が全体ですが、「昨年と変わらない」が89.5%で、昨年が88.6ですが、若干増えております。あと「早い」が2.3、「遅い」が1.5で、これも昨年より少し増えています。逆に「その他」が6.7で昨年より減っております。
 県庁所在都市と地方小都市別にみると、「昨年と変わらない」が県庁所在都市で90.2であるのに対して、地方小都市は「昨年と変わらない」が86.4と若干少なくて、「その他」の方が多くなっております。「その他」というのは、賃金引上げを昨年実施しなかった事業所などが入っております。
 参考2ですが、これは賃金改定を6月までに実施していない事業所について、その事由別にみたものです。事由1から5まで、下の真ん中に「注」で各事由を書いていますが、事由1、事由2、事由5が7月以降に賃金改定を実施する予定です。事由1が、昨年も7月以降で今年も7月以降に実施する予定です。事由2は昨年は1月から6月に実施したが今年は7月以降に実施予定ということです。事由5は、昨年は賃金改定を実施しなかったが今年は7月以降に実施予定ということです。事由3、事由4は、今年は賃金改定を実施しない予定です。事由3は、昨年は実施したけれども今年は凍結する予定、事由4は、昨年は実施せず今年も実施しない予定ということです。
 産業計でみていただくと、事由4が75.6%で一番多いということです。あと、事由3が11.6%と多いということです。産業別では、飲食店,宿泊業は事由4が80.4%とかなり高くなっており、医療,福祉は65.8%と少ないということです。
 次に、参考3ですが、事業所の平均賃金改定率です。これは先ほどの第2表と同様ですが、それを県庁所在都市と地方小都市とに分けてみたものです。県庁所在都市は賃金引上げ実施事業所については引上げ率の平均が2.7%で、賃金引下げがマイナス7.3%というところです。地方小都市については、賃金引上げ実施事業所の引上げ率の平均が2.9%で、これは製造業だけですが、県庁所在都市の製造業は2.7%ですので、この点については地方小都市のほうが引上げ率が若干高かったということです。賃金引下げについては、地方小都市はマイナス7.0%で、県庁所在都市よりも若干低くなっております。あと、全体の加重平均でみると、地方小都市が0.6%、県庁所在都市が0.9%で、ここは県庁所在都市の方が若干高くなっております。
 第4表は事業所の賃金引上げ率の分布の特性値で、先ほどの第3表についてさらに県庁所在都市と地方小都市に分けてみたものです。地方小都市については、分散係数が0.59で、県庁所在都市の産業計よりは分散が大きいのですが、県庁所在都市の製造業でみると0.63ですので、それと比べると分散は小さい状況です。
 次に、参考5ですが、一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率、先ほどの第4表ですが、それを県庁所在都市と地方小都市別にみたものです。地方小都市の製造業は計でみると0.1%上昇ということで1円上がっているわけですが、逆に、県庁所在都市の製造業は1円下がってマイナス0.1%で、製造業についてだけみると地方小都市のほうが上がっております。ただ、県庁所在都市はほかの産業もありますので、産業計でみると0.4ということで、上昇率は県庁所在都市のほうが大きくなっております。
 最後の頁の付表ですが、労働者構成比率については、パートタイム労働者比率が昨年が21.2%であったものが今年は22.5%で1.3ポイント上がっております。男女別の比率ですが、男性が55.5%、女性が44.5%で、昨年と比べて女性が0.2ポイント上がっております。事業所の年間所定労働日数については、平成16年度が261.1日ということで1.2日減っておりますが、暦の影響などもあります。 以上が賃金改定状況調査の結果についてでございます。
 次に、資料No.2をご説明いたします。春季賃上げ妥結状況についてですが、第1回の小委員会のときにその時点での集計を資料に入れておりましたが、その後さらに集計が進みましたので現時点のものを出しております。連合の7月6日現在の中間集計ですが、規模計で平均賃上げ方式でいくと1.70%で、昨年が1.65%ですので、0.05ポイント高いということです。規模別にみても、それぞれの規模で昨年よりも若干高いという状況です。日本経団連は大手企業が6月8日で終わっていますので前回の資料と同じですが、中小企業については6月29日の中間集計で1.49%ということで、昨年は1.45%ですが、これも若干高いというところです。
 夏季賞与・一時金の妥結状況について、これも連合、日本経団連、それぞれの集計ですが、連合の7月5日の集計でみると夏季については2.35ヶ月ということで、前年と比べると0.11ヶ月、額にして71万4,595円ということで、昨年と比べて3万6,765円増えております。年間でいくと4.80ヶ月ということで、プラス0.14ヶ月、金額で148万7,495円ということで、プラス8万3,875円です。日本経団連の集計は、今年の夏季については金額で86万5,002円ということで、昨年の夏季と比べると3.21%増えているという状況です。説明は以上でございます。

○今野委員長
 ただ今のご説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。私のほうから1つだけ。これは組合側の委員にお聞きしたほうがいいと思うのですが、資料2で、連合の個別賃金方式の1組合当たり単純平均で賃上げ率が出ていますよね。これはどうやってやるのですか、ポイントの人の賃金の賃上げ率を出すのですか。

○須賀委員
 この中で使っているのはあくまでも各組合のポイントごとの引上げ率そのままの平均です。各組合ごとに集計された30歳あるいは35歳のポイントにおけるものを組合当たりで単純平均したと。

○今野委員長
 この個別賃金方式が増えると、従来の平均賃上げ方式のような賃上げ率と理論上はずれてきてわかりにくくなってしまう可能性もあるということですか。

○須賀委員
 理論的にはあります。

○今野委員長
 余分なことでしたが。

○須賀委員
 いや、そもそもの賃上げ方式が違うわけですから、数字の持っている意味は当然違ってくると思います。

○樋口委員
 初めてなので教えていただきたいのですが、賃金改定状況調査で質問項目は月間所定労働日数と1日所定労働時間ですか、それと所定内賃金額、これから時間給を出すというふうにしているわけですか。

○前田賃金時間課長
 労働者ごとに所定労働日数と1日の所定労働時間、所定内給与を書いていただく。時間給の人は時間額で書いていただき、月給の人は月額で書いていただくので、それを月の所定労働時間で割って時間額を出しています。

○樋口委員
 そうすると、時給が上がるというのは、所定内給与が一定であっても労働時間が短くなれば、時間当たりは上がるということですね。

○前田賃金時間課長
 はい。

○樋口委員
 先ほどの改定云々というのは、改定率何%というのが出てきましたが、あれはどういう。

○前田賃金時間課長
 昨年6月についてそういう時間額を出すのと、今年6月についても所定内給与と所定労働時間で時間額を出して、その時間額の変化をその平均上昇率としてみています。

○樋口委員
 賃金改定を実施した事業所割合というのがありましたね。あれもそのようにやるのですか。この数字から取っているのですか。

○前田賃金時間課長
 第1表は労働者ごとの数字ではなくて、別途、事業所にアンケートみたいな形で、1月から6月に賃上げをしたかどうか、賃上げをした場合に平均何%上げたか、ということを書いていただいているので、その事業所ベースのところを集計したのが第1表なり第2表のところです。第4表は労働者ごとに書いていただいた賃金などを基に、労働者ごとの集計でやっています。だから、前のほうは事業所単位での回答の単純な集計です。

○樋口委員
 第1表とか第2表は、事業所単位での所定内賃金額についての引上げ回答ですよね。だから、第4表とは必ずしも一致しない。

○前田賃金時間課長
 第1表、第2表は事業所単位、第4表は労働者単位ということが違っているのと、第1表、第2表は1月から6月に賃金引上げを実施したということで、定期昇給も入りますしベースアップも入る。第4表は昨年6月と今年6月を比べていますので、入離職があったりするような影響もあるので、そこも違ってくるところがあります。

○樋口委員
 それと、所定内給与が一定でも労働時間が短縮されれば第4表は上がって、第1表、第2表は上がらない。

○前田賃金時間課長
 はい。第1表、第2表は今年の1月から6月までに物理的に賃上げをしたかどうかというだけなのですね。

○樋口委員
 はい。

○川本委員
 第1表の産業計と製造業その他、業種別がありますが、その内訳はどのぐらいの事業所の数の割合になっているのかを教えていただければと思います。また、第4表のも、産業計の中身として製造業、卸売・小売業以下がありますが、これの人数のウェイトといいますか、割合がわかれば教えていただきたいと思います。

○前田賃金時間課長
 事業所の割合ですが、第1表の製造業、卸売・小売業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、サービス業ということで、この割合について、平成16年度調査から産業分類が変わったことによってこういう産業でやっておりますが、その割合については6対3対1対1対2であるということに、当時の事業所統計調査などを基に事業所数を決めております。ですので、全体が約4,000事業所ということですので、製造業が約1,900です。卸売・小売業が約900、飲食店,宿泊業が約300、医療,福祉が約300、サービス業が約600というのが対象事業所数です。

○今野委員長
 労働者数については後で計算をして回答していただければと思います。ほかにありますか。

○中野委員
 第1表の賃金改定実施状況別事業所割合の所なのですが、事業所に対するアンケートだと言われましたが、賃金を引き上げたと認識する定義といいますか、それはどうなっていますか。賃金を引き上げたという認識はなくても、最近は成果主義などが入っているので何人かだけは上がっているとか、そういうことも起こり得ると思いますので、それはどういう定義で聞いているのかを教えていただきたいと思います。

○前田賃金時間課長
 この調査の記入要領で賃金改定については「定期昇給、ベースアップ、賃金カット等の名称の如何を問わず個々の企業において全部又は大部分の常用労働者の所定内賃金額を引き上げ又は引き下げること」ということで定義しております。ですので、全部又は大部分の常用労働者について引上げないし引下げをしたということを賃金改定ということで定義しております。

○中野委員
 わかりました。

○今野委員長
 それでは、前回の小委員会でお願いしてあったのですが、本年度の目安について労使双方の基本的な考え方について表明していただきたいと思います。労働者側からお願いします。

○須賀委員
 私どもの見解を文書にしたものがありますし、併せて付表を3つほど付けた資料もありますので、それを配付していただきまして、これに基づいて労働側の見解を表明したいと思います。大きく4つの項目について見解を述べたいと思います。1つ目には、経済環境の認識についてでございます。景気は着実に回復を続けており、2002年を底とする厳しい調整局面とは明らかに違う情勢認識をすべきであると考えております。企業の業績は産業や企業によるばらつきはあるものの、全体として改善が進んでおり、収益力はこの10年間で最も高いレベルにあると認識しております。
 各種調査におけます中小企業の景況観をみてみますと、「緩やかな回復基調」の流れの中でDI等の指標は改善の方向で推移しております。欠損企業の比率あるいは倒産発生率などにつきましては、長期的にみれば平均的な水準まで下がってきており、経営努力こそがいま問われているのではないかという考え方に立っております。
 一方、労働者の生活につきましては、この間、置き去りにされたままであるという認識を持っております。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によりますと、「生活が苦しい」という世帯が増え続けております。特に、所得の二極化が進む中で低所得層の生活苦が深刻化しているという実態がありますし、そこに目をむけた政策対応が必要であると考えております。以上が経済環境に対する認識であります。
 2つ目に、雇用環境と最低賃金の役割についてでございます。こうした景気回復中で労働市場も改善が進んでいるという認識に立っております。今年5月の完全失業率は4.4%、有効求人倍率は0.94倍となっておりまして、人員不足気味となっている職場も増えてきております。こうした労働市場の動きもありまして、足下では時間当たり賃金の上昇がみられております。構造面における変化にも目をむける必要があると考えております。すなわち、雇用形態の多様化が低所得・不安定雇用の増加という一面を伴って進んでいるということでございます。雇用者に占めるパートや派遣労働者など、いわゆる非典型労働者の比率はすでに3割を上回っております。フリーターやニートの増加が続いておりますし、さらにそこから抜け出すことが難しくなっているという調査結果なども報告されているところです。持続可能な安心して暮らせる社会であるために、社会的な職業能力開発や就職支援などの雇用政策と同時に、「生活できる賃金」をナショナルミニマムとして担保することが求められている。このように、最低賃金との役割を含めて雇用環境をみさせていただいております。
 3つ目に、最低賃金の水準についてでございます。ご案内のように、現在の最低賃金時間額の全国加重平均は665円でございます。この水準は生計費や実勢賃金からしてかなりかけ離れた低い水準だと認識しております。この水準は仮に法定労働時間を目一杯働いたとしても月額に換算して11万5,500円程度にしかなりません。連合が、一昨年2003年にマーケットバスケット方式によって試算した、若年単身労働者の必要最低生計費を担保するために必要な所得の月額は14万6,000円となっておりまして、これを大きく下回っているというのが実態だと考えております。
 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の一般労働者の所定内時間当り賃金は1,817円でございまして、現在の最低賃金水準はその36.6%にしかすぎないというような状況でございます。ちなみに、一般労働者の第1・十分位、あるいは高卒の初任給等を比べましても、第1・十分位に対して67%、高卒初任給に対しまして72.1%の水準でしかないと、こういう状況を分析させていただきました。
 さらに、諸外国の最低賃金水準と比べても、我が国の最低賃金水準があまりにも見劣りするということについて問題意識を持っているところでございます。この数年間の影響率の状況をみてみますと、極めて低位で推移しておりまして、最低賃金の存在感が希薄になっているという認識を持っております。せめて単身でも最低限の生活ができる水準を実現する、そのために明確な水準改善を図る必要がある。そして、最低賃金の存在感を社会にアピールしていくことが重要であると考えているところでございます。
 最後に、今年の目安の決定に当たりまして労働側の見解を表明させていただきたいと考えております。今年の場合は『過去3年間と明らかに異なる対応が必要であり、最低生計費を満たすに足る最低賃金水準をめざして、各種賃金指標の現行水準や環境変化の動向を踏まえつつ、明確な水準の改善に結びつく、そのための目安を提示すべきである』というように考えてございます。以上が労働側の見解でございます。

○今野委員長
 この資料はよろしいですか。

○須賀委員
 先ほど述べました見解の裏付けにある資料でございますので、3つの指標それぞれをお読み取りいただければ、私どもが主張した内容がバックデータ的にこの内容でみて取れると考えておりまして、ご質問があれば後ほどお伺いしたいと思います。

○今野委員長
 ありがとうございました。それでは、使用者側からお願いいたします。

○杉山委員
 それでは、使用者側から申し上げます。日本の景気につきましては緩やかに回復し踊り場から脱却しつつあるとの指摘がございますが、これは、日本経済全体に対してでございまして、地域間、業種間、あるいは大企業と中小零細企業との間には景況観に大きな温度差があることもまた事実であります。そこでまず、地域間の格差について申し上げたいと思います。先月20日、各地域の経済産業局が地域経済の判断を取りまとめた地域経済産業調査の第14回調査が発表されましたが、これによりますと、地域の景況は回復基調が続く中で一部に弱い動きがみられる地域もあり、その程度には地域によりばらつきがみられると総括しております。また、日本銀行が先週6日に発表した地域経済報告でも、雇用情勢については総じて改善方向にあるものの、地域別では産業構造の違いなどを背景に改善の度合いには格差がみられるとしております。事実、今年の5月の有効求人倍率では全国計0.94を下回っている地域が全体10の半数である5地域、北海道、東北、近畿、四国、九州に上っているだけでなく、一番数値の高い地域の東海1.43と低い地域の北海道0.57を比べてみますと、1年前の東海1.18、北海道0.52、その差0.66が0.86に0.2ポイントも広がっているという状況でございます。
 さらに、今年1〜3月期の地域別の完全失業率をみると、全国平均4.7%よりも数値の高い、つまり悪い地域は全体10地域のうち4地域、北海道、東北、近畿、九州でございまして、これは、2004年10月〜12月よりも悪化した地域となると過半数の6地域、北海道、東北、南関東、北関東甲信、北陸、近畿に増加するなど、地域間の差が明確になっております。
 次に、企業規模間の格差について申し上げます。6月の日銀短観での業況判断をみる限り、大企業に比べると中小企業、特に非製造業における業況判断はまだまだ厳しく、中小・零細企業の経営にとって最大の懸案ともいうべき資金繰り判断、これはマイナス4ですが、大企業の22とではかなりの差があるわけでございます。また、中小企業基盤整備機構が発表した2005年4月〜6月期の中小企業景況調査では、全産業の業況判断DIのマイナス幅が前期で再び拡大し、マイナス24.2がマイナス26.2に転じ、地域別でも四国、九州、沖縄以外の地域でマイナス幅が拡大しているという結果が出ております。
 このように、地域間、企業規模間でばらつきが大きくなっておりますが、日本経済全体においても先行きは決して手放しで楽観できる状況ではありません。日本経済の今後に大きく影響するアメリカや中国の経済状況、あるいは為替や株の動向、原油をはじめとする原材料費の高騰、テロなどの国際情勢におけるリスクの問題など、先行きの不安定さ、不透明感はむしろ増しております。例えば、6月の国内企業物価は前年同期比で1.4%上昇し、これで16ヶ月連続して前年同月を上回りましたが、その一方で生鮮食料品を除く東京都区部の消費者物価指数は5年9ヶ月連続で前年同月を下回るなど、消費者物価は下落傾向にあります。
 これは原材料価格の上昇を最終材料の価格へ転化することが難しいことから、企業が経営努力などによって堪えていることを意味しております。しかしながら、原材料費が長期にわたって高水準で推移していることから、製品への価格転化が難しい加工組立型の産業や非製造業、中小・零細企業が今後収益を悪化させてしまうとの懸念が一層強まっております。原材料の高騰が企業経営に大きな影響を与えることは、日本経団連が毎年行っております春季労使交渉に関するトップマネージメントのアンケート調査結果におきまして、人件費の負担増を吸収する方策として、原材料費の削減が毎回1位又は2位となっていることからも想像に難くありません。このように、先行き不透明感が強まる中にあって、日本企業は自社の存続と従業員の雇用の維持を最優先に、労使で懸命な努力を続けているわけでありまして、大企業や大都市など、限られた部分の情勢は良くなってはいるものの、ばらつきが大きくなっていることを強く認識しておく必要があると考えます。
 このことは先ほどご説明のありました賃金改定状況調査の第4表にも現れております。第4表の産業計ランク計の賃金上昇率は0.4%で、昨年よりも良くはなっておりますが、ランク別にみるとAランクの0.6%に対してDランクは0.0%とかなりの差がついているだけでなく、全体の平均である0.4%を上回っているのはAランクのみという結果となっております。また、製造業の賃金上昇率が0%であることも重く受け止めるべきであると考えます。
 さらに、今年の賃金交渉結果をみますと、日本経団連が6月8日に発表いたしました大手企業の最終妥結結果は5,504円、アップ率は1.67%で、妥結額平均は4年連続で5,000円台、アップ率も3年連続して1.6%台で推移するなど、ほぼ横這いという結果になっております。中小企業についても、まだ最終集計ではございませんが、6月29日に日本経団連が発表した集計では3,807円、1.49%となっておりまして、昨年の最終結果の3,576円、1.41%と比べると大手企業と同じく、ほぼ横這いであります。このことは各企業労使が真摯に交渉した結果、賃金の底上げを意味するベースアップを実施しなかったためだろうと考えます。さらに、大手企業では企業内の最低賃金とも言うべき初任給を凍結した企業がほとんどで、初任給のアップ率は2003年以降ほぼ0で推移していることにも注意をすべきと考えます。
 以上の結論といたしまして、日本の景気は全体としては回復してきているものの、地域間や企業規模間のばらつきが大きく、特に最低賃金の影響を大きく受ける中小・零細企業は依然として先行きが不透明、不安定、かつ厳しい状況にあることから、中小・零細企業の存続と従業員の雇用の維持を最優先に考えるとともに、最低賃金という性格にかんがみると賃金改定状況調査の第4表で最も数値の低かった、Dランクの賃金上昇率及び製造業の賃金上昇率でもあります0を今年度の目安とすべきである、というのが使用者側の見解でございます。以上でございます。

○今野委員長
 ありがとうございました。ほかによろしいですか。

○原川委員
 ただ今の使用者側の考え方に関連いたしまして、資料を出させていただいておりますのでご説明させていただきます。2点ございますが、まず、「平成17年度中小事業所の賃金改定状況(速報値)」から説明させていただきます。先ほど、厚生労働省の調査の第1表にありました賃金改定状況と同じような項目につきまして、私ども、毎年、中小企業労働事情実態調査を行っておりまして、この調査の中にこういう項目を設けて速報的に回収したものでございます。調査の概要を申し上げますと、調査時点は7月1日、調査対象は従業員規模300人未満の事業所約5万企業としております。その規模別の内訳は、原則として製造業55%、非製造業45%の割合で調査をしております。毎年の回収をみますと、約4割強、2万事業所ぐらいの回収でございます。回収結果の規模は大体3分の2が29人以下の規模になっております。本日お示ししました資料の数字は7月1日現在で記入していただいて7月7日までに回答のあったものだけを集計いたしました。もちろん、規模は従業員規模29人以下の事業所で、その数は4,920企業ということでございます。
 2枚目の表をみていただきますと、上の表が29人以下の賃金改定状況ということです。下が、そのうちの9人以下の賃金改定状況を示しております。これは上下の表とも項目が「引き上げた」「引き下げた」「7月以降に引き上げる予定」「7月以降に引き下げる予定」「今年は実施しない(凍結)」「未定」という項目を立てて調査をしたものでございます。私どもの調査は、7月1日現在でまだどうするか決めていないというものはそういう項目を取っておりまして、それが大体4分の1から3分の1程度あるということですが、厚生労働省の項目と対比いたしますと小計イコール100という、括弧の中に斜文字の数字がありますが、これが相当するかと思います。
 これをみますと、29人以下のほうは「引き上げた」が35.1%で、「7月以降に引き上げる予定」の4.3%を加えると39.4%の企業が引き上げたあるいは予定をしている。「今年は実施しない(凍結)」が53.3%ありまして、「引き下げた」「7月以降に引き下げる予定」を足すと7.4%の企業が引下げを行った、あるいは行う予定にしているという結果になっております。「今年は実施しない」というのは凍結ということですが、これと「引き下げた」「引き下げる予定」を加えると6割強の事業所が凍結ないし引下げの意向を示しているということでございます。
 9人以下をみますと、「引き上げた」と「引き上げる予定」が28.9%で10ポイント近く少なくなっております。その代わり、凍結が63.5%でございまして、これも上の表より10ポイントほど多くなっておりまして、「引き下げた」「引き下げる予定」の7.6%を加えると凍結、引下げ、その予定は71.1%という数字になります。全体の7割の企業で引上げが行われていないということになるわけです。
 3枚目は29人以下の規模でランク別に示したものです。これはご覧いただければと思いますが、「引き上げた」「引き上げる予定」はAランク、Bランク、Cランクは4割強、Dランクは32.1%ということで大幅に低くなっております。凍結につきましては大体56%〜57%ぐらいの間で、Dランクが57.1%です。引下げは予定を含めましてAランクが4.5%ですが、Dランクをみると8.9%という大きな数字になっております。その次の9人以下の所をみますと、さらに凍結ないし引下げの事業所が多くなっておりまして、Aランクで72.0%、Dランクは73.8%ということで、29人以下に比べて特に9人以下の中小零細は凍結ないし引下げの事業所が多いということでございます。
 もう1種類の調査をカラーで出しておりますが、これは私どもで業界の事情に詳しい方を情報連絡員ということで委嘱しておりまして、全国に3,000名ほど委嘱してございます。その方々が業界の状況を毎月報告してくださるわけですが、それを集計したものです。これは現在の一番新しい5月の状況ということでございまして、これはDI値でございます。緑の帯の所がDI値、下に割合がありますが、例えば北海道・東北で言いますと、45.4%が悪化した、5.9%が好転をしたということですので、悪化から好転を引くとマイナス39.5ポイントという数字で水面下にあるということです。全体として一番右の全国合計をみるとDI値がマイナス33.5となっておりまして、この各地域をみるとすべてマイナスになっております。マイナス幅が一番大きいのが四国でマイナス42.2、マイナス幅が一番小さいのが東海・北陸でマイナス29.2という、これは景況観ですが、こういうようになっております。
 赤色と黄色で業種別に分けておりますが、黄色の帯は好転と悪化と比べて好転の回答が多いという業種です。赤色の帯は悪化と好転を比べて悪化の方が多いという業種です。これは昨年の同月に比べてどうかということで聞いておりますので、昨年の5月に比べて、ほとんどの地域で業種をみましても悪化している所が多いということがおわかりいただけると思います。東海あるいは近畿、中国では、鉄鋼・金属とか一般機械あるいは電気機器というところが好調さを示しているということですが、全体として悪化の業種が多い。非製造業におきましてはすべて悪化が多いという結果になっております。
 もう1点だけ説明させていただきますと、3枚目をみていただきたいのですが、収益の状況でございます。これをみましても、例えば北海道・東北は全業種が悪化が多いという結果になっております。関東・甲信越も同様でございます。DI値をみますと、全体ではマイナス34.1ですが、一番数字が悪いのが北海道・東北のマイナス40.3、その次が四国のマイナス37.5です。私どもの調査でいきますと、東北・北海道、四国は悪い中でも特に悪いということが言えるかと思います。このように、中小企業の景気は全体として回復基調にあるとは言われておりますが、特に中小企業の場合には一部の企業において、確かに機械、金属といったところでは好調な企業もみ受けられますが、大部分はあまり景気回復の恩恵を受けていない状況でございます。
 これをみますと、例えば不変と悪化というものを足すと、1頁の景況あるいは3頁の表の両方とも言えることですが、不変と悪化で大多数を占めるということで、好転は本当に少ない。例えば収益などでは好転が5%を行っていないような状況で、あとは悪化あるいは不変ということです。昨年と何ら変わる状況ではないということがおわかりいただけると思います。以上でございます。

○今野委員長
 今ご説明いただいたことでご意見、ご質問がありましたらお願いします。

○川本委員
 労働者側の委員から見解表明がありましたが、その中に、連合が2003年にマーケットバスケット方式によって試算ということで月額14万6,000円と出ていますが、これはどこか地域を限られて調査したものであるならばその地域名等を教えていただきたいと思います。

○須賀委員
 埼玉で調査した1年間の調査の積み重ねをベースにして、はじき出したものでございます。

○今野委員長
 先ほどの数字が出ましたので、それからいきましょう。

○山口副主任賃金指導官
 調査対象労働者数ですが、産業計で3万1,482名です。産業ごとに内訳を申し上げますと、製造業で1万5,767人、卸売・小売業で6,761人、飲食店,宿泊業で2,114人、医療,福祉で2,282人、サービス業で4,558人です。

○今野委員長
 ほかに、ご質問、ご意見はございますか。

○中野委員
 中小企業基盤整備機構で出されている景況調査の話と、中小企業団体中央会で調べている話と、2つ出されているのですが、中小企業基盤整備機構で出されている調査というのは、そのサンプル対象は全国の商工会あるいは商工会議所の経営指導員、中小企業団体中央会の情報連絡員に対する聴き取りということですから、中小企業団体中央会のこの調査とダブっているサンプルもあるのではないかと考えているのですが、その上でお聞きしたいのですが、DIというのは方向性をみる、今より悪くなるか良くなるかということなので、水準というのは比較しても意味があるのかなという疑問を持っているのです。実は、そういうサンプルが重なっているところをみまして、DI値のここしばらくの中小企業庁の調査と中央会の皆さんの調査のDI値の比較をしてみました。そうしますと、中小企業団体中央会は月次、中小企業庁は3ヶ月ごとですので、昨年の7〜9月だと中小企業庁のDIの3ヶ月分を平均して比較したというやり方で全産業でみたのですが、7〜9月は中小企業庁は25.4で中央会では27.2、10〜12月では中小企業庁が27.3で中央会が30.5、1〜3月では中小企業庁が24.2で中央会が35.5、4〜6月では中小企業庁が26.2で中央会が4〜5月の2ヶ月分ですが34というように、昨年の10〜12ぐらいから乖離がだんだん拡大してきているのですが、これは何か理由があるのかということをお聞きしたいのです。
 もう1点は、いろいろな調査があるのですが、私がみてみましたところ、例えば景況判断のDIで国民金融公庫で言いますと、4月に比べて5月は1.7ポイント改善していますし、6月は1.8ポイント改善するという見通しです。それから、中小企業金融公庫でも、売上げなどは5ポイント改善して9ヶ月連続で減少幅が小さくなって7.3が2.3になっているのです。利益も4.6ポイント上昇するという感じになっております。したがいまして、調査というのもいろいろな調査を総合的に勘案していただきたいというのが意見でございます。

○原川委員
 中小企業庁の調査は私どもの調査サンプルと全く一致しておりません。中小企業庁の調査は、私どもの承知しているところでは、1万8,000企業に直接出しております。その企業に対する調査の直接の実施というのは、私ども中央会とか商工会議所とか商工会で協力をしてやっているわけですが、これは企業を対象としています。先ほど言いましたように、私どもの方は1業種1モニターということで、例えば各県によって情報連絡員の人数も違うし構成業種も違うわけですが、その県の1業種に1人のモニターが付いていれば、そのモニターが自分の業界はどういう状況にあるということを毎月取材をしながら判断をして我々に報告をしてくるという、そういう形です。

○須賀委員
 情報連絡員が全国に3,000名おられて、ご説明がありましたように、各都道府県ごとでご担当の業種を決めて、その業況観の報告をしていただく。そうすると、各県に1業種1人という感じになるのでしょうか。単純な掛け算をしますと、製造業が12、非製造業が7のカテゴリーに分けられております。それを47都道府県で単純に倍数にしますと約900ぐらい出てきますから、各業種に3人ぐらいいるという計算になるのですが、そういうイメージなのでしょうか。

○原川委員
 およそ、そういうイメージでよろしいと思います。というのは、これは業界といいましても、その団体を経由して行っておりますので、団体によっては同業種の団体もあるわけですが、業種を選ぶときは1県で代表的な団体ということで選んでおりますので、1県に1モニターというのが原則となっております。

○須賀委員
 1県1モニターというのは1県1業種につき1モニターという、つまりこのカテゴリーの区分に基づいて1名ずつという感じですか。

○原川委員 はい。

○須賀委員
 どうやってDIをみておられるのですか。単純にご本人の感覚だけで判断されるのですか。それとも、こういう指標をみなさいとか、ああいう部分での判断をしなさいとか、DIのとり方もいろいろレベルがあると思うのですが、何か決め事のようなことはありますか。

○原川委員
 大体、この情報連絡員になっている方は、例えばその業界団体の専務さんとか、業界に精通した人がなっておりますので、そういう方は、業界団体でありますから、統計資料を持っている。それから、傘下の企業にどういう状況かということを照会しながら、そういう中で、全体として仕事が増えているか、景況観は去年と比べてどうか、ということを調査しながら、もちろん、電話とか、足を運んで話を聞くことがあるわけですが、そういうことを総合して報告してくるということだと思います。

○今野委員長
 先ほど、中野委員がDIの数字をいろいろ言われましたよね。あれはみんな三角ですね。

○中野委員
 正確に言うと全部三角です。

○川本委員
 私ども、杉山委員からも申し上げましたが、この基盤調査をみましても、マイナス幅が一時縮小に向かったわけですが、ここに来てまた反転してマイナス幅が拡大する方向になっているということで、景況観も含めて全体としては悪化傾向にあるのかなということは間違いないという感じがしております。それから、日銀の短観も、6月の発表のものをみますと、足下の最近という答えであれば大手企業では、例えば業況判断としてはプラス18とか、中小企業であってもプラス8ということで多少改善してきていますが、先行き3ヶ月という話になりますと、例えば中堅企業の製造業では最近は8ということで良い方向のほうがプラス8なわけですが、先行きになりますとプラス6ということで変化幅としては2ポイント落ちている。中小企業になりますと、最近ではプラス2だったものが先行きは1ということでマイナス1ポイントになっている。あるいは、非製造業になりますと、中小企業は足下でマイナス12ですが先行きはマイナス13ということで、ここもマイナス1ポイントになっているという具合に、先行きについては横ばいないし悪化という流れでみているということも付け加えておきたいと思います。

○今野委員長
 ご意見ということでよろしいですね。

○川本委員
 はい。

○今野委員長
 ほかにありますか。

○池田委員
 私ども商工会議所も、全国でいくと大体99%以上が中小企業なのですが、いろいろと状況を聞いても、いま全中さんから報告があったこととほとんど同じなのです。ただし、全中さんも会員制ですが、商工会議所としても今は非常に景気が悪いですから40%くらいで組織率が良くないのです。だから、全中さんに入ること自体が良い企業なのです。だから、そういう所でも起こる状況だということを一つの判断材料にしていただかないと、これで6割から7割上げませんよといっても、組合に入っていない所はもっとひどいのではないか。商工会議所でもそうですが、最低賃金というのは最低のランクですから、こういうデータを出してくる所はまだいいという状況で、行政でやっていらっしゃる所は会員、非会員は関係なくやっていらっしゃるでしょうが、我々の資料は会員対象ですから、そういうところで現況はもっとひどい、末端のほうは地域格差がもっとあるよということはご認識いただきたいと思います。
 それから、質問の1つは、これはお調べいただきたいのですが、この間のデータでアメリカが1997年から上がっていないと。中央の最低賃金は5ドル15セントから約7年間上げていないわけですが、議会で否決されたということが出ておりましたが、どういう理由なのか。州は上がっていると思うのですが、なぜ故にアメリカの全体が引き上げなかったのかというところの理由を知りたいということが1つです。実際に、我々も目安は0でも都道府県で実態に応じて上げているわけです。ですから、必ずしも目安を毎年上げる必要があるのかという問題で、なぜアメリカは上げないのかというところの根拠を知りたいと。
 もう1つは、未満率の問題です。我々が、3年間目安を0にしたことによって、未満率と影響率が少し改善しているのではないかということをデータ的に感じるのです。未満率が0になるのが理想なので、それよりも未満率があるのになぜ上げるのかというところが、地方の本当に苦しい状況からすると出てくると思うのです。この過去3年間の状況と未満率の改善具合がどういうあれになっているのかということで、次回、お調べいただければお聞きしたいと思います。

○今野委員
 いま2点ありましたが、多分、第2点目はすでにデータがありますよね。つまり、ここ数年間の未満率の推移がわかればいいということです。ただ、改善かどうかというのは立場によってかなり難しいと思います。0になるのは改善ではないということもあるわけです。

○前田賃金時間課長
 お手元に第1回の資料がファイルとしてあると思いますが、資料No.2の16頁に地域別最低賃金額の未満率の推移の表があります。最低賃金に関する規模調査ということで、製造業で100人未満、その他の業者30人未満の所ですが、未満率については平成16年度が1.5%、平成15年度が1.6%、平成14年度が1.9%ですので、最近未満率は若干低下傾向にあるということです。17頁の賃金構造基本統計調査は規模が違っていますので、未満率は平成16年度が1.1ということで、あるいは平成15年度が1.0ということで、こちらでみるとそんなに変わっていないという状況です。

○今野委員
 それから、1点目はいかがですか。

○前田賃金時間課長
 もう1点は次回にということで。

○今野委員長
 では、アメリカの件については次回までにお願いします。

○須賀委員
 関連ですが、アメリカだけではなくてヨーロッパの動向についても是非お調べいただきたいと思います。別の動きをしているのではないかと私は推測しているのですが、是非調査いただきたいと思います。

○中野委員
 アメリカの動きを調べていただくときには、州の最低賃金、それから、カウンティやシティでリビングウェイジを持っていますので、その動きも是非お調べいただきたいと思います。

○杉山委員
 その場合には必ず消費者物価の動向も付けて調べていただくようにお願いします。

○池田委員
 先ほどの未満率の問題は、上がったときと0になったときの行政のやり方としていろいろ対策を立てられると思うのですが、その辺の影響がどうか。改善されているということは、0を目標にされているのでしょうけれども。

○前田賃金時間課長
 先ほどの16頁、17頁はあくまで統計調査を基にして未満率がどうなっているかということなのですが、それと別に、最低賃金の履行についての監督指導を別途やっていまして、先ほどの資料No.2の41頁にその状況が出ております。そちらをご覧いただければと思いますが、違反率が特に最近は下がってきております。これは引上げがそれほど実施されていないことも関係していると思います。平成16年度でみると、監督実施事業場が1万2,337で、そのうち、最低賃金の違反があったのが678ということで、5.5%が違反だったという結果になっております。以前ですと、10%近い違反率だったのが若干低下しているということで履行が確保されている状況にあると思っております。

○池田委員
 下がっている方向にあるという。

○前田賃金時間課長
 はい。

○今野委員長
 池田委員の言い方をすると改善している。それでは、今宿題が事務局に出て、アメリカ、ヨーロッパの最低賃金の動向と、それに関連して消費者物価の動向についてもということです。どこまで資料が集められるかわかりませんが、できる範囲内でやっていただくということです。

○中窪委員
 先ほどの未満率、影響率のところの理解が正しいかどうか確認のためにお伺いします。資料の16頁、17頁です。平成16年度でみますと、未満率が1.5で影響率も1.5なのですが、これは昨年で言うと、目安は0だとしても、各都道府県で少しずつ上げたのがあります。そうすると、その県で上げた後のものについて影響率は少し上がったはずだけれども、全部を平均すると小数点の2桁以下の数字になって同じ数字になっているという理解でよろしいのでしょうか。

○今野委員長
 これは調査の方法との関連もあるでしょうから、次回の宿題にいたします。ほかにはよろしいですか。それでは、本日はこれで終了したいと思います。本日の議事録の署名は須賀委員と杉山委員にお願いしたいと思います。次回第3回の目安小委員会は7月21日の午後1時半から茜荘2階の会議室で開催いたしますのでよろしくお願いいたします。また少し長くなるかもしれませんが、体調は十分整えて来ていらしていただきたいと思います。今日はありがとうございました。

(照会先)
   厚生労働省労働基準局賃金時間課最低賃金係(内線5532)
【平成17年10月1日〜】
労働基準局勤労者生活部勤労者生活課最低賃金係(内線5532)



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