法律に根拠規定を有する指針の例について

 法律において国等が指針を定めることを定めた規定は、以下のように大まかに分類できるものと考えられる。

 行政機関が行う活動に関して指針を定める例
 食品衛生法第22条
 地域雇用開発促進法第4条

 一定の政策目的の実現に資する指針を定め、事業者が指針に即して事業の実施計画を策定することを促したり、その計画を認定して支援措置を講ずる例
 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律第3条
 次世代育成支援対策推進法第7条

 事業者や私人が講ずべき措置について指針を定める例
(1)  指針に関して行政機関が事業者等に対して助言、指導等をすることができる旨の規定が設けられている例
 労働基準法第14条(助言、指導)(なお、同条では「指針」ではなく「基準」とされている。)
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第8条(報告徴収、助言、指導、勧告(注))
 (注)  同条には助言・指導等ができる旨の規定はないが、第10条において、厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、事業主に対して報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる旨の規定があり、これに基づき「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」に規定された事項に関し指導等を行っている。
 労働安全衛生法第58条(指導・援助)
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第27条(勧告)
 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(計画変更命令、措置命令)

(2)  事業者等が指針に従うべき努力義務、責務規定を定めている例
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律第3条

(3)  国等が指針を定めることができる旨の規定のみ設けられており、事業者等の努力義務や行政機関が助言・指導等をすることができる旨の規定がない例
 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律第8条



(参照条文等)

 食品衛生法(昭和22年12月24日法律第233号)(抄)

22条 厚生労働大臣は、国及び都道府県等が行う食品衛生に関する監視又は指導(以下「監視指導」という。)の実施に関する指針(以下「指針」という。)を定めるものとする。
 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 監視指導の実施に関する基本的な方向
 重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項
 監視指導の実施体制に関する事項
 その他監視指導の実施に関する重要事項
 厚生労働大臣は、指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年8月29日 厚生労働省告示第301号)>

 食品衛生に関する監視指導については、都道府県等(都道府県、保健所を設置する市及び特別区をいう。以下同じ。)の監視指導に関し、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年法律第55号。以下「改正法」という。)による改正前の法に基づき、都道府県等の食品衛生監視員が営業施設の類型ごとに年間に立ち入るべき回数(以下「法定監視回数」という。)を規定していた。しかしながら、監視指導は、食品、添加物、器具又は容器包装(以下「食品等」という。)の生産、製造、加工、輸入、流通、販売等の実態、食中毒等の食品衛生上の危害の発生状況、施設の食品衛生上の管理の状況等を踏まえて実施すべきものであり、法定監視回数に基づく監視指導は現実的でなくなっている。また、国外より輸入される食品等(以下「輸入食品等」という。)が増大している現状を踏まえると、輸入食品等に係る監視指導について、明確な方針に基づき実施する仕組みを創設する必要がある。
 このため、改正法により、新たに、厚生労働大臣が、都道府県等及び国が行う食品衛生に関する監視指導(中略)の実施に関する指針(以下「指針」という。)において監視指導の実施に関する統一的な考え方を示し、指針に基づき、都道府県知事等(都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長をいう。以下同じ。)及び厚生労働大臣が、当該都道府県等の地域の実情や輸出国における生産地の事情等を踏まえて都道府県等食品衛生監視指導計画及び輸入食品監視指導計画を毎年度策定し、これらに従い監視指導を実施する仕組みを導入することとした。
 この指針は、こうした新たな仕組みの下、監視指導の実施に関する基本的な方向及び監視指導計画の策定に当たり必要な基本的事項を示し、もって、重点的、効率的かつ効果的な監視指導の実施を推進するものである。
 (以下 略)

一 監視指導の実施に関する基本的な方向(略)

二 監視指導の実施体制等に関する事項(略)
 監視指導の実施体制に関する基本的な事項
 第一の二の役割分担により、厚生労働省及び都道府県等が監視指導を実施する。
 厚生労働省は、輸入食品監視指導計画等に基づき必要な監視指導が実施できるよう、厚生労働省の検疫所及び地方厚生局の体制を整備するとともに食品衛生監視員等の人員の確保を図る。
 都道府県等は、都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき必要な監視指導が実施できるよう、保健所及び保健所の衛生検査施設、地方衛生研究所、食肉衛生検査所、市場衛生検査所等の試験検査実施機関の体制を整備するとともに、食品衛生監視員、と畜検査員等の人員の確保を図る。
(二以下 略)

三 都道府県等食品衛生監視指導計画の策定及び監視指導の実施に関する事項(略)
四 輸入食品監視指導計画の策定及び監視指導の実施に関する事項(略)
五 食品等事業者に対する自主的な衛生管理の実施に関する事項(略)
六 関係者相互間の情報及び意見の交換(リスクコミュニケーション)の実施に関する事項(略)
七 食品衛生に係る人材の養成及び資質の向上に関する事項(略)

 地域雇用開発促進法(昭和62年3月31日法律第23号)(抄)

 (地域雇用開発指針)
4条 厚生労働大臣は、雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する指針(以下「地域雇用開発指針」という。)を策定するものとする。
 地域雇用開発指針においては、国の雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する基本方針その他次条第一項の地域雇用機会増大計画、第6条第1項の地域能力開発就職促進計画、第7条第1項の地域求職活動援助計画及び第8条第1項の地域高度技能活用雇用安定計画の指針となるべき事項について定めるものとする。
(第3項以下 略)

 (地域雇用機会増大計画)
5条 都道府県は、地域雇用開発指針に基づき、当該都道府県内の地域であつて雇用機会増大促進地域に該当すると認められるものごとに、当該地域に係る地域雇用開発の促進に関する計画(以下「地域雇用機会増大計画」という。)を策定し、厚生労働大臣に協議し、その同意を求めることができる。
(第2項及び第3項 略)
 厚生労働大臣は、地域雇用機会増大計画が次の各号のいずれにも該当するものであると認めるときは、その同意をするものとする。
 その地域雇用機会増大計画に係る地域が雇用機会増大促進地域に該当し、かつ、地域雇用開発指針に適合するものであること。
 第2項第二号から第四号までに掲げる事項が地域雇用開発指針に適合するものであること。
 その他地域雇用開発指針に照らして適切なものであること。
(第5項以下 略)

雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する指針(平成13年9月27日 厚生労働省告示第308号)>

1 国の雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する基本方針(略)

2 地域雇用機会増大計画の指針となるべき事項
 求職者の総数に比し雇用機会が不足している地域において雇用機会の増大策を講ずることは、地域の労働者の雇用の安定に資するのみならず、地域社会の活力ある発展に資するものであり、適切かつ機動的な対応を怠れば、地域の雇用問題は更に深刻化するとともに、地域間の雇用機会の不均衡がますます拡大していくおそれがある。
 こうした課題を抱える雇用機会増大促進地域については、地域における関係者の創意の発揮と積極的な努力により、地域の特性に応じた魅力ある雇用機会の創出を通じ、地域内の求職者に良好な雇用の場を提供し、地域的な雇用構造の改善を図ることを目標とする。
 地域雇用機会増大計画に盛り込むべき事項は、以下のとおりである。
 雇用機会増大促進地域の区域(法第5条第2項第1号)
雇用機会増大促進地域の区域を明記するとともに、第1の1の(1)に該当すると認められる区域であることを明らかにすること。(以下略)

3 地域能力開発就職促進計画の指針となるべき事項 (略)
4 地域求職活動援助計画の指針となるべき事項 (略)
5 高度技能活用雇用安定地域の指針となるべき事項 (略)

 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成3年5月2日法律第57号)(抄)

 (基本指針)
3条 厚生労働大臣及び経済産業大臣は、中小企業者が行う労働力の確保を図るための雇用管理の改善に係る措置及び良好な雇用の機会の創出に資する雇用管理の改善に係る措置に関し、基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
 基本指針に定める事項は、次のとおりとする。
 中小企業における経営及び雇用の動向に関する事項
 中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置の内容に関する事項
 その他中小企業者が雇用管理の改善に係る措置を行うに当たって配慮すべき重要事項
(第3項以下 略)

 (改善計画の認定)
4条 事業協同組合等はその構成員たる中小企業者の労働力の確保を図るための労働環境の改善、福利厚生の充実、募集方法の改善その他の雇用管理の改善に関する事業(以下「改善事業」という。)についての計画を、中小企業者は改善事業であって、職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を有する者の確保を図るためのもの又は新たな事業の分野への進出若しくは事業の開始(以下「新分野進出等」という。)に伴って実施することにより良好な雇用の機会の創出に資するものについての計画を作成し、これをその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる。
 前項に規定する改善事業についての計画(以下「改善計画」という。)には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 改善事業の目標
 改善事業の内容
 改善事業の実施時期
 改善事業を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
 事業協同組合等が第13条第2項の規定により労働者の募集に従事しようとする場合にあっては、当該募集に係る労働条件その他の募集の内容
 都道府県知事は、第1項の認定の申請があった場合において、その改善計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
 前項第一号から第三号までに掲げる事項が基本指針に照らして適切なものであること。
 前項第二号から第四号までに掲げる事項が同項第一号に掲げる改善事業の目標を確実に達成するために適切なものであること。
 事業協同組合等が第13条第2項の規定により労働者の募集に従事しようとする場合にあっては、前項第五号に掲げる事項が適切であり、かつ、労働者の利益に反しないものであること。
 その他政令で定める基準に適合するものであると認められること。
(第4項 略)

中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善に係る措置に関する基本的な指針(平成10年12月25日 通商産業省/労働省/告示第2号)>

1 中小企業における経営及び雇用の動向に関する事項(略)

2 中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置の内容に関する事項
 労働者にとって魅力ある職場づくりを行い、労働力の確保を図るとともに、良好な雇用の機会の創出に資するためには、労働時間の短縮、男女の雇用機会均等の確保及び職業生活と家庭生活との両立支援、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善、教育訓練の充実等を中心とした雇用管理の改善に長期的かつ継続的に取り組んでいくことが重要である。このため、中小企業者は、それぞれが置かれている実情に照らし、次に掲げる雇用管理の改善の基本的な方向に沿って適切な目標を設定し、その目標に応じ、次に掲げる措置のうち適切なものを実施することが必要である。(中略)
1  労働時間の短縮
(1)  基本的方向
 労働時間の短縮は、労働者にとって、自由時間の拡大による余暇の創出、ゆとりと豊かさのある生活を創造する上で必要不可欠なものとして、魅力ある職場の重要な要素であり、中小企業者にとって、長期的な発展のための重要な要素である。このため、労働時間の短縮を推進するためには関係者一体となっての意識改革が必要である。
 このような点を踏まえ、中小企業者は、所定労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進、所定外労働時間の削減を図ることが必要である。
(2)  中小企業者が行う措置
 上記の基本的方向に沿って、中小企業者は、以下の措置を講ずることが望ましい。
 週休2日制の採用・拡充その他の年間休日の増加等所定労働時間の短縮
 残業時間の上限の引下げ、ノー残業デーの導入・拡充、変形労働時間制やフレックスタイム制の活用等による所定外労働時間の削減
 連続休暇制度の採用・拡充、年次有給休暇の計画的付与制度の採用・拡充等による年次有給休暇の取得促進
 これらの労働時間の短縮を一層円滑に進めるためには、言うまでもなく併せて以下の措置を講ずることにより生産性の向上を行い、体制の整備を行うことが重要である。
 事業全体又は一部の作業・業務方法や要員管理の見直し・改善、省力化のための設備又は技術の導入等による生産性の向上
 省力化のための技術開発 (以下略)

3 その他中小企業者が雇用管理の改善に係る措置を行うに当たって配慮すべき重要事項 (略)

 次世代育成支援対策推進法(平成15年7月16日法律第120号)(抄)

7条 主務大臣は、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、基本理念にのっとり、次条第1項の市町村行動計画及び第9条第1項の都道府県行動計画並びに第12条第1項の一般事業主行動計画及び第19条第1項の特定事業主行動計画(次項において「市町村行動計画等」という。)の策定に関する指針(以下「行動計画策定指針」という。)を定めなければならない。
 行動計画策定指針においては、次に掲げる事項につき、市町村行動計画等の指針となるべきものを定めるものとする。
 次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項
 次世代育成支援対策の内容に関する事項
 その他次世代育成支援対策の実施に関する重要事項
(第3項以下 略)

 (一般事業主行動計画の策定等)
12条 国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が300人を超えるものは、行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する次世代育成支援対策に関する計画をいう。以下同じ。)を策定し、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
 一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 計画期間
 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
 一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が300人以下のもの(第16条第1項及び第2項において「中小事業主」という。)は、行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を策定し、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出るよう努めなければならない。これを変更したときも同様とする。
 第1項に規定する一般事業主が同項の規定による届出をしない場合には、厚生労働大臣は、当該一般事業主に対し、相当の期間を定めて当該届出をすべきことを勧告することができる。

 (基準に適合する一般事業主の認定)
13条 厚生労働大臣は、前条第一項又は第三項の規定による届出をした一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、雇用環境の整備に関し、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと、当該一般事業主行動計画を実施し、当該一般事業主行動計画に定めた目標を達成したことその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。

行動計画策定指針(平成15年8月22日 国家公安委員会/文部科学省/厚生労働省/農林水産省/経済産業省/国土交通省/環境省/告示第1号)>

 背景及び趣旨
 (前略)急速な少子化の進行は、今後、我が国の社会経済全体に極めて深刻な影響を与えるものであることから、少子化の流れを変えるため、改めて国、地方公共団体、企業等が一体となって、従来の取組に加え、もう一段の対策を進める必要がある。
 (中略)平成15年3月には、地方公共団体及び企業における十年間の集中的・計画的な取組を促進するための「次世代育成支援対策推進法案」及び地域における子育て支援の強化を図るための「児童福祉法の一部を改正する法律案」を国会に提出し、同年7月に成立したところである。
 次世代育成支援対策推進法(以下「法」という。)においては、次世代育成支援対策に関し、市町村にあっては、法第8条第1項の市町村行動計画(以下「市町村行動計画」という。)を策定することとされ、都道府県にあっては、法第9条第1項の都道府県行動計画(以下「都道府県行動計画」という。)を策定することとされている。また、国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が300人を超えるものにあっては、法第12条第1項の一般事業主行動計画(以下「一般事業主行動計画」という。)を策定し、その旨を届け出ることとされ、常時雇用する労働者の数が300人以下の一般事業主にあっては、一般事業主行動計画を策定し、その旨を届け出るよう努めることとされている。(中略)このため、主務大臣はこれらの行動計画の策定に関する指針(以下「行動計画策定指針」という。)を定めることとされている。
 この行動計画策定指針は、市町村行動計画、都道府県行動計画、一般事業主行動計画及び特定事業主行動計画の指針となるべき、(1)次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項、(2)次世代育成支援対策の内容に関する事項、(3)その他次世代育成支援対策の実施に関する重要事項を定めるものである。

 次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項 (略)
 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項 (略)
 市町村行動計画及び都道府県行動計画の内容に関する事項 (略)

 一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項
 一般事業主行動計画の策定に当たっての基本的な視点
(1)  労働者の仕事と子育ての両立の推進という視点
 子育てをする労働者が子育てに伴う喜びを実感しつつ、仕事と子育ての両立を図ることができるようにするという観点から、労働者のニーズを踏まえた次世代育成支援対策を実施することが必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が重要である。(以下略)

 一般事業主行動計画の内容に関する事項
 五の一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項を踏まえ、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標並びに実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を記載した一般事業主行動計画を策定する。
 計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各企業の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましい。
 雇用環境の整備に関する事項
(1)  子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
 妊娠中及び出産後における配慮
 母性保護及び母性健康管理を適切かつ有効に実施するため、妊娠中及び出産後の労働者に対して、制度を積極的に周知するとともに、情報の提供、相談体制の整備等を実施する。
(以下略)

 特定事業主行動計画の策定に関する基本的な事項 (略)
 特定事業主行動計画の内容に関する事項 (略)

 労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)(抄)

 (契約期間等)
14条 (第1項 略)
 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年10月22日 厚生労働省告示第357号)>

 (契約締結時の明示事項等)
1条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
 使用者は、有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。
(第2条以下 略)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年6月18日法律第76号)(抄)

 (指針)
8条 厚生労働大臣は、前2条に定めるもののほか、第3条第1項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この節において「指針」という。)を定めるものとする。
(第2項 略)

 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
10条 厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
 前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針 (平成5年12月1日 労働省告示第118号)>

一 趣旨
 この指針は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第3条第1項の事業主が講ずべき適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。

二 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方
 事業主は、短時間労働者について、労働基準法(中略)等の労働者保護法令を遵守するとともに、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して処遇するべきである。中でも、その職務が通常の労働者と同じ短時間労働者について、通常の労働者との均衡を考慮するに当たっては、事業主は、次に掲げる考え方を踏まえるべきである。
 人事異動の幅及び頻度、役割の変化、人材育成の在り方その他の労働者の人材活用の仕組み、運用等(二において「人材活用の仕組み、運用等」という。)について、通常の労働者と実質的に異ならない状態にある短時間労働者については、当該短時間労働者と通常の労働者との間の処遇の決定の方法を合わせる等の措置を講じた上で、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより、通常の労働者との均衡の確保を図るように努めるものとすること。
 人材活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と異なる状態にある短時間労働者については、その程度を踏まえつつ、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡を図るように努めるものとすること。

三 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置 事業主は、第二の基本的考え方に立って、特に、次の点について適切な措置を講ずるべきである。
 短時間労働者の適正な労働条件の確保
(一)  労働条件の明示
 事業主は、短時間労働者に係る労働契約の締結に際し、当該短時間労働者に対して、労働基準法の定めるところにより、次に掲げる労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付するものとする。
(イ) 労働契約の期間 (以下略)

 労働安全衛生法(昭和47年6月8日法律第57号)(抄)

 (事業者の行うべき調査等)
58条 事業者は、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で、労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものについては、あらかじめ、これらの物の有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、これらの物による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
 厚生労働大臣は、第28条第1項及び第3項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

化学物質等による労働者の健康障害を防止するため必要な措置に関する指針 (平成12年3月31日 指針公示第1号)>

 趣旨
 (中略)本指針は、法第58条第2項に基づき、健康障害防止措置が適切かつ有効に実施されるよう、その原則的な実施事項について定め、事業者による化学物質等の自主的管理を促進し、もって、労働者の健康障害の予防に資することを目的とするものである。事業者は、健康障害防止措置の実施に当たっては、本指針を踏まえつつ、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい。

 化学物質管理計画の策定等
(1)  事業者は、化学物質等の適切な管理のための実施事項を定めた計画(以下「化学物質管理計画」という。)を策定し、労働者に周知するものとする。
((2)以下 略)

 有害性等の特定及びリスクアセスメント(略)
 実施事項(略)
 監査等(略)
 記録(略)
 人材の養成(略)

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年10月16日法律第117号)(抄)

 (技術上の指針の公表等)
27条 主務大臣は、第二種特定化学物質ごとに、第二種特定化学物質の製造の事業を営む者、業として第二種特定化学物質を使用する者その他の業として第二種特定化学物質を取り扱う者(以下この節において「取扱事業者」という。)がその取扱いに係る当該第二種特定化学物質による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を公表するものとする。
 主務大臣は、前項の規定により技術上の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、当該第二種特定化学物質に係る取扱事業者に対し、その技術上の指針を勘案して、当該第二種特定化学物質による環境の汚染を防止するためにとるべき措置について必要な勧告をすることができる。

トリクロロエチレン又はクリーニング営業者以外の事業者に係るテトラクロロエチレンの環境汚染防止措置に関する技術上の指針(平成元年7月7日 厚生省・通商産業省告示第7号)>

 本指針は、第二種特定化学物質であるトリクロロエチレン又はテトラクロロエチレン(以下「トリクロロエチレン等」という。)による環境の汚染を防止するため、トリクロロエチレン等の製造の事業を営む者、業としてトリクロロエチレン等を使用する者(クリーニング営業者を除く。)、その他の業としてトリクロロエチレン等を取り扱う者が遵守すべき事項を定めたものであり、本指針に従いトリクロロエチレン等の環境放出の抑制を図ることによって、環境の汚染の防止に資することを目的とするものである。
 なお、関係する労働者の安全衛生については、労働安全衛生法及び有機溶剤中毒予防規則等関係規則によることとする。
1.  トリクロロエチレン等を取り扱う施設・場所については、次の事項に留意した構造とすること。(以下略)
2.  トリクロロエチレン等を取り扱う施設・場所については、次の事項に留意して点検管理すること。(以下略)
3.  トリクロロエチレン等の取扱作業については、次の事項に留意して作業すること。(以下略)
4.  使用済みのトリクロロエチレン等の取扱いに当っては、次の事項に留意してトリクロロエチレン等の再生利用及び回収再利用に努めること。(以下略)
5.  トリクロロエチレン等を取り扱う施設の構造等については、次の事項に留意して適宜見直しを行い、必要に応じて改善措置を取ること。(以下略)
6.  トリクロロエチレン等を取り扱う施設からのトリクロロエチレン等の漏出については、次の事項に留意して対処すること。(以下略)

 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年12月6日法律第146号)(抄)

 (指針)
4条 文部科学大臣は、ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚、人クローン胚、ヒト集合胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、動物性融合胚又は動物性集合胚(以下「特定胚」という。)が、人又は動物の胎内に移植された場合に人クローン個体若しくは交雑個体又は人の尊厳の保持等に与える影響がこれらに準ずる個体となるおそれがあることにかんがみ、特定胚の作成、譲受又は輸入及びこれらの行為後の取扱い(以下「特定胚の取扱い」という。)の適正を確保するため、生命現象の解明に関する科学的知見を勘案し、特定胚の取扱いに関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。
 指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
 特定胚の作成に必要な胚又は細胞の提供者の同意が得られていることその他の許容される特定胚の作成の要件に関する事項
 前号に掲げるもののほか、許容される特定胚の取扱いの要件に関する事項
 前二号に掲げるもののほか、特定胚の取扱いに関して配慮すべき手続その他の事項
(第3項以下 略)

 (遵守義務)
5条 特定胚の取扱いは、指針に従って行わなければならない。

 (特定胚の作成、譲受又は輸入の届出)
6条 特定胚を作成し、譲り受け、又は輸入しようとする者は、文部科学省令で定めるところにより、次に掲げる事項を文部科学大臣に届け出なければならない。
 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 作成し、譲り受け、又は輸入しようとする胚の種類
 作成、譲受又は輸入の目的及び作成の場合にあっては、その方法
 作成、譲受又は輸入の予定日
 作成、譲受又は輸入後の取扱いの方法
 前各号に掲げるもののほか、文部科学省令で定める事項
 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項を変更しようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣に届け出なければならない。

 (計画変更命令等)
7条 文部科学大臣は、前条第1項又は第2項の規定による届出があった場合において、その届出に係る特定胚の取扱いが指針に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から60日以内に限り、その届出をした者に対し、当該特定胚の取扱いの方法に関する計画の変更又は廃止その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(第2項 略)

 (特定胚の取扱いに対する措置命令)
12条 文部科学大臣は、第6条第1項又は第九条の規定による届出をした者の特定胚の取扱いが指針に適合しないものであると認めるときは、その届出をした者に対し、特定胚の取扱いの中止又はその方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (罰則)
17条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(第一号及び第二号 略)
 三  第7条第1項の規定による命令に違反した者
 四  第12条の規定による命令に違反した者

特定胚の取扱いに関する指針(平成13年12月5日 文部科学省告示第173号)>

 (特定胚の作成の要件)
1条 特定胚の作成は、次に掲げる要件に適合する場合に限り、行うことができるものとする。
(第一号及び第二号 略)

 (特定胚の胎内移植の禁止)
9条 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(以下「法」という。)第3条に規定する胚以外の特定胚は、当分の間、人又は動物の胎内に移植してはならないものとする。

 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年12月8日法律第149号)(抄)

 (マンション管理適正化指針)
3条 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「マンション管理適正化指針」という。)を定め、これを公表するものとする。

 (管理組合等の努力)
4条 管理組合は、マンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう努めなければならない。
(第2項 略)

マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年8月1日 国土交通省告示第1288号)>

 (前略)このような状況の中で、我が国における国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するためには、管理組合によるマンションの適正な管理が行われることが重要である。
 この指針は、このような認識の下に、管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するため、必要な事項を定めるものである。

 マンションの管理の適正化の基本的方向
 マンションは、今や我が国における重要な居住形態となり、その適切な管理は、マンションの区分所有者等だけでなく、社会的にも要請されているところである。
 このようなマンションの重要性にかんがみ、マンションを社会的資産として、この資産価値をできる限り保全し、かつ、快適な居住環境が確保できるように、以下の点を踏まえつつ、マンションの管理を行うことを基本とするべきである。
 マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行うことが重要である。特に、その経理は、健全な会計を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。また、第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する必要がある。
(2以下略)

 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
 管理組合の運営(略)
 管理規約(略)
 共用部分の範囲及び管理費用の明確化(略)
 管理組合の経理(略)
 長期修繕計画の策定及び見直し等(略)
 その他配慮すべき事項(略)
 マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等(略)
 マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項(略)
 マンション管理士制度の普及と活用について(略)
 国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターの支援(略)

 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成12年5月31日法律第103号)(抄)

 (指針)
8条 厚生労働大臣は、この法律に定めるもののほか、分割会社及び設立会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置に関し、その適切な実施を図るために必要な指針を定めることができる。

分割会社及び設立会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置の適切な実施を図るための指針(平成12年12月27日 労働省告示第127号)>

第1  趣旨
 この指針は、会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(以下「法」という。)第8条の規定により、法第2条第1項の分割(以下「分割」という。)をする同条第2項の会社(以下「分割会社」という。)及び同条第1項の設立会社等(以下「設立会社等」という。)が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置に関し、その適切な実施を図るために必要な事項を定めたものである。

第2  分割会社及び設立会社等が講ずべき措置等
 労働者及び労働組合に対する通知に関する事項
(1)  通知の時期
 法第2条第1項及び第2項の労働者又は労働組合への通知は、商法(明治32年法律第48号)又は有限会社法(昭和13年法律第74号)の規定に基づき分割計画書等を本店に備え置く日(以下「分割計画書等の本店備置き日」という。)又は同条第1項の株主総会等を招集するための通知を発する日のうちいずれか早い日と同じ日に行われることが望ましいこと。
(以下 略)
(2)  通知を行う労働者の範囲(略)
(3)  通知を行う労働組合の範囲(略)
 労働契約の承継に関して講ずべき措置等
(1)  分割計画書等の記載方法等に関する事項
 商法又は有限会社法の規定に基づき分割会社から設立会社等に承継される労働契約を分割計画書等に記載する場合には、当該承継される労働契約に係る労働者のすべての氏名が特定できることが必要であること。当該承継される労働契約に係る労働者のすべての氏名が特定できるときには、分割会社の特定の事業場を明示して、当該事業場のすべての労働者又は特定の者を除くすべての労働者に係る労働契約が当該承継される労働契約である旨を分割計画書等に記載することができること。
(2)  労働者による異議の申出に関する事項
 申出の内容等(略)
 期限日に関する留意事項(略)
 異議の申出に係る取扱い(略)
 分割会社は、法第4条第1項又は第5条第1項の異議の申出を行おうとする労働者に対しては、異議の申出が容易となるような異議の申出先の指定をするとともに、勤務時間中に異議の申出に必要な行為が行えるよう配慮すること。
 また、分割会社及び設立会社等は、労働者が法第4条第1項又は第5条第1項の異議の申出を行おうとしていること又は行ったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
(3)  承継される営業に主として従事する労働者の範囲に関する事項
 分割計画書等作成時点における判断(略)
 分割計画書等作成時点で判断することが適当でない場合(略)
 分割会社と労働者との間で見解の相違がある場合(略)
 その他の留意事項
(イ)  分割会社は、不当労働行為の意図をもって会社の分割後の分割会社又は設立会社等から当該労働者を排除する等の違法な目的のために、当該分割前に配置転換等を行ってはならず、このような配置転換等は無効となるものであること。
(ロ)  承継される営業に全く従事していない労働者については、商法第2編第4章第6節ノ3、有限会社法第6章及び法の適用の範囲外であり、当該労働者が分割会社との間で締結している労働契約を分割会社から設立会社等に移転させる場合には、民法第625条第1項が適用され、当該労働者の個別の同意を得る必要があること。
(4)  労働条件等に関する事項
 基本原則
(イ)  維持される労働条件
 商法又は有限会社法の規定に基づき設立会社等に承継された労働契約は、分割会社から設立会社等に包括的に承継されるため、その内容である労働条件は、そのまま維持されるものであること。
 この場合において、労働協約、就業規則又は労働契約に規定されている労働条件のほか、確立された労働慣行であって分割会社と労働者との間で黙示の合意が成立したもの又は民法第92条の慣習が成立していると認められるもののうち労働者の待遇に関する部分についても、労働契約の内容である労働条件として維持されるものであること。(以下 略)
(ロ)  会社の分割を理由とする労働条件の不利益変更等
 労働契約の内容である労働条件の変更については、労働組合法(昭和24年法律第174号)における労使間の合意や民法の基本原則に基づく契約の両当事者間の合意を必要とすることとされていることから、会社の分割の際には、会社は会社の分割を理由とする一方的な労働条件の不利益変更を行ってはならず、また、会社の分割の前後において労働条件の変更を行う場合には、法令及び判例に従い、労使間の合意が基本となるものであること。
(ハ)  会社の分割を理由とする解雇
 普通解雇や整理解雇について判例法理が確立しており、会社は、これに反する会社の分割のみを理由とする解雇を行ってはならないこと。
(以下 略)

トップへ