第16回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
資料

平成17年7月8日


検討項目6・8及び関係団体等からのヒアリングに関する
第15回部会での発言等の整理


検討項目6「情報通信技術の活用」について
2. 情報通信技術の活用
(論点24)消費者への情報提供及び流通段階や販売店における医薬品の管理等に情報通信技術を活用することについて、どう考えるか。
 薬の管理について、コードの統一化が図られていないため、困っており、統一化をお願いしたい。ITの活用でできるかを伺いたい。

 技術的には問題ないはず。コードの統一化をしてもらった上で、ITを活用するということになる。
(論点25)インターネット販売、カタログ販売及び個人輸入の形をとった販売形態について、専門家による情報提供の観点から、どう考えるか。
 カタログ販売が可能な医薬品の範囲は形骸化している。歯止めをかけてほしい。個人輸入も同様。管理できないのかITの専門家に聞きたい。

 インターネットは全く管理されていない世界。販売者が誰なのかさえわからない。ただし、認証技術を使えば消費者にも判断できるようになる。

 認証は誰がするのか。

 業者に許可を出しているところなどである。

 薬の受け渡しは、宅配便等での輸送ではなく、ちゃんとした店舗を通じて行うべき。

 近年サリドマイドが個人輸入で大量に輸入されている。また、今はネットによる購入が一般化している。未承認薬の輸入を個人に認めているのでは、承認制度は崩れてしまう。認めるのであれば、医師の診察を義務づけるべき。

 海外から医薬品宣伝のメールが大量に来るが、規制できないのか。

 インターネットの監視活動も行っており、警告のメールを出しているが、そのようなサイトは変化が速く、追いかけっこの状態。

 一般店舗のサイト販売もどう思うか議論をしてほしい。注文を斡旋するのみの店舗についても議論すべき。
(論点26)専門家の関与がない特例販売業について、どう考えるか。
 特例販売業の問題は、かつて周りに薬局等がなかった、という1200店舗をどうするか、ということか。

 薬事法制定時の附帯決議の精神に従えば、若干を除いて基本的にもう不要である。


陳述人ヒアリングについて
瀬戸氏陳述
 医薬品を販売するのは販売資格者のみであるべきはずが、そうでないという問題が現場にある。また、相談すべき相手がいても、国民側からわからない。
 処方せん薬、非処方せん薬という大きく分けることにより、販売責任、販売者や情報提供の内容について、国民に明確に提示すべき。
 指定医薬品は、直接消費者が手に取れないところに陳列した上で、販売資格者が自己の判断もしくは消費者の要望に応えて、対面において情報交換をしながら販売すべき。
 一般用医薬品についても、いくら資格者が店頭にいるとはいえ、無資格者が勝手に売れるのはおかしい。
 非処方せん薬に副作用情報の伝達システム等がないのはおかしい。
 統一的な資格試験を行い、一般用医薬品について明確な資格者を制度化した上で、その資格者以外は販売できないようにすべき。
 薬剤師であっても、販売の現場において働きはじめは素人と同じである。
 薬学教育6年制の導入で薬剤師は医療にシフトしていくべき。OTC販売の専門家として薬種商がいるのだから、これを活用すべき。
湯浅氏陳述
 OTCでも副作用が生じる。総合感冒薬を飲んで発症したケースがある。
 客が店員から「この中から選んでくれ」と言われているケースを見たことがある。薬はカウンター越しに買うことが当然と思っており、その際には、プロである薬剤師が、症状等を聞きつつアドバイスをしながら、客が選ぶものだと思っている。
 薬学部では患者と接する実習をやってほしい。
 添付文書は買わなければ読めないし、見ても専門用語が多く読みづらい。利用者にとって本当に必要なものだけを書いてほしい。
 SJSの表記については、症状名では分かりづらいため、元のように症状の説明に戻してほしい。
 日本では薬を安易に飲む傾向があるので、国民の薬に対する知識レベルを上げる方策を含めて検討してほしい。
青野氏陳述
 薬の流通・競争が激化しており、大量販売、セルフ陳列が主となっている。しかし、薬は情報提供とセットであるべき。小規模店舗では店主自らが販売している。
 大型店舗で薬を買って、苦情・相談を小店舗にしてくるという図式ができてしまっている。
 相談カウンターに座っての対面販売は1店舗1日10人が限度。売買差益が減少しているため、有資格者の確保等のコストの吸収が困難なのが現状。
 経済性、利便性を優先するセルフ販売は、説明の機会を失わせてしまう。このままでは、そのうち大きな事故につながる恐れがある。
 H2ブロッカーは、はじめは講習を受けた店だけで販売されていたが、今やセルフ販売で売られており、麻薬成分の入っているような薬までセルフで売られている。
 団体ではチェックリストを作って自己点検を図っており、薬は全て対面販売にしなさい、としている。専門店、かかりつけ薬局・薬店としての生き残りを図っている。
 客が来たら、相談カウンターに座っていただくようにしており、職員の識別も色分けをして区別している。
 今後の売り方については、薬である以上、リスクがあるのは変わりがないことから、全て対面販売にして、レジとは分離した相談カウンターの設置を義務づけて欲しい。
 当座、販売助手・調剤助手を、医薬専門学校を出た人たちに公的な試験をした上で、認めてほしい。
 セルフ陳列もできるだけ規制すべき。有資格者が対面販売でゆとりある経営をして、説明のある販売が確保されるようにしてほしい。
伊藤氏陳述
 昨夏からの医薬部外品の販売に際しては、識別可能な陳列、販売時の消費者への確認事項の周知、相談窓口、苦情処理対応体制の整備、製造業者との連絡体制の強化が要請されており、協会としてガイドラインを作り、きちんと対応している。
 部外品の陳列に関しては分けており、顧客への注意の呼びかけについても従業員の教育も周知徹底している。また、相談窓口も過去からあり、メーカーとの連絡窓口も設置している。
 ある調査では、コンビニにおいて医薬品を取り扱っているという認識を7割以上の人がもっているものの、販売データとしては、それほどの販売動向はない。
 販売の場面では、客からの質問は今までほとんどなかった。
 客からの要請として、緊急性が高い商品を置いて欲しいという声が多い。我々としても、医療機関の補完的機能を果たしたいと思っており、上記のような品目も扱えるよう検討してほしい。
 販売商品の絞り込みはわかるが、人の資格の面では、コールセンターでの対応でカバーさせてほしい。
織田氏陳述
 監視指導の中において、処方せん薬の無指示販売及び薬剤師の管理状況が課題。しかし、偽薬や適正品の回収不適などの事例はない。
 家庭薬の供給の在り方について、市民からの苦情は寄せられていない。
 特例販売業の許可は、医療用ガスや歯科用医薬品を除けば、汽船内等のごく限定されたところにしか現在認めておらず、従前のものについても、一般販売業へ切り替えてもらうよう相談している。
 販売方法に関しては、資格者による対面販売を原則とするべきである。利便のための改正は本末転倒である。健康食品や海外の医薬品のネット販売の方が、ずっと問題が大きい。対面という要件をはずすのであれば、慎重な議論をお願いしたい。
陳述人質疑応答
 瀬戸氏に質問したいが、販売者責任についてはそのとおりだが、薬学教育には一般用医薬品に関することはないというが、18校の薬学部においては何らかの教育行っており、状況は変わってきている。実習についても今後は2.5ヶ月以上が義務化される。

 また、プロには2つ、販売のテクニックのプロと薬の知識のプロとがあると考えている。薬剤師は前者についてはまだまだであるが、後者についてはしっかりとある。

 次に伊藤氏へ質問したいが、まず、日本の夜間救急体制はある程度整っているので、。医療機関の補助というのなら、専門家を配置して一般販売業の薬店をやってもらいたい。また、消費者の視点を言うのであれば、この部会で行ったアンケートにおいては、店に相談や説明を求める回答が1位2位を占めていた。体制を整えるなら、それについても対応するべき。

 現場にいると、薬剤師はオールマイティーではないことを実感する。接客に関してはしっかりできていない。教育が特化する中で、卒業したての薬剤師は販売の場においては素人である。国民に見える形で、一般用医薬品の販売のプロを制度化すべきである。その中には薬剤師があって当然であるが、全てではない。誰もが売っていいという体制がおかしい。販売のプロには薬種商もいる。また、資格化をすれば国民にもわかりやすい。

 両者の見ている薬剤師が違うようだ。

 夜間救急は確かに整っているが、コンビニでいうそれとは、医療ではちょっとしたときに応急的に使うものを販売することを想定している。

 薬店も経営しているところは、薬剤師がオーナーになるなどしていて、併設店も広がってきている。

 客のニーズとして、わかりやすい説明を求めるのは理解できる。説明の際には分かりやすいボード等を使うなどして、努力をしている。

 瀬戸氏への質問だが、非処方せん薬を3つに分ける場合の3つの定義は何か。また、薬局開設者が薬剤師であるべきなら、一般販売業の場合はどうか。

 伊藤氏への質問だが、併設店では、24時間営業を行っているのか。

 市販後調査を義務づけるものや指定解除直後のものは、他のものとわけるべきと考えている。薬局の開設者は薬剤師に限るというのは、欧米ではそうであるし、日本の法人でも必ず1人は入っている。。販売形態については、薬局と一般医薬品販売業の2つでよい。また、資格を決めて、3年の実務経験のあるものに開設義務を負わせることが、販売責任、管理責任のある人として、国民にもわかりやすい。

 併設店の場合には、コンビニと薬局とでは経営形態が全く別なので、コンビニはやっているから薬局も、というわけにはいかない。また、薬局がコンビニを経営する場合にも、24時間に切り替えたいが、人的な面で採算があわないところからやめている。

 伊藤氏に質問だが、ちょっとした医薬品と述べられたが、風邪薬、鎮痛剤はそうではない。

 皆さんにだが、有資格者としてはどのようなものを考えているのか。

 湯浅氏には、SJS発症について、販売店側は事後的にでも知ったのか聞きたい。

 最後に瀬戸氏へは、専門家がいる場でも副作用や事故が起きているのが実態だが、どう防ぐのか。

 部外品への移行を望んでいるが、リスクへの対応を確保した上で移行させてほしい。

 統一試験について、私見では、薬剤師と薬種商の試験とをベースとし、チェーンドラッグストア協会の通信教育をミックスするような形になる。薬理と薬剤動態学、配合についての知識、健康食品と薬の相互作用を含めた総合的な知識を要求する試験である。

 実習は、薬剤師がそばにいる形で、従業員が研修バッジをつけ、説明範囲を区切る、というロールプレイングを行う、ということを考えている。

 副作用被害救済制度の適用を受けるために販売証明書を書いてもらっているので、販売店も発症の事実は知っているはず。ただ10年後に発症するケースもあり、知らない場合もあり得る。最近の風潮は規制緩和に向かっているが、国民は薬の危険性を知らないでいる。そのためにも、規制を強化するべき。薬学教育を受けた上で販売のための試験を行うのは無意味。薬学教育の中で、その内容を充実させてほしい。

 若い医師も素人と同じだ、という意見もある。しかし医学の教育を受けている人は全くの素人とは違う。小児科医は少ないが、小児科に特化した別の資格を設けろ、という話にはなっていない。やはり、医学全般の勉強をした上で経験を積んで資格を取る必要がある。ただ、そういう議論が医薬品の販売に当てはまるかどうかは、現在答えを持ってはいない。

 薬剤師は普通自動車免許と同じ、と考えている。資格を取った上で、それぞれ研修を行うべき。人数については、10年かければ、10万人輩出できるくらいまで到達できるのではないか。

 薬学教育はこれまで、一般用医薬品の教育をしていないから、それに特化した薬剤師はすぐには出せない。しかし、6年制の導入に向けて変わってきている。6年制では、病院だけではなく薬局でも2.5ヶ月実習を行うことになっているので、もう少し一般用医薬品の知識・技能を持った薬剤師ができてくると思う。卒後の教育も、店舗の責任者などが行う部分も含めて、必要と思う。

トップへ