生活保護率における地域間格差の
原因分析のための調査


釧路市
大阪市
高知市


平成17年7月

全国市長会




生活保護率における地域間格差の原因分析のための調査

(回答都市:釧路市)

 釧路市の概要(平成17年4月現在)
(1) 面積 222.10Km2
(2) 人口(人) 186,409人(4月末住民基本台帳)
(3) 世帯数(世帯) 87,663世帯(4月末住民基本台帳)
(4) 主な産業 水産、石炭鉱業、紙パルプ製造業
(5) 完全失業率(H16年 北海道・%) 5.8%
(6) 高齢化率(H12年国勢調査・%) 16.7%
(7) 単身高齢者世帯比率(H12年国勢調査・%) 18.1%
(8) 離婚率(H12年人口動態統計・‰) 2.8‰
(9) 母子世帯比率(H12年国勢調査・%) 2.5%

(備考)
 ※ 単身高齢者世帯比率は、H12年国勢調査における、高齢単身世帯数/65歳以上人口
 ※ 母子世帯比率は、H12年国勢調査における、母子世帯数/全世帯数

 釧路市における生活保護率等の状況(平成17年4月現在)
(1) 生活保護率(‰) 41.2‰
(2) 被保護人員(人) 7,680人
(3) 被保護世帯数(世帯) 4,791世帯
(4) 被保護世帯における高齢者世帯数及び構成割合(世帯・%) 1,707世帯 35.6%
(5)  〃 傷病・障害者世帯数及び構成割合(世帯・%) 1,889世帯 39.5%
(6)  〃 母子世帯数及び構成割合(世帯・%) 820世帯 17.1%
(7)  〃 その他世帯数及び構成割合(世帯・%) 375世帯 7.8%
(8) 生活保護相談件数(H16年度) 739件(来所件数 1,505件)
(9) 新規生活保護申請件数(H16年度) 766件

 釧路市の生活保護率を高めている要因について
(1) 保護率の全体的推移
本市の生活保護率は平成元年度から減少を続けて来たが、景気の後退や地域経済の悪化などを背景に平成9年度より増加に転じ、平成14年には地元炭鉱の閉山の影響も加わり、さらにその深刻度を増したことなどから、今日まで上昇している現状にある。
年度 H元 H6 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
保護率 26.9 23.2 23.4 25.4 27.0 28.5 30.6 33.9 37.5 40.0

(2) 保護率上昇の主な要因
 ア  景気の後退・低迷と地域経済及び雇用環境の悪化
 イ  高齢化、核家族化の進展による高齢者世帯の増加
 ウ  高い離婚率と母子世帯の増加
 エ  医療機関の集中化状況(精神科含め)
 オ  人口の減少、稼働人口の減・流出

(3) 個別要因の状況
 (1) 景気の後退・低迷と地域経済及び雇用環境の悪化
(ハローワーク釧路数値)
年度 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
有効求人倍率 0.52 0.41 0.47 0.41 0.38 0.39 0.54 0.43 0.38 0.39 0.47
  極端に冷え込んだ経済・雇用情勢が続く中、倒産、事業縮小などによる失業、減収が増加するとともに求人自体が少なく再就職が極めて困難であることや、求人もパートの比率が高く(有効求人数の35%がパート〜H16)、就労出来た場合でも就労収入額が低額あるいは不安定であることなどから年毎にその生活体力が落ちてきており、このことが保護受給世帯の増加につながっている。
とりわけ、当市の基幹産業の一つである太平炭鉱の閉山(H14.1.30)は関連業種も含め幅広く市内企業の業況に大きな影響を与え、結果として同年、翌年の保護率の伸びに反映したものと考えている。(雇用指標の悪化から幾分遅れながら保護率にその影響が出ている)

  ○ 保護開始理由の状況
世帯、( )内は構成割合
年度 傷病 主死亡離別 就労収入減喪失 不就労収入減 その他 合計
H6 158(60%) 44(17%) 20(7%) 23(9%) 19(7%) 264(100)
H16 265(38%) 111(16%) 136(20%) 123(18%) 55(8%) 690(100)
増減 107(▲22) 67(▲1) 116(+13) 100(+9) 36(+1) +426世帯
  開始理由として、この10年間の中で「就労収入減・喪失」が一番大きく増えており、ここにリストラ等の影響が見て取れる。次に増えたのが「不就労収入減」で、高齢単身世帯の増と最低生活基準を下回る年金受給者の増が関係していると思われる。


 (2) 高齢化、核家族化の進展による高齢者世帯の増加
釧路市においては、全国平均より、これまで被保護世帯に占める高齢者世帯の割合が低かったが、近年、高齢化の進行とともに本市においては子どもとの同居割合が低く高齢単独世帯の保護の増加が顕著に現れるようになって来た。
前記保護開始理由の変化からも年金受給層の保護受給の増加傾向が現れている。
この傾向は本市の年齢分布から、今後、さらに強まるものと思われる。

  ○ 世帯類型別の変化の状況
世帯、( )内は構成割合
年度 高齢者世帯 母子世帯 障害・傷病世帯 その他世帯 合計
H6 973(36.3) 594(22.2) 938(35.0) 174(6.5) 2,679世帯
H16 1,863(40.0) 831(17.8) 1,617(34.7) 350(7.5) 4,661世帯
比較 +890(3.7) +237(▲4.4) +679(▲0.3) +176(1.0) +1,982世帯
増加世帯中の割合 45% 12% 34% 9%  
世帯伸率 1.9倍 1.4倍 1.7倍 2.0倍 H16/H6
保護・高齢者世帯が年々増加している。

  ○ 65歳以上人口・単独世帯の推移
区分 平成2年 平成12年 増減
65歳以上人口 20,118人(9.8%) 32,016人(16.7%) 11,898人・1.6倍
65歳以上高齢単身世帯 2,957世帯(3.98%) 5,783世帯(7.25%) 2,826世帯・1.9倍
全国・高齢単身世帯 1,623,433世帯(3.96%) 3,032,140世帯(6.44%) 1,408,707・1.8倍
国勢調査数値、( )内は総人口、総世帯数に占める割合


 (3) 高い離婚率と母子世帯の増加
釧路市においては、過去から離婚率が高く(全国の1.4倍程)、保護受給の母子世帯の割合も大変高くなっている。現在でも全国平均(母子世帯は全被保護世帯の9%程度)の2倍近い状態が続いている。

  ○ 釧路市の世帯類型構成の特徴
(H16年度、全国数値はH17.2数値)
区分 高齢者世帯 母子世帯 傷病障害世帯 その他世帯 合計
釧路市 世帯数 1,863 831 1,617 350 4,661
割合(%) 40.0 17.8 34.7 7.5 100
全国 世帯数 472,293 90,121 355,682 96,440 1,014,536
割合(%) 46.5 8.9 35.1 9.5 100

  ○ 離婚率の状況
(人口動態統計)
区分 平成7年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
釧路市 2.40 2.85 3.14 3.32 3.18
全国 1.60 2.10 2.27 2.30 2.25


 (4) 医療機関の集中化状況(精神科含め)
北海道東部圏域の拠点都市として釧路市内に公的医療機関の総合病院や精神神経科の入院施設が集中しており、管内・圏域から障害、傷病者が流入することとなるが、この中で扶養義務者との関係が途絶し保護申請に至る事例が多くなっている。
   ○ 人口10万人対病床率 釧路市 2,112.3 釧路管内8町1村計 955.3
(H15.10.1現在 北海道保健統計)


 (5) 人口の減少、稼働人口の減・流出
釧路市の人口は昭和60年以降減少を続けているが、近年においてもこの傾向は変わらず、人口減、流失に歯止めがかかっていない。
(国勢調査)
区分 平成2年 平成12年 増減
釧路市・人口 205,639人 191,739人 ▲13,900人・▲6.8%
全国・人口 123,611,167人 126,925,843人 3,314,676人・2.7%
(国勢調査)
区分 平成2年 平成12年 増減
労働力人口・就業者
[主に仕事]
57,246人 51,844人 ▲5,402人
23,798人 25,009人 1,211人
81,044人 76,853人 ▲4,191人
   就業者人口が減少しているが、特に男の就業者数の減少が大きい。
保護世帯の増に加えて、分母となるこの人口減が保護率の上昇に影響を与えていると考える。

[参考資料]
 水産業の推移
国際的漁業規制、漁業資源の変化により水揚げが激減

区分 平成6年 平成16年 増減
水揚げ量(t) 255,123 155,782 ▲99,341
水揚げ金額 357.7億円 142.3億円 ▲215.4億円

 石炭鉱業の変化
H14.1.30太平洋炭鉱閉山
同年4月釧路コールマイン規模を大幅縮小し稼行

区分 平成6年度 平成16年度 増減
出炭量(万t) 216.7 74.0 ▲142.7
従業員数 1,501人 500人 ▲1,001人

 製造業の状況
水産加工の生産縮小、紙パルプの合理化努力
区分 平成6年 平成15年 増減
工業出荷額 3,135.7億円 2,283.5億円 ▲852.2億円
従事者数 8,145人 5,789人 ▲2,356人

 生活保護率を高めている要因が解消されれば、釧路市の生活保護率はどのように変化すると想定するか。
(1) 地域経済の回復、地域の雇用環境の改善が何より求められる。
 (1) 現状認識
前記の通り、全国的な景気の低迷に加え、これまで地域経済を牽引してきた基幹産業が厳しい環境に置かれており、堅調な一部産業も人員合理化努力を継続していることから、地域において雇用の受け皿が極端に冷え込んでいる現状にある。
 (2) 改善想定
この改善が図られ、有効求人倍率が1に近づく水準まで上昇した場合は、保護率の低下、抑制に確実につながるものと考えている。具体的には、これまでの経過の中でも、有効求人倍率が0.8台だった平成元年〜4年の雇用環境を受け、平成元年から保護率は平成8年の22.9‰まで8年間減少(この間の保護率は平均23.9)しており、高齢者世帯や傷病・障害世帯を除く世帯の保護からの自立と新規申請の減少が図られるものと考える。
(生活保護受給者の場合、就職努力をしながらも競争倍率が高い状態では、他の求職者よりも経験や資格、年齢等において競争力が劣る傾向が強く、就職が数字以上に困難となっている。)


(2) 高齢者世帯・母子世帯に対する対策
 (1) 高齢者世帯対策
高齢化と核家族化の同時進行により高齢単独世帯が今後も増加すると考えるが、老齢基礎年金額水準の問題など年金制度と生活保護制度の関係について検討が必要ではないか。現行のままでは高齢者世帯の保護受給率の上昇は避けられない。
また、年金担保貸付制度の見直しを速やかに求めるものであるが、この改善によって具体的に(件数はまだ多くはないが〜現在当市で15件程度)保護世帯が減らすことが出来る。
 (2) 母子世帯対策
経済状況の好転により離婚件数、母子世帯の増加傾向に変化を与えられると考えている。(離婚母子のうち、理由に経済的問題をあげた割合〜H16釧路市母子家庭実態調査で34.1%と一番多かった)
 それとは別に子どもの養育環境の整備という課題もあるが、雇用環境が改善された場合、比較すると就労自立につながる可能性の高い世帯であり、その分、保護の抑制が図られるものと思う。
 又、養育費の実効ある確保対策が具体的に図られた場合、その効果はストレートに出てくるものと思われる。釧路市は母子世帯の割合が高いことから、これらの改善は保護率、保護費(合わせて児童扶養手当)の抑制に寄与すると考える。

 釧路市において、生活保護の適正な実施にあたり、努力してきた点。
(1) 保護費適正化事業としての各種特別事業(H16年度・10事業)実施
[平成16年度取組特別事業]
扶養能力調査事業、資産状況把握徹底事業、収入認定適正実施事業、年金資格調査事業、就労指導促進事業、日用品費支給適正化事業、診療報酬請求書点検事業、医療扶助適正化事業、関係機関連携事業、母子世帯自立支援モデル事業
(不正受給の是正指導等に努力〜釧路市の被保護世帯千世帯当たり不正受給発見件数:15年度・15.6件、全国平均は9.8件)

(2) 就労支援事業の強化
 ・ 平成15年度・就労指導促進事業の強化(対象者への継続的指導とフォローの徹底)
 ・ 平成16年度・同上、就労指導員(1名)の配置とその指導
[実績] 16年度は重点指導した者の内、44%が就労開始し、51人が自立(保護廃止)
(人)
区分 就労指導促進事業 左のうち就労指導員・実績
年度 指導対象者 就労開始者 うち自立者 指導人員 就労開始者 うち自立者
15 223 79(35.4%) 14(6.3%)      
16 372 165(44.4%) 51(13.7%) 161(延280) 57(35.4%) 13(8.0%)

  ○ 保護廃止世帯の理由別内訳・推移
世帯、( )内は構成割合
年度 傷病治癒 死亡失踪 就労収入増 不就労収入増 その他 合計
H11 5(1.7) 76(25.8) 48(16.3) 52(17.6) 114(38.6) 295(100)
H12 4(1.3) 81(25.2) 81(25.2) 25(7.8) 130(40.5) 321(100)
H13 5(1.5) 109(32.5) 66(19.6) 35(10.4) 121(36.0) 336(100)
H14 3(0.9) 85(25.0) 62(18.2) 29(8.5) 161(47.4) 340(100)
H15 4(0.9) 118(26.9) 97(22.2) 36(8.2) 183(41.8) 438(100)
H16 5(1.1) 117(25.8) 119(26.2) 25(5.5) 188(41.4) 454(100)
  就労支援の強化に取り組んだことにより「就労収入増」で保護の廃止となった件数(世帯)が15年度、16年度(119世帯は過去最大)と確実に増加した。
16年度の「就労収入増」で保護廃止世帯数の被保護世帯千世帯当たり:25.5世帯

  ○ 保護世帯の稼動状況
釧路市:17年4月 全国:17年2月数値
区分 稼働世帯(割合) 非稼働世帯(割合) 合計
釧路市 733(15.3%) 4,058(84.7%) 4,791(100)
全国 126,970(12.5%) 887,566(87.5%) 1,014,536(100)
  就労指導事業の強化等により、就労自立(廃止)に至らないまでも、就労開始により、結果として、保護世帯の稼働(就労)割合を高めることとなった。

(3) 医療扶助・レセプト点検及び医療機関、受給者への個別指導の強化/医療情報データーベース化事業実施
 (1) レセプト点検員を配置し医療扶助の過誤調整業務に当たり医療費支払額のチェック・減額に努めてきた。
(H15年度は3,800万円程の減額、過誤調整率は0.82%:全国平均14年度0.75%)
 (2) 受給者の受診・療養状況の把握並びに資格確認、頻回受診・重複受診の把握と適切な指導を行うため、医療情報データーベースシステムを平成16年度構築。17年度から稼働を開始した。今後、蓄積された医療情報のチェックを通じ医療扶助のより適正な執行が確保されるよう運用を計画している。

(4) 母子世帯自立支援モデル事業の実施
離婚率が高く、保護世帯に占める母子世帯の割合が高いという当市の地域実態を踏まえ、母子世帯の就労自立とその前段階たる社会生活の自立、日常生活の自立を段階的に図る支援事業の構築に向けて、「母子世帯自立支援モデル事業」を16年度、17年度の2ヵ年事業として取り組んでおり、今年度は就業体験研修事業、自立支援母親教室事業などを試行実施する。
同事業は当市として本格的な自立支援プログラム事業実施の先駆けと捉えており、今後の全体的・組織的な保護の適正運営、自立支援の取組につなげていきたいと考えている。

(5) 組織、指導体制の強化努力
 (1) 組織体制の充実を図るため、平成16年度より2名の経験者を面接相談員(嘱託職員)として配置し、生活保護法制度の説明とその相談に対応することとした。このことにより、現業員のケースワーク業務への集中をより図り、保護の適正運営を目指したものである。
 (2) 当市の平成16年度の現業員(CW)の配置状況は充足率87.5%に留まっているが、市としては行財政改革として職員の定員適正化(削減)計画を推進しながらも、生活保護行政担当職員については毎年度増員を図り対応に努めてきたところである。その中で、事務処理の合理的集約化、電算化(16年度・全面的な生活保護システム導入)、嘱託職員等の活用なども積極的に図りながら、総体として査察指導員(全員現業員経験者)を中心に適正な運営に努力して来たところである。

  平成10年度  平成16年度
保護率 27.0‰ 40.0‰ 1.48倍
被保護世帯数 3,270世帯 4,661世帯 1.42倍
被保護人員 5,761人 7,495人 1.42倍
現業員も含めた総職員数 50人 75人 1.50倍

 釧路市の生活保護率を高めている要因の解消に繋がる方策として、国に求めること。
(1) 総合的な経済・雇用対策の強化と特に当市のような地域経済が深刻な状態にある地域への強力な地場産業支援及び地域振興の特別対策。
(2) 生活保護制度に関係する課題については、5月27日の第2回関係者協議会で岡崎高知市長が提起した11項目の「検討すべき課題」の整理が早急に求められていると考えます。
 〔参考:岡崎高知市長提起・検討課題〕
  生活保護費に関する課題
 (1) 年金未加入者、年金保険料未納者対策
 (2) 生活保護基準額を下まわる老齢基礎年金の問題
 (3) 年金担保貸付制度の適正な在り方
 (4) 医療扶助、介護扶助の現物給付の在り方
 (5) 高齢者世帯に対する生活保障制度の在り方
自立支援等に関する課題
 (6) 福祉行政と労働行政との連携を図る法制度の未整備
 (7) 傷病、障害、子育てと就労阻害要因を抱えた世帯への対応
 (8) ホームレスやDV被害者に対する支援施策はあるが経済的自立は生活保護制度しかない現状
 (9) 保護から自立した時の各種福祉サービス等の優遇措置の対象外扱い
実施体制に関する課題
 (10) 生活保護法の諸調査における金融機関との協力関係
 (11) 不正受給者に対する罰則規定はあるが、適用要件、基準が不明確


生活保護率における地域間格差の原因分析のための調査

(回答都市:大阪市)

 貴市の概要についてご教示ください。(平成17年4月現在)
(1) 面積 221.96Km2
(2) 人口(人) 2,632,801人
(3) 世帯数(世帯) 1,231,280世帯
(4) 主な産業 サービス業、卸売・小売業・飲食店、製造業等
(5) 完全失業率(H16年都道府県別・%) 6.4%
(6) 高齢化率(H12年国勢調査・%) 17.1%
(7) 単身高齢者世帯比率(H12年国勢調査・%) 24.7%
(8) 離婚率(H12年人口動態統計・‰) 3.0‰
(9) 母子世帯比率(H12年国勢調査・%) 1.7%

(備考)
 ※ 単身高齢者世帯比率は、H12年国勢調査における、高齢単身世帯数/65歳以上人口
 ※ 母子世帯比率は、H12年国勢調査における、母子世帯数/全世帯数

 貴市における生活保護率等についてご教示下さい。(平成17年4月現在)
(1) 生活保護率(‰) 39.0‰
(2) 被保護人員(人) 102,616人
(3)被保護世帯数(世帯) 77,307世帯
(4) 被保護世帯における高齢者世帯数及び構成割合(世帯・%) 36,954世帯  47.8%
(5)  〃 傷病・障害者世帯数及び構成割合(世帯・%) 24,060世帯  31.2%
(6)  〃 母子世帯数及び構成割合(世帯・%) 5,993世帯  7.8%
(7)  〃 その他世帯数及び構成割合(世帯・%) 10,222世帯  13.2%
(8) 生活保護相談件数(H16年度) 65,879件
(9) 新規生活保護申請件数(H16年度) 23,629件

 貴市の生活保護率を高めている要因について、貴市の分析内容を具体的にご教示ください。
 ・ 失業率が高い(平成15年度調査 大阪府が7.6%で沖縄県に次いで全国第2位)
 ・ 離婚率が高い(平成15年度調査 大阪府が2.71%で全国第3位、大阪市は3.00%)
 ・ 生活保護受給中の世帯(平成15年度 70,162)のうち、高齢者世帯(36,357)の占める割合が51.8%で他の政令指定都市平均(46.9%)や全国平均(46.4%)に比べ高い比率になっている。
 ・ 高齢者人口(平成12年国調 444,740人)に対する単身高齢者の人口(109,658人)比率(24.7%)が他都市に比べ高い比率になっており、しかも低所得者層が多い。
 ・ あいりん地域の日雇労働者が高齢化、建設現場の機械化等により仕事がなくなり、ホームレス化や生活保護が増加し、保護率押し上げの要因となっている。
 ちなみに平成16年10月の数値で大阪市の保護率をみてみると、市全体の被保護者数が100,881人、保護率38.3‰であるが、西成区(20,417人)およびあいりん地域の被保護者数(3,273人)、市内の行旅病人(3,890人)、各区の生活保護施設入所者(1,775人)を差し引くと被保護者数が71,526人、保護率が28.6‰と約10%の減となる。(別紙1参照)
 あいりん地域の被保護者数は正確な数値はでないが、少なくとも地域内で居宅保護を受けているケースは平成16年度で5,950世帯、更生相談所の取扱いケースが3,293世帯となっており、おおよそ9千あまりが保護を受給している。あいりん地域の人口が不明確であるため正しい保護率は計算できないが相当数の保護率になっていると推測できる。大阪市のホームレス数は平成15年2月調査で6,603人となっており、聞き取り調査によると大阪府下出身者は2割にとどまっている。
 さらに、あいりん地域で起居する労働者の出身地については正確な調査結果はないが、生活保護施設入所者や毎年冬に実施している越年対策事業の利用者への調査結果によると、大阪市内出身者は全体の22%で大阪府下が13%で残りの65%が他の都道府県出身者であるという数値がでている。

 貴市の生活保護率を高めている要因が解消されれば、貴市の生活保護率はどのように変化すると想定されますか。保護率等の客観的な数値とともにご教示ください。
 ・ 景気が回復し、結果としてある程度失業率が低くなれば、稼働年齢層の保護率の減少は可能となると考えられる。
 ・ また、本市の生活保護世帯の約8割は高齢・障害・傷病であり、生活保護制度の枠内で保護率の減少を考えるのは非常に困難であるため、別の方法で高齢者に対する社会保障制度を構築するなど制度改正が無ければ、改善を望むことは困難と考える。

 貴市において、生活保護の適正な実施にあたり、特に努力されてきた点があれば、客観的な数値と併せてご教示ください。
 ・ 医療費の適正化のためのレセプト点検については、数年前から強化を図ってきており、平成17年度も点検職員の増強の他、レセプトのデータベース化を行っている。
 ・ 被保護者就労支援事業やキャリアカウンセラー派遣事業、被保護者就職支援事業などの就労支援策の強化を図り、稼働年齢層を中心に就労自立策を実施している。(別紙2参照)
 ・ 生活保護指導監査推進事業を実施し、年金受給権の有無の調査やケース記録そのものを調査し、保護の適正化の強化に努めている。

 貴市の生活保護率を高めている要因の解消に繋がる方策として、国に求めることがあれば、ご教示ください。
 ・ 本市が保護の適正化のために実現できることは、当然地方自治体の責務として今後ともあらゆる方策を実施していく予定としている。
 ・ しかしながら、生活保護制度は法の目的の一つである「自立の助長」の観点から考えるとき、現実問題として、過半数を占める高齢者世帯の「自立」をどうしていくのか。生活保護の枠組みの中で考えるにはとうてい無理があることから、高齢者世帯に対する「生活保障」は別の制度を立ち上げることを持ってしか実現できないのではないかと考えており、国において新たな仕組み作りを早急に検討されたい。



大阪市の保護率について   別紙1

(平成16年10月現在)

大阪市の保護状況
 76,038世帯 100,881人 (38.3‰)

大阪市の保護率を高めている主たる要因を除いた場合の保護状況
 49,139世帯  71,526人 (28.6‰)

  ・ 西成区の保護状況  17,961世帯  20,417人 (150.8‰)
  ・ その他の主たる要因
   ・ 更生相談所の措置による保護者数  3,273人(月中数字)
   ・ 各区の「行旅病人」数  3,890人(月中数字)
   ・ 各区の施設入所者(西成区を除く)  1,775人(月末数字)

 * 西成区の数値を除外する理由
 あいりん地域の居宅保護を抱え、突出した保護率を示しているため。
 * 「行旅病人」及び施設入所者の数値を除外する理由
 ホームレス及びあいりん地域の高齢日雇労働者が大半であるため。


(注)  
(1) 月中数字と月末数字の誤差がある。(月中数字のほうが月末数字より数値は高くなる)
(2) 更生相談所とは、あいりん地域の住居を持たない要保護者を対象とする実施機関で入院・施設入所を担当している。



就労自立を支援する事業(大阪市)   別紙2

被保護者就職支援事業
 職業紹介事業の許可を受け、再就職支援業を行っている民間事業者に、就労可能な被保護者の就職に係る支援・決定・定着までを総合的に委託する。

区における就労支援強化事業
 稼働年齢層の就労意欲の向上と就労自立を促進するための相談会、セミナー等を各区において企画・開催する。事業例としては、「若年者を対象とした雇用関連サービスのワンストップセンター」である「JOBカフェOSAKA」及び母子家庭の就労を支援している「NPO法人日本健康生活指導員育成協会」(富榮未来塾)等による就職セミナーの実施など。

被保護者就労支援員配置事業
 平成16年度から職安OBの就労支援員(非常勤嘱託)を雇用し、稼働年齢層の多い4区に2名を配置し、被保護者の就労自立を促進する事業を実施しているが、平成17年度には事業を拡大して全区において実施する。

キャリアカウンセラー派遣事業
 稼働年齢層の就労意欲の向上と自立の助長を図るため、職業情報の提供と就職支援の専門家であるキャリアカウンセラーを保健福祉センターへ派遣し、ケースワーカーと連携しながら就労支援の取り組みを実施する。

生活保護受給者自立支援事業
 就労意欲の低い被保護者が抱える複雑で多様な悩みや相談について、精神保健福祉士などによる専門的なカウンセリングを実施し、稼働能力を回復させる等の努力に対する支援を行う。

被保護者雇用促進助成事業
 被保護者を雇用した事業者及び雇用先を確保した派遣事業者に対し給与の1/2(上限18万円)の助成金を支給する。



生活保護率における地域間格差の原因分析のための調査

(回答都市:高知市)

 高知市の概要について
(1) 面積  264.28平方キロメートル
(2) 人口  329,192人
(3) 世帯数  147,779世帯
(4) 主な産業  食料品製造業,出版印刷業
(5) 完全失業率  6.1%(H16年労働力調査・高知県)
(6) 高齢化率  18.2%(H12年国勢調査)
(7) 単身高齢者世帯比率  22.2%(H12年国勢調査)
(8) 離婚率  2.8‰(H12年人口動態統計)
(9) 母子世帯比率  2.1%・2,981世帯(H12年国勢調査・母子のみの世帯)

(備考)
 ※ 単身高齢者世帯比率は、H12年国勢調査における、高齢単身世帯数/65歳以上人口
 ※ 母子世帯比率は、H12年国勢調査における、母子世帯数/全世帯数

 高知市における生活保護率等について (平成17年4月現在)
(1) 生活保護率  28.1
(2) 被保護人員  9,448
(3) 被保護世帯数  6,812 世帯
(4) 被保護世帯における世帯数及び構成割合 高齢者世帯  3,250 世帯  47.7
(5)  〃  傷病・障害者世帯  2,816 世帯  41.3
(6)  〃  母子世帯  585 世帯  8.6
(7)  〃  その他世帯  161 世帯  2.4
(8) 生活保護相談件数  (平成16年度)  3,359
(9) 新規生活保護申請件数  (平成16年度)  1,072

 貴市の生活保護率を高めている要因について,貴市の分析内容を具体的にご教示ください。
 本市における生活保護率は昭和60年度をピーク(27.5‰)に減少してきたが,長引く景気の低迷・雇用情勢の悪化,単身高齢者の増加,離婚等による母子世帯の増加,また,高知市に医療機関が集中していること等により,平成8年度(19.2‰)を底に再び上昇に転じていたが,平成16年度は微増となっている。
(平成15年度末:27.9‰ 平成16年度末:28.2‰)

(1) 景気の低迷・雇用情勢の悪化
 長期化する景気の低迷を受け,建設・製造業の経営悪化による失業者が増加する一方で,第三次産業は脆弱な産業(サービス,飲食業等)が約8割(平成13年10月1日:50人未満の事業所)を占めており,これらもまた経営悪化による失業者が増加している。
 これらの失業者に対する雇用については,ハローワーク高知管内の有効求人倍率が0.5%前後の低率で推移する等(平成17年2月高知県:0.44%)依然として厳しい状況となっており,一定の求職活動をしてもなお適職無い者は保護の適用も止むを得ないところとなっている。

(2) 単身高齢者の増加
 本市では全国に1〜2年先行して高齢化が進行している。これに比例して高齢者の保護世帯も老齢年金のみでは最低生活が維持できないこと等を理由に増加している。また,単身高齢者世帯の割合が高い都市は保護率も高くなっており,高知市も同様の傾向にある。

(3) 母子世帯の増加
 本市における母子世帯の出現率は,全国平均の2倍近くあり,離婚等を理由に母子世帯が年々増加している。それに伴い母子の保護世帯も収入が不安定で少ないこと等を理由に増加している。
(被保護世帯における母子世帯の割合)
 ・ 平成11年度7.7%〜平成15年度8.8%
(母子世帯出現率)
 ・ 高知市 4.40%  (平成16年4月1日)
 ・ 全国 2.7%  (平成15年11月1日)

(4) 医療機関の集中
 高知県下における本市の医療機関の割合は,47.3%(平成15年)で,その対人口病床数でも全国で1位となっている。このため高齢者や重篤な病状の患者が周辺地域から流入する一方で,これらの扶養義務者の経済的状況から援助の途絶による生活保護申請が増加している。

 貴市の生活保護率を高めている要因が解消されれば,貴市の生活保護率はどのように変化すると想定されますか。保護率等の客観的な数値とともにご教示ください。
 (1)  単身高齢世帯の増加
 平成15年4月19.1% 平成17年4月19.9%と高齢化が進んでいる。
(年度末の世帯数)
6年度 7年度 8年度 9年度 10年 11年 12年 13年 14年 15年
2,009 2,092 2,189 2,292 2,451 2,577 2,703 2,874 3,005 3,196
1,789 1,882 1,972 2,079 2,215 2,324 2,439 2,593 2,706 2,871
(上段:高齢世帯,下段:単身高齢世帯)

 平成17年4月 高齢者 3,250世帯(内単身 2,940世帯)
 今後も高齢者の増加とともに保護率を押し上げていくと思われる。

 (2)  傷病・障害
6年度 7年度 8年度 9年度 10年 11年 12年 13年 14年 15年
1,830 1,832 1,834 1,879 1,914 2,044 2,163 2,331 2,518 2,690

 平成17年4月 傷病・障害 2,816世帯
 医療機関の集中等により増加傾向

 (3)  母子世帯の増加
6年度 7年度 8年度 9年度 10年 11年 12年 13年 14年 15年
376 366 350 355 393 395 438 493 529 576

 平成17年4月 母子 585世帯

 (4)  その他の世帯
6年度 7年度 8年度 9年度 10年 11年 12年 13年 14年 15年
135 104 108 118 113 113 122 129 164 179

 平成17年4月 その他 161世帯

 景気の回復等により,母子・その他の世帯での改善が考えられるが,高齢者の増加による小額年金者及び無年金者等の増加が見込まれるので微増か微減で推移すると考える。
 平成24年以降急速な高年齢化が進むと予想され保護率にも影響がでてくるものと推測される。

 貴市において,生活保護の適正な実施にあたり,特に努力されてきた点があれば,客観的な数値と併せてご教示ください。
 本市における被保護世帯は,高齢者,母子,傷病者,心身障害者,社会的入院患者,DV,虐待,多重債務,元ホームレス等多様な問題を抱えている。
 こうした傾向は,今後も続くことが予想されており,処遇に当っては,生活保護法の理念に基き,世帯の実態に着目した経済的給付を行うとともに,自立助長を図っている。
 具体的には,被保護世帯のうち大半を占める高齢者世帯の場合は,社会生活や日常生活の相談・支援が主なものとなっている。
 稼動年齢層にある就労可能者については,一昨年4月に就労支援に関する専門的知識や経験を有する職業安定所OBを就労促進員として雇用し,その就労促進員が時間をかけて求職者の能力を見定めたうえで,求職者に適した求人事業所を職業安定所へ紹介している。
 その結果,就職者の割合は平成15年度が11.6%,平成16年度が13.5%となっている。


(高知市福祉事務所)

区分 15年度 16年度
面接を受けた者
319名

260名
職安へ紹介した者 197名 222名
就職決定者 B
37名

35名
B/A 11.6% 13.5%
保護廃止 9世帯 4世帯
保護費削減額 8,939千円
(医療費除く)
11,377千円
(医療費除く)
  (ハローワーク高知管内)

区分 16年
2月
17年
2月
増減

B−A
a月間有効求職者数 9,828 10,401 573
b月間有効求人数 6,156 5,736 △420
C就職件数 591 608 17
D充足数 609 617 8
就職率
c/a
6.01 5.84 △0.17
充足率
d/b
9.89 10.75 0.86

面接相談業務の強化
 近年の景気の低迷や,高齢化の進行は,生活保護相談者の増加となって表れてきた。平成12年度に2,621件あった相談件数は,ピーク時の平成14年度には,3,492件に達し,その後は,微減に転じたものの,平成16年度は,3,359件の保護相談があっている。
 本市においては,面接相談の充実を図るため,平成16年度から面接相談員を1名増員し,3名体制とした。
 このことによって,初回面接の段階で困窮状況を見極め,他法他施策の活用や,きめ細かい生活上のアドバイスを行うことが可能となった。
 とりわけ失業を理由とした相談者に対しては,平成15年度に生活保護業務担当課に配置した職安OBの就労促進員との連携を図るなかで,求人情報の提供や職業安定所への求人事業所の紹介等,積極的に就労促進し,一定の成果をあげている。
 その結果,平成14年度に1,480件(相談件数3,492件)あった受理件数が,平成16年度には,1,024件(相談件数3,359件)にまで減少してきている。

レセプト点検及び医療機関に対する個別指導の強化
 平成16年度からレセプトを医療係で集中的に管理を行い,レセプト点検を月単位から,連続した時系列点検へと移行したことにより,患者の病状や診療内容,診療報酬請求の内容をこれまで以上に把握することが可能となった。また,医療機関への個別指導を8病院から16病院に増やすとともに,レセプト,カルテ,看護記録等を突合し,きめ細かく精査するなど指導内容の充実を努めている。

医療扶助の適正化
 平成11年度までの生活保護費に占める医療扶助費の割合は,長期入院被保護者の受入先の確保等が不十分なこともあり,約60%の高率で推移してきた。
 平成12年4月に介護保険制度が導入され,介護施設等が一定整備されたことに伴い,長期入院被保護者の介護施設等への移行を積極的に推進してきた。この結果,生活保護費に占める医療扶助費の割合は年々減少し,平成15年度の割合は53.7%となったが,一部の施設では,満床になる等,受入先の確保が困難となっている。
 こうした厳しい状況に対応するため,平成17年4月1日から医療・介護・保健・福祉に関する経験や知識を持った医療相談員OBを生活保護医療相談員として雇用し,本市の生活保護業務担当課に配置している。
 生活保護医療相談員は,介護施設や在宅等の受入状況を収集・把握するとともに,関係機関との連絡調整を図り,長期入院被保護者の受入先を確保する等,退院の支援や医療扶助の適正化をこれまで以上に図ることとしている。

 (その他は,生活,住宅,教育等) (単位 千円)
区分 11年度 12年度 13年度 14年度
医療 7,793,190 (59.9) 7,360,033 (56.4) 7,755,542 (55.4) 8,164,847 (54.6)
介護 -   136,447 (1.1) 175,408 (1.3) 229,473 (1.5)
その他 5,207,147 (40.1) 5,560,957 (42.5) 6,052,900 (43.3) 6,574,811 (43.9)
合計 13,000,337 (100) 13,057,437 (100) 13,983,850 (100) 14,969,131 (100)
区分 15年度  
医療 8,529,534 (53.7)
介護 258,034 (1.6)
その他 7,107,826 (44.7)
合計 15,895,394 (100)

(単位 件・千円)
区分 入院医療費 長期入院患者 1人当り年間医療費
11年度 ------ 107 件 1,106(7,041人)
12年度 3,873,516 106 件 985(7,470人)
13年度 4,775,627 94 件 961(8,069人)
14年度 5,383,723 416 件 941(8,672人)
15年度 5,235,238 467 件 918(9,285人)

 貴市の生活保護率を高めている要因の解消に繋がる方策として,国に求めることがあれば,ご教示ください。
 雇用対策として
 本市は最も景気の影響を受けやすい,脆弱な第三次産業が約8割を占めており,失業による保護率の増加が最大の要因といえる。国に対しては,景気回復施策を求めることはもちろんであるが,現在の社会構造の中で生活保護受給者の雇用を,すべて民間に求めることは困難ではないかと思われる。
 また,福祉事務所単位で独自に職業を斡旋できる様な法整備も含めたシステム作りも必要ではないかとの意見もあった。


2  生活保護法及び実施要領の改善について
 (1)  年金担保入れを繰り返す等,悪意を持って生活保護制度を利用する者に対して,現行法で対処することには限界があると思われる。何らかの法改正が必要と思われる。
 (2)  平成17年度から,実施要領において扶養に関する取り扱いの変更(重点的扶養能力調査対象者の取り扱い)がなされたが,扶養すること無しに被保護者の資産を扶養義務者が相続する場合や,十分な扶養能力を有しているにも関わらず支援を拒否するなど,一般の国民感情からすると受け入れがたい現状が存在する。これらについても法改正が必要と思われる。
 (3)  就労収入に対する基礎控除の増額改定が可能であれば,就労意欲の向上につながるのでは。

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