05/06/27 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成17年6月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成17年6月27日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(17名)五十音順   伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、◎井 村 伸 正、   笠  貫   宏、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 北 澤 京 子、   永 井 良 三、 長 尾   拓、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、   本 田 佳 子、 松 尾 宣 武、 溝 口 昌 子、 宮 崎 秀 樹、   吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(6名) 井 部 俊 子、 岩  田   誠、 土 屋 利 江、 松 本 和 則、 望 月 眞 弓、○山  口   徹 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 本  田   一(総務課長)、   森  浩 太 郎(医薬品副作用被害対策室長)、   川  原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、 佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、平 山 佳 伸(安全対策課長)、 山 田 雅 信(安全使用推進室長)、  南  野   肇(監視指導・麻薬対策課長)、 植 村 展 生(監視指導室長)、 金 井 雅 利(血液対策課長)、 浦 山 隆 雄(血液対策企画官)、 境   政  人(農林水産省消費・安全局薬事・飼料安全室長) 他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 それでは定刻になり大体おそろいでございますので、薬事・食品衛生 審議会の薬事分科会を開催させていただきます。本日は井部委員、岩田委員、土屋委員、 松本委員、望月委員、山口委員から御欠席という御連絡を頂いております。それから板 倉委員と松尾委員からは少し遅れるという御連絡が入っておりますので、後ほど参加さ れると思います。  まず最初に事務局の方に異動があったようでございますので、それについて御紹介を お願いいたします。 ○総務課長 事務局総務課長の本田でございます。4月に幹部職員の異動がございまし たので、議事の前に紹介したいと思います。まず初めに小出薬事企画官でございます。 ○薬事企画官 小出でございます。 ○総務課長 続きまして森医薬品副作用被害対策室長でございます。 ○医薬品副作用被害対策室長 森でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして佐々木化学物質安全対策室長でございます。 ○化学物質安全対策室長 佐々木でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 それから最後に山田安全使用推進室長でございます。 ○安全使用推進室長 山田です。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。続きまして事務局から資料の確認をお願い いたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日審議事項はございません。報告事項 につきましては事前にお送りしました資料1〜23となっております。その他議事次第、 座席表、名簿を本日配付しております。御確認いただきたく存じます。本日は報告事項 のみ23件を予定しております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。いろいろな資料はおそろいでございましょ うか。大丈夫でしょうか。それでは審議事項はないということでございますので、いき なり報告事項から入らせていただきます。やり方といたしましては担当の部会ごとに区 切って御説明を伺うようにしたいと思います。時々順序が不同になりますので、よろし くお願いいたします。  まずは日本薬局方部会の関係の議題1から簡単に御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1になります。6月6日に開催されました日本薬局方部会で御審議いた だいた事項について報告させていただきます。局方の国際調和に関連する事項について 日本薬局方の一部改正を行うものですけれども、まず局方の国際調和の背景につきまし て簡単に御説明させていただきます。  これまで局方の国際調和はPDG(Pharmacopoeial Discussion Group)という会議にお いて日本薬局方、欧州薬局方、米国薬局方の三つの薬局方の調和を進めてきたところで ございます。このPDGは1989年に発足しまして、現在まで29の添加物モノグラフと 19の試験法について調和を終了しております。これらの調和された添加物モノグラフや 試験法につきましては随時日本薬局方に反映させてきているところでございます。一方、 ICHという日米EU三極の医薬品規制調和の国際会議において、この国際調和された 局方テキストを規制当局によって相互に受け入れようということをテーマとした専門家 会合が昨年2004年から立ち上がり、現在検討を開始しているところでございます。すな わち、このICHの専門家会合で国際調和されたある試験法について、行政規制当局間 での相互受入れが確認されれば、三薬局方いずれの試験法に基づいて試験を行っても規 制当局は相互に受け入れる、つまり同じ試験を繰り返す必要がないと、こういった検討 をしているところでございます。  それでは、今回の改正の概要につきまして御説明させていただきます。資料1の「1. 改正の概要」にありますとおり(1)〜(3)の三点に大きく分けております。まず(1)で すけれども、日本薬局方、欧州薬局方、米国薬局方の三薬局方で合意した事項を日本薬 局方に反映させた場合の記載方法につきまして、通則に規定するというものでございま す。一つは、三薬局方で合意した試験法であった場合はその旨をその試験法の冒頭に記 す。またそれぞれの試験法において、三薬局方の合意事項と異なる箇所については印を 付けておくというものでございます。  次に(2)ですけれども、注射剤の採取容量試験法を一般試験法に新規に収載するとい うものです。この試験法は冒頭御説明いたしましたPDGという会合で三薬局方間で合 意に達した試験法であり、かつICHの専門家会合で三規制当局が相互に受け入れると いう決定がなされた試験法です。  (3)ですけれども、これは今申し上げました試験法の新規収載に伴う改正等というこ とで、製剤総則の注射剤の改正や放射線医薬品7品目につきましては「採取容量試験法 を適用しない」といった一文を追加するというものでございます。  一枚めくっていただきますと、次のページに具体的な改正案が出ております。上半分 が通則41に新規に入れたいと考えている内容です。下半部からが注射剤の採取容量試験 法ということで、冒頭3行が上の通則41の規定に基づいて新たに入れることになった記 載でございます。その後4行目から「?」で囲んでおりますけれども、ここの部分が三 局の合意事項と異なる部分ということで、こういった形で印を付けたいというものでご ざいます。以下の資料はそれぞれの事項の改正案につきまして用意させていただいてお ります。  なお今後の予定ですが、十五局の改正は大改正が来年3月末に予定されておりますけ れども、今回の改正については国際調和の重要性にかんがみて適切なタイミングでの改 正が必要であるため7月末に告示したいということで、今回一部改正をする予定でござ います。以上です。 ── 北澤委員着席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。この部会長の早川委員の方から何か追加の 御発言はございますでしょうか。 ○早川委員 少し繰り返しになりますけれども、ポイントを二つほど申し上げたいと思 います。一つは日本薬局方というのは国が定める医薬品の規格基準書ということでござ いますが、これは薬事法上は少なくとも10年に一度大改正するということであります。 しかし、その後時代の急速な変化に対して5年に一度の大改正、それからその間に二度 のサプリメントを出すという形で対応してまいりました。今回の一部改正という方策は、 必要に応じて適宜改正を行って更に迅速な対応を図ろうとするものでございます。  もう一つは、私ども局方作成基本方針の5本柱の一つとして「国際調和の推進」とい うことを掲げておりまして、現在日米欧の三薬局方間で試験法等の調和を図っておりま すけれども、この国際調和の成果というのが各国の規制当局に公式に認知されて初めて 実体化するものであるということでございます。今回の一部改正はこうしたことを背景 にいたしまして、国際調和に関する事項についてタイムリーに局方の部分改正を行って、 国としてオーソライズしていこうということです。これに関しては我が国が先陣を切る 形となっておりまして、これは国際的にも大変意義のあるものということで注目されて、 評価が高いものであるということを申し添えておきたいと思います。どうもありがとう ございました。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から御質問、御意見 がありましたらどうぞ。いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。 それでは御質問、御意見がないようですので、本件について御確認いただいたというこ とにしてよろしいですか。ありがとうございました。  それでは続いて議題2でございますが、副作用・感染等被害判定部会の関係の議題で ございます。説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料2の副作用・感染等被害判定結果について御報告申し上げます。 前回の分科会以降に2回の副作用・感染等被害判定部会が開催されております。資料は 各開催ごとの資料とその表紙に、2回の件数を集計したものとなっております。それで は資料の1枚目の「(まとめ)」と書かれた2回の部会の集計結果に沿って御報告いたし ます。  部会開催日は平成16年度第8回が平成17年3月23日、平成17年度第1回が同じく 平成17年5月12日に開催されています。医薬品の副作用判定における2回の合計の申 請内訳は、新規が201件、継続が3件、現況38件の合計242件であり、調査結果におい ては支給決定とすることが適当と考えられるものが202件。その内訳は、請求通り支給 決定するものが62件、請求期間の一部について支給決定するものが137件、請求内容の 一部について支給決定するものが8件となっています。また不支給決定することが適当 と考えられるものは32件あり、その内訳は使用目的が不適正であったものが1件、使用 が不適正な形だったものが9件、医薬品以外の原因によるものが11件、副作用による疾 病が入院治療を必要とする程度でない場合が4件、障害とは認められないものが1件、 また副作用による障害が日常生活が著しく制限される程度の状態でない場合が8件、厚 生労働大臣が指定する救済給付対象除外医薬品を使用された場合が1件となっていま す。さらに追加情報を得て再度審議することが適当と考えられるものは8件ございまし た。また今回報告させていただく2回の部会につきましては、生物由来製品による感染 被害についての判定は実施されませんでした。以上で平成16年度第8回及び平成17年 度第1回の副作用・感染等被害判定部会の結果報告を終わります。 ○井村分科会長 ありがとうございました。部会長はいらっしゃらないようでございま すが、委員の方々から御意見、御質問ございますでしょうか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 単なる書き方の問題なのですけれども、例えば第8回の方の6ページでし ょうか、いろいろな障害名や疾病名が書いてあったりして、「副作用名」というところ に「なし(死亡)」とあって、「不支給(死亡)」で「医薬品以外の原因による」と書いて あるのが6ページの一番上の欄などにあるのですね。副作用がなしと死亡で不支給とい うのは、なぜここに「なし」と書くのか。それが副作用と認めないからだという意味だ とは思うのですけれども、わざわざ「なし」と書く理由がよく分からないのです。例え ば下の方は継続審議ですけれども、107というところは「間質性肺炎に続発した多臓器 不全による死亡」と書いてありますね。これがもし仮に継続審議が終わって判定で不支 給となったときにはこれも結局「間質性肺炎(疾病)」、「なし(死亡)」と書かれるのか なと思うと、非常に分かりにくい書き方だなと思っているのです。 ○井村分科会長 確かにそういうところはあるかもしれません。事務局の方はいかがで しょうか。 ○事務局 こちらにつきまして、「なし」というのは医薬品と因果関係がない死亡であ ったと。今おっしゃられた6ページの一番上の95というところで行きますと、「重症肝 障害(疾病)」は医薬品との因果関係があるということで副作用名が付けられています。 ただし死亡も請求されているのですけれども、そちらについては因果関係がないという ことで、判定については「なし」と。それ以外に理由はございますが、一覧表について はこれが記載されていないという形になります。先ほどおっしゃられた07の関節リウマ チにつきましては、継続審議の方で「間質性肺炎に続発した多臓器不全による死亡」と いう形で、今のところ因果関係がありそうだということで継続審議を行っているのです けれども、もしもこの死亡が医薬品によるものでないとされた場合は、やはりこちらの 一覧表には「なし」と記載されます。 ○井村分科会長 そういう習慣で書いているようでございます。何かもう少し分かりや すい書き方があるのでしたらその方にしてもいいかもしれませんが、一応今のところは そういう意味だということで御理解いただければと思います。 ○神山委員 例えば今の99のところは、対象除外薬であるとして「小腸出血に続発した 出血性ショックによる死亡(死亡)」で不支給ですよね。これは副作用はあるけれども、 対象除外薬だからという書き方の区別をしているということなのでしょうか。 ○井村分科会長 そうだと思います。どうぞ。 ○事務局 こちらにつきましては因果関係があるということで、「小腸出血に続発した 出血性ショックによる死亡(死亡)」という死亡名を付けさせていただいております。た だ先ほど最初に申しましたとおり、厚生労働大臣が指定する除外医薬品の方が使われて、 それによる因果関係がある副作用なものですから、支給につきましては不支給であり、 その理由が「対象除外薬である」という形に一覧表に記載させていただいております。 ○井村分科会長 その否定した薬というのをこの際きちんとおっしゃっていただけれ ば。○事務局 こちらの方はネオーラル50mgカプセルとネオーラル25mgカプセルが厚 生労働大臣の指定する除外医薬品になっております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ということでございます。ほかにございま せんでしょうか。よろしゅうございますか。なお今回判定にかかりました医薬品の中で いわゆる一般用医薬品(OTC)は11件あり、全体の5.5%だそうで、このうち2件が不 支給になっているようでございます。ほかにございませんでしょうか。よろしゅうござ いますか。それでは本件についても御確認いただいたとさせていただきます。  続きまして医薬品第一部会の関係の議題3〜6、それからちょっと飛びまして議題11 につきまして、まず御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは医薬品第一部会からの議題につきまして御報告申し上げます。まず 議題3でございます。黒表紙を1枚おめくりいただきまして資料3というものがござい ますが、この冒頭の紙に沿いまして御報告いたします。本剤は販売名が「クリアクター 注」でございます。成分の一般名がモンテプラーゼ(遺伝子組換え)でございます。本剤 はいわゆるt-PA製剤、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子でございまして、血栓溶解 作用を有する薬でございます。申請者はエーザイ株式会社でございます。本剤につきま しては6のところにございますが、平成14年4月に「(1)急性心筋梗塞における冠動脈血 栓の溶解」という効能・効果で既に承認されて世に出ているものでございますけれども、 今回は「(2)不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解」という効 能を追加するものでございます。本剤は4月14日に開かれました医薬品第一部会で御審 議いただいて、承認して差し支えないという御結論を頂いたものでございます。本剤は オーファンドラッグに指定しておりまして、再審査期間が10年でございます。それから 一番下の備考欄を御覧いただきたいのですが、承認条件として今回の効能追加の部分に ついて再審査期間中の全投与症例の市販後調査という内容を義務づけることにしており ます。議題3は以上でございます。  引き続きまして議題4、資料4に移らせていただきます。販売名が「サラジェン錠5 mg」でございます。有効成分の名前が塩酸ピロカルピンでございます。本剤はムスカリ ン受容体の刺激薬でございまして、成分としては既に日本薬局方にも載っており、緑内 障の点眼剤として広く使用されているものでございます。今回この薬が唾液分泌作用を 有するということで、6の効能・効果のところにございますように「頭頸部の放射線治療 に伴う口腔乾燥症状の改善」という申請があったものでございます。企業名はキッセイ 薬品工業株式会社でございます。本剤につきましては5月27日の医薬品第一部会で御審 議いただきまして、承認して差し支えないという御結論を頂いております。再審査期間 が6年、原体が毒薬、製剤が劇薬という内容でございます。以上が資料4でございます。  続きまして議題5、資料5に移らせていただきます。本剤は販売名が「FDGスキャ ン注、FDGスキャン-MP注」。名前が二つ付いていますけれども、同じものでござい まして、2社から共同開発で申請が来ているものでございます。成分の一般名がフルデ オキシグルコースというものでございます。本剤はポジトロン断層撮影のPET検査に 用いる放射性医薬品でございまして、6を御覧いただきますと「1.悪性腫瘍の診断」、 「2.虚血性心疾患の診断」、「3.難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる場合 の脳グルコース代謝異常領域の診断」を効能・効果とするものでございます。このFDG につきまして、医療機関の中でこれを合成する医療用具自身は平成13年に既に承認され ており、平成14年4月からはそういった医療機関内で合成をして診療に使われたものは 保険適用の対象になっております。しかし自家製造するためには合成装置などいろいろ と多額の費用が要るため、今までは限られた医療機関でしか使われていなかったという 背景がございまして、今回は日本メジフィジックス株式会社と財団法人先端医学薬学研 究センターというところが本剤を製造いたしまして、医療機関の方に供給するという形 でございます。本剤は5月27日の医薬品第一部会で御審議いただきまして、承認して差 し支えないという内容を頂いております。再審査期間は6年です。以上が議題5でござ います。  議題6、資料6でございますけれども、実はこちらの方は今資料5で御報告申し上げ ましたFDG、これは放射性医薬品なものですから、放射性医薬品基準に本剤について の各条を新たに追加するということでございまして、資料6を1枚おめくりいただきま すと基準の改正案が記載してあります。以上が議題6でございます。  それからちょっと番号が飛んで大変恐縮なのですが、医薬品第一部会ということで議 題11、資料11を御覧いただきたいと思います。「希少疾病用医薬品の指定について」 という表紙がございますが、1枚おめくりいただきますと今回指定させていただく希少 疾病用医薬品の名前が2ページにございます。医薬品の名称が「エダラボン」でござい ます。予定される効能・効果は「筋萎縮性側索硬化症」という疾病でございます。このエ ダラボンにつきましては既に「ラジカット注」という販売名で平成13年4月に医薬品と しては承認をされているものでございますけれども、今回この製剤が筋萎縮性側索硬化 症という難病に適応の可能性があるということでオーファンドラッグの指定をいたしま した。対象患者数は幾つか統計がございますけれども、大体5,000人ぐらいということ でございまして、申請者は三菱ウェルファーマ株式会社でございます。以上、医薬品第 一部会関係の報告でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは部会長の永井委員の方から 何か御追加ございますでしょうか。 ○永井委員 大体今の御説明どおりですが、議題3のクリアクターはt-PA製剤で、従 来急性心筋梗塞の血栓溶解目的に使われております。よく「エコノミー症候群」とも言 われている肺動脈血栓塞栓症という疾患は肺の動脈に血栓ができて、場合によってはシ ョック死に至ることもございます。重症例はそれほど多いわけではありませんが、やは り血栓を溶解するという目的でこのt-PA製剤が適しているのではないかということ で申請が上がってまいりました。日常的な疾患ではございませんので、多少データが限 られている点もございますけれども、市販後調査計画の内容及び薬物動態等を勘案しま して、一応承認の方向でよろしいのではないかということになりました。  あと、サラジェン錠というのは放射線療法の後の口腔のびらんに対して分泌物を増す 非常にクラシカルで有名な薬物でありますけれども、使用に差し支えないだろうという ことであります。  FDGスキャンにつきましては、半減期が110分と非常に短いものですから一応納入 管理等についても議論がなされました。製造後時間がたってしまってアクティビティの 低い薬剤が使われないように、搬入の時間であるとか受け取りの時間、どのように使用 されたか等の記録をしっかりするなど管理を厳密にするということが要件として求めら れると思います。そのほかにもフォールスネガティブあるいは血糖が高い場合のいろい ろな問題もございますので、それについて記載を更に追加していただきました。  それから議題11の希少疾病用医薬品エダラボンでございますが、これは筋萎縮性側索 硬化症の発症に活性酸素が関係しているのではないかということでこの薬剤が期待され ているわけですけれども、この筋萎縮性側索硬化症というのは例の「ルー・ゲーリック 病」とも言われる非常に治療の難しい病気でありまして、ほかに治療法がないため今後 の開発を進めてよろしいのではないかということで、確認いたしました。以上でござい ます。       ── 板倉委員着席 ── ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは委員の方々から御意見、御 質問ございましたらどうぞ。いかがでございましょうか。広津委員、どうぞ。 ○広津委員 議題4なのですけれども、これはレギュラーなIII相までは全くいい結果が 得られていなくて、3、6、9mg/日で完全にフラットですよね。それで追加のIII相とい うのをやって、かつ患者選択をVAS値50mm以上に変更してようやくプラセボとの差が 出ているのですけれども、そのときの記述も65mm以上で特に差が見られると書いてある のですが、これを全部見ていると例えば初期値50mm以下の人にたとえ15まで上げても 薬として本当に効いているのだろうかという感じがするわけですけれども、その辺はど うお考えなのでしょうか。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。部会の方あるいは事務局の方から。 ○審査管理課長 審査管理課でございます。実際に統計の関係の処理などを行いました 医薬品医療機器総合機構の担当者がもしここでお答えできるようでしたら答えてもらう ようにいたしますし、もし時間を要するようでございましたら、そこらについては十分 検討はしているはずでございますけれども、後日返答ということにさせていただきます。 よろしいですか。 ○機構 それでは審査を担当いたしました機構より御説明させていただきます。先生御 指摘のとおり今回15mgまで増量してようやくプラセボとの差が見えたということでご ざいますが、VAS値の程度によって特にこの薬の有効性に差があるとは考えておりま せん。確かに50mm以下で15mgにしたときに効くのかどうかというところについてはデ ータがありませんので何とも申し上げることはできませんが、海外での市販後の状況等 を見てみますと、恐らく15mgというところまで濃度を上げることで有効域に達している のではないかと我々は判断しております。それ以下のところでは、症状が軽過ぎてVA S値を十分に評価できなかったのではないかと我々の方も考えておりまして、患者さん 自身が十分に自分の症状を訴えられる程度のVAS値でないと明確な差は付かなかった のだろうと推測しており、50mm以下のVAS値しか持っていない患者さんで効かないと いうふうには我々は思っていないということでございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。広津委員、いかがでございますか。よろし ゅうございますか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 同じく議題4の塩酸ピロカルピンについて二つ伺いたいのです。13ページ の「(3)その他の受容体に対する作用」というところに「H2受容体に対し約54%の結 合阻害を示したが」と書いてあって、後の方に「臨床用量でH2受容体に起因する作用 が認められる可能性は少ない」と書いてありますが、添付文書に併用注意が書いていな いので心配する必要はないのかもしれませんけれども、薬理のことはよく分からないも のですから、H2ブロッカーを一緒に投与しても特に問題がないかどうかというのを伺 いたいと思います。  それからもう一つは、皮膚科ではこの塩酸ピロカルピンは昔から発汗テストでよく使 っていまして、かなり発汗することはよく知られています。この添付文書の重要な基本 的注意のところにきちんと「過度に発汗し十分な水分補給ができない場合には脱水症状 を引き起こす可能性があるので、このような状況が考えられる患者には担当医師に相談 させること」と書いてありますので問題ないのかもしれないのですが、多汗の副作用の パーセントがかなり多いので、日本のような高温多湿になる国では特に夏に注意するこ となどという記載をする必要がないかどうか、この二点を伺いたいと思います。 ○審査管理課長 一点目は薬理の相互作用、H2ブロッカーとの併用の関係で、これは 確かに使用上の注意には明示的に規定がございませんので特に問題ないのかと思います が、審査の方から追加で回答していただければと思います。それから発汗の関係につき ましても重要な基本的注意というところで記載がありますけれども、日本のようなこと を考えた場合に更にもう少し注意喚起をした方がいいのではないかということで、そこ らにつきましても審査の際に特に部会等では議論はなかったかと思いますが、機構にお ける審査の際にその辺の議論があったかどうか、追加があれば報告していただきたいと 思います。 ○機構 一点目の抗ヒスタミン作用とヒスタミン受容体との相互作用に関してですが、 ここで記載させていただいているのは飽くまでも非臨床、それから用量が約100倍程度 違うということがございまして、臨床使用における問題点はないだろうということで、 あえて相互作用の項に書く必要はないということが一点です。それからこの薬と同じ塩 酸セビメリンという薬がシェーグレン症候群に対する口腔乾燥症の症状として既に今承 認されております。そちらの方の添付文書でも特に相互作用の注意というのはされてお りません。そちらの市販後の状況を見ても現時点で特に問題になっていることは我々は 把握しておりませんので、先生御懸念の点については今後も見ていく必要はあると思い ますが、現時点では特に注意喚起する必要はないのではないかと思います。  それから発汗のことについては添付文書の重要な基本的注意で書かせていただいてい るとおり、我々としては今後も注意深く見ていく必要があると思いますが、こちらも今 塩酸セビメリンと同じような注意喚起レベルにしておりまして、今後市販後慎重に観察 しながらさらなる注意喚起の必要性について検討してまいりたいと思います。 ○井村分科会長 溝口委員、それでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうござ いました。ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。それでは 本件について御確認いただいたということにさせていただきます。  引き続きまして、今度は医薬品第二部会の関係の議題7〜10について御説明お願いい たします。 ○事務局 それではまず議題7、資料7について御説明申し上げます。販売名が「フィ ニバックス点滴用0.25g」、成分がドリペネム水和物でございます。本剤はカルバペネ ム系の抗菌薬でございまして、国内で五つ目の薬になります。申請者は塩野義製薬でご ざいます。6の効能・効果にありますように本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属な どが適応菌種になっておりまして、適応症は肺炎や複雑性膀胱炎などのメジャーな疾患 から敗血症などでございます。1枚めくっていただきまして7ですけれども、本剤は4 月28日の医薬品第二部会で御審議いただきまして、承認して差し支えないとの御結論を 頂いたものでございます。再審査期間は6年でございます。それから右側のページでご ざいますけれども、本剤と併せまして「フィニバックス皮内反応検査薬」というものも 申請がなされておりまして、本剤につきましても承認して差し支えないという御結論を 頂いたものでございます。以上が議題7でございます。  続きまして議題8、資料8に移らせていただきます。販売名が「マイロターグ注射用 5mg」、一般名がゲムツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)という名前で、ワイス株 式会社からの申請品目でございます。6の効能・効果は「再発又は難治性のCD33陽性 の急性骨髄性白血病」でございます。本剤は一般名が示しているように、急性骨髄性白 血病の多くの細胞の表面にCD33抗原が陽性になっているのですけれども、そこにゲム ツズマブという部分のヒト化抗CD33モノクローナル抗体がくっ付き、カリケアマイシ ン系の誘導体であるオゾガマイシンというところで抗腫瘍効果を示すという薬でござい ます。本剤につきましては5月26日の医薬品第二部会で御審議いただきまして、承認し て差し支えないと。生物由来製品に該当し、またこれはオーファンドラッグでございま すので再審査期間は10年、原体、製剤を毒薬に指定するということでございます。それ から10の備考欄のところでございますけれども、本剤は国内での治験症例が極めて限ら れているということなどから市販後の一定期間は全例調査をすることを承認条件とさせ ていただくということでございます。以上が議題8でございます。  続きまして議題9、資料9の方に移らせていただきます。販売名が「ミールビック」、 一般名が乾燥弱毒生麻疹風疹混合ワクチンというものでございまして、名前のとおり麻 疹と風疹のワクチンを混合したものでございます。申請者が財団法人阪大微生物研究会 でございます。効能・効果は「麻疹及び風疹の予防」でございます。麻疹と風疹それぞれ 単味のワクチンは既に世に出回っておりまして、現在ですと単味のワクチンそれぞれを 接種しているわけですが、本剤はその両者を合わせたものですので一回で接種ができる ということでございます。5月26日の医薬品第二部会で御審議いただきまして、承認し て差し支えないという御結論を頂いております。再審査期間が6年、劇薬、生物由来製 品に指定という内容でございます。以上が議題9でございます。  議題10でございますが、こちらの方はただいま議題9で御報告申し上げましたミール ビックを生物学的製剤基準に追加するという内容の生物学的製剤基準の各条の追加でご ざいまして、1枚おめくりいただきますとここから本剤の基準の案が添付されておりま す。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは議題7〜10につきまして、まず部 会長の池田委員から何か御追加がございましたらお願いいたします。 ○池田委員 議題7のフィニバックス点滴用ですけれども、これは今お話がありました ようにカルバペネム系の抗菌薬の五つ目ということで、用量が0.25、250mg×2でこれ までのカルバペネム系抗菌薬と同等の効果は出ているということなのですが、もう少し 用量を上げてもより効果が出るということもありまして、用法・用量の設定根拠などに ついていろいろ議論がありました。ただ今の段階では0.25×2ということで、ほかのも のと同等の成績が出るということでよろしいのではないかと。  もう一つ部会で議論がありましたのは、皮内反応検査薬というのが一緒に付いていま して、御承知のようにアレルギー学会ではアレルギーの既往のない人に皮内反応をやっ ても特に余りプレディクトできないのではないかということでございました。その議論 がございまして、実際に皮内反応検査薬というのが必要なのかどうかという話が実はあ ったのですけれども、それに対して本当は実薬そのもので検査をする必要があるわけで すが、それができない場合に皮内反応検査薬を用いるという形の添付文書を付けるとい うことで対応させていただくという格好で議論が終わりました。それが議題7でござい ます。  それから議題8のマイロターグ注射用ですけれども、これはCD33陽性の白血病、そ れも難治性あるいは再発性ということで、非常に症例は限られているわけです。症例数 が非常に少なくて審査に上がったわけですけれども、やはりこれはモノクローナル抗体 とオゾガマイシンの結合物質だということで、フリー体の存在量やそれぞれの細胞毒性 がどうなのかということも今後は検討していかなければいけないと。それから治験時に 静脈閉塞性肝疾患(VOD)の発症リスクが多少気になったということで、VODという のは非常に重篤な副作用なので、やはりそういう副作用が出る患者さんのバックグラウ ンドを慎重に調べなければいけないかもしれません。症例数が少ないこともあってそこ まで解析はとてもできない、しかしこれは明らかに臨床的には有効なので、承認後全例 調査ということでそれに対応してはどうかという議論が出ました。  それから議題9のミールビックに関しては混合しても副反応が増えることもなく、抗 体の陽転率もそれほど変わらないということで、混合することに関してはアクセプタブ ルだと。ただそのときの議論では、市販後で長期にわたって抗体価の推移がどうなって いるかということもこの際やはり調べた方がいいのではないかということがございまし て、それについてはなかなか難しいこともあると思いますけれども、長期のフォローア ップをしてほしいという議論が出ました。議題10については特にございません。一応議 題7〜9について部会での議論についてお話し申し上げました。以上です。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それではただいまの御説明につきま して委員の方々から御質問あるいは御意見を頂きたいと存じますが、いかがでございま しょうか。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 資料7のドリペネム水和物の件なのですが、18ページの「(3)安全性薬理 試験」のところで、イヌプルキンエ線維の活動電位に対する作用及びHERGチャネル 発現細胞のイオンチャネル電流に対する作用についてということで、HERGチャネル 発現細胞での60mVのステップパルスに対してテールピークの抑制が認められたという ことですが、これが30mg/kgの投与ですとどれくらいの用量に相当するかフォローでき なかったのですけれども、臨床的にいわゆる心毒性としてQT延長の可能性が否定でき ているのかどうかについてお聞きしたいと思います。特にこの薬剤を高齢者あるいは低 カリウム血症の方々に使う可能性があるとすると、その点についてどうお考えかをお聞 きできたらと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。 ○審査管理課長 先ほど池田部会長から御報告がございましたように、部会においては この辺の薬物相互作用のQT延長の関係は議論にはならなかったのですけれども、総合 機構における審査の段階でそういう検討がされているかどうか、ここで確認できれば追 加してもらいたいと思います。 ○井村分科会長 機構の方、いかがでございましょうか。 ○機構 先生の御指摘の点なのですけれども、まずイヌのin vivoの試験で30mg/kgで 多少変化は出ているのですが、用量依存性がまだ認められていないということ。またin vitroの方の試験成績ですけれども、やはり用量としてはかなり高いところで出ており まして、こういったことからイヌの方の低用量で認められた変化というのはかなり用量 反応がないということでヒトで認められる可能性は低いのではなかろうかと考察してお ります。 ○井村分科会長 ありがとうございました。そういう考え方だそうでございますけれど も、笠貫委員、よろしゅうございますでしょうか。 ○笠貫委員 用量依存性がないということだけでヒトの心毒性を否定できるかというの はちょっと疑問があるかなと思います。実際心電図でのQT時間への影響は見ていない わけですよね。どこかに薬理試験でのデータは記載があってもよろしいのかなとは思う のですが。 ○井村分科会長 添付文書にということでございますか。その点についてどういうふう にお考えになりますでしょうか。 ○機構 この点については検討させていただきたいと思いますので、後ほど報告させて いただきたいと思います。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。それでよろしゅうございますでしょうか。 ほかに御質問、御意見ございますか。よろしゅうございますか。それでは本件について も御確認いただいたということにさせていただきます。  続いて血液事業部会の議題12、13について御説明お願いいたします。 ○事務局 血液事業部会からの報告は議題12、13の2件でございます。まず議題12、 平成17年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について御報告させていただきま す。それでは資料12を御覧いただきたいと存じます。なお資料の右肩の上の方に「厳重 管理」という記載がございますが、この資料は厳重管理の必要のないものですので、申 し訳ありませんがその文言を外していただければと思います。  まず1枚目が諮問書でございます。この計画につきましては3月18日開催の血液事業 部会において御審議いただきまして、御了承いただいたところでございます。それを受 けまして2枚目が審議会の答申でございます。この答申を受けまして3月31日に告示に なったものが3枚目以降でございます。  内容につきましては需給計画の2ページになりますが、第一に平成17年度に必要と見 込まれる血液製剤の種類及び量といたしまして別紙表1のとおりでございます。第二に 平成17年度に製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標といたしまし ては別紙表2でございます。第三に平成17年度に確保されるべき原料血漿の量の目標と いたしましては90万リットルといたしました。第四に平成17年度に原料血漿から製造 されるべき血液製剤の種類及び量の目標といたしましては別紙表3のとおりでございま す。第五にその他原料血漿の有効利用に関する重要事項として、原料血漿の配分及び血 液製剤の安定供給確保のために望ましい在庫について定められております。そこに書い てあるとおりでございます。以上が議題12についてでございます。  続きまして議題13、平成17年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について御 報告させていただきます。資料13を御覧いただきたいと存じます。この資料も「厳重管 理」と表示がございますが、厳重管理の必要のない資料でございますので、申し訳あり ませんが外していただければと思います。  まず1枚目が諮問書でございます。この計画については3月18日開催の血液事業部会 において御審議いただき、御了承いただいたものでございます。それを受けまして2枚 目が審議会の答申でございます。この答申を受けまして3月28日に認可になったものが 3枚目以降でございます。  内容につきましては最後のページの概要を御覧いただければと思います。平成17年度 に献血により受け入れる血液の目標量につきましては、全血献血で約134万リットル、 血小板成分献血で約32万リットル、血漿成分献血で約32万リットルの合計約198万リ ットルを確保することでございます。この目標量を確保するために必要な措置に関する 事項としまして、国内の献血による「国内自給」に向けての広報、複数回献血者及び献 血登録者の確保のための広報、一年間を通して安定的に血液を確保するための広報、若 年層への献血に関する普及啓発広報の四つを重点項目といたしまして、年間を通した広 報を実施するということでございます。その他献血の受入れに関する重要事項として、 輸血用血液製剤の安全性確保への対策のため、安全で責任ある献血の普及に努めること、 また複数回献血者の受入れを促進させるため複数回献血者を構成員とするクラブを設立 し、情報提供等のサービスを実施することとなっております。議題13につきましては以 上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。この部会も池田委員が部会長でござ いますが、何かございますでしょうか。 ○池田委員 今御説明があったとおりでございまして、特に血液製剤の安定供給に関し ては例年どおり決めていると。ただ献血の受入れということに関してはやはり若い人へ の啓蒙ですとか、その他いろいろ工夫をしなければいけないだろうということが委員の 間から活発に出たということで、今まとめられた案でございます。以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは各委員から御意見、御質問はござ いますか。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 ちょっとお尋ねしますけれども、これはフランス、イギリス等に立ち寄っ た方の献血者は、イギリスなどは1日でも対象外と。北海道などには今集中して狂牛病 が出ていますが、では北海道民はどうなのだという話です。それから20頭以上は汚染国 という話もございまして、今日本は17頭ということです。これはもし汚染国になったら 日本人からの献血もできなくなると。これは重大なことなので、そういうことの経緯等 についての議論はこの中でございましたでしょうか。 ○井村分科会長 今の宮崎委員の御質問ですが、いかがでございましょうか。 ○血液対策課長 ただいま宮崎先生から御指摘ございました英国1日以上滞在の方の献 血制限でございますが、1980年は肉骨粉が英国で広く使われた時期、1996年につきまし てはある程度BSE対策が十分採られたと。そういった時期に1日以上行かれた方は御 遠慮いただくことにしたわけですが、この背景としては本年我が国で初めてvCJDの 患者さんが報告されたわけでございますが、その方が1990年に英国に24日程度、フラ ンスに3日程度行かれたということがございます。前々から英国に6か月以上行かれた 方の滞在については御遠慮いただいたところでございますが、やはりvCJDにつきま しては短期間の滞在であっても高濃度暴露によって感染するおそれがあるということや 検査の方法がないということ、さらに英国において輸血用血液製剤におきまして白血球 除去されていない赤血球製剤で感染したという2例の感染可能例がございます。そうい ったことを総合的に踏まえまして、理論的リスクを考慮してより安全サイドに立って献 血制限を始めたものでございます。なおこの当時3〜4月にかけて非常に献血者が減っ ておりまして、適正在庫から大幅に下方にずれている状況がございます。そういったこ とから厚生労働省としましては献血の呼び掛けを強力に推進し、血液製剤の安定供給も 図れるということを見据えた上で6月1日から実施したところでございます。  なお先ほどのvCJDの患者さんは英国滞在での感染が有力とされているわけです が、フランス及び日本においての感染も必ずしも否定はされていないということでござ います。フランスにつきましてはいずれ安定供給が図れた時点で献血制限を導入するか どうか検討する必要があるわけでございますが、日本国内で仮に感染したとしましても、 英国も当然献血はやっているわけでありまして、それは自国の問題として今後も対応と いいますか、献血は進めなければいけないと考えているところでございます。以上でご ざいます。    ── 松尾委員着席 ── ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○宮崎委員 それでは英国航空に乗ったらどうなのだとかいう話もありますし、余り理 論的でなく感情的みたいなところがございますから、1日立ち寄ったら駄目だとか、こ れはやはり一人一人の事象をきちんと把握した中でやらないと後々とんでもないことが 起きる可能性もありますので、一度部会等で議論をやっていただきたいと思います。 ○井村分科会長 それではその辺については引き続きずっと部会等で考えていただくと いうことでよろしゅうございますでしょうか。 ○池田委員 ありがとうございました。それでは引き続きその議論を続けていきたいと 思います。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。ほかに御意見、御質問よろしゅうござい ますか。それでは本件についても御確認いただいたということにさせていただきます。  続いて医療機器・体外診断薬、医療材料合同部会の議題14〜18でございます。御説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題14〜17でございます。まず議題14の医療機器の承認基準案に ついてお手元の資料14で御説明いたします。資料14-1、14-2と枝番号に分かれており ますが、制度の概要につきましては資料14-1の表紙をめくった1枚目で簡単に御説明い たします。図になっておりまして、矢印の右側が改正後の薬事法の姿になっております。 この議題14はリスクに基づく国際分類のクラスII、右側の薬事法の分類では管理医療機 器に対応しますが、このクラスの医療機器に関して民間の登録認証機関による認証をも って販売を認めるという制度において使われる認証基準を策定するものでございます。  制度の説明は以上としまして、具体的な基準についてはお手元の資料14-2に「X線C T組合せ型循環器X線診断装置基準(案)」とございますが、これ以下7基準につきまし て医療機器・体外診断薬部会及び医療材料部会合同部会が6月3日に開催され、そこで 御審議いただきまして御了承いただいております。  よろしければ次の議題15の承認基準の方も同様に御説明させていただきたいと思い ます。お手元の資料15-1でございますが、これも表紙をめくっていただきますと先ほど と同じ図がございます。この承認基準につきましては国際分類のクラスIII及びクラスIV、 リスクが中高程度の薬事法上高度管理医療機器に対応する医療機器に関して、右側の下 の方に「元売に係る大臣承認」とございますが、この大臣承認を行う際の基準を定める ものでございます。具体的にはお手元の資料15-2に「輸液ポンプ承認基準(案)」とござ いまして、これにつきまして同様に6月3日の合同部会で御審議いただき、御了承いた だいております。  続きまして個別品目の議題16、17でございます。議題16は医療機器「コンタックC D」ほか3名称及び医療機器「イージートラック・リード」ほか3名称の生物由来製品 又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査期間の指定についてで ございます。お手元の資料は資料16-1、16-2になっております。これにつきましては一 定の条件を満たす重症心不全患者さんに対して心臓両室細動器療法を行うためのジェネ レーターとそれに使われる植え込み型のリードでございます。これにつきましては6月 3日に医療機器・体外診断薬部会が開催され御審議いただいておりまして、再審査期間 3年で承認を可とするということと、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しな いという答申を頂いております。  同じく議題17、医療機器「アテインOTWリード」の生物由来製品又は特定生物由来 製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査期間の指定についても同様に6月3日の 医療機器・体外診断薬部会において審議されまして、再審査期間3年で承認を可とし、 生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないということで御承認いただいており ます。  議題16、17とも承認条件を頂いておりまして、これにつきましてはそれぞれの資料の 表紙の備考欄に記載しております。資料16-1、16-2には10の備考欄に記載してござい ます。それから資料17につきましては耳の付いた別紙6のところに記載しております。 その中身はそこに記載しておりますとおり、これは特定医療機器に該当しますのでトラ ッキング対象として全例についての使用成績調査ということが一番目。それから二番目 につきましてはこういった心臓細動器療法、リードの挿入手技、植え込み型除細動器に よる治療に関する適切なプログラムを受講して、本品の有効性、安全性に関する情報を 理解した上で取扱いに習熟した医師のみが使用するように必要な措置を講じるという条 件。それから三番目に本品に関する手術が適切に行われるような医療機関において使用 されるよう必要な処置を講じること。こういった承認条件の下で御承認いただいており ます。  次の議題18、血液型判定用抗体基準の一部改正について御説明したいと思います。お 手元の資料18になります。これは血液型判定用抗体基準の中の具体的な製品がございま すが、従来の既承認品のマイクロタイピングシステムというものの遠心の条件と異なる 製品が追加された関係で、その遠心力の新しい条件として重力加速度110Gと遠心時間 9分ということを今般血液型判定用抗体基準に追加するものでございます。以上簡単で すが、御説明を終わらせていただきます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではただいまの議題14〜18についての 御説明でございますが、部会長はいらっしゃいませんので、委員の皆様方から御意見、 御質問を頂きたいと存じます。いかがでございましょうか。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 資料16のコンタックCDの件ですが、この適応基準を見ますと植え込み型 除細動器の適応として(2)が書いてあり、(3)も「本邦における植え込み型除細動器の植え 込み基準に適合する患者」と書いてあるのですが、(2)の中の3、「非持続性心室頻拍が 確認され、かつ電気生理学的検査により心室頻拍又は心室細動が誘発される」というの は、まだ日本の植え込み型除細動器の植え込み適応には入っていないと思うのです。そ うするとこの矛盾がどうなるのかというのが第一点です。  それから(1)は両室ペーシングという再同期療法の適応が書いてあり、(2)に植え込み型 除細動器の適応基準が書いてあると思うのですが、この両方を満たさなければいけない ということでいくと植え込み型除細動器の基準についての説明をどうするかをお聞きし たいのですが。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○医療機器審査管理室長 これは両室ペーシングに加えて除細動機能を持っているとい うのがこの製品の新しいところでございまして、それに対応する審査をした結果として このような条項を加えたものでございます。この内容については実際に審査を行いまし た総合機構の方からさらに詳細な御説明をお願いしたいと思います。 ○井村分科会長 それでは機構からお願いいたします。 ○機構 総合機構からお答えいたします。まず(1)につきましては心不全の適応患者とい うことでよろしいかと思うのですが、(2)、(3)、特に(2)の3つ目のポツとの関連性という ことではアメリカで実施された臨床試験を基に承認しております。その中の適応基準と してこういった形の適応の患者を対象とした試験が実施されており、有効性が示されて おります。必ずしも本邦における植え込み型除細動器の植え込み基準と一致しないとい うことでございますので、これにつきましては(3)という形で書かせていただきまして、 (2)若しくは(3)のどちらかを満たす患者についてはこのデバイスを用いてもよろしいので はないかということを専門協議あるいは部会の中で御議論いただき、承認して差し支え ないという御意見を頂いたところでございます。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○笠貫委員 今お話しされましたように、重症心不全患者さんで心室細動による突然死 は4〜5割あるということから、この両方の機能を持った機種が非常に待たれていたと いう意味では大変重要な医療機器だと思っております。そういう意味ではこの適応をど うするかということだけの問題なのですが、もし(2)の3に付けました「非持続性心室頻 拍が確認され」ということになりますと、予防的植え込みを認めたことになります。そ れはアメリカのメガトライアルでは既に有効だということが認められておりますので、 これを認めるのでしたら(3)と矛盾していることになります。3の「非持続性心室頻拍」 というのは今の保険適用になっておりませんので、この(2)で認めて(3)で植え込み型除細 動器だけの場合はこの3を認めないというのは矛盾することになるだろうということ で、適応拡大されたという判断で行くならば(1)と(2)でよろしいのではないかと思います が。 ○井村分科会長 機構の方はいかがでございましょうか。 ○機構 まず(2)についてですが、「心臓突然死のリスクを有する患者」というところを どこまで読み込むかということで、今先生がお話しになったようにすべての患者に予防 的使用が認められるものではないというふうに総合機構では判断しております。 ○笠貫委員 (2)の3に書いているのは認めると解釈してよろしいわけですね。そうしま すと、多分植え込み型除細動器で両室ペーシングの機能を持っていない植え込み型除細 動器を植え込む場合でも、心機能低下という(1)の条件、重症心不全で(2)の3に書いた条 件を満たせば予防的植え込みも可能だというふうに解釈してよろしいわけですね。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 御指摘の点は非常に高度で専門的なことにわたるため、今ここ でこうだというふうに御説明するのはちょっと難しいので、笠貫先生にまた御相談しま して正確な整理をさせていただこうと思いますけれども、審査の経緯としてはこのよう なことでこういう条件としたものでございます。 ○井村分科会長 それではその辺はちょっと御検討いただいて、笠貫先生とも連絡を取 っていただいてということでよろしくお願いいたします。先生、それでよろしゅうござ いますか。ほかに御意見、御質問ございませんか。よろしゅうございますか。それでは 今の点は今後の課題といたしまして、本件について御確認いただいたということにさせ ていただきます。  それでは最後の動物用医薬品の部会で、議題19〜23につきまして御説明お願いいたし ます。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係につきまして、議題19〜 23まで御報告させていただきます。まず議題19、資料19になりますが、日本ファマシ ー株式会社より製造承認申請されました「マイコバスターARプラス」という、豚用の 不活化ワクチンでございます。本剤はボルデテラ・ブロンキセプチカの破砕上清、パス ツレラ・ムルトシダのトキソイド、それからマイコプラズマ・ハイオニューモニエの培 養濃縮粗ろ液、これらそれぞれを主剤とするものでございまして、用法・用量は「生後 1週齢から4週齢の子豚に1頭当たり1mL、さらに2週間後から4週間後に1mLを筋肉 内に注射する」というもので、効能・効果は「豚の萎縮性鼻炎の予防及び豚マイコプラ ズマ肺炎による肺病変形成抑制及び増体量・飼料効率低下の軽減」でございます。平成 17年6月3日に開催されました動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可として 薬事分科会に報告して差し支えない、なお再審査期間は新動物用配合剤ということで6 年とされたものでございます。  続きまして議題20、資料20でございます。先ほどと同じ日本ファマシー株式会社よ り輸入承認申請されました「パラコックス-5」という鶏用の生ワクチンでございます。 本剤は弱毒アイメリア・アセルブリナ、マキシマが2株、ミチス、テネラ、これらそれ ぞれ5株を主剤とするワクチンでございまして、用法・用量は「餌付け時の平飼いブロ イラーヒナを対象とし、本剤を餌付け用の飼料に均一に混合して1回投与する」という もので、効能・効果は「アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマ、アイメリ ア・ミチス及びアイメリア・テネラによる鶏コクシジウム症の発症抑制」でございます。 これも6月3日に開催されました動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし て薬事分科会に報告して差し支えない、なお再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品 及び新動物用配合剤ということで6年とされたものでございます。  続きまして議題21、資料21でございますが、株式会社ビルバックジャパンより輸入 承認申請されました「スリデン50」と「スリデン100」という犬用の錠剤でございます。 本剤はニメスリドを主剤とするもので、用法・用量は「1日1回、体重1kg当たりニメ スリドとして5.0mg(体重5kg当たり1/2錠)を基準量として3〜5日間経口投与する」 というもので、効能・効果は「犬:運動器疾患に伴う炎症及び疼痛の緩和」でございま す。これも6月3日の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして、3ページになりま すが、別紙2に示しますように使用上の注意の記載整備、それから資料概要の中でt検 定をやっている部分があるのですけれども、そのt検定の妥当性についての確認を条件 として承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えないと。なお再審査期間は新有効 成分含有動物用医薬品ということで6年とされたものでございます。また本剤は劇薬に 指定するとされたものでございます。  続きまして次の議題22と23は同様の製剤で犬用と猫用の違いでございますので、併 せて御説明させていただきます。資料は22、23になります。本剤はメリアル・ジャパン 株式会社から輸入承認事項変更承認申請されました「フロントライン プラス ドッグ」 及び「フロントライン プラス キャット」という犬及び猫用のスポットオン製剤でござ います。本剤はフィプロニルと(S)?メトプレンを主剤とするもので、今般の事項変更 は効能・効果の追加でございまして、フロントライン プラス ドッグでは「シラミ及び ハジラミの駆除」、またフロントライン プラス キャットの方は「マダニ及びハジラミ の駆除」が追加されております。これも6月3日の動物用医薬品等部会で御審議いただ き、9ページに別紙2がございますが、使用上の注意二点の記載整備を条件として承認 を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない、なお現在このものは再審査期間中とい うことで、その残余期間でこの追加効能の部分も再審査をするようにというものでござ います。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。吉田部会長の方から何か御追加ございます でしょうか。 ○吉田委員 特別ございません。特に議題22、23のスポットオン剤というのは皆さんか なりなじみの深いものになってきていると思いますので、特別加える必要もないかと思 います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは委員の方々から御質問、御意見を 頂きたいと思いますが、いかがでございましょうか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 今議題22、23はもう十分一般に出回っているもので、これは追加効能のよ うで問題ないのかもしれませんけれども、使用上の注意を読みますとかなり手に付くと 刺激があって小児に触れないように注意することと書いてあります。乾燥するまでと書 いてあるのですけれども、この乾燥するというのはすぐに分かるものなのでしょうか。 例えば投与したら何時間は触らないなどというように具体的でなくていいのかどうかと いうのと、犬はいいのですけれども、猫は勝手に寄ってくるものなので、それで事故が 起こったということはないのでしょうか。 ○吉田委員 皆さん御心配になるのですが、この手の薬品をお使いになる飼い主として は半野良の状態で飼うような飼い主が対象になっておりません。ですから病院に連れて 行く、あるいは旅行に連れて行くということになれば必ずバスケットなり何なりを持っ ておりますと十分に理解しております。本剤は2時間ぐらいで乾くはずですけれども、 大体半日から丸1日ぐらいはそのバスケットの中に入れて管理するという、私どもに言 わせるともう常識の範囲になっておりますので、御懸念の部分は不要だと思います。 ○溝口委員 分かりました。それではそういうことを具体的に書く必要もないわけです ね。バスケットに入れて半日置くなどと書けばなお安全のように思いますが。 ○吉田委員 御存じない方には不安かと思いますけれども、これを扱う対象の飼い主の 方が問題なわけですから、十分に理解していると逆に皆さん御理解いただきたいと思い ます。それからその手の事故はいまだかつて一度も聞いておりません。 ○井村分科会長 この手の医薬品がここへ上ってまいりますといつも同じような議論を しているような気がいたします。いかがでございましょうか。ほかに御意見、御質問は ございますか。よろしゅうございますか。それではこの件に関しましても御確認いただ いたということでよろしいでしょうか。  以上で本日用意されました報告事項はすべて終わりました。ほかに何か事務局の方か らございますでしょうか。 ○審査管理課長 特にございません。 ○井村分科会長 次回の薬事分科会は9月中旬になると思いますが、日程は先生方の御 都合を伺ってから決めることになると思います。それではこれで薬事分科会を閉会させ ていただきます。本日はどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 1 -