05/06/22 第1回自立支援医療制度運営調査検討会議事録           第1回自立支援医療制度運営調査検討会議事録                   日時 平成17年6月22日(水)16:00〜18:00                   場所 厚生労働省6階共用第8会議室                   議事次第 1.開会 2.検討会構成員の紹介 3.検討会の趣旨説明 4.座長選出 5.議事   (1)自立支援医療の概要について   (2)検討事項に係る論点と検討の進め方   (3)「重度かつ継続」についての考え方   (4)その他 6.閉会 議事内容 ○渡辺課長補佐  それでは、ただいまから第1回自立支援医療制度運営調査検討会を開催させていただ きます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠に ありがとうございます。  座長の方が決まりますまで、進行役を務めさせていただきます精神保健福祉課の渡辺 と申します。よろしくお願いいたします。  初めに、会議の開催に当たりまして、厚生労働省障害保健福祉部、塩田部長よりごあ いさつを申し上げます。 ○塩田障害保健福祉部長  障害保健福祉部長の塩田です。今日はお忙しい中をお集まりいただきましてありがと うございます。  検討会の開催に当たりまして一言ごあいさつ申し上げたいと思いますが、障害者に関 する公費負担医療制度は、ご案内のように、これまでは更生医療・育成医療・精神疾患 の通院を対象とした精神通院公費負担制度、3つの制度に分かれていまして、それぞれ 身体障害者福祉法、児童福祉法、精神保健福祉法に基づいて行われております。今度の 国会に障害者自立支援法案というのを提案しておりますが、この法案は障害の種別を超 えて制度を一本化しようと。身体障害・知的障害・精神障害それぞれの障害の特性に応 じたサービスが必要であることは当然でありますが、障害の種別、特性にきちんと対応 することを前提にして、福祉サービス・医療サービスについては、できるだけ一元化を して統一したルールのもとの制度でやっていこうと、そういうものを目指した法案でご ざいます。  その中で、先ほど申し上げました3つの公費負担医療制度につきましても、この法案 の中で、障害者自立支援医療制度ということで再編しまして、必要な医療を確保して負 担についてもみんなで費用を負担し合うと。そして継続可能・持続可能な制度へという ことで見直しを進めたいと考えているところでございます。  法案の審議、衆議院の厚生労働委員会で審議をしていただいておりまして、これまで に20時間ぐらいご審議をしていただきました。参考人の質疑も10時間以上していただい ておりますが、現在、法案の審議は一時中断した形になっておりまして、国会延長され ましたが、また再開をして、さらに議論を深めていただくことになろうかと思います が、この新しい障害者自立支援医療制度についても国会で様々な観点からご論議をいた だいているところでございます。審議の内容については、また、この検討会の過程でも ご紹介をしたいと思います。  その中で、この検討会でお願いしたいのは、その新しい制度の中で、「重度かつ継続 」というジャンルを設けまして、その対象となる疾病については、負担の限度額を設け るという制度にしておりますが、その範囲や考え方について国会でもいろんなご論議を いただいているところでありまして、この問題につきまして、専門家の皆様方にもご意 見をいただきたいということでありまして、「重度かつ継続」の対象範囲で、この対象 範囲として早急に検討すべきもの、あるいは少し時間をかけて継続的な検討が必要なも のとかいろんなものがあると思いますけれども、専門家のご意見をいただきまして、そ の考えをこれからの自立支援医療の運営に反映させていきたいと考えているところでご ざいます。  国会でも専門家の意見を聞くということは大変重要テーマになっておりますので、い ろんな角度からご意見をいただきまして、その趣旨に沿いまして、障害者自立支援法案 が国会で承認されることが大前提でありますが、その向上に努力したいと思っておりま すので、活発なご議論をお願いしたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げ ます。 ○渡辺課長補佐  続きまして、本検討会の構成員の皆様方をご紹介させていただきます。お手元の資料 に構成員名簿がございますので、そちらを参照くださればと思いますが、五十音順にご 紹介させていただきます。  埼玉県総合リハビリテーションセンター総長・上小鶴構成員でいらっしゃいます。 ○上小鶴構成員  上小鶴です。よろしくお願いします。更生相談所情報部会からの推薦ということでき ょう来させていただいております。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  神奈川県精神保健福祉センター長・桑原構成員でいらっしゃいます。 ○桑原構成員  神奈川県精神保健福祉センター長の桑原でございます。どうぞよろしくお願い申し上 げます。 ○渡辺課長補佐  国立身体障害者リハビリテーションセンター総長・佐藤構成員でいらっしゃいます。 ○佐藤構成員  国立身体障害者リハビリテーションセンターの佐藤です。よろしくお願いいたしま す。 ○渡辺課長補佐  国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部長・竹島構成員でいらっしゃ います。 ○竹島構成員  竹島でございます。よろしくお願いします。 ○渡辺課長補佐  社団法人日本小児科学会理事・中澤構成員でいらっしゃいます。 ○中澤構成員  中澤でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  社団法人日本精神科病院協会理事・花井構成員でいらっしゃいます。 ○花井構成員  日精協から参りました常務理事の花井と申します。私、日精協執行部に入りまして、 まだ1期目のほかほかの1年生で、あまり事情がよく飲み込めてない点があるかもしれ ませんが、その点は新人としてご容赦いただきたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○渡辺課長補佐  国立精神・神経センター武蔵病院院長・樋口構成員でいらっしゃいます。 ○樋口構成員  国立精神・神経センター武蔵病院の樋口でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  社団法人日本医師会常任理事・三上構成員でいらっしゃいます。 ○三上構成員  三上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  最後に、社団法人日本精神神経科診療所協会会長・三野構成員でいらっしゃいます。 ○三野構成員  三野でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  続きまして、事務局を紹介させていただきたいと思います。精神保健福祉課・矢島課 長です。 ○矢島課長  矢島です。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  同じく精神保健福祉課・野村課長補佐です。 ○野村課長補佐  野村でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  同じく精神保健福祉課・石井主査です。 ○石井主査  石井でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  同じく精神保健福祉課・椎名主査です。 ○椎名主査  椎名と申します。よろしくお願いいたします。 ○渡辺課長補佐  引き続き、資料の確認をさせていただきます。  議事次第がございまして、次に検討会の開催要綱がございます。構成員名簿がござい ます。続きまして、資料1といたしまして、「自立支援医療制度について」という8枚 ほどの束がございます。資料2でございますけれども、「検討事項に係る論点」という 2枚もののものがございます。資料3でございますが、「『重度かつ継続』についての 考え方」という横長のものでございます。資料4、資料5は、日精協さん、日精診から の提供データでございます。資料6が「次回の進め方について」という資料でございま して、そのほか、参考資料1、2ということで揃えさせていただいてございますが、不 足・乱丁等々ございましたらば、お申し付けください。よろしいでございましょうか。  そうしましたらば、続きまして、本検討会の趣旨につきまして、精神保健福祉課・矢 島課長よりご説明申し上げます。 ○矢島課長  座って説明させていただきます。お手元の検討会の資料を1枚おめくりいただきます と検討会の開催要綱がございます。それに基づきまして、本検討会の趣旨につきまして ご説明をさせていただきます。  先ほど塩田部長からもごあいさつの中でご紹介をさせていただきましたが、今、障害 者自立支援法案というものを国会でご審議をいただいています。その中で新しい制度と いたしまして、自立支援医療という制度がございます。障害に係ります公費負担制度に つきましては、従来いろんな形で3つの制度がございました。精神の通院公費ですと か、更生医療ですとか、育成がございましたけれども、これらの公費負担制度につきま して、臨床実態に関し実証的研究に基づき検討いたしまして、その結果を今回は法の改 正の後の自立支援医療制度の基準づくりに反映をさせていただくということで、この検 討会を開催させていただくものでございます。  検討課題といたしまして、ここに3つございますが、1)自立支援医療の対象者の中 で重度かつ継続的に医療費負担の発生する方の範囲ですとか、2)自立支援医療に係る 再認定を認める場合又は受け入れない場合についての要件、3)自立支援医療の提供方 針等に関する事項というものをご検討をいただければと考えています。  なお、本検討会は、原則、公開のため、検討会での審議内容は厚生労働省のインター ネット・ホームページに議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめご 了承いただきますようお願いを申し上げます。  以上でございます。 ○渡辺課長補佐  続きまして、座長の選出に移らせていただきます。この要綱にもございますように、 座長は構成員の互選により決めるということとさせていただいてございますけれども、 どなたかご推薦いただけますでしょうか。 ○竹島構成員  佐藤徳太郎構成員にお願いしたらと考えます。 ○渡辺課長補佐  ただいま佐藤構成員を座長にご推薦ということがございましたけれども、皆様方、い かがでございましょうか。                   (拍手) ○渡辺課長補佐  それでは、佐藤徳太郎構成員がご推薦いただきまして、ご賛同いただきましたので、 先生、座長席の方にお移りいただきたいと思います。以後の進行を佐藤先生からよろし くお願いしたいと思います。先生、少々お待ちください。 ○佐藤座長  ご推薦いただきました佐藤でございますが、ただいま部長さん、課長さんからお話が あったように、非常に大事な検討の場でございますので、皆さんのご協力をいただきな がら、この任を果たしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。座って 進めさせていただきます。  では、議事に入りまして、最初に大変恐縮でございますけれども、樋口構成員に私の 座長としての役割の補佐をぜひお願いをしたいと思っているところでございますが、よ ろしゅうございますでしょうか。 ○樋口構成員  はい。 ○佐藤座長  樋口先生、よろしくお願いします。  まず、事務局から自立支援医療の概要説明をお願いして、その説明が終わりました ら、質疑応答を行いたいと思っておるところでございます。それでは、事務局よろしく お願いしたいと思います。 ○石井主査  それではお手元の資料に基づきましてご説明申し上げます。まず最初に、お手元の資 料、参考資料1をご覧ください。  初めに、自立支援医療制度につきましてご説明申し上げる前に、障害者自立支援法案 の概要に関しまして簡単にご説明申し上げます。  障害者自立支援法案は、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、 これまで、ページの下にございますように、障害種別ごとに異なる法律に基づいて自立 支援の観点から提供されておりました福祉サービス、公費負担医療等について、共通の 制度下で一元的に提供する仕組みを創設することとしております。この障害者自立支援 法案によります改革の目的としては、サービスの提供主体を市町村に一元化することに より、障害の種類にかかわらず、障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは 共通の制度により提供すること。  2つ目としては、障害者がもっと働ける社会にするために一般就労へ移行することを 目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう、 福祉側から支援する。 ○石井主査  3つ目として、地域の限られた社会資源を活用できるように「規制緩和」を行うこと により、障害者が身近な地域でサービスが利用できるようにしていくということを掲げ てございます。  4つ目としては、公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」を 図ること。  最後の5つ目として、増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの 強化として、(1)利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」をいただくこ と。  (2)国の「財政責任の明確化」を掲げることをねらいとしております。  1枚おめくりいただきまして、法案の概要について書いてございますが、(2)給付の 内容のところでございますが、本法案において、自立支援医療につきまして、心身の障 害の状態の軽減を図る等のための医療と位置づけておりまして、この法案において自立 支援医療制度というものをこのように位置づけております。  では、引き続き、お手元の資料1をご覧ください。お手元の資料1に基づきまして、 自立支援医療制度について概要を説明させていただきます。1枚おめくりください。  現行の障害に係る公費負担医療制度の概要についてご説明申し上げます。  現行の障害に係る交付負担医療制度については、精神障害者の通院公費負担制度、更 生医療、育成医療の3制度がございます。この制度については、保険給付又は高額医療 費の給付をまず優先させまして、残った自己負担に関し公費負担を行うことにより負担 の軽減を図るといった仕組みでございます。  精神の障害者の通院公費に関しては、原則、定率の0.5割(5%)の負担をいただく こととなっておりまして、更生医療、育成医療に関しては所得に応じた完全な応能負担 をいただいているということでございます。  対象疾患につきましては、精神に関しては、通院患者における精神疾患を対象として おります。  更生医療、育成医療につきましては、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害等 を対象としており、更生医療は18歳以上、育成医療は18歳未満を対象としております。  月平均の利用件数ですが、精神の通院公費制度は約76万件の利用がありまして、更生 医療制度は約10万件、育成医療は約1万件となっております。  1件当たりの平均医療費ですが、精神に関しては、通院のみが対象となってございま して、1件の医療費の平均が月額約3.2万円、更生医療に関しては入院・通院ともに適 用がございまして、1件当たりの平均の医療費が月額約40万円となっております。育成 医療に関しても、更生医療と同様に月当たりの平均の医療費は約41.2万円となっており ます。  これを平均の負担額で見ますと、精神通院公費においては、月額約1,600円、更生医 療においては月額約3,200円、育成医療に関しては、月額約5,600円となっております。  また、負担の指標の目安になります課税世帯の割合ですが、精神の通院公費の適用と なっている方の間におきましては、推計でございますが、課税世帯の割合が約1割〜2 割です。更生医療に関しては約5割〜6割が課税世帯、育成医療に関しては約7割〜8 割の世帯が課税世帯となっております。  では、資料を1枚おめくりください。  障害に係る公費負担医療制度に関する見直しの必要性についてでございますが、現行 制度においては、同じ障害者に対する公費負担医療制度であるにもかかわらず、制度の 違いにより負担軽減の仕組みが異なるため、その統一が必要となっております。  また、更生医療、育成医療の対象者の半数以上は、一定の負担能力が認められると考 えられる課税世帯となっておりまして、給付の重点化が必要となっております。  また、精神通院公費、更生医療の対象者は急増しておりまして、財政的にも極めて厳 しい状況にあることから、公費負担医療制度に関しては見直しの必要性が出てきている ところでございます。  この見直しに関しまして、まず医療内容面での取り組みとしては、医療機関の確保と 透明化を促進すること。対象者の判断基準や医学進歩に応じた医療内容の明確化を行 い、制度面においては、給付対象者の重点化、負担に係る各制度間の矛盾の解消、入院 ・在宅の負担の公平化等を行うことにより、制度の見直しを図っていくこととしており ます。  これによりまして、必要な医療を確保しつつ、費用を皆で負担し支え合うことによ り、中長期的な障害者制度全体の持続可能性を確保することを目的としております。  1枚おめくりください。  今回の障害に係る公費負担医療制度の再編についてでございますが、現行の精神保健 福祉法に規定されております精神通院公費負担制度、身体障害者福祉法に規定されてお ります更生医療制度、児童福祉法に規定されております育成医療を平成17年10月に新体 系に移行いたしまして、障害者自立支援法におけます自立支援医療制度として位置づけ るところでございます。  見直し後における変更点については、まず支給認定の手続を共通化すること。利用者 負担の仕組みを共通化すること。指定医療機関制度を導入することが変更点でございま す。  また、対象疾患等の医療の内容に関しては現行どおりでございまして、支給認定の実 施主体は、現在、精神、育成に関してが都道府県、更生が市町村で行っておりますが、 これに関しても現行どおりで変更はございません。  1枚おめくりください。  自立支援医療制度における自己負担の仕組みについて概要を説明させていただきま す。今回、支援制度においては、原則、1割の定率負担に加え、所得等に応じ負担の上 限を設けることにより、医療費と所得の双方に着目した負担の仕組みとしております。  負担の上限としては、一定所得以下の方に関しては、表の右側に掲げましたような生 活保護の方は0円、市町村民税非課税の方では、所得に応じ2,500円、5,000円などの上 限を設けることとしております。  課税世帯におきましては、後ほどまた詳しく出てきますが、重度かつ継続に該当する 方におきまして、それぞれ表に書いてございますような上限を設け負担の低減を図って いくところでございます。  1枚おめくりください。  自己負担及び自立支援医療の対象者について、さらに詳しく説明をさせていただきま す。自立支援医療の対象者としては、先ほども申し上げたとおり、従来の更生医療、育 成医療、精神通院公費の対象者であって、一定所得未満の方を対象としております。給 付の水準に関しては、自己負担については原則、1割負担をいただくこととしておりま す。  これを所得別に見ていきますと、一番左の一定所得以下のところで、まず生活保護世 帯に関しては、自己負担は原則としていただかないこととしております。  市町村民税の非課税世帯に関しては、1割負担に加え、所得に応じて負担の上限額を それぞれ2,500円と5,000円と設け負担の軽減を図るところです。  中間的な所得の方に関しては、原則、1割負担に加え、負担上限額としては通常の場 合は医療負担の自己負担の限度額までいただくことにしておりまして、この場合、重度 かつ継続、相当額の医療費が継続的に発生する方に関しては、重度かつ継続として、中 間的な所得の場合に関しても負担上限額をそれぞれ5,000円と1万円とするところでご ざいます。  一定所得以上(所得税額30万円以上)の方に関しては、原則として医療保険の負担割 合、負担限度額をいただくところですが、この方に関しても、相当額の医療費が継続的 にかかる方に関しては、重度かつ継続といたしまして、公費負担医療の対象を1割負担 として、負担上限額に関しても2万円とするところでございます。  この重度かつ継続の範囲でございますが、疾病、症状等から対象となる方として、精 神に関しては、統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかんを掲げておりまして、更 生・育成医療に関しては、腎臓機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害を対象としてお ります。  また、疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる方といたし まして、精神・更生・育成の3制度ともに、医療保険の多数該当の方に関しては、「重 度かつ継続」な範囲として含めることとしております。  1枚おめくりください。  繰り返しになりますが、「重度かつ継続」についての考え方をお示しします。「重度 かつ継続」とは、医療上の必要性から、継続的に相当額の医療費負担が発生する方に関 しまして、重度かつ継続といたしまして、一定の負担能力がある場合であっても月額の 負担額に上限を設けることによって医療費負担の軽減を図ると、こういう考え方でござ います。  1枚おめくりください。  入院時の食費負担についてでございますが、現行制度におきまして、食費負担に係る 各制度のさまざまな考え方がございまして、医療保険制度におきましては、在宅療養の 方と入院の方の費用負担の均衡を図る観点から、平均的な家計における一人当たりの食 費に相当する額を入院患者の方からも標準負担額として求めているところです。  また、今回、新たな障害福祉制度においても、施設を利用する方と利用しない方の費 用負担の均衡を図る観点から、食費については、原則、自己負担とすることとしており まして、医療保険制度や新たな障害福祉制度との整合性を確保するために、更生医療、 育成医療に係る入院時の食費については、原則、自己負担をお願いすることとしており ます。  1枚おめくりください。  自立支援医療制度におきます国会での審議状況でございますが、主に「重度かつ継続 」の範囲に関する審議に関して抜粋させていただいております。2月23日の公明党の福 島豊議員の質問におきまして、精神障害者通院公費医療制度につきまして、重度かつ継 続の対象となる疾病の範囲について、今後十分な検討が必要と認識しているが、政府の 見解はという問いをいただきまして、回答として、対象者のうち、負担軽減措置の対象 となる「重度かつ継続」の範囲については、当面、精神については統合失調症、狭義の 躁うつ病及び難治性てんかんを対象とすることとしているが、これについては広すぎる 又は狭すぎる双方の意見があることから、実証的な研究結果を踏まえ対象の明確化等を 図るものとし、概ね2年以内に結論を得たものから随時実施することとしたい、という 回答を行っておりす。  また、4月26日の古屋範子議員の質問におきましては、精神障害者通院公費負担制度 については、「重度かつ継続」に該当する疾病等の範囲についても、実態に応じ弾力的 対応をするべきであるが、という質問をいただきまして、回答として、障害の程度が重 度でかつ継続に医療費負担が生じる方など、家計への影響の大きい方については、所得 に応じた負担の上限額を設定し、配慮することとしております。  また、「重度かつ継続」の範囲については、臨床実態に関する実証的研究結果を踏ま え、対象の明確化を図ることとしており、結論を得たものから順次実施してまいります という回答を行っている次第でございます。  以上で、資料の説明を終わります。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。ただいま自立支援医療の概要について、事務局から ご説明をいただいたところでございますけれども、ただいまの説明について、ご質問等 ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。 ○花井構成員  2点ばかりご質問したいのですが、1点目は、先ほどの塩田部長の説明にもありまし たけれども、自立支援医療制度というのは、これまでの更生・育成、精神通院、これを 自立支援医療の制度として一本化するというお話だったと思うのですが、普通制度とし て一本化といった場合には、何よりも給付と負担ともに同じであるというのが一本化の 大きな条件ではないかと私は思うんですよ。  それで、これを見ますと、精神医療に関しては通院だけであると。更生医療、育成医 療は入院も入っていると。この給付の範囲が全然違うものを一本化と称していいのかと いうのは甚だ私としては疑問に思います。その点の質問が1点ですね。  それから、もう一点は、「重度かつ継続」というのが随分いろいろとその考え方が動 いているような感じがします。最初のころは、「重度かつ継続」というのは、特に精神 に限っていいますと、重度というのは何ですかというふうに聞いた場合に、これは状態 像で、GAFでいうと30以下ですという話の説明があったんですね。それはどうもおか しいのではないかということを私ども申し上げましたけれども、その後、「重度かつ継 続」というのは、精神においては、先ほど説明あった3疾患であるというふうな説明に なってきましたね。  さらに6月9日の主管課長会議での質疑応答の資料を見ますと、「重度かつ継続」と いうのは、対象とする疾患の範囲を決めるものではないとはっきり答えておられるので すね。これは対象の疾患の範囲を決めるものではなくて、継続的に医療費の負担が家計 に及ぶものに対してどう負担上限をするかというところから来ているのであって、疾患 の範囲を決めるものではない、と明確に答えているのですが、これは6月9日ですよ ね。  きょうの文章を見ますと、また精神は3疾患というのをまた文章で出てきていると。 一体、「重度かつ継続」というのは何を論議したらいいのかということで非常に揺れ動 いているのではないかと思うんですね。ここらあたりは日にち経過から言いますと6月 9日の主管課長会議での厚生労働省の説明が一番最後ですから、これが最も現時点では 統一した正しい見解であるというふうに理解してよろしいのでしょうか。  この2点をお願いします。 ○佐藤座長  それではよろしいでしょうか。ご回答お願いします。 ○渡辺課長補佐  お答えさせていただきます。1点目のご質問でございますけれども、入院に係る医療 が対象となっていないのはなぜかということでございますけれども、精神保健福祉にお きます措置入院については、患者本人やその保護者等の同意で入院できる入院と違いま して、都道府県知事の権限で行われる入院というようなことでございまして、いわば措 置権の行使ということで、行政処分でありますことから、行政機関である国及び都道府 県がその費用を負担しているところでございます。  そして、それ以外の任意入院及び医療保護入院については、患者本人もしくはその保 護等の同意で入院する制度ということであるために、通常の医療保険制度による負担を お願いしているところでございます。通院医療制度につきましては、在宅精神障害者の 医療の確保を図って、そして通院医療を積極的に進めていくために公費負担を行ってい るというところでございまして、この制度について見直しを行いつつ、安定的な制度と して維持を図るということが入院医療中心から地域生活中心へという基本的な考え方に も沿っているというような考え方のもとに、今回、政府案として、このような制度の変 更案を提案させていただいておるところでございます。 ○野村課長補佐  2点目ですけれども、1点目の補足として、とりあえず現行の障害に関係する制度に ついて、対象範囲そのままに負担のルールなど共通化できるところを共通化していこう という趣旨で行っているものでありますし、それは現行の精神保健福祉法32条の医療の 適正な普及、あるいは大きな流れといたしまして、地域生活の支援、そういった流れも 勘案して現行の制度の範囲を新制度においても維持をしていこうというようなことで、 通院医療についても、制度としては自立支援医療というふうに根拠規定の置き場を変え ますけれども、継続をしていこうというふうに考えた次第でございます。  それともう一点、「重度かつ継続」の概念と申しますか、位置づけをめぐるご指摘で ございます。こちらは資料3とも多分にダブるところもございますけれども、まず資料 1の方の、先ほどご説明申し上げた5ページ、あるいは6ページをご覧いただきながら お聞きいただければ幸いでございますけれども、まず委員からご指摘ございました6月 9日の全国課長会議資料、こちらの趣旨は何かといいますと、昨今、外からお問い合わ せなどいただきます際に、精神通院医療の対象になるのは「重度かつ継続」の疾病のと きだけであると。つまり通院公費の対象となるのは、統合失調、狭義の躁うつ、難治性 てんかんだけの場合であるというふうに誤解をしておられるようなお問い合わせがあり ましたものですから、6月9日の全国課長会議においての説明といたしまして、通院公 費医療の対象となる疾病の範囲、これ自体は従来の範囲どおりです。この5ページの資 料で申し上げれば、1番上の小さい字で恐縮なのですけれども、対象者のところの括弧 書きでございます。こちらの趣旨と。  その一方で、「重度かつ継続」というのは、一体何かというと、5ページのグラフの 中、ないし6ページをご覧いただきたいのですけれども、そういった通院公費負担医療 制度の中で、特に継続的に医療費負担が発生する方というのを疾病名で特定している と。つまり、重度かつ継続でなければ、通院医療費の対象にならないというわけではな いと。通院医療制度の対象範囲の疾患自体は従来どおりですと。なんだけれども、この 負担の仕組みの中で、医療負担への配慮措置の対象が、いわゆる重度、継続と言われて いる3疾患に該当するときに、5,000円、1万円という上限が適用されるということに なりますというような形でご説明を、というか、Q&Aというか、そういうのでお答え をしたという次第でございます。ですから現在の制度の仕組みといたしまして、資料1 の5ページと、6ページで書いているとおりでございますけれども、原則、1割のご負 担をお願いしつつも、低所得の方については、この左側、市町村民税非課税世帯I.II というところですけれども、所得の低い方については、まず負担上限は設けましょう と。  それ以外の一定程度負担能力がある方の場合であっても、継続的に相応の医療負担額 が発生する場合には、重度かつ継続という形で疾病を特定した上で、負担に上限を設け ていこうという形で制度を仕組んでおりますというのを6月9日では補足的に説明をさ せていただいたというところでございますので、「重度かつ継続」の位置づけは、一定 以上所得がある場合であっても、相応の医療費負担が継続することに伴う配慮措置とい う位置づけ自体には変わりがないと。さらに言えば、精神通院医療費の対象となる疾病 は、この3疾病に限られるものではなく、まず、広くほかにも対象になる疾病があった 上で、この重度かつ継続の対象となって、上限が設定されるのが、この3つの疾患、プ ラス多数該当のある場合という形になってくるというような形でご説明をした次第でご ざいます。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。 ○佐藤座長  花井構成員の方からは、よろしいでございましょうか。また、いろいろディスカッシ ョンする場面でもあろうと思いますけれども。 ○花井構成員  「重度かつ継続」ということの重度ということの意味がよくわからないんですよ。こ の資料見ますと、私、更生医療とか育成医療という場合にはいろんな内部疾患等含めて 重度の状態というのはあるのでしょうから、重度かつ継続というのは、表現としても納 得できるものではないかという気はするのですが、精神障害において、重度かつ継続の 重度というのは一体何を指すのでしょうか。 ○野村課長補佐  こちらでございますけれども、基本的には6ページの資料、あるいは資料3以降で出 てまいりますけど、書いておりますように、医療上の必要があって、継続的に相当額の 医療費負担が発生するものとなっておりますので、どちらかといえば、医療費がかかっ ていることと、それなりの額がかかっているということは、それはある程度障害や疾病 というのが重度になりがちであることをうかがわせるのではないかということもあっ て、「重度かつ継続」という名称で呼んでおりますが、これは6ページの位置づけをご らんいただきましたらお察しいただけますように、本質においては継続的に相当額の医 療費負担が発生するかどうかというところにありますので、そういった制度の位置づけ なども踏まえまして、今回、あるいは次回以降、またご議論いただければと考えており ます。 ○佐藤座長  よろしいでしょうか。また、我々のディスカッションのところで検討していく事項で もあるということでございますが、そのほかの方で、どうぞ、先生。 ○三野構成員  精神科診療所協会の三野でございます。精神ばかり申し上げて大変申し訳ないのです が、今、ご説明のありました重度かつ継続ということについて、私も昨日これを見せて いただきまして、驚きまして、あえて質問をさせていただきます。一体いつからこのよ うな概念に変わったのかなと。ずっと私、障害者部会で傍聴させていただいて、最初の 表現では「重度かつ継続的に医療費が発生するもの」という表現でございまして、その ときにたしかGAFの30以下という、いわば状態が非常に悪い。重度は何かという定義 に基づいてご提案があったと。それから、いつの間にか3疾病になった。  さらに、今、日精協の花井先生がおっしゃいましたように、この3疾病は、精神通院 公費の範囲を限定するものではないというご説明があった。それは全体の対象とはまた 別だというご説明があったわけですけど、結局、煎じ詰めると、「重度かつ継続」とい うのは、重度というものは関係ない、重度かつ継続1つまとめて経済的な概念として、 一定の負担能力がある場合でも、月に一定の上限を設けることができる対象者というふ うにもう割り切ってしまうのかどうかということがまず1点でございます。  ここでは上限を設けるというふうに書いておられますけれども、実際に5ページの 表、負担の概要の表を見ますと、そもそも最初に「重度かつ継続」という概念が障害者 部会で提案されていましたときは、この一番右側の一定所得以上のところについては、 重度かつ継続はかかってなかったのですね。一定所得以上、つまり、所得税額30万円以 上の方に関しては、すべて公費負担の対象外ということで、これがその次の次でしょう か、障害者部会で、いつの間にか膨らんで、施行2年間でしょうか、暫定措置となりま した。いわば劇的変化の緩和措置ということになったと思うのですけれども、そのよう な形であると、結局これは上限額の設定ではなくて、除外、ここにある白い部分、公費 負担の対象外となる。精神に関して言えば、私はこの四角形、長方形は全部が32条の現 行の対象だと思っておりますけど、そこからこの白いものが抜ける、その白いものが抜 けるものに対して救済をしようというものなのかどうか、そこのところを少しはっきり お教えいただかないと、重度かつ継続に入れないと思いますので、少しその辺を大分明 快にここでお示しなされていると思うんですが、もう一度、ご説明いただきたいと思い ます。 ○佐藤座長  ご説明いただきたいと思いますが。 ○野村課長補佐  まず昨年の11月の部会では、確かに最初にGAFで30という形で審議会、部会でご提 出申し上げて、12月のご審議の際に、今のような形で基本的に3疾病という形になりま したけれども、なかなか状態像と、例えば精神ですと、デイケアの利用者の像とか、そ こは必ずしもリンクしないのではないかなどの課題もありましたので、こういう形で医 療費が大きくなりがちな疾病のケースということでご提案をさせていただいているとこ ろでございます。  そうした中で、今の一定所得以上というところ、5ページの右側のところですが、こ れは一番下の※3のところで書いておりますけれども、今回、基本的に公費負担医療制 度について、例えば所得の低い方でございますとか、あるいは今申し上げたように、継 続的に医療費負担の必要な方というのに、特に重点的に配慮しながらやっていこうとい うような形でやっておりますけれども、そういう中で見たときに、一定所得以上の方と いう場合にも、やはり一定以上所得がある以上は、医療保険制度上もそうでございます が、ある程度、ご負担をしていただける力はあるのかなというふうには考えております けれども、ただ、重度かつ継続というものに該当するような疾患の場合には、ある程度 相応の額の負担は継続するというような状況でもございますので、ここは経過措置的に 一旦対象とした上で、実態を踏まえて、また考えていこうという形で、対象といいます か、ご指摘のように、右側に張り出したような形となっているところでございます。  そういう意味では、ここは継続的に医療費が発生するということに着目して、一定所 得以上の場合であっても、経過的に対象にしていくと。それを実態に応じて、また検 討、判断していきたいというふうに書いている次第でございます。 ○三野構成員  後ほど、そうしましたら、質疑応答の中でお話し申し上げたいと思います。ありがと うございました。 ○佐藤座長  そのほかにいかがでございましょうか。 ○樋口構成員  一番終わりの方に付いております国会での審議状況の中で、最初の質問に関しての答 弁の中のことなんですが、今後、「重度かつ継続」の範囲をどうとるのかという、広過 ぎるという意見と狭過ぎるという意見が両方あるということから、ここで実証的な研究 結果を踏まえて対象を明確化するというお答えが出ておるようであります。大体2年ぐ らいの期間ということでございますが、具体的に実証的な研究というのはどのようなも のを想定していらっしゃるかということについて、概要がわかりましたらお教えくださ い。 ○佐藤座長  事務局の方からお答えください。 ○渡辺課長補佐  そこのところでございますけれども、ちょっとマイクのつきが悪くて申し訳ございま せん。このたび、精神と更生・育成と3つ制度があるのでございますけれども、精神の 部分につきましては、また後から資料でちょっと出てくるかと思いますけれども、厚生 労働科学研究の中で、精神の関係に詳しい先生方に具体的に研究していただこうと。更 生・育成について、少し先生方の研究分野も違いますので、更生・育成の方について も、そのようなことで研究していただこうというふうに思っていますので、具体的に は、研究者の先生方などとお話を今詰めさせていただいている最中ですけれども、やは り重度かつ継続ということにつきましては、医療費のかかった額というようなことで考 えてございますので、レセプトデータなどを集めて、それをいろんな角度から検討、議 論していくということで考えているところでございます。  具体的には、きょう精神の方につきましては、竹島構成員がご専門でいらっしゃるの で、竹島構成員に入っていただいて、更生・育成の方につきましては佐藤先生などにも 入っていただいて、研究班で検討していただくというようなことで考えております。 ○佐藤座長  よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。 ○桑原構成員  行政の立場からの質問なのですが、全国自治体の行政担当者を対象とした一連の会議 では、「重度かつ継続」の判定については、医療的な面を重視して、精神障害者保健福 祉手帳は一応切り離して考えるのだというような説明をされてきていたと思います。そ うした方針に対して、審査の現場を担当する立場の者としては、医療的な情報だけで、 「重度かつ継続」を判断することは困難だと感じていました。ただ、直近に開催され た、行政担当者向けの会議では、将来的には、現行の手帳制度の活用についても検討す ることも考えたいといったニュアンスのご発言があったとの報告を受けております。そ こで、今後、「重度かつ継続」の対象者を選ぶなり、対象疾患の重篤度を判定する際に 手帳の等級判定結果を活用する可能性、あるいは、手帳制度の位置づけについて、当 面、あるいは将来的に、どのように考えてらっしゃるのかご説明いただけるとありがた いと思います。 ○佐藤座長  よろしくお願いします。 ○野村課長補佐  基本的にはこの疾患に該当するかどうかということでございますので、医師の診断 書、あるいは判断がわかるものというのが、意見書、診断書になると思いますけど、そ ういったものが基本になるかなというふうには考えております。ですが、制度切りかえ のときに、従来の対象の方の中でどの方が重度、継続というものの対象になるか、いろ いろな手続上の課題もありますので、そういう意味ではいろいろなご意見を伺いなが ら、また細部は検討してまいりたいと考えております。 ○竹島構成員  今、手帳のことが出てまいりましたので、1点だけ触れさせていただきたいと思いま す。私どもの研究の中でも、手帳制度の実態について聞き取り調査等をさせていただい たことがございますけれど、手帳制度が都道府県ごとによって、1級から3級までの取 得状況が異なる面があるということであるとか、手帳制度は手帳制度で質的向上といい ますか、その制度の向上のためには一定の評価しなければいけない段階があるのではな いかと思っておりますので、私の感触からいいましたら、手帳制度を今、一体的に結び つけて考えるということにはまだ少し無理があるのではないかという感触を持っており ます。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。今までのいろんな質疑の中で、大分論点がいろんな 方面にあるということがわかってきたようでございますけれども、さらに今後それを検 討していく場合の検討事項にかかわる論点であるとか、進め方、今、そういうルートを 定めないでディスカッションいただきましたけれども、進め方等について、事務局の考 えをお聞きしながら、どういうふうに今のような問題点を整理していくかということを 討議していきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  次の方に移りまして、今、申し上げましたような検討事項に係る論点及び検討会にお ける検討の進め方というものについて事務局から説明をお願いしたいと思います。その 説明のときに、また引き続いて質疑応答をさせていただきたいと思いますので、よろし くお願いします。事務局からお願いします。 ○椎名主査  よろしくお願いいたします。横長の2枚紙の資料2というところをご覧ください。  検討事項に係る論点でございます。今回の検討会の検討課題であります1番目、重度 かつ継続の考え方についてですが、論点としては、1つ目は、高額な医療費負担が継続 的に発生する疾病とはどんなものか。  2点目として、各疾患ごとにおける高額の医療費負担が発生する患者の割合、つまり 患者ごとの医療費負担の分布でありますとか、また、それぞれの疾患における治療に要 する期間はどの程度であるのか。  3点目としては、各疾患における診断の類似点の有無。これは具体的には、例えばう つ病と躁うつ病とどのようにいつの時点で判断するのか、そういった論点があり得るも のと考えております。  2.再認定に係る考え方についてでございますけれども、こちらは、まず1つ目とし て、公費負担医療の継続が必要であると、そのように考えられる状態像というのがどう いう状態であるか。2点目としては、再認定の対象となる状態をどのように判断する か。その基準とはどうあるべきか。3点目として、再認定の申請に係る診断書の様式を どうするか。  そういった論点があるものと考えております。  検討課題の3.その他の検討事項についてでございますけれども、1つ目としては、 公費負担請求に対する審査の体制や今回指定医療機関制度を導入しておりますが、いわ ゆる指定の取消しを行うとしたら、そういったルールのあり方について。2点目として は、審査指針等自立支援医療そのものの質を確保していくための方策。3点目として は、自立支援医療の内容の明確化といった検討事項があると認識しております。  おめくりいただきまして、2枚目ですが、本検討会における検討の進め方の案でござ います。検討会における検討の手順としては、まず、国会での審議状況がございますた め、まず最初に重度かつ継続についての検討を行う必要があると考えております。続き まして、事務手続が制度施行後に発生すると考えられる再認定に関する事項に関する検 討を行う。3番目にその他の事項に関しては継続的に検討を行う必要があると、このよ うに考えております。  検討事項の1点目の、重度かつ継続の範囲に関する当面の検討手順でございますけれ ども、まずは、既存の収集されたデータをもとに検討を行っていただきたいと思いま す。精神に関しては日精協さん、日精診さんのデータ等がございますので、それに基づ き、まず検討を開始していただければと思います。他方、育成医療・更生医療に関して は、現在詳細なデータがございませんので、厚生労働科学研究による研究班にてデータ 収集に着手しておるところでございます。  説明は以上でございます。 ○佐藤委員  どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明いただきましたが、その内 容は、先ほど矢島課長さんから説明のあった項目について、さらに詳しくしたものを説 明をいただいたわけでございますが、その検討事項に関してでございますが、その検討 事項をどういうふうに進めていけばいいか、国会で審議されておることをまず踏まえな がらという点もあって、説明があったわけですが、この2つの説明について、一括して ご意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。質問なり、ご意見をお 願いしたいと思います。  よろしいでしょうか。特別ご質問はございませんでしょうか。三上構成員、お願いし ます。 ○三上構成員  重度かつ継続の考え方については、まだこれからということなんですが、ここで3番 のその他の検討事項として書かれている公費負担請求に対する審査体制や指定の取り消 しのルールをどうするかという問題、あるいは審査指針等自立支援医療の質を確保する 方法ということが書いてありますが、これはいわゆる自立支援医療指定医療機関、ある いは指定医というものを決定していくというふうなことが既に決まっているというふう な形に受け取れるわけですけれども、その内容については、いわゆる保険医医師免許の 上にまた新たな精神の指定医のようなもの、そういった制度をつくるのかという非常に 大きな問題になるのではないかと思いますけれども、これについては、事務局の方でど のように考えておられるか、もう一度、説明を伺いたいと思います。 ○佐藤座長  いかがでしょうか、事務局からご説明いただければと思いますが。 ○野村課長補佐  今回の制度見直しに伴い、指定医療機関という形で制度を導入いたしましたが、その 中で、指定医療機関、例えば更生医療を行うために一定の設備がなくてはならないなど を従来の指定更生医療機関の基準の中にも盛り込ませていただいてきたところでござい ますけれども、今回の見直しを受けて、具体的にどういった基準にしていこうかという のは、また今後、具体的な案をつくった上で、関係される方のご意見を伺いながら定め ていきたいと考えておりますので、現時点でまだこれが明確に指定医療機関の基準です という形でお示しできるものは、持ち合わせておりません。 ○三上構成員  といいますのは、精神の場合は通院というか、外来の問題なので、どんな形にせよ、 条件をつけるということは医師の裁量について非常に大きな影響を出すということにな りますから、更生医療のように、入院医療機関ということを対象にしていますと、ある 程度、医療機関としての実績なり、そういったものがあると思うんですけれども、外 来、通院という部分にとってみますと、医療機関としての条件をつけるということは非 常に難しいのではないかと思います。 ○佐藤座長  では、ほかのご意見なり、質問がございましたら、また、その件について、検討が入 ると思いますので。 ○竹島構成員  先ほどのことに関係するかどうかわかりませんけれども、私の方で、平成12年だった と思いますけれど、通院医療費公費負担の運営実態に関する研究というのをさせていた だきまして、その状況運営の分析というのをさせていただいたことがございます。その 中で、通院医療公費負担という制度自体が、対象の範囲、通院医療費公費負担で対応す る範囲といったものが、精神保健福祉法の第5条を対象とするということになりまし て、非常に幅が広いという意味で、基本的に通院医療の普及に従って増えていかざるを 得ない構造を持っているという点があって、そういう意味で、その制度の運用のあり方 等については再検討が必要であるということはあったと思います。  その中でも一定、通院医療公費負担を実施できる医療機関等のことも検討されざるを 得ないのではないかということを分析したことがあるということを報告させていただき ます。 ○佐藤座長  そのほか、いかがでしょうか。 ○三野構成員  また、今、三上先生、非常に貴重な意見を言っていただいたのですが、これは少し意 見になるかもわかりませんけれども、「重度かつ継続」ということにまたこだわりたい と思うのですが、この今の考え、論点でいきますと、いきなり、まず重度かつ継続とい うのは、高額な医療費負担が継続的に発生する疾病をどうするかということを調べよう というお話だと。後の資料、まだお読みになっておられませんけれども、そのように感 じるのですが、当初、この3つの疾病を出したときに、恐らく私の記憶が定かではない のですけれども、主管課長会議でFコードで指定をされて、例えば狭義、躁うつ病はF 30、31に当たるというふうなことを一時議論されて、国会でもF30はいかがなものかと いうお話もあったと思いますが、このようなお話をされるのかどうか。これは少し意見 になるかもわかりませんが、もちろん育成医療、更生医療においてはかなり限定された 中での疾病の範囲を指定しなければいけないということはあると思うのですが、精神に 関しては、先ほど花井先生もおっしゃいましたが、あくまで外来精神医療の普及という 本来の精神保健福祉法の32条の立法趣旨があるわけでございます。今回、自立支援医療 に変わっても、その趣旨は変わらないといいますか、根拠が変わっただけで対象者も変 わらないし、趣旨も変わらないと私どもは理解しております。  となりますと、精神通院公費と更生医療、育成医療全部横並びにして、もちろん基盤 としての3障害は、基盤づくりを一緒にするというのは、私ども異議はございませんけ れども、3障害に関連した医療を全部横並びにして、全部同じような条件を設けてとい うことを全部やるのは非常に私は無理があるのではないかと思います。まず、その辺を 先に、もちろん結論はすぐに出ないかもわかりませんけれども、議論をしなければ、い きなり、このような高額な医療を発生する疾病は何かということを先に議論されるのは いかがなものかというのは、これは私の意見ではございますけれども、質問としてもさ せていただきたいと思います。  以上でございます。 ○佐藤座長  そのほか、いかがでございましょうか。今、三野構成員のお考えについて、もし事務 局からコメントすることがございましたら、いかがですか。 ○渡辺課長補佐  本日の資料4を出させていただいてございますけれども、そのあたりの話は日精協さ ん、日精診さんからもデータ出させていただいてございますので、そのあたりのところ でまたご議論いただければと思ってございます。 ○佐藤座長  それでは、先ほどの2点について、我々の検討する論点、または進め方でございます けれども、今、三野構成員から、「重度かつ継続」というところに入りにくいという意 見もあったことはあったわけですが、その他についてはいかがでございましょうか。 ○花井構成員  先ほど三上委員からあった、その他の検討事項の指定医療機関、あるいは指定医師の 制度をどうするのかというお話ですが、私は1つは、公費負担医療全体の伸びが非常に 高いので、何とか利用者に少しでも負担できるものはしてもらいながら制度維持しよう というのが背景にあるわけですから、そういう点から考えると、精神医療はたとえ通院 医療でもあっても、もちろん精神障害に関してはいろんな程度、範囲のものがあります から、全部精神科医療機関にダイレクトに来るということは限らないわけですね。そう いう人たちに対してどうするかという問題ももちろんあるのですが、その問題と、継続 的にかつ比較的負担が重くなって、ずっと継続的に治療が必要な医療をどうするかとい う問題はこれは別ではないのかというふうに思うんですね。  例えば、継続的にというのは、どのぐらいを指すのか、まだ、これからの検討でしょ うけれども、それは32条、今度の自立支援医療の趣旨であるならば、一般の受診する障 害と区別する必要はあると思いますね、適用を。だから、私はそういう意味では、どう いう形でその辺を区別するのかというのはまだよくはわかりませんけれども、例えば軽 症であれば、一般科の外来にかかって、それで落ちつく場合もあるでしょうし、落ちつ かない、継続的に精神科の専門的な外来診療が必要だというものに関してはきちんと精 神科の専門科に回すと。長期になるものは、したがって自立支援医療制度にのっけると いうことを考えた場合に、その辺をきちんと線を引くということは大事ではないかとい うふうに思います。  したがって、その辺の指定医療機関制度、診察する指定医の条件等についても、前の 12年の竹島先生の研究班の提言にあるように、きちんとまな板の上に、検討課題にのせ るということが1つ大事ではないかなというふうに思いますし、また、もう一点は、同 じ竹島先生の研究班の報告にもありましたけれども、現在、当時の32条の運用が必ずし も適正に行われていないというのは、例えば精神障害とは直接関連のない診断名が53% ぐらいある。それらのものに関してはレセプト、本当に精神疾患だけのものから見る と、レセプト請求額が1.34倍あるというようなデータも出ていますので、その辺のレセ プト審査の体制、これも十分行われてないという報告もありますので、そのこともまな 板にのせて、自立支援医療制度を検討する場合のその他の項目に適正な運用ということ を、私はのせるべきではないかと思います。 ○佐藤座長  ご意見ございますか。 ○竹島構成員  一緒に話を出させていただいた方がよろしいかと思って出させていただきます。1つ 目が、1番の「重度かつ継続の考え方」と、2.の中で、2番の方には「診断書の様式 等」ということが挙げられているのですけれど、重度かつ継続の部分に関しても、重度 かつ継続であるということを判定するという意味で、様式の問題は重要なのではないか と考えられるのですが、その点がその他に含まれているという考え方でいいのかという ところを1つお聞きしたい。それから、もうもう一つは、精神の場合には、退院促進、 社会復帰ということがございます。特に7万人の退院促進ということが挙げられており ますが、普通に考えますと、そういった方たちにある程度傾斜的に、重度かつ継続等の 医療が適用されていてこそ社会復帰が実現していくのではないかというふうに考えられ るわけです。  そういう意味で、先ほどのこの3つの公費の医療の制度という中で、政策といった課 題と、それとある程度リンクさせて、その制度を運用させていかないといけないのでは ないかとも思われるのですが、その辺の考え方みたいなものを少し教えていただけたら と思います。もし、そういうことができましたら、三野先生が先ほど言われたところに も入っていけますし、「重度かつ継続」の議論にスムーズに入っていけることではない かと考えます。そこに入っていくことによって、逆に明確になっていくということも考 えられるのではないかと思います。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。今、2点ございましたけれど も、1のその他のところに、そういう判定の条件とか要件とか、そういうのも入ってい るのかというのと、2点だったと思いますが。 ○渡辺課長補佐  今の先生のお答えに関しますことにつきまして、資料2の2枚目のところに我が方の 検討の進め方のところを書かせていただいてございまして、趣旨としては、先生おっし ゃるとおりだと思いますので、「○」1のところの3ポツ目で、その他の事項に関して は継続的に検討を行うということでございまして、この部分も先生おっしゃるように、 非常に重要な部分でございます。しっかりと議論していただければと思っていますが、 事務局的な思いで述べさせていただきますと、1つ目の「○」のところで、国会の審議 状況等ともございまして、優先順位の1番目には、「重度かつ継続」についての検討を 行っていただきたいということが事務局的にはくるところでございますので、基本的に はそのような、先生のご意見を踏まえまして、ここに書いてあるような形で進めさせて いただければと思ってございます。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。そのほかにもいろいろご意見があろうと思いますけ れども、今、説明があったように、また、最初の方にも事項の説明の中にあったよう に、差し当たって検討を進めなければならないところからということを考えると、重度 かつ継続と。また、この点が非常に根幹の点でもございますので、そういう意味ではこ こから入ってもいいのではないかと思うのですが、よろしいでしょうか。  それでは、今、あったような検討事項に係る論点、またはその検討の進め方というと ころのご討議を次に進ませていただきまして、今、申しましたように、「重度かつ継続 」と、そこのところに対する考え方ということについて、事務局から説明をいただい て、その説明が終わりました後で、また、ディスカッションしたいと思いますので、ど うぞ、ご準備いただきたいと思います。事務局よろしくお願いします。 ○椎名主査  お手元の資料3、横長の紙をご覧ください。「重度かつ継続」についての考え方を示 してございます。1枚目は、先ほどからの復習になりますけれども、今回の公費負担医 療制度の見直しにおきましては、原則1割の定率負担としているところでございます が、医療費負担が家計ヘ与える影響が大きい場合の配慮として、一定以下の所得の方々 に対しては、所得に応じた負担上限額を設定しているところでございます。  その下の四角ですけれども、ここでいう「重度かつ継続」とは、医療上の必要性があ って、継続的に相当額の医療費負担が発生し続ける者については、一定の負担能力があ る場合についても月の負担額に上限を設けると、そういう仕組みになっております。  この「重度かつ継続」の当面の範囲として考えておりましたところは、疾病から対象 となる者、精神につきましては、統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかん。  また、育成・更生医療については、腎臓機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害とし ております。  また、疾病等に関わらず、高額な医療費負担が継続することから対象となるものとし て、これは精神・更生・育成を問わず、医療保険の多数該当の者を「重度かつ継続」の 対象としております。  おめくりいただき、次のページに「重度かつ継続」のイメージとして、大変雑駁では ございますけれども、イメージ図が書いてございます。向かって左側の方の矢印ですけ れども、高額医療費が初期を中心に発生する場合、治療期間の初期において非常に高額 な医療費が発生するけれども、その後は比較的低額な医療費で済む場合というよりも、 むしろここで考えております「重度かつ継続」のイメージというのは、その右の真っ直 ぐ波線が続いております継続的に高額な医療費が発生していると。この高額な医療費が 継続性を持って発生し続けているもの。こういったものを「重度かつ継続」としてとら えているところでございます。  おめくりください。  続きまして、精神通院公費負担制度におきます高額の事例についてご紹介いたしま す。こちらに載せてありますのは、レセプト抽出調査の結果でございまして、収集した 事例の中で医療費分布から、特に総医療費の約4分の1を占める高額事例を抽出したも のが左の四角に書いてございます。右側の四角は参考までに全事例について記してござ います。ここでの高額事例だけを見ますと、平均の医療費が13.9万円ということになっ ております。  その解説が次のページに書いてありますので、おめくりいただけますでしょうか。  このレセプト抽出調査の評価でございますけれども、1件当たりの平均医療費は、収 集した事例全体では1.9万円程度であったのに対し、月当たりの負担に上限措置が必要 となると思われる高額な医療費を要している事例では、月当たり平均が13.9万円という ことになっておりました。  この高額な医療費を要している事例では、診療行為の内訳として「その他」の部分が 特に大きくございまして、その中でもほとんどが精神科デイケア等が占めておりまし た。その結果、1件当たりの診療日数も月当たり15.5日と全体平均が2日ぐらいである のに対して6.5倍程度となっております。  また、疾患に関しましては、月当たりの負担に上限措置が必要となると思われる高額 な医療費を要する事例になっておりますものは、統合失調症が非常に多くを占めており ました。  また、その他の病名については、躁うつ病、アルコール依存症、アルツハイマー病等 が一定の割合で含まれておりましたけれども、統合失調症に比べればその割合はわずか でございました。  おめくりいただきまして、他方、育成医療・更生医療に関する「重度かつ継続」対象 疾患の医療費ですが、こちらは当面の間、対象とすると考えておる対象疾病ごとの主な 治療方法と費用、期間を示してございます。  腎機能障害におきましては、主な治療方法としては、人工透析が想定されておりまし て、費用は月額でおよそ30万円程度が想定されています。その期間は生涯必要と考えて おります。  また、小腸機能障害においては、主な治療方法として、中心静脈栄養が必要な方が対 象でございまして、費用としては月額約20万円程度がかかると見込まれております。こ ちらも期間としては生涯になります。  3点目の免疫機能障害でございますが、こちらはほとんどがいわゆるエイズを対象と しておりまして、抗HIV薬による薬物療法等が行われておりまして、費用としても月 額約20万円程度、こちらも生涯治療が必要です。  このようにこの3分類については、高額な医療費負担が継続的に発生していることか ら、「重度かつ継続」の対象としているところでございます。  説明は以上でございます。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。それでは、各構成員より意見をいただきたいと思い ますけれども、具体的な資料が出てまいりましたので、より具体的なディスカッション ができると思いますが、お願いしたいと思います。 ○樋口構成員  私が十分理解しているかどうかわからないのですが、「重度かつ継続」に関しては疾 病を規定する。こういう疾病を対象にしてというふうに制限するという考え方だと思う のですね。その中身は、今、統合失調症と狭義の躁うつ病と難治性てんかんというふう に括られているのですが、これは根拠、これを3つの疾患に絞る根拠というものが何か あるのか。臨床の現場から見ていますと、必ずしもこの3疾患に限られない継続的な医 療を必要とするケース、重症の例えば強迫性障害とか、こういった疾患に関してはかな り継続的な医療が必要であり、かつ、なかなか自主生活できてない人が多いと思うので すが、そういうものはこの中に含めないという、その根拠になるような何かがありまし たらお教えいただきたいのですが。 ○佐藤座長  事務局の方からよろしいでしょうか。 ○椎名主査  ご指摘の強迫性障害につきましては、この強迫性障害は疾患単位といたしまして、高 額な医療費が継続的に発生するというデータが当方の調査では抽出できておりませんた めに、当面の範囲には含めなかったところでございます。 ○野村課長補佐  ちょっと補足をいたしますと、資料の4ページをご覧いただきたいのですけれども、 今回、厚労省の方でレセプトを抽出をいたしまして調査をしたところですが、その中 で、当然医療費上位4分の1といいますか、総額の4分の1占めるレセプトについて分 析をした結果、含まれている割合の多いのが統合失調症ということで、当然統合失調の 中でも合計額4分の1に達しない、もっと低額なものもあったのですが、そういった形 で医療費が多くかかりがちなケースがあるという形でデータ抽出してまいりましたの で、今回とりあえず提示をさせていただいているところです。  本検討会の趣旨にもつながるところでございますけれども、そういった案をお示しさ せていただいておるのですが、詳細なデータ分析をしたときに漏れているものがない か、きょう幸い資料4、5という形でご提供いただいたデータもお示しをしております けれども、そういったものを見ながら、また議論を深めていただければと考えておりま す。 ○佐藤座長  それではよろしいですか。 ○樋口構成員  今のお答えは結構なのですが、これは当面、今の現状ではこうだということはあると 思うのですが、当然のことながら、例えば重症神経症など、あるいは最近だと摂食障害 とか、ああいった新しく増加してきている疾患は、場合によっては、これからは長期 の、例えばデイケアにという発想は当然出てくると思うんですね。そういうものが動い ていく可能性は十分秘めているので、現状では確かに調査をしてみると、強迫性障害 で、私はデイケアに通っている人がいると思うんですけれども、非常に少ないかもしれ ません。しかし、そういう可能性があって、さらに今後の精神科の医療が、もちろん統 合失調症も非常に慢性的な長期の経過をたどっていくので医療を当然継続していくわけ ですけれども、それ以外の障害についても、その可能性はこれから出てくるのではない かと思いますので、どこかでそれは初めから、それはだめよというふうにしてしまわな いほうがいいのかと思っております。 ○佐藤座長  そのほかのご意見ございますでしょうか。 ○三野構成員  よろしゅうございますでしょうか、申し訳ございません。この3ページの精神通院公 費のレセプト抽出、これは厚労省が独自におやりになられたものだと思うのですが、こ れは当然の結果でございまして、当然高額事例を出せば、ほとんどがデイケアになって しまう。そもそも通院構造、治療構造が全然違うものでございますので、これをいくら やってもほとんど意味はないだろうと思います。先ほど樋口先生の貴重なご提案にもあ ったと思うのですが、精神科に関しては技術料としては、精通院精神療法、薬剤費、こ れしかございませんので、いくら分析してもパラメータとして出てくるのは通院回数で あり、どのような薬剤を使っているか、これしかないわけですね。これをいくら議論し ても、私はあまりいい結果は得られないのではないかと思います。  先ほど竹島先生が、今の施策、本来の通院精神公費の精神科通院の適正な医療を確保 するということがまず施策として第一に挙げられるべきだろうし、それから、先ほど樋 口先生からご指摘あった、疾病構造がどんどん変化しているわけですね。重症の神経症 で、精神病化する方もあれば、強迫性障害のようにかなり精神病化する方もおいでな る。それから、児童思春期の症例もいる、それから摂食障害の方もいる。こういう方々 がかなり高率の形で自殺に至るということもあるわけでございます。疾病構造の変化と いうことも見据えて考えれば、ただ単に額だけで「重度かつ継続」ということをやると いうのはいかがなものかというのは、先ほどから何度も申し上げているところでござい ます。その点について少しお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから、私どもは平成14年の、ここに竹島先生おいでになりますけも、精神通院公 費にかかわるあり方検討会の結論、それを踏まえての判定指針というのは極めてすぐれ た指針だと思っております。精神疾患の重さ、状態、疾病の重さというのは必ずしも障 害疾病名ではなくて、やはり状態像でなければ言いあらわせないのだということがあっ て判定基準が出てきた。その判定基準に沿って、今、32条は本来適正に運営されていた ら行われているはずですから、本来であれば、現行の32条の患者さんというのはほとん どが経済的な問題を除ければ、「重度かつ継続」であるというふうに私は思っておりま す。  ですから、この議論を単に数字だけの問題にしていいものかどうかというのはもう一 度お考えいただきたいと私どもは考えております。以上でございます。 ○佐藤座長  竹島構成員から追加をお願いします。 ○竹島構成員  先ほどの樋口構成員、三野構成員のお話を伺っていてのことなのですが、先ほど渡辺 補佐の方からも研究の話が出てまいりました。やはり将来のニーズということを分析す るということは非常に重要なことだと思います。一方で、この制度自体は、いわば私の 理解ではこれは成長していく制度なのだという、スタート時点とその後というのがある ので、研究の中で増大するニーズに対する対応の考え方みたいなものも1つ視点として 挙げておくことが必要かと考えております。  具体的には、例えばですが、審査に当たられる精神保健福祉センター等の審査の現場 における「重度かつ継続」のとらえ方の視点といったものを一旦報告の中でしておく。 ただし、それがすぐに10月からの制度に反映するものではないかもしれませんが、そう いった視点では分析をしておく必要があるのではないかといった考え方をしておりま す。恐らくお二人の先生方が言われている論点は、いわゆるお金にあらわれない部分、 あるいは同居している家族等の負担としてあらわれている重度さみたいなものの視点も あるかと思いますので、そのあたりが審査の立場からはある程度表に出るのではないか と考えました。 ○佐藤座長  ありがとうございます。事務局からは何か。 ○渡辺課長補佐  正式な返答といいますか、今のご議論でございまして、三野先生の言われた件に関し ましては、基本的に疾病構造が少し状態、疾病構造といいますか、出てくる疾病が変化 してきたとしても、基本的に今の考え方については、患者さんの自己負担額に着目して 行っているということでございますので、根幹の考え方は、先ほどから何度も申し上げ てございますように、「重度かつ継続」についての仕組み、考え方の医療費負担のとこ ろで基本的にはまず整理させていただきたいと思います。  今、竹島先生がまさに言われたとおりだと思うのですけれども、お金にあらわれない 大変さについては、どのように客観的に酌み取って、それを制度に反映させていくのか ということにつきましては、引き続きどういうパラメータがあるか等も含めて検討して いただくということになろうかと思います。 ○佐藤座長  どうもありがとうございます。 ○桑原構成員  今、竹島構成員の方から、審査にあたる精神保健福祉センターでの視点はどうかとい うお話がありました。そこで、実際に審査に携わる立揚にある者として感じていること をちょっとコメントさせていただきたいと思います。樋口構成員もご指摘のように、疾 患名でいえば、例えば統合失調症の場合、確かに全般的には、長く治療もかかります し、様々な支援方法をとる場合でも経済的な負担が多いということは実態としてあるわ けです。ただ、実際には、統合失調症の病状は100人いたら100人違うのだというのが実 感です。実際、短期間ですっと治る方もいますし、症状が重篤で長期間の治療を要する 方もいらっしゃるわけですね。そういう意味では、実際に通院医療費公費負担や障害者 手帳にかかる具体的な審査書類を総合的に見ていますと、相当個人差があるなというこ とを感じております。  もう一つは、医療費ということももちろん大きな問題点だと思いますが、実は生活の しづらさという点について、具体的な生活の場面で、障害程度が重度だとか、継続的な 支援を要するといったことでの判断が必要になります。地域生活の支援という観点から は、これからは医療的支援だけではなく、心理、社会的なリハビリテーションも含め て、もう少し充実させていかなければいけない部分があるわけですね。  そうしたことを考慮に入れた、将来を見据えた支援のあり方という意味で考えます と、先ほど、私が申し上げた手帳制度を活用することを考える必要があると思います。 ただ、現行の手帳制度の審査状況については、竹島構成員が先ほど指摘されたように、 全国的にみてみると、同じような事例の判定結果について相当な格差があるというのが 現実ではないかと感じています。もちろん、現時点でも手帳判定にかかる基準はありま すけれども、それに基づいて審査をしても、実際の判定結果について、センター間で格 差が生ずるということが大きな問題だと感じておりまして、全国精神保健福祉センター 長会でもそのことが問題になっています。そのため、昨年度、センター長会として厚労 科研で精神障害者保健福祉手帳の判定のあり方に関する研究を企画し、全国のセンター の協力を得て検討を試みました。そして、実際にその研究を通じて、いろいろな問題点 があることが分かってきております。ですから、現行の手帳制度を、今すぐ活用できる かかどうかということについては、竹島構成員が指摘されたように、そう簡単にはいか ないと思いますけれども、やはり「重度かつ継続」といったことを論ずるときには、病 状に加えて、本来の生活のしづらさとか、そういったことも含めてきちんと判断してい ける、そういう視点を組み込んだ判定がなされるような仕組みにしていくことが必要で あると考えます。医療費はもちろん一つの大きな要素かもしれませんけど、医療費だけ で云々するということには問題があるのではないかと感じております。  それから、もう一点、ちょっと長くなりますけれども、実際に通院医療費公費負担の 判定業務を行っているなかでは、例数は少なくても統合失調症、狭義の躁うつ病とか、 難治性のてんかんの方以外にも、重篤で、薬もたくさん使われなければいけないとか、 そういう方は実際にいますし、いわゆる神経症圏の方であっても、デイケアを使ってい るような場合が確かにあるということをコメントさせていただきたいと思います。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。 ○上小鶴構成員  なかなか身体障害の方から発言するチャンスがない状態ですが、かなりやはり違う制 度が一緒になるのだということがよく理解できます。身体障害の方に関しては、明らか に身体障害手帳をベースにしていますし、それがあった上での更生医療・育成医療であ るということになりますから、スタートの3つの障害、腎臓、小腸、免疫機能、こうい ったものは今までやってきたわけですし、それで始めていくのは当然だろうと。  さらに、例えばHIVが入ってきたみたいに新しい疾病が出てきて、何か援護を考え るという場合にこういう医療の中でやる状況もあるでしょうし、それから特定疾患でや っている疾患ももちろんありますし、様々な援護体系がありますけれども、今、我々が 考えられる身体障害としてはこういう形でのスタートになるのでしょう。  ただ、負担に関してはいろんな議論が障害者の中では起こっていますけれども、きょ うの議論はそういう中ではありませんので、「重度かつ継続」に関してはこういう形で 身体障害に関してはスタートを切るのだなということはよく理解できました。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。 ○花井構成員  もう一度確認で、先ほどの説明がよくわからなかったものですから、資料3の1枚目、 考え方では継続的に相当額の医療費負担が発生するものについて、「重度かつ継続」に ついての考え方ですが、こういうふうになっていて、当面の範囲は、精神に関してはこ の3疾患がここで述べられているのですが、この3疾患がここで挙がってきた根拠とし て、先ほどのレセプト抽出調査の話が出ていましたが、これは何でこの3疾患を抽出し た根拠になるのかなというのが、このデータからはよくわからないというふうに思うん ですね。むしろ、日精協と日精診が出した資料ですが、これを見る限りは、確かにデイ ケア、F2のうちデイケアの利用ある者は医療費が11万3,577円、これは高くなってい ます。これは月平均、デイケアの回数がこの調査の場合には平均月10回です。で、こう いう金額が出ていますし、デイケアを利用してない場合には、その下にありますよう に、1万8,248円。  こういうので見ていきますと、むしろ全体の一番下の表にありますように、全部くる めて平均が3万4,681円で継続期間が12年というふうになっていまして、こういうもの から見ますと、統合失調症、躁うつ病、狭義の難治性てんかんがここで挙がってきた根 拠、先ほどの資料から説明つかないし、むしろ、これを見るとほとんどの疾患が対象に なるのではないかという気さえします。これは日精診のデータを見てもほとんど同じ傾 向を示しているのではないかというふうに思うんですね。だから、この資料から3疾患 が抽出された説明はどうも私は理解できないということです。これはちなみに全事例と いうのは何例なんですか。 ○佐藤座長  事例数はどうでしょうか。相当数ですよね。 ○野村課長補佐  3千数百のレセプトでとったものです。高額事例というのは、医療費を高い順番に並 べてまして合計していった金額が総額の4分の1を占めるに至ったところまでというこ とでやっておりますが、たしか百数十事例から200事例の範囲以内ではなかったかとい うふうに思います。 ○佐藤座長  事例についてよろしいですか、事例数、今のようなことで。 ○石井主査  全事例が3,582例でございまして、高額事例が146例でございます。 ○佐藤座長  よろしいでしょうか。 ○花井構成員  そのデータから3疾患が当面の対象となる疾患として出てきた理由はどうもよくわか らない、このデータでは。 ○野村課長補佐  そこのところは、4ページの下の段に書いていますけれども、そういうふうに高額の 事例を分析してみた場合にどういう疾病のケースにおいて高額になりがちかということ で、高額事例を集めた中でのシェアリングを見てみると、統合失調症が多くなっている というような形でありましたので、統合失調症というのは医療費高額になりがちなケー スに多いという形で選定をさせていただいた次第でございます。要は高額事例を集めて みて、その中でどういうのが含まれがちかというような観点で選定をしたというところ でございます。  そういう選び方をしたということでありますけれども、範囲はあくまで当面のものと いうことでございますので、先ほど花井先生からもご指摘ありましたような、ご提供い ただいたデータなどをもとに、また議論していっていただければというふうに考えてお ります。 ○樋口構成員  既に作成過程でこういう議論はされているのかもしれませんが、さっきもちょっと話 に出てきた疾患そのもので規定していくのはなかなか無理があるのではないかというお 話は先ほども桑原先生からも出ておりましたが、最近、私もそんなにこの領域の専門家 ではありませんけれども、米国において、どのような形でそういうものに取り組んでい るかというのをちょっと調べてみました。従来だと重い精神障害、シビアメンタルイル ネス(SMI)と言われているような言葉ができているというので、これをもとにやっ てきたのですが、それは実態となかなか合わないところがあると。例えば統合失調症で も非常に軽症で社会性がうまくいくケースも比較的多くなってきていますし、それに対 して、より適切に重篤であるという、重いということを表現していくのは生活能力障 害、ディスアビリティという、そっちの観点の方がより適切なのではないかという考え 方が出てきて、例えば米国の社会保障障害年金のための判定とかというところの基準を 見せていただくと、そこにはもちろん精神障害であるということがもとになるわけです が、かつ就労不能につながるというような、要するに社会生活を行っていくことが非常 に困難であるということが2点目にあって、そしてさらにその期間がある程度の期間連 続していること、そういう基準が使われていたりするんですね。  そういうことについて、今まで議論されなかったのか、あるいは疾患名でいくべきで あるという議論がなされてきたのか、その辺、もしディスカッションの過程で議論され たとしたら、お教えいただきたい。 ○佐藤座長  関連してということで竹島構成員からお願いします。 ○竹島構成員  すいません、関連してちょっと教えていただきたいのですが、今、ディスアビリティ の話があったのですけれども、障害者自立支援法案の骨格自体の中で、医療の受け持つ 部分と福祉サービスの連動性のことかなと思って聞かせていただいた。その辺を説明し ていただければありがたいかと思います。 ○佐藤座長  事務局よろしいでしょうか。その生活のしづらさというか、そういう状態像、期間と いうものを根拠にしたものの考え方等はどういうふうに処理されているか。 ○渡辺課長補佐  樋口先生の言われましたご質問なのですけれども、これまでの1年程度に及びます議 論の中では、そういった生活機能障害等々の基準などをこちらの自立支援医療の方で見 ていくという考え方は残念ながら、少し弱かったかと思います。それはこの1年間、ぜ ひ、そういうことでお答え申し上げるのですけれども、竹島先生言われますように、こ の自立支援医療にそれを当てはめるかどうかはまた別にいたしまして、福祉サービスの 提供の充実ということで種々制度改正案も提案させていただいておりますので、その中 には、やはり先生方言われますような、生活機能障害の考え方も、いつの段階でできる かどうかわかりませんけれども、しっかりと考えていかなくてはいけないものではない かというふうに思ってございます。 ○佐藤座長  竹島構成員、よろしいでしょうか。 ○竹島構成員  はい。 ○佐藤座長  そのほか、三上構成員、お願いします。 ○三上構成員  「重度かつ継続」ということで議論が出ていて、いわゆる疾病を特定していくという ことに関してどうなのかということですが、重度ということが、先ほどからの説明です と、いわゆる負担額というか、高額ということがあれで、疾病の重度さというのは、高 額であるかどうかというのと直接の関係はないと。間接的には当然関係があるのでしょ うけれども、ですから、これは「高額かつ継続」というふうなことにすれば、議論の方 向というのは本来わかりやすいと。いろいろな、いわゆる摂食障害でありますとか、い ろんなものでも、あるレセプトを見て、あるラインを超えれば、非常に自己負担が増え るので、それを高額療養費制度みたいな形で支援をするというふうなことになるのでは ないかと思うのですが、「重度」ということを使うので疾病の性格という形になるので はないかと思いますが、どうでしょうか。 ○野村課長補佐  ご指摘の面もあろうかと思います。疾病が重度であるからこそ継続的に医療を受け、 その負担が高くなるということで、負担水準の話として、このいわゆる「重度かつ継続 」という概念が出ておりますので、そういう意味ではどの病気がいわゆる疾病としての 重度かどうかということよりは、制度の位置づけといたしましては、今回の制度改正の 中では利用者負担を見直し、その中で負担水準をどう設定していくかという中から出て くる話でありますので、三上先生ご指摘のような観点にもつながっていくのかなという ふうには考えています。どういう場合に医療負担水準として配慮すべきかどうかという 観点から、また議論を深めていただければと考えております。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。三野構成員、お願いします。 ○三野構成員  先ほど三上先生から、「高額かつ継続」という話が出ましたが、要はここで議論はす べきことではないかもわかりませんけれども、真の隠れたテーマは、所得が何かと。生 計を一にする世帯の所得は何かということがはっきりまだ国会でも議論されている上 で、まだ結論は出ていない。もし、これが障害者、精神疾患患者さんご本人であれば、 かなり問題はシンプルになるわけですけれども、それがはっきりしてないので、この辺 が非常に難しいのではないか。もちろんこれだけの収入がお一人であれば、それほど重 度でもないだろうし、継続性もないだろうということは言えるだろうと思うんです。で すから、その辺の議論を置いたまま、これで勝手に「重度かつ継続」をこうだというふ うにするのはいかがなものかなと、先ほどからいかがなものかということが多いのです けれども、思います。  それから、先ほどの400例ですか、3千例のうちの4分の1ということですが、これ は高額医療を当然集めてみましたら、ほとんどがこのデータを見ても、恐らく95%以上 がデイケアの方が集まるのは当然でございます。逆に平均で言えば、デイケアの方がど れぐらい全疾患の中の3千の中にいるかということをお示しいただきたいのですが、そ れほど多くないだろうと思います。私たちの調査でもデイケアに行っておられる方は10 %ぐらいだろうと思いますので、それだけを根拠に疾病構造だけで言われるのはいかが なものかと私は思います。 ○佐藤座長  今の点は、特別コメントは要らないですか。 ○三野構成員  間違いないと思いますので、ご指摘だけにとどめたいと思います。 ○佐藤座長  その他、いかがでございましょうか。竹島構成員、どうぞ。 ○竹島構成員  前にやった研究の覚えていることからお話しをさせていただきたいと思います。統合 失調症、こういった3つの疾患を対象にしているということについての前にやった研究 の面から、その意味ということを考えますと、審査のあり方というところで見た場合 に、例えば神経症性障害の場合にほぼ全数を申請のあったものは通院公費の対象に適用 されている都道府県と、その中で重症であるということのきちんと付記されたものでな いと対象にならないといったところがありまして、その対象のとり方というのに違いが ありました。そういう意味では、その中である程度共通している部分が、ここに括られ ているのではないだろうかと。  逆に言うと、神経症性障害がすべて対象になっていくということが通院公費のありよ うとしていいのかどうかということは、これは別の問題ではないかと思うわけで、先ほ ど言った神経症性障害等で重症の部分と明確にし、また、確かにデイケアがとりあえず 高くなるというのはそれは1つの理解なんですが、逆に言ったら、今、潜在されている ニーズということで、デイケアという方法でなくても、医療という中できちんと対応し ていかなければいけないのはどういうものか。これを審査会等の調査をもとにして明ら かにしていくということができれば、将来のニーズへの対応、デイケア以外の外来治療 の展開というところへの資料になるかと思います。中期的な課題になるかと思います が、資料づくりとしてはしておかなければいけないことかと理解いたしました。 ○桑原構成員  ちょっとよろしいでしょうか。 ○佐藤座長  どうぞ、お願いします。 ○桑原構成員  竹島構成員から、先ほど、「適正な申請」という話が少し出されましたが、現時点で は、精神科医療、精神科医の専門医でなくても、一般医療の中で精神疾患を扱っている 先生方が申請書類を書かれて、実際の審査にあがってくるわけです。そうした場合、書 類の中には精神疾患以外の合併症としての様々な疾患名が入ってきますが、本当にそれ は精神疾患のためのものなのか、あるいはそうではないのかといった問題があります。 また、現在は、ICDコードで精神疾患分類に属する疾患については、認知症とか精神発 達遅滞とかも含めて極めて広範囲にわたる疾患が公費負担の対象疾患となってしまうわ けですが、その場合、本当にはっきりとした精神症状がない場合でも公費負担の対象と して扱うことが妥当なのかどうか、判断に困ることが出てきます。精神症状があるため に対応が難しくなっているのか、あるいは、医療的対応が難しい知的レベルなどが主た る要因となって重症なのかといった点で、判断が難しい、そういった問題がやはりある のですね。  そういう意味では、とりあえず1年目は、全疾患を公費負担の対象として認めるとい う形でスタートしても、2年目以降、関連データを集めて、何が「重度かつ継続」に該 当する病態で、本当に継続的な支援が必要なのか、そういう視点での疾患の絞り込みを 試みるということが必要ではないかと思います。あるいは先ほど適正な審査のあり方と いうのもありましたけれども、そういった審査の仕組みについての工夫も考慮しなが ら、データを精査していくとか、エビデンスベースにきちんとこの制度の適正な運用に 何が本当に必要なのかということを検討していくという作業が必要なのではないかと思 います。  ただ、先ほどから問題になっているように、本来あるべき論と、差し迫って判断をし なければならない問題とがあります。現在、実際にそういった支援が必要な方、支援を 受けている方はたくさんいらっしゃるわけですから、その方々については、とりあえず は認める方向で考えるべきではないかと思います。その上で、この問題についての検討 する時間として、少なくとも1年間は余裕があるわけですから、その間に、この検討会 の中で「重度かつ継続」という議論を深めて、単に全部を認めればいいのだということ ではなく、具体的な対象疾患名などを、どういった形で絞っていくのが妥当なのか検討 することが必要なのではないかと思います。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。いろいろと本質論、または現在の自立支援法の中で の位置づけをどう考えるかという部分と必ずしも一致しないところはございますのです が、身体障害について、先ほど更生医療・育成医療については3障害、3つの疾患が挙 がっているけれども、これでいいのではないかという意見もありましたが、そうは言い ながら、更生医療・育成医療についても実態はどうなのかというのもやはり詰めていか なければならないので、今のようなディスカッションも、またそちらの方で反映されて いくのだというふうに思うわけでございます。差し当たって、きょう「重度かつ継続」 についての考え方についてまとめというところまではなかなかまだいかない部分があり ますし、また、当然研究というもののエビデンスを持って判断して修正していく部分が あると思うわけでございますけれども、できましたら、そういう1つのエビデンスとい うか、そういうものとして、次に2つの資料をきょう用意していただいておりますの で、説明をいただいて、また、ご議論いただくのも必要かと思いますが、よろしいでし ょうか。そちらの方に移らせていただきます。  日本精神科病院協会と日本精神科診療所協会のデータということで、花井構成員から お願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。 ○花井構成員  これは、今年の1月に32条を使って通院医療をした人たちを対象にした調査で、日精 協の役員・委員等の勤務する129病院とあと自発的に申し入れのあった20病院を対象に して集計したものです。これはICDのコードの1桁ですが、これに沿って調査しまし たけれども、全患者数が9,565人ということで、特に統合失調症圏に関しては、デイケ ア通所と非デイケア利用者においては大きな医療費の差があることは歴然としています ので、一応統合失調症が一番全体の中では比率が多いということで、この部分に関して はデイケア利用と非利用に分けてデータをとっております。  それと通院期間に関しては、その医療機関の初診日をやると必ずしも正確ではない と、移ったりするので、そういうことがありまして、一応32条ですから、医師の診断書 がありまして、そこで発病期間というのが出まして、それを中心として拾って罹病期間 としたデータであります。  これを見ておわかりのように、月額の医療費はデイケア利用群が、先ほど言いました ように、月平均10回で、11万3,577円。  あと、デイケアを利用してない部分につきましては、統合失調症については、1万 8,243円と随分開きがございます。ただ、ほかの疾患でF0のほうですが、これは老人 性の認知症の重度デイケアの利用も一部入って若干高くなっているのかなと思います。  ずっと見ていきますと、特に際立って月額の医療費が高いものはなくて大体横並びに 近いような感じになっております。  罹病期間も一番短くてF6の5月から、G40、これはてんかんなので、一番長くて21 年ということで、平均12年となっております。  ここから我々が感じることは、継続的に医療負担が家計に長く響いてくる、それが受 診抑制に心理的に作用することも含めて影響があると考えますと、この罹病期間だけで 「重度かつ継続」の対象疾患の根拠にするのは難しいのではないかと思います。  それと、あと月額医療費、したがって、自己負担は現在5%ですけれども、この負担 がさらに極端に2倍から、中には6倍に今度の制度によって値上げして、非常に激しい 変化が来るので、受診抑制につながることが非常に心配であると。この月額の負担額か ら見ても、各疾患ごとに特に大きな差をつけるのは難しいのではないかという気がして おります。  したがって、私どもは、もちろん統合失調症にしても神経症にしても、状態像として は比較的経度である人も含まれていますけれども、神経症にしても、例えば抑うつ神経 症にしてもいろんなものにしても、再度重度化することはあり得ますし、再燃すること ももちろんあるわけですから、いつでも重度になり得ると。それを予防するというか、 そのために通院治療の継続をきちんと適正に行うことが必要で、それが法の趣旨なわけ ですから、そういう意味では、負担額から疾患によって範囲を特定することは非常に難 しい、困難ではないかという見解であります。  以上です。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。質問がありましたら、また、続けて、三野構成員か らいただいていると思います。 ○三野構成員  簡単にご説明申し上げます。実はこのデータは、もう少し詳細に分析したものもある のですが、とりあえず初回ということで、これをお出しいただきたいというご指導ござ いましたので、出しております。  これは本年の3月のレセプトのデータから無作為に抽出した1,700例でございます。 その前に先立ちまして、本年の1月に緊急実態調査として、とりあえず1月全部のレセ プトの中で、ほぼ私どもの患者の中で、多くても2割ぐらいの患者さんが32条の適用に なっておると思いますけれども、それを抽出いたしましたのが、これはこのデータに載 っておりませんけれども、15万の32条の患者さんの疾患別の比率を見ました。その中で 当然統合失調症は3割と多かったのですが、それにもまして気分障害が4割いまして、 その中でも反復性うつ病性障害が2割いるという結果出ました。デイケアが全体の6.2 %といった数字が出ておりまして、その中からもう一度抽出をいたしまして、レセプト できちんと見ようとしたデータがこれでございます。  これは当初、日精協さんのフォーマットに合わせまして、F2、統合失調症圏内の方 だけデイケアの有無を分けておりますけれども、実は全疾患にわたってデイケアの有無 に関して分けております。それを言いますと、先ほど花井先生がおっしゃるように、疾 患ごとの差はいくらかございますが、大きな差はございません。と申しますのは、もち ろん先ほど樋口先生のご指摘にもございましたように、同じ疾患の中でも、もちろん軽 いものもあば重いものもある。あるいはお金がかかるものもあれば、かからないものも あると思いますけど、32条の適用の患者さんというのは、重度であって継続的にかなり 医療費がかかるから、患者さんの意思によって、あるいは主治医の判断によって選択さ れた方でございますので、例えば、これを見ますと、F6が、成人の人格及び行動の障 害といったもの、人格障害というもの、判定指針の中ではっきりと明確に規定されてい ませんけれども、ここはあえて数は少ないですけど、突出して多いのは、やはりそのよ うな人格障害、私どもが受け持っている人格障害の中でもかなり重くて、精神病状態に なり得るような方、高額に医療費が発生する方が出ているわけでございまして、その意 味から言いますと、いくら調査をしても、それはやはり重い方だけが抽出されていると いうしか言いようがないようなデータでございます。  また、次回にデイケアとそうでないものを分離したり、あるいは薬剤費とそれ以外の ものの分離したものもありますので、お示しをしたいと思っております。以上でござい ます。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。このデータについては、また、今後詳しくいただけ るということでございますけれども、もし、質問がございましたらお一人か、そのくら いで、このデータについて、いかがでしょうか。 ○竹島構成員  処方せんのあるレセプト、ないレセプトというのはどういう……。 ○三野構成員  えっ? ○竹島構成員  院外処方さんがある、なしの。 ○三野構成員  私どもはかなり院外処方の率は多いものですから、全部どこに行っているということ を伺って、別個に調査をしております。ですから当然処方せん料で少し高くなる部分が ありますけど、それは誤差の範囲かなと思って厳密に調査をいたしました。 ○佐藤座長  よろしいでしょうか。貴重なデータをご紹介いただきましたけれども、また、きょう は「重度かつ継続」についてのいろんな点からのディスカッションをいただきまして、 さらにデータを重ねながら検討していく必要があるという状況かと思いますが、きょう は時間も限られておりましたので、この辺でもしよければ、次回以降どんなふうにディ スカッションを進めていくかというようなことを考えながら、事務局に説明いただきな がら、次の会を予定したいと思いますが、よろしいでしょうか。  では、事務局から次回以降の進め方について、お考えをお聞かせいただきたいのです が。 ○野村課長補佐  それでは資料6をお手元にご覧いただきながらご説明申し上げたいと思います。今 回、自立支援医療というのは、片や指定医療機関の導入ということである程度適正化の 仕組みをつくりながら、費用を皆さんで支えをしてという形で切りかえをしていくわけ でございますけれども、資料2等でご説明申し上げましたように、当面「重度かつ継続 」の範囲とか、そういったあたりを重点的にご議論いただければというふうに考えてお る次第でございます。  資料2の方でもご報告というか、ご説明申し上げましたけれども、実証的研究という のか、データに基づいたご議論いただくということで、最後に両構成員からご紹介いた だきました精神科病院協会さん、さらには精神神経科診療所協会さんの方から提供いた だきましたデータ、こちらにつきまして、さらに詳細な分析可能なデータのご提供いた だきたいと考えております。例えば両方のデータの中で見ますと、統合失調症といいま すか、デイケアの利用なしの平均が下がったりというところでありますと、これはそれ ぞれのは恐らく医療費の分布の違いとか、そういったところによるものでしょうから、 どちらか片方だけでというわけにもまいりませんでしょうから、それぞれでご協力いた だきまして、疾病分類ごとの医療費の分布や、先ほどご説明の中にありましたような要 素からの分析などを加えまして、また資料をご提供いただければと思います。  そうしたデータのご提供をいただきながら、まずはデータがあるものということでご ざいますので、精神通院の関係から、医療費負担の状況でございますとか、その期間、 長さ、こういったものについて評価、ご審議を賜れればと考えております。  さらにはこの分類をいただいたデータに基づきまして、いろいろな観点からご議論い ただかなければいけないかなと思ってはいるのですが、そうした中で例示的に掲げます と、どういった疾患なり分野について高額な医療費負担が発生するのか、あるいはそう いった高額な医療費負担が発生している患者さんの割合、医療費の分布との兼ね合いで すけれども、どれぐらいいるのかというようなこと。あるいは期間は大体どれぐらいの ものなのかといったような観点からの分析、ご議論。あるいは各疾病、疾病分類F0か らという形でお示しをいただいていますけれども、そういった中での診断の際の類似点 とか、プロセス、こういったところについての課題、問題点、それぞれの医療費分布、 医療費がどんなふうに分布しているか、そういったあたりを両協会さんの方から、さら にご協力いただきまして分析をした上でご議論いただきたいと考えております。  大体次回としてはそのような形でご審議をお願いできないかなというふうに考えてお ります。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。先ほども桑原構成員からは、エビデンスに基づいて ディスカッションしていく必要があろうということで、そのエビデンスとしてのデータ をまた次回以降いろいろと出していただく中で、もう少し、きょうは結論にはまだまだ 遠いわけですが、煮詰めていきたいと考えておるところでございます。きょうはこの辺 のディスカッションで次回に持ち越したいと思いますけれども、よろしゅうございます でしょうか。                (「はい」と声あり) ○佐藤座長  どうもありがとうございました。では、特に事務局から何か連絡事項ございました ら、お願いしたいと思いますが。 ○渡辺課長補佐  本日はお忙しい中、長時間ありがとうございました。次回の日程についてご連絡差し 上げたいと思いますが、次回の日程につきましては、構成員の皆様方に日程調整表をお 配りさせていただいておりまして、いくつかお返事をいただいてございます。最終的な 開催日時、場所等につきましては、決まり次第、ご連絡をまた再度させていただきたい と思います。よろしくお願いいたします。 ○佐藤座長  それでは、これをもちまして、第1回の自立支援医療制度運営調査検討会を閉会した いと思います。きょうはご協力ありがとうございました。                    (照会先)                     [自立支援医療制度運営調査検討会事務局]                      厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部                            精神保健福祉課 医療第二係                                    岩倉 慎                          TEL: 03-5253-1111(内線3067)                          FAX: 03-3593-2008