05/06/20 第10回医療計画の見直し等に関する検討会議事録           第10回 医療計画の見直し等に関する検討会                        日時 平成17年6月20日(月)                           15:00〜                        場所 厚生労働省共用第7会議室 ○谷口指導課長  ただいまから第10回「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。委員 の皆様方にはお忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日の出 欠ですが、尾形委員、豊田委員、納谷委員、ワーキングの松田委員がご欠席となってお ります。なお、佐々委員からは遅れるという連絡をいただいております。池澤委員は追 々お見えになるのではないかと思っております。納谷委員の代理として、本日は大阪府 健康福祉部の医療対策課高山課長にご出席をいただいております。それでは座長、よろ しくお願いいたします。 ○黒川座長  それでは、まず資料の説明をお願いいたします。 ○針田医療計画推進指導官  資料の確認をさせていたただきます。資料1、資料2、資料3の3種類になっていま す。資料1は「議論のたたき台(案)」、資料2はこれまで示して、図になっている 「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性」、資料3は「安 心して日常生活を過ごすために必要な患者本位の医療サービスの基盤づくり〜A県にお ける新しい医療計画(抜粋版)のイメージ〜」です。資料1に関しては、今後「中間ま とめ」の整理をしていきたいと思っています。また資料2と資料3については、参考と いうことで、今後も事務局で取扱い等について調整したいと思っております。資料の欠 落等がありましたら、お申し出いただきたいと思います。 ○黒川座長  資料はよろしいでしょうか。それでは、本日の議題は、前回と同様で引き続きご議論 いただきたいと思います。資料1に沿って「平成18年の医療制度改革を念頭においた医 療計画制度の見直しの方向性」については、いろいろなご意見をいただいており、次の 方向を見るのに難しいのですが、建設的なご意見がたくさん出ております。前回、前々 回の検討会での皆さんのご意見を踏まえた事務局からの「中間まとめ」のたたき台(案 )をいただいていますので、これについて、更に議論をいただきたいと思っています。 資料1について説明をお願いいたします。 ○針田医療計画推進指導官  30分ぐらいお時間をいただきまして、資料全体の説明をしたいと思います。資料1 「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画制度の見直しの方向性(議論のたた き台(案))」です。「医療計画制度の見直しの背景とねらい」で、今後わが国の保健 医療提供体制の改革については、患者と医療人との信頼関係の下に、患者が自らの健康 の保持増進に努力するという自覚を高め、医療への参加意識を持つとともに、疾病予防 (保健)から治療、介護(福祉)までのニーズに応じた多様なサービスが地域において 一貫して提供される患者本位の医療を確立することを基本とすべきであるとしていま す。このために、疾病予防(保健)に係る地域の計画や介護(福祉)に係る地域の計画 とも整合性のとれた医療を提供する体制の確保に関する計画(医療計画)を作成する必 要があるとしています。  また、国民の医療に対する一層の信頼を得るためには、今後のあり方として、患者の 視点の尊重、患者の選択を通じて医療の質の向上と効率化を図ることによって、患者の 望む医療を実現していくことが求められています。医療機関の情報提供の促進、それに より住民・患者が容易に医療に関する多様な情報にアクセスできること、また、診療情 報の提供の促進により患者の選択を尊重した医療が提供され、患者の自覚と責任をもっ て医療に参加することにより、医療提供者との共同作業を行うことができ、国はそのた めの基盤を整備することが必要であるとしています。  また、疾病構造は、今後65歳以上人口が28.7%、2050年には35.7%と推計される社会 を迎えるに当たり、今後の疾病構造は慢性的な疾病が中心となることが予想されていま す。必要かつ十分な医療を受けた後、できるだけ早く治療(入院期間)を終えて日常生 活に復帰することが、患者の生活の質(QOL)を向上させるという観点から非常に重 要であるとしています。  また、医療サービスを提供する者は、一人ひとりの医療需要に応じた適切な対応が求 められており、1つの医療機関だけではなく、地域全体で患者の医療ニーズを受け止め る必要がある。このためには、診療所・一般病院などがあると思いますが、かかりつけ 医における日常的な医療を基盤としつつも、必要に応じ、適切な医療が受けられるよう 医療機関において地域の医療資源を最大限に生かした医療機能の分化と連携のより一層 の推進が不可欠であるとしています。  2頁は、国及び都道府県の役割として、ルールを調整する役割(機能)や医療サービ スの安全性や医療サービスへのアクセスの公平性を監視する役割(機能)等に転換する ことが求められています。  また、「いわゆる三位一体の改革」の推進により、今後都道府県は、都道府県の権限 と責任が大幅に拡大され、歳入・歳出両面での都道府県の自由度が高まるということ で、真に住民に必要な行政サービスを都道府県が自らの責任で自主的・効率的に選択で きることになります。この医療提供体制の整備においても、国民皆保険の下で、国民が どの地域においても、安全・安心で一定水準の医療を受けられることを前提とした上 で、都道府県が地域保健・健康増進体制と医療提供体制、そして介護福祉提供体制との 連携を充実・強化し、限りある保健医療資源の有効な活用に向けて、都道府県が主体的 に取り組めるようにすることが重要であるとしています。  続きまして、見直しのねらいです。こうした保健医療提供体制を取り巻く環境の変化 を踏まえて、平成18年の医療制度改革に向けて、医療計画制度を見直す必要があるとし て、今までも説明しましたが、国は、住民・患者が安心して日常生活を過ごすために必 要な患者本位の医療サービスの基盤を作るために、先進的な都道府県の取組を参考にし ながら、「自分が住んでいる地域の医療機関で現在どのような診療が行われて、また病 気になったときにどのような治療が行われるか、そして、どのように日常生活に復帰で きるのか、また現在の保健の提供体制の姿はどうなっているのか、そして将来どうなる のか、変わるためには具体的にどのような改善策が必要なのか、そのようなものを医療 計画に示して、住民・患者の視点に立った数値目標を立てて、わかりやすく示していく 」ことを原則とした医療計画制度の見直しを行うべきであるとしています。  また、政府においては、平成18年度から保健医療提供体制関係の補助金を一本化し、 透明性の高い客観的な指標に基づいて、都道府県が自主性・裁量性を発揮できるような 環境を作ることとしており、医療計画制度もその方向に沿った見直しが必要であるとし ています。  また規制改革・民間開放推進会議が平成16年12月に提言した「規制改革・民間開放の 推進に関する第1次答申−官製市場の民間開放による「民主導の経済社会の実現」−」 では、医療計画制度について、基準病床数制度について、「意欲のある質の高い医療機 関の医療サービスの拡充や新規参入を制限し、質の劣る医療機関の既存許可病床の既得 権化を生じており、医療機関間の競争を阻害し、医療の質の向上を妨げている」と指摘 し、基準病床数制度の抜本的な見直しが必要であるとしています。  この問題に関しては、本検討会における検討の結果、現状では直ちに基準病床数制度 を廃止するための条件は整っていないことから、当面存続することとするが、今後の医 療計画の見直しの成果を踏まえて、医療の質の向上と効率化に関して求められる条件を 整理し、現状における評価と、将来どのように条件整備をしていくのか、検討がなされ るべきであるとしています。また、事業別の「医療連携体制」の構築等により、地域に おいて真に必要な病床数が明らかになると考えられることから、病床過剰地域において 機能に比して過剰な病床を有し、十分に地域の医療提供に貢献できていないと考えられ る場合には、それらの病床を真に住民・患者が求める機能に沿ったものに変更するとい うことや、真に住民・患者が求める機能を提供できる医療機関が、それらの病床を利用 できる仕組みを考えるべきであり、地域が真に必要とする質の高い医療サービスを提供 する医療機関の参入を阻害することがあってはならないよう方策を検討すことも指摘し たい。この点については、国公立・公的医療機関においては率先してその範を示すべき であるとしています。  「安心して日常生活を過ごすために必要な患者本位の医療サービスの基盤づくり」で す。住民・患者が安心して日常生活を過ごすために必要な患者本位の医療サービスの基 盤づくりのために、国は、(1)住民・患者にわかりやすい保健医療提供体制実現のた めに、住民・患者の視点を尊重した医療制度改革。(2)質が高く、効率的で検証可能 な保健医療提供体制の構築には、数値目標、評価の導入による実効性のある医療計画を 目指す。(3)都道府県が自主性・裁量性を発揮することによる地域に適した保健医療 体制の確立。これを柱として見直しを進めるべきであるとしています。  このためにも、主要な事業(がん対策、脳卒中対策、急性心筋梗塞対策、糖尿病対 策、小児救急を含む小児医療対策、周産期医療対策、救急医療対策、災害医療対策、へ き地医療対策など)について、地域でどのような施策が講じられているか、また住民・ 患者にわかりやすいものとしてその内容を医療計画に明示するとともに、医療サービス の提供する側も住民・患者側も双方が情報を共有し、客観的に評価できる方法を検討す べきである。あわせて、都道府県は医療機関の情報を基に、それらの主要な事業ごと に、より適切な「医療連携体制」の構築に向けて支援を行い、住民にわかりやすい提供 体制を医療計画に明示するとなっています。  また、作成から実施に至る一連の政策の流れとして、主要な事業ごとの医療計画の把 握、適切な保健医療提供体制の明示と将来の姿を志向した数値目標の設定、数値目標を 達成するための実行計画としての医療計画の立案、立案した医療計画に基づく事業の実 施、事業実施後の客観的な政策評価による医療計画の見直し、という実効性あるものに 改革する必要があります。  さらに、患者の受療行動に応じた医療機能の把握(疾病ごとに患者の病態に応じてど のような医療機能が求められ、それが地域においてどの程度整備されているかといった 実態の把握)や各医療機関の医療機能の内容に関する住民・患者への情報提供など医療 計画の作成・実施に当たって、都道府県の役割を強化し、国は都道府県の役割を果たす ために制度上・財政上必要な支援を実施する。  「医療計画を通じた国と都道府県の役割の見直し」です。国としては、国の役割と責 務で、都道府県が実効性の高い医療計画を作成できるよう支援するために、国は全国規 模の医療機能調査を実施し、主要な事業ごとに必要な医療機能を明らかにすることが求 められています。  あわせて、国は全国規模の医療機能調査によって把握したデータを公開し、すべての 国民が当該情報を活用できるような環境整備を図り、客観的なデータに基づいた保健医 療提供体制を構築すべきである。  また、この医療機能調査の実施を踏まえ、国は都道府県に対し、当該都道府県の医療 機能の整備状況、患者の疾病動向等を明確にするよう求めることとし、質の高い保健医 療提供体制の構築に向けた実効性ある都道府県の政策が図られるよう支援することとし ています。  同時に、都道府県が質の高い医療提供体制を構築し、医療計画に基づいた医療を実施 するに当たり、国は交付金・補助金の交付、政策融資の実施などの支援を行い、全体的 な政策の透明性の向上させることとする。  更に、国は政策評価項目を提示し、都道府県に対し、医療計画に基づいて実施した事 業に関する政策評価を行うよう求めることとし、翌年度につながる更なる実効性のある 医療計画に向けた都道府県の取組を支援するものとする。  このような政策の流れを早急に確立することを通じ、医療計画の作成からこの事業の 実施、事業に係る政策評価、そして次期医療計画への見直しといった政策の循環が促進 されるようにするとともに、質の高い効率的な保健医療提供体制の実現に向けた都道府 県の取組を国は支援するとしています。  都道府県の役割と責務ですが、これに対して、都道府県は良質かつ適切な医療を効率 的に提供する体制を確保するため、医療計画を作成し、主要な対策ごとに地域に必要と される医療機能を明らかにする。また、都道府県は実施する医療機能調査によって把握 されるデータについても、すべての住民が、これらの情報を活用できるよう環境整備に 努める。  更に、医療機能調査によって新たに必要とされる医療機能が把握され、それらの事項 については、実現に向けた方策や数値目標を医療計画に明示し、目指すべき将来の保健 医療提供体制の姿とその実現方法について住民に示すべきであるとしています。  医療計画に基づいて実施した事業については、都道府県は、国が示す政策評価項目に 従って政策評価を通じ、翌年度につながる実効性のある医療計画の見直しを行うことと しています。  6頁の「新たに医療計画に盛り込む内容に対する国が行う支援」として、都道府県が 新たに医療計画の作成、事業の実施、政策評価ができるようにするために、国は、(1 )データベースの構築、全国規模の医療機能調査の実施、その結果の公表。(2)は、 都道府県が設定する数値目標に資する主要な対策ごとの指標の提示。(3)として、各 種財政的支援(交付金・補助金など)を行います。  「全国規模の医療機能調査と主要な対策の「指標」について」ですが、データに基づ いた医療計画の作成と全国規模の医療機能調査ですが、住民・患者の視点を尊重し、わ かりやすい体制を作るために、主要な事業ごとに都道府県において、どんな施策が講じ られ、住民・患者にわかりやすいものとしてその内容を医療計画に明示するとともに、 情報の共有、客観的に評価できるような方法を検討するとして、都道府県は、国が行う 医療機能調査で主要な事業ごとに、地域においてどのような医療サービスが必要とされ ているのかについて判るようにするとともに、把握したデータを公表し、国民が活用で きるような環境を整備していく。  あわせて、都道府県が地域ごとに必要とされる医療サービスを把握できるように、国 は患者の疾病動向や医療機能等に関する指標を提示するものとする。  また、都道府県は地域の特性を踏まえた将来の望ましい保健医療提供体制の構築に向 けた数値目標を医療計画に明示し、その改善プロセスを住民に公表することによって、 実効性ある計画とするということになっています。  7頁の、指標の視点とその内容として、国は指標を提示するに当たり、保健医療提供 体制の視点のみではなく、患者の視点を中心としたものにすること。2つ目として、量 的な整備目標としてのみではなく、質的な観点も重視し、国民に対し、良質かつ適切な 医療を効率的に提供できる体制の構築に向かうものにすること。3つ目として、個々の 医療機関の医療機能だけの視点ではなく、地域全体の医療機能を概観する複数の視点で もって、またその指標によって保健医療提供体制の構築を検証できるものにすることを 基に検討するものとして、都道府県が医療計画に明示する数値目標については、これに 準拠する形にしていただくことを考えています。  また、指標に関しては、これまで主流であった「構造」面の評価に加えて、できる限 り「プロセス」や「アウトカム」といったものの評価を導入していくべきである。ま た、指標は現状の評価にとどまらず、質の高い効率的な提供体制の構築に向けたものに すること。また5年ごとの見直しを行う医療計画においては、指標に基づいてこれまで の医療提供体制の把握・分析をするとともに、都道府県が任意の指標をもって独自に評 価、把握・分析することも可能であるようにすること。  具体的な指標については、患者の視点に立って、疾病の予防(健診・検診)、治療・ 診療そしてリハビリテーション・在宅医療・ターミナルケアといった患者の病状の経過 や治療のプロセスに対応したものであることを基礎とし、質の高い保健医療提供体制の 構築に資するものである、とすることを考えています。  次に「住民・患者に安心感を持ってもらう「医療連携体制」」です。このねらいとし ては、患者を中心とした地域の医療提供者の医療機能と医療提供者間の医療連携の状況 を医療計画に明示することによって、住民・患者の診療のために地域の医療提供者がど のような連携体制を組んでいるのか。更に、患者自身が病態に応じて適切な医療提供者 をどのように紹介を受けるのか。また、そういうことをわかりやすく理解することがで きるようになり、その結果、住民・患者が安心感を持てるようになることを考えていま す。  また、この「医療連携体制」を通して、医療情報が患者と医療提供者の間で共有され ることによって、患者自身も自分の病気を治すため努力するという医療への参加意識を 持ちやすくなるとともに、かかりつけ医から納得して適切な医療提供者の紹介を受ける ことができる。また、患者とかかりつけ医を中心とした質の高い効率的な保健医療提供 体制を構築することができると考えております。  また医療連携体制は、1つの医療機関だけで完結をめざす医療から、地域の医療提供 者がこの連携によって患者の治療を支援するという医療への変化を促進するものであ り、医療機関の自主的な機能分担と連携を推進するものとしています。  この内容ですが、各医療提供者の医療機能を、医療計画に記載することを通じ、住民 ・患者に明らかにするものであることから、各医療提供者は医療機能に係る情報を積極 的に都道府県に提出していただき、また、この体制の中では、各医療提供者が患者に対 し、治療の開始から終了までの全体的な治療計画(地域連携クリティカルパス)を共有 した上で、各医療提供者はそれぞれ担当する部分の治療計画(院内クリティカルパス) に沿った治療を行い、日常生活への復帰に向けた作業を、患者と各医療提供者が共同し て行えるよう努めるものにする。  更に、「医療連携体制」の中では、日常生活への復帰に向けた各患者の治療経過につ いて再検証ができるようデータ整備に努めるものとする、としています。  次に、医療機関の役割と国・都道府県の役割についてですが、この連携構築に当たっ ては、住民、直接診療に関与する者(医師・歯科医師・薬剤師・看護師など、その他い ろいろな職種を含む)を保健事業を実施する者、市町村(保健・介護・福祉)、医育機 関や臨床研修病院の代表など、地域医療に関与する者が、協議・検討することからはじ め、地域に適した体制を構築する。その際、調整が必要となる事項があると思いますの で、それらの調整が必要となる事項については、地域で「中心となって医療連携体制の 構築に向けて調整する組織」が果たす役割が重要になってくる。  この調整組織ですが、連携体制の構築に向けて、各医療機関が有する医療機能を患者 に適切に情報提供ができるような調整をすること。また、全体でもって患者に対し切れ 目のないサービス提供ができるように調整すること。その医療連携体制全体の医療の質 の向上のために、医療従事者の研修などを行うことが必要かとされています。  また、各医療機関は、自らの医療機能を明らかにし、医療機能に係る情報を適宜更新 することによって、ほかの医療提供者との連携を積極的に協力できます。その上で、国 ・都道府県は住民・患者に対し各医療提供者の適切な医療機能の情報が提供される基盤 整備を推進するとともに、すでに各地域で自主的に取り組まれている医療連携をよりー 層推進するためにどのような支援ができるのかという視点に立って検討することとして います。  連携体制を支えるためには高度な医療機関、高度な医療機能を有する病院も必要と考 えられますが、そのような医療連携体制を構築するに当たり、高度又は専門的な医療を どのように提供していくのか。また医療水準をどのように向上させていくのか。人的支 援を通じた安定的な医療提供をどのように図っていくのかという課題に対して、この高 度な医療機能を有する病院が出てくるのですが、これらの病院は高度な医療技術や専門 性を必要とする所。また患者が日常生活に復帰したときに、再発に備えた医療連携を構 築できる機能や都道府県の医療の質、水準の向上などを図っていく機能。また医療連携 体制による医療サービスを安定的に提供するために人的支援を推進できる機能などが必 要である。  「医療の質の向上と効率化に関する今後の取組」ですが、以上のほか、医療の質の向 上と効率化を引き続き続けていくために、次の取組を今後とも図っていくべきであると して、患者自らの選択に基づく患者本位の医療の提供。EBMの推進や地域連携クリテ ィカルパスの導入など、疾病ごとに、標準的な治療方法、入院治療の必要性及びその期 間について客観的に把握できる体制の構築に向けた取組が進められているところであ り、その効果も検証されつつあるが、現段階では、EBMは特定の疾患に限られ、ま た、地域連携クリティカルパスは全国的な展開がいまだ行われてない状況です。今後 は、EBMの更なる推進と地域連携クリティカルパスの全国的な展開を通して、様々な 病態の患者ごとに、それぞれの入院治療が必要か、また、入院治療が必要がなくなった 患者について、患者の自己責任に基づく選択という視点も加味しつつ、治療の必要性や 退院の時点を客観的に判断できる仕組みの構築に向けて検討すべきであるとしていま す。  また医療機関の診療機能等の情報提供の推進ですが、個々の医療機関の診療機能等の 情報については、都道府県がとりまとめ、医療計画等を通じ、公開する仕組みを早急に 検討することによって、患者が医療サービスの質について選択できるような基盤を構築 すべきである。  11頁は、救急医療やへき地医療等の政策的に必要な医療ですが、救急医療、へき地医 療等政策的に必要な医療サービスの提供を保障あるいは促進することができる仕組みと して、地域で必要な医療サービスを指標で客観的に把握し、それに基づいて都道府県の 実効性ある医療計画を立案する過程を通じ、政策的に必要な医療サービスの提供を保障 あるいは促進すべきであるとしています。  これが「議論のたたき台(案)」として今回提示するものですが、これを今までのポ ンチ絵、図等で表わしたのが資料2です。詳細はご説明しませんが、いまお話した内容 に沿って、これまでの議論を踏まえた形で修文を加えておりますので、ご参考にしてい ただければと思います。  資料3を一括してお話しますが、例えば、具体的なイメージが湧かないというご指摘 もあったことから、簡単なイメージ図を作りました。  これは、例えば安心して日常生活を過ごすために必要な患者本位の医療サービスの基 盤づくりということで、ある県の新しい医療計画(抜粋版)のイメージを作っていま す。ベースになっているのは大阪府をイメージして作っています。  次の頁は、ある方が不安になっている。どのような保健医療サービスがあるのか分か らない、将来病気になったときにどのような治療が受けられるのだろうか、近くにどの ような保健医療サービスがあるのかなど、分からないときに、この頁を見て、心配だと いう方は、いまはどうなのか、将来どうなるのか。いま心配だというのなら、インター ネットで、今はどうなのかというところをクリックします。  次の頁は、その次の住民の不安というか思いです。40歳になったので、がん検診を受 けたいとか、それぞれの方によって違うと思いますが、例えば、検診を受けた方であれ ば、「更に詳しい検診を受けてください」と言われたので、どこへ行ったらいいのか。 また精密検査によって疑いがあるのではないかと言われたときに、ほかの先生の意見を 聞きたいと思ったときに、この頁を見て、医療機関の所在地や医療機能がわかりやすく 示されているということが大事かなと思います。例えば、セカンドオピニオンをやって いる医療機関であれば、地域を選べば出てくる。また超音波内視鏡検査を受けたいと思 ったときに、そういったものが出てくる。  3頁には、かかりつけ医から、がんの治療を受けたほうがいいと言われたとすれば、 どんな治療があるのか、どんな所でやっているのかを自分で調べたい住民もいると思い ますし、ドクターからの説明で十分だという方やいろいろな方がおられると思います が、患者の選択肢の幅を広げるというか、そういう知識を勉強していただくということ で、こういう医療計画が生きてくるのではないか。例えば家族と一緒に自宅で治療を受 けたいという方がいれば、それに見合う医療サービスが医療計画で示されるシステムを 作れればというイメージ図を作ってみました。 ○黒川座長  随分頑張っていろいろ書いてくれました。図やいろいろなイメージ図など、いまの資 料3などもそうですが、言いたいこともたくさんあるのではないかと思います。例え ば、最後のモデルなどもそうですが、かかりつけ医から、がんの治療を受けるようにと 言われたら、ガンマナイフやリニアックがなぜすぐ出てくるのか、そんなことでいいの かなという気がしますね。がんの専門の人にはどんな人がいるでしょうか、なかなか難 しいね。そこでガンマナイフと言われて、「あなたは全然関係ないですよ」などと言わ れたら困ってしまうのではないかと思うのです。この辺はまた考えましょう。それぞれ が地域でやってみるといいのですが。  随分まとめていただきまして、基本的には地域、地域の特性もあるのでという話です が、もう1つはここに書いてない一般的なことですが、1頁の3番目の22行目に書いて あるように、65歳以上の人口が、いま20%を超えつつあって、2025年には30%、2050年 には36%ぐらいになって、イタリアがそのころ日本を抜くのです。このようなバックグ ラウンドだし、しかも先進国はみんなそうですが、日本の場合は75%ぐらいが都市に住 んでいるということで、都市と地域はかなり違いますから、その辺も考えながら。そう なると田中委員がおっしゃったように、高齢者の介護などの話のキャパがどのぐらいあ るかによってかなり違うのではないかということも考えておかなければいけません。こ れもそれぞれの地域によって、かなり違うので、その辺も含めて議論しなければいけな いとは思います。医療計画ということで、先生方のご自由な討論をしばらくいただけれ ばと思っています。そのほかに説明資料についての質問等があったら、是非お願いした いと思います。 ○田中委員  2頁の頭に、国は、これまでのプレーヤーではなく、これからはコミッショナーとレ フリーになるというのは、言わずもがななのかもしれませんが、これを気持としてよく 伝わるから、これが入っていることは高く評価いたします。  差し当たり気が付いた点を2カ所指摘いたします。3頁の13〜16行目の、病床をちゃ んとしたものに変える必要があるとの指摘は、当然なのですが、文章としては、「病床 過剰の地域の場合は」が前に付いてしまっています。しかし、病床が不足していても同 じことを考えなければいけないはずです。ロジックが、「病床が過剰な場合には、機能 を転換し、質の高いものにしろ」と書いてあるので、不足ならしなくていいのかという ことになりますので、文章がおかしいと思います。  ロジックでもう1カ所気が付いた点で、例えば、4頁の14行目に「患者の受療行動に 応じた医療機能の把握」という表現があります。同じようなことが6頁の21行目、22行 目の「医療機能調査」とあり、供給側の調査をすると患者の受療行動がわかる、真のニ ーズがつかめるというロジックになっているのですが、そうではないと思います。なぜ なら、現状の調査では、現在の医療機能に応じた受療行動がわかるだけだからです。そ こには公的病院しかないから、公的病院にみんな行っているのかもしれないのに、。公 的病院を人々が求めているという答えになりかねない。4頁も6頁もそうですが、患者 の真のニーズを把握する話と、現在の医療機能の話は別だと思います。分けて考えてい ったほうが正しい。実際に真のニーズをどうやって探すかは大問題ですが、現在の受療 行動は、現在の提供体制の成果を表しているのであって、それが正しくニーズを反映し ている保証はないことを指摘しておきたいと思います。 ○黒川座長  それはそうですね。 ○信友委員  同じような趣旨の気掛かりなところですが、医療提供者側というステークフォルダー は代表者ができ得るのですが、住民・患者が度々出てきても、そちらからの代表者、あ るいは声をどのように聞くかです。医療機能調査というのは、患者はどういう期待を持 っているか、裏切られたかというために、患者団体からのヒアリングをする。情報源を 明らかにしてあげると都道府県は動きやすいと思うのです。苦情や紛争なども集められ ている所は集まっているのであって、それをも使って患者、住民の双方が情報を共有す ることによって、新しい視点からの医療計画を作れる。具体的なプロセスが見えてくる のではなかろうかと思います。 ○黒川座長  これは例えば8頁に「住民・患者に安心感を持ってもらえる医療連携体制」と書いて ある、そういうコンポーネントに地域の人たちが参加できるような、その次にあるもの の構築に向けた組織にそういう人たちも入っているのが望ましいのではないかという意 味ですかね。  そのときにやり方として、なるべく地域の人たちが、医療機関やいろいろな所でボラ ンティア活動をどんどんやっていくといいと思います。普段は自分が通っているとか、 身内が入院しているときしか行かず、みんな文句は言うのですが、普段何でもないとき に行ってみると、いかに大変な仕事をしているかが、もう少しわかってくると、自分た ちも何をそれぞれコントリビュートできるかというのがよくわかってくるのです。そう いう話も是非どんどんやったほうがいいと思います。そうしないと一方的に求めるので すが、提供側がどのようになっているかが全然わからないのですので、そういう運動は いろいろな所で起こしたほうがいいと思いますが、いかがですか。 ○信友委員  例えば、この医療計画のプロセスを遺族に見てもらって、これからは安心なんだと思 ってもらえるかどうかですね。ですから、大胆なものの見方をして、数年前に亡くなっ た同僚の京都大学のトヤマタダシ氏が、医療提供者は患者の気持がわかっていないとす れば、どのようにすればわかるのかという、医療関係者は患者の気持がわかっていると いうことだけで、それを検証するわけではないのですが、わかってないとすれば、どこ でそういう訴えや要求が感じ取れるかと。新たな情報源を見つけようという視点、ドク ターズアイとペイシェンズアイの2つの目が要るということも明確に出して、患者も遺 族も、どんどん発言してくださいというようなことがあれば、都道府県は少し動きやす くなるのではないでしょうか。従来とは違った形で情報を集めて検討・検証がしやすく なるという期待が高まってくるのではないかと思います。とにかく患者あるいは遺族の 代表者、ステークフォルダーをどのようにして都道府県は設定していけるかどうかを、 もう少し具体的に書き込んたらどうかなと。 ○黒川座長  それは悪くないのですが、普段から健康なときに一緒にやってみるというのは、すご く大事な気がするのですがね。そうでなければ医療提供側も『病気になって初めてわか った患者の気持』などという本が売れるぐらいだから、今まで何を言っていたのだとい う話がなくもないのです。 ○信友委員  和田ちひろさんという方が、患者団体を一定のフレームで全部スクリーニングして、 使える情報を持っている患者団体というのを本にしておられます。ああいうのも患者の 気持からすれば伝わってくるのではないでしょうかね。 ○黒川座長  いま患者のほうのNPOみたいのがだんだん出てくると、あまり現状も知らないで随 分わがままなことばかり言っていたのだなどという話も出てくるようです。両方が知り 合うことがすごく大事な気がします。いろいろギクシャクしながら、そのように進んで いくということですね。 ○濃沼委員  資料1の3頁の4行目、5行目の「医療計画制度における基準病床数制度の抜本的見 直しが必要である」というのは、規制改革・民間開放推進会議から投げられた球です。 この球がどう返されたかといいますと、「当面存続する」という返され方です。これは 先送りという意味にもとれます。いずれ抜本改革が必要だという認識に立つという書き ぶりと思います。そこで、基準病床数制度を廃止する場合の4条件が示されたのですが 、4条件を将来的にどうしていくのかが見えてこないので、不親切な気がします。抜本 改革が必要だという認識に立つのであれば、4条件を満たす状況を積極的に整備してい くのかどうかが問われるわけです。4条件は、どれも病院の機能にかかわる事項です。 入院期間の必要性を検証できる仕組み、退院を促す仕組み等々です。  医療計画は病床に係る事項と機能に係る事項の二本柱で成り立っていますが、両者は 密接に関連しています。入院の必要性があってもなくても、必要度が高くても低くても 器がある限り、入院患者は生じます。入院の適応を科学的に検証する仕組みをどう確立 していくか、提示した4条件とからめて検討していく必要があろうと思います。  連携と評価とは、今回の見直しの目玉になっていると思いますが、連携と評価をやっ ていくと、この4条件がどのように満たされていくのか。満たされることを目的とする わけではありませんが、4条件を提示した以上、今回の見直しとのつながりを明らかに してほしいとなるのではないか。いずれ抜本的見直しをというのであれば、その道筋を 示してほしいと考える人もいると思います。  3頁の5行目のロジックはこうなります。「抜本的見直しが必要」というのを受けて 、今回いろいろ検討した結果、「当面存続する」ことになった。その理由は、4条件を 提示して、4条件が揃っていないからだという論理です。10頁の「今後の取組」で多少 触れられるのですが、今回、連携と評価をやることによって、抜本改革が実現できるの かどうかが明快ではない。つながりがわかりにくいということです。4条件を満たすよ うな方向に進むのかどうか、どういうスタンスに立つのかもはっきりしていないように 思います。この書きぶりからすると、条件が整っていないから、先送りするというとこ ろで終わっているように思います。その先の抜本的見直しに進んでいくにはどうするの かお展望が必要と思います。 ○谷口指導課長  いまの点については、確かに4条件をワーキングのほうから示していただき、その4 条件がいまのところは満たされていないから、当面先送りという結論にしていただいた と理解しています。今後、そういう4条件の検証というか評価について取り上げなけれ ばいけないということで、我々も考えているわけです。ただ、この辺の話は、まさに機 能面の話をどのように評価していくかということに尽きるかと思いますので、今後の医 療計画の見直しを、量的なものから機能面のいいものに変えていこうという視点に立っ ているわけで、8行目にありますように、機能面で改善していこうという今後の医療計 画の見直しの成果を踏まえて考えるべきであるということを、少なくとも押さえてきた いという気持で、我々はここに1行盛り込みました。  具体的に何をやるのか見えてないというご指摘だったかと思いますが、ここに細かい ことを書くのもいかがかと思いました。必ずしもそのようにとられないかもしれません が、10頁の17〜26行目のパラグラフの23行目に、それぞれ入院治療が必要なのかどうか 、入院治療の必要がなくなったかなどについて、EBMやクリティカルパスがちゃんと 機能して、地域において評価がされるようになれば、ワーキングで示された4条件辺り の検証にもつながっていくのではないかという方向性を、我々としては一応出したつも りです。 ○津委員  8頁に、「住民・患者に安心感を持ってもらう「医療連携体制」」とありますが、今 までは「診療ネットワーク」というわりに親しみやすい言葉できていたのですが、それ がこういう言葉に変わった経緯、意図を伺いたいと思います。  11行目ぐらいに、現場ではこの連携の体制のいちばん核をなすと思いますが、かかり つけ医という仕組みの中で、現場では医師、歯科医師、薬局等の診療所を中心にして上 のほうにあがっていく仕組みをもう少し強調してほしいなという感じです。  連携体制をやっていく中で、3行目に「地域」という言葉が、従来は2次医療圏とい う言葉でずっときていたのが、ある時期に「日常医療圏」という言葉に変わって、その あと「地域」という言葉できているわけです。実際の現場でこういう体制、あるいはネ ットワークをうまくやろうとすると、表現はよくわからないのですが、地域の中の2次 医療圏よりもっと小さな医療圏で医師会、歯科医師会、薬剤師会等を含めたところの連 携が進んでいる所が多いので、連携体制の医療圏を考えていただきたいと思います。最 初あったネットワークという言葉が消えているのは、内容は一緒だと思いますが、何か 意図があるのか伺いたいと思います。 ○谷口指導課長  ネットワークという言葉が消えてしまったということの経緯ですが、1つにはネット ワークでは片仮名があまり氾濫するのは良くないかなと思ったのが、単純な原因です。  もう1つは、ネットワークになってしまうと、本当に個々の具体的な固有名詞的な医 療機関ばかりが想定されてしまい、そちらにばかり走っていくのは良くないのではない か。一般的な医療機関という意味では、確かに必要だと思いますが、特定の医療機関に ばかり行ってしまって、患者が集中するようなことになっては地域でも困るのではない かというご指摘もあって、あえて連携体制という言葉になっています。 ○津委員  わかりました、ありがとうございました。 ○山本委員  いまのところですが、今回新しく医療提供者という概念が出てきて、8頁にもそうい う議論がありますし、資料の18頁には診療ネットワークを医療連携体制、医療提供者の ネットワークに全部変えられています。これは新しい言葉ですが、今までは薬局は医療 提供者というと、そういう中に明確に組み込まれていませんでした。医療提供者間の医 療機能という表現が8頁の3行目にあり、「患者を中心とした地域の医療提供者の医療 機能と医療提供者の医療連携」と記載もありますが、どんなイメージを想定したらよろ しいのでしょうか。これは中間とりまとめのたたき台ですから、更に中間とりまとめに なって、本とりまとめに行くのだろうと思いますが、どんなイメージを想定したらいい のか教えてください。 ○谷口指導課長  なかなか難しいご質問です。国のほうでこの職種、この職種ということを規定してし まうというのは、1つの考え方なのかもしれませんが、地域において医療を提供してい る方々のある意味で範囲も若干幅があるような気もいたします。その意味で我々として は含みを持たせた形で医療提供者という言葉を、この際使いましたが、それではあまり 漠然とし過ぎて都道府県が困るのなら、私どもは問題だと思います。おそらくこういう ことを考える際に、医療連携体制の構築に向けたことを考えるときに、住民やさまざま な方々が入って、二次医療圏でも保健所単位で保健医療協議会が作られていると思いま すが、そういう中に入ってくる医療提供をする方々というのは、大体どういうイメージ かというのがあって、それが地域によってうまく弾力的に運用されているのではなかろ うかという感じがしています。それはその地域の実情を活かした形で必要な方を入れて いただくということでよろしいのではないかなという感じはしています。  我々はある程度書かなければいけませんので、9頁では、「医師・歯科医師・薬剤師 ・看護師等」という例示はしていますが、そこは少しフレキシブルな形で地域において 検討していただけばいいのではないかと考えております。 ○山本委員  そうすると、医療計画自体が各地で医療ニーズに応じて変化が出ることについてはや むを得ないだろうと思うのですが、今のお話を伺っていると、地域によって全くこうし たネットワークというか、医療連携の中に入ってこない施設があっても構わない、それ は地域の問題だという認識で理解すればよろしいのでしょうか。  というのは、この場に居て議論を進めている者なら、たぶんそういうことについてあ まり誤解がないと思います。具体的にはこれが中間とりまとめになって、国としては医 療計画の概要を示して、それが都道府県に落ちて、今回のスタイルは都道府県が主体性 を持って組みやすい体制をイメージする。すでに2月の部会でも、前回になぞったわけ ですが、医療計画の中の記載事項について議論がされ、そのことについてもう少しはっ きり明示したほうがいいのではないかという議論があったような記憶があります。今回 もこの報告書のたたき台の随所に、医療計画をイメージする、あるいは数値目標を示す という言葉が記載されている。それでいながら、数値目標を示して、最も必要な数値目 標を達成する、あるいはその地域に必要な医療提供体制を確保する施設はどうなのだ、 あるいはものは何なのかが、わりと曖昧にそれは地域任せにする。それが主体性という ことならば、あまりに格差が出てしまうのではないかという気がします。はっきり記載 できるのなら、もう少し明確な書き方をしていただきたいと思います。地域へ行って、 そのことをうまく具現化できるような書き方にしないと、折角議論をしていても、あま り意味がないのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。 ○谷口指導課長  視点の捉え方の違いのような気もしますが、例えば、職種で申しますと、9頁に「国 のほうでは医師・歯科医師・薬剤師・看護師等」という形を記載して、国のレベルでは 、こういう方は大体必須なのだろうなというイメージを持っていただいたうえで、足り なくても構わないというのではなく、これに加えて県の実情があっても構わないと我々 は理解しているということで、足りないのをよしとするかと見るか、多いのをよしと見 るかどうか、その辺の視点の違いではないかと思っています。 ○山本委員  くどいようですが、少なくとも今まで医療提供者、あるいは医療という中に組み入れ られなかった業種からすれば、この書き方では一体地域の医療体制にどう立脚するのだ というのは、事務方がおっしゃるような理解は、なかなかできにくい。しかも全体のシ ステムの中では、将来は在宅が必要だという議論がされていて、いま直ちにここでその ことを書き加えて欲しいということではないのですが、少なくともそうしたことを理解 できるような、あるいはそういう体制がとれるような方向性を見せる記載の仕方が要る のではないかと思います。もしご検討いただけるのなら、その辺りも是非工夫をしてい ただきたいと思います。 ○谷口指導課長  文章などではっきり書いてしまう場合の語弊もあります。その辺は運用に関して説明 会等もありますので、都道府県のほうに理解をいたただくような形での配慮はしたいと 思っています。 ○古橋委員  このたびの医療計画の見直しのキーポイントは3頁の20行目からですが、その中でも 格段に新しい発想になったのが23行目にある「住民・患者にわかりやすい保健医療提供 体制の実現」で、冒頭にある自覚を高めるという辺りも、こういうことがきちんとやら れることによって、医業の消費者というか、受療者はそうしたものの内容が上がってい くのだと思います。  そういう中で2頁の20行目から25行目の「自分の住んでいる地域の医療機関で、現在 どのような診療が行われており云々」という辺りで、これを結果的に実現するためには 、国の全国規模の医療機能調査が一方にあり、もう1つは、消費者としての住民が、必 要としている知りたいことは何か、その情報は何かということを、比較的大きな規模で 知る必要があると思います。  信友委員も言われましたが、利用者のニーズの把握ということを、おおよそ予測・推 測はあるわけですが、行う必要があるのではないかと思います。現在、都道府県には医 療安全推進センターが概ね設置され、そこへは比較的たくさんの意見も寄せられている ように聞いております。そこに届く意見、内容をファーストチョイスで全国規模で掌握 すると同時に、直接国民、地域住民辺りから聴き取るなり調査をして、その内容をもう 一方の資料として持つ必要があると思います。  もう1つは、既存病床についてです。ここにこういう方向づけが必要だと書かれてい ます。それは案として出ていますが、これは具体的にどこで、誰が、どんな介入をして 行うのか、何か腹案があるのでしょうか。3頁の13行目から16行目に「それらの病床を 真に住民・患者が求める機能に沿ったものとして変更することや、真に住民・患者が求 める機能を提供できる医療機関が、それらの病床を利用できる仕組みを考えるべきであ り」ということで、総論的に謳われていますが、これは一体誰ができるのか、どのよう な介入をすることによって、ここに記されたことが既存病床、既得権者あるいは一部過 剰な病床について、できるのかという辺りについてもう少し踏み込むことが要ると思い ます。  もう1つは、各県には県民の相談窓口というのがあって、医療機関、医療に対する不 納得はたくさん寄せられてきていますが、医療機関の紹介は、公的の立場である理由か ら一切できないと言い続けてきたと思います。そういう点では、示されました大阪府の 例も含めて、これから新しい方向になりますが、私は都道府県等が、県民、住民に情報 提供をしていく場合には、もっと大胆な発想の転換をしないと、奥歯にものの挟まった ような情報しか提供できないのではないかと危惧します。そういう点では、第三者の機 構も必要ではないかという気がしていますが、その辺りのお考えはありますか。 ○谷口指導課長  まず、「住民の方々が何を求めているかの調査が必要ではないか」ということでし た。確かに、その視点は大事な話であると考えています。資料の9頁の辺りに、連携体 制を構築する際には、当然住民の方々も入って、組織の中で住民の方々の意見を反映す るということまでは書き込んだのですが、その前提となる調査、指標を定める際におけ る住民の方々の本当のニーズについては、今後の宿題になっていて、具体的な方策をパ ブコメから求めるなど、いろいろなやり方があると思うので、具体的なプロセスの中で 考えていきたいと思っています。  あとベッドの話ですが、「本当に機能に沿ったものに変更するかどうかということは 誰が担保できるのか」というご趣旨だったかと思います。基本的には、医療計画という のは全て県が責任を持ってやるわけですので、最終的には県がきちんとやるということ なのですが、その中で、地域において細かいところに手が届くようなものとして、具体 的に例を出していいかわかりませんが、従来ですとその他病床の中でぐちゃぐちゃにな っているのが、この地域には循環器病床が足りないとか、小児科病床が足りないという ことが、きちんと連携体制を組めばだんだんわかってくるのではないかと我々は考えて います。そういったわかってくる中で、先ほど言った、さまざまな方が入り込んでいる 組織の中で、この地域にはこれを求めていこうとか、これは余りすぎているから変更し ていこうということが基盤になって、最終的に医療計画の見直しの中で県が決めていく 、というプロセスが望ましいのではないかと考えています。  相談窓口についての第三者機関の話ですが、県でも相談窓口はつくってはいるのです が、ご指摘のように本当に機能しているかどうかというのは、なかなか難しい点があろ うかと思っております。全て連携体制ができるというところに逃げ込んではいけないの かもしれませんが、実際に患者にとって、住民にとって望ましい医療が行われているの かどうかの検証自体も、連携体制を考える中で、うまく機能しさえすれば、そこのとこ ろで出てくると我々は考えているので、それが患者の1つの不満なのか、要求なのか、 そういったものが更にどのように改善していくのかということも、できれば地域のそう いう組織の中でできるような方向性が望ましいと考えています。まとめの中に書き込ん ではいませんが、そういった形を我々としては望ましい方向性として期待しているとこ ろです。 ○黒川座長  いろいろあると思うのですが、たまたま先週にゲイツファンデーションでパシフィッ クヘルスサミットというのをやっていて行ってきました。あそこはハートウェルという 、細肪分裂の研究で3年前にノーベル賞をもらった人が主催してやっているので、どう してもサイエンスが素晴らしいという話をするわけです。いろいろながんの薬が出て何 だかんだと、結構盛り上がっていました。  私はパネルで行ったのですが、誰がお金を払っているのか、医療というのは、アクセ ス、クオリティー、コストが大事なので、誰がお金を払うのだと。これはタックスペイ ヤーだから、社会基盤として、どこまでは保証するかというのは大事だと思うのです。  具体的に言えば、アメリカで4,000万人が保険はないわけです。3,000万人が家族が入 院して、医療費が高くて破産しているから、7,000万人は医療にアクセスできないので す。それから、素晴らしい抗がん剤ができたといっても、それがマネージドケアで、い ちいち電話をして使えるかどうかという話があるから、ほとんどの人がアクセスなんか できないのです。  そういう話を全然言いもしないで、コンシューマだ何だと言っている話はどうなのだ と私はしたのです。そしたら途端に議論が違うほうに盛り上がってしまって、プリンス トン大学の先生たちが「公的な医療制度はすごく大事なのではないか」と言い出して、 一方ではウォートンなどのビジネススクールの人たちは、「パブリックのところは不満 が多くてというのは、金持ちの意見ではないのですか」という話をしていたのですが、 格好いいことは言うけれども、そのような医療にアクセスできる人はほとんどアメリカ にはいないのだから。  そういう話をしなければいけなくて、そうするとこの3頁のところも、「真に住民や 患者が求める機能を提供できる」というのは、消費者だから、あれしてくれ、これして くれと言うけれども、誰がお金を払うのかという話は、普段しているのかという話がま ず第1です。  それから、この間も言ったと思いますが、公的なところは自己負担が少なくて、日本 は全部公的なものですから、かかりつけの医者へ行って、少しお腹が痛いから次の日は 病院へ行って、その2日後には少し遠いけれども大学病院へ行ってなどと、みんな公的 な保険制度でハシゴできるなどというのは日本だけなのですから、かなり贅沢は贅沢な わけです。お互いにそういう話はしておかないで、「真に求める機能を提供できる」と いう話になって、「真に必要とする質の高い医療サービス」というけれども、誰が払う かといったらどうするのですか。そういう話が全然出てきていなくて、一方的にあれも ほしい、これもほしいと言って、やるべし、やるべしと言っているところに、いま問題 があるのではないか。  この国民皆保険の制度ができたときは、態度のいい人も悪い人も同じようになる病気 だったわけです、ほとんどは結核です。それから、これができたときはまだ小児麻痺が 多かったのです。そういうような時代のアクセスのあるような医療というのは、素晴ら しかったのですが、いまは3分の1は生活習慣病です。太っている、糖尿病と言われて いるのは急に悪くなっているのではないのですから、運動をしなさいと言われても知ら ん顔をしていて、医療機関のハシゴもできるようにして、CTもリニアックも何でもや ってくれという話でいいわけですね。そうすると、みんながお金を払ってシェアすれば いいわけですか。そういう話はいずれしてこないといけないわけです。健康日本21も、 煙草を吸っていても、何しなくてもいいと言っているのですから。  この辺を各地域ではやるのですが、4頁のいちばん下で、国のほうは何をするかとい うと、いろいろな医療機能の調査やデータを公表して、前から出ていると思うのですが 、いろいろな都道府県の格差が出ていましたが、そうすると、各自治体で「一体何でこ のようなことが起こっているのか」ということを、それぞれが考えてみればいいので す。それは我がままな住民が多いところとか、都会が多いとか。医者の数は決まってい るのですが、歯医者の数は決まっているのですか。 ○津委員  規定はないです。 ○黒川座長  いくら増えてもいいのですか。 ○津委員  増えてもいいわけです。 ○黒川座長  何で医者だけ数の制限があるのでしょうか、いま薬剤師はないですよね。薬学部も6 年制となったら、ビジネスチャンスとして、どんどん薬学部が出てきているという話が あって、私立の薬学部は授業料が300万円とか400万円というところがあって、それが6 年間といえばいいビジネスになるという話をしていたのですが、そこの数は制限はない わけですね。 ○原総務課長  歯科医師の新規参入の数については。 ○黒川座長  数です。 ○原総務課長  トータル数の規制は医師もございません。大学での養成数を抑制しています。 ○黒川座長  あとは試験で調整しようというわけではないと思うのですが、そういう全体の組織が インフラストラクチャで、皆さん医療というのは教育と同じに必要なのです。それをど ういうシステムにするかがすごく大事なので、この辺についても、一生懸命お互いに建 設的につくっていかないと、医療は破綻するし、最終的にみんなが不幸だという話にな ってくると困るのではないかということも考えておいてください。 ○信友委員  論点がぶれがないかを気にしながら考えていたのですが、10頁に出てくる「患者自ら の選択」、EBMですが、これは治療効果のことが書いてあり、もちろんリスクも書い てあると思うのですが、アメリカ等では医師会が、過剰な期待を持たないように、テレ ビや映画をモニターしています。「このような病態で、このように格好よく治るはずが ないではないかと、過剰な期待を持たせるな」と医師会がクレームをつけます。  これは行政がしてはいけないことですが、専門職集団ないし地域医療計画を作ってい る団体、マスメディアならマスメディア、「みのもんたさんにも物申す」ぐらいの、協 力しながらやっていくという姿勢でしないといけない事業ではないかと思うのです。そ のときに、リスク、コストはどのくらいかということをわかってもらって、無限の資源 があるわけではないということをわかってもらう、大事に使うという発想のために、そ ういう患者の協力もいるのではないかと思っています。  もう1つは、計画を作って、そのとおりに実現できるかどうかを見るモニターの方法 について、あまり詳しく書き込まなかったわけですが、その中で毎年行うことのできる 行政権限の医療監視をどう使うか、ということをもう少し書いたほうがいいのか、書か ないほうがいいのか、その辺りが少し気になります。 ○黒川座長  先ほど言った、4頁の「国の役割と責務」というところがあるから、常にこういう話 のフィードバックがある、先ほどワーキンググループで、目標とする客観的な数値目標 が、2頁には「実際に数値目標を書くように」とあったような気がしますが、7頁の上 から5行目にいくと、例えば「指標は量的な整備目標という視点のみではなく、質的な 観点を重視して、良質で適切な医療を効率的に提供できる」、アウトカムとかいろいろ いっているのですが、そういうのを数値目標として書けるかはなかなか難しいかもしれ ません。  その辺はどのようにするかは結構難しいのですが、1つ1つ書いていると形のいい文 章は出てくるのですが、全体として見るとなかなか難しいと。これは別に行政のせいだ けではないので、社会がどのように期待をして、何でもちょうだいと言っていて、それ でいいのかという話と、国としてどこまでセーフティ・ネットとして、みんなのお金で どこまで支えるかという話を、もう少ししていかないと、地域に降ろしていくというの は、地域住民が自分たちでもう少し責任を持ってくるというか、もう少し身近に感じて くるという意味では非常にいいと思います。そういう話を感じられるようなフィードバ ックが地域レベルで出てくるようにしないと、いままでのようであると、何でも国の責 任だといって、国に何とかと言っているうちに議論していると、それぞれ地域が違うの で、そういう話で、基本的には哲学としては流れているのだと思います。 ○原総務課長  いま座長がおっしゃったような患者の教育の問題、それから医療監視といったモニタ ーの話も含めて、特に患者教育の話のほうは。 ○黒川座長  患者教育というわけではなくて、社会の理解というかね。 ○原総務課長  どういう医療を提供していくか、患者はどうあるべきか、医療提供者側はどうあるべ きかといったことについては、いま社会保障審議会の医療部会でいろいろ議論をしてお ります。医療計画というのは、あくまでも地域での取組の中の話ですが、そうした全体 としての議論については医療部会でも議論をしていて、特に医療安全対策などの関係で 、そうした指摘が委員のほうからもかなり出てきているので、考え方については多少は 医療部会全体の意見書の中に書き込む方向になるのではないかと思います。 ○黒川座長  医療制度全体についてコメントするテレビのキャスターには神様みたいになってしま った人もいる。 ○古橋委員  私の発言の後に座長がおっしゃった件ですが、私が「医療を提供を受ける側の国民の ニーズ」と言ったのは、あれをやってほしい、これをやってほしいという意味ではなく て、例えばその後の話に出た、リスクやコストということも含めて、国民が医療を受け る側としてどのようなことが知りたいのか、知っておくべきなのか、「情報難民」とい うような思いでいるのかということを含めて、知りたい情報、知っておきたいこと、知 っておかなければならないことはどういうことかということを、把握しておく必要があ るのではないか、という思いで発言させていただきました。  現在の日本の医療提供体制としての、フリーアクセスと国民皆保険制度を前提とした 中で、地域での医療計画を構築していくときには、どんどん情報が開放されていくと同 時に、消費者あるいはタックスペイヤーと言ったほうがいいでしょうか、その人たちが 知っておきたいと思っていることを、できるだけ確実に把握していくことが大事だと思 います。そして、国民の医療費負担が少しずつ割合も上がってきている状況下にあるわ けですので、なお必要ではないかと感じております。  もう1つ、冒頭にあった文言ですが、7行目に「患者が自らの健康の保持増進に努力 するという自覚を高め」という言葉があります。もちろんそうなのですが、自覚を高め というと、いま自覚が低いということを暗に示されるような気もするので、保持増進に 努力する姿勢を基としてというか、そこを基盤に、医療の受療側も、ある意味で常識的 かつ賢くなってもらわないければならないと思いますので、自覚を高めるという言葉に 対してはそのような印象もあります。 ○池澤委員  全体として今日出された資料の趣旨については、反対する余地があまりないのですが 、私は非常に思うのですが、これは我々がこれからやらねばならない計画という問題で す。そうすると、これは当たり前のことですが、全国的に見て2次医療圏を取ってみて も、あるいは2次医療圏という形では括れない調剤薬局の全国分布等を見ても、住民に 対するサービスの濃淡の差があるわけです。しかし、現実にそれを前提にしなければ、 これから都道府県でやっていく場合に、それぞれの地域がきちんとした理解を持ってや っていなければ、こういう大阪のような馬鹿げた計画が出てしまいます。  馬鹿げたというのは3頁目です。かかりつけ医から「がんの治療を受けろ」と言われ たら、このようなものを医師会が開くかということです、本当に大阪府が考えていると すれば相当に頭が悪いと思います。役人たちが悪いだけではなくて、金儲けばかりに走 っているわけではなくて、このような内容しか作れないのかと思いました。  それはそれとして、我々がやらなくてはならないのは、要するにここで飛べというこ とです。つまり、ナウ・ヒア・フィージブルという、ここでいまできることというのは それぞれ限界があるのです。それはいまの全国自治体病院協議会が、危険だ、医療体制 が十分にできないという情報を発信していますが、そういう状態があります。しかし、 あれは自治体病院だけではありません。全国的に研修医制度が変わったために、実習が 足りない病院が続出している問題があります。  また一方では、1枚目の20何行目かにあるように、これからどんどん高齢者社会に向 かっていく状態があるわけです。そういう中で、果たして老人たちが自分の健康のニー ズをどれだけ把握しているのか、ニーズとは一体何なのだということです。例えば頭痛 があることについて、その頭痛がどれほど重大なのか、重大なものではないかについて は、患者自身はわからないわけです。だから、その段階ではニーズという問題ではなく 、ただの訴えなのです。ニーズとしてはっきり出てくるのは、それぞれ途中の段階で、 1次、2次、3次とやっていく、あるいは3次まで行かないかもしれませんが、そうい う中で、この頭痛は何から出たものであって、開頭術までもしなければらないものかど うか、ということまでを含めて、そこで初めてその患者のニーズがつかめる。その意味 では、患者自身がニーズを知ってというのは不可能なのです。  そういうことがあって、そういうことについてはドクター、ナースが、これまで一生 懸命説明責任を果たしてきています。ここでいわれるような問題が突然必要なのではな くて、現にすでにやっているところが多いわけです。そういう濃淡の差がある中で私が 何度も強調したいのは、ナウ・ヒア・フィージブルという問題です。いまここでできる ことを自治体がはっきりと把握する、その総体として国も把握していただくと。その中 で立ててもらえれば、私はこれはこれでよろしいと思います。 ○黒川座長  そういう意味では、両方の理解が双方で広がっていかないといけないですね。そこで 高山課長さん。 ○納谷委員(代理高山課長)  少し誤解があるようなので、大阪府の医療機能の情報開示の経緯をご紹介したいと思 います。こういったことをしようとした最初の発端は、系列の大学の情報しかないとい うことで、こういう医療機能の情報を整理しようというのは、かかりつけの先生にとっ ていちばん重要なことなのではないかと。そういうことの情報を府全体で把握して、み んなで共有しようということから始まりました。 ○黒川座長  聞く前にこの資料を。 ○針田医療計画推進指導官  まず先に、私のほうから弁明をさせてください。決して大阪府がこういうものを作っ ているわけではなくて、できるだけインパクトのある資料作りに努めていまして、でき るだけセカンドオピニオンなどのガンマナイフ、確かにかかりつけ医でいきなりガンマ ナイフを紹介しないことはわかっているのですが、大阪府の場合はいくつかの段階を踏 みながらやっています。 ○谷口指導課長  資料3の関係は厚労省ですね。 ○黒川座長  それはわかっているから少し言おうと思ったのですが、大阪府の医療計画を基に、厚 生労働省においては新しい医療計画のイメージを作成していたのですから、責任は厚労 省にあるわけです。 ○針田医療計画推進指導官  これがいいというか、このようなイメージでどんどん取り組んでいったらいいのでは ないかという、こういう中身では。 ○黒川座長  わかっています、まだたたき台ですから。 ○池澤委員  ただ、たたき台としてこのような例を書かれてしまうのでは、現場には役に立たない ということを感じざるを得ませんね。 ○黒川座長  いや、そのためにフィードバックしているわけですから。 ○納谷委員(代理高山課長)  そのようなことがスタートしたのですが、そのような情報というのは、実は一般住民 にとっても非常に重要ではないかということで、それをもっとオープンにしようという ことで、当時の大阪府医師会、現日本医師会の植松会長、執行部、大阪府病院協会の先 生方にも相談して、かなり先駆的に理解をしていただいて、英断をして、このようなこ とができた経緯があります。  ただし、情報の質やレベルは十分に協議をしながら進めようということになっていま す。例えばセカンドオピニオンや女性外来を取っても、どういうものを指して公表して いくのかというのは、実は丁寧に議論をしないといけないということが現実にありま す。先ほどご意見がありましたが、今後こういったことを詰めていく場合、医療側と住 民側が十分に協議、勉強をしながら整理していくような場は必要かと思っています。地 域ごとに、地域保健医療協議会というものはすでに設定されているので、このような中 で双方勉強をしながらいくのではないかと思っています。  それで、大阪ではこういうことを基盤にして、その後地域リハのネットワーク、がん 拠点病院、これは特に5年生存率の公表まで至っているので、その後の連携やシステム 化に、非常に発展していって、大きな成果につながる基盤かと思いまして、今回の見直 しで都道府県の役割が非常に重視されるわけですが、このような制度的な基盤をきちん と示されるというのは非常に重要かと思って、非常に期待しています。  あわせて、意見を言われていただきます。ただ、こういう情報や議論を進めていく上 で、地域でコーディネートしていく部分の基盤が非常に重要かと思うのです。その点に 関して、9頁から10頁にかけて、医療連携体制を支える高度な医療機能を有する病院の 中身を(1)から(5)で書いてあるのですが、我々は地域リハのネットワーク、がん 拠点病院で連携体制をつくっていく上で、拠点病院をベースにして、ここに書いてある ように調整しようと思っても、臨床機能に忙しくて、ここに書いてある(2)、(3) 、(4)の機能は、容易なことでは担保できないのです。大阪府では、保健所の企画調 整機能をセットで噛ませて、ようやく機能しているような側面があるので、ここはもう 少し現実的に、それを裏打ちするような保健所の機能とか、何か具体化するようなもの を書き込んでいただけたらと思います。 ○黒川座長  大阪は結構前向きで、随分やっているのですよね。これは書かなくてもやってみると いうのはいいのではないですか。そういうモデルでやっているということを出してくる と、みんなが、ああそうかという話になってくるのではないかと思っているのです。書 いてしまうと限定的になりすぎるのではないかという気がします。創意工夫ができると いちばんいいのではないかと思います。 ○信友委員  全体の構成のことなのですが、制度なので、目的論があり、対象論があり、方法論が ありとすれば、目的のことが少し気になりました。数値目標が出ると、日本人というの はそれを実現することだけに一生懸命になってしまって、そもそも何のためにするのだ というのが抜けてしまうので、今度の新医療計画制度で何を実現するのか。その目的は 2頁に医療計画制度の見直しのねらいが書いてあります。これが大項目であれば、その 中に具体的に3頁に書いてあります。「安心して日常生活を過ごすために必要な患者本 位の医療サービスをつくるために、新医療計画制度ができた」と、そのように目的ある いは上位目標をこれにしていいのかどうか。それから、4頁からは方法論です。だから 、目的論と方法論をきちんと分けた上で、数値目標の位置づけをすると。  そうすると、対象とするのは、今回非常にユニークなのは、いままで2次医療圏だっ たのですが、地域という非常に使いやすい言葉があるから、それは日常診療だけかもし れないし、複数の都道府県に跨るものかもしれないし、いろいろあります。対象論の中 に、「地域ということをもう少し丁寧に、都道府県で柔軟に考えて計画を作られたらど うですか」というのがあると、相当勇気が出てくるのではないかと思います。 ○黒川座長  確かに一般的にいうと、政策とか、こういう話も大きなビジョンがあって、時間的に 何年までに何をしたいという目標があって、それにいくための戦略的な行程ができてき てという話で書いてあるのですが、日本の政策は普通はなかなかそうではないのです。 難かしいのです。少しそれは考えてみましょう、何を目指しているのか、そのためにど ういう目標を設定して、方策としてはどういうことを考えているのか、という話を掲げ たほうがいいのではないかという気がします。それぞれのステークホルダーがあるわけ ですが、それがどのようなことが期待されているかという話が出てくればいいのかとい う気がします。 ○津委員  いまの目的の話で、3頁の20行目のところですが、こういったところが目的になると いう話がありましたが、ここに「患者本位の医療サービス」というのがあって、患者本 位というのが、患者自身あるいは私ども医療機関のほうも、きちんと何が本位かを理解 できているでしょうか。何となくこの辺がうやむやで、この「患者本位」「患者第一」 という言葉が先行しているような感じがするのです。先ほどから我がままでとか、いろ いろありますが、どこの段階で本当の本位か、いかがでしょうか。 ○黒川座長  それはおっしゃるとおりだと思います。患者本位というと何を言ってもいいというわ けではなくて、誰がお金を払っているのかという話も考えてくれ、という話をしなけれ ばしょうがないのかという気もします。それは少し工夫しなくてはいけないかと思いま す。世の中の風潮は、患者は何でも言っていいのですが、医療提供側は言ってはいけな いというようになっています。行政も同じなのではないでしょうか、あまり言わないで と。一生懸命やっているのはわかるのですが。  もう少し対話とか、会話というふうに進まなくてはいけないのではないかと思いま す。昨日テレビで日韓の若い人たちの話合いというのをしていました。日韓問題、竹島 問題はどうしてなるのかといったら、最初は若い人同士でお互いに尖り合っていたので すが、最後のほうになってきたら、両方ともポジティブになって、これからやることは たくさんあるという結論になっていました。私も最初聞いていたら、韓国の人は何でそ のようなことをすごく尖って言うのかなと思ったし、日本のほうはそこをあまり知らな いで言っているのかなという気がしていたのですが、話しているとお互いに事情がわか ってきて、やたらとにこやかになって、「将来は私たちが連携しなければいけない」と いう結論ですごくよかったのですが、似たようなものかなと思っていました。 ○土屋委員  具体的なことを伺いますが、「中心となって医療連携体制の構築に向けて調整する組 織」と、何にでも解釈できるようなことになっていますが、これは例えばその地域にお ける医師会、地域保健医療協議会、包括医療協議会というようなものをイメージしてい るのですか。 ○谷口指導課長  以前の資料の中では、どちらかと言うと医療機関のイメージで、連携体制を組むいく つかの医療機関があって、その中で、みんなで「この医療機関がいいのではないか」と いう医療機関が、調整が必要な場合のコーディネータ的な役目を果たせばいいのではな いかと我々も考えていたのですが、必ずしもそのようなところではなくても、おっしゃ いましたように、保健所の中の保健医療対策協議会など、別の組織でも構わないかもし れませんが、そういったところできちんとできるところがあるのであれば、限定しなく てもいいのではないかという趣旨で、このような形に書き換えたということです。 ○土屋委員  先ほど座長や当の大阪府の方もおっしゃったように、本来の大阪府のイメージしたこ とと全然違ってしまっていると思うのです。特に、当初、診療ネットワークという構想 の中で、患者自身が、「自分は胃がんらしいから、どこにかかったらいいか」という現 実離れしたような話から始まっていましたが、それをずっと引きずっていますね。検診 を受けてみたい程度はいいのですが、かかりつけ医ががんの治療を受けるようにと言っ て、患者を放り出すこともないでしょうし、患者が「私はリニアックによる治療を受け たほうがいいかしら」とか、「化学療法がいいのか、放射線治療がいいのか」というこ とを自ら判断して、そこを選ぶということもないと思いますので、公表できるようなも のではないと思いますが、いかがですか。 ○針田医療計画推進指導官  なかなか趣旨がうまく伝わらなかった部分がありますが、基本的にわかりやすさと言 うか、患者の選択と言うか、医療情報はいろいろありますが、大阪府はかなり信頼性の あるシステムをつくって、府民からは結構好評だという話を聞いているので、そういっ たものをどんどんアピールしたいということです。ただ、それをできるだけコンパクト にまとめてお示ししようとした努力が裏目に出た部分がありますが、もう少し汎用性の あると言うか、コンセプトはご理解いただいて、参考として提示したものですので、ま た追って検討いたしますので。 ○土屋委員  これは失敗作だと思います。ですから、作り直すならもう一回最初から作り直さない と、少し恥ずかしいのではないでしょうか。 ○黒川座長  厚生労働省において新しい医療計画のイメージを作成というのだから、このようなこ とを考えているのかというのではたまったものではないというのはありますね。 ○池澤委員  鞄でいいものはないのかというのを引くと、ルイヴィトンがどう、何がどうというの が出てくるだけのようなものです。だから、自分に合ったものを選ぶということがニー ズなのだから、そういうものとして見たときに、まず第一にこういうルートは通らない ことを明らかにしなくてはいけないと思います。 ○黒川座長  いま専門医の話で、標榜科の問題があります。だけど標榜科で行って、例えば循環器 とか、何とかと専門医の標榜科があるのですが、いまの公的な保険で、患者が「私は循 環器に違いない」と思っていけるというのは、そのようなことをしているのは日本だけ です。普通は医者から紹介されて行くわけで、何で患者が心臓の病気と勝手に判断する のですか、どこでも行けるというのは日本だけの話なのですが、それも日本の常識で、 他では全然考えられないことがわかっていないことに問題がある気がします。そのよう な話もだんだんわかってもらわないと困るのではないかという気がします。 ○長谷川(友)委員  事務局の弁護をするわけではないのですが、いろいろな医療機関の成績などを、リポ ートカードという形で出している国はあるのです。どういう方が実際に使うかというと 、もちろん患者本人が使うのはいいのですが、ヘビーユーザーというのは医療関係者で す。例えば、かかりつけの先生がどこに紹介するかという便宜に使うと。それを考える と、いきなりガンマナイフが出てきてびっくりするというのはあるのですが、組立方次 第ではいけるのではないかと思います。少し直していただければ何とかなるのではない かという気がします。 ○土屋委員  すでにこういうものは都道府県医師会レベルではなくて、郡市医師会レベルではでき ているのです。それは、まずは医療提供者同士の情報交換ということで、それは大変機 能していると思います。それをその地域の住民の皆さんに公開すると。それには、素人 の皆さんがわかりやすい形で公開するということなのでしょうけれども。それは先進的 な大阪でそういうことはやっていて、もともとはそういうことであったようです。これ は絶えず気をつけて、更新していかないと、その医療機関の機能は施設と人間次第です ので、施設で高度な機器を入れても、それを扱える専門の医師がいなくなった瞬間に、 でかでかと公表してもいけないのでしょうし、第一義的にはそれから始まるということ で、これはそういう意味では意義のあることだと思います。先ほど言った、資料3の2 頁以下は、そういう意味では適当ではない、ということを申し上げたわけです。  それから、資料2ですが、これは見直しの方向性ということで、本日の議論のたたき 台は、そこそこいい形にまとめられてきたかなと思いますが、それを補完すると言うか 、これをもう少しわかりやすく説明するための資料だと思うのですが、これも外へ出す のであれば手直しをしなければいけないところがありそうですので、もう一回チェック をしていただいたほうがいいのではないでしょうか。 ○黒川座長  そうですね、資料3はなしということで、遊びでやったというだけの話です。もう1 つは、先ほど言ったように、自分で循環器など判断して、患者がポコポコ行けるという 話は公的な医療だったら日本だけだと言っている理由は、もう1つは、医者側にしろ学 会にしろ、医者のクオリティをどこまで自分たちで律してやっているかという話が、医 師会側なり学会の認定専門医の問題があるわけで、最近は特に外科の専門医とかいろい ろな話になっています。そういう話と、両方がやっていなくてはいけないという話で、 初めて信頼できる社会が構築されるということです。 ○山本委員  先ほどの質問に戻って申し訳ないのですが、8、9頁で、「新たに医療連携体制をつ くる」ということで、こういう言葉はとてもわかりやすくて私も賛成なのですが、先ほ ど「そこに働く医療提供者はどうイメージするのだ」とお伺いしたわけですが、それが 9頁で、個々に書けないので一応全体の中では、これを読みながら各地域で見てもらえ ればいいということで、そこは確かにおっしゃるとおりでいいと思います。  そうすると、8頁の頭にある、住民・患者に安心感を持ってもらえる医療連携体制と いうものを作るステップとして、両括弧のいくつかが並んでいるとすれば、9頁の1行 目の「医療連携体制の構築に向けた部分」は、これは医療機関だけという概念になりま すよね、これは直し忘れなのでしょうか。ここも、もしそういう流れであるとすれば、 全体が医療連携体制をつくるものが医療提供者の持っている医療機能あるいは医療提供 者間の医療連携という観点からすると、ここは医療機関の役割と国の役割ということに なると、先ほど事務局もおっしゃったように、各地区で見るのは医療機関だけが対象に なってしまって、従来のスタンスから変わらないという形にってしまうような気がする のですが、その辺りは先ほどのイメージとだいぶ変わってしまうような気がするのです が、いかがなものなのでしょうか。 ○谷口指導課長  単純な直し忘れでございます、申し訳ありません。 ○長谷川(友)委員  3頁について2点コメントさせていただきます。1点は、20行以下で、「安心して日 常生活を過ごすために必要な患者本位」、ということで、「患者本位」という言葉が、 発言される方、書く方においていろいろな思いがあるということですが、この本体は患 者本位という言葉は随分使い尽くされていて、本当はシステムそのものを患者中心にリ デザインしないとできない、というのが最近の一般的な考え方になりつつあるのです。 どのようにリデザインしようかというと、まず患者が病気になったときに、どういう対 応をしてもらえるのだろうということが記述されない限りできないのです。それが記述 されて、次に満足するか、不満なのかと。それをある量まで数値にして、よくした場合 に、コストがどれだけかかるかという話があります。それはローカルの中で対応すべき なのか、国全体で対応すべきかというのは別の議論になると思うのです。その辺りの書 き振りが少しわかりにくいというのがあります。  もう1つは、その上の基準病床数の話です。これについては、ここでの議論では急性 と慢性はそもそも機能が違うということで、結構深められて非常によかったと思いま す。田中委員がご指摘のように、病床過剰地域だけの話ではなくて、過剰でも過少で も、きちんと機能と利用効率、当初想定された機能に応じた形で使われていて、それな りの質が維持されて、それは許容できるコストなのかどうかが、不断にわかるような仕 組みになっていないと評価できないのです。それが放置されているから、例えば既得権 という話になってしまうし、新規参入の阻害という話になってしまうのです。それは基 準がどうのこうのという本来の話ではなくて、いま現在の議論の焦点というのは、どう やって、機能と実際のユーティリゼーションの状況を明らかにするかの仕組みをつくる べきで、それはここの後半にたくさん書いてある話です。これはこれからやると、いま 現在はできていないから、見直しといってもまだデータもないし、そういった仕組みが ないという話であれば、話としてわかる話なので、そこは少し書き振りが不明瞭ではな いかという印象があります。 ○信友委員  「患者本位」の説明なのですが、アカデミックに整形外科医的な流れを説明するだけ なのですが、いままで急性期疾患の時代においては患者に何が必要であるかというニー ズを、プロフェッショナル側がきちんと把握できていました。慢性疾患になれば、患者 はこういう生活をしたいという、患者の生き方、死に方も踏まえて、医療のプランニン グをしないといけないわけです。だから、患者主体の医療というのは、決して医師主体 の医療を否定するわけではありません。医師主体の医療プラス患者主体の医療を両立さ せるにはどうしたらいいか、だから共同作業が出てくるのだと、そういうロジックにな っているのです。  だから、私がかかわった仕事では、例えば2015年にどれだけの医療需要があるか、そ れに従って必要な医師数はどうであるかというのは、専門書団体に聞くと何人と出てく るのですが、これは医師が「これだけの医療が必要だ」という、ニーズに基づいたモデ ルの医療なのです。ところが、患者さんは、ああしてほしい、こうしてほしい、これは ニーズ側からすれば「そのようなものは医療ではない」と。当然なのです、それはデマ ンドモデルの医療というのです。患者主体の医療から出てくる必要な医師数が一致すれ ばいいのですが、違うのです。そういう現実がありますから、いままでのように、患者 のことは全て医者がわかっているという前提ではなくて、患者と医者との2つの視点を 持って、共同でどれだけの医療をつくっていくのか、使っていくのか、そのコスト、リ スク、ベネフィットをどのように共有していくのか、そういう作業の仕方が変わったと いうことで、1つの目で見るべきではなく2つの目で見るべきだ、そういう流れになっ てきたのは、慢性疾患主流の時代において、その人の生き方、死に方が問われている と。  だから、2001年に福岡県で老人病院の先生方が宣言された、抑制廃止宣言です。我々 は患者の治療のために何をしてもいいという発想です。それもあるけれども、もう1つ は、患者はどういうことをしてほしくないか、最後までクオリティオブライフを維持し てほしい、それを聞いた上で、自分たちがやっている医療、看護、介護見直しをして提 供していくという共同作業になるのです。そういうことで、決して患者の我がままを聞 けという時代に入ったわけでもないのです、患者の言い分を聞く、両方の目で見ていく 、共同作業で目標を設定していくということです。目標が実現できなければ、なぜそれ が実現できなかったかをお互いに納得していくために、記録に基づいて情報を提供して いくという、そういう流れなのです。決してイデオロギーでも何でもない流れです。 ○黒川座長  最初に田中委員の意見を聞こうと思ったのですが、だんだん高齢社会になってきて、 場所によっては高齢者と言われる65歳以上の人が30%、40%のところもあります。そう いうところでのそういう人たちの介護とか、いろいろな話のキャパシティによる影響は どうなのですか。これは一言書いておかないとまずくないですか。 ○田中委員  介護のキャパシティというのは。 ○黒川座長  そうです。介護なり、そういうところのキャパによって、医療のところは少しファジ ーなところもあるのですが、その辺について何も書いていないと、何か問題になりませ んか。 ○田中委員  最初の頃にこの検討会で話をしていた、療養型のベッドの数は、地域における在宅ケ アのサービス量の多寡に応じてベッドへの需要も決まってくるという話ですね。 ○黒川座長  そうです。 ○田中委員  療養期の場合、地域において、医療だけではなくて介護の供給力に応じて、医療への 要求が違ってくる分野もあり得ます。がんの急性期治療は別に影響を受けないかもしれ ませんが、高齢者のお世話に近づけば近づくほどその部分の影響があるので、そこも一 言書いておくと、先ほど長谷川先生も言っておられた、「急性期の病床と療養期の病床 ではニーズのあり方が違う」という議論を反映できます。そういう医療周辺の部分によ っても医療計画は影響を受け得るという、我々の議論を踏まえて指摘しておくべきで す。そこは座長に賛成します。 ○黒川座長  それを入れておかないと、これの指標などを各都道府県なりが出したときに、かなり 背景が違うのではないかという話の考慮がなくなってしまうと、少しまずいのではない かと思います。 ○田中委員  そうですね。 ○福島委員  個別的な内容でもないのですが、全体的な中間まとめの方向ということでは、私の感 じでは、いろいろな意見が出ましたが、いままでずっと議論してきたことがうまく取り まとめられて、1つの方向性としては、このようなことが論議されてきたということが うまくまとめられているのではないかと思います。  内容はご案内のとおり、国の権限から、県、地方へというところが大きな流れになっ ておりますが、どこにどういう補足が必要かは別にして、いまでもそれぞれ5年ごとの 県の見直しの状況などを見ていても、県知事とは言いませんが、医療計画担当者が非常 に熱心な、意欲のある方がある県、地域とそうでないところとはそういう市町村でもそ うだと思いますが、結果としてかなり取組に差が出てきます。今後、国の権限とか義務 を県、地域に移していくことがますます強くなるわけですから、国の関与というと少し 問題がありますが、明らかにこのような県を放っておいていいのか、このような地域が 残っていていいのかというものについては、最低の指導、国の基準から見ておかしいと いうものについての対応策、この中にそういうものもいくつかありますが、そこは権限 、責任を移すのと同時に何か手当が必要ではないかと思います。  また、いまもいろいろと議論が出ていますが、これを具体的な実効に移していくにつ いては、かなりいろいろな困難や課題がありますが、現状からの新しい出発だと見れば 、いまの現状からここで新しい方向性を出していることについて、スタートの第一歩と いうことで、多少問題を含みながらもスタートしていくことが必要なのではないかとい う感じがしています。 ○黒川座長  全体としてはそういうような地域もあるし、地域によっては具体的な案があまりない ところもあって、霞ヶ関で何か出してくれという話にしばらくはなると思うのです、そ ういう話がもともとあります。いろいろな質問があれば、どういう趣旨ですよと、全体 の委員会の趣旨にしても、そういうことをある程度サゼッションしてあげられると思い ます。完全に独立していろいろ考えるというのはなかなか難しいのですが、こちらから 網をかけるように、ああしろ、こうしろというのはやめましょうという話では、非常に いい第一歩なのではないかと思います。  それから、各地によっていろいろな問題が出てきたことをフィードバックさせていた だいて、行政としても考えてみることが大事なのではないかと思います。そういう意味 では大阪府の新しい試みもそうだし、医師会の試みもそうだし、それぞれの医療の人た ちはそれぞれの地域に根差したいろいろな活動をしていると思うので、どちらかと言う と、それぞれのコミュニティと医療提供者側、いろいろな職種の人たちが会話をして、 お互いに理解を深めるのがいちばん大事なのではないかという気がします。そういう話 も、だんだんいろいろなモデルが出てくると、いろいろなフォローをし始めるのではな いかと思います。  そのようなことで、ディテールをやっていてもいろいろ問題が出てくるので、時間に なったと言えば時間になったので、福島委員のありがたいお言葉で、たたき台の整理を していただいたということで、次回の検討会でこれを取り入れて、できれば目標とか、 いろいろなことがわかるような格好に、一部は順番を変えるとか、いろいろなことがあ ると思うのですが、中間まとめを整えていただいて、またお集まりいただく格好にでき ればと思いますが、よろしいでしょうか。 ○谷口指導課長  本日は活発なご議論をいただきましてありがとうございました。大変有益なご助言等 々をいただきました。それを基に、今回のたたき台につきまして修正をいたしまして、 次回またお示しをさせていただきたいと思います。  次回でございますが、事前にお願いをしてあると存じますが、7月11日(月)の午前 10時からを予定しています。場所につきましてはまだ確保できておりませんので、後ほ ど連絡させていただきたいと存じます、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○黒川座長  どうもありがとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)