05/06/20 厚生科学審議会感染症分科会感染症部会エイズ・性感染症ワーキンググループ 第2回議事録                    第2回            厚生科学審議会感染症分科会感染症部会             エイズ・性感染症ワーキンググループ                           平成17年6月20日(月)                           10:00〜12:00                           厚生労働省 省議室(9F)                   議事次第 1.開会 2.議題   1)後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について   2)性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について   3)その他 〈資料〉 資料1  エイズ・性感染症ワーキンググループ名簿・・・・・・・・・P.2 資料2  「エイズ予防指針見直し」に係る今後のスケジュール      について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.3 資料3  後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針見直し      検討会報告書(概要) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.5 資料4  後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針見直し      検討会報告書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.9 資料5  「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」      の主な改正概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.29 資料6  「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」      (平成十一年十月四日厚生省告示第二百十七号) の      一部改正をする件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.31 資料7  「性感染症に関する特定感染症予防指針」の主な改正      概要(案) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.43 資料8  性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について(案)            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.47 資料9  「エイズ・性感染症WG検討方針: 性感染症に関する検討」      に対する日本性感染症学会としての意見・・・・・・・・・・P.71 資料10  米国の性感染症対策について・・・・・・・・・・・・・・・P.87 ○前田補佐  それでは定刻になりましたので、これより「第2回厚生科学審議会感染症分科会感染 症部会エイズ・性感染症ワーキンググループ」を開会いたします。  まず、本ワーキンググループの開催に当たりまして、田中健康局長よりごあいさつを 申し上げます。 ○健康局長  おはようございます。エイズ・性感染症ワーキンググループの開催に当たりまして一 言ごあいさつを申し上げます。  今日は大変委員の皆様お忙しいところ御参集いただきまして大変ありがとうございま す。また、常日ごろエイズ対策あるいは性感染症対策の推進につきまして、いろいろ御 協力、御尽力をいただきますことを心から感謝申し上げます。  エイズあるいは性感染症は、最近特に若い世代の意識、あるいは行動の変化が変わっ てまいりまして、大きな健康問題の一つとなっているところでございます。また、我が 国におきますHIV、エイズの発生動向におきましても、若い世代の感染症拡大という のは、国民全体が目を向けるべきときではないかというふうに判断しているところでご ざいます。  私どもとしましては、エイズ及び性感染症対策を進めていく上での基本的な方針を定 めました指針というのを、エイズ予防指針は平成11年、それから性感染症の予防指針は 平成12年、それぞれ作成したわけでございます。いずれも5年ごとに再検討を加えて、 必要があれば変更するということになっておりまして、このワーキンググループは、こ の作業をしていただくということになったわけでございます。3月に第1回のワーキン ググループが開かれていまして、その後、さまざまな作業がされたというふうに聞いて おります。  今日はエイズ予防指針見直し検討会から予防指針の改正案が、それから更には検討会 報告書、これが提出されたということでございます。本日は今後のエイズ・性感染症対 策につきまして、忌憚のない御議論をいただきたいというふうに考えておりますので、 よろしくお願いいたします。 ○前田補佐  それでは開会に先立ちまして、委員の出欠状況につきまして報告をさせていただきま す。  本日、小野寺委員につきましては御欠席の連絡をいただいております。それでは、後 の進行は木村座長にお願いいたします。 ○木村座長  おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。  今日の議事次第にございますけれども、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予 防指針の改正、それから性感染症に関する同様の指針の改正について御議論いただきた いと思いますが、まずは最初に資料の確認をいただいて、その後、3月7日のワーキン ググループから大分日が経っておりますので、経過と今後のスケジュールについて事務 局から少し説明いただき、その後、この2つの議題について、それぞれ50分前後ずつ御 討議をいただきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  それではまず、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。 ○前田補佐  それでは資料の確認をさせていただきます。資料編につきましては、資料1から5ま でと資料6、そして資料7〜10の3分冊となってございます。資料1でございますが、 この2ページ目のワーキンググループの名簿でございます。続いて資料2が3ページ目 でございまして、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針見直し検討会報 告書(概要)」として、資料3というふうにつけてございます。それからあと、資料4 は同検討会の報告書ということでございまして、これが9ページからでございます。そ れから資料5が「『後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針』の主な改正概 要」ということでございます。  それから、資料6のみが右綴じとなってございますが、こちらにつきましては、「後 天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の一部を改正する件」ということで、 新旧対照表となってございます。  それから、資料7が3分冊目でございますが、これは「『性感染症に関する特定感染 症予防指針』の主な改正概要(案)」ということでございます。それから資料8が、番 号で申しますと47ページでございますが、「性感染症に関する特定感染症予防指針の改 正について(案)」ということで、新旧対照表とあと各委員からいただいた意見、あと 日本性感染症学会からいただいた意見を付記しているところでございます。  それから資料9でございますが、こちらが71ページ目でございます。日本感染症学会 から4月の25日にいただきました、この指針についての改正意見ということでございま す。それから資料10でございますが、一番最後の87ページでございます。こちらが米国 の性感染症対策ということで簡単ではございますが、1枚付けさせていただいていると ころでございます。それからもう一分冊が参考資料ということでございまして、こちら が参考資料1から5までございます。参考資料1が2ページ目でございますが、「中核 拠点病院(仮称)・ブロック拠点病院・拠点病院の比較(イメージ)」でございます。  それから3ページ目が青少年対策のイメージ、そして4ページ目が同性愛者対策のイ メージでございます。それから6ページ目からございますのが、平成16年度の厚生労働 省科学研究費補助金の、この性感染症とHIV感染症についての特定感染症予防指針に 基づく取組状況の報告書でございます。  それから参考資料5が日本性感染症学会が策定されておりますガイドラインでござい まして、40ページから99ページまでは性感染症診断資料ガイドラインとなっておりま す。また、第1回のエイズ・性感染症ワーキンググループ3月7日に6階の第8会議室 で開催させていただきましたが、委員の先生方には念のために、第1回ワーキンググル ープの配付資料一式を別途用意させていただいております。  あと、そのときの議事録なども用意をさせていただいております。  以上でございます。 ○木村座長  ありがとうございました。資料の過不足はございませんでしょうか。  それでは、引き続きまして先ほど申し上げましたが、少し時間が経っておりますの で、このワーキンググループのこれまでの経緯、今後のスケジュール、および、このグ ループの役割等につきまして、これも事務局からお願いいたします。 ○前田補佐  では、最初の資料の3ページ目の資料2に沿って説明をさせていただきます。今回の 一連の検討につきましては、先ほど局長のあいさつにございましたが、性感染症指針、 エイズ指針ともに施行後、5年後を経っているところでございまして、昨年12月16日の 厚生科学審議会感染症分科会感染症部会におきまして、この両方の特定感染症予防指針 の検討を行う旨について、報告させていただいたというのが最初でございます。その 後、今年3月7日の第1回のワーキンググループにおきまして、エイズ・性感染症、そ れぞれの現状、そして現行の予防指針、そして発生動向調査の見直しについてお示しを させていただいたところでございます。  エイズにつきましては、健康局長の私的懇談会といたしまして、専門家等からなりま すエイズ予防指針の見直し検討会を7回にわたり開催をいたしまして、6月13日付で報 告書をおまとめていただいたところでございます。性感染症につきましては、委員の先 生方から御意見をいただき、今日までに事務局として整理させていただいているところ でございます。今後、当ワーキンググループを本日を含めて2回程度開催し、両指針の 改正案をおまとめいただくというふうに考えております。  その間、エイズにつきましては、厚生労働省ホームページに一般の御意見を募集する 機会を設ける予定としていたしております。とりまとめていただきました指針案につき ましては、最終的には厚生科学審議会の感染症分科会感染症部会に諮問し、8月中に告 示を行うというふうな予定でございます。 ○木村座長  よろしいでしょうか。何か御意見、特にございませんね。そういたしますと議題の1 で、エイズ予防指針の見直しについて、7回の検討会をやってきておりますけれども、 その結果につきまして、事務局からお願いいたしたいと思います。 ○川口補佐  エイズ防止指針見直し検討会におきまして、本委員会での検討の素案として、エイズ 予防指針案を策定していただいておりますので、これについて御説明いたします。  長くなりますので、座って失礼いたします。指針案につきましては、6月13日にお認 めいただきました検討会報告書の内容を踏まえて作成されておりますので、まず、その 報告書の概要について説明させていただきたいと思います。  資料3を御覧いただけますでしょうか。こちら検討会の報告書の概要でございます。 まず、「I.我が国におけるHIV・エイズ発生の動向及び問題点」でございますが、 現在の発生動向の特徴としては、新規感染者の増加率が上昇しておりまして、また、診 断時に既にエイズを発症している患者さんが報告全体の約30%を占めております。その 新規感染事例を分析しますと、2000年以降、地方の大都市においても増えており、ま た、年齢別に見ますと、比較的若い世代を中心に感染の拡大が進んでおります。感染経 路別に見ますと、男性同性間の性的接触が全体の60%を占めている。また、性感染症の 発生動向等を加味しますと、特に若い世代の性の開放化、若年化、無防備化が進んでい るということでございます。  以上から感染の危険性にさらされている国民への対策が重要であるという発生動向の 分析になります。その他、現状の問題点としましては、「2.」に移りますけれども、 一部医療機関への感染者・患者の集中が生じている。それから、国と地方公共団体の役 割分担が明確でない。それから各種施策の評価が十分でない。そういった問題点を踏ま えてエイズ対策の見直しの方向を考えていこうということです。  1ページをおめくりいただきまして、6ページでございます。エイズ対策の見直しの 方向性につきましては、3本の基本的方向性を定めています。まず、(1)として、発 生動向及び疾患特性の変化を踏まえた施策の展開が必要であろう。多剤併用療法の進歩 により、死亡率は著しく減少し、「不治の特別な病」から「コントロール可能な一般的 な病」、すなわち慢性感染症へと変化しつつある現状、それを踏まえて対策を構築すべ き。2番としまして、国と地方公共団体の役割分担の明確化が必要であろう。互いの比 較優位性を踏まえた上で、国がやるべきこと、地方公共団体が中心としてやるべきこと を分析しますと、基本的にはこれからは地方公共団体が中心となってエイズ対策の実施 に当たることが求められるということでございます。  3番目としまして、施策の重点化が必要であろう。特に、これから予防及びまん延の 防止の対策にかかる施策を中心に重点的、かつ計画的に取り組むことが望ましいとして おります。これらを踏まえまして、以下各論でございます。  まず(1)「原因の究明」ですが、国は感染者等の人権及び個人情報の保護に最大限 配慮した上で、都道府県等が地域における発生動向を正確・適時に把握することが可能 な仕組みを検討することが必要としています。  (2)「普及啓発及び教育」でございますが、国民への働きかけのみならず、それを 取り巻く環境への取り組みも必要であろう。それから、無防備な性行動を低減するた め、コミュニケーション能力の向上を図っていくことが必要であろう。具体的には、国 のやるべきこと、地方公共団体のやるべきことを分けまして、国は国民一般対象を中心 として正しい知識等へのアクセスを確保することを中心にやっていくべきである。地方 公共団体は個別施策層を設定し、具体的に行動変容を促すような取り組みを中心的にや っていくべきであるということでございます。  次に検査・相談体制の充実ですが、利便性の高い検査・相談体制を構築するととも に、検査・相談の機会を個々人の行動変容を促す絶好の機会と位置づけまして、陽性者 に対しては適切な相談と医療機関への紹介、陰性者に対しては行動変容を促すような相 談を可能とするような施策展開が必要としております。  4番、医療の提供ですが、一部の医療機関へ患者さんが集中している現状を踏まえ、 医療提供体制の再構築が必要であるとしています。それから、人材の育成による治療の 質の向上等が必要であるという方向性、中核拠点病院を、これは別紙にイメージとして お示しさせていただいておりますが、新規に創設して、そこを中心として医療体制を再 構築すべきとしています。  それから、医療計画等を活用して、重点的・計画的に医療提供体制の確保を行ってい ただく。その際、中核拠点病院と拠点病院との連携を図っていただくことが重要であ る。  次に、研究開発ですが、これから具体的な目標を、期待する成果を可能な限り示しな がらやっていただく。国際的な連携に関しましては、アジアで非常に増えている状況を 踏まえまして、引き続き、それら諸国への協力等を進めることが必要だろう。人権の尊 重に関しましては、HIV・エイズに対する偏見・差別の撤廃について、社会的環境を 醸成することも踏まえて実施していこうということでございます。  それから最後に施策の評価でございますが、1番としまして、国は関係省庁との連携 を一層深めて総合的にエイズ対策を推進していくべき。地方公共団体におきましては、 地域の実情に応じまして、施策の目標を記載するとともに、定期的に各種主要施策の実 施状況等の評価をしていただく必要がある。2番ですが、NPO、NGOとの連携とい うことで、個別施策層を対象とする施策を実施する際に、NGO、NPOとの連携が重 要であり、エイズ予防財団がこういった団体の人材の育成、活動の支援等の核となって 動いていただく必要がある。このように報告書をまとめていただいております。  次に指針について御説明いたします。指針につきましては、今の報告書の内容の基本 的な考え方、取り組み等につきまして、整理させていただいたものです。  それでは資料の5を御覧ください。資料の5ですが、29ページでございます。  前文ですけれども、前文には発生動向につきまして、20から30歳台に多いという年齢 別の特徴を追加記載しました。それから、国と地方公共団体の連携と役割分担について の記載を追加しております。  「第一 原因の究明」、「一、エイズ発生動向調査の強化」というところで、都道府 県が主体的かつ計画的に施策を実施できるよう、地域のおける発生の状況及び動向を正 確に把握することが必要と追加しております。  「二、個別施策層に対する実施」につきましては、都道府県等における追加的な調査 研究の実施を必要に応じて行うべきだということを追加しております。  「第二 発生の予防及びまん延の防止」ですが、発生の予防及びまん延防止にかかる 基本的な考え方を追加記載するとともに、施策の実施主体の明確化、記載の順番の変更 等を実施しております。基本的な考え方の中では、発生の予防及びまん延の防止にかか る保健所の役割を明確化しております。  「第三 医療の提供」ですが、全体的に順番は入れかわっていますが、すべて現行の 指針の要素を、そのまま整理したということでございまして、それにプラスアルファ以 下の点について追加をしております。1つが、「中核拠点病院」の制度の創設。それか ら、各種拠点病院の役割の具体化ということを記載しております。また、外来診療にお けるチーム医療についての指針を作成する。それから歯科診療の確保のため、歯科診療 所と拠点病院との連携を進めるというものについて記載しております。  次に「二、人材の育成及び活用」というところで、ブロック拠点病院等による出張研 修で中核拠点病院の人材の育成を追加すべきというところを記載しております。  1ページおめくりいただきまして、個別施策層に対する施策の実施というところで、 外国人にかかる医療の対応を、これは個別施策層対策といえますのでここへ移動してお ります。それから、外国人患者等への都道府県による検査、相談体制の充実を追加いた しました。  「第四 研究開発の推進」ですが、研究開発の推進の実施主体を明確化しておりま す。  「第五 国際的な連携」ですが、これにつきましても実施主体を明確化、国が中心的 に実施するということを追加しております。それから人権の尊重ですが、本文中に人権 を尊重という用語を追加記載しております。  「第七 普及啓発及び教育」ですが、基本的な考え方を追加しております。○の1つ 目としまして、感染の危険性にさらされているもののみならず、それを取り巻く家庭や 地域等への取り組み、行動変容につなげる環境の醸成が必要であろう。それから実施の 際には、国と地方公共団体の役割分担の明確化が必要であると。  それから、「第八 施策の評価及び関係機関との新たな連携」ですが、施策の評価の 部分に関しまして、関係省庁連絡協議会の場を活用しまして、連携を強化、都道府県は 地域の実情に応じて施策の目標等を設定する。国はそれら施策の実施状況をモニタリン グしまして、必要に応じて技術的助言を行うものとする。最後にNGOとの連携で、先 ほどの報告書にありましたとおり、NGOの支援及びエイズ予防財団の役割の明確化を 図るということで指針に落しております。  以上でございます。 ○木村座長  ありがとうございました。このエイズ予防指針の見直しの検討会の方も、私が座長と いいますか、進行をまとめさせてきてまいりましたけれども、コンセプトとしては今ま で、必ずしも明確になっていなかった国と自治体の役割、こういったものを明確にして いく。特にその中で自治体の主体的な取り組みをより積極的に促すという方向で考えて まいりました。そして、自治体の取り組みの1つとして、今、お話のあった中核拠点病 院というようなものを設けて、より均てん化された医療の提供ができるようにというよ うなことなどを盛り込んでおります。それと早期発見、発症予防というようなことのた めに、検査体制の充実、もちろん予防啓発の充実に加えてでありますけれども、そうい ったところも必要であろう。  それから若者対策として他省庁、特に文科省とも連携が重要であるというような幾つ かの点について、見直しを行ったところでございますが、この見直し案について、何か 御意見ございますでしょうか。特にエイズの見直しの方に入っておられない委員の先生 方もおられますので、特にそちらの方から御意見があったら。北村委員どうぞ。 ○北村委員  北村でございます。私はエイズの見直し検討会に入っていないものですから、しかも エイズの専門家という立場ではございません。性感染症に対しては大変関心を持ってお りますけれども、どこから絞っていいかというのは難しいんですけれども、私が調べま したところ、例えば、読売新聞が昨年の報道だったでしょうか、都市部の11自治体にお いて、HIV関連対策予算が10年で7割減少という、こういう記事を見つけまして、 1995年度には約16億9,300 万円だったものが、2004年度には5億5,700 万に縮小してい る。こういう報道がございました。これについては、まず事実なのかどうか。そして、 その内容を見ますと、普及啓発事業というところで相当な減額が起こっているというこ とがございます。例えば、一番減額が大きかったものは千葉県で90%ほど減額したと。 東京都あたりですと、6億3,200 万あった予算が2億2,400 万になり65%も減額した、 こういう事実が報道されておりましたけれども、もし、事実であるとしたら、今回のこ の見直しのどの部分が地方自治体、都道府県などの予算を増額させる引き金になるのか どうか。このあたりについて検討会に出席された先生方から御意見を伺えたらと思って います。  もう一つは、私自身は若者たちとの関わりの中で仕事をすることが大変多いわけです けれども、検査を始めとした部分において、果たして保健所が本当に早期発見のための 場に、とりわけ若者たちになるのかどうか、このあたりについて大変不安がございま す。  拠点病院がエイズのシンボルのようにとらえられておりますけれども、私はHIV感 染は、性感染症そのものだという認識をしているものですから、そういう意味では性感 染症の早期発見、早期治療こそ、エイズ予防のまさに第一歩だという認識をしておりま す。  そんな中で、例えば、エイズとは直接関わりが少ないかもしれないけれども、私ども のような実地臨床医の力、役割というものは大変大きいんだろう。とりわけ、開業医な どのレベルで性感染症の検査、治療、このあたりに相当な予算がついてこそ、初めてエ イズの拡大を防止できるんじゃないだろうかというこだわりをずっと持っておりまし て、この件につきましては、例えば、検査の保険適用化というようなことが具体的に考 えられていないのかどうか。  現実に私どものところに来る若者たちは、残念ですけれども、親から保険証をもらえ ません。今、個人カードというものが用意されている状況が徐々に広がっておりますけ れども、親は十代の若者たちに個人カードは渡さないことが多いようです。したがっ て、結果として大変高額な請求を若者たちがされてしまうわけであります。日本以外フ ランスやスウェーデン、カナダやそのあたりの状況を見ましても、若者たちのリプロダ クティブ・ヘルスケアに関わる経費というのは、少なくとも十代については無料だとい うことが保障されております。そういうあたり、ぜひ国のお考え、具体的なお考えを聞 きたい。青少年対策が大変重要だということは強調されておりますけれども、さて、そ ういう方向に向けた努力がなされているのか。  3番目は性教育の問題です。中学3年生にいわゆる性器の模型を使ってコンドーム装 着法を教えると、それは過激性教育という烙印を押されるという、これは東京都の教育 庁がそういう指示を出しておりますけれども、そのような状況の中で、果たして若者対 策は進み得るのかどうか。文科省を巻き込むためには、私は教育を受けることに対す る、あるいは教育をすることに対して保障するというような、こういう文言を何とか入 れられないのかどうか。差し当たって、以上3点について御答弁をいただきたいと思い ます。 ○木村座長  自治体の予算の件と、それから検査をもっと受けやすくすることについて、それから 学校での性教育について3点でございますが、最初の自治体の予算が削減されていると いうことについては、細かい数字は別として、全くそのとおりであって、エイズの方の 検討委員会でも、これをどうにかしなくちゃいかんという意見が大分出ておりました。 最終的には事務局の方でまとめていただいて、文言を盛り込んでいただいていたように 思うんですが、どういう文言に……。 ○川口補佐  先生方から御意見をいただきまして、報告書24ページの「おわりに」という部分、最 後でございますが、「総合的なエイズ対策が講じられるよう、国及び地方公共団体にお いては、診療報酬の活用を含め、所要な経費の確保に努めることを要望するものである 」というところでございます。 ○木村座長  予算を決めるのが自治体なものですから、国がどこまでそれに対して発言できるかと いう、この辺の兼ね合いがあって、「要望する」という表現になっております。検討会 の中では、そういう予算を確保することは必要であるとか、重要であるとか、幾つかの 意見が出ましたが、最終的に要望するという形に……。 ○北村委員  この程度の要望で9割も減額したという千葉県や6割も減額してしまったという東京 都を発奮させることができるのかどうか、大変、私は不安なんですけれども、そのあた りについてはいかがでしょうか。 ○木村座長  事務局の方いかがでしょうか。どちらの事務局に伺えば、関山課長。 ○疾病対策課長  今、先生がおっしゃられた予算が減ったということは、地方自治体にとって、どうい う方向性で、どのようにこの問題に対してアプローチしたらいいのかというところの明 確化がなされているか、なされていないか。地方自治体においても予算折衝の担当部局 に対しては、きちっとした、そのような対策の方向性なり、具体策なりが示せるかどう かが1つのポイントになってくるということと、そして、この問題が他の自治体におい ても、どういう取り組みがなされているのか、そういった点が非常に関心になってく る。 したがって、今回木村先生を座長としてまとめていただいた検討会、ここ5年間にどの ような対策を具体的にとっていくのかという方向性は一定程度、かなり具体的に出てき たということです。  それは例えば、先ほどの普及啓発については、お手元の参考資料の1、あるいは次の 参考資料2、参考資料3といったところで、今まで研究レベルで対策の主要なアプロー チをどのように対応したらいいのかということを模索中であったんですが、その研究成 果は一定程度出てきたということで、それを事業ベース化していこうというような話で あります。このようにどのように具体的にとるかという方向づけてということ、あと今 回、他の都道府県なりがどういう取り組みをやっているのかということを政策評価で毎 年調べてみようじゃないかと。定期的に調べることによって、どれだけの遅れがあるの かないかということもやってみる。これはちなみに昨年の10月ですね、保健所等におけ る検査状況というのを夜間、休日、それから迅速検査、こういったようなものを調べ て、どこがきちっとやっているか、やっていないかというのを公表した。そうしました ら、かなり自治体も問題意識を持って、そういったサービス提供の在り方を検討して、 変更しているということでありますから、そういう予算ありきの話じゃなくて、どうい うことをするかということのモチベーションを付けることによって、より推進力が出て くるんじゃないか。こういう御議論がなされたわけであります。 ○木村座長  予算がないと思った活動ができないのは事実でありますけれども、検討会での話とし ては、そういう要望を出しておいて、あと、定期的にその施策なり、その効果について 評価するようなことをやっていこう。それによって成果が上がっていないようであれ ば、その自治体がまた予算なりを考えてもらえるんではないかという方向に、一応まと めた形になっております。 ○白井委員  地方自治体の一職員として現場を抱えておりますので、予算については、神戸市にお いては何割かは、正確な数字はちょっと覚えていないんですけれども、一時期、エイズ 啓発元年とかというような時期から比べると半減以上減っています。ただ、その間に地 方自治体の全体の予算も減りましたし、職員の基本給も下がりましたし、そういうこと もあって、どれだけエイズとか、性感染症についての優先順位をどういうふうに上げて いくかということがすごく課題にはなっております。ただし、今、事務局の方からお話 もありましたけれども、ほかの自治体でどこまでできているかということを公表してい ただくと刺激になって、うちもやらないといけないということは意識するような、ま だ、そういうアンテナを張っている意識はあります。あと先ほど北村先生のお話の中で 保健所が余り検査としても期待できない現状ではないかというお話があったんですが、 これ以上、保健所は余り役に立たないのではないかと言われますとやる気がなくなりま すし、むしろ、なかなか確保できないところでやらなくてもいいじゃないかみたいなこ とになるとアブハチ取らずになると思うんです。  それとエイズの方の予防指針の検討委員会の中で議論したことで、保健所外の検査を 大都市の方では普及してきているんですけれども、場所は保健所の外であっても、保健 所が主体となって、保健所、自治体が計画をしてという、東京は別かもしれませんけれ ども、そういうところもありまして、そういうところについては、HIV陽性者のう ち、患者さんよりも感染の段階の方の割合が多いというような評価も出ていると思いま す。何とか、そのようないろんなデータを出していただいて、地方自治体がそれを受け 止めていくような形の具体的な情報を、このような検討委員会とか、国からの公表をい ただければありがたいなと思っております。  評価の方については、今日は資料の方にも載せていただいているんですけれども、参 考資料の方で4に「性感染症およびHIV感染症に関する『特定感染症予防指針』に取 り組む状況のアンケート」、一部前回も御報告させていただいていますけれども、今日 は、この中に自由記載をかなり入れていただきまして、そこを見てみますと、やる気は あってもなかなかジレンマを抱えているというところがありますので、国が指針の中で 地方自治体、公共団体がきちっとやるということを示していただいて、更にまた補助金 等はなかなか難しいとは思うんですけれども、地方自治体がそのような申請ができるよ うな形のいろんな枠組での予算の補助をいただければなと思っております。 ○木村座長  池上委員どうぞ。 ○池上委員  北村委員の御懸念、私も日々の活動の中で予算カットは感じておりますので、よくわ かるんですが、今回の見直し検討会の中で、普及啓発において個人の行動に焦点を当て るだけではなく、行動変容につなげる環境の整備という文言を地域、職場、家庭を含め て入れていただきました。今までだと教育は学校にお任せ、学校現場でどんどんまた予 防啓発がやりにくくなっている。これも事実であります。保健所が学校にも入りにくく なっているという中で、本当に地域でどのような取り組みができるのか問われます。環 境整備という文言があることでどれぐらい予算化につながるかはわかりませんが、こう いったような文言を含めたということは、地域でのトータルな取り組みというものを、 今回は追加したというふうに思っております。 ○木村座長  次の問題点が検査のことであります。保健所の検査以外に保険証を使わないで医療機 関等で検査を受けられるような方向性はないものかという点ですが。 ○北村委員  私は産婦人科領域しか十分承知しておりませんけれども、私どもの仲間は、例えば経 口避妊薬ピルを処方する際に、非常に熱心に性感染症の検査をしているという状況がご ざいまして、後ほど資料を提示しますけれども、全受診者のうちのクラミジア陽性率 は、例えば19.4%ですと、ピルの陽性者の場合には6.何%ですというほどに、そうい うようなデータをかなり持っているという状況です。そういう意味では、いろんな事情 で医療機関を訪れた若者たちに対して、性感染症の検査を促し、関心を深め、そして治 療に向けるというようなことは一般医療機関でこそできることじゃないかなという思い が日常非常に強く思っておりまして、1つは保険証を使わないでも若者たちに対しては 検査ができるような体制を整えられないのか、ほかの先進国のように。もしそれがかな わぬとしたら、保険証を使った形の検査というのは現状は不可能です。ですから、その あたりについてHIV・エイズ拡大を防止という意味から、クラミジア、淋菌等々、代 表的なSTDについては、検査についても保険適用になるような方向性というものを見 出せないのかどうか。このあたりについての問いかけでございます。 ○木村座長  保険適用にするのか、それとも保険なしで無料検査にするのか。その辺がちょっとは っきりしなかったんですが。 ○北村委員  私が知る限りにおいては、十代の性感染症の検査・治療については、フランスやスウ ェーデン、カナダ、イギリスなどでは全額無料だという、こういう情報を得ておりまし て、そういうようなことが若者対策としてできないのかどうか。それと基本的に検査は 保険適用になっておりませんものですから、それでも検査を保険を使って行うというこ とができるような体制を整えられないかどうか。この2点です。 ○木村座長  自主的な検査が保険適用にならないかということですね。 ○北村委員  そうです。 ○木村座長  無症状の場合ですね。医療の現場、特に拠点病院などからもHIVの検査について は、医療機関でも保健所と同じように無料でできないものかという要望も聞いてはおり ますけれども、事務局としていかがでございましょうか。 ○疾病対策課長  今のHIV抗体検査については、どういうところでやっているかというと、自治体に おいては保健所、あるいはそれ以外のイベント等に付随しておやりになると。これにつ いては費用は無料である。そして、健康保険証は不要で名前は出さなくてもいい。匿名 である。それから、木村座長が今、お話にございましたように、拠点病院というのがあ る。拠点病院については、これは同じように費用は一部負担いただきますけれども、た だし、保険証等は必要ではないということです。そこの若干いただく幅がありますけれ ども、そういう状況で、ある程度アクセスの便は確保している、これは保険ではなく て、一般会計の方で、そのように適用する。したがって、そこはアクセスの仕方をどう いうふうにしていくかということによるんだと思います。 ○北村委員  私の時間ばかりで申し訳ないんですけれども、私が申し上げたいのは、実はHIV抗 体検査の話ではございません。エイズの前にクラミジアありとか、エイズの前に性感染 症ありという、まさにその部分を早期発見、早期治療に向けることこそ、HIV・エイ ズ拡大を防止する最大の近道であるということを臨床現場の中で実感しておりまして、 これはクラミジア、淋菌等を初めとした性感染症の部分にまで、そのシステムを広げら れないかどうかという問題提供です。 ○木村座長  それでは前田補佐。 ○前田補佐  前田でございます。後ほど性感染症指針でも御説明申し上げようかと思っておりまし たが、一部研究の中ではクラミジア等淋菌については、早朝の初尿で検査ができるとい うことの研究が進んでございますので、例えば、尿を郵送で送って検査をするというこ とは、今後自治体で取り組み可能がどうかということも踏まえて、今後、そういった郵 送検査の試行というものも一部基本指針の案の中に入れているところでございます。ま た後ほど説明させていただきます。 ○木村座長  それては第3点目に移ってよろしゅうございましょうか。学校における性教育の問 題、これはエイズの方の検討会でも意見が出まして、何かやろうとすると、教育委員会 なり、PTAの方からちょっと待てという話が来て、余り活動ができないという話があ りましたが、この点について御意見いかがでございましょうか。そういうこともあっ て、文科省との連携ということを少し強調させていただいたつもりではおりますけれど も、事務局から何か補足があればお願いしたいと思います。 ○疾病対策課長  今回、予防指針の見直しの検討会を実施するに当たりまして、文科省の方にも、この 検討会にお越しいただいて、そして文科省自体がどういう取り組みを行っているのかと いうことを座長の要請で行っていただいたというのが1点。それから検討会のメンバー として、全国高等学校校長会から理事の方を派遣して、またこういう問題というのは、 地域、御家庭の問題であるということで、今後の施策の展開を考えると、全国PTA協 会、こういった方々との連携というのは重要であるということで、そういったメンバー の方々にお入りいただいて、そしていろいろ御議論していただいて、その結果としてさ まざまな御議論をいただいたわけなんですが、ちょうど参考資料2を御覧になっていた だけますでしょうか。参考資料2ということで青少年に対するアプローチというのは、 それぞれいろいろ出てくるわけです。先生がおっしゃられた教育の場の確保ということ で、もう既に学校教育の中でエイズ教育というものを展開しております。何か所からの 地域を指定いたしまして、文科省と連携して、学校、教育委員会と連携して、またPT Aとの方々との連携のもとにおいて、今後はより一層情報交換、あるいは研修会の実施 といったものも必要でないかという御議論があります。こういう家庭の場を通じてお子 さんへの情報提供、あるいはお父さんへの情報提供、こういうような流れというのも重 要でしょう。こういう学校教育の中で、いろいろ場をつくり上げながら、ここに3点、 主に書いてありますが、こういったことなども充実しながらやっていくと同時に、その 予防の手法としては、先ほどのコンドーム装着ということも重要でありますけれども、 今までの研究班、私どもの中の研究班で木原京都大学助教授でありますけれども、こう いった方々が取り組まれてきた性教育の多様なアプローチとしては、コミュニケーショ ン能力を高めることによって性交渉の開始年齢を遅らせる。そして分別のついた状況の 中で性交渉を行う。こういうようなデータがありますが、それは家庭においての会話が よくなされているかどうかということで、会話がよくなされている御家庭については、 コミュニケーション能力が上がって、先ほどのような性開始年齢が遅れてくる、遅延す るというようなデータも出てきているというようなことでありますので、そういうコン ドームを装着だけでなくて、一般的なコミュニケーション能力による人間関係の構築、 こういったところも重視しながら展開していく施策展開というのを今後やっていくべき じゃないか、こういう御議論に至っております。また、我々もそういうような御議論を 踏まえまして施策展開をするということで、今現在検討しておるところであります。 ○木村座長  現実にはいろんな啓発活動をしようとしたときに、障害につき当たるわけですけれど も、あらかじめ教育委員会、あるいはPTA等の理解を十分に得つつ、実施していくと いうことも重要であろうという議論もありました。そういうところへの啓発というと、 ちょっとおこがましいかもしれませんけれども、理解を得るというような努力も今後続 けていかなくてはいけないことかというふうに思います。  ほかに御意見はありますでしょうか。それから、さっきの検査の無料化については、 何かほかの委員から御意見ございますか。 ○白井委員  実際、性感染症の保健所での無料検査というのは、厚生労働省からの補助金の分もあ りまして、HIVとの検査と併用で行っているところは、大体全国の4割程度というこ とがわかっております。ただ、抗体検査ですし、今、病原性の検査につきましては、や はり予算上オーバーになるということで、なかなかそれに取り組んでいません。先ほど も事務局からありましたけれども、厚生科学研究の中で(小野寺委員はちょっと今日欠 席ですけれども)、性感染症検査を無料でできないかということとか、実際、どのよう な窓口が一番若い人たちにはアクセスしやすいんだろうかということを調べているとこ ろです。保健所の性感染症検査については、ちょっと現状では、それを100%HIVと 一緒にやるということについては、予算の出所が違うというところもあって難しいのか なと思っていますけれども。 ○木村座長  性感染症の検査と一緒にやっているところが4割ぐらい? ○白井委員  そうです。 ○木村座長  実際に若い人たち、高校生とか、そういう人たちの受検は余りない? ○白井委員  余りないですね。夏休みとか、そういう休みの日になりますと、ちょっと高校生も一 緒に来ることもありますけれども、たいていは大学生以上です。 ○木村座長  その他の点につきまして、御意見ございますでしょうか。エイズの予防指針の見直 し、資料の6が新旧対照表になっておりまして、下の方が新しい案で、棒線の引いてあ るところが修正の加わった表現であります。 ○北村委員  これは早急にという、もちろん話ではございませんけれども、私が日ごろ疑問に感じ ておりますのは、性感染症特定指針の改正、そしてHIV・エイズの見直しというよう なことが作業として起こっておりますけれども、私自身は、もう世界の常識はHIV・ エイズは性感染症であるという、この認識からしたときに、これは将来ですけれども、 例えば、担当課が疾病対策課と結核感染症課に分かれているというような体制を検討し ていくということが、HIV・エイズの問題を前に進めるのに大変重要なことなんじゃ ないだろうかということを考えておりまして、このあたりは、また5年先なのか、10年 先なのか、私は承知しませんけれども、そういう考え方をもってSTDとHIV・エイ ズの問題をとらえていらっしゃるのかどうかということについて、ぜひ国のお考えを聞 かせていただけたらと思っております。  それと先生、実は自由民主党が過激性教育、ジェンダーフリー教育の実態調査という のを行っておりまして、もう内容を見ると大変散々な非常に意図的な調査でございま す。私は幸いにも5月24日にプロジェクトリーダーの安倍晋三幹事長代理にお会いしま して、一部修正を求めましたところ、実は実態調査から消えた項目がございます。こと ほどさように、その実態調査を受けて、5月26日に自由民主党本部で性教育に関する、 シンポジウムが開かれましたけれども、少なくとも参加した限りにおいて、政権与党が このような姿勢の中で性教育というもの、あるいはジェンダーフリーというようなこと を含めてとらえている限り、我が国におけるHIV・エイズ、あるいはリプロダクティ ブヘルスというものは、恐らく進まないだろうなという実感を強く持ったものでござい ます。  各都道府県の、あるいは各学校の性教育を担当する人たちがPTAを上手に巻き込ん でという個々の資質に求めるのではなくて、国のレベルできちんと学ぶことを保障する というような、こういう姿勢を明確にしてあげないと、これは我が国の若者たちの危機 が訪れるのではないだろうかという懸念がございます。これは意見でございます。 ○木村座長  施策の方が結核感染症課と疾病対策課に分かれているという実態がありますが、しか しながら、対策としては性感染症、HIV感染症ともに性感染症として統合してやって いくべきであろうと思われます。これについては後ほどまた、性感染症の予防指針で出 てくると思うんですけれども、性感染症学会の方からも同様の強い御意見が寄せられて おります。今、2つの課に分かれていることについては、いろんな薬害のこととかが絡 んでいるのかと思いますけれども、どんな経緯でこうなっているのか、どなたか事務局 の方から御説明いただけるとありがたいと思います。 ○疾病対策課長  どういう経緯かは別として、組織的には、今先生方が厚生科学審議会の感染症部会の ワーキンググループにおいて、2つテーマ、それはエイズと性感染症、2つのテーマを 御議論していただく。課の組織は独立していても、そこで補うのは連携ということで す。本日のように性感染症とエイズ対策について、こういった場で統一的整合性を図り ながら、委員の目から一定の御方針を得ながら御議論していただくということによっ て、もし修正できないところがあるならば、そこは一定程度修正できるんであろうと。 したがって、こういう場が分離しているならば議論は別ですが、2つ課題を一堂に議論 できるということでありますから、組織的には広く広義に見れば、それは一体であると いうことになろうかと思っています。 ○木村座長  役割分担の中で2つの課に分かれているけれども、こういう協議の場、その他の機会 を通じて共通のスタンスでやれるであろう、やっていきましょうということでよろしい でしょうかね。エイズの方の予防指針の見直しにつきまして、ほかに何か問題点などお 気づきの点ございますでしょうか。池上委員どうぞ。 ○池上委員  先ほどの北村委員の御発言にもありましたが、性教育、あるいはジェンダーフリー等 々に対して、今起きていること、これは今後の青少年の性の健康を考えますと、大変深 刻な問題をはらんでいると思います。  性教育というと、現場では性教育という言葉に否定的な反応をして引いてしまうとい うことが、これは日本に限らず多々あるようです。けれど、私たちが今関わっているの は、HIVも含めて性感染症の予防であり、若者の性の健康の保障であるということ を、今確認しておかないと、5年後を見るまでもなく、かなりの勢いで感染は広がるの ではないかと思います。ですから、文科省との協調ももちろんあるでしょうけれども、 やはり、視点としては若者の性の健康へのケアであり、自分の健康を守る情報が、提供 されてしかるべきということを明記する方向が望ましいと思います。 ○木村座長  御発言の趣旨は、厚労省の方がイニシアチブをとって文科省に働きかける、積極的 に。 ○池上委員  厚労省にぜひイニシアチブをとっていただきたいと思います。 ○木村座長  そういうことですね。わかりました。よろしくお願いします。  ほかによろしいでしょうか。もし特になければ性感染症の方の予防指針の方に移りた いと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、性感染症に関する特定感染症予防指 針案について、事務局、前田補佐の方からよろしくお願いいたします。 ○前田補佐  では、前回の議論及び性感染症学会様の方からの御意見などを踏まえた説明といたし たいと思いますので、資料8、47ページから御覧をいただければと思います。  右側は現行の性感染症に関する特定感染症予防指針、左が改正案でございます。こち らの47ページにつきましては、改正に関する前文についての意見といたしまして、「尖 形コンジュローム」から「尖圭コンジュローマ」への変更ですとか、あと「無症状」と 「無症候」では、「無症状」の方がよろしいんではないかという学会からの意見でござ います。  それから48ページ目でございます。こちらにつきましては、本日、北村委員からも資 料提供をいただいておりますが、前回の議論で、この第3段落で低用量経口避妊薬の使 用は性感染症とは特に関係ないということで、性感染症の拡大を招くことにはならない という御意見を踏まえまして、現行の懸念の部分については削除をさせていただいてい るところでございます。  それから、48ページから49ページまでのところの御意見ということで、現在、小野寺 委員の御発言として無症候の感染者については減っているという印象はないという点で すとか、あと性感染症学会様からも感染症情報センターの結果から、若年層における発 生の増加については明瞭であるということで、若年層における発生の増加報告がされて いるという表現は、そのまま用いているところでございます。  それから49ページの第4段落のところでございます。こちらにつきまして、まずいた だいた御意見としては、50ページに6点にまとめてございますが、前回の池上委員の御 発言の中で、性感染症の予防行為も相手と合意しなければ実行できない。予防的な環境 が整えられているかどうかということですとか、あとは注意深い行動により予防するこ とが可能と言い切るのではなくて、社会的な疾患ととらえるべきという御意見。それか ら先ほども御意見が出ましたが、性教育という言葉を具体的に性感染症教育とか、性感 染症予防教育とか、そういうふうな形に特定してほしいという御意見などもございまし た。  それからあとSTD施策と性感染症施策の点につきましては、性感染症学会からの御 意見として、6番にございますが、エイズ予防指針とSTD予防指針は統合すべきと考 える。ただ、国の施策補助金、研究費分配額の違いや患者支援等の民間団体数の多寡に 違いがあると。そして、今回も審議会数での対話の違いが見られるということで、事実 上の連携を目指すことを期待するということで、5年後の見直しに当たっては統合する ことを提案したいということは、学会からの御意見が出てございます。  そういう主な御意見をいただいた上で、49ページの対照表でございますが、まず性感 染症については、従来は普及啓発でなんとか予防できるんじゃないかというふうな表現 になってございますが、予防においては個人の意思のみならず、パートナーという表現 を使わしていただいておりますが、合意なくして実行できないという点を考慮するこ と。そして、個人及びそのパートナーの注意深い行動が予防のために重要であるという こと。それからあと、普及啓発や性の健康行動を支援する環境づくりが重要であるとい うこと。それからあと、若年層を対象とした予防対策を重点的に推進していく。これは 前回、この現行では普及啓発を予防対策の中心という表現を若干変えております。  それからあと、性感染症の予防のための教育と一体的に推進していくということ。そ れからあと、エイズと性感染症は感染経路発生の予防方法、まん延の防止対策等におい て関連が深いということで、現行では連携を図るというふうに書いてございますが、そ の連携を図るための理屈として、感染経路等が関連が深いということを記載していると ころでございます。  それから続きまして、51ページの第5段落でございますが、連携する対象といたしま して、教育関係者を加えるべきという学会の御意見をいただいておりますので、「教育 関係者等」を入れてございます。  それから第6段落は文言修正でございますが、ここの性感染症学会様からの御意見と して、エイズと梅毒と定点観測4疾患以外の疾患について、どう扱うかということです が、膣トリコモナス、性器カンジダ、ケジラミ、B型肝炎などについても性感染症では ないかというふうな御意見もいただいているところでございます。ただ、そのあたりに つきましては、52ページの上段にございますが、本日も参考資料で配布させていただい ております学会STDガイドラインにも若干記載がされているということでございま す。  それから、あと第7段落の見直しについてですが、従来の表現は少なくとも5年ごと に再検討ということでございますが、その再検討に当たっての留意点といたしまして、 性感染症の発生動向、性感染症の検査、治療に関する科学的知見、本指針の進捗状況の 評価を勘案という文言を盛り込んでいるところでございます。  ここまでが前文でございます。53ページが「第一 原因の究明」でございます。こち らにつきましても低用量経口避妊薬の使用等という新たな要素が加わったということ で、その性感染症の発生動向を慎重に把握という表現が現行の表現でございましたが、 その部分を変更いたしまして、性感染症の経時的な流行状況を監視し、疫学的に性感染 症に罹患している者の数を推計していく等を目的として、その発生動向を慎重に把握と いう表現にしてございます。それから既存の調査の例示として、患者調査も入れている ところでございます。  それから第二段落は個人情報の保護に留意しつつ分析というところは修正なしでござ います。  続きまして54ページでございます。これがかなり御意見をいただいたところでござい ますが、現在の発生動向調査ということで、エイズと梅毒につきましては、全数届出と いうなってございますが、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形 コンジローム、淋菌感染症につきましては、現在、全国の922 の定点医療機関、性病 科、婦人科、泌尿器科などからのデータをいただいているところでございますが、そち らにつきましても、かなり現行の定点調査についての御意見として、第1回ワーキング グループでも御発言いただきましたし、性感染症学会からも御意見をいただいていると ころでございます。  まず、改正に関する意見といたしましては、(1)でチェックしてみないと実態の反映 になりにくいんじゃないかということ。それから、安心して申告できる体制、問診が必 要じゃないか。定点バランスについては、70%が今の状況はよくないというアンケート 結果があるということですとか、特定のサンプル病院だけ熱心に報告されるケースがあ るということですとか、あとSTDの患者をたくさん診ているところは定点と選ばれる わけではないという御意見もございました。  それからあと、前回事務局から資料として説明させていただきましたが、保健所あた りの定点医療機関で、各保健所管内で見ますと、婦人科系が0の保健所が47、皮膚泌尿 器科系が40%が0か所。合計2か所以下が83%という状況でございます。  それからあと、性感染症学会様からの意見としましては、(9)にございますが、定点 総計900 強からのデータ数分析であっても、統計学上、十分な推計値が得られるのでは ないかということもありますが、その次に保健所管内にSTD定点の診療所は1か所も ないところが、かなり存在するという御意見。それから定点の選定に当たっては、11番 にございますが、医療情報、社会医学、統計学などの専門家を入れた第三者的機関の諮 問を経て決定することを提案したいという御意見などをいただいているところでござい ます。  そういう御意見を踏まえまして事務局案として考えましたものが、54ページにござい ますが、まず国は4つの感染症の発生動向が的確に反映できるよう、発生動向調査の結 果に基づいて指定届出機関、これは法律上の定点の文言でございますが、適正な基準づ くりに努める。そして発生動向調査の改善を図るというふうに記載してございます。都 道府県におきましては、指定届出機関のうち、性感染症にかかるものを指定するに当た っては、保健所の区域ごとに男性及び女性の性感染症の発生動向が把握できるよう指定 するということと関係機関、関係団体等と連携し、地域における均質性及び代表性が確 保されるよう指定するものとするというふうな定点把握の、結果として定点数の増とい うことでございますが、基準として改正案として考えているところでございます。  続きまして、56ページでございますが、発生動向調査以外の調査につきましては、研 究開発の方の疫学研究の動向のところに移転をさせていただいているところでございま す。  それから、ここの意見としましては、全数調査とHIV感染との比較調査、追加調査 は必要であるということですとか、以前、6年にわたって9道府県での全数調査を実施 した経験があるということで、こういった取り組みが必要ではないかというふうな御提 言もございました。それから、その下の漢数字の四番ですが、印刷物、インターネット 等の多様な媒体を通じた公開提供という点については、特に修正なしとしてございま す。  次が第二の「発生の予防及びまん延の防止」ということでございます。こちらにつき ましても、感染症学会様からの意見として、母子保健関係の達成目標として、従来の性 感染症罹患率を減少傾向へというのが「健やか親子21」に盛り込まれてございます が、そういう点も踏まえて、国及び都道府県は性感染症の罹患率を減少傾向に導くため の施策の目標を設定する。そして、普及啓発及び性の健康行動を支援する環境づくりを 中心とした予防対策を行う。そして、検査や医療を受けやすい環境づくりを進めていく ことにより、性感染症の早期発見及び早期治療を促すというふうな内容を案として盛り 込んでございます。  それから第2段落といたしましては、ここも個人の意思のみならず、パートナーとの 合意なくして実行できないという点を考慮という点を加えてございます。  それから58ページ目でございます。こちらも普及啓発の点で若年層の健全育成のため の普及啓発という表現を盛り込んでおりますし、あとは実施に当たっては対象者の発達 段階、性感染症に対する理解力、地域の特性等というふうな表現を盛り込んだ上で、内 容な方法に配慮というふうな表現とさせていただいているところでございます。  それから59ページでございますが、予防方法としてのコンドームの使用の推奨でござ います。こちらにつきましても、かなり前回の第1回ワーキングで御議論をいただいた ところでございますが、北村委員の御発言として、コンドームで性感染症予防、エイズ 予防も両方可能というメッセージを何としても加えたいという思いがあるという御発言 ですとか、あとはピルとの両用であるデュアルプロテクションの考え方が前回御発言い ただいております。  それからあと、前回のプレゼンいただきました緊急避妊という方法が文言として盛り 込めるのかどうかということですとか、あとは性感染症学会からはSTD予防にはコン ドームが第1選択だというのは変わりはないというふうな御意見もございました。  そういうのを踏まえまして、改正案といたしましては、コンドームは有効な性感染症 の予防方法の1つという文言を加えてございます。それからあと、国及び都道府県は性 感染症予防のための積極的なコンドームの使用にかかる情報の提供、それからあとは、 コンドーム等の正しい使用の方法を入れたりとか、最新の性感染症の予防に関する科学 的知見に基づいて適切に情報を提供していくという表現で、若干微修正でございますが 加えさせていただいているところでございます。  それから60ページ目でございます。こちらにつきましては、普及啓発について手引き 書がもう既に性感染症学会様などでつくられているということで、第2段落は削除をし てございます。  それから3番の「検査の推奨と検査機会の提供」というということでございます。こ ちらにつきましても、かなり小野寺先生の研究班の中で無症侯性クラミジアの研究など が実態として把握されているところでございますが、性感染症の患者または無症状病原 体保有者が当該検査の趣旨及び内容を十分理解した上で検査を受診して、必要に応じて 医療に結びつけることができる体制を整えるということが、今後の考え方として記載し ているところでございます。先ほども若干、意見がございましたが、保健所のSTD検 査は、必ずしも完全に実施されていない。曜日や時間帯の制約がある。そしてHIVの 添え物的な傾向があるということは学会の意見からも出ているところでございます。  それから第2段落といたしまして、そのまま具体的な対応策として、性感染症の検査 の機会を増加するということ。そして趣旨、内容を十分理解した上で受診しやすい体制 を整えておくこと。それから、あと定例的な保健所相談窓口以外にも、普及啓発のため の各種イベントの活用、それから検体の郵送による検査の試みの試行など、個人情報の 保護に留意しながら、さまざまな検査の機会を活用していくことも重要であるというこ とを記載してございます。この点につきまして、昨年度の小野寺先生の研究班の中で、 高校生に対する初尿の検査の結果、男子高校生の6.7%、女子高校生の13%程度が性器 クラミジア感染症にかかっている無症状病原体保有者であるというふうな報告なども いただいているところでございまして、実際に保健所に行くのも、先ほど保険証を使う こともおっくうということもございますが、保健所に行くのもおっくうな方に対して何 とか検査機会を付与できるということができないかということで研究いただきました が、そういう郵送法も今後考えられるんじゃないかということでございます。  それからあと、検査の結果、受信者の感染が判明した場合に、その受信者に対して、 パートナーに対する検査の推奨、その他性感染症まん延の防止に必要な事項についての 説明ということを加えさせていただいているところでございます。  こちらにつきましても、あとは62ページの上でスクリーニングの窓口を何とかつくっ ていくことが必要というふうな御意見をいただいてございます。  それから62ページの中段ですが、手引きについての特に修正はございません。それか ら、あと対象者の実情に応じた対策でございますが、ここも追加的な配慮という第1段 落は同様でございますが、第2段落といたしまして、学校等における教育という表現 を、学校等における性感染症の予防のための教育というふうな形でわかりやすく改正案 を考えてございます。  それから第3段落でございますが、女性特有の症状、特徴ということで、女性に対す る普及啓発の点について書いてございますが、特に、この部分は問題なしということで 修正なしで考えてございます。  それから64ページ目でございます。相談指導の充実でございます。このあたりまた予 算にも関連する部分ではございますが、都道府県等においては、性感染症にかかる検査 前及び検査後において、当該性感染症に関する率直な意見交換及び情報収集を円滑に推 進するとともに、まん延の防止を的確に実施するため、相談及び指導に携わる人材の養 成及び確保に努める。このあたり前回の池上委員の御発言にもございましたが、きちん とそういう性行動について、意見を聞き出せるフランクな意見交換ができる人材養成が 必要だということを踏まえて記載してございます。それからあと、この部分、保健所の 予算にも、実際エイズにかかる検査前、検査後カウンセリングの医師雇上げ費は計上さ れてございますが、それは性感染症が一緒にやっているからだと思うんですが、性感染 症特有の雇上げ費というのは、今まで盛り込まれていなかったという点も踏まえた記載 でございます。  それからあと、第三の「医療の提供」の部分でございますが、この部分につきまして は、一応薬剤耐性菌の未然防止などについても適切に処方された治療薬の中に入るんじ ゃないかという御意見ですとか、あとは性感染症学会さんから意見がございましたが、 特に修正点がないところでございます。  それから第四の「研究開発の推進」、66ページ目でございます。こちらにつきまして も検査、治療、発生動向、それから性の行動様式、それぞれ研究開発を進めていくとい うのが現行でも書かれてございますが、やはり、今の研究の1つとしては、漢数字の二 番にございますが、迅速かつ的確に検査結果が判明する検査、そして新たな治療薬、そ ういったものが性感染症分野における開発として必要ではないかというふうに記載させ ていただいているところでございます。  それから三番の「発生動向等に関する疫学研究の推進」といたしましては、これは前 段の調査の部分から写してきたものもございますが、性感染症の無症状病原体を保有者 の推移に関する研究、地域を限定した性感染症の全数調査、エイズの発生動向との比較 研究、発生動向の分析を行うための追加調査、そして指定届出機関の選定の在り方に関 する研究など、そういう疫学研究によって人口10万単位の患者数の定量的な評価ができ るような研究が必要だというふうな形での具体的に記載しているところでございまし て、現行の低用量経口避妊薬の使用による影響分析などについては、その「等」の中で 読むということで文言としては削除してございます。  それから68ページ目でございます。「社会面と医学面における性の行動様式に関する 研究」についてでございますが、ここも早期発見、早期治療に結びつけるための性の行 動様式だということで、モデル的研究としてございますし、予防策がどれぐらいまん延 防止の効果があるかというふうな研究も必要かというふうに記載してございます。  それからあと、5番の国際的な連携についても、若干の文言修正ということで、ほぼ 現行どおりという形で記載してございます。  それから70ページでございますが、関係機関との連携の強化ということでございま す。こちらにつきましても、ほぼ現行と同様でございますが、漢数字の二番でございま すが、国及び都道府県等の取り組み状況を定期的に調査するということで、昨年、白井 先生を中心に行っていただきました、この指針の実行上の調査、そういったものを定期 的に行っていくべきであるということで、そして、その評価の結果、取り組みの見直し を行うことが重要というふうな表現に変えさせていただいているところでございます。  以上でございます。 ○木村座長  どうもありがとうございました。全体を一気に御説明いただきましたけれども、まず 最初は恐らく前文のあたりが全体にかかることですので、御議論をいただいて、それか らもう一つのポイントは、いろんな御意見の中で定点をどうするかというあたりが1つ の大きな問題点かと思いますので、定点について御議論いただき、残った時間でその他 の点について御議論いただこうかなというふうに思います。  前文についてはいかがでしょうか。ページで47ページから52ページまでの部分です が、全体にかかわることですので、御意見があれば伺って、それに関わる部分へ飛びた いと思いますが、前文では第4段落のあたりに文言の修正がかなり加わっております。 ○北村委員  私が非常に不安に思いますのは、第6段落でございますけれども、日本性感染症学会 もB型肝炎などのウイルス肝炎など、性感染症ではないかという意見をお示しになって いらっしゃいますけれども、5年後の見直しということを踏まえたときに、この性感染 症というものを今例示されているものに留めておいたときに、例えば、予見可能性につ いての不作為に当たらないだろうかという、こういう不安があるんですけれども、大丈 夫でしょうか。要するに、もう既に学会等ではB型肝炎や膣トリコモナス症などについ ては、性感染症であるということを十分認識しておりながら、それをこの中に入れ込ま ないことが、そういう不作為というような評価に当たらないかどうかということに不安 を感じております。 ○木村座長  B型肝炎や赤痢アメーバなどもサーベイランスは行われるわけですよね。ですから、 その動向についてはある程度把握はできていくわけですけれども、性感染症予防指針の 中に含めるかどうかという点ですね。御意見ありますでしょうか。  よく覚えていないんですが、B型肝炎、これは急性期のものは前例報告だったでしょ うか。 ○前田補佐  B型肝炎につきましては、5類感染症の全数把握疾患でございます。 ○木村座長  アメーバの方は定点ですか。 ○前田補佐  赤痢アメーバ症につきましては、5類感染症の全数把握でございます。 ○木村座長  どちらも全数把握ということで、動向については、そうするとウォッチできる形では ありますね。性感染症学会の中でも入れた方がいいのではないかという意見があるとい う表現になっております。更に5年後の見直しまで、今の形でいくか、現段階で幾つか を加えるかということでございます。性感染症学会のほうでもいろんなものをすべて含 めると、どうも焦点がぼけてしまうのではないかというような言い方も一部にはあるよ うでございます。 ○白井委員  感染症法に定められている部分についての疾患名は併記しても構わないなと思うんで すけれども、ちょうど4類感染症の中でもA型肝炎が入りましたし、A型肝炎の感染経 路によっては、それも性感染症ととらえてもいいものがあると思うんですが、ただ、積 極的疫学調査をしない限りは、どういう行為での確定経路というのはよくわかりません ので、数を上げて、それが性感染症ということを言えない部分もあると思うんです。で すから、文言に含めるとしたら、そのような、ただ、明らかに性器クラミジア感染症と か、性器ヘルペスとか、そういうもの以外の部分については、表現をちょっと工夫しな いと、そのまま併記するには解釈が難しいかなと思っております。 ○木村座長  性的接触による感染と考えられるB型肝炎とかというような表現や修飾語が要るだろ うということですね。いかがいたしましょうか。 ○前田補佐  今の感染症法の位置づけと、あと性感染症がどう扱われているかということについて でございますが、参考資料の43ページに性感染症学会が発表された診断治療ガイドライ ンの目次が43ページにございます。こちらで梅毒から赤痢アメーバ症まで性感染症ガイ ドラインの対象となっているところでございますが、感染症法の扱いで申し上げます と、梅毒が5類の全数把握と、淋菌感染症、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖形コン ジローマ、この4つが5類感染症の922 の定点把握の疾患でございます。それから性器 伝染性軟属腫、膣トリコモナス症、細菌性膣症、ケジラミ症、性器カンジダ症、非クラ ミジア性非淋菌性尿道炎、軟性下疳、ここの7疾患が感染症法の対象外ということで、 定点でも全数でも把握はされていないということでございます。その下のHIV感染症 エイズは5類の全数把握でございます。A型肝炎は4類感染症ですので、全数把握でご ざいます。B型肝炎とC型肝炎、G型肝炎、これはA型、E型以外の肝炎ということに なってございますが、一応5類の全数把握。赤痢アメーバ症につきましては、5類の全 数把握ということでございますので、現在のこの指針の対象となっておりますのが、上 から5つ梅毒からコンジローマまででございますが、それ以外でエイズを除きますと、 A型肝炎から赤痢アメーバの下の4段ですね。これは一応現在でも、発生動向について は全数で把握はできるものという位置づけではございます。  以上でございます。 ○木村座長  ありがとうございました。この予防指針の中で上の6つをきちっとやっていけば、ほ かの性感染症に対する予防効果も得られるだろうという考え方もできるかと思うんです が、先ほど白井委員はB型肝炎などは何か、適切な表現を考えた上で含めた方がいいの ではないかという方向でしょうか。それとも逆のお考えでしょうか。 ○白井委員  入れてもいいかなと思っているんですが、ただ、その場合には、そのまま併記をする と誤解があるかなということと、実際にはその報告があった時点で、どのような感染経 路かということを調べにくい現場の状況もあります。そういう疾患も性感染症だという 位置づけをする意味では、入れたらいいのかなと思います。 ○木村座長  今日御判断が難しいようであれば、7月にもう一回予定しておりますので、この後、 7月のときまでに御意見をいただいて、事務局の方で整理していただいておくというこ とでよろしいでしょうか。  では、ほかの点につきまして、前文52ページまでの範囲でございますでしょうか。も しないようでしたら、定点の在り方について、これは54ページの発生動向の調査の活用 というところに関わるところでありますけれども、御覧になりますように、54ページか ら55ページにかけまして、多くの御意見がここの委員を含めて寄せられております。問 題は、現在の定点は必ずしも実態を正確に把握していないのではないか。それは例え ば、人口比で考えてもおかしいところがあるし、保健所単位で見ても0の施設も結構あ るし、二次医療圏の分布とマッチしないようなところもある。いろんな問題点がある。 あと男女の性比ですね。こういったところにも問題があるということで、かなり見直し をしないといけないのは事実のようでありますが、御意見ありましたらお願いします。 白井委員どうぞ。 ○白井委員  54ページの改正案の下から4行目に「保健所の区域ごとに」ということで、保健所を 入れていただいているんですけれども、保健所の区域自体が二次医療圏と全く関係のな い設置の仕方をしてあったりとか、神戸市とか、大阪市の保健所は1か所で百万人以上 というような形での保健所なんですけれども、自治体によっては何千人というところの 保健所がありまして、その保健所の区域ごとにという分け方をすると、逆にもっと訳が わからなくなるのではないかなと思っています。調査の中で保健所管内で全く定点がな いということは、不満というよりは、そういう現状であって、そこでもって保健所の役 割の中で発生動向調査を把握しろ言われても、それは難しい。だから、自治体ごととい うか、ある程度二次医療圏なり、医療機関の定点または人口比に応じてということの基 本の中で、定点のない保健所であっても、自分の地域という意識で、大きな枠組の中 で、例えば県単位であるとか、医療圏単位でというような意識で見るべきだという思い を持っていますので、「保健所の区域ごとに」と書いていただくと、ちょっと枠組もま た統計上、難しくなるのではないかなと思うんです。 ○木村座長  そうすると、必ずしも1つの保健所で、その区域の実態を把握できるようにしておか なくても、二次医療圏なり、自治体のレベルで正しく把握できているような状況であれ ば十分であると、そういうことでよろしいですか。 ○白井委員  保健所の枠組がどんどん地域保健法の絡みもあるのか、統廃合とか、あとは市町村合 併がありますと、抱えている市町村が大分変わってきますので、公衆衛生上の把握と全 然違った形の枠組になってくるようなところもあるようです。 ○木村座長  二次医療圏単位で集計できるようにしておくということはいかがでしょうか。保健所 単位ではなくて、二次医療圏という表現はいかがでしょうか。あるいはもっと単純に、 人口比か何かで決めていけばいいということでよろしいですか。 ○白井委員  今の組み立てがそうだとは思うんです。その中で医療機関の選定をするときに、協力 してくださる医療機関というところのばらつきがかなりあるということで、受診数がか なり多かったり、逆にすごく少なかったりというところで、地域性を代表していないと いうところが問題だと思います。 ○木村座長  改正案でいきますと、恐らく国が指定届出機関の適正な基準をつくっていくことにな ると思うんです。そのときの目安として現行の改正案でいくと、都道府県と保健所の区 域ごとにというあたりが影響してくるわけですね。今の御意見としては、この保健所の 区域ごとにというところは、むしろ削除して、男性及び女性の性感染症の発生動向を把 握できるように指定するというような表現でよいのではないかということでございま す。ほかに御意見ございますでしょうか。  こういうばらつきをなくしていくためには、前回の見直しのときに、拠点病院を大幅 に増やしましたけれども、多分、今回、こういうことにしますと、更に数を増やしてい くということになろうかと思いますけれども、そういう方向でよろしいでしょうか。 ○結核感染症課長  この定点の問題は、感染症の報告の初期からの大きな問題でございまして、大きな流 れとしましては、御案内のとおり、医療法に定める医療計画というもので、地域の医療 機関のバランスが二次医療圏ごとに一般の通常行う医療というものを二次医療圏で完結 するように、うまくバランスがとれれば全く問題はないわけでございますけれども、必 ずしも医療機関の地域的な存在というものに強制力がないものですから、白井委員がお っしゃったように、そのバランスというものが、しかも保健所の区域というものとの整 合性がとれていないというのが、この定点の問題を常に難しくしているわけでございま す。  ただ、同時にこういった定点からの報告を求める際に、現在は行政機関としての保健 所というものによらなければならないことを考えますと、ここで保健所の区域ごとにと いうものをとってしまった場合、どこからそういった情報をバランスよく集めることが できるのかというと、全県的、あるいは二次医療圏ごとにというふうな区分けはもちろ んあるわけなんですけれども、それはそれでまた問題かもしれないというふうに思って おります。保健所の区域ごとにということで、白井委員が問題提起をされたんですけれ ども、これに代わるものがあるのかどうか。少しお時間をいただいて検討させていただ きたいというふうに思っています。  以上です。 ○木村座長  実務的な側面から保健所の役割があるので、ここはもう少し検討したいということで すが、今、追加で御意見がありましたらいただいて、それを参考にまた事務局で検討い ただくことにしたいと思います。 ○白井委員  今、課長のお話でちょっと意図をくみ取ったんですけれども、保健所に定点と言われ るような何千人の地域ですと、産婦人科や泌尿器科やそういうところも無いところも懸 念しているんです。それは無いなりに、うちの保健所管内では「報告が無い」という報 告をすることもサーベランスの意味はあると思うんです。そういう意味では、保健所の 区域ごとということでの、あえて男女比とか、そういうことを詳しく報告することはで きないんですけれども、うちの保健所の区域の現状はこうだということも評価に入れて 報告するということは意味があると思います。 ○木村座長  このサーベランスの目標は、例えば人口10万対幾つというような数字が出せるような サーベランスという方向性でよろしいでしょうか。そうすることによって、地域ごとの 比較なり、諸外国との比較ということも可能になっていくのかなと思うんですが、そう いうことが可能になるような形で基準をつくっていくということになろうかと思いま す。そんな考え方でよろしいでしょうかね。  定点のその他のところにつきましては、よろしいでしょうか。このアンダーラインが 引いてあるところで、今、保健所の区域ごとというところが少し議論になりましたけれ ども、この定点に関するほかの表現についていかがでしょうか。ほかの部分については お認めいただいたということで、その他の点に入りたいと思いますが、第一の原因の究 明、今の定点のところも含んでいる章ですけれども、53ページから56ページ、定点以外 の点につきまして問題ありますでしょうか。56ページの第3の部分については、ほかの 場所、第4章の方に移したということで、ここからは削除になっております。  それでは次に第二の「発生の予防及びまん延の防止」で57ページから始まります部分 ですが、この章につきまして御意見いかがでしょうか。64ページまで。池上委員どう ぞ。 ○池上委員  63ページなんですが、この章の4の対象者の実情に応じた対策の(2)の第2段落、 この改正案、これは前と同じなんですが、第2段落の真ん中あたり、「その際、学校等 における性感染症の予防のための教育においては、児童生徒等の性別構成等の実態、地 域における保護者の理解や保健所の取組状況等に応じた普及啓発が重要である」とあり ます。この児童生徒等の性別構成等の実態というのは、具体的には男子校、女子校、共 学校とこういうことを示すのでしょうかということが1点と、それとHIVのときも出 たと思うんですが、性感染症の予防のための、特に思春期における教育において、今ま でほとんど無視されてきたものが、男性同性間の性的接触ということがあり得るんだと いうことの情報提供、これが学校現場ではほとんど触れられない。しかし、思春期とい うのは、そういうことについて気づいたりする重要なときであって、特にHIVは男性 同性間での広がりが増加しているわけですが、セクシュアリティについての理解とか、 要するに、対象である若者たちの性の多様性を理解して、それらを考慮した普及啓発が 重要であるというようなことを含めていただきたいと思います。 ○木村座長  単純な男性、女性という区分けでない部分があると。 ○池上委員  そこが今まで学校現場において無視されているというか、触れられていないという問 題点が、HIVの予防指針でも指摘されたと思うんです。だから、その点もここで触れ ていただきたいと思います。 ○木村座長  何らかのそういう表現を盛り込むということで、事務局にお願いをしたいのでありま すけれども、なかなか表現が難しいだろうと思うので、池上委員の方から後ほど例文を お出しいただけるとありがたいと思います。 ○池上委員  はい、考えて幾つか提案します。 ○木村座長  57ページの第1段落ですが、性感染症学会の意見として、文科省の性教育と厚労省の STD予防対策の一体的推進が望ましいということを強調したいと書かれてあるんです が、この一体化推進については、この改正案の中で、どういうふうに盛り込まれており ますでしょうか。お願いします。 ○前田補佐  この部分でも御意見をいただいておりますが、その前の前文のところの49ページでご ざいます。この49ページの下から6行目ですね。「学校等における性感染症予防のため の教育と一体的に推進していく必要がある」というところで記載してございますので、 ここを第2のところからは、些少しているところでございます。 ○木村座長  わかりました。重複になるのでということですね。 ○北村委員  1つは予防方法の部分でございますけれども、59ページの第1段落について、2つの 意見を述べさせていただきます。  まず1つは「パートナーが性感染症に感染しているかどうかわからない場合において は」という、こういう文言が前回も残っておるんですけれども、我々が臨床の場で常々 強調しているのは、感染症の世界では、未知のウイルスというものを常に想定しておか なければいけないということから、とにかく、コンドームを使うということを大前提に しておくのがベストだという、こういうメッセージを送り続けているんですけれども、 感染者がどうかわからない場合というのは、これは種々あらゆる検査を施した結果、二 人がその検査結果上異常はなかったというところまでもっていったときに、初めて成り 立つ言葉ではないだろうかという気持ちがございます。このあたりについては、もう少 し簡略にコンドームは有効な性感染症の予防法の1つであるというようなところを強調 することで留めておいた方がいいのかなというのが、私の考えであります。  もう一つは、前回以来、緊急避妊法ということに大変こだわりをもっておりますけれ ども、これについて、実は私どもの国際機関、国際家族計画連盟というところがござい まして、そういうところともやり取りをする中、今、コンドームの使用に際して、仮に 破損した場合には、緊急避妊法というものの情報提供をしておくことがとても重要であ ると。そういうことを実は意見としていただいておりまして、もし可能であれば、私は こう考えているんですけれども、その3行目、「性感染症の予防のための積極的なコン ドームの使用と併せて、コンドーム破損などに際して用いる緊急避妊法にかかる情報を 提供していくことが重要である」という、この文言を入れていただけますれば、コンド ームを積極的に使おうと、しかし、仮に破砕などが起こったときには、緊急避妊という 方法があるんだということをきちっと掲示する。もし可能であれば、今後コンドーム企 業などがコンドームのパッケージの中に入れ込む資料の中にも、緊急避妊法の存在を明 らかにしていただけることが、まさに性の健康を守るという意味では、重要ではないだ ろうかということを提案させていただきます。 ○前田補佐  前回も緊急避妊法につきまして御意見をいただきまして、その意をくみ取る形で最新 の性感染症予防に関する科学的知見という表現を入れさせていただいたところでござい ます。また、緊急避妊法というのは、避妊に有効というようなエビデンスもあると思い ますが、性感染症の予防に緊急避妊法が有効であるというエビデンスというのはござい ますでしょうか。 ○北村委員  全くございません。これは性感染症予防の方法ではございません。ただ、国際的に明 らかなことは、コンドームの使用を加速させる。すなわち、コンドームを使用する際 に、もし仮に間違って破けてしまった、外れてしまったというときに、緊急避妊の存在 が明らかになっていれば、コンドームの使用に対してより積極的になれるという、こう いうことは常々言われておることです。そういう意味で、その文言を入れていただくこ とによって、今後もコンドーム企業などにも影響を及ぼし得るんじゃないかなという気 がしております。 ○木村座長  緊急避妊をどこにどういう形で盛り込むか、あるいはこの予防指針に難しいければ、 エイズのときは、そうだったんですが、報告書みたいな別の文書が、このワーキンググ ループから出るんですか。もしそうであれば、その中に何か少し触れるとか。 ○前田補佐  とりあえず、この性感染症の方については成果物が指針の改正ということでございま すので、そういう御意見があったということが回っていくのと、最低議事録にもきちん と残るということがございます。 ○木村座長  池上委員どうぞ。 ○池上委員  今のことに関連してですが、指針としては、私はやはり避妊という部分は分けてほし いと思います。これはジレンマなんですが、HIV予防においても、異性間を強調する と同性間の人たちが我が事ではなくなる。同性間を強調すると異性間の人たちが我が事 ではなくなるというようなところがありまして、ここで予防と避妊が合わさったような 文言が出てくると、誤解を招きかねないというおそれを感じます。異性間のカップルに は緊急避妊の情報提供というのは重要だと思います。けれども、予防指針の中の文言と して入れるとなると・・・、とにかく誤解を与えないような書き方すべきだというのが 私の意見です。 ○木村座長  あくまでも予防指針であるという観点で統一した方がいいのではないかというふうに は思います。先ほど議事録でというお話がありましたけれども、そこに残しておいてい ただければと思います。 ○北村委員  最新の性感染症の予防に関する科学的知見に基づいてというのが非常に漠然としてわ かりづらいので、例えば、「異性間の行為に際しては」というようなただし書を付け て、緊急避妊の存在を知らせるという、この件についてはいかがでしょうか。 ○木村座長  白井委員どうぞ。 ○白井委員  私は緊急避妊の情報提供については大事だと思うんですけれども、この予防指針の目 的には、ちょっと違うと思うんです。ですから、それはそれでまた別な、逆に言うと 「健やか親子」とかというと、思春期のサポートとか、そちらの方にそういうものを盛 り込んでいただく方がいいんではないかと思いますし、あと現行の方で避妊のためのみ に用いるものと考えられていることが多いかというところを省いていますので、あえ て、すっきりと性感染症予防というふうにはなるのかなと思うんですが、現場ではコン ドームというのは、まだ避妊の材料だというふうにとらえられているところが多いんで すね。特に学校においてのある年代以上の学校の先生方については、「コンドームは性 感染症のためなんですか」というような言い方もありますので、避妊のためではなくて というまではいかなくても、それではなく目的は性感染症予防だということをまえがき に戻してもいいのかなとは思うんですけれども。 ○木村座長  いかがでしょうか、緊急避妊の大事なことはみんなが認めていることではあるのです が、ここは予防指針だからという御意見が多いように思いますので、またちょっと別な 場で緊急避妊ということをアピールしていただければと思います。 ○北村委員  私どもが2004年に行った「男女の生活と意識に関する調査」でも、残念ながら国民の 大半がコンドームを性感染症予防という認識よりも、避妊という認識でとらえている。 そういう意味で、その意識を変えるためにも、コンドームを積極的に使用することの動 機付けとして、この場合は異性間の問題ですけれども、仮に破損などが起こったときに は、緊急避妊という方法があるんだよということの情報提供は、これはまさに性感染症 の予防に非常に強く影響を及ぼしていくんじゃないだろうかと、こだわりますけれど も、この件については、事務局にお預けいたします。 ○木村座長  恐れ入ります。先に進みますが、医療の提供ですね。56ページからおしまいの70ペー ジまでのところで御意見ございましたらお願いいたします。  医療の提供のところは修正なしで、第四の研究開発の推進、それから国際的な連携、 他の関係機関との連携、このあたりでいかがでございますか。  それでは、今特になければ、後ほどまた事務局に思いついた点を御連絡いただくとい うことで、一応、今日はここまでで留めたいと思います。  それでは、時間にもなりましたので、事務局から今後のスケジュール等についてお願 いいたします。 ○前田補佐  本日御議論いただきましたエイズ予防指針案、そして性感染症予防指針案につきまし て御意見がございます場合には、6月23日、今週の木曜日までに事務局宛にファクシミ リなどでお送りいただければと思います。次回の会議でございますが、7月25日月曜日 の午後を予定いたしておりますので、出欠につきましては、また改めてお伺いいたしま すので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○木村座長  25日の時間は決まっていますか。2時から4時ですか。 ○前田補佐  14時からでございます。 ○木村座長  14時から2時間程度御予定に入れておいていただきたいと思います。どうもありがと うございました。それでは次回、7月25日ということで本日の検討会を終わりたいと思 います。どうもありがとうございました。                                    (以上) 照会先:厚生労働省健康局結核感染症課     特定感染症係(清水、平塚) 電話 :03−5253−1111(内線2379、2386)