05/06/17 社会保障審議会医療部会第13回議事録 第13回社会保障審議会医療部会                                     日時 平成17年6月17日(金)                      15:00〜                   場所 都道府県会館1階101号室 ○企画官 定刻を過ぎましたので、ただいまから第13回社会保障審議会医療 部会を開催させていただきます。皆様方におかれましては、お忙しい中ご出 席をいただきまして誠にありがとうございます。  はじめに、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は野呂 昭彦委員からご欠席の連絡をいただいております。また、北村部会長代理か らは、遅れるということの連絡をいただいております。ご出席をいただいて おります委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成立しており ます。  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第のほ かに資料1「医療安全対策の推進について」、資料2「人員配置標準のあり 方について」、資料3「医療施設体系及び医療施設に係る規制のあり方につ いて」がございます。また、参考資料1は、「『医療提供体制の改革に関す るご意見の募集』に対して寄せられた意見について」ということで、2月に 1度整理していただいた論点を厚生労働省のホームページに載せて意見募集 をしたわけですが、現在のところ20人の方から多岐にわたって意見をいただ いております。資料に載っている件数としては20件を相当上回っております が、短冊に分けて項目ごとに整理しております。ご議論の参考にということ で資料として配らせていただきました。  参考資料2は「委員から提出のあった参考資料」です。大橋委員からいた だいた有床診関係の資料、また佐伯委員からは、この部会での検討の中間ま とめが近いということで、それの全般にわたる意見、また古橋委員からは医 療安全関係の資料が出ています。さらに、山本文男委員からは在宅医療に関 する意見をいただきました。今回が各論についての議論の最後であり、次は 中間まとめということもあり、各委員からのペーパーが出ております。関連 する議題、あるいはそうでないものについても、適宜資料を使っていただき ながらご発言をいただければと思います。乱丁、落丁等ありましたら随時ご 指摘いただきますよう、よろしくお願いいたします。以降の進行につきまし ては部会長にお願いいたします。 ○部会長(鴨下) 本日はお集まりいただいてありがとうございます。早速 議事に入らせていただきますが、今回の部会も前回に引き続いて、中間的な まとめに向けて方向性をできるだけ整理していくということでご議論いただ きたいと思います。本日の議題は「医療安全対策の推進について」、「人員 配置標準のあり方について」及び「医療施設体系及び医療施設に係る規制の あり方について」の3つとしております。順にご議論いただきますが、最初 の議題である「医療安全対策の推進」について議論をお願いいたします。事 務局から資料1「医療安全対策の推進について」、ご説明をお願いいたしま す。 ○医療安全推進室長(北島) 資料1の9頁以降に、医療安全対策検討ワー キンググループの報告書を付けさせていただいております。このワーキング グループは、医政局長及び医薬食品局長の検討会である医療安全対策検討会 議の下に設置されたものです。このワーキンググループでは、今後の医療安 全対策の方向性についてご検討をいただき、報告書を取りまとめていただく ため、神奈川県病院事業管理者病院事業庁長の堺秀人座長の下で、本年3月 18日から7回の会議を開催し、5月19日に報告書としてこの形で取りまとめ ていただいたものです。  このワーキンググループの報告書は、本年6月8日の医療安全対策検討会 議に報告され、検討された結果、この6、7頁にあるとおり追加のご意見を 付したうえで、検討会議の高久座長から医政局長及び医薬食品局長宛に報告 をいただいております。  この報告書作成に当たりましては、第7回の医療部会におきまして、医療 安全対策の総合的推進についてご議論をいただき、その際ご了承いただきま した「医療安全対策の方向性」という骨子に基づいて取りまとめていただき ました。  資料1の1〜5頁に、ワーキンググループ報告書の概要を付けております ので、これに沿って説明を申し上げます。1の「経緯・位置付け」はお話申 し上げたとおりです。2の「重点項目」については、この報告書は次の3つ の柱を重点項目としており、それぞれの項目ごとに将来像のイメージと、そ の実現に向けて早急に対応するべき課題と施策を挙げていただいております。  1つ目が、医療の質と安全性の向上、2つ目が、医療事故等事例の原因究 明・分析に基づく再発防止策の徹底、3つ目が、患者、国民との情報共有と 患者、国民の主体的参加の促進です。  3に「主な提言内容」がございますので、順にご説明申し上げます。1つ 目の柱、「医療の質と安全性の向上」ですが、「将来像のイメージ」として、 医療機関等における医療の質と安全に関する管理体制。1つ目が、医療を提 供する全ての施設、薬局等において、管理体制が整備され有効に機能してい る。2つ目が、質の高い医療を実現するための必要な人材確保、適切な医療 の質の評価です。  医薬品・医療機器の安全確保として、1つ目に、医薬品の安全使用と医療 機器の管理に関する責任体制の整備、2つ目として、医薬品に関して、医療 機関と薬局との十分な連携、夜間、休日における安全管理体制の整備、3つ 目として、特に安全管理が必要な医薬品についての業務手順の確立、4つ目 が、医療機器の保守・点検と使用に関する研修の実施、5つ目が、有害事象 の情報収集・共有・提供体制の整備、安全面に配慮された医薬品・医療機器 の供給・採用。  次が医療における情報技術(IT)の活用です。1つ目が、必要な基盤整 備とIT機器の活用による患者との情報共有の推進、2つ目が、IT機器の 導入による事故の未然防止。  医療従事者の資質向上ですが、医療従事者の資質向上と、客観的にモニタ ーするための手法の開発。行政処分を受けた医療従事者に対する再教育です。  これに対応して「当面取り組むべき課題」といたしまして、医療機関等に おける医療の質と安全に関する管理体制、院内感染対策の充実・強化です。  医療安全対策については、これまで医療安全推進総合対策という報告書に 基づいて実施してまいりましたが、平成14年4月に出された総合対策におい ては、院内感染対策は別途取りまとめ対策を行うということで、医療安全対 策とは別の扱いになっておりましたが、今回の報告書におきましては、一体 として推進するという形で取りまとめられております。1つ目は、医療を提 供する全ての施設、薬局に対する規模や機能に応じた安全管理体制、院内感 染制御体制の充実・強化です。  医薬品・医療機器の安全確保として、1つ目は責任体制の整備、2つ目が 医薬品の業務手順書の整備、3つ目が医療機器の保守・点検と使用に関する 研修の実施、4つ目が有害事象の情報収集・共有・提供体制の整備、5つ目 は、最近特に問題になっております持参薬による事故の発生ですが、持参薬 の情報等について医療機関と薬局との連携強化を図ることとしております。  医療従事者の資質向上として、1つ目が研修資料や教材の提供等と指導者 への研修、2つ目が職種横断的な研修と意見交換の実施。  行政処分を受けた医療従事者に対する再教育については、この4月に取り まとめられた「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会」報告 書を踏まえた再教育制度の構築と、行政処分を受けた看護師等他の医療従事 者に対する再教育の検討の必要性が指摘されております。  2つ目の大きな柱は、「医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防 止対策の徹底」です。「将来像のイメージ」といたしましては、医療事故の 発生予防・再発防止策の徹底と医療事故の減少として、登録分析機関に集積 されたヒヤリ・ハットや事故等の事例の分析に基づく発生予防・再発防止対 策の周知と実施です。  医療事故の届出、原因分析、裁判外紛争処理及び患者救済等の制度の確立 ですが、1つ目が、医療事故の届出に基づき、中立的専門機関において原因 分析が行われ、患者等への速やかな説明と事故の発生予防や再発防止に結び 付いていること。2つ目が、医療における苦情や紛争について、裁判外紛争 処理制度が確立していること。3つ目として、事故等への補償制度の確立。 4つ目として、これらの制度が適切に運用され効率的な医療安全対策に結び 付くとともに、医療従事者がリスクの高い医療についても、萎縮せずに提供 することができる。  これに対して「当面取り組むべき課題」は、1つ目として、対策を講じる ために有効なヒヤリ・ハット、事故事例報告様式の作成。2つ目として、医 療機関の管理者及び医療安全管理者の役割の明確化と研修ガイドラインの作 成。3つ目として、薬局におけるヒヤリ・ハット事例の収集。4つ目として、 医療機関、国民に対しての迅速な情報提供。  次は医療関連死の届出・原因究明制度、裁判外紛争処理制度です。1つ目 は「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(平成17年度の新規事 業)を通じた課題の整理と基礎資料の整理、2つ目は、医療機関、医療従事 者や患者遺族等との調整・調停を担う人材の養成方法等の検討です。  3つ目の大きな柱が「患者、国民との情報共有と患者、国民の主体的参加 の促進」です。医療安全推進総合対策におきましても、患者の主体的参加と いうことは謳われておりましたが、具体的な内容として今回、将来像のイメ ージと課題が整理されたものです。  まず、「将来像のイメージ」といたしましては、患者、国民との情報共有 と、患者、国民の主体的参加の促進として、1つ目として、患者、国民が医 療に主体的に参加することの意義について理解していること。2つ目として、 医療従事者と患者との間の情報共有。3つ目として、医療を提供する全ての 施設等において、患者との情報交換や相談等を行う窓口が設置されているこ と。4つ目として、患者からの相談等が医療に反映され、リスク軽減と質の 向上に役立てられていること。  次に、医療安全支援センターの充実として、患者の医療への参加を総合的 に支援するための機能、医療機関等の相談窓口における担当者への支援機能 を持つこと、また、保健医療の課題を地域単位で確立するための連携の要と なっている、といった機能がイメージされております。  「当面取り組むべき課題」は、1つ目として、患者、国民の医療への主体 的な参加を促すための情報提供、啓発、普及活動の推進等。2つ目として、 医療機関の規模や機能に応じ、患者からの相談等を受け付ける機能や窓口の 設置に関する検討。3つ目として、医療従事者、相談担当者への研修、情報 提供の実施。  医療安全支援センターの充実については、1つ目として、これらの機能の 充実と評価、制度的な位置付けの検討、整備促進。2つ目として、これらの 職員に対する必要な研修と心身面での健康保持への留意。  「医療安全に関する国と地方の役割と支援」を4つ目の大きな柱として整 理しております。まず「将来像のイメージ」ですが、1つ目は、医療安全対 策に関する国、都道府県、医療従事者の責務、患者、国民の役割等の明確化 です。2つ目は、医療安全について、都道府県が具体的な取組みを進め、国 は法令の整備、情報提供、IT化の促進、研究の推進、財政的支援等、医療 安全推進のインセンティブを高めるための役割を果たしているということで す。  「当面取り組むべき課題」の1つ目として、国による医療安全対策に関す る国、都道府県、医療従事者の責務及び医療安全の確保における患者、国民 の役割等の明確化。2つ目として、国、都道府県によるハイリスクの部署や 診療科に特化した対策と個別具体的な取組みの推進、その財政的側面への配 慮。3つ目として、国、都道府県による医療機関における機能分化と連携、 効率的、効果的な医療提供体制の構築、医療における必要な人材の確保とそ の適切な配置促進が謳われております。  これらのワーキンググループの報告書の内容は、この親会議である医療安 全対策検討会議でご検討いただきまして、この報告書の内容をご承認いただ くとともに、さらに4つの○の文言を追加したうえで報告したいということ で、このような形で整理をいただいております。  1つ目は、専門医育成のあり方等について検討が必要であること、2つ目 は、高い個人認証システムの導入を含めた、医療におけるIT化の促進を図 ること、3つ目は、医療安全支援センターの機能についてですが、医療安全 に関する情報の医療機関への提供や患者、国民に対する医療安全教育等につ いても検討が必要であること、4つ目は、国及び都道府県は、安全、安心で 良質な医療の確保に必要な基盤整備と人材の確保、それに必要な財源確保に ついて配慮すること、についても十分に考慮すべきであるとの結論を得たと いうことで、座長の高久先生から医政局長、また医薬食品局長宛てにご報告 をいただいたものです。報告書の説明は以上です。 ○部会長 ただいまの説明や資料1に関する質問も含めまして、15時50分ご ろまで、ご自由に意見交換をお願いしたいと思います。大勢の方にご発言い ただくために、ポイントを踏まえて、できるだけ簡潔にお願いいたします。 ○龍井委員 大きく2点申し上げたいと思います。報告書のまとめ方がこう なっておりますので、今日段階ではやむを得ないかと思うのですが、将来像 のイメージ、当面の課題ということで、時間的に「遠い将来」と「当面」と、 誤解が生じるようになっています。我々としては、目指すべき方向と具体策 と捉えさせていただいて、我々の報告の中では、書き込めるものについては 是非具体化をしていっていただきたいと思います。これは要望です。特に例 示だけ申し上げますと、1頁の「医療の質と安全性の向上」というところで、 将来像のイメージとして示されているクリニカルインディケーターの活用を はじめ、ここで掲げられていることは当面の具体策ということで、かなりブ レークダウンできることが入っておりますので、そうした方向でもまとめを お願いしたいのです。  2点目は4〜5頁にかけて、とても重要な指摘だと思っているのですが、 国民の主体的参加の問題、それから患者、国民との情報共有の問題です。た だ我々からすれば、折角情報を提供していただいても、非常に専門的知識を 要することですので、医療機関サイド、そして、ここで示されている安全セ ンター、それからたびたび話題になっているかかりつけ医も含めた全体のネ ットワークの中で、どういうふうにそれが我々に届けられるか。しかも、そ れを我々患者に対して分かりやすく噛み砕いて提供していくという役割を、 行政としても是非担っていただきたいと思います。また、医療安全センター も、ここでの機能をやろうとすれば、県内1カ所という実態では、とても太 刀打ちできないわけなので、設置の充実のことも含めて具体化をしていただ きたいと思っています。 ○堀田委員 簡潔に申し上げます。この委員会でも、私が患者の立場から申 し上げますと、再三座長が、反論もあるのではないかとおっしゃって、お医 者さんがそれに応じて反論を述べる。大体そういうパターンが出来ておるよ うですけれども、対策を考えるときというのは、いちばん問題の大きい、い ちばんまずい事例を頭に置いて、それについてどうするかを考える。命を扱 うお医者さんですので、是非そういう発想で対策を考えていただきたい。一 般の平均的なお医者さんが立派であることは私は十分認めておりますが、そ うでない方がおられるということが問題だという認識で全て考えることが必 要かと思います。これが第1点です。  第2点は、報告書に沿って申し上げますと、3頁の右の医療事故に関する 将来像のイメージの(4)で、いろいろな制度、特にADR等を整えて、医療従 事者が萎縮をしないで医療を提供できるようにということがあります。私は、 そのことは大変大切なことだと思いますが、何か裁判を起こされることが萎 縮原因になって、難しいことをやるのをやめてしまうような前提があって、 それでこういう書き方になっているのだろうと思います。しかし、1つ大切 なことは、リスクが高い医療については、そのリスクがどのように高いかと いうことを具体的に説明して、それについて患者・家族が納得するというこ と、これが萎縮をしないでリスクの高い医療を提供するためのいちばん基本 的なことであります。そこのところについて、どういうリスクがあるかの予 測が必ずしも十分されていないケース、あるいはされていても、そこをあま り説明していないケース、そういうものについて問題が起こっているケース が多いと思いますので、事前説明のところに、リスクの正確な予測と正確な 説明ということが是非欲しいと思います。  同じ頁で、当面取り組むべき課題について、ヒヤリ・ハット事例等報告を 受けて分析してというのは大変よい発想でありますが、この報告の際に私が 恐れますのは、管理体制、医療提供体制自体に不備がある、無理がある。そ ういったことについて、なかなか内部報告が上がってきにくいのではなかろ うか。やはり、報告する主体の病院の管理者、施設の管理者にとりましては、 管理体制に問題があるということは書きたくないので、ついつい、やった医 師や看護師本人の技量の不足、不注意等々に帰しがちである。不注意はきち んと報告しなければいけませんが、体制の問題についても、きちんと原因が 解明されるように、この点は十分強調する必要があるのではなかろうかと思 います。  4頁に進みまして、国民・患者との情報共有、情報提供等とあります。病 気についての情報提供、あるいは医療についての情報提供が必要なことはも ちろんでありますが、当該医師の能力、技量についての情報もそれと並ぶぐ らい重要であります。だから、手術の数等を公表するというのは既に出てお ります。本当は失敗した事例等の公表が欲しいのですが、その辺がなかなか 難しいということになれば、研修を受けられた研修内容の公表、これは別に 不名誉でも何でもないので、十分できることではなかろうかと思います。  アメリカの病院等に行きましても、医師がいろいろな賞状を掲げて、これ だけ研修を受けた、これだけの資格を取ったと宣伝しておりますが、ああい ったことも、患者に取っては大変重要な情報ですので、これこれの研修を受 けた、あるいは、こういう論文を書き、こういう発表をしたということも公 表されることが重要ではなかろうか。また、それが研修の有効性の検証にも なるのではないだろうかと思います。 ○小山田委員 1点だけ要望させていただきます。4頁の上段の○に関連死 の届出に関する医師法第21条があり、24時間以内に警察に届けることになっ ております。これを「第三者機関に」ということをかねてから要望し、ここ にも書いてありますが、是非早急にこれの改正検討をお願いしたいのです。 ○古橋委員 私は、報告書の冒頭にある「医療を提供する全ての施設、薬局 等において、管理体制が整備され有効に機能している」という文言に続いて、 当面取り組むべき課題で、この管理体制の強化・充実という点では「医療を 提供する全ての施設、薬局に対する規模や機能に応じた安全管理体制、院内 感染制御体制の充実・強化」と書かれております。これを医療現場でどう整 えていくかということが非常に重要でございます。もちろん、こうしたかけ 声とあるべき論というのは大事でございますが、この安全管理体制を実現し ていくときの具体策です。  私は、安全管理体制の中ではかねて、医療が人材あるいは人集約的業務、 事業であると思っておりまして、必要な人員の確保、人材の確保ということ をもう少し明解に謳わなければ、安全な管理体制を整備してと言われても、 それぞれの施設、現場は、「どうしてやるの。人がいないじゃないか」とい う議論はどうしても出てくると思います。そういう点では、適切な人員配置 について、もう少し踏み込んだ方針、指針が出ませんと、具体的に病院では 取り組まない、取り組めないということがあるのではないかと思っておりま す。配置人員と人員不足、これは安全という問題と間違いなく相関している と思えてなりません。  本日出させていただいた参考資料ですが、日本の看護界では、人数と事故、 あるいは医療のアウトカムがどのように相関しているかという研究がまだご ざいません。そこで、アメリカのもので大変恐縮ですが、ここには、人員配 置と患者の転倒・転落・受傷、あるいは死亡率や合併症の発生は相関してい るという報告が3件ありましたので、これを今日提出させていただきました。 いちばん新しい2003年のものに関しましては、結果のところで、患者1人当 たりの看護師のケアの提供時間が1時間増加することで、肺炎が8.9%低下し、 看護師の割合が1割増加することで9.5%低下した。その他在院日数の問題や 術後合併症のことなどが書かれております。以下2段も同様なのですが、医 療のアウトカムと安全の確保という点で、人員の配置ということは、どうし ても避けて通れないのだと思っております。  もう1つは再教育の問題が書かれております。これは、リスクを起こした 人の再教育という点では否定するものではございませんが、主治医がご自分 の判断で、ある意味で自己完結型で診断・治療なさるのと違いまして、看護 職の場合は、そこの組織のシステム、組織の状況で連携してチームでやって いくという要素がございます。そうしますと、事故の当事者となった人の再 教育だけでは決して事は済みません。  JR福知山線の事故で知るところとなった、過密なダイヤ下で、オーバー ランしたり、到着時刻が何分以上遅れたら再教育だというような、ある意味 で更生教育、悔い改め教育というようなことだけで事が済むとは、特に看護 職の場合は思えないのです。そういう点では、組織を挙げてこうしたものに 取り組む管理責任のようなことが、もう少し強調されてもよいと考えており ます。  私は、看護職などを考えますと、基礎教育における安全意識ということを もう少し強化していく必要があると思えてなりません。基礎教育の時期に、 安全がいかに重要かということを、教育できる教師がきちんといること、臨 床現場に強い看護教員が整えられていくこと、そうしたことも看護界の課題 だと思っております。もう1つは、国家試験でそうしたことを問うというよ うなことも実践的ではないかと思っております。  さらに薬剤、医薬品関係では、薬剤師と看護職の連携が非常に重要だと思 っております。前回参考人として、日本病院薬剤師会長がご意見を述べられ ましたが、ああした形でいま実現できているのは1割だとおっしゃいました。  現在、医療機能評価機構では、医薬品管理に関して薬剤師が積極的に病棟 で業務をするという点で、評価を通してこの業務が推進されております。た だ、それがまだ受診病院に限られている、というようなことがあります。臨 床薬剤師業務というものが病棟現場で、あるいは医療現場でもっと拡大して なされるような、そうした方向づけも是非謳ってほしいと思っております。 ○部会長 いまの人員の問題は、第2の議題になるわけですが、安全と関係 が深いということです。 ○松井委員 いま古橋委員がおっしゃられた人員の問題ですが、この部会で も、国際比較で見ると、病床数に対して看護師や医師の配置がうすいという データが以前出ていたと思います。その意味では、適正な病床数と看護師・ 医師の配置、それを目指していくという方向性が同時になされていく中で、 安全管理体制が充実していく。その方向性に向けての議論を進めてもらいた いと思います。  医療計画並びに診療ネットワークなどもその1つの方法だと思います。安 全管理体制、そこだけを見るのでなくて、この医療部会で検討しているさま ざまな仕組みの中で連動して対応していくことが重要なのではないかと思っ ております。  小山田委員が先ほどおっしゃられた医療法第21条の件ですが、基本的には、 今いろいろな形での医療の裁判が行われております。それがいちばんよい結 果になるのかどうか。患者側からすると、医療裁判まで起こさないと、それ ぞれの死因の究明がなされないという問題が一方であると思いますので、原 因究明が十分行われて、それが再発防止につながるような仕組みを是非充実 していただきたいと思います。その意味では、医療法第21条の考え方をどう いう形で持っていくのか。それはいま、学会を中心として、モデル事業で今 年度行われるようですが、そういうことが行われないと、本当の意味での 「次につながる解決策」がなかなか出てこないのではないかと思っております。 ○尾形委員 1つは意見、1つは質問です。6頁の、高久座長からの答申の 4番目の○で、「国及び都道府県は、安全、安心で良質な医療の確保に必要 な基盤整備と人材の確保、それに必要な財源確保について配慮すること」と あり、それはそのとおりだろうと思うのですが、それに加えて、いま出てい る人員配置の問題など、より一般的な問題として考えると、保険者を含めた 医療費の支払い側のこの問題についての理解、あるいは関与ということが必 要ではないかと思います。それが意見です。  1点質問したいのは、5頁の最後のところです。「当面取り組むべき課題」 の(3)で、国と都道府県による医療機関における機能分化と連携ということが 書いてありますが、「機能分化と連携」と医療安全対策を結びつけるロジッ クがいまひとつ分かりにくいので、この辺はどういう論理なのか説明してい ただければと思います。 ○医療安全推進室長 ワーキンググループの委員の先生方からも、医療安全 対策を進めていく上では、1次・2次・3次の医療提供体制がきちんと機能 して、基盤整備が出来た上で安全というものが確保されると述べている方が 多くいらっしゃいまして、先ほど委員の先生からもご意見がありましたよう に、狭義の意味での安全確保というだけではなく、医療提供体制全体の整備 を進める中で安全を考え、質の向上を図るべきというご意見がありまして、 このような表現にまとめていただいたものと考えております。 ○松井委員 1点質問をさせていただきます。2頁の(4)で「医療機器の保守・ 点検と使用に関する研修が実施されている」というのが将来像のイメージに なっています。本来、医療機器の保守・点検というのは、きちんとなされる べきものではないかと思うのですが、これが将来像となっているのは、実態 がそうなっていないということなのでしょうか。それが質問です。  医療におけるIT化を進めることによって効率よく、質の高いものもいろ いろな形で提供していくことができる可能性はあると思うのですが、いま質 問を申し上げたようなところが十分でないと、ITといっても、そんなこと が本当にできるのかという素朴な疑問が起きましたので、是非IT化も進め ていただきたいと思いますが、実態を教えていただきたいのです。 ○医療安全推進室長 医療機器の使用につきましては、使用する医療従事者、 また、特にそれを管理する管理者の責任の下で使用されているものですけれ ども、現行では医療法上、特に管理者責任や保守・点検等について謳われて いるものではございません。  そういったことで、現場によって使用の方法や点検の仕方が随分異なって いるという指摘はございまして、そういったことについて全国一律に体制を 整えていくという将来像のイメージが示されたものと思います。 ○佐々委員 いまの(4)のところですが、これは「当面取り組むべき課題」の 2つ目の○の(3)にも入っているので、これはすぐ取り込むということだと思 います ○部会長 次の人員の問題も安全と絡むわけですから、ただいまいろいろ出 たご意見を今後、中間まとめに向けて事務局のほうで整理していただくこと にしたいと思います。第2の議題「人員配置標準のあり方について」に入り たいと思います。まず事務局から資料2「人員配置標準のあり方について」 の説明をお願いいたします。 ○企画官 資料2について簡単に説明いたします。表紙をめくると、「これ までの議論」となっています。この論点は、4月27日の第9回の部会でご議 論いただいたところです。論点は、医療安全など昨今の医療に関する環境の 変化等を踏まえ、どのように見直すかということ。また、病院の薬剤師の配 置の話。それから、人員配置標準というものをどう考えるか。また、へき地 等の地域性を考慮すべきである。そういったことを論点として挙げていろい ろご議論をいただきました。  どのような議論があったかのおさらいですが、(1)で、「人員配置標準の必 要性」について、最初から2つの○にあるのは、標準は決めるべきであるが、 地域の自由裁量が必要ではないか。あるいは、人員配置標準を無くしてしま うと、その結果、医療機関淘汰ということになるが、そうなってよいものか どうかというご意見がありました。また一方で、標準にこだわる必要はない のではないかというご意見がございました。「標準にこだわる必要はないの ではないか」と同旨のようなことで、(2)にあるように、医療機関の情報の公 開等とセットで考えるべしという意見が多くありました。2頁の下の3つの ○と、3頁に4つあるうち上から3つ目までは、大体そのような趣旨のご意 見だったかと思います。3頁のいちばん下のご意見は、それは次元が違う話 ではないか。そこは、質を確保するためにはどういう目安が必要かという観 点で議論する必要があるのではないかというご意見でありました。  4頁は、人員配置標準の性格をどう理解すべきかということです。これに 関しては全般的にいろいろご意見があったわけです。1つは、下を引き上げ るという護送船団方式ではなくて、診療報酬の話かもしれないけれど、上を 引き下げて質を高めるという話で考える。2つ目の○では、「医師の労働性」 が考え方として使えるのではないかというご意見だったかと思います。  (4)は、この人員配置標準が昭和23年に決められたものであるということに ついての評価ですが、もう随分古い話で、あまり意味がないのではないかと いうご意見がありました。それはそういうものだということで、それが今で も十分だということではないにしても、それをどう受け止めるかは、また別 の話である、理解を深めていく中で考えるべき話だろうというご意見がござ いました。  5頁の(5)は若干各論的な話で、外来の医師の配置標準が必要なのかどうか。 一般病院の外来は大変であるということからいいますと、看護師あるいは薬 剤師の配置数がこれでよいのかどうか。さらに、そういったことについて、 何かやるのであれば見直しが必要であるが、人員配置に特化した議論の場を 設けることも大事ではないか。そういうこともあり得るのではないかという 意見がございました。  (6)として、地域の実情に応じた設定ということで、地域性ということを考 える必要があるのではなかろうかということ。要するに、全国的なものは、 それはそれとして必要なのではないかという意見があったということで、6 頁にわたって整理させていただいております。  こういったご議論があったことを踏まえて、事務局で「方向性についての 整理案」を7頁に付けました。5つの◆がありますが、医療機関が人員配置 状況などの情報を公開する。都道府県による情報の集積、公表が円滑に行わ れて、患者、国民が必要な情報をわかりやすく得られる環境の整備等がなさ れるのであれば、人員配置標準について、緩和するなど廃止を含めた見直し も考えられる。しかし、現状においては上記のような環境は整っていないの で、直ちに人員配置標準を廃止したり、一律に緩和するのは困難であろう。 情報の開示を含めた医療の安全、質の確保を担保できる別の方策との組み合 わせにより、何らかの見直しを行うことが可能かどうか、今後の課題として の検討が必要であると整理しております。  3つ目に、指摘されている、医療の質の向上や医療の高度化等に対応する 観点からの病院薬剤師や看護職員等の人員配置標準の充実、あるいは病院の 外来患者に基づく医師数の規定についてご指摘がございますが、これは引き 続き検討が必要ではないかということです。  4つ目に、国が全国一律のものとして定める人員配置標準が、一つの目安 として必要であるとしても、へき地等地域の実情を踏まえ、例えば、都道府 県知事が、国の定める標準を下回る配置であっても、医療計画等において、 医療提供の体制を確保できると言った場合には、「標準を欠く」ことにはな らないという取扱いをする方向についても検討すべきではないかということ を書いてあります。  5つ目は、第4次医療法改正で、一般病床における看護職員の配置標準を 4対1から3対1にした際に、5年間の経過措置ということで、へき地と200 床未満の病院についての経過措置があり、これが平成13年3月からですので、 来年(平成18年)2月いっぱいで切れるわけですが、標準数を満たす看護職 員を確保するために必要な期間として5年間が設けられたというのが経過措 置の趣旨です。そのように、へき地等における配置の実態や今後の人員配置 標準のあり方の議論を踏まえて検討を行い、結論を得るということが必要な のではないかということを整理案として記載してあります。 ○部会長 各委員の意見がまとめられておりますが、それを土台にして最後 の頁に整理案が出ております。30分前後の時間でご説明、そして資料2に関 する質問や意見等をお願いしたいと思います。 ○山本(信)委員 先ほど古橋委員から、薬剤師の関わりについてもう少し 頑張れというご意見をいただきまして、私も、その意見は大変ありがたいと 思っております。ただ、それに関連する医療安全ワーキングチームからの報 告書を見ますと、医療安全を確保するためには、必要な医療職の数の確保が 必要だという付帯決議も付いております。そうした意味からしますと、7頁 の3つ目の◆で、単に医療の質の向上や医療の高度化だけではなしに、医療 安全の確保という観点からも、見直しをする場合にはそうした論点が要るの ではないか。「安全の確保」という論点を是非この中に書き込んでいただけ ればと思います。いままでの議論もそうした論点で進んでおりますので、そ の辺りにつきまして事務局のご意見を伺いたいのですが。 ○総務課長 ご指摘のとおりでございまして、ほかの先生方がよろしければ、 「医療安全の確保」という観点も入れたいと思います。 ○古橋委員 これは前回の医療部会の議論だったわけですが、人員配置に関 しまして、特定機能病院における設置基準といいますか認定基準の中で、薬 剤師と看護職員の人数は、現在のところ、例えば看護職ですと、2.5人の患者 に対して看護職1人という基準です。特定機能病院といえば、日本の医療水 準を代表する医療機能を持っていると、一般的には言われています。そして、 国民は、ある意味でここへ自分の命を託して受療するということがあるわけ です。そこへ国の基準が、患者2.5人に1人でよいというようなことを書き 続けているというのは、この国の医療の水準とか安全とかということが、対 外的にどう思われるのかと、私は多少不納得でございます。現実に特定機能 病院の看護職員数を調査いたしますと、当然のことながら、こんな数ではで きないので、実態としては2対1以上という所が大部分です。これはそれぞ れの医療機関が自助努力をしているわけです。  また、特定機能病院では、薬剤師も旧態依然のままの配置でございます。 そうすると、薬歴管理機能や臨床薬剤師業務等々を伴っての、新たに特定機 能病院を目指す病院の最低基準がその数でよいということになります。ここ だけは早急に変えていく必要があります。前回発言すべきでしたが、今回そ ういう部分で、人員の配置ということが実態に合うこと、かつ医療水準に合 うよう、いつまでも放置しないで早急に取り組むことは非常に必要に迫られ ているのではないかと思います。  その基準を上げると、特定機能病院に看護職等が流動していくことの危機 感という辺りを言っていては、一向に事が解決しないと思っております。是 非とも、特定機能病院の人員配置についてはもっと上げる。例えば2.5対1 といえば、50床の特定機能病院での、重症を抱え、在院日数の短い病棟で2 人夜勤ですと言っているわけです。こんなことがあってよいのかと思ってお ります。 ○佐伯委員 現在の医療のいろいろな機関が、患者が安心して医療が受けら れるようにということで人員が整えられることももちろん必要なことだと思 うのですけれども、もう1つ念頭に置いておきたいと思いましたのは、第8 回で取り上げられました「日常医療圏の診療ネットワーク」の構想だと思う のです。これは、その地域の病院や開業医を全部含んで医療を行っていこう というものです。  そうなったときに、例えば都市部に病院がいくつも出来て、そこのところ に医師や看護師が集中して、たくさんの医療スタッフが集まってくる。一方、 そうではない、いわゆるへき地といいましょうか、そこのところには病院は 数少なく、まして、その中の人員も十分ではないということが起こってくる、 それがいちばん問題だと思うのです。  私は、ある地域地域の人口に応じた日常医療圏ということをまず考えて、 その中で何人必要であるか、何科には何人、小児科には何人確保するかとい う考え方を片方で持ちつつ、少しずついまあるところの整備をして、できれ ばそれが統合するような、そんなことを具体的に考えるべきではないのかと 思っております。 ○辻本委員 先ほど古橋委員から2.5対1というような、患者には非常に理 解しにくい数字の提示の話が出ました。例えば、病院の玄関の掲示に「当院 は2対1」という表示があると、患者は、常に2人に1人のナースが配置さ れているというような誤解をしてしまうのです。私どもの電話相談などでも、 それは三交代があって、しかもそこに産休や育休というようなことがあれば、 おのずと7〜8人に1人、夜間は2〜3人の体制になるというお話を一生懸 命するのですけれども、一般の患者、国民というのは、そういう仕組みすら 理解できない。その辺りで、わかりやすい表示をというようなことも意見と して申し上げているわけです。  薬剤師の問題でいえば、今後、業務もさることながら、例えば夜間の薬剤 師の当直の割合が本当にお粗末な状況であるということを知るにつけ、これ も安全ということで、患者の立場としては非常に恐ろしいような気もいたし ます。  私は、医療を求めていく側の立場として、どうしてもここは申し上げてお きたいと思うのですが、多くの事故が、つなぎ目のところでしっかりつなが れていないということで派生している問題がございます。いわゆる「報連相」 というのでしょうか、報告、連絡、相談というようなつながりが非常に悪い。 部門部門は一生懸命頑張ってくれているのですが、そのつなぎ目のところで 十分な声かけがなかったり、システムが不十分だったりということで、つな ぎ目で事故が起きているということを考えると、ひょっとしたら、人が増え たら、かえって危ないのではないかというような、そんな一抹の不安も拭い 去ることができません。  もちろん、人員は潤沢にあってほしい。患者が安心して、安全で「なるほ ど、そういうことだったのか」と納得のできる医療を更に厳しく求めていく 時代ですから。「人」ということについては国家問題として、社会の保障と して十分に議論をしていただきたいと思うのですけれども、一方で、医療現 場における語り合いの精神というのでしょうか、何でも語り合えるという組 織の開かれた意識文化、チーム医療というようなことを今一度しっかりと捉 えていただきたいと思います。  岡山県のある病院の『看護相談室』の取組みで、「こういうものがあって 欲しい」と私は非常に感心したのですが、ナースがやるべき業務はきちんと ナースがやる。その代わり、ナースでなくていいところは、きちんと補助職 員を配置している。その辺りは、これからいろいろな病院の取組みを参考に して考えていけたらいいと思います。 ○尾形委員 7頁の「方向性についての整理案」ですが、その3つ目のパラ グラフの2行目に「病院薬剤師や看護職員等の人員配置標準を充実させる」 と書いてあります。私自身、人員配置の充実には大賛成でありますが、「人 員配置標準の充実」というのは少しニュアンスが違うように感じます。4頁 の私の意見にも書いてありますが、もうそろそろ「一律に下を引き上げる」 という発想から転換すべき時に来ているのではないか。むしろ「上を重点評 価する」という方向を出すべきではないかと個人的には考えています。そう いう意味で、「標準を充実」ということについては、いささか抵抗がありま す。 ○松井委員 尾形委員のおっしゃられたことに結局は通ずるのですが、「標 準」そのものをどういう意味でとらまえているのかということは、本来十分 議論されなくてはいけないのではないかと思っております。これは最低基準 ではないのだと思いますが、第9回の資料によれば、標準が2分の1で、そ の状態が2年を超えているようなときに、都道府県知事が人員増員命令、あ るいは業務停止命令を行うことができる仕組みもありますので、仮にこの標 準をなくしたときに、このような規定は例えばどのような方向に持っていく のか、ということも1つ論点として残っているのだと思うのです。そこが十 分議論されていないという気がいたします。いまの医療の実態を見れば、も っと厚い配置でなくてはいけないというのは、安全確保の観点からも、ある いは質の向上の観点からも、それを否定される方はいないと思うのです。  もう1つここの標準の持っている意味合いは、他方で診療報酬などで、別 途いろいろな配置基準によって、特定機能病院も含めていろいろな形で決め られております。へき地の問題は一律に決めているというのは問題がありま す。へき地という言い方は、医師や看護師を確保しにくい実態があるならば そこをどのように見ていくのか、そういう場だから薄くてもいいという考え 方を本当にとるのか、あるいは現実にある一定の質が確保された医療が提供 されるならそれも認めていくのか。これは誰がそのように決めていいのか、 都道府県知事なのかどうか、医療計画を作る中で決めていくのか、そのよう な論点があるのだと思います。  ここも、安全と一定の質を確保した中でそれが認められていくならば認め てもいいのではないかと思っています。一時の名義貸しによる、外形的な医 師の数合わせみたいなものをやるよりも、その地域における必要な医療が供 給されて、それも一定の水準が確保されているならば、それはそれで認めて いくことをしないと、数合わせだけやっても意味がないのだと思います。  もう1点は、確かに数がある一定数あることは重要だと思うのですけれど も、何十人と前期の研修医がいたとしても、それなりに熟練した医師が1人 いるのとどっちが良い医療が提供されているかという問をしたときに、答え は簡単だと思うのです。医師の質あるいは看護師の質も見ていくことが本来 重要だろうと思います。 ○古橋委員 先ほど辻本委員からもご発言がありましたが、看護職員配置の 考え方として、患者数全体に対して何対何という考え方は、ずっと日本で採 用されてきております。最近は、労働過重という点から、労働基準監督署が かなり積極的に医療機関に入り、調査・指導をする場面もあります。特に、 医師と看護師の労働時間、超過勤務について、指導の密度が濃くなってまい りました。  少子化問題の中で、育児休業あるいは高齢対策で、介護休業等が法律的に 整ってきております。常勤職員が、そうした休業に入っていったときの補填 がなかなか難しいわけです。事はやや大きいですけれども、看護職員配置、 特に交替していく領域では、常時配置という考え方がボチボチ考えられても いいのではないか、あるいは医療監視等の調査項目に、そうしたものが採用 されているということを通して、実際に働くその日の、その時間帯の看護職 員がどういう状況であるかという辺りの把握が要ると思います。常時配置と いう考え方が導入されていくということ。  もう1つ、外来の機能は本当に変わってまいりました。特定機能病院や、 中心となる拠点病院では、通院患者の点滴治療、抗がん剤与薬という形が本 当に増えてまいりました。そういう実態に合わせて、現行の外来患者数配置 というのは、もう事実に即さない、そこをいつまでも放置しておくこと自身 は、周辺に説得力もないと思います。  これは、以前に辻本委員もご発言でしたが、いま医療現場を見ていて、本 当に様変わりしていることを体制にタイムリーに反映していくことも行政に 求められていることではないかと思います。常時配置の考え方、外来の業務 に合わせた職員の配置辺りも、早急に検討していただきたいと思います。 ○鮫島委員 議論があちこちしますので、元に戻って2つ質問させていただ きます。1つは、いまもご意見がありましたように、最低基準と標準の違い です。従来は、最低基準というのはペナルティがあったのですが、標準はど うなるのかということ。もう1つは、従来は最低基準があり、それにプラス アルファして、人員やいろいろな機能を付加することにより、診療報酬上で それを見ていたというのが従来のあり方だったと思います。今後もそういう 形になるのだろうとは思いますけれども、いままでの議論からして、医療安 全や質の確保といろいろなことを言われていますが、それを担保するために、 報告書の中にも人材と財源の確保に努めると書いてありました。それは、診 療報酬上その他でちゃんと担保されると考えてよろしいのでしょうか。 ○総務課長 1点目の、最低基準と標準の違いをどう考えるかということで すが、第9回の部会で資料をお示しいたしましたけれども、現在の人員配置 は基準ではなくて標準であります。標準をどのように解釈するかという議論 はありますけれどもそういうことになっております。  最低基準であれば、それを満たさない場合にペナルティといいますか、一 定の法的な効果みたいなものが失われるということだろうと思います。従来 から、人員配置については標準ということで設定されてきておりますから、 そういう意味では、直ちに配置標準を満たさない場合に法律上の効果である 病院の許可が失われる、ということではないと思っております。  第9回の資料にも付けておりますけれども、標準を欠く状態が一定期間継 続するような場合は望ましいことではありませんので、平成12年の医療法改 正の際に、一定期間そういう状態が続く場合には、都道府県知事が立入調査 をして、人員増員命令や業務停止命令をかける。それでも違反をする場合は 罰則がかかる、といった医療法の改正が行われました。  今後人材確保をしていく上で、診療報酬との関係はどうなるかということ ですが、この医療部会で配置標準の充実といった議論がありましたけれども、 そういった一定の方向がまとまれば、医療機関は保険診療をしておりますの で、私どもとしてはその診療報酬の充実に向けて、関係する審議会なり厚生 労働省の担当局に、当部会の意見として要望していきたいと考えております。 ○山本(文)委員 本日私どもで会議を開きました。その会議の中で皆さん から出た意見は、私どもの地域では医師を確保することが難しいと言ってい ます。私はいつも思うのですけれども、標準や基準を決める場合に、どうも 日本の国のあり方というのは、上から決めて下のほうをこうするというやり 方が多いわけです。ですから、いちばん悪い最低のところをまず議論して決 めて、そして上へ上がっていくというやり方のほうが、地域の実情も十分含 まれて、より良い標準が出来上がるような気がするのです。  ここでいろいろな議論を聞いていると、安全の確保だとか、環境がこのよ うに整備されますという話がたくさん出ておりまして、そのとおりになれば いいのですができない地域だっていっぱいあります。そういう所も考慮した 上で、こういう数値は出すべきではないかと思います。例えば、田舎の小さ な診療所で薬剤師を雇えといっても薬剤師もいないし、看護師を3人にしな さいといっても看護師がいない。そのように、人材確保の難しい地域という のはたくさんある、ということを忘れないようにしてほしいと思います。  本日は、町村会の常任理事会がありましたが、そこでそういう面でのたく さんの意見が出ました。そこで、「お前はどう思うか」と言われましたので、 「本日会議がありますから、皆さんたちの考え方や意見は私から十分伝えて おきます」と言っておきました。日本の国は、東京みたいな所ばかりではな い、人もまばらにしかいない、1つの機関に行くには大変な時間がかかる、 遠い距離を持っているような所がたくさんあるということを忘れないように していただき、こういうことを決めるときにはいちばん悪い所を標準にして、 あるいは基準にして決めていただくようにお願い申し上げておきます。 ○部会長 いまのご発言に対し、事務局から何かありますか。考慮するとい うか、配慮するというか、しかしそれは改善する努力は必要ですね。 ○佐伯委員 毎月保険料を納めている者からしますと、国民皆保険というこ とで、どこに住んでいようと保険料は納めています。住んだ所で、自分の生 命が丁と出るか半と出るかといった賭みたいなことは困りますので、どこに 住んでも一定のちゃんとした医療を受けられる、というのが社会の保障なわ けです。山本委員がおっしゃったような、心豊かには住めるけれども、実際 に身体の具合が悪くなったらとても不安であるというのはよろしくないと思 いますので、積極的に検討を進めたいと思います。 ○部会長 大体ご意見も尽きたようですので、ただいまいただいたご意見を 踏まえて、中間取りまとめへ向けて、事務局で整理をお願いしたいと思いま す。それでは、最後の議題になります「医療施設体系及び医療施設に係る規 制のあり方について」に移ります。資料3「医療施設体系及び医療施設に係 る規制のあり方について」を事務局から説明をお願いいたします。 ○企画官 この議題については、4月13日の第8回の部会でご議論いただい たところです。資料3の1頁、(1)「有床診療所について」、関係する論 点ということで、病院と診療所の間の違いが書いてありますが、どのような 議論があったかということで(2)です。(1)で、総論的な話として、4行目 に、日本の医療文化の中で、身近で医療サービスを提供できる利便性のいい 機能的な形態である。2つ目の意見は、有床診療所の医師が日本の医療の大 半の役割を分担しということで、これまでの歴史的経緯、役割分担をどう考 えていくかを基準にすべきだということ。  2頁の1つ目は、現在あるいは将来ともに役に立つ、有用であるという観 点からの見直しということであるべきである。2つ目の○からは、ずっと以 前からあった仕組みですので、患者の安全と医療の質を確保する観点に立っ てよく考えていく必要があるだろう。その次の○では、新しい時代の基準を 作るべき。その次のところからは、地域性を考える必要がある。下から2番 目は、一定の類型化が必要ではないか。  3頁まで総論的な意見がいろいろ出ております。3頁の(2)で、48時間の入 院期間の規制については、実質的に規制がないのだから撤廃するということ も考え方ではないかという意見。一方で、主治医の判断でできるのだから、 規制が要らないというのは疑問があるのではないかという意見がありました。  4頁の(3)は診療報酬との関係です。上の○は、病院と同じ配置を求めるの であれば、報酬も病院と同じにすべきではないか。2つ目の○は、逆に診療 所は大きく違うということを前提に、その規制を考えるべきで、規制だけ変 えるのはおかしいのではないかという話だったかと思います。(4)で、医療計 画の基準病床数制度との関係では、小規模の場合は基準病床にカウントしな くてもいいのではないかという意見。それは基準病床と外れたところで存在 するのはおかしいのではないかという意見。(5)では、地域性への配慮という ことで、これは冒頭の総論のほうでも似たようなことがありましたけれども、 地域性は考える必要があるのではないかという意見です。  5頁で、以上のように各ポイントについて、療養はなかなか決められない ような意見がありましたのでなかなか整理がつきにくいのですけれども、公 約数的にまとめると、「方向性についての整理案」ということで、有床診療所 は、身近な場所で医療サービス提供できる利便性のある医療機関として、地 域の医療を支える一定の役割を果たしてきている。病院と有床診療所に係る 規制の違い、48時間の入院期間制限や人員配置標準等については、有床診療 所の機能には、産婦人科・産科を標榜する有床診療所や、病院と同様の専門 的な手術を行う有床診療所、慢性期の患者を受け入れる有床診療所など、機 能の異なるさまざまな診療所が存在することや、現に地域医療で果たしてい る役割を踏まえつつ、基準病床数制度や診療報酬との関係も含め、それぞれ の機能に応じた適切な規制のあり方を検討すべきである、ということではな いかと考えております。  6頁は、施設の共同利用、その他の規制の話です。これについては、同一 建物内で場所の共同利用についてどう考えるか。また、病院での検体検査に ついての質の確保についてです。これも第8回の部会では、施設の共同利用 に関しては、大きな方向としてはそういう方向で進めていくべきである。そ の際には薬局ももっと役割を担うべきという意見がありました。検体検査に ついては、特に第8回の部会ではご発言のなかったところです。  7頁で、「方向性についての整理案」ということで、共同利用については、 医療施設の一部の共同利用についての考え方、取扱いを明確にした上で、設 備等を所有する医療機関と利用する医師等との契約において、責任の所在等 を明確化すること等を条件に、効率的で利便性の高い医療提供が可能な共同 利用が円滑に実施できるようにすべき。また、有床診療所同士での共同利用 については、構造設備の基準や人員配置標準に関する規制における病院との 均衡が問題になりますので、先ほどの有床診療所に係る規制のあり方と併せ た検討が必要である。  その他で、病院内の臨床検査室において、病院自らが検体検査を行う場合 には、現在法令上の基準がないわけですけれども、医療機能の分化連携を推 進していく中で、実施主体にかかわらず検体検査の質を確保する必要がある ことから、病院自ら行う検査についても、一定の水準の質を確保できるよう、 基準の設定を含めた検討が必要である、という整理をしております。 ○部会長 ただいまの説明、あるいは資料3に関する質問等も含め、自由な 意見交換をお願いいたします。 ○大橋委員 有床診療所について少しお話させていただきます。参考資料2、 委員から提出のあった参考資料の1頁から5頁は私が提出したものですので、 いろいろご意見をいただきたいと思います。  有床診療所は次第に無床診療所に取って替わられようとしております。こ のことは、日本のスクリーニングとプライマリケアにおける最大の危機だろ うと考えております。現在の無床診療所は非常に狭い専門を守るようにとい うことは、開業医が内視鏡で胃のところだけしかやらないということを考え て、実際にあまり患者を診ない、一般の患者を診ないという感覚になってい るのではないかと思います。  古いタイプの有床診療所の重要性に気づかれていないか見逃がされている ように思われてなりません。前回の議論で、有床診療所の重要性については、 大部分の委員は認めているようですので多くは申し上げませんが、いま手を 打たなければ我が国の有床診療所は壊滅的に無床診療所に移行してしまうと 思います。問題は、有床診療所に回るお金が減らされて、病院の充足に使わ れてしまっているということです。  資料1の3頁に、病院医療費と診療所医療費の比較がしてあります。病院 医療費が16.6兆円、診療所が7.2兆円というように、3分の1ぐらいで診療 所は少ないわけです。我々地方行政は、個々の「有床診療所に介入すること はできません。お金の流れをコントロールするのは厚生労働省ですから、是 非このことを考えてほしいと思います。  病院をたくさんつくるのは問題であると思います。前回申し上げましたよ うに、医療の人材は限られておりますし、小児科医が1人しかいない病院を いくらつくっても、小児科医が2人いる有床診療所のほうがはるかに良い仕 事ができると思っております。自分の資料で恐縮ですが、4頁に「有床小児 科診療所からの転送例(年間総数137例)」と書いてあります。これは年間外 来患者数22万8,000人のうち137例しか送っていないということです。1週 間4,300人の患者を診て、3人しか病院へは送っていないということで、複 数の医師のいる有床診療所は0.06%ぐらいの転送率で、病院の負担を非常に 軽減しているのではないかと思います。これは、小児科有床診療所の治療限 界ということで、小児科診療で1994年に発表した例です。  いま、どうして有床診療所が必要かということを、警察をたとえて言わせ ていただきますと、日本は世界で最も治安がよく、安全な国である。それは、 警察制度がいいからだということで、特に公安があるからだということです。 10年前までは、非常に安定した、世界に類を見ない治安のいい国であったと 言われてきたわけです。  ところが、急激に中央主義になって中央署を重視して、交番が減らされて きてしまいました。交番というのは、江戸時代の木戸の番所や岡っ引きの伝 統を引くもので、人、つまりソフトウェアが失われてきていて、若い新米の 巡査が立っているだけでは駄目だということです。昔の交番は、よく経験し たお巡りさんと、奥さんと子供がいて、地域に非常に密着していたから情報 も非常に入りやすかったし、治安もよくわかっていた。犯罪が起きても十分 地域に密着したお巡りさんだからすぐわかるわけです。  日本の医療制度は、世界でいちばん進んでいるのではないかと思います。 特に、これは交番と同じように開業医があります。開業医が散らばっていれ ば、身近で診察が受けられ、またコミュニケーションも取れて、入院すると きには有床診療所に入りたいという患者がいます。信頼関係ができているか らそこに入りたいということだと思います。  いまの医療システムは、ステレオ・システムと似ているのではないか。ピ ックアップ、アンプ、スピーカーのどの部分が悪くても良い音は出ないわけ です。ピックアップに相当する開業医が劣化し、スクリーニングとプライマ リケアが悪くなれば、医療全体が悪くなってしまいます。アンプに相当する 高度な医療を行う特定機能病院は必要でありますが、それだけを充実させて も、若者の車のような騒音を出すだけのシステムになってしまうわけです。  いまは、出口に当たる介護にもお金が必要であると思います。現在の医療 の混乱は、スクリーニングとプライマリケアがうまくいっていない。諸外国 に見られない日本独特の診療所は、多くの諸外国の人たちから認められ、米 国でもERに併設したURシステムや、URセンターがつくられてきており ます。また、ファミリーメディシンの急速な発展などは専門医の発展に中心 的役割を果たしてきた米国が、スクリーニングとプライマリケアの重要性に 気づき、充実を図ってきていると思います。いかに日本の開業医制度がいい かということだと思っております。折角発達した開業医網を持つ我が国がか えって機能の低下を来しているのは問題だと思います。  5頁の資料3、ピックアップ、アンプ、スピーカーとして、スクリーニン グ、プライマリケアを無床診療所、有床診療所がやって、アンプのところは 特定機能病院、社会復帰のためのアフターケアはソーシャルワーカーとか、 こういうところにもお金がかかるわけであります。有床診療所は、地方へ行 けば行くほど、田舎へ行けば行くほど大事だと、必要ではないかと思ってお ります。自分の所が都市化してくると、病院も医院もできますし、開業医も 増えます。10何年前は、1日平均620人ぐらいだったのが、現在では350人 ぐらいに減っています。でも、信頼関係で来ていますから、入院もほかへ行 かないでここにいたいということなのです。  要するに、有床診療所に医療費を増やしてほしいという願いです。これは、 全国有床診療連絡協議会の要望を取らせていただいたら1、2、3、4はこ ういうことで、5は診療報酬に関する規定ということで、これは病院と同程 度にするという願いをお話したわけです。 ○三上委員 3点申し上げます。有床診療所については、全体の方向として 有意義な施設であって、診療報酬等病診の格差をなくしていって、機能をち ゃんと評価するということですから、大橋委員の言われたことだろうと思い ます。  共同利用についての問題ですが、ここでは玄関や待合室等を共同利用する というお話が出ております。これはよく考えますと、患者の視点ではなくて、 医療機関側の視点であります。患者にとっては、やはりそれぞれの診療所、 それぞれの医療機関の待合室や外来窓口を利用するほうがいいわけです。医 療提供側からは、1つをいくつかの医療機関が共用すると都合がいいという ことですが、患者にとっては逆に不便になります。  これは、最近はやりのメディカルモールというシステムがあるわけですが、 こういうことを想定したものではないかと思います。仮にこういうことが認 められると、病院という建物の外来を分離することも可能になるということ がありますし、少し慎重に考えていただいたらいいのではないかと思います。  また、有床診療所同士の共有においても、19床の有床診療所をいくつか集 めて病院のようなものができてしまうのではないかという気もいたしますし、 この点は非常に慎重にならなければならないと思っております。  臨床検査の精度管理の点は大切なことであるというのは、当然のことです。 医療法の中に書くかどうかについては若干異議があります。従来から、臨床 検査の精度管理というのは、かなり民間ベースで行われております。現在で も、日本医師会、あるいは日衛協、日倫議、それから各都道府県、都道府県 医師会等全国で約100の組織・団体による精度管理が行われております。  日本医師会でも、37年前から精度管理をやっておりまして、検査センター 等も含め、現在でも3,000近い医療機関が参加しております。病院も2,000 以上入っております。臨床検査については、診療報酬の中で、外部精度管理 を受けることによって、検査管理加算が設けられ、インセンティブが付けら れているということなので、これで十分なのではないかと思います。  ここに書いてあるように病院ということで、診療所はいいのだと。病院に ついては精度管理を義務付けるのだという話になると、逆に言うと診療所か ら出てくる検査のデータは精度管理されていないいい加減なものだ、という ことを言われているような気がするわけです。実際には、簡易検査とドライ 検とかいろいろな検査を十分にやって、迅速に検査結果を出して、早い診断 に結び付け、患者の利益のためにはそちらのほうがいいということですが、 こういうものを阻害することにもなりますので、臨床検査の精度管理を医療 法に書くことについてはどうかと思っております。 ○渡辺委員 私自身も、有床診療所の制度の存続というのは、いままでの経 緯あるいは存在意義は重要だと思います。特に大橋委員や三上委員がおっし ゃいましたが、医療側の委員の方々がちょっとわかりにくいと思うのは、48 時間規制を撤廃すべきだ、というのは私もうなずく部分があります。それか ら、診療報酬上の病診格差もなくせと。要するに、病院並にしろとおっしゃ っているのか、有床診療所の制度は残せというのか、もう少し具体的におっ しゃってもらえませんか。 ○三上委員 病院については、施設基準がきちんとあるわけですが、有床診 療所は1人の医師でできる。先ほど山本委員がおっしゃいましたように、地 域の実情に合わせて、1人であっても入院が必要な患者がいれば入院させる ことができる、というシステムを残すのだと。ただ、有床診療所にはいろい ろなバリエーションがあって、産婦人科であるとか、先ほど出ておりました ように高度な医療を展開し、十分な人員配置をしている所があるけれども、 それに対しての診療報酬等の手当がないために非常に苦しくなっている。そ ういう所については病院と同じように、人員配置がされているのであれば、 同じような診療報酬を付けてあげたらいいのではないかということです。 ○渡辺委員 有床診療所でいちばん多い形態は前にも資料にありましたよう に、例えば産婦人科、特に分娩といったところと、高度な医療、つまり有床 診療所の中でも機能別に分けろという趣旨と考えてよろしいのですか。 ○三上委員 機能別というのではなくて、人員の配置によって傾斜を付ける ということを申し上げているわけです。もともと入院診療報酬については、 人件費に見合うだけの診療報酬を手当するというのが基本ですので、傾斜、 勾配を付けるということを申し上げているわけです。 ○小山田委員 3点お話させていただきます。1点は、48時間条項をなくす ということです。2点目は、いま言われたような、特定機能を持った有床診 療所と、そうでない療養や介護が主となっている有床診療所とをきちんと分 けて人員配置、あるいは診療報酬、入院基本料をするべきではないかという ことを考えます。3点目は、1人で何人もの患者の生命を24時間責任を持っ てやるわけです。そうすると、そのドクターの労働過重、精神的な面でもか なりのストレスになりますし、医療の安全、質の確保という面からも不安な 面が出てきます。それをカバーするために、連携システムをしっかりとして おくことが大切です。有床診療所の存続を図るためには、この3点が必要だ と考えています。 ○三上委員 有床診療所の連携については当然必要なことで、全国有床診療 所協会でも、そういう連携を持つようにということが勧められているわけで す。実際に必要な所はそのような連携がされているということです。  ただ、地域によっては人口が少なく、あるいは医師も少なくて1人でずっ と頑張っている医師もいますので、規制をかけて縛るということについては 反対するという立場です。 ○佐伯委員 先ほど三上委員から、患者の立場として共同利用というのはよ ろしくないのではないかという推測をいただいたのですが、逆のようなこと もあろうかと思います。小さい子供を抱えていて、小児科に行って、ついで に耳鼻科にかかる。あるいは、お産したクリニックの隣に小児科があるとか、 そのぐらいの規模の所でつながってくれたほうが、日常医療圏のネットワー ク、あるいは尾道方式といったところで、入院したときは病院だけれども、 すぐに帰って、帰った後で主治医同士が、耳鼻科、皮膚科といろいろな所が 連携してくれる。そういうことの前提にもつながるかと思います。使い勝手 がよいということでいえば、これはどんどん進めていただいていいと思いま す。  それから、1泊2日ぐらいは必要というところであれば、生活に近い所で の有床診療所というのはとても便利でありますので、これもできるだけ安全 な医療をしていただけることが確保されれば、存続していただきたいと思い ます。 ○龍井委員 前回もご指摘させていただきましたが、大橋委員の提起の中で、 いま果たしている役割、従来の役割というのは誰も否定することではないと 思います。問題は、この部会でずっと議論してきているのは、いわゆる新し いネットワーク、あるいはある地域の中での役割分担を明確にしていこうと いう方向の中で、いままで果たしてきた役割が役割分担としてどのように担 っていけるのだろうか。  そのときに、問題提起にもありましたように、どういう類型の基準を作る かということはあるかもしれませんけれども、機能分担という視点でいえば、 その役割分担が、いま有床の所にかなり負荷が行っているのが、その地域の ネットワークづくりの中で別の所にスムーズに行く。我々からすれば、そこ の連携が途切れないようなサービスとして、安心のネットワークの中で位置 づけられていく、という方向の中で議論していただく場合に何が問題として 残るか。  ここでも出されているように、一定の役割あるいは果たしている役割とい うのが、そういう分化が進んでいったときに、まだ残るというのは否定的な 言い方なのですけれども、それはどういうことが想定されるのだろうかとい う中で、いま論議になっているような役割分担と体制に即した報酬のあり方。 そうではなくて、今度は残っている部分についてはどういうやり方が可能で あり必要なのか、という仕分けのマッピングをしていただきたい。もうまと めの段階ではありますけれども、いまの議論に資するような実態把握のデー タを示していただければと思います。 ○山本(文)委員 有床診療所は、皆さんがおっしゃるとおりですけれども、 その機能に応じた役割を持たせていくことが必要ではないでしょうか。同時 に、それに即応するような診療報酬を決めていけばいいのではないでしょう か。  ですから、有床診療所が、自分の所の機能ではとてもこの患者は受け入れ られないというのは医師がちゃんと判断するわけですから、いろいろな心配 をしなくてもいいのではないかと思います。機能に応じた治療をやりますか ら、それは大病院であろうと、同じことではないかと思いますので、そのよ うに考えていけばいいのではないですか。  48時間制はいい加減やめたらいいと思います。言葉の上では、48時間制は あまり考慮しなくてもいいと言ったようですけれども、もう廃止したほうが いいと思います。これは遺物ですよ、そのように考えていただきたいと思い ます。  共同利用ですが、私の県は公的病院をどんどん廃止して譲渡していきまし た。大きな県立病院をやらなくなりましたから、その地域の医師会に譲渡し ていくというやり方をしました。それ以外に、国立病院もありますが、それ もだんだんそういう方向に進んでいきつつあります。その施設の機能を十分 使っていくわけですから、そこできちんとした共同利用ができるようなあり 方をちゃんと決めておけば、十分それだけの効果が出てくると思います。そ の辺りの使い方についての基準を設けていただくようお願いいたします。  この前、在宅診療について申し上げました。私どもの町村会でまとめたペ ーパーをここに出しております。皆さんからたくさんの意見がありましたけ れども、要約するとこの5つの項目にまとめられるようですので、是非とも 参考にしてくださるようお願いいたします。  最初に申し上げましたように、医師の確保、看護師の確保というところが、 それぞれの町村の皆さんたちは心配しているようですから、その辺りも十分 配慮していただいて、在宅医療については実施していただくようお願いいた します。そこに書いてありますから説明は省略いたしますが、これからの検 討の参考にしてくださるようお願い申し上げておきます。 ○松井委員 有床診療所がそれなりの機能を果たしているということは否定 するつもりはありません。ただ、いまの有床診療所はさまざまな異った役割 を担っているというのは事実だと思います。そうすると、機能に応じた別の 規制というのも、あるいは規制といわないとしても標準というのもあってし かるべきかと思います。  仮に、いまいろいろおっしゃられている、入院48時間は要らないのではな いかという議論に対しては、そこをやめるのであれば、そういう場合に別の 病院にかかっている病床規制などはどのように考えていくのか。同時にそこ に入れていくという、セットの議論が本来なされないとおかしいのではない かと思います。その一部分だけを緩めるならば、病院と合わせていくべきと ころをどこまで決めていくのか、それも同時に医療提供者からの意見を聞き たいと思います。  事務局に質問したいのですが、病院が20床以上で、有床診療所が19床以 下ということですが、20床というのはどういうことからそもそも決められた のか。現在の医療における20床という意味合いはどういうことがあるのかを 知りたいと思います。中医協ではある一定規模以上、特に大きな規模でない と質の高い医療ができないかのような議論が一方で行われておりますので、 それといまの20床、19床というのはどのように考えたらいいか教えてくださ い。  大橋委員が提出された、転院率が低いというのは、よく医療をやっている という考え方と、もう1つ別の言い方をしますとインテンシブなケアがあま り必要でない患者がいるということもあるのかもしれません。ですから、デ ータの読み方についても、いろいろな読み方があるのではないかと思います。  施設の共同利用については、私は佐伯委員の意見に賛成です。効率的なや り方をする、例えば高度な医療機器を、仮に施設の共同利用と、高度な医療 機器をうまく組み合わせた形で行われるなら、それはより効率のいい医療提 供体制になるのではないかと思っております。  細かいところですけれども、検体検査のところは、外に出したか内かどう かということで、外に出すものは規制がかかって、内でやるものはかかって いないというのは、私は素人的に見てよくわからないのです。どちらか1つ に合わせるべきだと思います。 ○企画官 いまの医療における20床の意味と言われると答えは難しいのです けれども、現在20と19になっておりますのは、まさに昭和23年に医療法が できました際の説明の仕方としては、医療機関を病院と診療所に分けて規定 する際に、病院と称するほどのものは充実した医療の提供を可能ならしめる ために相当程度の完備した施設を有する必要がある。その時期の判断として、 相当数の収容施設を20と決めたということで、国会の議事録はなっておりま す。経緯としてのご説明は以上です。 ○土屋委員 先ほど三上委員が、臨床検査室における検体検査の精度管理に 関係したことを発言されましたけれども、ここに書いてあるように、病院に おける臨床検査というのは検体検査だけではないわけです。ですから、その 精度管理ということになると、外注へ出すものについては、それを業として いる衛生検査所みたいな、臨床検査センターみたいな所の精度管理も必要な のです。  医療機関の中では、内部の精度管理も、外部の精度管理についても従来実 施されておりますし、もっと言いますと先ほどの意見にありましたように、 外部の精度管理を受けることのできる、実施している団体は数多くありまし て、これをきちんと整理して評価しなければならないだろうということが第 1点です。  病院における臨床検査というのは、なにも検体検査に限ったことではない わけです。私どもが平生からものすごく気を使っておりますのは画像診断で す。画像診断の精度管理は極めて難しいのです。典型的には、乳がん検診に おけるマンモグラフィの読影、これは読影だけではなくてその撮影、どうい う写真を作るか、もっと辿りますと、それを撮影している機器についてまで 精度管理がやられているわけです。すべての検査について、なかなかそこま でできませんけれども、そのように画像診断1つを取っても、現在大変な精 度管理が求められています。その他の画像診断についても、平常の健康診断 において胸部のレントゲンを撮って、その胸部のレントゲンを読影する能力 があるのか、その前提としてどういうフィルムができているのか、それを撮 影した技士の能力はどうか、ということまで問われているわけです。  画像診断だけでなく、生理学的な検査だって、その評価をするに当たって は、まず精度管理がきちんとできていないといけない。心電図などはその典 型だと思います。さらには、それを読影したり、それを判断する人間の精度 管理です。この際、その医師には果たしてどのぐらいの能力があるのかとい うことまで、私どもは現在気を配ってやっているわけです。  なにも精度管理を検体検査に限ってやる、そんなことは当たり前の話で、 ほとんどの医療機関はきちんとできています。しかも、そういうものを外部 に発注する施設まで私どもはきちんと選択して、ここなら大丈夫だろうとい う所にお願いしておりますので、衛生検査所の精度管理と、院内において平 常からきちんとやられているものと、同列に置いて考える必要はないのでは ないかと思います。 ○大橋委員 三上委員に反論することになるかもしれませんが、病院だって 小児科医が1人ということもあります。開業医でも、有床診療所でも小児科 医が2人いたりして、私の所でも常勤の小児科医が私以外に2人いて、重症 のときには私もタッチしています。1人の医師しかいない病院だったら、夜 中もできるものかどうか。お母さん方は、夜中でもいつでも診てもらえるこ とがいちばん大事であって、そして早く治すということではないかと思うわ けです。病院から有床診療所へ送ってくることもかなりありますが、地域に よっても違います。そういう点も十分考慮して、私以外にもっとやっている 先生もいるようですから、有床診療所の点はよく考えてほしいと思います。 ○古橋委員 有床診療所に関しては、人員的にクリアしていれば病院と同程 度の診療報酬というご意見もありました。私はそこに加えるに、施設基準や 安全管理体制というのは、やはり同等に整備されて、そしてその地域で暮ら す人々の視点からいけば、19床の規模であっても、あるいは20床を超えた病 院の規模であっても、自分がそこでかかるという視点では同質なわけです。  ですから、私は有床診療所の施設基準という辺りも、そこをクリアして地 域で暮らす住民に応分の医療機能体制が提供される。したがって、48時間を 超えて滞在する医療機関としての有床診療所は、そうした基準もクリアされ ていくことが重要だろうと思います。  小山田委員から、療養は別としてというご意見がありましたが、国の指導 も療養から施設基準は先に広くしていったわけです。やはり療養であっても、 一般病床であっても、そこは同質の施設基準が示されるべきと思っておりま す。  正常分娩はもちろん、市場の競争原理がこれこそ機能しておりますから、 どんどん施設を良くするという自助努力はあるわけです。ですから医療提供、 医療保険適用の有床診療所は併せて、病院に準じた基準を整えていくことが 重要ではないかと思っております。 ○三上委員 施設基準についてですが、有床診療所の新設の例については、 そういう形で病院と同じような施設基準をクリアできるようにしていただく のは結構なことだと思います。既設のものについては、病院と同じように従 来のままいけるようにしていただかないと混乱すると思います。 ○辻本委員 私も、幾人か有床診療所を閉めるという話をこれまでに聞いて おります。その背景が何であるかというと、1つは非常に患者のニーズが高 くなってきている。そうすると、いまの施設基準ということも含めてですけ れども、ある程度そのニーズに応えたいという気持があるけれども、しかし、 娘も息子も継いでくれないのだと。地域の人にしてみれば、老先生がやって くれているときには入院できるのだけれども、老先生が辞めてしまったらな くなってしまったという状況が実際ではないのかということを感触として受 けております。  そういうことであれば、経営ということでちゃんと引き継げるような、あ るいは子弟でなくても地域の中でそうしたことをきちんとつないでいけるよ うな、魅力のある医療機関ということでないと、今後の存続は非常に難しい のではないかと一方で感じております。ただ、先ほど山本委員がおっしゃっ たように、検討会で語られる医療というのは、どうしても都会型で首都圏を 中心にしたというようなことになりがちな中で、地域によっては有床診療所 の存在が非常に貴重な資源としての医療であることは確かだと思いますので、 その辺りも鑑みて、是非議論を進めていただきたいと思います。 ○部会長代理(北村) 有床診療所の話を聞いていたのですが、いま日本と いう国は人口補正しなくても世界一のベッド数を持つ国であります。そのう ち有床診療所のベッドが占めるのは5割です。  東京都内や、大きな都市部における有床診療所と、各医療施設の乏しい所 における有床診療所とは自ずと機能も重要度も大きく変わってくると思うの です。東京都内の有床診療所は、高度な医療を求めている患者から見て、本 当に必要なのかということもあろうかと思います。その他の方々の必要性を 訴えている委員の方々のような場所においては、それがはっきりと病院の機 能を果たしていることになるので、そうすると48時間という規制も問題にな るのかもしれません。  一方、大都会の中の有床診療所の入院期間の規制を外すと、また再び社会 的入院を増やしていく。それから、高度な医療を求めるのに多すぎるぐらい の病院が東京都内にはあるわけです。患者側から見ても、そういうものが都 市圏に必要かどうかというのは疑問です。ここは地域ごとの、それからどれ ぐらいの一般病床があるのか、そういう総合的判断とデータが必要でないか と思います。病床統計から見ると、有床病床数は随分多いですね。 ○企画官 ベッド数の関係だけですけれども、有床診療所の場合はその他の 病床になりますけれども、大体病院は現在90万床ぐらいですが、有床診療所 は16万床です。療養病床が、病院で約30万床、診療所で2万5,000床とい うのが現在の病床数です。 ○部会長代理 療養型と有床診療所のベッド数を合わせると50%ぐらいにな りますね。 ○企画官 病院の療養病床と有床診療所を全部合わせると50万床ぐらいにな りますので、病院の一般の90万床と比較すればそういうことになります。 ○部会長代理 都市部でアクセスの近い所に、そういうベッドが要るのかと いう疑問はどう考えるのですか。 ○三上委員 真半分ではなくて、5分の1から6分の1ぐらいのベッド数で す。都会の場合は確かに大病院が多いということで、急性期の部分について は病院がかなり引き受けることができると思うのです。産婦人科でのお産の 場合や、整形外科のリハビリを中心とした有床診療所など、機能が特化した ものがかなりあります。  地方へ行くと、いわゆる総合病院的な、何でも診るような外科内科といっ た有床診療所が多いのではないかと思います。東京や大阪等の都会部は、そ ういう意味での有床診療所は比較的少なくて、九州と東北の一部が非常に多 いというのが一般的なことです。 ○松井委員 部会長代理がおっしゃられることはもっともだと思います。有 床診療所の、それぞれの地域における機能によって、必要ならば残せばいい し、必要でないものをあえてそこに残しておくというのは医療資源の無駄で はないかという気がいたします。  もう1つあるのは、有床診療所といえども療養病床の病床規制のほうにか かっておりますけれども、いまのところ圧倒的にその他の病床のほうがかな り大きいというのが資料に見て取れます。医療機能がそれほど高くないとい うところで、48時間規制を外すのかどうかというのは、本当に機能を見極め た上でやっていただかないと問題が大きいのではないかと思っています。  もし、有床診療所で療養病床の分野については、これは本来的に医療保険 でみるべきものかどうか、介護保険に移していくのかということも、本来も う少し考えられていいのではないかと思います。 ○松井委員 関連してですけれども、以前も発言させていただきましたが、 受療者の側から見ますと、有床診療所であっても病院であっても、自分がそ こで医療を受けるという点では、特に地域に密着した有床診療所などは、あ る意味で選択は同じだろうと思います。  そういう視点からすると、医療計画の中の基準病床から外れたところで、 この有床診療所が位置づけられるということは、都道府県の医療計画とか市 町村単位でそうしたものを出すときにはずれが起きたりする。医療計画の基 準病床について説得力も欠きますし、部会長代理がおっしゃったように、相 当ベッド数があるとするならば、有床診療所もカウントの中に入れながら、 その地域でどのぐらい要るのだ、あるのだ、したがって過不足状態はどうな のかと判断がなされないと、これはかかる側からするとわかりにくい。基準 病床の中に含めて、医療計画にカウントされていくことのほうが正しいので はないかと思っております。 ○佐伯委員 そのことに関連してといいますか、私も本日の意見を書いてお きましたが、医療計画の検討会などに、住民・国民の立場の方が入っている ことが必要ではないかと思います。三上委員にしろ、部会長にしろ、こうで はないだろうかというところでお話が進むのはどうも歯がゆいので、1人な り2人なり実際にそこのところで医療を受ける方が必要なのだとか、別にそ んなに困っていないというのを出していただきながら一緒に考えていければ と思います。 ○部会長 大変いろいろなご意見をいただきました。本日のご議論を踏まえ、 また事務局で中間取りまとめに向けて整理をやっていただけると思います。 ○土屋委員 事務局に確認しておきます。本日の資料等は従来検討されてき たものを、関係する論点、あるいは議論の概要であるとか、最終的には方向 性についての整理案ということでまとめてあります。今後については、本日 整理案として出された項目について絞っていくということですか。その他の ことについては、ここの議題にはならないといいますか、課題にならないと いうことなのでしょうか。 ○総務課長 まず整理案ですけれども、当初この医療部会の議論を進める際 に、進め方についてご相談申し上げましたように、夏には概算要求、あるい は税制改正要望とありますので、最終的な意見は年末までにお取りまとめい ただくにしても、そういったスケジューリングを考えまして、一旦夏の時点 でまとめられるものは意見としてまとめていただければ、私どもとしては、 予算の確保あるいは税制改正要望の実現といったことで、大変ありがたいと いうことで中間まとめをお願いしていたと思います。  6月末、あるいは7月にかけてその時期が来ています。そこに向けてこれ までご議論してきていただいたわけです。この整理案は、私どもとしてはこ れまでの委員の先生方のご議論を踏まえ、夏の中間まとめの原案の原案作り という意識で書かせていただいております。  これまで何回か、こういう形での議論をしていただき、この整理案につい てご意見をいただきましたので、そういうものをさらに整理いたしまして、 次回確実にお出しできるかどうかわかりませんが、できるだけ早く中間まと めという形にした上で、個々の整理案を盛り込んで、あるいは本日出たご意 見も踏まえて、中間まとめという形で案をお示ししたいと思っております。  これ以外の事項は検討課題にならないのかということについては、もちろ んそんなことはないわけです。さらに抜けている事項があれば、もちろん中 間まとめ以降、夏以降も大変お忙しい中を申し訳ありませんけれども、年末 に向けてさらに議論していただきたいと思っておりますので、そういうとこ ろでご指摘いただければ議題として取り上げたいと思います。 ○土屋委員 いままでの、それぞれの意見の概略がここにかい摘んで載せて ありますけれども、これを踏まえてというご意見ですが、どうも踏まえてい ない部分がだいぶありますので、ここで追加させていただきます。これは、 本日言っておかないと消えてしまいそうですので、人員配置標準についてで すが、「へき地等地域の実情を踏まえ、都道府県知事が、国が定める標準を 下回る配置であっても、医療計画等において」云々とあります。都道府県知 事というのは、その都道府県の医療審議会にかけてということになるのだろ うと思いますけれども、そんなややこしいことをする必要はないということ をまず申し上げておきたい。私の意見として、現在それぞれの地域にあって、 それなりの医療を提供している医療機関においては、医師不足といいまして もいろいろであります。実際に人手が足らないというのと、いまの現状に即 していない時代づれした標準に適合しないための医師不足とかいろいろある わけです。  時代とともにそういうものは変わってくると思います。これは医師の数だ けではありません、患者のニーズを1つ取ってみても、あるいは医療・医学 の進歩を考えてみてもいろいろだと思います。したがって、これを全国一律 の標準で病院はこうあらねばならない、その中でちょっと情状酌量の余地が あったら配慮するというのではなく、現在地域医療を提供している、それな りの地域で頑張っている医療機関が、背伸びをしなくて、身の丈に合った人 員配置標準を自ら選択できるようにすべきだということを当初から申し上げ ております。これは、地域で実際に医療を担っている医療機関の強い希望で もあります。そうすれば名義貸しだか借りだか知りませんけれどもそんな必 要もないわけです。実際にいまいる陣容で、できる範囲内のことをやる。さ らに、そこで陣容が、あるいは設備が整ったら、もう1ランク上のものを自 ら選択できるような仕組みにすればよい。  標準に合わなかったら診療報酬のほうで標欠で削るぞ、というような話で はなく、2年間も放っといて、半分以下だったら医療審議会にかけて云々な どということに引っかかるような医療機関はほとんどないと思います。地域 の医療機関は、そんなに、高度な医療を提供しようとは思っていません。高 度先進医療が必要ならば、それはそれなりの施設に紹介すればいいわけです。  ここのところはややこしい書き方がしてありますけれども、6頁の上から 3行目から私の意見として述べてありますが、これは是非この整理案の中に、 このニュアンスで盛り込んでいただくことのほうが非常に理解しやすい。実 際には医療審議会にかけて、それで標準を欠くには当たらない取扱いをする などというややこしいことではなく、それぞれの医療機関が自分で選択でき るような、これは有床診療所にも通じる考え方だと思うのです。  専門的なものを提供しているものもあれば、有床診療所もいろいろです。 ですから、これについて入院基本料は云々ということになれば、有床診療所 の皆さんも考えていますので、自ら選択してやれる。なにもそんな背伸びを しなくてもいいという格好のものにこの際しないと、昭和23年に作ったもの を今日まで引きずってきて、さらに、ひどい状況を招いてしまったというこ とになりかねませんので、人員配置標準を選択できるようにという私の意見 を踏まえた整理案をお願いしたいと思います。 ○部会長 いまの点も考慮に入れていただきたいと思います。中間取りまと めですから、これまで出なかった議論も出て結構なことだと思います。事務 局から、今後の日程等についての説明をお願いいたします。 ○企画官 本日ご議論いただきましたご意見を踏まえながら、事務局で整理 させていただいて案を作りたいと思います。次回は、6月29日(水)午後2 時から開催の予定です。場所と議題については追ってご連絡させていただき ます。お忙しいところ恐縮ですが、日程のほうをよろしくお願いいたします。 ○部会長 本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)