05/06/10 社会保障審議会障害者部会(第26回)の議事録            第26回社会保障審議会障害者部会議事録 日時  :平成17年6月10日(金)10:00〜11:30 場所  :霞が関東京會館「ゴールドスタールーム」 出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、大濱委員、      岡田委員、岡谷委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、笹川委員、      新保委員、末安委員、高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、      丹下委員、堂本委員、長尾委員、野中委員、広田委員、星野委員、      町野委員、      松友委員 ○京極部会長  ただいまから、第26回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにあり がとうございます。  本日は、11時30分までをめどに、1時間半の予定で進行させていただきますので、よ ろしくお願いいたします。  それでは、事務局から、委員の交代、出欠状況及び資料についての御説明をお願いい たします。 ○企画課長補佐  まず、委員の交代につきまして御紹介いたします。  全国社会就労センター協議会の役員改選に伴い、斉藤委員が委員を御辞退されまし た。その後任者といたしまして、6月10日付で、全国社会就労センター協議会会長の星 野泰啓様が社会保障審議会臨時委員となられました。  また、全国身体障害者施設協議会の役員改選に伴い、徳川委員が委員を御辞退されま した。その後任者といたしまして、6月10日付で、全国身体障害者施設協議会会長の伊 藤勇一様が社会保障審議会臨時委員となられました。  委員の出欠状況ですが、本日は、伊藤委員、亀井委員、北岡委員、福島委員から欠席 との御連絡をいただいております。  また、君塚委員、小林委員はおくれられているようでございます。  傍聴の関係ですが、多数の御応募をいただいており、今回はやむなく抽選させていた だいておりますことを御報告いたします。  続きまして、資料の御確認をお願いいたします。  まず、お手元に配付させていただいている資料は、  資料1は、試問書でございます。  資料2は、「心神喪失者等医療観察法下の行動制限等に関する告示について」でござ います。  資料3は、「障害者自立支援法案の施行準備に係る地方自治体との意見・情報の交換 状況について」でございます。  資料4は、「障害者自立支援法案に関する国会での主な議論の状況について(要約) 」でございます。  資料5は、「発達障害者の支援について」でございます。  資料6は、「障害者虐待防止についての勉強会」でございます。  資料の不足がございましたら御指摘ください。 ○京極部会長  それでは、議事に入ります。  前回の障害者部会では、心神喪失者等医療観察法の下での行動制限等に関する告示に ついて当部会に諮問され、事務局から諮問内容の説明をしていただきました。本日は、 会議の前半で諮問内容に関して皆様に議論していただきたいと思います。前回は議論が できませんでしたので、きょうが議論としては最初になると思います。  また、会議の後半では、最近の障害者保健福祉政策の状況等について事務局より説明 をしていただきたいと思います。  それでは、まず、心神喪失者等医療観察法下の行動制限等に関する告示の諮問内容に ついて、事務局より前回の補足も含めて簡単に再度説明をお願いいたします。 ○矢島精神保健福祉課長  精神保健福祉課長の矢島でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に資料1と資料2があるかと思います。これは前回の部会でお配りをさせてい ただきました諮問文と説明資料でございます。それでは、資料2の説明資料を使いまし て、この諮問について、前回も御説明をさせていただきましたので、ポイントについて 説明をさせていただきたいと思います。  医療観察法には、指定入院医療機関の管理者が、入院している人に対しまして必要な 行動の制限を行うことができるという規定がございます。これは資料2に書いていると ころでございます。3つございます。  (1)いかなる場合も決して行ってはならない行動の制限でございます。  (2)行うときには、必ず精神保健指定医の判断のもとで行わなければならない行動の 制限についてでございます。  これはどちらもあらかじめ社会保障審議会の御意見を伺った上で大臣が定めることと されております。  (3)厚生労働大臣が、入院している人の処遇について必要な基準を定めることができ ることというものが定められているところでございまして、これにつきましても、あら かじめ社会保障審議会の御意見を伺った上で定めることとなっておりますので、これは 前回でございますが、諮問を申し上げさせていただいているところでございます。  これらにつきましては、精神保健福祉法に医療観察法の規定と同様の規定がございま す。これは次のページをごらんいただければと思います。  最初の・でございますが、医療観察法に基づきまして、入院している人に対しまして 決して行ってはならない行動制限等の内容については、その人の人権を擁護する観点か ら、精神保健福祉法に基づき入院している人への内容と比べて、特にその範囲を狭める 理由はないということと、医療観察法の対象となる人は精神保健福祉法にいう「精神障 害者」であるということに変わりはないわけでございますので、行動制限や処遇につい ての基準に求められる内容について、医療観察法と精神保健福祉法との間に事実上違い がないと考えられるものでございまして、精神保健福祉法の告示で既に定められており ます行動制限や基準と同様のものを定めることとして差し支えないと考えているところ でございます。  ただし、大臣が定めます処遇についての基準の中の第2の3の電話に関する事項の (2)につきましては、一部、精神保健福祉法の告示とは異なる規定をさせていただいた 箇所がございます。これは9ページをごらんいただきたいと思います。上下に分かれま した縦書きのところですが、これは医療観察法に基づき入院する人は必ず閉鎖病棟に入 院することとなっておりますため、病棟の種別を書くことなく、電話機の設置場所を端 的に規定することとしたものでございます。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御質問等がございま したら、順次、御発言ください。  補足的に、御専門の立場で、高橋先生、いかがでしょうか。 ○高橋(清)委員  それでは、御指名ですので、私の意見を述べさせていただきます。基本的には、ただ いま御説明のありました内容で結構だろうと思います。すなわち、精神保健福祉法で示 されている行動の制限、それに準ずるということで、全く問題はないだろうと思いま す。  と申しますのは、この行動の制限に関しまして、例えば隔離にしろ身体拘束にしろ、 人手が厚い、薄いに関係なく必要なことでございます。医療観察法によってできる病院 と病床と、それから精神保健福祉法で措置入院などを受けている指定病院の入院状況と で、一番違うのはやはり人手の問題だろうと思うのですが、その人手の問題で、行動制 限、身体拘束その他の行動制限は、私は非常に差が出るだろうと思います。ただ、その 差というのは頻度の差だろうと思います。質的な差ではなくて、ここに書かれているよ うな隔離・身体拘束という行動制限は指定入院医療機関では非常に数が少なくなるだろ うと思います。  と申しますのは、一般的に言いまして患者さんの状態が悪いときにそういう措置が必 要になるわけですが、その悪くなるというのは、患者さんの不安感あるいは恐怖感、そ ういったものが募ったときなんですね。従来の病院では、まず病棟に入ると扉が閉ま り、鍵がかけられる。患者さんはそこで非常にショックを受けるわけですけれど、いろ いろ不安があって、それを訴えようとしても、看護側に十分な手がない。そうすると、 どうしても孤立感がある。そして、知らないところに来たという恐怖感が伴って、また さらに症状が悪くなる。そうすると、手がないものですから看護側は患者さんを隔離し てしまう。それがさらに患者さんの興奮状態や不安状態を高めるということがありま す。  しかし、医療観察法の指定入院医療機関の病棟ではその点が非常に改善されていまし て、看護体制が手厚くなされている。それから、看護だけではなく、精神保健福祉士と か作業療法士とか心理士とか、そういう多職種チームによるアプローチがある。ですか ら、患者さんが不安になればすぐに対応できる。そういう体制になっています。したが って、随分と患者さんは不安感が軽減されると思います。本来、病院というのはそうい うものでなければいけないのであって、安心するために患者さんは入院するわけです が、従来の病院はそういう点が不十分で、入院することが患者さんにとって心のトラウ マになってしまうということもあったわけです。そういうことが今度の医療観察法の病 床では殆ど起こらないだろうと思います。そういう意味から、隔離・身体拘束等の行動 制限は非常に減るのではないかと思います。  結論から言いまして、行動制限の内容に関しては精神保健福祉法と同様で、何ら問題 にならないだろうと私は思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○広田委員  多くの仲間がこの法案のことを聞いてきましたけれど、「知らない」という人もたく さんいましたし、「わからない」という仲間もたくさんいる一方で、この瞬間にもこの 法案を阻止しようとして命がけで闘っている仲間もいます。私はいろいろなところに話 を聞きに行っていますが、公立病院の医師などに聞いても、重大な犯罪を起こした精神 障害者が今までのような現行の措置入院では無理ではないだろうかという意見を聞いて います。  そういうことを受けて、だとしたら、現実的に行動制限は、今、高橋先生がお話しに なったと同じように、精神保健福祉法のいわゆる精神保健指定医の範囲内でやっていた だきたい。ただし、今と全く同じ意見です。人手がふえるわけですから、なるべくハー ドルが下がっていくように、そして重大な犯罪を起こして病気を持っているわけですか ら、人としてその罪に向き合えるような、そんなところであってほしいと思います。  そういう行動制限のハードルが下がれば下がるほどいいことで、もし仮に上げなけれ ばならないときが来たときに、厚生省の通達をそっと出してしまうのではなくて、きち んとその時点でこの社会保障審議会のところに話を持ち出して、そして審議してから決 めていただきたいというお願いがあります。  鑑定のことなんですけれど、これはこの心神喪失法案だけの鑑定だけではなく、現行 法上のいろいろな刑事事件の精神鑑定を見ていますと、本当にあっという間に鑑定が終 わったという話もたくさん聞いています。私は、平成14年5月31日の朝日新聞で、「ど うして私たち精神の病がある者だけを特別に扱うのか。他の病気と同じにしてほしい。 政府案は法のもとの平等に反している」ということを新聞の中でコメントしています が、このコメントがいろいろな人の本に載って引用されています。それで、これは私は 国会に法案が出るときにつけた注文なんですけれど、ただ単に国会に注文をつけただけ ではなくて、第1に、犯罪報道をセンセーショナルに扱い、常に世論をつくっているマ スコミにこの言葉を言いたかったと。  そして、第2に、処遇困難者専門病棟をつくれなかったことによって、難しい患者、 難治性精神疾患者を公立病院に押しつけようとしていた日精協が観察法成立に走った。 日精協にもこの言葉を言いたかった。  第3に、殺人をしてしまった精神障害者の裁判の傍聴にかなり行っていますが、弁護 人が初公判で起訴事実をすべて認め、その上で精神鑑定の証拠採用を求めている姿を目 の当たりにして、そういう現実の中で、私は、日弁連にもきちんと裁かれるように、そ んな最初から精神鑑定を持ち出さないで、事件の事実確認を裁判の中できちんとしてよ と。そういうことで言いたかった。  第4に、そういうふうに弁護士が精神鑑定を持ち出すから、結果として検察官が負け たくないと、負けると出世にさまたげがでてしまうということで、不起訴にしてしまっ ていた検察官のいる法務省にも言いたかった。  そういうことで、こういうコメントを出しています。  それで、私自身は精神障害者本人で、当事者という言い方を行政ではしますけれど、 触法精神障害者の当事者ではありません。ですから、こういうたくさんの方がお見えに なっているところでは無理ですけれど、ぜひ触法精神障害者で送検されながらも不起訴 になって、非常に長い年月入院していたという人もおられますから、そういう人の話を 聞く場を設けていただきたい。これはただ単に厚生労働省にお願いするだけではなく、 日精協さんのようにたくさんの病院を抱えているところにもお願いしたい。そういう人 の話を聞いていただきたいということを、クローズのような形になりますけれど、お願 いしておきたいと思います。  それから、私は、平成14年も今現在も再犯の予測はできないのではないか。何が必要 かといったらば、人にとって犯罪や自殺に走らないには、一番最初にいい環境が必要で しょうと思っています。去年、6カ月間、被害妄想の高齢者が私の家に泊まっていまし たが、その人がなぜうちに6カ月間いたかというと、その人を知っている精神科医が、 「彼女ほどの重い精神疾患の被害妄想を抱えている人に薬物療法をしても、ものすごい 副作用が伴うだけだ。彼女にとって必要なのはいい環境です」と言われて、彼女はリス バタールという薬を1錠だけ飲んで、我が家で6カ月暮らして、今は私のうちの近所の アパートでその被害妄想と闘いながらひとりでいます。そういうことを考えると、いい 環境が大事だと。  それで、その環境の中で、この間も神奈川県と神奈川県内の市町村の職員の研修に行 ってお願いしてきたのですが、こういう犯罪を図らずも起こしてしまった精神障害者、 または犯罪を起こしていない精神障害者も含めて、今度、国土交通省の方で公営住宅に 精神障害者と知的障害者が単身で入れるようになったと。しかし、社会法人などの社会 資源につながっていることが前提だという縛りがあります。それで、ぜひ厚生労働省の 方でこの前提を取っ払うようにしていただきたい。民間のアパートや家を借りるとき に、どこか社会資源につながっていなければ家を貸せないなんていうことはありません ので、もっと民間よりもハードルを下げて、そして公的保証人のようなものをつくっ て、そういうところに入って安心して暮らせるようなことが大事ではないかと思いま す。  そして、全家連さんに申し上げたいのは、精神障害者の殺人の被害者の7割は近親者 です。ということは、やはりこれは家族としても考えなければならないし、家族だけが みるのではなく、いい環境というものを含めた地域でみることが大事だと私は思ってい ます。そして、公的ないろいろな社会制度や社会資源が整っていることも大事だと認識 しております。  そして、私自身は、どんな過去があろうと、どんな病があろうと、どんな障害があろ うと、自分の町を安心して暮らせるような町にするために、去年から御近所フォーラム というものを開催しています。そして、ことしも開催します。そういうことによって、 地域の中でだれもが本当に安心して暮らしていく中で、再犯ではなくて、初犯を防ぎた い、自殺を防ぎたい。そして、温かく、うちの近所の被害妄想の私のうちから出ていっ た人をみんなが見守れる形の地域が、今、日本の中にはないけれど、そういうものをつ くっていきたいと思います。  以上、ちょっと言い残したことがあるかもしれませんけれど、私は午前中の体調が悪 いのでこの程度で、ぜひ触法精神障害者の話を聞く場を設けていただきたい。よろしく お願いいたします。 ○京極部会長  ありがとうございました。それでは、事務局からのお答えは一々しているとあれです から、とりあえず、町野委員、そして順番で。 ○町野委員  先ほどの高橋委員のお話にもありましたように、精神保健福祉法の場合と同じように 考えるというのは、妥当な考え方だと思います。この法律は保安処分法ではなく、触法 精神障害者にも精神医療を適切に与えるための法律だということですから、基本的には 同じものになるのは当然だろうと思います。  一つ問題がありますのは、精神保健福祉法の告示がつくられた当時、物的・人的リソ ースが十分ではないということで、基準がかなり低く抑えられたところにある。現在、 それにそのまま倣っていいのかということです。これから精神保健福祉法の方の基準を さらに向上させる必要があるだろうと思います。特にこの中で、7ページにあります新 旧対照表を見ますと、その隔離については、12時間を超えるものに限ってだけ精神保健 指定医の診断が必要だということになっておりますが、この12時間は長過ぎはしないだ ろうかというのは前から議論があったところです。この点は、今回急にということはも しかしたら難しい話かもしれませんが、将来、考えていただきたいと思います。以上で ございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。後で事務局の方でお答えいただきたいと思います。  それでは、猪俣委員、その次に堂本委員。 ○猪俣委員  行動制限に関して、精神保健福祉法と基本的に同じ基準を採用するということで、私 もいいだろうと思います。ただ、ここで言いたいことなのですが、これは高橋委員も触 れたことですけれど、指定入院医療機関の場合は、豊かなマンパワーを背景にして行動 制限をどれだけ少なくできるか、そういうモデル的な医療を提供することが求められて いるのだろうと思います。その結果が、一般精神病院の中にも普遍化できるようにして いくことが非常に大切だろうと考えます。  今回、措置入院を引き受ける指定入院病院、指定精神病院についての基準を、例えば 入院患者対看護師の数が3対1に引き上げられるという改正が考えられているようです が、この3対1という基準と、指定入院医療機関の看護基準というのはものすごい開き があるわけです。同じような患者さんが入院したときに、十分に話を聞いてもらえない ということで、新たなトラウマをつくってしまっているという現状は、決して否定でき ないだろうと思います。そういう意味で、まず指定入院機関は、繰り返しますが、行動 制限を極力少なく、人が配置できればこれだけできるのですよというモデルを示してい ただく。そして、一般の精神病院の中にもそれが実践できるような連続したものとして 施策を展開していただきたいということが1つです。  もう1点ですが、これは質問になるのですけれど、指定入院医療機関の処遇について はこのように法的に定められているわけですが、その前の鑑定入院の期間ですけれど、 これは1人2〜3カ月の鑑定入院を一般の病院で行うわけですが、この間の処遇のあり 方についても当然基準を決めておかなければいけないと思うのですが、これは法的には イコールとして見なされているのかどうなのか、その辺を確認しておきたいと思いま す。 ○京極部会長  それでは、後で事務局からお答えできるところはお答えいただきたいと思います。 ○堂本委員  今、私が申し上げようと思ったことを猪俣委員からもおっしゃられたのですが、マン パワーを、特殊な病院だけではなくて、一般的にもっと精神病院でふやすことが、それ が今までなかったからこそ、非常に大きな、専門家の言葉でいえばトラウマなのかもし れませんけれども、起きていたと思います。  私は、ちょっと古くなりますけれど、20年ぐらい前にニューヨークの精神病院に、非 常に大きな犯罪を起こした人がどのように処遇されているか見に行ったことがあるので すが、地下鉄から人を落としてしまったというような患者さんでしたけれど、その場合 でも、6時間ごとにドクターが診察することがその病院では義務づけられていました。 それに引きかえ、日本に帰ってきたら、本当に何年、何十年という、時にはずっと長い 期間、保護室のようなところで拘束されている実態を見て愕然としたので、きょうの告 示の内容については賛成でございますし、このような形で処遇されるということについ ては大変よかったと思っています。  しかし、あとは具体的に病院の方がどれだけこの法の内容、今度の制度の改革の内容 を実践するかということだと思うのです。ですから、行政の方としては、本当に徹底的 に一つひとつの病院がきちっとこれを実行してほしいということ、そして、広田委員が いわれたように、どうやったら予防できるのかというところまで進んでいただきたいと 思っています。  以上でございます。ありがとうございました。 ○京極部会長  ありがとうございました。それでは、諸般にわたる御意見をいただきましたけれど、 大濱委員。 ○大濱委員  簡単に。今、堂本委員初めの方と同じような話なのですが、私どもの団体にもいろい ろなファックス等が入ってきておりまして、この観察法のできる過程としまして、その 理念として、精神保健福祉法に基づく措置入院よりも高いレベルの、高水準のケア−− 要するに、十分なケアを要するような形の観察法になると聞いていたのですが、その辺 が基盤整備というものがきちんとできているのかどうか。そういう高い水準のケアがで きるのかどうか。その辺だけ1点説明していただければと思っています。 ○京極部会長  諸般の御指摘がありまして、今後の精神障害者施策を進めていく上で重要な御意見も ございましたけれども、行政として答えられる範囲ということもありますので、たくさ んの方から御意見を出されましたが、事務局の方からまとめてお答えをいただければと 思います。 ○矢島精神保健福祉課長  いろいろな方から御意見をいただきまして、重なる部分もございますのでまとめてお 答えさせていただく部分もございますが、まず最初に広田委員の方から、今回、この諮 問をさせていただいて決まるわけでございますけれど、本会で決まったことを勝手に変 更することはやらないでほしいという御意見があったと思います。私どもは答申をいた だいた上で制定をさせていただきましたこの告示の内容につきましては、仮に変更する 必要が出てくる場合は、再度諮問をお願いをすることになると考えておりまして、審議 いただきまして定めた告示につきましては、これに即した運営ができるように努力して いきたいと思っております。  それから、同じく鑑定についても、今回のこれだけにかかわらず、一般の鑑定につい ての話もございまして、これは私どもの厚生労働省だけでできない部分もございますの で、これにつきましては関係省庁に御意見についてお伝えをさせていただきたいと思い ます。  それから、この諮問・答申ということではなく、医療観察法の対象となる方で現に過 去に入院されていた方がいらっしゃって、そういう方の御意見を、こういうクローズド な場所でもいいので、なかなかこういう場に出てこれなくて意見を言う機会がない人た ちがいらっしゃっているということで、そういう方々の意見を聞く機会をつくるべきで はないだろうかということの御意見をいただきました。これにつきましては、いろいろ と難しい点はあろうかとは思いますが、なるべく御意向に沿えるように検討させていた だきたいと思います。  それから、一番多かったのは、今回、人手が厚くなるわけでございますが、御質問に もございましたけれども、今回の病棟の人員配置につきましては、医師はおおむね30床 病棟で大体4人ですので、おおむね8対1程度でございます。看護師につきましても、 夜間でも大体6対1ぐらいになる、最低でも30人の病棟で5〜6人ぐらいいるという体 制で、昼間の体制でもかなり手厚い体制をつくるということでございまして、そういう 意味では、かなり手厚い人員体制を確保できるのではないだろうかと思っております。  そういうことを踏まえて、いろいろな委員の方から、それだけの手厚い体制なのであ るから、いろいろな意味で行動制限などについて頻回に診察したり、頻回に見回りとい いましょうか、患者さんのいろいろな訴えなどを頻回に聞くようにすべきではないかと いうことでございましたが、これにつきましても、私どもは医療機関の方も実際にはそ ういうふうにやっていただけるものと思っております。そういうことでありまして、実 際に運用している段階でいろいろな症例の積み重ねをすることによって、実際の行動の いろいろな場面で症例を積み重ねることによって、いろいろな制限のあり方などが見え てきた段階で必要であれば、再度検討すべき問題ということで認識をさせていただいて おります。  いただいた御意見はその辺だと思いますので、以上でございます。 ○京極部会長  あとは、町野委員からの12時間のあれは……。 ○矢島精神保健福祉課長  12時間につきましても、今、一番最後にお答えさせていただいた、12時間という時間 の長短のみでは論じがたい部分があるかと思いますので、そこにつきましては、いろい ろな制度の運用を開始させていただきまして、症例を積み重ねることで行動の制限のあ り方が見えてきた段階で、必要があれば再度検討させていただければと考えておりま す。 ○猪俣委員  まだお答えいただいていないのですが、措置入院の指定病院との人員の格差が目立ち 過ぎるのではないかというのが1点と、鑑定入院期間中の行動制限についてのお尋ねを したのですが。 ○矢島精神保健福祉課長  人員につきましては、猪俣委員の御質問は具体的な数でしょうか。数が多いことにつ いてということでしょうか。 ○猪俣委員  いえ、数が少ないことについてです。指定病院の措置入院の。 ○矢島精神保健福祉課長  済みません、今のは逆に勘違いをしまして、私どもは、医療観察法の指定入院医療機 関の方の数のことを申し上げさせていただきましたが、猪俣委員の御意見は、現在の普 通の措置入院の指定医療機関の数のことだという御指摘でございます。  これにつきましても、今、私どもは、措置入院をする病棟につきましては、今回の改 正で、例えば看護につきましても3対1以上の基準ですとか、そういうものが必要では ないだろうかということで、私どもは今、自立支援法の中で一緒に精神保健福祉法の改 正というものを考えさせていただいていますが、それを施行する段階で、今の措置入院 の看護の配置につきましては、今よりも手厚い体制が必要ではないかということをその 中で位置づけさせていただければと思っています。  それから、鑑定中の入院について猪俣委員からも御意見がございましたが、鑑定中の 入院につきましては、通常の精神医療と同様の医療が提供されれば問題ない旨解釈をさ れていることになっております。  以上でございます。 ○長尾委員  各委員からいろいろな意見が出されて、もっともなことだろうと思いますし、人員配 置が今回の入院医療機関では厚いということで、一般の精神科の病院と比べると格段の 差があるのは事実です。ただ、町野委員からもいわれましたような、12時間は長過ぎる のではないかとか、実際の人員をもっと厚くしろという話は、これはもっともではある のですが、現実の状況として、看護師、医師、精神保健指定医、これが十分幾らでも無 尽蔵にそろえられるかというと、現実ではそうはなかなかいかない。  ですから、その辺を十分に現実を踏まえながら、できるだけ人員配置を厚くしていこ うとする努力は各病院もやっているわけですし、それが十分な人員が供給できる体制を ぜひともそろえていただいて、人員を厚くしていきたいと思っております。ですから、 その辺を踏まえながらやっていただかないといけないと。  それから、非精神保健指定医による隔離ができる時間をもっと短くせいという話がご ざいますが、当直体制をとった場合に、すべて精神保健指定医でそれを当直体制がとれ るかというと、恐らくその指定入院医療機関でもなかなか困難であろうということがご ざいます。ですから、実際のそういう人員を十分に供給できる体制をぜひともまたとっ ていただいた上で、現実に可能であればそういう見直しも考えていただくということ が、今の現実的なこととしてあるのではないかと思います。 ○京極部会長  それでは、関連ですので、江上委員、安藤委員という順番でお願いします。 ○江上委員  行動制限の部分ではないのですけれど、総合的に、現実の施行に向けていろいろな条 件が緩和されようとしている点で、指定医が見なし条件に入った点や、施設の規定が条 件から緩和されている点とか、数が集まらないからということで条件が緩和するという 部分について、この場でも後の機会でぜひ検討してもらいたい。  それと、その他の問題点として、もとの主治医とのかかわりが設定されていないとい うことで、主治医とのかかわりが途絶えてしまう点について、今後のことをぜひ検討し てもらいたい。  それから、社会復帰調査会の役割は何なのか等、明確なものをぜひ検討してもらいた い。この場でなくてもいいんですけれど、ぜひほかの場でも検討してもらいたいと思い ます。  以上です。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。  では、次に、安藤委員。 ○安藤委員  安藤です。聴覚障害者の立場から意見を申し上げたいと思うのですけれど、全国の精 神病院に聴覚障害を持つ人たちが少なくないのだそうです。実際に社会生活の中でコミ ュニケーション等の障害から精神を病んでいると思いますけれど、もう一つは、コミュ ニケーション等の障害のゆえに奇声を発したり非常識な行動があるので、精神病院に入 院というような人もいるわけなんです。したがって、行動制限については、単に精神病 院だけではなくて、その患者の持つ他の障害にも配慮した対応が必要ではないかと思い ます。  その中で考えることなんですが、ここに電話の制限とありますけれど、私たち聴覚障 害者の場合は電話も全く使えないんです。そうすると、電話を使えない患者にどう対応 するのか、通訳等の配慮というものも考える必要があるのではないかということですけ れど、この資料1の6ページの三の(三)ですけれど、隔離を行っている間において は、定期的な会話等による注意深い臨床的観察等が必要ということですが、この「定期 的な会話」について、患者に聴覚障害者があった場合、きちんと医師とか看護師とかと も十分なコミュニケーションの保証がなされるような環境の整備があるかどうか、その ような配慮が必要ではないかと思います。  したがって、基本的には全国の精神病院にそのように障害を合わせ持っている患者が どの程度いるのか、その患者の障害的な区分というのはどんなものかの実態調査が必要 ではないか。また、その障害がある人に対する配慮というものをきちんと考える必要が あるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○京極部会長  末安委員にお話しいただいた後、事務局からお答えいただきたいと思います。 ○末安委員  施行は予定どおりになるのかというのが名言がまだないので、それをぜひお聞かせい ただきたいのと、今までずっとお話のありましたのを聞いていまして、観察施設と既存 の精神科の病院との人員体制を含めて、サービスの中身について、一言で言いますとね じれ現象が起きることになる。これから犯罪を犯した精神障害者の方が処遇されること についてはわかりましたけれど、今までの方たちがいらっしゃる精神科病院の方の人員 体制の充実に対して、何らかの具体的な方策があるのかということを伺いたい。  もし今具体的なものがないとしても、見通しといいますか、ことしの精神保健福祉法 の改正は自立支援法の関連ということになっていまして、ことしは改正年だったのです けれど、現場から見ますと非常に縮小された、グランドデザインを読むと、期待外れで す。どこが一番の目玉になるのか、あるいは5年前の改正のときから積み残したこと が、きょうはこれは本題ではないので触れませんけれど、随分あるように感じておりま す。  特に私どもパラメディカルスタッフは、私は看護師ですけれど、看護の方から見て も、先ほど来出ていますような直接処遇する人員は充実していると言っているのですけ れど、その権限に関することとか責任性に関することとかが精神保健福祉法改正法の中 に盛り込めませんでした。既存の精神科の医療に対する何らかの政策が今後どのように 展開されるのかということとともに、そこで働く人たちに求められている資質とか責任 とかということについて、今後何らかの対応がされていくのかどうかということについ ても、お聞かせ願えればと思います。 ○京極部会長  いろいろ御質問がありましたけれど、事務局、どうぞ。 ○矢島精神保健福祉課長  最初に江上委員から、今回の医療観察に関係しまして、例えば主治医との縁が切れて しまうのではないかですとか、社会復帰調整官の役割とかというお話が出ていまして、 まさに社会復帰調整官の役割としていろいろな地域との連携が大事だと思っております ので、家族会から、主治医との縁とかそういうことも含めてちゃんと地域連携ができる ように、まさにそのために社会復帰調整官が配置されていると思いますが、関係の省庁 の方にもそういう意見があったということをよくお伝えさせていただければと思ってい ます。  それから、安藤委員の方から、精神科病院の中に入院されているのは、聴覚の障害の 方のほかにも、いろいろな障害を持った方が入院されたりすることがあるだろうという ことのお話でございまして、そのときに具体的に電話のお話をさせていただいたわけで すが、もちろんコミュニケーションの方法は電話だけではなく、手紙ですとか、面会な どにつきましても、いろいろな意味でちゃんとコミュニケーションの方法がとれていま す。でも、安藤委員がおっしゃりたかったのは、そういう障害を持った人がうまく自分 の思っていることを伝えられるような、要するに、医療機関のスタッフも含め、そうい うことができるようにしてほしいという御指摘だと思います。  本日も手話を使って、いろいろな意味で聴覚に障害を持った方々のコミュニケーショ ンを図っているわけでございまして、すべての病院にそういうことができるかどうかと いうことの問題はございますが、障害を持った方が病院に入院された場合でも、そうい ういろいろな方法でコミュニケーションが図られていくということはすごく大事なこと だと思っておりますので、その辺のところは今後いろいろな方法でいろいろな手当てを いろいろと検討していく必要があるのではないだろうかと思っているところでございま すが、残念ながら、今のその中ではちょっとそこまで十分にできないということを御理 解いただければありがたいと思っています。  それから、末安委員の方から、今回の医療観察法の施行についての話がございまし た。これも前から御説明をさせていただいているところでございますが、これは法律が 成立いたしまして2年以内に施行するということで、その施行は7月15日がその2年の 限度になっていますので、今、7月15日までにできるように、今、事務的な手続をさせ ていただいているところでございます。  それから、先ほども猪俣委員の方から人員配置についての話がございまして、今回の 医療観察法の病棟についてはかなり手厚い緩和配置なりがあって、既存のいろいろな医 療機関との間に差が出てくるのではないだろうかという御指摘かと思います。これにつ きましては、実際には診療報酬の話とも絡みます。これは私どもは実際にグランドデザ イン、そして精神保健医療福祉の改革ビジョンの中で御説明をさせていただきました が、いろいろな意味での精神科病院の機能分化を図ることによって、各病棟の持ってい る機能に応じて、人員配置も含め、そういうもののいろいろな手当てをしていく必要が あるのではないか。そういう機能分化を図って、精神科医療の質の向上を図っていくと いうことをビジョンに掲げさせていただいておりますので、私どもはそのビジョンに掲 げましたものにつきまして具体的にそれが実現できるよう、これからも頑張っていきた い、努力していきたいと思っているところでございます。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。さまざまな課題がございますが、皆様方からいただいた御 意見をぜひ行政として生かしていただきたいと思います。しかし、いずれにしても、本 部会として諮問に対する答申を行わなければ次に進めませんので、答申を受けて行政の 方でまた、きょう御提案いただいたことを含めまして、実行していただきたいと思いま す。  それで、委員の皆様の発言を総合いたしますと、いろいろな御意見、御提案がござい ましたが、諮問内容そのものに反対という意見はなかったかと思います。ついては、諮 問内容は妥当という形で答申を行うこととし、答申書の作成については、できれば部会 長に一任ということでお願いできないかと思いますが、御異議はございませんでしょう か。      (「異議なし」の声あり)  ありがとうございます。異議なしと認めますので、後ほど部会としての答申書を作成 するとともに、社会保障審議会の貝塚会長とも御相談の上、本部会の議決をもって社会 保障審議会の答申といたしたいと考えております。  なお、告示を定める際に、その趣旨は変わらない範囲でございますけれども、法制的 な観点で、字句等の細かな修正があることもあり得ますので、その点は御了知いただき ますとともに、事務局に一任したいと思いますが、いかがでしょうか。      (「異議なし」の声あり)  ありがとうございます。  それでは、時間が大分押してきましたので、続きまして、最近の障害保健福祉施策の 状況等につきまして、国会の動きも大変活発でございますので、この間、部会も大分間 があいておりますので、事務局よりできるだけ詳しく御説明していただければと思いま す。  まずは、前回の障害者部会で安藤委員より御依頼がありました障害者自立支援法案の 施行準備にかかわる地方自治体との意見・情報の交換状況について、御説明いただけれ ばと思います。 ○伊原企画官  企画官の伊原でございます。資料3として、前回の部会で御下問のございました自治 体との意見交換の状況についての資料を用意させていただいております。それをごらん いただけますでしょうか。  まず、今回の自立支援法案は2月10日に閣議決定させていただきましたが、非常にタ イトなスケジュールということもございまして、法案成立前ではございますが、現段階 の法案の内容とか、あるいは事務局方の考え方というものについて、都道府県、指定都 市、中核市を対象にいたしまして、まず全国の主管課長会議というものを開催しており ます。  当然のことながら、内容につきましては国会の審議等を踏まえまして細かいことを決 めていかなければいけないわけでございまして、現段階ではある部分骨格的な事柄のみ を御説明しております。これまで、ことしの2月17日から始まりまして、昨日、6月9 日まで4回開催しております。具体的な各回の内容につきましては、ここにございます ような内容となっております。  この課長会議は主として情報伝達のようなことがございますけれども、今回の自立支 援法案は、実際に動かしていきますのは市町村が中心でございます。そうしたことか ら、その下にございますように、14大都市、指定都市と呼びますが、その主管課長会 議、あるいは東京23区の課長さん方の会議、こうした会議にも当省の職員が出まして意 見交換をさせていただいております。  それから、その下にございますが、自治体向け施行準備ヘルプデスクの設置というこ とで、自治体の方からもいろいろ法案の施行に向けて準備は必要であると。そして、さ まざまな御質問や御意見がございます。そうした自治体からの照会に対応するために、 ヘルプデスクというものをことしの4月18日に開設いたしまして、各照会に対応してお ります。具体的には、都道府県を通じて都道府県から御質問が上がってくるという仕組 みになっております。そして、5月末現在で 293件の御質問をいただいております。  具体的な内容は、次のページですが、これは別紙でございますけれど、質問分野別に 12の分野に分けまして御質問を分類したものでございます。  具体的には、法案の中身というものもございますが、最近では具体的に施行に向けて 事務手続をどうしたらいいのかという御質問も来ております。こうした御質問につきま しては、回答したものは全国主管課長会議でQ&Aという形でまた配布させていただい たりということで対応させていただいております。  以上、簡単でございますが、現在の自治体との意見交換の状況を御説明させていただ きました。 ○京極部会長  ありがとうございました。  次に、障害者自立支援法案に関する国会での議論の状況について、事務局より御説明 いただきたいと思います。 ○村木企画課長  企画課長の村木でございます。お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。  御承知のとおり、障害者自立支援法につきましては、国会に提出をされ、衆議院の厚 生労働委員会で審議が始まっております。そして、同じく国会に提出をされております 障害者雇用促進法と、2つの法案を一緒に委員会で議論をされておりまして、かなり時 間をかけた丁寧な議論が行われているところでございます。委員会の方で既に約20時間 ほどの審議が行われました。  また、この間、参考人質疑という形で外の方をお招きをして質疑をするということ で、これが3回行われております。そして、1回は障害者団体をお招きしてということ で、いわゆる8団体全部の団体にお越しをいただいて、団体からの意見陳述と、それに 対する質疑という形で議論をしていただいております。それから、参考人質疑の2回目 は、主に就労の関係を中心にしまして、経営者団体、労働組合、そして就労支援をされ ている方々、あるいは学識の方々に御出席をいただいて質疑をしております。  そして、参考人質疑の3回目は、主に福祉を中心にいたしまして、市町会や町村会の 代表の方ですとか、事業者の方ですとか、学識の方ということで質疑をしたところでご ざいます。この審議会のメンバーの中からも、国会の参考人質疑にも御参加をいただい た先生方もいらっしゃるところでございます。  こうした質疑を議論した上で、6月8日でございますが、雇用促進法の方につきまし てはかなり審議が尽くされたということで、衆議院の厚生労働委員会の方で一部法案修 正がございましたが、全会一致で修正された法律を採択いたしまして、さらにこれに附 帯決議もついております。本会議の方は、恐らく本日の午後になるのではないかと思い ますが、衆議院の本会議の方で採決がされるということで、それが終わりますと参議院 の議論が始まるということでございます。  一方、自立支援法の方でございますが、さらに丁寧な議論が必要ということで、引き 続き、衆議院の厚生労働委員会での議論が進む予定でございます。ただ、参議院の方か ら回ってきている幾つかの法案がございますので、そちらの方を先に議論をするという ことで、こちらの方はちょっとお休みのような状態になっているということで、またそ の辺の法案処理が終わりますと、この自立支援法案の議論が再開をされると考えており ます。  出ました主な質疑は資料4にまとめておりますので、後でごらんをいただきたいと思 いますが、法改正の趣旨、何ゆえに今度の法改正が必要かということで、利用者が急増 する中で制度がきちんと維持できるような制度改革が必要、あるいは地域間格差を解消 することが必要、そして精神障害が対象になっていない今の支援費を改めていくことが 必要であるといったことを、大臣あるいは部長から答弁を申し上げている。  それから、個別の項目につきまして、特にやはり議論が多いのが利用者負担のところ でございます。主な質疑は1ページの下のところから少し抜粋をしておりますが、利用 者負担については、家族全体ではなくて、本人の所得に着目すべきではないかというこ とで、そういう非常に強い要望があることは承知をしていること、それから、さはさり ながら、民法上の生活保持義務が課されている配偶者等々についても同じ扱いでよいの かどうか、あるいは税制との関係、医療保険との関係、こういったものとの整合性もよ く議論をしなければいけないということで、これからさらにいろいろな御意見を伺いな がら結論を出していきたいという答弁をしたりしております。  それから、利用者負担については、定率負担、応益負担が本当に大丈夫かといった質 疑もございます。みんなで制度を支えていくということも必要であるが、その中で、過 剰な負担にならないようなきめ細やかな配慮が必要だということを答弁をしているとこ ろでございます。  また、福祉工場などの働く場での負担ということは問題があるのではないかというよ うな御質疑もありまして、これにつきましては就労継続支援という新しい事業の中で雇 用関係が結ばれているようなものについては、事業者の負担で利用料を減免することが できるような仕組みを導入したいと考えているという方向を大臣から御答弁を申し上げ たということでございます。  それから、利用者負担の問題に続きまして比較的質疑が多くなされているのが、支給 決定手続の関係でございます。審査会に障害当事者を入れるべきではないかといった御 質問が結構出ておりまして、これについては、障害を持っていて実際に当事者であっ て、かつ、専門性のある方がいれば、ぜひ入っていただきたいと考えているというよう な御答弁を申し上げたところでございます。  また、審査に当たって当事者からの申し出があれば意見を聞くべきではないかという ような御質問もありまして、これは審査会が必要と考えるときには意見を聴取する仕組 みができていること等を御答弁を申し上げているところでございます。  それから、3ページを見ていただきますと、新しい事業体系についても御質問が幾つ か出ております。  1つは、移動支援の関係ですが、個別給付とすべきではないかということで、これに ついて個別給付の部分と自治体の地域生活支援事業という部分でカバーをする部分と、 両方上手に活用していくということで答弁を申し上げております。  それから、小規模作業所が新しい事業体系へ移行する際の応援策もかなり議論が出て いて、これについてしっかり小規模作業所が新しい体系に移行できるように努力をして いきたいということを大臣からも申し上げております。  また、グループホームのあり方につきましても、実際の運用面も含めまして既に国会 の方でも質問が出ているということでございまして、これはさまざまな工夫をしていく ということで、今後検討をしていくということを御答弁を申し上げております。  それから、精神の医療の関係についても質疑が行われておりまして、特に精神の通院 公費について、受診抑制、治療の中断につながらないようにという御質問が出ておりま して、こうしたことについて低所得者対策等をしっかりしていきたいというような御答 弁を申し上げております。  それから、4ページをごらんいただきたいと思いますが、自立支援法という今度の法 体系よりもやや幅広の議論も国会の方で行っていただいておりまして、1つは、所得保 障にしっかりこれから踏み込んでいくべきではないかという御意見も出ておりまして、 これも今後の大事な課題として十分検討していきたいということを大臣から御答弁を申 し上げております。  また、介護保険の普遍化についてしっかり議論をすべきというような議論もございま して、これは介護保険法の附則に盛り込まれておりますので、これに基づきましてしっ かり議論をするというようなことを御答弁をしているということでございます。  もう既に20時間以上、それから参考人質疑をそれに加えて、既に行っているところで ございますので、簡単にはまとめ切れないところもございますが、国会議事録というこ とで逐後の議事録が出ておりますので、詳細はぜひそちらをごらんをいただきたいと思 います。それから、私どもの方でも議事録を入手しまして、御連絡いただければ、既に 手元に入っているものは御提供できるようにしたいと思います。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。大変丁寧な御報告でしたけれど、国会での議論でございま すので、審議会とはちょっと離れたところではありますが、何か御質問はありますでし ょうか。  野中委員、どうぞ。 ○野中委員  資料3に戻りますけれど、その中の質問状況を見ますと、ケアマネジメントというこ とに対する質問件数が7件で、比率が 2.4%ということで、今回の自立支援法の中で大 切なことは、やはりケアマネジメントが適切にされるということが必要なはずでござい ます。その中においてはこの7件、 2.4%というのは非常に少な過ぎるのではないか。 そのことに関して事務局はどのようにお考えでしょうかということと、今後どうされる のかということをぜひ教えていただきたい。確かにお金の件があるのはわかるけれど も、お金が安いか高いかということは、その中身が本人にとってどういうものなのかと いうことは大事なことですから、そのことをどうやって現場が理解するかどうかという ことの作業はとても重要でございます。  先ほどの行動制限の話でも、やはり御本人たちにとってのなじみの環境をどうつくっ ていくかどうかということも、この中のケアマネジメントの中の要素は大事なことだろ うと思います。そういう面では、これが7件しか質問がないという現状を真剣に取り組 んでいただいて、きちっとそれを適切にケアマネジメントができるような配慮をぜひや っていただきたいと思います。  それから、ちょっと前に戻りますけれども、先ほどの行動制限に関しましても、さま ざまな医療環境の御提案がございました。医療環境をつくるのには、確かに皆さん方が 言われるように、例えばさまざまな人員配置あるいは医師の関係がございますけれど も、その医療機関がそのことをきちっと配置するには何が必要かということを、皆さん 方の要望も必要ですけれども、そのためには何が必要かということもぜひ御検討いただ き、その諮問書の中にもぜひそれを含めて、財源的な部分も含めていただかないと、要 望はあっても、現場の医療機関の部分が非常に酷なことになりますので、ぜひそこは御 理解いただきたいと思います。  それで、戻りますけれども、資料3についてのケアマネジメントの今後の方策につい ての御見解を事務局からいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○京極部会長  前後いたしましたけれど、事務局からお答えいただければと思います。 ○伊原企画官  今、野中先生からいただきましたケアマネジメントにつきましては、以前より先生か らも御指摘いただいておりまして、今回の自立支援法案の一つの大きな目玉だろうと思 っています。そういう意味で、前回御説明させていただきましたが、試行事業というも のを現在61の自治体でスタートしております。これは支給決定プロセスの中で障害程度 区分の項目であるとか、あるいは、実はケアマネジメントにつきましても、支給決定プ ロセスの中でどのように行われるかということを実際の自治体でやっていただいており ます。  それで、今、進めておりますが、自治体の方からもこの支給決定のプロセスの中で、 単に障害程度区分の判定だけではなくて、どのように支給決定をしていったらいいか、 その中でケアマネの手法をどう活用するかということについても関心が出てきておりま して、我々として今そのフォローをしているところでございます。  そうした調査を踏まえまして、今回また、夏ごろになると思いますが、試行事業の結 果の中で、ケアマネジメントはどういう形で運用されたのか、あるいは今回のこの制度 においてどのように制度を考えていったらいいのかというあたりについて整理して、ま た御報告させていただきたいと思っております。  そういうことを整理していく中で、自治体の方にも、単に支給決定を手続だけやれば いいということではなくて、個々の障害者の方々に合ったサービスがどのように提供さ れるべきか、それをきちっとビルトインするような形でやっていただけるように、ちゃ んと周知していきたいと思っています。 ○野中委員  モデル事業の結果としては、そのプロセスというだけではなくて、その結果どうだっ たかという評価もぜひ御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。 ○京極部会長  貴重な意見をありがとうございました。  それでは、国会の状況はこれからどんどん進展していきますので、これぐらいにいた しまして、次に、きょうは資料が出されておりますが、発達障害者の支援について事務 局より御説明をお願いいたしたいと思います。 ○大塚障害福祉専門官  企画課の専門官の大塚と申します。どうぞよろしくお願いします。  私の方からは、発達障害者の支援についてということで、皆様のお手元の資料5「発 達障害者の支援について」をごらんいただきたいと思います。  1ページですが、発達障害に関する勉強会というものを開催してまいりました。これ について御説明したいと思います。自閉症などの発達障害につきましては、従来、真っ 正面から政策として対応してこなかったという問題意識のもとに、有識者と行政関係者 から構成されます発達障害者支援に関する勉強会というものを開催してまいりました。  第1回の平成16年2月3日から第9回の平成16年9月21日まで、9回にわたって勉強 会を開催してまいりました。この中でいろいろな発達障害に関する課題が議論されまし た。そういうこととともに、平成16年11月19日には議員立法として発達障害者支援法案 が国会に提出されまして、同年12月3日には参議院本会議において可決されたところで ございます。  この発達障害者支援法の内容につきましては、皆様のお手元の資料の3ページをお開 きいただきたいと思います。発達障害者支援法の概要でございます。  まず、発達障害者支援法については、発達障害の定義というものを確定いたしまし た。この法律における「発達障害」とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎 性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であっ て、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」とさ れておるところでございます。  また、三としまして、この法律においては、国及び地方公共団体の責務を定めており ます。国及び地方公共団体の責務といたしましては、発達障害の早期発見、あるいは早 期の発達支援のための必要な措置を講じるということでございます。  また、国民は、発達障害につきましてはなかなか障害というものが理解しづらいとい う面がございますので、そういう面から発達障害の福祉について理解を深め、発達障害 者の社会参加に協力するということとされております。  四としまして、発達障害の方に対するさまざまな施策でございます。発達障害の早期 発見から始まりまして、早期支援、保育、教育及び放課後児童健全育成事業、あるいは 学校における支援、そして就労支援、地域での生活支援及び権利擁護など、ライフステ ージに応じた地域における一貫した支援というものを規定しているところでございま す。  五としまして、発達障害者支援センターですが、これは従来の自閉症発達障害支援セ ンターというもので、運営事業として行ってまいりましたが、公立において発達障害支 援センターとして規定されたところでございます。この法律は、今年4月1日から施行 されているところでございます。  施行に際しまして、皆様のお手元の資料の8ページでございますが、文部科学省と厚 生労働省の事務次官連名通知ということで、施行のための通知を発出いたしまして、都 道府県あるいは市町村がこれに基づいてきめ細かく発達障害の方の支援に当たっていた だきたいと思っております。  続きまして、発達障害者支援法が4月1日から施行されているところでございますの で、14ページでございますが、発達障害者に対する支援ということで、さまざまな支援 体制を都道府県あるいは市町村につくっていきたいと考えています。  例えば、発達障害者支援体制整備事業というものを都道府県あるいは指定都市で行っ ていただいて、発達障害の支援体制というものを地域にどのようにつくるかということ を、いろいろな関係者が集まって連携協議会などをつくって協議していただきたいと思 っています。  あるいはまた、実際に発達障害の方をいろいろな場においてモデル的に支援を行って いただいて、その結果を地域に広めていただきたいと考えております。  また、自閉症・発達障害者支援センターですが、これは法律において発達障害者支援 センターになりましたけれども、平成16年度は20カ所で運営されておりますが、今年度 においてはプラス16カ所の36カ所において運営していただく予定でございます。  また、発達障害者支援法の成立過程において、発達障害に関する医師、保育士、保健 師など専門家の養成は非常に重要だということの指摘を受けたところでございます。国 といたしましても、医師の研修であるとか、専門家の養成というものを国立の施設など において実施していきたいと考えておるところでございます。  以上が発達障害者の支援でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。何か質問はございますか。  それでは、次に、もう一つ資料が出ておりまして、障害者虐待防止について勉強会が 行われておりますので、これについて事務局より御説明をお願いいたします。 ○大塚障害福祉専門官  引き続きまして、障害者虐待防止についての勉強会ということで、お手元の資料6を ごらんいただきたいと思います。これは特に障害者施設において虐待事件というものが 続発しておりまして、そういうものに対する緊急な対策を検討する、その必要性から、 有識者あるいは行政担当者から成る障害者虐待防止についての勉強会を開催していると ころでございます。  開催状況といたしましては、第1回をことしの2月18日から、そして第5回を先日の 5月30日まで開催しているところでございます。  内容につきましては、特に虐待防止のあり方、どのようにしたら虐待が未然に防止さ れるか、あるいは虐待が起きた場合の対応、あるいはその後のフォローというものにつ いてさまざまな観点から検討していただいているところでございます。  具体的にこの5回の障害者虐待防止についての勉強会の意見の概要でございますが、 3ページをお開きいただきたいと思います。委員の皆様から、あるいは行政とのいろい ろな検討の中で、勉強会の意見というものが出ております。  Iとしまして、障害者虐待の現状というところで、幾つかの施設における虐待の共通 点があるのではないかという御意見でございます。  特に知的障害のある方、そういう施設の場合においては、障害そのものが本人にも理 解されていないということ、あるいは親が施設への配慮から、虐待というものがあると 疑ったとしても、むしろ虐待をする側を守る傾向があるのではないかということ、そう いう御意見がございました。  あるいは、職員自身に体罰あるいは虐待という認識がなく、指導・しつけと考えてい る。  あるいはまた、強度行動障害などの行動障害に対する支援スキルがない場合に虐待が 発生しやすいという御意見もございました。  また、虐待につきましては、小さな権利侵害からだんだんエスカレートしていくとい う傾向があるという御意見もございました。  そして、虐待防止についてはやはり支援スキルが必要だということで、職員に対する 適切な研修が必要であるし、虐待は密室で生まれるわけですから、やはり第三者の介在 が必要であると、このような御意見がございました。  IIといたしまして、障害者虐待を未然に防止するための取り組みといたしまして、障 害者の団体であるとか、あるいは都道府県からのヒアリングを行いましていろいろな試 みをしておりますので、このようなものも検討させていただいて、これからの障害者虐 待防止の一つの事項としていきたいと思っております。  IIIといたしまして、今後の虐待防止のための方策ということで、障害者の虐待とい うものが、施設であれ家庭であれ、どのくらいの頻度で起きているかなど、実態調査が 必要であるという御意見がございました。あるいはまた、虐待については、通告あるい は介入というシステムを導入する必要があるのではないかという御意見もございまし た。  また、虐待防止に関する掲示物というものを施設の壁などに張ることによって、虐待 防止の抑制、コントロールなどに有効なのではないかという御意見もございました。  そして、最終的には、障害者虐待防止法などのきちっとした法律を整備することによ って、虐待防止というものを未然に防止していく必要があるのではないかという御意見 をいただいたところでございます。  虐待防止についてはまださまざまな課題がございますので、このような勉強会を引き 続き継続して行うことによって、虐待防止についての検討としていきたいと考えており ます。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。資料3から始めまして、式次第にございます資料6まで御 説明いただきましたが、ただいまの障害者虐待防止についての勉強会以外にも、その前 のところでも構いませんので、何か御意見や御質問がございましたら、どうぞ。  笹川委員、お願いいたします。 ○笹川委員  まず、今後のスケジュールですけれど、自立支援法案が出されるときには、この部会 ではほとんど審議がないまま国会に出されました。そのときのお話で、政令省令を定め る段階では障害者団体の意見等も十分聞くということでしたけれども、実際に我々に政 令省令案が提示されるのはいつごろなのか、この点を1つお尋ねします。  もう1点は、資料3の中で、 293件の質問のうち、障害程度区分については、12件、 4.1%と、大変少ない数字です。私たちはこの障害程度区分を非常に重視しているので すが、このままで行きますと、各団体はもう国が示したこの調査内容で程度区分を決め るということになりかねないのですが、御承知のとおり、あの調査内容の3分の2は介 護保険の認定基準そのままを持ってきています。こういうことでは障害者の程度区分は わからないと思うのですが、このまま機械的に作業を進めてしまうのかどうか。この点 をお願いします。 ○京極部会長  2つ質問がございましたので、どなたか事務局で。 ○村木企画課長  まず、政令省令の関係でございます。これからの福祉の中身に本当にかかわりの深い 政省令でございますので、この場でしっかり議論をしていただきたいと思っております が、当然、法律が通って初めて議論ができるものでございますので、法案の成立を待っ てできるだけ早い時期にお図りをするということになろうかと思います。  法案の成立時期につきましては、本来の会期末は6月19日でございますが、延長等々 の議論も出ておるようでございまして、正直申し上げて、なかなか私どもで今予測を申 し上げることができないような状況でございます。 ○伊原企画官  それから、障害程度区分に関しましてですが、資料3のところで、障害程度区分の質 問件数が12件−−先ほどケアマネジメントは7件と少ないというお話がございました が、これをごらんいただきますと、自立支援医療のところは 138件と際立って多いんで すね。これはなぜかと申しますと、こちらの方の施行が10月と迫っておりまして、自治 体の職員の関心も、要は手近なところに御質問が集中している関係でございまして、今 後、これを運営していきますと、支給決定のプロセスですとかケアマネジメントについ てもふえてくるのではないかと思っております。  それから、試行事業で、今、障害程度区分についてアセスメントも行っております し、実際にこれを審査会というところで御議論いただいて使っていただくことをやって おります。この項目につきましては全体で 100項目強の項目で今やらせていただいてお りますが、これは確定したというわけでは全くございませんし、むしろその項目を61の 市町村で運営していただきまして、そこで出た御意見、あるいは、現在、有識者の方と か関係者の方々ともあわせていろいろ御意見をお聞きしたいと思っておりまして、秋の 段階で、実際にこの障害程度区分の基準を決めていくまでの間には、そうしたいろいろ な方々の御意見を聞きながら最終的なものを決めていきたいと思っております。 ○京極部会長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○君塚委員  10月からの精神通院公費の件ですが、指定医療機関制度が導入される予定とされてい ますけれども、そのときにおける現場とか都道府県での混乱を避けるために、その申請 とか認定基準についての検討は現在進んでいるのでしょうか。 ○矢島精神保健福祉課長  まず、指定通院医療機関につきましては、現在、医療を受けられている患者さんがお られて通っている医療機関は、すべて対象にさせていただくということで準備を進めて おります。ただ、そのときのいろいろな事務手続をどうするかという細かいことについ ていろいろと詰めさせていただいておりますが、現に患者さんが利用されている医療機 関についてはそのまま指定をさせていただくことで考えております。 ○武田委員  資料5と6についてですが、地域にいていつも感じることは、厚生労働省の方で、虐 待のことや障害者のことについて議論はされていくのですが、文科省との連携で、発達 障害については連名で出てはいるのですが、虐待の方について、この参加メンバーのと ころに文科省の人が入っておりません。やっと厚生労働省になって労働と福祉の方の連 携が図れるようにはなってきましたが、人間、赤ちゃんからずっと大きくなって成人に なっていく中で、教育の問題というのは切っても切れないと思っているのです。けれ ど、またしてもこの障害者虐待防止のところで文科省も入っていないなと感じておりま して、よく広田さんもおっしゃっているのですが、我々精神の問題も教育の問題が非常 に大きくかかわっているので、いろいろな分野でぜひ文科省との連携もとっていただき たいし、こういった部会にはとにかく出ていただきたいなと思います。  それから、虐待防止については、もちろん今回施設でのことが大きく取り上げられる 背景もあったわけですが、これが児童が通っている入所のところでないとは言えないと 思いますし、精神の問題でこれまでいろいろ法律が改正された背景には、宇都宮病院事 件であったり、大和川事件であったりという、看護者による虐待という部分がありまし た。単に障害児施設だけではなく、学校の文科省配下にある施設であったり、あるいは 病院であったりというところも、高齢者は別に高齢者の法律ができておりますが、虐待 というところはそれこそ全部に係るところではないかなと思っております。ぜひこれか らの議論のところに文科省もかかわっていただきたいし、単に障害児施設ということで はなくて、広く虐待ということを検討会のところで検討していただければという意見で す。 ○末安委員  今のこととちょっと重なるんですけれど、資料6の8ページの(3)に辛うじて「職員 を守るためにも」というところがあります。「身近で起きているとき、それを防止する 「手だて」が準備されていないと、せっかく質のよい職員も失望して変容し、体罰容認 派になるか職場を去らざるを得なくなる」ということで、今、看護者の暴力というお話 がありましたけれども、精神病院の中ではまだ60床とか70床とか、もうちょっと大きい 病床数を2人で夜勤したり、しかもそのうちの1人は有資格者でないという場合、それ が法的には認められております。そういう環境に置かれると人はどういう意識になるか とかということを、これは精神科病院の中だけの問題ではないと思いますが、人を大事 にする仕事をする人たちが大事にされていないという現状を、これはもうわかり切って いることなのですけれど、改めてお考えいただきたいということと、その具体的な手だ てを行使していただきたいと思います。  それから、先ほど広田委員から、犯罪を犯した精神障害者の方たちの直接の声という お話がありましたが、政府がこの法案を進める中で幅広くいろいろな研究をされている 中に、直接そういう方たちにヒアリングをした研究などがあります。公にできるもので あれば、匿名性も確保されますから、委員にそういうものを最低限配布していただく。 公開されているのであれば、どういうものが公開されているのかということを教えてい ただければ、参考になると思います。  その点では、前回、私は申し上げましたけれど、今、自立支援法の関係で、61市町村 でモデル事業をやっているわけですが、そのもとになる基準としての要介護認定基準の 有効性に関する研究というもの、前回それを公開してくれと言って、公開されているの か、私が知らないだけかもしれませんけれど、そういう大事なものを市町村に与えてい ただいているのかどうか。要約ではなくて、本体をですが。そういうものがあれば、現 場もまた混乱が少なくて済むと思いますので。  以上です。 ○京極部会長  それでは、看護師の立場で、末安委員が2回発言されていますので、岡谷委員、もし よかったら発言してください。 ○岡谷委員  ありがとうございます。もう皆さん言い尽くされていて、本当に末安委員がおっしゃ るとおりだと思います。私は一番気になっているのは、医療観察法はもちろんそういっ た不幸な方々をケアするために必要だとは思いますが、現行の措置入院で手当てされて いる患者さんたちの環境と本当にねじれてきていますので、そちらを放置していくとい うことについては早急に改善していただきたいと思いますし、人手というのは精神医療 の場合には非常に重要ですので、人手が多いということで不必要な行動制限とかそうい うものが必ず緩和されるということがございますので、それはもう本当に明らかなこと だと思います。  ただ、精神病院の経営者の方々からすれば、人手をどうやって得ていくのかというこ とが非常に大きな問題だというのも一つありますので、供給と需要ということのバラン スも考えていっていただきたいと思います。私は、精神の患者さんはそんなに長く入院 をしている必要はないと思っていまして、その入院日数が非常に長くなっているという ことが人手の獲得にも大きな影響を与えているので、そのあたりは全体的な精神医療の 見直しということを考えていく必要があるのではないかと思っています。 ○京極部会長  ありがとうございました。  それでは、時間がもう11時半になりましたので、最後に一言、新保委員から。 ○新保委員  資料3で国と地方自治体の情報交換についての資料を提供していただいて、ありがと うございます。その中で、一般的に交換状況を報告するときに、ゼロのものが記載され るということはないだろうと思いますが、障害福祉計画が質問件数もゼロということで 載っている、これはある意味では極めて示唆的なものなのかなと思っております。  ケアマネジメントをきちんと進めていくためにも、そしてすべての地域において地域 間格差が生じることなく支援を進めていくためにも、市町村が障害者の福祉計画をきち んと立てていただかなければいけないはずであるのに、その質問もない。ということ は、言いかえると、このことについてきちんとこの法案を進めていくためにも、すなわ ち利用者ニーズにかなうような制度を進めていくためにも、この点についてももう少し 強力に地方自治体に御理解を求めていっていただく必要があるのではないかなと思いま した。  いずれにしましても、この資料3についての感想と、できればお願いということです ので、よろしくお願いします。 ○京極部会長  ありがとうございました。  さまざまな御意見をありがとうございました。終了時間が参りましたので、次回の日 程について事務局より御説明をお願いいたします。 ○企画課長補佐  次回の日程については、後日、事務局より御相談させていただきたいと思います。 ○京極部会長  それでは、以上で本日の部会を終了させていただきます。どうもありがとうございま した。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)