第72回労働政策審議会労働力需給制度部会議事概要


 日時
平成17年6月28日(火) 14:30〜

 場所
経済産業省別館第825号会議室(8階)

 出席者
 <委員>
 公益代表 清家委員、鎌田委員
 雇用主代表 輪島委員、成宮委員
 労働者代表 池田委員、川畑委員、長谷川委員
 <事務局>  坂口需給調整事業課長、佐藤需給調整事業課長補佐

 議題
 (1) 労働力需給制度に係るヒアリングについて
 (2) その他

 議事経緯

・公開部分の議事録

清家部会長
 時間になりましたので、ただいまから第72回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は北村委員、山崎委員から所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。
 それでは早速ですが、本日は労働力需給制度にかかわるヒアリングを、前回に引き続き実施することになっております。本日は最初に、まず公開で、労働者派遣事業者団体からのヒアリングを行います。また、その後に、派遣元事業主からのヒアリング、及び派遣労働者からのヒアリングを行いますが、これらについては公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、または不利益を及ぼすおそれがある、あるいは個人に関する情報を保護する必要がある場合に該当するため、非公開とさせていただきます。したがって、この部分については傍聴されている方には、始まる前にご退席いただくことを予めご了承ください。
 さらにその後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問にかかわる審議を行いますが、許可の審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、これについても公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、または不利益を及ぼすおそれがある場合に該当すると考えられるため、非公開とします。
 それでは議事に入ります。最初に、労働者派遣事業者団体からのヒアリングを行います。よろしくお願いいたします。


(大原氏入室)


清家部会長
 本日はお忙しい中、私どものヒアリングのためにわざわざお運びいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、まず初めに、業界の概要、状況等についてと、改正法等による変更点についての影響、メリット・デメリット等について、大体10分くらいでお伺いします。配分はお任せしますが、概要等は手短に1、2分程度でお願いした後に、できるだけ今回の改正法の影響等、あるいはそのメリット、デメリット等について、少し時間をとって、全体で10分くらいでご説明いただきたいと思います。その後、私どものほうから少しご質問させていただきたいと思います。
 それではまず、日本人材派遣協会副理事長の大原博様から、プレゼンテーションをお願いいたします。よろしくお願いいたします。

大原氏
 大原です。本日はこのような貴重な機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。それでは時間の関係もございますので、早速内容の説明に移らせていただきます。まず、当協会の概要ですが、本日お手元に、協会のパンフレットをご案内として入れております。こういった資料、色付きのパンフレットです。こちらのいちばん最終頁、「組織図」というところがございます。こちらをお開きください。左側が「協会組織図」となっております。私どもは一般登録型派遣会社の業界団体です。本年6月1日現在の協会の会員数、企業数は556社となっております。組織図に書いてあるとおり、6つの専門委員会並びに全国7つの地域協議会を設置して、人材派遣を通した社会貢献、あるいは業界の健全な発展といったことに努力しているところです。
 最近の状況として、この556社のうち、物の製造の解禁に伴って、請負の専業だった会社が、派遣のライセンスをお取りになって、当協会に加入されるという状況が顕著になっております。具体的に申し上げると、平成16年度の新規入会総会員数93社の中で約13社が、主として請負の専業であった方々です。
 続いて、当協会が把握している派遣労働者の状況です。資料1頁に横の表がございます。これは当協会が実施している労働者派遣事業統計調査の報告です。要点の1です。協会で把握している主要109社の本年1〜3月期の月平均実稼働者数は29万9,800人、約30万人が稼働している状況です。対前年同期比113%ということで、昨年に引き続き、2桁の増加をしているという状況です。また要点の2として、職種別ではソフトウェア開発、あるいは事務用機器操作が高い伸び率を示しております。3番目は、これは後ほどまたご説明申し上げますが、法改正による効果でしょうか。紹介予定派遣にかかわる成約件数は前年同期比で160%という高い伸び率を示しています。以上、まことに簡単ですが、これがまず業界全体の状況です。
 続いて、昨年3月に施行された改正派遣法における状況についてご説明申し上げます。お手元に、A4縦の資料で、私どもが昨年11月に、規制改革・民間解放推進会議宛に提出させていただいた要望書がございます。その要望書は入っておりますでしょうか。
 大変失礼いたしました。予定していた資料と違うものですから、口頭で順番にご説明してまいります。まず、派遣期間の延長に関して、法改正による変更点のうち、いわゆる自由化業務において、意見聴取による受入期間が1年から3年まで延長されたという件です。まず協会として、直接お客様(ユーザー)からいろいろ声を聞いておりますと、やはり1年から3年に延長されたとはいえ、必ずしもその期間の延長で満足している状況ではないということが言えるかと思っております。したがって、当協会としては、この受入期間の制限の撤廃、あるいはさらなる延長を要望しているところです。
 端的に申し上げれば、私ども業界としては、自由化業務であっても、この会社・この仕事で派遣を継続したいとおっしゃる方々が、派遣期間の制限によって、やむなくその業務を終了せざるを得ないという状況については、見直しが必要ではないかと考えています。
 また、意見聴取の問題ですが、派遣法という1つの枠組みの中に、2つのルールがあるということで、非常に派遣先さん、あるいは派遣労働者の方々も、なかなか仕組みがわかりづらいというのが率直な声です。したがって、全体の見直しとしては、やはり理解しやすい、運用のしやすい制度でなければならないと考えているわけです。
 続いて、派遣労働者に対する直接雇用の促進という新しい仕組みの問題です。これは、2つの視点があります。1つはいわゆる自由化業務にかかわる雇用の申込み義務ですが、基本的に、派遣先が外部労働力(派遣)を使うことと、直接雇用をすることについては、人事政策上位置づけが全く異なるもので、やはり派遣という仕組みがフレキシブルな労働力需給システムを構築する視点から考えると、このようなルールについては、業界としては廃止を要望しているところです。
 同じく26業務における、3年を超えているスタッフ、派遣労働者に対する雇用の申込み義務ですが、この点については具体的に3点、問題が発生していると考えております。まず1点目は、特定型の派遣労働者もこの対象となっていることです。これはやはり、派遣元の正社員という身分があるわけですので、こういった派遣労働者に対する雇用の申込み義務は、実態とそぐわないと考えております。
 2番目は、いわゆる新規学卒の新入社員を採用するときであったとしても、この3年を超えているスタッフに対する雇用の申込み義務は対象となっていることです。やはり人事の適切な配置という観点からすると、現場では非常に厳しい状況があると聞いております。
 また、派遣先さんが障害者を採用する、雇用するときも、決してこのルールは例外でもないというようなことです。
 以上のような3点を踏まえて現在、派遣先においてはこの直接雇用の義務を回避しようということで、同一の派遣労働者の就業は3年を超えないというような運用をなさるところも増えてきているという状況がございます。そうしますと、派遣継続を希望するスタッフの声には、必ずしも百パーセント応えることができていないのではないかと考えております。
 また、この問題に絡んで、もう1つ、複合業務の取扱いです。26業務の中に、自由化業務が時間換算で1割以上含まれる場合については、受入期間に制限を受ける業務として運用がなされるというルールにいまはなっております。しかし、やはり26業務の前後に付随する業務や、周辺で発生する業務という現場の実態を考えると、これを一律、時間的に1割と判定するのは実態にそぐわないと考え、この点については、柔軟な運用を希望しているところです。
 続いて、対象業務の拡大という点です。今回、物の製造の業務が解禁されたことは、業界としては大変大きな前進であると評価をしておりますが、残念ながら、平成19年2月までは、1年の期間制限を受けるという状況です。前回3年前になるでしょうか、厚生労働省における実態調査においても、請負の1つの平均的な契約期間は、確か4年前後でなかったかと記憶しているところです。やはりそういった請負契約の実態、請負の実態からみると、1年ではなかなか期間が短いといえるわけです。すでに本年、物の製造では派遣の受入れを行っている企業さんは、すでに1年を迎えてしまっている。今後多くの職場で、そうした実態が出てくるわけですが、非常に苦慮しておられます。業務としては継続性があることから、やむなく請負に戻さざるを得ない。あるいは、これは決して脱法的なという意味ではなくて、いわゆる職場での組織の最小単位、あるいは担当している業務の組合わせを入れ換えることによって、この1年制限をクリアしようというような具体的な動きがございます。私どもとしては、もう間もなく平成19年2月を迎えるとはいえ、一日でも早く、この受入期間の1年制限については撤廃ないし延長を要望しているところです。
 それから、医業については、今回、紹介予定派遣について解禁されたわけですが、私ども日本人材派遣協会の会員会社の多くは、どちらかというと、一般オフィスワークを中心に営業してきた会社ですので、医業の紹介予定派遣の実績については、まだ正直把握しきれておりません。おそらく実態としては、そう多いとは考えておりません。やはり私どもとしては、医業における労働力の問題、つまり科別の偏重、あるいは地域の偏重について、この派遣の仕組みをもっと積極的に導入しようということであれば、一般の派遣についても、医業は解禁すべきではなかろうかと考えているところです。
 紹介予定派遣については、先に述べたとおりで、一般のオフィスワークについては大変実績が上がってきているわけですが、2点ほどお願いしておきたいと思います。今回6カ月に短縮されましたが、やはり新卒の紹介予定派遣については、6カ月では短いという声を聞いております。また、自由化業務における紹介予定派遣の場合、すでに受入期間をある程度経過して、その部署ではあと3カ月しかその業務の派遣を受け入れられないというところに、その業務の紹介予定派遣を入れようと思っても、3カ月しかできないわけです。したがって、紹介予定派遣については、自由化業務の場合であっても、人に着目して6カ月を認めるべきではなかろうかと考えているところです。
 手続の簡素化については、業界としては大変、派遣元の負担が軽減されていると考えているところです。
 派遣元・派遣先が講ずべき措置について今回、労働社会保険の適用促進ということで、いままで以上に諸々の通知を派遣先に、詳しくお知らせするという仕組みができていますが、私どもとしては、すでに1999年の法改正によって、一定程度社会保険の状況についてはお知らせしておりますので、残念ながらこれによって法適用が促進したというよりも、派遣元に対する事務処理負担が非常に増えたというのが、正直なところです。
 またその他、派遣先の教育訓練、能力開発の協力などは、いくつかよい事例の報告を協会として受けているところです。
 最後に一言だけ、この中にはないのですが、是非とも紹介予定派遣以外における事前面接の問題については、雇用のミスマッチの防止という観点から、労働者保護のための一定のルールの下、解禁していただきたい。これは常々申し上げているところですが、あえて一言申し上げます。若干時間をオーバーしておりますが、以上とり急ぎご報告いたしました。

清家部会長
 ありがとうございました。それではただいまの大原様からのご報告について、委員の皆様方からご質問等ございましたらお願いいたします。

輪島委員
 2、3お伺いします。まず、協会としての取組み状況というところです。毎回許可の申請が非常にたくさんあるわけですが、協会としての現状のカバリッジ、平たく言って、どれくらい影響力があるのか。どういう数字をもってつかむのかがよくわかりませんけれども、会員企業556社とおっしゃっていますが、全体的にどれくらい指導力を発揮できるのか。2点目は、資料の中にもありますが、協会のいろいろな自主的なガイドラインというか、どのような取組みがありますか。それから、いま非常にたくさんご意見をいただいたわけですが、優先順位をお聞かせください。

大原氏
 それでは1点目のご質問ですが、これはいろいろな数字の切口があろうかと思います。私どもは、そういうご質問があったときに、1つ、売上高のシェアということで、お答えしているケースがございます。例えば、これは平成15年度の数値ですから会社数はいまよりもう少し少ないですが、まず厚生労働省が集計している、平成15年度の派遣事業報告の一般派遣事業、一般登録型派遣の売上高は、1兆9,100億円であったと記憶しております。それに対して、当協会会員の平成15年度の総売上が、1兆2,900億円です。したがってパーセンテージで申し上げると約70%弱の売上シェアを、これでカバーしているということです。一般登録型の派遣会社数は、もっとあると承知しておりますので、売上ベースでは、かなりの率をカバーしているのではないかと考えております。
 2点目のご質問です。私どもが当面考えておりますことは、1点目は、期間制限にかかわる撤廃ないし延長です。2番目は、今回新しい仕組みとしてできている雇用の申込み義務の見直し。3点目が、最後に申し上げた、一定ルールの下に行われる事前面接への解禁の要望です。主としてその3点ではないかと思っております。

清家部会長
 業界として自主的に取り組まれている自主規制等については。

大原氏
 例えば具体的なものとしては、現在施行されている改正法に対して、この派遣法の仕組みを、しっかりユーザーの方に理解していただくために、当協会の会員を通じて、例えば自由化業務と意見聴取にかかわる事務手続の流れをきっちり周知徹底する努力。2点目は、先ほど事前面接を解禁すべきだと申し上げましたが、現行法では、もちろんスタッフの希望、あるいは意思による事前訪問しか認められておりませんので、その適正な事業所訪問のやり方といったものについての広報、周知です。
 また、私ども人を扱う仕事として、その社会的責任は重いと考えております。そういった意味では、協会のリーフレットを後ほどご覧いただければ結構ですが、協会の憲章を定めていて、自主的な倫理規定といったものをきっちり会員の皆様方に遵守していただくという努力をしているところです。

清家部会長
 ほかにいかがでしょうか。長谷川委員、いかがですか。

長谷川委員
 事前面接をもし解禁するとなったら、派遣とはそもそも何なのか、派遣事業とは何なのかという問題を非常に問われるのではないか。そうであれば、派遣でなくてもいいではないかと思うのですが。そのことは、むしろ命取りになるというか、自ら自滅する理論を自分で組み立てるという感じがするのですが、それはどうなのですか。
 もう1つは、期間の延長という話をよく聞くのですが、期間の延長のどこが最適だと考えているのですか。それは、働くほうからすると、何年も、十何年も派遣で働いた人を何でその会社は直接雇用しないのか、非常に不思議な現象なのですが、それは何が適切だと考えているのでしょうか。
 もう1つは、最近、日本では非典型労働者が増加している。非典型の中に派遣労働者も入るわけですが、その処遇は非常に専門的な能力のある人たちは非常に高級な処遇なのですが、そうでない、多くの派遣労働者の処遇はあまりよいとは言われていないですね。パートタイマーの均等処遇というのは研究会でも議論されていますが、派遣労働者の均等処遇はどのように考えますか。

大原氏
 1点目の事前面接の解禁は、私ども業界としても、要望の名称や表現を変えていく必要があろうかと思っております。と申しますのは事前面接、仮に事前面接と呼びますが、あくまでも私どもでは、派遣期間中のミスマッチによる中途解約防止に一定の効果がある、とまず考えているからです。当然、派遣先は派遣労働者を直接指揮命令し、その派遣就労に伴う業務の成果に責任をもちます。また、職場の適正な維持のためには、やはり派遣先が自らの企業風土に合った労働者かどうかを見極めたいというような意向を我々が確認する。このようなレベルについては、十分に意味があるものだと思っています。したがって、最終的にその派遣労働者を雇用するかしないかを決定するのは、あくまでも派遣元が雇用主として判断すると考えております。私どもとしては、一定のルールの下に行われている事前面接、あえてこの言葉を使いますが、それによって、派遣事業そのものの根幹が揺らぐとは考えておりません。
 2点目の「期間」の問題については、いろいろな議論があろうかと思っております。まず1点言えるのは、今回26業務については、派遣労働者が希望する場合、3年の行政指導がなくなって、基本的には期間制限なく派遣就労を継続できるような仕組みになったところです。そういった観点からすると、私どもは、そのような希望をもったスタッフに、そういう道をつくっていく。それは、やはり期間制限なくあるべきではないかと思っています。
 他方、紹介予定派遣のところで申し上げたとおり、派遣会社は今後直接雇用への橋渡し機能として重要な役割があると認識しております。ただ、それが法的な仕組みによる強制的な直接雇用ではなくて、やはり、派遣先・派遣労働者の両者がハッピーな、両者にとって本当によい直接雇用であれば、それは積極的にそういうアサインを派遣元は行っていくべきであろうと考えております。したがって、私どもは、派遣期間の制限の撤廃、あるいは延長を求める一方で、やはり、よい直接雇用への橋渡し機能というのは、紹介予定派遣制度などを踏まえて、積極的に考えていきたいと考えております。
 3点目の、均等処遇の問題については、そういう議論があることについては十分承知しております。派遣においては、まず前提として、例えばパートと正社員の比較の場合でも同じかもしれませんが、まだまだ年功序列型賃金という仕組みが残っている中で、有期の雇用の派遣労働者と、直接雇用の社員の方の条件が必ずしも一致することは、まだ我が国では難しいのではないか。それから、派遣の場合は、派遣元における派遣スタッフの均等処遇のあり方も忘れてはならないと考えているところです。

清家部会長
 長谷川委員、よろしゅうございますか。

長谷川委員
 これはまあ・・・。

清家部会長
 はい、そういうご意見ということで。

鎌田委員
 いくつかご質問します。まず最初に、派遣スタッフ実稼働者数のデータは、協会でお作りになった調査データだと思うのですが、3番目の紹介予定派遣による紹介成約件数が前年同期比159.7%です。もう少し詳しく教えていただきたいのですが、紹介成約件数ということは、紹介予定派遣で派遣労働者として従事された方が、その派遣先に入社された件数ということですね。

大原様
 そうです。

鎌田委員
 それが前年同期比159.7%ということだと思うのですが、そういうデータがあるかどうかはわからないのですが、紹介予定派遣で従事された派遣労働者の総数が、もしわかったとすれば、あるいは協会で掌握されている数字があるとして、そのうちの何割くらいが、成約に至っているのですか。

大原氏
 今日、すべて詳細にお答えできるものが揃っているかどうかわからないのですが、やはり、まだ全体で30万人という状況ですので、その絶対数から申し上げると、比率としてはまだまだ少ないと考えているところです。もし同じものがあればですが、今日の資料の後ろから2枚目の下2段に、紹介予定派遣成約実稼働者数と成約件数というのが載っておりますでしょうか。

鎌田委員
 あります。データが載っています。

大原氏
 これは平成17年1月〜3月の最新のデータです。例えば、その下から2つ目の箱のいちばん左側の、平成17年1〜3月のところを見ていただくと、月平均で2,297名、それが紹介予定派遣の実稼働者数ですね。その下の大きな箱、成約件数は1〜3月の第1四半期が、636という数字が出ております。ここを精査していけば、いまのお答えになるのだろうと思いますが、これで正しい答えとしてよいかどうかはちょっと確認をとりたいと思いますが。

鎌田委員
 単純に割ってはいけないのですね。

○大原氏
 そうだと思います。

鎌田委員
 わかりました。

大原氏
 今日の段階では、参考までにということで。

鎌田委員
 直接雇用のところが聞き取れなかったのですが、26業務で直接雇用制度についての廃止を要望する理由をいくつか挙げておられて、1が特定型派遣、次が新入社員で、3つ目がよく聞こえなかったのですが。

大原氏
 派遣先さんが障害者を雇用しようという場合も例外ではないということです。

鎌田委員
 障害者の方ということですね。

大原氏
 これは、事例としてはごくわずかなことだと思いますが、ただ、仕組みとしてはいかがなものかということです。

鎌田委員
 それから、事前面接のところで、いま長谷川委員からもご質問があったことです。最終的には派遣元が誰を派遣するかを決定するといったお話だったのですが、先ほど、一定のルールの下での解禁とおっしゃったと思うのです。この「一定のルール」というのは、具体的に何かイメージはございますか。
 もう1つは、事前面接といっても、いろいろなものがあると思うのですが、かつては競合面接といいますか、それはやめようとか、あるいはそうではないというと、一人をご紹介して、その人について事前面接はよいけれども、競合面接はやめておこうというようなお話があったのですが、この場合の事前面接というのは、どういった範囲まで指しているのでしょうか。競合面接も含むという形ですか。ちょっと詳しく教えてください。

大原様
 まず私どもが考えている「一定のルール」というのは、例えば、1つのポストに対しては、1社から1人という形です。逆に言うと、1つのポストに対して複数の派遣労働者を、いわゆる事前打合わせに連れて行くようなことは、あってはならないということです。

鎌田委員
 それはないということで。

大原氏
 それは基本的に考えております。それから、もちろん労働者保護という観点から、業務にかかわりのない、いわゆるプライバシーにかかわるような質問は、絶対にあってはならないとか。それは相当数、細かくルールを決めなければいけないと考えております。基本的には、1つのポストに1人というのが大原則ですし、鎌田先生がいまおっしゃったとおり、かなり横暴な、いわゆる面接的な行為が行われていた時期もあったと記憶しておりますが、最近では、先ほど申し上げたとおり、業界としても、それなりに周知をしてきておりますので、かつてのような面接行為については、だいぶ減ってきているのではないかとは考えております。もちろん、労働側の先生から言わせると、いろいろあるだろうというご指摘は覚悟しておりますが、全体としては、そのように努力して、ある程度成果が上がっていると私どもは考えております。

鎌田委員
 事前面接の解禁というのは、そういった趣旨の事前面接という。言葉がそれでいいかどうかは。

大原氏
 何でもかんでもOKということでは全くございません。

清家部会長
 それでは、まだございますか。

○池田委員
 ちょっと大きなことを聞きたいのですが、よくマスコミでも言われていることで、派遣労働者がどんどん増えてくると、日本の技術や技能の低下といいますか、はっきり申し上げて、技能・技術のスキルが危ないと言われているわけです。そういうことについて、協会として取り上げて、そして教育訓練とか再訓練とか、技術向上とか、そういうものをご検討されたことがありますかということが1つ目です。
 2つ目は、1年間、製造業が解禁されて、仕事上の怪我が非常に多くなってきているのではないかと思っています。そういったデータをお取りになって、協会として、どのようにして労災撲滅とか、そういう方向でのご検討をされているのではないかと思いますが、そういうことをご検討なさったことがあるのか。以上2点について聞きたいと思います。

大原様
まず1点目の能力開発、あるいは技術の伝承といった点ですが、大変恐縮ですが、本日のお手元に、こういう白いパンフレットで、「人材派遣将来ビジョン報告書」という資料がございます。これは、私どもが、おおむね5年から10年くらいを目安に、あくまでも事業としてこの派遣というものがどうあるべきかという今後の協会の取り組むべき課題などを整理したペーパーです。この4頁、5頁にまたがって書いてありますが、特に真ん中の大きな箱、点線で囲んだ箱の右側のいちばん上に、「派遣スタッフの能力向上」とあります。これは派遣ビジネスの業界として、絶対欠かせないものだとして掲げているものです。今日は時間の関係があるので、詳細は省略いたしますが、さらにこれを詰め、最終頁の8頁、9頁に、この能力開発をイメージした細かいものを掲載してございます。これで質問の答えになるかどうかは別ですが、協会としては、派遣労働者の方々の能力開発は、欠かせないものと理解しているつもりです。
 2点目の労災の問題については、私ども派遣協会の会員の物の製造の実績が、実はまだ少ないです。やはり、請負を専業でやってこられた方々が派遣のライセンスをお取りになって進んでいるほうが、おそらくビジネスボリュームとしては大きいのだろうと考えておりましす。当協会としては、まだそういった労災の問題に直面しているという状況ではございません。
 ただ、やはり派遣労働者の安全という観点からすると、この問題については協会としても引き続き積極的に取り組んでいかなければならないことは、十分認識しております。ちょっと抽象的で申しわけないですが。

清家部会長
 ほかにご質問あろうかと思いますが、時間が少し超過しておりますので、労働者派遣事業者団体の方からのヒアリングはこれまでとさせていただきます。大原様におかれましては、お忙しい中、本当にありがとうございました。

大原氏
 どうもありがとうございました。

(大原氏退室)

(傍聴者退席、以下非公開)


・非公開部分の議事要旨

(1) 派遣元事業主から以下のような意見があった。

(派遣受入期間について)
 営業職派遣に関して、子会社からは、3年の後は無理くり業務委託契約の締結をし直しているとのこと。
 派遣先が意見聴取義務を百パーセント果たしているかというと実はそうとは言い難いというところ。自由化業務、特に営業職などを行っている企業からは、なぜ意見聴取をやらなければいけないのか理由がよくわからないという話を言われることがある。
 一部の派遣先からは、1年しかできなくて、3年まで意見聴取の手続きをする者のみ できるという原則は、ある意味(派遣という働き方を)変に差別しているのではないかという話が出ている。

(雇用契約の申込み義務について)
 ある製造系の大手企業では、障害者雇用等に力を入れており、そのような人を受け入 れようとした矢先に、同じ業務を3年を超えてやっている派遣社員の人がいたら声をか けて、雇わなければならないリスク等を踏まえると、3年を超えて同じスタッフの人を受け入れるのは困るという話を聞く。
 昨年から大手企業を中心に、双方がある意味評価し合っている中で、派遣先が同一の 人の受入を3年をもって終わりにしているため、期間だけの理由で、契約を終了せざるを得ないケースが出てきている。
 昔から結構、派遣先企業の方から、派遣労働者で優秀な人は2年、1年でそこの社員 になるという引き抜きのケースもあり、直接雇用義務というのとは少し違った形が出て いる。

(物の製造への派遣について)
 派遣先側の反応として、1年の期間制限という部分に躊躇が非常に多かった。派遣スタッフのほうも、ようやく熟練度が増し、派遣先にとっても非常に利用勝手が増してきたところで期間制限がくるので、派遣先のライン工程においても生産性の向上には、またまだ貢献できていない。むしろこの派遣を利用することで、生産性が悪くなっているというようなことも言われる。
 クーリング・オフの期間をいかにいい形で回避をしながら、派遣を上手に製造ライン の中で使うかということがポイントになってこようとしている。
 期間制限の部分については、適法ではないだろうというような運用をされている事業 者もどうやらパラパラ見受けられるということを、現場から聞いている。

(紹介予定派遣について)
 派遣先企業、スタッフ双方とも、紹介予定派遣の認知度はあがっている。
 紹介予定派遣では、派遣期間は3カ月、もしくは6カ月であり、6カ月を超えるケー スはあまりないと聞くので、6カ月で十分ではないか。ただ、一部の営業担当が言うには、やはり新卒の方に紹介予定派遣制度的なものできてほしいという企業も実際出てきており、そのときに、やはりできたら1年間、新卒で来られた方を見たいという意見は一部にはある。
 紹介予定派遣において、当社の営業マネージャー全員一致していたのは、派遣スタッフから(紹介や採用を)断ってくるということ。断る理由は、待遇面よりも、職場環境、人間関係が圧倒的な理由である。よって、派遣スタッフが断られた理由を明示しろというのは、当社のごく最近の話では全くないということを聞いている。
 紹介予定派遣における事前面接については、例えば20名くらい候補者を出させて面接を行うということは、ほとんど行われていない。派遣会社が出すのは、やはり1名、多くて2名である。理由としては、派遣先企業が、人材紹介に近いような考え方で、じっくりと話をしたいということがあるからとのことである。

(その他)
 許可・届出手続きの簡素化については、迅速に支店を出す準備もできてるので、大変 ありがたい。
 労働・社会保険の加入については、社会保険に入っていないとそもそも派遣先が受け 入れてくれないという土壌ができてきた。
 労働・社会保険の適用促進については、とりわけ製造分野については、もっと強く進めるべきだと実感している。現場の声からは、適用しない場合の通知義務について、それができている事業者は、非常に少ないのではないかということがある。
 労働・社会保険の適用について、本来的には適用されているはずのスタッフが、現実では適用されていないことが見受けられる。製造分野については何らかの促進をしていく方法が必要なのではないか、きっちりとした罰則規定がないと、進まないのかと実感している。
 福利厚生については、一部の企業から、(派遣労働者が)診療所を無料で利用できることが増えてきた。
 製造業務専門の元・先責任者の選任については、派遣先にも十分理解をもらい、ある 意味で形式要件を整えることに、しっかり賛同をもらっているという状況である。


(2) 派遣労働者から以下のような意見があった。

(事前面接について)
 事前面接を受けた。友人も事前面接を5回受けた。
 事前面接がない所もあったが、事前面接というか、顔合わせみたいな形である所もあった。そこで面接をして、今回の話はなかったということになることもあり、他の派遣 労働者からも面接でお話がなくなるということも多々あると聞いている。
 事前面接は受けなかった。(2名)
 派遣先が求めるニーズに合ったスタッフを、派遣会社が選べば問題ないので、派遣先 の担当者と面接する必要はないと思う。派遣先の中には、何歳くらいまでの人、子供がいる人は駄目など、本来のスキルとは全く関係ない理由を付ける会社も多いと聞く。
 事前面接については、働く所の様子を見ることができれば雰囲気がわかるので、そういう機会があってもいいが、実際に面接をやって、そこで駄目になったということもいろいろ聞くので、メリットもある、デメリットもあると思う。

(社会保険の加入について)
 加入していない。同じ派遣先の派遣労働者1名についても加入していなかった。
 加入している。(3名)

(派遣労働者としての働き方について)
 正社員として派遣先に採用されることを希望する。
 どちらかと言えば派遣社員という形態の方が気に入っているので、今後も派遣社員として勤務していければと思っている。
 将来的には地元に帰ろうと思っているので、こちらにいる間は派遣でもよいと思っており、機会があって正社員として雇ってくれるのであれば、こちらにいてもいいかなというぐらい。
 条件等が合えば正社員で働こうと思うが、特に絶対に正社員になりたいという希望はない。

(派遣元、派遣先に望むことについて)
 派遣元へは、賃金等の労働条件の向上を求めたい。(2名)
 派遣元へは、社会保険の加入を行ってほしい。
 派遣元へは、交通費を検討してほしい。(2名)
 派遣先には、直接、正社員として雇ってもらいたい。
 派遣元へは有休を取りやすくしてほしい。
 派遣先へは、能力的に賃金を変えてほしい。
 (派遣元へは)能力を認めて賃金アップを考えてほしい。

照会先
 厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係
   〒100-8916東京都千代田区霞が関1-2-2
  TEL 03(5253)1111(内線5747)
  FAX 03(3502)0516

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