助産所について


 助産所の定義(医療法第2条)
 「助産所」とは、助産師が公衆又は特定多数人のためその業務(病院又は診療所において行うものを除く。)を行う場所をいう。
 助産所は、妊婦、産婦、又はじょく婦10人以上の入所施設を有してはならない。

 開設許可(医療法第8条、第7条第1項、第4項)
 助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に、助産所の所在地の都道府県知事(その開設地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、当該保健所を設置する市の市長又は特別区の区長。以下同じ。)に届け出なければならない。
 助産師でないものが助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
 都道府県知事は、開設許可の申請があった場合において、その申請に係る施設の構造設備及びその有する人員が省令の定める要件に適合するときは、許可を与えなければならない。

 助産所の休止(医療法第8条の2)
 助産所の開設者は、正当の理由がないのに、助産所を1年を超えて休止してはならない。ただし、助産師自らが届出をして開設した場合は、この限りではない。
 助産所の開設者が助産所を休止したときは、10日以内に都道府県知事に届けなければならない。休止した助産所を再開したときも同様とする。

 使用許可(医療法第27条)
 入所施設を有する助産所は、その構造設備について、その所在地を管轄する都道府県知事の検査を受け、許可証の交付を受けた後でなければ、これを使用してはならない。

 清潔保持等及び構造設備(医療法第20条、第23条)
 助産所は、清潔を保持するものとし、その構造設備は、衛生上、防火上及び保安上安全と認められるようなものでなければならない。
 助産所の構造設備について、換気、採光、照明、防湿、保安、避難、及び清潔その他衛生上遺憾のないように必要な基準を厚生労働省令で定める。
 前項の規定に基づく厚生労働省令の規定に違反したものについては、政令で20万円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。(施行令第5条により10万円以下の罰金)

構造設備の基準概要(医療法施行規則第17条)>
 ○ 入所室は、地階又は第3階以上の階には設けないこと。ただし、主要構造部を耐火構造とする場合は、第3階以上に設けることも可能。
 ○ 入所室の床面積(内法によって測定)
1母子を入所させるためのものにあっては6.3平方メートル以上
2母子以上を入所させるためのものにあっては1母子につき4.3平方メートル以上
 ○ 第2階以上の階に入所室を有するものは、入所する母子が使用する屋内の直通階段を設けること。
 ○ 第3階以上の階に入所室を有するものにあっては、避難に支障がないように避難階段を2以上設けること。但し、直通階段を建築基準法施行令第123条第1項に規定する避難階段としての構造とする場合は、その直通階段の数を避難階段の数に算入することができる。
 ○ 入所施設を有する助産所にあっては、床面積9平方メートル以上の分べん室を設けること。
 ○ 火気を使用する場所には、防火上必要な設備を設けること。
 ○ 消火用の機械又は器具を備えること。

 助産所の管理(医療法第11条、第12条、第15条第2項)
 助産所の開設者は、助産師に、これを管理させなければならない。
 自ら管理者となることができるものである場合は、原則として、自ら管理しなければならない。
 助産所の管理者は、助産所に勤務する助産師その他の従業者を監督し、その業務遂行に遺憾のないよう必要な注意をしなければならない。

 入所妊婦等の制限(医療法第14条)
 助産所の管理者は、同時に10人以上の妊婦、産婦又はじょく婦を入所させてはならない。ただし、他に入院させ、又は入所させるべき適当な施設がない場合において、臨時応急のため入所させるときは、この限りでない。

 院内掲示義務(医療法第14条の2第2項、施行規則第9条の5、6)
 助産所の管理者は、厚生労働省令の定めるところにより、当該助産所に関し次に掲げる事項を当該助産所内に見やすいように(当該助産所の入口、受付又は待合所の付近の見やすい場所に)掲示しなければならない。
 1  管理者の氏名
 2  業務に従事する助産師の氏名
 3  助産師の就業の日時
 4  前三号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項(当該助産所に置かれた嘱託医師の氏名)

 嘱託医師の設置(医療法第19条、第74条第1号)
 助産所の開設者は、嘱託医師を定めて置かなければならない。
 本条違反は、第74条第1項により、20万円以下の罰金に処せられる。
  <開設後の届出事項(施行規則第3条)>
   嘱託医師の住所及び氏名(嘱託医師となる旨の承諾書を添付し、かつ、免許証を提示し、又はその写しを添付すること。)

  ※ 嘱託医師の業務範囲は、異常産の処理に限定されるものではなく、妊産婦の診察、新生児の保健指導を行わせることはむしろ望ましいとされている。(昭和25・4・1医収第210号)
  ※ 出張のみによってその業務に従事する助産師は、本法第8条(開設の届出)、第9条(廃止の届出)及び第71条(広告の制限)の規定を適用する場合にのみ、その住所を助産所と見なすのであるから、本条により嘱託医師を定めておく必要はないとされている。

10  施設の使用制限、報告徴収及び立入検査等(医療法第24条第1項、第25条)
 都道府県知事は、助産所が清潔を欠くとき、又はその構造設備が第23条第1項の規定に違反し、若しくは衛生上有害若しくは保安上危険と認めるときは、その開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限若しくは禁止し、又は期間を定めて修繕若しくは改築を命ずることができる。
 都道府県知事は、必要があると認めるときは、助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 都道府県知事は、助産所の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該病院、診療所又は助産所の開設者又は管理者に対し、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。

11  管理者の変更命令、開設許可の取消等(医療法第28条、第29条)
 都道府県知事は、助産所の管理者に犯罪若しくは医事に関する不正行為があり、又は管理をなすのに適しないと認めるときは、開設者に対し、期間を定めてその変更を命ずることができる。
 都道府県知事は、次のいずれかに該当する場合は、助産所の開設許可を取り消し、又は開設者に対し期間を定めてその閉鎖を命ずることができる。
 開設許可を受けた後、正当な理由がないのに、6月以上その業務を開始しないとき。
 助産所(第8条の届出をして開設したものを除く。)が休止した後正当の理由がないのに、一年以上業務を再開しないとき。
 開設者が第24条第1項又は前条の規定に基づく命令又は処分に違反したとき。
 開設者に犯罪又は医事に関する不正の行為があったとき。
 都道府県知事は、第7条第2項の規定による許可(変更許可)を受けた後正当の理由がないのに、6月以上当該許可に係る業務を開始しないときは、当該許可を取り消すことができる。

12  業務に関する広告の制限(医療法第71条、施行規則第9条の6、第42条の3)
 助産師の業務又は助産所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。
 助産師である旨
 助産師の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
 常時業務に従事する助産師の氏名
 就業の日時
 入所施設の有無
 助産録に係る情報を提供することができる旨
 前各号に掲げる事項のほか、第14条の2の第2項第4号に掲げる事項(当該助産所に置かれた嘱託医師の氏名)
 その他厚生労働大臣の定める事項(
 厚生労働大臣は、適正な助産を受けることが出来ることを確保するため、前項第6号から第8号までに掲げる事項の広告について、厚生労働省令の定めるところ(1提供する医療の内容が、他の助産所と比較して優良である旨を広告してはならないこと。2提供する医療の内容に関して誇大な広告を行ってはならないこと。)により、その広告の方法及び内容に関する基準を定めることができる。
 第1項各号に掲げる事項を広告する場合においても、その内容が虚偽にわたり、又はその方法若しくは内容が前項に規定する基準に違反してはならない。
(※) 医療法第71条第1項第8号の規定に基づく助産師の業務又は助産所に関して広告し得る事項(平成5年2月3日厚労告24)(抄)

  1 生活保護指定助産師
  2 受胎調節実地指導員
  3 当該助産所で行われた分娩の件数
  4 助産師の略歴及び年齢
  5 当該助産所の情報の伝達の用に供する電気通信設備を識別するための記号
  6 予約に基づく業務の実施
  7 休日又は夜間における業務の実施
  8 分べんの介助の実施
  9 自宅分べんの介助の実施
  10 保健指導の実施
  11 訪問指導の実施
  12 健康診査の実施
  13 費用の支払方法又は領収に関する事項
  14 妊産婦数及びじょく婦数
  15 安全管理のための体制を確保している旨
  16 対応することができる言語
  17 当該助産所の施設内に設置された店舗等の名称及びその業務の種類
  18 駐車設備に関する事項
  19 理事長の略歴、年齢及び性別
  20 外部監査を受けている旨
  21 財団法人日本適合性認定協会の認定を受けた審査登録機関に登録をしている旨

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