妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについて(検討すべき事項)


 単に妊娠しているのみで、職務の遂行に何ら影響を及ぼしていない場合、これを理由とした不利益な取扱いは許されず、禁止すべきという方向で検討してはどうか。


 「産前産後休業を取得しようとし、又は取得したこと」「母性保護措置(産前産後休業以外)や母性健康管理措置を受けようとし、又は受けたこと」自体を理由とする不利益な取扱いは許されず、禁止すべきという方向で検討してはどうか。

(参考)
 1  育児介護休業法第10条に規定する不利益取扱いの考え方
  ○  休業を取得しようとしたこと又は取得したこと自体が当該取扱いの理由となっている場合に不利益取扱いとして禁止。

 2  判例の考え方
  ○  産前産後休業等を取得した女性労働者を一律低く査定したことについて、労働基準法は、産前産後休業等労働基準法上認められている権利の行使による不就労を、そうした欠務のない者と同等に処遇することまで求めているとはいえないが、権利を行使したことのみをもって、低い評価をすることは、労働基準法の趣旨に反し、許されないと判示(住友生命保険事件(平成13年6月27日大阪地裁/平成14年12月大阪高裁和解成立))。


 2の産前産後休業、母性保護措置(産前産後休業以外)、母性健康管理措置による休業等のため、実際に就業していなかった期間の取扱いについては、どのように考えるべきか。
 ・  就業していた者と同様に取り扱わなければ不利益な取扱いと考えるべきか。
 ・  就業していなかった期間については不就業として取り扱うが、就業していなかった期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことについては不利益な取扱いと考えるべきか。

(参考)
 1  育児介護休業法第10条に規定する不利益取扱いの考え方
  ○  休業を取得したことにより、不就業であった期間に対応する取扱いは、不利益取扱いとは捉えない。
 育児介護休業期間又は子の看護休暇を取得した日は働かなかったものとして取り扱うこと → 不利益な取扱いには該当しない
 例) 休業期間中又は子の看護休暇を取得した日について賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間又は子の看護休暇を取得した日数分は日割りで算定対象期間から控除すること

 2  判例の考え方
  ○  産前産後休業取得等を理由とした不利益取扱いについて、労務を提供しなかった部分に応じた賃金の減額等は許容されるとしても、法律上の権利行使を抑制し、法律が労働者に権利を保障した趣旨を実質的に失わせるような不利益な取扱いは許されないと判示(日本シェーリング事件(平元年12月14日最高裁)、学校法人東朋学園事件(平15年12月4日最高裁))。
  ○  産前産後休業等を取得した女性労働者を一律低く査定したことについて、労働基準法は、産前産後休業等労働基準法上認められている権利の行使による不就労を、そうした欠務のない者と同等に処遇することまで求めているとはいえないが、権利を行使したことのみをもって、低い評価をすることは、労働基準法の趣旨に反し、許されないと判示(住友生命保険事件(平成13年6月27日大阪地裁/平成14年12月大阪高裁和解成立))。


 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いを検討するに当たって育児休業を理由とする不利益取扱いとは異なる特有の場面はあるか。
 ・  妊娠・出産起因の症状等に伴う能率低下・労働不能(2の産前産後休業、母性保護措置(産前産後休業以外)、母性健康管理措置による休業等の場合を除く。)を理由とする不利益取扱いについてはどのように考えるべきか。
 ・  有期労働者の雇い止めについてはどのように考えるべきか。

(参考)
 1  育児介護休業法第10条に規定する不利益取扱いの考え方
  ○  休業を取得したことにより、不就業であった期間に対応する取扱いは、不利益取扱いとは捉えない。
 育児介護休業期間又は子の看護休暇を取得した日は働かなかったものとして取り扱うこと → 不利益な取扱いには該当しない
 例) 休業期間中又は子の看護休暇を取得した日について賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間又は子の看護休暇を取得した日数分は日割りで算定対象期間から控除すること
  ○  「期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと」「あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること」は不利益取扱いとしている。
有期労働者のうちの育休の対象労働者の範囲
 (1)同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あり、かつ、(2)子が1歳に達する日を超え雇用が継続することが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに雇用関係が終了することが申出時点において明らかである者を除く。)。

 2  判例の考え方
  ○  産前産後休業等を取得した女性労働者を一律低く査定したことについて、労働基準法は、産前産後休業等労働基準法上認められている権利の行使による不就労を、そうした欠務のない者と同等に処遇することまで求めているとはいえないが、権利を行使したことのみをもって、低い評価をすることは、労働基準法の趣旨に反し、許されないと判示(住友生命保険事件(平成13年6月27日大阪地裁/平成14年12月大阪高裁和解成立))。

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