05/05/30 第7回後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針) 見直し検討会 第7回 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)見直し 検討会 議事録 1.日時 平成17年5月30日(月)14:00〜16:30 2.場所 中央合同庁舎5号館2階 共用第6会議室 3.出席者   (委員)池上千寿子、市川誠一、大平勝美、木原雅子、木原正博、木村哲、       島宮道男、白井千香、玉城英彦、藤井久丈、前田秀雄、南砂、山本直樹       (以上13名、敬称略)   (厚生労働省)関山健康局疾病対策課長、川口課長補佐、他 4.議題   (1)前回議事確認   (2)エイズ予防指針の見直しについて     −総括討論(2) 5.内容 (照会先)健康局疾病対策課(担当:川口)      電話:03−5253−1111(内線2354) − 以下、別添ファイル参照   第7回後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針見直し検討会 議事録          日時:平成17年5月30日(月) 14:01 〜16:38          場所:中央合同庁舎5号館2階 共用第6会議室 ○事務局(川口課長補佐)  定刻を少し過ぎましたけれども、これより第7回後天性免疫不全症候群に関する特定 感染症予防指針見直し検討会を開催させていただきます。  委員の先生方にはお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございま す。  開会に先立ちまして、私から委員の出席状況について報告させていただきます。石井 委員、雪下委員はご欠席とのご連絡をいただいております。  それから、本日、総括討議に先立ちまして行いますヒアリングのために、文部科学省 スポーツ・青少年局健康教育課長の山口様にご出席いただいております。  それでは会の進行を木村座長、よろしくお願いいたします。 ○木村座長  それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。まず会の進め方ですが、いつも のとおり、前回の議事録をご確認いただきまして、その後、今ご紹介のあった、文科省 がら山口さんにお越しいただいておりますので、15分か20分程度で山口さんのお話と討 論ということにいたしたいと思います。そのあと、2の総括討議の最初の部分、検討会 報告書につきまして、40分程度ご議論、ご確認いただき、そのあと、予防指針につい て、60〜70分ご議論いただきたいと思います。  それで、2時間半で全体をまとめたいと思います。今回が最終回となりますので、な るべく前向きの、最終的な案に向けての建設的なご意見をいただければと思います。  それでは最初に前回の議事録の確認を事務局からお願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  事務局から資料と議事録の確認をさせていただきます。  お手元の資料1が前回の議事録でございます。これまでどおり、先生方にお送りしま してご確認いただいていることと思いますが、後日、厚生労働省のホームページに掲載 させていただきますので、何かありましたら事務局までお願いいたします。  資料の説明です。資料(7)−1は、文部科学省からいただきましたものでございます。  資料(7)−2は、前回の検討会及び検討会後に委員の皆様から寄せられた意見を踏ま えつつ、事務局で修正いたしました報告書(案)でございます。  資料(7)−3は、その報告書(案)を踏まえて見直しました新指針(案)でございま す。  資料(7)−4は、新旧対照表でございます。  資料(7)−5は、当検討会以降の「エイズ予防指針見直し」スケジュールについてお 示ししております。  過不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。以上でございます。 ○木村座長  ありがとうございました。それでは、資料1の議事録につきましては、お気づきの点 がございましたら、後ほど事務局までご連絡をお願いいたします。  それでは次に、ヒアリングに移ります。前回、前々回におきましても文科省との連携 等でいくつかご意見が出ております。文科省としてもHIV・エイズに対する知識の普 及啓発、教育についていろいろお骨折りいただいているところでございますが、文科省 のスポーツ・青少年局学校健康教育課の山口課長から文科省の状況につきまして、よろ しくお願いいたします。 ○山口課長  文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長の山口でございます。  私ども主に学校における健康教育、子どもたちの健康の保持増進といったものを担当 しておりますけれども、本日は文部科学省の性教育、エイズ教育関係の施策の説明をさ せていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  私ども、特に学校教育を担当しておりますけれども、大変重要な課題であると考えて いるところでございます。性感染症を防ぐ、あるいは、望まない妊娠を避けるといった ような面からも、性教育というのはきちんと教えるべきときに教える必要があると考え ております。基本的には学校教育は学習指導要領というものに基づいて教えられている わけでございますが、私ども、学習指導要領に基づき、それから、子どもたちの発達段 階に応じた時期と内容でやっていただきたいというふうに申し上げているところでござ います。  教科といたしましては、保健体育が中心になってまいりますが、それ以外にも、道徳 や特別活動といったほかの教科でもやっており、学校教育全体で考えていかねばならな い問題だと思っております。  本日は1枚紙で簡単にご説明をさせていただこうと思っております。  「性教育(エイズ教育)関連施策」ということで、主に予算の事業を中心にまとめさ せていただいております。ただ、これ以外にも実態調査とか、あるいは中央教育審議会 で性教育の今後のあり方の検討といったことも進めておりますけれども、本日用意させ ていただきましたのは、主に予算事項を中心にまとめさせていただいているところでご ざいます。  順に簡単にご説明させていただきます。  1番目の「教育教材の作成・配布(平成17年度新規)」と書いてございますが、これ は子どもたちの健康管理ということで、子どもたちに読んでもらいたいような資料、啓 発教材をつくるというものでございます。  実は、エイズ教育等々のリーフレットは、これまでもさまざまつくってきております けれども、ほかに薬物とか、喫煙といったようないろいろな課題がございまして、実は 今まではそれぞれごとにリーフレットをつくっておりましたが、「それはちょっとわか りにくいのではないか」、「中学生、高校生の心と体の健康という面で一冊にまとめて わかりやすいものにした方がいいのではないか」というご指摘をいただきまして、そう いうさまざまな健康課題について、中学生、高校生が自分で読んでわかるような教材を 平成17年度に作成することになっております。  2つ目の「指導講習会の開催(平成17年度新規)」は、先ほど申し上げましたように 学校教育で性教育をやることは大変重要ではございます。私ども、学習指導要領に則っ て発達段階に応じてやっていただきたい。保護者や学校の教職員全体で話し合いながら 進めていただきたいということは言っておりますけれども、そういった点について、な かなかいきわたっていないというところもございますので、学校で性教育に関する適切 な指導が行われるよう指導者講習会を今年から私ども文部科学省が全国いくつかの個所 に出掛けていって、ブロックごとに何ヵ所かでご説明をしていくことを始めたいと思っ ております。  関連で申し上げますと、平成16年度から、全国での性教育の取り組み事例をまとめた 事例集を現在作成中でございまして、それを指導講習会でお配りし、ご説明し、ご議論 させていただきたいと現在考えているところでございます。  また、3番目の「性教育の実践調査研究事業(平成16年度〜)」を各都道府県等で行 っていただいております。  4番目の「学校・地域保健連携推進事業」というのを昨年度から始めているところで ございます。これは、学校でも健康相談活動をやってはおりますけれども、さまざまな 難しい課題が生じてきておりまして、医学的な見地、あるいは専門的な面からのアドバ イスをいただかねばならないような問題がたくさん出てきているところでございます。 例えば、心の健康の問題とか、アレルギーの問題、あるいは性感染症といったような、 さまざまな問題がございまして、これが学校の中だけでの対応は難しいといったことも ございます。そこで、各都道府県の教育委員会が地域保健の方々、産婦人科、皮膚科、 内科、精神科、小児科というような専門医の先生方のご協力をいただいて、例えば、学 校で先生同士で新しい発達障害の子どもたちが入ってきたときにどう対応していくかと いうときに相談に乗っていただくとか、日々の知識を新しくするための研修会の講師に 来ていただくとか、そういった形での連携を図っていこうという事業を昨年度から始め ているところです。  そして、5番目の「エイズ教育情報ネットワーク整備事業(平成7年度〜)」これは ホームページを使っての情報提供事業でございまして、学校保健会という財団法人を通 じて情報提供をしているところでございます。  また 6番目の「各種研修会を通じて性教育の在り方について周知徹底」これは私ど もの主催事業でない場合でも、例えば、養護教諭の先生方が行っておられる事業、ある いは関係の独立行政法人が行っているような研修会の場に何コマかもらいまして、私ど もが出掛けていってお話を申し上げたりしているところでございます。  下に2つ書いてございますが、これは最近というよりは、これまでのものとしてご紹 介しようと思ったものでございます。  1つ目の「「学校における性教育の考え方、進め方」作成・配布」というのは、教師 用の指導資料ということで、平成11年に作成したものです。  2つ目の「高等学校教師用性感染症指導の手引き」は平成14年度に作成・配布したと ころでございます。  こういった子どもたちへの資料、あるいは教師の指導資料については、これからも必 要に応じて作成していきたいというふうに考えておるところでございます。  以上、簡単にご説明させていただきました。 ○木村座長  どうもありがとうございました。時間の関係もありますので、私から2、3代表して ご質問させていただきたいと思います。  最初の「教育教材の作成・配布」また、下の方の「性教育の考え方、進め方」等々ご ざいますけれども、こういった中で文科省として、中学生あるいは高校生等に対する性 感染症、あるいは性教育の指導方針につきまして、基本的な考え方という言葉が出てき ていますが、どのような考え方に立ってこういうものがつくられているか、簡単にご説 明いただけますか。 つくられているか、簡単にご説明いただけますか。 ○山口課長  非常に難しいご質問で、お答えしにくい面もあるかと思いますが、性教育に関して、 私どもがどんなスタンスで臨んでいるかということについて、3つの点が非常に重要だ ということを申し上げているところでございます。  1つは、学習指導要領に則って、児童・生徒の発達段階に即した時期と内容でやって ほしいということ。  2つ目は、保護者の理解を十分に得ながら進めていただきたいということ。特に性教 育の問題は子どもたちは学校で習ったことを家庭に持って帰って、今日はこういうこと を習ったんだよ、と話しますので、家庭との連携を進めながらやっていただきたいと思 っております。  3つ目は、いかに正しいと信じても、個々の先生方がそれぞれの判断で教材あるいは 学習内容等を決定して、それぞれの判断でやるようなことはやめていただきたい。学校 全体できちんと議論をし、指導方針を確認した上で取り組んでいただきたい。  この3つのことについて申し上げているところでございますし、もう1つ、つけ加え ますと、特に性教育の場合、集団的に、クラス全体に教える内容、集団指導の部分と、 非常に困難な状況におかれている児童・生徒がおりますので、個別指導の部分について は、基本的にきちんと分けて考えてやっていただきたいということを従前から申し上げ ているところでございます。  そういったことについて、これまでも研修会等ではご説明しております。 ○木村座長  ありがとうございます。そして、何年か前から性教育関連、エイズ関連の教育をされ てきていますけれども、その中で現在、文科省として課題として残っているもの、取り 組まなければいけないというふうに考えておられる問題点などありましたら、挙げてい ただければと思います。 ○山口課長  私どもとして、これから必要になってくるところは、まず1つは、非常に難しいんで すけれども、なるべく実態の正確な把握、あるいは、厚生労働省さんからもきちんとし たデータをいただければと思いますが、できる限りの実態の把握が求められるところか なとは思っておりますが、ただ、性の問題は非常に難しいところがありますので、限界 はあろうかと思いますが、そういったものについて努力をしていく必要があるだろうと いうこと。  2つ目に、先ほど途中でも申し上げましたけれども、もはや、学校だけですべてが完 結するということが難しい状況がございますので、専門家の方々のご理解、ご協力をい ただいていくということが必要だろうと思っております。  最後に、最近特に行き過ぎた性教育ということを言われておりますけれども、実はそ ういったことをおっしゃる方々も、例えば、性感染症の予防とか、望まない妊娠を避け るといった面での性教育の必要性についてはご理解いただいているところでございまし て、それは先ほど申し上げました、私どもの基本的な考え方にある程度沿ってやってい ただければ、と思いますけども、そこを逸脱して、例えば、保護者の方々からみておか しいというようなことが出てきているところかあるんじゃないか。そういう面で、先ほ ど申し上げましたような、3つ、あるいは4つの原則といったものについてもう少し教 職員の方々のご理解をいただかないといけないなと、その面で努力していななければな らないと思っております。 ○木村座長  課題の一つとしては実態の把握をもう少し進めたいということと、父兄、専門家等、 まわりの理解なり協力がもう少し必要かなということですね。そして、今までの事業の 評価はどういうふうになさっているんでしょうか。成果を評価するのはなかなか難しい とは思いますが。 ○山口課長  はい、なかなか難しい課題であろうと思いますが、事業を展開する以上、本当に役立 たったかどうかということについては、客観的な数値では難しいと思いますが、ずっと 見ていかなければならないと思っています。 ○木原(正)委員  おそらく問題認識は共通していると思うんですが、アジアの大流行が目前に控えて、 日本のHIV・エイズもだんだんと厳しさを増してきています。そして、ご存じのとお り、1990年代の半ばから若い人の性行動が大変活発化し、かつ無防備になって、それに 伴っていろんな健康問題も起きているという状況があるわけです。今ご紹介いただいた 施策の中で、今までやって来られた施策がなぜそういう状況を許してしまったのか。そ して、今後やられる施策は具体的にそれに対してどのように効果があると考えておられ るのか、そのへんがよくわからなかったのでお教えください。 ○山口課長  主に、性教育でどういうスタンスでどんなことを教えるべきかという、たぶん中身の 話になろうか、それが一番中心になろうかと思っておりますけれども、特に若年層での 感染症を防ぐという面で、要するに、どんな形で何を教えることが一番効果的なのかと いうことについて議論しなければいけないということはございまして、一つは、中央教 育審議会の中の教育課程部会、学習指導要領等をやるところがあるわけですが、その中 に「すこやかな体を育む専門部会」がございまして、これは各教科ごとではなくて、幅 広い観点から学習指導要領の中身について検討していくところがございます。例えば避 妊の方法などで進める方が効果的なのか、あるいは、そういう即物的というよりも、性 について急ぐことはないといいましょうか、態度というか、道徳的な面からアプローチ するのがいいのか、といったことも含めて今議論が行われているところでございます。  具体的に、即効性があるということではちょっと申し上げにくいんですけれども、中 身自体についても議論、検討が進められていうことをご説明申し上げたいと思います。 ○木村座長  各自治体の教育局、健康福祉局との連携がこういう衛生教育関連においては特に大事 であろうと思いますが、そういう連携の上の課題とか、今後やっていかなければいけな いというような点が残っておりますでしょうか。 ○山口課長  まさにご指摘のように、私ども大きな課題だと思っておりまして、先ほど申し上げま したように、4つ目の「学校・地域保健連携推進事業」で、学校が学校だけで対応でき る時代はもう終わっておりまして、関係部局、あるいは地域保健の関係機関、そういっ たところと話し合いをしながらやっていく、ということを書いておりますが、連絡協議 会をおいてそういう体制を進めていただきたいということを私ども言っております。実 際上、これがどんな形で動いているかといいますと、各自治体の状況に応じて連携を進 めていただきたいということを申し上げておりますが、例えば、ある都道府県では、特 に心の健康の問題を中心にやっていきたいという考えで精神科医の方々との協議という 形でかなり限定的に取り組んでいるところもございますし、あるいは、ある都道府県に おいては、いろいろなご相談に応じられるような形でさまざまな専門の医師のご協力を 得られるようにということで、なるべくたくさんの方にお入りいただくという形で連携 を進めているところもあります。これはある意味、自治体のご判断で進めていただきた いと思っております。  ただ、私どもやらなければならないこととして思っておりますのは、事業の進め方に ついて各自治体は自治体としてご判断いただくとしても、その取組を他の自治体にも、 こういう形で進めていますよ、というようなことの情報提供、公開といったことをやっ ていただき、今後取り組む際の参考にしていただきたいと思っております。そういう意 味での、情報提供、公開がこれから必要になってくるのでないかと思っております。 ○木村座長  いろいろとありがとうございました。若い人たちの教育については、文科省との連携 が非常に重要で、厚労省と文科省、両輪でHIV・エイズ対策の普及啓発を進めたいと 思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○池上委員  お出でいただいてありがとうございます。文科省の方にぜひ一つお伺いしたいことが あるのですが、それは、基本スタンスとして「発達段階に即した」とございますね。発 達段階に即したというのが、例えば、性教育の教師用の手引きなんかを読みましても必 ず出てくる。発達段階に即したというのはわかるんですが、具体的に、発達段階に即し てというのはどういうことなのかというのが、私の知る限りではあまり解説されていな い。例えば、5年前に出た手引きと今の手引きは内容は違っているけれども、それぞれ 発達段階に即した、と書いてあるだけなのです。発達段階に即した、というのは言葉的 にはわかるんですけど、具体的にどういう定義なのか、解釈なのかということが、もし どこかに明瞭に指示されているのであればぜひ教えていただきたいと思っているんです が。 ○山口課長  「発達段階に応じて」という言葉の定義がどこかにあるかというと、それはたぶんな いと思います。抽象的な、一般的な意味での発達段階に応じて、ということで、もっと 具体的に申し上げれば、子どもたちの性的な発達の度合い、第二次性徴があらわれると いったようなことの発達段階に応じて、ということで一般的な形で使っておりまして、 その定義自体はたぶんどこにもないと思いますが。 ○池上委員  ない、ということですね。わかりました、ありがとうございます。 ○市川委員  きょうはありがとうございます。98年末までのエイズ発生動向調査から、出生年別に 分析したのを厚生労働省が中間報告で出していますが、そのときのデータを簡単に紹介 しますと、要するに、20歳代になっている人たちが、それ以上の年代層に比べて感染報 告の増加が著しい状況になっていました。1985年からサーベイランスが始まって、98年 末までの報告でそういう状況になっていたということは、85年ごろから日本でもエイズ 啓発がはじまり、学校でのエイズ教育も90年代に実施してきた状況の中で、20歳代にな る若い人に予防といった視点での啓発が十分に届いていなかったということになると思 います。そのようなことがもう98年のデータで出ているわけです。その後も、エイズ動 向調査では、やはり20歳代の若い人の感染者が増えているという変わりない状況にあり ます。  この若い人たちのところにどういう取り組みをするかということを考えたときに、学 校だけではもう難しいんだという話はわかるんですが、さりとて、そこのところにどう 取り組むかは、学校と地域の人たちが一緒になってやらないと、どうしようもない状況 だと思うんですね。  文科省の取り組みを見て、これから10年経ったときに、そのときの20歳代の人の感染 者が減っているような状況を目標にするというような方向性を待つべきではないかとい うことを感じます。  もう一つは、現在の感染者の殆どが性的な接触、すなわち性感染なわけですが、どう してもセクシャリティのこと、性的指向性のことをなかなか相談できなかったり、ある いは学校の先生たちがそういったことを十分把握していない状態にある中で、性感染症 の画一的な教育をするという状況はおそらく同性間での感染の予防や相談といった機会 を学校の場では持てない可能性もあるかと思います。かといって、このことを表立って 話をすれば、また学校の中でいろんな問題も起きてくることもありますので、なかなか 難しいところはあると思うのですが、ぜひこうした点での学校の先生の取り組みのあり 方も、学校への指導の中に入れてもらえればと思います。  また、きょうのお話の17年度新規の2番目のところ、「ブロック別に指導講習会を開 く」ということがありますが、これが果たして、ブロックから各自治体、あるいは市町 村等の学校の現場の先生にどう届くのかということがもう一つ大事視点ではないかと思 うんですね。このへんも含めて教育施策の部分を考えていってほしいと感じましたの で、申し添えたいと思います。 ○木村座長  山口課長の時間の都合もありますので、ごく手短かに。 ○木原(雅)委員  一点お聞きしたいのですが、今、わが国ではHIV感染者やエイズ患者の報告数が増 えている中で、昨年度(平成16年度)までは、文部科学省からエイズ教育推進地域とし て指定されエイズ教育を重点的に実施する学校が各県(各地域)ありましたが、それが 今年度から廃止されました。つまり、エイズを含む性感染症が若者の間で急増している さなかに予防教育を地域の中で重点的に行う指定地域がなくなってしまっています。先 ほどのご説明に中で、性教育の様々な事業をご紹介いただきましたが、予防教育が「性 教育」という大きな枠の一部に含まれてしまって、特にエイズを含めた性感染症の予防 というところが強調されている事業がなくなってしまったように見えるのですが、その 点に関して、特にエイズ/性感染症の予防を強調している事業はございますでしょうか。 ○山口課長  そういう意味でいうと、下から2つ目の情報提供なんかはエイズ教育という情報提供 ではございますが、他の事業も名前はエイズ教育から性教育一般みたいになりましたで ども、決して扱わないというわけではないわけでございまして、ちょっと比重が下がっ たというようなことでは私ども考えてないのですが。 ○藤井委員  先ほど、性教育の問題の中で、学習指導要領に沿って、しかも発達に合わせての性教 育が必要であるということでしたが、発達というのは非常に微妙ですが、先日、私ども 全国高P連のアンケートをもとに文部科学大臣にお願いしたことでもありますが、教育 における発達というと、身体の発達というふうに大人はとらえてしまいがちですが、む しろ彼らを取り巻く情報や、その情報への対処の仕方という点から見た発達の程度を考 えた性教育を考えていただきたいと思います。 ○木村座長  まだいろいろとご意見おありかと思いますけれども、時間が来ておりますので、ここ で文科省のご意見、協議は締め括りたいと思います。山口課長、お忙しい中、ありがと うございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ○山口課長  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 ○木村座長  それでは次に、報告書(案)に移りたいと思います。前回、最初から終わりまでざっ と目を通していただいておりますけれども、きょうは最後になります。章を区切ってご 議論を、全体で40分程度でお願いできればと思っております。  最初に「はじめに」と「I.我が国におけるHIV・エイズの発生動向及び問題点」、 この部分につきまして、まず事務局から変更点などについてご説明いただいた後、議論 に入りたいと思います。お願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  それでは、ご説明させていただきます。  まず、今回出させていただいた報告書案、前回から何が変わったのか、どういう作業 を経てここに至ったのかについてご説明いたします。  前回の会議後も多数の委員から事務局あてにご意見をいただきました。それらについ て事務局として整理させていただき、ご意見をいただいた委員の方々にはメールにより まして、事務局の考えを返させていただくとともに、報告書にも所要の修正を加えさせ ていただいたところです。また、関係省庁、他部局からも多数の意見が寄せられまし て、協議の結果、必要に応じて修正を加えて本日の形となっております。  なお、報告書案の送付につきましては、複数の委員から大量のご意見が、少し遅れて 寄せられたということもございまして、我々としてもせっかくいただいたご意見ですの で、反映させるべくやりました関係上、遅くなり申し訳ございませんでした。  では、報告書の「はじめに」とIの部分について、簡単に説明いたします。  前回との違いということで、まず「はじめに」ですが、第2パラグラフで「アジア地 域において」ということを追加しております。  また、その下のパラグラフにおいては、(1)普及啓発 (2)検査・相談 に加えて、 (3)医療提供体制の確保、を追加しております。  2ページで、発生動向全体に関しては、根拠となるデータをもう一度洗い直して、表 現を改めております。  また、性行動の最近の特徴については、まとめて下段に整理しております。  3ページ、2.現状の問題点ですが、@)については、診断時に3分の1がエイズを 発症している、ということで、早期発見・早期治療、発症予防の機会を逸している患者 さんが多いのではないか、という分析を加えたところです。  A)若い世代や同性愛者における感染拡大 につきましては、衛生主管部局と関係機 関等との連携が必要ではないか、という記載を追加しております。  あと、問題点B)C)D)については、大きな変更はございません。以上です。 ○木村座長  それでは、4ページまでの範囲でご意見ございますでしょうか。既にいただいたご意 見はほとんど反映していただいていると思いますが。 ○長谷川氏  新たに発症者の問題を入れていただいて非常によかったと思いますが、ここのところ の表記で、「発症した後、初めて自分が感染していたことに気付く」ということが指摘 されているんですが、その主な原因という部分の(1)で「他人事意識が根強く」という ことがある。これは事実だと思うんですね。そして、(2)検査・相談体制 (3)利用者へ の対応 とあって、ここでちょっと違和感を持ったのは、基本的に、他人事意識が根強 いというんですが、HIV・エイズに対する偏見とか差別、スティグマが根強く残って いるというニュアンスが希薄だと思いました。他人事意識が根強いというと、その原因 が発症者当人にあるようなニュアンスを私は感じたわけです。そこで、前提である、社 会構造の中に残された差別、偏見ということをここで明示していただくことがむしろ適 しているのではないかと感じました。  第2点として、若い世代や同性愛者への感染拡大への対応が十分ではない、というこ との中に、普及啓発の努力とか、そういうものが足りないということは明示してあるん ですが、これはここに本来入れるべきことではないとは思うんですが、事業予算とか、 全体の枠としてのスケール、そういうものが十分であったかどうかということも少し気 になりました。このへんは予防指針であるので、入れることは不適切なんでしょうか。 ○木村座長  例えば、言葉として、こういう表現でどうかと言う例を示して頂けると議論しやすい のですが。 ○長谷川氏  一点目は言葉、表現の問題です。2点目は文脈の問題です。前提として、不十分さの 背景というか、何が不十分であったかということを明示することは不可能かどうかとい うことです。  A)の対応が十分ではない、という主な原因の(1)、(2)、(3)の前の段階にあたると 思います。1行目のところです。ごめんなさい。続いてしまいますので、前か、最後で す。これがこの中に入れる内容として適切なのか、不適切なのかという事務局への質問 です。 ○関山課長  1点目の差別・偏見については、2の@)の(1)に、他人事意識や、差別・偏見があ る、ということをお書きいただく。それから、今の予算の話は、何が十分か、不十分か というのは非常に問題である。どういう尺度を持って、十分、不十分というかというこ ともあります。ただ、その前に何をやらなければいけないかというと、事業の効率、効 果性がどうだったか。それに対してどういうふうに予算が十分か、不十分であるかとい うことなので、そこの点については、まず事業の効果、効率等について、今回洗ってい ただいて、そして、まとめのところに、これは各委員からもご意見ございましたよう に、14ページの「おわりに」で、各委員から前回お話がございましたので「国及び地方 公共団体においては、診療報酬の活用を含め、所要の経費の確保に努めることを要望す るものである」こういった書き方で締め括らせていただいております。 ○木村座長  よろしいでしょうか。 ○長谷川氏  はい、了解しました。 ○白井委員  言葉だけですが、4ページのC)国と地方公共団体の役割分担、という表現があっ て、以前は、地方自治体、だったと思うんですけど、地方公共団体とすると、範囲が違 うのか、そのへんを教えていただきたいんですが。 ○関山課長  地方公共団体、地方自治法では地方自治体といっておりますが、感染症予防の総合的 な推進を図るための基本指針が感染症予防法にございます。それが我々の上位の指針に なってまいりまして、そこで使われている言葉は地方公共団体という言葉で整理されて おりまので、用語の整理としてこのようにさせていただいたということであります。た だそれだけございます。 ○木村座長  中身には違いはないと。 ○関山課長  これは違いありません。 ○玉城委員  2ページの最後のパラグラフの「感染のリスクが高い行動」というのは、これは共通 した認識があるのか、定義する必要があるのかと感じたんですけど。前に議論になった かもしれません。 ○関山課長  ここで、感染のリスクが高い行動をとっている、ということは、念頭においているの は個別施策層の方々に該当すると考えておりまして、指針では「感染の可能性が疫学的 に発見されながらも」ということで、書いておりましたので、そういうことで整理させ ていただきました。そういう整理の方がわかりやすいかなと思いまして書かせていただ いております。 ○木村座長  表現を変えた方がよろしいですか。 ○関山課長  もし変えた方がよろしければ。この場で言っていただいた方が、あとで指針の議論に 入っていますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○長谷川氏  私もここはちょっと気になったところでして、これは予防指針の個別施策層という言 葉をつくってきた段階で、ハイリスクビヘィビアという英語の日本語訳を避けたとこ ろ、これがまたここに戻っているというように私は理解したんですけども。いわゆる、 感染のリスクが高い行動をとっている国民ということは、これを英語に直すとまたお、 おそらくハイリスクビヘィビアという言葉に直されてしまうのだろうなと。そうする と、前回の予防指針であえて避けた言葉がここで再び浮上しているふうに私には見えた んですが。 ○関山課長  予防指針については、あとでご議論いただければと思っておりますが、もしそういう 言葉で注意しなければいけないということであるならば、これに代わる言葉をこの場で 整理していただけると有難いと思います。 ○木村座長  より適切な表現をお持ちでしょうか。 ○池上委員  つまり、ハイリスクな行動を自主的に、個人的にとっているというのではなくて、感 染のリスクにさらされやすい、ということですよね。これは日本語では難しいんですけ ど、感染のリスクを負わされやすいというか。 ○木村座長  さらされやすい、はいいですね。 ○池上委員  あんたの責任でしょ、という感じではなく、社会構造的に既にあるスティグマとか、 そういうことのために弱い立場にある、ということが問題なんだということですから、 さらされている、でいいでしょうか、そういうニュアンスだと思いますが。 ○木村座長  そういうご意見でいかがでしょうか。 ○長谷川氏  たぶん、さらされているとか、そういう言葉がUNエイズとかの翻訳では使われてい たように思います。 ○関山課長  「感染の危険性にさらされている」ということですか。 ○木村座長  よろしいでしょうか、次に進ませていただきます。  それでは5ページから始まります「エイズ対策の見直しの方向」というところについ て事務局から簡単にご説明お願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  5ページをお開きください。まず、1.総論ですが、(1)発生動向及び疾患特性の 変化を踏まえた施策の展開  この部分につきましては、従来、発生動向とのリンクが いまいち不明なところもございましたので、発生動向と連携させる形で記述を改めてお ります。 (2)ですが、都道府県が中心的に行うものという記載でありますが、とはいえ、国が 先導的立場の下に、という国の立場を明示しております。 (3)については大きな変更はございません。  6ページ、各論に入ります。(1)原因究明、ここも特に大きな変更はございませ ん。(2)普及啓発及び教育、ここは皆様方非常にご関心が高く、我々としても推進す るべきところでございまして、たくさん修正がございますので、ゆっくり見ていただけ ればと思います。  最初のパラグラフの最後、本人の頑張りだけではなくて、社会的環境を醸成していか なければ、普及啓発は進まないであろう、ということ。  A)具体的推進策の中では、8ページの下から2つ目のパラグラフに学校教育につい て書いていますが、地域における予防教育、保護者向けの講習会等も必要であろう。ま た、マスメディアの対応についても見直す必要がある、と記載しております。 (3)検査・相談体制 ここでは、検査陽性者に対して適切な相談の機会と医療機関に 紹介できるように、という記載を追加しております。 (4)医療の提供 @)の4行目から、研修等を通じて医療従事者の資質の向上が重要 である旨を追加しております。 A)具体的推進策 以降は、内容的には大きく変わっておりませんが、構成の整理を行 っておりますので、順番が若干変わっておるかと思います。  研修については下から2つ目のパラグラフにまとめております。 (5)研究開発の推進 ここは大きな変更はございません。 (6)国際的な連携 については、アジア、アフリカで多数発生しているという事実を 追加しております。  最後に(7)人権の尊重 ですが、「患者等を取り巻く地域、職場等に向けた普及啓 発等に取り組み」というところを追加記載しました。  また、共生の理念に基づいて、社会的な受け入れについて考慮することが望ましい、 としております。  以上でございます。 ○木村座長  ありがとうございました。少しページ数が多いのでありますが、総論の部分ではいか がでしょうか。 ○木原(正)委員  5ページで使われている用語の問題ですが、「不死の一般的な病」という表現です。 皆さんのご意見お聞きしたいんですが、私はどうもひっかかっています。というのは 「不死の一般的な病」といいますと、ほかの病気とちっとも変わらない、という感じ で、こういう言葉が広まってしまうと、まるで何も心配が要らないような病気ととられ かねないニュアンスになってしまわないかと心配です。 ○木村座長  この点はいかがでしょうか。たしかに、アメリカなどでHAARTが非常に普及して きて、もう大丈夫だという安心感が強くなりすぎて、逆に感染が広がってきたというこ ともあるようですが、どのような表現にするか。この表現のままでいいか。一般論とし てはたしかにここに書いてあるとおりではあるんですが。 ○池上委員  医療的にはそうかもしれないんですけど、なぜ、予防指針の中に治療のことも入れな ければいけないかということと絡んでくると思いますが、私たちが調査した陽性者の方 の80%の方が職場で働いているけれども、職場には言っていない。なぜならば、言った ら何か不利益なことが起こるであろうという、予測される差別、予測されるスティグマ に対して、そこで言えないストレスを非常に強く感じている。  一般の被雇用者と違って、職場の健康診断の受診率が半減する。それは、健康診断に おいて、HIVは検査しないものの、異常数値が出ることによってHIV感染というこ とが漏れないか、といったようなプライバシーへの不安が根強くあるからです。、医療 的には、不死ということは言えるんですけれども、やはり特別な環境づくりが必要だ と、これは特に企業の関連において言いたいんですけど、職場の環境整備ということと ともに、企業の責任のいうことも含めて、ここは一つ「医療的には慢性感染症へと変化 しつつあるが……」といったような一文が必要かと思います。 ○大平委員  この「不死の一般的な病」になったというところまで言い切っていいのかどうかとい うところはちょっと議論があると思うんですね。実際、良質な医療が提供されていない 限りは、病気としては、いくら抗HIV薬があったとしても、それは自己管理も含めて ですけど、病気としては重いのではないかと思います。慢性感染症といっても、普通の 慢性感染症とはまた違っているのではないかと思うんですね。  なぜこんなにエイズ対策が、感染の問題もそうですけど、医療の問題に重点を置かな ければいけないかといいますと、医療が十分提供されない限りは病気としては日和見感 染症を発生して亡くなっていくケースになるので、そこは基本的には根治の方向に向か っていないわけなので、一般感染症として扱っていても、それが一般感染症のどういう 状況になるのかというとは、ほんとにそんなに軽い慢性感染症としてとらえていいのか どうかというところは疑問だと思います。  要望としては、何か考えていただきたいと思います。  この「不死の一般的な病」になったというところまで言い切っていいのかどうかとい うところはちょっと議論があると思うんですね。実際、良質な医療が提供されていない 限りは、病気としては、いくら抗HIV薬があったとしても、それは自己管理も含めて ですけど、病気としては重いのではないかと思います。慢性感染症といっても、普通の 慢性感染症とはまた違っているのではないかなあというところが、若干微妙なところで すが、あると思うんですね。  なぜこんなにエイズ対策が、感染の問題もそうですけど、医療の問題に重点を置かな ければいけないかといいますと、医療が十分提供されない限りは病気としては日和見感 染症を発生して亡くなっていくケースになるので、そこは基本的には根治の方向に向か っていないわけなので、一般感染症として扱っていても、それが一般感染症のどういう 状況になるのかというとは、私は素人なのでわかりませんけども、ほんとにそんなに軽 い慢性感染症としてとらえていいのかどうかというところは疑問かなあと思います。  要望としては、ちょっと難しいですけど、何か考えていただきたいなあと思います。 ○木村座長  趣旨はよくわかります。 ○白井委員  私もこの部分については少し言葉に違和感がありまして、メールでもちょっとお尋ね したんですけども、あえて「不治の病」から「不死の病」へ、とリズムはいいように聞 こえますが、これをこの文面に入れなくても、「死亡率は著しく減少したことから、誰 でもが感染リスクを有しうる」というところにつなげて構わないと思いますし、こうい う表現をあえてほかの言葉に変えてということで報告書に含めなくてもいいような気が するんですけれども。 ○木村座長  事務局からご意見ありますでしょうか。 ○関山課長  皆さん今、現状をおっしゃっているのかもしれませんが、私どもとしては、HAAR T療法等でこれは医学的には不治から不死へ変化しつつある、変化したとは書いてな い。ただし、それはカテゴリーとしては慢性感染症である、と言うことにより、一般的 な病気であるし、また、不死なんだということを言うことによって、今まで籠っていた 方々が、検査に行く、医療機関に行く、というふうになるよう、この5年経った指針の 見直しにおいてコメントする必要があるんじゃないだろうかという皆さん方のご意見を 伺って、事務局としてはこのようにまとめさせていただいた。ただし、医学的な認識と しては、HAART療法でお亡くなりになる方が0.1 %なり0.5 %という死亡率で、か なり低減してきて、慢性疾患の状況である、という認識の上に立って、このように整理 させていただいて、また、池上先生おっしゃったようなところも実際あるわけでありま して、そういったところについては、人権の問題のところで触れさせていただいており ます。ここでは、施策としてエイズを現時点においてどのように認識、整理するかとい うことで、言葉を整理させていただいたということでありますが。 ○木村座長  いかがでしょうか。差別、偏見を除いていくためにも、こういう表現が意味があるの ではないかということで、たしかに、変化しつつある、と表現されておりまして。 ○玉城委員  関山課長がおっしゃるのもよくわかるんですけれども、ちょっと文章を変えるだけで このニュアンスが十分伝わるのではないかと思われますので、例えば、いわば、以下の 「不治の病」から「不死の病」へ、というところを削除して、そのまま行って、最後の 文章はリダルダントですので、一般的な病のところの、即ち慢性感染症というのを追加 するだけで、あとの文章は削れば、それでいいんじゃないか。ニュアンスだけは十分伝 わるという印象を持っていますので、ご検討いただけないでしょうか。 ○木村座長  そうすると、「不治の特別な病」から、次のマルまでを削除ということですか。 ○関山課長  ここは今回の施策のポイントになるところでありまして、そういうことではなくて、 誰でもが感染のリスクを有しうるものである、という認識が重要なので、そこも消され てしまうと。 ○木村座長  いやいや、そうではなくて、そのあとですね。 ○玉城委員  「不治の病」から「不死の病」へ、を消して、そのまま行って、「不死の一般的な病 」の後の、即ち、慢性感染症として、最後の文章はそれで削るということでいかがでし ょうか、ということです。 ○木村座長  5ページのI.の6行目の、いわば「不治の病」から「不死の病」へ、「特別な病」 から、誰でもが感染のリスクを有しうる「一般的な病」へと変化しつつある。ここまで はいいわけですね。で、その次を削除するのですか。 ○玉城委員  こういうことです。いわば、「不治の病」から「不死の病」というのを削除していた だいて、それから、その次の「一般的な病」以下をずっと削って、慢性感染症に続け る。というので意味は十分通ずるのではないかと思います。 ○木原(正)委員  よろしいでしょうか。私がはじめに問題提起したのは、「不死」という言葉に違和感 を持ったということでして、その表現を「管理可能」とか「コントロール可能」とか、 そういう言葉に変えれば、文章自体はそのままでもよいと思うのですが、いかがでしょ うか。 ○木村座長  いくつかの案が出ましたが。治療可能、管理可能、コントロール可能、糖尿病的な。 ○白井委員  管理というのは立場が別かなと思いますけど。治療可能とか。 ○大平委員  治療可能のなると、治ってしまうことになるので。 ○関山課長  コントロール可能な、でどうでしょう。 ○木原(正)委員   私の最終意見としては、「コントロール可能な」、ということです。 ○木村座長  事務局で今の議論をもとに案を考えておいていただいて、後で戻りますか、今やっち ゃいますか。 ○関山課長  どうぞ、ここは除いて進めていただいて。 ○木村座長  では、事務局で今の議論を整理していただいている間に、5ページからのII.エイズ 対策の見直しの方向、各論のあたりでご意見ございますでしょうか。 ○藤井委員  (2)普及啓発及び教育の@)、7ページになりますが、「特に、社会教育において は、感染を予防する観点から」のパラグラフで、「性交渉はコミュニケーションの一つ の形態であることを踏まえ」とありますが、私どもはよく研修医の教育をするときに、 コミュニケーションスキルが必須であると強調します。コミュニケーションというのは 一つの大切なツールだというふうに話をするんですが、この言い方だと、コミュニケー ションツールの一つとなり、セックススキルみたいにとらえてしまう可能性があると危 惧する訳です。教育的なことからいうと、ここはできればやわらかい言葉で「性交渉は コミュニケーションの一つの形態としてとらえられる側面も踏まえ」ぐらいに変えてい ただいた方がいいのではないか。コミュニケーションというふうに断言してしまうと、 少し教育的にはまずいんじゃないかなということが一つございます。  それから、その次のパラグラフ、具体的には、で始まって、その下の方に「地域的繋 がりの促進という意味で、地域の保健所等」とありますが、ここにできれば、いろいろ な人たちがかかわっておりますので、地域的繋がりの中での教育という意味では、とい うことで、例えば、教師、医師(産婦人科、泌尿器科等)、あるいは、家庭のかかわり が大切であるとともに、地域の保健所等による相談の充実も有効である。というような ことで、保健所に行く以前にもう一ついろいろなところのかかわりがあるということを 入れていただければ有難いと思っておる次第ですが、いかがでしょうか。 ○木村座長  家族のことは1行上に書いてありますね。 ○藤井委員  実際に性教育の場を考えた場合に、その場においていろいろな人たちの協力が既に働 いていると思いますし、それは今後も伸ばしていくべきところと思っておりますので、 そのニュアンスを入れていただいた方がいいのではないかと思います。 ○木村座長  そうすると、最終的な文章としては、また、のところから、もう一度言っていただけ ますか。 ○藤井委員  「また、地域的繋がりの中での教育という意味では、医師(産婦人科、泌尿器科等 )、教師、PTA等、いろいろな人々のかかわりが重要であり、特に地域の保健所等に よる相談の充実も有効と考えられる」というふうにしていただけると有難いと思ってお ります。 ○木村座長  具体的にかかわる相手を記載しておいた方がわかりやすいと。 ○藤井委員  ええ、その方がいいんじゃないかと。 ○木村座長  どうでしょう、よろしいですか。 ○関山課長  ここは、社会教育においては、というところで書いているんですが、社会教育におい て、教師の方が、地域にいらっしゃる住民の方が速やかに相談にのっていただくような システムは何かあるんでしょうか。門外漢でわからないんですが。もしそういうのがあ るのであるならば、そういうシステムを明記してみたらと思いますが。 ○藤井委員  実際にはいろいろな方をお呼びして話をしていただくということもあるわけです。す べての学校ではないにしろ、そういう資源として利用するということも必要です。それ はどこに書けばいいのかちょっとわからないんですが。 ○関山課長  わかりました。その点は、ここは施策の基本方向で、学校教育というよりは社会教育 の中で整理させていただいて、地域の中のPTAの方とか、そういった方々の存在は記 載できるんだろうと思っていますけれども、教師の方については、できれば、8ページ の中ごろに「とりわけ、青少年対策に当たっては、都道府県等を中心に関係機関が連携 し、青少年を取り巻くマスメディア、家庭、地域、学校等の社会的環境を改めて見直す 必要がある。具体的には、ということで、保健所等と学校・PTA等が役割分担しつつ 協力する」ということで、このような記載をさせていただいています。 ○藤井委員  はい、ちょっと重なってしまいますね。たしかにおっしゃるとおりで、原文でいいと 思います。 ○関山課長  申し訳ないです、バクッと書いたものですから。もし、よろしければ、原文のまま で。 ○前田委員  同じパラグラフで、7ページの普及啓発のところですが、前回の報告書では、社会教 育においては、というフレーズが、最後の方の、具体的には、以降にかかっていて、性 交渉はコミュニケーションの一形態でもある、というところは全部、社会教育において は、で括られておりまして、前回のものは、学校教育も含めて、総論的に教育というの はこの方針だ、というふうに読めたんですけど、これを見ると、社会教育においては、 ということで、一般に社会教育というと、成人に対する教育というようなスタンスで受 け取るということは、学校教育には受け入れ難いということでこういう形になったんで しょうか。 ○島宮委員  今とほぼ同じ意見ですが、8ページで学校教育に関して触れられているんですが、ウ エートとして考えるなら、かなりウエートが落ちてしまったと、そんな印象がありま す。 ○関山課長  これは前回もご議論になったんですが、私どもとしては、教育には学校教育と社会教 育がありますが、学校教育はまさに今後より一層連携をとらなきゃいけないわけで、文 科省の領域で充実・強化していただこうというお話になりまして、我々のアプローチの 仕方としては社会教育という枠の中で充実・強化していこうということでこのような書 き方をしましたので、何も学校教育のウエートが少ないというのではなくて、私どもの アプローチの仕方としてこういう整理をさせていただいたということなので、何かお知 恵があれば、なんとなくウエート低く見られないような文言がありましたらば、ご発言 いただければと思っておりますが。 ○前田委員  教育一般ということで、「社会教育においては」というフレーズがここに入る必要は ないのではないかと思いますが。 ○関山課長  では、「普及啓発及び教育においては」とやった方がよろしいということですか。 ○前田委員  先ほど、山口課長が文科省の基本的考え方の中で、このへんのことを文科省としては どうお考えになっているかということが我々知りたかったわけですが、それはなかなか 難しいというお話でしたが、それは文科省の立場でということで、こちらとしてはむし ろ、学校教育といわず、一般的な普及啓発としてこういう考え方だというのは示してお いていいじゃないかという気がします。 ○池上委員 7ページの同じパラグラフの2行目で、言葉の問題なんですけど、解釈が多様な形容詞 はなるべく省いた方がいいんじゃないかと思うんですが、「徒らな性行動」の「徒らな 」というのをここに入れる必要があるのか。あと、徒らな、というのはどういう意味か というと、徒らでない性行動ってなんだという、無防備な、というのは、予防しない と、まあわかるんですが、徒らな、というのは何でしょうか。、こういう形容詞は使わ ないで「無防備な性行動を低減する必要があり、責任ある性行動を進め」とか……。 ○木原(正)委員  この文言について私に責任がありますので発言させていただきます。予防する場合、 無防備な性行動のネットワークの「総量」を減らすことが大切です。そのためには、ネ ットワークの量を減らすことと、ネットワークの安全性を高めることの両方が必要で す。どんなに性行動が活発化しても(性的ネットワークが発達しても)、それがすべて 安全なものなら構わないという言い方をする人もいますが、それは理想論で現実的には そう簡単にはいかない。やはり過剰な性行動の総量を減らしていくことも必要で、そう でないと予防も追いつかない。そういう意味での表現として、言葉の是非はともかくと して、性行動の総量を減らすという表現が入らないかと思ってご提案をしたということ です。 ○池上委員 徒らな、という形容詞はかなり価値観を含むんじゃないかと思うんですね。ウイルスに とっては予防しない行動が感染経路になるわけで、感染した若い人たちと話すと、自分 は恋愛をした、まじめだった、相手は1人だった、なのに、という場合が多い。ここら へんの誤解がすごく強いわけです。いたいでしょう。だから、この、徒らなという、否 定的な価値観を含む形容詞は、私は委員会の文章には使わないで、表現を変えた方がい いと思います。 ○長谷川氏  ここのところ、いろんな陽性者の方たち、性感染に若い人たちも増えてきていまし て、予防メッセージが場合によっては、治療の姿勢の形成を妨げている場合があるんで すね。つまり、感染したことによって、ある種の価値観で予防介入された場合に、自責 観が非常に強くなるということがあります。そういう視点からも、今の池上委員のご意 見に私も賛同したいと思います。 ○島宮委員  私もここはちょっと気になっていたところなんですが、例えば、ここに書いてある趣 旨が、施策に生かされるとして考えた場合、性行動を抑制するということは果たして政 策としてできるのかどうか、という問題なんですが、そのへんはどうでしょう。 ○関山課長  徒らな性行動を抑制する、と書いてありますが、施策的には今回ご議論いただいて、 かり出てきましたのは、コンドームの使用の普及ということで、これは従来の手法だっ たんですが、それ以外に、2つ目の手法として、豊かな人間関係を構築できる方向性を 持っていこうということで、具体的にはどういうことかというと、家族間のコミュニケ ーションを図るといった工夫が一点、二点目として、先ほどもご議論いただきました が、地域とのつながりを持つシステムをいかにつくっていくか。こういうつながりを持 つことによって、さらに新しいアプローチができたんだということでありまして、た だ、いろいろご意見伺っておりますと、もし、これが読み方によっては誤解されるよう であれば、誤解されないように工夫していただいた方がよろしいのかなと思っていま す。  木原委員のご提案、率直にお書きになっていただいて、我々もすごくわかりやすいん ですが、ただし、いろいろな取り方をされる方がいらっしゃるかと思いますので、先ほ ど、おっしゃられた、無防備な性行動を抑制する、という整理でよろしければ、それ で。 ○大平委員  池上委員が言われるのは当然だろうと思うんですね。これは公式な文章として出て行 くわけですから、人の行動を揶揄するといいますか、もう少しまともに見るというか、 例えば、無責任な行動というのとそこはかなり近いものがあるんだろうと思うんです が、徒らな、というような形容詞は点検していただいて、言葉として揚げ足をとられな いように気をつけた方がいいんじゃないかなと思います。 ○木原(雅)委員  特に対象を大人として考えた場合は、この言葉は様々な捉え方があると思いますが、 たとえば対象が性経験のない中高生ですと、初交年齢を遅らせる方向のメッセージが必 要であると思います。初交年齢を遅らせることによって、それまでに十分な情報が得ら れると、最初の性関係のときから予防行動がとれるということになります。最初に予防 行動がとれているとその後の予防率も高いということが多くの調査結果で示されていま す。コンドームの必要性だけのメッセージではなく、未経験の子供に対する「初交年齢 の遅延」も念頭に置き、既に性経験を持っている子どもも含めて「性関係開始の遅延」 という言葉を含めていただきたいと考えます。そうして初交年齢だけでなく交際開始か ら性関係にいたるまでの時間を長くすることができれば、最終的には相手の数も減少 し、感染の確率は減ると考えられます。 ○木村座長  できるだけこの報告書の文章をきょう固めたいと思っているのですが、良い表現はあ りませんか。 ○関山課長  もしよろしければ、それは座長と私どもで整理させていただいて、今のは「初交年齢 の遅延」ということをどこかに入れるということでよろしいでしょうか。 ○木村座長  よろしいでしょうか。 ○関山課長  ただし、今、問題になっておりました「徒らな性行動を抑制する」という文言につい ては、「無防備な性行動を抑制する」ということで整理させていただきたいと思いま す。 ○藤井委員  ただ今、混乱を招いているのは、ここの「社会教育においては」という言葉のとらえ 方です。つまり、私が想定していたのは、年齢が中学生、高校生のレベルの話をしてお りましたから、「徒らな性行動」というより、未熟なとか、むしろそういったイメージ で話をしております。さっきのコミュニケーションの話もそうですし、先ほど言われた ように、学校教育と社会教育を別にするという理由のひとつは年齢的なものだと思うん です。そういうことであれば、年齢を考えた書き方をしていかないと、ちょっと違うん じゃないかと思います。「徒らな性行動」という言葉に関しても、若い人の中でも、と いっても、20代の22〜23歳に言うのと、12〜13歳に言うのではニュアンスが違うと思い ますので、そこをわかりやすく整理して直していただいた方が有難いと思います。 ○玉城委員  先ほど藤井委員が言われた「性交渉は……」というところですが、私もちょっと気に かかっていまして、この文章、「性交渉は……踏まえ」というところを削っていただい て、例えば、能力の前にコミュニケーションを追加するだけで十分に伝わるんじゃない かと思ったんですが、いかがでしょうか。 ○木村座長  どういう文章になりますか。 ○玉城委員  「性交渉は……踏まえ」は削って、「豊かな人間関係を構築できるコミュニケーショ ン能力の向上を図っていくことが大切である」としていただいた方が迷わないんじゃな いかと思ったんですけど。 ○木村座長  では、この点も事務局と検討させていただきます。 ○市川委員  先ほど年齢のことがちょっと出ていましたが、この文章がどこに向かっているのかが 少しわからないのと、もう一点、全体の流れの中で、異性間の感染の動向を見ると、中 高年層の男性の感染の状況があるわけです。ここに対してはこの全体の中でどうも見え て来ないんですね。あまりそれを言うと、今、同性間で感染が増加している状況があ る。そこへかなり力を入れないといけないのが、異性間までいうと、そちらがぼやけて しまうことがあったりする。そんなことをいろいろ考えながら、どういうふうに発言し ようかと思ったんですが、実際には異性間の男性の人たちの感染者の発生動向では、そ の人たち(中高年層)の数は多いわけですし、エイズの発生も多いわけです。そこに対 する対策の取り組みがここでは見えて来ないんですね。  一方で、若者を対象にしたところでは、こういう社会的な取り組みが強調されていく 必要があるかとは思うんですが、どうも全般的にそっちの方に話が流れていって、どう かなあというところがちょっと気になるところなんですけども。 ○木村座長  具体的に、どこに、こういう文章を入れたらどうか、というような案として出してい ただけますか。 ○市川委員  考えます。 ○関山課長  非常に盛り沢山な施策を取り込んでいただくのはいいんですが、私どもとしては、こ この狙いとしては重点的に、そして計画的に5年間やる。総花的にやりますと、前回の 5年になる。したがいまして、非常にリスク行動が高い集団というのが20代、30代の同 性愛の方々、そして、青少年ということで、決して、中高年対策もないがしろにできな いわけでありますが、そういった対応というのは、青少年対策の中で既に木原委員がP TAの方々に対する普及啓発をやっておられますので、PTAのルートを通じながら中 高年対策をやったりとか、そういう手法もあるのではないか。ということで、ここには 詳しく書いておりませんでしたが、青少年エイズ対策事業、そういったものを包括され た事業であるということをお読みいただければと思っております。 ○木村座長  ほかの点につきまして、第II章で。 ○長谷川氏  何点か気がついたことがあったんですが、瑣末な文言の問題ですが、いわゆる個別施 策に関して「対象となる層をある程度特定し」とあるんですが、これは、ある程度とい うあいまいさが今まで効果を生まなかったんじゃないか。逆に、明確に、とすることは 不可能なんでしょうか。7ページのA)普及啓発及び教育の具体的推進策の最初のパラ グラフの(2)個別施策層等、対象となる層をある程度特定し」とあって、7ページの下 から2行目でも「対象となる層をある程度特定し」とありますが、これを「ある程度」 ではなく「明確に」とされた方がより効果的なのではないかということです。 ○関山課長  「ある程度」というのを削除いたします。技術的には非常に難しい。 ○長谷川氏  そうですね、もちろん。ただ、指針としては目標を明確にすべきだと思います。  あと一つですが、A)最初のパラグラフの2段目「後者については、特に、対象とな る年齢層、性別構成の実態、成長段階又は行動段階等」という性別というところは一般 的に生物学的円性というふうに解釈されてしまいます。そこのところで「ジェンダー及 びセクシャリティ」と特定する文言が必要なのではないかと私は考えます。 ○木村座長  なかなか難しいところまで入ってきましたが。 ○関山課長  そこは非常に難しいお話なので「対象となる層の成長段階又は発達段階等の対象の実 情に」ということで、問題は成長段階とか行動段階ということになると思いますので、 この「年齢層、性別構成の実態」というところを削除させていただいた方がよろしいの ではないかと思いますが、それでよろしければ。 ○長谷川氏  私は今の段階でちょっと判断つきませんけれども、できればほかの方のご意見をお伺 いしたいです。 ○木村座長  ここはちょっと長谷川委員に考えていただいて。ほかにご意見ございますか。 ○前田委員  簡単なことですが、今さらこういうことを言って申し訳ないんですが、5ページの (2)国と地方公共団体の役割分担の明確化、のところで、今回の見直しではおそらく 都道府県が中心的な役割を担っていくことになると思うんですが、実際、エイズの感染 者の方々の大半がいらっしゃる地域というのは、都道府県と市町村ではなくて、いわゆ る政令市、指定都市という形のところだと思います。そうしますと、例えば、医療法の 基づく医療計画なり、感染症法に基づく感染症計画の作成の権限は都道府県にあるんで すけれども、実際、この文言ですと。 ○関山課長  これは後段を読んでいただくと、そこは書き分けておりますので、ご留意いただけれ ばと思います。書き分けています。 ○大平委員  医療の提供の具体的な推進策、のところで、一つは、偏見・差別の問題というのは、 最後の(7)人権の尊重 に出てきていますが、医療でも偏見とか医療差別というもの が起きないようにという、それに対する対応には触れられていないということが一点で す。  それから、慢性感染症として、先ほどの議論に戻りますが、そういう病気になってい くとしたら、感染者・患者の一生のサイクルとして、将来、老人になったときにもきち っと療養できるように、また老人ホームなどで問題が起きないような対応がとれるのか どうか、というところまで今回踏み込むのかどうかということはありますが、医療の提 供の中に入るのか、感染者の社会生活の支援のところに入るのか、どういう位置付けに なるか、わかりませんが、安心して感染者として生活が送れるというところが方向性と して出ていてもいいのではないかと感じたのですが、どこに盛り込むか、ここには適切 なところがないんですけど。 ○関山課長  今のご発言は、旧来の指針の中でそのような文言がうたわれておりまして、そこは今 回いじっておりませんので、そこで整理させていただければと思っております。  指針の第三の三「患者等の療養期間の長期化に伴い、障害を持ちながら生活する社者 が多くなったことにかんがみ、保健医療サービスと障害者施策等の福祉サービスとの連 携を強化することが重要である」といったことがございます。 ○木村座長  それでは、IIIの「施策の評価等」と「おわりに」について、事務局からご説明いた だきます。 ○長谷川氏  すみません、その前に今の大平さんの発言に関連して、ちょっとよろしいでしょう か。医療の提供に関しては、予防指針に今回変更がないというお答えなんですけれど も。 ○関山課長  高齢者の関係では、です。 ○長谷川氏  そこについて、この前、私からもご提案させていただいたと思うんですけども、な ぜ、この予防指針に医療が入っているかということがここで明言されることによって、 今の話はつながって来るんじゃないかなあと思うんですけれども。 ○関山課長  前回、長谷川委員がおっしゃったのは、予防と医療を両輪に、という話で、これは既 に現行の指針で入っておりますので、そこは前提だとして、今回議論していただいてい る。 ○長谷川氏  前提としてとらえていると。わかりました。結構です。 ○関山課長  先ほどの大平委員のお話は既に現行の指針に入っている。 ○長谷川氏  要するに、両方とも入っているということですね、ありがとうございます。 ○山本委員  IIIの施策の評価に行く前に、11ページの(5)研究開発の推進 というところの、 前回、5年前の指針では、研究の充実ということで、「良質かつ適切な医療サービスの 提供を充実していくために、研究結果が感染の拡大の抑制やより良質かつ適切な医療に つながるような研究を行っていくべきである」という積極的な文章だったんですが、今 回の最初のパラグラフを見ても、一定の成果が得られている一方、研究の目標や成果が 必ずしも明確とはいえないものがあるなど」と、むしろ否定するようなかっこうで、こ れこれの研究が必要だと、例えば、薬剤耐性の問題もありますし、もちろん、ワクチン の話も、根治療法の話もないようですね。ということは入れなくていいんでしょうか、 ということです。 ○関山課長  研究開発の内容については、今回、方向性だけ示させていただいて、個別具体的な話 は評価委員会等でやっていただこうと。そしてまた、これは山本委員に研究班長になっ ていただいている研究企画なり、あるいは、今回、研究開発についてはもう少し抜本的 に整理する必要があるんじゃないかというご意見もございましたので、別途、場を変え て、研究については整理させていただく必要があるんじゃないかということで、大枠だ け整理させていただいたということでございます。 ○木村座長  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、IIIと、おわりに、について事務局からお願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  説明いたします。III 施策の評価等 13ページをごらんください。 (1)施策の評価 では、まず、国がやるべきことと、都道府県がやるべきこと、を整 理しております。いただきましたご意見で、厚生労働科学研究等により、国や地方公共 団体が実施する主要な施策の実施状況等をモニタリングということ、を入れておりま す。  14ページの「おわりに」の最後で「国及び地方公共団体においては、診療報酬の活用 を含め、所要の経費の確保に努めることを要望するものである」としております。  以上です。 ○木村座長  ありがとうございました。13、14ページについて、新たなご意見ございますでしょう か。ここはあまりないようですが。 ○島宮委員  国と地方公共団体の役割が明確化されたということでいいと思うんですが、地方公共 団体について書かれている部分で、最後の語尾が「望ましい」でとめていていいわけで すね。国の方は「べきである」「必要である」というとめ方なんですが、地方公共団体 については「望ましい」という表現でよろしいか、ということです。 ○木村座長  だいぶ遠慮して書かれているようですが。 ○関山課長  どこまで地方公共団体に対して強く言うかということになるかと思いますが、国と地 方公共団体はパートナーショップで同等だということで整理されてきておりますので、 望ましいとしました、これはご判断いただければと思います。 ○玉城委員  施策の評価の最後の方で、定量的な指標の例が挙げられていますが、定性的な指標と いうのは、みんなが合意したものが何かあるんでしょうか。定量だけあって、定性が抜 けているんじゃないかと思ったので。もしいいのがあれば、追加した方がよろしいかと 思います。 ○関山課長  私どもとしては、定量的な主立った指標を追加していただくのが非常に望ましいの で、定性的なのは、大体思いつくものは若干あるんですが、私どもとしての要望は、定 量的に設定できる指標、かつまたそれが自治体が自ら調査できるようなものであるとい うことが望ましいのではないかと思っています。そういったものが、もしご意見ござい ましたらば、いただければと思います。 ○木村座長  定性的なものについては、大体想像がつくだろうということで特に書かなかったとい うことですね。  あと、先ほどの「望ましい」というところは、どうしますか。行政的には、この表現 があっていると。 ○前田委員  ほかのところは「必要である」とされていますので、あえて自治体側の部分だけ「望 ましい」とされることはないと思います。 ○関山課長  前田委員にそうおっしゃっていただければ。では「評価することが必要である」と。 ○木原(雅)委員  定量的な指標の例として、「HIV・エイズに係る正しい知識の理解度」とあります が、正しい知識の理解度だけで見ると、たとえば、高校生などではHIV・エイズに関 する基礎的な知識は8割以上が知っていて、もう普及している、という結果になってし まいますが、実際に彼らに不足しているのは、リスクが自分のこととしてどれぐらい近 くに感じられているかという「自分のリスク認知」ですので、その指標を加えることも 必要ではないかと思います。 ○関山課長  私どもにボールを投げられても、どうぞよろしくお願いします。 ○玉城委員  木原先生、それも正しい知識の中に入るんじゃないかと思ったんだけど。 ○木原(正)委員  あまり大きな問題じゃないんですが、「感染者・患者の数が全国水準より高い地域等 に対しては」という表現になっていますけれども、数字は低くても、今増加し始めた、 という地域もあると思うんですね。例えば、中国、四国とかの諸県では増え始めていま すので、ですから、数が高いだけではなくて、「患者の数が高いか、もしくは増加をし ている地域」というふうにはできないでしょうか。 ○関山課長  「等」はまさにそういった意味も含んでおりますので、それを明確にということであ れば、著しく増加している地域ということで。そのときにどういうふうにラインを引く かが難しかったので「等」にしておいたのですが、著しく増加している、ということ で。 ○木村座長  はい、お願いします。それでちょっと戻って、5ページの、先ほど議論になって宿題 にした「不治の特別な病」から「不死の一般的な病」というあたりは、今、事務局案が 出ますでしょうか。 ○関山課長  「自己管理可能な」とか、そういうのはどうでしょうか。管理可能というと強いとす るならば、自己管理可能な、と。ちょっと難しいですか。じゃあ、コントロール可能 な、の方がよろしいんですね。 ○白井委員  管理、と日本語でいってしまうと、人の管理という意味合いも入って、今までの結核 に対しての患者管理という印象が強いような感じがあって。片カナでコントロールとす ると、対策とか、そういうような感じにはなるのかなと思うんですが、受け止め方がそ の表現でいいのかどうか、難しいと思います。 ○木原(正)委員  糖尿病はどう言われているんですか。 ○木村座長  糖尿病はコントロールですね。 ○白井委員  疾患のコントロールという意図であれば。 ○関山課長  では、コントロールということで整理させていただいてよろしいですね。 ○木村座長  申し訳ありません、予定よりだいぶ時間を取りましたけれども、さらにどうしても、 というご意見があれば、2日以内ぐらいに事務局にお寄せいただくこととして、あと、 細かい表現等につきましては、事務局と座長にお任せいただきたいと思いますが、よろ しいでしょうか。 ○市川委員  最後の施策の評価のところで、お尋ねしたいんですが、2段目で「さらに、厚生労働 科学研究等により、……、エイズ・性感染症ワーキンググループ等の場において、定期 的に報告していく必要がある」となっていますが、これはある意味、施策を評価してい く場としてこのワーキンググループがあるというふうに考えてよろしいんですか。そも そも、このエイズ・性感染症ワーキンググループでは、今後、エイズ及び性感染症に対 して施策的な方向性とか、そういったことを十分議論して、その方向性を決めていくと いう役割がここにあると考えてよろしいんですか。 ○関山課長  エイズ対策について議論する場としてワーキンググループがあるというふうにご理解 いただければ。ただ、その前提となりますのが、定期的な情報提供をして、それを評価 していただく場にもこれを活用していってはどうか、ということでございます。 ○市川委員  この文章だと、地方公共団体等に対しての支援内容とか、方向性とか、そういったこ とは誰が決めていくのか、国においては、と書いてあるんですけど、今のエイズ調査係 でそういった方向性を決めて、自治体に取り組むべき方向性を示すということでしょう か。 ○関山課長  事務的には、都道府県の実情を年度ごとに調査して、それをエイズ・性感染症ワーキ ンググループに報告し、そこで先ほど出てきた、全国水準より高い地域とか、著しい増 加の見える地域については、このワーキンググループからご助言いただいて、とりわけ ご助言があった場合はそれを都道府県にお伝えするという役割になっております。評価 があって、ご助言が必要だということであるならばですね、そういうお話になると思い ます。 ○木村座長  それでは、今度はいわゆる「指針」に移りたいと思います。あと30〜40分しかござい ませんが、時間の許す範囲でご意見をいただきたいと思います。  まず、事務局から簡単に説明をいただいた方がよろしいですね。お願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  ご説明いたします。時間がございませんので、基本的な考え方と、読み方等に限って ご説明したいと思います。  指針の見直しにつきしては、報告書が固まっていけば、枝葉の部分をそぎ落として、 文言として落とし込むというような作業である程度できてくるものと理解していただけ ればいいと思います。  告示という公的な文書である性格上、用語の使用方法などに一定の法則がございます ので、報告書で使っていた用語が修正されて載っているという部分もございます。  そして、現在の実情に合っていない部分は削除しております。また、それ以外変わり ないという部分については基本的に残すようにしておりますが、一部場所を移したり、 内容が似通っている部分は合併させたりしています。例を申し上げますと、7ページ  第三の一 医療提供体制の確保の7 外国人に対する医療への対応、ここは傍線があり ますが、…。すみません、資料(7)−4 新旧対照表をごらんいただきますと、上段に は現行の指針、下段には改正案を記載しております。上段の現行指針については、現行 の書きぶりを修正した場合に傍線を付しております。その修正案については下段を御覧 いただければいいんですけれども、それがない場合には、周辺をごらんいただくと、そ の部分がどこかに合わさって書いてある、というようなことになっております。あと、 上段に傍線がついていない部分で、下段に記載があるものは新たに挿入した文言とご理 解いただければと思います。  そして、本検討会での指針の見直しの命題はあくまで今後予定されております厚生労 働科学審議会疾病対策部会エイズ・性感染症ワーキンググループにおいての議論のたた き台を作成していただくということでございますので、限られた時間ではございます が、たたき台として不適切なところがございましたらご意見いただければと考えており ます。よろしくお願いいたします。 ○木村座長  ありがとうございました。これもかなりページ数がありますが、今、時間をかけてご 議論いただいた報告書の中身を盛り込んで修正していただいているという形になってい るはずでございます。  それで、さっきちょっと説明のあった7ページの上段の7が下にはないというのは、 これは削除されたのですか? ○事務局(川口課長補佐)  いえ、それは、外国人に対する医療も個別施策層に対する医療の範疇であろうという ことで、7ページの最後の行の三の個別施策層に対する施策の実施 の中に入れており ます。こういう形での整理は逐次させていただいているところでございます。 ○木村座長  はい、わかりました。時間はかかりそうですが、順次やることになりますかね。ま ず、まえがきの部分、傍線の部分を中心に見ていただければよろしいかと思いますが。  またお気付きの点があったら戻ることにして、次が第一章の原因の究明、第二章の発 生の予防及びまん延の防止、この第二章が、10ページの第七章 普及啓発及び教育 と いう項目がありますが、これと関連しているので、この3つを併せてご議論いただきた いと思います。原因の究明、第一章ではいかがでしょうか。 ○木原(正)委員  報告書と指針を比較しながら発言したいんですが、報告書の8ページ、普及啓発及び 教育の具体的推進策の3つ目のパラグラフの最後の部分で、「学校医等の専門家の支援 も得ながら、保健所等と学校・PTA等が役割分担しつつ」という表現があって、こう いう表現が指針にあるのかなと思って探しているんですが、みつかりません。新旧対照 表の10ページから11ページにまたがるところのどこかに出てきていいのかなと思いま す。特に、11ページの頭で、地方の実情に応じた効果的な普及啓発事業活動の定着を図 る、という表現がありますので、そのあたりに役割分担という言葉は入らないでしょう か。おそらく、このあたりが一番適当な場所ではないかと思いますが。 ○木村座長  国と自治体の役割分担はいろんな分野でそれぞれ出てくると思われます。 ○木原(正)委員  国と自治体の役割分担は頭に書かれていますが、地域の中での役割分担ということ が、落ちているような気がしますので。 ○木村座長  具体的にどのあたり、ということを言っていただけるとわかりいいかと思いますが。 ○木原(正)委員  そこまで分析していませんが、例えば、新旧対照表の11ページの「教育委員会、医療 関係者、企業、NPO等との役割分担を明確にした連携を促進するために、それを可能 とする職員等の育成についても取り組む」といった形の表現はいかがでしょうか。 ○木村座長  事務局はいかがでしょうか。こういった団体の役割分担を明確にして、かつその上で 連携を図る。そういう表現があると良いとのご意見です。  ほかにはいかがでしょうか。第一章 原因の究明、第二章 発生の予防及びまん延の 防止、そして、今、ご指摘のあった、第七章 普及啓発及び教育。  それでは、第三章 医療の提供 対照表の5ページからになりますが、ここについて はいかがでしょうか。最初の部分が中核拠点病院を創設する、ということから始まって いますが。こういうことが盛り込まれていないのではないか、という点がございました ら。 ○大平委員  6ページの2で「国は、外来診療におけるチーム医療、ケアの在り方についての指針 等を作成し」とありますが、これは、外来診療に特化した問題としてなんでしょうか。 ○関山課長  そうです、ここについては。 ○木村座長  特に外来の診療が偏っていて問題があるからということですね。 ○関山課長  今までは入院医療に中心をおいて拠点病院等でおやりになってきたわけであります が、今後は外来診療が重要であるということで、そういったときの医療のみならず、ケ アも考慮しながら、チーム医療の展開が必要である、というご意見があり、それを報告 書に取りまとめさせていただきましたので、今までの指針にないところを補っておりま す。 ○木村座長  チーム医療という言葉が新しく入ってきました。 ○前田委員  瑣末ですが、今のところの後の、歯科について歯科医師会が入っていて、医科の外来 診療の方には医師会が入っていないという気がしますが、指針ですと、きょうは医師会 から出席していらっしゃいませんけれども、ご意見があるところじゃないかと思います が。 ○関山課長  ここは、一固有の団体名を出すのはどうかということであれば、整理させていただき ますが、趣旨は、歯科医療の確保を今後きちっと進めなければいけないということで、 進めるに当たって主軸となるのはこういった団体であろうということで書かせていただ いています。取り扱いについては、座長と相談させていただきます。 ○木村座長  例えば、地域の歯科診療施設の協力を得ながら、みたいなことでよろしいでしょう か。 ○前田委員  一般診療所の協力、というのでは少し難しいかなと思いますので、先日、座長からも 医師会との連携のお話がありましたが、医師会との連携は重要だと思いますので、片方 だけというのはやめた方がいいということで、外来診療の連携についても当然医師会の 協力という形になると思いますので。 ○大平委員  ここは、歯科診療について特段抜き出してあるわけですね。この間、歯科について は、10年変わらないような、歯科診療の中での偏見といったら言い過ぎかもしれません が、そういうのがあって、患者を受け入れないという体制があるということ。それをこ こではきちっと書いておいていただきたいなということで、それと、一般の外来の問題 については医師会の連携を見直すということですが、特に歯科の問題については、患者 が日常生活を送っていく中で一般歯科医の理解のもとに歯科診療をスムーズにやってい ただく、そういうことがなかなか出来ていないというところを、今回の指針の中ではそ こを改善していくということでぜひ、これは入れておいていただきたいと思います。 ○関山課長  整理の仕方としては、ある団体が入っていて、ある団体が入っていないという、これ ももっともなご意見であります。告示に書きますならば、先ほどお話あったように、こ このところは、歯科医師会は削らせていただいて、ただし、施行通知等では団体名を入 れさせていただいて、通知のレベルで整理させていただくということで対応させていた だいてはと思います。歯科診療の重要性は十分ご議論いただいたものでありますから、 そういう形にさせていただければ。 ○木村座長  指針では今の「都道府県等歯科医師会の協力を得ながら」を除いて、文章を続けてい く形にさせて頂きます。  ほかに、医療の提供のところで。 ○長谷川氏  5ページ、第二の六 保健医療相談体制の充実 というところで、「患者等やNGO 」が「NPO等」となったことの意味をお聞かせいただきたいと思います。 ○関山課長  1ページをごらんになっていただきますと、現行の○の最後のところで「NGO」に 傍線を引いていますが、以前は、医療関係者、患者団体を含むということで、非政府組 織で(NGO)としておりましたが、NPOの躍進もございますので、それも含めて今 回は整理させていただいて、患者団体を含むということでありますので、併せて、その 地域のNPOとの連携ということで、変えさせていただいたところです。前文のところ で「NPO等」と整理させていただいた関連でございます。 ○木村座長  患者団体を含む非営利組織又は非政府組織(以下「NPO等」という)ということで すね。 ○関山課長  ここの「患者等」というのが、個々の患者さんを指すのだということですと、また整 理が違ってくるわけですが、私どもとしては、先ほど申し上げたようなことで整理させ ていただいています。 ○池上委員  今の関連ですが、NGOがNPOに変わるわけですが、私の理解では、NGOの中に NPOは含まれるけど、NPOの中にNGOが含まれるとは限らない、というわけで、 統括、まとめる言葉としては、NGOにしていただかないと、NPOでないNGOが弾 かれるということになるので、この括弧内はNGOでお願いします。 ○関山課長  NGOがよろしいですか。わかりました。 ○大平委員  保健医療相談体制の充実というところで、少数の患者への対応というのもあると思い ますので、ここは「患者等」は残していただいた方がいいと思います。 ○木村座長  NGOでない個々の患者さんも指すということであれば、入れることで。 ○関山課長  はい。 ○大平委員  ありがとうございます。 ○大平委員  もう一点ですが、医療機関の確保 のところで、現行には「拠点病院の機能を強化し 」というところがありますが、今回は「強化」といった言葉が、医療の提供の中には入 って来ないんですが、この病気のことを考えますと、拠点病院を向上させていくという ことが大切ですけれども、医療に即した臨床研究みたいなことをやっていく場合には機 能の強化といった言葉を残しておいてもいいのではないかと考えるんですけど。 ○木村座長  具体的にはどの部分を残した方がいいか、ご指摘いただけますか。 ○大平委員  具体的には、5ページの終わりの部分で、「中核的医療機関であるACC、地方ブロ ック拠点病院、そして今度できる中核拠点病院が、それぞれ支援を受ける、というよう に書いてありますが、それぞれの機能が強化されないと支援もできないのではないかと 思いますので。 ○関山課長  同じ5ページの第三の一の1「国及び都道府県は、患者等に対する医療及び施策が更 に充実するよう」ということで書いておりますので、さらに充実するようにするという ことで、今回、総合的な医療提供体制の構築を重点的かつ計画的に進めることが必要で ある、といっておりますから、同じ趣旨で書いたつもりであったのですが。 ○大平委員  ここのところは、中核拠点病院を創設し、というところに係るだけで、ほかのACC とか、ブロック拠点病院とか、拠点病院の機能の強化には係ってないというところがあ るので、そこはうまく掛けていただければ、それはそれでいいと思いますけど。 ○木村座長  機能の強化という言葉を入れる。  では次に、8ページ、第四の研究開発の推進 この部分についてはいかがでしょう。  あまり長くないので、第五 国際的な連携、第六 人権の尊重、についてもご意見を いただきたいと思います。  特にないようであれば、第七 普及啓発及び教育 は先ほどやりましたので、最後の 第八 施策の評価及び関係機関との新たな連携 このタイトルも少し変更されています が。 ○木原(正)委員  前の研究開発の推進のところで、聞き漏らしかもしれませんが、第四の研究開発の推 進の一 研究の充実で、「国及び都道府県等においては、…… 研究を行っていくべき である」とありますが、これは都道府県も研究を行うべきだという趣旨で書いてあると 思ってよろしいでしょうか。 ○関山課長  はい。 ○木村座長  施策を研究するとか、そういうことになりますか、自治体の場合は。  第八章の施策の評価及び関係機関との新たな連携 の部分はほとんど傍線が引いてあ りまして、変わっておりますが、いかがでしょうか。 ○前田委員  改正前のものには、保健所の役割の強化ということがあったんですが、そして、指針 の中にもいつか保健所の役割として示されたものがあるかと思うんですが、新しいもの の中では3第八 施策の評価及び関係機関との新たな連携 の中にはい保健所の文言が 全くなくて、これですと、保健所は中核から外れたというイメージになってしまうのか なと思っておりまして、項目として立てるということはなくても、文言の中に盛り込ん でいただければなと考えています。 ○関山課長  今の話は、第二の発生予防及びまん延の防止の一 基本的な考え方及び取組 で「保 健所の役割・機能強化を含め、重点的かつ計画的に進めていくことが重要である」とし て、保健所についても、従来同様、ここで整理をさせていただいております。趣旨は同 じでありますので。前回のものは、唐突に保健所だけが第八のところで出てきています ので、保健所の機能ということについては、感染予防対策を推進する上で、ということ でありますから、この事項で整理させていただいた方がわかりやすいということです。 ○木村座長  場所を変えたということですね。 ○関山課長  ええ、場所を変えただけです。 ○前田委員  特に保健所として一つ項目を立てていただく必要はないんですが、一般論として、保 健所の機能として、関係機関との連携、あるいは交流型機能というのは広く位置付けら れているものですし、市町村との連携は現状で果たす役割は大きいと思いますので、こ の連携の中に加えていただければと思います。 ○関山課長  そういった趣旨だと思いますし、また通知等で手当てしていきたいと思います。 ○長谷川氏  今の保健所のこともそうなんですけど、先ほどさっと過ぎてしまったんですが、外国 人に対する医療への対応ということが、内容的にはほかの部分と一緒になってうたって あるんですね。しかし、ここで項目として立つことと、中に入れられることでは、その 意味がちょっと違ってくるんじゃないかと思うんですね。受け止められ方が、例えば、 外国人の問題も個別政策層の中に入ってしまうことで、ある意味では強調されなくな る。保健所の機能も同じだと思うんですね。内容で中に入ったとしても、インクルーズ した方がわかりやすいものであっても、強調すべきであれば、外に項目として立ててお いた方がよろしいんじゃないでしょうか。 ○関山課長  保健所については、幅広にさまざま出てまいりますので、発生の予防及びまん延の防 止というところで従来は、保健所という名称がきちっと出て来なかったということで、 ここに書いた方が保健所としての位置付けはさらに明確化されてくるのではないか。従 来ですと、分離されておりましたので、関係性が明確ではなかったということになりま す。  それから、外国人の方々への対応ということについては、私どもとしてはかたまって 整理した方が読み手にとってもわかりやすいし、関係が整理しやすいということなんで すが、おっしゃるように一項立つことによってその旗が立つようなことで、そういった 強弱については、まさに今回の報告書の中で強弱をつけさせていただいて、何を重点化 するかということの中で整理させていただいていますので、告示で書く分においては、 個別施策層の中で、同じグループであるならば、整理させていただければ有難いと思い ます。どうしてもということであれば、個別施策層の中で十分整理するということはあ りますが。 ○木村座長  それぞれの表現方法にメリット、デメリットあるようでございますが、現状でいかが でしょう。 ○長谷川氏  おそらくこの指針の中で項目というのは非常に目立つと思うんですね。その中で、こ の指針を外国人に対する治療の提供が後退したという解釈は受けてしまうんじゃないか と私は感じたんですが。 ○関山課長  そこは先ほど申し上げたように、報告書の中でここ5年間、推進しなければいけない ということで、医療提供の具体的推進策の中に外国人への対応ということで書かせてい ただいていますので、そこは後退はしていないで、さらにきちっと明確化したというふ うに考えております。 ○木村座長  項目を残した方がいいというご意見が多ければ。 ○木原(正)委員  表現の詳細はお任せしますが、私のご提案としては、保健所のことを書くということ に仮にいたしますと、11ページの「また、都道府県等は、」で始まる文章があって、 「(1)普及啓発 (2)検査・相談体制 (3)医療提供体制」、となっていますが、「の確 保等に関し“保健所を戦略的に位置付けつつ”地域の実情に応じて」ということで、1 フレーズ入れることで保健所を形を示すというのはいかがでしょうか。提案です。 ○木村座長  そうすると、(1)、(2)、(3)、全部に保健所だけが位置付けられる。 ○白井委員  保健所の立場ではあるんですが、今、全国の自治体で保健所の名前が消えてきてしま って、それは別の問題もあるんですけども、私なんかは、保健所の仕事をしながら保健 センターに近いところにおるんです。それで、このような文章がどこへ行くかという と、地方自治体の職員、事務系の方が見られるとすると、地方公共団体と書いてあった 方がいいかなというふうに、保健所が実際、政策として予算を獲得する場にないところ もありますので、機能としてはもちろん保健所の機能は大事なんですけれども、役割の 強化というところではこれでもいいのかなと思って、ちょっと複雑な思いもあるんです が。 ○関山課長  基本的な考え方の中にきちっと明示しておいた方が予算要求上で地方自治体の総務部 等でわかりやすいと思うんです。位置付けがあいまいですから、現行の文言では。した がって、こういうふうに明記させていただいて、項目が残っているといいというお考え もありますが、機能としての位置付けをどうするか、というところを明確にすべきじゃ ないかと思います。 ○前田委員  すみません、むしろ、機能の明確化という意味では、新しい方では、検査・相談・普 及啓発に機能がおかれているということで、私は項目として上げることにはこだわらな いんですが、連携の調整機能というところに保健所の機能があるということは、指針の 中で明確化していただきたいところで、できれば、先ほど、木原委員がいわれたよう な、文言の詳細についてはこだわりませんが、ここに保健所というフレーズを入れてい ただければと思います。 ○白井委員  最初の検査・相談のところに連携も、当たり前に行っていますけれども、最初の方に 調整機能も入れていただいて。 ○市川委員  保健所について、白井先生に教えてほしいんですけども、今、いろんな自治体で保健 所の体制が変わりつつありますね。そもそも保健所といわれて、自分のところでこれを やらなければ、と思うようなことはあるんですかね。例えば、保健と福祉とか、あるい は場所によっては、区役所の中の一部に取り込まれているんですね。区長が長になって いて、実際の保健所の業務というか、機能的な部分を、従来医者だった保健所長がどの 程度までコントロールできるのかというのがよく見ない状態に入ったような気がするん ですけど、そのへんは問題ないんですか。 ○白井委員  予算上は、保健所事業としてエイズ対策を、ということで、区役所の中の予算をエイ ズ対策に使うことは逆にしにくい状態です。ただ、その事業の中で上司が誰かといった ときに、保健所長ではないところでセンターは動いているというところがありますの で、どういっていいか、難しいんですけども、保健所といわれても、福祉保健所とか、 福祉事務所と重なっても福祉のイメージが強いところがありますから、保健所と書かれ て、すべての職員が、自分のところの仕事という思いがあるかというと、ちょっと疑問 はあります。  だんだん技術職がとても少なくなってきておりますので、そういう意味では、保健所 等という話は書いてあるんですけど、その保健所等の中に自治体のセンターであると か、そういうところまで含んだ指針になるのかどうか、そこが読み取れるかどうかによ って、自治体職員のとらえ方が違うと思っております。 ○市川委員  僕はすごく大事なところだと思うんですね。というのは、検査とか相談というのは保 健所の職員の人たちがやる形でなっていて、その人たちが地域と連携をする。それか、 僕らは頭の中でそう思っているんですが、実際的に地域の中で施策をやっていくとき に、保健所に予算とか、施策の方向性とかの部分がだんだん薄れてきていると思うの で、これをあいまいに書いておくと、そこがまたぼけてしまって、地域の姿まで見えな くなってしまう。僕はそのへんのところはぜひ保健所の管轄にいらっしゃる委員の先生 がいますので、そのへんが読み取れるような指針になるように直してもらえないかなと 思うんですけれども。お任せするといって、申し訳ないんですが。 ○木村座長  それでは、時間が来ましので、手短かにお願いします。 ○大平委員  医療の提供の二の人材の育成のところで、前のには、人材の活用というところがあり ましたが、それが育成に変わって、育成の中にも、以前議論された、医療職の方たちの インセンティブというか、やる気が起こるような仕組みをつくったらいいのではない か、ということが提案されたと思うんですが、それが反映されていない。それから、前 の、人材の活用というところについて、特にまだ少ないHIVの医療職の人たちを拠点 病院とかブロック拠点病院とか、中核拠点病院、そういうところにうまく回すようなロ ーテーション、人事異動がうまくいくような仕組みができていると、そこで医療が少し 広がっていくのではないか、と考えられるので、人材の育成のところでは、その前でと まってしまっているので、もう少し幅広の人材の活用とか、インセンティブを持てるよ うな文言を入れていただければいいなあと思います。 ○木村座長  ありがとうございました。それで、先ほども申し上げましたが、一応これで最後のペ ージまで行きましたが、どうしても、というご意見がございましたら、取りまとめの関 係もありますので、2日以内に事務局まで、提案の理由、趣旨もできるだけお書きいた だいて、私ども、あるいは事務局が理解しやすいような形でご意見をお寄せいただきた いと思います。そして、その扱いにつきましては、先ほども申し上げましたが、座長と 事務局にご一任願えればとお願いいたします。よろしいでしょうか。  それでは、今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いします。 ○事務局(川口課長補佐)  資料(7)−5をごらんください。今後のスケジュールについて説明いたします。  本検討会の報告書及びエイズ予防指針見直し案を厚生労働科学審議会感染症部会エイ ズ・性感染症ワーキンググループに提出いたしまして、指針の見直し案について2回に わたりご議論いただく予定です。  その後、厚生労働科学審議会感染症部会に対して諮問、答申の手続きを行い、答申の 結果をもって、エイズ予防指針に関する告示の改正を行う予定です。以上でございま す。 ○木村座長  ありがとうございました。このようなステップを経て、審議会に届くことになりま す。不手際で5、6分延長いたしましたが、最後に事務局からご挨拶があるということ です。課長からよろしくお願いいたします。 ○関山課長  エイズ予防指針の見直しにつきましては、7回にわたる真摯なご議論をいただきまし て大変ありがとうございます。私ども、このエイズ予防指針の見直し案につきまして は、先ほど申し上げたように、審議会等でこれから議論していただくわけでございます が、今回、皆様方によってご議論された内容は、エイズ予防及びまん延防止という基本 的な考え方は変わりはございませんが、これから5年間の戦術的な対応を明らかにして いただいたということで、大変有難く思っております。この対応策では、都道府県を中 心にしながら、また、行政だけではなく、普及啓発についてはNGO等の民間団体の方 とも連携をさせていただきながら、施策の展開の幅を広げていくという仕掛けをつくっ ていただいたわけでございまして、今後とも、これを機に、皆様方のお力を得ながら進 めていきたいと思っております。  長時間にわたりましてのご検討、本当にありがとうございました。 ○木村座長  座長からも、皆様のご協力に対しまして厚くお礼申し上げます。5年後の見直しのと きに、エイズの感染が広がっているようなことがあると、座長、何をやっていたんだ、 ということで、困るなあと心配もありますけれども、大変よいご議論をいただいたの で、きっとこの予防指針が効を奏することと期待いたしております。  どうもありがとうございました。                                     (了)