05/05/26 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成17年5月26日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年5月26日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 岡   慎  一、 守 殿 貞 夫、 神  谷   齊、   川 嵜 敏 祐、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、  ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他 参考人1名   欠席委員(4名) 上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、 後  藤   元、 吉 田 茂 昭 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川  原   章(審査管理課長)、    豊  島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂  本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   国  枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それではまだ守殿先生がお見えでございませんが、定刻になりました ので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙し い中、お集まりいただきましてありがとうございます。当部会委員数16名のうち現在 11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを報告いた します。では池田先生、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 先生方には、お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。 それでは早速第二部会の議事を始めたいと思います。まずいつものように事務局から配 付資料の確認と、資料作成に関与された委員の報告をお願いしたいと思います。よろし くお願いします。 ○事務局 それでは御説明申し上げます。まず資料の確認でございますが、お手元の一 番上に議事次第を置かせていただいております。そこにあります資料1、2、3は既に 先生方にお送りしたものでございます。本日の席上配付資料といたしまして、ただいま の議事次第のほかに座席表と名簿、それから資料3-1、生物学的製剤基準に関する資料 の訂正についてということで誤記の訂正をさせていただくものでございます。また資料 4といたしまして今回の品目の取扱いの案でございます。それから資料5といたしまし て専門委員のリストを配付させていただいております。  関与委員でございますけれども、本日の議題に関しましては関与された先生はいらっ しゃいません。それから本日議題2における参考人といたしまして、国立感染症研究所 感染症情報センター第三室長の多屋馨子先生にお越しいただいておりますので、御紹介 申し上げます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。多屋先生よろしくお願いいたします。本日は 審議事項が3題ですけれども、実際には二つの議題でございます。まず最初に議題1か ら始めたいと思います。総合機構の方から審査の概要を説明いただきたいと思います。 ○機構 議題1、資料1、マイロターグ注射用5mgの輸入承認の可否等について総合機 構の方から御説明させていただきます。本剤の有効成分であるゲムツズマブオゾガマイ シンはヒト化抗CD33モノクローナル抗体にカリケアマイシン誘導体を化学結合させ たものであり、急性骨髄性白血病細胞のようなCD33抗原陽性細胞に対して効果を示す 抗悪性腫瘍薬としてのコンセプトで開発された医薬品であります。  本剤は平成10年11月に希少疾病用医薬品として指定されており、優先的に審査が行 われました。急性骨髄性白血病は年間4,000人程度が罹患し、初発に対する治療は標準 的な治療が行われるものの、再発や難治性の患者に対する治療については現在検討段階 であります。再発や難治性の患者に対しては通常シタラビン大量療法等の強力な化学療 法が実施されますが、高齢者や二回目の再発患者等に対しましては治療の選択肢が限ら れており、また有効な薬剤がない状況でございます。本剤はCD33のモノクローナル抗 体製剤でありますが、CD33が約90%の急性骨髄性白血病の骨髄芽球の表面抗原として 発現しておりますので、本剤はまず白血病細胞の表面抗原に結合し、その後細胞内に取 り込まれてリソソーム内で分解され、遊離したカリケアマイシン誘導体により細胞毒性 を示していると考えられております。  専門協議では、専門委員といたしましてお手元に配付しております資料5に記載した とおり、金井委員、川西委員、竹内委員、鶴尾委員、比留間委員、森下委員、安原委員、 山口委員の計8名の委員を指名いたしました。  評価資料は規格、安定性、毒性、薬理、吸収、代謝、排泄、臨床試験について提出さ れております。臨床試験については、海外で行われた三つの第II相試験で本剤投与によ る完全寛解率は8〜17%を示しており、また日本人20例の患者に対して本剤を投与した 臨床第II相試験で、本剤投与による完全寛解例は20例中5例、25%でありました。加え まして、国内症例で100日の寛解持続期間が得られた患者も存在し、有効性が認められ ると判断いたしました。専門協議の議論を踏まえまして、本剤の対象とする患者につい ては添付文書で明確にして、効能・効果を再発又は難治性のCD33陽性の急性骨髄性白 血病とすることが適切であると判断いたしました。  安全性につきましては、好中球減少等の骨髄抑制の副作用が約90%以上と高頻度に認 められ、また重篤な副作用としてアナフィラキシー反応等のinfusion reaction、出血、 静脈閉塞性肝疾患、肝機能障害、肺出血や間質性肺炎等の肺障害、感染等が見られてお り、現在得られている国内での情報は極めて限られたものであることから、安全性に関 する情報を市販後に十分確認していく必要があると考えております。したがいまして、 承認条件にございますとおり市販後の全例調査による安全性の確認を設定することにい たしました。  以上のとおり、機構での審査の結果、本剤の再発又は難治性のCD33陽性の急性骨髄 性白血病に対する有用性は認められ、承認して差し支えないと判断いたしました。また 本剤は新有効成分含有医薬品、希少疾病用医薬品であることから再審査期間を10年と し、原体及び製剤は毒薬に該当すると判断しました。更に本剤は生物由来製品に該当す ると判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。CD33に対するモノクローナル抗体でござい ますけれども、このマイロターグ注射用5mgの輸入承認の可否について御説明いただき ました。委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。堀内委員、 どうぞ。 ○堀内部会長代理 幾つかお尋ねしたいと思います。まず最初にこの製剤ですが、これ は仮にフリーのものがあると一般的な正常細胞についても毒性を及ぼす可能性が強くな るわけなのです。これが製剤において大体抗体1分子について4〜6分子ぐらいが結合 すると言われているのだと思いますけれども、まず投与した場合の血中におけるフリー のものが動態にどのように現れるか。先ほどのお話にあったように、結合したものが細 胞内に入ってリソソーム内で分解されてDNAに結合すると。それで細胞を殺す作用を 発現するということだと思います。その辺のところは副作用の現れ方として大事なこと だと思いますので、分かりましたら教えてください。 ○機構 資料概要の540ページを御覧いただきたいと思います。図が三段ございまして、 最終段の方が日本人における抗体とくっ付いていない方の非結合カリケアマイシンの濃 度の時間推移の記載でございます。結合しているものと比較しますと単位が数千倍違っ ておりまして、9mg/m2を投与した11例の患者さんではCmaxが6ng/mL程度という値に なっております。 ○堀内部会長代理 要するに副作用が余り起こらないと考えてよろしいということです か。 ○機構 カリケアマイシン自体による副作用もございますし、このものはCD33抗原を ターゲットとしてはおりますものの、CD33抗原を発現していない細胞に対しても細胞 内に取り込まれて毒性を発現するということが分かっておりまして、非結合体及び結合 しているものについても普通のCD33陰性の細胞にも毒性を示すということになって おります。 ○機構 追加で説明させていただきます。資料概要の264ページの下から4行目を見て いただきますと、製剤の中で総カリケアマイシン誘導体としては実測値で24.6〜34.0μ g/mg(たんぱく質)なのですけれども、純度試験の上から三番目にあります非結合型カリ ケアマイシン誘導体は0.25〜0.62μg/mg(たんぱく質)で、製剤の中に含まれる量はほと んど結合しているものに比べますと100分の1程度ということになります。 ○堀内部会長代理 分かりました。それと関連して調剤する場合に光に対して不安定だ と書いてありますけれども、この光に対して不安定という意味はどういうことですか。 結合しているものが離れやすいということですか。それとも違う機構によるのでしょう か。蛍光灯を消して混合したなどという話になっていますけれども。 ○機構 その点は審査報告書の131ページを御覧ください。本剤の光に対する安定性は どういうものかということを確認しましたところ、まずカリケアマイシン部分のところ でenediyne構造がBergman環化してベンゼン環に置換されて活性がなくなるというカリ ケアマイシン自身の部分での問題があります。それからその下に書いてございますよう に、本剤につきましても光を照射いたしますと非結合型のカリケアマイシン誘導体が増 加いたしますので、抗体とカリケアマイシン部分の切断が起こることもございます。両 方が考えられます。 ○堀内部会長代理 細かくなって恐縮です。点滴をする場合に遮光したバックを使いな さいということが書いてありますけれども、これはチューブは問題ないのですか。名前 は忘れてしまいましたが、前に分解物で疼痛の出るような抗がん剤があって、これはチ ューブまで遮光しておかないとやはり疼痛を防ぐことができなかったというのを我々は やったことがあるのですけれども、どのくらいのスピードでなどというのは…。もし余 り問題がなければいいのですが。 ○新薬審査第一部長 それほどものすごいスピードではないようでして、欧米で実際に 使うときの遮光のマニュアルのようなものを手に入れたのですが、チューブ部分は遮光 しておりません。それで一応実際に使えているということです。ただ本体の部分には遮 光の赤いカバーを掛けて使ってくださいというマニュアルになっています。 ○堀内部会長代理 要するにチューブまで厳密にやる必要はないということですね。 ○新薬審査第一部長 取りあえずそういうことで使えていて、実用的には問題ないとい うことのようです。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。川嵜委員、どうぞ。 ○川嵜委員 この力価との関係で、オゾガマイシンと結合していない抗体だけの機能、 いわゆる抗体がcytotoxicな活性を持つのではないかということもあるわけですけれど も、免疫系の細胞が関与してADCCというような仕組みでそういうことが起こるとい うことが知られています。この場合はそういうふうな機能といいますか効果は余りない のでしょうか。 ○機構 今の御質問は抗体の部分だけで殺細胞作用があるかどうかということだと思い ます。薬理試験の方で抗体とくっ付いたもの、抗体だけのもの、先ほど堀内委員から御 質問があったフリーのものについてそれぞれ殺細胞活性を測定しておりまして、抗体だ けでは全くないというわけではないのですけれども、殺細胞活性は非常に弱いものであ るという結果が得られております。 ○川嵜委員 それはin vivoの試験という意味ですね。 ○機構 in vitroの試験でございます。 ○川嵜委員 in vitroではなかなかそういうアッセイはできないと思うのですが。 ○審査センター長 これはIgG4です。ですから、IgG1はADCC活性が高いので 細胞性の出にくいIgG4に組み換えていると思います。 ○川嵜委員 どうもありがとうございます。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。 ○山口委員 作用機序がこれまでと根本的に違うということでAMLに対して期待され る治療だと思うのですけれども、このニュアンスですとやはり現時点では適応疾患でM DSはやってはいけないということでしょうか。 ○池田部会長 その点はいかがですか。 ○機構 先生がおっしゃることは、多分MDSの患者に対してこの薬をということです ね。MDSに関しては専門協議などでも議論しまして、そのときにはこれを使っていた だきたくない、使うべきではないという判断をしております。実際に海外ではMDSに 対してこの薬の投与を行ったことがあるのですが、かなり毒性が厳しく出まして、死亡 例を含んで非常に短い時間で亡くなられる方もいらっしゃったという事実がございま す。申請内容も白血病に対してでございますので、注意喚起の方に関しましては添付文 書に一応書いてあるという対応を取っております。それについてはやめていただきたい ということを明確にしたつもりです。 ○池田部会長 山口委員、よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。堀内委員、ど うぞ。 ── 守殿委員着席 ── ○堀内部会長代理 この副作用として静脈閉塞性肝疾患(VOD)がかなり問題になるだ ろうと思われますけれども、これについてアメリカの添付文書などを見ますと単剤でも これが起こり得ると。添付文書案の警告の6のところを見ますと化学療法剤と併用した 場合にはこのリスクが高いということが書いてありますけれども、単剤でも起こり得る ので十分に観察をしていなさいということが書いてありますので、もう少しその辺も含 めて強調した方がよろしいのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。 かなり特異的な副作用として起こるのではないでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。我々もこの部分には非常に懸念しておりまして、 先生におっしゃっていただいたようにこの辺の文言に関してはもう少し強調的な対応を 取らせていただきたいと思います。 ○池田部会長 これは今までの米国の臨床試験を通じて、例えばその前に肝機能障害が ひどくあったのかどうかなど、VODを起こした患者さんがどのような特徴を持ってい るかということは余り抽出できていないのですか。 ○機構 米国における情報でございますが、移植前後で比較して、移植があった場合に 多いということは一つのリスクファクターというかデータとしてはあります。 ○池田部会長 それは移植後に再発して、これを使った患者にVODが多かったという 意味ですか。 ○機構 本剤を打った後に移植が入った、あるいは移植されてから再発して本剤を打つ というときにも移植との関係でVODが起きやすいということがあるそうです。 ○池田部会長 そのほかのVODのリスクファクターというのは余り注意されていない ですか。 ○機構 ありません。 ○池田部会長 肺障害あるいは腫瘍崩壊症候群(TLS)がありますけれども、これは末 梢血の白血球数30,000/μLというのが一つ数として出てきているのです。これは恐らく 白血病細胞の数にかなり依存するのではないかと思うのですけれども、この辺りの数と いうのは何が根拠になって出てきたのでしょうか。日本でそういう患者さんがやはり infusion reactionとしてこういうものを起こしたということを重視してこのくらいと いうことでしょうか。 ○機構 30,000という数字に関しましては専門協議で決定されたものでございますが、 審査報告書の116ページに記載がございます。30,000という数字に非常にこだわるとい うことではないのですが、米国の方の記載もあるところでございます。数字として 30,000というのは非常にレベルがあるという位置付けになりますので、果たして30,000 が何かの非常にクリアな数字だという位置付けではございません。 ○池田部会長 堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 先ほどの副作用の件は2003年のASCOを検索してみるとスライ ドが出ていますけれども、そこにかなり具体的なデータが出ております。例えば移植を やらない場合にでも119分の14だとか、それから移植をやった後だと23分の11と半分 近くだとか、かなり具体的に出ておりますし、頻度も高いということですので、その辺 も参考にしながらもう少し具体的にしていただけると有り難いと思います。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。我が国で使用量が非常に少ないわけですから、副 作用という点について海外の例も見ながら何に対して特に注意を払った方がいいかとい うことを事前にお知らせして、それを最小限に食い止めることが恐らく必要だろうとい う御指摘だと思うのですけれども、よろしくお願いしたいと思います。そのほかいかが でしょうか。 ○堀内部会長代理 添付文書の1ページの効能・効果のところで、最初に「再発又は難 治性のCD33陽性の急性骨髄性白血病」とあるのですが、その下に効能・効果に関連す る使用上の注意が書いてありまして、例えば「高齢者(60歳以上の初回再発患者)」など とあります。しかし、小児でもかなり有効であってコントローラーまであるというデー タも出ているようですので、確かに60歳以上の患者の方が多いのかもしれませんけれど も、これは余り限定しないで使えると考えてよろしいのでしょうか。再寛解導入療法の 適応がない場合はということでここに書いてありますけれども、年齢制限などが必要か どうかということです。 ○新薬審査第一部長 一つは小児適応に関して言うと、現状の添付文書の記載は4ペー ジの左下の7に書いてあるのですが、ここでは「小児等に対する安全性は確立していな い(使用経験がない)」としてございます。これはいわゆる日本における臨床試験がなか ったことを反映しているということではありますが、先生が御指摘のように研究として は小児を対象とした使用も行われていることを考えますと、この辺りの記載ぶりは確か に気を付けなければいけない点だと思います。ただ現状は小児に対するレコメンドドー ズを示せる状況ではないということなので、この分の記載はこうせざるを得ないと思い ます。  そして、御指摘がありました1ページのところの効能・効果に関連する使用上の注意 ですが、ここは1の(1)〜(5)の各項目がANDの関係なのかORの関係なのか、にわ かにはちょっと分かりにくいというところはあるかと思います。私どもの整理ではこれ は全部ORということにしてございます。この点をもう少し明確にするためには、例え ば「以下のいずれかの患者を対象とすること」というように記載の手直しはできるかと いうことで、現在既に申請者とはその線で調整をして改める方針になっております。 ○池田部会長 そうするとORということであれば、例えば再発を2回以上繰り返す患 者は年齢は問わないということですね。 ○新薬審査第一部長 そうです。 ○池田部会長 土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 二点ございます。一つは警告の二つ目のところで、「他の化学療法剤との 併用下で本剤を使用した場合の安全性は確立していない。本剤は単剤化学療法として使 用し、臨床試験以外では併用化学療法に使用しないこと」とあります。気持ちは十分分 かるのですけれども、こういう臨床試験以外では併用化学療法は使用しないことなどと いうのは通常よく出てくるのでしょうか。 ○池田部会長 いかがでしょうか。 ○機構 通常はないかと思います。これは米国との整合性うんぬんで作っている部分も ありますので、先生に御指摘いただいている内容をかんがみまして申請者とは調整した いと考えております。 ○土屋委員 もう一点は先ほどの遮光の件なのですけれども、これは9の適用上の注意 のところで通常いろいろな話が書いてあるというのは、位置的に言えばそれでいいので す。しかし、今回のことを言うと割とフラットに書いてあるので、そこのところをもっ と注意しなさいという意味での注意喚起がもう少しはっきりできるような表示という か、場所がどこかにないのかなと。警告に書くわけにもいかないだろうと思いながら、 その辺がどうなのかなと思ったのです。 ○機構 遮光に関してはこの薬にとって重要だというところは共々認識しておりまし て、今用法・用量に関連する使用上の注意に「遮光下で」という表現で入れているとこ ろなのですが、別枠でパンフレットの作成を指示しておりまして、遮光するべきだとい う感じで、どういうふうにやるかという具体的な写真を含めて対応すると考えておりま す。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。ちょっと細かいのですけれども、添付文書 5ページの臨床成績の1.国内で実施されたCD33うんぬんのところで「奏功率(形態学 的寛解以上)」と書いてあります。我々が余り聞きなれない言葉なのですけれども、形態 学的寛解とは何を訳したのですか。 ○機構 これにつきましては聞き慣れないということは確かでございまして、いわゆる 完全寛解(CR)に加えまして血小板の上がりが悪いというのが多少この薬の特徴ととら えております。CRPというのは申請者の方が考えてきている評価の形がトータルでC RとCRPという内容を含めて形態学的という表現で作っていると思います。これにつ きましては一般的な表現が必要だという先生からの御指摘かと思いますので、調整して 明確にこう書かせるというようなことは対応したいと思います。 ○池田部会長 恐らく血液の専門家で形態学的寛解とは何だろうと思うのではないかと 思いますので、よろしくお願いします。そのほかいかがですか。 ○堀内部会長代理 承認条件なのですが、全症例登録で使用成績調査はよろしいのです けれども、日本における治験では大変少ないということも言われているわけなのです。 要するに有効性と安全性については、日本においてまだ十分解明されていないと思いま す。アメリカの承認条件でもこれは有効性と安全性について市販後更に臨床試験をやる ことになっていると思うのですが、日本ではさらに治験例は少ないわけですから、やは り単に全症例の安全性を確認するためにフォローアップするということだけではなく て、適正な市販後臨床試験を課すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう か。 ○池田部会長 いかがですか。 ○新薬審査第一部長 御指摘の点に関しましては実際に承認条件として法律に基づいて 厳格に遵守を求めるという項目と、それから試験のデザインあるいは目的を種々検討し なくてはならない部分等、もう少し明確に分けるべきだという行政的な整理というのが ございます。それらを考慮した上で、本件についてまず絶対にやってもらわなければな らないのは、とにかく最初は一例一例全部データをとるという形の全例登録調査という ことにしてございます。その上で臨床試験をやるのは我々も全く同感でございますが、 国内でこれだけ対象患者が限られているところでどのような試験デザインが設計できる かという案が今のところ実はまだないものですから、企業とは引き続き協議はしており ます。  そういうことについて不確定な内容を条件としてはなかなか書けないということで、 今回の承認条件の中には市販後臨床試験は具体的には書いてございません。もう少し対 象患者が多い癌種などでございますと、条件としても実施困難なようなケースが想定さ れ得ないとして設計はある程度見えるものですから、例えばこれに対しての標準的治療 の比較を行いなさいなどと、想定される客観的な比較臨床試験という表現でもおおよそ 書くことはできます。承認条件はこの条件が守られない場合その薬剤の承認を取り消す ことに直結するくらいに非常に厳しい内容でございますので、この点につきましては個 々の薬剤、疾患の状況をよく考慮いたしまして、実現可能なものが十分想定されるとき にそれを明示的に条件としてかけるというような形でやるべきではないかと考えます。  こういったことで、確かにほかの抗がん剤で客観的な比較臨床試験を条件として求め てかけたものはこれまでにもございますが、それは比較的想定される試験が具体的なも のについて書いてきているという形でございます。そういう内容をこれから若干詰めな ければいけないような部分に関しては、条件にずばり書いてしまうのはちょっと難しい というお話がございまして、現在はこういう形に整理させていただいております。 ○堀内部会長代理 この審査報告書の6ページのところにありますように、患者数は少 ないといえば少ないのですけれども、全白血病罹患率は7,000人で、そのうち急性白血 病と慢性骨髄性白血病を分けると4対1ということですので、そんなに少ないというこ とではないのではないかなという気がいたします。このくらいで少ないというと、これ から出てくる様々な分子標的薬のようなものについてはいろいろな条件が極めて付けに くくなってしまうのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。 ○機構 先生が御指摘の部分でございますが、この薬の対象は白血病患者全員というわ けではございませんで、先ほどもちょっと申しましたけれども、サルベージ的な治療に 用いられる薬であると。これで白血病の寛解というのは現時点ではかなり高率であると いうことが知られているわけでございますが、ここに記載されているのは白血病患者が どの程度いるのかという情報でございまして、それにさらに再発してくる患者さん、ま た再発に対していろいろな治療法があるわけですが、それでも難しいだろうという患者 さんになりますとかなり限られているのだろうというのが機構での想定でございます。 したがいまして、年間数としてどの程度いるのかというのは議論しているのですが、こ の薬が出てどういうふうに使われる、つまりサルベージとしてもいろいろな対象患者さ んの状況等々があると思いますので、かなり限られた人数になっていくのが現実だろう と予想しております。 ○池田部会長 これは全例調査はもちろん調査表の内容はチェックされるのですよね。 要するに、どうしても調査をしなければいけない項目がきちんと入っているかどうかは チェックするのですよね。 ○新薬審査第一部長 調査表の設計は現在審査担当のチームの方で細かく精査をしてお ります。それで具体的な数字目標がなかなか立てにくいのは今申し上げた事情がござい ますが、今の段階では一年間で300集めるのがいっぱいであるという見通しになってご ざいます。300例を全例登録して集められるというところが精いっぱいでございますの で、これ以上の症例でどういう試験デザインができるかというのは、今の段階ではなか なかアイデアが出てきていないということはございます。 ○池田部会長 今の段階ではどれだけ安全に使えてどんな問題点が抽出できるか、ある いは効果がどれくらい持続するかというようなことがきちんとつかめることが大事だと 思いますので、その設計は是非指導していただきたいと思います。いかがでしょうか。 そのほかはどうですか。守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 遅れてきましたので重複するかもしれませんが、添付文書の最初の赤枠で 囲んである「本剤による伝達性海綿状脳症(TSE)伝播の理論的リスクを完全には否定 し得ないので」という形で慎重に投与することとはなっているのですけれども、もし疑 わしいというような症例が出た場合には報告しなさいということは必要ないのかと思い ました。今は全例症例報告をするということなので、それは自然に出てくることとは思 いますが、ここにはそういう注意書きがあってもいいのではないかと思ったものですか ら。ちょっとお聞きしたいと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。調査は調査表を集めないとまたそれが表に出ません から、先生がおっしゃるのは出た時点で報告するということだと思います。 ○新薬審査第一部長 報告は全部上がってきますので、こういった問題も含めて分かる のです。ただ残念なことに、現在の治療水準ですと発症するまでに恐らく10年以上掛か るものですので、そういうケースに遭遇する、あるいはそれとおぼしきケースを経験す ることはまずありそうにないなと。残念ですが、そういう現状でございます。 ○池田部会長 そのほかどうでしょうか。 ○堀内部会長代理 VODにこだわって申し訳ないのですけれども、やはり日本でどれ くらい出るか分からないですよね。この発症の原因についてもよく分かっていないとい うことだと思いますので、これはやはりイレッサのときではないですけれども、どうい う状況になるか分からないのできちんとフォローをするなり、発症の原因を解明すると いう方向の臨床試験を考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。 ○池田部会長 何か事務局の方からお願いします。 ○新薬審査第一部長 確かにVODがどういう原因で発症するかがなかなか分からない というのはお話のとおりでございます。ただ骨髄移植を行うときにVODが結構起きる というのがよく知られている話でございまして、そのトリガーになるものが前処置に使 った薬剤によって起こされているのではないかというお話もまた別途ございます。実は それの関連で新しい薬剤が登場してきているということもございまして、関係するファ クターはかなりいろいろある疾患というか病態なものですから、本剤についての全例調 査をしていくデータの中からVODのリスクファクターを抽出していきながらVODの 本体解明につながるような情報があれば、一応それを基にして試験を計画するというこ とは考えられています。ただ、現状でずばりこのVODをターゲットにしたような臨床 試験という格好の設計がなかなか思い付かないという状況にございます。努力すること については全くやぶさかではございませんので、御指摘は申請者にも伝えてどのような 方策が考えられるか、どのような情報が得られているか引き続き検討させたいと思いま す。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。ございませんでしょうか。白血病が再発し た場合に、やはり使う薬がないと。それでこの薬で10〜20%ぐらい奏功率があるという ことであれば、そのinfusionによるリアクションをできるだけ避けるという努力をしな がら注意深く有効に使っていくというのは決して間違った方向ではないと思います。も し先生方からこういう点を特に注意して使うようにというさらなるコメントがなけれ ば、この議題については承認を可として薬事分科会に報告させていただきたいと思いま すけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではそのようにさせ ていただきたいと思います。  それでは続きまして議題2、3に入りたいと思います。議題2の審議は医薬品ミール ビックの製造承認の可否等についてでございます。議題3は議題2の生物学的製剤基準 に追加するための基準の一部改正に当たりますので、議題2、3を併せて審議したいと 思います。まずは総合機構の方から審査の概要を説明していただきたいと思います。よ ろしくお願いします。 ── 審査管理課長退席 ── ○機構 それでは議題2、資料2、ミールビックの製造承認の可否等について医薬品医 療機器総合機構より説明させていただきます。本剤は、申請者が既に承認を取得し市販 されております麻疹単味ワクチン及び風疹単味ワクチンを力価がそれぞれの単味ワクチ ンと同等になるように混合したものでございます。  現在麻疹単味ワクチン、風疹単味ワクチンは定期の予防接種として生後12か月〜90 か月未満の小児に対して個別に使用されておりますが、これら2種類のワクチンを個別 に接種するよりも混合ワクチンとして1回接種とする方が、接種する医師、被接種者双 方にとって労力や時間等の節約になることから、予防対策における有用性は高いと判断 され、開発がなされたものでございます。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料5にございますとおり、 海野委員、菅野委員、倉田委員、齋藤委員、堺委員、高山委員、田代委員、多屋委員、 林委員、吉村委員、渡辺委員の計11名の委員でございます。  審査におきまして品質、薬理、ADME、毒性について大きな問題は認められません でした。  臨床の有効性に関して、風疹につきましてはHI抗体価が8倍以上を陽性とした場合 の抗体陽転率は98%でございました。麻疹につきましては中和抗体陽転率を主要評価項 目としておりまして、この中和抗体価が4倍以上を陽性としたときの陽転率は100%で したが、HI抗体陽転率は89.8%で、申請者が承認を取得している麻疹単味ワクチンの 99.4%、それからMMRワクチンの臨床試験時の95.7%に比べ低いという問題点がござ いました。しかしながら、中和抗体価をより厳しい8倍以上を陽性としても抗体陽転率 が98%でありましたことから、本剤の有効性は担保されるものと判断いたしました。た だし、HI抗体陽転率が低かった原因が試験のばらつきによるものか、それともほかの 理由であるかを確認する目的で、市販後に再度HI抗体陽転率を確認することが必要と 考えました。  安全性に関しましては、麻疹ワクチンと風疹ワクチンを混合することによる副反応の 増加や増強は認められておりません。  以上のとおり、機構での審査の結果、本剤の麻疹及び風疹の予防に対する有用性は認 められ、承認して差し支えないと判断いたしました。また本剤は新有効成分含有医薬品 であることから再審査期間を6年とし、劇薬及び生物由来製品に該当すると判断いたし ました。  なお本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準に「乾燥弱毒生麻疹風疹混合ワクチン」を 追加する必要がございますので、資料3として基準案をお示ししております。これは各 単味ワクチンの基準を併せた形になっております。御審議のほどよろしくお願いいたし ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見を伺いたい と思います。多屋委員、発言をお願いできますでしょうか。 ○多屋参考人 神谷先生もいらっしゃいますので何ですけれども、この専門家会議の方 に参加させていただきまして、いろいろともう既に審議がなされました。現在麻疹、風 疹は1回接種ということで小児に広く接種が勧奨されていますけれども、米国などでは MMRワクチンの2回接種により、現在麻疹も風疹もほとんど国内から排除された状態 です。  しかし、日本はまだ数万人、2001年は27万人程度の麻疹患者が出たことが推計され ておりますし、昨年の春は風疹におきまして地域的な流行が多くの都道府県の方で起こ りまして、1999年の感染症法以来、先天性風疹症候群の発生報告が年間1名であったと ころが昨年は10名と異常に多い患者さんが認められます。そういったことから、予防接 種の検討会などでも麻疹、風疹を2回接種にしようという動きも国内で出てきているよ うです。私も小児科医ですけれども、小児に接種する場合に2回注射するよりは、可能 ならば1回で同時に二つの疾患に対して免疫が獲得された方が被接種者にとっても非常 に利益があると考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 今多屋委員もおっしゃいましたけれども、先ほど混合する理由として機構 の方は痛みのことは余りおっしゃいませんでしたが、やはり混合して1回で済むという ことが一番子供にメリットがあるだろうと私は思います。  それからHIのことですが、こういうことが起こり得るというのは分かるのですけれ ども、89.8%ということになると10.2%の付かない人ができるということになるわけで す。ただ中和の8倍で見たから大丈夫という御意見はいいのですけれども、このHIの 場合は測定にサルの血球を使いますよね。これは何頭かのサルの血球を使って調べたの ではなくて、一つの検査だけでこういうふうになっているということでしょうか。 ○池田部会長 事務局の方からどうぞ。 ○機構 何頭使ったかはちょっと今確認はいたしておりませんが、実際試験方法のバリ デーションなどをとりますと、前後に2倍くらいは振れるということは確認いたしてお ります。 ○神谷委員 そのときは多分1頭の血球でやっていると思いますので、ここにもちょっ と書いてございましたけれども、前の成績と比べる場合にはサル自体の問題がばらつき の理由とはなかなか決め難いと思いますが、機構の方のお考えとしては、これは検査上 のばらつきであってこのくらいならいけるだろうという判断ですね。 ○機構 そのように判断いたしました。また専門協議の際にもそのような議論をしてい ただきました。 ○池田部会長 多屋先生、専門協議の結論はそういうことでよろしいのですか。 ○多屋参考人 専門協議のときにもその意見は非常に多くの委員から出されまして、今 機構の方からお話があったとおりだと思います。あと一つ感じているのは、最近サルが 老齢化していることによって血球がどうかというような意見も非常に聞かれますし、私 もワクチン接種後にHI抗体価を出すことが大学病院であるため多かったのですが、以 前に比べると非常にその反応が低く出るような傾向にあるのではないかという感触はあ ります。 ○池田部会長 ありがとうございます。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 こういうことを測定するにはウイルスを中和するわけですから、本来は中 和が一番大事でしょう。それで8倍以上で90何%ということであれば、私もワクチンの 有用性としては問題ないのではないかと思います。それとこのワクチンの添付文書のと ころを見せていただきますと、用法及び用量に関連する接種上の注意のところで、接種 対象者は「定期接種の場合には、生後12月から90月に至るまでの間にある者に行う」 ということで、要するに麻疹や風疹のワクチンの規定と全く同じことがここに書かれて いますが、このワクチンの使用に関して最初からこれは麻疹、あるいは風疹のワクチン の代わりに打ってもいいと。もちろん両方を一遍にやるということではありますけれど も、麻疹のときにこれを使っていいということを想定した上での書き方がこういうこと になっているということでしょうか。 ○機構 そうでございます。ただ、まだ定期接種にこの製剤が組み入れられることがき っちり決まっておりませんので、その文言は削除した形で記載しております。 ○神谷委員 そうすると審査上はこれが代わりに使われても、それぞれを見ても一応き ちんと抗体が上がるという判断ということですね。 ○機構 そうでございます。 ○神谷委員 それからもう一つは、このワクチンは先ほど多屋先生も説明されましたよ うに結局将来的には2回使われる可能性がありますが、普通は生ですから抗体ができて いて前の抗体が残っていれば2回目に打ったものは付かないということになりますけれ ども、その辺の実際使用上でこのワクチンをどういう感覚でどういうふうにやっていこ うということは、審議の中ではどうお考えなのでしょうか。 ○機構 今回の申請に関しては申請者は1回のデータで申請してきまして、用法・用量 も1回ということでございます。2回の導入はむしろ結核感染症課がやっております予 防接種検討会の方で議論されておりまして、その場合に大体就学前の5〜6歳のときに 2回目の接種をするのが妥当であるというような結論が今のところ出ていると把握して おります。2回目に関しましても、実際に市場に出ますと安全性と有効性はちょっと見 る必要があるのではないかと思いますので、市販後ですとか、あるいは厚生科学研究等 も含めまして、少しその辺の調査ができるように結核感染症課等も相談しているところ でございます。 ○神谷委員 35ページの専門協議の(3)ところで、後で接種をしてからHIが低かったと いうこともあって今後は継続してその抗体を見ていくというところなのですが、「公的 機関主導で国民の感染症予防対策の一環として実施され、それに製造販売業者として参 画することや、医師主導で行う自主研究に協力することは可能と考えるとの見解を示し た」となっております。これは専門協議の中で…、確かに私も公的機関がやるのが本当 だと思いますけれども、実際臨床の場ではこのワクチンを打ちに行って子供から採血を するということになりますので、200例にしろ、その後市販後調査で採血をしていく上 では公的機関というのは非常にやりにくいのです。なぜかというと、初めてで余り慣れ ていない人が来るので、むしろお母さんともよくコミュニケーションがとれて上の子の 面倒も見ているという、しっかりやっていらっしゃる開業の先生の方が採血は非常にし やすいのです。どこにもこのことは表れないのかもしれませんが、公的機関を中心にと いう論議になった理由は何でしょう。 ○機構 まず(3)の公的機関というのは、要はメーカー主導でやるのでははなくて公的機 関が掛け声を掛けてという意味でございまして、そこの中に広く予防接種等に造詣の深 い小児科の開業医の先生等もメンバーに入ってやっていただくようなことにすれば恐ら くうまくいくのだと思いますので、そういうふうに考えております。  それからHI抗体価の市販後陽転率の再確認の件はメーカーが主導で200例の有効性 の再調査をやるということで、その際メーカーの方からお詳しい先生にお願いして有効 性の調査をするということでございます。 ○神谷委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 よろしいですか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 許可するかしないかということに直接関係ないかもしれないのですけれど も、予防接種をしていなくて成人になってから麻疹にかかると当然重症になるのですが、 予防接種をしていても、それから既に麻疹にかかっていてももう一度感染して発症して しまうこともあります。いずれにしろ成人の水痘はかなり重症で100人に1人くらい亡 くなります。それで4ページに「数年から10年の間で追加投与の必要性があると考える」 ということが書いてありますが、これを是非やっていただきたいと思うのです。もし追 加投与するときにやはりこの混合ワクチンをすべきなのか、麻疹だけをすべきなのか分 からないものですから教えていただきたいのです。また市販後調査をする計画があるよ うですけれども、ほとんど接種してしばらくたってから陽転したかどうかを調べている ようですので、何年か後に風疹と麻疹とどちらの抗体価がきちんと残っているかなどが もし調べられたら、今後追加投与する上で非常に参考になるのではないかと思いますが、 いかがでしょうか。 ○池田部会長 事務局の方、どうぞ。 ○機構 これも恐らく行政機関が主導で調べる必要があるのかと思いますが、風疹は妊 娠前にかなり抗体価があることが必要であったりしますので、そういった観点から調査 も必要になってくると思いますし、やはり麻疹と風疹では動きを見るポイントがちょっ と違うところもありますので、その点も含めて調査ができればと思っております。 ○溝口委員 最近はかかっている人が少ないものですから、自然のブースター効果を得 ることはまずないと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 神谷委員、その辺は調査といいますか、今溝口委員がおっしゃったよう なことは今までどうなのですか。 ○神谷委員 大変大事だと思います。ただ今までのワクチンはそういう義務は全然課せ られていなくて、メーカーが独自にはやっておりますけれども、調べていないのです。 特にこの混合ワクチンでやったとき、初回から混合で打った場合でもその後どうなるか ということは調査が必要なので、もちろんメーカーもやる気持ちはあると思いますけれ ども、本来は今おっしゃったように国や公的機関の指導という形がきちんと採られるこ とが必要です。これは日本のワクチン行政で今までのワクチンについても言えることだ と思います。感染症研究所でこういう抗体は調べていらっしゃって、多屋先生も立派な データをお持ちなのですけれども、現場の採血の実体というのは大体病院へ来る子供か らみんな採血をしているのです。そうすると病院に来る子供というのは大体病人ですか ら、健康児から採っている血液は非常に少ないです。  そういうものがずっと一応国のデータとして出されていることに関して私は前からい つも異議を申し立てているのですが、なかなか取り上げていただけません。本当ならば 国民が協力して、例えば小学校3年生とか6年生などという子は全国で幾つかのクラス から血液を採って、こういうワクチン接種をした健康な子供たちの抗体がどう動いてい るかというデータをきちんと持つことができれば一番いいのだろうと。そういう意味で は、フォローの仕方としてもう少し一考する必要があるだろうと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。多屋先生、その点についてコメントはござい ますか。 ○多屋参考人 全くおっしゃるとおりです。厚生労働省の事業の中で感染症流行予測調 査事業というものがございまして、定期予防接種対象疾患について日本に住んでいる健 康な方ということを前提に、全国で麻疹については大体2,000〜3,000人、風疹について は3,000〜4,000の人の御協力を得て年齢別の抗体保有率を見ています。ただ神谷先生が おっしゃるとおりで大人の方は健康診断で採血をするのですが、子供はなかなか健康診 断で採血をしません。そのために病院に来られた中で、急性期ではなくて治ったときの 確認のために採血された血液を御提供いただくなどと非常に限られていて、この事業の ための採血がどんどん困難になっているというのは各自治体から聞いていることです。 ですから、是非神谷先生がおっしゃってくださったような方向で健康な子供たちの調査 ができれば、このワクチンの効果についても非常に有用だと私も考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。先生方から貴重な御意見を頂いたわけですけ れども、この麻疹風疹混合ワクチンそのものの許可については特に御異存はございませ んでしょうか。三瀬委員、どうぞ。 ○三瀬委員 こういうのが出るのは大変いいことだと思っています。といいますのは、 今多屋先生が10,000〜30,000人と言われましたけれども、日本の麻疹は実際はその10 倍くらい多いと聞いています。それから御存じかと思いますけれども、日本はアメリカ に対する麻疹の最大の輸出国で、アメリカは麻疹が撲滅されていると言われているので すが、時々出るのは日本からのものが多いということです。自動車産業も嫌われていま すけれども、あれはそれなりにいいところがあるのですが、麻疹は輸出されると困ると いう話をよく聞きます。こうした理由もあって本ワクチンの許可に賛成です。  それは別として、ちょっと気になることは添付文書の4ページに参考文献として国立 予防衛生研究所学友会編の「改訂2版 日本のワクチン:87(1977)」と書いてあるのです けれども、これは余りにも古すぎます。改訂3版が出ていますので、これは1999年と書 き直しておいていただかないと困ったことになると思っています。 ○池田部会長 御指摘ありがとうございました。是非事務局の方で改訂してください。 ○機構 承知いたしました。 ○池田部会長 山口委員、どうぞ。 ○山口委員 直接このワクチンについてのことではないのですが、有効性あるいは安全 性を検証するための症例数が250例で、そのうちの実際の評価対象が200例であったと。 やはりこれは極めて少ないと思うのです。有効性、安全性ですから、こういった症例は 先ほどから出ている国の機関できちんとサポートして、もう一つくらい丸を付けないと やはりきちんとした評価ができないのではないかと思います。このワクチンについてで はありませんけれども。 ○機構 おっしゃるとおりかと思います。今まで申し上げてきましたように、本剤につ きましては単味での実績がございますので一応200例程度で評価をいたしております が、やはり新規になってまいりますと何千例規模での試験が必要かと私どもも考えてお ります。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方からこの混合ワクチン について何かございますか。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 私どもが考えているとおっしゃるということは、2,000例という指示を出 すととってよろしいのですか。 ○機構 それはいろいろケース・バイ・ケースですけれども、例えば治験相談などがあ ったときにはやはりその辺の考え方を申請者とも十分検討して、どういう目的で治験を 実施するかということで症例数を決めていきたいと思います。実際海外では何千例規模 が常識でございますので、やはり取り入れるべきところは取り入れたいと思いますが、 一方では日本の現状というのもございますので、またその点は先生方にも御意見をちょ うだいしたいと思います。 ○神谷委員 数を増やすと私たちにも直接かかわってくる話だったらどうしようかと思 っていたのですけれども、山口先生が言ってくださったようにやはり実際200例は少な いと思いますから、少し時間は掛かってもいいので是非数を増やしてと。それから先ほ ど溝口先生も指摘されましたように、問題はあと5年後とか10年後とかそういう時点の ものもきちんととれないといけないので、そこは実際は2,000とか3,000なくても300 とか400という数でいいかもしれませんが、こういうワクチンにはそういうデータも初 めからとるという計画をしていただいた方が今後やっていく上で非常にいいと思いま す。是非この際に今までのものを直してやっていただけるようによろしくお願いします。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。非常に貴重な御意見を頂けたかと思いますけれど も、このミールビックの製造承認の可否については御承認いただけますでしょうか。よ ろしいでしょうか。それではこの医薬品については先生方に承認いただいたということ にさせていただきます。それと同時に、今日は大変貴重なワクチンの接種後のフォロー アップについての御意見を多くの委員の方から頂きましたので、是非当局の方もその体 制をとっていただいて、それを是非メーカーの方に指導していただけたらと思います。 よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。  本日の議題はこれだけということで、共に御議論いただいたのですけれども、資料3 もこれで一緒に御了解いただいたということでよろしいわけですね。そうしますと、事 務局から何かございますでしょうか。 ○事務局 どうもありがとうございました。事務的な御連絡でございます。次回の医薬 品第二部会については先生方に今御都合を伺っているところでございますが、7月下旬 に開催させていただくことで最終調整中でございます。明日か、遅くとも来週の初めに はFAXで御案内申し上げる予定でございます。今年は7月と8月、それから10月と 11月の計4回今のところ予定しておりますので、その4回分の御予定を近々お送りする 予定でございます。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日は少し早く終了いたしますけれども、こ れでこの部会を終わりたいと思います。先生方、御協力いただきましてどうもありがと うございました。                                    ( 了 )     連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -