05/05/25 第15回社会保障審議会医療保険部会議事録                       平成17年5月25日(水)13:00〜15:08                        於:厚生労働省専用第18〜20会議室           社会保障審議会医療保険部会 第15回議事録  星野部会長  これより第15回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様には本日は御多忙の折、 お集まりいただき御礼申し上げます。まず本日の委員の出欠状況について御報告いたし ます。本日は浅野委員、岩村委員、宮本委員、岡谷委員、清家委員、西村委員、箱崎委 員より欠席の連絡をいただいております。また、大内委員は若干遅れているようでござ います。山本委員もおっかけ追いつかれると思います。  続きまして欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りします。岡谷委員・日本 看護協会専務理事の代わりの小川参考人・日本看護協会政策企画部長、箱崎委員・日本 歯科医師会副会長の代わりの登利参考人・日本歯科医師会常任理事の御出席について、 御承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。  各委員  異議なし。  星野部会長  ありがとうございます。それでは本題に移りたいと存じます。まず本日の議論の進め 方について御相談したいと思います。本日はまず前回の部会でも議論がございました が、当部会の今後の議論の進め方について議題としたいと思います。次に前回お知らせ していたとおり、高齢者医療制度について御議論いただきたいと思います。次に前回、 各委員から要求のあった資料について、事務局から報告を求めたいと思います。去る5 月10日に開催された中医協のあり方に関する有識者会議において、中医協の機能・役割 等について議論が行われ、当部会との関係を議論されたと聞いておりますので、この 際、その報告を求めたいと思います。このような進め方で本日の議論を進めたいと思い ますが、よろしゅうございましょうか。  各委員  異議なし。  星野部会長  ありがとうございます。それではまず当部会における今後の議論の進め方について、 議題としたいと思います。それでは事務局から説明願います。  間杉課長  事務局総務課長でございます。よろしくお願いいたします。お手元に資料の1という ことで、今後の議論の進め方の案を用意をさせていただきました。これまでほぼ月1回 のペースでずっと御議論いただいてまいりまして、特にこれまで国保の問題、さらには 政管社会保険庁問題というふうな形で、保険者の再編問題につきまして御議論いただい てきたわけでございますが、いよいよ本日からもう1つの改革の柱でございます「高齢 者医療制度」について、何とぞ御議論を賜りたいと思う次第でございます。  本日でございますが、本日は昨年の夏に論点の整理をお願いを申し上げたところでご ざいますけれども、それに沿ったかたちで後期高齢者医療制度を中心に、御議論を賜れ ればと思っております。  それから翌6月でございますけれども、高齢者医療制度の中でも前期高齢者医療制度 につきまして、また併せて高齢者の患者負担のあり方等も含めた制度設計について、御 議論をいただければということでございます。それから併せまして、国保につきまして 更なる再編統合策というふうなことにつきましても、御議論をお願いをしたいと思って おります。  それから7月でございますが、高齢者医療制度の3回目というふうなこと。それから この部会でも公的保険給付の範囲をどのように考えるかというふうな問題がございまし て、その点。それから全体としてのテーマでございますけれども、医療費の適正化計 画。さらにはその中の重要な柱でございます保健事業。こういったものについても御整 理をいただいてはどうかというふうに考えております。  そして8月から9月ぐらいにかけまして何回か、これまでの2年間にわたります制度 体系に関する御議論、論点等々を御整理をいただくというふうなことかなということで ございます。  私どもといたしましては、秋には私どもの試みの案をたたき台というふうなかたちで 御提示を申し上げ、年内には政府与党の合意を経て、来年の通常国会に法案を提出する という、こんな段取りで最善の努力を尽くしたいというふうに思っております。  以上でございますが、併せまして全体の進め方に関連をいたしまして、1つだけ御報 告をさせていただきますが、政管問題社会保険庁のあり方懇談会が、去る23日に5回目 の最終回が開催される予定でございましたけれども、先週、官房長官のほうから与党内 において、特に年金の運営組織の問題を中心に、引き続き調整の努力がなされている状 況にあるので、今後の円滑な政策決定の段取りを考慮して、来週5月31日に延期をした いというふうなお話がございました。またその状況も改めて当部会でも御報告申し上げ たいと思います。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは進め方についての御意見、御質問等をお願 いいたします。どなたからでも結構でございます。どうぞ、久保田委員。  久保田委員  あとで議論になります後期高齢者の資料と関連をいたしますので、この場で意見を申 し上げたほうがいいのか迷ったのですが、進め方という点でありましたので、御意見申 し上げておきます。要は1巡目を議論をしてきまして、確か昨年の7月だったと思いま すけれども、第9回のこの医療保険部会で様々な意見を一応整理をしその中の論点をま とめ、そしてそのときに今後の検討の方向性ということで事務局案が出されました。私 どものスタンスからしますと、「必ずしもこの部会の議論が全部集約をされて、事務局 案に至ったというところまで収斂されていないのではないか」というふうに感じており ましたけれども、それは2巡目の具体的な論議の中で進んでいくものと理解をしており ました。  そういう意味からしますと、今回、後で出されてくる資料を、今日具体的に御説明を 聞かなければ分からない点もあるのかもしれませんけれども、サッと目を通させていた だいた文章からしますと、結局また一巡目と同じことをなぞっているのではないか。言 いたいことはいま現在、この部会としてどの辺まで議論が詰まっているのか。その議論 の継続性の上にこの二巡目の議論というのは組立てられるべきではないかと思っていま す。  とりわけ私ども連合の立場からすると、この医療制度の抜本改革というのは、もう先 送りの許されない課題であると思っています。97年当時、これまた経過がずっとありま して、結局、約束手形を先に切って、負担が1割から2割、2割は3割なりということ の中で、「いや、必ず抜本改革をしますから」という条件付きで来ている。しかしそれ は1997年から2000年、そしてさらに先延ばしで来ているという認識にあります。年金や 介護等を含めて、この医療制度の抜本改革ということについては、日本の21世紀のこの 社会保障のあり方に関する基本的決定打でもあるし、その中の医療保険制度あるいは医 療制度の本丸中の本丸が、この高齢者医療のあり方ということになってくるのではない かと。もちろん他の重要性もありますけれども、そういう意味であります。  そういう意味からしますと、どうもこの今後のこの議論の進め方ということにつきま して、これまでの議論の積み重ねの上で、もう一度論点を整理し詰まってきた部分と、 詰まっていない部分はここだと。そうするとそれは、それを詰めるためのデータや、詰 めるための深堀りやということの提起といいますか、そういうことについて詰めていく 必要があるのではないか。そこの連続性や今後どうするかということは、なかなか見え てこないというのが率直なところです。  言い方は悪いですが、いろいろ言わせておいて、結局出てくるのは当初からの事務局 案の路線で、ただ論議とデータが出てくるだけということになるのではないか。  2つ目ですが、この本丸中の本丸の高齢者医療制度の議論が、5月、6月、7月とい うあと3回で本当に詰まるのだろうかということについて、非常に心配をいたします。 先送りが許されない。そして来年の通常国会に具体案を出す。そのためには秋に厚生労 働省試案を出すという前提からすると、とてもこの議論で本当に現実性のある案づくり が出来るのだろうかということについて、大変懸念をいたします。精力的に集中的に開 催をすることを含めて、またこれまで何回も言ってきましたけれども、具体的に現実性 を持った議論を詰めていくには、初めに財政ありきではありませんが、様々な施策を議 論するに当たって、やはり財政試案あるいは具体的な数字を伴ったシュミレーション数 字というものをテーブルの真ん中に置きながら詰めていくという作業がなければ、行き 着かないのじゃないかという懸念もしているところでございます。このまま行って本当 に成案ということに着けるのか。その熱意と決意といいますか、そういうことにつきま しても、ぜひもう1回事務局の考え方については確認をしておきたいと思います。以上 です。  星野部会長  どうぞ。  間杉課長  御心配を頂戴いたしました。率直に申し上げまして、高齢者医療制度一巡目をやっ て、去年、御指摘のように論点案というふうなことで、中間的なこれからの宿題という ふうな形を私どもいただいておりますが、まだ、率直に申しまして、やはりそれぞれの お立場お立場、あるいはどこに重点を置いて考えるかというふうなことによって、高齢 者医療制度の姿によって、それぞれの委員の間で御意見の違いがあると。これはもう紛 れもない事実だろうと思います。ただ、私どもはやはり最善を尽くしてそこの距離感と いうふうなものは、できるだけやはり埋めさせていただくというふうな、率直に申し上 げてそういう努力を惜しまないつもりでございます。したがって今日もこれから御議論 をお願いいたします。おそらく今日は、あまり議論の先に申し上げるのは良くないかも しれませんけれども、後程団体のほうからいくつか御提言も出てくると思いますが、高 齢者医療制度というものを考えたときに、65歳という区切りで考えるのか。それとも75 歳という区切りで考えるのか、おそらく今日は私はそこが一番の論点なのではないかな というふうなこと。  そういう意味で、今日は少し私どもも、そこの御議論を深めていただけるような資料 も準備をさせていただいたつもりでございますけれども、いずれにいたしましても、私 どもは精力的に集中的にということは全くやぶさかではございません。これは3回しか やらない、5回しかやらないと、そういうことではございませんで、時間の許す限りタ イトな御審議をお願いしたいというふうに思っておりますし、そういうふうな腹づもり でこれから臨みたいというふうに思っております。  星野部会長  他にございませんか。他に特に御意見ないようでしたら、今後、このようなスケジュ ールで議論を進めて参りたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。  それでは次に高齢者医療制度について議題としたいと思います。それでは事務局から 説明願います。どうぞ。  間杉課長  恐縮でございます。資料2の若干分厚い資料でございますので、できるだけ要領よく 進めさせていただきたいと思います。これは先程申しましたように、去年の論点案を敷 衍をいたしまして、少し御議論を進めていただくためにというふうな御視点で作ったも のでございます。また不十分な点を御指摘いただたければと思います。まず1ページを 開けていただきまして、医療保険制度体系に関する基本的な考え方というふうなことを いくつか整理をさせていただいております。その中で1点目でございますけれども、安 定的で持続可能というふうなことはもちろんでございますけれども、これまでの老健制 度あるいは退職者医療制度に寄せられております様々な批判、あるいは反省といったも のに立って、給付と負担が公平で分かりやすい制度。それから医療費の適正化の取組み や高齢者医療制度の運営に対して、関係者が参画関与できる制度。これはまた後程御意 見があるかと思います。そういった理解とか納得とかそういうふうなものが得られる。 そういうふうな制度体系を目指したいというのがまず1点でございます。  それからこれもこれまで御議論いただいてございますけれども、国民のQOLの向上 を図ることを通じて医療費の適正化を推進をするというふうなことで、生活習慣病の発 症抑制、それから急性期から回復期、在宅というような患者の流れ。それから最後の多 様な居住の場における介護サービスと連携した医療サービスの拡充。そういった取組み が推進できるような枠組みを作りたいということ。  2ページ目でございますけれども、さらに敷衍をいたしまして、全体といたしまして 都道府県単位を軸とした制度運営を目指すというふうなことでございますが、その中で 特に先程申し上げたような取り組みを推進、地域の様々な関係者が連携をして行なえる ような、そういうふうな提供体制を含めた幅広い取り組みを推進したい。こういうこと でございます。  3ページでございますけれども、まず現行の高齢者医療制度の現状ということで、こ れも福祉めいた話で恐縮でございますけれども、もう言うまでもなく、高齢者自身は国 保なり被用者保険にずっと入り続けているわけでございます。国保なり被用者保険に保 険料を払い続けているというふうなことで、今老健拠出金という助け合い財源でござい ますけれども、これは高齢者の保険料と若年者の保険料が区別できるわけではないと。 それから逆の見方をいたしますと、高齢者の保険料というのは高齢者の医療費だけに使 われているわけではないし、若人の保険料もこれはどの部分が老人の支援に回っている のかどうかとういうことが峻別をできない。そういうふうな構造になってしまっている というふうなことでございます。  その結果といたしまして、4ページに図示もさせていただいておりますけれども、下 の○にございますように、高齢者の医療費について、誰がどれだけ負担しているかが非 常に不明確な形である。それから実施主体である市町村に必ずしも医療費適正化の動機 づけが働きにくい仕掛けになってしまっているのではないかということ。  それから5ページ。退職者医療制度でございますけれども、現在、退職者医療制度は 国保のあくまでも被保険者でございますが、その対象者が20年以上というふうなキャリ アをお持ちの方であれば、被用者保険のほうから支援をするというふうな枠組み。この 2つの枠組みで今成り立っているわけでございます。  ただ、これにつきましても、6ページにございますように、各被用者保険制度にとっ てみれば、拠出をする一方というふうなことで、費用を負担している被用者保険の保険 者が給付に関与できないのではないかというふうなことが頓に言われているわけでござ います。  ただ、この関係でちょっと7ページをご覧をいただきたいと存じますけれども、現 在、先程申しましたように、被用者のOBを被用者が被用者保険制度全体で支えるとい う形になっているわけでございますが、これをご覧いただきますと、平成4年から10年 までの間、上の方の被用者保険のほうから市町村国保に移った方というのは、平成4年 が288万人でございますが、平成14年が498万人というふうなことでございます。逆に市 町村国保の他の被用者に移られた方というのはほぼ横ばい。全体としてこういう状況で ございます。社会全体としては就業構造の大きな変革の中で、サラリーマン化、就業者 化が進んでいると、こういうふうに言われておりますけれども、昨今、むしろ被用者保 険から国保のほうに人が流れていっている。これが国保の大きな構造問題を引き起こし ているというふうなことも見て取れるわけでございます。この辺をどう評価分析をする かということ。なお、私どもはもう少しこれを年齢階層別にとりたいというふうに思っ ておりまして、それはまた改めてお示しをさせていただきたいと思っております。  それから8ページでございますが、また後程出て参りますけれども、前期高齢者とい うものを一体どういうふうに捉えるのか。前期高齢者というのを社会全体から支えられ る層というふうに捉えるのか、それともむしろ支え手に回る層というふうに捉えるのか というふうな論点とも関連をしてくるわけでございますけれども、これをご覧いただき ますと、これは前期高齢者の各医療保険の加入者を少し分解をしてみたものでございま す。左の方からご覧いただきますと、全体が100でございますが、被用者保険の被保険 者本人が8%。それから飛ばしまして退職被保険者が20%。これの実態がどうかという ふうなこともあるわけでございます。それから市町村国保の中でも農林水産業、自営業 者、被用者というふうにございます。就業者が13%程いるということで、こういったと ころを足し合わせますと、大体4割程度はこの年齢層の中で、あるいはまだ働いている 可能性があるというふうなことが言えるわけでございます。  9ページでございますが、こちらの方はまた別の統計からズバリ前期高齢者の就業状 況というふうなことで見ていただいた資料でございます。ご覧いただきますと、前期高 齢者の中でも被用者国保を通じまして、就業者が382万人、27.6%という数字です。ち なみにこの数字は後期高齢期になりますと9%ということで、就業者の率はガタンと落 ちるわけでございます。  それで10ページでございますが、基本方針に改革の基本方向ということで整理をさせ ていただいておりますが、この基本方針は4点。社会保険方式の維持、それから75歳以 上の後期高齢者と65歳以上75歳未満の前期高齢者のそれぞれの特性に応じた制度にする ということ。それから老健制度退職者医療制度は廃止をし、新たに制度運営に責任を要 する主体の明確化を図る。それから増大する高齢者の医療費の適正化。この4点が基本 方針に示されているわけでございます。  11ページでございますけれども、まず後期高齢者医療制度の基本的な方向性でござい ますけれども、私どもとしては被保険者について、生活実態とかあるいは経済的地位と かあるいは心身特性というのは、やはり前期高齢者と後期高齢者とは異なるのではない かというふうなこと。それからもう1つは、大きな制度改正のベクトルとして、平成14 年の改正で現在老健法の対象年齢が70歳から75歳に引き上げられておりますけれども、 こうしたムーブメントというふうなものをどう評価するか、制度的なベクトルをどう評 価するかという問題でございます。  まず12ページで生活実態をご覧いただきますと、75歳以上で被用者保険の本人という のは、一番右上にございますように25万人かで約2.1%でございます。被扶養者等々も 含めてほぼ98%が会社勤めというふうなことから切り離されているというふうな実態を 見てとれるわけでございます。  それから13ページでございますけれども、所得状況でございます。これも前回お出し した資料をもう少し丁寧になぞらせていただきました。一番左側のブルーが全年齢でご ざいます。それから次の紫色が前期高齢者、その隣の水色っぽいのが後期高齢者でござ いますが、ご覧をいただきますように、所得がないとかあるいは100万円未満であると いうところをご覧をいただきますと、後期高齢者の比率が大変に高い。前期高齢者を大 きく凌駕をしているというようなことでございますが、100万円を超えるという所にな りますと、むしろ今度は逆に前期高齢者のほうがいずれも高い数値を示しております。 表の中に平均所得金額ということで書いてございますが、全年齢の平均所得金額が212 万。これが65〜74歳というのは218万円で、まだ平均的には全体を凌駕するだけの所得 水準がある。75歳以上になるとガタンと落ちるというふうなことで、この辺を支える能 力というふうなこととの関係でどう考えるかということです。  それから14ページから心身の特性というふうなことをまとめさせていただいてござい ます。これは御議論いただきましたように、「必ずしも75歳というところで明確な区分 があるわけではないのではないか」というふうな御議論がありましたので、もう一度少 し分かりやすく整理をさせていただいたつもりでございます。確かに右の表だけ見てい ただきますと、割合緩やかできれいなカーブで、ずっと高齢者になるにつれて入院の受 療率が上がってくるわけでございますけれども、併せて外来の減ってくるカーブ、左の カーブとごらんをいただきますと、75歳から外来が減って、そして入院の方に転化をし ていくと。それまで外来で済んでいた病気が入院系の病気に変化をしていくというふう な状況が、やはり大体この辺を境目に見て取れるのではないかというふうなことを考え てございます。  もう少し特に生活習慣病を中心に病気毎にご覧をいただきますと、15ページに高血圧 それから虚血性心疾患、脳梗塞ということで3つ並べてございますけれども、特に脳梗 塞の入院のカーブをご覧いただきますと、入院で75歳のところで変節点があるというふ うなこと。それから外来は75歳を少し過ぎますけれども、やはりその辺で下がってくる というふうな傾向がございます。  それからもう1つ。認知症、アルツハイマーが16ページにございます。こちらのパタ ーンはご覧いただけますように、外来・入院ともに75歳から特に変化をする。特に認知 症の方が大きな変化をするということでございます。したがってこれも、これまで御議 論いただいておりますけれども、やはり個人差がございます。個人差がございますが、 マクロにはやっぱり75歳というのは1つの分岐点だというふうな捉え方ができないのか どうかというふうなことの議論。  それから17ページ。平成14年、前回の健保法改正で老健法の対象年齢が70歳から順次 75歳に引き上げられてございます。このときにこういった御議論がなされたというふう なことを1つ御紹介申し上げたいと思いますが、57年の老健法ができたときに、70歳以 上人口というのは全体の6.1%のシェアでございました。これは平成12年当時に置き直 しますと、75歳人口がちょうどその辺に該当するというふうなこと。それから平均寿命 も特に女性のほうで見ていただきますと、5歳程度この間上がっているというふうなこ とで、社会全体として大体5%ほど上のほうに全体の集団がシフトしているという状況 の中で、老健法の調整対象になる医療費を上のほうに押し上げて、むしろ70〜75歳に社 会の支え手全体を増やしていこうと。こういうふうな経過での制度改正が行われたとい うふうなことでございます。  それから続きまして18ページでございますけれども、高齢者の保険料水準についての 御議論でございます。これまでもございましたように、独立の保険制度として仕組んで いくことの意義というふうなことで御議論がありましたけれども、やはり高齢者御本人 の保険料は今までの制度のように各制度の中に埋没しているということではなくて、や はりそれはまず高齢者医療制度というふうなことの中に、まず明確に位置づけるという ふうなことであったろうと思います。それからその上で、高齢者の医療費を高齢世代と それから若年世代をどういうふうなルールで配分をしていくのか。分担をしていくの か。そういうふうなルールを明確化する必要があるというふうな御議論だったと思いま す。  そこで19ページでございますけれども、現在、同じような高齢者の給付を支える資格 として、先輩格の制度に介護保険というのがあるわけでございますが、これがどうやっ ているかということをご覧いただきますと、給付費の5割は公費負担でございます。残 りの5割を65歳以上の高齢者と、それから40歳以上65歳の若年者の数に応じて負担をす ると。その世代毎の頭数で割るというふうなことになってございます。ご覧いただきま すと、65歳以上の方が現在2,400万人、40〜64歳の方が4,300万人ということで、それぞ れ頭割りをしますと36%と64%ということですが、公費が半分入っておりますので、そ の半分ということで18%と32%をそれぞれ頭割りで持ち合っている。これが介護保険で ございます。  おめくりをいただきまして、それでは20ページでございますが、現在、老人医療費の 中で、高齢者の方々というのはどのぐらい負担をしているのか。これは推定計算でござ います。老人給付費を100%といたしますと、公費が約半分。残り半分が拠出金でござ いますが、その中で一番下をご覧いただきますと、75歳以上の方々の負担分というのを 推定計算をいたしますと大体7.3%。現在の老人医療費の7.3%は高齢者の方々の保険料 で賄われているという、こういうふうな状況でございます。  次に21ページをご覧をいただきますと、これは人口構造という形でお示しをさせてい ただいていますけれども、仮に介護保険のように、かかった医療費をそれぞれの世代毎 のシェアで割っていこうというふうな考え方をとりますと、どういう数字になるかとい うふうなことです。(1)に全人口に占める75歳以上人口の比率とありますが、これは支 えられる層を75歳というふうなことで考えよう。(2)は支えられる層を65歳ということ で考えよう。こういったことでご覧いただきますと、例えば(1)でありますと、9.7%の シェアで、先程の介護保険と同じように、その半分の4.9%をこの高齢世代が負担をす る。それが6.2%、8.4%というふうに上昇していくというふうなこと。仮に65歳以上と いうふうな、そこから上は支えられるのだというふうなことになりますと、これは(2) でございまして、同じように10.6%、13.0%、14.3%と、こんなふうなシェアで高齢者 世代が負担をしていくと。こういうふうなことになるわけでございます。  一方で、これもいろいろ御議論あると思いますが、この支える層というふうな中で、 20歳未満の層というものをどう考えたらいいのか。これは支える層なのかどうかという ような御議論も当然あると思います。応用問題でそこにいましたのが(3)(4)というふう なことで、仮に20歳以下は支えないのだというふうな考え方に立つと、一応年齢構造上 のシェアというのはこんなふうになっていくというようなことでございます。それから (5)番の所は、これも応用問題でございますが、0〜64歳、それから75歳ということで、 ちょっと前期高齢者の位置づけというふうなものをどう考えていったらいいのか。その 辺の御議論もあろうかなというふうなこと。  これをご覧いただきますと、出発点においてどういうふうな考え方で組むかにももち ろんよりますけれども、先程ご覧いただいた、今御負担をいただいている7.3%という ふうな水準と、そう驚くような乖離はないのではないのかなというふうなことでござい ます。ただ、この辺も実額ももちろん見てみなければなりませんので、また改めてこの 辺の資料も整理させていただきたいと思います。ボリューム感をご覧をいただきました ということでございます。  22ページは若年世代の支援金の負担方法でございます。これは国保それから被用者側 を通じて加入者数に応じた負担というふうなことは補填をさせていただいてきておりま すけれども、その際にも現行老健制度で、特に拠出金の負担が重くなるような保険者に 対して、その負担の再調整措置というふうなものがございます。こういったものも検討 していかなければならないのではないかというふうなことでございます。  23ページはこれも仮にでございますが、仮に75歳以上で頭割りで支えるとすると、75 歳未満の方々の制度別の加入状況というのがここにあるとおりでございまして、被用者 保険が全体で64%。それから市町村国保で32%というふうなことでございます。このシ ェアで支えていくというふうな制度設計も考えられます。  それから次の24ページは現在の老健制度における負担調整の仕組みというふうなこと でございます。この図表をご覧いただきますと、いまの老健制度の中に老健拠出金の各 保険者の持ち出し額が義務的支出の25%を超えたときに、その超えた部分はまた全体の 保険者で割り返そうというふうなことで、あまり大きく各制度の老健拠出金の負担にな らないようにというふうな措置が設けられております。当然こういった緩和措置も考え ていかなければならないというふうに思います。  25ページからは、保険料の賦課方式ということでございます。これまで基本方針以 来、高齢者については現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担というふうなこ と。それから国保と被用者保険からの支援。これは別建ての社会連帯的な保険料によっ て賄うというようなことは、御提案をさせていただいて参りました。それから25ページ の論点にございますように、基本的に後期高齢者について、個人を被保険者とし、個人 単位で賦課をしたい。当然、低所得者に対して様々な配慮は必要であるというふうなこ とを御提案申し上げたわけでございます。  そこで現在の制度の後期高齢者の保険料水準ということで、26ページをご覧いただき たいと思いますが、これはあくまでも現行制度で19年度を迎えたときに、後期高齢者の 1人当たりの保険料額がどうなるかというようなことでございます。1人当たり年間で ございますが、国保は7.3万円、それから被用者保険は一人当たりを平均しますと2.9万 円でございますが、御案内のとおり被扶養者制度というようなものがございまして、被 保険者本人が26万円、それから被扶養者が0万円ということでございます。ここの層は もちろん高齢の配偶者、この間の配偶者もいらっしゃれば、子どもさんに扶養されてい る高齢の方々というふうな者もこの中に含まれております。制度計は6.3万円というふ うなことになってございます。  これに関連をいたしまして、ちょっと飛びますが29ページをご覧いただきたいと思い ます。29ページはもう一度現在の市町村国保で、特に後期高齢者の保険料の負担状況が どうなっているかというふうなものを調べてみたものでございます。世帯当たり平均が 7.5万円。1世帯当たり平均人数が1.2万円ということでございますので、1人当たり平 均は6.2万円という水準でございます。ここでちょっと御留意をいただきたいのは、所 得のない方であってもその市町村国保の場合には1人当たり年間2.3万円の御負担をい ただいている。こういうふうな構造になっているわけでございます。そういった意味 で、特に先程の後期高齢期における被用者保険における被扶養者というふうなもの取扱 いをどういうふうに考えていったらいいか。この国保制度のこういった取扱いとの関係 を整理する必要があるというふうに思っているわけでございます。  30ページは低所得者対策というふうなことでございます。ここは今介護保険でも老人 保健でも住民税非課税というふうな、同じ対象者に対しまして、ちょっと区分は今回の 介護保険の見直しで変わりましたけれども、それぞれ低所得者対策というふうなもの は、共通した取組みが行われているというふうなことでございます。  31ページでございますが、若年世代の社会連帯的な保険料というふうなものについ て、これもこの審議会の1巡目の中で、「その性格は何だろうか」というふうなこと で、様々な御議論がございました。そこで社会連帯あるいは受益者負担というふうな御 議論もありましたが、32ページをご覧いただきますと、これは現在の老健拠出金あるい は退職者医療拠出金というふうなものが、どういうふうな性格づけのものとしてこれま で議論、説明をされてきているかというふうなことをまとめてみたものでございますけ れども、いずれも1つは全国民の連帯精神というふうなこと。それからもう1つは広義 の受益者負担的な要素。こういった2つの要素でこれまで整理をされてきているという ふうなことでございます。  それから33ページでございますけれども、これはいまの若年者の支援の関係で、現 在、介護保険ではその2号保険はどういうふうに賦課されているかということでござい ますが、これは御案内の通り、一般の保険料は別建てで医療保険者が介護保険料を賦課 徴収するというふうなことでやっております。明確に区分をして徴収するというふうな こと。それから被用者保険であれば、一般保険料と同様に、いろいろなパターンがござ いますが、標準報酬に定率で賦課するというのが1つの典型的なパターンだというふう に聞いております。  それから34ページは公費負担でございます。後期高齢者に現在、後期高齢者の原則5 割というふうなことで、公費の重点化というふうな改正が行われてございます。そうい った基本的な枠組みについて、やっぱり今後とも維持すべきではないかというふうなこ と。それから現在国保で行われております公費のうちの一定割合につきましては、保険 者間の財政力調整というふうなことで用いられておりますけれども、やはりこの新高齢 者医療制度についても、そういった同様の考え方の整理は必要なのではないかというこ とでございます。  ちょっと飛ばしていただきまして37ページで、これは国保を例に取らせていただいた というふうなことでございますけれども、国保の加入者の中で、老人医療受給対象者に ついての所得のばらつきと、それから年齢のばらつきをご覧いただくものでございま す。現在、国保の方で所得と年齢差に着目した財政調整が行われていると申し上げまし たが、これをご覧いただきますように高年齢の方々に限定をしてみましても、37ページ は所得でございますが、所得につきましては最低の秋田の34万円、最高の東京都の115 万円ということで、かなり大きなばらつきがございます。その間に様々な県がございま すが、非常にばらつきの多い数字になっているということでございます。したがってこ ういった面での所得差というものをならすというふうなことは、必然的に必要になって いるだろうということ。  それから一方で38ページ。これは特に国保加入者の中で、75歳以上の高齢者層の中で 「さらに年齢的なばらつきがあるのかどうか」というふうなことをご覧をいただいたも のでございますが、沖縄がちょっと高い数字になってございますけれども、その他の県 をご覧いただきますと、大体22、23、24%ぐらいというふうなことで、年齢層のばらつ きというのは所得差ほどには大きくないのかなというのが今の実態でございます。  それから最後に39ページから保険者ということでございます。保険者につきましては 後期高齢者の地域を基盤とした生活実態、あるいは安定的な保険運営の確保、保険者の 再編統合の進展の状況等を考慮をするというふうなことに、基本方針の段階では留まっ てございます。  というふうなことが1つでございますが、41ページをご覧をいただきまして、ここに ございますように、いかなる保険者を考えるかというときに、やはり私どもとして最大 限その保険者機能がこの世界で発揮できるような保険者というふうなものは、どういう ふうなものだろうかというふうなことの軸が1つ。それからいかなる保険者とする場合 でありましても、保険者のリスクというものを可能な限り軽減するような、そういうふ うな対策を講ずることが必要だろうというふうに考えております。  特に保険者のリスク軽減という観点では、43ページから現在行われている仕掛けを具 体的に列挙させていただいておりますけれども、43ページは御案内のとおり、介護保険 は3年間の中期財政運営ということで、その間に保険料不足などがあったときに、財政 運営安定化基金として、これは国・県・市町村が出資しておりますけれども、それによ って不足分を賄うような、そういうふうな制度が導入をされております。それが43〜44 ページでございます。  45ページでございますが、介護保険の場合には御案内のとおり年金からの特別徴収 (天引き)というふうなものは、保険徴収の安定化を図るために行われております。今 回の介護保険法の制度改正によりまして、老齢年金だけはなくて遺族年金・障害年金に 対象者の拡大が図られておりますというふうなところでございます。  46ページは国民健康保険制度におきましても、46ページにございますのは低所得者に 対して保険料を軽減しておりますけれども、それに対して公費でその分を充当するとい うふうな保険者支援が行われております。  47ページ、48ページにございますように、高額医療費共同事業ということで、突発的 に高い料金が出たときの再保険措置といった措置も講じているところでございます。  最後に市町村合併の進捗状況というふうなことで、49ページをご覧をいただきたいと 存じます。これをご覧いただきますように、平成17年度末に3,232市町村あったわけで ございますけれども、特例期間ということでこの17年度末に市町村数は1,822になる見 通しでございます。非常に大規模な市町村合併が進んでいるというふうな状況でござい ます。大変長くなって恐縮でございます。私の方からの資料説明は以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。この議題に関連いたしまして、対馬委員、河内山委 員および齊藤委員から資料を提出いただいておりますので、御説明いただきたいと思い ます。それでは対馬委員からお願いいたします。  対馬委員  それでは健保連の方からの資料ですが、本文は黄色い冊子で「提言」という資料と、 それから「Q&A」という資料を付けてございます。ただ、きょうは時間もあまりござ いませんので1枚のペーパーと概念図で、この概念図につきましてはこの黄色いペーパ ーの13ページ、14ページにもございますけれども、ちょっと小さい字で書いていますの で、この大きい概念図の方がよろしいかということで付けてございます。この要約版の 方で主として説明させていただきますけれども、これは健保連として3月25日に理事会 でもって組織決定をしたという内容でございます。多少の雑駁なところがあるのですけ れども、ぜひこの改革の議論を促進したい、加速したいということを含めて提案したも のでございます。  基本認識ですけれども、このあたりにつきましてはあまり縷々申し上げることはな い。持続可能性、安定性の問題、それから保険者機能の問題、それから若年者の納得性 の問題、それからさらに言えば、拠出金制度についてはぜひとも廃止したいとこういう ことでございます。なお1点補足しますと、健保連としましては、従来いわゆる突き抜 け方式として、我々現役の被用者がその重みを支えるということでございましたけれど も、先程もお話がありましたけれども、就業構造が変化したということもありますし、 また雇用の流動化ということもございまして、今回、形の上では65歳以上については、 特にサラリーマンOB・それ以外ということは区別せずに、1本の仕掛けにしたという こういうことでございます。  その下に2として新たな高齢者医療制度の創設とございますけれども、対象につきま しては65歳以上の高齢者で、いま申し上げたとおりでございます。一般医療保険制度と は別建ての保険制度にいたしたいと。前期・後期の問題でございますけれども、疾病の 特性ということで先程御説明がありましたけれども、今日お話を伺っても私どもからし ますと、やはり双曲線を描いているとしか思えませんので、もしどうしてもということ であればぜひ、例えば60歳と65歳はどう違うのか、65歳と70歳ではどう違うのか、70歳 と75歳はどう違うのか、75歳と80歳とはどう違うのか。いずれも75歳のところできっち り節目があるということであれば、それはまた別途かと思いますけれども、そうとも思 えないと。そうしますと私どもとしては、いわゆる社会的な制度として年金、介護、そ れからサラリーマンでありますと定年等々もございますけれども、65歳というのが一番 素直で分かりやすくはないかと、こういうふうに思います。なお、今回の健保連の提言 というのは、できるだけ年金のときの議論の反省も含めてですけれども、分かりやすさ と簡明さということを主眼に置いたということもございます。  保険者でありますけれども、一定の地域を対象とした行政から独立した公法人。一定 の地域ということですが、都道府県単位ということも念頭に置いているわけですけれど も、まだ今の時点では公益的な市町村単位というのが現実的ではないかと、現実的な提 案をさせていただいたと。なお、行政から独立したということは、これは当然ながら、 その方がより保険者機能を発揮できるのではないか、自立性も高まるのではないかとい う問題意識でございます。  それから調整管理組織ですけれども、保険者はどうしても数が多くなりますので、全 体としての保険料公費を受け入れて、それを配分していくという機能もございますし、 また医療費の適正化でありますとか、保険全般を協議していくという場をぜひ設けたい と。この中にいろいろな関係者が入っていくのだということにさせていただければとい うふうに思っています。  概念図の2ページ目のところをちょっとご覧になっていただきたいのですけれども、 左側にこれは高齢医療保険者でございます。中身は組合会、理事会等々ですから、これ は健保組合等の運営なんかを知っている方は、非常に分かりやすいのではないかと。さ らに左側の一番上をご覧になっていただきますと、若年被保険者・事業主等もここに参 画してはどうかと。いわゆる公法人で行政とはちょっと別でございますので、そこに入 っていただくということでございます。  右側の方の上に調整機構を書いていますけれども、右上に書かれているとおり、国・ 都道府県・市町村もございますけれども、若年者・事業主・医療保険者、さらには老人 クラブ的な方々も、これは想定例でございますけれども、関係者が入ってはどうかとこ ういうふうに思ってございます。  役割につきましても先程申し上げたとおり、保険料公費等を受け入れて、それを配分 していくと。さらには医療費の適正化、それから運営全般に亘る事項について、審議決 定をしていくということでございます。  またちょっと元に戻っていただきまして、要約版になりますけれども、財源構成の問 題でございます。患者負担。これは高齢者ですけれども2割負担、高所得者3割と。こ れはやはり若年者の納得感ということからしますと、ここは御負担いただけないかと。 もちろん低所得者対応等きめの細かい対応を図る必要があるだろうと、こういうふうに 思っております。  公費ですけれども、ここは65歳以上に対しまして、医療給付費の5割を目途としては どうかと。残りにつきましては、高齢者と一定年齢と書いていますけれども、乳幼児な んかは除きまして、家督年齢と言いましょうか、例えば20歳ということですけれども、 そういった方々が人数比で負担していってはどうかと。これは高齢者と若年者もそうで すし、また若年者の中での国保それから我々被用者。ここについても国保の所得補足の 問題等々もございますので頭数でやっていってはどうかと、こういうことでございま す。  若年者の方ですけれども、これは従来の拠出金ということではなくて、世代間扶養に 基づく保険料として、明確に位置づけていくのだということでございます。給与明細と いう分かりやすさで言いますと、一般保険料、それから高齢者保険料、それから介護保 険料が隣に並ぶというこういうイメージでございます。  一般保険制度、医療提供体制、診療報酬等もございますけれども、今回は高齢者医療 制度が今日のメインテーマでございますので、このあたりは割愛させていただきたい。  こういうふうに非常に分かりやすい簡明な仕掛けを作りまして、特に保険者機能を発 揮してやっていきたいというのが、私どもの眼目でございます。ぜひ委員の先生方をは じめまして、関係者皆様の御理解、御支援を得て、新しい高齢者医療制度へ反映を図っ ていきたいということと、さらに先程久保田委員の方から、私どもと全く同様のことを 言われましたのでくどくは申しませんけれども、ぜひ集中的な議論として毎月1回とい うことではなくて、月に2回でも3回でも行っていくと。全体に遅れているわけですか ら、審議の加速化、促進、集中審議ということをぜひよろしくお願いしたいというふう に思います。以上のとおりです。  星野部会長  どうもありがとうございました。次に河内山委員から説明を願います。  河内山委員  説明の機会を与えていただきまして、大変ありがたいと思っております。皆様方のお 手元にピンク色の全国市長会としての意見書と色刷りの概要版と2つお手元にあると思 いますが、後程概要版の方をご覧をいただきまして、御説明申し上げたいと思います。 この意見書につきましては、医療保険の最後の砦でありますこの国民健康保険制度とい うものが、保険者であります市町村の努力では、もうどうしようもないぐらいのやはり 危機的な状況にあるというふうな認識に立ちまして、国保制度改革について全国市長会 として医療保険制度改革検討会議というものを持ちまして、今日御欠席でございます が、部会の委員であります岩本先生にも御参画いただいて、約1年間議論をして参りま した。本年の4月13日に開催されました全国市長会理事会で決定をいたしまして、この 日に厚生労働省をはじめとする関係機関にも提出をさせていただいたところでございま す。  それでは概要版で内容をちょっと御説明を申し上げますが、1番目の国保制度の現状 と課題でございますが、これはもう私から申し上げるまでもないことでございますが、 国保の場合は被用者保険に属さないすべての方々を対象としておりますので、グラフに ありますように、実に51%が現在もう無職者の状況でございます。もともとは制度創設 時には、やはり農林水産業の方とか自営業の方がこの国保の主たる被保険者であったと いう、そういう制度であったわけでございますが、今日では2人に1人は無職の方が被 保険者であるという状況でございます。したがって下の方にもございますように、年齢 も政管健保、組合健保等に比べまして、平均年齢は高いわけでございますし、当然、医 療費も高齢者が多く高くなりますので給付費も多いと。必然的に右下のグラフにありま すように、所得額に対する実質的な保険料負担率は10%を超えるというような状況にな っております。これがいわゆる国保の構造問題でございます。  めくっていただきまして、左側に数字がダラダラと並んでおりますが、この表は国保 を運営するために市町村が、一般会計から国保の会計に繰り入れている額の推移を示し ております。一番下の平成15年度でご覧いただきたいのですが、赤字の繰入金が3,831 億円。それから法定の繰入金が7,100億円を加えますと、実に1兆円を超える額となっ ておりまして、市町村財政が非常にいま厳しい状況の中で、これは増え続ける国保会計 の負担増というのは、もはや財政的にはもたないというこういう状況でございます。  一般会計が大変で、国保会計だけを何とか守るということは、これはもう困難であり ますので、こういう繰入を続けていくということは、実際問題として非常に難しい状況 にあるわけでございまして、実質的には財政は破綻をしております。したがって右側の 2の所でございますが、従来から全国市町村で、「国を保険者とする全ての国民を対象 とする医療保険制度への一本化」というものを指導して参りましたが、今回、この状況 の一層の深刻化を御理解をいただきまして、改めて早期の一本化実現というものについ ての、関係各位の御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。  3番は後程お話し申し上げます。最後の4番目でございますが、直ちに一本化が実現 をしないとするならば、将来の一本化というものを見据えつつ、いろいろな制度がござ いますが、その制度間の財政格差を是正をするために、財政調整の仕組みを導入をする ということについて、御検討いただきたいということで提案をするわけでございます。  一番後ろのページでございますが、財政調整の内容でございますが、財政調整に当た りましては保険者の自助努力では解決ができない部分、即ち先程申し上げました年齢の 構成の部分と、それから所得の状況。この2つの財政調整の要因というふうにしており ます。国保の制度の中でも、いろいろと賦課方式がバラバラでありますので、そういう ものの統一化に向けて、市町村国保の中でも努力をしていくことは当然だと考えており ます。  戻っていただきまして、3番目の今日のテーマであります高齢者医療制度についてで ございますが、縷々申し上げましたように、新たな高齢者の保険制度が導入をされると いうことにつきましても、今申し上げましたように、極めて深刻な財政状況の中で市町 村がその保険者を担うということは、到底不可能であるというのが現状でございます。 現在、市町村国保と介護保険の保険者を担っておりまして、いずれも大きな財政負担を 背負っております。  住民の安心、安全の確保は当然、直接地方自治体が関わるわけでございますけれど も、そういうことを我々としては責任を感じつつも、現在のような国保の状況であれ ば、医療保険制度というものが重圧になっておりますので、新たな高齢者医療保険制度 は到底難しい、不可能であると言わざるを得ないというふうに考えております。したが いまして、高齢者医療保険制度のことの議論と同時に、やはり現状の国保をどういうふ うにしていくのかということについて、やはり御議論を重ねていただきまして、良い姿 を作っていくということが非常に今重要な時期を迎えていると、こういうことを最後に 申し上げまして、御説明を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、齊藤委員から御説明願い ます。  齊藤委員  そうしましたら、経団連の考え方を御説明したいと思います。まずお手元の資料です けれども、昨年9月に公表いたしました意見書の概要版と、意見書本体の抜粋を付けて おります。表題が「社会保障制度等の一体的改革に向けて」というものでございます。 本日はこのA3の色刷りしております概要版資料に基づきまして、御説明したいと思い ます。団体としては3番目なので、特に健保連とはダブる所もあるかと思いますけれど も、資料のお目通しを願いたいと思います。経団連では従来から社会保障制度や財政、 税制も含めた一体的・総合的な改革によりまして、国民の税、保険料負担の増加、及び 特にここを強調したいのですけれども、将来への負担転嫁に歯止めをかける必要がある ということを主張しております。  社会保障制度が相互支援であることは、もう先程から皆さんおっしゃっているところ でございます。相互の支援によって国民の幸せの実現を目指すものですから、制度の維 持、持続可能性を確保することが最も重要な課題と考えております。一方で社会保障制 度の負担を抑制しまして、国民の経済活力の向上という課題とも両立させる必要がござ います。そのためには資料の右下に書いておりますとおり、将来の国民負担率が高くて も50%程度になることを目指して、国民一人ひとりの自助努力を基礎とする社会が実現 できるように、社会保障制度の一体的改革の姿を描く必要があると考えております。  まず社会保障制度改革の基本的考え方についてです。概要版資料には記述しておりま せんけれども、社会保障制度の体系、給付と負担のあり方を考えるに当たりまして、こ れは健保連の方からも御説明がございましたが、国民にとって分かりやすさ、持続可能 性の確保、リスクが顕在化した場合の予測可能性の確保、それと経済活力の維持向上を 基本的な理念とすべきであると考えております。とりわけ、(1)重点化、簡素化、効率 化。(2)公平性、公正性、納得性。(3)経済との整合性。それから(4)透明性ということ を原則として、制度改革を進めるべきであると考えております。  こうした原則に基づきまして、今後の社会保障制度体系を再構築するためには、給付 と負担を統合的に把握し、制度に対する理解、信頼を得る仕組みを整備することが必要 でございます。具体的には総合的な社会保障、福祉オンラインシステムの整備、また個 人情報保護の徹底などを前提といたしまして、社会保障・福祉制度に共通する個人番号 制と、社会保障個人別の会計を導入整備すべきであると考えております。これによりま して、国保に加入しながら、国民年金に未加入など、適用・負担の不公正の解消と趣旨 が重複した給付を排除することで、給付のより効率化、重点化を図ることが可能である と考えております。  続きまして、本日のメインの議題であります高齢者医療制度ですけれども、資料にあ ります医療保険制度の中の)高齢期の医療制度というところです。医療保険制度につき ましては、医療に対する国民の多様化、高度化したニーズに応えるために、医療の質の 向上と効率的な医療サービスの提供に向けた改革が求められております。高齢者医療制 度につきましては、財政責任を有する独立した保険とするように、我々経団連も考えて おります。  対象者につきましては、年金制度との整合性や国民にとって分かりやすさなどから、 65歳以上の高齢者を一括する方向を提言しております。また、高齢者医療の伸びの抑制 が不可欠でございますので、給付につきましては、低所得者層に対して十分配慮するこ とを前提に、次のとおり整理しております。(1)現役期と公平感のある給付ということ で、原則、入院の場合は8割給付、外来の場合は7割給付とする。(2)急性期か否かに 配慮しつつ、入院時の食費、居住費相当分は給付対象から基本的に外すべきであると考 えております。  財源は、これは健保連とも一緒でございますけれども、公費を少なくとも5割といた しまして、残りを高齢者自身の保険料と65歳未満の一定年齢以上の若年者層から人口比 に応じて分担する仕組みが考えられます。公費につきましては、効率化のインセンティ ブが働くような配分方法が求められます。また、高齢者の保険料は年金から徴収する仕 組みとすべきであります。65歳未満の若年者の分担につきましては、医療給付費の適正 化を前提としまして、(1)負担の決定に際しましては、負担者が関与する全国的な仕組 みを設ける。(2)65歳までの間で保険者また加入者の生活習慣病対策などの実施状況に より、負担を加減する仕組みを設ける。(3)65歳未満の未納者に対する将来の給付率は 調整する制度を考える。(4)65歳未満の若年者を対象とする保険者の間の所得水準が異 なっているとしても、所得の多寡高による調整はしないということにすべきであると考 えております。  そして保険者につきましては地域保険として、市町村をベースとした広域連合の活用 を視野に入れるべきであります。保険者機能が発揮できる組織運営づくりが求められる ところです。  なお、資料といたしましては、もう1点「医療制度のあり方について」と題する意見 書についてもお配りさせていただいております。特に喫緊の課題でございます公的医療 給付費につきまして、中長期の名目GDPの成長率を基軸にした到達目標を設定すると いうことで、その範囲内に伸び率を抑制して、効率化、重点化を推進することを、今日 の主題ではございませんけれども、改めて提案したいと思っております。  社会保障制度につきましては経済社会の基盤の上に、国民相互の支援によって成り立 っている制度でございますし、制度の持続可能性を高めることが最大の課題と考えてお ります。現役世代や企業が生み出した支払い能力の指標である名目GDPの成長率を基 軸に目標を設定して、医療費全体、社会保障全体の伸びを考えていきたいと考えており ます。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは早速でございますが、御意見、御質問等を お伺いしたいと思います。お願いいたします。どなたからでも結構でございます。どう ぞ、松原委員。  松原委員  今経団連の方から御説明をいただきましたが、まず最後のGDP比を用いて、いろい ろな社会保障費、特に私どもは医療費について、これを総枠規制することに対しては敢 然として反対でございます。もし必要な医療費を削られることになりますれば、結局は 医療費というのは必要だからこそ給付しているものでございますので、最終的には患者 さんの負担に帰することになります。そういったことにならないように、あくまでも医 療に関しては国民にとって必要なものはすべて現物で給付するという、世界に冠たる制 度でございます。医療枠制をひくこと自体はそういったことができなくなります。あく までも皆保険制度を守り、そしてその上で完全に必要なものを給付するシステムを維持 していくべきだと考えておりますので、GDP比でキャップを抑えるという考え方には 最後まで反対でございます。  また社会保障制度等の一体的改革についてと概要にございますが、高齢者医療制度を 作るに当たっては、給付の圧縮が前提と書いておられますが、私どもも無駄な医療、余 計な医療は排除せねばならないのは当然のことだと考えております。しかし先程のキャ ップ制と同じ考え方で、給付の圧縮を前提とする以上は、最終的には必要な医療が受け られない方も出て参りますし、私どもはこのようなシステムは、高齢者医療制度の中で 作れば、これは姥捨て山医療である、姥捨て山制度であると。要するにもはや働けなく なった方々は、適切な医療が受けられなくてもいいという考え方に読めて仕方ございま せん。あくまでも必要な方には必要な医療を給付するのが当然でございます。ただし全 体として、無駄な医療、余計な医療は私どももみずから整理して、そういったことのな いようにして参りたいと思っております。  その下のところにあります医療の質の向上と医療費の適正化でございますが、医療の 標準化の促進、包括払いと書いておられます。しかし私どもは個々の人というのは、や はり様々差があると思っております。簡単に標準化できるものではございません。あく までもベースに標準化の概念があって、そして個々の人々に合う医療を供給するのが正 しいことだと思っております。企業の方からすれば、働く人は均一であってという考え 方で物事を考えておられるのかもしれませんが、人間はロボットではございません。均 一化できるものではございません。したがって各病気も様々な形態、またその人の考え 方によっても様々な医療が必要となります。したがいまして、標準化は促進されるとい うことでございますが、私は一定のところまでは必要であっても、それ以上の標準化は 個々の個人の尊厳を傷つけるものにもなりかねないと思っております。  さらにその下にある混合診療の容認でございますが、私ども、昨年秋に断固として反 対して参りました。混合診療は最終的にはお金のある人しか十分な医療が受けられない 社会を作ります。国民医療の不平等を引き起こします。あくまでも反対でございます。 以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、他に。先生、何かコメントしますか。  齊藤委員  双方で言い合って何ですけれども。  星野部会長  ちょっと包括的な議論だから。どうぞ。発言を封じる気はないですから。  齊藤委員  これはもうずっと医師会の方とは平行線なのですけれども、特に言いたいのは、医療 の標準化と包括払いについては、我々も、松原委員がおっしゃったことと一致している のです。考えているのは、今のように積み上げ方式でどんどん膨らんでいくというのは いかがなものかということであり、いわゆるある一定の基準というのがありまして、そ こからより高い医療を受ける人は自助努力というのを目指すべきであります。確かに命 を我々は軽視するつもりは全然ございません。一方で、やっぱり財政とか雇用がござい ますので、どこに自助努力や個人の自立というのを線引きするのかということになりま す。あくまで、この保険制度というのは相互扶助ですから、どのレベルまで相互扶助な のかというのはしっかり議論していかなければならないと、思っています。  星野部会長  ありがとうございました。お二人から怒られてしまうかもしれませんけれど、富士山 の頂上に登ろうということはお二人とも同じなのだと私は思っているのですよ。登り口 でどういう風景を見ながら行くかという所が違うので、そこはもうこけから両者とも年 中議論をしていただいたらいいなと思っています。その議論の中で具体的にはいろいろ な妥協が生まれたり、どっちかへウェイトが寄ったりする話ですから、いつも議論は止 めない方がいいと思うのですね。議論が続いて、それでいてしかしお互いに目指してい るのは患者第一で、健康は一番大事だというのはお互いとも心得た上で言っているわけ ですから、どうぞ、議論の度に議論していただいて私は結構だと思います。どうぞ、北 郷委員。  北郷委員  簡単なことから分けてよろしいですか。対馬委員にちょっとお尋ねしたいのですが、 65歳以上独立のという御提案ですけれども、保険料は事業主負担は今と同じことを考え ておられるのでしょうか。  対馬委員  事業主負担については、若年者の負担の半分ということで、従来同様御負担いただけ ないかというふうに思っています。  北郷委員  分かりました。ありがとうございました。それから総務課長さんの御説明のことなの ですが、17ページの資料8ですね。14年改正で老人保健法の対象年齢引上げの理由。こ ういう議論があったと言われたのか、こういう理由だったと言われたのか、ちょっとは っきりしませんが、70歳以上人口が全体の6.1%、75歳以上で7.1%になったと。これは 総人口の一定率を調整しようと、こういう趣旨で老健法はやったのでしょうか。それで 今度の考え方は基本的に3点上がっていますね。「安定的で持続可能、給付と負担の公 平、分かりやすい」と。こういう点との関係はどういうことになるのでしょうか。給付 と負担の公平とかこういう考え方が一番基本にあったような気がするのですね。この一 定割合のものを調整するというようなことが本当のメインの理由だったのでしょうか。 お尋ねします。  星野部会長  どうぞ。総務課長。  間杉課長  私が承知しておりますところで申し上げますと、老健法ができた当初はやはりいま委 員がおっしゃいましたように、一定年齢のものの医療費をどういうふうな形で調整をし ていくか。そのときにやはり隔世の毎に高齢化率の相当な違いがありますから、そこを どういうふうに調整をならしていくかというふうなことで、もともとその制度は発足し たと。先程14年改正で私が御紹介申し上げましたのは、これは当時、年齢を5歳上げま したときの、14年改正のそのときの説明ぶりとして、老健制度ができた当時から比べる と、ちょうど14年で5歳、70歳からちょうど5歳空ければ、当時想定をしていてたよう な年齢相互を支えることになると。そのまま置いておいたのでは、支え手の方が減って くるというふうなことで、当時、当局のほうは各方面に説明申し上げたと、こういふう に聞いております。  北郷委員  一番最初に基本的に3点あるのですね。「安定的持続可能、給付と負担の公平、分か りやすい」と。いま言われている担い手の関係というのは安定的で持続可能と。これか ら来る考え方で、給付と負担の公平という考え方とか分かりやすい制度という観点は、 これは当時はなかったのですか。  間杉課長  いや。当然、当時も医療費案分とか加入者案分とか、様々なかたちで制度の中の公平 性を確保すると、それからできるだけ分かりやすい姿を目指すと、当然こういうふうな ことはあったと思っております。そのことがそういう視点が当時の老健制度の中で欠落 していたというふうな、そういうふうな大変無礼なことを申し上げるつもりはございま せん。ただ、今日ここまで至ってまいりまして、頓にやはり各方面から指摘をされてお りますことは、今の拠出金制度というふうなものが、市町村の方でかかった一定の老人 医療費に対して、誰がどれだけの負担をしているかというふうな観点から見たときに、 非常に分かりにくいのではないかと。  1つの制度の中で高齢者の保険料というのは、必ずしも高齢者医療だけに使われてい るわけではないという現象が起きてみたり、若年者の保険料の中でどこに使われている のか分からないというふうなことで、むしろ分かりやすさの概念というのが、だんだん だんだん時代とともに変わってきていると申しましょうか、要請される姿というのが、 むしろ変わってきているのではないかというようなことを感じます。  常に高齢者医療制度の議論を通じまして、やはり老人医療費がこれぐらいかかったと いうことの中で、例えば公費半分なら半分だといたしますと、次にその残りの半分とい うものを高齢者自身の保険料で、高齢者自身にどのぐらい傷みを分かち合っていただく のか。それから若年者はどういうルールでどういうふうな負担配分をしていくのかとい うふうなことを仕組んでいくためには、やっぱり今の老健制度というふうな共同事業の 延長線上ではなくて、むしろ新しい保険者というふうなものを作って、その保険者保険 料構成をとっていったほうが、むしろ今日的な議論としては分かりやすいのではないか というふうな御議論ではないかと思っております。  北郷委員  冒頭に掲げています3つの目標ですね。これを3つを全部成立させると言いますか、 全部を満足させるのは非常に難しいので、公費が2分の1とかいろいろなそういう考え が出てくるのだろうと思いますし、それからこの3つの目標に対して、この資料8のよ うなこういう考え方は1つの考え方ではあるかもしれませんが、非常に基準としては小 さい問題だと思うのですね。その辺のところをよく考えた御説明が必要だというふうに 思います。  それから今度また健保連の対馬委員に誠に申し分けないのですが、所得把握というこ とをよく言われるのであります。確かに所得把握は歴史的に非常に問題であった時期も 大いにあることは分かるのですが、先程河内山委員の御説明にもありましたように、現 在、国保の加入者は全く質が変わって参りまして、仮に従来どおりの考え方で所得把握 が問題になると言われている層、農林水産業、自営業でありますが、これはもう20%強 にすぎない。それよりももっと非常に大きな問題は、所得格差のほうが問題としてはよ っぽど大きいのですね。これは厚生労働省で発表しておりますが、調査課から出ている ものを見ると一目瞭然でして、所得把握どころ騒ぎではない大きな差があるわけであり ます。  もし本当に所得把握がそんなに問題であるとお考えになるのであれば、これは税で問 題になるはずなのですね。社会保険方式を主体として考えていく、その賦課の前提は税 でやるしかないわけでありますから、本当にもし問題であるとするならば、社会保障審 議会のこの部会でそういう方向の主張を意見として出さなければいけないのだろうと思 うのですね。その点はいかがですか。どのようにお考えでしょうか。  対馬委員  かつてと比べて農林水産業なり自営業の比率が少なくなってきたと。大分、落ちてき たと。このあたりは私どもは当然存じているわけですね。ただ、それではもう全く所得 の把握とか補足とか、ないしは所得形態といったものを問題にしなくていいかという と、そうではないだろうとこういうふうに思いますし、また、それでは税のほうで問題 になるじゃないかと言われますけれども、おそらくここにおられる皆さん方も、トウゴ ウサンピンとかクロヨンとか、いろいろ言われているのが完全にほぼ解消したというこ とを、おそらく思っておられないのじゃないでしょうか。私はそう思います。  北郷委員  現実に問題にされていらっしゃるわけですから、それならば医療保険部会として、そ ういう意見を出すのがどんなものでしょうか。  対馬委員  ここは私がお答えする筋合いではありませんけれども、それはちょっと税制の問題を 議論するというのは、また別の場があると思いますので、ここではいかがなものかとい う感じはいたします。  北郷委員  ですが、医療保険の公平な仕組みを作る場合に、そこが本当にネックであるとするな らば、医療保険部会としてそういう意見を出さなければこれは片付かないわけですね。 これは会長にも申し上げたいのでございます。  星野部会長  御意見として承っておきます。どうぞ。久保田委員。  久保田委員  今の問題に関連いたしますが、7ページの資料3で、被用者から国保への異動状況と いうのが報告をされました。また河内山委員の方から棒グラフで端的に出されています が、先程の説明にもありましたこの国保の被保険者が増加している要因の分析を、まず きっちりやる必要があると思います。年齢、階層ということも言われていましたけれど も、やっぱりここは年金生活者が増えているのか、非典型労働者と言われているパート や派遣やそういう部分が一体どれだけ増えていて、その所得なりがどういう影響を持っ ているのか。あるいは政管健保からの脱落者といいますか、そういう部分も一体どれだ けあるのか。この議論の1巡のときにも収納率の問題やそういうことが話題になったと 思いますし、もちろん今そういう意味ではサラリーマンの方から雇用形態の多様化とい うような面と、もう1つはモラルハザード的と言ったらおかしいのですが、今や税金よ りは社会保険料の方が高くなっているという意識の中で、社会保険は第2の税金という 意味合いで、そういう部分も起こっているのではないかという危機感を持っています。  ニートやフリーターというのが非常に話題になっていますけれども、その層が年金も 医療保険も完全適用ということでなくなって、このまま今は20代でいいけれども、30代 40代になりやがて支えられる側になったときに、一体どういう社会が来るのかというこ とについては、非常に深刻な実は大きい問題だと思っています。しかし、だからここが 苦しいから、ただ一体になればいいとかいうのは、あまりにも乱暴なことですし、それ ぞれの課題等を分析しそれを防ぐにはどうすればいいかということも含めて、徹底的に 将来的なあり方等々については議論していく必要があるのだと思います。税か社会保険 料かということについても、これは相当深い議論としてむしろ詰めていくべきではない かと思います。  ちょっと話題が変わりますが、先程から3つの団体から改めての考え方の表明がござ いました。御存じだと思いますけれども、連合としては2002年の10月に「社会保障ビジ ョン」というかなり大きな冊子を作りまして、21世紀の初頭2025年ぐらいを視座に、年 金と介護保険と医療保険制度の一体的な、連合が考える働くものとしてのビジョンとい うのを、すでに打ち出しております。  とりわけ医療保険のうちの高齢者に関連いたしますと、基本的には保険者機能を本当 に責任を持った体制でやることが必要と考えています。したがって従来の老健拠出金だ とか、あるいは退職者医療制度は廃止をして、新たな高齢者の医療制度を作っていく必 要がある。そのときの基本的な考え方は、突き抜け方式と言いますか、保険者が責任を 持って高齢者を含めて支え合うということを基本にしながら、しかし一方で横と言いま すか、地域軸ということで様々な保険者あるいは患者を含めた地域の特性や地域の様々 な努力によって、その医療費の差も十分に分析しながら、横の機能といいますか、それ を機能強化をしながら工夫をしていくという余地が本当にないのかと思っております。  先程から提案がありました高齢者医療制度のことについては2巡目ですので、1巡目 で言ったことと同じことを繰り返してもあまり意味がないのかなとは思ってはおります けれども、基本的にやっぱり75歳からのハイリスクグループだけを独立させて、財政的 に持続できるのか。自立した取組みとして十分できるのか。最も大事な保険者の機能と 保険者の責任が追い込められながらと言いますか、そういう仕組みを作っていくという 点で、「よし、いいよ」ということになっていない。先程から市町村それからこれまで も都道府県の意見表明がございましたけれども、そこが宙に浮いたまま、これは来年の 法改正というところまでに現実的にそこまで行き着くことができるのかどうかというこ とについて、極めて強い危惧感を持っています。  高齢者の負担をする保険料とか社会連帯的な保険料が、今の拠出金と一体どう違うの かということについて、もっともっとこの部分については詰めていく必要があると思い ますので、今日のところはそこを1個1個詰めるというにはまだちょっと至らないのか なと思っていますが、従来からの議論をもう一度整理をした上で、現実的にこれから組 立てていく場合に、どういうシミュレーションと言いますか考え方が整理をできるの か。そのときにもっと詰めなければならない項目は何と何と何なのかということについ て、ぜひ次回のときには少し整理をした形で提供をして、集中的な議論を深めることが できないのかと思っております。1巡目と同じことを繰り返さないという意味であまり 多くを申し上げませんけれども、そういうふうに認識をしております。以上です。  星野部会長  どうもありがとうございました。もう1つ、この前の宿題が3つか4つぐらい出てお りまして、それを報告する必要もあるので、時間をそろそろ区切りたいと思っておりま す。漆畑委員から手が挙がったことを知らされましたので、どうぞ。  漆畑委員  申しわけありません。いつも時間をそろそろ終わりの頃に手を挙げてするような気が して、申しわけありません。今日の一番のテーマであります後期高齢者の医療制度の年 齢のことなのですが、事務局の御説明といいますか、今までの御提案の案は75歳以上と いうことで整理をされて、今日もそれに基づいた資料を出されてきて、今日御提案があ った3つの御提案では、65歳以上というようなことになっているのですが、過去の議論 で75歳のところに積極的な説得力がないということは前回にもあったわけです。  そういう意味で言うと、御提案のほうの65歳にも、特に今日の御発言には積極的な背 景というのか、説得力のある説明がなかったように思えるわけで、例えば高齢者の人口 構成とか、あるいは所得の問題とか、あるいは保険を組むときのいろいろな要素とか、 大事なことでの御議論があったのですが、もう1つ、今度は個人に立ち帰ってみて、何 か数値的な説明ができないかということで、医学的には医療内容として、これは松原先 生にもお聞きしたいし、あるいはもしかしたら今日は岡谷委員がいらっしゃいませんけ れども、看護の必要とかそういうことなんか、あるいは統計的に言えば1件あたりの医 療費とか1件あたりの日数とか、そういう被保険者個人に立ち帰って何か説明するよう な資料がもしあれば、いただきたいと思います。  それから今日は出ておりませんけれども、前の資料で、うろ覚えの記憶で申しわけな いのですが、64歳と75歳以上までの区分の理由に、65歳〜74歳までは疾病の予防の可能 性のある年齢層というような、何かそんな記述があったようなことを覚えているのです が、かと言って75歳以上の方に予防の可能性は全然ないよというのは、ちょっと言いに くいのですが、多分これは三次予防のことだと思うのですが、そういうことも言えると いうことかどうかということも、少し資料をいただきたいと思います。その上で、それ がきちんと説明できて、久保田委員がおっしゃるように、ハイリスク分を保険の対象と するとなれば、やっぱり手厚い公費のような支援が必要となりますので、そういう議論 に繋がっていくかなということでございます。  長くなって申し分けないのですが、齋藤委員のおっしゃった日本経団連の御発言の、 松原先生と同じでありますけれども、医療費にやっぱりキャップをはめることは私も反 対でございまして、全体の議論としてはそういう議論をしやすいのですけれども、個々 の患者さんを目の前にして、その患者さんのどれを抑制するのか、制限するのかという のは、実際にはもうできない相談でありまして、全体の財源とか費用全体を見ると、何 か大変大きな数字が出るので、このくらいは何とかなりそうな気がするかもしれません けれども、目の前の患者さんのことを考えたら、それは絶対できないというふうに、私 も言わせていただきたいと思います。  松原委員  委員長、一言だけ。  星野部会長  はい、どうぞ。簡単にお願いします。  松原委員  申しわけございません。3つの団体から御説明いただきまして、私ども日本医師会も 国民にとってどう理想的にあるべきかというところから考えて、現在、日医総研で財政 的な裏付けの検討をしております。6月上旬には私どもの考え方を明瞭に示すことがで きると思います。この1番の理念のもとは、ある一定の年齢から急に医療の質が変わる ようなものは、やはり正しくないのではないかと思っておりますので、そういったこと が現実問題と担保できるような制度にしていくべく考えております。  2点目は、実際上は日本の国の皆保険制度を守っているのは、国民健康保険のところ でございます。裕福なところ、働いているところというのは、保険制度は簡単に成立い たしますが、辞められた方、あるいは健康を害されてやむなく会社を辞めた方。そうい った受け皿になっているのが市町村においてある国民健康保険でございますので、やは りそこの窮状というのは私たちも十分に理解しております。  またそれにつきましては、制度上、元気な方で病気をしない方において、お金を集め て保険制度をやれば非常に有利な制度になります。国民健康保険のように、病気の方や どうしても働けなくなった方が多いところは、非常に辛い状態でございますので、老人 保健制度だけではなくて、やはり制度間の共助がなければ、国民皆保険制度というのは 成立しないと思っておりますので、そういったことも念頭において考えて参りたいと思 っております。  星野部会長  ありがとうございました。  齊藤委員  一言だけ。いま65歳なのか、75歳なのか、言われていますけれども、資料2の21ペー ジにある20歳という考え方は非常に微妙でして、特に少子化を迎えますと、大学の教育 費はかかるし、国民年金保険料はかかるし、高齢者の負担も求められると、親が子供を 産む気持ちがおきないのではないでしょうか。それで子供のいない人は悠々と海外旅行 へ行っているというのもあるので、やはりトータルでしっかり考えていきたいと思いま す。我々も考えますので、よろしくお願いいたします。  星野部会長  ありがとうございました。最後に井伊先生どうぞ。  井伊委員  齊藤委員が指摘されたことで非常に重要だと思った点で、事務局からの資料で欠けて いると思った点を、もう一度御指摘させていただきたいのですけれども、この社会保障 制度の一体的な改革ということで、年金給付との重複是正の点なのですが、高齢者の方 が長期に入院している場合に、生活費の部分が医療費から出ていて、年金が家族に渡っ ているという話は大変良く聞く話です。年金給付というのはやはり高齢者本人の生活の ために給付されていますので、この年金給付の重複是正というのは、医療保険部会とし てもぜひ主張する重要な論点として加えていただきたいと思っております。  星野部会長  ありがとうございました。それでは今いろいろ御意見、それから漆畑委員からの資料 の注文、最初対馬委員にも注文しているようにも見えたのですけれども、とどのつまり は事務方にそういう論点でまとめていただければありがたいと思います。それから久保 田委員の方は、これからこの後団体として何か出るのですか。強制しているわけでも何 でもないのだけれど、他の3団体が出してくれたので。今日は大変僕は分かりやすかっ たと思うのですよ。対馬さんの説明がうまかったのか、改めて…。  久保田委員  分かりました。必ずしも十分に説明がしきれていないかもしれませんので、改めて連 合としての考え方をお出ししたいと思ってます。  星野部会長  この際、したほうがいいと思うのですね。だから先程ちょっと御発言の中で75歳とい うお言葉が出たので、「あ、久保田さんのところ75歳でいいのかな」と思ってしまうと そういうところがありますので、むしろきちんとした説明をされたほうが、この際、良 いのではないかなと思うのです。強制はしません。ボランタリーにやっていただけれ ば。  久保田委員  分かりました。  星野部会長  私の方から1つだけ対馬委員にお伺いしたいのですが、非常に説明がうまかったの で、非常にスパッと頭の中に入ってしまったのですけれど、1つだけお伺いしたいの は、河内山委員の方から制度一体化の路線の一里塚というか三里塚か知りませんけれ ど、そのプロセスだということなら理解できますという発言が非常に重要な発言なの で、そういう意味では対馬委員の方も、何年経つか分からないけれども、いずれは制度 一本化ということの一里塚にもなりますねという御発言はありうるのでしょうか。  対馬委員  私どもはやはり保険者機能とか、そういったところを考えていくべきだろうと思うの ですね。ということは競争とか緊張感とか自立とか自制とか、そういったことから行き ますと、全国一本というのは、ある意味非常に図柄としてはきれいに見えますけれど も、そういったこととはちょっと違うのではないかと。したがって一里塚ではなくて、 やはり複数保険者がお互いに切磋琢磨してやっていくということが、日本の医療にとっ てはいちばん望ましいのではないかと、こういうふうに思っています。  星野部会長  ありがとうございました。それでは今日はこの件につきましてはここまでにして、次 回また引き続きやることになりますので、また次回、大いに御議論いただきたいと思い ます。前回から皆様方、大変熱心な御議論をしていただきまして、宿題が出ております ので、申しわけないのですが、宿題を要領よく御報告していただけませんでしょうか。 大体いま10分弱残っておりますが、10分ぐらいは延長させていただいてもいいのではな いかなと思っております。御説明してください。事務方、よろしく。  石原課長  調査課長でございます。私からは国民医療費の将来推計について、資料3の説明をさ せていただきます。前回、山本委員から医療費の将来推計について、その中に医療の高 度化等が入っているのかという質問がございました。その資料でございます。1枚目は 将来推計のグラフになってございまして、32兆円から69兆円まで増加すると。特に当初 の年度では年齢引上げがあって伸びませんけれど、将来は約半分は老人医療費になると いうことで、高齢化の影響でかなり伸びるということでございます。  2枚目へ行っていただきまして、その推計の根拠でございますが、基本的には年齢階 級別の将来推計人口が人口研で出ておりますので、それを基に1人当たりの医療費が一 般が2.1%、高齢者が3.2%ということで過去の平均でございますが、その伸び率でもっ て推計をしているということでございます。  3ページ目へ行っていただきますと、その内訳が書いてございます。医療給付費の伸 びでございますが、当初4.2%から、2015年度以降は3.6%に伸び率が徐々に落ちて参り ます。その中身を見ていただきますと、人口自体がやはり減って参ります。それと人口 の高齢化についてもやはり徐々に減ってくるということで、その他の増が2.6%で、こ こがほぼ過去からのトレンドで一定という形で置いております。このその他の2.6%の 中には主な部分がやはり上のほうに書いてございますが、「医学や薬学の進歩による高 度な医療の開発と普及による伸び」というものが、この中に入っているということで考 えてございまして、これが一定であるので、これで将来とも伸びていくという形になっ ているということでございます。以上です。  井上企画官  保険局の企画官でございます。私の方からは資料4に基づきまして、「熊本の連携パ ス」について御説明を申し上げたいと思います。前回の医療保険部会におきまして、や はり連携パスの資料をお出しいたしまして、連携パスの取組みで平均在院日数が短くな っていると、こういうデータをお示ししたところでございますが、これに対しまして大 内委員のほうから御質問がございました。「平均在院日数が短くなっているけれども、 患者さんの満足度、治療効果など、医療の質という面ではどうなのか」と、こういう御 質問をいただきました。それを受けまして私どもは熊本を訪問しまして、実際に取り組 んでいる急性期の医療機関、それから回復期リハビリの医療機関を訪問しまして、実際 にお話を伺ってきた結果をまとめた資料でございます。  熊本では様々な傷病で連携パスが作られておりますけれども、最も進んでいるのが大 腿骨頚部骨折についての連携パスでございます。それを中心にまとめてございます。平 成13年から取組んでおりますけれども、さらに改善しようということで平成15年の10月 に関係の医療機関で「大腿骨頸部骨折シームレスケア研究会」というものを立ち上げま して、ここで議論を重ね、新しい連携パスを開発して、現在約40医療機関の間で使って いるということでございます。この研究会ではお互いの医療機関をよく知り合おうとい うことで、持ち回りで月1回開催し、医師、看護師、理学療法士等の関係職種が参加し て開催しております。また連携パスを開発する前提として、各医療機関の診療方針、手 術方針ですとか看護の方法、リハビリの方法など、そういう診療方針のすり合わせを行 って、その統一を図るという作業を行ったということです。  連携パスのポイントは最終達成目標として、基本的にはけがをする前の歩行能力を回 復するということでございますが、そういうものをきちんと確認し、また目標達成まで の診療プロセス、目標達成の期間といったものを記載し、そしてこういったものを医療 機関同士、また患者さんとの間でも共有しながら取組んでいくということでございま す。医療者用、患者用の2種類の連携パスを作って、手術の前に患者さんによく説明を し、情報を共有するということをしております。また使用された連携パスについてはデ ータベースを作成して、事後評価も出来るようにしているということでございます。  こうした取組みの導入効果といたしましては、急性期病院からリハビリテーション施 設への転院に対する患者家族の不安、不満の解消が図られた。また診療内容に関する医 療機関間での説明の不一致の解消が図られたということで、こういったことについて患 者さんの満足度は上がったと考えられるのではないかという御説明でした。それからま た診療の目標、プロセスといったものを医療機関の間で共有することによって、より効 果的で効率的な医療サービスの提供が行われ、急性期・回復期を通じての平均在院日数 の短縮が図られたということでございまして、骨折後、歩行能力を回復するまでの期間 の短縮というようなことが図られてきたということで、治療効果の面でも一定の成果が 上がっているのではないかというお話でした。  それからまたデータベースの作成ということで、事後評価ができるようになったと。 また連携パスをさらに見直して、連携医療の質と効率の向上につなげていくことができ るようになったと、こういうお話でございました。以上でございます。  今別府課長  資料5に基づきまして、共済組合について引き続き御説明をさせていただきます。前 回、政管健保と健保組合の御議論をいただきましたときに、共済組合について積み残し になっておりました。1ページに基本方針が書いてございます。「共済組合について は、その自立性を尊重しつつ、保険者としての運営の在り方を検討する」ということに なっておりまして、2ページ以降に現状を整理させていただきました。共済組合は御承 知のように国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済のこの3種類がございまして、 次の3ページをご覧いただきますと、そこに下の方に財源率というのが書いてございま す。国家公務員共済、地方公務員共済はそれぞれ次のページ以降で細かくご覧をいただ きますが、私学共済は79.56‰ということで、財政的に現状では特に問題だというふう にはなっておりません。  それから規模別に国家公務員共済、地方公務員共済を並べたのが4ページ、5ページ でございます。4ページでご覧いただきますように、国家公務員共済は全部1千人以上 という規模でございます。5ページをご覧いただきますと、地方公務員共済で1つ、1 千人未満というのがございます。これは経緯があって、名古屋市がこういう状況になっ ております。同じく財源率をとったのが6ページ、7ページ。これをご覧いただきます と、95〜100、あるいは100‰以上というのがございます。今ご覧いただきましたのは前 回の健保組合の議論で、小規模あるいは財政窮迫の組合について、何らかの措置を講じ ようという議論をしましたので、そういう視点に立って資料を整理したものでございま す。  共済組合につきましては、それぞれの担当省庁で、こちらの医療保険部会の審議の状 況も見ながら検討を進めており、あるいは個別にまた審議会などを持って議論をしてお りますが、1つ念頭に置かなくてはいけませんのは、8ページにも参考資料でお付けを いたしましたが、共済組合は御承知のように短期の給付だけではありませんで、長期給 付も併せてやっておりまして、この年金の方につきましては、この8ページにあります ように、平成13年3月の閣議決定に基づいて一元化についてある程度の道筋が立ってお りまして、下にちょっと網掛けをしておりますが、現在、国共済と地共済の財政単位の 一元化を図るための法律が16年10月にできておりまして、21年度に向けて段階的に一本 化と、そういう時点にございます。したがってこちらの長期の動きも見ながら、引き続 き関係省庁と相談をしながら検討してまいりたいと、こういう状況でございます。  麦谷課長  引き続き御説明を申し上げます。医療課長でございます。資料の6。保険医療機関の 指定等の行政事務について、説明をせよということでございましたので、現状を簡単に 説明申し上げます。現行は厚生労働省の権限を地方社会保険事務局長に委任して実施を しております。内容は大きく分けて2つございまして、公権力の行使を伴う事務とし て、保険医療機関の指定、保険医の登録、指導・監査等。その他の事務として施設基準 の届出の受理、地方社会保険医療協議会の運営等を行っておりまして、あと資料として 例えば3ページで、指導と監査の違いですとか、指導と監査の実施状況を以下に付けて ございます。職員数は各都道府県事務局において、保険医療機関指定等の事務に従事し ている職員は、正職員431名、非常勤が83名と、このような現状でございます。以上で ございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは今の御報告につきまして、何か御意見、御 質問を。久保田委員。  久保田委員  一番最後にございました保険医療機関の指定等の行政事務につきましては、前回、私 の方から要望させていただきました。ありがとうございます。よくこの中身で分かる部 分もあるのですが、2つ程質問がございます。1つはこの1ページの中のカッコで(見 直しの基本的考え方)の2つ目の○のところに、「都道府県の区域を単位とする組織で 対応することが必要」と書かれています。現在、非常に大事な仕事をされていると思う のですが、社会保険庁改革の中で、都道府県の事務局廃止の方向が出されているという ふうに聞いております。この「都道府県の区域を単位としてする組織というのは、具体 的にどこを示すのか、あるいは別途新たな組織を作るのか、ちょっとここを教えていた だきたい」というのが1つ。  2つ目に職員の人数も出していただいています。連合としては非常に大事な仕事をさ れているので、現在の状況を維持をするだけではなくて、もっと強化をする必要はない のかという視点は持っています。とりわけ専門的にやはりこういう指定をする、あるい は登録・指導・監査をするということになりますと、専門的な能力といいますか、そう いうことが必要ではないか。そういう意味では医師とか歯科医師という免許を持った方 の人材が、要は全県に十分に配置をされているのかということについては、ちょっとお 伺いをしたい。これが2つ目の質問です。  そして3つ目は意見ですが、この保険医療機関の指定等の検討の方向性の中に、ぜひ 各医療保険者の関与のあり方といいますか、どういう形で意見を述べたり関与をするこ とが可能なのかということも含めて、少し検討をいただければと思います。これは要望 でございます。以上です。  星野部会長  それではお答えください。  間杉課長  まず第1点目の地方改革との関係について、私のほうから御説明申し上げます。いま 委員から御指摘ございましたように、いま社会保険事務局というところに事務を分掌し てお願いをしているわけでございますが、これについては地方社会保険事務局について はブロック化をすると。確かに御指摘のとおりの方向でいま地方改革の一環として、そ ういった議論がなされております。先程御説明がちょっと足りなかったのかもしれませ んが、今大臣の権限を私ども保険局と社会保険庁に分掌し、社会保険庁のラインとそれ から我々の行政とのラインが、この地方社会保険事務局で1本になるような、こんな仕 掛けになっているわけでございます。  私どもとしては基本的に行政事務でございますので、基本的な考え方としては、これ は社会保険というふうな、社会保険庁というラインではなくて、むしろ私ども保険局と いうものを中心にした、行政的なラインでもう1回整理をし直してみたいというふうに 思っているわけでございます。ただ、やはりこれまでの現地現場での取組みというふう なものがございますから、何であれ、どういう形であれ、やっぱり都道府県の中で活動 ができるような、そういうふうな仕掛けに持っていく必要があるだろうと思っていると ころでございまして、いま鋭意検討中でございます。また改めてこの点につきまして は、御説明、御報告の機会をいただきたいというふうに思っております。  麦谷課長  2点目でございますが、指導・監査を行う医師、歯科医師の定員は全国で107名でご ざいます。医師の方はすべて47に配置できておりますが、歯科医師は配置できていない ところも若干ございます。ただそこにも非常勤で対応しておりますので、仕事に困ると いうようなことはございませんが、実際上は配置されていない県もいくつかございま す。以上です。  星野部会長  ありがとうございました。それではもう1つは報告がらみで、「中医協の在り方に関 する有識者会議」の検討状況について、これも簡単で結構ですからポイントを御報告だ けしてください。  麦谷課長  はい。医療課長でございます。資料は資料7-1「中医協の在り方の見直し」という紙 をごらんください。1ページに出ておりますが、これで今までのところ4回会議を開い ております。メンバー表については後でご覧いただきたいと思いますが、その中で中医 協の役割・機能を議論していく過程で、医療政策なり診療報酬改定の前提である基本政 策については、中医協ではなくて、中医協の外の場で議論してはどうかという話があり まして、その場合、想定とされたものは、やはり厚生労働大臣の諮問機関であるこの医 療保険部会が1つ。それからもう1つは医療部会。医療保険部会がその中医協の外での 基本政策決定の1つの場であるというような議論がされておりましたので御紹介申し上 げます。以上です。  星野部会長  ありがとうございました。それでは予定の時間を少しオーバーしておりますので、御 多忙な皆様方におかれましては本日はこれまでとさせていただきたいと思います。な お、次回の開催につきましては、事務局より追って御連絡したいと思います。本日は御 多忙の折、ありがとうございました。                                     <了> 〈照会先〉 保険局総務課企画調査係 代表03−5253−1111 内線3218