05/05/20 第32回労働政策審議会職業安定分科会議事録           第32回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日時  平成17年5月20日(金)9:30〜11:00 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委員 (公益代表)            諏訪分科会長、大沢委員、大橋委員、小幡委員、椎谷委員、            清家委員           (労働者代表)            市川委員、須賀委員、徳茂委員、成瀬委員、堀委員           (使用者代表)            石井委員、石原委員、紀陸委員、成宮委員、山極委員、            尾崎委員代理(深澤氏)       事務局  青木職業安定局長、高橋職業安定局次長、大槻審議官、            岡崎総務課長、生田雇用保険課長、坂口需給調整事業課長 4 議題 (1)公共職業安定所業務に関する平成16年度実績について (2)平成17年度の雇用保険三事業による事業の目標設定について (3)ハローワーク関連事業の市場化テストについて (4)労働力需給制度について 5 議事内容 ○諏訪分科会長  おはようございます。定刻となりましたので開会します。  最初に職業安定分科会に所属される委員の交代及び当分科会の下に置かれている各部 会に所属される臨時委員の交代がありましたので、ご報告させていただきます。交代後 の名簿はご参考までに、お手元に配付してありますが、新たに当分科会の委員になられ た方々をご紹介します。まず職業安定分科会の公益代表委員ですが、上智大学大学院法 学研究科教授の小幡委員がご就任なさいました。続いて使用者代表委員ですが、三和電 器工業株式会社代表取締役社長の石井委員です。続いて株式会社資生堂CSR部次長の 山極委員です。また、本日はご欠席ですが、使用者代表委員として日産自動車株式会社 常務の川口委員が、新たに委員になっていらっしゃいます。どうぞよろしくお願いしま す。  また、分科会に置かれる部会に属する臨時委員等については、労働政策審議会令第7 条第2項の規定により、分科会長の私が指名することになっています。事前に指名させ ていただいているお名前を、ご紹介します。まず、雇用対策基本問題部会の公益代表委 員ですが、ただいまご紹介した小幡委員と、読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員 の北村委員にお願いをしています。続いて使用者代表委員ですが、トヨタ自動車株式会 社人事部企画室担当部長の荻野委員と、全日本空輸株式会社人事部長の片野坂委員にお 願いをしています。更に雇用保険部会の使用者代表委員ですが、富士通株式会社人事勤 労部担当部長の塩野委員にお願いしています。次に労働力需給制度部会の公益代表委員 ですが、先ほどご紹介した北村委員にお願いしています。  併せて事務局である職業安定局の幹部にも異動がございましたので、ご紹介させてい ただきます。本年4月1日付けで大石前職業安定局次長が退職なされて、後任に高橋職 業安定局次長が就任されました。一言お願いします。 ○職業安定局次長  ただいまご紹介いただきました、4月1日付けで職業安定局次長を拝命した高橋で す。ここの次長になる前までは、労働基準局担当の審議官ということでして、皆様方に はいろいろご指導を賜るかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。                 (出欠状況報告) ○諏訪分科会長  これより議事に入ります。最初の議題は、公共職業安定所業務に関する平成16年度実 績についてです。前回の分科会においては、平成17年度の目標設定についてご報告をい ただいたところですが、今回は平成16年度の実績が取りまとまったということですの で、これを同様に報告していただこうと存じます。では、最初に事務局から説明をお願 いします。 ○総務課長  資料No.1「ハローワーク関係業務の平成16年度実績について」という資料に基づい てご説明します。ハローワーク関係の業務については、平成16年度から予め目標を定め て、その目標の達成に向けて、ハローワーク一丸となって努力する、こういうことでや っております。その第1年度目の実績が取りまとまったので、これをご報告します。  1つ目は、失業者の早期再就職です。ハローワークの就職率、特に雇用保険の受給者 についての早期再就職について、目標を定めてまいりました。ハローワークのマッチン グの総合的な評価に当たると考えています。就職率については、平成16年度は30%とい う目標を掲げたわけですが、実績については30.7%ということで、わずかではあります が目標を上回ることができました。なお、前回ご説明しましたが、平成17年度について は32%という目標を既に掲げています。  ここ最近の状況を見ていただくと、下にグラフがありますが、棒グラフのほうが就職 の件数、それから折線グラフが就職率ですが、就職件数についても平成10年、11年の頃 には160万から170万件だったのが、最近は200万件を越えているという状況ですし、就 職率については25%程度だったのが3割を越えているという状況です。  就職件数そのものについては、平成16年度の新規求職者が少し減ったということで、 件数自体はわずかではありますが減っています。ただ、就職率は向上しているという状 況です。  雇用保険受給者については、雇用保険の受給期間の3分の2以上を残して、逆に言え ば3分の1以内の期間で就職する方を増やそうと、こういうことでやっているわけで す。平成16年度は12%という目標を掲げましたが、13.6%と、かなりこれを上回ること ができました。平成17年度については、15%を目標に掲げています。  2頁目からは、ハローワークで雇用保険三事業等に基づいて、いろいろな施策をやっ ているわけですが、個々の施策についてもいろいろな目標を掲げて努力している状況で す。それらについてご報告したいと思います。  1つ目は就職支援ナビゲーター。これは就職緊要度の高い方について、企業等での人 事の経験者等の方を専門的な相談員として採用し、全国で700名を配置、マンツーマン による個別的・総合的な支援を行っているわけです。平成16年度はプログラム開始件数 7万件、就職率7割ということで努力したわけです。実績としてプログラムの開始件数 は約8万ということで大幅に目標を上回り、就職率もそういうことで落ちることなく約 7割を達成しているという状況です。平成17年度も目標としては同じ件数を掲げていま す。  それから再就職プランナーについては、下の※があるようなことで、ナビゲーターほ どはマンツーマンではありませんが、担当制に基づいて個別総合的な相談援助をやって いるわけです。これについて平成16年度は240名の専門的な相談員を配置し、5万件の 就職実現プランの作成ということでやりました。実績としては6万4,000件で、目標を 大幅に上回っています。なお平成17年度については、担当する再就職プランナーを240 人から430人に増員しているということもありまして、プランの作成件数については12 万件。それから、やはりプランを作っただけでは就職に結びつくかどうかの指標になら ないということで、新たに就職率というものも目標に掲げたというのは、前回ご報告し たとおりです。  それから就職支援セミナー。これは雇用保険の受給者に対して、早期再就職に資する ために、労働市場の状況等の情報を提供するセミナーを行っているわけです。これにつ いては受講の目標を110万人ということで掲げたわけですが、実績としては98万5,000人 でした。なお、この点については雇用保険の受給資格決定件数が、平成15年度からかな り減ったと、これ自体は喜ばしいことだろうと思いますが、そういう中で受講者は少し 目標に欠けたという状況です。  それから3頁。これは求人をせっかく出していただいても、なかなか応募すらない求 人というのも相当数ございます。そういうものについて、3週間経っても応募が1件も ないような求人については、ハローワークの求人部門でフォローアップをしようという 目標を掲げました。ただ、初年度ということもありまして、約70万件のフォローアップ はしたわけですが、実施率としては5割強だという状況です。やはり求人を出しっぱな しということでは、なかなか充足しないという状況でもあるので、これについては平成 17年度は是非全てフォローアップするという目標で努力したいと思っています。  それから、もう1つはハローワークにおけます、いわゆる年齢不問求人の割合を増や していきたいということです。これについては平成17年度までに30%程度にしようとい う目標を掲げていました。下に平成15年3月以来の推移がございますが、平成15年度は 18.3%でしたので、これを上回るべく努力するということで目標を掲げていたわけで す。ただ、平成16年12月に高年齢者雇用安定法で、「募集採用時の年齢制限をする場合 には、その理由を明示しなければいけない」という規定が施行されたわけです。下のグ ラフで見ていただくと一目瞭然ですが、9月には23.5%。それまで徐々に上がってきた ものが、12月にいきなり10ポイント以上跳ね上がるという状況です。これは法改正の効 果もあったと認識しています。  今後ですが、平成19年度に向けて求人のうちの半分については年齢不問求人にすると いう新たな目標を掲げて、平成17年度はそれを前提にしながら、平成16年度を上回る年 齢不問求人の割合にするということで努力したいと考えています。  それから4頁は、若年者の関係で掲げていました3つの目標です。1つはキャリア探 索プログラム。これは学校に、企業の方々等に出向いていただいて、中学・高校の段階 からいろいろな働き方を理解してもらうというプログラムです。平成16年度は参加生徒 数25万人という目標を掲げていたわけですが、企業の方の積極的な協力等も得られて、 33万人の方に対してプログラムが実施されたということです。平成17年度については、 予算上の措置の部分もあるので、28万人という目標を掲げています。  それから若年者、特に高校等を回って、高校生との職業相談等を行う。あるいは、先 ほどのキャリア探索プログラムのコーディネートも行う「若年者ジョブサポーター」と いうのをハローワークに配置して、高校との連携をとっています。それについて平成16 年度は、相談件数を17万件。これは直接、高校生との相談という意味ですが、そういう 目標を定めました。これについては、目標には少し届きませんでしたが、15万8,000件 の相談をしたという実績です。平成17年度については、ちょっと目標の掲げ方を変えま した。高校については9月以降に内定が始まるわけですが、少し経っても内定に至らな かった方の就職支援をきちんとやるという意味で、相談件数ではなくて11月末以降の就 職内定件数を目標に掲げ、3万人程度としています。  それから若年者について、いわゆるフリーター等ですぐにはなかなか就職できないと いう方について、3か月以内の試行期間を定めて企業に受け入れていただく、いわゆる トライアル雇用を実施しています。これについて平成16年度は約5万1,000件の開始目 標と、常用就職への移行率8割という目標を掲げていました。開始件数については4万 3,000件強ということで、5万1,000件には至っていませんが、常用移行率については設 定した目標どおりということになっています。平成17年度については、これは予算上の 数字ですが、6万人分の予算を確保しているので、これを目標に掲げて、常用移行率は 同じ数字を挙げているという状況です。  それから5頁は障害者の関係で、2つの目標を掲げていました。1つは就職件数で す。ハローワークの紹介による就職の件数は、平成15年度が3万2,885人だったわけで すが、これを上回ろうという目標でした。平成16年度については3万5,871人というこ とで、約3,000人の増加です。障害者の就職件数については、中期的な計画であります、 平成12年に本部決定された新障害者プランにおいて、平成19年度までに年間の就職件数 を3万人にするという目標を掲げているわけです。これは中期目標ですので、この3万 という数字自体は変えられないのですが、棒グラフを見ていただくとわかるように、平 成14年度にこの数字を掲げたすぐ次の年の平成15年度以降、既に3万人を越えていると いう状況ですので、私どもとしては中期目標の3万人という数字にこだわることなく、 より一層の上積みを図るということで努力したいと思っているところです。  それから、障害者についてもトライアル雇用を行っています。これについては開始者 数4,200人、常用移行率8割という目標で努力しましたが、4,220人の開始で82.8%、少 し目標を上回る実績です。障害者のトライアル雇用については平成16年度の実績でおわ かりのように、予算目一杯の開始をしているので、平成17年度については予算の確保を 図って、6,000人の開始目標ということにしています。  6頁は直接ハローワークのみでやっている部分ではないので、そういう意味ではハロ ーワークの目標として掲げたわけではありませんが、ハローワークと民間との協力連携 事業ということで行っているもののうち、数字が出たもの2つについて参考までに資料 を用意しました。1つはジョブカフェですが、これは都道府県が設置して、厚生労働省 のみならず関係省庁の施策をワンストップで提供する施設です。状況としては、都道府 県の判断でサテライトを置いているところもございますので、43都道府県で79箇所があ るわけです。このうち都道府県が要望した場合には、積極的にハローワークを併設し て、ハローワークのサービスもワンストップで提供するという体制でやっています。利 用件数についてはそこにあるように100万人を越え、就職件数は5万3,000人という状況 です。四半期ごとの数字は下にあるとおりですが、この施策については平成16年度から 始まったということもありまして、第1四半期、第2四半期は必ずしも全部が出そろっ ていたわけではないということですので、第3四半期以降が大体出そろった後での実績 ということです。ただ、このジョブカフェというのは、各都道府県がそれぞれの創意工 夫でやるということになっているので、学生向けのセミナー等を相当数やっているよう なところと、それからフリーター等に対する就職相談、職業紹介等を割と重点にやって いるところと、いろいろ特色がございます。セミナー等を中心にしているところは、利 用者数は相当多くなるという傾向が当然のことながらありますし、そういうところは直 接就職には結びつかないという意味では、就職件数は必ずしも多くないという場合もご ざいます。  それから就職者数の取り方も、実はちょっと多様でして、今後工夫しなくてはいけな いと思っています。というのは、紹介に基づいて就職する件数を就職者数と挙げている 場合と、そうではなくてセミナー等を利用した方が最終的に就職したら、それも就職件 数と挙げているところがあるからです。そういう意味で5万3,000人という数字は、必 ずしも一義的な定義に基づくものではないというところがあるのは、ご理解いただきた いと思います。  それから、もう1つは官民共同窓口ということで、これも市町村等が主体として、国 のサービスと民間事業者のサービスを同じ場所で提供するものです。これは、もともと は構造改革特区でやったもので、既に全国どこでもできるということにし、東京の足立 区と札幌市でやっています。その平成16年度の延べ来場者数は、あだちで6万8,800人。 それから札幌が、これは11月から始まっているので、年間を通じてではありませんが、 1万4,900人という状況です。総合受付で、それぞれどちらを利用するかということを 聞いた上でやっているわけですが、ハローワークのほうを利用された方が6万6,000人、 民間のほうが2,600人、札幌は下のような数字です。  就職件数は、紹介に基づく就職件数だけを挙げていますが、それぞれ右側にあるよう な数字になっているという状況です。一応これも参考までにご説明しましたが、以上の ようなものが平成16年度の実績です。そういうことを踏まえて、3月にご説明したよう な平成17年度の目標を掲げているという状況です。 ○諏訪分科会長  どうもありがとうございました。それでは、大変興味深い数字も出ているので、ご意 見、ご質問等があろうかと思います。ご自由にお願いします。 ○清家委員  大変よくわかりました。また、景気の回復も反映して、紹介サービス等の状況も順調 に推移していることがわかったのですが、1つとても興味深かったのは、ハローワーク における年齢不問求人の割合が、高年齢者雇用安定法の改正以降、かなり飛躍的に上昇 していることです。たしか年齢の制限をつける場合には説明をしてくださいというやり 方にしたと思います。これは、規制の手法として、かなり注目していいのではないかと 思います。つまり何かを直接規制するとかではなくて、とりあえずそういうことをする 理由を、まず考えていただくという意味で、それをきっかけに年齢制限が実は必要なか ったというようなことも、労使で話し合われて、思い直されるようなケースもあると思 います。こういった形の規制手法が、かなり効果を上げたということについては、特筆 しておいていただきたいと思います。 ○諏訪分科会長  他にいかがでしょうか。 ○須賀委員  若年雇用のところで、いろいろと工夫はされているように聞いているのですが、これ は三事業のほうからの就職支援ナビゲーターとの関係もあるのです。特にフリーター対 策という意味で、どんなことを具体的になさっているのか、もう少し説明いただければ ありがたいのですが。 ○総務課長  フリーター関係の対策について、目標で掲げたもの以外のものを含めて、いろいろな 取組みをやっています。1つはハローワークを主体とした取組みと、それからもう1つ は都道府県その他と連携した取組みです。ハローワークについても、若年者向けのヤン グワークプラザは大都市、5都市に置いていますが、そういった所でフリーター等を中 心とした専門的な相談、職業紹介を行っています。そういう部分と、それからいちばん 最後の頁にありましたジョブカフェ。これは都道府県等が主体となって、連携しながら 各種のサービスをやり、ハローワークの職業紹介もやる。そういった意味で、総合的な 就職支援、紹介をする施設としては、ヤングワークプラザ5箇所と、それからジョブカ フェが先ほど申し上げたような状況で展開しています。  それからフリーター等の中で、すぐにそういう施設に自ら来られない方向けというこ とでは、雇用能力開発機構においてヤングジョブスポットという、就職活動に入る事前 段階でのいろいろな相談等を行う。このようなことも合わせて展開しているということ です。  それから通常のハローワークにも、当然そういう方が来られるわけですので、そうい う方についてはそれぞれのハローワークで担当の職員等が適切に相談に応じる体制にな っています。  それから、そういう場合の手法として、これも4頁のいちばん下にあるトライアル雇 用等を含めて、すぐに常用就職に結びつかないような方については、とにかく一度試し に働いてみて、働く側も企業の側もそれを見極めている、という状況です。  ただ、そういう中でフリーターの数については、なおも毎年増える状況にある中で、 更に一段の力を入れる必要があります。平成17年度中の目標ですが、この5月から新た に20万人のフリーターの常用雇用を目指すという取組みを始めたところです。この関係 では、トライアル雇用その他の手法を通じて、という部分で10万人の常用雇用化を図る ということと共に、ハローワークで専門的な相談体制を組んで、そういう中でフリータ ー等の方の常用雇用を進め、10万人の常用雇用、常用就職を図る。こういうことで、ハ ローワークの全力を挙げてそういったことに取り組むことを考えています。  なお、これは行政だけがやれば、ということではなくて、企業の理解、労働側の協力 も必要だろうということでして、平成17年度、その他の更なる取組みとして、これは来 週予定されていますが、新たに「若者の人間力を高める国民会議」というのを組織し て、いろいろな企業、組合、地域社会、教育界、それが相互連携して、一丸となって取 り組む体制をとっていく。そういう中で、更に各種の対策を進めていくということで取 り組んでいきたいと思っています。 ○紀陸委員  ちょっと質問ですが、従来、いわゆる二割職安というような言われ方をしています が、あの二割職安というのは就職率ですか。あまり正確な用語ではないですが。 ○総務課長  通常、二割職安という場合の「二割」については、就職率ではなくて、就職の動向調 査において、どういうルートを使って就職したかということです。そうすると、安定所 が大体2割、民間は数パーセント、学校を通じてというのが約1割、他にも求人広告を 見てという方とか、縁故で採用された方とか、そういうのを全部合わせると100になる わけです。そのうちのシェアが2割という場合に、通常、二割職安という言い方がされ ているのだろうと思います。 ○紀陸委員  常用雇用の中で、いわゆる最終的に就職した人が職安を経由したかどうかということ ですね。 ○総務課長  そういうことです。 ○紀陸委員  一種、利用率ですね。 ○総務課長  利用率です。 ○紀陸委員  そういう観点からいくと、先ほどの2割というのは傾向的には変わらないのですか。 ○総務課長  利用率2割については、若干は上がっていますが、これは当然のことながら全員が安 定所を通じてというよりは、アルバイトその他であれば当然求人広告が主体になる部分 もありますし、特に中小企業等では縁故で採用される部分というのも相当多いわけです ので、そういう中で職安がどの程度利用されるかどうかということだろうと思っていま す。  ただ、いずれにしても私どもとしては、職安を通じた職業指導等があればより適切 に、就職できる方についてはできる限りサービスが行き届くように今後も努力したい と、このように思っている次第です。 ○職業安定局長  ちょっと補足いたしますと、この数字、要するに30%というのは、ハローワークの紹 介を受けて就職した人です。だからハローワークでは、職業紹介だけをしているわけで はなくて、いろいろな就職に向けてのコンサルティングだとか相談をやっているわけで すから、そこでいいモチベーションを受けて就職したという人は、実は入っていないの です。だから、利用する意味で完結した人の数字だけですから、それ以外の活動の成果 というのは計りようがないのですが、実はもっとあると考えています。 ○紀陸委員  実績を確認しながら、目標を立てて効率を上げていくという手法は、どのような所で もやっているのではないかと思いますので、こういう形でいいと思います。特に1頁目 の就職率ですけども、数字が上がってきています。これの原因には、ハローワーク自体 の努力もあるでしょうし、特に雇用保険の仕組み自体が変わってきています。受給よ り、できるだけ就職を促進するという形に切り替えてきているということで、当然なが らそういう要因もこの中にあるのだと思います。  いずれにしても、この数字の上がり方は、件数はともかくかなり評価できます。どの 会社もそうでしょうが、従来の延長線上に線を引っ張って、成果を達成しやすいような 目標を立てれば、当然ながら数字自体が上がってくるでしょう。最終学歴だけではな く、他の数字や後でやる三事業のPDCAなど目標設定を以前は組織の中だけでやられ ていたというような経緯があったと私は理解していますが、目標の立て方自体をどうす るかによって達成の評価がかなり違ってくるのは当然の話だと思います。そういう意味 で、これからもいろいろな意味でこういう目標設定の仕方を公開していただいて、かつ 制度の仕組み自体のあり方を論議したいと思います。分科会もそうですが、この下の懇 談会等も含めて、従来以上にいろいろやっていただけるとありがたいと思います。 ○総務課長  平成16年度については、行政のほうで目標を定めてやったという実績だけの報告にな っていますが、平成17年度は設定の段階で目標を説明しましたし、今後はこういう形 で、目標を立てる段階と実績の両方について、この分科会等でも説明しながらご意見を 伺って、より適切な目標の設定とその実現に努力していきたいと思います。 ○須賀委員  ハローワーク関係の市場化テストの部分の数字が出ていますが、6頁の「官民共同窓 口の設置による職業紹介」の状況についてもう少し教えてほしいのです。従来のハロー ワークでやるものと民間の事業者が、窓口を併設することだったと私は記憶していま す。来所者数と就職件数を直接結びつけるというのはどうかと思いますが、出ている数 字はそれしかないので、単純に割り算をすると、あだちの場合が1,977人の就職件数、 来所者が6万6,000人強ということで、割り算をすると3%です。民間事業者が1.7%、 逆に札幌が、ハローワークの窓口が3.1%に対して、ちょっと上と下で差がありますが、 その他が6%ちょっとということです。この辺の内容の分析はされていますか。何故そ うなっているのか、あるいは来所者数と就職件数の関係をどう見ているのか、ハローワ ークでやったものと民間でやったものと何か差があるのかないのか、この辺を少し紹介 してもらえれば有難いと思います。 ○総務課長  あだちは既に1年以上経っていますが、札幌については昨年の11月から始まったとい うことですので、まだちゃんとした意味での比較をするには少しデータ不足かという部 分もあります。ただ、総じて言えることは、民間事業者は、比較的この施設で就職のた めのいろいろなカウンセリングその他を重視した形での取組みをやっているように感じ ますし、ハローワークの場合については、当然そういう部分もやっていますが、既存の ハローワークとの地理的関係等から一般的に求人の状況その他を確認に来られる、こう いうような方も相当数おられるという状況はございます。  のべ来所者数というのは、通常の就職率もそうですが、同じ方が何回も来る中で、結 局、新規求職者との関係で3割というのが出てきていますので、決してこの6万対、例 えば2,000が3%ということは、それは同じ方が10回来て就職すれば3割になるわけで す。ですから、来所者数と求職者数とは意味が違うので、これは単純に割って就職率に いかない点はご理解いただきたい。 ○須賀委員  窓口は併設されているわけですね。実はそういうことで、意味がないというのはわか りましたけども。それにしても、どちらが効果的なのか効果的ではないのかというの は、これからは見られないのですが、どういうふうにそれを見ているのですか。これは 直接ハローワークの人と並んでいるわけですから、来所者の評判だとか、あるいは実際 に窓口でやっている人が併設されていることをどう受け止めているか、その辺の状況を 把握しているのですか。 ○総務課長  その辺は1年経ったところでもありますし、我々としても、今後ハローワークそのも ののサービスのあり方を高めていくためにも少し検討しなければいかんと、こう思いま す。ただ、官民の比較を私のほうだけでやるのがいいかどうかという問題もあります。 そういった点についてはそれぞれ切磋琢磨するということを含めて今後少し分析をし て、より良いハローワークに結びつけていく努力をしたいと思います。 ○諏訪分科会長  他に何かございますか。 ○大沢委員  大変詳細なデータをありがとうございました。それで、実際の若者の雇用状況です が、ここでは就職率その他、実際に利用者についても述べられていますが、例えば就職 したとしても離職する人の割合とか、もう少し丹念に見ていく必要があるのかというの が1点です。  もう1つは雇用状況です。最近の求人数などを見ていると、以前に比べて回復してい るような兆しも見られるのですが、一方では非典型雇用が増えているというような報告 もありました。その辺について、今後の若年雇用をどのようにご覧になっているか、2 点教えていただきたい。 ○総務課長  本日は、目標を定めたものについての実績という資料でございます。全体の資料では ないことはお許しいただきたいと思います。いまおっしゃった点については、資料その ものについてはまた別の機会に整えて、説明の機会があれば述べたいと思います。若年 者の早期離職の点について言えば、七五三と言われている現象があるのは事実でして、 そういった中で今年度の新たな施策としても、若年者の定着を図るための全国的なネッ トワークでの相談体制、就職した後も民間委託という形で相談をやっているというよう なこととか、あるいは地域の経営者団体等に委託して、比較的若い方への定着のための いろいろなセミナーとか、取組みをしてもらうためのモデル事業などをしています。そ ういう状況も見ながら、さらに対策を進めなければいけないと思います。 ○職業安定局長  2点目については、雇用状況を見ると、これもご案内のことですが、先月の完全失業 率が4.5%です。25歳未満が大体その倍ぐらいの10%弱です。女性よりも男性のほうが若 干高いです。有効求人倍率になると25歳付近がいちばん高いです。若い人たちは仕事が あるけど失業率も高いわけですから、いま先生がおっしゃるように、職を転々とするよ うな人たちの割合が多いことが言えると思います。  有効求人倍率もずい分上がってきて、0.9いくつで、大体平成5年ぐらいの数字に戻 ってきています。平成4年10月に有効求人倍率1を切っています。同じペースで戻って きているのですが、先生も触れられましたように、十数年前は求人の内容が常用求人、 パート求人、臨時、アルバイトというもので分析可能でした。ところが、最近増えてい るのは、同じ数でも派遣労働関係の求人であるとか、それから、かなり増えているのが 請負型求人です。登録はサービス業ですが、採用されていく先は製造業だとか、こうい うものの割合がかなり増えていますので、総量としての求人が同じになったとしてもそ の中身にはかなり違いがあります。したがって、求職者のほうから見ると、伝統的な職 業ではない形態の求人が並んでいて戸惑う、そういう中で仕事の中身がよくわからな い、ミスマッチになる、というようなことも指摘されています。 ○諏訪分科会長  他によろしいですか。 ○小幡委員  今日から参加していますので、ちょっと勝手がわからないで、素朴な質問を1点させ ていただきます。目的を掲げたものの成果の読み方ですが、若年者トライアル雇用や障 害者トライアル雇用では、両方とも3か月の試行雇用で、1人あたり5万円を支給、常 用雇用移行率は8割となっています。仕組みとしては、例えば障害者の場合様々な制度 が既にあって、その中で取組みがあります。同じような目標値になっているのですが、 こういうものがなかったらどうだろうということや、2つを比べるなど、この制度自体 の読み方というのはどうお考えですか。 ○総務課長  なかった場合との比較差、なかなか難しい面がありますけど、ハローワークでの取組 みの考え方としては、別にその場でトライアルということなく就職できるのであれば、 当然そちらのほうが不安定な期間がないからいいだろうと、こういうことでやっていま す。したがって、トライアルがあるためにそれに寄りかかっている部分がどのくらいあ るか、なかなか検証が難しい面がありますが、それぞれここで開始された4万人なり、 あるいは4千人なりの方については、トライアルという制度がなければ、とにかく雇っ て試してみてください、というのを企業側が受け入れてくれなかった部分が相当あるか と思います。そういう形でやってみたら、やはりそこで働けるではないかと移行してい く部分が、こういう数字になったということがあります。なければこれが全然なかった だろうとは言いませんが、やはりできるだけそのように心がけるような運営には努めて いる、というのが現在の状況です。また、どうやって分析するかを含めてもう少しいろ いろ考えていきたいと思います。 ○諏訪分科会長  それでは、よろしいですか。では、お手元に配付されている資料のとおりでして、も う1つ、非常に興味深い、目標設定に関わる点があるので、次の議題に移ります。それ は、平成17年度の「雇用保険三事業による事業の目標設定について」というものです。 これについては既に本年4月14日に発表されたものですが、その内容について、ここで 改めて事務局から説明してもらいたいと思います。 ○雇用保険課長  資料No.2に基づいて説明します。  雇用保険三事業は、雇用保険法の62条から64条に基づいて、失業予防や早期再就職促 進、あるいは雇用機会の創出、職業能力開発といったことを行う事業です。この事業に ついては、平成16年度から目標設定をするという取組みをやっています。この考え方 は、目標設定をして、年度終了後実績を公表して、評価して見直しをするというサイク ルをつくっていくというものです。  資料の1頁目にあるように、これはPDCAサイクルとなっています。民間企業では 常識だと言われているようですが、特別会計の事業でこういうことをやったのは初めて です。やり方がなかなか難しいということで、いま工夫、努力をしているところです。  次の○にありますように、平成16年度80事業に目標を設定、平成17年度は事業を増や して152事業にしています。評価の考え方は、次の2頁目に渦巻の図が書いてあります。 PDCA(Plan・Do・Check・Action)、まず計画を設定した段階で目標を公表し、ま た、こういう分科会の場でも御説明し、事業を実施した上で、事業実績も含めて評価の 結果を公表し、これもこういう場で御報告して、それに基づいて事業の見直しをしてい き、また新しい計画を作っていくと、こういうサイクルをつくるというものです。  1頁に戻りまして、この評価をする際に、どういう考え方で評価するかということが この枠囲みの中に図示されています。これはモデル的な考え方ですので、全部このとお りになるというわけでもないのですが、大体こんなパターンであるという説明図です。  従来、国の事業は予算執行率を相当重視していまして、いくら使ったか、あるいは件 数がいくら出たか、こういうことを評価していたのですが、目標設定をするという過程 を通じて、その目標を達成できているかどうか、その政策効果が出ているかどうかとい うことのチェックをして、それをクロスする形で評価していくという考え方です。例え ば、右上の予算執行率が高く、政策効果が高いものについては落ちついてしっかりやる ことになりますし、予算もそれなりの水準を確保することになりますが、逆に予算執行 率が低く、政策効果が低いものについては、事業の廃止などを中心に考えることになる と思いますが、こういった座標軸で考えていくということです。  1頁目の上に書いてある○のいちばん下ですが、平成16年度の目標が既に設定してあ って、いま実績を集計してまとめているところです。6月中には評価の結果が取りまと められると思いますので、そういったものも踏まえて事業の見直しをして、平成18年度 の予算要求に反映させる考えです。  続いて3頁ですが、平成17年度の目標設定のポイントです。基本方針の(1)(2)につい てはいま説明しましたが、(3)「より適切な目標の設定」ということを考えています。 これはどういうことかと言うと、その下の「評価対象事業の拡大・見直し」の2つ目の ○にある、「原則としてアウトカム目標の設定」ということです。これは先ほど申しま したように、従来は予算の額や執行件数で、目標を設定するということはあったようで すが、アウトカム目標ということで、例えば事業の評価として、就職率が何パーセント になるとか、あるいは離職が防げるとか、そういったタイプの目標を設定するというこ とで、そういったタイプの目標の割合を平成17年度で9割にまで高めているということ です。さらに予算額全体に占める評価設定の事業の割合を9割に高めていまして、廃止 事業で暫定措置で残っている事業だとか、あるいは、廃止が予定されている事業を除け ば、ほとんど目標設定をしているものです。いちばん下の目標管理の徹底の所は、先程 説明したことと同じことなので省略します。  具体的な目標設定の例ですが、大体パターンとして4つあります。1つは就職率、常 用移行率等の率を目標として設定しています。この上の3つは先ほどハローワークの目 標設定で説明したものとダブっていますが、三事業で行われる事業でもありますので、 三事業の目標の中でも書いてあります。  次が利用者と利用しなかった者とを比べるということで、雇用調整助成金という三事 業の代表的な助成金制度があります。これは事業所の雇用状況が非常に厳しくなったと きに失業を防ぐという観点から出されている助成措置で、雇用が厳しいというか、事業 所の経営状況が厳しい所に出すものです。そういった所について、1つの目標として、 利用事業所の事業主の離職割合が、利用しなかった事業所の離職割合よりも低いとか、 あるいは使った事業所が消滅するのではなくちゃんと存続しているということで、そう いった形での目標を設定しています。  それから、雇用の創出効果を設定するものです。受給資格者創業支援助成金は、雇用 保険の受給者が新しく事業をスタートしたときに助成するものですが、1年後には2人 以上雇っているということ、高年齢者等共同就業機会創出助成金では、45歳以上の方が 3人以上寄って事業をスタートしたときに助成金が出るのですが、事業の継続率90%、 あるいは雇用創出が7人以上といったことを基本にしています。  いちばん下のユーザー評価を行うものですが、これは新しく始めた事業に多い設定方 法です。例えば、ジョブパスポート事業があります。これは若者が雇用以外の無償の労 働体験を経たときに、パスポートにその記録を残して、その記録を積み重ねることによ って雇用につないでいく事業です。あるいは緊急サポートネットワーク事業、これは育 児の支援の関係の事業で、急に用事が入ったときに子供さんを預かってもらうためのネ ットワークづくりのための事業ですが、そういったものについてもユーザー(利用者) の役に立ったという評価の割合を目標にしています。  個々の目標については、その後152事業全部を書いており、ご紹介することは難しい のですが、一応資料の整理の仕方だけご報告します。その後ろに綴じている資料の4頁 を開けていただきたいと思います。出だしに「職業安定局関係」とあります。この資料 は、いちばん左端に個々の事業を並べ、その隣に平成17年度の目標を掲げています。既 に平成16年度の目標を設定しているものについては、その横に並べ、比較できるような 形に整理しています。それから、事業は、その施策体系順に整理して並べています。こ れは後ほど全体についてご覧いただければと思います。以上です。 ○諏訪分科会長  ありがとうございました。それでは、本件についてご質問、ご意見等をお願いいたし ます。 ○大橋委員  先ほどのと少し関連するのですが、各プログラムごとに目標設定をして、実績を評価 していくということです。例えば、先ほども出てきましたが、ジョブカフェとハローワ ークの業務がかなりオーバーラップしているように思います。要するに主体が都道府県 と国の違いということです。したがって、目標の評価をプログラムごとにやるのか、組 織ごとにやるのかという問題があります。それから、ジョブカフェとハローワークの位 置づけはどうなっているのかを疑問に思います。例えば具体的に言えば、特に利用する 側から見て、ジョブカフェとハローワークの差はいったい何でしょうか。 ○雇用保険課長  まず、三事業について、どういう考え方で目標を設定しているかということを申し上 げたいと思います。この雇用保険三事業については、予算項目、事業別にどういう成果 が上がっているかということをちゃんと測定しなければいけないと、各方面からご指摘 を受けています。事業ごとの目標設定と設定した目標に基づく評価は欠かせないと思 い、こういう形で個々の事業の評価をしています。 ○総務課長  ジョブカフェとハローワークの関係です。ジョブカフェは、若年者に焦点を当てて、 各種の施策を統合して、ワンストップでサービスを提供する。その1つとしてハローワ ークもある。したがって、40いくつのジョブカフェのうちの30いくつについてはハロー ワークも併設しています。併設しているハローワークは、ある意味では他のハローワー クと全国ネットワークでつながっていますから、ハローワークのそういったサービスを 全部含めてそこで提供するものです。ですから、それは競争関係にあるのではなく、ジ ョブカフェを通じて、若年者という対象に対しては1箇所で総合的なサービスが提供で きている、このように理解しています。 ○大橋委員  それですと、例えばどういう評価になるのでしょうか。この部分はハローワークで、 この部分はジョブカフェだと、この仕組みだとそのようにとれますね。そうではないの ですか。 ○総務課長  いろいろな所で言われているのですが、やはり各施策をバラバラにやるよりは、ワン ストップで総合的にサービスを提供したほうが効果が上がる部分があります。ジョブカ フェの評価というのは、そういう意味ではいろいろなものを統合した評価になっており ますので、ハローワークの職業紹介だけを単独に比べるのはちょっと難しいのではない かなと思います。いろいろな施策を統合したことによって、個々の施策の効果などがよ り高まって提供されるとすれば、ジョブカフェというものがワンストップにおける評価 になってくると思います。ただ、正直言ってジョブカフェについては、各都道府県がい ろいろな工夫を凝らしているので、その部分を評価するのはなかなか難しいのは事実で す。  なお、ジョブカフェについては、厚生労働省のみならず経済産業省等、関係省庁との 総合施策でもありますので、別途ジョブカフェ評価委員会というのを設け、そこでいろ いろな委員方の知恵を借りながら評価をしているところです。いま大橋委員が言われた ことも含め、更にいろいろな評価の仕方を検討していきたいと思っております。 ○大橋委員  難しいとは思いますけど。 ○紀陸委員  先ほども申し上げましたが、前80のPDCAの形を150の事業にして、それぞれの中 だけで見ていくというのは、結果的に木を見て森を見ずということになりかねないと思 います。一つひとつの回し方や利用率を見るだけで、その事業の価値を評価できるの か。全体を見た中で、優先事業をどういう形で決めていけばいいのかという論議がない と、評価というのはしにくいと思います。しかも、数字が出るものと出にくいものがあ りますので、この目標をきちんとチェックしながら、政策評価の材料にするという形で 見ないと、評価を間違うことになりかねないと思います。  一つひとつの事業の運用状況を把握しておくというのは意味が大きいことだと思いま すが、特にチェックしてアクションをするというのは、場合によってはもう少し違った もの同士で、見る必要があるものなのかもしれないと思います。 ○雇用保険課長  いまご指摘いただいたことは、まさにそのとおりだと私どもも思っております。数字 がないとなかなか評価ができないのですが、事業ごとに目標を設定することによって透 明な評価ができるというメリットがある一方で、いろいろな施策相互の関係、あるいは 雇用情勢、社会経済情勢も当然変わりますので、そういったことを頭に置いた上で最終 評価を下す必要があると思っております。例えば、1頁の図は本当に典型的なモデルの 書き方でありますので当然、最終的な評価をする段階では、いまご指摘のような評価を しなければならないと考えております。 ○須賀委員  実は紀陸委員と同じようなことを指摘しようと思っていたのですが、1頁目の横書き になっている評価実施体系というのは、局ごとの編成になっているわけですね。行政の 縦組織を中心に、個別施策ごとの評価をするということになってくると、それぞれの雇 用対策、安定政策というのは横の連携がものすごく重要になると思います。そして、ご 紹介のあったPDCAシステムは、民間では一般的のようですがという説明がありまし たが、一般的を通り越して、企業全体の中の施策をどう見直すかということで、頻繁に 使われている内容なのです。  したがって、個別な小さな部分の評価が必要でしょうけれども、もう少し研究をされ て、大きな雇用対策なり職業安定施策の柱の中で、個別施策をどう位置づけるのか。そ のときの局運営まで絡めるとやっかいな話ですけれども、そういうことも含めた視点で 目標管理をしていかないと、結果的に個別施策のためだけの管理になってしまうような 気がしますので、是非ご留意いただければありがたいです。 ○職業安定局長  個別の事業をチェック、整理、評価したものをこういう3者構成の場に出して、大勢 の方からそういった評価の仕方が良いのか、あるいはもっと複眼的な目で見たほうがい いのか、そういうことを考えてやっていくつもりです。ここに書いてあることは、単に 事業を担当している者が整理をして、いわば、本当のチェックを受けるための材料を作 る作業です。これからますます難しいことを当分科会にお願いすることになりますが、 よろしくお願い申し上げます。 ○諏訪分科会長  ほかにご質問、ご意見はありますか。 ○小幡委員  雇用は非常に大事なことだというのはわかっているのですが、施策を考える上で国が やるか地方がやるか、あるいは公共がやらなくても民間でもできることはたくさんある かもしれないといったことで、評価というのは結局、事業が本当にやる必要があるかと いうことも含めて見直す循環だと思います。  そういう観点から、先ほども説明がありましたが、雇用保険は特会なので、どういう ふうに切り込んでいくかは難しいのかもしれません。しかし、ある程度限られた財源の 中で、いちばん有効なものを有効な形でやっていく視点が特に必要かと思います。先ほ どからお話がありますように、ダブっていろいろなところがやるというのがいちばんま ずいのです。ここの目標設定のところでは地方や民間は、なかなか直接入ってこないの ですね。  もう1点、独法にやらせている分については、独自に事務事業を刈り込んでいけとい う要素が働いてきますので、そこら辺で何を本当にやらなければいけないかということ を含めた形で評価をうまく、本当の意味でいちばん効率の良い、やらなければいけない 事業に絞り込んでいくという視点でやっていかなければいけないと思います。これは、 そもそも雇用保険なので、もちろん保険料の負担をなさっている所があるわけですか ら。 ○雇用保険課長  雇用保険三事業は事業主の方から0.35%保険料をいただいているのですが、その財源 については当然効率的に、有効に使わなければいけないと考えております。その使い方 についてこれは全体像なのですが、個々の事業を並べることによって、重複していない ということが判明するという効果ももちろんあると思っています。  それから、地方公共団体なり民間の活用については、個々の事業の説明があまり書い てなく恐縮なのですけれども、そういった事業が最近増えており、直轄でやる事業はか えって少ないと思っております。  独立行政法人については、独立行政法人のほうが事業が効率的にできると想定される ものについてお願いをし、独立行政法人が再確認をして、それがぴったりくるところが するというやり方です。当然、事業を効率的にやって、政策効果も上げていただかなけ ればいけないと思っております。個々の独立行政法人について、三事業の予算を措置す る際に、私どもは厳しく予算の配分額について考えており、ここ3年毎年減らしている 状況です。とにかく、非効率事業や無駄な事業を切り込んでいくという形での見直しは やっていきたいと思います。あと、これから政策評価が本格化しますので、その中で更 に見直しを進めていけるのではないかと考えています。この資料の後ろに別紙で、各独 立行政法人ごとの目標設定が付けてあります。 ○諏訪分科会長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次の議題に入ります。次の議 題は、ハローワーク関連事業の市場化テストについてです。本件に関しては5月16日に 落札事業者が決定し、6月から実施されることになっております。そこで、その内容等 について事務局からご説明をお願いします。 ○総務課長  資料No.3をご覧ください。市場化テストのモデル事業については、前回ご質問に答 えて概略を説明したところですが、今般、落札企業も決まったということで、もう一度 資料を整えてご説明をさせていただきます。今回、まだ規制改革・民間開放推進会議等 で市場化テストという全体的な手法を検討している段階ですが、その際にモデル事業と して先行的にいくつかの事業をやってみるという取組みを今年度やることになったわけ です。  基本的な考え方は1に書いてありますが、民間事業の創意工夫を活用して官民の比較 をしていくということです。規制改革会議等においては、将来的に国も入札に参加する ことを想定しているようですが、現行の入札制度の中で、官民の両方が入札するという 仕組みはありませんので、モデル事業においては国が入札に参加するということではな く、いろいろな意味で国がやる部分と、民間がやる部分の競争条件を均一化した上で、 いろいろな形でコストやサービスの質を評価することになっています。  この対象については、昨年の秋から冬にかけて規制改革会議と各省庁等でいろいろな 議論がありました。その際、ハローワーク全体を市場化テストの対象にしたらいいので はないかという指摘もありましたが、私どもとしては、ハローワークそのものについて はいつでも誰でも利用していただくという意味で、無料のセーフティーネットとしての 職業紹介と、それから、全国的に運用すべきである失業保険制度、雇用保険制度の一体 的な運用を考えた場合に、どこかのハローワークを一体として民間に委ねる、あるいは 市場化テストの対象とするのは適当ではないと考えております。ただ、ハローワークの やっている各種関連事業等を含めて考えた場合には、民間でやったほうが効果的・効率 的なもの、あるいは比較をしてみていいものがあるのではないか。こういう種々の議論 を経た上で、今年度については3つの事業を対象にやることになったわけです。  手法としては、1つは先ほども言ったように実績や質、コストの面で評価するという ことです。これは別途厚生労働省に市場化テスト評価委員会、学識経験者の委員方と私 ども、それから、深く関係している事業者団体等からなる委員会ですが、そこで第三者 的な評価をしながら、事業をやっていくということになっております。官は入札に参加 いたしませんが、民間の各事業者から企画を提出していただき、その企画の評価と、価 格等を総合的に評価する、いわゆる総合評価方式による一般競争入札で落札業者を決め ます。  対象事業は1頁の下の「対象事業の概要」にあるとおりですが、1つはキャリア交流 プラザ事業です。キャリア交流プラザは、ご承知のように中高年のホワイトカラー求職 者等について登録制によるいろいろな職務経験交流、キャリアコンサルティング、ある いはセミナー等を行うハローワークの施設で、全国に15あります。そのうち2頁のいち ばん上に書いてある、北海道以下5つの局のキャリア交流プラザを今回市場化テストの モデル事業の対象にしました。入札手続その他の関係もありましたので、6月から来年 5月までの1年間を対象にやっていきます。支援対象者その他はそこに書いてあるとお りです。  (6)にあるように実績もきちんと評価するという意味において、このキャリア交流プ ラザは各種就職支援も行いますが、紹介就職ということではなく、登録者がどういう形 なりどういうルートであれ、就職したかどうかということで評価をすることを基本に考 えています。そこにあるように、支援開始後6か月間ここを通じてではなく、いろいろ なルートを通じての就職件数、就職率、定着状況を見ていくことにしています。当然の ことながらコストも比較していきます。  (2)は若年者版のキャリア交流プラザです。本来のキャリア交流プラザ15箇所は中 高年のホワイトカラー離職者等を対象にしていましたが、若年向けの施策も是非市場化 テストのモデル事業の対象にという議論があった結果、キャリア交流プラザについて若 年版のものを1つ新たに創設し、これを市場化テストのモデル事業の対象にすることに しました。  3頁にあるように若年者の雇用状況が厳しい大阪を対象に行い、期間その他は先ほど と同じです。支援対象者は、すぐに就職が難しいような、いわゆるフリーター等の状況 が長い方、本人が条件に固執するような方等です。手法等については通常のキャリア交 流プラザとほぼ似ており、若年向けの各種の創意工夫をしていただくことにしておりま す。これは官ではやっていない部分でありますので、どう比較をするかは評価委員会で もいろいろな議論がありますが、就職件数、就職率等を見ながら全体を評価していくこ とにしています。  3つ目は求人開拓事業です。求人開拓については雇用情勢が厳しい中、民間の営業担 当等をしていた方を求人開拓推進員として、ハローワークで雇用する形で求人開拓を続 けてきました。雇用が厳しい時期には2,000人、あるいは1,000人規模の求人開拓をして いましたが、平成17年度は少し雇用情勢が改善してきており、特に雇用情勢が厳しい地 域に重点を当てた求人開拓をもともと予定していました。そういった意味で全国で500 人規模の求人開拓推進員を当初から予定していましたが、そのうち3つの地域、(1)に ある北海道札幌地域、秋田中央地域、福岡北九州地域については民間の事業者に市場化 テストのモデル事業として委託することにしました。実施地域その他はそこにあるとお りですが、受託をした事業者が当該地域の事業場の訪問を通して、ハローワークとして の求人を確保していく事業です。  5頁の(5)にある実績評価としては、先ほど求人と言ってもいろいろな求人が増えて いるというお話がありましたが、ハローワークの求職者が就職につながるような、要す るに充足される求人を集めるということが必要だと考えます。求人件数だけではなく、 充足数を含めて評価していきます。いずれにしても、初めての試みであり、どうやって 評価するか等々なかなか難しい面もありますが、評価委員会でも議論し、少しやりなが ら考えていくことを取り組んでいます。  落札等の結果については最後の頁にありますが、それぞれ総合評価方式の競争入札の 結果、そこにあるような企業が落札し、いま契約過程にあります。いずれにしても、6 月1日から事業開始に向けての準備を進めています。なお、※でそれぞれ参加された事 業者数を掲げておりますので、ご参考にしていただければと思います。 ○諏訪分科会長  どうもありがとうございました。それでは、本件にご質問、ご意見はありますか。 ○徳茂委員  資料No.3の2番の評価委員会のことなのですが、ハローワーク関係と社会保険の関 係は両方とも評価委員会で取り扱われているのですか。 ○総務課長  厚生労働省ということになっており、社会保険関係は社会保険庁が別途やっておりま すので、ここでは対象にしておりません。 ○徳茂委員  社会保険庁関係のニュースに、1円で落札したという報道がありましたけれども、今 回、こちらではそのようなことはなかったわけですね。今後この手法に対する一円落札 の影響は相当大きいのではないかと感じており、その辺についてのご議論などがあった のでしたら少しご紹介いただければと思い質問いたしましたが、扱う場所が違うという ことはそれはそれで結構です。 ○諏訪分科会長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。非常に重要な問題でありますので、今後 ともよろしくご処理をお願いしたいと思います。  では、続きまして最後の議題に入ります。「労働力需給制度について」です。事務局 からご説明をお願いいたします。 ○需給調整事業課長  本件は、前回の労働力需給制度の見直しの結果、職業安定法の改正あるいは労働者派 遣法の改正を行い、その施行後1年を経過したということと、政府の規制改革3カ年計 画の中で、いくつかの点について施行状況を踏まえて検討することとしており、改正法 の施行後の状況についてフォローアップと、それを踏まえたご検討をお願いしたいとい うものです。  お手元にNo.4「労働力需給制度について」という資料をお配りしておりますが、ポ イントのみご説明させていただきます。1頁の職業安定法及び労働者派遣法関係法令の 主な改正点ですが、これはただいま申し上げたように平成16年3月1日から施行された 内容の関係法令です。  1の職業安定法の関係では、職業紹介事業の許可・届出制等の見直しということで、 例えば、地方公共団体が自治体の業務に附帯する無料職業紹介事業を行うことを可能と して、届出制とするということ、(2)にあるような、手数料の対象となる求職者の範 囲の拡大の改正が行われました。  2の労働者派遣法の関係では、派遣期間の延長ということで、従前1年の派遣期間制 限でしたが、受入れ側の労働者の過半数代表に意見を聴くことを要件として、3年まで 受入れ可能とするといったこと、それとの関係も含め、派遣期間の制限違反の予防、あ るいは直接雇用の促進といったことから、雇用契約の申込み義務というものを一定の派 遣先について、一定の場合に課すという改正が行われました。  それから、派遣対象業務については、(3)にあるような一定の上限を設けつつ、物 の製造業務についての対象を解禁するといったこと、(5)にあるような紹介予定派遣 といった概念を法律上位置づけて明確にするという改正が行われました。  次の頁以下は、本年3月25日に閣議決定された政府の規制改革・民間開放推進3カ年 計画の抜粋部分です。1頁1の(1)求職者からの手数料規制については詳細は割愛し ますが、いま申し上げたように平成16年3月1日からの新制度の施行状況を踏まえ検討 するということです。  それから、労働者派遣制度については、その頁の下の2からですが、1点は事前面接 です。紹介予定派遣以外は派遣先における事前面接が禁止されているわけですが、それ について紹介予定派遣における事前面接等の実施状況を勘案しながら、条件整備等につ いて検討を行うということです。  2頁では、先ほど申し上げた改正事項に入っていた雇用契約の申込み義務について、 施行状況等を踏まえて必要な検討を行うこととされています。3頁の(3)の派遣元事 業主から派遣労働者への就労条件に関する書面交付の電子化については、平成17年度中 に措置と書いてありますが、これは前回当分科会のほうで改正省令の要綱についてご答 申をいただき、先日措置いたしました。こういったことも含め、施行後の状況のフォロ ーアップを行ってご検討いただきたいということです。私からは以上です。 ○諏訪分科会長  以上のとおりでございますが、本件については当分科会の労働力需給制度部会におい てフォローアップと検討をしていただくことになろうかと思います。そこで、この際ご 質問、ご意見等がありましたらお受けしたいと思います。特にございませんでしょう か。よろしいですか。それでは、本件については労働力需給制度部会においてフォロー アップと検討をいただくのが適当かと考えますので、このように取り計らうこととさせ ていただきたいと思いますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございます。以上が本日分科会で予定された議事の内容です。特にご質 問、ご意見がこの段階でございませんでしょうか。                 (署名委員指名)  それでは、本日の会議は以上をもちまして終了とさせていただきます。お忙しい中わ ざわざご参集いただき、いろいろご意見をいただき、大変ありがとうございました。                       (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係                        TEL:03-5253-1111(内線 5711)