05/05/19 第6回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録 第6回 労働政策審議会勤労者生活分科会          日時 平成17年5月19日(木)          10:30〜12:00          場所 厚生労働省専用第15会議室 ○企画課長   定刻になりましたので、第6回労働政策審議会勤労者生活分科会を始めます。分科会 長が決まるまでの間、事務局で議事を進行しますので、ご協力をお願いします。  初めに、本分科会の委員については、この4月に2年の任期が満了しています。すべ ての委員について再任の手続を取りましたが、昨年4月の第5回分科会の開催以降に新  たにご就任いただいて、本日ご出席いただいている委員をまずご紹介します。名簿は、  会議資料1にお付けしていますので、ご覧いただきたいと思います。お一人方ずつお名  前を申し上げますので、恐縮ですが一言ご挨拶をいただければ幸いです。  労働者代表委員の、全国生命保険労働組合連合会中央書記長の新芝委員です。 ○新芝委員   新芝です。どうぞ、よろしくお願いします。 ○企画課長   労働者福祉中央協議会事務局長菅井委員です。 ○菅井委員   菅井です。よろしくお願いします。 ○企画課長   日本労働組合総連合会総合労働局労働条件局長の田村委員です。 ○田村委員   田村です。よろしくお願いします。 ○企画課長   どうもありがとうございました。以上の皆様のほかにも、本日お見えになっていませ んが、公益委員として、全国銀行協会常務理事の斉藤委員、株式会社証券保管振替機構  専務取締役の村井委員にお願いしています。労働者代表委員として、労働金庫連合会常  務理事の末永委員、使用者代表委員として、全国中小企業団体中央会副会長の佐々木委  員にそれぞれご就任いただいています。本日はご欠席ですので、ご紹介のみとさせてい ただきます。  本日の会議には、公益代表委員8名のうち4名、労働者代表委員6名のうち5名、使  用者代表委員6名のうち3名にご出席をいただいていますので、労働政策審議会令第9  条第3項の規定により準用する同条第1項の規定により、会議を開き、有効な議決をす るための定足数を満たしていますので、ご報告をさせていただきます。  さて、本日の会議を始めるに当たりまして、新たに分科会長を選任していただく必要  があります。分科会長は労働政策審議会令第6条第6項の規定によりまして、「分科会  に属する公益代表委員のうちから、分科会に属する委員が選挙する」ということになっ ています。どなたか推薦いただける方はいらっしゃいますか。 ○勝委員   齋藤邦彦委員をご推薦申し上げたいと思います。齋藤委員は、昨年まで当分科会の会  長を務めていらっしゃいまして、労働行政に関する幅広い見識と豊富なご経験から、分  科会長として最も相応しい方だと思います。ご賛同いただければ幸いです。 ○企画課長   齋藤委員に分科会長をお願いしたらいかがかというご意見ですが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○企画課長   それでは、齋藤委員に分科会長をお願いすることとします。以降の会議の進行につい  ては、齋藤分科会長にお願いします。 ○齋藤分科会長   齋藤でございます。どうかよろしくお願いします。  まず、労働政策審議会令第6条第8項の規定によりまして、分科会長である私から、  分科会長代理の指名を行う必要があります。従来からの経緯もありますので、本日はご 欠席ですが、藤田委員に引き続きお願いすることにしたいと思います。後日、ご本人の  ご了解を得ることにしますが、どうかよろしくお願いします。  次に、現在、財形制度の見直しについて検討を行っている基本問題懇談会の委員の指  名ですが、これも分科会運営規程第6条第2項の規程によりまして、分科会長である私  から指名する必要があります。これまでの検討の継続性等を考慮した上で、本日の会議  資料2にありますように、従来の全委員の方に引き続いてお願いをしたいと思いますの  で、どうぞよろしくお願いします。従来からも申し上げてきましたが、基本問題懇談会  には基本問題懇談会の委員以外の方にも自由に出席をしていただいて、ご発言をいただ きたいということを申し上げてきましたので、それも従来どおりで、ほかの方にも是非、  ご都合のつく方はご出席をいただきたいと思います。  次に、青木労働基準局長から一言ご挨拶をお願いします。 ○労働基準局長   おはようございます。皆様方には、日頃から厚生労働行政の運営に当たりましてご理  解、ご協力を賜りまして大変ありがとうございます。また、勤労者生活分科会の委員を  お引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。  この分科会においては、労働基準局が所管する勤労者福祉政策のうち、主に財形制度  についてご審議をいただいています。この財形制度は、昭和46年に財形貯蓄と持家分  譲融資の制度として発足してから、今年で34年が経過していて、その間、昭和51年に  は財形給付金と持家個人融資の制度、昭和53年には財形基金や教育融資の制度が創設  され、昭和57年には財形年金貯蓄、昭和63年には財形住宅貯蓄の制度が創設されて、  制度の大幅な充実が図られてきました。私も、この改正のほとんどに関与していて、か  つての大蔵省主税局・理財局・証券局・銀行局、郵政省貯金局・簡易保険局、建設省住  宅局、通産省、自治省、総理府、沖縄開発庁等々、旧厚生省もありまして非常に多くの  省庁と関係をして政策が立案され、運営されてきて、いわば政府内で各省横断的にもの  を考えることが必要な政策だと思います。そういう意味でも、この財形政策の省内にお  ける所管も、いまは労働基準局でありますが、かつて労働基準局にあったり、労使関係  を担当するセクションのところで持つことになったり、また労働基準局に戻ってきたり  ということで、組織に捉われない柔軟な政策を展開しているということだろうと思いま  す。しかし、その後、小規模な制度の改正はありましたが、これらの制度の基本的な枠  組は変わらないままに今日に至っています。  一方、財形制度を取り巻く環境は、従来にはない変化が生じています。雇用の流動化、  パート・派遣など財形を適用しにくい非典型労働者が増大しているし、働き方の中でも  大きなウエイトを占めているということです。制度面においても公的年金や企業年金制  度の改革、あるいは金融制度そのものが改革をされてきましたし、住宅政策についても  大きな変化があったと思います。  こういったことを考えると、現行の財形制度の的確な運営ももちろん大切ですが、従  来の制度のままで財形制度はいいのかということを感じるわけです。そういうことで現  在、いまお話がありましたように基本問題懇談会を設けて、改めて財形制度の発足から  現在に至るまでの経緯を検証した上で、今後の財形制度に何が求められるのか、どのよ うな制度を構築すべきかの検討を行っていただいています。委員皆様のお知恵を拝借し  て、より良い制度となるように検討を進めてもらいたいと考えていますので、どうぞご  協力のほどよろしくお願いを申し上げます。  今日の会議は、事務局から現在の制度下での運営状況についてのご報告と、基本懇で  の検討状況についてもご報告をしますので、よろしくご審議をお願い申し上げます。 ○齋藤分科会長   本日の議題等については、お手元の議事次第にあるとおりです。最初に、財形制度の  運営状況について、事務局からご報告をお願いします。 ○企画官   資料3から資料7までについて、ご説明します。  資料3の税制改正についてです。平成17年度財形の税制関係の取扱いで一部改正され た部分がありますので、ご説明します。対象となる住宅の要件が一部改正されていま  す。中古住宅の場合ですが、現行は耐火構造、鉄筋コンクリートの場合は25年以内、木 造の非耐火構造の場合は20年以内の住宅でないと、住宅貯蓄の適格払出しの対象になら ないということになっていましたが、これに加えて、耐震診断を行って、耐震構造であ るということで耐震診断に合格したものについて、適格払出しの対象に加えるというこ とで措置を行ったものです。この取扱いについては2頁ですが、住宅政策の住宅ローン 減税と横並びの措置を行ったものです。住宅政策においては、中古住宅の流通の促進、 耐震化を進めていくという方向で進めていますので、その方向に沿って措置を 行った ものです。具体的な措置の内容は3頁です。現行の取扱いは、中古住宅の場合は20年ま たは25年以内のものでないと住宅貯蓄の適格払出しの対象にならないということにな っていましたが、今回の改正によって、耐震構造の住宅については20年または25年の 年数を超えるものであっても対象とするとしたものです。資料3の税制改正については、 以上です。  次に資料4です。財形関係の予算の内容についてご説明します。表のいちばん下の3  の合計をご覧ください。平成16年度は、財形の関係の予算額として15億円余りでした  が、平成17年度は14億円余りということで、約9,000万円減額になっています。これ  は、当局としてはできる限り予算の充実を図りたいということで力を尽くしてきました  が、政府全体として財政状況が厳しいということで、結果として約9,000万円程度の減  となっています。また、予算の財源として、1の一般会計の部分と2の労働保険特別会  計の部分があります。労働保険特別会計の部分は、労災勘定と雇用勘定の両勘定で措置  をしている部分があります。両勘定ほぼ折半というのが基本的な原則になっています。  雇用勘定で措置している部分もありますので、次の資料の雇用保険三事業の目標設定 などの部分について説明する必要が出てきます。  予算の具体的な内容についてご説明します。1の(1)〜(5)と2の(1)は、一  般行政経費で勤労者生活分科会を開催したり、基本懇を開催したり、財形の関係の調査  を行うといった関係の経費です。2の(2)は、雇用・能力開発機構に対する補助金の  部分です。雇用・能力開発機構においては財形融資の業務、助成金の支給の業務を行っ ていただいていますので、その関係の経費を補助するというものです。(2)のニから  リまでが、融資の関係の事務費を補助するものです。ヌからワは、助成金関係の費用を  補助するものです。  2頁を1頁と併せてご覧ください。ニからリの融資の関係の費用については、注1に  あるように(1)〜(4)の大きく4つの区分の費用から成っています。資金調達の業務を金融  機関に委託する費用、貸付・回収の業務を金融機関に委託する費用、住宅の基準に合っ ているかどうかの審査の業務を地方自治体などに委託する費用、雇用・能力開発機構で  の事務費用から事務費は成っています。ヌとワの助成金については、企業に直接いく助  成金そのものの額と事務費に分けると、この表にあるようなそれぞれの額になっていま  す。予算については以上です。  資料5は、雇用保険三事業の目標設定についてです。財形の関係の事業については、  先ほど予算のところでもご説明したように、雇用保険の保険料を財源の一部としていま  すので、雇用保険の三事業としての性格も持っています。その関係で、雇用保険の三事  業としての目標設定を雇用保険三事業全体として行っていますので、そのごく一部とし て財源の関係の事業も入っていることから、こういう目標設定を行ったものです。  平成16年度は、右の欄にあるような2つの事業について目標設定を行いました。こ  の目標の実績としては、達成できたことになっています。平成17年度は平成16年度の  2つの目標に加えて、2つの目標を追加して合計4つの目標を設定しています。平成17  年度の目標の設定の仕方は、いちばん上の事業については平成16年度と同様、件数で  の目標設定の仕方ですが、下の3つは件数での目標設定の仕方ではなくて、雇用管理が  改善されたという評価を事業主から受ける割合が80%以上になるという目標の設定の  仕方にしています。こういった目標を設定しましたので、今年度の事業の運営について  はこの目標が達成できるように取り組んでいきたいと考えています。資料5については  以上です。  資料6は、財形持家融資の貸付利率についてです。貸付利率はいちばん上にあるよう  に、調達金利とスプレッドを足し合わせることによって利率を出す、という算定の仕方  をしています。融資の主体は大きく2つに分かれていますが、上の箱の雇用・能力開発  機構においては1.58という利率で、この4月1日以降この利率で貸付を行っています。  真ん中の住宅金融公庫は、1.78という利率で貸付を行っています。0.2%の差がありま  すが、その差の部分についてはスプレッドの欄が、雇用・能力開発機構については0.69  であるところが、住宅金融公庫では0.89となっていて、0.2%の差があります。その部  分は、保証料の部分を利率に上乗せするという形で、住宅金融公庫ではやられています。  その部分の差です。雇用・能力開発機構については、融資を受ける際に補償会社に保証  料を別途支払うことによって保証に入っていただいていますが、住宅金融公庫も同様の  取扱いを平成16年度までされていましたが、平成17年度からはそういう取扱いは行わ れないことになったそうで、それに伴うものとして貸付金利に保証料を上乗せするとい  うことで、こういうスプレッドの設定の仕方をされています。この貸付金利で現在貸付  を行っていますが、いちばん下の欄にあるように民間の金融機関でも、住宅ローンが幅  広く行われるようになってきています。特にキャンペーン金利ということで、当初の3  年や5年の期間に限って特別に優遇金利で貸し付ける所もたくさん出てきています。そ  ういったこともありまして、後ほどご説明しますが、財形の持家融資の貸付件数が大幅  に減っているという平成16年度の実績がありますので、財形の融資を勤労者の持家支  援ということで、より効果的に今後も活用していただけるような制度とするために、こ  の融資の貸付金利の設定の仕方について現在検討をし始めたところです。そういった状  況にあることをご報告します。資料6については以上です。  最後に、資料7をご説明します。1頁の大きな表は、現行の制度を絵にしたものです。  この現行制度の体系は平成17年度は全く変更がありませんので、説明は省略します。   2頁は、財形貯蓄の契約件数や貯蓄残高の推移です。財形貯蓄全般について見たもので すが、平成に入るころから貸付件数が減少していて、平成16年度の実績は1,160万件と なっています。貯蓄残高も5年ほど前から減少し始めていて、平成16年度は17兆 7,900 億円になっています。  3頁以降で、各貯蓄を区分ごとに見ていきたいと思います。3頁は一般財形です。一  般財形も平成に入るころから契約件数の減少傾向が続いていまして、平成16年度も同じ ような傾向です。平成16年度の契約件数は767万件、貯蓄残高は10兆2,800億円とな っています。  4頁は年金財形です。年金財形も同じように、平成に入るころから契約件数が減少し てきています。平成16年度も同じ傾向が続いています。平成16年度の契約件数は250  万件で、貯蓄残高は4兆2,600億円となっています。最後は住宅貯蓄です。住宅貯蓄の  制度自体は昭和63年にできましたが、制度ができて以降、ずっと契約件数の減少が続  いているということで、平成16年度は143万件、貯蓄残高は3兆2,500億円となって い ます。  6頁は、財形貯蓄の実施状況について、業態別に見たものです。これは時間の都合で、  説明を省略します。  次に、融資についてです。7頁から、3つのタイプの融資についてご説明します。最  初は分譲融資です。分譲融資は昭和46年に制度ができましたが、制度創設直後はかなり 件数がありましたが、最近はほとんど新規の貸付決定は行われていません。平成14 年 度に1件あったのが最後で、平成15年度と平成16年度は0件です。  8頁は持家個人融資です。持家個人融資は、平成10年をボトムに、平成15年度まで  かなり件数や貸付決定額が伸びてきましたが、平成16年度は平成15年度の2万5,000  件から1万5,000件ぐらいに件数が落ちています。約4割ぐらいの減少となっています。  こういったこともありまして、先ほどご説明しましたが持家融資の貸付金利についても、  見直しの検討を始めたところです。平成16年度の実績を申し上げますと、貸付件数が  1万5,128件、貸付決定額が3,005億円となっています。9頁は教育融資です。教育融  資はここ最近はかなり低いレベルですが、ほぼ横這いということで、平成16年度は83  件、貸付決定の金額にして約1億円となっています。  次に財形給付金と財形基金についてご説明します。財形給付金についても減少傾向が  続いていまして、実施企業数でいうと黒い折れ線グラフですが、平成16年度は1,927   社まで減ってきています。対象労働者が約35万人、財形給付金として運用している金  額が596億円となっています。これが平成16年度の実績です。  最後に財形基金です。財形基金も、基金の数でいいますと緩やかな減少傾向にある状  態で、平成16年度も少し減少しているということです。基金の数にして平成16年度は  56基金、対象となる勤労者数は1万8,500人、資産額にして23億円という実績になっ ています。  以上、制度の運営状況ということで平成17年度の制度の変わった部分と、平成16年  度の実績についてご説明しました。以上です。 ○齋藤分科会長   ただいまの説明について、何かご意見なりご質問がありましたら、どうぞお願いしま  す。 ○伊藤委員   資料4の予算のところです。何度かこの会議に参加していつも思うのですが、平成16  年度の予算がこうで平成17年度の予算がこうですという資料を提示いただいているわ  けですが、普通であれば平成16年度の予算がこうで実績がこうで、したがって平成17  年度はこうですというやり方で、その実績に対して予算をどうするかを考えるのが一般  的なやり方だと思います。おそらく、平成16年度の実績が締まるのに時間がかかると  いうことではないかと思いますが、それであれば、例えば平成15年度の実績はこうで、  平成16年度の予算はこうでという1つ前の比でもいいので、実績との対比でご説明を  いただかないと、平成16年度から平成17年度の予算の変化の中に、何の心があるのか  が読み取れないし、そういう資料の出し方も検討いただければと思いますがいかがでし  ょうか。 ○企画官   平成17年度の予算額については、いまおっしゃいましたように平成16年の夏に予算  要求をする関係で平成16年度の実績が出ないというか、平成16年度の途中の段階で予  算要求をします関係で、平成16年度の実績と無関係に予算要求をすることになっていま すが、平成15年度の実績を出せるものについてはご説明したいと思います。例えば、い ちばん最後にご説明しましたこれまでの実績の資料の中に、それぞれ融資の実績など  も出ていますが、そういったものを参考に見ていただきたいと思います。助成金につい  ては、実績の数字のご紹介をしませんでしたが、その辺りも後ほどご説明させていただ ければと思います。 ○齋藤分科会長   これを見ただけではよく訳がわからないから、実績が出るのかどうかは知らないけれ ど、おそらく実績は平成16年度決算がまだできていないでしょうから平成15年度にな るのかもしれないけれども、平成15年度と少し対比して、参考までに何か資料を作った ほうがいいのではないですか。 ○審議官(勤労者生活部長)   おっしゃるとおりタイムラグがありまして、もう1つは予算の費目の立て方と決算ベ ースの費目の立て方が必ずしも一致していない部分があるのです。というのは、ここは  融資のところを全部書いていますが、分譲融資、転貸融資ということで予算を立ててい ますが、事務は機構の中で一体的にやって、例えば全体を住宅金融公庫に委託費を丸投 げしたりして、決算のときに1個1個どの分で割り当てたとなっていなくて、いくら委  託したということです。ここでやっているのは、業務的に観念分けをしています。です  が、住宅金融公庫にその転貸融資をお願いします、分譲融資をお願いします、それから これこれの事務などをやって、いくらをボンと渡したというふうになるので、総額のと ころで見ていただくなら間違いなくいくと思いますが、項目ごとにきちんとできるかど  うか。事務的なものもありますので、少し検証して、民間企業である決算ベース、要す るに実績ベースと予算ベースがどれぐらい乖離しているかというものを見るためにとい うことだと思いますので、今後少し工夫します。 ○伊藤委員   同じことですが、資料7でご説明いただいた制度の実施状況と予算はどう関係あるの  かも、これを結び付けて考えるのはどう読んだらいいだろうという感じがしますので、  是非資料上やご説明上の工夫をご検討いただければと思います。 ○審議官   それもその中に入っているつもりで、本当は事務費の部分も俗に考えると、固定費部  分と実績比例部分に分かれますが、予算要求段階でそういうことはしなくて、とにかく  前年度ベースどれくらい減かということで、頭打ちして決めますので無理矢理配分して  要求するし、決算ベースでは、またばらつく。国家予算的なやり方をしていますので、  圧縮することさえすればとりあえずいいのではないかという、やや乱暴な要求のやり方  をしていますので、言われたように厳密に当該費用と実績をはっきり言ってやっていな い部分があります。民間ベースで、そんな悠長なことは許されないというご指摘ではな いかと思いますが、いままでの国家予算のやり方の相当部分を踏襲していますので、そ ういったところを検証しながら、もう少し資料づくりを考えたいと思います。 ○齋藤分科会長   そういうのは注釈か何かを付けて、こういうところは甘いとか、説明をすればいいだ けでしょう。 ○奥村委員   政策目標があり、その評価等もなされています。もともと財形貯蓄を一般会計でも普 及・促進することを努力されていますが、全般として財形貯蓄が勤労者に遍く広く利用 されているか、中小企業に普及が進んでいるかということをずっとこの分科会で議論し てきたわけですが、そういった観点のお話が無かったので、全体的に財形の実施状況を 見て、どう我々は考えたらいいのかを教えていただきたいと思います。 ○企画官   その件については、減少傾向にあります。 ○齋藤分科会長   そういう観点の資料として、わかるように工夫を。 ○企画課長   いまの点についてお答えします。かねてから、財形貯蓄が大企業、中小企業で、実際  どの程度普及しているかといった資料を出してほしいと言われていました。いろいろ調 べていますが、後ろに付いていますが最終的に金融機関に貯蓄をされる問題です。そこ  のところで、必ずしも規模別の数字を取っていないことや、なかなか総括的に把握しに  くい問題があって、まだ資料としてお出しできていないということです。そういうこと  ですので、一部、部分的に調べたようなものはご報告したかと思いますが、その辺は更  にどんなことができるかをよく調査をして、調べられるものは是非お出しをしていきた  いと思います。 ○奥村委員   数年前に、例えば活用助成金・給付金の制度を作るときに、これは中小企業に普及す るためのものだというお話がありました。いまの政策評価と絡みますが、そういった目  的で作った制度で、全加入者数や契約件数を見て、実際にいま動いている、活用されて  いるケースはあまりないのですが、いまおっしゃったように規模別のデータがはっきり  わからないので、中小企業での普及度はあまりわかりませんと言われると、逆に、活用  助成金・給付金を作る目的として、中小企業に普及するためにこの制度を作ったと言わ れた根拠は、一体何だったかがわからないので、その辺はいろいろ議論をする場がある  と思うので教えていただきたいと思います。  いまの伊藤委員の質問に関連して申し上げますと、「平成17年度予算額事項別表」と  いうのがありまして、2の労働保険特別会計の内訳費目がいろいろいと入繰りしている。  特に雇用・能力開発機構の業務に係る部分で用役配付、固定部分、変動部分とあってな かなか難しいというお話だったのですが、いままで何回も言っていますが、こういった  いろいろな財形の実施状況の実績から見て、本当にこの財形に関わる各種の業務は効率  的になされていますかという質問もさせていただいていますが、分けた結果がこうでは  なくて、そういった機構での業務費がトータルどのぐらいかかっているかということを  教えていただけませんか。そうしないと我々とすると、勤労者の皆さんもいろいろな行  政の所もそうでしょうが、本当にこの個々の施策というのが初期の目的どおり効率的に  やられているのか、無駄遣いはないかということを我々が責任を持って言えないので、  ちょっと教えていただきたい。これはこの場でなくて結構なので、本当にこの財形の実  施状況を見ていると契約件数も減るし、ある一定の時期までは契約件数が減ったとして  も、既加入者・既契約者が定期的に貯蓄をするということで残高が増えるというふうな、  残高は非常に規模が大きい、みんなが利用しているという意味だと思いますが、いずれ  も減少傾向になってきて、このままでいくと社会の情勢から見ても、給与所得が上がる  とか勤労者数が増えるという状況もないでしょうから、だんだん先細りになってしまっ て、この財形制度というものが一部の勤労者にしか利用されないということになりかね  ないのではないかと危惧しています。この場でなくて結構ですから、そういったことを  説明していただいて議論する機会を是非作っていただきたいと思います。 ○審議官   いま言われた問題意識は、全く正しいというか重要な指摘で、あとで少し申し上げよ うと思いますが、基本懇を立ち上げたのもまさにそういう問題意識なのです。個別にい まの現状を分析していただき、先ほど局長からも申し上げたように政府内のいろいろな  政策とまさにリンクして立ち上げているものですから、その政策の動向と財形をどう調 整するかという視点と、もう1つは実績が落ちているものを検証するときに、いま出し ている費用が効果的に有効に使われているかという視点もありますが、いまの枠組みの  中で俗にいうインセンティブが利用者の立場からは十分なのか。もし、この制度を国、  事業主、勤労者三位一体のものとしてしっかりやっていくという方針を守るのであれば、  場合によっては国の支援をしっかりしないと十分なインセンティブが出ない。  ところが、一般会計は特にそうですが、ややもすれば大前提として、とにかく費用の  節減を図れ、その点でうまくいくかどうかを見てこいとなると、いわばどちらが先かは  わかりませんが悪循環に入ってしまいます。ですから1回立ち止まって、もう一度制度  をどの辺に目的意識を置いて、どう見るかを時間をかけてやっていただきたいというこ とで基本懇を立ち上げたつもりです。いまここでご指摘された資料などは、ここは説明  をしませんでしたが基本懇の中で出している資料です。直接、各実績は見ていませんが、  先ほど言った中小企業などの取込みはどうかとなれば、あとで言う基本懇の4回の資料  2の21頁で概観できるようにはなっています。傾向は一目瞭然でありまして、一般財  形、年金財形、住貯財形のいずれも大企業の実施率は高いけれども、中小企業は低い。  それは、言わずもがなということです。中小企業は低いために、先ほど言われた事務組  合制度などを仕掛けて普及しようかという仕掛けをしましたが、必ずしもうまくいって  いないこともご指摘のとおりです。そうすると、今までやってきたいろいろな政策をも う1回総括して、本当に有効だったかどうかを洗い直さなければいけないということで、 部分部分ではなくてトータルでやりたいと思っていますので、その辺は個々のご指摘を  受け止めて基本懇で本当に議論を深めたいと思います。その場では、またしっかりした  ご議論を是非お願いしたいと思います。 ○齋藤分科会長   ほかに何かありますか。 ○田村委員   予算の絡みで、推移については資料7でご説明いただいたのですが、これは進める推  進や普及のための人員配置が全国でされていると思っていまして、事前のご説明の中で  は現在66名ぐらいの方がなっているということですが、その辺の人員の増減の関係と  この推進の関係と、もし何か対比できるものがあれば、少し教えていただければありが たいということが1つです。  細かい話ですが、予算を見ると非常に減額されたところがあって、例えばロで、10   万円という貸倒れして金額が減るのは別にいいのですが、そのほかのチやルは、やれな  い、やらないという予算になっているので、この辺はどんなことなのか、もしわかれば  お知らせをいただきたいと思います。  ついでですから全部言います。質問ですが、資料5の評価の関係で、新しい平成17 年 度の目標設定が、こういう評価を受ける割合での比率になったことは了解しています  が、2つ目のポツの「貸付金融資先である事業主等」という、ここだけに「等」があっ  て、あと2つは「等」が入っていないのですが、この辺の違いは何かあるのかというこ  とを教えてください。 ○企画官   順番にお答えします。普及・推進のための人員の推移については先ほどおっしゃいま  したように、雇用・能力開発機構に財形普及促進委員を66人配置しているところです  が、この推移についてはいま手元に用意していませんので、その辺りはご説明できるよ うに用意したいと思います。  予算額のロとチとルとおっしゃいました。ロは貸倒引当金ですが、雇用・能力開発機  構が平成16年12月に特殊法人から独立行政法人になりましたときに、平成16年度の  予算措置として、貸倒引当金ということで、ここにあるような額を貸倒引当金として予  算をしたのですが、独立行政法人は5年間の中期目標の期間で事業を行っています。そ  の目標期間中に一旦予算措置したお金は、貸倒引当金として使われた分は減っていきま すが、使わなかった分は5年間、雇用・能力開発機構のほうでずっと国に返さずに持っ たまま、お金を用意していくことになっています。その関係で、平成16年度の貸倒引当 金として予算措置しましたが、あまり使われなかったので、貸倒引当金として用意する 必要がある額だけ、平成17年度にプラスアルファーとして予算措置したということで す。  チの共同社宅融資については、実績のご説明はしませんでしたが、平成16年度の実  績はゼロ件です。ただ、制度としてありますので、予算の項目として費目立てにする必  要があることから、いくらかのお金を予算措置をしたということで、この額の予算を用 意していることになっています。  ルについては、平成16年度は財形基金を作ったときの設立奨励金を支給するという  ことになって、事務に要する費用と助成金額ですが、実績がゼロなので平成17年度は  この基金は予算措置しなかったということです。 ○田村委員  3万7,000円とゼロの差がわからなかったので。両方ともしないのに、片方が付いて  いて片方がゼロになっているものですから。多分3万7,000円は何もできないのだろう  と思っています。 ○奥村委員   いまのことでいいますと、貸倒引当金がそういうシステムになっているのであれば、  年度単位での予算額として立てる数字をそのまま比較して、相当減りましたというのは  説明がちょっと違うのではないか。これはトータルで、9,200万円強が減っている。そ  のうち4,000万円強は貸倒引当金が減っているということになりますが、貸倒引当金が  単年度ではなくて、繰延勘定的に管理しているのであれば、この4,000万円の減はトー タル予算年度の予算の比較の数字とは相容れない部分があるので、先ほどのご説明で非  常に財政状況が厳しいから、9,000万円強減った予算としましたという説明は違うので  はないですか。 ○松井委員   累積でどうなっているかということを示していただいて、先ほどご説明のあった財形  基金業務はゼロですから、ゼロにしておいても本当は問題がないのではないかという素  朴な疑問と意見が湧き起こってきます。ですから、奥村委員が申し上げたことは、こう  いう示し方ではほとんど意味をなさない。いま繰り延べて最長5年間だと思いますので、  どのくらいあるよということが示されているべきではないかという意見だと思います。 ○齋藤分科会長   国の予算額でいっているからそういう話になってしまうので、能力開発機構の予算が  どうなっているかが別途ないと、そういうところが出てこないのです。開発機構の予算  を見れば、当然、貸倒引当金がいくらあるというのは出てくるわけでしょう。だから、  この資料だけでは不親切というか、なかなか分かりにくいところがあるから、何かの機  会にその分だけを取り出して研究してもらえば。 ○企画官   その辺りは、また検討させていただきたいと思います。 ○松井委員   いろいろ資料を見ていくと、わからないことだらけです。例えば、資料6の財形持家  融資の貸付利率が金融公庫のほうでスプレッドが変わってきて、何らかの措置を取られ るというご説明があったと思います。その財形持家融資をするためのオペレーションの  コストがどのくらいかかっているのかということがまずわかって、先ほど融資残高が相  当減っているというご説明もありましたが、それを支えるための運営費用がどのくらい  かかる、それで先ほど審議官がおっしゃられたように、これのインセンティブが付くよ うな仕組みとして作っていくというお話もありましたが、ではどのくらい今かかってい て、インセンティブを付けるためにはどういうコストがかかるのかというのも、本来示  していただかないと、何かやろうとしても、別の言い方をすると非常にお金がかかって  いるわりには、トータルとしてのメリットは少ないようなことが想定されますので、そ ういう点ももう少しわかりやすくご説明願えればと思います。  資料5の雇用保険の三事業の目標設定について、新たな目標が設定されたということ  はそれなりに評価すべきだと思いますが、1点ご質問したいことは、雇用管理が改善さ れた旨の評価は、具体的にどういうものをもってして改善されたということを決め得る  のか。それは、おそらくこういうものを決めるに当たっては、どういう尺度ですという  ことをまず決めて、なおかつ、どういう形でその評価をするための手続を取るのか、そ  こら辺を教えていただければと思います。 ○奥村委員   関連して言わせてください。先ほどのご説明で、いつも努力していただいてありがた  いと思っていますが、目標達成できるように努力していきたいとおっしゃったわけで、  そういう意味では目標がはっきりしていると信じていますので、その目標というものを  教えていただきたいということです。どういうふうに評価をするのかということと、具  体的な目標がおありですねという質問です。 ○企画官   評価の仕方は、その年度が終わったあと、貸付を受けたり助成金を受けたりした事業  主に対してアンケート調査を行って、事業主からどういう答えが返ってくるかというこ とでもって評価するということを考えています。 ○齋藤分科会長   要するにインセンティブを持たせるといっても、実際に調達金利の中に入っているか  もしれないけれども、こういう事務経費などを支給するための経費というのはどれくら いあるとか、それがどうなっているかがわからないと、どうすればいいかがわからない  のではないかというご質問だと思います。 ○審議官   あとのほうの事務経費については、いまのご議論だと予算よりむしろ決算ベースのほ うが重要だと思います。ですから、予算で配付することになっているお金が機構に実際  いくら流れて、実際に機構が扱う部分と、実際には住宅金融公庫などに委託する金で流 れているのがたくさんあります。だから、その辺にかかった額をお見せすることで、事  務的なものはお示しできると思います。そのロットを掴んでいただくということが一法  だと思います。分析の仕方はもちろん、皆さんにお任せしたほうがいいと思いますが。   利率につきましては、実はこの利率は事務費の計上と全く関係なく決まっておりま す。というのは、昔、雇用・能力開発機構が特殊法人であった頃は、調達金利について は国債、それからいわゆる公的機関、いくらぐらいで債券を発行できるか、単純に横並 びで格付けしていただいて、それで債券発行の利率が決まっていたのです。ところが、 独立行政法人化したところで規制緩和とかありまして、自分で金融機関と勝負してこい、 どれぐらいの利率が取れるかやれというふうになっている中で、実はまだ昔の力で0.89   %が生きているわけです。それで、今や金融機関からは、もう一回利率設定について見  直してくれという要望が非常に強く来ています。それが1つありますので、その辺もご 紹介しなければいけないと思います。  もう1つ、お金の調達の仕方が、利率を弾力的にするために債券発行で調達するのと、  お金を借りるという、その2つでやり繰りしながらやっていまして、実はそのレートは  実勢価格がまた動くわけです。それを動かしながら、これを低くしていますので、ご意  見によっては債券のほうは利率が安い、貸付のほうは高いとかの評価がありまして、そ れらもとにかく一回見直さなければいけないということがあります。まずは、それをお  示ししなければいけない。これは、いずれも基本懇でしっかり時間をかけてやっていた  だかないと、場当たり的な議論ではなかなか進まない。しかも、以前のように国のシス テムで序列をつけて、ここですよというと、金融界、シンジケートがそのまま受けてく れるわけではなくて、ネゴをしなくてはいけないのです。自分たちの、まさに損得勘定  と、自分たちの商品設計と合わせてやっていただくことになる。  その辺もお知らせした上で吟味していただくというような状況でありますので、ここ  でのご議論、そういう意味では深掘りしていただけるだけの情報が十分提供できていな  いというところがまず問題であると思いますので、それをやります。それをやるという  ことをご了解いただければ、その議論は、いわば基本懇でしっかり議論していただき、  その報告を作り上げた後で、この審議会に紹介するというようなことを是非やっていた  だけないかと思っています。まとめてですが、そのような状況です。よろしくお願いし  ます。 ○松井委員   目標設定について、事業主からあとで聞くという話でしたが、聞く中身はどんなこと  を考えているのか、そこなのです。雇用管理を改善したというものを、何をもって測る  のか、そこがよくわかりません。別の悪い言い方をすれば、アンケートの作り方次第で  良くなった、という評価は簡単に得ることができますので、いま考えておられるもので  も結構ですが、どのようなことを想定されているのか、ちょっと教えていただきたいの  です。 ○田村委員  2つ目の黒ポツ、これだけ「事業主等」とあって、あとは「等」が書いてなかったも  のですから、全数を調べられるのか、それともサンプルなのかというところもありまし  て、いまのと併せてお聞きします。 ○審議官   ここに書いてある80を含めた評価ですね、何かアイディアがあるのではないかと受け 取られているとすると、実はこれ以上のものは、いまの段階ではありません。それが 正 直なところです。というのは、平成16年度の目標設定との大きな違いを見ていただくと わかるのですが、やや政府全体の目標設定の考え方について、基本的な転換が、平 成 16年から平成17年にありました。平成17年までは、外から見ると、やや横着であった のではないかというふうな指摘を受けたわけです。というのは、この制度でどれくらい の実績を出したかということを書いていけば、目標達成したということでいいので は ないですかということでワンパスしたのですが、振り返って見ますと、この制度で実績 を挙げるというのは目標ではなくて、手段における成績ではないかと。目標というの  は、そういう各手段を使って、高位の政策を実現したいというものがあるはずだと。そ  の実績が目標に近付いたかどうかを分析しないと、目標設定としては非常に問題じゃな いかという指摘を、特に雇用保険三事業で受けまして、それで慌てて三事業全体に関わ る旧労働省関係の政策の書き直しを平成17年度にしようということで始まったわけで  す。そうすると、個別の施策の究極目標が何だったのかということを考えると、ここに  ありますように、財形については融資であれ、助成金であれ、いちばんの目的は勤労者  の福祉の向上だったのではないかと。その向上が図られたかどうかということを、実績  と照らして見ないとおかしいのではないかと。だから、何件挙がったなんて、これは目  標ではないと言われたのです。そうすると、悩ましいのが始まったのは、いま言った実  績が全体として右肩下がりになっている中で、これと目標を達成したということを関連  づけると、いわゆる制度についての悪循環が始まって、実績が挙がらないから、目標達 成しないのだから、直ちに制度をなくせという安直な議論になるのではないかというこ とが考えられたので、むしろもう一度、実績は別として、この制度については基本懇で  在り方を見直すのだから、利用の多寡ではなくて、利用している方々の評価を、もう一  回ワンクッション聞こうじゃないかと。実績は少ないけれども、意義あるという方がい るかどうかということを確認するというのを、一回入れてみないかということで、仮置  きみたいな話で、ここに入れているのです。  ですから、評価をどういうふうに聞くかというのは、すぐに思いつくのは、言われた ようにアンケートみたいなことになるのですが、どうするかについては、実は我が制度 のみならず、三事業に係るほかの制度全部ありますので、もう一回全体の評価の仕方を 調整しないといけない、もう少し時間がかかる状況だということをご理解いただきたい と思います。目的地はそういうことなのですが、具体的なものはと言われると、いまは 完璧なものはない。何となくという感じなものですから、申し訳ないですが、そんな状 況です。 ○新村委員   何となくこういうふうにやられたら、政策評価は困るなという感じがしているのです。  私もこれを見て、松井委員と同じような疑問を持ちました。例えば、これはある種の補  助金であると。そうすると、もらっている人だけに聞けば、よかったというのは当たり  前ではないか。したがって、一体何がどうよくて、その企業がどうよくなったかまで聞 かなくてはいけないし、それから、もらっていない負担者が一体どう考えているのかと  いうところまで聞かないと、本当の意味での政策評価とならない。だから、設計仕様の  やり方によっては、100%が「満足しています」という結果が出てくる可能性がきわめ て 高いと思います。そこを実施者は、やはりそちらに流れを感じがちなのです。この政 策 はよかったと言ってほしいと思うので、その気持もわかるのですが、それがどういう ふ うに役に立っているのか、実際にもらっていない負担者がどう考えているのかという  ところまで含めた形でのアンケート調査であってほしい。アウトカムに転換なさったと  いう意味では、政策評価の思想に適合した転換だと思うのですが、設計の仕方によって  は、とんでもない片寄った評価になりうるということを、実施者は考えておかないと。  実施者はどうしてもそちらに傾きがちなので、それを考えた評価に是非していただきた いということが第1点です。  そして、やはり減っているということを厳粛に受け止めて、実績のフォローアップも、  完全にそういうアウトプットのほうを見放すのではなくて、アウトプットがどれだけで  あって、アウトカムがどうであるというところまで、もうちょっと総合的に考えた評価  のスキームを作っていただかないと、非常にミスリーディングな評価になりそうな懸念  を私も持ちました。以上でございます。 ○審議官  事務方が同感というのもおかしいのですが、全くそのとおりだと思っていまして、逆  の視点からいいますと、財形制度の普及状況はこれですので、財形制度を知らない事業  主、そこの下の労働者の方両方に聞くというパターンと、財形制度を導入して実施して  いる方に聞くのと、典型的に評価は分かれる可能性があります。それから、財形制度を  導入していて、やめた企業、やめた者と。いろいろな類型があると思いますので、その  方々に調査するときにどういうウエイトづけをするかということが、まさに方向付けに  影響するかと思っていますので、ご指摘は大変よくわかりますので、もしアンケートで  やるということになれば、そういった点にも注意してやるようにいたします。ご指摘は  しっかり受け止めますので、よろしくお願いします。 ○新村委員   先ほど奥村委員がおっしゃったことと関連しているのですが、制度設計のときにどう  いう目標を立てたかということと無関係には、実績評価もできないだろうと思います。  そうすると、例えば中小企業向けに普及するという目標を立ててやったのであれば、デ ータがないなんてことはあり得ないわけです。それが一体どうなっているのか。うまく  いっていないとしたら、それが政策手段のやり方によるものなのかどうか、という分析  をしないといけないということで、できるだけ制度設計のときの目標と実績評価を結び  つけて、目標設定をしていただくとわかりやすいかなという感じがいたします。 ○審議官   事務的で恐縮なのですが、昔、局長と一緒に財形を組んだときは、制度を導入すると、  報告書というのを必ずワンセットで大体仕組んでいたのです。導入報告書とか定期報告  書。ところが、その後の規制緩和の中で、事業主負担をやめてくれと言われて、予定し ていた報告がどんどんなくなってしまったのです。ですから、定期的なものを不定期に  して、アンケート調査みたいなものに変わっていったものですから、いわゆる継続的な  調査が十分できなくなっているという部分も少しご理解していただきたいと思います。  やるとすると、またこういった基本懇などを立ち上げて、政府としての合理的な目的を  皆さんに説明して、もう一回調査をかけないと、現状が把握できないのです。  ルーティンワークの中でやろうとすると、特に経営者の方々は、「何でそんなのに答 えないかんのだ。煩わしいじゃないか」と。調査するとしても項目を削れというようこ  とがよく起きるのです。その辺も、些末というか、非常に細かい話ですが、そういうと  ころもあるということを頭に置いていただければと思います。 ○齋藤分科会長  この「等」は。 ○企画官  2つ目のポツの所だけ「等」がありますが、これは融資の対象は事業主のほかに、事  業主団体や福利厚生会社も融資の対象になっているということで、事業主以外の者が含  まれているので、そこだけ「等」が入っているということです。助成金については事業  主のみですので、「等」が入っていないということです。 ○奥村委員  政策目標の目標設定に関連して、ちょっと申し上げますが、これは答えは要らないの  で、聞いていただければいいと思います。「財形の制度利用によって勤労者の定着が促 進されたなど雇用管理が改善された」とあります。雇用管理の改善は大切なのですが、  勤労者の定着を是とするということは、流動化の是非は別にしまして、かなりの流動化  が進んでいる実態からすれば、定着率が上がったということを指標にすること自身は、  実態に合っていないのではないかと思います。 ○審議官   現行の財形制度は長く積み立てて定着ですから、いま言われたのは、もっと制度論な  のですね。転々移動するという制度に組み替えたときに、この目標を変えるということ  です。 ○奥村委員  むしろ我々は、流動化に対応するための施策をどうするか、財形をどう改善するかと  いう議論をしている中で、その議論をしている当事者がこういうふうに定着をもっと図  るということには違和感を覚えます。 ○審議官  現行法律に基づいて施行しておりますので、その精神に照らす。だから、その法律自  体を組み替えようとご議論していただいているという認識を持っているわけです。そこ  を変えないで、法律をずたずたにはできないものですから、手順を踏みたいということ  です。 ○齋藤分科会長  まだまだあるかもしれませんが、残りの議論は基本懇等の場でお願いします。もう少  し掘り下げたいろいろな議論を、そこの場でやったらいいと思います。時間に制約もあ りますが、あと資料として出されていますのが、基本懇の検討状況についてということ  です。これは見ていただければいいですかね。 ○松井委員  資料8は簡単に説明していただいて、必ずしも基本懇でない方もいらっしゃいますの  で、その状況感は共有していただいて、何か意見があったら、特に基本懇のメンバーで  ない方から、ご質問をいただくとか、意見を言っていただくとか、まだ時間はちょっと  ありますので、手短にご説明をお願いして、それで残りの時間を使っていただければと  思います。 ○企画官  では、ごく簡単にポイントだけご説明したいと思います。前回の勤労者生活の分科会  は去年の4月に開催しました。それ以降、今回の分科会まで、3回基本懇をやっており  ます。3回目は財形制度全般についてご議論をいただきました。融資や助成金などを含  めまして、ご議論をいただきました。4回目、5回目は貯蓄について議論をいただきま した。3回開いておりますので、その3回の基本懇において出ました主な意見をごくポ イントだけご説明したいと思います。  まず(1)の制度全般につきましては、主なものとしましては、(2)で制度自身存続さ  せるのがいいのか、全く別のものに切り替えてしまうのがいいのか、どうしたらいいの  か、基本問題を踏まえながら議論する必要があるというようなご意見がありました。  (2)は福利厚生との関係です。いまの財形制度は企業内の福利厚生制度の一環とし て行われておりますが、福利厚生が縮小していく中で、企業を超えた国の支援制度とし て考えていく必要があるのではないかというようなご意見がありました。それとの関連  で、その下の(2)では、企業からの給与の天引きが原則になっておりますが、企業の関与  を必要としないというような制度としてもいいのではないかというご意見もありまし   た。  (3)の社会保障制度との関係です。ここの関係のご議論では、かなりたくさんの意  見がありました。基本的なものをご紹介しますと、(1)で、公的年金の給付水準が下がっ ていったり、企業年金の給付水準が下がっていったり、また、退職金の給付水準が下が っていったりしているような状況があるので、財形制度はこういったものに代替するよ うな制度にしていくことが必要なのではないかというご意見もありました。(2)では、そ ういった状況にあるので、自助努力への支援を充実させていく必要があるのではないか  というようなご意見もありました。(3)では、そういったことに対応するためには、アメ  リカにIRAという制度があるので、そういったものをモデルにしていったらどうかと  いうようなご意見もありました。(5)ですが、いまご意見が出たような方向で考えていく  とした場合には、老後の生活資金は自助努力で積み立てていく制度として、確定拠出年  金の制度との関係を整理する必要があるのではないかというようなご意見もありまし   た。  (4)の「対象者」です。対象者については(2)で、全ての勤労者を対象者とするので  はなくて、もう少しターゲットを絞ったほうがいいのではないかというご意見もありま  した。  (5)は「対象とする金融商品」についてです。(1)ですが、「貯蓄から投資へ」とい う流れがあるので、もう少し金融商品を多様化したほうがいいのではないかというよう  なご意見がありました。(3)では、自己責任で金融機関を選んだり、金融商品を選んだり  することができるような制度にしていったほうがいいのではないか、というようなご意  見もありました。  (6)は「雇用慣行の変化への対応」ということで、(1)では雇用の流動化が進んでい るので、ポータビリティーを確保できるような制度にしていく必要があるのではないか、  というご意見も沢山の方からいただきました。(2)でパートタイマーや派遣労働者などの  非典型労働者が増加しているので、こういった方々も制度に入っていただけるようなこ とを考えていく必要があるのではないか、というご意見がありました。  (7)は中小企業への普及の関係です。(1)では労働組合のない企業や50人以下の中 小 企業ではほとんどやられていないので、こういった所にどういった形で普及させていく かということが課題なのではないか、というご意見がありました。その一方で、逆の方 向の意見として(2)で、中小企業に普及しない制度というのは財形だけではなくて、ほか のことも中小企業はやっていないので、財形だけを中小企業に普及させるというのは、  あまり意味のないことではないかというようなご意見もありました。  (8)ですが、融資の関係です。融資はまだ本格的に議論する順番が回って来ていま  せんので、ほとんどご意見はありませんでしたが、出てきた意見として、(1)ですが、金  融機関が個人向け融資に一生懸命になっているので、財形融資はもう要らないのではな いかというようなご意見がありました。  (9)は「政策評価」の関係です。行政による自己評価を行った結果、うまくいって  いないという結果があって初めて、こういう基本懇での議論をスタートさせるというス  タイルが本来あるべきで、政策評価として行った自己評価の結果が、うまくいっていな  いということになっていないとおかしいのではないかというご意見を、基本懇で政策評  価についてご説明したときにいただきました。いまご紹介したようなご意見が主なご意  見でございました。 ○齋藤分科会長   何かございますか。 ○伊藤委員   いま、基本懇の状況をご説明いただけたのでよかったと思っているのですが、基本懇  に参加していない委員の方からすると、1年前にこの分科会が開かれて、その間何が行  われたか、もちろん議事録を送付してはいただいても、やはり本当のところどういう論  点かというのは、なかなか議事録だけですべて理解するというのも結構難しいので、こ  の分科会の場ではきちんと基本懇でのお話合いの中身がわかるようなご説明をお願いし  ます。今日、こういう資料でご説明いただいたのは、その一部でありがたいのですが、  きちっとわかるようにしていただきたいと思います。では、あと1年経って、来年分科  会があったときに何が進んでいるのだろうとか、今年度この先、どう基本懇が行われて、  何の進捗があるのだろうというのが、少なくとも、どこを目指しているとか、この検討  状況を次にどういうプランに移していくとか、そういうところが見えるようにしていた  だかないと、本当に皆さんよくご承知で、基本的なことを検討するのと、現在の制度下  での運用を確認していくという両方が必要なのはわかっていて、今どちらかというと、  現在の制度上での確認に時間的にも重きがおかれてしまうと、おかしいなと思いますの  で、是非、基本問題のほうに力を入れて検討できるようにしていただきたいと思います。 ○西村委員  同じような意見なのですが、基本懇の内容を教えていただいて、本当にありがたかっ たのですが、少し基本懇の内容を伺うと、まだ意見を論点で出しているという段階のよ うに感じまして、先ほど企画官からも、具体的には基本懇でいろいろ詰めていくとおっ  しゃっていたので、これが今年1年でどこまで詰めてものが出されていくのか。いまま だ分科会でいろいろな論点を出しているのと、基本懇で意見が出されているのと、進み  具合、まとまり具合がそれほど進んでいない印象を受けましたので、今後の予定などを  含めてお伺いしたいと思います。 ○企画課長  いまの2つのご質問なのですが、おっしゃっていただきましたように基本懇はまだ進  行途上でありまして、その開催状況のところでお話しましたように、財形と貯蓄と融資、  助成金などもあるのですが、貯蓄の議論が始まった段階でありまして、まだ全体の議論  がひとわたりいっていないという状況であります。関連する分野も非常に多くて、資料  もこれだけありますが、いろいろなことを分析しなければいけないこともあります。少  し時間がかかっています。  ですから、もう少しひとわたりの議論に時間がかかるということでありますし、ある  程度まとまりのある議論を基本懇でしていかなければいけないと思っております。そう  いった進捗状況を見ながら、時期がきたときにはきっちり、またこの分科会にもご報告  をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○齋藤分科会長  できるだけ基本懇を少し精力的にというか、回数を増やしてやるようにして、また、  基本懇以外の方にも、先ほど申し上げましたようにご案内状を差し上げて、ご都合のつ く方は是非おいでをいただいて、議論に参加していただいたらいいと思います。また、  分科会も中途で開いて、進捗状況なり、こういうような議論の進め具合をご報告するよ うにしていただいたらいいのではないかと思います。  それでは、本日はこれで閉会にしたいと思います。最後に、本日の議事録の署名につ いてお願いをしたいと思います。署名は労働者側委員から田村委員に、使用者側委員か  らは松井委員によろしくお願いをしたいと思います。私も分科会長として、署名をする  ことにしています。  今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省労働基準局勤労者生活部企画課財形管理係 (内線5368)