05/05/19 「第7回医療安全検討ワーキンググループ」議事録 第7回医療安全対策検討ワーキンググループ                        日時 平成17年5月19日(木)                           16:00〜                        場所 厚生労働省7階15会議室 ○医療安全推進室長  傍聴の皆様にお知らせ申し上げます。傍聴に当たりましては、既にお配りしています 注意事項をお守りくださるようお願いいたします。 ○座長(堺)  定刻になりましたので、ただいまから第7回「医療安全対策検討ワーキンググループ 」を開催いたします。委員の皆様方にはお忙しいところ、またお暑い中をご苦労様でご ざいます。本日は、14名の委員の方々のご出席をもって会議を開催いたします。よろし くお願いいたします。  最初に、事務局から資料の説明をお願いします。 ○医療安全推進室長  資料の確認をいたします。まず、「第7回医療安全対策検討ワーキンググループ議事 次第」が1枚ございます。座席表が1枚ありまして、そのあと委員名簿がございます。 それから、資料1としてワーキンググループの「報告書案」となっています。  次に参考資料として、前から先生方に事前にご覧いただいているところですが、「医 療安全推進総合対策の実施状況整理表」です。これにつきまして、何かありましたらご 意見を頂戴したいと思っています。  最後に資料番号のない、「追加提案」という紙がございます。会議開催10分ほど前に 長谷川敏彦委員から送られてきた意見ですので、傍聴の方に配付が間に合いませんでし た。机上資料として配付いたしました。以上です。 ○座長  早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議事は、今後の医療安全対策につい ての報告書(案)の取りまとめです。まず、全体的な説明を事務局からお願いして、そ れから個別のところに入りたいと思います。簡単にご説明をお願いします。 ○医療安全推進室長  資料1についてご説明申し上げます。ワーキンググループにおきましては第1回を公 開で実施しており、議論の方向性等について検討されました。第2回から第6回につい ては起草委員会という形で、第1回目の資料3に当たる医療安全対策の方向性の各項目 について委員の皆様からのご説明と、それに基づくディスカッションが行われておりま す。特に、第4回から第6回におきましては、報告書を取りまとめる作業として、具体 的な文章をもとに議論が行われてきたところです。  また、前回の会議、第6回の会議以降も委員の先生方から逐次ご意見を頂戴し、本日 の資料1のとおりに整理させていただいたところです。この資料1につきましては、委 員の先生方に予め送らせていただいていますので、第6回のワーキンググループのディ スカッション以降に頂戴した意見について、資料1の変更点を中心にご説明申し上げた いと思います。  まず、資料1の1頁ですが、「今後の医療安全対策について」に野中委員、嶋森委員 から総論のご意見がございました。平成14年4月の「医療安全推進総合対策」の基本的 な考え方等について加筆しています。冒頭の「医療安全の確保は医療政策における最も 重要な課題の一つであるが」というところから、2頁目の上から7行目の「様々な施策 の推進が図られてきた」というところが新たに追加となっている文章です。「こうした 関係者の努力にもかかわらず、わが国においては未だ十分な医療安全対策が確立されて おらず、医療の安全と信頼を高めるために一層の取組が求められている」というところ が、前回のワーキンググループの文章の前段部分として追加となっています。  2頁目のいちばん下の行、楠本委員からのご意見ですが、「院内感染対策について も、医療安全対策と同様に、医療機関等の取組と同時に、国、自治体、関連団体等が相 互に連携し、組織的、体系的な取組が重要であることから、今後は、医療安全対策の一 環として総合的に取り組んでいくこととする」という文章を追加しています。  3頁、(3)の「医療機器の安全確保」について、(1)ですが、勝村委員から「在宅 等の医療機器の問題もあるのではないか」というご指摘があり、「全ての医療機関にお いて」というところを「全ての医療機関等において」と、「等」を入れています。  4頁、(6)の「行政処分を受けた医療従事者に対する再教育」です。当初、「行政 処分を受けた医師に対する再教育」となっておりましたが、堺座長、勝村委員ほか多く の意見を頂戴しまして、医師のみでなく、医療従事者全般と変更させていただいていま す。そのあとの「当面取り組むべき課題」の中で、(1)の4行目、「管理者の責任の 下で」という文言を楠本委員からのご意見で追加をしています。それから(4)、「効果 的なクリニカルインディケーターについては、国を中心として研究を進め、その実用化 について検討する」という点、座長からもご意見をいただいて追加をしています。  5頁、(2)の「医療機関における院内感染対策の充実」の(6)については、寺井委 員からご意見がありまして、「医療機関の規模や機能に応じて、院内感染対策を行う担 当者の配置を順次進める」というものを追加しています。  次に6頁、(3)の(7)になりますが、「医薬品メーカー等は」のあと、「安全情報 を医療機関に積極的に提供するとともに」という言葉、また(4)の「医療機器の安全 確保」の(5)、同様に「医療機器メーカー等は、安全情報を医療機関へ積極的に提供す るとともに」とあります。同じ文言ですけれども、前回のワーキンググループで長谷川 友紀委員からこういったご指摘があり、追加をしています。(5)「医療従事者の資質 向上」のいちばん下の行、(1)の変更です。当初「臨床研修医が」となっていましたが、 医療従事者全般にということで、「臨床研修を受ける医療従事者が」と変更していま す。  7頁、上から4行目、(2)「医療機関等における研修においては、当該医療機関等の 具体的な事例等を取り上げ、職種横断的な研修や意見交換が実施されるようにする」と あります。当初は研修のみでしたが、楠本委員からご意見を頂戴しまして、「意見交換 」という文言を追加しています。(6)のいちばん下、「看護師等他の医療従事者につ いても、行政処分を受けた後の再教育等について検討する必要がある」となっていま す。ここについては座長ほか多くの委員からのご意見で追加しています。  8頁、「当面取り組むべき課題」の(1)の(2)「医療機関の管理者及び医療安全管 理者の役割を明確化するとともに、事故等の事例に関する背景要因や根本原因分析の方 法を含めた研修内容等に関するガイドラインを作成する。これにより、登録分析機関に 報告されるヒヤリ・ハットや事故報告の情報の質が向上し、また、医療機関において は、これらの情報に基づく適切な対応を講じる」というところは、寺井委員ほかからの ご意見で修正をしています。  9頁、(2)の「医療関連死の届出制度」云々の(1)の3行上をご覧ください。「異 状死の定義、中立性・公平性の確保方策、死亡以外の事例への対応の必要性等をはじめ として」となっています。例示として、勝村委員からのご意見で「死亡以外の事例への 対応の必要性」という言葉を加えています。9頁の3「将来像のイメージ」、(1)の (2)「患者、国民の医療への参加を促すため、必要な知識と情報が提供され」とありま す。当初、「必要な知識が提供され」となっていましたが、「知識と情報」に加筆をし ています。多くの方からご意見を頂戴した部分でございます。  10頁、上から2行目の(4)では、勝村委員からご意見をいただいています。「高齢者、 障害者などの患者に対し、十分な情報共有が図られるよう配慮されている」という言葉 を追加しています。それから、10頁の「当面取り組むべき課題」の(1)の(1)「国及 び自治体は、あらゆる機会を捉えて、患者、国民の医療への参加を促すため、必要な知 識と情報を提供するとともに」とあります。この点、「知識」を「知識と情報」に改め ています。また、「患者、国民が医療に参加することの意義等についての理解を求める ための啓発、普及活動を行う」とあります。この「啓発、普及活動を行う」という文言 を楠本委員からのご意見で追加しています。  11頁、4の「医療安全に関する国と地方の役割と支援」という部分です。ここは「法 律に明記する」というような表現になっていましたが、「役割と支援をきちんと書くべ きである」という、野中委員ほかからのご意見に基づき、タイトルも「役割と支援」と いう形に変更しています。また、「将来像のイメージ」の(2)に支援について明記し、 加筆しています。「安全、安心で良質的な医療が効率的に提供されるよう、医療行政を 所管する都道府県が、医療安全の直接の所管として具体的な取組を進め、国は法令の整 備や、情報提供、研究の推進等の技術的な支援、及び、財政的支援等、医療安全推進へ のインセンティブを高めるための役割を担っている」というところが加筆されていま す。  12頁も併せて、国の役割と支援について追加を行っています。まず(1)ですが、「国 は、医療安全が医療政策上の最重要課題であり、また、これらの医療安全施策を着実に 実施していくためにも、医療安全に関する国、都道府県、医療従事者」、ここが追加に なっていますが「患者、国民の役割等の明確化を図る」となっています。これまで患 者、国民との情報共有、参加促進ということがありましたので、医療従事者までにとど めるのではなく、患者、国民の参加、役割の明確化ということを入れるべきというご意 見を頂戴して加筆しています。  (3)と(4)については、多くの先生方のご意見を頂戴して追加になっています。「国 は、(2)の取組を推進するため、必要な研究の推進を図るとともに、対策が実効あるも のとなるよう財政的な側面についても十分配慮する」となっています。また、(4)につ いては「国及び都道府県は、安全、安心で良質で医療が提供されるよう、医療機関にお ける一層の機能分化と連携等を図り、効率的、効果的な医療提供体制を構築するととも に、医療における必要な人材の確保とその適切な配置を検討する」というところを追加 しています。この部分は三宅委員からの意見書、勝村委員のご意見にもあったとおりで す。以上が変更点です。 ○座長  それでは、前文と各章ごとに意見交換をしたいと存じます。「前文」というように題 を付けておりませんが、頁で申しますと1頁から3頁の上から2行目まで、この部分に ついてどなたでも結構です。ご意見がありましたら頂戴したいと思います。いかがでし ょうか。 ○高津委員  1頁の前文の上から4行目、「翌年」よりも「平成14年」と明記したほうがいいかな と思うのが1つです。それから、「医療安全の確保については」の最初の・、上から3 行目、「このいずれが不適切であってもサービスが」というところは医療関係ですか ら、「医療」を入れて「医療サービス」としたほうがいいのではないかと感じました。 以上です。 ○座長  ありがとうございます。字句の修正も含め、1頁から3頁までのところでご意見があ りましたら承りたいと思います。1頁から2頁の7行目までにこれまでの経緯が書いて あります。そこからあとが今回の報告書(案)の全文ということになります。どちらの 部分でも結構です、いかがでしょうか。  それでは、先へ進みます。また、あとでお気づきの点、あるいは後のこととの関連で また前へ戻っても結構です。 ○稲葉委員  私たちは納得しているのかもしれませんが、「将来像のイメージ」を示して、当面進 めるべき施策を掲げる。これはこの報告書の1つの特色だろうと思います。将来像のイ メージが一体、どの時点の将来像なのか。あるいは、当面進めるべき施策が私の理解で は数年、1、2年というイメージなのですが、それを書くのかどうかがわかりません。 そこのところをしっかりコンセンサスを作っておかないと、あるいは字ずらだけお読み になる方を前提にすると、その点を書くべきかどうか少し議論をしていただければと思 います。 ○座長  ご意見は頂戴したいと思います。項目により半年、1年のものもありますし、2、3 年を要するものもあります。逆に稲葉委員にお尋ねしますが、このように表現したらい いのではないかというご提案はありますか。 ○稲葉委員  将来像のイメージというのは達成の度合がかなりバラ色に書かれているところがあり ますので、特定はできないとしても、当面進めるべき施策をここ1、2年であるとか、 数年というように区切ってはどうかと思います。 ○三宅委員  私も全く同じことを感じています。将来のイメージとしては、はっきり言えばこれは 夢を語っているようなものです。しかし、具体的にどういうステップでこれを進めるの か、それが明確ではないのです。当面の課題も非常に結構なのですが、具体的にどうい うステップで、いつごろまでに、どういうように作っていこうかという視点をどこかに 入れる必要があるのではないかと全体として感じました。 ○座長  これは三宅委員にお尋ねしたいのですが、かなりいろいろなことをここで提案してい ます。それぞれの提案について、それぞれそういうものを示すべきとお考えでしょう か。 ○三宅委員  そのほうが私は好ましいと思います。 ○野中委員  三宅委員が言われることももっともです。座長が言われるように個々によって事例が 違う。多分、稲葉委員が言われるように、「将来のイメージ」と「当面取り組むべき課 題」と分けた理由を最初に掲げ、そして将来あるべき姿に近づけるためにはまず差し当 たって当面のこの課題を克服するためと、分けたことを表現されることが適切と思いま す。 ○座長  稲葉委員、いまの野中委員のご意見というのはどのようにお考えでしょうか。  ○稲葉委員  ほぼ同じような意見です。したがって、なぜこういう表現になったのか、こういう考 え方になったのかというところを理解していただくための表現が少し要るのではないか と思います。 ○座長  それでは、前文の部分に、各章についてそのような区別をしているけれども、そこを 説明する文章、これは多分委員の方々にメールでお伝えしてご了解いただくことになろ うかと思いますが、その文章を入れるということでよろしいですか。 ○三宅委員  特に、当面の課題というときは財政的な背景が必要なものもかなりあると思います。 そういった点をできるだけ明確に目標を定めてほしいというのが私の希望です。 ○座長  そうですね。いちばん最後の章に「財政的な資源を配慮する」というような表現があ ります。 ○嶋森委員  私も、漠然としているので、確かにある程度の期限を言ったほうがいいのかなと思い ます。個々によってずいぶん違うので難しいなと思います。つまり、当面すぐ解決しな ければいけない問題と、数年かかる課題もある。個々によって違うのですが、できるだ け財政的なことを含めて、可能な限り早い段階で実現するように努力する。つまり、 「当面」が、早いものは1年から数年以内ぐらいに出来るものはやるというニュアンス を、私としてはこの会議の中で議論したような気がします。そのようなニュアンスを入 れてもらいたいという気がします。 ○座長  大体、皆様のご意見は同じような線で進んでいると思います。 ○勝村委員  同じところなのですが、ここはワーキンググループという名前であるように実務的な 委員会なので、抽象的よりは可能な範囲で具体的にしたほうがいいと思います。実現を してしまうということではなくて、実現に向けて進めていく、始めていくという施策に 関しては、この検討会の議論としては、やはり将来でなく1、2年以内には進めてい く、始めていく、と期限を切らなければいけないと思います。稲葉委員のおっしゃるよ うに、それがもしこの場のコンセンサスでいいのならば、出来るだけ早く始めるという ことを担保するために「当面」という言葉と「1、2年」という言葉は、一般には一致 しないと思いますので「1、2年」という言葉を入れたいと思います。 ○座長  取組を始めるということと完成の域に達するということの間には、若干違いがありま すが、いまの勝村委員のご意見は取組はできるだけ早く始めるべきである。そのように 理解してよろしいでしょうか。 ○三宅委員  あとからいろいろ勝手に追加するようで申し訳ありません。どこかこの中に、「モデ ル事業を実施する」という言葉が入っているところがあったと思います。いくつかの 「当面取り組むべき課題」ということについては、ある程度モデル事業的に、例えば表 現が適切かどうかわかりませんが、いまいろいろな特区という話があります。ある限ら れた地域で、具体的にモデル的に取り組んでその成果を見る。そのような具体的な提案 をしていただけるとありがたいと思います。 ○座長  例えば9頁の真ん中よりちょっと下、(1)に「診療行為に関連した死亡の調査分析モ デル事業」というようなことがあります。それは一応動き出してはいるわけですが、例 えばこういうものということでよろしいのでしょうか。 ○三宅委員  ほかにもいろいろ具体的に取り組めることが、モデル的にやれることがあるのではな いかというのが私の意見です。 ○座長  ほかにご意見はよろしいでしょうか。それでは、前文の部分にそういうことを踏まえ た文章を付けて、理解をさらに明確にすることにしたいと思います。先へ進ませていた だきます。 ○勝村委員  2頁の下から9行目、IIIのところなのですが、「患者、国民との情報共有」となっ ています。本当に患者、国民も巻き込んで議論していくということであれば、主語が医 療従事者になるのではなく、ある程度、対等になった方が良いのではないかと思いま す。「医療従事者」という言葉はなくても、そもそも主語なのだから必要ないという感 じであれば、あくまで「医療従事者」が主役であることが当たり前になってしまうの で、できれば「患者、国民と医療従事者との情報共有」という言葉に変えて、さらに上 の文章に書いてあるのですが、「患者、国民の参加促進」の部分もできれば上に書いて あるとおり、そのまま「主体的な参加の促進」という形になればより良いのではないか と思います。ここはいちばん大事なコンセプトの部分なので、可能ならばと思います。 ○座長  勝村委員に逆に質問なのですが、情報がどこに存在するか。医療従事者のところには 確かに情報がありますが、それだけかということがあろうかと思います。例えば医療機 関が持っていたり、あるいは公的機関が持っていたりというものもあると思います。そ ういうものも共有しなければいけないのかなという気がします。 ○勝村委員  「情報の自己コントロール」のことを書きたいところですが、そうするとまたややこ しくなるかもしれません。なので後段の部分の方で、「国民の主体的参加促進」と、 「主体的」を入れたいと思います。 ○座長  次の章に進みます、ここはちょっと長いです。3頁の上から3行目の1「医療の質と 安全性の向上」から7頁の下から5行目まで、かなりボリュームがあります。いろいろ なお立場でいろいろご意見を頂戴した部分でもあります。どこのところでも結構ですの で、ここの章についてのご意見を頂戴します。よろしくお願いします。多少前後しても かまいませんので、ご意見のあるところ、お気づきのところをお願いします。 ○楠本委員  3頁の(2)の(1)、「医師、歯科医師、看護師・薬剤師の間、及び」と書かれてい ます。私の業界では「看護師」というと1職種だけを指します。保・助・看・准と4職 種ありますので、法令的には「看護師等」と書いていただくか、「看護師職員」と書い ていただくか、訂正をお願いできたらと思います。 ○座長  ほかが全部「師」ですから、そうすると「等」でしょうか。 ○楠本委員  はい、「等」だと思います。「等」と書けば、必ずほかの職種の人たちは「私も入っ ていますね」という感じで。 ○座長  保助看法がカバーするすべてのもの。 ○楠本委員  是非よろしくお願いします。 ○座長  ほかはいかがでしょうか。 ○勝村委員  7頁の(6)、(3)の「再教育(倫理研修)」となっているところですが、別のとこ ろで「医療事故の当事者や被害者を講師とした研修などの中から」という言葉が入って いることを考えると、この部分こそそういうものがあってもいいのではないでしょう か。  運転免許証の更新でも、やはり事故の被害者の人たちの視点で描かれたビデオを見る ことで気持が引き締まる思いがあります。そのような被害者等当事者の声を直接聞くこ とができなくても、医療事故が起こって被害者たちはどのような思いをしたか等を、例 えばビデオ等にまとめて、それを見ていただく等の方法もあると思います。文章の中に は「社会奉仕活動」という言葉がありますが、それも大事だとは思いますけれども、そ ういう被害者の声を聞くような研修をしていただくほうが、一般の国民の感覚からする と良い研修をしていただいているような、信頼が置けるような形になるのではないかと 思います。 ○座長  文章としては、どういうものを入れたらいいでしょうか。例えば「教育的講座の受講 」とありますが、そこにいまの勝村委員のご意見ですと、「適切な教材等を用いた教育 的講座の受講」ということになるのでしょうか。 ○勝村委員  「教育的講座」が技術の部分なのか、倫理の部分かなのですが、その1つ前の部分に 「職業倫理に関する再教育」とあります。職業倫理に関する再教育、倫理研修というこ とに限定するならば、そこには医療事故の問題が大きく関わっている可能性があるわけ です。交通違反でも交通事故ではないものもありますけれども、できれば医師の再教育 の場では、医療事故の当事者たちの言葉や経験をまとめたビデオを見せるとか、直接話 をするとか、そういうものをうまくその中に例示できないかなと思います。 ○座長  ワーキングですので、具体的なものを作らなければいけません。具体的な文言として 何を入れるかということも出来ればご提案をいただきたいと思います。  全く違うのですが、「適切かつ効果的な教材等を用いた」でよろしいでしょうか。 ○川端委員  勝村委員が言われていることから言えば、もう少し具体的な、事故事例を教材とした 教育をする「教育的講座の受講」ではないかとお聞きしました。 ○座長  勝村委員、いまの川端委員のご提案はいかがですか。 ○勝村委員  11頁のいちばん上、(6)に書いてあるような表現を川端委員のおっしゃるようなイメ ージでお願いできればと思います。 ○座長  それでは、いまの川端委員のご提案を7頁に含めたいと思います。ほかに3頁から7 頁まででいかがでしょうか。 ○廣江委員  臨床医の立場から、4頁の(5)の「医療従事者の資質向上」について発言します。 確かに非常によくできた文章だと思います。2年前、厚生労働省が出した臨床医の2年 間の研修制度、それができた段階できちんとした教育をすれば、今後ドクターになった 場合の医療過誤とかいろいろな問題がかなり防げると思います。  その意味で、全文を読んで足りないところは「教育システム」、「研修システム」で す。特に、1つはいろいろなドクターの方々の技能、技術の特徴を得る教育システム、 研修システムがしっかりしないことにはやはり資質ということにならないと思います。 その意味では是非とも、5番目の中に技能、手技を習得するためのきちんとしたシステ ムを導入する。特に特定機能病院など、研修医をたくさん教育している病院において は、そういうことを少し義務づけるようなシステムを導入したいと思っています。 ○座長  いまのご提案は安全というよりも、もちろん安全の根幹になるわけですが、技術や技 能の教材というご趣旨でしょうか。 ○廣江委員  はい、そうです。 ○座長  座長はあまり発言してはいけないのかもしれませんが、私の経験では、やはり新規採 用の、これは医師も含めて全部の職員ですが、いちばん効果があるのは、これから自分 が勤務する医療機関で起こったことを実例として示すのがいちばんみんなが真剣に聞い てくれるように思っています。これは私の経験です。 ○三宅委員  6頁の下から4行目、「医療人としての資質(コンピテンシー)」と書いてありま す。どうして、ここで(コンピテンシー)とされたのでしょうか。 ○座長  これは、たしか長谷川委員の提案でしたね。 ○医療安全推進室長  「新医師臨床研修」の指導員向けのガイドラインを作成していただいています。医療 安全に関してはもう作成が終わり、保健医療科学院のホームページに載せていただいて います。医療安全に関する指導員向けガイドラインの基本的な考え方に、「個人の能力 を引き上げる」という考え方で「コンピテンシー」という言葉を使っていたものですか ら、そのまま使わせていただいています。コンピテンシーの注釈をここに付けたほうが よろしいでしょうか。 ○三宅委員  私が言いたかったのは、ここで「コンピテンシー」という言葉をお使いになるのであ れば「具体的なコンピテンシーを明示して」とか、そのように書かれたほうがわかりや すいのではないでしょうか。単なる資質ということではなくて、「コンピテンシー」と いう言葉を使われるのであれば、もっと具体的に明示をしてあげるという意味合いでは ないかと思います。 ○医療安全推進室長  たしか指導員向けのガイドラインに書かれている「コンピテンシー」がものすごくた くさんあったものですから、もし誤解があるようでしたら、「コンピテンシー」という ところを削除したほうがいいかどうかというところはいかがでしょうか。 ○座長  コンピテンシーの定義というか、説明を付けるか、あるいはコンピテンシーという言 葉を抜いてしまうか。 ○三宅委員  「資質」ということであれば必要ないと思います。ただ、単に抽象的になると思うの で、おそらくコンピテンシーという言葉をお入れになったのだと思います。そうだとす ると、もう少し具体的なコンピテンシーを明示するとか、ちょっと加えられたほうがい いのではないかと思います。 ○嶋森委員  私も「資質」に対して「コンピテンシー」というのはちょっと違和感があるのではな いかと思います。医療人としての能力というか、医療人としての技能や技術、考え方を コンピテンシーと言うと思います。そういうように言葉で表すか、「資質」で行くのだ ったらコンピテンシーを抜いたほうがいいと思います。提案としては、医療人としての 技術や能力を図るというように、具体的に書くほうがいいのではないか。そこにコンピ テンシーを付ければいいのかなと思います。 ○座長  ここは技術と能力だけでしょうか。コミュニケーションなども入っていたと思いま す。 ○野中委員  先ほど勝村委員が、被害を受けた患者の意見を聞くことを言われました。まさにそれ は大事なことであって、医療人として我々の医療行為が被害を受ける人を生むかもしれ ないことを考えなければいけないわけです。ここで抜けているのは、医療は患者との共 同作業であるとの認識と考えます。いま、まさに座長が言われたコミュニケーションと いう部分は、医療が患者との共同作業という部分を医療人が思うことが大事だというこ との表現が少しあると、もう少しコミュニケーション、いまのコンピテンシーの部分が 理解できるのかと思います。  先ほど、勝村委員が言われたところは行政処分を受けた医師の部分ですが、行政処分 を受けた医師には当然必要と思います。ただ、やはり、医療従事者が、医療は共同作業 であるとの認識を持つことによって理解しあえる。どうも、医療紛争は、医師、医療従 事者が適切な技術を持っていても、最後の段階で患者とのコミュニケーションなどがカ ルテ改ざんなどを含めて、患者との理解を失い、そして信頼を失うことになっている。 最初にもっとお互いに協力するという姿勢を持てば、不幸な事例は減ると思います。そ のことが多分、先ほど勝村委員が言いたかったことと思いながら聞いていました。私も 医療従事者の部分、「医療は患者との共同作業である」という部分を加えることが必要 と思います。 ○座長  時間的なこともありますが、先ほど「当面の課題」のところ、ある程度時間的な明確 化をしようということがありました。もう1つ、「資質(コンピテンシー)」のとこ ろ、文章を少し工夫したものをまた委員の方々に近日中にお送りすることにしたいと思 います。 ○土屋委員  確認です。(4)「医療のIT化」というのは、将来像というものはあるのですが、 当面の課題というものがないのです。実は医薬品のところで、例えばレジュメに基づく 調剤などをやろうとすると、実はいまのITがそれに対応できていない部分がかなりあ ります。入力エラー防止などについては、いま入っているシステムも早急に取り組むべ き課題なのかなという気がします。  ITは(4)で「将来」のところにありながら、「当面」のところにはないというこ とでご提案申し上げました。なしということでいいのかを確認したいと思います。 ○座長  ご存じのように、いろいろなものが極めてたくさんあります。国としてのスタンダー ドなものはなくて、いろいろなベンダーが各医療機関でカスタマイズしたものを多種多 様に使っているという現状です。これを例えば、あと1年で直せるものかという疑問を 感じますが、いかがでしょうか。 ○三宅委員  私もその点は前からいろいろなところで言っています。もし、ここで土屋委員がおっ しゃっていることを入れるとすれば、国として基盤整備を急ぐべきであるということを 入れてほしいと思います。共通の基盤整備ができていないために、いろいろな点で無駄 なお金と時間がかかっているという感じを私は受けます。 ○医療安全推進室長  これについて、「医療安全推進総合対策」のプラスアルファとしての報告書を作って います。そこの辺については、かなり具体的に総合対策に書かれていたものですから、 私どもとしては既に重たい宿題をいただいていると認識しています。そこで、重複しな いようにそこは書いておりません。全く新しい、総合対策を超えるような当面の取組の アイデアがなかったものですから、ここの部分だけ抜けているのは気になっています。 ○土屋委員  特に抗がん剤のレジュメとなると、いまの時代だとオーダリングや電子カルテという ところで、その仕組みを持っていないとなかなか難しいところがあります。既に導入し ているところはあるのですが、それを導入すること自体は技術的にそれほど難しい話で はありません。その辺、一方でシステムのほうもきちんとやりなさいということを言っ ておかないと、なかなか厳しいところがあるのかなと思います。むしろ、そこだけ紙に しましょうという話になると本末転倒になってしまうものですから、その辺を危惧して おりました。 ○勝村委員  いまいろいろお聞きした中身ですが、当面は無理ということでも、4頁の「将来」の ところ、例えば(4)の(5)の中に、「医療機関全体で統合されている」に加え、「国 全体として理想的な標準化が進んでいる」という一文があっていいのではないかと思い ます。 ○座長  4頁の(4)の(5)、追加はどうかというご意見です。いまの勝村委員のお話、国と しての統合も「図られている」ですか、「実現している」ですか。 ○勝村委員  「将来のイメージ」のことですから、肯定的に書いていいのではないかと思います が。 ○嶋森委員  もしこういうものがないとしても、「それを強力に推進する」と、重複して入れても いいかなと思います。ここは「当面」がないので。 ○座長  それでは先へ進みます。また、いつでも後へ戻っていただいて結構です。次の章は7 頁の下から4行目、「医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防止対策の徹底」 から9頁の下まで、ここの部分についてご意見を伺いたいと思います。いかがでしょう か。 ○稲葉委員  9頁ですが、「調査分析モデル事業」も実は裁判外、紛争解決手続の一種だと思いま す。これを検討することによって、次の2つに着手をするということでいいと思いま す。  例えば(2)の(2)なのですが、「医療機関や患者遺族等との調整を担う人材の養成 方法」、これは人材の養成なのでいいと思います。例えば医療機関のあとに・として医 療従事者、つまり「医療機関・医療従事者や患者遺族等との調整・調停、これを担う人 材の養成方法について検討する」ということではいかがでしょうか。 ○座長  法律家としてのご意見を伺いたいのですが、「調停」という言葉には法律的に非常に 重い意味があるでしょうか。 ○稲葉委員  この場合の「調整」は、私のイメージでは、比較的表面的というか、情報の交流であ るとか誤解を解くための作業になります。「調停」になりますともう少し紛争というも のを前提に、それについてどういう解決方法をしていくか、少し踏み込んだ形になるこ とは間違いありません。ただし、「調停」という言葉の具体的な定義は法律上も特にな いと思います。 ○座長  特にございませんか。調停というのは、法律で規定されたような機関、あるいは仕組 みをバックにしないといけないという言葉ではないわけですか。ありがとうございまし た。 ○高津委員  8頁の「当面取り組むべき課題」の(1)あたりだと思うのですが、いままでの当面 取り組むべき課題という中には、その他の医療施設、例えば私どもの歯科診療所、無床 の診療所、あるいは薬局等のことが出てきていました。ここのところでそれが途絶えて いるのですが、この項目について何か表記がほしいなと思いました。 ○座長  具体的にはどのような文言がよろしいですか。 ○高津委員  歯科の例が適切かどうかわかりませんが、いま大きな病院等では国のほうでいろいろ な情報の収集がされて、そこで分析をして返しているという状態です。歯科に関しては 国で、あるいは日本歯科医師会の大きいところで収集がなかなか難しいので、実際は都 道府県単位で集結されています。そういう状況になっていますので、都道府県で情報を 収集したものを団体の上部組織で収集して、それをまた還元する。そういった流れ、行 動しやすい文言が少し入ると、逆に現場で行動しやすいのではないかと思います。 ○座長  もう少し具体的に、どのような文言を入れたらいいかご提案をいただきたいと思いま す。 ○高津委員  例えば、いままでの流れでいきますと、「これに加え、病院その他」のところで括弧 として、具体的な有床診療所、無床診療所、歯科診療所、助産所があります。そこで例 えば情報の収集をして、それを還元するような仕組みをきちんとこしらえるということ が具体的な目標になるのではないかと思います。どこで分担してやるかは、例えばそれ ぞれの団体でちょっと収集の仕方が違うけれども、その言葉が入ってくるとやりやすい かなという感じがします。具体的にうまく表現ができません。 ○座長  ほかにご意見、いかがでしょうか。高津委員、いま最後におっしゃったところはどこ を引用されたのでしょうか。頁数と行数はどこになるでしょうか。 ○高津委員  例えば5頁の上から3行目のところに1つあります。もう1カ所、4頁の「当面取り 組むべき課題」の(1)の3行目、いままでそこのところで2カ所ほど出てきました。 ここでもそういう表現が必要かなと感じました。 ○座長  それでは工夫して、お示しするものに入れられたらそこに入れるということですね。 7頁から9頁まで、ほかにいかがですか。 ○三宅委員  9頁の(5)、これは「登録分析機関に集積された」とずっと書かれてあります。「国 民に対して迅速に周知させるためのルールの明確化、システム化を図る」、これはどこ がやるのですか。厚生労働省がやるのでしょうか。現在は評価機構が集積しているわけ ですが、評価機構がやるのか。どこがどのように情報の提供をするのかがちょっとはっ きりしないのです。 ○医療安全推進室長  (6)でしょうか。 ○三宅委員  (5)です。 ○座長  いま、評価機構が公に周知していますが、それ以外に周知機構を設けるべきというご 意見でしょうか。 ○三宅委員  そこがよくわからないのですが、評価機構がいわゆる認定病院から集めた情報と今度 いろいろな医療機関全体から集める、2つ情報を集めるところができました。そこがこ の中でどのように考えられているのか、そこが不明確な気がしました。 ○医療安全推進室長  そこが不明確なので、明確化したいということでございます。考え得る手段として は、評価機構でいま一括集めていますので、そこで例えばこういった情報を発信してい ただき、私どもも行政として迅速にそれを周知するという、一定のルールを作る必要が あるというイメージでおります。 ○三宅委員  だから、評価機構がそういうアラートを出すというのはあくまでも警告なのです。以 前、厚生労働省もアラートを出したいということをおっしゃったのですが、厚生労働省 が出すとかなり規制力があるわけです。その点、これを読んでどういうように整合性が 取れるのかなという気がしました。どこがどのようにするのかなということです。 ○医療安全推進室長  おそらく、現在実施していますのは非常に厳しい対応、規制などが必要なものについ ては、私どもも通知等でお出ししています。そういう重たいものだけでなく、迅速に対 応を求めるものの出し方、それから徹底して対応すべきものの出し方、いろいろ必要だ と思います。そういったものを評価機構とも連携して、システム化して、明確化してお く必要があるというイメージです。 ○三宅委員  そこを整理して、きちんとやりましょうということですね。わかりました。 ○座長  よろしいですか。それでは、次へ進みます。9頁の下から9行目の3「患者、国民と の情報共有と患者、国民の参加促進」という部分から11頁の真ん中よりちょっと下、4 「医療安全に関する国と地方の役割と支援」の前の行までご意見を頂戴したいと思いま す。 ○野中委員  非常に細かい点ですが、10頁の2行目、先ほど高齢者、障害者などの患者に対し、十 分な情報共有と言われました。それに関しては非常に賛成です。ただ、高齢者と障害者 に関しては、患者とともにご家族に配慮していかないと、現状では患者にいくらそのこ とを訴えても、判断できないことがあります。その辺、配慮していただきたいと思いま す。 ○座長  これは「患者・家族」でよろしいですか。 ○野中委員  はい。 ○高津委員  用語のところですが、10頁の(5)と(6)に「相談等」と出て、2回目の「相談等」に (苦情)とあります。同じ入れるのだったら、最初に入れたほうが読みやすいのではな いかと思います。よろしくお願いします。 ○医療安全推進室長  ありがとうございます。 ○座長  ここの部分、ほかにいかがでしょうか。 ○勝村委員  ここが非常に画期的なところだと思っています。10頁の(1)を「患者、国民との情 報共有と患者、国民の主体的参加促進」と「主体的」を加えてもらうとして、その中 で、(1)は広く国及び自治体が国民に対して情報を共有していくという、ある種情報公 開法的な考え方で参加してもらおうということだと思います。(2)はどちらかというと カルテ開示、レセプト開示、個人情報保護法等にも規定された個人情報の自己コントロ ール権というような、自らの情報に関するアクセスのことだと思います。  私は最近のいろいろな状況を見ていると、事故防止という観点では患者に関する情報 は、できるだけ長く保管しておいてもらう努力みたいなものも必要だと思うのです。そ ういう意味で患者と医療従事者共に医療を担う必要があることから、患者や家族が必要 とする情報を共有していくという意味が、もう少し具体的になるように(2)の中が深ま ればいいと思います。 ○座長  これは情報共有体制をさらに整備するという表現になりますか。 ○楠本委員  患者がいつでもその情報を取りやすいような体制整備ですよね。 ○勝村委員  そうです。患者側からすれば、国が持っている医療情報にもアクセスできるし、自分 の医療に関する情報にもアクセスできます。厚生労働省が保有する情報などは、10年 前、20年前のものでもインターネットのホームページに出ていたりしますが、患者自身 の医療にに関しても10年前、20年前に自分が受けたものがわからないというような事態 は、できるだけ避けるべきことだと思います。過去に受けた医療の情報が残っているこ とも事故防止にはつながりますので、そういう方向にすすめるための何らか方策をお願 いしたいのです。加えて、一部ではカルテやレセプトをまだ開示してくれない医療機関 があるのです。それはここにおられる皆さんからは想像もできないことでしょうし、私 も想像できないのですが、一部ではいまだにとんでもない所があるのです。本当にきち んとやっている所で事故防止をしようという話をしているのに、そういうあまりにもい い加減な医療機関をかばうような形になっていては、これからの時代には、ちょっと放 置しておけない問題なので、その辺はきちんとしておくべきではないかと。患者の参加 と言っている限り、情報が共有できる形みたいなものが明確に出たほうが、気持ちがい いと思うのです。 ○座長  文言としてはいかがですか。 ○医療安全推進室長  そうしますと、「わかりやすい説明や広報を行うとともに、そのために必要な体制整 備を図る」ということでいかがでしょうか。 ○座長  それでよろしいでしょうか。 ○勝村委員  もう少し、踏み込んだ表現にはできないでしょうか。 ○嶋森委員  (2)辺りですよね。「医療への参加や協力」というのが、ちょっと弱いのではないか と思います。つまり参加して協力してもらうというよりも、自らで決められるような自 己決定権ですよね。いま勝村委員がおっしゃったのですが、病院の中にカルテを10年も 20年も置くのは難しい問題がある。むしろ患者が自分の情報を自分でちゃんと確保して いたら、どういう治療を受けたかというのが後で振り返るときにわかるので、医療を自 分で積極的にコントロールできるということと、医療者側からくると参加と協力が得ら れるような意味で説明や広報を行い、体制を整備するというように、ここをちょっと変 えたらどうかという気がします。 ○勝村委員  室長が言ってくださったことも、もちろんで、それに加えていま嶋森委員が言ってく ださったように、(2)は「患者に対し、医療への参加や協力」という部分を、「患者自 身が主体的に医療に参加できるように」という表現に、変えていただいたらどうでしょ うか。 ○座長  この部分について、ほかにいかがでしょうか。ほかにご意見はありませんか。 ○勝村委員  いまの所ですが、「患者自身が医療に主体的に参加できるためには」だとおかしいで すか。その後の部分と合わないようでしたら「できることを目指し」でも良いかと思い ますが、そのあたりはお任せします。 ○野中委員  リピーターも週単位でやる。 ○勝村委員  「するために」ですか。 ○座長  ほかの部分でも結構です。ご意見をどうぞ。 ○三宅委員  話が少し飛んでしまうかもしれませんが、いま勝村委員がおっしゃったようなことを できるだけ早く実現化するのは、やはりIT化なのです。ですからIT化を促進すると いうことを、どこかでかなり強調してほしいと思います。ここでこんなことを言っても しようがないのですが、ICカードというか、ああいうものの容量がものすごく増えて いて、カルテもフィルムもあそこへ入ってしまうのです。そこまできているのにICカ ードは、はっきり言えばSuicaしか使われていないという日本の貧しさ、これを何 とか変える以外ないわけです。それはやはり基盤的な整備がされていないからなので す。私は是非これを強調してほしいと思います。そうすれば勝村委員が言っていること は、全部できるのです。 ○勝村委員  私は4頁の(4)の(2)、「IT機器の活用により、患者との情報共有が推進されて いる」の後ろに、「特に電子保検証などにより、患者がICカードに自分がそれまで受 けた医療の記録、処方された薬、副作用情報などを持ち歩けるようにする」というのを 付記していただきたいと、一応厚生労働省にはあらかじめお願いしていたのですが、ボ ツになっていましたので、私だけだったのかと思っていたのですけれど、いま三宅委員 のご意見もあったので、私も同じ意見ですということをお伝えしておきます。 ○三宅委員  まったくそう思います。もうそこまできているのに、医療の世界でそれが一向に進ま ないのは、基盤整備がされていないのです。だから無駄な金がものすごく使われてい る。私はそれをもっともっと早く進めるべきだと思います。 ○勝村委員  もし、そういう意見で一致することができるなら、是非それを書く必要があると思い ます。 ○座長  これは勝村委員と三宅委員にお尋ねしたいのですが、そのための費用を患者はご自分 で負担されるのでしょうか。 ○三宅委員  例えばICカードなど、いまは100円ぐらいですよね。もうちょっとかな。 ○座長  情報の登録や整理等、全部のシステムがありますよね。それを含めて患者は負担され るのでしょうか。 ○勝村委員  そういう費用の問題もありますので、これにはやはりしっかりとしたリーダーシップ が要ると思うのです。改革のときには、必ずレクチャーというか、改革するリーダーが きちんと説明できなかったら、危惧が先行します。予算的にどうなのか、混乱を生じな いのかなど、いろいろな危惧があるわけです。だから一応プランを立てていかなければ いけないわけで、そのプランを立てていくのが、やはり「将来像のイメージ」のこの部 分だと思うのです。そういう意味で、先ほど私は、「国全体がIT化の標準化」という 言葉で、それは是非加えてほしいと言ったけれども、その標準化のイメージは、最終的 には、具体的にこういうイメージだということまでしっかりと伝えてもらうと。では、 それが本当に予算的にどうなのかということに関しても、もちろん国が国民に説明して いくべきであって、結局、そうしたほうが費用のことも含めていろいろな意味でメリッ トが得られる、というような形で計画を立てて説明していけると思うのです。まず、そ のような動きを始めるということをしてほしいのです。 ○三宅委員  私は、これは患者が負担することではないと思うのです。国がやるべきことです。そ れで結果的には医療費が削減できるのです。ですから私は、これは国家の事業としてや るべきことだと思います。 ○座長  本当に自分の役に立つものであれば、自分で持つだろうとは思いますが、三宅委員 は、これはあくまでも個人負担ではなくて、国家がやるべきだというご意見ですね。 ○三宅委員  基盤整備はですね。 ○嶋森委員  これは将来像ですよね。私は、将来像にはそこまで書いてもいいのではないかという 気がするのです。仕組みは今後考えていったらいいのではないかという気がしますが、 インターネットで見たら、どこかの会社が保検証をただで作ってみんなに持たせると、 保険料の収納も含めて効率的であるというのが、つい2、3日前に出ていました。 ○三宅委員  私が先ほどモデル事業でと言ったのは、どこかの都道府県単位ぐらいでモデル事業と してこういうことをやれば、おそらく私は随分変わると思うのです。ただ医療圏という ことがありますので、ある程度の広さがないと駄目ですが、やはりそういうことを具体 的にやらないと進まないと、私は思っております。 ○座長  以前光カードというのが、いくつかの自治体で使われたことがありましたが、あのよ うなものをイメージしていらっしゃるのでしょうか。 ○三宅委員  私はそんな大したことではない。いま中身がものすごく進歩しているのです。SUI CAで使われているのはレベルが低いのですが、容量はものすごく増えていますから、 そういうものを使えば可能性は非常に広がると思うのです。 ○勝村委員  いずれにしても今回は将来像まで語っているし、できるだけ具体的な目標があったほ うがいいと思うのです。かなり画期的に患者の参加ということを打ち出しているので、 それはすごくいい言葉ですが、それが具体的にどういうイメージなのかというイメージ を具体的にできるものが必要だと思います。将来においては例えばそういうものもある というような形で具体的にいくつか示していくべきだと思います。それは時代の流れ で、ITの流れがどう変わっていくかはわからないにしても、現時点であるべき将来像 を具体的に語っておくべきだと思います。 ○三宅委員  これはイメージを語っているのですから、私はむしろそういうことを書いて、具体的 にどうしますかと。例えばあるエリアでそういうことに取り組みましょうというような 進め方でないと、何となく絵に描いた餅だけに終わってしまう気がするのです。 ○座長  これはどこかにありましたね。「基盤整備に努める」という表現が、たしかいちばん 最後のほうにあったと思います。11頁の4の(2)の2行目に、「国は法令の整備や、情 報提供、研究の推進等の技術的な支援、及び、財政的支援等」と一応書いてあります が、こういう所にもっと具体例を書くべきだという、そういうご意見でしょうか。 ○三宅委員  いままでも「財政支援」という言葉は、もうしょっちゅう使われているのです。しか し、それが全然具体的なものに変わっていかないというところに、私は非常に不満を感 じます。 ○座長  それでは次へまいります。いちばん最後の所へ入ります。11頁の4「医療安全に関す る国と地方の役割と支援」から、12頁の最後までです。ちょうど今のご議論の続きにな るような感じですが、どこの部分でも結構です。ご発言をお願いします。 ○野中委員  IT化の件は、私も区市町村で先ほど言われた光カードなど取り組んできました。ま た病院等もいま、電子カルテなどに取り組んでいますが、いつも誰が記載するのか?ど のように読むか、その機器を誰が購入するかという話になると、いつも頓挫するので す。先ほど勝村委員が言われたこと、まず患者に対してカルテの内容や薬の副作用など きちんと示すことが大事なのです。  ですから先程の医療は患者との共同作業すなわち患者には原則的には全てをきちんと 伝えるというベースがないと実行できない。ただ、毎回紙に書いていたら大変だから、 ITを使うという発想があるのです。紙に書いて知らせることも面倒くさかったら、I Tを使っても面倒くさいということになります。情報を患者にきちんと提供しよう、医 療は患者との共同作業という共通認識をまず構成することによって、最終的な目標を達 成するという姿勢を盛り込まないと、私のいままでの経験でも、なかなか実行できな い。  ただ単にITと言っているだけでは前へ進まないのは、現場で十分経験しています。 病院等で電子カルテの体制ができている所もあれば、できていない所もあるわけです。 それは価値を見いだしているか見いだしていないかの違いと私は思うのです。その価値 を見いだすということが、まず大事ではないかという気がしています。 ○座長  いまの野中委員のご発言に対していかがですか。 ○三宅委員  価値は見いだしていますが、はっきり言えば金がないというのが現実なのです。それ から、もう1つは互換性がない、共通の基盤ができていないということで、私はそこが いちばんのネックだと思います。とにかく、まずは共通の基盤さえつくっていただけれ ば。いろいろなメーカーもあり、いろいろな取組もあるのですが、共通のものがあれ ば、委員がおっしゃるようなことは、私もいろいろな可能性が広がると思うのです。そ こが整備されていないのです。 ○野中委員  共通の基盤がないことを理由にしない現場が多いのも事実です。そこは確かにおっし ゃるとおりです。しかし、そんなことをしたくない人はコンピューターも買わない。で すから、そこら辺の違いと思います。決して基盤整備が駄目と言っているわけではあり ません。しかし、その前に皆さんで共通の認識を持つ必要性を言っているわけで、駄目 にする話をしているわけではありません。そこは理解していただきたいと思います。 ○勝村委員  結局、どちらかというと国の役割だと思うのです。先ほどの医療のIT化のところで すが、「将来像のイメージ」で「IT機器の活用により、患者との情報共有が推進され ている」というイメージは明記しているわけですよね。では具体的にそれがどういうイ メージなのかというのが書けないなら、説明できなくなってしまうと思うのです。です から書いた限りは嘘であってはいけないのです。書いているだけで何も考えていません というのでは、いままでと同じになってしまいます。そういうことではなくて、国民や 患者の医療の安全を考えてこれから本気で動いていく、本当に患者の参加を促す、本当 に患者に主体的に参加してもらうのだというのであれば、こういうところで躊躇してい たら、中途半端に終わって、折角の画期的なものがもったいないと思うのです。ですか ら、ここはもうはっきり書いて、それができない医療機関とは差別化をはかろうとする ことで底上げもすすむはずです。ほとんどの医療機関はできるわけなんですから、それ はやはりきちんと全てができるような形を、是非取っていってほしいわけです。  今いろいろお聞きしていて、国の標準化という問題でリーダーシップに問題があるの ならなおのこと、最後の所で患者が自分の医療情報を自分でアクセスできるような整備 基盤を国が進めるということが当面の課題に入っていないといけないと思います。それ を入れていないのに患者参加を進めると言っても、やはり市民感覚的に信用されないと 思うのです。何かそういう形のものが入ってほしいと思います。これまでの医療を考え て未来の医療を考えるなら、そこがやはり切り換わる大きな節目になると思います。 ○野中委員  (2)の「情報提供、研究の促進等の技術的な支援」に、「例えばIT化促進」といっ た言葉を入れていくだけでも、将来的な目標になるので、いれていただきたくお願いし ます。ただ、そういう言葉で済めばということです。 ○座長  いまの部分はよろしいですか。4の「将来像のイメージ」の(2)の3行目、「技術的 な支援」の後に、「例IT化」というようなことを入れるというご提案です。患者にご 自分のカルテを持っていただくことは、技術的にはかなり可能になってきていると思い ます。ただ、いまの現状ですと、いまのカルテの中は皆さんよくご存じなわけですが、 あれを専門ではない患者やご家族がすべて読めるかというと、そうではありません。そ うするとカルテそのものも非常に大きな問題で、難しいとは思いますが、カルテという ものは一般国民の方が予備知識なしに理解できるように作るべきだ、ということになろ うかと思います。野中委員、何かご意見はありますか。 ○野中委員  カルテを患者と一緒にその現場で書く作業が大事なのです。実は私の患者に耳の遠い おばあちゃんがいます。父親の時代からずっと診ています。大きな声で説明していたの ですが、待合室の患者に全て聞こえていることに気がつきました。それでは困るので、 筆談を始めました。筆談はなかなか大変なのですが、患者にその病状などを書いてあげ ました。2週間後に見えたときに、「先生、よくわかりました」と患者から言われまし た。なぜか、家へ帰ってからもその筆談の文書を読むことが出来たからだそうです。  今座長が言われたように、簡単なことでもいいけれど、その日の診療の記録をきちん と書いて差し上げることも、大事と思うのです。それが本当にカルテなのかカルテでな いのかという議論は別の機会に譲ります。診療記録でのIT化を、考える必要があるの ではないかということです。 ○座長  勝村委員、いまのご議論はいかがですか。 ○勝村委員  提供の仕方ということで、相手に合わせていろいろ努力をしていただいている現場と いうのは、非常に素晴らしいことだと思います。国が持っている安全情報などを国民に 広く提供するといっても、では同じように高齢の方がインターネットを使えるかという 話にもなりますが、家族の中にアクセスできる人がいるかもしれないし、また、医療関 係者や医師自身が患者側になる場合だってあるわけです。ですから、いろいろな人がい るわけで、いずれにしてもどんな人でもアクセスしようと思ったらアクセスできるよう な形をつくる、だから患者参加が進んでいくのです、という形であるべきだというのが 私の意見なのです。  そこで先ほどの所に戻りますが、第3章の10頁の(1)では、国の情報は国民がアクセ スできるような形にしていきますと、きちんと書いているにもかかわらず、(2)では患 者に関する情報に関してきちんと提供するという言葉が、私はちょっと足りないような 気がするのです。だからこそ、ここで議論してもらったのです。私も素人ですが、実際 に家族が入院したりしたときは、看護記録とか検査結果とかレセプトを見て、入ってい る薬などがあれば市販の本を見たり、いろいろな人に相談したりできるのです。そうい うカルテ等へのアクセスは、いつもしているわけではないのですが、ちょっと気になっ たら自分でもいろいろと勉強して家族の病状について一緒に見るということがありま す。いろいろな状況があるわけですし、いつも病院にいるわけでもないですが、そうい う情報にアクセスできるからこそ患者の主体的な参加なのだ、というような、ごく普通 の市民感覚で理解しやすい論理になっていないと、そこはちょっと不十分ではないかと 思うのです。その点をどこかに何らかの形で入れていただければと思うのです。 ○座長  この第4章はどうでしょうか。 ○三宅委員  いま野中委員がおっしゃったことも、勝村委員がおっしゃったことも、私はまったく 同感です。もし夢を語るのであれば、ICカードにカルテを全部、その人個人の情報が 全部入ったものを持っていただくというのが、私はいちばんいいと思っているのです。 医療機関というのは、その医療機関の情報は持っていますが、患者は一生の情報を持つ 必要があるわけです。それはやはりITを使う以外ないのです。それを持っていれば、 全国どこへ行っても受診できるわけです。ですから夢を語るとすれば、私はそこにいく と思うのです。そこの取っかかりを、どこかからちゃんと始めてほしいと私は思ってい るのです。 ○井上委員  患者への情報提供については、薬局ではすでにやっております。薬剤情報提供文書 と、『おくすり手帳』というのを使って、薬局から患者に投薬する内容について、すべ て提供しております。複数科受診をやられている患者も、『おくすり手帳』にほかの薬 局からもらった投薬内容を貼っていただければ、薬局間では相互に患者が服用されてい る薬剤の情報がわかるようになっておりますし、受診されたドクターのほうにも必ずそ れを見せるように、私どもも患者に指導しております。  薬局では実際にはもう情報提供をやっているのですが、野中委員が言われたように、 患者と医療関係者との信頼がなければ、いくら道具立てができても情報が正確に伝わっ たり理解されたりということには、なかなかなりません。ドクターから処方された薬を 正確に服用していただくコンプライアンスの上昇というのが、我々の大きな使命の1つ なので、この薬剤情報提供をやるわけです。信頼関係ができた方に情報提供をして必要 な指導をやっていくと、非常に効果が上がっていくのですが、信頼関係が希薄な患者の 場合は、やはりなかなか難しい。ですから患者への情報の提供と信頼関係の確立という 両立てが必要で、単に一方的に医療機関側が情報を提供すればすべて解決するという問 題ではなくて、患者の医療参加の意識と医療機関側からの情報提供、医療関係者からの 情報提供が深く理解に結び付いたところで、初めて医療なり治療なりが実行できると思 います。  カードに入れていくということは、過去にも日本各地でさまざまな実験が行われてい ます。もう皆さんもご存じのとおり、それがなぜか頓挫したり消えていったのかという のは、やはりそこに何か原因があるわけです。いま、それを国家的な規模で実施しよう とすれば、途轍もない予算と時間がかかるわけですから、我々のこの委員会の提言とし てはザクッと、そういうIT化の基盤整備をしていくというように書き足すことで、十 分このワーキングの使命は果たされるのではないかという気がします。 ○三宅委員  今いろいろなモデルが頓挫したとおっしゃいましたが、私が知っている範囲では宮崎 とか、いくつかの所でそういう取組が県単位で行われたという話を聞いています。あれ も医療圏が跨がるためにできなかったのです。結局、国としての情報の基盤整備ができ ていないから頓挫しているのです。ですから、やはりそこを強調しない限り、何も全然 進みませんよ。 ○井上委員  ちょっと誤解があるようですね。三宅委員が言われているIT化の基盤整備をしてい くことは、まさにここで声を発していくべきだと思います。宮崎県の日向市でやった実 験とか、福岡県の大牟田市でやった実験とか、岡山県の姫路市でやった実験とか、各種 の実験があるわけですが、メドラのことなど、そういったIT化を行う上で深い部分の 難しい問題もあるようです。我々はいま、医療事故の委員会をやっているのですから、 そこはやはり事故防止の観点から、そういう統一が必要であろうという提言はなすべき だと思います。 ○勝村委員  井上委員が言われたことが、ちょっと分かりにくかったのです。いま現在、薬の提供 は、信頼関係ができている患者には提供しているけれど、そうでない患者には提供して いないということでしょうか。 ○井上委員  それは違います。情報提供義務がありますので、初診の患者には原則すべて提供して おります。 ○勝村委員  ということは、いままでも全部提供しているけれど、自分としては信頼関係ができて いない患者には提供しないほうが、かえって信頼関係が得られるのではないかというこ とになるのでしょうか。ちょっと意味がわかりにくいのですが。 ○井上委員  一律に全員に提供しているわけですが、信頼関係がある場合にはより治療効果が上が ったり、医療関係者と患者が相互に信頼し治療に積極的に取り組むという場合には、説 明をしても非常に協力もいただけるし、こちらもご協力できるのです。力を合わせてや ろうという感じになっていくという信頼関係です。 ○勝村委員  提供しないほうがいい場合があるという趣旨ではないのですね。 ○井上委員  違います。 ○座長  それでは議論が一応一巡いたしましたので、前文からこの第4章に至るまで、全体に ついて包括的なことでも結構ですし、細かいことでも結構です。追加のご意見をいただ きたいと思います。 ○宮本委員  いまの4番の「国と地方の役割」のディスカッションを聞いていて思ったのは、「将 来像のイメージ」の(2)で、「国は法令の整備や」と書いてあって、「役割を担ってい く」ということですが、これは現在もそうですよね。しかし、まだやはりいろいろな問 題があるということですから、「将来像のイメージ」としては、「その役割がきちんと 果たされて、法令の整備や情報提供、財政的支援等が適切に行われている」としたほう がいいのではないかと思います。 ○座長  最終的な形に言い直したほうがいいというご意見ですか。 ○宮本委員  将来こうあるべきということを書くのであれば、役割がきちんと果たされているとい う形の表現にしたほうが、いいのではないかと思います。 ○座長  確かに前のほうでも、将来はこういう形になっているという表現の所がありますか ら、同じような書き方にしたほうがいいということですね。 ○嶋森委員  それと、もう1つ先ほどからずっと議論がありますが、4の「将来像のイメージ」が 2つあって、1つ目が医療安全対策に対する法令の整備等で、2つ目が法律的にという ことですね。患者が主体的に医療に参加できるような仕組みとして電子カルテなど、い ろいろ出ていますが、ITが推進しなくても、患者にきちんとわかるような説明をすれ ばいいわけです。そういうことも含めた主体的な患者参加のための仕組みづくりを、国 として責任を持ってやっているという意味での項目が、この後に1つ入ればと思いま す。つまり金とか、状況によってどういう方法でもいいので、主体的に参加するような 仕組みづくりを国としてやっているということを、3つ目に入れたらいいのではないか と思います。 ○座長  いまの嶋森委員のご意見はいかがですか。では(3)として、それを入れることにしま しょう。事務局、もう一度おっしゃってください。 ○医療安全推進室長  確認させていただきます。患者、国民が主体的に参加できるところの仕組みについて は、10頁に国及び自治体の役割があります。こちらに少し加筆するのと、どちらがよろ しいでしょうか。それぞれの項目で国及び自治体の役割が書かれている所もありますの で。 ○嶋森委員  監督指導の所に書いてあるので、いいという考えもありますが、そういうことを促進 するような仕組みづくりは、国の役割としてもやっているよというのは、あってもいい のではないかという気もするのです。重ねて書くとしつこいかもしれませんが、皆さん のご意見を。 ○勝村委員  私も嶋森委員のご意見と同じです。私の理解ですと、国が一般的に医療情報をアクセ スする方法などをどんどん提供していきますというのが、10頁の(1)の(1)だと思い ます。(2)は、医療機関と患者との間で情報を共有していくということでの患者参加だ と思います。そして最後の所でお願いしようというのは、医療機関が患者と情報を共有 するのが容易になるようなシステムを、国がリーダーシップを取って構築すべきではな いかということだと思うのです。ですから10頁の(1)の(2)を、もう少し深く書いて ほしいと思います。  それを進めるために例えばIT化のICカードならば、先ほどから言っているよう に、保管義務の問題もないわけです。医療機関だったら、一生涯にわたって保管するの は困難かもしれませんが、自分で持っていたら、自分の一生涯にわたってずっとあるわ けですから、そういう意味でも私はいろいろなメリットがあると思うのです。いろいろ と意見があったとしても、目指すべきところは一致すると思うのです。できるだけたく さんの自分の情報があったほうがいいし、自分でコントロールできたほうがいいので、 そういうことを推進していくことが、医療機関と患者の間だけではおぼつかない部分 を、国がリーダーシップを取るということを国の役割として明言することで、患者や国 民の医療への参加というのを謳うことと矛盾しなくなると思うのです。 ○座長  ほかにご意見はいかがですか。 ○三宅委員  11頁の4の(1)ですが、これは非常に抽象的です。国と地方の役割分担と言いながら、 ただ「明確に位置づけられている」と、いろいろ書いていて、とにかく法令上書かれて いるというのは、将来的に例えば道州制が導入されるとか、三位一体の問題とか、そう いうことをにおわせて、ここに書いているのですか。どうも非常に抽象的でわかりにく いなという気がするのです。例えば道州制でもいいのですが、国の役割は何で、地方の 役割は何で、ブロック化としてやるべきことはこうだということを、私は書くべきでは ないかという気がします。これは本当に抽象的な表現で、これで国と地方の役割がわか りますか。 ○嶋森委員  まだはっきりしていないところがあるので、それを将来は明確に位置づける、つまり 将来はちゃんとはっきりしている、という将来像を書いているのではないですか。そう いうように理解したのです。 ○三宅委員  私が前に出した文章の中にあるのですが、例えば医道審議会などはもっとブロック単 位で、もっと地域に近い所でやったほうがいいと私は思っているのです。国でやるとい うのは大きすぎて、もっと地域的にやるべきことではないかと。ですから地域で取り組 むべきことはこういうことではないかということを、どこかで少し具体的に書かない と、今やっていることと何が変わるのか。ここに書いていることは、法律が変わった ら、それに応じて何か変わりますよということですよね。違いますか。 ○医療安全推進室長  第1回目の参考資料の2に、医療法の関係部分をお示ししているのですが、実は医療 法の中に「医療安全」という言葉は出てきません。省令レベルですと書かれているので すが、個別のことについて書いているだけで、医療安全について国・自治体が担うべき 義務みたいなものは、はっきり書いておりません。そういったことから役割を明示した らどうかというイメージです。各施策については、それぞれの所に書いてありますし、 それぞれの施策の中で国や都道府県がやるべき役割分担をしなければいけないのです が、根っこのところが今の法令上はないものですから、国と都道府県の役割を明示した らどうかという、自分で自分の首を締めるような話を書いているという状況です。 ○三宅委員  そういう意味合いですか。私はどうもよく分からないのです。 ○野中委員  多分、国の将来像をすぐに書くのは難しいと思います。当面やれることはすぐ書ける けれども、国の将来像は大きくまとめないとできないので、そういう書き方になってい ると思うのです。(2)は先ほどのお2人の議論を聞いていても、「安全で安心な良質な 医療が効率的に提供されるよう」というのが、最終的に将来像の目的になってくるわけ です。そこに今回、初めて国民の主体的な参加促進を入れるわけです。私としては、是 非「担い、安全で安心な良質な医療が効率的に提供されている」との書き方のほうが、 理解され易いと思います。「患者、国民が主体的に参加して、安全で安心な良質な医療 が効率的に提供されている」のほうが、書き方としては目標が定まっているという気は するのです。 ○座長  いまの野中委員のご意見に対して、三宅委員はいかがですか。 ○三宅委員  私はそういう国の医療法上の問題などには、あまり不案内でしたから。そういった意 味合いであれば、これはこれでいいのかなという気はしますが、私はもう少し具体的な ものがほしいというのが正直なところです。 ○座長  ここの部分でなくても結構です。全体でどこでも結構です。ほかに何か追加はありま すか。 ○高津委員  ほかの部分になります。これはいろいろな方が読むと思うのですが、そのときの読み 方として、1頁から2頁にわたって今までの経緯の話がきて、そして2頁の7行目ぐら いからの「こうした関係者の」というのは、これからの方向性という流れだと思うので す。ですから前文にもそういうことが入っていると読みやすいのではないかという感じ がしました。 ○座長  「そういうこと」というのは、どういうことですか。 ○高津委員  読み方、まとめ方のタイトルです。 ○座長  わかりました。前文にタイトルを入れようというご提案ですね。 ○高津委員  ここに小見出しがあれば読みやすいと思うのです。 ○座長  これまでの経緯と、これからの方針というように、前文のタイトル立てをしようとい うご提案かと思います。 ○高津委員  これだけが最近の流れで加わってきて、今日解説を聞いたからよく分かるのですが、 これがいろいろな所へ流れて行ったときに、そういったものがあると理解しやすいので はないかというのが1つです。  また前文の話がありましたが、12頁の後に、やはり「終わりに」と言いますか、後の 文章が何もないのが、尻切れとんぼではないかと思うのです。例えばいちばん最後の所 で、先ほどから何回も議論になりました、この報告書のいろいろな特徴と言いますか、 今回はこういうことをやったというものを。例えば患者が主体的に医療に参加するとい うキーワードとか、いままで医療安全に対して、例えば病院や有床診療所というもの が、最後の12頁の上のほうの「枠組みが整ってきた」という所から、今度は「小さい規 模のその他の医療施設等に目を向けてきた」というのも、読んでみると非常にわかりや すいのです。あとは先ほどからのIT化の問題、あるいはちょっと何か言い足りないと ころも含めて、後の文があるとまとまるのではないかという感じがしました。 ○座長  前の平成13年の報告書の場合は、初めてああいうものが作られて、まだまだ議論が十 分まとまらないということがありました。あそこには5、6行のまとめの文章がありま したが、実はあれは起草委員たちの思いの丈が、あそこに書いてあったわけです。お蔭 様で今回はかなり議論を深めていただいて、一応中にいろいろなものを入れることがで きたと思っております。これはどういたしましょうか。個人的な経験ですが、初回の起 草と今回のワーキングとでは、随分状況が違うという感じはしておりますが、もう一度 最後にまとめを書くべきでしょうか。前回は正直言って本文の中で盛り切れなかったも のがかなりありまして、それをギュッと凝縮したようなものをまとめに書いたのです。 今回は4つの章の中に、かなりいろいろなご意見が入っておりますので、まとめでさら にそれを繰り返すべきかということがあろうかと思います。勝村委員、何かご意見はあ りますか。もちろんほかのことでも結構です。 ○勝村委員  3頁の1の(2)の(1)です。医療従事者、医薬品の安全確保のために、いろいろな 人たちが連携を図るという中で、今回は患者参加というコンセプトがありますから、リ スクマネジメントのためのチーム医療の一員を、患者・家族自身も担えるのではないか という趣旨なので、ここにもうまく「患者」という言葉が入らないかと思うのです。 ○座長  医療機関と医療従事者の間、あるいは医療機関と薬局の間に加えて、患者参加がそこ にあるという文言が入ったほうがいいというご意見ですね。 ○勝村委員  はい。そういう意味で今回の議論は、「患者の参加」という言葉が、従来言われてき たインフォームドコンセントとか、患者への情報提供のサービスという意味を超えて、 リスクマネジメントを考える上で、医療事故防止を考える上で、チーム医療の一員とし て患者にも参加してもらおうという趣旨が加わって、いままでと全く大きく違っている のです。そういう方向で議論を皆さんがされていることに、私も非常に感激しているわ けです。  そういう観点からすると、患者が自分自身の情報にアクセスするという観点で考える のが、あまりにも当たり前なのです。これまではサービスだから、インフォームドコン セントだから、技術的な問題があるからということで、開示しない場合もあるようなこ とを厚生労働省などは言ってきたのです。現実に皆さんご存じかどうかは知りません が、実際にレセプト開示を請求して医療機関が拒否しているケースというのは、とんで もない事例ばかりで、厚生労働省はそういう所をかばっているのではないか、というぐ らいの感覚を国民は持っているというように思わなければいけないと思うのです。「カ ルテ改ざん」という単語が見出しになっている中で、医療事故の報道が繰り返されてい て、それにどう取り組むかというところも医療安全に欠かせないことのはずなのです。  私は、これから常日ごろ、日常的に患者が医療情報とアクセスできるようになれば、 改ざんなどもなくなるわけだし、そのようになってもらえれば、本当に安心して医療を 受けることができると思います。これでもう同じような事故はなくなるのではないか、 と思うようになるためには、やはりもう一つ工夫がないといけないと思います。「患者 参加」と言っているけれど、患者の情報提供の仕方は今までのサービス論ですよ、医師 が提供しないほうがいいと判断したら提供しないのですということであれば、それは医 療安全として市民感覚的には全く納得を得られないと思うのです。  ですから先ほど井上委員に「情報提供しない方が良い場合がありますか」と聞いたの です。そうしたらそんなことはないということなので、その辺のことをもうちょっと明 確にしておくことで、患者、国民に安心してもらえると思います。自分の情報が見られ ない場合もあり得るとしながら、患者参加、患者も一緒に、というのはおかしいので す。学校で言えば、テストで○の付け間違い、○の数え間違いをしないために、答案を 生徒に返すことでミスが明らかになるということがあります。生徒からすれば自分の点 数だから一生懸命確認するし、教師が一人で採点するより目の数が増えるし、というこ とでミス防止になるわけです。実際に大学の入試でも、生徒に点数を開示したら、偶数 になるはずの点数が奇数になっていたということで、大学入試の点数を集計したコンピ ューターのミスが明らかになったという事件も記憶に新しいところです。  患者参加というのは、リスクマネジメントを目的として出てくる話なのです。しかし 従来、一部の医療機関では情報を見せませんという形があったのです。そこがなくなり ますという形が出て、私は本当に患者も一緒にリスクマネジメントに参加しましょうと いうことを啓発していくことに、説得力が出ると思うのです。そこの意識を変えない と。いろいろな事情があるから変えにくいと言っていると、結局国民の信頼は得られな いのです。ごく普通の市民感覚的におかしい話なので納得が得られるわけがありませ ん。何かそういう形の文章、そういう意味をうまく入れてほしいのです。  現に昔の薬というか、C型肝炎の問題でも、危険な血液製剤が使用されたかもしれな いと言われて医療機関に行ったら、「もう保管してません。破棄しました」と言われて いる患者がいるわけです。そういうようなことも、これからは起こらなくなっていくよ うな、患者の情報はきちんと担保されるから、参加して一緒にやっていきましょうとい う形を、本当に明確化してほしいと思うのです。 ○座長  勝村委員のいまのご意見に、もちろん委員の方々で反対の方はいらっしゃらないと思 うのですが、何か具体的な文章がございますでしょうか。 ○三宅委員  勝村委員がおっしゃっている意味合いを表現するとすれば、1頁の「医療における信 頼の確保について」の2番目の・です。そういった意味では、「患者の視点に立った医 療の実現が課題となっていることを認識すべきである」という表現は、非常に弱いと思 います。ですから「患者の視点に立った医療を実現するのが最重要課題である」とか、 もうちょっと強い表現にしたほうがいいのではないかという気はしますが、どうでしょ うか。 ○医療安全推進室長  ここの部分についての追記は、いままでは「医療安全推進総合対策に基づき」としか 書いていなかったので、その医療安全推進総合対策の内容を要約した内容になっており ます。もし、それにプラスアルファするとしますと、2頁目の「こうした関係者の努力 にもかかわらず」以降に、少し何か加える必要があるかどうかということになろうかと 思います。 ○座長  よろしいでしょうか。 ○嶋森委員  あと書きを書くかどうかということが、先ほど出ていたと思うのです。患者が主体的 に参加するという意味が非常に強調され、いままで医療側がサービスとしてやっていた ことよりも、主体的に参加してやるという意味で、情報開示や情報提供というニュアン スからは変わった報告書になっていると、勝村委員に評価していただいていると思うの ですが、そういうことが2、3行ででも書ければ。つまり、これを通して医業者だけの 問題ではなくて、患者、国民を含めた全員での取組が非常に重要な時期にきていて、そ ういう意味での報告書にしたみたいなことを、最後に書いたらどうかと思います。 ○座長  情報開示や情報提供ではなくて、情報共有でいくのだということをあと書きに設け て、強調すべきだというご意見ですが、いかがですか。嶋森委員にお伺いしたいのです が、あと書きというのは、やはり報告書を総括するものですので、あまりいろいろなも のを書くとぼやけてしまうけれども、それだけでいいですか。 ○嶋森委員  難しいですね。そういうように言われると、それだけでいいかどうかというのは、私 は皆さんにご意見を聞きたいぐらいです。 ○座長  あくまでもこれは報告書案ですし、ワーキンググループとしての意見ですから、ワー キンググループとしてはいろいろあるけれども、そこのところを最後に強調して、この 報告書を終わるというのなら、それはそれでいいと思います。そうしますか。 ○野中委員  2頁の(1)(2)(3)を当面の課題として書いたわけですから、違う書き方をすれば、そ れが1つの強調になるとの思いもあります。  そのことと、実は評価しているのは、患者だけではなくて、「国民」と書いていただ いたことです。患者だけではなく国民も一緒に医療の質をみんなで考える。考えるとい うことは、分担するということですから、そういう部分を国民の主体的参加の中に入れ たことの重みを、非常にうれしく思っていますし、そこを正しく理解して頂きたいと思 います。いままで医療は、患者だけの視点で語られていましたが、国民も一緒に、不幸 にも病気になった人のことを考える視点です。 ○井上委員  JCAHOだったと思いますが、トゥエンティティプス・トゥ・リデューシング・メ ディケーション・エラーという、患者が医療事故から身を守る20個の具体的項目があり ます。以前、厚生労働省が出した、医療関係者が医療事故を減らすために心得る10の要 点というのがありますので、それと対で、患者がもし医療参加するとすれば、患者が医 療事故から身を守る具体例として、そういうものを将来提案するという形で提言しても 面白いのではないかと思います。かなり具体的な内容になると思います。 ○座長  いまの嶋森委員と野中委員のご提言、今回の2頁の3つの骨子と、患者との情報共有 ということを強調する、そういう文章をまとめにできればと思います。 ○勝村委員  賛成です。同じ趣旨ですが、先ほど野中委員が、「国民」と書いていることが非常に いいとおっしゃったのですが、10頁の(1)の(1)の3行は、私は非常にいいと思いま す。なぜなら、国、自治体は積極的に国民を医療に参加させよと。しかし、(1)の場合 は、その前段に、患者、国民への医療の参加を促すためには、必要な知識と情報を提供 するから国民は医療へ参加してくださいという趣旨になっているのです。  しかし、(2)のほうは、国民でなくて、患者と医療機関の関係なのですが、そこでも、 患者が参加すると言いながら、「その必要な情報を提供するから」という一文が抜けて いると思うのです。 ○座長  「提供」でなくて「共有」と書けばいいのではないですか。 ○勝村委員  「共有」でいいのです。ですから、そこの情報を共有する努力をしていくから、共に 医療を進めていきましょう、と言ってほしいわけです。やはり、これまではそういう努 力がなかった面はあるというふうに一部認めなければいけないと思います。そこを変え ていくから患者も参加してくださいという形で、(2)も書けないものかなと思うのです。 ○稲葉委員  最後の11頁の医療安全に関する最後のところですが、最後にこういうことを言ってい いのかどうか分かりませんが、そうであるなら、国、都道府県、医療従事者とともに患 者あるいはご家族の、全体としての医療安全に対する役割をイメージとして考えること ができないのかというのが1つです。  例えば、将来像のイメージのところを、先ほどの事務局の話によると、まず最初のと ころを、三宅委員との関係もありますが、「医療安全に関する国、都道府県、医療従事 者の役割」でなくて、多分「責務」になるのではないかという気がします。「が法律に 明確に位置付けられ、医療安全に関する患者、家族の役割が同定され」みたいなこと が、全体として医療にかかわる人たち、患者も家族も含めて、そういう人たちの役割が 全体として理解できる。一部は法律的な条項になっていて、国とかそういう医療従事者 については、義務規定が医療法に規定されているのだということを、やはり書くべきな のかな、それが将来のイメージとしてはあるのかなと思います。  ここで強い意見を言うと、誰も言わないので私は言うのですが、患者に義務を負わせ るという議論が多分あるのだろうと思うのですが、それはまだ早いのではないかなと思 います。つまり、もっとやることが先にあるからだと思います。ですから、そこでは、 医療安全に関する患者、ご家族の役割みたいなものがきちっと同定されているのだとい うイメージを、最終的なここの4として書くのだったらいいのかなと思います。 ○座長  法律のことを知らないので、質問ですが、責務は法律に規定しやすいと思いますが、 役割は法律に規定できるものでしょうか。 ○稲葉委員  むしろ、「役割」と書かれた趣旨が、医療法の一条に、説明義務と同じように責務規 定があってもいいのではないかということですが、「役割」と書くと、もう少しトーン が落ちてくるのだろうと思うので、ここは、もうそこまで議論がいったのだったら、 「責務」と書いてもいいのかなと思います。ただ、ちょっと「義務」と書きにくいの で、責任と義務を一つに集めた「責務」という言葉で、ここはやったらどうかなという 提案です。 ○医政局総務課長  基本的にはそういう趣旨で書いているつもりなので、あとは、もし法律で書くことに なったら、他の立法例等を参考にして検討したいと思います。 ○座長  「役割」でなくて「責務」と言い直すことにいたします。 ○三宅委員  最後にあと書きを書くかどうかということでいくつかご意見があって、私は賛成で す。皆さんのお話を伺うと、患者、国民の視点で今後の医療安全対策を考えて取りまと めたということだと、大部分は表現できるのではないかという気がしますが、どうなの ですか。 ○座長  これはいかがですか。それを殊更に書くべきかということはありますが。 ○野中委員  そこはちょっと大き過ぎると思います。例えば、医療の質と安全性の向上、医療事故 の事例の原因究明、再発防止策の徹底、患者、国民との情報共有と患者、国民の主体的 参加促進について議論を行って提言したので、近い将来に実現を図られたいという書き 方ではどうでしょうか。 ○座長  そういうふうに書くと、我々は、患者の視点を重視したのですと宣伝しているような 感じがして、どうなのかなと思ったのです。中を見れば分かると思ったのです。 ○三宅委員  比較のことを表現するなら、そういう表現が何か必要かなという気がしたのです。 ○座長  あと書きがいるか、いらないかというのは結構大きな問題で、皆さんの意思統一を図 りたいと思います。多数決で決めるような問題ではありませんので、野中委員のご提案 の3項目を入れて、患者との情報共有をこれから行うのだということで締めるというご 提案でよろしいですか。それでしたら、そういうまとめをつけるようにいたします。 ○勝村委員  それで、そういうあと書きはいいので、その10頁の(2)のところに「必要な情報を提 供する」ということと、もう一つお願いしたのは、国の役割として、例えば、ICカー ドだったら、その保存義務を超えたカルテとか破棄されてしまった情報も入れられるわ けなので、そう具体的に書けないということだとしても、せめて患者が自分の情報にア クセスできるようなシステムづくりと言いますか、そういう構築づくりに、国がもうち ょっと力を注いでいくような趣旨等の両方が入れば、最後に出てくる情報共有の意味が 重みを増すと思います。情報共有というのは、ただ、いまあるカルテを5年間共有する だけでなしに、それは医療機関との努力でできるわけですから、国がさらにすすめて、 生まれてからずっと情報を保管しておくのだ、10年前にお産した時の記録もちゃんとア クセスしたいと思えばできるのだと、破棄してしまってわからないというようなことは なくなるのだということなどを担保する方向に取り組んでいくんだ、というようなこと を一言付記してもらったうえでの形であればいいと思います。 ○座長  これは、情報共有が本当に動き出せば、ここから先はずっと生まれてから死ぬまで共 有できるわけですが、勝村委員がおっしゃったような、いま現在から過去に遡って全国 民の過去の医療記録を全部ITに移すようにするということでしょうか。 ○勝村委員  いや、IT化だけでなくてもいいと思いますが、現に、昔、自分が何の血液製剤を使 われたかを調べたくても調べられない人がいるということを考えると、何らかの方策が 必要で、それは将来像のイメージでいいのですが、そういうところにも、医療安全の視 点から、何か取り組み始めるのだという形があって、「情報共有」という言葉がより重 みを増すのではないかと思います。 ○座長  いまからの情報共有と言うと、これはどなたも異論がないと思います。勝村委員のい まのご発言は、それプラス過去のすべての医療情報をとおっしゃっているように聞こえ るのですが、いかがでしょうか。 ○勝村委員  いま現在のことだけ議論してもしようがないので、例えば、今のままならば、自分が 昔、どの血液製剤を使われたのかと思っても、もう分からなくなってしまっているとい うことが今後も起こり得ますが、将来的には、そういうことが起こらなくなるシステム を作るべく国は検討を始めるのだと、だから、「情報共有」という言葉が入るのだとい う趣旨です。 ○座長  ご議論をいろいろ頂戴いたしました。本日のご意見を基に報告書案を修正して当ワー キングの報告書としたいと思います。特に大きな部分は、順番に申しますと、前文のと ころで、「当面の対応」のところにある程度時間的なことを入れる、あるいは前文の部 分に、これまでのことと、これからのことをタイトルづけするということがありまし た。6頁目の「資質」というところをもうちょっと明確に書く。最後に「まとめ」を付 けようと、ほかにもいろいろありましたが、そういうものを含めて、そういうことにな りますが、今後の進め方について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○医療安全推進室長  本日のご意見をもとに、この報告書を修正させていただき、委員の皆様にメールでご 確認をお願いしたいと思っております。最終的な取りまとめについては、堺座長にご一 任いただければと考えております。  ただ、修正箇所がたくさんありましたので、いま簡単にご確認をさせていただいてよ ろしいでしょうか。まず、「終わりに」を付けるといたしますと、1頁目の括弧のとこ ろに、「はじめに」を付けるのかなと思っております。「翌年4月」というところを、 「平成14年4月」に置き換えるのと、・の1つ目の3行目に「サービスは」というとこ ろを「医療サービスは」にすること。2頁目のI、II、IIIの上の行の「将来像のイメー ジを示し、その実現に向けて」のところに、何か具体的な文言、例えば「早急に対応す べき課題に対し、当面進めるべき施策を掲げることとした」というものを入れるという ご指摘。2頁目の3のところに「患者、国民の主体的参加促進」にするということ。  3頁目の(2)の「医薬品の安全確保」の(1)のところに「医師、歯科医師、看護師」 のあとに「等」を入れるか、「看護職員」にするということ。そのあとに「これら医療 従事者と患者の間」という文言を入れること。4頁目の「医療のIT化」の前段のとこ ろに、「IT化について標準化と基盤整備が図られている」を入れるというご指摘。4 頁目の(5)の(2)のところに、「医療従事者の資質向上により」の前に「医療従事者 に対する技術・技能に関する教育が徹底され」を入れること。  6頁目の「資質(コンピテンシー)。というところに何か具体的な言葉を入れるとい うこと。7頁目の(6)の(3)の「教育的講座の受講」の前に「事故事例を用いた教材 等を活用した」というような言葉を入れるということ。9頁目の(2)の(2)の「医療 機関、医療従事者や患者遺族等との調整・調停を担う人材の養成方法等について検討す る」とすること。9頁目の3の(1)の「患者、国民との情報共有と患者、国民の主体 的参加促進」にすること。  10頁目の(4)の「高齢者、障害者などの患者及びその家族に対し」とすること。(5)の 最初の「相談等」のところに注釈を付けること。10頁目の「当面取り組むべき課題」の ところで、やはり「国民の主体的参加促進」にすること。ここの4行目に「もとより国 民との情報共有や患者、国民が主体的に参加することについて」にすること。(2)で 「医療機関等は、患者自身が主体的に医療への参加や協力を行うことができるよう、患 者と医療従事者がともに医療を担う必要があること等についてわかりやすい説明や広報 を行うとともに、そのために必要な体制整備を図る」とすること。  11頁目の4の「医療安全に関する国と地方の役割と支援」の(1)のところは「医療安 全対策に関する国、都道府県医療従事者の責務及び患者、国民の役割等が明確化され」 という表現にしたらよろしいでしょうか。(2)の冒頭に「患者、国民との情報共有と患 者、国民の主体的参加が促進され、安全、安心で良質な医療が効率的に提供されるよう 」とし、そのあとは「国は法令の整備や、情報提供、研究の推進、IT化の促進等の技 術的な支援及び財政的支援等」として「IT化の促進」という言葉を入れること。  12頁目の最後に「終わりに」を入れて、3項目について「将来像のイメージと当面取 り組むべき課題を整理した」こと、「患者、国民と情報共有し、患者、国民が主体的に 医療に参加することの重要性について強調した」という趣旨のことを入れるということ でよろしいでしょうか。 ○座長  詳しく具体的に指摘していただきましたが、よろしいですか。 ○宮本委員  11頁の4番の「国と地方の役割と支援」の(2)で、この「役割を担っている」という 表現が少し弱いので、将来こうあるべきという形で書くのであれば、「役割を十分果た している」というような。「役割を担っている」というのは、いまもそうなので、将来 こうあるべきという形で書くのであれば、「役割を果たしていて、財政的支援等が十分 に適切に行われている」というような形にしたほうがいいと思います。 ○座長  それでは、このような修正を加えて、このあと、この報告書がどのような動きをする かをご説明ください。 ○医療安全推進室長  委員の先生方のご確認のあと、座長にご確認いただき、報告書については、この報告 書案の「案」を取ったうえで、堺座長から医療安全対策検討会議にご報告いただきたい と考えています。よろしくお願い申し上げます。 ○座長  このワーキングは、ご承知のように、医療安全対策検討会議の下部組織ですので、報 告書はそこへ提出することになります。座長としては、皆さんにおまとめいただいたも のをそこへ提出するということで、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○座長  ありがとうございました。 ○医療安全推進室長  最終的には、医療安全対策検討会議でさらにご議論いただいたうえで、報告書として 社会保障審議会医療部会に提出させていただく予定となっていますので、ご了承いただ きたいと思っています。 ○勝村委員  長谷川委員の追加提案の件は。 ○座長  長谷川委員の追加提案については、いま一応読ませていただいたのですが、報告書の 修正をメールでお届けしますので、その中に可能な範囲で盛り込むということでよろし いでしょうか。そのようにさせていただきます。  議題の2「その他」については、何かありますか。 ○医療安全推進室長  特にありません。 ○座長  それでは、事務局から、最後のご案内をお願いします。 ○医療安全推進室長  机上のファイルについては、先生方の分をお預かりしておりましたので、そのまま置 いていっていただければ、資料として送らせていただきたいと思っています。  最後に総務課長から、お礼のご挨拶を申し上げます。 ○医政局総務課長  本日は長時間にわたって大変ご熱心なご議論をいただき、まことにありがとうござい ます。  本ワーキンググループは医療安全対策会議の下に設置して、3月18日に第1回の会議 が開かれて、今日で7回目ということで、報告書を取りまとめていただく運びとなりま した。この間毎週1回という大変多忙なペースで会議を開催していただいたにもかかわ らず、皆様方には、大変ご多忙の中、多数ご出席いただきましたこと、また、連休中に まで作業をお願いいたしましたことを深くお詫び申し上げます。  厚生労働省では、これまで医療安全対策検討会議が平成14年4月に取りまとめました 「医療安全推進総合対策」に基づき各般の施策を実施してまいったところですが、本報 告書においては、この推進総合対策に医療の質の向上という観点を加え、医療安全に関 する新たな課題とそれに対する対策の具体的な方向性を示していただきました。  現在、社会保障審議会医療部会においては、平成18年に予定されている医療法改正を 視野に入れ、医療提供体制への改革に関する議論が行われております。その中でも特に 医療安全対策は大きな柱となっています。  本日取りまとめられました報告書は、堺座長から、6月上旬に開催を予定している医 療安全対策検討会議にご報告いただくことになったわけですが、検討会議での議論を経 て、最終的な報告書をこの医療部会へ提出させていただくこととなっております。  本日ご参集いただきましたワーキンググループ委員の皆様には、それぞれのお立場と ご専門を生かし、医療提供体制の大きな改革に向け、今後の医療安全対策の方向性を示 す貴重な報告書を取りまとめていただき、本当にありがとうございました。特に座長の 堺先生には、約2か月という短期間にもかかわらず、報告書の取りまとめに向けてご尽 力いただいたことを心より深く感謝申し上げる次第です。  最後になりますが、委員の皆様のこれまでのご協力に重ねて御礼申し上げますととも に、今後とも医療安全の推進に一層のご高配を賜るようお願い申し上げまして、閉会の ご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○座長  委員の方々、本当に忙しいスケジュールをご都合くださいまして、また、具体的なこ とを言えとか、数々の無礼な発言を快く受け入れてくださって、まことにありがとうご ざいました。改めてお詫びとお礼を申し上げます。今回はこれで閉じさせていただきま す。ありがとうございました。                       (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                       電話 03-5253-1111 (内線2579)