05/05/11 予防接種に関する検討会第9回議事録            第9回予防接種に関する検討会 議事録                   日時:平成17年5月11日(水)13:30 〜16:00                   場所:厚生労働省6階共用第8会議室  議事次第  (1)海外渡航者に対する予防接種について  (2)その他 ○皆尾課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから第9回「予防接種に関する検討会」を開催いた します。本日は御多用のところ、「予防接種に関する検討会」に御出席いただき、誠に ありがとうございます。  本日は澤委員、竹本委員が欠席との御連絡をいただいております。  また、本日も参考人として3名の専門家の方々に御出席いただいておりますので、御 紹介いたします。  バイオメディカルサイエンス研究会の大谷参考人です。  国立病院機構三重病院国際保健医療研究室の中野参考人です。  名鉄病院予防接種センターの宮津参考人です。  それでは、開会に当たり、牛尾結核感染症課長よりあいさつを申し上げます。 ○結核感染症課長  委員の皆様、参考人の御出席いただきました皆様方、誠にお忙しいところ御出席いた だきましてありがとうございます。  参考人の方々には、これまでの経緯を若干申し上げたいと思います。  平成13年にインフルエンザ予防接種の高齢者への導入というのが行われまして、その ときの予防接種法改正で5年後を目途に見直すという規定が入っておりました。今回の 検討会の直接の動機は、その5年後の見直しということでございますけれども、せっか くの機会なので、予防接種についての全般の見直しを昨年の10月から行ってきたところ でございます。  そして、まず最初に、個別の対象疾患についての御議論をいただきまして、それは中 間報告として3月31日に公表させていただきました。現在、我々としましては、その中 間報告書を参酌しながら、それをどのように実際の行政に生かしていくかという検討作 業を加えているところでございます。  そして、前回の検討会から、予防接種の制度的・横断的課題について議論していると ころでございまして、本日は海外渡航時における予防接種あるいは海外渡航者の健康問 題について御議論いただきたいというふうに思っております。  この問題を取り上げた理由としましては、我が国においても感染症が蔓延していたと きには、伝染病予防法という感染源・感染経路対策と、予防接種法という感受性対策が 両輪として感染症の制圧に寄与してきたというふうに思っておりますが、同時にそのと きの制定背景を考えますと、我が国における感染症の制圧というのがメインであって、 海外との関連性というものは余り検討されていなかったのではないかというふうに思う わけでございます。その証拠に、前回の伝染病予防法が感染症新法になったときには、 やはり海外における疾病の流行状況というものを勘案して、伝染病予防法から感染症法 に改正したという経緯がございます。  一方、現在の予防接種法を見ますと、主体はやはり我が国における小児を中心とした 免疫力の保持といいますか、免疫力を与えるということが前提になっているように思わ れますが、今日の参考資料にも付けさせていただきましたように、恐らく当時におきま しては、現在のように年間1,500 万人の人々が海外に行くという時代は到底想像してい なかっただろうというふうに思われるわけでございます。  この1,500 万人等の海外に行かれる方、すべてが感染症に関わるわけでなくて、その ほかの生活習慣病で海外で悪くなられる方もいらっしゃるわけなんですが、我が国の平 均の渡航日数というのが極めて短期間であることを考えますと、主体となるのは感染症 であることは間違いないというふうに思っております。  そういった方々がこれまでどういうことをやってきたかといいますと、企業の場合は 企業の雇用主の責任において、あるいはそのほかの旅行者は個人の責任において予防接 種をする、あるいはさまざまな注意をするということで、これまでそういった経緯で行 われてきたわけでございます。  そして、今回御議論といいますか、プレゼンテーションいただきますのは、そういっ た現状におきまして、3人の先生方は渡航者に対するさまざまなアドバイスあるいは予 防接種をしていただいておるわけでございますので、その現状と課題というものをここ で改めて御提示いただくということは決して悪いことではない、むしろ非常にいいこと だろうというふうに思っております。  ただ、これを現行の予防接種法にどのように位置付けるかというのは非常に難しい問 題であろうというふうに思っておりますが、ただ、3人のプレゼンテーションをいただ いた後、少なくとも今後こういった情報提供をどのようにするのかということについて は、我々としても更に、予防接種法の制度の中あるいは外においても考えていかなけれ ばならないというのが私の問題意識で、今回の議題を選ばさせていただいたわけでござ います。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○皆尾課長補佐  それでは、この後の議事の進行につきましては、加藤座長、よろしくお願いいたしま す。 ○加藤座長  それでは、今後の議事の進行を行わさせていただきます。  まず、事務局から資料の御確認をお願いいたします。 ○予防接種専門官  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第を2枚めくっていただきますと、資料の一覧がございます。  資料1といたしましては、宮津参考人の御発表資料。  資料2といたしましては、中野参考人の御発表資料。  資料3といたしましては、大谷参考人の御発表資料がございます。  後ろの3枚ですけれども、事務局で用意いたしました参考資料でございます。  参考資料1が、「日本人の海外旅行の傾向(国土交通省 観光白書などによる)」で ございます。  参考資料2は、平成16年上半期における日本での未認可ワクチンの個人輸入の状況を 提示しております。  参考資料3は、平成16年の各検疫所での疾病別予防接種実施数でございます。  また、追加で配布いたしました1枚の資料に関しましては、宮津参考人の追加資料で ございます。  本日の資料は以上でございます。不足等ございましたらお申し付けください。 ○加藤座長  ありがとうございました。資料について、よろしゅうございましょうか。  それでは、議事を進行させていただきます。  本日は、先ほど牛尾課長からお話がございましたとおり、海外渡航時における予防接 種について、専門の先生方からのヒアリングを受けまして、その後ディスカッションに 移りたいというふうに考えてございます。  本日の進行でございますが、お一人の先生に大体二十分から三十分のお話をいただき ます。まず、宮津先生、中野先生、大谷先生の順番で御発表いただきましてヒアリング させていただきます。その後に時間がございました場合には、ディスカッションに移り たいというふうに考えております。  それでは、まず宮津先生からお願いいたしますので、御準備のほどお願いいたしま す。  宮津先生は、これまで多数の旅行者ワクチンに携わってこられました御経験から御発 表、御報告をしていただく予定でございます。  それでは、先生、よろしくお願いいたします。 ○宮津参考人  今、御紹介いただきました名鉄病院の予防接種センターの宮津と申します。  うちでは、こういう海外向けのワクチンがかなり多くなりまして、大体八割が海外向 けのワクチンという、ちょっと特殊な予防接種センターになってきています。トラベル クリニックといいますか、もともと本来は個別、いわゆる定期接種の洩れ者を対象とし た個別接種センターとして始めたんですが、こんな状態です。  うちでやっていることを中心に、簡単にお話ししていきたいと思います。 (PP)  これは皆さんよく御存じのように、アメリカでやられている2歳から18歳までの予防 接種のスケジュールの2005年版です。  実は、今回は2004年版と全然変わっておりません。アメリカという国は、毎年のよう に定期接種が変わってきます。2002年版、2003年版、みんな変わりまして、偶然2004年 版、2005年版は変わっていなかったということだと思います。 (PP)  次が、これはちょっと資料が抜けていたんですが、これがそのあと、19歳から49歳、 更に50歳から64歳、それから65歳以上、成人に関しての予防接種のスケジュールです。  この65歳以上の肺炎球菌です。高齢者の方でアメリカにグリーンカードを取る方はこ れが必要になります。これはちょっと特殊な場合です。 (PP)  これが、海外の大学に入る場合の予防接種のフォーマット本文です。こちらが健康診 断の項目で、大学から送られてくるわけですが、これはイリノイ州のものだと思いま す。  ここにこういう予防接種の項目が細かく規定されています。これは日本の母子手帳を 全部写しても、すべての種類で足りません。すべて1回ずつあるいは2回ずつ足りなく なっているわけです。だから、それをいかにうまく接種するか。これがないと、アメリ カの場合は学校に入れないわけです。日本で接種して行かなければ向こうで全部打たれ るかどちらかになります。これを十分気をつけていきたいと思います。  特に一番大事なのは、ツベルクリンです。このツベルクリンに関しては日本とアメリ カと考え方が180 度違いますので、ツベルクリン陽性はアメリカは結核と診断されてし まいます。ですから、日本の表現、中学校、小学校でやっていたような紅斑の長径をは かるだけの数字を書いたらとんでもないことになりますので、もう一回やり直すか、き ちんと日本のやり方を解説して証明すべきだろうと思っております。 (PP)  例えば高校生、大学生が留学する場合。実は、これは小学校以上に共通です。  母子手帳を確認すること。それから、ポリオの3回目。少なくともこれは必要になり ます。  それから、3種混合、2種混合の10年以内の追加。  まず、はしか、おたふくかぜ、風しん、水ぼうそうの抗体検査をする。かかったこと がないからといってワクチンを打つということだけは絶対しない方がいいです。アメリ カは、ワクチンは2回法になりますので、1回打っただけではどっちみち向こうで打た れることになります。ですから、まず抗体検査をして、しかも検査方法は一番適切な方 法でやっていただく。次のスライドに出てきますので、また説明したいと思います。  それから、ツベルクリンの検査が陽性であることをとにかく記録するということにな ります。改めてやる場合は、硬結をはかってください。ただ、この硬結のはかり方が日 本のほとんどのお医者さんは間違っております。それから、陽性の場合は必ずレントゲ ン。あと、英文の証明書を必ず付けることということになります。 (PP)  これが、抗体検査のはかり方です。留学する場合、うちはアメリカとその他のところ を少し分けております。麻しんはHI、風しんはHI、おたふくかぜは、ELISA/ ISG。  それから、水ぼうそうはIAHA。これが一番安くて、一番確実で、一番早い方法で す。  ほかの国だったら、はしかはNT、中和で測っておいてください。その理由は何かと いいますと、アメリカは、はしかは大体2回法ですので、ある程度抗体があっても2回 目を追加しなくてはいけませんから、少しでも早く結果が出るHIで十分です。通常 は、NTでやっておいて問題はないと思います。  例えば、一般の開業医の先生方はよくCF法でやってしまうんですが、これは全く意 味のない検査になりますので、こういう検査方法というのをきちんと指導すべきだろう と、私は思っております。 (PP)  これが、そのツベルクリンです。  ここにスケールがありますが、これはこの真ん中がいわゆる紅斑。その中のふくらん でいるところが、いわゆる硬結。アメリカは、これの横径をはかるだけです。だから、 この子の場合だったら12〜13ミリだから、胸部レントゲン写真だけ撮っておけば通ると いった感じです。  ただ、日本だとこの一番大きいところをはかるんです。50ミリあります。これで陽性 で50ミリと書いたら、薬を飲まされて学校へ入れなくなると思います。こういうことを 十分気をつけないといけません。  学校ではかっているのは、せいぜいこの紅斑です。これは二重発赤で強陽性ですが、 要は日本だったらこれで正常なんですけれども、もしアメリカでこの検査をされたら、 まず学校へ入れなくなります。だから、よく大学からの書類に、アメリカで検査するか ら日本でやるなとわざわざ書いてあるのがあるんですが、それを真に受けていくと日本 人はやはりひっかかるということで、これが一番トラブルとして多いと思います。 (PP)  次に、実はこういう例がつい最近あったんです。これはうちの病院に来たんですが、 15歳の高校生です。これだけのものが済んでいます。通常、日本のワクチンは完璧に終 わっていると思って、日本脳炎が5回入っていますから、もうしっかり入っています。 BCGも3回打っているわけです。きれいにやっているんです。  そして、ある内科の先生に3月1日に行って、風しんにかかっていないと言ったら、 風しんを打たれました。その3日後にB型肝炎を打たれました。それで、2週間後にB 型の2回目を打たれました。これは一緒の先生です。  そして、3月24日、留学のあっせん団体の説明会で東京へ出てきて、またそこの先生 からポリオを飲まされました。前のことは何もチェックしていないんです。  その2週間後、同じ内科の先生が水ぼうそうを打ってしまいました。  そして、今度4月19日、10日後にB型肝炎の3回目とポリオをやってくれと言って紹 介状を持ってうちへ来たと。ちょっとこれはびっくりして、幸い副作用がなかったから よかったんですが、そして実は5月10日、昨日です。麻しんとポリオの4回目をやっ て、写真を撮って書類をつくりました。  検査はこれだけです。風しんもしっかりありますし、水ぼうそうなんていうのは64で すから、当然、自然感染を起こしていたということだと思います。  中学のときに18ミリなので、何とかこれはこれで通しました。こんな状態です。です から、こういうことがかなり行われているのではないかと思って、ちょっと心配です。 (PP)  例えば、どんなことをするかといいますと、今までの順調に進んでいる、今の例とほ とんど同じ場合です。この場合は、まずツベルクリンを確認する。これは中学校1年生 の結果です。これは、在学中の高校に言えば中学校の記録はみんな上がっていますの で、中学にわざわざ聞く必要はありません。大概、中学の記録というのは母子手帳に載 っておりません。  それから、初日にまず抗体検査。そして、ポリオの3回目と麻しんとB型を打つ。そ して、1回写真を撮っておく。  そして、1か月後に、今度はB型の2回目と抗体検査で陰性のものを打つ。それで、 その日に書類を渡す。  うちの場合は、こういうやり方で2回で終わらせてしまうというやり方をしておりま す。  それから、B型肝炎が要らないグループだったら、1週間で全部書類をつくることが できる。ツベルクリンも、もう一回やり直したとしても、大体十日あれば全部終われま す。  こういう、何かやりやすい方法といいますか、やはりワクチンの同時接種というもの を考えながらやらないと海外向けというのはなかなか難しいし、こういう抗体検査を駆 使するということがやはり大事だろうと思っております。 (PP)  成人の場合はどうするかといいますと、ここにありますのが、大体、東南アジア向け のワクチンです。破傷風、A型肝炎、日本脳炎、B型肝炎、このようなものをやってい ます。そして、人によっては希望があれば抗体の検査をする。検査方法はこれが一番い いだろうと思います。  そして、御存じの方は御存じなんですが、大体、今37歳以上の日本人は破傷風は一度 も打っておりません。それ以下の方は、子どもさんと同じような3種混合で打っていま すので、子どものころに一応破傷風の基礎免疫がある。ですが、10年しかもたないの で、少なくとも成人になったら1回は追加する。それが年齢によって破傷風を3回追加 するか、2種混合で1回で済むかということだけで、あとは一緒です。A型肝炎、日本 脳炎、B型肝炎は必ず東南アジア系は必要になります。ほとんどはこれでいけると思い ます。 (PP)  次に、その続きとして狂犬病、ポリオ、コレラ、黄熱病とあります。  例えば、狂犬病のワクチンというのは、原則咬まれてから打つワクチンですので、こ れを結構誤解している企業なんかがあるわけです。海外へ進出をしている企業なんか が、何でもいいから打てと。つい最近、アメリカへ行く人も狂犬病を打ってこいと言わ れて、私ちょっとびっくりしたんですが、その必要はないと思います。  つまり、ワクチンが手に入る国、地域へ行く人にとって、狂犬病のワクチンを前もっ て打つ必要はないと私は思っています。通常は、こういう咬まれてから5回打たなけれ ばいけないワクチンです。これができる地域、例えば東南アジアでも中国、タイ、マレ ーシア、ベトナム、この辺りは最近よくなっていますので、まず打たなくて向こうで咬 まれてから打つことが可能だと思います。  ただ、アジアでも危ないのがインドとか、ネパールとか、バングラデシュとかインド シナ辺りで、やはり準備していった方がいいだろうと思います。2週間から1ヶ月以上 行くときは、私は必ずこれを勧めています。勿論、先進国は普通要りません。  あと、比較的多いのが中南米です。コウモリによる狂犬病がありますので、中南米に 行く人は特に注意が必要かもしれません。  それから、ポリオはインドからアフリカにかけて、中東辺りの紛争地域はやはり必要 だろうと思います。  あとは、つきの悪かった世代(昭和50年〜52年生)。コレラというのは原則とし て要りません。この間のスマトラでの地震があった後の洪水。ああいうところはコレラ が出ていましたので、ああいうところに援助に行かれる方には、うちもコレラだけは打 っておきましたけれども、当然ほかのものが終わってからこれを打つという形になりま す。  黄熱は検疫所だけですので、これは特殊になります。問題は、この検疫所へ行って、 黄熱を先に打たれてしまうと、あと1か月間何もできませんので、そこら辺のところが 検疫所とうまく連絡を取ってやらないといけないと思います。うちの場合は、名古屋検 疫所の方に希望が来たら、私の方の電話にかけてもらうようにしています。 (PP)  中国へ行かれる方の例です。昭和50年に北海道で生まれ、順調に接種して、1か月後 に出発するという30歳の方です。  破傷風はDPT世代なので、DTで1回。A型、B型は2回打っておく。そして、日 本脳炎は、北海道は一度もやっていませんので、必ず2回やって1年後に追加する。こ れだけのものが必要になります。  それから、昭和50年生まれですからポリオがちょっと不安なので、とりあえず1回飲 んでおいてくださいという形で勧めます。それで、これを同時にやっていくと。  4つ(DT,A型・B型肝炎,日本脳炎)打って、1か月後に3本(A型・B型肝炎, 日本脳炎)と1回飲むということにして、とりあえず一月、最低3週間以上あれば何と か一通り終われます。そして、一時帰国のときに追加をするという形になります。  狂犬病のことは先ほど言いましたので、省略します。 (PP)  これは、うちで作っている証明書の例です。これが留学のための予防接種の記録全 部。それから、抗体検査、ツベルクリンの判定、日本でのツベルクリンの考え方、こう いうものを1枚の紙に書くようにしております。  これが健康診断書です。成人で企業なんかで行く場合、向こうへ持っていくための健 康診断書を一通りの検査、血液検査から、場合によっては抗体検査全般を含めたものと してやっております。  これが成人に渡すカードです。よく企業なんかだと、企業の診療所でワクチンを打っ てくれますが、証明書を出さない。会社のカルテに書いてあるから要らないと頑張る先 生もいますが、やはりこれは当然渡さなければいけないと思います。記録だけはきちん と持っていかせるようにしております。一応、日本語と英語でわかるようには作ってあ ります。  大体、一般的なものです。破傷風、A型、B型、日本脳炎、狂犬病、ポリオ。あと は、追加するものはここに書くという形を取っております。これが成人向けです。 (PP)  これが子ども向けで、例えば1〜2歳の子で海外へ行かれる方にはこういうカードを 渡します。いわゆる日本の母子手帳、最近英語表記になってはいるんですが、ただ、実 は日本で打っているワクチンしか表になっていないんです。だから、A型とかB型を打 とうと思っても、これは書く欄がない。  だから、その他の欄に書けばいいんですが、結局向こうの方にそれを持っていって、 向こうの先生に提示するときに、やはりちょっと見にくいだろうということで、こうい うカードを作って、これは母子手帳の大きさと同じになるように、真ん中で折ると一緒 の大きさになるんですが、これを挟んでもらいます。これはお母さんに全部写してもら うことにしています。ただ、年だけは西暦で書いてもらえれば、そのまま通用するよう な形式で作っています。 (PP)  あと、これはうちの予防接種の実績です。20年間やっているんですが、とにかく今、 海外向けのワクチンがどんどん増えてきている。ほとんど8割を超えているという状況 になっています。 (PP)  これが、今2003年までしか集計がなかったんですが、1年間の接種が15,000 接種で、実はそのうちの3,000がインフルエンザですから、これを除きますと海外 向けが12,000ですので、ほとんど8割を超えています。83%ぐらいになっていま す。  打っているワクチンもA型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、ポリオ、それから破傷風の入 ったDPT、DT、破傷風、あと、狂犬病です。こういう、いわゆる海外向けのワクチ ンがほとんどを占めてきている。狂犬病ワクチンがはしかよりもたくさん打っている、 ちょっと珍しい病院になっております。 (PP)  あとは、同時接種をどうするか。4種の同時接種、昨年はもっと多くなっています。 5人に1人は1本しか打たない。あとは、みんな同時接種を組み合わせながらやってお ります。 (PP)  これは表に付けてありますので、参考に見ていただければいいんですが、途上国へ行 く場合に、それぞれ年齢ごとに必要なワクチンを表にしております。こんな状況でしょ うか。 (PP)  こちらは、先進国へ行く人のためのもの。例えば、アメリカへ留学する人たちとか高 校生なんかもそのように書いてあります。それから、成人の場合でもこんなものが必要 であると。やはり破傷風だけは必ず打ってから行ってほしいです。  この表が、実は2004年10月に作っているので36歳以上となっていますが、今だったら 37歳以上という形になります。 (PP)  あとは、とにかく国別でまとめてみました。これも表の中にありますが、ちょっと見 にくいのではないかと思っていますが、いろんな国を、特に代表的な国を適当に並べま したので、多少これはずれがあるかもしれませんが、あくまで目安です。成人が1か月 以上滞在する場合の目安として考えていただいた方がいいと思います。 (PP)  これも、今の続きです。最後はオセアニアまで書いてあります。 (PP)  あとどんなところでこういう情報を与えるか。この情報を個人に与える前に、個人に うちへ来てもらわなければいけない。そのためには、いわゆる旅行会社、そういうとこ ろがやはりある程度の知識を与えて、相談に乗ってもらわなければいけないと思いま す。  これは、実は外務省が発行しております「世界の医療事情」、2004年版です。これに は海外での感染症情報が詳しく出ております。今は一応、これを頼りにやっている状況 です。  それから、これは日本医師会が作っております「海外旅行必携ハンドブック〜海外で の感染症を予防するために」。これにも非常に詳しく書いてあります。これを渡すと、 皆さんも喜んで読んでいかれまして、また次の日にもう一回このワクチンを打ちたいと 言って来る人もいるぐらいですので、これは非常にいい本ではないかと思っておりま す。また、これは2003年のままですので、どんどん改訂されるのを期待しております。  あとは、代表的なホームページアドレスです。これはうちの外来などにこういうよう なものを書いて張り出して、関心のある方はこういうのを見てくださいと。つまり一般 的な感染症情報、代表的なものだけ書いてあります。それから安全情報、海外での英語 の得意な人向けの情報です。こんなようなことを見ながらやっていきたいと思っていま す。 (PP)  最後にまとめとして予防接種センターといっても、トラベルクリニックという形にな ってきてしまっているんですが、本来私としては、定期接種を打ってもらえなかった洩 れ者を対象とした個別接種、それを目的として始めたんですが、今は、8割が海外向け になってきておりますので、こちらの方で話を進めたいと思います。  つまり、問題は専門医の養成です。実は、各県に予防接種センターができています。 今、大体半分以上の県にできているんですが、ただ、問題は専門医が全然いないところ がほとんどである。東海地方の近隣のいわゆる予防接種センターから呼ばれて結構話を しに行くんです。大概は循環器の先生とか神経の先生なんです。とにかく県としては施 設をつくらなければいけない。それで、作って予防接種センターという名前を与える。 実際は、その下の看護師さんたちが勉強して動いている。先生たちは上にいるだけとい う状況が多いと思います。  ですから、そういうものをきちんと見直して、予防接種専門医という資格はないんで すが、ワクチンに興味のある先生を引っ張ってくるべきではないか。実は、愛知県でも 予防接種に興味のある先生というのがかなり多いんです。ただ、ほとんどが開業されて しまっているということなんです。だから、こういうところには来られないという先生 が多いのではないかと思います。  もう一つは、小児用ワクチンの適用の拡大。A型肝炎はやはり必要なワクチンで、う ちは2歳以上に関してはお話しして同意をもらって接種しています。ただ、これが正式 な認可は出ていないものですから、これはなかなか先生によっては打てないということ になります。  もう一つは、MMRワクチン。これが早くに出てこないと、海外向けの人たちに追加 接種を与えるためには非常にやりにくいです。今、MMRワクチンがないのは日本だけ だと思いますし、しかも日本以外の国は全部麻しんは2回法。最近、日本でも麻しんが 2回法という方向がやっと出てきたんですが、ただ、もっとこれを積極的に使わない と、海外へ行くときには、これは非常に大変なことになります。  もう一つは、また後でお話があるみたいですが、未承認ワクチン。必要なワクチンな んですが、今なかなか日本では手に入らないので、打つことが非常に困難です。いわゆ る個人輸入をしなくてはいけない。また、その手続も結構大変です。  もう一つは、何かあった場合にどうなるのか。でも、これがひっかかってくるとなか なか病院が許可を出してくれない。そういうことで、ちょっと今ジレンマで悩んでいま す。  特に欲しいのが、髄膜炎菌の4価と腸チフス。本当はこれだけは最低限欲しいんです が、なかなか手に入れさせてもらえない。こんな状況です。今、小児科用肺炎球菌(P CV)は治験中ですし、インフルエンザ捍菌(Hib)治験が終わっています。不活化 ポリオ(IPV)治験がこれから始まりますので、もう少し待てば日本でも正式に出て くるだろうと思うんですが、日本でしばらくやる予定がない、こういうワクチンに関し て、やはり必要性が大きなワクチンですので、何とか手続を簡素化してほしいと思って います。  あとは、マラリアの予防薬です。これも日本ではメフロキンとドキシサイクリンしか 抗マラリア薬としては認可がないんですが、それ以外の海外でよく使われている薬、こ ういうものも手に入れやすくしてほしいと思っております。  それから、診断キッドです。うちでも、結構こういうことをやっておりますと、アフ リカから帰ってきて熱が出ている。それで、マラリアかもしれないからということで来 るんですが、ただキッドがないものですから、いわゆる従来の方法、血液検査で調べて います。それで判定して、一応薬を飲ませることにはしております。  もう一つは、先ほどもちょっと言いましたけれども「情報」です。医療機関、駐在企 業、旅行代理店、留学のあっせん業者、こういうところが海外向けのこういう感染症に 関して、それから追加のワクチンに関して余り熱心ではないんです。留学あっせん業者 なんかにこちらから指導しても、今までこれでやっているからうちはいいと一言で言わ れてしまいますので、そういうところを含めた、もうちょっとちゃんとした情報提供、 それから指導がやはり必要ではないかと思っております。  以上です。今回、私が用意したのは大体スライドしたこのぐらいですが、ちょっと早 口でしゃべってしまったのでわかりにくかったかもしれませんが、よろしくお願いいた します。 ○加藤座長  宮津先生、どうもありがとうございました。非常にプラクティカルでわかりやすい御 説明をいただきまして、ありがとうございます。  後ほどディスカッションの時間を設けてございますけれども、今ここで1〜2御質問 がおありでしたらばお受けいたしますけれども、いかがでしょうか。  宮津先生、最初のところで、先生の海外渡航のときに、例えば、風しん、はしか、お たふくかぜ等に関しては抗体検査を先におやりになっている。これはすべてにおいて、 ワクチンの既往がきちんとわかっているものに対してでも抗体をまず調べると。 ○宮津参考人  そうです。それで、麻しんはアメリカの場合は通常2回法ですので、ワクチンを打っ ていても2回目が通常要ります。ただ、ほかのものに関しては、免疫さえあれば、きち んと抗体の検査方法と検査値をきちんと書けば、それでほとんどの場合はまず通りま す。  そこまで書いても全然見てくれなくて、2回目も全部で打たれてしまうという学校も ないことはないんですが、ちゃんと向こうのドクターに診てもらえればわかってもらえ るだろうと期待して私は作っています。ほとんどの場合はそれでいけますので、無駄な ワクチンを打たなくて済むと思います。 ○加藤座長  もし、抗体の結果が出るまでに時間がかかって、時間がない場合には先生の場合はど うされていますか。接種されてしまいますか。 ○宮津参考人  必要なワクチンのみ接種して、抗体検査をして、後から証明書を送ります。 ○加藤座長  それでは、接種はせずに、結果が出るまで待っていて、陰性の場合は渡航先でやって くださいと。 ○宮津参考人  陰性の場合は、やむを得ないと思います。 ○加藤座長  わかりました。ありがとうございます。  何か御質問ございますか。  どうぞ、岡部先生。 ○岡部委員  それに関連しているんですけれども、例えば、はしかで抗体検査をしますね。それ で、ワクチンの既往がある。抗体陽性がある。しかし、やはり2回目はやるわけです ね。 ○宮津参考人  低い場合にはやっています。 ○岡部委員  そうすると、高いと2回目はやらないわけですか。 ○宮津参考人  高い場合には、その抗体検査の数字を書いて、高いのでもう必要ないという人には、 一文書いてやっています。 ○加藤座長  牛尾課長、どうぞ。 ○結核感染症課長  先生のセンターがカバーされている方々というのは、どういう地域の方々が多いのか ということ。  それと、先生のセンターがこういうふうな活動をされているんですが、来られる人は どういうことから情報を入手されるのかということが第2点。  一番最後に、問題点として取り上げられました駐在企業、旅行代理店、あっせん業者 が余り熱心でない理由というのはわかりますでしょうか。 ○宮津参考人  うちに来られる方は、やはり愛知県ですので、大体東海地区が多いです。  ただ、うちの病院は、名古屋駅のすぐそばだと。それで電車のホームとつながってい るというちょっと特殊な病院なんです。ですから、結構遠くからも来ます。大体、東は 浜松辺りです。北は高山とか岐阜県全般。三重県だと四日市ぐらいまで。あとは西だ と、場合によっては大阪辺りまで大体カバーしています。  情報をどこから得ているのかわかりませんが、あちこちで講演会なんかをしています ので、そういうところに全部情報は出してきます。そういうところから得るのと、あと はホームページにも出ておりますし、そういうところから人づてに、ときどき北海道か ら電話がかかってくることもあります。  あとは、私の場合は、今、電話相談を中心にやっておりますが、ホームページへのメ ールでの相談も来ますし、なかなかそういう相談をぶつけるところがやはりないのでは ないかという気がしております。かなりいろんなところからかかってきますので、話を していて、それでは明日来てくださいと言うと、実は今、群馬県ですとか、そう言われ てしまうとどうしようもないんですが、そういうことが本当に多々あります。  あと、最後は何でしたか。 ○結核感染症課長  問題点で指摘されました、企業なり旅行代理店が。 ○宮津参考人  企業は確かに結構熱心になってきているんですが、ただ、やはり企業のいわゆる産業 医の先生はほとんど内科の先生なんです。小児科の先生がああいうところへ入ることは まずないんです。そうなると、何が抜けるか。日本脳炎がぽつんと抜けてしまうんで す。  例えば、東南アジアへ行くに当たって、破傷風とかA型肝炎、B型肝炎までは気がつ く。そして、中には狂犬病。先ほどもちょっと言いましたけれども、アメリカへ行く人 でも狂犬病を打っていけと。それは打っていけないと思いませんが、それは打ってもい いんでしょうけれども、私は打つ必要はないと思います。  あと、そういう企業が作っている参考資料にはほとんどの場合、日本脳炎が抜けてい ます。熱心なところはうちの方へ来てもらって、またそういうフィードバックをしなが らやっています。  あと、あっせん業者とかそういうところは、基本的にそこまでやれと言ってもやる施 設が実は全国的にないというのが一番大きいところです。  ただ、東海地区だったら、うちとか三重の先生のところでやっていますので、東海地 区の人たちはまだこういう場所があるんですが、東京は勿論ありますが、例えばちょっ と地方へ行くとやるところがないんです。ですから、そこまで厳しく言えない。中には 向こうで打てばいいと言っているあっせん団体もあるぐらいです。  それから、いわゆる旅行代理業。ここは、余りこういうことを言うと旅行を取りやめ るから嫌だと。5年前にアンケート調査をしたんですが、ほとんどそういう情報でし た。そこまで言ったらやめてしまうから困ると。聞かれたら、一応答える。そのときは 紹介しますと言われましたけれども、そんな状態です。 ○加藤座長  ほかにいかがですか。  どうぞ。 ○岡部委員  予防接種センター構想があって、だんだんできつつあるけれども、先生のところでは 余りそういうものはない、ファンクションしていないという御説明があったんですけれ ども、数は少ないけれども、幾つかのところでやっているところがあるんですか。  公的機関として、例えばトラベラーズクリニックのような形でのワクチン相談である とか、あるいは、ちょっと今日の話とずれますけれども、定期接種から外れたことを積 極的にやっている予防接種センターというのは幾つぐらいですか。 ○宮津参考人  私が把握している中で、10か所はないと思います。  一番、私のところ以上にやっているのは、横浜にセンターがあるわけですけれども、 あとは幾つか東京に数か所あるのと、仙台がどの程度あったのか知りませんが、仙台に も1つあるみたいです。あとは、広島が最近始めたのと、あとは九州が、先生のところ が熱心にやっているぐらいかなと思っております。  最近、北陸の方から手紙をもらいまして、うちでもやりたいのでノウハウを教えてく れ、1週間ぐらい勉強に行きたいという方もおりますので、そういうことでももしやれ れば、そういうことを今後積極的にやっていきたいと思っております。 ○加藤座長  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○雪下委員  ツベルクリンの場合、高校、大学生の場合に硬結をはかって、大きさはどれを陽性に するんですか。 ○宮津参考人  基本的にアメリカの基準、いろんな条件があるんですが、一般的には5ミリ以上が陽 性。10ミリを超えたら、レントゲンで結核を否定する。15ミリを超えたら、予防薬を飲 まされる。あと、6か月間飲まされるようなシステムになっております。 ○雪下委員  それでは、レントゲンは10ミリを超えた場合ですか。 ○宮津参考人  原則はそうです。  ただ、日本人の場合、硬結が出る子の場合は大概紅斑がはっきり出るんです。だか ら、日本人がもし向こうでツベルクリンをやられたら、紅斑が目立ってしまうんです。 だから、硬結以上の大きさで取られる可能性があると思います。  ですから、特に海外は、アメリカだと肌の黒い方なんかが見えるわけですから、逆に 紅斑が余り目立たないわけです。だからいいんですけれども、日本人はよく目立ちます ので、よけい普通以上に取られてしまう危険があると思います。 ○雪下委員  陰性の場合は、そのまま陰性として出すと。 ○宮津参考人  陰性は、勿論陰性として、ただ、その数字と何をはかったかとかをちゃんと書いてお かないといけないと思います。 ○加藤座長  ありがとうございます。  ほかに、いかがですか。  先生、百日せきについて、日本は乳児期しかやっていないんですが、百日せきに触れ ていませんが、百日せきはいかがですか。 ○宮津参考人  百日せきも、今の成人の百日せきというのはいろいろ問題になっておりますので、で きることならII期の追加接種としてDTのかわりにDPTをやりたいという気がしてお ります。  ただ、海外の場合はそこまで要求されていないんです。ですから、今回は海外という ことだったので、百日せきのことは触れませんでした。 ○加藤座長  ありがとうございました。  先生、また後ほど時間がありまして御質問がありましたらお受けいたしたいと思いま すが、続いて中野先生にお話を伺いますので、御用意ください。  中野先生は、先ほど御紹介ございましたように、国立病院機構三重病院の臨床研究部 国際保健医療研究室ということで、公立病院で旅行者のクリニックを運営しているとい う公的立場からの御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○中野参考人  三重病院の中野です。よろしくお願いいたします。  スライドには正式職名が出ていますので、あたかも一日中外国へ行く人のワクチンを 打っているかのように思われますが、私、実は小児科の臨床医で日ごろ気管支炎、胃腸 炎、髄膜炎、川崎病などを診療しながら、予防接種外来というのを週に何回かやってお ります。そこに、海外にいらっしゃる方も併せてやっております。  あと、自分自身、アフリカのガーナに2年暮らしたり、中国に1年暮らしたり、国際 医療協力を小児科医としてやってまいりましたので、その中でも感染症対策でワクチン というのはとても大切なものですから、そういった日常の業務とか自分の経験から感じ ていることを今日は20〜30分でまとめて御紹介させていただきたいと思います。 (PP)  「海外渡航とワクチン」ということで、自分の思うところをまとめてみました。  やはり我々病院のスタッフとして、国民の皆様に適切な情報と医療サービスを提供で きる。渡航者に関して言えば、渡航者にそれが提供できることが大事かと思います。  日本の定期接種は、ある程度、感染症対策の相当な部分は勿論カバーしていると思い ます。  決して非常に不十分だとかそういう意味ではないと思うんですけれども、途上国の中 には日本より多大な感染症の脅威にさらされている国があります。例えばA型肝炎と か、黄熱病とか、先ほどからもお話が出ていることであります。  途上国での感染症の問題以外に、例えば、特に米国などでは学校入学の条件として、 先ほども宮津先生からお話が出ていましたけれども、当該年齢で接種すべきワクチンの 種類とか回数を完了していることが要求されるところがあります。そのような場合、日 本と接種スケジュールに差があるので、それを補完する必要が出てきます。これはポリ オワクチンの回数とか、さっきから出ています麻しんの回数とか、DPTもそうです。 こういったことも、渡航者ということで考える上では大切なことであります。  あと、予防接種外来を毎日やっておりますと、接種プログラムが異なる。例えば、海 外ではポリオワクチンは既に不活化ポリオワクチンになっている。あと、B型インフル エンザ菌のワクチンを途中まで接種している。そうやって帰国したんだけれども、これ からどうしていったらいいのか。B型肝炎なんかが定期接種に入っている国もたくさん ございますので、そういったことも渡航者というより渡航から帰った方々ですけれど も、そこもやはり国民の皆様の要求にちゃんと応えられるようにしていきたいと思って います。 (PP)  具体的なデータをお示しいたします。  三重県は人口200 万くらいで、南北に細長い、全く都会ではございませんので、外来 受診者数とか勿論全然少ないんですけれども、予防接種外来に渡航目的でいらした方を 概略としてまとめてみました。  平成14年、数年前のデータで申し訳ないんですが、ここ数年も傾向は変わっておりま せん。単純な旅行で行かれるというより業務渡航です。お父様のお仕事の関係で海外へ 行かれる。それに伴って移動する家族という方が4分の3を占めております。  海外での滞在期間も、2年以上という方が圧倒的なので、長期で行かれる方が渡航の ワクチンに関して相談に見えられることが多いというのが大まかな現状であります。 (PP)  あとは対象者の年齢でありますが、私は小児科医であると申し上げましたけれども、 18歳以上の方が実に4分の3です。小児科医ですから、予防接種というのは専門にして おりますので、十分対応はさせていただいているつもりですけれども、見えられるユー ザー、患者様の年齢を見ると、年の大きい方、大人が多いわけなんですけれども、そう いう対象者であるということです。  渡航先はアジアが圧倒的に多くて、中国の方がこの年はたまたま非常に多かったで す。 (PP)  接種ワクチンですけれども、これは大体、名鉄病院のデータと変わりなくて、A型肝 炎が一番多くて、次が破傷風というふうな順番です。  それと、同時接種の問題です。勿論、これは出発までに日にちが余りない場合が多い わけです。出発する半年前から病院にいらっしゃる方というのは本当にごく少なくて、 出発前で日にちもありませんので、同時接種を全く行わなかった方というのは3割程度 で、あとは4種類、3種類、2種類。ちょっと前に大使館に行かれる方で、どうしても 今日しかないと言われて、両腕と両足とおしりと8本か9本、一緒に打たせていただい た方がございましたけれども、同時接種が非常に多いというのはどこの病院でも渡航者 の方のワクチンを担当しているところは同じ現状だと思います。 (PP)  あとは、日本の国民の皆様のニーズというものも調査してみたいと思って、外来へ見 える方々だけではなくて、私、文科省の、簡単に申し上げますと日本人学校の先生方が 派遣される前の渡航相談を、宮津先生も一緒にやっていただいているんですが、数年前 から継続して実施しています。いつも1月か2月ぐらいに渡航相談にいつも出かけてい るんですけれども、これは実は2年前の調査です。  2年前は、私はアフリカ地区に派遣される方の相談を担当いたしました。これは渡航 者の方というふうに一くるみで考えるのではなくて、渡航先の同じ国でも地域が違うと いうこともやはり考えなければいけないと思います。  例えば、企業の方とか日本人学校の先生方というのは、日本人がたくさん見えるとこ ろとか人口が多いところですから、どうしても都市部が多いです。私たちみたいに感染 症をやっている人間とか、青年海外協力隊の皆様というのは、どうも都市部から離れた 病原体の多いところに行く機会が多い。そういった意味で、同じ国といっても、この国 からこうというだけではなくて、渡航に関して相談するときは渡航先の状況というのも 考えていかなければならない。  この日本人学校の先生方は、当然首都が一番多いわけですけれども、大体三年間ぐら い渡航される方です。  日本の勤務地は、東北から沖縄まで全国に分布しておりましたけれども、こういった 会で個人のプライバシーに配慮した上でお聞きさせていただいたことは、データとして 使用していいという許可を当時からいただいておりますので、紹介させていただきま す。 (PP)  当時、やはり日本人学校の先生方は、大体、前の年の夏前後に海外に派遣されるとい うことが決まるみたいです。渡航先が決まるのが大体12月ぐらいです。それで研修が1 月から2月というふうに進むんですけれども、派遣が決定してからどういうことを考え たかという、ここに書いてあるようなことがありました。  大体、病院とか医院に相談するんですが、割とかかりつけの先生とか私立の病院に問 い合わせをされるケースが多かったです。あとは、インターネットとか検疫所に相談さ れる場合が多いんですけれども、実は今年も調査したんですが、その後インターネット に情報入手をトライするという方の割合がぐっと増えてきています。  ですから、当然インターネットが普及してきた度合いに合わせてだと思うんですが、 これからはそういったメディアで渡航者の方々に確かな情報を提供していくミニマムリ クワイアメントみたいな、最低限必要な情報を提供していくということが大切かなとい う気がしております。 (PP)  これは、実は今年の1月に、同じように日本人学校の先生方に、今回はアフリカ地区 だけではなくて、皆様の許可を得て全地区の方にアンケート調査を行わさせていただき ました。  派遣地域はアジアからアフリカ、北米、ヨーロッパ、オセアニア、いろんな地域で、 大体、御家族で派遣される方がやはり多くて、男性の方が数としては勿論多いんですけ れども、左上を見ていただくと、「図4 健康管理情報の入手先」、複数回答で書いて いただいているんですが、インターネットからという方が2年前と比べてぐんと増えて きております。  右の方の「図6 問い合わせて得た情報」と「図7 もっと提供して欲しい情報」と いうところをごらんになられるとおわかりのように、やはり予防接種のことを問い合わ せる方がすごく多いんです。予防接種のことは、やはり問い合わされる側も、例えば病 院とか検疫所とかもある程度提供することはできるんですが、それでも右下にあるよう にもっと予防接種のことも知りたかったと。  あとは、今日の予防接種とは直接関係ないかもしれませんけれども、海外での医療費 とか保険の問題とか、どういった病院にかかったらいいのか。こういった情報提供も派 遣前の方々は希望されておられました。 (PP)  あと、私どもが毎日診療していて、あるいはこういった渡航者の方から質問が多い事 項です。  先ほども出ました、小児適応がないA型肝炎ワクチンを小児に接種した方がいいの か、接種しない方がいいのかという御質問です。あとは同時接種のお話。  それと、アレルギーとかがある場合に、普段打っていないワクチンだけれども、接種 していいのかどうか。  それと、いろんなお薬を、小児ですと飲んでいる薬も限られていますけれども、成人 になってまいりますと、もっといろんな薬を飲んでいらっしゃる方もおられます。常用 薬があるけれども、接種してもいいのか。  あとは、DPTとか日脳など、小児期の接種歴がはっきりしている方もいらっしゃる し、余りしっかり残っていない方もいらっしゃいますけれども、何年空いていれば打っ た方がいいのか。これは破傷風のワクチンが、今回は1回でいいのか、2回必要なのか といった問い合わせも結構多い。これは相談に見えられる患者様だけでなくて、医療機 関の医師からもかなり相談とか質問が多い事項であります。 (PP)  A型肝炎に関して、先ほど宮津先生も話されましたけれども、ちょっと御紹介してお きます。  A型肝炎というのは、御承知のように、飲食物を介して伝播する疾患で、なおかつ現 在我が国の50歳未満の世代はA型肝炎に対する抗体はほとんどないわけですから、飲食 というのは毎日のことですから、そういった病気が非常にはやっている途上国に行け ば、感染の機会はとても多いわけです。けれども、16歳未満の小児に対する適応は現在 認可されていない。  ただ、途上国への渡航を控えた小児に、A型肝炎は認可されていないけれども、勧め るのかどうか。あと、教科書的な、一般的な話として、小児のA型肝炎は通常、軽症の 場合が多い。これはどの本にも書いてあります。小児科医も多くは知っていることだと 思います。  それでは、何歳から軽いのか。何歳を超えたら重いのか。例えば、2歳と小学生、中 学生でどうなのか。先ほど宮津先生は、2歳以上の方は打っているという基準をお示し になられていましたけれども、こういったことも、私、一生懸命いろんな文献を調べて みたことはあったんですけれども、何歳から打った方がいいかとか、何歳からは重症化 率が何%であるとか、何歳以上でA型肝炎になると入院する率が高いとか、そういった データはどこにもないと思います。こういった、ほかのエビデンスも集積していく必要 があると思います。  あと、打つとしたら接種量の問題です。例えば、狂犬病ワクチンは何歳であろうと接 種量は1.0cc です。インフルエンザワクチンは、日本の接種量は年齢刻みで非常に細か い規定がされております。それでは、A型肝炎を16歳未満の小児に打つとしたら何cc打 つのか。これも今後しっかり決めなければならない問題だと思っています。 (PP)  あとは、接種開始年齢です。私、小児科医ですので、当然これは相談される機会が多 いんですが、A型肝炎のことは先ほどもお話ししましたけれども、B型肝炎、狂犬病、 黄熱、髄膜炎菌、何歳から打ったらいいのか。これも余り添付書にも書いてございませ んし、髄膜炎菌は、今、日本では認可されたものは手に入らないわけですけれども、こ ういった何歳から打てるワクチンでどうしていくかということも、これからある程度の 基準を設定していくことが、第一そうしないと一部の人だけができるワクチンでは意味 はないのであって、みんながある程度ジェネラルなことは知っていて、なおかつもう少 し込み入った問題は専門家に相談して進めていくというふうにやっていくことが望まし い形ではないかと私自身は思っております。 (PP)  黄熱病のことを少し触れます。  右の表は、有名なワクチンというテキストブックから取った黄熱病の1970年から2002 年までの旅行者が黄熱病になって罹患した論文からの報告例ですけれども、論文の報告 例であるせいか、7〜8割が亡くなっているので、黄熱病というのはやはり致死率の高 い、重い病気でありますけれども、アフリカを主体として南米でもこういった感染のリ スクのある国があるわけでございます。 (PP)  現在の17D生ワクチンというのは、黄熱病に対するとても有効な予防手段でありま す。中和抗体が接種した人の9割以上でしっかりと付く非常に良好なワクチンで、副反 応もおおむね軽度で、頭痛、筋肉痛、倦怠感などが接種数日後に10〜30%の頻度で認め られるというワクチンであります。  ただ、このワクチンはニワトリ胚組織培養で継代しておりますので、当然卵アレルギ ーの問題とか、あと、現在日本に入っているワクチンはまだ安定剤としてゼラチンを含 有しております。日本のワクチンは、以前のゼラチンアレルギーの問題でほとんどゼラ チンが抜けてしまったので、接種をしている医師たちも余り気付かないことがあるんで すが、例えば黄熱病ワクチンとか狂犬病ワクチンというのはゼラチン含有ワクチンです から、接種する側はそれもちゃんと知った上で対応する必要があると思います。  それと、頻度は高いわけではないんですが、黄熱病ワクチンには重篤な副反応という のが2種類ございます。低年齢児における脳炎と、高齢者に多い多臓器不全というのが ありますので、私は黄熱病ワクチンというのは「流行地への渡航をひかえた1歳以上の 者」ということが接種対象の基準だと思っているんですが、それでは上の年齢がどれぐ らいか。ただ、黄熱病というのは国際検疫伝染病でもありますので、渡航先の国の決ま りというのも勿論関係してきますので、そういったことも勘案して決めていかなければ ならない問題だと思っています。 (PP)  黄熱病ワクチンによる重篤な副反応は、今日はここでは詳しく御説明申し上げません が、ワクチン関連神経障害という1歳未満の、特に7か月未満の乳児で報告が多いわけ ですけれども、接種後1〜3週ぐらいの脳炎の報告が副反応としてあります。  あとは、ワクチン関連臓器障害といって、これは打って数日後に多臓器不全を来す例 があります。これは65歳以上の高齢者の方に特に多いというふうに言われていると思う んですけれども、もし、この接種を勧めるのであれば、こういった可能性というのはち ゃんと被接種側にお示しした上で打っていくのが筋かというふうに思っておりますの で、こういった客観的なデータはやはりしっかりと明示していくべきであると思ってお ります。 (PP)  あとは、髄膜炎菌であります。髄膜炎菌は先ほど宮津先生からもお話がございまし た。  私、実は今、青年海外協力隊のチームとアフリカのある国で一緒にポリオ対策の仕事 をやっております。その国は、この髄膜炎がはやっている、髄膜炎菌ベルトという地帯 にすっぽり入っている国であります。  それでは、青年海外協力隊の彼らがどのようにして髄膜炎を予防しているかという と、日本ではワクチンが手に入りません。彼らはある国へ赴任した後、その国で髄膜炎 がはやる乾季の前に、ユニセフとかいろんな供与機関からその国に入ったワクチンを現 地の協力隊の事務所とか医療調査員の方との調整によって、そこで髄膜炎菌のワクチン を打っております。  私は、協力隊の皆さんとかJICAの専門家の方々とはずっと20年くらい前から一緒 に仕事をさせていただいているんですけれども、協力隊の皆さんというのは本当に厳し い環境の中に入るので、髄膜炎にかかるリスクは十分あると思います。若い、体の強い 彼らですけれども、それでもリスクはあると思います。  アフリカのある国では、髄膜炎菌感染症で亡くなられた日本人の方がいらっしゃると いう話も聞いております。日本から海外へ赴く人たちは、渡航してから海外でワクチン をどうするか調査するのではなく、日本に居るうちに接種できる方法が何かあったらい いなと思いながら暮らしております。  私もこの地域にはしばしば出かけるので、自分もかかったら困るんですけれども、余 り打つ方法がないので、今は乾季を避けて訪問しておりますけれども、髄膜炎菌ワクチ ンが入手できるといいと思っております。 (PP)  これもワクチンなどという本から取って私がまとめたものですけれども、こういった いろんなワクチンが諸外国では有効で、副反応の少ないワクチンということで、既にラ イセンス化されているにもかかわらずなかなか手に入らないというのはちょっと寂しい 思いがいたしております。 (PP)  あとは、予防接種証明のことは先ほど宮津先生も話されたのでいいかと思うんですけ れども、抗体の検査法というのも、さっきお話が出ました防御免疫能を適切に評価でき る抗体検査法というのはどの方法がいいかというのを考えた上で抗体検査をするなら、 その方法でやってあげるのがいいと思います。左は当院の予防接種、何を打ったとか抗 体価を証明する、主に留学の方に渡す書式ですけれども、こういったものを渡しており ます。 (PP)  あとは、接種記録です。先ほどの宮津先生のお示しになられた例で、1週間間隔とか 数日間隔で違う医療機関で次々とワクチンを打たれて、幸い副反応もなかったのでよか ったという御紹介がありましたけれども、やはりいつ何を打ったかというのはしっかり と残しておくべきかと思います。  私どもは、A型肝炎とか破傷風などを打ちに見えられる成人の方には、左に示した検 疫所で発行していただいているイエローカードのまねをした形。まねをした形の方がい いかと。例えば、パスポートなんかに挟みやすいですし、旅行に行くときに忘れないか なという形で、こういった形のものを発行して、印鑑も作って、押して、自分の外来で 作って渡しております。 (PP)  あとは、母子手帳というのも勿論、予防接種の記録が記載してあるすばらしい記録で あり、私は日本の母子手帳というのは本当にすばらしい母子保健のシステムで、戦後の 日本の母子保健の向上に本当に寄与してくださったと思うんですけれども、ただ渡航者 にワクチンを打ったり、あと、今、医学生の小児期疾患、例えば麻しんとか風しんへの 罹患が問題となっておりますけれども、彼らにワクチンを打つに際して、彼らに母子手 帳を持っているかと聞いてみると、非常に手に入りにくいんです。  私どもは医学生の臨床実習も担当しておりますので、しつこく何回でも持ってこいと 言うんですが、それでも半分も母子手帳が集まらなくて、予防接種記録ということに関 しては、現在では母子手帳は個人の、大きくなって過去に何を打っている記録というよ りは、お母さんが割と大事に保存しているんです。ですから、実家へ帰って探せば出て くる場合が多いんですが、お母様とも連絡が取れなくなっていたりとか、お母様が不幸 にして亡くなられていたりとか、家を何度も引っ越されたりとか、別々に住んでいたり すると、なかなか母子手帳が出てこない。そうなると、予防接種記録をしっかりと残す という意味では今の母子手帳のままでいいのか。予防接種記録というのはどのように残 していくべきかというのも、これも渡航だけに関係した問題ではないですけれども、大 切な検討事項だと思っています。あとは、さっき宮津先生も触れました下の欄は、実は 私の住んでいる鈴鹿市の学校で行ったBCGの、こういうのを打ちましたという証明書 なんですが、これは実はうちの子どものものなんですけれども、こういった証明書を母 子手帳に挟んであれば、一生懸命探せば出てきますけれども、学校のとき打った記録と いうのはほとんど残っていないです。ですから、以前学校で集団接種していた日脳とか DTとかはどこにも記録が残っていない場合が結構多くて、こういった記録もこれから どうやって残していくかというのは検討課題だと思います。 (PP)  これはWHOの資料から取ったものですけれども、麻しんワクチンの2回接種を採用 している国は、いわゆる先進国と言われる国、途上国も含めてでも2回接種をしている 国が多くて、日本は結構特異的な存在で、留学なんかに際しては追加接種が必要になり ます。 (PP)  B型肝炎ワクチンを定期接種として導入している国もこれだけありますので、これも 渡航者に関しては接種プログラム、接種スケジュールの違いというのが結構問題となり ます。 (PP)  b型インフルエンザ菌も、既に定期接種で導入している国がこれだけございます。こ ういった形で、他の国とのプログラムが違うところを補完していくという意味も渡航者 ワクチンという意味では意義のあることだと思っています。 (PP)  同時接種については、予防接種ガイドラインに関しては「医師が必要と認めた場合に は、同時に接種を行うことができる」と記載しておりますので、これはできることはで きるんですけれども、それではしてみてしっかり抗体がどれぐらい上がるのかとか、本 当に副反応がなかったのかとか、そういう論文というのは余り数多くないと思うんで す。そういったものは、これからエビデンスとして集めていきたいと思っています。 (PP)  最後に、私、国立病院機構の医師ですので、三重病院というのは国際医療協力ネット ワークという国立病院機構のネットワークにずっと発足当時からお仲間に入れていただ いております。  三重県は、人口200 万人で細長い田舎だと申し上げましたけれども、トラベルクリニ ックというものの需要に関しても、都市部と地方部では当然違うと思うんです。例え ば、今日お邪魔している東京とか大阪とか横浜とか、人口が多いところでは当然需要も 多いと思うんです。  先ほどの日本で入手できないワクチンを輸入するとかどうするとかそういう話もあり ましたけれども、やはり医療機関といえども全くペイしない診療というのはきっとやり にくいと思うんです。ですから、需要が多ければ渡航者健康管理センターみたいなもの を作って、その施設で自己完結的に全部できるようにする方法があると思うんですけれ ども、やはり私ども地方においては、当然黄熱病なんかは検疫所とのタイアップとか、 ほかの施設とのタイアップをしていかないとうまくいかない。  例えば、私は小児科医で感染症を主にやっていますから予防接種は得意ですけれど も、自分自身は成人の診療は専門ではありません。当院の内科は主に療養型なんです。 そうすると、渡航後の方が国際的感染症などで見えられてもなかなか対応しにくい場合 があるので、そういった場合にはどこかの機関と連携しながらやっていく。地方と都市 では様相が違うということも考えていかなければいけないと思っています。 (PP)  これが国立病院機構で、そのネットワークに入っている病院なんですが、そこでこう いった妊婦から新生児、乳児、学童あるいは成人。 (PP)  あるいは、分野別に海外健康管理情報の提供とか予防接種、健康診断書の発行、ある いはいろんな持病を持って渡航される方もいらっしゃるわけです。高血圧とかアレルギ ーとか、そういったことに対応していけるようなネットワークを、国立病院機構のネッ トワークだけではないですけれども、いろんなネットワークを使って、今後日本の中で 確立していければいいなと思っております。 (PP)  これは今回、実はネットワークで各病院がいろいろ分担してマニュアルでも作ろうと 思って、今、研究班で頑張ってやっているんですけれども、今年度頑張ってこの辺りも 作っていきたいと思っております。 (PP)  最後、まとめなんですけれども、先ほど来申し上げてきたことなんですけれども、や はり小児適応とか接種対象年齢とか同時接種の安全性と有効性などに関する科学的根拠 の集積に努めたいと思っています。  それと、宮津先生が最初の方のスライドでアメリカのACIPの勧告を出されました けれども、それには成人にも破傷風は10年ごとの接種が望ましいとかそういった基準が ありましたけれども、日本にはまだ成人に対する基準がございませんので、そういった ことも渡航と含めて整備していければと思っています。  アレルギーとかゼラチンのことに関しては、プレゼンテーションで触れさせていただ きました。日本で入手できないワクチンのことも触れさせていただきました。  あとは、医師主導の臨床試験というのが昨今言われております。臨床試験を組むとい うのはとても大切なことですし、ただすごくパワーも要ることですので、すぐにできる ことではないですけれども、渡航者のワクチンというのはそこに入る優先課題の一つか なというふうにも考えております。  以上です。どうもありがとうございました。 ○加藤座長  中野先生、どうもありがとうございました。明快なお話でありがとうございます。  御質問ございましたら、お受けいたします。  先生、黄熱のワクチンを要求している国に出かける方で、ゼラチンに対するアレルギ ーがあったり、または鶏卵等にアナフィラキシーがあるというような方が実際におられ た場合の対応はどうされますか。 ○中野参考人  現状では、仙台病院なんかは検疫所とタイアップして、実際に病院の中で黄熱病接種 をされているみたいですけれども、うちの病院は院内ではやっていないんです。ですの で、あくまで御相談に乗るという形でしかないんですけれども、私自身、名古屋の検疫 所に黄熱病も2回ぐらい打ちに行ったことがあるんですが、拝見いたしますと非常に詳 しく問診を尽くされているということと、あと皮内テストなんかをされている場合も拝 見いたしました。  ただ、私はそこで自分が医師として接種しているわけではないので、どういった内容 でやっているかは存じ上げないんですけれども、ただ卵アレルギーに関しては、麻しん ワクチンでもそうであるように、アレルギーがあってもアナフィラキシーでなければ接 種できるわけですので、もし当院で今後打つようなことになっていった場合に、そうい った麻しんワクチンとかインフルエンザワクチンの基準に照らし合わせて考えていくこ とになると思います。  ゼラチンに関しましても、ゼラチンの分子量の大きさだとかいろんなことによってア レルギーの程度も勿論変わると思いますので、それも日本ではまだ全くエビデンスがな いですけれども、そういったことになる場合は、過去の検疫所で打たれた方のデータと かを当然参照させていただきながら、日本人ではどうかというデータを手にした上で、 見えられた渡航者の方に説明しながら打っていくという方法が望ましいかなと考えてお ります。 ○加藤座長  先生、ケニアにいらっしゃっていたのでよく御承知だと思うんですけれども、ケニア が必要かどうかは知りませんけれども、必要としている国側にとっては、日本の事情で 接種できない者がいた場合に、入国は許可してくれるんですか。 ○中野参考人  医師の立場として、この渡航者はワクチンを打つコントラインディケーションである という診断書を発行することはできます。ただ、その診断書に照らし合わせて入国して いいかどうかというのはあちらの検疫官が判断することになると思いますので、恐らく ほとんどの場合入れると思うんですけれども、場合によっては空港なんかで接種をする 国もございますね。そうすると、その国で打たれるというのは余り気持ちよく思われな い方もいらっしゃると思いますので、そこはどちらがいいか考えながらという形になる かと思います。 ○加藤座長  ありがとうございます。何か御質問ございませんか。  どうぞ。 ○岡部委員  中野先生も宮津先生も海外渡航者を対象にされることが多くて、その中には海外から 戻ってくる人も含まれて、ときどき問題があるとおっしゃっていましたけれども、今日 の話とちょっとずれるかもしれないんですけれども、在日の外国人の方に関する問題な んかは感じられますか。 ○中野参考人  在日の外国人の方に関して、一時期データを取ったことがあって、乳児健診と予防接 種をどれくらい熱心に受けているかというのを日本人の方と外国人の方で、私どもの病 院、外国人の方も結構いらっしゃいますので、乳児健診の受診率と予防接種の接種率を 比較してみたことがあるんです。そうすると、日本人の方に比べて在日の外国人の方 は、非常な不法滞在でない限りはワクチンを早い時期にしっかりと打たれています。予 防接種の重要性をしっかりと認識されているんだと思います。  ですけれども、乳児健診は余り受けていらっしゃらない方が多い。というのは、乳児 健診も4か月、10か月は無料なんですけれども、1か月とか2か月、3か月は当然有 料、その病院の値段の設定になります。ですけれども、外国人の方、日本に在留してい る方の、いわゆる途上国というところから見えている方は、ぱっと病院に行ってわから ないんです。最初に行くのが4か月ではなくて、最初にお金を取られると、どうして有 料なのか。恐らく、ウェルベビークリニックというのでお金を取っている国というのは 少ないと思うんです。  ですから、ちょっと乳児健診に関しては話がずれますけれども、予防接種に関して は、大事なものだということはWHOのエデュケーションもあって、よく世界中に浸透 していることだと思いますので、彼らがいかに予防接種から遠ざからないように、予防 接種を受けに来れるようにシステムを整えてあげるかということが大切かなと思ってい ます。そのためには当然外国語の予診票も必要でしょうし、どこの病院なら外国人の方 が来てもちょっとびっくりしたような顔をせずに、ちゃんと問診をして打っていただけ るかというような情報提供も必要ではないかと考えております。 ○加藤座長  宮津先生、いかがですか。 ○宮津参考人  同じような状況なんですが、やはり外国人で来るのはほとんど子ども、乳児です。最 近、ブラジルから来ていて、日本で生まれて、ブラジルに戻るときにはポリオをやって いないとブラジルは国に入れないんです。だから、ポリオだけ打ってくれという人もた まに来ます。それから、海外の方式に合わせたような打ち方、例えばインドから来てい て、インドのワクチンと同じようなスケジュールで打ってくれと。  問題は、打つ場所です。ほとんど指定されるのはおしりなんです。おしりに打つ。だ から、そういう形で、みんなできるだけそういう国の希望に合ったようにうちは対応し ています。  最近目立つのが、大人の外国人が打ちに来る。今、ちょうど愛知県の万国博覧会をや っているんですが、万博で来ている外国人が日本脳炎のワクチンを打ってくれと。最近 はそういうのが結構来ています。 ○加藤座長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。  それでは、また後ほど御質問があったらお受けいたしたいと思います。  次に、大谷先生からお話をお伺いいたします。  大谷先生は、御承知のとおり国立感染研の名誉所員ということでございまして、今、 バイオメディカルサイエンス研究会の理事長をされております。トラベラーズワクチン についてもいろいろな会を主催されている先生でございます。  貴重な御意見をいただけると思いますので、よろしくお願いいたします。 ○大谷参考人  ただいま御紹介いただきました大谷でございます。  前のお二人の御演者の方は、実際に海外渡航のための予防接種を経験されて、いろい ろな問題点を提起されておられると思いますが、私はどちらかというとそういう具体的 なことは経験ございませんで、むしろ長年のいろんな経験から、この渡航者用ワクチン というのはこの際しっかりと考えるべき意義があり、またそれにはこれからどうやって 解決しなければならない課題があるかということについて御紹介させていただきたいと 思います。 (PP)  実際に、日本の海外渡航の実情を考えてみますと、大変に日本の事情からギャップが あるというようなことが幾つかございます。  そもそも、私はトラベラーズワクチンに関心を持つようになったのは、国立予防衛生 研究所に41年おりまして、ところがしばしば海外で感染症にかかって診断に困って参ら れるという方があったわけです。特にA型肝炎、B型肝炎、更にデングがあったわけで すが、時には狂犬病の患者も診断に困って見えられたこともございます。  それで、どうして予防接種があるのにやっていかないで向こうへ行くんだろうといろ いろ思って、日本にも予防接種が、それに必要なものがあるのではないかと思ったんで すが、たまたまヨーロッパのドイツのカイロンという大きな会社ですが、そこのメーカ ーさんを訪ねましていろいろ御説明を伺ったところ、そのワクチンがそのメーカーさん の生産の16%が実は旅行者用のワクチンであると。これは私にとっては大変に驚きでご ざいました。  日本に帰国しましてから、今度は日本の幾つかのワクチンメーカーに聞きましたら、 どうもあいまいな返答でよくわからない。結果としては、1%以下ではないかというよ うなことでございます。この差は非常に大きい。  つまり、欧米のワクチンメーカーについては、トラベラーズワクチンというのは大き な商品となっているわけでございますが、日本では国内のためにワクチンを作っている というような考えがメインでありまして、トラベラーズワクチンという頭が余りないと いうことであります。 (PP)  そこで、私たちはこの状態を何とか改善していくためにはどうしたらいいかというこ とで、実は1998年ごろからいろいろと集まりまして、このトラベラーズワクチンに対す る啓発の研修会なんかをやっておったんですが、大きくまとまり始めたものは2001年12 月に日本ワクチン学会でランチョンセミナーをアベンティス・パスツールの肝いりで行 いました。そこではっきりとトラベラーズワクチンということで討議したわけでござい ます。  その後、しばらく途切れていたんですが、やはりこの運動を何とかしなければならな いというので、今から2年前にトラベラーズワクチンフォーラムというのをJOHAC の濱田先生や日赤の先生あるいは海老沢先生なんかとお話ししまして、そういう研修の 会合をやりました。現在までに4回の研修会を開催して、その内容は、要するに、海外 の感染症の実情は日本と非常に違っているということを強調し、更に予防接種の事情 も、先ほど来の御演者のお話のように規定が大分違っているので、日本では海外に行く ときに先進国といえども非常に困ることがありますということ。更に、私たちの知らな い、非常に有効な予防接種も実際には世界的なレベルではございますというような啓発 に努めてまいったわけでございます。  こういうような形でやっておりましたが、更にそれから一歩進めまして、特に企業の 方が長期に赴任される場合に、今までお話がありましたように、実際問題として予防接 種の問題をどういうふうに解決していくか。非常に悩んでおられるという方も多いの で、海外渡航者予防接種推進事業というのを私たちのNPOのBMSAを事務所にいた しまして開始いたしておるわけでございます。 (PP)  これは既に御存じだと思いますけれども、渡航者の実情は実際には1,800 万人と言わ れるような人が今は海外に出ておりますが、その実情の大部分は言わば短期旅行者であ ります。  短期旅行者というのは、実はできるだけ安いお金でたくさんのものを見てもらおうと いう非常に欲張ったプランが多いわけでございますので、予防接種の費用というのはと てもその中に入ってこない。当然のことながら、そういう短期観光旅行を主催するエー ジェントは、この病気のこと、予防接種のことなどは一言も触れないというのが実情で ございます。  実際には、1998年の資料でございますが、海外渡航者総数1,600 万人と言われるよう な数の86%は10日以内の短期旅行者でございまして、実際に長期に滞在して予防接種の ことを考えておられた方はわずか14%にすぎないということでございます。 (PP)  海外渡航に行かれる方、私もしばしば海外に出ておりますけれども、そこでいろいろ 伺ってみますと、日本人の危機感覚というのが非常にずれているということを感ずるわ けでございまして、私が大学の医学部を卒業した昭和23年には、発疹チフスを始め腸チ フス、赤痢、コレラ、あらゆる感染症が日本に蔓延した時代でございますので、感染症 に関するあるいは伝染病に関する知識がないと命が危ないというような時代でございま した。  ところが、戦後50年以上を経て、現在日本の感染症は著しく制圧されて、世界でも冠 たる感染症の少ない国になっております。ところが、日本の周辺を見ますとまだまだ開 発途上国がたくさんございまして、そこでは感染症はかつての戦後の日本のごとくまだ まだ横行しているという、そういう格差が非常に大きくなっているということを気がつ かないということであります。その結果、感染症の危険に関する警戒感が全くなくてふ らふらと出かけて、日本と同じように飲み食いする。  実は、私もお恥ずかしながら、かつて隣の韓国へ友達を訪ねて旅行いたしましたとき に、韓国は日本と同じぐらいだろうと思って全く警戒感なしに飲んだり食べたりしてお りましたら、帰ってからどうも胸がむかむかするもので、それで朝あっと吐いたら大き な回虫が出てまいりました。つまり、まだ韓国では回虫症というのは非常にコモンであ るということを全く念頭になくて、いろんなものを、生のものを食べたりなんかした結 果でございます。そのために、すぐ寄生虫部長のところに行ってきまして便を調べても らったら、卵がたくさんいる。これは非常に貴重な資料であるから、しばらく殺虫剤を 飲まないでくれなんて言われて閉口したんですが、そういうような専門家でさえも知ら ないというようなことがあったわけでございます。今でもあるかもしれません。 (PP)  これは実際、私の実情をお話しして恥ずかしいんですが、一流の医療機関といえども 感染症に対する警戒感の希薄化は存在しております。  その実際の証拠としては、マラリアという診断を即座にできるということが意外と行 われていなくて、持ち回った挙げ句、結果としてマラリアと出てきたり、あるいはひど い例になりますと、狂犬病になって発症しているのに狂犬病という診断ができないで、 ヒステリーとか何とかそういうような形で処理されて死んでしまったという例がござい ます。これが一流の病院であります。  例えば、私は専門的に黄熱なんかのことは勉強してまいりましたが、ある大学病院に 呼ばれていって、解剖例があるというので立ち会いましたら、黒板にこれは黄熱の疑い と書いてあって、ちょうど解剖して骨を切っているところだったんですが、私はびっく りしまして、その担当医に、これがもし黄熱だとしたらあなた方は全員感染ですと言い ましたら、えっと言ってびっくりしていたんですが、実際には私はここへ来る前に予防 接種歴を見まして、黄熱ワクチンなら有効期間内であるということを確認しておりまし たので、絶対に黄熱ではないと自信を持って行きました。事実、その人は、脳の一部を 取って佐々学先生と一緒に見ましたが、見事な熱帯マラリアでございました。  ですから、それ以外でそのものもよけいに黄熱の疑いというので診断を頼みに来るの はぽつぽつあったんですが、大体がA型肝炎。要するに、黄色くなったから黄熱である なんていうのは極めて認識不足であると。こういうようなことが現在もまだあるという ことでございます。 (PP)  そこで、これから問題になりますトラベラーズワクチンというのは、今まで御紹介あ りましたのが日本で入手されるトラベラーズワクチン。これが主でございます。その中 で、特に海外渡航者に日本の予防接種の仕方とは違って勧められるワクチンです。これ が入っているわけであります。  ですから、予防接種法に含まれているワクチンもあるんですが、更に今日、私が特に 強調したいのは、日本では極めて感染危険が少ないか、または存在しない感染症に対す るワクチンがございまして、これは日本では手に入らないか、非常に難しいというワク チンがございます。これが実際には、欧米のトラベラーズとしては大変によく使われて いるワクチンである。このギャップを何とかしなければならないというのが、私の運動 の一つの目的でございます。 (PP)  そのワクチンの実例で言いますと、日本国内で認可されておりますワクチンは、既に お話がさんざん出てまいります破傷風トキソイドとかB型肝炎ワクチン、A型肝炎ワク チン、ポリオワクチン、日本脳炎ワクチンでございます。あるいは狂犬病ワクチンもご ざいます。  ただ、私はここで一つ心配しておりますことは、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチ ン、狂犬病ワクチン。日本に幾つかあるメーカーさんのうちの特殊なメーカーさんがモ ノポリーのような形で作っておられますが、ニーズが非常に少ないので生産計画が立て にくく、勿論利潤も上がらないという理由で、ときに生産をストップしたり、あるいは 在庫がないという実情があります。  これは、トラベラーズワクチンとしては非常に困った実情でございまして、これを輸 入しようと思って海外のものを経済産業省に申請しますと、日本に認可されているワク チンは日本で手に入るでしょうと言われて、それが入らないですと言うためにはもう一 遍厚生労働省に行って、これは今、入手が非常に難しいからというのでそういう証明書 をもらって、また経済産業省に行かなければならないという変なことがございます。  これは、やはり日本のメーカーさんにとっても、あるいは国の行政機関にとっても是 非、数は少ないかもしれないけれども、B型肝炎ワクチン、狂犬病ワクチン、A型肝炎 ワクチンというようなものをある程度、確実に確保していただくという策をやはり取っ ていただきたいと思います。  特に、私が申し上げたいのは、実は未認可のワクチンでございまして、今まで出てま いりました黄熱のワクチンを含めまして、髄膜炎ワクチン、腸チフスワクチン、コレラ ワクチン、ダニ脳炎ワクチン等がございます。  腸チフスワクチンは、かつて私たちが子ども時代に打たれました悪名高き副反応の強 い腸チフスワクチンとは違って、今や大変に副反応の少ないViワクチンとか生ワクチ ンがつくられているということでございます。  コレラワクチンにつきましても、まずこれがワクチンと言えるかどうかという劣等生 のワクチンが戦争中は使われておりました。年に2回もさせました。これが今や経口ワ クチンとなって、大変評判のいいワクチンが海外では認可されております。  髄膜炎ワクチンにつきましては、先ほどのお話のように、特に髄膜炎の流行するアフ リカとか中近東におきましてはこれは必須でございますので、これはやはりどうしても 打っていきたいワクチンでございます。  ヨーロッパのある特殊なところに行く場合には、ダニ脳炎のワクチンが必要である。 日本でも、北海道ではダニ脳炎の存在が確認されておりますが、この人たちは海外から のワクチンを輸入して打っている実情でございます。 (PP)  特に私は、この未認可ワクチンについて申し上げたいんですが、このワクチンの入手 方法は、認可済みのワクチンでいきますとワクチンメーカーから購入は可能でございま すが、未認可ワクチンは日本に存在しないためにすべて個人輸入という形で購入するわ けでございます。これはお医者さんが購入するわけでございます。先ほど来、ときどき 出てまいりましたが、この手続が相当面倒くさい上に、またお金もかかります。そのた めにあきらめてしまうというような方も随分ある。  それから、どこで受けられるか。幸いに未認可のワクチンでも、個人輸入をされて接 種しておられるところはJOHACとか検疫所とかいろいろございます。  ところが、未認可ワクチンでございますので、これが何か副反応その他で事故が起こ りました場合には保障の問題が全く未解決であります。そのために、予防接種法でいき ますと予防接種法の救済の対象になります。それから、予防接種法にのっとらない時期 に打ったワクチンについては、認可されたワクチンであれば医療品副作用被害救済制度 の手続を取ることができます。ところが、未認可ワクチンは裁判になるしかない。  裁判になると、どうやら弁護士のお話によりますと、これを何とか解決するためにお 医者さんのミスをできるだけ表に出して、そしてお医者さんのミスによる事故というふ うにすると実際のお金がおりるというふうな意識が裁判所で働くそうでありまして、こ れはお医者さんにとっては誠に不名誉なことです。これは大変に頭の痛いことでござい ますので、お医者さんはなるだけこれをやるのはやめようということになります。 (PP)  実は、この未認可ワクチンの問題について、今、私どもは新しい運動を開始してござ います。今、私どもが開始しておりますのは、まず渡航者への情報提供の具体的体系。 これは既に前演者が詳細にお述べになりましたように、ホームページにたくさんござい ます。  しかしながら、これだけですべて足りるかというと、実際にはなかなか旅行する人に 届いていないということがあるのが現実でございます。  これが果たして可能かどうか知りませんけれども、この旅行あっせん業者に義務付け て、こういうことをやはり言わなければいけないというような形で強く情報提供の運動 を進めなければ、これ以上なかなか、やはり感染症のあれは本人次第ということになり ますと、先ほどのいろんな考え方のギャップがございますので難しいのではないかとい うふうに思うわけです。 (PP)   これが最後でございますが、未認可ワクチンの個人輸入の問題。接種医師が非常に悩 む問題でございます。そのために、医師自体はやりたいけれども、病院長としてはそう いうことをやると病院として非常に困る事態が生ずるかもしれないので認可しないとい うような機関も随分あるようでございます。  それから、先ほど来申し上げたように、個人輸入をするためには経済産業省の輸入割 当をいただかなければならぬ。輸入割当をもらう申請をしなければならないんです。時 には厚生労働省の、このワクチンは旅行にとって絶対に必要であると。日本では手に入 りにくいというようなことの承認を得て、また持っていかなければならないことがある と。更に、この手続を自分でやったら大変であります。そこで手続の代行をどこかの業 者に頼まなければいけない。しかし、その経費は、個々に頼むとやはりいろんな運賃そ の他で大変高いものになります。これをまとめてやれば明らかに経費は節約できるとい うことを聞いております。  更に、一番大事なことは、副反応発生の場合の処理でございます。現在のところ、救 済方法がありません。  そこで、私は厚生労働省のいろんな問題に詳しい弁護士さんとも御相談いたしまし た。この弁護士さんが提示してくれた可能性としては、一つは言わば共済による救済と いうやり方であります。それは、要するに救済方法が法的にできないのならば、ある程 度お金を出し合って、集めて、貯めて、その中から稀に起こるそういう不幸な事例に見 舞金として出そうではないかというような形が共済である。つまり、歩合みたいなもの であります。しかし、これでは高額な救済の費用はとても賄えないので、お医者さんに とっては大変に不評でございます。  私は、これはどうしてもプロの、要するに、保険会社が考えてもらわなければならな いというふうに思いまして、実はいろいろとつてを頼って、そういう旅行保険会社とし ては日本では最も大手の保険会社にお願いに行って実情を説明いたしました。そうした ところ、個人商品担当部長さんとその部下の方がお出になって、詳しくお聞きいただき ました。それで一応、私どもが言いたいことはずっと言って、どういうふうに反応され るかというのを見ていたんですが、つい最近になって、今度は保険会社の方から私ども のBMSAのオフィスまでわざわざお見えいただきまして、いろいろ検討した結果、非 常にまれな副反応ということに対しては、考え方は、支払いは非常に少ないので容易な んだけれども、恐らく加入者も少ないと思うので、これだけを取り上げた保険というの はちょっと考えにくいと。  しかしながら、旅行傷害保険というのが全般的にありまして、その中に幾つかの項目 があります。その中に、予防接種対象保険というのを加えるというやり方は可能であ る。その場合には、お話によると、重症な例は100 万人に何例なんていう事象であると すれば保険料は大変安いと言うんです。数百円ではないかと言うんです。  しかしながら、会社としては2つ問題がある。そういう新しい商品を設けるには、や はり金融庁の認可を得なければならない。だから、金融庁がそういう商売としてこうい うメニューをもって商品をつくることについて認めるかどうかということを判断してい ただく。  同時に、会社の方としても、保険料は非常に安いわけですから、これは入る方は非常 に楽です。けれども、余り安いから会社の方では取り上げられないなんて言われている のでは元も子もないというので、安いからたくさんの方がそういう保険に入っていただ くような環境をつくらなければならない。そういうことがございます。  もう一つ、この副反応というのは国の場合に、今、予防接種法にありますものは、救 済制度のための認定部会という委員会がありまして、公平な判断をするわけでございま す。しかしながら、民間の保険会社の場合には、クレームがあったものをすぐそのまま 認めるというか、これでは本当に事故であるかどうかということを認定していただく参 考人の意見が聞きたいというので、認定委員会というのをやはり民間会社としては是非 おつくりいただきたいというのが一つの御要望であると。  こういう条項で、ただいろんな手続があるので、まだまだしばらくかかりますと。具 体的には今年の10月からで、恐らく来年になるかもしれないということでございます が、私はこれは問題解決の一歩であるというふうに思っています。  やはり、なかなか国の立場としては、日本にない感染症の、そしてその危険があるか らと言って、その薬を認可するのは大変ですし、またその認可を国が受けるためにはど こかのメーカーさんに申請してもらわなければ認可できないのではないかと。そうする と、申請した場合にどのくらいの条件がそろえば認可するのか。例えば、臨床試験なん ていったら日本にはないんですから、日本でやらないんだから、臨床試験はなかなかで きにくい。そういったときの言わば知見をどのくらい勘案して行政の方は認可をいただ けるのではないかと。  これから、まだまだ未解決の問題がたくさんあると思います。しかしながら、このト ラベラーズワクチンを実際的に非常に有効なものにするためには、どうしてもこういう ような世界で使われているワクチンを日本人も同じような形で使えるというような状況 に早く持っていかないと、いつまでたっても問題は残るのではないかというふうに思う わけでございます。  私のお話は、これで終わらさせていただきます。 ○加藤座長  大谷先生、どうもありがとうございました。  何か大谷先生に御質問ございましたら、どうぞ。よろしいですか。  大谷先生、お詳しいところで1つだけ教えていただきたいんですけれども、日本では 海外派遣の自衛隊に対するワクチンはいかがでしょうか。 ○大谷参考人  これは、あるいは牛尾課長の方が御存じかもしれませんが、私がある輸入業者のお話 から聞きましたところが、例えば髄膜炎ワクチン、腸チフスワクチンを含めて、かなり な量の申請があったようです。  やはり、実際には身の危険があるわけですが、これをどういう責任において打つかと いうことはやはり防衛庁が責任をもって接種し、その事故に関しても防衛庁でもって処 置するという形で、かなりな額のワクチンが自衛隊輸入という形で使われているようで ございます。  牛尾課長、それでいいですか。 ○結核感染症課長  残念ながら、私は余り詳しくは承知しておりません。申し訳ございません。 ○大谷参考人  金額にして1億円ぐらいのワクチンが輸入されているというようなお話を聞いており ます。当然のことですね。 ○加藤座長  ありがとうございました。  中野先生、それに関連して、JICA関係の職員はどうなっているんですか。 ○中野参考人  JICAの事務所の職員の方とか専門家の方というのは、恐らく経費の方をJICA の方が持ってくださって、関連の医療機関で打って領収書を、私自身派遣されたときは そうでしたので、近年変わっていなければそうだと思うんですけれども、JICAの専 門家と職員はその形で、協力隊の皆さんは協力隊に顧問の先生がいらっしゃいますの で、その先生が接種スケジュールを立ててくださって、A型肝炎、B型肝炎、それと狂 犬病、確かかまれる前かもしれませんけれども、彼らは野生動物との接触は多いですか ら、前免疫で打っていかれている方がほとんどという形になって、それは派遣国の疾病 流行状況に合わせてという形です。 ○加藤座長  そうすると、未認可のワクチンの場合には現地で接種するということですね。 ○中野参考人  未認可の場合は、国内では打っていないと思います。 ○加藤座長  いかがでしょうか。大谷先生に何か御質問ございませんか。よろしいでしょうか。  それでは、全体を通して御意見、御質問がおありの方から御質問、御意見を伺いま す。いかがでしょうか。  どうぞ。 ○大谷参考人  これは中野先生に伺いたいんですが、先生は狂犬病ワクチンは現地で受けろと。 ○中野参考人  私は、曝露前でも必要があれば打っていきます。 ○大谷参考人  それでは、宮津先生でしたか。狂犬病ワクチンは現地で受けろと。 ○宮津参考人  現地といいますか、当然これはかまれたら打たなければいけないワクチンですので、 要するにそのことをきちんと教えなければいけないんです。  企業なんかが狂犬病ワクチンを打ってこいというのがあるんですが、企業はそれでい いと思い込んでいます。そうではなくて、打ってあったとしてもどっちみちかまれたら 最低5回は打たなければいけない。 ○大谷参考人  実は、私、狂犬病は長いこと自分の専門でやって大変に苦労した事例もたくさんござ いますが、狂犬病にかまれるということは全く予想外の地点と場所で行われるわけで す。そうすると、すぐさま傷口の処理をすると同時にワクチンの開始をしないと、お子 さんの場合で特に顔などをかまれたりなんかした場合には一瞬の時間を争うわけです。 そういったときに、間に合わないで発病することがときどきある。  それが、あらかじめ予防接種を2回しておいてそれで行かれると、そのパウゼが少し ある。時間稼ぎができるわけです。そして、向こうでまたじっくりとワクチンを打つと いうと、まず心配はないのではないかと。できれば、東南アジアあるいはアフリカのよ うな危険地域に、特に都会ではなくて地方に行かれるような場合には、私は曝露前の予 防接種のための狂犬病ワクチンは打っていかれた方がいい。  昔のマウスのような、羊の脳のそういうセンプルワクチンは私は打つ必要はないと思 いますが、現在は細胞培養の安全なワクチンがございますので、行く地域によっては是 非2回の予防接種をしていただければ現地で大変慌てる必要がなくていいのではないか というふうに思っています。 ○宮津参考人  今のことですけれども、やはりもともと打つ現地、行く場所、それからどんな旅行な のか、それによってみんな違うと思います。当然、2回打っていけばとりあえず1週間 ぐらいの時間稼ぎができます。その間に国外に出る、町へ出る、そういう目的ではうち でも勿論これは打ちます。インドなんかに行かれる方もできるだけうちは勧めていま す。要らないといっても打つように言っているんですけれども、あなた死ぬよと言いな がら打つんですが、だから問題はその地域だと思います。  もう一つ、かまれたら打たなければいけないんだということをじっくり言っておかな いといけないので、打ってしまえばもういいんだと思い込んでいる人も結構いますの で、まずそこら辺の勘違いが企業にはかなりあると思うんです。  それと、幾つ以上に打つかということも問題になるんですけれども、狂犬病ワクチン は子どもの人は結構熱が出るんです。前に学会でお話ししたことがあるんですが、大体 1〜2歳の子に打つと10人に1人ぐらいはその晩39度の熱が出ます。皆さん、それで大 慌てするんです。だから、そういう話をきちんとして打たないといけないですし、それ 以上の副作用は出ませんから特に問題はないと思いますが、そんなところです。 ○加藤座長  ほかに、何か総合的にございますか。  どうぞ。 ○中野参考人  大谷先生に是非とも教えていただきたいんですが、日本脳炎ワクチンのブースターの ことでお教えいただきたいんです。  破傷風とかは、アメリカのACIPのリコメンデーションもあるので、私たち参考に する資料があるわけですけれども、日本脳炎、先ほど宮津先生も言われたアジアへ行か れる方で大人の方、流行状況にもよって違うでしょうし、都市部で事務職をされる方と 水田近くで稲作の指導をされる方とでは、当然、蚊に対する曝露も違うのでリスクも違 うと思うんですが、成人に対する日本脳炎のブースターというのは、日本人の場合どの ように考えればいいんでしょうか。 ○大谷参考人  日本脳炎の免疫といいますか、ワクチンとしての有効性は、血液中に日本脳炎ウイル スに対する中和抗体があれば絶対に大丈夫です。発病はしないと思います。  この抗体というのは意外と長く続きまして、初回の2回の免疫と1年後に行います1 回の免疫を考えますと、私どもがはかっておりました4年間は抗体がメインテインされ ております。そのレベルがある程度下がってまいりますのではかれなくなるんですが、 まだ微量の抗体は残っていますが、大体そこでもう一回やってほしいというのが私ども も厚生労働省に申し上げていることで、それがちょうど中学校の予防接種に当たるわけ です。  あとは、自然のブースターによってよろしいというふうには思っていたんですが、こ のごろの日本脳炎の流行を見ますと、かなり昔よりは感染チャンスが少なくなってい る。これは患者で判断すると、猛烈に減っているから日本脳炎は要らないのではないか というふうに言われる人もいますが、実際には豚による蔓延状況を見ますと、まだまだ 日本の8割ぐらいの地域では豚が感染しておりますので、感染機会は十分にあると思い ます。  幸いに、最近の遺伝子レベルによる疫学の結果を見ますと、私どもの知らない間にい つの間にか日本ではやっている日本脳炎ウイルスの型がすり替わっているようで、かつ ては3型と言われたのが1型になっている。ウイルスは恐らく、時に南の方から常に運 び込まれてはやるんでしょうけれども、それが冬なんていうことがある日本ではポピュ レーションチェンジが起こるのではないかというふうに思われております。  こういうふうな具合だと、今は患者が少ないのは、あるいは一つの考え方ですが、割 合に弱毒のウイルスが蔓延しているから、豚は勿論発病しないで抗体転化する。日本の 人も、それによって抗体を持つ人が意外と出ているんだというデータが出ております。  ですから、日本においてはまだまだ余り危険はないと思いますが、やはり4年に一遍 ずつワクチンをやれば、私はまずまず日本脳炎にかかる心配は全くないと考えてよろし いと思います。  ただ、4年に一遍、日本で患者もこんなに少ないのにやっていて、いつ海外に旅行す るかわからないときにやるというようなことはなくてもいいんですが、ただ日本脳炎の 免疫メモリーというのは意外と長く残っておりますので、海外に行かれる場合に1回注 射していかれると、これもまた、あと数年は大丈夫だろうというふうに思っております ので、最初からやらなくてもいいから、1回のブースターを打っていかれるということ を日本脳炎の流行地に行かれる場合にはお勧めいたします。 ○中野参考人  ありがとうございます。 ○加藤座長  どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○岩本委員  大谷先生のスライドの中に未認可ワクチンの部分で質問があるんですが、黄熱ワクチ ンが未認可ワクチンのところに入っていますね。私もアフリカに行くので自分でも打っ ているんですけれども、これは日本で今どのような形で実際に接種されているのかとい うのが第1点です。 ○大谷参考人  これは、私より牛尾課長に伺った方がよろしいと思うんですが、私が理解しておると ころでは、やはりこれは普通の認可ワクチンという扱いとはちょっと違いますので、だ からどのお医者さんが打っても、例えば薬害救済の対象になるような普通のワクチンと は区別されておるはずです。現在は国が国際衛生規則に従って勧めているワクチンです から、ほうっておくわけにはいきません。  そこで、厚生労働省としては検疫所に、そういうワクチンを打った場合には国が面倒 を見るというような特別な配慮をして打っているんだと。ですから、一般のお医者さん が打つとこれもまた問題になると思いますが、検疫所のお医者さんが打つ場合には国が ある程度面倒を見てもらえると。こういうふうに理解しておりますが、よろしいです か。 ○結核感染症課長  はい。 ○岩本委員  先生、そうすると、そのほかの未認可ワクチンのグループの大変重要な病気が多いと 思うんですけれども、恐らく国内は治験とかそういう形で不可能なものが多いですね。 こういうもののワクチンの在り方というのは、将来的にはそういう黄熱に準ずるような 形をお考えになるのか。どういう形が考えられるかというような先生のお考えを伺いた いです。 ○大谷参考人  実は、理想を言えば認可していただきたい。なぜならば、日本の国にあろうとなかろ うと、日本人がこのように世界に飛び散っていろいろ活躍している場合に冒される危険 に対して予防措置を講ずるというのが、やはり将来の行政であろうというふうに私は思 います。  ですけれども、一方、薬事法によります薬の認可というのは非常に細かく、非常にう るさい規定がございます。それとの間のギャップをどうやって埋めるかということでご ざいます。ですから、私は理想的には認可してもらうと言うんですが、それには、例え ば日本で作っていないワクチン、例えばアベンティス・パスツールでもカイロンでもG SKでもいいんですけれども、そういうところが今度は国に申請をして、これを認可し てくださいというのがまずきっかけだと思うんです。  ただ、そうすると、国の立場としてはやはり最小限ではあるかもしれませんけれど も、やはり治験を指示するのではなかろうかと思います。その治験には、やはり今の時 勢ですから相当なお金がかかります。相当な時間もかかります。ほとんどの未認可とい っても、欧米では非常にたくさんの人が使われているワクチンですから、そのデータを 全面的に受け入れて認可をしていただく。そういう配慮が日本の行政の中に出てくれ ば、恐らく希望といいますか、将来は明るいと思います。  でも、そんなに明るくないので、私はやはり今の保健制度で自分で防御するという方 が先決ではないかというような気がします。 ○加藤座長  大谷先生の力強いお言葉で、私、一瞬安心したんですけれども、後半でちょっとがっ かりしました。  今、岩本教授からお話しになったこの未認可ワクチンごときも、私、毎回こういうこ とを言って申し訳ないんですけれども、例えばインフルエンザ桿菌ワクチン、16歳未満 のA型肝炎、MMRワクチン、MRワクチン、ベロ細胞由来による日本脳炎ワクチン、 これらのワクチンは明らかに有効であって、その危険性もないであろうということはほ ぼわかっているワクチンですが、しかし残念なことに、今、大谷先生の前半の力強いお 言葉に反して、なかなかそういうワクチンですら日本の国というのは認可してくださら ないんです。  したがいまして、大谷先生がお書きになった未認可ワクチンというのは、私に言わせ ると今の日本ではぜいたくです。ぜいたくワクチン。これよりももっとはるかにやらな ければならないワクチンがたくさん日本にはあるんです。それを是非、座長としてはっ きり申し上げておきたい。これは今日の議事録にはっきり明記しておいていただきたい というふうに考えております。  ほかに、何か御質問はございませんか。  どうぞ。 ○宮津参考人  髄膜炎菌ワクチンについてですが、髄膜炎ワクチンはやはり流行地ということでアフ リカとか何かが今日話題になるんですが、実はアメリカで大学に入る、特に寮に入る方 はこれはみんな要求されています。ですから、それぐらい一般的なワクチンだというこ とを、もしどこかに入れておいていただけるとありがたいです。 ○加藤座長  おっしゃるとおりでございます。髄膜炎菌については、岡部先生もいわゆる感染症の あれのときに全例報告するということで話題になりました。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○岡部委員  その未認可ワクチンの、重要度があるけれども、まだ認可されていないワクチンの部 分と、ここに幾つかあるような旅行者にとって必要なワクチンで未認可であるものとい うことがあるんですけれども、例えばマラリアの治療や何かも承認薬がないけれども、 やり方としてはオーファンドラッグのような扱い方で、研究班が保持をして、必要に応 じて分配するというような形を取っているんですけれども、ワクチンというのはそうい うメカニズムが使えないものなのかどうか。つまり、全体的に承認して、全部にやって くださいというのは無理かもしれないけれども、あるニーズに対して応えるだけの予防 薬として使えるような工夫はあってもいいのではないかと思っているんです。 ○加藤座長  それに反対する方はおられないと思います。 ○岡部委員  実際に予防はないんです。あれは治療としてしか認められていないんですけれども、 そのシステムを考える意味ではそういうような工夫が必要ではないかという意味です。 ○加藤座長  貴重な御意見、どうもありがとうございます。  ほかに。  どうぞ。 ○宮崎委員  これは質問になるんですけれども、事務局が出された参考資料3に検疫所での予防接 種の実績が載っているんですが、黄熱しかやっていない検疫所と、ほかのワクチン全般 をやっている検疫所があって、これはどういう判断で分かれているのかというのが1 つ。  先ほどの大谷先生の説明では、黄熱は一つの特殊なワクチンとして検疫所ではやられ ているわけですね。もう少しこういう考え方を広げて、未認可の特殊なトラベラーズワ クチンを、すぐに承認が難しければ、検疫所のドクターであればそれなりのバックアッ プの下に接種できるというようなことは考えられないか。これは国にお聞きしたいで す。 ○加藤座長  これは、恐らく検疫の方なので、感染症課ではお答えにくいかと思いますが、お答え できる範囲でいかがでしょうか。 ○結核感染症課長  私どもの方で検疫法を所管していますので、お答えさせていただきます。  各検疫所でどのような対象疾患に対してワクチンをするのかというのは、検疫所によ って大分違っていることは確かでございます。  ここに明瞭に見て取れるように、やはり黄熱につきましては、先ほどございましたよ うに、現在のワクチンの位置付けが中途半端と言えば中途半端なところが正確なところ でございまして、一般の方々が普通に使えるほどの承認は得ていないけれども、国が使 うという前提でもって使っている。それが検疫所の責務であるということで、黄熱を中 心としてやっているわけなんですが。  ただ、検疫所がこういった予防接種をやるにつきまして、やはり利便性ということを 考えると、必ずしも利点がない点がございます。しかし、逆に言いますと、検疫所でな ければできないという所もございますので、先生方がやっておられるようなところであ れば、むしろ私の思いとしては検疫所でやれないもの以外のものがほかのところでやれ るならばそれに越したことはないけれども、検疫所でなければできないならば検疫所で やるというのも一つの方法だろうと思います。  最後の2点目のいわゆる未認可のものについて、こういう国の形でやるというのが一 つの方法として考えられないかという御指摘でございますが、正論を言えばやはり承認 を取った、実際、薬事法上問題のないものを使うのが、検疫所であろうが国の機関であ ろうが、国の機関でこそと言った方がいいかもしれませんが、そういった方向に持って いくのが一つの方法であって、ただ便宜的な方法として国の機関に限定して、あるいは 岡部先生から、若干予防と治療という違いはあっても限定的な使用方法が考えられると いうことはあるかと思います。 ○加藤座長  どうもありがとうございます。ほかに。  どうぞ、岩本先生。 ○岩本委員  参考資料2の質問なんですが、これが例えば1年のものなのか、ある期間、どのぐら いのものなのかということと、ある種のワクチンは何万件という輸入がされていますけ れども、これは何か特殊な。 ○岡部委員  これはドルです。 ○岩本委員  値段ですね。失礼しました。 ○加藤座長  これは量によるので、お金で計算されているということでございます。 ○岩本委員  これは1年ですか。 ○予防接種専門官  これは平成16年の上半期のみとなっております。  それと、ドルで計算を出しておりますのは、それぞれいろんな単位で、お金だっだり だとかあるいはミリグラムだったりボックスだったり、いろんな単位で情報が上がって きていますので、それを何件という形で正確に出すのは難しかったので、お金という形 で出させていただきました。 ○加藤座長  よろしゅうございますか。ほかに何か。  どうぞ、雪下先生。 ○雪下委員  先ほどから、例えば高校、大学の入学するに当たってかなり厳しく外国ではチェック されているわけですが、日本においてはほとんど予防接種していないから学校へ入れな いというところはないだろうと、全く無防備になっているのではないかと思うんです。 国内の子どもたちだけならいいけれども、こういう時代になってくると外国からの子ど も、途上国からの子ども等も入ってくるわけで、そういうことに対しても今のままの無 防備でいいのかどうかということについて。  あるいは、それについて、前のある委員会でも質問したかもしれませんが、どうやっ てそれを予防接種、国内の子どもたちも勿論のこと、外国の人にも条件付けるというよ うなことができるのかどうか。その辺のところを教えていただければと思います。 ○加藤座長  これは、課長からのお答えの方がいいかと思いますが、私、座長としての考えとして は、現在、平成6年以来、定期の接種は努力義務ということになっておるわけですの で、それ以前が義務接種、それより前は義務を果たさない者には罰を処するということ があったわけでありますが、その経過を経て努力義務という方法になっておりますの で、雪下先生がおっしゃっていることに関しては、接種をする側の認識の濃さによるの ではなかろうかと。恐らく、法律的に言う努力義務というのは、努力義務と書かれた場 合にはほぼ義務だというふうに私は理解しています。  ただし、その逆を取る方も中にはおられるわけです。努力義務だから義務ではないだ ろうという人もいるわけです。そういう方に対してまでも縛るということになります と、これは平成6年以前に戻るということになりまして、果たしてそれまで議論してき たことがどれだけ国民に今まで理解されてきているかどうかということに尽きると私は 考えておるんですけれども、牛尾課長の御意見を伺いたいと思います。 ○結核感染症課長  非常に難しい問題ですが、これはまだ私の考え方も十分固まっていないんですが、予 防接種において日本と米国の制度の違いというのは、日本における、米国における疾患 の蔓延状況という疫学的な差というものがあるのが1つ。それと、米国のように非常に 多様な民族を多様な国から常に受け入れている状況というのが、やはり日本と大分違う だろうということがあることが反映だろうと思います。だから、参考人から提示がござ いましたように、常に米国の例が出されるんですけれども、米国の例と日本のシステム というのは当然違ってしかるべきだというふうに思っております。  そういった中において、我が国においてこういった予防接種を、努力義務か義務接種 かということを別にしまして、接種させるためには、やはりそれに対しての当然の必然 性がなければ接種させることはできないというふうに我々としては思っております。  それでは、その限定的に接種される以外のものについては予防接種しなくていいのか というと、私は決してそうは思いません。例えば破傷風などは極めて人数が減少してい ますけれども、それをやめることによって起こる可能性、危険性というのは極めて高い わけですから、それは私は継続しなければいけないと思うんですが、その努力義務ある いは義務接種、名称は別にしまして、私の今の私案でございますけれども、例えばはし か、ポリオのように集団生活あるいは社会生活をするためあるいは国際的にエリミネー ションが求められるような疾患については、極めて強制力の強い方法で接種を続けてい かなければならないと思います。  ところが、現在の1類疾患に定められているようなそのほかの疾患については、高い 免疫力をできるだけ維持すべきだと思いますが、それはすべての人に対して強制力をも ってまでする疫学的状況にはないというふうに思っております。そういう意味では、米 国と日本の違いというのは現在の疾患の状況、疫学状況で比較して、当然日本の状況を 反映したものあるいは日本の風土に合ったものというのを考えていかなければならない というふうに思っている。  お答えになったかどうかわかりませんが、これが私の考え方でございます。 ○加藤座長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。ちょっと難しいところなんです けれども。 ○雪下委員  その努力義務というものの理解が国民に十分されていないという、これは私ども現場 の責任もあるわけですが、そういうことと、今の義務といいますか、そういうものがな いということで、やはり予防接種に対する認識というのはなお薄れているということで す。  先ほど、中野先生が言われました、私は3校の学校医をやっておりまして、就学時健 診を3つの学校でやりました。外国から来ている、主には東南アジア系の子どもが多い んですが、私のいるところはかなり多くて、ただ外国から来ている子で、今、法的に決 められたものをやっていないというのは一人もいない。むしろ日本人の子どもがやって いない子が多いというようなことがありまして、やはりこれは国民としてその認識度が 落ちているのかなと。やはり、それを何とかしなければいけないのではないかというふ うに思うわけです。 ○加藤座長  若干、牛尾課長から疾病ワクチンによって温度差が出てきてもよろしいのではないか という今までにない御意見が出たわけですが、この話はこの辺で打ち切ることにいたし まして、ほかに何か御意見、御質問ございましたら。  どうぞ。 ○結核感染症課長  これは宮津先生にお尋ねしたいんですが、私も学生時代いろんな開発途上国へよく旅 行して、そのたびにできるだけ打っていくようにしていたんですが、同時に一般の方々 はといいますか、打ったから安心だという逆効果を生む場合も若干、当時のワクチンが 余りよくなかったせいもあるんですけれども、コレラも腸チフスもA型肝炎も余り、私 の学生時代はもう二十数年前ですから、あまりよくなかったせいもありまして、逆に何 を食っても大丈夫だ、生は食べても大丈夫というふうな間違った誤解を与えるようなこ とがあったんですが、今はその点は余り心配しなくてもよいというふうに判断してもい いんでしょうか。あるいは、やはりその辺の教育は十分しなければならないというふう にお思いでしょうか。 ○宮津参考人  そのとおりです。  ただ、A型肝炎ワクチンは打ってあれば、あれは非常に付きのいいワクチンですの で、まず100 %付くと私は信じていますし、現実に私も自分で打っていって、A型肝炎 の人を連れて日本に帰ったこともありますので、発病しなかったのでほっとしていたん です。ただA型はいいんですが、例えば最近インドで騒いでいるE型肝炎とか、同じ経 路で感染するものに関しては当然無理だと思います。  だから、とにかくA型には効くかもしれないけれども、当然一般的な注意だけはして くれと。それから、狂犬病のことも先ほどから言っているように、打ってあるから安全 ではなくて、打ってあるから多少余裕があるだけだということ。それから、ほかのもの に関してもワクチンのない病気がほとんどだと。ワクチンのあるものだけでも打ってい くと、その分だけは安心できますというような説明はきちんとして打っています。 ○加藤座長  ありがとうございました。ほかに、御意見いかがでしょうか。  どうぞ。 ○岡部委員  いわゆるトラベラーズワクチンで、未承認薬については幾つかメカニズムとして工夫 の余地があると思うんですけれども、そのほか、もう一つ強調しておいた方がいいので はないかと思うのは、ほとんどの場合は恐らく、宮津先生にしても中野先生にしてもコ ンサルテーションで済んでいるもの、あるいはスケジュールを組むとか既存のものでで きているものが多いと思うんです。しかし、実際にはそういうもののコンサルテーショ ンがきちんとなされることがないので混乱が起きているのではないかというふうには思 うんです。  先ほど、予防接種センターの実情なんかも伺ったわけですけれども、実際に機能して いるところが極めて少ない。でも、それは定期接種から外れたものについてやるべきで ある。あるいは、このトラベラーズクリニック的な部分も含まれると思うんですけれど も、そういうようなところをもう少しきちっと整備をする。宮津先生がおっしゃってい た、予防接種を少なくとも知っている医者を張り付けるといったようなことは現実に可 能ではないかと思うので、なるべく早くそういうところから取り組んだ方がいいのでは ないかというふうに思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。貴重な御意見だと考えます。  ほかに御意見ございますか。  どうぞ。 ○宮津参考人  今、承認ワクチン、未承認ワクチンのことが出ているんですが、実は承認ワクチンを もっとうまく使う方法も考えてほしいんです。  例えば、今の破傷風です。これはよく打っても、小学校6年生で終わっているんで す。せいぜい10年と言われています。すると、20歳過ぎたらほとんど免疫が落ちてきて いるという状況です。それで本当に海外へ行っていいのかということです。うちの場合 は追加で打つようにしています。それから今37歳以上の方は1度もやっていない。そう いう人たちは3回打ちますけれども、それ以下なら1回で十分いけると。  今、大谷先生も言われた日本脳炎のことですが、これもある最近のデータだときちん と5回打っていて10年はもつというデータは出てきています。10年ということは、25歳 過ぎたら下がってくるわけです。だから、20代後半で東南アジアへ行く人には当然、最 低1回は必要だろうと私は思っていますので、そういう日本のいわゆる普通でも打てる ワクチンをもうちょっときちんと情報を与えるべきではないかと。  子どものころ打っているからいいのではなくて、打っていてももう下がっているんだ と。より危険なところへ行くのなら当然追加すべきであると。そういう情報をきちんと 与えていただきたいと思うんです。  当然、未承認ワクチンのことは私も非常に困っていますし、できるだけ欲しいんです が、承認ワクチンですらやれない、やってくれない、必要性を感じない。そういったグ ループもあるわけです。だから、いわゆる不活化ワクチンですから、よくもって10年な んです。  日本というのは、こういうことを言うと怒られてしまうかもしれませんけれども、い わゆる義務教育で予防接種が終わってしまっているんです。一番最後は中学校のときで す。義務教育を過ぎたら、それでもうそれっきりなんです。その後はどうなるのかとい うことまで、本当はきちんと案内していただきたいと私は思っています。せいぜい10年 ですから、生はある程度、もつにしても10年しかもたない。その人たちをどうするの か。例えば37歳以上の人たちは日本で一度もやっていない。  ただ、破傷風というのは実はほとんど日本の風土病ですので、ある地域に行かなけれ ばない。例えば、この辺の土地を掘ってもなかなか出てくるものではないと思うんで す。愛知県でもある町にしかないということで、そこは一応以前は10年ごとに打ってい たらしいです。最近は聞いていませんが、そういう熱心なところもあります。そういう ことをきちんともうちょっと整理されたらどうかなという気がします。だから、いわゆ る成人のワクチンという考え方です。  それから、全然話が違うんですけれども、一時風しんのことで大体二十代前後の風し んの定期率が悪いということで一時宣伝していましたけれども、いわゆる成人のワクチ ンということで渡航者を含めて考え、もう一回整理された方がいいのかなと、そんな気 がしています。  もう一つは、日本脳炎。いわゆる北海道といまだに打っていない地域があります。青 森も打っていないでしょうか。最近、秋田と岩手が始まったんですが、果たして本当に それでいいのか。北海道の人は北海道に一生住み続ければいいわけですけれども、そん なことあり得ないことなんです。それが、今、行政として実際にそれが行われているわ けです。それに対してどうするのかです。  それで、今、私の出したスライドの成人のにわざわざ北海道と入れたんですけれど も、どうしても日本のものを強調したかったものですから、そういうことです。この狭 い日本国内で、ただ理由は当然そこに蚊がいないからだけなんです。だから、北海道に 住み続けている方は日本脳炎にかからないわけです。  それはいいんですが、その人たちが九州へ行かないという保証はないですし、当然皆 さん移動します。そういうことに関して、どういうふうに考えているのかということ を、逆にお聞きしたいと思っております。 ○加藤座長  それらのことは今までのこの検討会で十分検討されておりますので、中間報告を見て いただくとよくわかると思いますが、いずれにいたしましても、小児の年齢を超えた年 齢において小児のワクチンをもっと利用していかなければいけない。  特に、不活化ワクチンに関しては5年なり9年なりごとに、私自身は日本脳炎も破傷 風も5年ごとに自分自身では接種しておりますけれども、それは啓発をしていく必要が あろうかという御意見だと思いますが、これは国がやるということはなかなか難しい問 題ではなかろうかというふうに私は考えておりまして、やはりワクチン学会であると か、日本小児科学会であるとか、小児保健協会であるとか、そういう学会レベルでいろ いろ検討して、そして社会にアピールしていく、または国に対して注文をつけていくと いうような方向性を持たせていかなければ、いきなり国が大人にも予防接種しましょう となかなか言いにくい状況にあると私は考えております。  そのような形で、また宮津先生、中野先生もいろんなところで御講演をしたり、また 本にお書きになるチャンスもあると思いますので、個人個人のレベルでもそういう啓発 をしていただきたいと。学会レベルでもそういう勉強をし、そして啓発をしていきたい ということで解決に近づけていったらいかがかというふうに考えます。  ほかに何か。  先生、どうぞ。 ○大谷参考人  日本脳炎の話が出ましたので、これは一つお願いしたいんです。特に厚生労働省にお 願いしたいんですが、今、申請が出ておりまして、私の希望では来年には使えるように なるのではないかという細胞培養日本脳炎ワクチン。これは非常に画期的な日本脳炎ワ クチンの改革でございます。  今まで、私どもは日本脳炎ワクチンの接種を一生懸命勧めてまいりましたが、片方で マウス脳があるというのでADEMの問題が常に頭にこびりついていて、その副反応を 否定できなかった。これが全く考えなくてもいい時代になってまいりますので、これか らはもっと日本脳炎ワクチンを有効に活用できるよう、厚生労働省の方でもう一遍考え 直していただいてもいいのではないかというふうに思います。 ○加藤座長  先生のおっしゃるとおりで、ここで感染症課の課長を叱咤激励してもなかなか先に進 みませんので、どうか大谷先生のお力で血液対策課とか審査センターの先生方に是非注 文をつけていただくという形で後押しをしていただきたいと思います。  ほかに、何か御意見ございませんか。よろしいですか。  それでは、議論は非常に尽きないところではございます。今日は座長のまとめをする 必要がないほど、先生方極めて明確におまとめいただきましたし、またパワーポイント の資料も配布してくださいましたので、座長のまとめは特に行わないでよいかと思いま して、私もほっとしております。  長い間御議論いただきましてありがとうございました。終了時間も近づきましたの で、これで終了させていただきたいと存じますが、最後に事務局から何かお話はござい ますか。 ○予防接種専門官  次回の検討会の日程に関しましては、日程調整を当方で行った上で御連絡をさせてい ただきます。よろしくお願いします。 ○加藤座長  それでは、本日は長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうござ いました。本日はこれにて終了させていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)                         照会先                          健康局結核感染症課予防接種係                          TEL:03-5253-1111内線(2385)