第14回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時平成17年5月27日(金)14:00〜16:00
場所厚生労働省専用第22会議室
出席者今野座長、荻野、小澤、北浦、武石、田村、成瀬、茂出木、山極の各参集者
議題
 多様就業型ワークシェアリング制度導入・利用の検討課題について(意見交換)
 その他

議事要旨 :
.「短時間・短日勤務制度導入に当たって生じる問題点と解決策」について、事務局より資料説明後、意見交換(主な発言内容は以下のとおり)

 (1)賃金(賞与、退職金を含む)について
(基本賃金)
 ○給料を何の評価要素でみているのかによる。給料を、時間で払っているのであれば、時間比例でよく、成果で払っているのであれば、短時間勤務についても、成果で払えばよい。

 ○同じランクの格付けの人は、同じ生産性と能力を有すると認定していることになるので、時間が半分の場合は、生産性も半分であると判断して、時間比例でよいのではないかとの考え方もある。

 ○ 一種の出来高給のように成果を非常に重視するのであれば、時間の長さは関係ないということになるが、日本においては、こうした制度は例外的ではないか。普通の日本の企業の人事制度であれば、時間比例が一番納得を得られるのではないか。

 ○細かい点は、各企業において団体交渉で決めるべきである。

 ○賃金だけではなく、登用の早さなどとも合わせて考えるので、賃金だけをあまり細かく考えても意味がないのではないか。

 ○時間比例を準拠基準にして、あとは労使で決めるということでよいのではないか。成果給の要素が大きければそれを加味するとか。

(生活関連手当)
 ○家族手当や住宅手当などの生活関連手当は、その性格を考えると必ずしも時間比例にそぐわないのではないか。

 ○家族手当も時間比例にすればよいのではないか。

 ○家族手当はやめて配り直すなど、家族に着目した賃金項目はなくした方が、多様な働き方を導入しやすいのではないか。

 ○家族手当という賃金の形のままでないにせよ、育児をしつつ、仕事の成果もあげている人のことも考慮すべきではないか。

(退職金)
 ○基本は、時間比例でよいのではないか。

 ○寮や社宅などの固定費の負担が大きい企業の場合、短期間ならともかく、長期間の場合は、時間比例にするのは難しいのではないか。ただし、その扱いは、労使交渉で決めればよいのではないか。

 ○ポイント制であれば単純な積み上げでよいが、一度、短時間勤務によって落ちたことが不利になるような制度設計であれば単純ではない。しかし、この場合でも労使で決めればよい。

 (2)教育訓練について
 ○教育訓練は、企業が労働者に何を期待するのかで決まってくる。短時間勤務か否かにかかわらず、将来幹部候補生として育成したい人かどうかなど、その期待が異なる者については、教育訓練は当然異なるし、同じと考えている場合は同じとなるのではないか。

 ○教育訓練の中で、大きなウェートを占めるOJTについては、短時間勤務の場合、そのチャンスが少なくなるので、それを埋め合わせるかどうかの問題があるが、これも各社のポリシーによる。

 ○宿泊研修についても、通いで受けられる形にするなどの選択肢を揃える方向にきているのではないか。

 ○キャリア上どうしても必要な研修については、労働者の方もベビーシッターを使うなどして工夫して対応すべきではないか。

 ○教育訓練については、原則として、チャンスは同等に与えるべきであり、また、個人も工夫すべきであるということではないか。

 (3)福利厚生について
 ○短時間勤務者も通常勤務者と一緒にするということでよいのではないか。

 ○短時間勤務社員が社宅に入居している場合、社宅料をある程度プラスして取るべきではないか。特に、民間の賃貸住宅に入居している場合の家賃補助を仮に時間比例でやるとすると、社宅入居者から取る家賃が時間比例ではないというのは公平性の観点から見ていかがか。

 ○できる限り直接賃金でみるようにして、それを時間比例にしていけば納得性は得られやすい。

 ○短時間・短日に限らず、多様就業型を進めるためには、基本的には、賃金に移行していくということが必要ではないか。

 ○短時間勤務が、例えば10年も続くと、住宅手当や通勤手当が一緒というのは、社員から不満がでるのではないか。

 ○仕事重視の様々な評価や制度にすることはかまわないが、出来上がった賃金が、生計費を補える水準が確保できることは大事。労働弱者がいるので、その人たちが生活できるようにしてもらわないと困る。

 ○労働弱者を含めて、どのような配分にするかというのは、団体交渉で決めればよいのではないか。

 (4)評価(昇給、昇格、キャリアパスを含む)について
 ○短時間勤務の人は、経験、能力の蓄積が違うから、その分昇給や昇格がゆっくりとなるが、長い目でみればそれほど変わらなくなるのではないか。

 ○何らかキャッチアップのための措置を考えることが、短時間勤務の導入に役立つのではないか。

 ○短時間勤務の人は、仕事の時間を縮めることにより、その分他に力を振り向けたいと考えて実行しているので、フルタイムの人と同じように扱うために、キャッチアップの機会を与えるのはかえって不公平ではないか。

 ○成果で判断していくという流れがある中で、短時間勤務の人が、フルタイムに戻って、本当に成果をあげているのであれば、実際は追いつけるし、追い越すことも可能ではないか。

 ○昇給、昇格に差がつく理由が時間だけということが明確だったら、誰も文句は言わないと思うが、現実には相当多くの評価要素があると考えられ、歪みが出てくる可能性もある。何か基本原則みたいなものをつくっておかないと、短時間勤務者に対する評価者のバイアスがかかって、有能な短時間勤務社員が低く評価されてしまうと不公平感が出てくる。

 ○長く働いているという経験をどのように評価するのかという問題ではないか。長く働くかどうかで能力や成果、実績に差がつき、それが評価されるのであれば仕方がないのではないか。

 ○フルタイム社員と短時間勤務社員とを同じ母集団で評価すると、評価者はフルタイム社員を評価してしまうのではないか。最終的には、絶対評価ではなく、相対評価になるので、同じ母集団であれば、相当パフォーマンスをしない限り、短時間勤務社員はどうしてもハンディキャップを負うのではないか。

 事務局より、次回の日程について、6月29日(水)13:30〜15:30に開催する旨説明。


照会先:
 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
 電話03−5253−1111(内線7876)


多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1)本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2)本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3)座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1)多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2)(1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3)(2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4)その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。



多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿

平成17年4月1日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室担当部長
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 (株)ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長兼労働条件局長
  土田 道夫 同志社大学法学部教授
  成瀬  豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  茂出木 幸二 日本経済団体連合会出版・研修事業本部長兼人事賃金センター長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)

トップへ