資料1
生鮮食品の表示について(その2)

前回資料で示した問題点
(1)  販売方法、店舗の規模などにより、生鮮食品の表示対象範囲を見直す必要はないか。(課題1)
(2)  生鮮食品を詰め合わせた場合の実行可能な表示方法を検討する必要はないか。(課題2)
(3)  複数産地を混合する場合の実行可能な表示方法を検討する必要はないか。(課題3)
(4)  記載すべき原産地が曖昧な場合があり、考え方を整理する必要はないか。(課題4)
(5)  生鮮魚介類の表示を見直す必要はないか。(課題5)
(6)  玄米・精米の表示を見直す必要はないか。(課題6)
→
本日議論していただきたい事項

1. 生鮮食品のアンケート、農林水産省に寄せられたご意見、ご質問等の紹介
 課題1,2,3について、アンケート結果、ご意見等を踏まえ、今後の検討の考え方を整理。

2. 水産物の表示について
 特に複雑な水産物の表示について、専門家からの情報提供を基に問題点を整理。


生鮮食品のアンケート、農林水産省に寄せられたご意見、ご質問等の紹介

(1)  農林水産省において実施した下記アンケートの結果を紹介。
 平成16年度食料品消費モニター第2回定期調査「生鮮食品及び加工食品の表示について」(以下、「モニターアンケート」)
 対象:食料品消費モニター(全国主要都市の一般消費者 1,021名)
 調査時期:平成16年12月
 回答者数:998名(回収率 97.7%)
 「生鮮食品の表示に関するJAS法担当者の皆様へのアンケート」 (以下、担当者アンケート)
 対象:都道府県、地方農政局・農政事務所などのJAS法担当者
 調査時期:平成17年2月
 回答者数:627名
(2)  一般消費者、実際に表示を行う事業者等から、電話、FAX等により、農林水産省へ寄せられた生鮮食品に関するご意見・ご質問等から関連したものを紹介。


《第21回共同会議資料1から抜粋。》

(1) 表示基準の対象範囲
加工食品については、ばら売りや対面販売については表示義務がないのに対し、生鮮食品には表示義務がある。このため、
小規模小売店 ・直売所 等についても、表示が必要
表示実施状況をみると、量販店では既に100%近い表示実施率であるのに対し、専門店では、十分に原産地表示がなされていない
店舗の形態によっては、「店主に聞けばわかるので表示は必要ない」という意見もある。
↓
課題1 生鮮食品の表示基準の対象範囲について、見直す必要はないか。


 (1)  アンケート結果(課題1関連)
モニターアンケート
問10. 町の小さな魚屋などでは、店主が早朝のセリなどで魚を仕入れ、鮮度や産地などの情報を客に伝えながら販売しています。このような店であっても、現行の制度では、例外なくすべての魚介類に名称、産地を表示する義務が課せられています。
 このことについて、あなたはどのように考えますか。次の回答区分の中から該当する番号を1つ選び、回答欄 22 に記入してください。 なお、「4 その他」を選んだ方は、回答用紙裏面に具体的に記入してください。
回答区分
現行どおり全ての商品に産地表示は必要
店主に聞いて確認できるので、産地表示を義務づける必要はない
仕入れ状況などによって日々変化するような商品については産地表示を義務づける必要はない
小規模な店には産地表示を義務づける必要はない
その他
担当者アンケート
質問1  生鮮食品は加工食品と異なり、対面販売(魚屋、肉屋等)やばら売り(山積みの農産物等)についても表示が必要ですが、このことについて、どのように考えますか。
(1) 対面販売
1. 現行どおり、すべての事業者に表示義務が必要
2. 義務でなく任意表示とすべき
3. 一定規模に満たない事業者の表示義務は免除すべき
4. 聞いて答えられるのであれば表示義務は免除すべき
5. その他
 3.と回答された方にうかがいます。一定規模に満たない」とは、どのような指標が望ましいと考えますか。具体的なアイデアがあれば、以下にお書き下さい。(例:売上高1千万円未満、従業員2名以下、事前に届け出た者 等)
(モニターアンケート)
小さな魚屋の表示について
小さな魚屋の表示についてのグラフ
(担当者アンケート)
対面販売の表示について
対面販売の表示についてのグラフ


 (2)  小規模店舗に関し、農林水産省へ寄せられたご質問等について

(ご質問)
当店には地元の顔なじみの客しか来ないし、聞かれれば原産地は答えられる。あえて表示する必要はないと思うし、小さい店では忙しくて、すべてに原産地表示はできない。
↓
(回答)
すべての生鮮食品に表示の必要がある旨説明。
(アンケート自由記入欄より)
 店主に聞いたときに裏付けの書類が提示できるのであればよい。(モニター)
 町の小さな魚屋の情報が正しいのかわからない。(モニター)
 「産地等は店主にお尋ね下さい」と必ず書いてあればよい。(モニター)
 八百屋、魚屋などは1、2人のところが多く、話をするとほとんどの産地を教えてくれる。また、高齢者が多く、毎日産地を表示するのは困難。(監視担当)
 小さな店では、市場でバラ買いしてくることが多く、産地表示の徹底が困難。まず、産地側での表示を徹底すべき。(監視担当)


《第21回共同会議資料1から抜粋。》

(2) 複数種類の生鮮食品を詰め合わせた場合の原産地表示方法

現行規定 異なる種類の生鮮食品で、複数の原産地のものを詰め合わせた場合、原産地はそれぞれの生鮮食品の名称に併記する。



例:果物盛り合わせ(切断していないもの)→すいか(熊本県)、りんご(青森県)、
バナナ(フィリピン)、・・・)
※切断したものの盛り合わせ(カットフルーツミックス)は加工食品。



問題点
生鮮食品の詰め合わせは店頭で行われる場合も多く、その組み合わせは一定していない
多種類の生鮮食品を詰め合わせた場合、全ての生鮮食品に名称と原産地を表記するのは困難な場合もある。(包装の外部から詰め合わせ内容は確認可能)
↓
課題2 複数種類の生鮮食品を詰め合わせた場合の実行可能な表示方法を検討する必要はないか。


 (1)  アンケート結果(課題2関連)

担当者アンケート
質問2  複数種類の生鮮食品を詰め合わせた場合の表示方法について、どのように考えますか。(例:6種類の果物盛り合わせなど)
1. 現行どおり、詰め合わせたすべての生鮮食品の名称と原産地の記載を義務づけるべき
2. 主要なもの(例えば上位3位)のみの名称と原産地まで義務付け、残りは任意表示とすべき
3. 詰め合わせを一つの生鮮食品と考え、刺身盛り合わせのように「果物詰め合わせ(6点盛り)」等と名称のみの表示を義務付け、ほかは任意表示とすべき
4. 聞いて答えられるのであれば表示義務は免除すべき
5. その他
(担当者アンケート)
生鮮食品の詰め合わせの表示について
生鮮食品の詰め合わせの表示についてのグラフ


 (2)  詰め合わせ食品に関し、農林水産省へ寄せられたご質問等について

(ご質問)
10種類のきのこのうち5種類をパックして販売する。包装には「10種類のきのこ名」と「それぞれの原産地、生産者名」及び「このうち5種類のきのこをパックしています」としたい。
↓
(回答)
容器包装の表示と内容物が一致していることが必要。入っている5種類のもの以外の表示は抹消することが必要。
(その他想定される類似の事例)
 リンゴ、メロン、バナナ、ブドウ、パインアップル、キウイフルーツをかごに盛り合わせて、「お見舞い用果物セット」として販売。
 じゃがいも3個、玉ねぎ3個、にんじん1本、にんにく1個を袋に詰め合わせて「カレーセット」として販売。


《第21回共同会議資料1から抜粋。》

(3) 複数の原産地のものを混合した場合の原産地表示方法

現行規定 複数の原産地のものを混合した場合、多い順に全て記載。
問題点
特売品等の山積み販売の場合、複数県の商品を同時に販売するため、原産地を多い順に全て正確に記載することは困難。
マグロのすき身、挽肉、刺身切り落としなど、複数産地由来のものを混合して販売する場合、原産地を多い順に正確に全て記載することは困難。
↓
課題3 複数の原産地のものを混合販売する場合の実行可能な表示方法を検討する必要はないか。



 加工食品の原料原産地表示では、複数の原産地のものを混合使用する場合
には、3位以下を「その他」とする等の表示方法を認めている。





 (1)  アンケート結果(課題3関連)
モニターアンケート
問2. 野菜に原産地を表示する場合には、国産のものであれば例外なく都道府県名を表示することになっています。このため、例えば、セール品などで複数県の「玉ねぎ」を混ぜて山積みして販売する場合にも、量の多い順に「北海道産」、「千葉産」のように産地を表示する必要があります。このことについて、あなたはどのように考えますか。次の回答区分の中から該当する番号を1つ選び、回答欄 8 に記入してください。なお、「4 その他」を選んだ方は、回答用紙裏面に具体的に記入してください。

回答区分
セール品であっても、現状のとおり量の多い順に都道府県名を表示すべき
セール品については、国産品と輸入品の区別ができればよいので国産と表示されていればよい
セール品については、表示の必要はない
その他
担当者アンケート
質問1  生鮮食品は加工食品と異なり、対面販売(魚屋、肉屋等)やばら売り(山積みの農産物等)についても表示が必要ですが、このことについて、どのように考えますか。
(2) ばら売り(野菜の山積み等、容器包装に入れられていないもの)
(3) 見切り品(鮮度の落ちた果物や野菜など、主として容器包装に入れられていないもの)

 1. 現行どおり、ばら売りや見切り品であっても表示義務が必要
 2. 義務でなく任意表示とすべき
 3. 一定規模に満たない事業者の表示義務は免除すべき
 4. 聞いて答えられるのであれば表示義務は免除すべき
 5. その他
(モニターアンケート)
セール品、ばら売りに表示が必要か
セール品、ばら売りに表示が必要かのグラフ
(担当者アンケート)
(2)ばら売り
ばら売りのグラフ
(担当者アンケート)
(3)見切り品
見切り品のグラフ


 (2)  山積み販売に関し、農林水産省へ寄せられたご質問等について

(ご質問)
複数産地の果物を山盛りにして販売する場合、「山梨県産、その他」などの表示は可能か。
↓
(回答)
ポップなどに重量順にすべての産地を表示することが必要。
(アンケート自由記入欄より)
 セール品であっても区別して表示して欲しい。(モニター)
 現状のとおり多い順に表示し、さらに数量が何%か、割合を表示して欲しい。(モニター)
 複数のものがミックスされて山積み販売されている場合、たとえ全産地が明記されていても何がどこの産地であるか区別しづらいので無意味な気がする。(モニター)
 強調表示しないのであれば、複数の産地が混合されていることがわかる表示でよい。(監視担当)
 国産か外国産かのみ義務表示にすべき。(監視担当)


(4) その他、生鮮食品の表示に関して寄せられたご意見、ご質問等

 玉ねぎ、白菜など、子供でも見てわかる野菜の名称を表示させるのはナンセンス。
 地方の産直等では、「地物」、「地区名(市町村より小さい)」を表示している場合があるが、消費者とのトラブルがない場合は、市町村より詳細な「地区名」なども表示しても良いのでは。
 輸入された水産物について、ベニザケ(アラスカ産)など、原産国名でなくても一般的に知られた地名を表示しても良いのでは。
 しいたけについて、原木栽培、菌床栽培の別を表示すべきでは。(乾しいたけでは義務化されており、整合が取れていない。)


《課題1,2,3についての論点整理》

多くの消費者は、全ての生鮮食品に「名称、産地の表示があること」を望んでいる。
その一方で、実際に表示を行う販売店の店頭では様々な課題がある。
↓
【今後、検討すべき事項】
 生鮮食品の種類、販売店の規模、販売方法等により表示の義務を緩和する必要があるか。
 生鮮食品について、どこまで詳細な原産地の表示が必要か。

トップへ