第14回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
平成17年5月20日
委員  安田  博


検討項目5「消費者への周知等」

(論点19)医薬品の効能効果、副作用の情報等について、消費者(国民)にどのように普及啓発していくか。

(論点23)消費者の適正使用を促すためのその他の方策について、どう考えられるか。

(1) 医薬品は生命関連商品であり、期待される効能・効果を得るには、消費者に対して適切な情報提供を行い、適正に使用してもらうことが最も重要である。
 なかでも、効能・効果とともに、副作用を併せ持つ医薬品の特性や服薬方法、服薬時の注意事項などの正しい使用方法について、広く普及啓発していく必要があると考える。

(2) このため、
(1)各医薬品販売業者が個々の医薬品の販売時における情報提供に努めるとともに、
(2)医薬品の特性等について、行政と各業界団体との密接な連携による広報、普及啓発活動を推進するほか、
(3)教育の場においても、たばこやアルコールなどが及ぼす健康影響やセルフメディケーションに関する健康教育と併せて行うことが効果的であると考える。

(3) また、配置販売業では、毎年実施されている「薬と健康の週間」等において、地域毎に各種の取り組みを行っているが、中でも、
行政と連携した街頭キャンペーンや
配置薬に関する相談等
を展開するなど、医薬品に関する知識の普及・啓発に努めている。

(4) 配置販売業は、配置先の各家庭(消費者)を直接訪問することから、口頭やパンフレット等による普及啓発が直接的に行えるメリットがあり、医薬品製造販売業者や行政からの情報伝達に適したシステムとなっており、今後とも、国や各都道府県等と連携した医薬品の正しい知識の普及に努めていく必要があると考えている。

(5) なお、前回部会の論点13でも議論になっていたが、使用期限の遵守も適正使用のためには重要であると考えている。配置薬販売業においては、訪問時に「配置期限」が近づいているものは、事前に回収しており、使用期限を超えた医薬品が服用されることはないようにしている。
 さらに、家庭における医薬品の保管についても、定期的な訪問の際に、適切な保管がなされているか、保管状況や保管場所の環境等を実際に確認しており、適正使用のためにも、今後とも継続して実施していく必要があると考える。


(論点20)消費者への情報提供を行う専門家と他の従業員との識別方法について、どう考えるか。

(1) 消費者(国民)に対し医薬品に関する情報を提供する際には、実際に情報提供する者の身分や氏名等を明示することは、消費者に対し安心感を付与するばかりでなく、情報提供側の責任の明確化に資するとも考える。

(2) 配置販売業では、(論点16)において述べたとおり、
(1)配置置従事者は、配置先の家庭(消費者)を訪問する際に身分証明書を携帯(薬事法第33条規定)しているほか、
(2)配置団体の自主的な取り組みとしては、配置従事者の資質向上を目的とした資格認定試験を創設して、合格者には認定証を交付するとともに、配置の際には配置従事者全員に着用させ、責任の一層の明確化に努めている。
(※ 認定証は、氏名・顔写真等が入った名札仕様となっている。)


(論点21)情報提供の内容が消費者に十分理解されるための外箱等への表示や文書の活用について、どう考えるか。

(1) 医薬品の外箱や直接の容器等における表示は、
(1)消費者者が、購入前に手軽に一定の内容を知ることができる重要な情報提供手段の一つとなっているが、
(2)表示スペースに限りがあること等から、
(3)個々の医薬品に関する重要な事項(使用上の注意や副作用等)については、添付文書等に明記され、消費者による服薬や保管等が一層適切に取り扱われるよう考慮される必要があると考える。

(2) 配置販売業では、
(1)個々の医薬品の外箱や添付文書等の記載事項に従い、直接、配置先の家庭(消費者)において、対面による正確な説明に努めているが、
(2)今後は、医薬品の一般的な服用方法や服薬注意事項等に関する消費者向けのパンフレット等の作成・提供についても検討していく必要があると考えている。


(論点22)消費者への情報提供が行われたかどうか、また、情報提供の内容を消費者が理解しているかどうかを確認することについて、どう考えるか。

(1) 消費者による医薬品の適正使用には、消費者が理解しやすく、かつ、懇切丁寧な説明が重要であることから、消費者にとって分かり易く、いかに適切な情報提供を行うかが大切であり、消費者との対話を通じて理解の状況が確認できるとすれば、購入者から確認書への署名を求めること等までは、必ずしも必要ではないと考える。

(2) 配置販売業は、
(1)小包装単位の製剤のみを扱っていることから、薬の飲み過ぎ、使い過ぎが起こりにくい形態となっているが、
(2)配置先の家庭(消費者)を反復・継続して訪問し、直接、対面で情報提供を行っており、
(3)配置先の各家庭と良好な人間関係が構築されていることから、健康相談等を通じ必要に応じて、受診勧奨を行うなど、医薬品の適正使用に努めているほか、
(4)説明(情報提供)に際しては、正確性に留意することはもとより、
(5)理解を得るために医薬品の適応(効能・効果)から副作用や保管上の注意等に至るまで、極力、平易な表現を用いて説明するように心がけている。

(3) 仮に、個々の消費者に対する情報提供に関し文書等での確認が必要であるとすれば、顧客台帳(「懸場帳」)の中に、消費者への説明や情報提供に関する「チェック欄」を設けるなどして、消費者の理解の確認を行うことも配置販売業では、可能であると考える。



検討項目6「情報通信技術の活用」

(論点24)消費者への情報提供及び流通段階や販売店における医薬品の管理等に情報通信技術を活用することについて、どう考えるか。

(1) 情報通信技術(インターネット、携帯電話、電子メール、FAX等)を活用した消費者との双方向の情報提供は、
(1)コストの縮減ばかりでなく伝達時間の短縮等の観点からも、販売側・消費者側の双方において非常に有益であるとともに、
(2)副作用等のリスク発生時には、早期の情報提供・対応が求められること等から、情報通信技術の多方面での活用促進について検討していく必要がある一方、
(3)医薬品は生命関連商品であることから、責任の所在が明確になった情報提供が必要であると考える。

(2) 配置販売業は、家庭(消費者)へ直接訪問する販売形態であり、
(1)対面(Face to Face)による消費者への確実な情報提供が行われること。
(2)反復・継続して配置先の家庭を訪問し、定期的な情報提供が可能なこと。
(3)配置箱に配置販売業者の連絡先を明示し、責任の所在が明確化されており、副作用や相談への対応が行えること。
(4)顧客台帳(「懸場帳」)によって各家庭に配置した医薬品の品目、数量等を把握し、電話やFAXにより副作用発生時等への確実な対応が可能であること。
(5)一般消費者からの配置薬に関する相談や情報提供についても、電話やFAXにより応じる体制(「おきぐすり相談窓口」)が各県で整備されていること。
等から、インターネットやテレビ電話等の情報通信技術を活用するまでもなく、消費者との双方向の情報のやりとりが可能なシステムとなっていると考えている。


検討項目8「その他」

(論点25)インターネット販売、カタログ販売及び個人輸入の形をとった販売形態について、専門家による情報提供の観点から、どう考えるか。

(配置販売業の業態と異なるためコメントせず。)


(論点26)専門家の関与がない特例販売業について、どう考えるか。

(配置販売業の業態と異なるためコメントせず。)

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