医師の需給に関する検討会
中間報告書 骨子案 (これまでの各委員の意見から)
1.はじめに
● | 本検討会は、平成17年度中に報告書を取りまとめることになっている。 |
● | 一方で、平成18年度での医療制度改革を目指して、医療制度全般について、社会保障審議会医療部会での議論が進められている。 |
● | 本検討会も、18年度での改正に盛り込める事項については、可能な限り最終報告を待たずに中間報告として取りまとめることが適当。 |
● | さらに残された事項については、最終報告書まで引き続き議論。 |
2.現状の認識
● | 患者から見ると、医師は常に忙しく充分な時間が取れないことも多く、医師は不足しているのではないか、と感じる。また、医師から見ると、現場の繁忙感は非常に強い。医師は過剰になるという平成10年の認識は正しいのか疑問である。更に、患者と医師との関係が変容したことにより、インフォームド・コンセントを含む患者一人当たりの診療時間が非常に多くなってきている。そのため診療に時間を要するようになり、医師不足につながっているのではないか。 |
● | 診療科によっては医師不足が甚だしく、診療に支障をきたしている診療科もある。特に産婦人科・小児科などでは、新規参入医師が少ないことが医師不足に拍車をかけている。診療科別格差が大きい、更には夜間等、時間帯による医師の不足、という状況もある。 |
● | 地域医療を守っている多くの医師が引退年齢にあることもあり、地域によって医師が不在の地域もある。都道府県別の人口当たりの医学部定員が偏在しており、地域別格差に拍車をかけている。医師の気質が変わり、過疎地域に行きたがらなくなっている。地方では大学病院でも医師が不足しており、関連病院に医師を派遣する余力がないのではないか。 |
● | 医師が不足している診療科、地域、時間帯においては、医師の質の面でも不足しているのではないか。 |
● | 労働基準法に伴う影響も無視できないのではないか。 |
● | 女性医師が増加しており、このことが需給に影響しているのではないか。 |
3.検討すべき課題とその解決方法について
● | 医師不足地域への医師誘導策について、外国の事例が参考になるのではないか。 |
● | 医療施設集約や医療提供体制の効率化を図るべきではないか。 |
● | 医師の分布に関して規制等の関与が必要ではないか。 |
● | これらの問題に関しては、医療計画制度の活用により、ある程度解決されるのではないか。 |
● | 分野別医師数について、学会がその役割を果たすべきではないか。 |
● | 適正な専門医数を念頭に置きながら議論する必要があるのではないか。 |
● | 専門医の数だけを議論するだけでなく、地域別に均衡に配置することも併せて考えるべきではないか。 |
● | これらの問題に関しては、診療報酬や、政策的な手当を施すことにより、ある程度解決することができるのではないか。 |
● | 繰り返し事故を起こす医師等問題のある医師を排除するために、医師の評価を行うことが重要ではないか。 |
● | 日本では免許があれば制約がないが、諸外国では、専門的医療行為には資格や経験が必須要件となっており、外国の事例として参考とすべきではないか。 |
● | 政府が問題となる医師の再教育などに積極的に取り組むことにより、解決されるのではないか。 |
● | 高度な医療機関等においては、医師の交代勤務が行われないと、患者の安全が確保されないのではないか。 |
● | 一方で、例えば重症の患者の診療にあたる場合、医師が交代勤務を行うと、治療の一貫性が損なわれることがあるのではないか。また、チーム医療が進まなければ、患者から主治医が交代して診療にあたることは受け入れられないのではないか。 |
● | 医師とその他の職種との役割分担を考えなおす必要があるのではないか。 |
● | 欧米は家庭医の養成や資格が制度化されている。日本でも検討すべきではないか。 |
● | へき地や離島などでは、診療所において一人で診療を行わなければならず、ジェネラリストでないと対応できない。国としてジェネラリストを整備していくべきではないか。 |
● | 平成16年度から開始された新しい臨床研修制度により、ある程度の解決が期待できるのではないか。 |
● | 女性医師の勤務実態等を踏まえ、より能力を発揮できる方策を検討する必要があるのではないか。 |
● | 医師過剰が本当に弊害を伴うのか。つまり医師が過剰になると
> | 不必要な需要を生む可能性 |
> | 医師の失業の問題 |
> | 数が増えることによる質の低下 |
が起こるのか。医師過剰国の事例を検討すべきではないか。 |
● | 夜間等、時間帯による医師の不足の実態を把握する必要があるのではないか。 |
● | 国際的な数字の比較に当たっては、それぞれの国の医療制度、医療を取り巻く背景、勤務実態を斟酌したうえで解釈する必要があるのではないか。 |
● | いくつかのタイプの医療機関別に、医療内容、医療現場でのそれぞれの対応等の客観的データを基に検討する必要があるのではないか。また、医師の働き方の個人差も大きいので、勤務医や女性医師の勤務実態を踏まえた医師需給推計が必要なのではないか。 |
● | 医療法の人員配置標準が医療の実態に合っていない部分があることが、医師の需給についての考え方を混乱させているのではないか。 |
● | 卒後3年目以降の研修のあり方が医師需給を考える上で重要ではないか。 |
● | 医師の需給は、数だけの問題ではなく、医師の質の問題、地域・診療科偏在の問題、他職種との関係の在り方の問題等、総合的に考える必要があるのではないか。 |