看護師等養成所の運営に関する指導要領(平成13年1月5日健政発第5号) (抜すい)


別表1  保健師教育の基本的考え方、留意点等

教育の基本的考え方
1)  人々の健康並びに疾病・障害の予防、発生、回復及び改善の過程を社会的条件の中でとらえることができる能力を養うとともに、これらの人々を援助する能力を養う。
2)  地域の人々が自らの健康状態を認識し、健康の保持増進を図るため健康学習や自主・自助グループ活動を実施し、また社会資源を活用できるよう支援する能力を養う。
3)  地域に顕在している健康問題を把握するとともに、潜在している健康問題を予測し、それらの問題を組織的に解決する能力を養う。
4)  保健・医療・福祉行政の基礎的知識を踏まえ、地域の健康問題の解決に必要な社会資源の開発や保健・医療・福祉サービスを評価し調整する能力を養う。

教育内容 単位数 留意点
地域看護学    
 地域看護学概論 3 公衆衛生看護及び継続看護の基本理念と目標を学び、地域における看護活動の基本的知識及び考え方、地域を基盤とした予防の考え方及び行政的対応について学ぶ内容とする。
健康のとらえ方においては社会的条件(偏見や生活習慣等を含む。)との関連を強化した内容とし、援助のとらえ方においては地域住民の主体性を尊重した内容とする。
 地域看護活動論 9 地区活動論、家族相談援助論、健康教育論を統合し、地域における看護活動を展開するために必要な方法及び技術を学ぶ内容とする。
保健指導論、健康管理論を統合し、健康の保持増進及び疾病・障害別に、予防、発生、回復及び改善に対応した援助方法と地域活動の展開方法及び技術について学ぶ内容とする。
地域看護活動計画の作成過程等を含む内容とする。
疫学・保健統計 4 公衆衛生学の基盤である疫学・保健統計(情報処理を含む。)を従来よりも強化し、疫学調査と保健活動における統計の技術について学ぶ内容とする。
保健福祉行政論 2 看護のコーディネーション能力を強化するため、保健福祉の法的基盤及び行財政を理解するとともに保健福祉計画の企画及び評価について実践的に学ぶ内容とする。
臨地実習    
 地域看護学実習 3 地域看護学だけでなく、疫学・保健統計及び保健福祉行政論で学んだ知識を含めた実習とする。
総計 21  675時間以上の講義・実習等を行うものとする。



別表2  助産師教育の基本的考え方、留意点等

教育の基本的考え方
1)  妊産じょく婦及び胎児・新生児の健康水準を診断し、妊娠・出産・産じょくが自然で安全に経過し、育児がスムーズに行えるよう援助できる能力を養う。
2)  女性の一生における性と生殖をめぐる健康問題について、相談・教育・援助活動ができる能力を養う。
3)  安心して子どもを産み育てるために、個人及び社会にとって必要な地域の社会資源の活用や調整を行える能力を養う。

教育内容 単位数 留意点
基礎助産学 6 女性の生涯を通じて、性と生殖に焦点を当てて援助する活動である助産の基礎について学ぶ内容とする。
助産学概論、生命倫理、性と生殖の形態・機能、母性に関する心理・社会学、乳幼児の成長発達等を含む内容とする。
母性の心理・社会学に加え、父性を含む家族の心理・社会学的側面を強化した内容とする。
助産診断・技術学 6 助産過程の展開に必要な診断の技術を修得させ、助産の実践に必要な基本的技術を強化する内容とする。
助産師として必要な相談技術、特に心理面の対応の技術を強化する内容とする。
地域母子保健 1 助産師として地域の母子保健を推進するための基礎的知識を学ぶ内容とする。
助産管理 1 助産業務の管理及び助産所の運営の基本を学ぶ内容とする。
臨地実習    
 助産学実習 8 助産診断・技術学、地域母子保健及び助産管理の実習を含むものとする。
分べんの取扱いの実習については、分べんの自然な経過を理解するため、助産師又は医師の監督の下に、学生1人につき正常産を10回程度直接取り扱うことを目安とする。
総計 22 720時間以上の講義・実習等を行うものとする。



別表3  看護師教育の基本的考え方、留意点等(3年課程、3年課程(定時制))

教育の基本的考え方
1)  人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として、幅広く理解する能力を養う。
2)  人々の健康を自然・社会・文化的環境とのダイナミックな相互作用、心身相関等の観点から理解する能力を養う。
3)  人々の多様な価値観を認識し専門職業人としての共感的態度及び倫理に基づいた看護を実践できる基礎的能力を養う。
4)  人々の健康上の問題を解決するため、科学的根拠に基づいた看護を実践できる基礎的能力を養う。
5)  健康の保持増進、疾病予防と治療、リハビリテーション、ターミナルケア等、健康の状態に応じた看護を実践するための基礎的能力を養う。
6)  人々が社会資源を活用できるよう、保健・医療・福祉制度を統合的に理解し、それらを調整する能力を養う。

  教育内容 単位数 留意点
基礎分野 科学的思考の基盤




 13
「専門基礎分野」及び「専門分野」の基礎となる科目を設定し、併せて、科学的思考力を高め、感性を磨き、自由で主体的な判断と行動を促す内容とする。
人間を幅広く理解できる内容とし、家族論、人間関係論、カウンセリング理論と技法等を含むものとする。国際化及び情報化へ対応しうる能力を養えるような内容を含むことが望ましい。
職務の特性に鑑み、人権の重要性について十分理解させ、人権意識の普及・高揚が図られるような内容を含むことが望ましい。
人間と人間生活の理解


小計 13  
専門基礎分野 人体の構造と機能


 15
人体を系統だてて理解し、健康・疾病に関する観察力、判断力を強化できる内容とし、解剖生理学、生化学、栄養学、薬理学、病理学、微生物学等を含むものとする。
疾病の成り立ちと回復の促進

社会保障制度と生活者の健康 6 人々の社会資源活用に関するセルフケア能力を高めるために必要な教育的役割や、地域における関係機関等の調整を行える内容とし、公衆衛生学、社会福祉学及び関係法規等を含むものとする。
従来、医学概論として行われてきた内容は、「社会保障制度と生活者の健康」及び「基礎看護学」の中で行うこととする。
小計 21  
専門分野 基礎看護学 10 各看護学及び在宅看護論に共通の基礎的理論や基礎的技術を学ぶ内容とする。
チーム医療・看護ケアにおける看護師としての調整とリーダーシップ及びマネージメントができる能力を養えるような内容とする。
国際社会において、広い視野に基づき、看護師として諸外国との協力を考える内容とする。
在宅看護論 4 在宅看護論では、地域で生活しながら療養する人々とその家族を理解し在宅での看護の基礎を学ぶ内容とする。
成人看護学 6 各看護学においては、看護の対象及び目的の理解、健康の保持増進及び疾病・障害を有する人々に対する看護の方法を学ぶ内容とする。尚、性に関する内容も含めることとする。
特に、成人看護学は、他の看護学と重複する内容を整理し、成人期の特徴に基づいた看護を学ぶとともに、疾病・障害に関する看護の基本についても学ぶ内容とする。
老年看護学 4
小児看護学 4
母性看護学 4
精神看護学 4 精神看護学では、精神の健康の保持増進と精神障害時の看護を統合的に学習できるような内容とする。
小計 36  
臨地実習    
基礎看護学 3 知識・技術を看護実践の場面に適用し、看護の理論と実践を結びつけて理解できる能力を養う内容とする。
在宅看護論 2 在宅看護論の実習の対象は、成人、高齢者、小児、妊産じょく婦、精神障害者のいずれでもよい。
成人看護学 8
老年看護学 4
小児看護学 2
母性看護学 2
精神看護学 2
小計 23  
  総計 93 2,895時間以上の講義・実習等を行うものとする。



別表5  教育内容と留意点等(保健師・看護師統合カリキュラム)

  教育内容 単位数 留意点
基礎分野 科学的思考の基盤


 13
 
人間と人間生活の理解
小計 13  
専門基礎分野 人体の構造と機能


 15
 
疾病の成り立ちと回復の促進
社会保障制度と生活者の健康 7 保健福祉行政論を含むものとし、看護のコーディネーションの能力を強化するため、保健福祉の法的基盤及び行財政を理解するとともに保健福祉計画の企画及び評価について実践的に学ぶ内容とする。
健康現象の疫学と統計 4 公衆衛生学の基盤である疫学・保健統計(情報処理を含む。)の基礎を学び、地域における看護活動に必要な調査及び統計の技術について学ぶ内容とする。
小計 26  
専門分野 基礎看護学 10  
地域看護学 14 地域看護学では、市町村及び保健所を中心とした保健予防活動に焦点をおいた公衆衛生看護学と、在宅療養者に焦点をおいた在宅看護論を統合的に学ぶ内容とする。
成人看護学 6
老年看護学 4
小児看護学 4
母性看護学 4
精神看護学 4
小計 46  
臨地実習    
 基礎看護学 3  
 地域看護学 5  
 成人看護学 8  
 老年看護学 4  
 小児看護学 2  
 母性看護学 2  
 精神看護学 2  
小計 26  
  総計 111 3,480時間以上の講義・実習等を行うものとする。



別表6  教育内容と留意点等(助産師・看護師統合カリキュラム)

  教育内容 単位数 留意点
基礎分野 科学的思考の基盤


 13
 
人間と人間生活の理解
小計 13  
専門基礎分野 人体の構造と機能


 15
基礎助産学の一部を含む内容とする。
疾病の成り立ちと回復の促進
社会保障制度と生活者の健康 6  
小計 21  
専門分野 基礎看護学 10  
地域看護学 5 地域で生活しながら療養する人々とその家族を理解し、在宅での看護の基礎を学ぶとともに、地域の母子保健を推進するための基礎を学ぶ内容とする。
成人看護学 6
老年看護学 4
小児看護学 4 基礎助産学の一部を含む内容とする。
母性看護学 4 基礎助産学の一部を含む内容とする。
精神看護学 4  
基礎助産学 5  
助産診断・技術学 6  
助産管理 1  
小計 49  
臨地実習    
 基礎看護学 3  
 地域看護学 3  
 成人看護学 8  
 老年看護学 4  
 小児看護学 2  
 母性看護学 2  
 精神看護学 2  
 助産学 7  
小計 31  
  総計 114 3,495時間以上の講義・実習等を行うものとする。

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