05/04/28 第1回 医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する 検討会 議事録 第1回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会 日時 平成17年4月28日(木)   18:00〜 場所 厚生労働省省議室9階 ○赤熊補佐 ただいまから、「第1回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等 のあり方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはご多忙 のところ、また遅い時間にもかかわらず、当検討会にご出席いただき、誠にありがと うございます。初めに、医政局担当審議官の岡島より、ご挨拶を申し上げます。 ○岡島審議官 医政局担当審議官の岡島でございます。本来ですと医政局長がまいりま して、ご挨拶を申し上げるところですが、本日は都合により欠席させていただくこと になりまして、代わりにご挨拶させていただきます。委員の皆様方には、日ごろから 厚生労働行政に関しご尽力いただきまして、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 また、本日はご多忙の中、連休前の大変遅い時間にもかかわらず、当検討会にご出席 いただきましてありがとうございます。厚生労働省におきましては、平成18年の医療 制度改革に向けて、現在、社会保障審議会医療部会を中心として、患者の視点に立っ た、より質の高い、効率的な医療サービスの提供の実現に向けた医療提供体制の改革 について、議論を行っているところです。その中で、看護職員に関する規制に関して も、検討すべき論点として指摘されております。  そこで、本検討会を設置し、これらの問題について医療安全の確保および看護の質の 向上の観点から、ご検討いただくことにしたものです。委員の皆様におかれましては、 患者の視点に立った幅広い見地から、活発にご議論いただきますよう、よろしくお願 い申し上げます。 ○赤熊補佐 続きまして、看護課長の田村から、本検討会の委員の皆様および事務局の ご紹介をさせていただきます。 ○田村看護課長 看護課長の田村でございます。委員の皆様方には、このたびの検討会 の開始に当たりまして、快く委員をお引き受けいただき、誠にありがとうございまし た。私より委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。社団法人日本医師 会常任理事の青木重孝委員、山梨大学大学院教授の遠藤俊子委員、石川県立看護大学 長の金川克子委員、社団法人日本看護協会常任理事の菊池令子委員、社団法人日本精 神科病院協会副会長の谷野亮爾委員、NPO法人ささえあい医療人権センターCOM L代表の辻本好子委員、國學院大學法科大学院長の平林勝政委員、白梅学園大学教授 の山路憲夫委員です。弁護士の川端委員は間もなくお見えになるかと思います。なお、 本日お集まりの皆様のほかに、北里大学病院看護部長の小島恭子委員、NTT東日本 関東病院看護部長の坂本すが委員の2人がいらっしゃいますが、生憎本日はご都合が つかないということでご欠席になっております。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶を申し上げました審 議官の岡島、総務課長の原、看護職員確保対策官の野口でございます。  次に、当検討会の座長についてお諮りしたいと思います。座長は山路委員にお願いし たいと考えておりますが、いかがでしょうか。 (了承) ○田村看護課長 皆様方のご賛同を得ましたので、山路委員は座長席にお移りください。 一言ご挨拶をいただき、以後の議事進行をお願いしたいと思います。 ○山路座長 ただいま座長に選んでいただきました山路でございます。よろしくお願い いたします。私は白梅学園大学という所で、社会福祉・社会保障論を担当しておりま すが、実は学者生活2年足らずで、それまで毎日新聞の論説委員をやっておりました。 33年間新聞記者をやっていたせいで、真面目に学者生活をしているのですが、厚生労 働省からはなぜかマスコミ枠ということで選ばれております。私は若いときから新聞 記者というのは国民、庶民の視点でということを叩き込まれて、そのつもりで記事を 書いてまいりました。今検討会はさまざまな課題があり、いくつか難しい課題がある ようですが、結果として患者の大多数につながるような結論を得られればというつも りで、議事進行をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、議事の進め方について、確認をさせていただきます。当検討会については 公開をするということです。議事録についても、事務局でまとめたものを各委員にお 目通しいただいた上で、資料も含めて厚生労働省のホームページで公開するというこ とでご了解をお願いしたいと思いますが、よろしいですか。 (了承) ○山路座長 それでは、そういう形にさせていただきます。議事に入っていきたいと存 じます。まず、事務局より資料の確認をお願いします。 (資料確認) ○山路座長 資料1「検討会の趣旨」(案)、および資料2「検討項目・スケジュール の検討」について、事務局から説明をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官 それでは、説明させていただきます。資料の1頁「本検討 会の趣旨」ということで、1枚紙を付けてあります。目的ですが、医療提供体制の見 直しに関しては後ほど簡単に説明しますが、現在、医療部会を中心的な舞台として、 平成18年の医療制度改革に向けて、医療提供体制の見直しに関する議論を行っている ということです。その検討の中で、看護職員に関するさまざまな問題点についてもさ らに検討を深めるべきである、というご指摘があります。医療部会という場で、細か なところを詳細に検討するというのは物理的に限界があるので、そうした問題に関し て専門的にご検討いただく場として、検討会を設置したほうがいいのではないか。特 に患者の視点に立つという今回の医療提供体制の見直しの基本をなす視点、もちろん 医療安全の確保ということから考えても、別に検討会を起こしてご検討いただいたほ うがいいだろうということで、本日第1回の会合に至ったということです。  医療部会等で指摘をされて、現在までのところ2番目に検討事項としてまとめてあり ますが、「新人看護職員の研修のあり方について」。これは平成16年から医師、来年 から歯科医師の臨床研修必修化が始まるという状況の中で、新人看護職員の研修のあ り方も、だんだんと議論になってきているという状況です。また、看護師資格を持た ない保健師、あるいは助産師の方ですが、最近そういう方々が増えてきている。その 保健師・助産師の方は、現在、法律上看護業務ができることになっておりますが、そ のことについての問題点ということで指摘されている状況です。  3つ目の・ですが、行政処分を受けたような医療従事者、特に医師について再教育の 仕組みが必要なのではないかということで、つい先ごろ報告書がまとめられておりま す。看護職員についてはどう取り扱ったらいいのだろうかということも、同じように 問題として挙がってくるわけです。次の「産科における看護師等の業務」ですが、特 に近年、産科の診療所において助産師が足りないのではないかという問題がある中で、 さまざまに指摘されている部分があります。それについて議論をしたらどうかという ことです。  4つ目ですが、免許を持っておられる方について、医師であればどこに勤めていよう とも届出義務がある。それに対して看護職員であると、看護関連の業務に就いている 場合には従事者の届けがあります。その部分が医師と違っているのですが、それは今 日的に見てどうなのだろうかという議論が出てきているということです。  これもやや専門的な話で、助産師、看護師、准看護師という資格を持っている方につ いては、いわゆる業務独占として、そういう資格を持っていないと診療の補助行為等 ができないことになっているわけですが、名称については独占とされていない状況が あります。診療の補助行為の一部の業務として、理学療法士等が制度化されています が、そちらの後でできた資格については業務独占、名称独占、両方行われています。 そういう中において、いわば親元である資格について、規制が合理的なのだろうかと いう議論が行われているということがあります。  また、これも非常に専門的な議論ですが、助産所の嘱託医師です。これは医療法に書 かれておりますが、助産所は正常な出産を取り扱うということで、何らかの異常が生 じた場合に、バックアップとして嘱託の医師を決めておくことになっており、そのあ り方として、むしろ医療機関をバックアップにさせてもらったほうがいいのではない かという議論が出ております。その辺について、検討事項とさせていただいてはどう か。そのほか、さまざまあり得るということで「その他」としておりますが、このよ うな検討事項をご検討いただくために、本検討会を開催したらどうかということです。  スケジュールについてはあとで申し上げます。メンバーについては本日2名の方がご 欠席ですが、右側に書いてあるメンバーで行いたいということです。なお、この検討 会の位置づけですが、私どもの医政局長が有識者の皆様方のお知恵を拝借したいとい うことでお集まりいただき、事務局については看護課で引き受けさせていただくこと としております。  4頁の検討スケジュールですが、本検討会の検討事項は、基本的には平成18年の医療 制度改革に反映できるものは反映させていきたい、という狙いがあります。その中心 的な議論として、いま医療部会が動いていると説明いたしましたが、その医療部会が 本年の6月ないし7月ぐらいに中間的な取りまとめを行うという日程で進んでおりま す。これはその後、例えば概算要求等もあるということで、予算に関係することもあ るのではないかということ、あるいはなるべく早く取りまとめられるものは取りまと めたほうがいいのではないかということで、中間的な取りまとめを行うという段取り になっております。したがって、この時期にまとめられるものは、できたら本検討会 でもまとめさせていただいたらどうかという気持です。実は大変検討の時間が短いと いうところで、心苦しいのですが、まずそういう日程を考えているということです。 それから、医療部会自体が意見書の取りまとめを12月目途で行う。それで平成18年 の改正に向けていくという流れですので、残された課題については7月以降またご議 論いただいて、さらにまとめをしていただこうと。全体的な流れはそういうことです。  問題は前半部分についての日程ですが、本日が第1回ということです。看護について 大変お詳しい先生方もいらっしゃるのですが、本日は第1回ですので、改めて看護制 度の現状について私どもから説明申し上げた上で、フリートーキングをしていただい たらどうかと考えております。それを踏まえた上で、第2回目以降、個別の論点につ いて検討を深めていただいたらどうかということで、先ほど提示した検討項目の中か ら、第2回目は看護師資格を持たない保健師・助産師の看護業務について、第3回目 は免許保持者の届出義務、名称独占について、第4回目は行政処分を受けた方の再教 育の問題、助産所の嘱託医師の問題というようにして取り組んでいただく。その辺の ご議論を踏まえて、中間的な取りまとめをしていただいたらどうかということで、現 在先生方には3回目までの日程をお示ししていますが、できれば6月も2回程度開催 して、まとめられるものであれば6月下旬にまとめさせていただく。そのような日程 を想定している状況です。 ○山路座長 ただいまの事務局の説明について、検討事項は多岐にわたるようですが、 ご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○谷野委員 これはそんなにきっぱりと言えないのかもしれませんが、この検討会と医 療部会の関係がどのようになるのか、よくわからないということが1つです。細かい ことでですが、私も看護問題はそんなに詳しくないのですが、業務独占を論じないで 名称独占だけが書いてあるというのはどういうわけなのか。その2つをお伺いしたい のです。 ○野口看護職員確保対策官 最初に医療部会との関係です。医療部会の日程等について は後ほど資料で説明したいと思いますが、基本的には医療部会の意見書に本検討会の 検討経過が反映されていくという形を想定しております。医療部会からこの検討会に 直接の委任があったという感じではありませんが、私ども事務局として、例えば本検 討会の中間まとめがなされたとすれば、それを医療部会に報告をして、医療部会でさ らにご議論いただく。そのご議論のための材料として、専門的に検討いただき成果を 出していただければありがたいという趣旨で考えております。  それから、業務独占と名称独占の話ですが、もちろん業務の問題についても全く触れ ないわけではありません。そういう意味では、先ほど検討項目にありましたように、 「産科における看護師等の業務について」ということで、業務の中身についても検討 させていただくことは十分あり得るわけですが、今回の問題意識は、看護職員につい ては既に業務独占はあるが、名称独占がないという問題があります。ところが、看護 職員の業務の一部を抜き出した、例えば理学療法士の方や視能訓練士の方などは、業 務独占と名称独占と両方あるという規制の合理性の面で疑問があるのではないかとい うことと、現実にも名称独占がないことによる、問題事例も発生しているということ もありますので、まずその辺の問題があるというご指摘を医療部会の中でいただいて いる。それを受けて、どう議論するかということで、この論点として提示していると いう経過です。私どもはそういう経過で申し上げていますが、委員の皆様からそれに 関連してさまざまなご議論をいただければと考えております。  なお、いまの業務独占、名称独占については、資料の中で若干触れておりますので、 後ほど説明させていただければと思います。 ○山路座長 それは本日の中でも、後ほど説明していただくということですね。 ○野口看護職員確保対策官 はい。 ○山路座長 それでは、後ほどの説明でよろしいですか。ほかにありますか。 ○辻本委員 医療部会のかかわりということで、部会のほうでは昨日も人員配置標準と いうことが話題になっていたわけですが、患者の立場から言えば医療安全、そして看 護師自身の人権の確保、安全ということも考えて、人員配置の問題を見直していただ きたいという思いが非常に強いです。そのことを検討事項の中には触れていないのは なぜなのか、ご説明いただければと思います。 ○野口看護職員確保対策官 人員配置基準そのものは、まさに昨日の医療部会の検討の 主要な論点として、医療部会の中で本格的な議論がされておりますし、もちろんあれ で終わりというわけではありませんで、今後中間まとめ以降にもさらにその問題につ いて、医療部会の中でご議論が行われて、一定の取りまとめのほうに流れていくので はないか。その問題は医療部会で中心的な議題として取り上げられるであろうと想定 しておりますので、この検討会として検討項目には上げていない。事務局としては、 そういう整理をしております。 ○辻本委員 例えば職員の研修ということを議論していけば、当然に人手というところ にもお話が行くと思います。業務の見直しということになっても、当然にそのお話に 流れていく。人員配置というところも、いつかは見直さなければいけないという前提 で議論するということで私は参加したいと思うのですが、そのスタンスの訂正の必要 はありませんね。確認です。 ○野口看護職員確保対策官 最終的には、この検討会の意見のまとめとして、どのよう なまとめをなされていくのかということに関わる問題かと存じます。そのまとめの中 で、さまざまな委員のご意見もあるでしょうし、医療部会との関係もあるでしょうか ら、そのときはそのときで整理させていただければと考えております。 ○山路座長 意見を出す自由はあるけれども、それを決める権限は当検討会にはないと いうことなのでしょうね。ほかにご意見、ご質問はありますか。それでは、議事を進 めます。本日は第1回ということで、看護制度の現状はどのようになっているのかに ついて、事務局からご説明をお願いいたします。 ○野口看護職員確保対策官 最初に、この検討会の設置に関わる問題ですが、5頁の現 在、医療提供体制の改革について、どのような進め方がなされているのかということ です。医療制度改革は、平成12年における医療法の第4次改正、平成14年における 医療保険制度等の改正ということで、累次、改正が行われてきております。平成14年 の改正の一環として、今後の医療制度の改革に向けて議論を尽くすべきであるという ことで、平成14年3月に医療制度改革推進本部が設置されております。この推進本部 の中に、医療提供体制の改革についての検討チームが置かれて、平成15年8月に医療 提供体制の改革のビジョンが取りまとめられたという経過があります。なお、医療保 険制度と医療提供体制と、いわば車の両輪で改革議論が進んでいるわけですが、一方 の医療保険制度改革については、平成15年3月に基本方針という形で医療保険制度に 関する考え方が取りまとめられており、それに基づいて現在、医療保険部会等で議論 が行われているという状況です。  ビジョンを取りまとめた以後の話ですが、このビジョンができたということを踏まえ て、具体的に平成18年度の改正に向けてどのような取組をしていくかということで、 社会保障審議会の医療部会が再開されて、現在議論が行われているという状況です。 その検討事項については、1から10ということで掲げられています。いずれも看護職 に関係があるといえばあるのですが、この中でさらに論点整理としてまとめられてお り、後ほど説明します。  これまでの検討状況ですが、第1回目は昨年9月に医療部会が開かれ、フリートーキ ングで大まかな議論の1巡目を終えました。それを踏まえて、今年になって第5回目 ですが、平成18年を目がけてどのような改革の論点があるのかという論点整理に取り 組んでいただいております。その成果が第6回目の医療部会で提出されたという状況 です。第6回目以降、論点整理の各項目ごとに、個別の議論に入ってきたということ です。  なお、この資料には記載されておりませんが、4月27日、第9回の医療部会が開かれ て、まさに一番関係がある医療の人材の確保、資質の向上という部分について、ご議 論いただいたところです。次回第10回は5月12日で、在宅医療についての議論に入 るという状況です。先ほど簡単に申し上げましたが、本年夏ぐらいに中間的な取りま とめ、年内に意見書の取りまとめという段取りで進めております。  7頁から9頁の論点整理ですが、第6回の医療部会で整理された論点の中で、事務局 なりに出させていただいたのですが、特に看護職に関係があるのではないかと思われ るところ、もちろん全部関係があるのですが、その中でも特に関係があるのではない かと思われるところを抜粋したものです。1番目は患者の視点に立った、患者のため の医療提供体制の改革を基本とすべきではないか、ということを底に置こうというこ とです。「医療安全対策」ですが、医療は人でもっているということです。その意味 で、人の部分では残念ながら行政処分を受けた方々についての再教育制度をどうした らいいか、あるいはより的確な行政処分を行うための事務局の体制はどうしたらいい か、あるいはいわゆるリピーターの方々についてどうしたらいいかという議論が行わ れております。  「医療計画制度」ですが、これからは都道府県でお作りいただく医療計画が日本の医 療提供体制を考える上で大きな軸になっていくと思われます。医療計画において、明 らかにすべき事項として、いろいろな点が挙げられております。例えば2つ目ですが、 訪問看護などの在宅医療の推進をどうしたらいいのかということを、医療計画で明ら かにしたらいいのではないかということも提起されております。  次の頁は「へき地の医療提供体制の確保」ということで、へき地における医師、看護 師等の確保の方策をどうすべきかということも論じられております。8番目の「在宅 医療」ですが、できる限り住み慣れた地域、家庭において療養生活をおくることがで きるように、在宅医療の推進が必要であることが指摘をされ、その1つとしてその下 の○、かかりつけ医(歯科医)の充実・普及、訪問看護の充実・普及等、在宅医療に 関する医療提供体制の確保をどのように進めていったらいいだろうかということが提 起されています。10番目で人材の話が出てきておりますが、1つ目は医師、歯科医師、 看護師の需給をどのように見通すべきかということです。看護師の需給については、 実はもう既に別に検討会を置いて、現在、都道府県で実態把握に着手いただいており ます。その結果を踏まえ、本年末には新たな看護職員の需給見通しを策定しようとい うことで、それはそれでいま進んでいるということをご紹介いたします。  次は、医師、歯科医師、看護師等の生涯教育を充実させていくべきではないかという 議論です。その下の○で、医師等の免許更新制を導入すべきという指摘について、ど う考えるかということも指摘されています。その下の行政処分については、先ほど医 療安全のところで申し上げた内容です。  次の頁ですが、看護に関しては特に看護関係資格ということで取り上げられています。 看護師、助産師等の看護関係資格の資質向上や専門性の確保などについて、どのよう な取組を進めていくことが考えられるか。医療安全の観点から、看護師、薬剤師の卒 後臨床研修について検討することについてどう考えるか、ということが指摘されてい ます。先ほど委員からもご指摘がありましたが、(7)は看護師等の届出制の在り方、そ の他、看護関係資格にかかる規制の在り方について、どのような見直しが考えられる か。ここでは簡単に書いてありますが、先ほど申し上げたようなことが医療部会で提 起されたということです。以上が医療部会において看護関係で特に指摘されている論 点ということでご紹介したものです。医療提供体制のビジョンについては、参考資料 の1頁からビジョンの本体を付けております。時間の関係上省略しますが、この中で も訪問看護等の充実、あるいは資質の向上等が将来像や具体的な取り組むべき課題と して指摘されていますので、ご参照いただければと存じます。  保助看法の見直しということで、保健師助産師看護師法自体の条文について、簡単に ご紹介します。22頁からですが、保健師助産師看護師法、略して保助看法が成立した のは昭和23年で、相当古い法律であると言えると思います。第1章から第5章まで5 章に分かれていますが、第1章の総則の所で目的なり定義なりが置かれています。目 的ですが、保健師、助産師、看護師の資質の向上、それによって医療、公衆衛生の普 及向上を図ることとしています。  第2条以下、各資格の定義があって、保健師、助産師、看護師は大臣免許で、国家免 許ということになっています。保健師ですが、「厚生労働大臣の免許を受けて、保健 師の名称を用いて保健指導に従事することを業とする者」です。この業というのは反 復継続するという理解をしております。助産師ですが、「助産師とは、助産又は妊婦、 じょく婦、若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」ということで、女 子というのは資格の中で助産師だけで、現在、女性のみ助産師になれることになって おります。助産ですが、分娩開始から出産後2時間経過というのが、実務的に取り扱 われている助産です。妊婦というのは、妊娠の兆候がはっきりしてから分娩開始の時 期までの方です。じょく婦は、分娩後からおおむね通常に復するまでということで、 6週間後ぐらいまでが考えられています。新生児は28日程度ということになっており ます。助産ないし、こういう方々の保健指導を行うことを業とする女子、これが助産 師とされているわけです。  第5条の看護師ですが、「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話、または診 療の補助を行うことを業とする」と位置づけられています。第6条で准看護師が挙げ られています。業の中身は看護師と同様で、1つは知事免許であるということと、「医 師、歯科医師または看護師の指示を受けて」ということで、この指示という文言が入 れられています。  第2章が免許です。第7条にありますが、免許を受けようとする場合には、国家試験 を受けて合格し、免許を受ける。准看護師は同じように、知事の免許を受けるという ことです。免許を申請した場合に、欠格事由に当たると免許が与えられないことがあ るというのが第9条で、1号から4号まで欠格事由が掲げられております。罰金以上 の刑に処せられた者、特に業務に関して犯罪または不正があった者、目や耳が不自由 であるなどの障害により、看護職員としての認知、判断、意思疎通が適切に行えない のではないかと思われる方については、免許が出せないのではないか。それから、麻 薬等は駄目ということで欠格事由が決められています。  第10条は籍の問題で、免許の籍を厚生労働省に置くということになっております。籍 簿に登録することによって、免許が出されるということです。第11条ですが、准看護 師も同じく知事が登録をすることになっております。第12条は免許の付与と免許証の 交付で、申請を受けて籍簿に登録することによって免許が付与され、また免許を与え たときにはいわゆる免許証が交付されることになっています。第13条は免許を与えな いという不利益処分等のときについての意見の聴取という手続規定です。第14条は、 免許を与えた方が欠格事由に当たるようになったとき、あるいは品位をけがしたとい うようなときには、免許の取消し、ないし業務停止という処分がある、いわゆる行政 処分が行われるというものです。第15条には、その処分の手続が書かれていますが、 省略します。  第3章が試験で、第17条は試験の内容です。当然ですが、それぞれの資格にふさわし い必要な知識および技能を確認する試験を行うことになっております。第18条ですが、 国家免許については当然国、厚生労働大臣が行う、知事免許は知事が行うということ です。知事が行う場合には、厚生労働大臣が定める基準として告示が出ており、その 告示に従って行うことになっております。試験の回数は少なくとも年1回となってお り、かつて年2回のこともあったのですが、国家試験の場合、現在年1回行われてお ります。  次は試験の受験資格です。保健師、助産師、看護師、准看護師ということで、受験資 格がそれぞれ書かれております。第19条の頭書きの保健師ですが、保健師国家試験は 看護師国家試験に合格した者、ないしは第21条各号のいずれか。第21条各号という のは、看護師国家試験の受験資格がある。つまり、看護師としての必要な教育を受け たというようにご理解いただければいいと思いますが、実際に看護試験に合格したか、 あるいは受験するために必要な教育を受けた者ということです。したがって、看護の 教育ないし免許を前提として、保健師についての専門的な教育を受けたことが保健師 国家試験の受験資格です。次の各号というのは、1号、2号、3号がありますが、1 号は文部科学大臣の指定した学校です。これは学校についても文部科学省系、厚生労 働省系などで分かれており、いわゆる学校教育法の1条校と言われる高校、大学、短 大が文部科学省系となります。それ以外の養成所が厚生労働省系となり、それによっ て分かれるということです。ただし、同じ基準でやっております。同じ指定規則があ り、同じ基準に基づいて指定を受けた学校において、6カ月以上、必要な教育を受け た、これが1号、2号です。それと同じように外国で受けた場合の方もいいというの が3号です。助産師についても同じ構造ですので省略します。  看護師の国家試験については、助産師、保健師の基礎的な資格とご理解いただければ と思いますが、1号、2号ということで、基本的には文部科学省の指定した学校、厚 生労働大臣の指定した学校の2つの系統に分かれております。簡単に言えば、高校卒 業後3年以上の教育ということです。1号のほうは主として大学を考えていただけれ ばいいと思いますが、大学ですから4年間いらっしゃるので4年間。それから、2号 は3年間の看護学校ということです。なお、3号の規定は、准看護師の方で、さらに 看護師になろうとすることもできるということです。3年以上実務を経験された准看 護師の方、あるいは高等学校を卒業されている准看護師の方で、2年間の看護師養成 のための学校に通われた方ということです。高等学校もしくは中等教育学校と書いて ありますが、中等教育学校というのは新しく制度化されたもので、中高一貫校のこと で、高校卒とお考えいただければいいと思います。2年以上修業ということで、看護 師の通常の教育をするのは3年課程と申しておりますが、2年課程と申しております。 同じく外国の話が4号にあります。  第22条が准看護師で、同じく1号、2号、文部科学省、厚生労働省と分かれておりま すが、中学卒業以上で2年間の看護に関する学校を修めるということです。それから、 もちろん看護師試験を受けられる方は准看護師試験も受けられるというのが3号です。 4号は外国の規定ということになっております。  第23条は試験委員の設置等が書かれており、第4章に業務ということで書かれており ます。  第29条ですが、保健師の業務です。「保健師でない者は保健師またはこれに類似する 名称を用いて、第2条に規定する業をしてはならない」。業務自体は第2条に書かれ て、もう既に定義のところに出されていますが、その業をしてはいけない。名称を用 いてということですので、これは名称独占の規定です。したがって、保健指導という 業務自体は業務独占にはなっていないという状況です。  第30条の助産師業務の制限ですが、「助産師でない者は、第3条に規定する業をして はならない」。これはまた後ほど簡単に概要図で説明しますが、この助産師業務に関 しては医行為の一部とされておりますので、当然医師についてはできるということで、 但し書が付けられております。  第31条は看護師で、同じように看護師でない者は看護業務ができないとなっておりま す。ただし、医師または歯科医師ということで、看護師には歯科医業の診療の補助も ありますので、歯科医師がここで登場してくることになります。第31条第2項ですが、 保健師の方、助産師の方は、看護師でなければ看護業務ができないという前項の規定 がありますが、看護業務ができるという規定が置かれております。これが論点にかか わる問題です。  第32条は、准看護師でない方はしてはいけないということで、看護師と同じ構造です。  第33条は就業届の規定で、業務に従事する保助看の方々は2年ごとの年、具体的には 2年に1回ですが、12月31日現在の状況を知事に届け出なければならないという決 まりがあります。この業務に従事するというのは、看護職としての業務という意味で、 例えば会社員で勤められている場合にはこの届け出義務はかからないと解釈されてお ります。これが医師の場合には、業務に従事しているか、いないかにかかわらず、免 許を持っていれば届け出ることになっているという違いがあります。  第35条ですが、保健師について、傷病者ですから主治医の方にかかっていることが予 想されることが多いわけですが、そういう方々について療養上の指導、保健指導を行 うに当たっては、主治医の治療方針との整合性を確保するという観点から、その指示 を受けるという規定が置かれております。同じく保健師についての特別な規定ですが、 公衆衛生行政の第1線機関である保健所長の指示があったときは、その指示に従って 行わなければいけないということで、公衆衛生活動との調和が書かれております。  第37条で医療行為の禁止ということになっておりますが、保健師、助産師、看護師ま たは准看護師の方は、主治の医師または歯科医師の指示があった場合を除くほか、衛 生上、危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないということで、これが一般的 に医行為の禁止ということです。医師の専門的知識を持って行うのでなければ、公衆 衛生上、危害の生ずるおそれのある行為(医行為)について、してはいけない。ただ し、主治の医師または歯科医師の指示があった場合、通常この指示があって行うとい うことですから、指示があれば行えるということです。ただし、臨時応急の場合、助 産師がへその緒を切り、浣腸を施し、その他助産師の業務に付随する行為をする場合 は、この限りでない、という但し書が付いております。  第38条から第42条は助産師に関する特別な規定で、助産師は正常なお産を取り扱う ということで、異常があると認めたときには医師の診療を求めなければいけないとい うことです。  第39条は応召義務、交付義務ということで、医師並びでそのような義務が課せられて いるということです。  第40条は無診察治療と同じような発想ですが、自ら分娩の介助等をしないで証明書を 出してはならないということです。異常の死産児があった場合には、警察署に届け出 なければならない。それから、助産師には助産録の記載及び保存が義務として課せら れているということです。  第42条の2ですが、秘密保持義務として助産師は既に守秘義務が課せられており、守 秘義務が課せられていなかった保健師、看護師、准看護師について守秘義務を課した ものです。  第4章の2の雑則です。これは手続的な話ですが、保助看に関する事務については国 家試験の部分でも、都道府県知事が関与する部分があります。国家試験の事務で都道 府県が関与するものについては、法定受託事務という事務の区分として、国の関与が 強い類型の事務と整理されております。なお、准看護師の事務については、都道府県 の自治事務にされております。  第42条の4は手続規定ですが、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長ないし地方厚生支 局長に委任できるという規定です。現在この規定は動いておらず権限は委任されてお りませんが、業務としては看護学校の指定等の業務について厚生局に委任をされて、 実際上行っているという現状があります。第5章は罰則規定ということです。以上が 保助看法の概要ということになります。  23頁ですが、いま説明したのは当然現行法で、それがどのような改正経緯を辿ったの かを簡単に振り返っております。昭和23年に保助看法が制定されたということですが、 それより前に保健婦規則、助産婦規則、看護婦規則ということで、規則という形で、 戦前はそれぞれバラバラに規制がなされておりました。ここの文言上明記しておりま せんが、正確に言うと昭和22年になって、保健婦助産婦看護婦令という政令が作られ て、いわば一緒の政令が根拠になったということです。その政令を引き継いで法律化 したものが、昭和23年の保助看法と、こんな簡単な流れです。なお、保助看法が政令 になる前は、実は地方の免許とされておりました。当時の言葉で言うと、地方長官の 資格でした。それが戦後、国家資格になったということです。  昭和23年の保助看法の概要ですが、保健婦、助産婦、看護婦の業務内容自体は、実質 的には従前を踏襲しておりました。この時点で看護婦は甲種、乙種の2種類いること にされておりました。ただ違うのは、甲種は国家試験、乙種が知事試験、知事免許と いうことになっておりました。さらに乙種については業務の制限がかかっており、急 性かつ重症の傷病者、またはじょく婦に対する療養上の世話は、乙種看護婦の方はで きないということで、業務制限がかけられていたというのがこの当時の法律です。そ れが3年後、昭和26年ですが、一部改正が行われて、甲種、乙種看護婦が一本化され て、看護婦という資格になりました。いわば従前の乙種看護婦は准看護婦という仕組 みに衣替えをしたということになります。看護婦は国家試験、准看護婦は知事試験の 知事免許ということです。それが現在に引き続いております。  このときの改正としては、両者の業務に違いをなくしたということです。「指示を受 けた」ということがありましたが、業務自体は看護婦であろうと准看護婦であろうと 変わりがないというところが変更されております。保健婦、助産婦の学校養成所の修 業年限についても、23年には1年間だったのですが、それを純粋化するということで、 6ヶ月に短縮化された改正も行われております。それが今日に引き継がれております。  昭和43年には資格の名称変更があり、「男子である看護人」という名前になっていた ものを、「看護士又は准看護士」ということで位置づけております。もちろん、それ より前も「男子の看護人」という方はいらっしゃったわけですが、それを資格として 「看護士又は准看護士」の名前にしたのが昭和43年です。平成4年には看護婦不足を 背景に、人材確保法ができました。平成5年に、また一部改正が行われて、保健士制 度が作られました。この実質的な意味は、それまで女子に限られていた保健婦の業務 を男子に開放したということです。  平成13年にまた改正が行われて、1つは障害者にかかる欠格事由の見直しということ です。先ほど現行法をご紹介しましたが、それより前は例えば目が不自由であると絶 対的欠格事由ということで、一律に免許をもらえないことになっていたわけですが、 それを個別に判断をして、良いか悪いか見ていこうということに変えたわけです。そ れから、先ほど説明した守秘義務について、それより前は助産婦だけあったのですが、 保健婦、看護婦、准看護婦についても守秘義務が創設された。罰則規定を今日的な価 格に引き上げるなどの整備が行われたというのが平成13年の中身です。同じく平成 13年ですが、男性・女性によって「婦」と「士」に分かれていたものを、男女問わず 「師」という名称に統一したというものです。簡単ですが、保助看法の概況および改 正経緯は以上のとおりです。  なお、業務について、24頁にイメージ図を付けてありますので、改めて簡単に説明し ます。まず二重四角ですが、医行為という概念で考えております。医師の専門的知識 で行うのでなければ、危害が及ぶようなおそれのある行為と解釈されておりますが、 医行為の中の一部の「指示を受けて」ということですが、診療の補助という1つの類 型があるということです。この診療の補助を看護師、准看護師が行う。それから、保 健師、助産師が行うことができるということにされております。下のほうに「療養上 の世話」とありますが、医行為でない療養上の世話についても、看護師、准看護師の 業務独占ということにされております。  診療の補助行為の一部である理学療法、作業療法などを専門的に取り扱う資格として、 各種の医療関係資格が誕生しました。したがって、診療の補助行為の一部を解除する という形で、各資格が誕生したわけです。それらの資格については業務独占であると 同時に、理学療法士でなければ理学療法士と名乗ってはいけないという名称独占も併 せて作られているということで、業務独占かつ名称独占について二重四角にしており、 医師もそうですが、看護師のところは一重四角です。この一重四角は業務独占だけで 名称独占がないということです。  助産師・保健師等ですが、診療の補助とは別の概念として、医行為の中の一部として 助産が位置づけられており、それは医師もできますが、助産師の業務独占とされてい ます。その下の保健指導ですが、「妊婦・じょく婦の母体及び新生児の健康管理とそ れに必要な保健指導」です。要するに、助産師の専門的知識を持って行う必要がある 保健指導については、助産師の業務独占とされております。それ以外の保健指導につ いては、保健師の名称独占ということで、その下に点線で追加しているということで す。  細かいことですが、「臨床検査技師」の横に「衛生検査技師」とありますが、今回法 律改正が通り、臨床検査技師はいわば患者に直接触れたりして検体を取っていくこと を認められた資格で、衛生検査技師は患者から取ってきた検体を検査する。そういう 意味では医行為と位置づけられていないので名称独占とされていたわけですが、衛生 検査技師については廃止をするという方向性が固まったということです。  25頁ですが、看護教育の制度図を改めて簡単にご紹介します。やや複雑かと思われる かもしれませんが、まず看護師になるためにはということです。いちばん基本的な線 が左側で、高等学校卒業をして、3年課程と言われる看護教育を受ける。それによっ て、国家試験を受けて看護師になる。これが典型的な線です。3年課程と言っても、 実際は大学4年あるわけですが、現在3年課程は全部で675校、1学年定員で3万 5,000人余の定員があります。それから、中学校を卒業されて、高等学校3年に高等 学校の専攻科2年を加えた5年間の一貫教育校が66校あります。この66校を出られ た方についても、看護師の国家試験の受験資格が与えられるというのが真ん中の四角 です。その右側は准看護師の資格で、いわゆる2年課程ですが、中学校を卒業してか ら准看護師になる学校に2年間通われて、知事試験を受けて准看護師になる、あるい は高等学校の中に衛生看護科ということで准看護師の勉強をする学校があり、3年間 通われたら受験資格があるということで、知事試験を受けて准看護師になるというこ とです。准看護師になられてから、看護師になるための2年課程の学校に通われて、 それを卒業されると看護師の受験資格が生じるということです。  助産師・保健師については、看護師の教育を修了したということを前提として、それ ぞれ助産師の学校、あるいは保健師の学校、6月以上ですが、現実には6カ月という 学校はなく1年の学校を卒業して、国家試験を受けるということです。なお、これは 第2回目以降、個別には説明しますが、4年制の大学については現実には看護の3年 課程と助産ないし保健の教育課程、両方合わせて教育をすることになっております。 例えば助産師学校養成所は144校、7,514人の1学年定員がありますが、このうち大 学が6,249を占めているという状況です。保健師については、この1万454のうち8,869 が大学であるという状況になっております。  助産の学校の1学年定員は、例えば大学で6,249ということで大変多くなっているの ですが、現実の入学者数はずっと少なく、実質、毎年助産師の養成は1,600〜1,700程 度とご理解いただければと存じます。  教育を受けた方が国家試験を受けるわけですが、26頁にそれぞれの受験者、合格者、 合格率を紹介しています。保健師については、受験者が非常に伸びておりますが、こ れは4年制大学が増えてきたことの現われです。助産師は1,600〜1,700という状況で 安定的に推移しています。また、看護師についても、ほぼ同じような受験者です。合 格率は若干年によって凸凹があり、その凸凹に応じて、前年度合格率が低い場合は翌 年度受験者数が増えるという波が見られます。  次は27頁。試験を受けて合格し、免許を持ち就業するわけですが、就業状況を簡単に ご紹介いたします。看護職員全体でいうと、平成11年113万人余り就業されていまし たが、平成15年で126万8,000人余り。この間でいうと、毎年ほぼ3万人強の増加が 見られます。いちばん多く就業されているのは、平成15年は、病院が80万人余り、 診療所で30万人弱、両方で合わせて相当の部分です。なお、近年介護施設、介護サー ビスの伸びがありますし、訪問介護ステーションも平成11年、平成12年と伸びてお りますが、最近はやや伸び悩んでいる状況が見受けられます。  28〜29頁は各資格別に出したものです。保健師については、総数は平成15年で4万 6,000弱で、多くは市町村で働いておられ、それから保健所が多くなっております。 なお保健所の数が減って市町村が増えておりますが、これは保健所から保健センター への流れが背景にあるものと思われます。助産師については、平成15年で2万6,000 弱の方が就業されておられ、多くが病院、診療所に勤められておりますが、病院の方 が多いです。ただ、診療所に勤められている助産師の方も増えてきている状況にある と思います。なお、助産所については減少傾向という状況です。看護師、准看護師の 就業者ですが、看護師は平成15年で病院に57万3,000人、診療所に11万人というこ とで、病院に勤めている方が非常に多いです。それに比べると、准看護師は、平成15 年ですが、21万人弱と16万人弱ということで診療所の割合が高くなっています。  次は30頁です。これは届出の話とも若干絡みますが、免許を持っていながら現実に看 護業務に就かれていない方、この方を私ども「潜在看護職員」と言っておりますが、 いま一体何人ぐらいいるのかということです。65歳まで働くことを前提にして試算し てみますと、免許を持っている方から就業者の方を引いて、さらに生存率を掛けて推 計しました。結論として、平成14年末現在でおよそ55万人の方が免許を持っていな がら看護業務に就いていないのではないかと推計しています。  医療提供体制の改革のビジョンは先ほど簡単に触れました。参考資料16頁に「厚生労 働大臣医療事故対策緊急アピール」ということで、医療安全対策を最重要の課題とし てこれまで取組をしてきたが、医療事故はなかなかなくならない、国民の皆様からも 大変なお叱りの声、あるいは信頼が大きく揺らいでいるのではないかということであ りまして、大臣から緊急アピールを出しております。これが平成15年12月24日に当 時の坂口大臣から緊急アピールを出しております。16頁のほうにありますが「人」「施 設」「もの」と3つの柱をたて、新たな取組、あるいは、対策の強化を進めるよう強 く指示ということで、現在このことについて更に強力に取り組んでいこうではないか ということです。「人」に関する対策として医師のことが出ておりますが、17頁の(1)、 (2)、(3)というようなことが具体的に挙げられております。  19頁からは「新たな看護のあり方に関する検討会報告書」です。新たな看護というの は、看護師、看護職員が在宅療養を支援、療養生活支援の専門家として、より大きな 役割を果たすことがこれから求められているのではないかという大きな文脈の中で、 今後どのような看護が求められているのかをまとめた報告書です。例えば、具体的な 例として「平成10年9月6日云々」とあり、「静脈注射の実施について、診療の補助 行為の範疇として取り扱うこととすべきである」とされております。診療の補助行為 とは一体何かというと、医師の指示を受ければ看護職員ができる行為を診療の補助行 為と言っているわけです。それでは指示があれば何でもできるのかというと、例えば 手術の執刀ができるのか、全身麻酔ができるのかというと、それはできないだろうと 理解されてきたわけです。静脈注射についても医師の指示があったとしても看護職員 はできないと整理されてきたという中身です。その辺の仕切りは、看護についての教 育の問題、あるいは医療技術の問題、さまざまな世の中の変化に応じて万古不易のも のではなく変わり得るものだ、と議論された結果として、具体的には静脈注射の実施 は診療補助行為として、位置づけ直すべきではないかという結論がここで出されてい るということです。  次は32頁です。これはつい先ごろ閣議決定された「規制改革・民間開放推進に関する 計画」です。医師、医療従事者の質の確保という部分の6でありますが、その(2) で「患者に対し良質で安心できる医療サービスを提供できるよう、高い技術を習得し た専門医の育成を促すほか、より専門性の高い看護師等の育成や」と、「臨床研修等 の教育環境整備等、具体的な措置を講ずる」ということで、閣議決定においても専門 性の高い看護師の育成が課題とされているということです。  33頁は新人の問題です。これはすでに行っている取組ですが新人看護職員について標 準的な、こういうことは当然やってほしい、という到達目標を示すと同時に、その研 修が実りあるものとなるように、どのように研修体制を充実したらいいかという指導 指針を併せて作り、その中身を33頁以下に紹介しております。  36頁以降は「看護職員確保対策等の経緯」です。数だけ申し上げると、現在第6回目 の需給見通しに取り組んでおりますが、その第1回目が昭和49年に「需給計画」を作 り、この当時、昭和53年で50万人弱の看護職員を確保しようという目標でした。そ れは目標どおりある程度達成された後、第二次の計画が立てられたのが昭和54年です。 この時には昭和60年で66万人余を確保しようということです。平成元年になり、平 成6年には93万人余の確保をしようということでどんどん数は増えてきており、その 数に応じて、それなりに実績も出してきたという状況です。そして平成3年になり、 看護婦不足が非常に大きな問題になってきた時期で、平成12年には100万人を超えて 116万人余りの確保をすべきであるという中身でした。現行の見通しは平成12年に作 られ、平成17年までに130万人というレベルです。  したがいまして、昭和60年に66万人確保すべきだという水準からしますと、2倍以 上確保すべきだということで、相当急ピッチで確保しようということで今までも取り 組んできたということですが、依然として現場における不足感が指摘されているとい う状況にもあります。以上、簡単ですが資料のご説明とさせていただきます。 ○山路座長 ご苦労さまでした。多岐にわたる説明でなかなか飲み込むのも大変ですが、 ただいまの説明に対して何かご質問、ご意見があればご自由にお願いいたします。各 論については次回以降で説明が改めてあると思いますが、全体的なこと、これからの 進め方も含めて、何かご意見、ご質問があればお願いいたします。 ○谷野委員 24頁です。私はあるPSWの国家試験委員会のときにこれを何遍見たかわ かりません。名称独占・業務独占の問題で、看護師、准看護師というのは本来業務独 占しかないわけです。それが上にあるような医師の指示に係る業務独占と、医師の指 示の係らない、看護師、准看護師が晴れて行える療養上の世話もいろいろな法的解釈 があって、この議論も十分なされていないように思いますが、業務独占としてやって いるわけです。ここに書いてある保健師だけが名称独占であって、これから議論しよ うとする、この人たちの名称独占というのは何を問題にしようとしておられるのか、 それをお聞きしたいのです。 ○野口看護職員確保対策官 直接的に申し上げれば、例えば理学療法士については、理 学療法士でなければ理学療法士、または、それと紛らわしい名称を使ってはいけない と法律上決められております。それに対して看護師については、例えば私どもが看護 師でなくても、看護師と使っても法律上特に禁止されていない、それが問題ではない かということを論点として指摘されております。すなわち、看護師についても、看護 師でなければ看護師ないし、それと紛らわしい名称を使ってはいけないという規定を 作るべきではないか、ということが論点として挙げられたのではないかと、こちらと しては理解しております。 ○山路座長 おわかりでしょうか。この項目については、改めて説明を受け議論をする 機会が設けられています。ほかにはいかがでしょうか。 ○遠藤委員 同じく24頁です。保助看法の解釈の所で、助産の概念を「分娩開始から出 産後2時間まで」とお話をされたかと思います。そうしますと、ここに係わる(助産)、 これは助産師の業務ですが、実際には妊婦の保健指導だけではなく、いわゆる妊娠の 診断並びに妊娠の経過診断が医行為でありながら、なおかつ助産師の業務だと私は解 釈しております。そうしなければ開業の助産院は成り立っていかないわけです。そう しますと、(助産)と書いてありますが、助産の定義も狭義から広義までいろいろあ るかと思いますが、今日ご説明になった部分の妊婦の診断ないし経過診断に関しては、 どのように捉えているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○岩澤補佐 先ほど分娩開始から分娩終了後2時間までという説明は産婦の説明です。 助産をするため、いわゆる分娩介助をするためにはその前の経過を踏まえて保健指導 をし、そして、妊娠の診断から始まって経過の診断も含めて、助産の一連の行為と解 釈されているかと思います。 ○青木委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、先ほどの助産の定義付けについては、 産婦ですか。何の説明と言われましたか。 ○田村看護課長 産婦です。 ○青木委員 わかりました。ありがとうございました。 ○菊池委員 医療部会の議論との関係です。先ほど辻本委員がおっしゃってくださった ように、医療安全の確保という観点からは、どうしても看護職員の人員配置基準が非 常に重要になってくると思っています。それはこちらの検討会では議論しないで医療 部会で検討するというご説明だったと思います。医療部会の論点整理のメモを先ほど ご説明くださいまして、その中には看護に関することでいくつか論点になっているこ とがあります。その中で、こちらの検討会のほうに入っていない内容については医療 部会本体で議論することになっていると考えてよろしいでしょうか。  例えば、9頁の(6)「看護関係資格の資質の向上等」で、○の最初の所に「看護関係資 格の資質向上や専門性の確保などについて、どのような取組を進めていくか」と入っ ておりますが、この論点はどちらの委員会で検討されるのですか。 ○野口看護職員確保対策官 実は、その辺を網羅的に、必ずしも今の段階でお示しする のは難しいのではないかということで、「その他」という項目でいちばん最初に簡単 にご説明させていただきましたが、それ以外にさまざまなこともあり得るのではない かということで、今後委員の皆様方から、例えばこういう議論もあるのではないかと。 その議論はこの検討会の場で更に検討していただいたらいいのではないかということ があれば、個別にご相談をさせていただき、どうするかということを考えさせていた だければと思います。  専門性の確保の問題についても、その他の議論としてあり得ると私ども当初考えてい たのです。その辺も踏まえて、今後の議論ということで整理したいと考えております。 ○青木委員 検討項目の1番から順番にここで議論が行われるものとして、本日の資料 でよく理解させていただいたつもりですが、追加をして、次回カリキュラムに関する もの、助産師、看護師、保健師と。これは養成所のことだと思いますが、統合カリキ ュラムの内容について。それから、それぞれの国家試験の過去問、1年分でいいと思 います。自分で勉強してこいと言われればそれまでですが、できればそういうもので す。これは1年分で結構です。要するに、どういう内容の試験が行われているのかに ついて、より知りたいということです。 ○山路座長 資料請求ですね。事務局、いかがでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 まさに第2回目が「看護師資格を持たない保健師・助産師 の看護業務について」です。その背景資料として教育の問題等についても資料提供を したいと考えておりましたので、できる限りご用意したいと考えております。 ○山路座長 お願いいたします。 ○金川委員 私はいま看護教育にタッチしている人間ですが、今回医療安全確保の検討 事項の中では、どちらかと言えば教育を受けた方々が、ここでの中心課題かなと思っ たのです。いま医師会の委員からも言われましたが、やはり安全を確保していくため の教育は非常に大事な分野だと私も思っております。そういう意味で、どこまでここ で入り込めるかどうかはわかりませんが、国家試験の受験資格、あるいは、免許を取 るまでの教育はどういうようなシステムで、どうすべきかなということも必要と思い ます。ただ、この検討会が、そこまでやり出すと非常に大変なことになるかと思って います。私としては、そういったことも課題としては入れてほしいと思います。 ○田村看護課長 カリキュラムそのものについては、前回の改定が平成8年ですので、 そろそろ10年経ちますから、今年度カリキュラム改定に向けた検討会を立ち上げる予 定にしております。しかし、現在の課題をご検討いただく際に実際の現行のカリキュ ラムが必要であることは理解できますので、それはご提示したいと思っています。 ○山路座長 ここは、主に再教育ということになっているわけですが、必要な限り多少 議論するのは別に構わないということになるわけですかね。よろしいですか。 ○金川委員 はい、結構です。 ○青木委員 カリキュラムは詳しい内容がほしいのではなくて、現行ではどういう教育 を受けられているのかを、おぼろげながらに分かれば私としてはいいのです。 ○田村看護課長 はい、わかりました。 ○川端委員 次回の検討事項との関係でもあるのですが、要するに、この検討会の目的 が「患者の視点に立って医療安全を確保する観点からも重要な問題であることから、 有識者からなる本検討会を開催し」となっていますので、検討すべき事項は、患者の 視点に立って医療安全を確保する観点からの検討と思っています。そうしますと、例 えば次回の「看護師資格を持たない保健師、助産師の看護業務について」が患者の視 点に立って、医療安全を確保する観点から一体どういう問題が現在起きているのか、 ということが提示されないと。単に法律的な資格の整理だけであれば、患者の視点に 立って医療安全を確保するというのは、あまり関係ないのではないかとしか思えない ので、是非、そういう資料を出していただきたいと思います。 ○山路座長 次回の検討会の中で、是非お願いしたいということですね。 ○川端委員 はい。 ○山路座長 ほかにございますでしょうか。 ○谷野委員 ほかに部会がありますのでそこで論ずればそれまでですが、いまの日本に 看護師が足りているのかどうか、それと密接に関係した議論にならないと。ここで書 いてあるのは、それの議論を抜きにしてというようなことになってしまうと困るので、 その辺はほかの看護職員確保の委員会、部会があるやに聞いておりますので、そこの 認識を絶えず示してもらわないと、言ってみれば再教育とか、業務停止になった人た ちをどうのこうのという以前の問題です。  個人的なことを言えば、単科の精神科病院はほとんど看護師は足りないです。そうい う問題を抜きにして、この問題が各論ばかりの議論でいいのかどうかというようなこ とも含めて、認識を共有してもらうためにも絶えず、ほかの看護職員確保の委員会の 認識をフィードバックしてもらいたいのです。いろいろな資料をここへ出してもらい たいのです。この問題にずっと関わってきて思うのは、いま事務局から言われたよう に看護師の必要数が毎年変わるわけです。一体何をもって足りるとしているのか、厚 労省は一体どう考えているのかよくわからない。看護師が足りているかどうかという 問題は、医師が足りているかどうかという問題と同じことで、いま神学論みたいにな っているわけです。ここでは医師の問題はいいですから、看護師の問題について是非、 委員会の資料を出してほしいと思います。 ○青木委員 いま谷野委員が言われたことはそのとおりだと思います。医療安全の非常 に重要な部分として人員が十分充足されているということは、必要欠くべからざる条 件です。そう私は認識しておりますから、数がどうなのだということは医療安全のい ちばん最初に考えることだと思います。 ○野口看護職員確保対策官 いまご指摘の需給の関係ですが、現行の見通しについては 先ほど簡単にご説明したとおり、平成17年末に130万で需給が均衡する見通しを立て ています。その見通しから見ると、就業者数の増は順調に推移している現状である。 しかしながら、いま委員が言われたとおり、現場での不足感が非常に強くなってきて いる。特に私どもが聞いておりますのは、在院日数の短縮化が、これまで以上に実際 に進んでいるのではなかろうか。そういう意味で、頻繁な入退院に伴う看護業務の密 度が非常に高くなっているのではないか、というご指摘を大変受けるところです。  そういうこともあり平成18年以降5年間の新たな見通しについて、出来る限り現場の 実態を把握した需給見通しを作る方針で臨みたいと考えております。ここにご参加い ただいている委員の先生方もいらっしゃいますが、その委員の先生方からも、そこは くれぐれも考えるべきだというご指摘を受けながら、現在策定方針という形で委員の 皆様のご意見、現場の実態がよく把握できるような意味の策定方針を立て、さらに標 準的な調査表も作り、各都道府県で実際に需給の把握をしていただく、それを積み上 げる作業を今後する段取りになっております。これまで5回この検討会をやっており、 資料自体は全部集めるとかなりの分量になります。もちろん全部でもいいのですが、 いくつか見つくろい、ポイントとなる資料、ないしは今後の進め方なり、策定方針が これまでの検討会の1つの成果ですので、その策定方針なり、中心となる資料をご紹 介したいと考えております。 ○山路座長 では、お願いいたします。それでよろしいでしょうか。ほかにご意見ござ いますでしょうか。 ○平林委員 今日はフリーディスカッションということですので思いつくままを幾つか 申し上げたいと思います。今までの議論にありましたように、この検討会は何を中心 に議論をするのかということを少し、どこかの時点で焦点を定めないと、非常に拡散 する危険性があるだろうと思っております。医療安全の確保を考えたときに、例えば 質的な問題と量的な問題と分析することができると思います。この検討事項を拝見し ていますと、量の問題というより、むしろ看護の質をどうやって維持し、それによっ て医療安全を確保していこうか、ということを考えているのかなと私は勝手に理解を していたわけです。しかしながら、一方で看護業務が今後拡大していく方向性の中で、 拡大すれば量もまた必要になってくるということで、質と量は必ずしも切り離しては 考えられず常に相関しているわけですが、とりあえずは、質の面から医療安全の確保 に向けて保助看法のあり方を考え直していくのかと、この検討会で考えていくべきか なと思っておりました。  それとの関連で幾つか保助看法の改正のご紹介があったわけですが、私の理解によれ ば、現行法の保助看法の中で1つ大きな論点がまだ解決されずに残っているだろうと 思っております。それは42条で、助産録の記載と保存については規定がありますが、 それ以外の看護師等については、記録についての規定が保助看法上何もない。おそら く現実の現場では、看護記録を作っていて、その看護記録をどう作るのかというのが 現場での1つの問題点になっていて、その看護記録の作り方を工夫することにより、 実は、それが医療安全の確保にも寄与するという側面も持っているわけです。少なく とも医療安全の確保を考えたとき記録のあり方についても、やはり議論の俎上に乗せ るべきではないかと思っております。それがもとの部会のほうで、それが議論になっ ていなかったからたまたま乗っていなかったのか、乗っていたが乗っていないのかは わかりませんが、そんなことを考えましたので発言させていただきました。 ○田村看護課長 この件に関しては、部会ではご指摘はありませんでしたが、2年前で したか「医療分野における規制改革に関する検討会」で、看護記録に関する検討が課 題であるというご指摘は受けていますので、ここでご議論をいただくことは必要では ないかと認識しているところです。 ○山路座長 いまの平林委員からのご指摘は非常に重要なご指摘だろうと思います。こ の件については、この検討会の対象とすべきかどうかということについて他の委員の 方々のご意見を聞かせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○青木委員 私は是非、議論の対象にしていただきたいと思います。平林委員に教えて いただければと思うことですが、現在の保助看法は昭和23年に出来上がって、それか らずっときているという時代背景を考えたときに、この法律の性格は3者を平等に見 ているという形ではなく、助産師の権利を保護するという観点がありはしないか、と いう点についていかがでしょうか。 ○平林委員 私が答えるのか当局が答えるのかはよくわかりませんが、制定の過程から 考えますと、先ほども少しご説明がありましたように、もともとGHQの指導の中で 保健師法が議論されていて、それがある日突如空中分解をした。しかしながら保助看 法というか、看護師等を規制する法律を作らなければならないという要請があって、 いわばお蔵に入れていた保助看令を引っ張り出して、急遽徹夜で作ったということが あります。そういうプロセスの中で考えると、どうも保助看をどういう位置づけで統 合していけばいいのかということについて、十分な議論がされていたとは私には思え ないのです。むしろ従前からある保健婦規則、看護婦規則、助産婦規則を保助看令が 大体そのまま引き継いでいるわけで、それをまた引き継いだというのが立法史的に見 ていくと、そのように解釈できるのではないかと思います。  その意味で、今日保助看の関係をどう捉え直していくのかが喫緊の課題だろうと私も 思っております。そのことが最も象徴的に表れてくるのが看護師の資格を持っていな い保健師あるいは助産師が行う看護活動をどう捉えるのか、というところに1つの典 型として表れてきているのではないかと理解をしております。 ○菊池委員 看護記録の検討についての意見です。私も検討事項の1つに加えていただ いたほうがいいと思っております。実際に現場では看護記録は書いております。それ は医療法だけではなく、診療報酬上必要ですので書いています。看護記録を書くこと は、記録の中には計画や実施経過、その後の評価など全部入っていて、ケアの質を確 保をする上で重要な役割を果たしておりますので、医療安全を目的とする検討会の趣 旨に合っていると思いますので、検討事項に加えていただけたらと思っております。 ○辻本委員 同じく看護記録を検討事項に是非加えていただきたいと思います。また、 患者の立場から現状をご報告させていただきたいと思います。私ども電話相談などで 患者さんやご家族から生の声が届いております。2年前の診療情報の提供等に関する ガイドラインのときには看護記録までの開示ということが、およそ患者やご家族は結 び付かなかったのです。ところがこの度の個人情報保護の施行において、どうやら入 院中の状況を記録ということで見ることができるという、さらに進んだ意識の声が届 きはじめているのです。  その中で、ご免なさい、お医者さんがいらっしゃるので後から怒られるかもしれませ んが、お医者さんがお書きになったカルテは、相変わず、電子カルテ以外はカモメが 飛んだりミミズが這っている現状を患者も重々学習しておられます。ところが看護記 録はどうも日本語で書いてあるらしいと、しかも関わりを持った複数のナースたちが、 私をどう捉えていたか、私の病気をどう捉えていたかと。疑いとか不満という視点で はなく、自分の記録ということで手に入れたいと。看護記録だけ個人情報保護の施行 において開示請求はできるのですか、というお話が患者やご家族からよく問い合せを 受けます。もちろん、余程の理由がない限り「可能です」と申し上げます。そのとき に、見るに絶える看護記録でないと。あるいは、安全ということで言えば、むしろナ ースのほうが安全ということからも、ここできちんと、どういうものであるべきかと いうことを、この機会でしっかり議論していただきたいと患者の立場からお願いした いと思います。 ○川端委員 医療過誤事件を患者側で扱っている立場から言うと、医療記録の証拠保全 をしていちばん信用できるのは、現状では看護記録です。なぜかと言うと、これはリ アルタイムに書いて、しかも3交替で次々に看護師が代わりますから、次の人が前の 人の書いたのを見ています。いざ事故が起こったときに内容を適当に書き換えたりし にくい。医師の記録はさまざまな問題が現に起こっておりますが、看護師の記録は、 我々から見ると記載内容の真実性についての証拠価値が高いという現在の位置づけに なるのではないかと思います。 医師が看護師に命じて看護記録を書き換えさせたという事件は現にありますが、それは 大変な軋轢を病院内で起こすので、そういうことがあったというのは必ず後からわか ってしまうという構造になっていることからいっても、この記録は大事です。そのあ り方というのは、患者の安全におそらく直結するだろうと思います。ですから、それ をどういう形で記録すべきかと、その記録の仕方についてどのような法的な規制をす るべきかというようなことを、是非ここで議論していただきたいと思います。 ○金川委員 いろいろな課題が出てくる中で、どこまで焦点を当てて、検討して各論に いくのかなという気がしているのです。例えば、この次は看護師資格を持たない保健 師・助産師の問題が出てくる。そういう中で、やはり保健婦、助産婦、看護婦の統合 の問題は、それぞれ特色をきちんと持っていくべきところもあると思いますし、共通 の部分も非常にあるのではないかと思うのです。従来は、いわゆる積み上げ教育とい う形で看護婦の免許を持つなり、した者が次へという形だったのですが、いい悪いは 別として大学教育、私も関係しているわけですが、大学教育の中で一貫した教育にな った段階の中で、この問題が大きくクローズアップされてきているのかなと思ってお ります。  そういう中で、教育制度というとちょっとオーバーなのですが、そういったようなこ ともここで検討するということでいくのか、あるいは、少し観察というか、それぞれ の委員の考え方を出す段階で、いい会になるのか。その辺どこまで突っ込んでいくの か。記録の問題にしても具体的になれば、どのような記録を書いていくかという非常 に細かい話も出てくるのですが、その辺、ここの委員会の限界と可能性というのです か、どの辺まですればよろしいのでしょうか。 ○山路座長 それは事務局から答えていただくべき筋合いのものなのですが。 ○田村看護課長 最初に申し上げましたように、部会のほうにここでの検討結果をご報 告して、また、そちらでご検討いただくということもあります。基本的にはどのぐら い時間を割いて、たくさん課題がある中で、この12月までに優先順位を付けて議論を していただけることではないかと考えます。特に資格制度の話にまでもっていきます と、私はそのことに焦点を当てた議論をするには時間も短いし、メンバーももっと広 げないといけないのではないかと思いますので、そこまではこの検討会で議論をしな いほうがいいのではないかと思います。委員の皆様のほうで、それはやるべきだとい うことであれば、やぶさかではございません。 ○川端委員 論点の重要な1つに、先ほどから出ている「看護師資格を持たない保健師 及び助産師の看護業務について」があります。これは第31条2項を問題にされている のだと思うのです。元の規定ができた根拠は受験資格で、看護師国家試験に合格して いる者は当然として、それ以外の人も看護師試験の受験資格に該当する文科省令、あ るいは厚生省令の教育を受けて、かつ、プラス要件として保健師になるのに必要な学 科を修めたもの云々というのがあるからいいのだ、ということになっているのだと思 うのです。それを議論するには、一体どのような教育をしていて、例えば単位を与え る際に、どの程度厳しいことをやっているのかというレベルまでいかないと、それが 患者の安全に一体どう関わりがあるのかなというのは、結局わからないのではないか と思うのです。その点はどうなのでしょうか。 ○田村看護課長 そういう観点がおありだろうと、先ほどの青木委員の資料要求は、私 はそう受け止めたところです。次回そうした点をお示ししたいと思っているところで す。 ○谷野委員 ここに看護大学の先生がおいでですが、看護大学は文科省です。厚労省と して文科省管轄の看護大学のカリキュラムを、シラバスをきちんと把握して、それに 対してこの委員会で何か言うことが必要なのかどうか、素朴な疑問が1つあります。  それと養成校をもう少し大事にしないといけないです。これは本論から外れますが、 厚労省の管轄は養成校です。その養成校の教育がどうなっているかという議論はここ で十分すべきだと思います。看護大学まで踏み込むことはできるのですか。 ○田村看護課長 現在のところ、看護大学の指定は文部科学省が行っております。その 指定要件は、保健師助産師看護師学校養成所指定規則という文部科学省と厚生労働省 の共同省令で行っております。ある意味では、同じ基準で学校が指定されている、養 成所が指定されていることになっております。お互いに、ある意味で独立して指定を 行っておりますが、規則を作る際、変更する際には協議をして行ってきているという ことです。 ○川端委員 弁護士になる試験、新しい司法試験の受験資格に法科大学院の修了要件と する制度を作った際に、法科大学院の教育が受験資格を独占させるにふさわしいもの であるかどうかというのは、設置基準で決めて、かつ第三者評価機関の確認を5年ご とに受ける。そこが適格を認定しないと、法科大学院の受験資格を今度は文科省が、 もう一度基準に合致しているかどうかを調べて、最悪の場合は設立認可を取消すとい うところまでの制度を法律で作って、そういうものを確保したわけです。  つまり、この検討会で保健師が要求されている教育、かつ、看護師としての教育も受 けているというレベルがどういうものであるかをきちんと確保する制度を作ろうと思 ったら、そこまで考えなければいけないのではないかという気もするのです。それは 検討に与えられている時間からいっても、明らかに無理かなという感じもするのです。 どの辺までの、ある意味深度をもった検討を我々は要求されているのかお聞きしたい のです。 ○遠藤委員 教育、養成の問題を扱うには、時間もそうですし、我々の専門性というと ころでも、もう少し慎重にやったほうがいいだろうと思います。ただ、先ほど青木委 員がおっしゃいましたところ、つまり看護が非常に複線化で、いろいろな教育で積み 上げの部分や一貫の部分が混在しておりますが、少なくとも、卒業して第一線で働く ときに、逆に求められる能力としては、積み上げだろうと一貫であろうと、保助看法 の養成所指定規則をクリアして出てきているわけですので、そういう意味では、逆に そこで足りないものはディスカッションした上で、要求として出てくるのではないか と思います。現実的に教育そのものをディスカッションするには、ちょっと厳しいと 考えております。  ただ、現実に保健師、助産師、看護師、それぞれカリキュラムが違いますので、この 違いから、逆に業務の独自性も見えてまいりますし、共通性も見えてくるのではない かと理解しております。 ○青木委員 私は今の医療部会の中で保助看法関連で問題のあるところ、そして、でき るだけ早く方向性を出して、できることなら解決をしていくべき事柄がここに羅列さ れていると思います。ですから、ここに羅列されていることについて、できるだけ深 く考えて、討議をして、方向性の出せるものは出す、出せないものは医療部会のよう に検討のしっ放しと。少し言い過ぎかもしれませんが、それもやむを得ないのではな いかと考えます。 ○山路座長 わかりました。そろそろ予定の時間になってきましたが、ほかに何かござ いますか。 ○金川委員 この次の議論はここに挙がっている、看護師資格を持たない云々というこ とですが、その資料の提示はどうなのでしょうか。  先ほど青木委員からも話がありましたが、1つの例として、卒業生が国家試験を受け たと、看護師の国家試験は不合格だったが保健師は合格だった。それで就職は医療機 関に決まっていたと。でも、看護師の国家試験が駄目だから就職を取消すという形の 現実は結構あるのではないかと思うのです。例えば看護師の資格はないが保健師、助 産師として国家試験は受かった、そこで看護業務の問題として実際にはどうなってい るのかという資料が、この次には出るのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 その辺は大変ご関心の深い事柄だろうということで私ども いろいろ当たっています。1つは、保健師の試験を受験する、それから看護師の試験 も受験すると。それで、看護師が落ちて保健師だけ合格したのはどのくらいいるのか という数字は出ます。ただ、その人たちを個別に追跡しないと、その人がどこの病院 に内定があって、それで内定は取り消されたのか、目をつぶって採用してもらったの かというようなことが、個別の話としてはこんな事例があった、あんな事例があった ということで、むしろ先生方の身近な経験をお話しいただくことができるかなと、実 は私も期待していたのですが、それ以外に、何かまとめたものとしてこうなっている という実態は、残念ながら今の時点では把握できないのが事務局の限界です。 ○金川委員 保健師だけが受かって看護師が駄目だったと、でも看護の仕事をしたとき に、医療安全という面に関して問題があったのかなかったのか。その辺のことが論じ られないと。ただ、いいとか悪いとかというわけにはいかないような感じがする。そ の辺が難しいかなと思うのですが。 ○山路座長 いろいろ活発なご意見をいただきましてありがとうございました。いま伺 っていて、やはり時間との闘いということもありますので、どこまで踏み込んでいけ るのかを、日程と時間をにらみ合わせながら、できるだけ内容の濃いまとめにしてい ただければと思っております。  それでは、本日はこれで終了したいと存じます。どうもご苦労さまでございました。 照会先 医政局看護課 課長補佐 岩澤 03-5253-1111(2599)