05/04/28 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成17年4月28日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年4月28日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、 神 谷   齊、   川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、   早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)   岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 山 口 一 成、 吉 田 茂 昭 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)、 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 出席予定の先生方がおそろいになったということでございますので、 ただいまより薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。出席状況でございます けれども、部会委員数16名のうち12名の先生に御出席いただいておりますので、定足 数に達しておりますことを御報告いたします。それでは池田先生、以後の進行をよろし くお願いいたします。 ○池田部会長 委員の先生方には、本当にお暑い中ありがとうございます。本日もよろ しくお願いしたいと思います。本日の審議に入ります前に事務局に人事異動があったと 聞いておりますので、ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○生物系審査部長 4月1日付けで生物系審査部長を拝命いたしました田中でございま す。よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 よろしくお願いいたします。それではまず、事務局の方から配付資料の 確認と資料作成に関与された委員の報告をお願いしたいと思います。 ○事務局 それではまず、資料の確認をさせていただきます。先生方のお手元の一番上 に本日の議事次第を置かせていただきました。そこに資料ナンバーが記載してございま すが、このうち資料1〜5と資料8、9につきましては事前に郵送でお送りさせていた だきました。当日配付資料といたしまして、ただいまの議事次第、座席表、委員名簿の ほかに資料6として新キットの承認についてと、資料7として医薬品優先対面助言品目 の指定についてという資料、資料10といたしまして本日の審議品目の分科会における取 扱いの表でございます。それから資料11として専門委員のリストを配付させていただき ました。  また、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきまして、本日の資料作成に関 与された委員の確認でございますけれども、議題1につきましては守殿先生が関与され ているのですが、本日は御欠席でございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日はお手元の議事次第にありますように審 議事項が1議題、報告事項が6議題、その他事項が2議題ということになっております。 要領よく進めたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは早速議題1ですけれども、総合機構の方から審査の概要を説明していただけ ますでしょうか。 ○機構 議題1、資料1、医薬品フィニバックス点滴用0.25g同皮内反応検査薬の製造 承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  ドリペネムは塩野義製薬株式会社により、腎デヒドロペプチダーゼIに対する安定化、 抗緑膿菌作用を含む幅広い抗菌活性を目標に開発されましたカルバペネム系抗菌薬で す。本邦においては1993年に第I相試験が開始され、計33の臨床試験が実施されてお ります。海外での状況としまして2005年3月現在、本剤が承認されている国はなく、米 国では第III相試験が実施されております。  本剤の専門委員としては、資料11にありますとおり折笠委員、後藤委員ほか奥田委員 奥村委員、斧委員、小西委員、相楽委員、林委員、藤田委員、渡邊委員の10名を指名し、 御意見を賜っております。  本邦において実施された臨床試験として、第II相7試験、第III相10試験を含む計33 試験の成績が提出されております。  第III相では呼吸器感染症、複雑性尿路感染症を対象にメロペネムと比較することを目 的として、二重盲検並行群間比較試験が実施されました。その際の用法・用量は本剤群 は1回250mg、対照薬のメロペネムは1回500mgをそれぞれ1日2回点滴静注とされま した。呼吸器感染症での有効率は本剤群92.7%、メロペネム群90.7%であり、メロペネ ムに対する本剤の非劣性が検証されました。複雑性尿路感染症での有効率は本剤群96.1 %、メロペネム群88.6%であり、同様に非劣性が検証されております。第III相試験とし て上記の比較試験のほか、敗血症、院内肺炎を含め疾患領域ごとに八つの一般臨床試験 が実施されております。  全臨床試験を通じた安全性としまして、835例中有害事象発現率は127例15.2%で、 うち副作用は37例4.4%となり、下痢などの消化器症状が多く認められました。重篤な 有害事象は6例認められ、偽膜性大腸炎の2例以外は本剤との因果関係は否定されてお ります。臨床検査値異常につきましては818例中249例30.4%で認められ、ALT、A ST上昇が多く認められております。  以上の結果を踏まえ、審査報告書の2ページの審査結果にありますように本剤の1回 250mg1日2回は、類薬のメロペネムと有効性、安全性は同程度であると判断しました。 しかし、カルバペネム系に期待される適応、特に緑膿菌などMICが高い菌種に対して は、in vitroシミュレーション結果などから250mg1日2回よりも、250mg1日3回に おいて有効性が更に期待できると考えられておりますが、治験において検討された症例 数が1日2回投与に比べて少数であるため、1日3回投与での有効性、安全性が十分検 証されたとは言い難く、引き続き臨床試験を実施する必要があると考えております。副 作用として特に肝機能検査値異常が懸念されることから、重症・難治性感染症患者に500 mg1日3回投与した際の安全性、また75歳以上の高齢者での安全性について早期に情報 収集が必要と考えております。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当で あると判断しております。原体・製剤とも毒薬・劇薬に該当せず、また生物由来製品、 特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定してお ります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ドリペネムという新しいカルバペネム系の薬 剤で緑膿菌を始めとして広い抗菌力を持つということで臨床試験が行われたわけですけ れども、委員の先生方から御意見、御質問を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 専門委員の方では後藤先生、折笠先生にも入っていただいておりますけれども、後藤先 生、何か御意見ございますか。 ○後藤委員 ドリペネムの専門協議に出席しました。この薬剤は基本的にはメロペネム の250mg2回との非劣性試験を行いまして同等ということですので、基本的な条件に関 してはクリアしていると考えてよろしいと思います。  薬剤の特徴としましてはDHPーIに安定であるということで、単剤で用い得るカルバ ペネムだということがまず第一点ございまして、抗菌スペクトルも実はグラム陽性菌と 陰性菌に対するバランスがとれていて、その中でも特に重症感染症の中でこれから問題 となることが多い緑膿菌に対する抗菌力がほかのカルバペネムに関して1管程度ですけ れども、優れているというin vitroのデータがございます。  臨床試験のときの特徴としましては、抗菌薬の中で恐らくこれまでほとんどなかった と思うのですが、重症の感染症としまして敗血症と院内肺炎を対象として少数例ではあ りますけれども、臨床試験の中にこれを組み込んだということはこれまでの抗菌薬の開 発の中でもかなり画期的なことにはなるかなと考えております。  そうしたことをベースにして専門協議が行われまして、一つは用法・用量の問題が討 議されました。今事務局の方から御説明がございましたように、この薬剤の基本的なタ ーゲットが重症感染症であればPK/PDから考えても1日2回よりも3回の方が有効 であろうということで、更にこの3回に関して市販後も含めて調査を進めるということ で、専門協議の方としては是非その方向でやりたいという意見だったと思います。  有効菌種に関しましてちょっと例数が少ない菌種などもございましたけれども、一例 一例に関してカテーテルが入っているかそれぞれのバックグラウンドを考えれば、現在 ここで記載されているような有効菌種でよろしいであろうということでございました。  三番目としまして今お話ししましたように、この薬剤の最も効率的あるいは有効な使 い方を検索するために市販後にきちんとした臨床試験を組むことによって、この薬剤の 特徴を更に明らかにするべきだろうという結論でございました。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま専門協議でのお話を含めて意見を頂 きましたけれども、委員の先生方、何かそのほかに御意見ございますか。堀内委員、ど うぞ。 ○堀内部会長代理 今の御説明で、主たるターゲットは重症感染症と考えてよろしいで しょうか。と申しますのは、添付文書や最初の審査結果のところにもございますように この投与の仕方が250mg×2回ということですけれども、250mg3回投与についても今 後市販後臨床試験等でもってやっていく必要があるということが書いてあります。  一般的に言いますと、例えば薬価を付ける場合には1日投与量で付けるわけです。そ うしますと、どちらをメインの使い方にするかによって使用量が変わってくると。メロ ペン等との比較が行われるだろうと思いますが、そういう面で今回については投与量も 用法・用量のところを見ますと、1回0.25gを2回又は3回投与するという表現になっ ています。通常ですと0.5gを2回又は3回に分けて投与するという表現が一般的だと 思います。ですからかなり違った表現になっておりまして、迷うところが多いのではな いかと思いますが、その辺の位置づけについてお聞きしたいと思います。 ○池田部会長 その点については何か意見がございましたか。あるいは事務局の方から 説明はございますか。 ○機構 総合機構の方から説明させていただきます。まず、臨床試験では中等症が対象 とされる比較試験が実施されておりますけれども、先ほど後藤先生の方からありました ようにカルバペネム系での耐性菌が使用される対象として重症感染症でのデータが必要 ということで、今回一般臨床試験でやられております。そういうこともあります。位置 づけとしてはそういうことを前提に、用法・用量として今回ドリペネムにつきまして1 回0.25gを1日2回又は3回という形に書かせていただきましたが、メロペネムとの比 較で申し上げますと、資料の同種同効品一覧の4ページの辺りをちょっと御覧いただけ ますでしょうか。これをまず機構の方として考えましたのは、先ほど申し上げましたよ うに、緑膿菌などへの抗菌力を確実に確保したいということで審査報告書の方にもあり ますけれども、1日2回よりも3回の方がいいという検討をしました。その結果、効能 ・効果としまして先ほどメロペネムと比較して、メロペネムは1日0.5〜1gを2〜3 回にという形に書いておりますけれども、ドリペネムの方は今回1回0.25gを1日2〜 3回としましたのは、PK/PDの解析の結果その方法として0.25gを3回投与するの がいいであろうと。メロペネムのような1日量を規定しますと、使用方法としては1回 500mgを2回という読み方も可能となってしまいますけれども、一応当方としてはPK/ PDのデータから250mgを3回というのが好ましいと考えております。以上のようなと ころが根拠になっております。 ○池田部会長 少し分かりづらかったかもしれませんので、ちょっと補足していただけ ますか。 ○新薬審査第一部長 用法・用量の書き方がほかのものと違っているという点について は今申し上げたような説明がございます。つまり1回投与量を1日量を書いて2ないし 3分割と書いてしまうと、2分割のときに異常に高い1回量が投与されてしまうおそれ があります。この薬剤について一つ審査上副作用の発生の中で肝機能検査値異常の発生 率がかなり高いということも考えまして、1回量の上限は0.5gということを明確にす るためにこういう表現をとらせていただいたのが一点です。  位置づけということに関しましては、カルバペネムではメロペネムというお薬が日本 ではよく使われているということで、これと比較した試験の結果は基本的に同等という 成績でございます。メロペネムのよく使われている用法が1日2回というふうに見立て てやっているということがあったものですから、一つはそういう設定もあり得なくはな いと。ただし、本来のカルバペネムの使い方はやはりPK/PDから見て1日3回だろう というところなので、250mgの1日2回とメロペネムの500mg1日2回がこれは一応等 価であると。その点で言うとメロペネムと本薬は臨床的には同じ位置づけというふうに はなります。1回量が半量になっているというところを会社としては薬価とかいろいろ なことを考えて、半量でいかれればその分有利になるということも確かに考えとしては あったようですが、これは薬価算定の方でお考えいただくようなお話ですので、残念な がら我々としては治療上の等価性というところに関して厳正に審査を行うという立場で 評価をいたしました。  ただし本来の使い方はやはり1日3回投与になるだろうということがありましたの で、この部分について一番データがきちんと手当てされるべきという専門協議での御議 論も踏まえまして、資料の中には耳が付いています(11)に市販後の臨床試験計画の骨子 というのを入れてございます。資料が厚くて見づらいのですが、10番目に毒薬・劇薬等 の指定審査資料とある次に水色の耳の(11)が入っています。そこにやろうとしている 250mg×3回の使用経験、安全性を中心としたデータ集積を図る試験の計画も示してご ざいます。これを市販後と申しましたが、できるだけ早く試験を開始してもらうという ことで、この連休明けぐらいには治験届が出てきて試験を即行開始する準備を進めてお ります。この試験によりまして本来の250mg1日3回という使い方の経験が比較的早期 にきちんとした形で集積され、そのデータが医療現場にも提供されることを予定してお ります。この点は従来の医薬品、カルバペネム系のものと基本的には同じという位置づ けではありますが、本来の薬の使い方というのを施行した形でセールスプロモーション も含めて適正使用をきちんと行うということで、企業側とは一応合意ができているとい う状況にございます。概略は以上でございます。 ○堀内部会長代理 基本的には3回と考えていいわけですか。 ○新薬審査第一部長 そうです。 ○池田部会長 ただ臨床試験は主に2回でやったと。ですから「2回又は」という書き 方ですが、3回というものが本来やはり使うべき用量であろうと。その安全性と評価に ついてもう1回市販後試験できちんとやりなさいという指示は出しているということ。 ○新薬審査第一部長 一応本当の重症例がこの薬の本来の働く場所であろうということ なので、後藤先生からも御紹介がありましたけれども、小規模ではありますが、重症感 染症を対象としたこういう試験を初めて日本でやったということ。そこは500mg×3回 という一番高い用量でやってございます。これもできるだけ今後症例数を増やしたいと いうことで、重点的な調査を行うということになっておりまして、そういう展開を考え ております。基本的には250mgの3回と、さらに重い場合は500mgの3回という使い方 でやっていただこうという考えだそうです。 ○池田部会長 そのほか委員の先生方いかがでしょうか。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 用法・用量の2のところは添付の生理食塩水で皮内テストをやりなさいと いうことになっておりますが、厚生労働省の方からも抗生物質は皮内テストをやらずに 使うという指示が出ているはずですけれども、この薬だけはどうしても必要だという理 由があるのでしょうか。 ○池田部会長 機構の方から説明ありますか。 ○機構 皮内反応につきましては昨年9月末に出ておりますけれども、その際に皮内反 応の必要性は日本化学療法学会のガイドラインにもありますように、アレルギー歴のな い不特定多数の人に対しての皮内反応は意味がないということになっております。しか し、別にこの薬剤だけではなくてほかの抗菌薬もそうなのですけれども、薬剤アレルギ ーが疑われる患者さんについてはその薬剤が必要だという場合には皮内反応あるいはプ リックテスト等の必要性がうたわれております。そういうことも含めまして、今回の皮 内反応検査薬の承認は必要であろうと判断しました。 ○神谷委員 そうすると扱いとしてはほかの抗生物質と同じようでいいということです ね。これだけ特別だということではありませんね。 ○池田部会長 土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 その件でございますが、少なくとも皮内反応のあれが必要というのではな くて、あれはプリックテストで本剤を使いなさいということになっていまして、この皮 内反応というものはそもそもロットが違うわけですよね。ですからそういうのは根拠は ないということであったり、それから化学療法学会のホームページには皮内反応液はこ れからなくなりますということがQ&Aにも載っています。ただそういう段階において 新たにやるものに今までと同じものであるときに、これで皮内反応を付けるということ は世の中に対してまた混乱を招く結果になるのではないかという気がするのです。やは り本来やるならば当然ここには今の通常の抗生剤と同じようにアナフィラキシーショッ クを予知するあれはないので以下のことを守りなさいと。救急のときの対策をとってか らやりなさいとかそういうのが書かれていて、なおかつ濃度も違うと。プリックテスト は濃度も違いますし。そういうことから言ったときに、それから本剤を使えというとき と例のそれが変わったときに、私は医薬品の安全性の方の部会で質問をしたときには、 本剤を使うので皮内反応液を使うということはあり得ないという答えを厚生労働省から もらっているのですが。 ○池田部会長 どうでしょうか。機構の方からお願いします。 ○新薬審査第一部長 一応そういう御議論を踏まえた後に承認する最初の注射の抗生剤 ということもございまして、それで審査の過程でもこの皮内反応のための製剤の取扱い をかなり議論いたしました。そのくだりは審査報告の65〜66ページに書かせていただい ております。やはり要らないのではないかというお話は確かにございましたけれども、 一方で今すぐにこれなしでやってくださいということに関しては、企業側からもちょっ とヘジテートするという申出もございます。それから実際にはこの皮内反応をやるため に300μg/mL溶液というものをきちんと作るというのがまたちょっと面倒であるという 話もあるということで、どうしても使いたい方に、あるいは使わざるを得ないようなケ ースのための備えとして、この製剤を用意しておくというところを完全に否定し切るこ ともできないのではないかという結論に今なっております。ただし、皮内反応用の製剤 の添付文書がございますけれども、これはちょっと分かりにくいのですが、組み込んで あるものの中の添付文書案の二つめの方、真ん中のピンクの仕切りの次が皮内反応用検 査薬になっておりますが、こちらの添付文書の使用上の注意の書き方は従来のものと全 然変えております。  これは効能・効果に関連する使用上の注意のところと、上の禁忌のところとの関係も ちょっとあるのですが、基本的にショックの既往歴のある患者さんにはもうこれを使っ てはいけないと。それで、効能・効果に関連する使用上の注意のところに、「フィニバ ックス点滴用0.25gを含め、薬剤過敏症の既往のある患者においては本剤の使用を考慮 すること」と。使いなさいと言っているわけではなくて、考慮していただいて必要ない という者は使わない。ただそのときの考慮のよりどころはここに(1)と書いてあります が、化学療法学会のガイドラインというものを参照する格好にしてございます。今の段 階で一気にやらないというところまで持っていくのに対して、一方でヘジテートするよ うな向きもございまして、そういうちょっと過渡的な時期に対して一応この製剤は用意 はしてあるという判断を今しているということでございます。どうしてもこれは要らな いという決断をするというのであれば、これは別に私どもはやぶさかではございません が、現実の問題としてちょっとこういった製剤の存在もまだ必要ではないかというよう なニュアンスがありまして、今こういう状態になっています。 ○池田部会長 土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 もしそうだとするのでしたら、もちろん網羅的なことをやるな、勝手に使 うなということは、少なくともそうだったらとしたら警告とかそういうことをきちんと 書くべきで、これだけで今おっしゃったようなことを読み取るということは通常の場合 にはほとんどできない話だと思うのです。特に去年の8月の改訂の指示から1年前に化 学療法学会がことをやられたわけで、それを見て本当にこの1年間どうするのかという ことでかなり医療機関などで議論になって、それでこれがまた新薬に普通に出てきたら あれという話になりかねないです。もちろんプラスだったときの効用などがあるから全 否定するものではないし、それからまた一方で皮内反応をなくすことは今後の事故例を 増やすぞというようなことをおっしゃる方もいらっしゃるわけですから、それは分かり ます。ただ少なくともああいうことで添付文書を変えたというのだったら、そのことが これから読み取れるようにそこは警告なり何とかで網羅的にやるものではないですよと いうことをはっきり書かないと。これはやはりああいうように180度方針を、なお皮内 反応テストをすることが望ましいと書いてあったのを消して、予知する方法はないのだ からというように変えたという、それによってこれは普通の方の添付文書を見ればそう なっているわけです。ですから今の通常の変更後の添付文書とある意味では一緒になっ ていて、そうしたところでそれからこの皮内反応がついてきてありますよという話と読 み取るのはなかなか難しいのではないかという気がするのです。 ○池田部会長 どうでしょうか。委員の先生方、そのほか何か御意見ございますか。確 かにこれは一般的には皮内反応は必要ないと理解していた方たちもいらっしゃると私も 理解したと思うのです。しかし実際に化学療法学会のガイドラインを見ると、アレルギ ーの既往のある人とない人ということで分けて記載されていることは確かなのです。で すからその辺のところも含めて、どういうふうに書いていくかということだろうと思い ます。 ○土屋委員 それとやはり本当にやるときには本体を使いなさいと言っているわけです よね。そこまで踏み込んでいるわけですから、そもそもロットが違うとかそういうこと からいうと、本剤と皮内反応テストとは一緒のものではないということがはっきり分か っているわけです。それが皮内反応テストの問題点としては実際はあるわけで、その辺 を考えたときにどうするのかということはやはりきちんと考えておかないといけないの ではないかなと思います。 ○堀内部会長代理 医療現場でもやはりこれはかなり議論をして、それでやらないと。 やはりやりたいとかいろいろなことがあったのですけれども、やらないということでも し何か起こったらそれに対応できるような体制をとるとか、除細動器が多いようなとこ ろに設置するとかということまで含めてそのための対策をとっているわけです。ですか ら、そこのところでまたこういう形で出てくるというのが極めてあいまいな感じになっ てしまうというのは今土屋委員から話があったとおりなので、私自身はこれは要らない だろうと。やるのだったら原液を使えばいいというように思います。 ○池田部会長 どうでしょうか。機構の方は何か考え方がございますか。あるいは審査 課の方からございますか。 ○審査管理課長 いろいろ御指摘を頂いておりますけれども、先ほど森部長の方からも 説明がございましたようにちょっと過渡期ということでございまして、どちらなのだと いうことになりますと、確かにアレルギー歴のある患者さんにとってはその有用性を完 全に否定し切れていないというところがございます。私も詳細を余り承知しているわけ ではございませんけれども、かなりこの皮内反応用の流通量というのは相当減ってきて いると。逆に言うとそれが化学療法学会の方からもいろいろな申入れとか指摘の根拠に なったと思いますけれども、従来は皮内反応さえしていれば注意義務を尽くしていると いうことで、そこで問題がなければ本体を実際に打ってしまってそこでいろいろ事故が 起こってしまったというところもあって、こういう形で来ていると思います。  現在、過去に承認したものにつきましても皮内反応検査薬が従来よりはるかに量的に 出るものは減っているというふうには聞いておりますけれども、まだ全くなくなってい るというわけではございません。そういう意味では過渡期にあるということと、それか らそういう手当てがなされてからは初めて承認されるものということで、このものにつ いてはこういう形になってしまっているということで御理解いただければということで ございます。 ○池田部会長 確かに添付文書の案の3ページの「2.重要な基本的な注意」というとこ ろの、「本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法 がないので、次の措置をとること」というこの(1)〜(3)まで、これが恐らく土屋委員 がおっしゃっていたように皆様の感覚と現場の感覚が少し違うと。もしそうであれば過 渡期であるということの趣旨が少し分かりやすいような格好で説明ができないかと。仮 にそうすればどうでしょうか。土屋委員、何か御意見ございますか。 ○土屋委員 我々が議論した中では、今後もし皮内反応テストをやって何かの問題が起 きたときには逆に責任を問われることだってあるだろうと。結局今までは要するに直後 の観察をきちんとやるかどうかというときに、マイナスであるとどうしてもそれが怠り がちだという心理的なものがあったというのは現実だと思うのです。今はとにかくこち らによってそれは縛られているわけです。  ただやはり先ほどから申し上げているように本来やるときには本剤を使うべきである とか、それから私が部会で聞いたときも経済的なことはともかくとして、そんなことは 専門家が判断するのだから専門家が判断するとき、要するに通常ショックとかそういう ことが予想されるときには専門家のところに行くのだと。そこでやるときにこれは本剤 を使うに決まっているのだと。したがって、私が部会で質問したときにはそういうこと で皮内反応テストを使うということはあり得ないという答えを一方で電話で後から聞い ているのです。ですからそこまで言い切られるのだと思って了解をしていたのですが、 ただ先ほどの話から行くと、アレルギーがある場合…、それは今でも一緒ですよね。ア レルギーがある場合でもそういうときには専門医に見せて、専門医がどう判断するか。 それでプリックテストをやるときにはその濃さは全然違うと。そしてしかもそのときに は本剤を使いなさいというのが化学療法学会の指針なのですから、そういうことを考え たときにやるのだったら本剤を使えばいいわけで、これを使わなくてはいけない、これ を使うということは安易にやれる方法ですよね。それをやって果たしていいのかという 問題は残ると思うのです。ですから今まで既存のものがあったのがどう着陸していくか という話と、新たなものにきちんとまたこれを付けてしまうことの危険性というか、そ ういうことを比較考慮しないと危ないのではないかなという気がするのです。 ○新薬審査第一部長 一点だけちょっと、先生がおっしゃることは大変そのとおりだと 思っているのですが、皮内反応用のこの製剤につきましては基本的に一般的に流通させ るというものではなくて、どうしてもこういう製剤を、つまり実体の本体の製剤を使っ て陽性になってしまったときに結局その製剤は無駄になってしまいます。ですからその 費用の負担の問題とかそういったことがあって、どうしても皮内反応用の製剤が欲しい、 あるいは夜間とかそういった事態で薬液の調剤を正確にやらないと正確な判定が出ない という問題などもあって、そういった実務的な面から皮内反応製剤をどうしても欲しい と言ってくる医療機関がいたときのために…。 ○土屋委員 それは分かった上で、ですから私は経済的負担もあるから本当にこれを本 剤でやるということなのかということを質問したのです。そうしたらもうそこまで言っ てまでも、そもそもそんなことをやってまでも使わなくてはいけないという判断をする ときには経済の話ではなくて、もうそれは本体を使うのが当たり前なのだというような お答えが返ってきたので、そこまでの決意なのだということを思ったわけでございます。 使いたいとかそれがあったら便利という話は重々分かった上で、ただしそういうことが 返ってきたときに、なるほど、では今回の改定というのはそこまでのものなのだなとい うことをやったわけで、私はむしろそのことは主張としては申し上げたのですけれども、 そこへ来たときに専門家だったらそもそも普通で危なかったら使わないのが当たり前だ と。このテストをやるということ自体が既に、もうこれしかない、本当にどうかという ぎりぎりの選択をしているときに本剤を使ってやるということはもう当たり前で、経済 的なことは関係ないというのがむしろそのときの厚生労働省側からの答えだったので、 その辺がぶれているのかなというのがちょっとあるものですから。 ○事務局 安全対策課です。当初の土屋先生の御質問の回答の中で、一番大事なのはア レルギー症状のある患者さんに使う場合は、まず一元的には本剤、同じ薬を替えていた だくというのが一義的にあって、どうしてもこのものを使わなくてはいけない場合とい うのは非常に限られてくると。そういう場合には皮内反応をするということで、基本的 にはほかの薬剤を使うというのが第一次選択になろうかと思います。そういう意味でど うしても使わなくてはいけないというのは非常にレアケースですので、その場合には本 剤を使うというのが化学療法学会のガイドラインの趣旨はそれですというような御説明 をしたと記憶しております。 ○土屋委員 ということはこれが要るのですかということになるのではないでしょう か。○池田部会長 後藤先生、化学療法学会ではこういうガイドラインがあって出てい るわけですけれども、それについて何か御意見ございますか。 ○後藤委員 この点は専門協議でも問題になったところです。それで実際問題としては、 今土屋先生がおっしゃったような方向だというふうに考えて、一応専門協議でもそのよ うな意見が出ました。ただ現在の医療現場の実情は今お話があったような状況が100% まだないという状態にはなっていない中でその薬剤をどういうふうに取り扱うかという ことに関して、その結論は一応化学療法学会としては現在このような考え方のものが出 ていまして、それをまずきちんと明記してその上でこの必要なケースに関してはこの薬 剤も使うという形であればということで、こういうものを専門協議ではどうかというこ とになりました。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な問題だと思うのですけれども、 方法としてはやはり皮内反応その他をやらないで、むしろそのアナフィラキシーの既往 歴、ショック歴をしっかり尋ねる、あるいは何か起こったときの処置をしっかりすると いうところをやはりきちんと生かすと。そしてまた、化学療法学会等でそういう議論が あったということも踏まえて、少し添付文書に盛り込むようなことはできますでしょう か。 ○新薬審査第一部長 それは全く問題ないと思います。 ○池田部会長 今土屋委員が言われたことも踏まえて、少しここの文章を書き改めてい ただくというようなことで、企業側と相談していただけますでしょうか。安全対策課の 方はそれも含めてよろしいですか。 ○安全対策課長 正確に書いていただく方がいいと思います。 ○池田部会長 それではそこのところを…。確かに土屋委員が最初におっしゃったのは 非常に分かりにくいですよね。今までの議論とどうなっているのだというそこの整合性 がとれないということも含めて、ここの文章を少し直させていただくということで進め たいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 ○土屋委員 特にもしやるのでしたら、皮内反応検査薬の方の添付文書に警告をきちん としておくといいますか、安易にやるのではないよということをはっきり書いておく必 要は少なくともあるだろうと思います。 ○新薬審査第一部長 一番よく見るのはむしろ本体の方だと思っているのですけれども …。 ○土屋委員 もちろん、もともとも見られないということはよく分かった上で言ってい ます。ただし本体の方を換えると、結局ほかの薬のところにもいろいろ影響するのかな という気はします。 ○新薬審査第一部長 それがあるのですが、ただこういった話になってから最初に出る ものなので、既存のものに余りとらわれずにちょっと書かせていただくということかと 思いました。 ○土屋委員 それが可能であるならばその方がいいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではよろしいでしょうか。非常に重要な 問題を御議論いただきましてありがとうございました。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 時間があれで申し訳ないのですが、この調整と溶液にした場合の安 定性、例えば添付文書の6ページのところに「調整方法」、「調整時」というのがある と思います。これを見ますと、「やむを得ず保存を必要とする場合でも日局生理食塩液 に溶解した場合、室温保存では8時間以内に、冷蔵庫保存では24時間以内に使用するこ と」となっております。これは例えば冷蔵庫保存の場合に、生食ですと24時間でまだ 90数%残っている、そこまでしかやっていないということだと思うのです。  それから室温保存の場合は8時間までは96〜97%残っていて、24時間になると下がっ てくるというのが後ろの方のデータにあると思うのですけれども、「〜以内に使用する こと」という表現になっているのですが、ここまでは何%残っているというような客観 的な表現にすべきではないかということ。前にもこの調整済みの溶液の安定性について は落ちてくるところまできちんと見るべきであると。要するに効果が落ちてくるところ まできちんと見て、それを表現していただきたいということをお願いしたことがありま すけれども、できればここへ出てくる前に是非そういうデータを出していただきたいと 思います。  それから違うものとの混合、これは生理食塩水に溶解するということになっています けれども、違う溶液に溶解する可能性は幾らでもあると思うのです。今ここにあります メロペンの添付文書を見ますと、取扱いの注意というところに、例えばソリターとかフ ィジオゾールだとかヴィーンだとかいろいろな輸液に溶かした場合に90%以上の残存 率かを示した時間というのが一覧表になって出ています。かなり似た構造だったと思う のですけれども、この場合には問題にならないのです。アミノフリードに溶かすと1時 間で劣化するというのが後ろの方のデータに出ておりますけれども、違うものについて はどうなのでしょうか。実際上医療現場で使う場合には、アミノフリードのように1時 間で効果が落ちてくるということになりますと、実際に投与しているはずなのが全然有 効濃度に達していないということになり得るので、きちんと書いていただいた方がいい のではないかと。そのデータはドリペネムの場合はやっていないのですけれども、でき ればその辺をチェックしていただきたいです。 ○池田部会長 機構はどうですか。 ○新薬審査第一部長 御指摘の点につきましては、こういった薬剤を出すときに混合す る薬液が多種類ありますので、それを全部調べて順次現場にきちんと網羅的なデータを 付けて提供するというのを一般的には指導しております。添付文書の中に入れられるも のがごく一部しかないという状態がいいのか、むしろ現場の薬剤部に詳しい分析データ を付けて、データシートとして御提供するという格好がいいのかというのは両方組み合 わせて今やっているところでございます。ですから御指摘の点は大変ごもっともな話と して、企業に対して早急にそういう情報提供を行うようにということで、もう一遍入念 に指導しておきたいと考えます。 ○堀内部会長代理 これは薬剤部だけの問題ではなくて、現在は看護師が各病棟で混合 していることが幾らでもあるわけなので、添付文書でやるべきであると思います。メロ ペンではやっていて、メーカーでもメロペンは当然比較して見ているのだと思うのです。 そこのところが全然入っていないということはやはりまずいのではないかと思うので す。 ○池田部会長 ではそれをそのように指導していただきたいと思います。そのほかいか がでしょうか。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 カルバペネムとしても既に四つあるわけです。その中でまたカルバペネム が出てきて類薬として比較したものと非劣勢であると。私はそれでいいのかという疑問 があるのですが、有効性などが優れているとか、あるいは副作用が少ないとかというこ とで何らかの有用性が備わらないと、類薬としてこうやって抗生物質が幾つも出てくる ことに対してどこで歯止めをかけるのかなということをちょっと危惧するものですか ら。この審査の結果を読んでもそういうところがちょっと読み取れない。非常にあいま いな表現で終わっているような気がいたしました。それについて機構の考え方、方針は どうなっているのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 審査の過程でもこうした薬剤が非劣性で評価をしているというこ とだけでは、薬剤としての特徴というものが見えないだろうということで、これはもう 十年来ずっとそういうお話をその際その際で繰り返してやっているところでございま す。  今回の審査におきましても、本剤が他の類薬と比べどのような特徴があるかというこ とに関しては、申請企業に何度も照会をし、それについての検討をしてまいりました。 まず一つ量的な問題からしますとメロペネムが500mg×2回に対して、本剤は250mg× 2回で一応同等であるという格好になっているという…、非活性は強いと。ただしそれ は用法・用量が半分になるだけで、だから何だという話になってしまいますので、そこ を特に特徴と言うわけにはいかない。そうすると残りは基本的に抗菌スペクトルの中で 凸凹勝った負けたみたいな話を細々とするわけですが、これは幾らやっても明確にこち らがいいとかあちらがいいとかという話にはなかなかなりません。そういう点では確か に先生が御指摘のように、なかなか明確にこの薬剤が既存のものに比べてここがいいと 認定することにはならなかったということはございます。ただこうした薬剤を次から次 へと無定型に認めるのかということに関しては、我々も確かに問題意識がございます。  日本においても海外においても近年こういう抗菌薬の開発が極めて低調になっており まして、新しい薬剤はなかなか登場しません。今後この薬剤系統のもので続いて出てく るものはまずほとんどありません。そういう状況にもなっているということも考えます と、あながち同じようなものがもう既に幾つもあるから要らないというふうにもなかな か断定的にはし難いという実情がございます。  今回のこの薬につきましては、むしろカルバペネムとしての本来の使い方をきちんと データを作り、そのデータに基づいた適正使用の情報提供をきちんとやっていくという、 むしろ売り方というか情報提供の在り方に関して、企業としての明確なコンセプトを示 すことを議論の中を通じて企業もはっきりさせてきたと。それから重症感染症に対して きちんとデータの集積をしていくという育て方の問題に関して特徴が出てきているとい う点は、我々としては評価しているところでございます。その点は審査の中でのトピッ クスとして御紹介させていただいたつもりでございます。 ○池田部会長 上原委員、よろしいですか。 ○上原委員 その中で市販後の臨床結果をやはり早く臨床の現場にフィードバックして いただきたいと思うのですが、これですと2年間結論が出ないという理解でよろしいで すか。そうではないのですか。 ○新薬審査第一部長 一応これにつきましては、試験の開始から毎月毎月登録状況等を こちらに報告してもらうこと。それから副作用の発生状況が当面の懸念事項ですが、こ れにつきましては3か月以降ある程度まとまったデータになってきますので、それをフ ィードバックするというプランで進めてございます。2年たたないと何も出てこないと いうのでは間に合わないので、そこはもっとアップデートをしていくという考え方でや っております。 ○池田部会長 市販後調査は是非早くデータをフィードバックしていただくということ でお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。そのほか委員の先生方、御意見 ございますか。よろしいでしょうか。 ○堀内部会長代理 もう一つ、添付文書を私はメロペンと比較して読んでいるのですが、 例えば重要な基本的注意、カルバペネム系というのはやはり少なくとも我々の病院です と耐性菌を防ぐというような意味も含めて、かなりセレクションを掛けた使い方をする ということをやっているわけです。それで重要な基本的注意のところの最初の(1)、(2) というので同じような内容が出ているのですけれども、その後にどのくらいの期間、例 えば本剤投与前に感受性の確認を行えなかった場合、本剤投与開始後3日を目安として 本剤に対する感受性を確認して判断するとか、7日以上にわたって本剤を投与する場合 にはその理由を常時明確にして投与するとかいろいろなことが書いてあります。それは この場合には完全に除かれているわけなのです。ですからできるだけ短期間使うべきだ というようなことについても、やはりきちんと添付文書に記載する。ですから添付文書 全体としてもう一回見直していただきたいと思います。 ○池田部会長 機構の方で何かございますか。 ○新薬審査第一部長 御趣旨に関しては特に異存はございません。ただメロペネムにこ のような記載がされたのには実は経緯がございまして、審査をしたのが今から10年近く 前になるのですけれども、当時の抗菌薬で同時に審査中だったものが三つほどあるので すが、これはみんな比較対照薬との非劣性が言えていないと。データ上クリアでないと ころがあって、そういう中でこの薬を使っていくのはかなり限定的にやるべきだという ような御議論がございました。それもあって実を言うとこれは抗菌薬を使う場合の全く の原則そのものでございまして、それをあえて明示的に書くようなことになったという、 かなりの経緯があったというものでございます。むしろきちんとした試験の結果問題は ないというものに対して、そうであればこのようなことは書かなくてよかったという昔 の経緯でございますので、それだからどうだというわけではございません。今先生が御 指摘になったできるだけ最小限の期間で判断して使っていくべきものであるというこ と、については、何らかの工夫をさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 どうぞ、何か付け加えることはありますか。 ○機構 追加で補足させていただきますと、本剤につきましては効能・効果として感染 性心内膜炎とか一般的に抗菌療法として2週間遅れて投与されている例もあるというこ ともありまして、今お話がありましたように疾患ごとにしっかりとした最小限といいま すか、そういう観点と感染性心内膜炎のように一般的に2週間を超えて使われる可能性 もあるということを検討していただきたいと思います。 ○機構 補足させていただきますと、堀内委員の御指摘の点につきましては現行の添付 文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」、より上位の方で「4.本剤の使用に際し ては、投与開始後3日を目安として」という内容を記載させていただいており、メロペ ネムより直近のオメガシンと同様な記載ぶりにさせていただいております。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではそのほかはよろしいでしょうか。先 ほど来委員の先生方から出ていらっしゃる意見も参考にして、添付文書を少しいじって いただきたいと思います。それではよろしいでしょうか。もしよろしければ承認を可と して薬事分科会に報告とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは審議事項は今日は1件でございますけれども、次に報告事項に移りたいと思 いますので事務局から報告事項をお願いしたいと思います。 ○機構 まずは議題1、医薬品ナベルビン注10、同40の輸入承認事項一部変更承認に ついて報告いたします。資料2を御覧ください。本剤は酒石酸ビノレルビンを有効成分 とするビンカアルカロイド系の抗悪性腫瘍剤であり、既に我が国で非小細胞肺癌の効能 ・効果で承認されているものでございます。今般協和発酵工業株式会社より乳癌の効能 ・効果の追加のための輸入承認事項一部変更承認申請がなされたものでございます。総 合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したものでございます。 効能・効果については最終的には手術不能又は再発乳癌ということとなっております。  続きまして資料3を御覧ください。議題2といたしまして、医薬品タキソール注の輸 入承認事項一部変更承認申請についてでございます。本剤はパクリタキセルを有効成分 とするタキサン系の抗悪性腫瘍薬であり、既に我が国では卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、 胃癌の効能・効果で承認されております。今般ブリストル製薬有限会社から、子宮体癌 の効能・効果の追加のための輸入承認事項一部変更承認申請がなされたものでございま す。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したものでござ います。  続きまして議題3、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料4-1の エスカゾール錠と資料4-2のアレディア、アレディア注15mg、アレディア注30mgの二 つの医薬品再審査確認等結果通知書等になります。これらの品目につきましては、市販 後の使用成績調査・特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われまして、それぞれ 審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2項各号の承認拒否事由のいずれ にも該当しないこと、それぞれ1枚目にありますが、すなわち効能・効果、用法・用量 等の承認事項については変更の必要はないという「カテゴリー1」と判定したものであ ります。 ○事務局 続きまして議題4、希少疾病用医薬品の取消しにつきまして御報告させてい ただきます。資料5でございます。1枚おめくりいただきますと、今回指定を取り消す 品目がございます。名称が抗TA226ヒトモノクローナル抗体、対象疾病が神経膠腫、申 請者が日本薬品開発株式会社ということでございまして、本剤は平成8年4月に希少疾 病用医薬品としての指定をさせていただきました。もう1枚おめくりいただきますと、 経緯が簡単に書いてございますが、その後平成13年11月に承認申請がなされたのです けれども、審査の途中でGCP上の問題もございまして、さらにこの会社の社長さんが お亡くなりになって会社の民事再生手続が始まったという事態が重なり、会社としては この品目の開発を中止するという判断がなされまして、今回の指定取消しに至ったとい う次第でございます。 ○機構 それでは機構の方から、引き続きまして新キット製剤についてということで御 説明いたします。資料6でございます。平成16年度に新たにキット製剤として承認され た品目でございますが、5件ございます。まず有効成分オクトコグ アルファ(遺伝子組 換え)ということでございますが、こちらの方につきましては現行このように二つのアン プルとして販売されております。そちらをこのような両頭針を用いまして溶液の調整を 行って、さらにシリンジを用いて投与するという複雑な取扱いになっているわけでござ います。今回開発されたものをお二方の先生の間に一つ配付させていただいております が、まだこちらの方が販売の予定が立っていないということでございまして、正式な表 示がされていないものでございますけれども、このような形にバイアルの方に直接この 器具を装着したものでございます。要は針を使わないような形でこの溶液の調整が行え るというものでございます。細菌汚染の危険性及び針刺し事故の軽減も期待できるとさ れているものでございます。  もう一つでございますけれども、マキシピーム点滴静注用バッグ1gということでご ざいまして、有効成分が塩酸セフィピムでございます。ダブルバック製剤でございまし て、こちらの方はこの使用書のようなものが書いてございますが、現在バイアル製剤の みでございますけれども、このように用いることによりまして溶液の調整等が簡易にで きるというものでございます。以上、説明を終わらせていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。もう一つお願いします。 ○事務局 議題6、報告事項の最後でございますが、優先対面助言品目指定の審査結果 につきまして御報告を申し上げます。本日先生方の机の上にまとめてホチキスでとめて おりますが、資料7-1〜7-3という三つの資料をお配りしております。  まず優先対面助言の品目指定制度でございますが、薬事法の第14条第5項で規定いた しますその他の医療上特に必要性が高いと認められるものに該当することが期待される 治験薬につきまして、その開発の迅速化を図ろうということからほかの品目に優先して 対面助言、いわゆる治験相談を行うものでございまして、昨年の4月から制度が開始さ れたものでございます。なお治験相談につきましては、それよりも前に平成9年4月か ら旧医薬品機構の独自事業として、医薬品開発者の求めに応じて有料で治験計画等につ いて指導、助言を行っているものでございます。  まず優先対面助言品目の選定の考え方でございますが、これは優先審査品目の選定の 考え方に準ずるとされております。具体的には、原則といたしまして後期第II相試験ま での結果に基づき適応疾患の重篤性、それから医療上の有用性を総合的に評価すること により選定をすることになっております。優先対面助言品目に指定されますと、治験相 談を優先的に取り扱うことになっております。なおオーファンに指定されているものに つきましては、本制度で指定されなくても治験相談を優先的に取り扱うということにな っております。  それで本年の2月の医薬品第二部会以降でございますが、当部会関連品目といたしま して、今日お配りしました資料7-1〜7-3にお示しいたします3品目について優先対面助 言品目の指定申請がございました。指定申請順に3品目の概要及び審査結果について御 報告を申し上げます。  まず資料7-1でございますが、□□□□□□□□□□□□□□□ということで、この ような成分を有効成分としまして□□□□□□□□□□より□□□□□□□□□□□□ □□を予定効能として指定申請があったものでございます。本剤は□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□でございまして、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□に対し て効果が期待できるとされております。なお本剤は□□□□によりまして□□□という 商品名で□□□□□□□□□□□□「□□□□□□□□□□□□□□」の適応症で、□ □□□□□□□□□□□「□□□□□□□□□□□□□□」の適応症で承認されており ます。機構は外部の専門家の意見を聴取した上で本剤の適応疾患でございます□□□□ □□□□□□□□□□については、まず生命に重大な影響のある疾患、致死的な疾患に 該当すると判断いたしました。また当該疾患に対します本剤の医療上の優先につきまし ては優先対面助言品目指定申請資料から判断いたしまして、既存の治療法に比べてより 高い有用性が期待されると判断いたしました。なお本剤の安全性でございますが、□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□、十分な注意を要するものの適切な対策が講じられる場合にはその 忍容性は既存の薬剤に比較して特段に劣るものではないと判断しております。以上を踏 まえまして、本剤の□□□□□□□□□□□□□□につきまして優先対面助言品目に指 定し、その旨を指定申請者に通知したところでございます。  二点目の資料7-2でございます。□□□□□□□□□でございます。本剤は□□□□ □□水和物を有効成分としまして、□□□□□□□□□□□□□□□より□□□□□□ を予定効能として指定申請のあったものでございます。本剤は□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□でございまして、□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□とされ ております。本剤につきましては、□□□□□□□□□□□「□□□□□□」の適応症 で承認をされておりますが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□でございます。機 構は外部の専門家からの意見を聴取した上で、本剤の適応疾患であります□□□□□□ につきましては生命に重大な影響のある疾患、致死的な疾患に該当すると判断しており ます。それから当該疾患に対します本剤の医療上の優先につきましては、申請資料から 判断しまして既存の治療法に比較してより高い有用性が期待されると判断いたしまし た。以上を踏まえまして、□□□□□□□□□□□□□につきまして優先対面助言品目 に指定し、その旨を指定申請者に通知したところでございます。  最後に三点目でございますが、資料7-3でございます。□□□□□でございまして、 これは□□□□□を有効成分として□□□□□□□□より□□□□□□□□□□□□□ □を予定効能として申請があったものでございます。本剤は□□□□□□□□□、□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□ □□□□□□□□□□□□□(□□□□□□□□)がございます。本剤は□□□の商品名 で□□□□□□□□□□□□「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□」□□□で承認がされております。なお、□□□□□□□□□□□ □□でございます。機構では外部の専門家からの意見を聴取した上で、本剤の適応疾患 である□□□□□□□□□□□□□□につきましては生命に重大な影響のある疾患であ ること、それから当該疾病に対する本剤の医療上の優先については申請資料から判断し まして、既存の治療法に比較してより高い有用性が期待されると判断したものでござい ます。以上を踏まえまして、本剤の手術不能又は再発非小細胞肺癌につきまして優先対 面助言品目に指定し、その旨を指定申請者に通知したところでございます。なお、今回 の3品目の指定によりまして優先対面助言品目は合計で8品目になりました。今後も幾 つか申請がございますので、審査の結果終わり次第、また当部会の方に御報告を申し上 げます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。報告事項は幾つかございますけれども、ナベ ルビン、タキソールという抗がん剤の輸入承認事項の一部変更承認です。それから再審 査結果が2品目、そして希少疾病用医薬品の指定の取消し、それからキットの承認が二 つ。そして最後に□□□□□□□□□□□□□□□□□とそれから□□□□□□におけ る□□□□□□、そして新しい□□□□□□□□□□□□□□□、これらの優先対面助 言品目指定の審査結果を報告いただきましたけれども、委員の先生方から御質問いただ きたいと思いますが、いかがでしょうか。何か御質問ございますか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 順番はどれでもよろしいのですか。 ○池田部会長 どれでも結構でございます。 ○溝口委員 資料7-3ですけれども、これは□□□□□□□□□□□□ということです が、有効性はどの程度でしょうか。人種差があると伺っておりますが、アメリカでの有 効性がもし分かっているのでしたら何%ぐらいかお教えいただきたいと思います。 ○池田部会長 機構の方で今まで向こうでの臨床試験の結果も踏まえて、日本でも□□ □□□□に関してはいろいろ議論もあったと思うのですけれども。 ○事務局 まず人種差のお話でございますけれども、まだ日本人の試験が進行中でござ いますので、正確な人種差の有無がどの程度かということについてはまだ詳しい情報は 得られておりません。 ○溝口委員 人種差ではなくてアメリカでの有効性に関することだけで結構です。 ○事務局 申し訳ございません。ちょっと今調べておりますので…。 ○新薬審査第一部長 一つは概略になりますが、有効性のパーセンテージというよりは これは□□□□□□□□□で有意な差が見られております。□□□□□□の方は今のと ころそういう成績が出ていないものですから…。 ○溝口委員 何と比べてですか。 ○新薬審査第一部長 これは一応セカンドライン以降ですので、プラセボコントロール の試験でやってサバイバルではっきり有意差がついているということで、通常で言えば きちんとしたサバイバルベネフィットがあるということでアメリカでは承認されており ます。これは欧米人を対象にした試験でそれが出ているということですので、その点は ゲフィチニブに比べると少しエビデンス的には強いという格好に今のところはなってい ます。 ○事務局 補足させていただきます。今、部長から大分説明がございましたが、対照は アメリカでやられたのは本薬とプラセボの比較でございまして、本薬群で6.67か月の生 存期間延長、プラセボ群で4.70ということで統計的には有意だというところが彼らの本 剤の有用性の主張の一つになっておりました。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほか何かただいまの報告事項のどれでも結構です。 1〜6までございましたけれども、何かございますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 医薬品優先対面助言品になると、どのくらいの期間でこういう場に 出てくるようになるのですか。それは全く分からないですか。 ○事務局 あくまでも治験相談を早くやるということですので、審査要件を含めまして 適切な指導、助言を行って順調にいけばどのくらいということでございますと、ちょっ と予想として一律に何か月後には出てくる、何年後に出てくるということは申し上げら れません。あくまでも現在普通の治験相談ですとかなりの時間をお待ちいただくような ところでございますが、これにつきましてはそれとは別枠でお申込み以降、極力早くや るということになっておりますので、その分迅速化が図られるのではないかと思ってお ります。 ○池田部会長 今たくさんのものが待っているわけですから、機構相談のところのプロ セスが早くなるということですね。ものによって幾らそこを早めても臨床試験が遅けれ ばなかなか出てこないということもあるそうです。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 資料5の希少疾病用医薬品の指定の取消しが出てきたというものですが、 私は希少疾病用医薬品、患者さんが少ないけれども、大事な薬であるということで開発 を進められる企業は非常に姿勢として立派ですし、こういう薬は大事に育てていただき たいと思うのですが、そういうことで出てきた、承認された薬だと思うのです。この薬 というか優先審査とか事前相談、補助金というようなことでいろいろな優遇的な措置で やられてきたと思いますが、その中で取り消した理由が臨床試験がGCPに不適合であ ったと。これについては100%その企業側の責任だったのか、それともこういうものを 指導される機構側には何らかの落ち度というかそういうものがなかったのかと。その辺 はどうなのでしょう。そういう指導はされなかったのでしょうか。 ○池田部会長 この神経膠腫の場合を例に…。 ○審査管理課長 この品目を取消しとする第一の理由は実際に会社が民事再生手続にな った。それからこの開発を非常に推進されてきた社長さんが亡くなったというところが 大きいのですけれども、確かに指定を受けた後開発をやっていましたが、開発後承認申 請があったそのデータの中に不適合の部分があったというのももちろん影響はしている と思います。一般的な話として医療機関の方の理解が不十分でGCP不適合になってい るという例もありますけれども、やはりそこを含めて企業依頼の治験の場合には基本的 に企業が医療機関の方に必要なビジットを行って、治験が適正に行われているかどうか を確認する義務が一義的にいえば薬事法上の治験の場合には企業に課せられているわけ でございます。ですのでこれの詳細の部分は承知いたしませんけれども、企業が最終的 に不適合の影響をかぶってしまうというのもやむを得ないところだというふうには考え ております。 ○上原委員 結果的にこうなったのは社長さんが亡くなった2004年ということですか ら、治験が行われたのは92年からの10年間。そのときにはGCPに準拠するというこ とが出ているわけですよね。そういうところでのその前の指定ですから、もう少し企業 と機構側との関係が深ければもう少し指導が行って、もっと早く何らかの結論が出た可 能性はなかったのかなということを思ったものですから。ですから、こういう希少疾病 用医薬品というのは本当に早く承認されるものと、時間が掛かってその間どのくらいの 補助が行われているか金額が分かりませんが、そういうところもありますので機構側も 大事にサポートしてあげていただきたいというのが私の本音なのですけれども。 ○新薬審査第一部長 機構の方がそういうオーファンドラッグに対して支援の手を差し 伸べることが本来の使命ということは正しくそのとおりでございます。本件に関しまし ては開始時点がかなり古うございまして、総合機構になる前の旧医薬品機構で治験指導 ができて治験相談を始めるよりも前に開発が終わっていたものですから、いわゆる具体 的な治験相談の形態で相談に乗るということが事実上かなわなかったという経緯がござ います。ただ申請されてからの話は、これは審査でございますので、厳正中立にやって きた結果としてなかなかいろいろな問題があったということで、これに関して言います と、残念ながら今のいろいろな支援制度が十分機能する前に開発されていたものだとい う事情がございます。今手掛けているオーファンドラッグに関しましては、できるだけ 充実した相談の体制で応需していこうと。現在治験相談は結構込んでいるという中にお きましても、オーファンドラッグの指定を受けているものは優先的な対面助言を行うと いう別枠になっておりますので、そちらで治験相談にも応じるということで、私どもの 持てる資源の中でできるだけそういった本当に求められているお薬に対してリソース配 分するということでやらせていただいております。 ○池田部会長 よろしゅうございますか。確かに希少疾病というものは企業の方からい うとビジネスにならないと。しかし、やはりなるべく早くそういう疾病に苦しんでいる 人たちのために行政も医療機関も共に歩まなければいけないことはもう間違いないので よろしくお願いしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。それでは報告事 項については先生方に御確認いただいたということにさせていただきたいと思います。  それでは4のその他でございますけれども、その他の事項を事務局の方から説明して いただけますでしょうか。 ○事務局 その他の事項2点につきまして説明申し上げます。資料8からでございます。 一つ目は承認条件に係る事項でございます。2ページを御覧いただきたいと思います。 本剤販売名リレンザはインフルエンザの薬でございまして、この薬は平成11年12月に A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の効能・効果で承認をされました。経緯が ございますので、昔のことを含めて簡単に申し上げます。  承認の際に申請データとして国内での二重盲検比較試験のほかに、外国で実施されま した三つの比較試験が出されましたが、国内の臨床試験でその主要評価項目においてそ の有効性が統計的に十分検証されなかったという事情がございます。結果として承認を するときに市販後に至適用量の検討、それから体内動態の検討、ハイリスク群での有効 性の検証という辺りは2ページを御覧いただきますと、その承認時の承認条件が一番上 に1)〜8)まで書いてございます。この中で今申し上げたのは2)、3)、5)ですけれど も、こういう承認後の臨床試験、臨床検討ということを条件に承認されたという経緯が ございます。  その後2ページの真ん中辺りからですけれども、体内動態につきましてはデータが十 分出てきているということなのですが、至適用量の問題とそれからハイリスク群での有 効性の検証ということにつきましては、企業の方がその臨床試験を何シーズンかチャレ ンジしたのですけれども、症例数が十分に集まらなかったということでございます。平 成15年9月の本第二部会にその旨を報告し御議論いただきまして、結果といたしまして 2ページの一番下の方の「1)インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の有効性を検 証するために、国内において適切な市販後調査を実施すること」と。市販後臨床試験で はなくて市販後調査をやるということで条件を変更して今まで来たということでござい ます。  その後3ページにまいりますけれども、企業の方で特別調査を実施いたしまして、具 体的には契約を締結いたしました医療機関を受診した15歳以上のインフルエンザの患 者さん全例を前から登録して調査をいたしまして、合計1,000近くの症例が集まりまし た。その内訳でございますけれども、本剤の使用患者が500名余り、それからタミフル(リ ン酸オセルタミビル)の患者さんが440人ぐらいというデータが集まりました。その両群 において、インフルエンザ症状が軽減してかつ解熱したというのを有効例と判断いたし ましてそこまでの日数を比較しますと、本剤とタミフルの群でともに3日だったと。普 通は調査ですのでプラセボ群のようなものはなかったものですから、その申請者の方で 治験のとき、申請のときに実施したプラセボ群のデータとのヒストリカルな比較をいた しましたところ、本剤群とタミフル群の両方ともプラセボ群に比べれば治るまでの日数 が早かったというデータが出てきたということが3ページにございます。  それで4ページの方にまいりますけれども、本来承認のときには有効性の検証のため にきちんとした臨床試験をやるべしということで過去何年にもわたりまして臨床試験を やったのですけれども、なかなか十分な結果が出なかったということです。ただ一方で 今回の特別調査によりまして、本剤の有効性に関する情報は相当程度集積を確認された というふうに考えまして、このデータをもちましてその市販後調査の実施に関する承認 条件を満たすデータは提出されたと判断をさせていただきたいという次第でございま す。それが資料8でございます。 ○池田部会長 それでは同じインフルエンザですので、議題2もまとめて報告していた だきましょう。 ○事務局 資料9でございまして、一枚の紙でございます。こちらでございますけれど も、背景に記載いたしましたように昨今東南アジア地域において鳥インフルエンザの人 への感染の問題といったものを契機にいたしまして、新型のインフルエンザワクチンを 可能な限り早く供給可能な状況にしようということになりました。国立感染症研究所が 中心に専門の先生方、国内のインフルエンザのワクチン製造会社が集まりまして、今そ のワクチンの開発研究が進められているということでございまして、今回状況について 報告させていただくという趣旨でございます。  いわゆるパンデミックの発生のときに可能な限り早期にワクチンを供給するために、 まずモデルウイルスを使いましたモックアップワクチン、試作ワクチンというものを開 発しておこうというものでございます。このワクチンでございますけれども、通常のイ ンフルエンザワクチンと異なりますのが、例えば弱毒化のやり方が2の(1)でございま す。リバース・ジェネティスク法を使っているということですとか、それからHAワク チンではなくて全粒子型ワクチンであるということ。それからアジュバントといたしま して水酸化アルミニウムを使っていくこと。そういったことを特徴にしておりまして、 実際流行したときにはこの流行株から弱毒化した株を持ってきましてそのワクチンを作 るという流れになります。  (4)のところで簡単な状況が書いてございますけれども、現在試作のワクチンの試験 製剤ロットを製造中で非臨床試験に着手したという状況でございます。将来承認申請が なされますと、本第二部会で御審議いただくということになりますので、今般状況につ きまして簡単に御報告をさせていただくという次第でございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではまず最初に資料8ですけれども、承 認条件ということで市販後の臨床試験ではなく、むしろ調査をして一応有効だったので はないかというリレンザの報告があったのですが、折笠委員、これはどうでしょうか。 なかなか難しい…、コメントしづらいかもしれませんが。 ○折笠委員 臨床試験の方が好ましかったことは事実でしょうけれども、私もこのデー タを見ていないので分からないのですが、タミフルと本剤が入って500例ずつぐらい比 較になっているようですが、詳しく評価されて、もしこれがいろいろな患者背景も含め てほぼ同等であるというふうに判断されたのであればいいと思います。ランダム化比較 していませんから、どちらかにバイアスがかかったかということがあるとまずいので、 その辺のデータを詳細に評価されてよろしいということならばいいと思います。 ○池田部会長 これはなぜその臨床試験ができなかったということ…、患者のエントリ ーが難しいというのは分かるのですけれども、その辺の企業側の工夫についてはどうい う努力をしたかなど何か言ってきているのですか。 ○機構 その点につきましては製薬企業の方、並びに審査管理課、当時の審査センター でございますが、三者にて議論を行いました。まず該当薬剤リレンザですが、吸入剤で あるということでどうしてもタミフルが出た後は錠剤の方が好まれてしまって、なかな か吸入剤というものを使ってくださる患者さんがいらっしゃらないということ。市場の 絶対数からいたしましても、タミフルが承認される前はリレンザは結構出荷があったそ うですが、タミフルが承認された後にはほとんど出荷がなく、タミフルが市場からなく なったときに少し売れたぐらいという状況でございます。そういったことをかんがみま してなかなか市販後臨床試験でしかも臨床試験となりますと、1,000例規模のものをや らないと検証が不可能であるといった点からも、特別調査という形でも何らかの情報を 収集した方がいつまでもできないものを追求しているよりはよろしいのではないかとい うことから、今回の調査に至ったということでございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。調査は非常によく やっているのではないかなというふうには思いますけれども。この報告はよろしゅうご ざいますか。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 ちょっと忘れてしまったので確認したいのですけれども、リレンザのいわ ゆる使用許可年齢というのは何歳からでしたか。8歳だったか5歳だったかその辺だと 思うのですが。 ○事務局 今添付文書が手元にございますけれども、用法・用量上は「通常、成人には、 ザナミビルとして1回10mg」と記載がございまして…。 ○神谷委員 小児の方はどうですか。 ○事務局 小児への投与のところでは使用上の注意におきまして、「小児投与に対する 安全性は確立していない(国内での使用経験が少ない)」という記載がございまして…。 ○神谷委員 しかし、外国で使った場合には子供にも使わせますよね。たしか8歳ぐら いから許可されていると思ったのですけれども。これは日本で15歳以上しか使わないと いうことならこれでも結構ですが、そこのところが今後リレンザは今のお話ですと余り 売ろうと思っていないということなのかもしれませんけれども、現実にはリレンザを売 ろうということを会社が大体一生懸命やっていないのです。私たちは臨床においてもも ちろんタミフルがないときもそうでしたけれども、そうでなくてもリレンザそのものは 出始めのころは私たちも使っていましたが、結構効くのです。会社もあきらめてしまっ てタミフルに負けてしまったという感じでこうなっているので、本来ならおまけをして 比較をさせるというのがいいけれども、本当はこれは会社がきちんとやるべきだと私は 思っていたのですが。 ○池田部会長 よろしゅうございますか。 ○審査管理課長 神谷先生、先ほど事務局の方から御説明しましたが、小児への投与に ついて小児は使用経験が少ないと書いてございますのは注意して使用してくださいとい うことで、小児に使ってはいけないという趣旨ではございませんので、その点は補足さ せていただきます。 ○池田部会長 よろしゅうございますでしょうか。そのほか新型インフルエンザワクチ ンについての報告も特にございませんでしょうか。よろしいですか。それではその他の 事項の議題二つについても、委員の先生方に御確認いただいたものとしたいと思います。 溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 新型インフルエンザワクチンのことでちょっとお伺いしたいのですけれど も、これは試作ワクチンということでワクチンを作って、有効で安全なワクチンを作る 方法を確立しておいて、実際に流行したときはその流行株から弱毒化した株でワクチン を製造すると書かれていますので、これがきちんとできるようになりますと、従来のイ ンフルエンザワクチンというのはどうなるのですか。やはりそれもしてこれも備えると いうことなのでしょうか。 ○事務局 血液対策課でございます。従来のインフルエンザワクチンもその年に流行す る株というもののWHOの予測に基づきまして、例えばA香港型ですとかAソ連型のH 3とかH1の株を決めまして、その年の流行に合わせて半年前とかに製造をスタートす るという格好になっています。基本的に新型のH5N1についても同様でございまして、 当面はこのNRBSCから提供を受けたもので作っていますが、実際に発生した場合には発 生したところから分離してきたもので製造するという流れになるかと思います。 ○溝口委員 そうしますと、これでやれば鳥インフルエンザウイルスが発生したときに 対応できるようになる可能性があるということですか。 ○事務局 ちょっとここは神谷先生もいらっしゃいますので、事務局の方からお答えす るのもあれでございますけれども、基本的には今鳥インフルエンザの人への感染という 問題もございますが、これがヒト型のH5N1になって流行を起こしたとしても、でき るだけ早くこのワクチンで対応できるようにという趣旨でございます。 ○溝口委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 神谷委員、何か追加することはございますか。 ○神谷委員 おっしゃるとおりで別途ですから、今までのインフルエンザとは違うウイ ルスということで、これはこれでやるということでございます。 ○池田部会長 よろしゅうございますでしょうか。本日の議題は以上でございますけれ ども、最後に事務局から報告をお願いします。 ○事務局 手短に二点ほど報告いたします。一つはこの部会を通過しまして承認された 品目の御紹介でございますけれども、3月17日の薬事分科会におきましてエルプラチン (オキサリプラチン)につきましては3月18日に承認をさせていただいております。それ からエイズ薬2品目でございましてエムトリバカプセル、ツルバダ錠につきまして3月 23日に承認させていただきました。そのほかの新薬につきましては、ウレディナのフォ リスチム注とアムノレイク錠、ルリコンクリームとルリコン液、ブイフェンド錠とブイ フェンド静注用は4月11日に承認をさせていただいております。  それからもう一点、次回の医薬品第二部会の予定でございますけれども、先生方の御 都合を調整させていただきまして、来月5月26日木曜日午後2時から開催させていただ きますのでよろしくお願いいたします。詳しくはまた場所等、議題につきましては追っ て御連絡申し上げますのでよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは本日はこれで第二部会を終了させていただきます。先生方、お 忙しいところどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 23 -