05/04/27 社会保障審議会医療部会第9回議事録           第9回社会保障審議会医療部会                   日時 平成17年4月27日(水)                      14:00〜                   場所 厚生労働省専用第15会議室 ○企画官 ただいまから第9回社会保障審議会医療部会を開会いたします。 皆様方におかれましては、お忙しい中ご出席くださいまして、誠にありがと うございます。  はじめに、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は鮫島 委員、野呂委員、渡辺委員からご欠席の連絡をいただいております。なお、 鮫島委員の代理として、日本精神科病院協会副会長の山崎學参考人に、ご出 席いただいております。また古橋委員からは、15分ほど遅れるとのご連絡を いただいております。ご出席いただいている委員の皆様方は定足数を超えて おりますので、会議は成立しております。  次に、お手元の資料の確認をいたします。座席表と議事次第のほか資料1 と資料2があります。あと、参考資料1、参考資料2、参考資料3と3つあ ります。また本日の議題に関連して、大橋委員からご提出のあったペーパー をお配りしております。なお、参考資料3としてお配りしている「生活習慣 病対策の総合的な推進」は、4月21日の厚生科学審議会地域保健健康増進栄 養部会で事務局から報告をしてご審議いただいたものです。本日の議題と直 接関係するわけではありませんが、医療提供体制の関係とは非常に密接な関 連分野ですので、関連分野と連携を図って、保健医療提供体制を検討してい くという観点から、今後の審議の参考として配付しております。  以降の進行については部会長、よろしくお願いいたします。 ○部会長(鴨下) 本日はお集まりいただいてありがとうございます。議事 に入る前に、本日欠席の鮫島委員の代理としてご出席いただいている、日本 精神科病院協会副会長の山崎學参考人の出席について、ご異議はございませ んか。 (異議なし) ○部会長 ありがとうございます。それでは議事に入ります。本日の議題は、 「医療を担う人材の確保と資質の向上、へき地医療提供体制の確保、人員配 置基準の在り方について」となっております。進行の都合上、本議題を「医 療を担う人材の確保と資質の向上、へき地医療提供体制の確保」と「人員配 置基準の在り方」の2つに分けてご議論いただこうと思います。  それでは最初の議題である、「医療を担う人材の確保と資質の向上及びへき 地医療提供体制の確保」について、15時10分ぐらいまで議論をしていきた いと思います。まず事務局から資料1、「医療を担う人材の確保と資質の向上 及びへき地医療体制の確保について」の説明をお願いいたします。 ○医事課長 資料1の1頁の「医師の需給について」は、2頁にあるような 経緯で、これまで検討してきました。1頁の「背景」に書いておりますよう に、従来から地域別に医師の偏在があると言われていたわけですが、昨今は 地域に限らず、特定の診療科、あるいは特定の時間帯において、医師の不足 感が強いということが指摘されています。こういった状況を踏まえ、私ども と総務省、文部科学省の3省庁からなる、地域医療に関する関係省庁連絡会 議で、医師の需給の見直しを行うことが指摘されましたので、私どもとして は本年2月25日から検討会を開催いたしております。これまでに4回検討し ておりますが、今後平成17年度中を目途に報告書を公表する予定です。  3頁は、一昨日の第4回の検討会に出した中間報告書の骨子案ですが、基 本的にはこれまで各委員がおっしゃった意見を、わりと網羅的にまとめたも のです。したがって若干整合性のない部分もありますが、どんな議論が出て いるのか、ご紹介したいと思います。「現状の認識」の2つ目のポツですが、 診療科によっては医師不足が甚だしく、診療に支障をきたしている診療科が ある、特に産婦人科・小児科では、新規参入の医師が少ないといった診療科 別の格差が大きいというご指摘があります。また、下のほうにありますよう に、労働基準法に伴う影響が無視できないのではないかというのもあります。 この関係については、参考資料1に資料が付けてありますので、ご参照いた だければと思います。いちばん下の行ですが、女性医師が増加していると。 いま日本全体では、医師のうち女性の占める割合が大体1割強ですが、現在 新たに参入される方、国家試験の合格者等で見れば、すでに3割を超えてお りますし、新規の医学部の入学者を見れば4割を超えているので、今後さら に大きな影響が出てくるのではないかというご指摘です。  4頁の(1)は地域偏在の解消についてということで、いろいろありまし た。医療施設の集約や医療提供体制の効率化を図るべきではないか、診療科 偏在の解消については学会の果たすべき役割や専門医の地域別の均衡の問題、 診療報酬、政策的な手当が必要ではないかというご提言があります。医師の 需給については、あくまでも単に量に限らず質の問題が重要だということで、 (3)にありますように、医師の評価の問題や医師の再教育の問題などがあ ります。  医師の勤務体制については、医師の交代勤務も考えなければいけないので はないかと言われている一方、医師が交代勤務を行うと、治療の一貫性が損 なわれるのではないかということで、チーム医療とのかかわりが提言されて います。また、(5)に書いておりますが、医師とその他の職種との役割分担 ということも考える必要があるのではないかと。(6)では、いわゆるジェネ ラルプラクショナー的な問題や臨床研修制度の話、さらに女性医師の活用と いうことで、勤務実態等を踏まえ、より能力を発揮できる方策を検討する必 要があるのではないかと。(8)の「その他」でも、またいろいろなことが書 いてあります。本件については今後さらにこれを議論して、夏までに中間報 告のような形でまとめられればと考えているところです。  7頁は、「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会」です。こ の検討会の報告書は、参考資料2として付けておりますので、またご参照い ただければと思います。本件は、医道審議会医道分科会において、処分を受 けた医師に対し再教育を行うということで検討したものです。その具体的な 中身は、8頁に報告書の概要を付けております。その中で2の「行政処分の 現状と問題点」という部分ですが、現在、医業停止を受けた医師は、医業停 止期間を過ぎれば特段の条件なく医業に復帰できるという仕組みになってい るわけですが、基本的には被処分者が反省し、医業再開後に適正な医業を行 えるようにするための具体的な過程を整理することが必要ということで、今 回の検討に至ったわけです。  「再教育の在り方」については、(3)に「再教育を受けるべき対象者」と いうのがあります。再教育の内容としては、大きく倫理研修と技術研修の2 つに分かれております。臨床研修については、行政処分を受けた者すべてが 対象となるものです。技術研修については、医療事故を理由として行政処分 を受けた方と、医業停止期間が長期に及ぶ方、つまり医業の現場から長く離 れていた方に行う必要があるのではないかというご指摘です。  9頁をご覧いただきますと、そのやり方がいろいろ書いてあります。8の 「国の役割」については、医師法の改正により、再教育制度に法的な根拠を 与えることが必要だということが指摘されております。4の「当面の対応」 では、当面は現行制度で試行的に対応すべきだと。5の「行政処分の在り方 等に関する検討事項」では、必ずしもこの検討会の守備範囲ではなかったも のですが、実際に必要な事項として、新たな行政処分の類型の設置を行うと。 いま行政処分には取消しと業務停止しかないわけですが、こういった再教育 制度を活用して、業務停止に至らない者をやってはどうか、医療事故を理由 とした行政処分の在り方、再教育を終了した者の医籍への登録といったもの が指摘されております。  10頁からは、「臨床研修の必修化について」です。医師臨床研修について は、平成16年度から従来の努力義務を必修ということでやっており、いま2 年目に入っているところです。本件は従前の医療部会の中でもご説明いたし ましたが、その後の状況は14頁をご覧ください。臨床研修を行っている医師 がどんな所でやっているかということですが、必修化前の平成15年度を見ま すと、市中の臨床研修病院の割合が27.4%ということで3割弱、大学病院が 7割強だったわけです。平成17年度で新しくマッチした方を見ますと、 47.3:52.7ということで、ほとんど均衡しておりますし、実際に平成17年度 の研修医となった方を見ますと、臨床研修病院が50.8、大学病院が49.1とい うことで、ほぼ半々ではありますが、臨床研修病院が増えたということで、 研修を行う場がかなり変わってきているという実態があります。  15頁は、「医師国家試験見直しについての提言」ということで、これまで の提言です。いままで実技試験の導入とか、受験回数の制限といったことが いろいろ言われているわけです。これについては現在、内部的な検討をして いるという状況です。  16頁からは、いわゆる医師免許の更新にかかわる資料です。この問題につ いては、平成14年の3月、前回の医療部会の医療を担う適切な人材の育成・ 確保の中で、医師の生涯学習の義務化、医師の免許更新制などについて議論 すべきとの意見がありました。今回の医療部会における議論をまとめたのが 17頁です。17頁に書いてありますように、第5回の議論の中で龍井委員、松 井委員、福島委員から、論点整理に向けての意見が出されております。その 中で、所定の研修を前提条件とした「医師免許・歯科医師免許の更新制度」 の導入も検討すべきであり、その具体的な方法論についての検討が必要と考 えます、といったご意見が提出されております。また古橋委員から提出され たものの中では、臨床経験が長い者のヒヤリ・ハット報告も多く、免許の更 新制について議論されるべきと考えます、というご意見をいただいておりま す。  18頁がそれに伴う参考資料で、「医師免許の行政処分と臨床医資格更新制 に関する英米の状況」を出しております。1が米国です。米国については、 医道審における行政処分に相当する制度として、医事委員会が処分を行って います。しかし、こういった問題の有無にかかわらず、全医師に対して臨床 医資格の更新制度を行っています。あくまでも臨床医資格の更新ですので、 医師の資格を更新するのではなくて、臨床に携わる医師について、更新の義 務をかけているわけです。この中で、多くの州については2年程度ごとに所 定の講習を受講した医師の臨床医資格が更新されるというシステムが採られ ているようです。  英国については、2005年より臨床医資格の更新、同様に医師免許というの は臨床医資格の更新ですが、導入する予定でしたが、延期されております。 本件はアメリカのような講習受講といった更新ではなく、同僚や上司による 評価、Peer Reviewに基づく5年ごとの更新ということになっておりました が、いろいろな意見があったようで、とりあえず現在は実施が延期されてい るという状況です。  19頁が「新歯科医師臨床研修制度」です。歯科医師についても医師と同様 に、平成18年度より臨床研修を必修化するということで、準備をしていると ころです。研修期間は医師が2年となっておりますが、歯科医師については 1年以上、原則1年でやろうということで準備をしております。歯科医師に ついても臨床研修を終了しない限り、病院等の開設者や管理者にはなれない という形で、医師と同様の取扱いとすることを考えております。  20頁がスケジュールです。今後必要な省令通知等を発出し、平成18年度 の施行に向けてチーム等の準備を進めていくということです。私からは以上 です。 ○看護課長 引き続き、看護職員に関してご説明いたします。「第六次の看護 職員需給見通しに関する検討会」を昨年6月にスタートして、現在進行して おります。22頁に今後の予定を掲げておりますが、もうすでに2月21日に、 需給見通しの策定方針を決定していただき、4月の頭に各都道府県に対し、 調査をもとに各都道府県の需給見通しを策定していただくことをお願いして いるところです。今後は9月末にそれを私どもへ報告していただき、内容を 精査し、12月に平成18年以降22年までの5年間について、需給見通しを確 定し、公表する予定で進めているところです。  23頁は、平成15年末の就業者の状態がわかりましたので、新たに加えて 提出させていただいております。就業者は126万8,500人となっており、平 成15年の需要供給をご覧いただきますと、その当時就業を見込んでいる人数 よりも2万6,500人、また需要数よりもさらに5,400人ほど多い就業者がい るということです。  現在は24頁にありますように、これまでの社会保障審議会医療部会におけ る看護職員等についての皆様のご意見等を踏まえ、医療安全の確保に向けた 保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会を動かす予定にしておりま す。検討事項としてはそこに書いてあるような、新人看護職員の研修、看護 師資格を持たない保健師や助産師の看護の業務、行政処分を受けた看護師等 の再教育等々をご議論していただく予定にしています。第1回目は明日の夕 方に会合を開く予定にしており、今後中間まとめ等をしていただくのが、多 分6月末ごろになるかと思います。この社会保障審議会医療部会の流れに沿 って、検討を進めているところです。  次がメンバー表です。26頁ですが、今年3月末に閣議決定があった「規制 改革・民間開放推進3か年計画(改定)」の中で、看護職員についても「医師・ 医療従事者の質の確保」という中で(2)の部分に、「より専門性の高い看護 師等の育成や、臨床研修等の教育環境整備等、具体的な措置を講ずる」とい った文言が入っており、私どもとしても今後、こうした取組みをより進めて いかなければならない状況にあります。  27頁と28頁では、昨年度から進めてきた看護師の新人職員研修への取組 みについて掲げております。27頁は、新人看護職員の研修を病院施設等で担 当していただいている責任者、あるいは担当者のための講習会を、昨年の秋 から今年1月の間に行い、全国7カ所で2,570名ほどの方々に対して講習を 致しました。また28頁は、平成17年度の予算事業として、安心安全の助産 ケアに係る推進事業ということで、「新人助産師の臨床実践能力向上推進事 業」という名称を付けております。まさに新人助産師の研修を、全国17カ所 の病院で3カ月程度、OJTによって行うといった取組みをモデル的に始め たというものです。以上です。 ○企画官 続いて29頁からのへき地医療提供体制の確保に関する資料につ いて、ご説明いたします。30頁をご覧ください。へき地保健医療対策につい ては、山村・離島等の地域の住民の医療を確保することが、国の重点施策で あるということで、昭和31年度から9回にわたり対策を実施し、無医地区の 解消等に努めてきたところです。また昨年の三位一体改革においても、へき 地の保健医療対策については、国が責任を持って施策を継続すべきというこ とで、予算は引き続き国の補助金とすることになったところです。さらに現 在の第九次へき地保健医療対策については、平成17年度限りですので、現在 平成18年度から始まる5カ年計画としての第一〇次へき地保健医療対策に ついて、31頁にあるメンバーで構成された検討会で議論をしております。32 頁にここまでの審議状況を付けておりますが、いちばん下にありますように、 今年6月上旬にも、一定の方向性での検討会の取りまとめを行う予定で、作 業を進めております。  29頁に、診療ネットワークの図を付けております。へき地の保健医療対策 は、都道府県で確実に対応していただきたい医療の1つです。「へき地」と言 われる所に住んでいらっしゃる方であっても、常日ごろより安心して診療を 受けられる体制を、都道府県全体でいかに構築していくかという問題が極め て重要です。日常的な診療はへき地診療所で対応し、重い病気の場合はへき 地診療所の紹介によって、へき地医療の拠点となる病院において対応すると いったネットワークの構築を中心として、へき地医療支援機構というものを 設け、その人材の確保、またはITの活用等といったことになります。こう いった具体的なへき地医療支援等について、現在検討会において検討を進め ているところですが、この部会においても大所高所からのご意見をいただけ ればと思っている次第です。へき地保健医療対策についての説明は以上です。 ○部会長 ただいまの事務局の説明、あるいは関連する資料に関する質問等 も含めて、3時10分過ぎぐらいまで意見交換をしたいと思います。 ○箱崎委員 需給について歯科の立場から、一言だけ申し上げたいと思いま す。資料にはないのですが、歯科における需給は医師の需給と違って、今は もう過剰状況にあります。過剰と言うよりは、むしろ過密に近い状況です。 昭和61年に入学定員の20%の削減がなされておりますが、依然としてそれ 以降も増加傾向にあり、平成10年の旧厚生省での検討会で出されたデータに おいても、削減の必要があるということは報告されております。その後、も う何年経ちますか。平成10年以降ですから、7、8年経っても、いまだに平 成10年の報告書以降の変化は何もないという状況です。過密が今もどんどん、 どんどん続いています。平成17年度の厚生労働省の予算に、歯科医師の需給 に関する検討会の予算案が示されておりますので、関係機関との協力の中で、 需給に関する検討を是非再度強力に推し進めていただきたいというのが要望 です。 ○小山田委員 医師の需給については、いま検討会で検討されておりますが、 今日申し上げたいのは、最後にあったへき地医療の確保についてです。これ も委員会で第一〇次のへき地医療計画がなされており、いろいろな方式が出 されているのですが、現実にはまだへき地というものがあって、医療が確保 されていません。むしろ、なくなっていく状況に直面しているわけです。こ のようにいろいろなモデルをつくられてはいるのですが、現実になくなって いく医療を考えますと、国あるいは自治体でもいいのですが、責任を持って、 例えば拠点病院などという生やさしいものではなくて、この地域の医療はこ の機関がしなくてはならないというような指定をして、そこに責任を持たせ るような仕組みでないと、いくら計画をやり、委員会を何回開いても進展し ないのは、ここにあるのではないかと思います。大変強烈な意見ですが、今 後私どもはそうしたことを国にお願いしていくしかないと考えております。 ○佐伯委員 私はこの4月から、新しい臨床研修医の方と、2年間修了した 方の患者とのコミュニケーションの実習を数多くやってまいりました。研修 医の方はもう免許を持っているわけですが、例えば検査の結果を患者に説明 するということが、ほとんどの方ができません。国家試験で知識も試されて いて、合格していらっしゃるのだから、胃のレントゲンの写真ぐらいは、誰 だってわかるだろうと思うのですが、「どう見たらいいんですか」というよう に質問される方もいらっしゃるのです。それでちょっと面食らってしまった ことがありました。  まあ、それは1年目だからしようがないのかなとは思っていたのですが、 つい先日、2年間修了したという立派な研修医の方の修了試験で、こんなこ とがありました。そのとき患者とのコミュニケーションの場面をやっていた だきましたら、非常に態度がよろしくない方もいらっしゃいますし、ぞんざ いな物言いの方もいらっしゃいました。また愛想はいいのですが、どうもい い加減という方もいらっしゃいます。実際の実技試験も入っていて、血圧を 測る場面もありました。お1人の方は片腕だけで、お1人の方は両腕を測っ てくださいました。それはよかったのですが、3人目の何となく愛想はよか ったけれどという方は、正しい測り方をなさらずに、でたらめの数字をおっ しゃって、それで平気な顔をしていたということがありました。これは大学 病院の研修医だったのです。  皆さん、いろいろな所で研修をなされるのですが、特に私は大学病院での 研修のあり方に、非常に大きな疑問を感じております。その試験の後、スタ ッフの方々とミーティングをしたのです。例えば患者に対して非常に高圧的 な物言いをなさる方などは、実習中にあちこちでトラブルを起こしていらっ しゃったようですが、そこの教育スタッフの方がおっしゃるには、「どこの医 局にもこういう人、困った人はいます。それで転々とするんですよ」とおっ しゃるのです。ただ転々としてもらっても、転々とした病院で実害を被るの は患者ですので、是非きちんと整えた形で社会に出していただきたいと、強 く思いました。免許も持っていて2年も経っていて、血圧も正しく測れない という状態で、一体どうやって診療をしていらっしゃるのだろうということ で、非常に背筋が寒くなるような思いをいたしております。 ○杉町委員 またへき地医療のことに戻るのですが、これについては国や地 方自治体が、運営費や設備、施設の補助金などを出しています。あるいはへ き地の巡回診療など、いろいろなさっていますが、これでは抜本的な解決と 言いますか、根本的な解決にはまだ程遠い現状だと思います。へき地に医師 が行きたがらないと言いますか、病院・診療所ができにくい理由としては、 やはり医師の技術が錆びつくということもありますし、子供の教育のことも あります。最も大きな理由は、例えばへき地で病院や診療所をつくりまして も、そういう所には人間が少ないわけですから、患者も少ないということで、 経済的に成り立たないというのが、やはり非常に大きな原因であると思いま す。  その改善策の1つとしては、名前はどうでもいいのですが、「へき地」を 「医療特別区」というように称して、この地区では診療報酬面で何がしかの 優遇措置ができないだろうかということを考えております。具体的に診療報 酬は1点10円ですが、このようなへき地では例えば1点14円にするとか、15 円にするということで、少し優遇いたしますと、へき地においても診療所が 経営的に、経済的に成り立ち、市場原理が働いて、へき地にもまた新たに診 療所や小さな病院ができる可能性があるのではないだろうかと考えています。  ただ、医療費の総額が上がることに対しては、いろいろな危惧をお持ちの 方も多いと思います。しかし、へき地に実際に住んでいらっしゃる日本の人 口というのは、全体から考えますと1%以下だと思います。そうしますと、 その1%以下の所で少し診療費が上がっても、全体から見ますと0,数パーセ ントになりますから、許容範囲内ではなかろうかと考えております。是非ご 検討いただきたいと思います。 ○龍井委員 質問を含めて、大きく2点になります。1点目は、8頁から9 頁にかけて指摘されている助言指導者というものの位置づけについて、お尋 ねしたいと思っております。端的に言ってどういう人たちから、どういう仕 方で選ばれるかというのが1点目です。  もう1点は、9頁の頭に出てくる指導、助言の範囲の問題です。それがど の範囲を示すのかということです。先ほどもご指摘があったように、私はど んな職業にも適性というものがあるだろうと思います。例えば医師でありな がら臨床には向いていないけれど、研究には向いている方も当然おられるわ けですので、ここでの指導、助言というのが、言ってみれば適性を合わせた 上での進路指導まで含む中身なのか。いや、それはまた別の所でやるという ことであれば、それでもいいのですが、再教育ということだけでこの問題が 解決するとは思えないのです。もしも適性の問題であるとすれば、素人判断 ですが、例えば助言、指導というのが一般的な人から選ばれるよりは、すで に教育を受けて育ったところで、もう一度検証し直す、あるいは適性を見て もらうということも1つの道筋かと思います。それも含めて、どういう構想 かというのをお伺いしたいと思います。  2点目は、今日のテーマの人材の範囲の問題です。4頁のいちばん下に、 「医師と他職種との役割分担」という表現が一言だけ出てきます。人材の確 保という場合は、やはりコメディカルの仕事の人たちの人材をどう確保して いくか、質を確保していくかということとセットで論じる必要があるのでは ないでしょうか。細かくは申しませんが、例えばチーム医療がどんどん進展 してくれば、自ずからそこで医師や看護師も含めて、役割分担というものが より明確になってくる可能性があります。  また、我々患者のニーズからすれば、いまの段階でのコメディカルな需給 関係を見るだけではなくて、例えばリハビリであったり、栄養士の指導であ ったり、あるいはメンタルケアであったり、いろいろなニーズが出てくる可 能性があるわけです。そういうニーズが出てくることとの関連で、初めて需 給関係というものを見る必要があると思っています。それはまた別の所でや るということであれば、そういう説明もいただきたいと思います。この2点 です。 ○部会長 これはご質問ですから、お答えいただけますか。 ○医事課長 ただいまのご質問ですが、1点目の医師の再教育の関係で、助 言、指導の問題については2点あります。1点目が倫理面、2点目が技術面 です。倫理面の研修は、基本的には指導助言者の方が対応することです。た だ、すべてこの人が行うわけではなくて、例えばこういう講習を受けてみた らどうかとか、いろいろなことをやっていただくのだと思います。先ほどの は、どちらかというと技術面に関する部分が大きかったと思うのですが、技 術面については、基本的に1人の医師ではおそらく対応できないと思います ので、それぞれの分野の方に対象になっていただきます。  先ほどご質問のあった適性の問題であれば、例えば医療事故であれば、事 故を起こした分野の専門の方に見ていただいて、そこで十分できるかどうか といったことで、必ずしも適性が十分ないのであれば、そういったことにつ いても助言していただくことになろうかと思います。研修場所についても、 検討会でかなりいろいろなご議論があったのですが、必要があれば出身の大 学とか、勤務していた病院とか、そういった所の活用も十分考えなければい けないのではないかというご意見がありました。  人材の確保について、再教育の検討会の中でいままで出ておりますのは、 おそらくこの部会でもあったろうと思いますが、いま医師がやっている業務 でも、看護師にできる部分があるのではないかということです。ご指摘のチ ーム医療の中でのコメディカルの役割が重要だというのは、当然私どもも認 識しておりますので、技師をはじめ、そういった方たちと。需給の見通しと 言いましょうか、特にPTやOTは非常に人数が拡大しておりますので、直ちに 不足しているという意識はありませんが、質の向上について必要な措置を図 っていくことは、重要だとは認識しております。 ○龍井委員 いまのお答えの中で、先ほど触れた適性から助言というときに、 いまの検討状況では進路指導まで含むというように考えてよろしいのでしょ うか。 ○医事課長 そういったことも含めて助言をするという形になると思います。 ○福島委員 いまの龍井委員の話にも関連する、9頁の「再教育の助言、指 導」です。行政処分の理由には、いろいろなことがあると思います。下のほ うの技術研修については、内容がある程度想定できますが、ときどきいろい ろな報道にもありますとおり、処分の原因が非常に反社会的な、非難される べき行為というのも中にはあります。これは教育の問題でもなければ、技術 不足の問題でも何でもないのです。研修の効果もそれほど期待できない場合 も、相当あるのではないかと思います。先ほどの龍井委員の言葉をお借りす れば、これは適性の問題です。  こういう方については、ある程度制限的にではありますが、むしろ臨床の 現場から退場してもらうというほうを十分検討していただく必要があるので はないかという感じがいたします。それは非常に大事なことで、簡単に言う わけではありません。条件も厳しくしてもらっていいと思うのですが、研修 という方式よりも、どういう形で現場から退場してもらうかというのが、基 本的に考えられるのではないかという感じがします。 ○堀田委員 9頁の倫理研修の問題ですが、実際にこれまでの行政処分を見 てきて、倫理研修というのは非常に難しいのです。例えば患者のものを盗ん だとか、猥褻な行為をしたとか、麻薬を使ったとか、こういった医師に助言 指導者が少々助言しようとどうしようと、そんなものは効かないのです。こ れはもうしっかり刑務所で叩き直すしか、私は矯正方法はないだろうと思い ます。また、診療報酬の不正請求が随分蔓延しております。これは倫理とし ては十分わかって、いわばぐるみでやっている病院が結構あるのです。もう 徹底的に処分するという体制で、やったら保険医はすぐに取り消されるとい うぐらいの取締まりしか、私は方策がないだろうと思います。  実際にこういう仕組みで倫理研修がどういう医師に働くかというと、多分、 医療過誤のかなりの部分ではなかろうかと思います。医療過誤を見ておりま すと、確かに技術が足りないということもあって、それで技術研修も要るの ですが、その基本として相当の人が、人が好きでないというか、患者などど うでもいいというか、医師として当然果たすべき責任感を全く果たしていな いのです。当直医が放ってどこか外へ出て行ってしまう、診るべき時間帯に 何も診ない、引継ぎが悪いというのは、技術の問題というよりも、その人の 適格性の問題なのです。もう少し言えば、患者が好きかどうかという問題な のです。  どうにもならないところは、まさに臨床の場から排除する仕組みをもう1 つつくっておかなければいけないというのはありますが、その前の研修とし て病院などで研修をしてもおそらく駄目なのです。例えば地方、へき地など でも必死で頑張っておられる診療所の熱血医師、「赤ひげさん」と言われる ような、本当に患者が大事で、患者を大事にする医療とはどういうことかと いうことを、身をもって示しておられる医師に付けて、その態度を学ばせる という研修が要るのではないでしょうか。ですから研修の仕組みについては、 またいろいろ工夫いただくことがあろうかと思います。 ○古橋委員 私は医師ではない看護師等を含める医療従事者の件と、もう1 つは資料の26頁に提示された、規制改革民間開放推進3か年計画の中身につ いて、発言させていただきたいと思います。現在、看護師の第六次の需給見 直しの策定がなされており、本来ならば平成17年において、看護職の需給バ ランスがとれるようなことが、5年前に策定されましたが、経過の中では現 場あるいは医療を受ける国民の側からも、およそ看護職が足りているという ようには、とても実感していただけません。そういう中での看護師不足、看 護職員不足というのが現実です。  きちんとした検証をしたわけではないのですが、需給見通しというものが、 どうしてもズレていく原因はどこにあるのだろうかということを考えてみま すと、実感としては需給を見通す時点での医療、看護の業務量や進歩、質と いうのが、予測を超えて非常に変動していく、動いていくということが間違 いなくあるという気がしております。ですから需給バランスを考えて需要数 を算定するときは、5年後の医療の進歩・発展や、業務量の変動の値という のを、できれば何らかの指数で割り出して、それを根拠のある数字にかけて 出すような考え方も要るのではないかという気がしております。  もう1点は、高齢社会になって医療現場でのリハビリテーションスタッフ の機能というのが、私は非常に重要だと思います。しかし、この場にはPT とSTの需給、あるいは現在の日本の中で、そうしたバランスがどうなって いるかという辺りの資料が出てまいりません。医療現場では、足りない、必 要なのに募集をしても全く応募がないという病院もあれば、比較的豊かにリ ハのセラピストを獲得しておられる所もあるやに思っております。そういう 点ではリハビリテーションスタッフの需給状況等を、やはり1回考えておく 必要もあるのではないかと思います。  また26頁の2の後段に書かれているとおり、看護協会としても、最も必要 なのはジェネラリストとその数ですが、一方では医療が変化していく中での 専門性の高い看護師の育成、認定というのも動き出しております。医師の世 界では専門医というのがもうほとんど日常的になり、研修が終わったら、次 の段階は専門医育成だということも、医師の需給検討会で発言なさっている ぐらいです。たくさんの数というより、要所要所に専門性の高い看護師の配 置は必要であり、効果的でもあるということは、看護協会も実感しておりま す。  看護協会が認定制度を動かして5年以上経っておりますので、私としては 機会が頂戴できれば、こうした専門性の高い教育の修了者が現在どのぐらい あって、どういう機能を果たしているか、特に歓迎されている領域はどうい う所にあるのかということを、報告させていただきたいと思っております。 また医療をお受けになる国民の皆様にも、こうした制度が普及され、こうし た存在があることが認知されるようになればいいと思っております。これは 差別につながるような、あるいはランキングにつながるようなことでは決し てなく、こうした専門性の高い看護職の存在によって、国民の医療の質がい い方向へ向いていくための資料を提供できればと思っております。リハスタ ッフの需給等について、厚生労働省がどのように把握しておられるか、併せ てお伺いしたいと思っております。 ○部会長 リハのことについてお答えになられますか。 ○医事課長 リハビリテーションスタッフということで、以前PTとOTの 需給の見通しをやりましたが、そのときと比べていまは養成する学校も、養 成の人数も非常に増えてきておりますので、私どもとして近々の時点で非常 に不足をしているとか、不足する状況にあるというようには認識しておりま せん。 ○見城委員 2点質問があります。1点目は、看護職員需給見通しの23頁の 部分です。この数字からいきますと、先ほど十分足りているというか、オー バーしているというご説明がありましたが、現実にはFTA等で、東南アジ アからの人材を移入するという動きがあります。そのときに出されたのは、 看護師等のなり手不足と、現状として不足しているということで、東南アジ ア、特にマレーシアなどからかなりの人数を定期的に導入していくという意 見が出ていました。こういうことに対して、もしこの数字が現実であれば、 バランスが崩れるのではないかと思います。そういったFTA絡みのことに 対して、厚生労働省さんはどのように対処されているのか、受けとめていら っしゃるのかという問題があります。  もう1つは29頁です。へき地の対策というのが随分叫ばれて、なかなか具 体的な解決案が出ないという流れを、いま伺いましたが、例えば高齢化と合 併とで地図が動いておりますね。できれば、そういう中にあって現在へき地 とする所のデータを改めていただきたいのです。つまり地図自体が変わって いるのに、一言で「へき地」と言って対応策を考えていても、具体的な対応 策はミスマッチするかもしれません。そういう観点から、高齢化や合併の変 化に伴った地図上、人口上の変化に対して、どういう所を改めてへき地と指 すのかという、そういう確固たるデータが必要ではないかと思います。この 2点です。 ○看護課長 FTAに関連するナースの移動、あるいは介護福祉士も含めて の議論ですが、昨年の秋に日比の首相間で大筋合意ができましたので、やが て受入れを進めていかなければならない状況にあります。前にもご説明いた しましたが、これは経済連携の観点から相互の社会の活性化、発展を図って いくという観点での合意です。  私どもは、日本の中で基本的な医療を担うあるいは看護を担う人間は、日 本人で賄っていくべきだというスタンスを持っております。看護師不足を外 国人の看護師で補うといったことについては、アフリカからイギリスへとい った移動の実態などに対しても、国際的にも批判があることを踏まえますと、 そうしたことではいけないのではないかと思います。つまり政策的には日本 の中で日本人による看護師の確保ということを、きちんと整えていくと。一 方、別な観点で外国のナースを入れることについては、それはまた別の次元 で考えて対処していくべきであろうと思っているところです。 ○松井委員 まず1点目ですが、医師の需給の検討会において、さまざまな 論点が出されていることはこれで分かりました。そこで是非お願いしたいの は、需給見通しをするに当たって、どういう前提でこのように考えたのかと いうことも、十分議論した上で決めていただければと思います。と申します のは、どのような医療の質を確保するのか、医師の医行為の役割をどこまで 考えるのか、看護師の役割あるいはコメディカルとの連携は、どういう形で 持っていくのかということで、おそらく見通しも相当変わってくるのではな いかと思います。また先ほど古橋委員がおっしゃったように、医療の質が上 がっていくことに対して、どこまで対応していくのかによっても、見通しは 相当違ってくるのではないかと思います。  マクロ的に大体足りているという話は、おそらく看護師も、医師もそうな るのかもしれませんが、診療科別などミクロで見ると足りない部分は相当あ るわけです。では足りない部分に対する施策にはどういうことがあり得るか。 こういう観点も入れたほうがいいとか、完全な解決策ではないとしても、そ ういう点での指摘なども、やはり検討会の中でお考え願えればと思います。  付け加えますと、おそらくへき地の問題もそういうことが重要になってく ると思います。へき地の問題では診療報酬をすごく厚くするというご提案が、 先ほど杉町委員からありましたが、それは別な言い方をすれば、そこにいら っしゃる方々は大変高い負担をするわけですから、交通が便利になってきて いる中でどこまでできるか、あるいは離島になるとドクターヘリなども必要 になってきますので、さまざまな対策の中でどんなものが必要なのかという ことも、検討してもらえればと思います。  もう1点重要なことは、看護師の需給もそうだと思いますが、本当は医師 の需給を考える上で、今後立てられる医療計画によって、どういうものを組 み込んでいくのかということと相当関連があるのではないかと思うのです。 医療計画では新たな考え方が提案されていますが、それと独立した形でどう やってつくっていくのか。看護師については都道府県にアンケートを出すこ とになっていますが、本来は医療計画などとも非常に密接な関係があるとい うことも、十分踏まえて検討してほしいと思います。  また、看護師は数として足りていると言われておりますが、現場では不足 と言われております。そうすると医師も含めてそこの需給をマッチングする 仕組みなどを、何らかの方策を、もっと新たに構築していく必要があるので はないかと思います。派遣法では紹介予定派遣ということで、若干は認めら れるようになってきたようですが、そこも本来どうあるべきかということも 含めて、ご検討願えればと思います。  ちょうど歯科医師の臨床研修が始まると聞いております。すでに医師のほ うは始まっていると思います。マッチングの基本的な考え方は大体同じだと 思いますので、既存の資源をできる限り有効に利用していただいて、国費の 無駄な使われ方はしないように、是非お願いしたいと思います。 ○指導課長 先ほど見城委員から、へき地における実態のデータのご指摘が ありましたが、そのとおりです。へき地の検討会のほうで現在、直近のへき 地の状況、わかりやすく言えば無医村はどうなのかという調査をしておりま すが、残念ながらまだその結果が出ておりません。それは検討会のほうにも お示しする予定ですので、併せて部会のほうにもいずれお示ししたいと考え ております。ちなみに、ずっとへき地医療対策を立ててきたわけですが、40 年当時ですと「無医地区」と言われる所が約3,000弱、2,920地区でした。こ れを人口にいたしますと、120万人がその中に住んでおられたという形にな っております。直近ではないのですが、前回の調査、平成11年のレベルで申 しますと、無医地区数は914地区で、その中にお住まいの方々で申しますと、 20万人の方々がいらっしゃいます。それから5年経っておりますので、直近 のデータはまたお示ししたいと考えております。 ○大橋委員 2点だけ申し上げます。23頁の看護職員需給見通しで、看護師 の問題があります。確かに自分も看護師は増えているように感じるのですが、 行政の立場として公的病院からも、看護師が足りないということで頼まれる のです。当直をしてくれる看護師がいないのです。自分の所で考えましても、 「午前中だけ」とか、「5時までならいいですよ」という看護師がいっぱい います。いざ当直の看護師を探しても、現実にはないと。それで公的病院か らも、「何とかしろ」と言われているのです。これには地域差があるかもし れないのですが、地方ではこんなことが1つありますので、それを解決して ほしいということです。  皆さんのお手元へ、A4の資料を配付させていただきましたが、医師過剰 時代に専門医の細分化が起きて、極端な形では心臓弁膜は得意だけれど、心 臓血管のことは知らないという傾向にあるわけです。専門は心臓だから私は 腎臓はわからないよということで、一般の患者を診ることが何もできないと。 そういうことで公的病院で、現実に訴訟があったのです。肺がんを見落とし て訴えられたら、また答えも答えで、「僕は専門が循環器だったもんで」と いう答えが返ってきたのです。驚いてしまいました。やはりインターン制度 があって、2年間の研修でいろいろやるというのは、非常に大事だなという 感じを強く持ったところです。質の問題ということでは、本当に異常なドク ターもいます。現場から外してしまえというのも、おっしゃるとおりです。 とんでもないことをする奴はぶち込めという話もありましたが、私もそう思 います。 ○山本(信)委員 2点あります。1つ目は、資質の向上と人材の確保とい う点です。そのためにはいわゆる専門教育をする養成機関の教育の仕方と、 資格を取った直後の臨床研修というのが、当然必要になるだろうと考えます。 薬剤師の場合は残念ながら、卒前についても直後についても、そうしたもの がまだ必修化されていないというのが現状です。現実には薬剤師会等でその ようなものをつくって研修しておりますが、来年から薬剤師養成教育の6年 制がスタートいたしますと、卒前については数カ月間の実務実習が義務づけ られます。そうした実務を経験した薬剤師が卒業し、資格を取った後の卒直 後での実務実習というものが、この先、チーム医療を構成する中では、十分 に体系付けられた教育をする必要があるのだろうという気がします。是非こ の議論の中で、薬剤師の実務実習についてもそうした視野で、あるいはそう いった視点を持って論点の整理をしていただきたいというのが1点です。  もう1点は、へき地の件です。今日配られた資料の中にあるように、在宅 との関係でへき地医療の教育がされているわけですが、もともとここでの議 論は在宅を中心に考えられていることからすると、へき地で医薬品の供給を どうするのかという問題が発生します。先ほど杉町委員から多少不採算の部 分があるだろうというご指摘がありましたが、私もそれはそのとおりだと思 います。しかし、それをすぐに診療報酬でというのは、ここでの議論ではな いので、あまり触れる気はありませんが、少なくとも仕組みとして、へき地 での医薬品の供給体制をきちんととるということが明確に見えるような議論 をしていただきたい。特に医療というと処方せんによる投薬が専ら念頭にく るわけですが、医療全体、あるいは地域住民を考えると、一般用の医薬品の 供給についても、やはり考えておく必要があるのではないかという点からす ると、医薬品提供体制全体を踏まえたへき地の考え方、あるいはへき地にお ける医薬品供給体制についても、是非ご議論いただいて、書き込むような方 法を考えていただきたいと思います。 ○山本(文)委員 お願いをしておきたいことと、意見を申し上げます。へ き診についてなのですが、私の所はいまへき診は休診をしています。なぜ休 診をしたかというと、へき診は支援を受けているのです。ところが、その支 援の倍以上の費用が自己負担になってきます。したがって、経営が成り立た ないことになりますので、それよりも病人が発生したときに、どこか近くの 病院へ搬送してあげたほうが楽になるわけです。同時に、また、今は道路等 が良くなってきているものですから、へき診の診療所には来ない。また、へ き診に勤めている医師が往診をするというのが非常に少ないのです。だから、 へき診を守っていくためには、支援体制がもう少し強化されなければならな いと思います。支援が少ないと、どうしてもうまくいかない。  もう1つは、私の所は基の病院があって、へき診を設けている。したがっ て、不足する場合には大きい病院から支援していたのですが、大きい病院の ほうがやめてしまいました。やめたのはなぜかという話はしませんが、それ でもこのへき診のほうはうまくいかないのです。したがって、へき診に対す る支援を強化することです。  先ほどのあの委員のお話のように、地域の人たちの診療点数を上げるとい うことは、1つの方法かもしれませんが、へき地に住んでいる人ほど、収入 の少ない人が多いのです。ですから、自己負担が非常に多くなってくるので、 それはむしろ無理ではないかと思います。考え方としてはそういうこともあ るかなと思いますが、へき地に住んでいる人たちは収入が低いわけですから、 点数を上げるということは、自己負担率が高くなりますから、少し無理では ないかと思います。それよりも、むしろ医療は税金でカバーしている面が非 常に大きいですから、この際、先ほどのお話のように、わずかの率にしかな らないではないかということであるならば、税のほうでこれをカバーしてや ればいいのではないか。ですから、へき診に対する支援というものを強化し ていくことによって、私はへき診が守られていくと思います。ですから、そ ういうことでお考えをいただければと思います。  次に人材の確保です。病院はもう私が申し上げるまでもありません。開設 者が全部違ってばらばらです。ですから、官公立があるかと思えば私立があ る、あるいは法人があるなどいろいろあるわけです。したがって、そういう ところに対して一律の人材の数値を設けて、それをそのまま当てはめていく ことになると、楽になる所と、非常に無理になる、強化されるという所も出 てくると思われます。この人材の配置数等については、そういう地域間格差 なども考慮し、もう1つは専門的な所にはこうするのだとか、一般的なもの にはこうするという中身に入ったところの人材をどうするかということまで 含んでの検討が必要ではないかと思います。したがって、平均値を出して、 それをそのままポンと当てはめるということは非常に困難だと思いますから、 いま申し上げたようなことで数字を出したものについて、それを各県ごとに 配慮して、どういう病院にはどういう人材の配置が必要であるというような 数字を出すやり方のほうが、かえって無理がないのではないかと思います。  ですから、厚労省で決めて、いきなりポンと当てはめていくというのは、 種々雑多な開設者になっていますから、なかなか無理ではないかと思います から、その辺を配慮していただければと思いますので、是非1つ検討してい ただきますよう、お願い申し上げます。もちろん、いままで私が申し上げた ようなことは、過去に皆さんたちが十分な検討をされていると思いますが、 残念ながら私はその場にいませんのでわかりません。したがって、是非そう いうことを検討していただくことをお願いして、意見としておきますので、 よろしくご配慮ください。 ○杉町委員 先ほどと関連してですが、松井委員、山本委員から、へき地の 医療費が高くなるというお話がありましたが、運用の仕方によって、例えば 3割負担の所をへき地によって1割負担にすることによって、むしろ負担を 軽くすることもできますし、やり方によってはいろいろなことができるだろ うと思います。ですから、へき地の方に医療費をよりたくさん負担していた だくというのは、これはよくないことだと思います。 ○尾形委員 人材の確保ということで2点ほどコメントさせていただきます。 1つは、人材確保の問題を考えるときに、先ほど松井委員から、マクロの問 題とミクロの問題を区別すべきと、まさにそのとおりだと思います。それと もう1つ考えるべきだと思うのは、医療サービスを提供するときに、資本と 労働の組み合わせをどう考えるかということも重要な点だと思います。どう いうことかというと、日本の医療サービスというのは非常に病床数が多いと か、医療機器の数が多いというように、ある意味で資本に偏った形で提供が 行われている。それに対して労働が非常に相対的に手薄になっているわけで す。こういうようなやり方を今後続けていくのかどうかというところが、1 つ重要な論点だろうと思います。私自身はもう少し労働集約的な方向にもっ ていくべきだと思いますし、そのためには選択と集中のようなことが必要に なってくるのではないか。ですから、単に労働力の需給の問題だけではなく て、病床数や資本全体のバランスをどう考えるかというのが1つだと思いま す。  2点目は特定のポイントですが、先ほどFTAと看護の話が出ましたが、 この問題に関しては前にもお話が出たかと思うのですが、FTAの問題を考 える前に、もっと考えるべき問題はあると私自身は思っています。看護でい えば潜在看護師の問題は、非常に大きな潜在看護師の層がいるわけで、これ を放置しておくというのは非常に資源の無駄遣いだと思いますので、まず、 その辺の問題をきちんと考えていくべきだと思います。 ○豊田委員 医師需給に関連して提案を含めて意見を言わせていただきます。 医師が不足するといちばんの問題が地域格差ということで、そのいちばんの 典型がへき地ということで、いままで議論されています。最近問題になって いるのはへき地でなくても都市部においても基幹病院における診療に非常に 問題が生じている。例えば救急を行っている地域の中核的な病院の中で、そ の診療を担当する医師が、外来をやり、救急をやり、入院を診るというよう な、そういったことを強いられている病院がたくさんあるわけです。そうい った激務の中で、医師が完全に疲弊してしまい、とても続かないということ で現場から離れていくという現象が現実にあります。  そういうことに対して、医師が足りないから医師を増やせばいいというこ とは簡単ですが、簡単にはできない話で、これから先は提案ですが、そうい う状態に対してどういうように対応するかというと、現在その地域にいる医 師で、その地域の医療をカバーするしかないです。そうしたら、中核的にそ ういう救急なり、そういうことをやっている病院の医師は、入院と救急だけ に当たり、外来は、夜間の問題、救急になりますが、地域の医師が交替で当 たるといったシステムを、行政が支援して、このシステムを構築する必要が あるのではないか。そういう形にすれば、かなりの部分がカバーできると思 います。昨今問題になっている小児科では、非常にその問題が取り上げられ ていますが、別にこれは小児科に限ってのことではなく、内科、外科、精神 科みな同じです。以上、提案です。 ○箱崎委員 簡単に申し上げます。19頁、20頁に歯科の立場から歯科臨床研 修制度が平成18年からスタートであるということが記載されています。この 部分については日本歯科医師会としても全面的に指導医の養成等で協力する ことは、都道府県歯科医師会へ指示等も出しています。1点だけ私なりに考 えた問題点があります。先ほど申し上げた過剰の問題と多少絡むのですが、 要はいま歯科大学の大学病院で患者数の減少が言われています。これは厚労 省事務局でも把握していると思います。したがって、いちばんの問題点は今 後の卒後研修において、十分な患者の確保の部分が臨床研修にあたって非常 に心配です。その辺を加味して、今後の卒後臨床研修の中で対応を是非お願 いしたいということを申し上げたいと思います。 ○部会長 いろいろご意見をいただいてありがとうございました。本日のご 意見を踏まえて、事務局のほうで整理をしていただきたいと思います。先ほ どのご説明にもありましたが、関係するそれぞれの検討会があり、そちらへ もこの会の報告をしていただき、見直しの参考にしていただきたいと思いま す。その上で全体の進捗状況を踏まえながら、こちらの医療部会でも報告を させていただければと思います。時間が予定より少し過ぎましたが、次の議 題、「人員配置標準の在り方について」、これも1時間強議論をお願いした いと思います。事務局から資料2について、人員配置標準について、説明を お願いします。 ○企画官 それでは資料2についてご説明いたします。1頁で「人員配置標 準について」ですが、医療法における人員配置標準の考え方です。適正な医 療を実施するためには、一定水準以上の人員を確保する必要があるというこ とで、医療法では病院と療養病床を有する診療所においては有するべき人員 の標準が示されています。これは具体的には省令に書いてあるのですが、そ れを表にしたものが8頁にあります。医療施設別、病床区分別という表があ りますが、一般の病院については入院患者に対応する標準については、一般 病床については16:1、療養病床については医師48:1というような数字が 定められています。また、一般の病院の外来については、外来患者40人に医 師1人というようなことが省令で定められています。  特定機能病院についても、それぞれ入院についてどう、外来についてどう ということ。また、前回ご議論いただいたうち、有床診療所のうちの療養病 床を有する診療所については、医師1人というのは変わりませんが、看護師 あるいは看護補助者についての標準が定められているとなっています。この ほかの精神病院、結核病院についても、それぞれの標準が定められていると いうのが現在の状況です。  1頁に戻って、最初の四角の上の注です。いま標準という言葉を用いまし たが、人員配置標準を満たさない場合であっても、患者の傷病の程度、ある いは医療従事者間の連携等により、望ましい一定の医療水準を確保すること が十分可能な場合もあるということで、最低基準ではなく標準ということで 定めています。とはいえ、標準ではあっても、標準数を満たさない、標準に 欠ける標欠の医療機関は医療法に反するということです。なお、診療報酬で は、医療法における人員配置標準を踏まえ、手厚い配置がされていれば加算 されますし、標準を下回る配置、一定以上不足している場合は減算されるな ど、一定の評価がされているということです。  根拠条文は枠囲みのとおりです。なお、枠の中に病院等と、特定機能病院 がありますが、病院等の2つ目の○、員数の標準とアンダーラインが付いて いますが、特定機能病院のほうは員数の標準ではなくて員数ということで、 これは下回った場合は名称を称することの承認取消しにつながるということ です。  2頁、配置標準の運用の取扱いがどうなっているかです。病院、療養病床 を有する診療所では従業者の標準を欠ける状態があった場合には、ただちに 業務停止ということに連動するのではなく、まず都道府県等による立入検査 等の際に改善指導を行うということです。なお、従来その際の実効性を確保 するための根拠規定がなかったことがあり、前回の医療法改正で医療従事者 の数が人員配置標準を著しく下回って、適正な医療の提供に著しい支障が生 じるというような場合、具体的には員数の標準の2分の1以下が2年を過ぎ て継続していて、都道府県医療審議会の議論を経ても、一定の改良措置を図 ることが必要だと認められた場合には、都道府県知事が一定の命令を行うと いう根拠規定となる条文が、前回の改正で初めて置かれたという形になって います。3つ目のポツは、先ほど申しました特定機能病院の場合は、標準で はなく員数なので、それに不足があれば称することの承認取消しができるこ とになっています。  3はこれまでの経過ですが、昭和23年に医療法制定と併せて人員配置標準 が定められました。その後、歯科医師について定めるとか、精神、結核につ いて定めるなど、特例許可老人病院、特定機能病院と、平成4年までについ ては新しい類型について、これに応じて配置標準を定めたということであり、 平成10年と12年に、病院薬剤師の関係、看護師の関係で数字の見直しをし たというのが2例です。  なお、平成16年に、へき地等における医師確保支援の特別対策ということ で、医師についてはへき地で、地域医療確保のために必要な病院で、医師確 保の取組みを一生懸命にやっているけれども、なお著しく困難な場合につい ては、配置標準を9割相当に緩和するということの特別措置を行っていると いうことです。  3頁と4頁は2つあった見直しをした例です。3頁は病院薬剤師について、 従来は調剤数をもとに員数の標準を定めていたわけですが、病院薬剤師の業 務が変化をしてきているということを踏まえて、調剤数80:1というやり方 から入院患者数と外来処方せん枚数とに対応した数字に変えたというのが、 平成10年のことです。70:1、75:1と数字を定めましたが、3年後を目 途にまた見直しを行うとされ、13年に検討会が行われ、その時点ではただち に変更する必然性は認められなかったが、また3年後を目途に検討を開始す べきという指摘がされています。  4頁は前回、平成12年の改正の際の一般病床の看護職員の配置標準の見直 しということで患者の治療体制の向上のために、従来の「その他病床」にお ける4:1の標準数を引き上げ3:1として、看護職員の充実を図ったとこ ろです。なお、この見直しについては経過措置があり、へき地と200床未満 の病院については、施行後5年間、これは13年3月が施行だったので18年 2月末までになりますが、その経過措置という、具体的には4:1が適用さ れるという経過措置が講じられているところです。  5頁です。こういった問題について、昨年の医療分野の規制改革検討会報 告書では、どういったことが指摘されているかということです。1つ目の○、 医療機関の人員配置状況などについての情報や医療の質をアウトカムで評価 した情報などの公開を進めるということで競争を促進し、患者に選択されな いものが排除されるような仕組みに変えていくということで、規制について の弾力化、緩和、あるいは廃止という指摘もある。  一方で、12年の改正で、看護職員の配置標準の規定化されたこともあり、 さらに、医療の高度化等を踏まえて、看護職員の配置標準などについて引き 上げを求めるという意見もあるわけです。現状においては一定の規制が必要 であろう。ただし、引き続き検討が要るだろうということです。  4つ目の○は、この場合、医師については、特に地域偏在の是正が課題と なっているということで、地域ごとの医師の充足状況が違うと考えると、そ の医師の配置標準について地域の実情に応じて見直すということが考えられ る。こういったようなことが昨年の1月の検討会で指摘されています。  なお、現状の配置標準への適用状況です。7頁に3つの表があります。い ちばん下が人員配置標準の遵守率で、医療法25条に基づき、病院に対する医 療監視の結果、平成15年では医師についての配置標準遵守率が81.3、薬剤 師が88.0、看護師等が98.8です。なお、医師も81.3とはなっていますが、 これは全国平均ですが、例えば近畿ブロックでは93.8である一方、北海道、 東北では57.2%ということで、地域による違いもあるということです。平成 8年が57.8だったところから見ると、だいぶ上がってきてはいます。  6頁に戻ります。人員配置標準に関する論点としては、1つには現行の医 療法では人員配置は最低基準ではなくて標準数が定められており、配置標準 の在り方をどう考えるか。どういう配置をしているかという情報を医療機関 が公開することで、配置標準の緩和、廃止という指摘もあるが、どう考える かということが1つあります。一方で、患者のニーズや医療サービスが多様 化している中で、実際の業務内容・量を踏まえると、医療の高度化等に対応 する観点から、病院薬剤師や看護職員などの人員配置標準を見直す、充実の 方向で見直すという必要の指摘もされていますが、これをどう考えるか。仮 に医療法における人員配置標準を充実させた場合には、診療報酬上の評価を それに伴わせると、経済的な国民負担になるということについての考慮も必 要である。また、へき地など医師等の確保が困難な地域があるということを 考えると、全国一律での配置標準を規定しているということについてどう考 えるか。  人員配置標準の規定がない診療所と比較すると、病院における外来患者に 基づく医師数の規定、外来患者40名に医師1人という規定があるわけですが、 これは必要ないのではないかという指摘もあるわけですが、これについてど う考えるか。こういったところが人員配置標準に関する論点ではないかと考 える次第です。 ○部会長 ありがとうございました。それではただいまの説明、あるいは資 料2に関する質問を含め、ご自由にどうぞ。 ○土屋委員 7頁に人員配置標準の遵守率と出ていますが、これは医療法25 条に基づく立入検査の結果ということなのですが、平成14年から15年にか けて、75.0が81.3と、6.3%改善されたということなのですが、この中に例 の名義借りというものも入っているのではないかと考えられるわけです。で すから、実態はそんな状況にはなっていないのではないかということがまず 考えられるわけで、私はへき地保健医療対策検討会、あるいは医師の需給に 関する検討会等に出させていただいていますが、地域の中小病院は医師不足 ということで、医業を継続できない。例えば、新しい臨床研修制度によって ドクターを引き揚げられてしまったということ等々、いろいろな理由は考え られるわけです。それまではかなりその地域にあって高度の医療を提供して、 地域の医療の重要な役割を担っていた医療機関が成り立たないということか ら、これが有床診療所、あるいは診療所に変わりつつあるという、いうなれ ば地域医療の崩壊につながりかねない状況がいま起こっているやに聞きます。  へき地医療など医師等の確保の困難な地域があることは、皆、承知してい ますが、全国一律で人員配置標準を規定していることについての問題点は、 何もへき地・離島に限ったことではありません。地域にあってそれなりの医 療を提供してきた地域の病院が、その提供されている医療にふさわしい、背 伸びをしないでいい、身の丈に合った人員配置標準を選択できるという仕組 みにしていただくことが、どうしても必要なのではないかと痛感しています。 是非、ご理解をいただきたいと思います。 ○鮫島委員代理(山崎参考人) 医師の人員配置については、1頁にあるよ うに医療法施行規則の19条で計算されているのですが、これが昭和23年の GHQの占領下において作られた法で、57、8年全然変わってこなかったと。 終戦直後の計算の仕方が50数年間使われていて、その算定式でもって医師数 を算定して、標欠病院である、標欠でないというようなレッテルを貼ってい ること自体がおかしいということと、1頁にあるように、医療法基準を満た しているということが診療報酬と連動しているわけですが、そうすると、先 ほど佐伯委員からご指摘があったように、標欠病院に及んでしまうために、 性格的に問題のある医師をクビにできないという、非常にそういう病院にと ってはジレンマがあります。  私は30年間に数十人の欠陥医師という先生方に会っています。いわゆるド クターハラスメントを巻き散らすような先生がいたり、あるいは大学病院か ら出張で来た先生がそういう先生であったとしても、その先生を今度大学病 院に引き取ってくれというと、次年度からはもう出張病院から外されてしま うという不条理が現実にまかり通っているわけです。人員配置基準や病院の 構造基準について、事務局に聞きたいのですが、諸外国において国が人員配 置基準や病院の平米数の構造基準を規定している国があるのでしょうか。 ○部会長 お答えになられますか。 ○総務課長 把握しておりませんので、確認してご報告したいと思います。 ○鮫島委員代理(山崎参考人) 私が調べたところでは、構造基準とか、人 員配置基準を国が定めているのは日本だけなのです。したがって、構造基準 にしてもこういうものを何平米作れと規制してしまうから、病院が無味乾燥 な病院しか作れないのです。したがって、こういう基準は、排除すればもっ といろいろな経営者のコンセプトを盛り込んだ病院が作れると思うし、人員 配置基準にしても、現在そういう欠陥を持ったドクターが、今日時点で日本 全国で相当数働いていて、結果としては患者が非常に迷惑しているというこ とを、ここで強調したいと思います。 ○小山田委員 1つの基準としていままで昭和23年からやられてきたので すが、この根拠がもうなくなっているのです。それで、結論から言いますと、 国が一律の基準を作ることは難しいだろうと思います。というのは、各病院 の中でもそれぞれの病院がもっている診療能力ということからすると、どう しても必要な数が決まってきますし、病院の中でも診療科によって絶対に確 保しなければならないというのがあって、一様にすることがなかなか難しい し、また地域的にも本当に必要な医師の数というのが違うのです。ですから、 一律にするのは難しい時代ではないか。しかし、もし仮にそうしたある基準 が必要だとすれば、基準の決め方は、医師の労働性にあるというのが1つの 切り口だと思うのです。いま、それぞれの診療科によって、あるいは病院に よって医師の労働時間が随分違うのです。全体としては非常に多いです。そ うしたものの切り口は、そうした形からの標準化しかないのではないか。も っとあればもっとよろしいのですが。  そして大事なことは、この病院で、あるいはこの地域でこのような診療科 があって、そこに医師が何人いるかということを地域の、あるいはそれを受 ける患者にはっきりとわかるように公表することがいちばん大事です。産婦 人科の先生が1人しかいない大病院、産婦人科の先生が3人いる小さな病院、 ということをはっきりと公表すれば、選ぶ患者の立場からすると、そのほう がむしろ重要なので、どちらかというと、基準よりもむしろそうしたことの 公表で、受ける側の患者が選べるようなことを明確にすべきだ。そして、必 要なものはそれぞれの病院が決めるという形になるのではないか、と申し上 げたいと思います。 ○山本(信)委員 6頁に病院薬剤師と看護職員等の人員配置を見直すのは どうだという論点が整理されています。いままでの経過からすると、私も是 非こうした機会があれば見直しをお願いしたいと思うところです。ただその 際に、いま小山田委員、山本委員も言われたように、個々の枠組みを決める ことがいいのかどうかという議論がまずあって、医療全体として医療安全、 あるいは安心して安全な医療提供体制を組む上で、医療機関の中ではどれほ どのスタッフが要るのだということがまず議論されて、その中で例えば職種 間でどんな割合があれば十分な医療提供ができるのかという議論が必要なの ではないかという気がします。  特に薬剤師のことですので、少し触れさせていただければ、医薬品にかか わる事故が多いという中で、その充実を見直せと言われていますが、それも 実際の個々の数ももちろん大事ですが、個別にここで議論するというのでは なく、医療機関全体としての必要な人員をまず考えて、それぞれに応じた必 要な数を押さえていくという議論が必要と思います。全体の議論と同時に、 配置に特化した議論をするような場を設けて、全体の議論と併せてしていた だければ、もう少しわかりやすい標準ができるのではないかと考えています ので、事務局でもその辺りをご検討いただきたいと思います。 ○辻本委員 先ほど来公表という、患者への情報提供を含めてのお話が出て いますが、そのことについて患者の立場から申し上げたいと思います。いま 患者のニーズが高まっていますが、それに答えるのは最後は「人」というこ とになります。医療は人と人の間で行われる行為ということから考えれば、 いまの配置で患者はもちろん医療者も満足できるはずがない。しかし、この 6頁にも書いてある3つ目に診療報酬ということで、結局は患者の負担にな っていくということを患者がどう考えるのか。それを厚労省だけの場で考え ていても、本当の意味の患者の真意はつかめない。もっともっと患者をエン パワーメントするという意味も含めて、この問題を広く国民的な議論にして いくことが、いまこそ必要ではないかと考えています。薬剤師の問題にして も、前の議論のときに私も申し上げましたが、例えば6年制になって臨床指 導ということを誰がやるのか、現場は非常におそまつな状況です。そして、 前々回全田会長がいらしたときに私も尋ねさせていただいたのですが、例え ば混注業務を安全なシステムで、薬剤師がやっている病院がどれぐらいです かとお聞きしたら、1割そこそこですという、そんなお話で、そういったこ とを患者はほとんど知りません。国民も知りません。この基準と標準の違い すら、患者は知らないという状況がある中で、もう少しこの議論を国民とい うところに広げていっていただきたいと思います。  ナースについても例えば病院に入って、2:1ですと書いてあると、さす がに最近は患者が常時2:1という理解はしなくなりました。それも教育、 あるいは情報提供だと思うのです。3交替で、そこに産休などがあれば8: 1。そして夜間となれば、もっともっと寂しい現実があります。  先日もあるご家族からの相談で、たんの吸引が必要なお父さんが入院中、 夜間の手薄な状況で苦しんで、大きな声で一生懸命ナースを呼ぶのだけれど も、ナースは聞こえていても手が放せないで、10分後にようやくそのお父さ んのところに駆け付けたときには、もう心停止というような、この状況を考 えても患者も被害者ですが、ナースもバーンアウトしてしまう被害者だとい つも思っています。そういう議論をもっと患者に、国民にということをこの 機会に是非とも提案させていただきたいと思っています。 ○尾形委員 資料7頁のいちばん下に、人員配置の遵守率の推移が出ていま す。これを見ると大変興味深いというか、平成8年から15年までの7年間で 医師、薬剤師、看護師と、看護師はもともと高いのですが、特に医師、薬剤 師を見ていただくと、大変遵守率が上がっているわけです。もちろん先ほど からお話が出ているように名義貸しの問題など中身の問題、背景がいろいろ あるとは思いますが、一般的にいうとこういうものが上がっているというの は、実は政策効果が上がっているというふうに普通は見るのだろうと思いま す。あるいは、医療提供側から見るといろいろ問題はあるかもしれませんが、 医療の受け手の側からいうと、評価できるものではないかと逆に思えるわけ で、その辺をどう考えるかということを1つ是非、踏まえて議論すべきだと 思います。  人員配置基準ということで最低基準ではないということですが、事実上、 例えば看護職ですと4:1から3:1に引き上げられたということになって いるわけです。こういう言葉はちょっときついですが、下を引き上げるとい う護送船団方式的な方式を、ずっと続けるのかどうかというところも論点で はないかと思います。診療報酬の話になるかもしれませんが、ある意味では 上を引き上げるという、資源をもう少し重点化していくことが必要なのでは ないか。例えば看護職でいえば、一定の条件の下に1:1を認めるとか、そ ういうことのほうが全体としての質を高めていくことにつながるのではない かと考えます。 ○山本(文)委員 1つ2つ申し上げたいと思います。人員配置ですが、6 頁に書いてあるように、標準にするとか最低基準にするとか、基準にするか 標準にするかということなのですが、病院が先ほど申し上げたように全部違 うのです。ですから、いうならば標準みたいなものを決めておかないと、何 のための国の方法でこういう整理をしているのか、指導するのか、行政をや っていくのかということになりますから、やはり標準は決めるべきだと思い ます。ただし、その間地域の自由裁量だけは含めておくという標準を加味す ることが必要だと思います。きちんと何もかも機械のように決められてしま って、その部品の1つでもなければこの機械は動かないというようなやり方 ではなくて、標準数値を出しておいて、それから先については自由裁量に任 せるという、少し大まかというかゆとりのあるやり方のほうがいいのではな いか、これから先はそう思います。  へき診のところなのですが、へき診がうまくいっている所は非常に感心す るのですが、私の所などはへき診の医師はオールマイティでなければ駄目な のです。専門化がどんどん進んでいるときに外科も内科も全部診れるような 人、あるいはそういうことができる人でないと、へき診の医師は務まらない と思います。だから、そういうことで若い人が来られるのですが、そんなこ とを言うと叱られるかもしれませんが、自治医大の卒業生が義務的に6年間 なっているのだそうで、そういう人たちが来ます。ところが、まだなったば かりで、何もかもわかるということはとうてい不可能ですし、そういう人が 来てやるとしても、地域の人たちに喜ばれるような医療はできないと思いま す。だから、へき診はよほど考えてやらないと、将来も続けていくとすれば、 現行のやり方ではとても続かない。いま続いている所は大変努力をしている 所だと思いますので、是非そういう点について考えていただくようお願いを 申し上げておきたいと思います。  病院の人員配置で考慮することは、大病院で専門化していますから、この 医療法の中で必置のものがあると思うのです。例えばレントゲンを置かなけ ればいけないと決めてあるのですが、決めていないもので専門的な機械器具 がたくさんあると思うのです。そういうものがたくさんあるところは人員が 多くなるでしょうし、それがなくてもきちんと診療のできる病院はそんなに 人は要らないということもあるわけです。ですから、病院の中身、診療科目 や規模、あるいは開設者等々を考えて、地域的な配慮をしてあげて、人員配 置をすることがいちばん望ましいと思いますので、その辺をこれからも十分 に配慮することが必要だと思います。  なぜ私がそう申し上げたかというと、いまの一定の基準によって診療報酬 が決められていますから、そういうように一定の基準以外の所でも、きちん とやれる病院、医院はあると思うのです。ところが一定基準を対象にして診 療報酬を決めていくものですから、基準より低い所になると不利益な取扱い になってしまうのです。ですから、そういうことも少し考えてやっていただ ければ、もっと充実した医療行為が進歩していくだろうと思います。その辺 を申し上げておきますので、ご配慮いただきますようお願いを申し上げてお きます。 ○辻本委員 8頁の表ですが、例えば一般病院の外来の配置ですが、患者の 状況はいま随分様変わりをしてきています。平均在院日数が14日ということ になって、例えば抗癌剤治療の点滴を入院ではなく外来でということになっ て、システム、医療の質が変わってきたことで、十分な配慮ということも図 られてはいると思います。しかし、例えば30人の外来患者にナース1人では、 患者が不安だったり、話を聞いてほしいというところに寄り添えるはずがな いわけです。ですから、処方箋75枚に1人の薬剤師の配置も、ここまで院外 処方、医薬分業が進んでくれば、当然に見直さなければいけないことですの で、外来というところにも平均在院日数などの違いからきている諸々を、患 者に、国民にもよくわかるように、是非とも情報を公開していただきたいと 思います。 ○龍井委員 配置標準が定められた当時の数字上の根拠と、特に理由です。 6頁の最初にある論点を主張される方に質問ですが、情報を公開する、我々 患者側からすれば判断の基準を示していただくことと、標準が設定されるこ ととは次元が違う話ではないか。つまり、我々からすれば何らかの目安でも って質の確保がされていることがほしいわけです。ですから質の確保が単に 数字だけでわかるわけではない。しかし、それは1つの目安であることは間 違いないし、質と連動しているものであると推測するわけです。ですから、 緩和ないし廃止ということで、ほかにどういう手段、あるいはどういう目安 をもって我々が要求する質の確保について発信されようとしているのか、あ るいはそれが人員だけでなければ質を判断する、評価するものは何なのか。 結局現状でよくも悪くも標準なわけです。標準であれば、いまのところそう したいろいろな幅広く取れば、診療報酬までつながる議論になるのかもしれ ませんが、質を確保されるためにはどういう目安が必要かという議論の中で、 この問題を扱っていただかないと、基準と標準という問題だけで廃止、緩和 といわれても、そうなのかと、少し腑に落ちないので、もしお答えがあれば お聞きしたいと思います。 ○企画官 昭和23年当時なぜその数字にしたのかという質問ですが、病院と 診療所に分けて、病院については傷病者が科学的でかつ適正な医療が受ける ことができるきちんとしたものにしようという発想で、病院を位置付けて20 床以上と決めたわけです。その際に、病院の内容について一定の改善を図ろ うということで、配置標準を決めましょうとされて、そのときに1人の医師 が入院患者のみの診療を行うとした場合の担当する患者数と、外来患者のみ の診療を行う場合、担当する患者数をベースに基準を定めたらいいのではな いかということを考え、その基礎となる数字については、当時、現に行われ ていた国立病院をもとに、その時点の判断として、1人の医師が適正な診療 を与え得る1人の患者数は、入院患者のみの場合は16人、一般外来患者のみ の場合は40人という数字を決めたということが、昭和24年に出された本に 書かれているところです。 ○三上委員 医療は人集約型というか、労働集約型の産業ということで、人 員配置は診療報酬と全くリンクしたものであると考えています。先ほどから 質を担保するためにもう少し手厚い人員配置が必要ではないかというお話が ありましたが、例えば外来について30人に1人を20人に1人の看護師が要 るとすると、1人対20人の看護師の再診料等で、その看護師の人件費を賄わ なければならないことになります。そういうことになると再診料にはドクタ ーフィーも当然含まれるし、受付の事務職員のフィーも含まれてくることに なると、全く現在の診療報酬ではいかないですから、人員配置の話を論議す る際には、100%診療報酬とリンクするということを前提にお話いただきたい と思います。  また、外来についての人員配置基準については、本来医師は応召の義務が あり、10人診たら、あるいは30人、40人を診たらそこでおしまいというわ けではなく、来られた患者すべてを診るということで、患者数が入院ベッド 数のように決まった数ではないので、人員配置を決めること自体が非常にナ ンセンスではないかという気もしています。平均的な数でこの人員配置基準 が決められているということですが、実際に1人40人の外来患者しか診ない 医師というのはあまりいなくて、もう少したくさん診ているのではないかと いう気もします。当然インフルエンザが流行れば、100人200人と診ること も当然あるわけですし、こういった外来についての人員配置は、本来ナンセ ンスではないかという気がしています。 ○龍井委員 いまのご意見に対して質問したいのは、先ほどの説明で、もと もとの数字がいまと当初で的確かどうかというのは、先ほどご指摘があった ように、それの見直しはあり得るかもしれない。ただ、情報を開示すること でカバーされるというのは我々患者からすれば、やはりなにがしかの、そこ はナンセンスではなく、開示するだけの意味があると考えるわけです。だか ら、そこが一律に決めることが問題なのだという、しかし、やはり質の確保 ということについて連動していることはお認めなのですよね。 ○三上委員 はい。スタッフの数がどれくらいいるかということを開示する ことは、当然必要なことだろうと思います。ですが、何人のスタッフがいる ということで患者が選べるということであれば、それでいいわけですが、何 人いなくてはならない、そうでなければ標準以下であるというレッテルを貼 ること自体が非常に問題ではないかと思っております。 ○古橋委員 人員配置の件というのは、お話がいろいろ出ましたように、い つも医療の質や国民の受ける医療の安全性、医療従事者の労働環境の問題と、 それと対立軸に経営の事情とその維持、人件費がどれくらい割けられるのか という問題と、医療従事者、医師を含めコメディカルも含めた医療従事者の 確保の事情、こういう経営の事情と国民が受ける医療の安全がいつも対立軸 にありながら、いままで配置数の決定はある意味で現実論と妥協しながら決 まってきていることを実感しています。ただこの時代、先ほども出たように 医師の非常な激務、労働過重、夜間の患者対看護師数の驚くような対比、2: 1といっても辻本委員からも出ましたが、在院日数が短くなって入院の方の 病状の重症度はむしろ上がってきているわけです。そういうところに夜間は 患者20人に1人のナース、ときに25人に1人のナースという現実が起きて います。  私はこの前の回のテーマでも出ましたが、やはり医療は労働集約型のサー ビスが重要ですので、例えば現実の入院患者数が本当にこのままいくのか、 現在日本にある病床数と病院数がこのまま動かなければ、やはり人員配置は 現実との妥協でいかざるを得ないということもあるのでしょうが、そこの病 院の人員配置基準の広報の義務化を進めてはどうかと思います。2:1看護 といっても現実的に国民には、ややトリック的に見えてしまうわけですから、 国民の選択、賢い国民になっていくという手法も取り入れながら、現実にこ の病院は病棟何対何でナースがいる。昼間はどうで夜はどうだ、そして医師 は何人いるのだという辺りの当該病院の施設配置基準をしっかりわかるよう に、そして病院はこういうものを表示しているのだということがわかるよう に、国民に積極的に広報をしながらやっていく必要があるのではないかと考 えます。  やはり経営の事情と経営の維持は大きいことですし、人件費にどれだけ費 用が割かれるのかということは大きいこととは思いますが、これはある意味、 市場の原理、競争の原理が働きながら、国民にとって必要な病院が日本にあ るという形が必要ではないかという気がしています。ですから、国が法の上 で書いている配置と、実際に国民が理解する配置にはやはり乖離、格差があ るということを共通に我々は認識しておく必要があるのではないかという気 がしています。 ○松井委員 配置標準について、どうあるべきかというときに、この部会で 最低限共通認識を持っていただきたい点は、昭和24年に決めたものが、いま の医療の質を考慮したときに、それで十分とお考えになられる方はいらっし ゃらないと思います。私としては、配置標準を変えるべきか、残すべきかと いうことにおいては、いま古橋委員がおっしゃったように、国民の選択に委 ねて、質も含めてどのような医療提供をしていくのかということは、病院が 自主的に考えて発信してやっていけばいいのではないかと思います。ですか ら、標準はなくすのではなく、かつて使っていた目安だということを国民に よくわかるようにしておくことがまず重要で、それをどのように受け止める かは、国民の医療に対する教育をもっと深めていく中で考えればいいことだ と思います。その場合に、どのような情報を発信してもらうかについて、い わば患者の立場に立てば治療成績あるいは安全管理体制、経営情報なども本 来は公開してもらいたいとは思いますが、それも私は医療機関の自主性に任 せて、あの病院はここまで出すのかという判断をすべて国民が決めていくと。 それはどうしてかというと、治療成績については標準的なものがないから出 せないという議論がいままで起きていますので、本当はそういうものを開発 してほしいのです。しかし、できないから駄目だということをきっと医療提 供側から言われてしまいますので、できるものをどんどん出していく中で決 めてほしい。  最後にもう1点申し上げたいことは、経営の観点からすると診療報酬に極 めて関連があることは、私は十分理解します。しかし、今回の混合診療の論 議の中で、医師や看護師の手厚い配置というものについては、いわゆる混合 診療の対象としないという決着が図られたと私は理解しています。仮に、そ ういうことを国民として求めて、そういうものがいいと考える患者がいるな らば、その部分は医療機関の経営維持の観点からも本来認めていいのではな いかと思います。 ○村上委員 この昭和23年の基準は、これをもって医療監視をやって標欠だ というのはナンセンスだと思うので、私はこれは無くしてもいいと思います。 ただし、先ほど皆さんがおっしゃったように、国民に、どの病院に何人いる ということを知らせる形を作る。かつ多いところは、現在でも看護師の数に よって点数が付いています。だから、たくさん入れたところはたくさん出せ るような形にしないと。良質な医療を提供するためには人員が必要ですので、 保検点数のほうでいくべきだと思います。薬剤師の数についても、すべての 病棟を見てミキシング等を行う病院は確かに薬剤師が多いわけです。そうい うところにはそれなりの点数を付けることとリンクしていくべきだと私は思 っています。 ○佐々委員 いま村上委員のおっしゃったことは一理あります。これは保険 局のほうになりますが、前から中医協で申し上げていることは、例えば看護 師も2:1だからいくら、3:1だからいくらというのではなくて、入院患 者の重症度や医療必要度、看護必要度を基にしたものでないと、2:1を採 っていても非常に軽症な患者しか入っていないような病院がないとはいえな い。そういう意味では、これは医政局のほうではありませんが、そういうこ とを加味した新医療報酬の在り方というものをこれから進めていただきたい と思います。  それから先ほどの公表のことですが、これは本当にやっていただきたい。 この間の医療計画の見直し検討会でも出ていましたが、やはりこれは国及び 都道府県の行政の責任で、それぞれの病院の医師、看護師等の配置人員など を市民及び他の医療機関に公開することが必要ではないか。これは大変なこ とですが、行政にお願いしたいと思っています。 ○土屋委員 診療報酬がまずありきということよりも、先ほど申し上げたよ うに、やはり選択できるいろいろな段階を設けておいて、それを診療報酬で 政策的に考えたほうが現実的だろうと思います。医療計画の中に基準病床数 や病床区分などというものがまだ残っている以上は、そういうものは残して おいて、あとをすべて撤廃してご自由にというわけにはいかないのではない か。そうであったら、その時点では病床規制のようなものもなくなって医療 機関としては、将来的にどうなるかはわかりませんが、本来はそういう姿が いちばんで、その選択は国民に委ねる。そうすると医療機関は淘汰されてい くでしょうし、そのような格好になってもいいのかということを一応考えな ければいけないということです。  それから、昭和23年の配置標準には、その時点ではGHQに言われたから とはいうもののそれなりの理由があったのだろうと思います。そんな深い意 味ではないのでしょうが。8頁の図の欄外、「(注)耳鼻咽喉科、眼科に係 る一般病院の配置基準は、80:1である」、要するに2分の1でいいと。こ れは当時の中耳炎やトラホームが多かったときの疾病あるいは疾病構造を反 映しているわけです。そのようなことから、無意味にやったのではないとい うことを推し量ることができると思います。いずれにしても、40:1がその 当時から続いているとするならば、いま例を挙げたように、これは極めて現 実離れしている話です。そのような類のものはどこでも診られるわけです。 例えばインフルエンザのようなものが一時的に発生したとしても、これは大 概のところでよほど重症化しない限り診ることができることになっています。 したがって、この40:1のようなものも、その時点では意味があったのでし ょうが、いまでは全くナンセンスになってしまっているのかなと。この特定 機能病院は昭和23年からのものを引きずっているわけではありません。しか し、その基は16:1を8:1に倍のドクターを配置しようと、医療法まで改 正してこのようなものを置いたということは、何らかの考えがあってやって きたのだと思いますが、まだ、この昭和23年の省令の呪縛からは解き放され ていない証ということができます。 ○松井委員 ただいまの指摘について、確かに外来は意味がないということ はあると思いますが、重要なことは、医療計画を作っていく中で診療ネット ワークを組んでいく。その中で、例えば本来病院は入院ということになって いるものとの機能分化との意味合いも十分含めて考えなくてはいけないと思 います。病診連携の中で、例えば仮に40:1の規制を取っ払う病院は入院 でなくて診療も重く見る役割があるのだということも含めて、本来議論がな されるべきものではないかと思います。いままでの、病院は入院に特化して いくというものとは少し違うのではないかと思います。 ○杉町委員 この8頁の表ですが、これはあくまでも人員配置の標準という ことになっています。ただ標準といいましても、いろいろと末端のほうでは 拘束される面もあります。これを見てもかなり現実離れしていますし、この 表がなくても例えば看護師の場合は2:1、2.5:1、場合によっては3:1 とあります。それによって、患者側が病院を評価してそれなりの看護師しか いないところは段々冷めてくるでしょうし、きちんと看護師やドクターを揃 えているところはそれなりにきちんとした医療ができてくるだろうと。それ は、やはり患者がそういう病院を判断するだろうと思います。ですから、標 準がかなり現実離れしていますので、いまさらある必要がないのではないか という感じを受けています。  一般病院では医師が16:1となっていますが、一般病院の中にも平均在院 日数が12、13もありますし、中には30日を超えているところもあります。 それから救急を非常に一生懸命やっている病院は、これよりも遥かにたくさ んの人員を配置するところもありますし、それほど必要ないところもありま す。ですから、当然現場に即した人間を実際にそこで採用しているわけです から、あまりこれにこだわる必要もないような気がします。 ○大橋委員 医師数の規制で、先ほど企画官が外来患者40名に医師1人、入 院患者16名に医師1人とおっしゃいました。それは、昭和23年度の医療法 の制定でそのように決まったということですが、現在もこの医師数であれば 病院は経営できるでしょうかということを伺いたいのですが。経営できない のでこのような討論をするのではないかと思いますが、いまでも外来患者40 名に対して医師1人で経営ができればということは、公的病院も皆赤字でも 医師は十分いるところはあるわけですよね。内科でも、心臓、リューマチ、 胸等いろいろありますが、その医師1人1人がこの40名を診てないというこ とになるのではないかと思います。当時も現時点でも、これで経営ができる のか。やはり医師の給料はいちばん多いですからね、我々、公的病院を抱え ているところは皆赤字で困っているわけです。どこがこうなっているかとい うと、やはり医師数で、医師がそれだけ診てないのではないかと感じていま す。 ○松井委員 もし情報の提供、公開をしてもらう範囲においては、本来は診 療科別のようにもう少し細かいものがあったほうがいいと思います。そこま で医療機関に求めるというのも現実に難しい面もあろうかと思います。例え ば心臓外科でしたらもっと人員がいないと回らないということがありますの で、可能であればそのようなものも医療機関の自主的判断でどのぐらいやっ ているのかを公表してもらえると大変ありがたいです。看護師は数を単純に 診療科別に現すことは難しい面もあると思いますので、私としては、可能な 範囲と可能でない範囲は医療現場の方々の判断に任せたいと思っています。 ○山本(文)委員 公立病院の経費ですが、例えば看護職の経費は大体私立 を100とすると、そのうちの何%ぐらいが平均になっているのでしょうか。 それから7頁に数値が書いてありますが、例えば看護師ですが、毎年卒業し て新たに看護師になる人がいますが、そういうものと差があるのかないのか。 私の県では看護師の養成所が県立、医師会といろいろあります。ところが県 立で養成した人は半分に留まらず、よそに皆行ってしまいます。ですから、 うちの県では卒業している数値で余ることになるのですが、それでも足らな い時代がありました。それは半分以上がよそへ行ってしまうからです。その 人たちが皆就労していればいいですが、案外してないという感じもしないで もありません。新たに看護師になった人と実務に就いた人との差はあるので しょうか。 ○総務課長 一般的に公立病院の場合には、看護師を中心に人件費率が高い というのは、そのとおりです。いまデータを調べていますので、間に合いま したら後ほど報告します。 ○山本(文)委員 うちの県のことならわかります。うちの県はどのぐらい だと思いますか。私立が100で看護師の給与だけが120なんですよ。なぜか というと、これは給与表が悪いんですよね。ですから、よその県も一応伺い たいと思います。 ○小山田委員 厚労省に代わって申しますと、私は自治体病院全部を調べて あります。確かに看護師の給料を平均しますと、現在のところ25%高く、准 看護師は民間よりも50%高いです。この理由は、勤続年数が長いことと、公 務員給与の年功序列的な給与体系にあります。これは、平成14年のデータで す。他の公立病院、日赤や済生会も特に看護師が多いですから、全体の給与 費が高くなっています。 ○山本(文)委員 わかりますか、教えてください。 ○総務課長 ちょっと、いま費用の件の資料がありませんので、後ほど報告 します。 ○山本(文)委員 それならいいです。高いということだけがわかればいい ですから。 ○部会長 そろそろ時間です。いろいろご意見をいただきましたので、これ をまた事務局で整理していただいたうえで、改めて全体の議論との関わりで、 医療部会でもう1度報告、議論する機会をもちたいと思います。特に何か発 言はありますか。よろしいですね。  それでは、事務局から今後の日程について説明をお願いします。 ○企画官 本日の論点については、いま部会長から指示がありましたように、 整理を行い、今後改めて議論いただく際に準備をさせていただきたいと思い ます。次回は、5月12日(木)午後2時から開催の予定です。場所は、本日 と同じ7階専用第15会議室を予定しています。次回の議題は、前回検討しま した「在宅医療について」です。参考人として、尾道市医師会長の片山壽氏、 横浜市南区医師協会南区メディカルセンター訪問看護ステーション管理者の 高砂裕子氏、ホームクリニック川越院長川越厚氏のお3方をお招きして、意 見を伺いしながらご議論いただきたいと思っています。 ○部会長 それでは、本日はこれで閉会します。長時間ありがとうございま した。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)