05/04/27 第4回未承認薬使用問題検討会議速記録             第4回 未承認薬使用問題検討会議                    速記録                       日時  平成17年4月27日(水)                           10:00〜12:00                       場所  弘済会館 萩の間  川原医薬食品局審査管理課長  それでは定刻になりましたので、ただいまより未承認薬使用問題検討会議を開催させ ていただきます。議事に入ります前に本日の先生方の出席状況について報告させていた だきます。本日は黒川先生、有吉先生、篠山先生が御欠席でございます。川西先生は遅 れておられるようですが、間もなくお見えになるものと思います。  本日は座長の黒川先生が御欠席のため、事前に御相談させていただいておりまして、 座長代理の堀田先生に座長をお願いしての開催とさせていただくこととしております。  また、前回の会議におきまして、個別の未承認薬の検討に当たり、がん、小児、循環 器の3領域の専門家で構成されるワーキンググループを設置すること、その専門家は各 領域における医薬品の研究開発及び治験制度に精通した方々を座長に指名していただ き、それを検討会議に報告することなどについて御了解をいただきました。今回、後ほ ど御審議いただきます予定の品目、がんと小児領域のものがございますが、この検討に 当たっては事前に黒川先生から、国立がんセンター中央病院の藤原先生、国立成育医療 センターの中村先生の両名を御指名いただきました。そして、本日の会議で検討結果を 御報告いただくため、両先生に参考人として御出席いただいておりますので、その旨を 御報告させていただきます。  それでは堀田先生、以降の議事進行をお願いいたします。  堀田座長代理  はい、わかりました。不慣れではありますが、実のある議論をしていただきたいと思 っております。  それでは、まず事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。  川原課長  配付資料の確認でございますが、一番上に議事次第、次のページが配付資料一覧にな っております。資料1〜7までございまして、資料8が個別品目の関係で枝番になって おりまして、資料8−1〜8−3までございます。それぞれについては後ほど御説明さ せていただきます。その他に参考資料として、開催要項と構成委員の名簿をおつけして おります。  なお、これは先生方への補足でございますけれども、前回の速記録を机上に配付させ ていただいておりますので、ごらんいただきまして、何かございましたら1週間以内に 事務局まで御連絡いただきますようにお願い申し上げます。  堀田座長代理  ありがとうございました。資料の欠落等がありましたらお知らせください。  それでは議事に入りたいと思います。これまで3回の検討会議において、未承認薬の 検討スキームについてはおおよその御理解あるいは合意が得られたと思いますし、今後 の個別品目の検討に当たってはワーキンググループを設置して、検討結果をこの会議に 報告していただくことにしております。今回の会議からは、これまでの議論を踏まえて 個別の未承認薬について、その臨床上の必要性と妥当性についての評価を行っていきた いと思います。  個別の検討に入る前に、資料1〜6について、前回からの変更点を中心に事務局から 御説明いただきます。  川原課長  資料1〜6について説明させていただきます。これまでに提出された資料もしくはそ れを一部改定した資料ということでございます。  まず資料1をごらんいただければと思います。これは前回提出した資料と同じでござ います。1枚目は承認申請のための、通常の治験のスキームのフローチャートでござい ます。2ページは追加的治験、3ページは安全性確認試験ということで、この資料は前 回と同じで変更ございません。  資料2ですけれども、未承認薬を治験対象とする場合の考え方ということで、これに ついても1〜3回目までに御議論いただきまして、3回目でほぼ御確認をいただいた内 容で本日もお配りさせていただいているということでございます。  資料3でございます。未承認薬の欧米における承認状況の把握についてということ で、これは類型Iの品目について、こういう形で承認状況を把握するということで、こ れも3月までの御検討を通じて確定したものをお配りさせていただいているということ でございます。  資料4でございますが、ワーキンググループの設置についてということで、これも変 更はございません。冒頭に申し上げましたように、本日は参考人の先生にお越しいただ いておりますので、参考のために配付させていただいたということでございます。  資料5でございますけれども、未承認薬使用問題検討会議における対象医薬品案とい うことで、これも2月、3月の本会議で御検討いただいたものでございますけれども、 前回、「欧米4カ国で承認されたもの」というふうになっておりましたのが、欧米4カ 国のいずれかの国で承認されたという意味であるならば、それを明確にすべきだという ことで、「いずれかの国で承認されたもの」という文言を追加して、改定しておりま す。  資料6でございますが、1月の時点からお配りさせていただいておりまして、適宜改 定させていただいておりますけれども、過去5年間に学会・患者団体からの早期承認・ 早期保険適用の要望があり、かつ今年の3月以前に欧米4カ国のいずれかの国で承認さ れた未承認薬ということで、何度も申し上げますが、類型IIの未承認薬ということでご ざいます。情報をアップデートしておりまして、1ページにあります網かけのラロニダ ーゼ、ジアゾキサイド、これは本日御検討いただく品目でございます。2ページにはボ ルテゾミブというものがございますが、これも本日御検討いただく品目でございます。 5ページの後ろの方に参考ということでリストアップしておりますが、国内で承認され た医薬品について、オキサリプラチン、ボセンタン水和物、ボリコナゾール、この3つ が承認になっておりますので、場所を移動してございます。また、つい最近、患者さん の団体から本検討会での検討を希望する未承認薬に関する要望書を幾つか頂いておりま すので、それについては内容を整理の上、今後ワーキンググループで検討していきたい と考えております。  とりあえず以上でございます。  堀田座長代理  ありがとうございました。ここまでよろしいでしょうか。これまでに確認してきたこ とと、一部資料の変更がございました。  引き続き事務局から資料7を含めまして、これまでの経緯について御説明願います。  川原課長  次は資料7の説明になるのですが、戻って恐縮ですが資料5の類型のところをごらん いただけますでしょうか。類型Iについては、今後欧米4カ国のいずれかの国で承認さ れましたら、自動的に本検討会議の対象とするということでございます。類型IIは、資 料6のような医薬品ということでございます。類型IIIについては、前回の検討会議で、 アメリカFDAが過去2年間に承認したリストを配付しましたけれども、現在内容につい て精査中でございます。これら3つの類型の未承認薬に関する今後の検討スケジュール ということで、それが資料7に整理してございます。  一番上の段、類型Iのものについては、今年の4月から随時欧米での承認状況を把握 しまして、これらについてはワーキンググループでの調査検討を経て、次回7月を予定 しておりますので、この検討会議で御検討いただく予定と考えております。  類型IIIについては、FDAのリスト過去2年分を前回お示ししてございますが、その内 容を精査中でございます。必要なものについては順次ワーキンググループで御検討いた だきまして、ものによっては7月もしくはその次の10月の検討会議に諮るという形を考 えております。  それから類型II、資料6ですけれども、要望を出された学会・患者団体の方々に対し て、治験の枠組みを活用した切れ目のない保険診療との併用を希望するものかどうかを 事務局から確認しております。その結果、ほとんどのものは早期承認・早期保険適用を 要望するものでございまして、未承認薬としての使用要望は少なかったわけでございま すけれども、詳細確認中のもの、3月の時点で詳細確認中と申し上げたものが5つござ いました。それが、先ほど網かけをしていた部分ですけれども、適宜資料6をごらんい ただければと思います。ラロニダーゼ、ジアゾキサイド、ボルテゾミブ、ナタリズマブ についても詳細確認中という形にしておりました。4ページから5ページにかけて、イ ンターフェロンβ-1aというものにつきましても詳細確認中という形にしておりました。 これら5つについて未承認薬としての使用要望があるということで、詳細を確認してい たわけでございます。  ただ、ナタリズマブについては要望確認の直後に、インターフェロンβ-1aとの併用 例において米国で有害事象が報告されたということで、販売が自主的に中止されている という状況があったということでございまして、インターフェロンβ-1aについては現 在、国内で審査中ということもございます。したがって、この部分については安全性情 報の取り扱いということ、それについての欧米当局の動向もございますので、この2品 目については今回は見送りさせていただきまして、今回の会議ではラロニダーゼ、ジア ゾキサイド、ボルテゾミブの3剤について、ワーキンググループの先生方に検討をお願 いして、結果を報告していただくこととしたということでございます。  以上でございます。  堀田座長代理  ありがとうございました。これまで類型IIを中心に詳細の確認、あるいはワーキング グループの検討をしていただきまして、現在これは進行中ということですが、こうして いるうちにも承認になってしまうケースも幾つかあるという状況であります。一方、4 月以降新たに欧米4カ国のいずれかの国で承認されたものについては、自動的にサーチ してリストに載ってくるというスキームが資料7ということだと思います。  これまでのところで、ただいまの説明に関連した御質問等ありましたらお願いいたし ます。いかがでしょうか。どうぞ。  後藤構成員  先ほど御説明がございました類型IIのところで、各学会からの要望を聞くということ でございましたけれども、前回の会議以来、各学会について積み残したものがあったか どうかという確認作業というのは、どのくらいまで進んでいるのでしょうか。  川原課長  今のところそれほど、学会の方に対して個別にたくさん当たっているという状況では ございませんが、できるだけ早く提出いただければとは思っておりますけれども、各先 生方におかれましても、もし追加で要望する必要があるというものがございましたら、 呼びかけていただいて要望を出していただければと思っております。  後藤構成員  私が関係しております学会でも、こういう未承認薬の会議が、学会の要望に関しての 受け付けをしているという情報はあるんだけれども、実際にどういう形で、いつまでに どこに申請すればいいかということがわからなくて混乱しているというところが見えま す。ぜひそのあたりの整理をお願いしたいと思います。  川原課長  私どもの方に照会していただきましたら、要望の提出とかそういうものについては適 切に対応してまいりたいと思います。患者さん団体からはかなり、どういう形で要望を 出したらいいかとか、そういう問い合わせ等がございまして、そちらの方も対応してお りますし、学会の方からも幾つかあったとは聞いておりますけれども、網羅的には把握 しておりませんので、そこは適切に対応していきたいと思っております。  堀田座長代理  類型IIというのは自然発生的に要望のあったものが集積されているので、こういう検 討会で議題に乗って、このスキームがあるとなると、改めて要望したいという品目が出 てくる可能性ありますよね。それはこれからもある程度取り上げてやっていくというこ となんですね。  川原課長  そういうことでございます。  堀田座長代理  未承認薬については、例えば内保連とか外保連で各学会を対象に集めている状況があ って、その中に未承認薬というのが入ってきています。そういうものは学会レベルでは 結構検討して集めつつあるところですが、この検討会の俎上に乗るという手順にはなっ ていないということですね。  川原課長  私どもの方に早期承認なり早期保険適用、もしくは治験のスキームを活用して日本へ の導入を検討してほしいという形での要望をいただければ、この検討会議の俎上に乗る という形になります。  堀田座長代理  あくまで治験の枠組みの中でやるということについての要望なり要請があればという 話ですね。ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ。  川西構成員  資料7の関係なんですけれども、ワーキンググループからの報告というのが出ている んですけれども、ワーキンググループに関してはどなたがなさっているかというような ことは事前にあるんでしょうか。今回この3つを見せていただいて、これは見てみたい とか、事前に照会したいと思うようなことがこれからどんどん出るんじゃないかと思う んですが、その辺いかがでしょうか。  川原課長  冒頭のところで前回の会議以降のことで御説明いたしましたが、資料4は前回もお示 しした資料でございますが、黒川先生から、今回参考人として2名の先生を御指名いた だいて御出席していただいているということを冒頭で御報告しましたので、タイミング 的に先生のお見えになるのとずれてしまいました。申しわけございませんでした。  堀田座長代理  そのほかよろしいでしょうか。もしなければ、本日の中心的な議題であり、極めて具 体的にこれから討論していただくことになります議題1、検討する必要のある未承認薬 について、討論に入りたいと思います。おのおのの薬剤の検討結果についてはワーキン ググループの先生方から御報告をいただきまして進めたいと思います。まずは資料8− 1のボルテゾミブについて、国立がんセンター中央病院の藤原先生から御説明をお願い いたします。  藤原参考人  がんセンターの藤原でございます。ボルテゾミブ、Velcadeといった方が皆さんは名 前をよく聞いていらっしゃるかもしれませんけれども、多発性骨髄腫に対する薬剤でご ざいます。アメリカでもEUでも既に既治療の多発性骨髄腫の患者さんを対象に承認され ております。  多発性骨髄腫は、御存知のように、形質細胞が腫瘍化した疾患でございまして、痛 み、骨痛に苦しみながら最終的には死に至ってしまうことが多いという重篤な疾患でご ざいます。この薬に対してボルテゾミブは、プロテアソーム阻害という、従来のアルキ ル化剤とかプラチナ化合物とかさまざまなものとは少し毛色の異なった薬効・薬理で効 く抗がん剤が近年開発されてまいりまして、各種臨床試験の中で種々のことがわかって まいりました。  FDAで承認された一番の根拠になったのは、『New England Journal of Medicine』に 2003年にパブリケーションされた臨床試験の成績でございますけれども、治療抵抗性の 多発性骨髄腫にボルテゾミブが非常に高い有効性を示すということが示されて注目され たわけですけれども、それ以降も、例えば昨年のASCOの中で、再発再燃例の多発性骨髄 腫に対して、従来であればデキサメタゾンが第一選択薬であったんですけれども、それ とボルテゾミブのランダム化比較試験がなされまして、ボルテゾミブの方が有意に上回 る治療効果を示したという成績も出ております。  さらに、昨年12月にASH(米国血液病学会)でも、未治療例の多発性骨髄腫に対して もボルテゾミブが非常に有効であるという成績が各種報告されてまいりまして、多発性 骨髄腫の診療体系を今後変えていく可能性のある薬と考えます。  ワーキンググループとしては、これらの成績を踏まえ、資料8の検討結果のような解 釈をしております。2005年4月8日現在、世界46カ国で既に承認されております。一 方、国内においては、再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、第I/II相試 験が進行中ですけれども、この試験は早期承認を目指したブリッジングスタディー、す なわちサンプルサイズが小さいものでございまして、症例選択基準をクリアするような 患者さんが多数いらっしゃって、それに参加を希望されても必ずしも参加できない状況 がございまして、この状況を何とか改善してほしいという考えは妥当だろうと思ってお ります。したがって、この現状を改善するためには、安全性確認試験という形でするの かどうかはこの会議の検討課題だとは思いますけれども、何らかの試験を承認までの間 していただいて、迅速かつ適切な患者さんへの薬の提供がなされるべきだと判断いたし ました。以上でございます。  堀田座長代理  ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見がありましたらお願いし たいと思います。その前に、ボルテゾミブについては、オーファンドラッグではありま すが、私が治験の調整医師をさせていただいております関係がありますので、その辺を 注意して進めたいと思います。どうぞ。  吉田構成員  今の御説明のとおりでありまして、この薬は相当切れ味がいいということで、現場に おいても評価が高い関係上、いろいろな患者さんが使ってほしいということを言ってい るわけですけど、ブリッジングスタディーでは日本人の枠が少ないということです。安 全性確認試験という形にするのか、追加的治験にするのかというところは議論があるの かもしれませんけれども、日本人のエントリー症例数が少ないということを考えます と、日本人のデータを蓄積して日本人における安全性を確認するという意味で、安全性 を確認という形でやるのがいいのではないかと思います。  堀田座長代理  ありがとうございます。他の先生いかがでしょうか。どうぞ。  堀内構成員  この薬はプロテアソーム阻害ということで、これまでの抗がん薬と違う作用メカニズ ムと考えられますけれども、その場合、たんぱく分解酵素の複合体ですから、その作用 を阻害することによってアポトーシスを起こさせるということではないかと思います が、正常な細胞とがん細胞との作用の違い、さらに言えば、それによってどんな副作用 が考えられるかについて教えていただきたいと思います。  藤原参考人  一番特徴的な副作用は末梢神経障害です。知覚障害というのが結構有名ですし、海外 の添付文書等を参考にしますと、吐き気、全身倦怠感、下痢、便秘、血小板減少、発熱 というものも結構見られております。これらが主な副作用として知られているものでご ざいます。  堀内構成員  作用機序から考えて、細胞内のたんぱく分解をして、正常なたんぱく合成を阻害する ことによって、異常たんぱく、あるいは未熟なたんぱくができることによって、細胞内 で異常を起こすという作用機序でよろしいわけでしょうか。  藤原参考人  作用機序としては、プロテアソームは細胞内のたんぱくの品質管理を行うものですよ ね。NF-kBとかそういったものを分解して、核に増殖のシグナルが過剰にいくのを防ぐ という機序だと理解しております。  堀内構成員  正常細胞でも重篤な副作用が起こらないかどうか心配になるのですけれど、それにつ いてどんな知見があるか教えていただきたいと思います。  堀田座長代理  藤原参考人がおっしゃったとおりで、神経毒性と血小板減少が起こるということです ね。胃腸障害あるいはむくみとか、そういったものは報告されていると思います。た だ、重篤な副作用という形ではあまり認識していませんで、末梢神経障害についても、 骨髄腫の場合に頻度が高いというのは、恐らく前に使った治療薬の影響も引きずってい るんじゃないかと理解されております。  他にいかがでしょうか。  堀内構成員  もう1つよろしいですか。あまり重篤な副作用が出なくて有効性が高いということで は大変結構だと思いますけれども、手続としては、先ほどの話ではできるだけ早く承認 申請をして、その後、安全性確認試験を実行するということで、安全性確認試験と書い てあるのでしょうか。要するに追加的治験ではなくて安全性確認試験ということでよろ しいのでしょうか。  川原課長  これについては藤原参考人からお話がございましたように、日本での治験もかなり進 んでいる状況にございます。そういう中で、もともと類型IIの医薬品については患者さ ん団体からも早期薬事承認と保険適用という要望がございました。ただ、これについて は薬事の承認申請がなされていない、国内での治験が終わっていないという状況なわけ ですけれども、これからここでの結論を踏まえて、企業側に事務局から要請するという 形になりますけれども、いずれにしても、承認申請自身が遅れてしまうよりは、承認申 請は国内治験のデータをできるだけ早くまとめていただいて申請していただいて、承認 申請と同時ぐらいに安全性確認試験を追加で、これから企業に依頼ということになりま すけれども、検討してもらって、やってもらえるということになれば承認申請の方も速 やかに進と思いますし、安全性確認試験の中で希望する患者さんには、吉田構成員から もお話がございましたように、国内での安全性をより確認するという意味での治験にも 参加していただくことができると、そういうことでどうかという結果報告書にさせてい ただいております。  堀田座長代理  よろしいですか。  堀内構成員  結構だと思います。今のうちから、承認申請をしたらすぐ安全性確認試験が行われる ように準備してほしいということをメーカーにも要請するという意味ですね。  川原課長  はい、そういうことになろうかと思います。この結論で御了承いただければそういう ことになろうかと思います。  堀田座長代理  追加的治験ではなくて安全性確認試験の方でということですね。  吉田構成員  進捗状況なんですけれども、現在、日本人枠としてはもう終わっている段階でしょう か。まだ余裕があるんですか。ほとんど終わっているというふうに聞いてるんですけ ど。  川原課長  これは開示していい情報になっているのかどうかわかりませんが、ほぼエントリーは 終わっているような話は聞いております。  吉田構成員  ですから、そんなに長くかかるということではないんじゃないかと思います。  阿曽沼医薬食品局長  この薬の場合、まだ承認申請がなされていないので、選択肢としては2つあって、追 加的治験で対応するというのが従来のスキームなんですけど、安全性確認試験というの は、私ども事務局が提案したときには、承認申請がなされたものについては、審査中だ から安全性確認試験をやるということでどうかというスキームを考えていたんですが、 ここが非常にデリケートなところなんですけれども、追加的治験を組むというのはこう いう場合にいいかどうかという議論があるので、むしろ安全性確認試験というのを前倒 しして、承認申請の前であっても早くやるということがあってもいいのではないかとい うことを考えておりまして、できるならば安全性確認試験という形で、承認申請の前で あっても実施するというスキームも検討していただいていいのではないか。むしろ事務 局としてはそういうスキームの方がいいのではないかというのが、この薬剤についての 判断でございます。  堀田座長代理  ということでございますが、この件についてはいかがでしょうか。  川西構成員  私自身は、対象疾患が重篤な疾患であるということからして、こういう方向は賛成で すし、恐らく46カ国で承認されているという実績からしても、安全性確認試験的な意味 合いがよかろうかと思うんですけれども、ちょっと後学のために教えていただきたいの は、第一選択薬剤のデキサメタゾンを有意に上回る治療効果を有すると報告としてまと められていますけれども、これはどんな数字なのかちょっと教えていただければありが たいと思うんですが。  藤原参考人  これは奏効率だったと思うんですけれども、奏効率と、time to progressionといい まして、再発してからさらに増悪するまでの期間、それからoverall survivalといいま して、全生存期間についてもランダム化比較試験では、ボルテゾミブ群の方がすぐれて おります。具体的な数字は米国の添付文書等でグラフ等が載っておりますので、それを 見ていただくと明らかにすぐれているというのがわかると思います。  浜田構成員  何例ぐらいの臨床試験をやっているんですか。  藤原参考人  これはVelcade群が333例、デキサメタゾン群が336例でございます。『New England Journal of Medicine』のペーパーを読んでいただければわかると思います。  堀田座長代理  ということで、これは大変インパクトのある内容で、今後は本剤なしでは済まないと いうのが現状になってきています。他にいかがでしょうか。  栗山構成員  局長から御説明があったことについて質問があるんですけれども、この薬ですと安全 性確認試験ということかなと私も思ってたんですけど、形としては追加的治験もあり得 るというお話だったんですけれども、メーカーが既に治験を、申請まではいってないけ れどもやっているのに、追加的治験というのはどういう形であり得るんですか。  阿曽沼局長  前に、未承認薬の対応を考えるときに3つのタイプがあるということで御説明いたし まして、承認申請の治験も行われていない場合には、まず承認申請のための治験をスタ ートするというのが1つ。それから、承認申請のための治験が既に行われているけど も、まだ申請が行われていないというときには、こぼれる患者さんがいるわけで、そう いう人に応えるために追加的治験というのも考えられるのではないかと考えていたわけ です。承認申請が行われた後の状態であれば安全性確認試験をやるということでどうか というのが基本的なスキームと考えていたのですが、この薬剤は承認申請が行われてい ない、治験の最中なものですから、自然に考えれば2番目の領域に当たるものですか ら、追加的治験をやったらどうかという対象薬剤になると思うんですけれども、かなり 欧米で有効性も確認されているので、むしろ症例の蓄積を早くした方がいいのではない か、日本人での安全性を確認するということを早くやった方がいいのではないかという 意味で、本来は追加的治験の対象薬剤ではあるけれども、安全性確認試験というものを もっと早めてやってはどうかという御提案をしているという意味であります。  栗山構成員  そうすると、その追加的治験というのは、治験実施施設の枠を広げるとかそういう対 応ができるかというスキームですか。  阿曽沼局長  そうです。追加的治験というのは、私どもが当初考えておりましたのは、承認申請の ための治験が走っていて、その対象になっていない患者さんがいて、入りたいという方 についてその枠を広げるとか、あるいは別のタイプの追加的治験をやるとか、そういう スタイルを考えていたのですけれども、そういうタイプに当てる必要はないのではない か。むしろ安全性確認試験をいずれやるわけですから、それを前倒しして今の時点から やった方が患者の期待にこたえられるのではないかということで、どうでしょうかとい うお話をしているという意味であります。  栗山構成員  わかりました。  堀田座長代理  よろしいでしょうか。事務局から何か追加ありますか。  川原課長  特にございません。この絵を見ながら御理解いただければと思います。  吉田構成員  ちょっといいですか。私も今の御説明で大変結構だと思うんですけれども、問題は、 安全性確認試験といった場合には、今進行中の治験あるいは申請作業に影響しないけれ ども、追加的治験とした場合には枠が広がるということもあって、申請作業が遅れると いう懸念があるということもあるんでしょうか。  川原課長  こちらでの見解をここでまとめていただければ、事務局の方から、医政局と私どもの 局で連名で企業の方に伝えて検討してもらうということになりますけれども、企業の方 も開発担当のリソースの割き具合の問題もございますので、吉田先生がおっしゃるよう に、現在走っている治験の方にかなりリソースを使っている状況であり、これから承認 申請のためにかなりリソースを使うということになりますと、追加的治験とか安全性確 認試験、どのタイミングでどんな形でと、ここでの議論を踏まえて、企業側の方もでき るだけ前向きに対応してもらうようにお願いはしてみたいと思いますけれども、その結 果についてはまた7月に御報告させていただくということになると思います。  吉田構成員  いずれにしても、結論としては、とにかく早期承認を邪魔しないという形のものでな いと、患者さんにとって福音が遅れるということがありますので、よろしくお願いしま す。  川原課長  はい。特にこれについては、もともと早期承認・早期保険適用ということで要望があ ったものでございますので、その部分については患者さんの方にも御理解いただけるよ うな形で進められるのではないかなと思っております。これから事務局の方で企業側に 伝えまして、その部分も含めて調整させていただきたいと思います。  堀田座長代理  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。どうぞ。  栗山構成員  フェーズI/IIということで非常に限られた施設じゃないかと思うんですね。その枠を 広げるということは、安全性確認試験のときもあり得るんですか。今までの施設の中で ただ安全性確認試験という別のものを走らせるんじゃなくて、もっと幅を広げることも あり得るということですね。  川原課長  はい。これは別にプロトコールを立ててやることになりますので、施設についてもあ る程度の拡大は可能だと思います。  堀田座長代理  安全性確認試験というのは、市販後を想定してということになっていますので、でき るだけ幅を広げた形で、適応も第I/II相とは違う対象になる可能性もあるということで すね。  阿曽沼局長  補足しますと、この薬剤の場合には、恐らく安全性確認試験を前倒しでやるとなった ら、かなり施設も拡大した形でやられるということだと思います。吉田先生がおっしゃ った、追加的治験をやった場合には承認申請が遅れるんじゃないかという御懸念がある かと思うんですが、それはまた微妙なところですので、追加的治験の設計の仕方をどう するかということにかかわってくるので、それは薬剤ごとに、仮に追加的治験が必要だ という判断になった場合には、承認申請にできるだけ影響がないような形での問題を考 えたいと思っております。  堀田座長代理  よろしいでしょうか。吉田構成員の発言は大変重要なポイントでありまして、要望の 強いものは治験をいかに早くするかというのが一方であって、そこで間に合わないもの を追加的治験とか安全性確認試験でやっていくということなので、追加的治験が逆に律 速因子になってしまうようでは困るということだと思うんです。これは十分対応してい ただけるようにお願いいたします。  他にいかがでしょうか。特になければ、本剤についてはワーキンググループからの報 告どおり、承認申請をまず急ぐということを前提に安全性確認試験を実施するなど、う まく対応が図られるように企業に要請していただきたいと思いますが、いかがでしょう か。  川原課長  はい、承知しました。  堀田座長代理  それでは2番目にいきたいと思います。資料8−2のラロニダーゼについて、成育医 療センターの中村先生から御説明いただきます。  中村参考人  ラロニダーゼについてワーキンググループの検討結果を御報告させていただきます。 まず対象疾患ですけれども、I型ムコ多糖症という病気は、リソソーム酵素α-L-イズロ ニダーゼというものの先天的な欠損でございまして、体の主要な構成成分の一つである ムコ多糖の分解が阻害されますので、不完全に分解されたムコ多糖の断片が全身の細胞 に蓄積し、全身の種々の臓器障害を呈します。  これは常染色体劣性遺伝病でございます。精神運動発達障害、角膜混濁、慢性中耳 炎、閉塞性呼吸障害、心臓弁膜症、肝臓・脾臓の腫大、骨格形成異常、間接拘縮、水頭 症など、多彩な症状が出現し、加齢とともに重篤化します。重症型では10歳代で死亡し ますし、軽症型では50歳程度までは生存されますけれども、このような種々の症状が出 てきますので、非常にQOLは悪い。車椅子、目も見えない、食事も自分でできないとい うふうな状況になる疾患でございます。本疾患の国内での患者数は20名程度ということ でございます。  本剤の医療上の有用性ですけれども、既存の治療は主に対症療法でございます。根治 的治療として骨髄移植が試みられておりますけれども、ドナー選択の問題、アロ移植に 伴う重篤な副作用等のことを考えますと適応は限定される。将来的には遺伝子治療の開 発が期待されますが、現時点ではまだそこまで至っていないということで、現時点では 酵素補充療法が利用可能な唯一かつ比較的安全な、かなり効く治療法であるということ が言えます。  米国、ヨーロッパで実施された臨床試験は、第I/II相が10例、第III相は45例、これ は1群が45例でプラセボとの比較試験でございますけれども、肝臓・脾臓の縮小効果、 関節可動域の改善、心機能の改善、無呼吸の減少、歩行がよくなったなどの効果が認め られております。重篤な有害事象もほとんどなく、アナフィラキシーは1例見られます けれども、それ以外は特に重篤な有害事象もほとんどなく、2003年4月に米国、6月に 欧州でそれぞれ承認されております。  これは酵素補充療法ですので、予防的な効果は期待できますけれども、骨の変形や成 長障害等が起きてしまってはなかなか効かないということでして、診断確定後できるだ け早く投与を開始しないといけないということになります。本邦では現在、これは International Charitable Access Program、チャリティで薬をいただけるというプロ グラムで、4例で投与・投与開始中で、2例が比較的長く投与されて有効性も評価され ていると聞いております。残りの2例は成育医療センターの患者様でして、1例が最近 投与開始、もう1例も近日中に投与を開始するということを聞いております。  これを実際に患者様の個人負担でお買い上げいただくと、年間大体1500〜2000万かか るという薬でして、International Charitable Access Programも、お願いすればだれ でももらえるというものではないという非常に厳しい状況になっております。  検討結果ですけれども、この薬は既に希少疾病用医薬品に指定されておりますし、国 内での早急な治験が開始されるべきであろうと考えます。また、疾病が非常に重篤であ ること、患者数が極端に少なく、治験の進行を待っていると何年後に承認されるかわか らないという状況もありますので、欧米での臨床試験データをもって承認申請を認め、 申請期間中に国内での治験データの中間報告を求めるなど、ぜひ柔軟な対応を検討すべ きではないかとワーキンググループでは考えております。  また、国内の使用症例についてもできる限りの有効性・安全性の情報を収集し、活用 すべきだろうと考えております。以上でございます。  堀田座長代理  ありがとうございます。大変希少な疾患ではあるけども、重篤で進行するということ で、手立てがなかなかないというものに対する対応、治験をある程度蓄積するのに何年 もかかってしまうという状況が想定されるので、こういったものをどのように対応する かというのがポイントだと思います。いかがでしょうか。御意見をいただきたいと思い ます。  検討結果の重要なポイントは、欧米での臨床試験データをもって承認申請にいくかと いうところだと思います。どうぞ。  大澤構成員  実際に患者さんの状態としてはかなり重篤でして、進行性ですので、一刻も早くとい いますか、脳障害などは起こってしまえばその後の回復の見込みはないので、そういう 点を考えましても、治験をしないで済めばと考えます。  堀田座長代理  という御意見がございますが、現場におられる方は大変切実だと思いますし、治験を やろうとしても国内で何例か集めるというのはどうなんでしょうね。  大澤構成員  私どもの小児科では神経疾患を専門としておりますけれども、私自身の経験は過去20 年間に3例でございますので、そういう意味からいっても一時期に治験でデータを集め るというのは非常に難しいと思います。  川原課長  事務局から説明させていただきますと、これについてはオーファンドラッグの中でも 患者さんの数が少ないということで、平成11年に希少疾病医薬品に指定されているわけ ですけれども、国内で治験が開始されておりません。ただ、治験を開始しましても国内 で症例を集めることができるかどうかということがございまして、このポイントの部分 では、欧米での臨床試験データをもって薬事法上の承認申請を認めると。ただし、承認 申請をできるだけ早くやっていただきまして、承認申請の準備とともに治験の体制も構 築してもらって進めてもらう。こういう疾患ですので、半年に1例出てくるかどうかと いうような疾患になると思いますけれども、患者さんが出てくれば治験には参加してい ただけるという形になりますし、承認審査の方は欧米でのデータの承認審査も並行して 行えるということで、こういうような結論が適当だろうということでワーキンググルー プから報告をいただいたということでございます。  堀田座長代理  この薬が平成11年に希少疾病医薬品に指定されて、治験が現実には6年間ぐらい行わ れていないという理由は、受け皿になる企業がないということですか。それともどうな んでしょう。  川原課長  企業側からお聞きした理由では、米国からの治験薬の安定供給の問題があったという ことで、日本で指定された当時は米国でも治験中であったということで、バイオテクノ ロジー技術を使って、人間の酵素を動物細胞につくらせるというものでございますの で、そういう事情があったということでございます。  堀田座長代理  当時と今とでは供給については多少その状況が変わってきていると理解していいんで しょうか。  川原課長  そういう御理解で結構でございます。  吉田構成員  ちょっと今の整理に関して疑問があるんですけど、まず承認してしまってというのは わかるんですけど、安全性確認試験という形で治験としてやるというのは、患者さんの 数から考えても、承認申請して承認されるまでの間に治験成績が出揃うかというと、甚 だしく疑問だと思うんですね。私はむしろ市販後臨床試験で対応していくということな んじゃないかなと思ってるんですけど、いかがですか。  川原課長  この治験は御指摘のように、この審査のスピード、企業がいつ申請を上げてくるかと いうことにもよりますけれども、審査が先に進んでしまいますと、結果的には認可まで の間に新たな患者さんが出てこないということになりますと、市販後臨床での、これは オーファンドラッグでございますので、全例調査というところでの市販後臨床試験の方 での対応ということになると思います。  堀田座長代理  ちょっとややこしい流れですが、今の話だと、承認申請のための治験を立ち上げなが ら、審査も同時に海外データでやっていくと。途中で患者さんが参加すれば、そのデー タを中間報告のような形で参考にしていくということで、途中から市販後臨床のような 形に変わってしまう可能性があるということですね。  川原課長  そういうことでございます。  堀田座長代理  新しい流れで、この検討会は結構踏み込んで、従来にはないことをいろいろ検討して いますので、不整合な部分は多々あるんだと思いますが、踏み込まないと何も始まらな いということでもあります。皆さんのお知恵をいただいて、できるだけ患者さんのニー ズにこたえられるようにしていきたいと思います。  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  どうもありがとうございました。それではこの件については、ワーキンググループか らの報告どおり、国内における治験を早急に開始していただくということを企業に要請 していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  川西構成員  実は私は本業がバイオテクノロジー医薬品の品質の方の関係で、これは生産量も少な いでしょうし、企業の協力できちんと管理してやらないとならないものですから、その 辺はそういう形で、医師主導治験等々だとなかなか難しいんじゃないかと思いますの で、この辺は企業に理解していただかなくちゃならないものの典型だと思います。  川原課長  企業への要請ということで、先ほどまとめていただいた方向で企業側の方へ依頼いた します。  堀田座長代理  企業にまずは治験を要請するという形で対応するということですね。よろしくお願い いたします。  川原課長  それから、これは確認でございますけれども、欧米での臨床試験データをもって承認 申請を認めるということも、企業側の今後の対応を決める上でポイントかと思いますの で、それもこちらの検討会議で御了解いただいたということで対応させていただきま す。  堀田座長代理  承認しますよということを約束してしまっていいんですか。  川原課長  いえ、承認申請を認めるということでございます。それは企業の方に至急、内外のデ ータ等をまとめていただいて、新たな問題点等がないかどうかも含めて検討する必要は あるかと思いますので、そちらもあわせて……  阿曽沼局長  このケースは、承認申請がなされていないし、日本で治験も行われていないケースな んですね。ですから、申請のための治験も行われていない、全くまっさらなケースなん です。したがって、本来であれば承認申請のための治験を早期に開始してくださいとい うのがオーソドックスなやり方なんですけど、ワーキンググループの検討結果では、患 者数が非常に少ないから、欧米での臨床試験データでそのまま申請を認めたらどうです かと。それで認めてしまって、承認申請で審査している最中に安全性確認試験のような 形で治験をやったらどうですかと。症例が少なくても、それで承認されたら市販後の臨 床試験という形になるでしょうということなので、一番のポイントは、欧米での臨床試 験データをもって承認申請を認めるというところに踏み込むかどうかだと思うんです ね。今お話を伺っていますと、それはそれで承認申請していいのではないかというお話 であれば、そういう整理で、安全性確認試験という枠組みで対応するということになる と思うので、念のために申し上げたいと思います。  吉田構成員  事情は多少違うかも知れませんけど、エイズの薬等々は海外のデータのみで承認して いる経緯もあると思いますので、こういう希少疾患の場合はそういうことに準拠してい いんじゃないかと思います。  堀田座長代理  他の先生いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それではそのように対応していただきますようにお願いします。  川原課長  承知しました。  堀田座長代理  それでは3番目、資料8−3、ジアゾキサイドについて、これも中村先生から御説明 お願いいたします。  中村参考人  ジアゾキサイドについてワーキンググループの検討結果を御報告させていただきま す。対象疾患ですけれども、高インスリン血症性低血糖症、小児科領域の先生は皆様御 存知の非常に重篤な病気でございます。主に新生児・乳幼児に発症しまして、インスリ ンが過剰に産生されてしまうために、非常にひどい低血糖を起こします。頻度は低いん ですけれども、早期に適切な治療が行われないと、低血糖というのは脳に不可逆的なダ メージを与えますので、死亡または高頻度に永続的な機能障害や運動障害を残します。  また、幼児期以降に発症する例もありますけれども、こういった場合は診断が遅れ る、またはてんかんと間違われる等で適切な治療が受けられない。ジアゾキサイド自体 が、場合によっては倫理委員会を通すのに1カ月かかったなどという施設もあったとい うことで、そういうことがあると、場合によってはそれによって知能障害を起こすこと もあり得るということでございます。  本邦で個人輸入によるジアゾキサイドの治療を受けている新規の患者様は毎年20〜35 例、継続治療者が約200〜250例あります。その他、国内で入手困難なため、治療を受け られずに障害を残していく例もあるということを現場の先生方は危惧しておられます。  本剤の医療上の有用性についてですけれども、高インスリン血症性低血糖症の急性期 には、グルコースの静注投与をします。しかしながら、投与を中止するとすぐに低血糖 が再発するということで、こういう状況に対してジアゾキサイドが世界的に第一選択と いってよろしいと思います。世界30カ国以上で承認され、うち20数カ国では1970年代に 承認されて、古くから使われている薬でございます。  本邦における調査でも、2003年に田中敏章先生ら小児内分泌学会薬事委員会のジアゾ キサイド研究会でまとめられた報告では、血糖上昇に対して87%が有効であったという ことでございます。成人における高インスリン血症性低血糖症、インスリノーマ等の疾 患が原因になるかと思いますが、そういったものに対しても有効であると考えられてお りまして、小児期に治療を開始した患者さんで、教科書的にも20年以上にわたって投与 を受けている、また田中先生は35年近くジアゾキサイドの投与を続けている患者さんを 診ておられると聞いております。  新生児・乳幼児期に治療を開始した症例の約3分の1は、10年程度のうちに投与中止 可能になって、中止後も良好な血糖値を維持するということでして、経口の薬だけで、 10年近くかかりますけれども、その後、治療を中止することができるという画期的な薬 でございます。  その他の治療法としては、グルカゴン、オクトレオタイド、ステロイドがありますけ れども、グルカゴン、オクトレオタイドというのは注射製剤でして、これを長期にわた って患者様に打つということは好ましくない。ステロイドは副作用が強いということ で、いずれも長期的使用は好ましくないということで、経口投与が可能である有効性の 高い本剤が第一選択となっております。また、膵臓の亜全摘手術ということも方法とし てありますけれども、手術症例は思春期に糖尿病を発症する割合が高いということが問 題となっております。  報告書に書いてある副作用は田中先生の報告書の内容でございますけれども、ほぼ海 外の添付文書等と一致しております。頻度の高い副作用は、多毛、むくみ。その他の留 意すべき副作用として、高血糖、胃腸症状、肝機能障害、血液学的異常、高尿酸血症等 がありますけれども、国内の報告においてこれらの副作用による治療中止症例はなかっ たということでございます。  検討結果ですけれども、国際的にもエビデンスが確立しております。国内においても 個人輸入による本剤の使用実績等が学会により、70年代にも一度取りまとめられており まして、今回の報告は2回目ということになりますが、取りまとめられているというこ とで、本剤をヒトに使用する際の安全性については相当程度確認されているものと判断 いたしました。したがって、新たな臨床的な懸念がない限り、これは古い薬ですので通 常の規程に則れば非臨床試験が必要ということになるかもしれませんけれども、ワーキ ンググループとしては、新たな臨床的懸念がない限りは非臨床試験を追加試験を追加す べきではないのではないか、そういったことをせずに承認に結びつけるべきではないか というふうに考えております。本剤に関する我が国での治験が早期に開始されるよう に、ぜひ御検討いただきたいと思っております。以上でございます。  堀田座長代理  ありがとうございました。それでは、只今の御説明に何か御質問ございますでしょう か。  私はこの領域をあまり存じ上げないんですが、高インスリン血症で低血糖症になる理 由はジェネティックなものなんですか、あるいは後天的にも起こるんでしょうか。例え ばインスリンノーマも含むということでしょうか。  中村参考人  いろいろな原因がございます。インスリンノーマもございますし、さまざまな原因で 起きてくるということで、1つの病因だけではないということでございます。  大澤構成員  乳児期早期にけいれんという形で発症しまして、多くの場合、診断は簡単につきます けれども、低血糖に対する治療をするのに、最初は点滴などでやりますけれども、それ だけでは決して追いつかないわけで、時に膵臓亜全摘という形をとることもありまし た。その場合に、体重が増えて大きくならないと手術の危険性も高いので、その間待た なければいけないんです。御承知のように、脳にとって糖分というのは必須でございま すので、糖分がないことで神経細胞が働けない、成長期の脳にとっては重篤な影響を与 えますので、合併症としては小頭症等も起きます。  現実としてはジアゾキサイドを、患者さんが見つかった段階で大学の倫理委員会にか けて、輸入の承諾を得て使うということでタイムラグがあります。簡単に使える状況に なることが必須だと思います。  堀田座長代理  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。御質問あるいは追加の御発言をいた だければ。どうぞ。  堀内構成員  これはインスリンの分泌を抑制するわけですね。それによって高インスリン血症を抑 えるということだと思いますが、いわゆる糖尿病の薬と逆の作用をするわけなので、管 理の問題とか、インスリンの分泌を抑制する場合のコントロールがどうなのか教えてい ただけますか。  堀田座長代理  経口薬だということもあって、飲んだら高血糖になっちゃう可能性もあるという御指 摘ですか。その辺はいかがですかね。  大澤構成員  現在のところそういう問題はないと思います。小児例では高血糖が問題になったケー スはないと伺っております。  堀田座長代理  中村先生、どうですか。  中村参考人  効果を見ながら投与量を調節する薬でございまして、さほど極端に血糖値がふらつく ということは起こっていないと理解しております。ただ、モニタリングといいますか、 ちゃんとわかっておられる先生がきちんと治療されるということが原則になるかと思い ます。  堀田座長代理  ほかはいかがですか。どうぞ。  寺岡構成員  非常に有用な薬であるということはよくわかるんですが、1970年代に承認されていま すので、既に30年以上たっているわけです。小児に使われて、その患者さんが成人して どういうことが起こったというようなことは文献の中に書いてなかったでしょうか。短 期的な副作用については書いてあったんだと思うんですが、小児ということになれば、 やはり成人してから後どうなるのかということも、恐らく観察の事項になると思うんで すが、そういう記載がなかったでしょうか。もしあれば教えていただきたいと思いま す。  中村参考人  論文自体には状況は書いてございませんけれども、当院の内分泌科等で診ておられる 先生によりますと、特に大きな問題はないように聞いております。海外の静注製剤は血 圧に対する治療薬として承認されているような経緯もありまして、これはもともとカリ ウムチャンネルに作用する薬ですので、それで浮腫が出たり、電解質が狂ったりとか、 そのあたりをきちっと管理していただくということになるんだと思っております。  寺岡構成員  ありがとうございます。それと、これは本論と関係ないことなんですが、対象疾患に ついてというところで、「けいれんを起こすため、てんかんと間違えられて」と書いて ありますが、てんかんは御承知のようにidiopathicなてんかんとsymptomaticなてんか んがございますので、「てんかんと間違えられて」というふうに書くのは、記載の仕方 としてちょっとまずいかなと思いますので、余計なことですけども申し上げておきま す。  川西構成員  ジアゾキサイドというのは、これを見て初めて承認されていないと知ってびっくりし たぐらいで、薬理の教科書なんかでもアメリカの教科書にはどーんと出てる薬です。た だ、これはポタシウムチャンネルオープナーだったと思いますので、作用はすごくセレ クティブということはなかなか難しいと思うので、その辺はよく注意してやらないと、 あまり迂闊に使えるぞ使えるぞとやると危ないんじゃないかなと、直感的に思うところ ですので。もちろん、これは教科書にどーんと載ってる薬ですから、こういう扱いとし ては当然のことと思いますけれども、作用メカニズムからしてそういう危険もあるとい うことは承知しておかなければならない薬ではないかと私は思います。  吉田構成員  30数年も放っておかれたという理由は何だったんですか。  川原課長  それは、この資料の後ろの方に、先ほどお名前が出てまいりました田中敏章先生らが まとめられた論文をおつけしておりますが、そこの緒言のところに、欧米で1970年代に 承認されたわけでございますけれども、その後、非臨床試験のガイドラインですとか要 求基準などが世界的にもいろいろ変わってまいりました。日本での承認申請とかそうい うのを行う段階では、日本も欧米と同じような非臨床試験の要求をしていたわけでござ いますけれども、その関連で、欧米と日本にタイムラグがございまして、欧米は古い非 臨床のデータパッケージで、臨床まで進んで開発が進んで承認までいってしまったと。 ところが日本の場合は、非臨床の部分について新たな要求基準の時代に入ってから開発 が進んだというところがございまして、これは現在もでございますけれども、治験に入 る前には必要な動物の段階での検討を終わっていることが大原則でございます。ヒトで の試験の前に動物での検討をきちっとやっておくというのが大原則なんですけれども、 そういう経緯がこの論文にも書いてございますが、そういうものがあったようでござい ます。はっきり私からは申し上げられないのですが、私も当事者ではございませんでし たので分かりかねるんですが、そういうことがあったということでございます。その 後、現実に、先ほど御説明がございましたような先生方が個人輸入という形で対応され て、患者さん方、新生児・乳幼児が多いと思いますので、そういう形で治療をされ、そ ういう形での症例をまとめられて、2年前にこういう形の論文にまとめられたというこ とで、事実上、日本でも新生児・乳幼児に対する投与が行われているということでござ いますので、日本でもきちっとした形での治験も追加して、早く承認申請なり承認に持 っていきたいということでございます。  後藤構成員  今の話の中で、非臨床に関してさらに要求をするということですけれども、この薬剤 に関しては、今のお話だと既にかなりの数の患者さんが使われているわけですよね。そ うしますと、承認申請の中で、それだけたくさんの患者さんに使われている臨床成績と いうものを有効に使えば、さらに今後新しい治験という形を組まないでも、この薬の有 効性・安全性を評価できるだけの資料として使える可能性は十分あると思うんですね。 ですから、こういう薬剤に関しては、これまでに蓄積された成績をどういう形で承認申 請の中で扱うかというところまで踏み込んで考える必要があるかなと思います。  川原課長  御指摘のように、こういうふうにまとめていただいた論文について、これは薬事法上 の治験という形ではなくて、いわば臨床研究という形で使用されたものがペーパーにな っているということでございますが、こういうものについても大切な論文だと思います ので、評価の中では用いていくということになると思います。ただ、薬事法上、承認申 請をしてもらうということになりますと、企業が主体性を持ってデータを集めて承認申 請して、認可を受けた後には企業が副作用の対応とか、市場に責任を持ってやっていく という形が必要でございますので、企業が薬事法上の治験という制度にのっとってやっ たデータを全くなしで申請を認めるかどうかというところは、まだ難しいところがござ いまして、そこについてもできるだけ早く治験を始めてもらって、早めに申請をしてい ただくとか、そういうところは柔軟に対応できるかと思いますけれども、この論文だけ で申請を認めるというのは今まで前例がございませんので、難しいかなというふうに思 っています。ただ、この論文が非常に重要なものであるということは十分理解している つもりでございます。  堀田座長代理  国内でこういう使用実績をまとめた成績がありますと、例えば適応外の場合はこれが 非常に有効で、こういうスキームで、適応外の用法・用量や効能・効果についてはそれ で認めてきた経緯があります。いわゆる2課長通知に従ってやってるという状況があっ たんですが、全くの未承認の場合に、そういった使用経験だけでやるかというと、それ は薬事法上ちょっと問題があるということで、治験という枠組みを一回は通すというこ とが必要でしょうね。そういったことで今回、治験は治験としてできるだけ簡素にやっ ていこうということなんですが、その簡素の内容として、古い海外の前臨床試験のデー タが今となっては使えないとなると、じゃあ改めて非臨床試験をやるのかという問題に なる。しかし、それだけの臨床実績があるのに今さら非臨床試験に戻ってやるのかとい うことについては、そこは通らなくてもいいんじゃないかというのがワーキンググルー プの提案ですよね。そう理解してよろしいですか。どうぞ。  吉田構成員  今の座長の発言を私は支持します。というのは、例えば調査票を送ってアンケートで 集めてきたということでいえば、相当レトロな解析になりますので、信頼性はかなり落 ちるんですね。都合の悪い症例は切れている可能性もありますので。そういうことでい うとプロスペクティブにきちっと治験をやっておくということは大事なことだとは思う んですけれども、これを見ると5年間で71例なんですけど、治験を始めた場合、フェー ズIIになると思うんですけれども、実現性はどうなのかということと、企業が乗るの か、それとも医師主導でいかざるを得ないのか、その辺の見通しを説明していただけま すか。  川原課長  そこについてはまだ正式な形で企業の方に要請は行っておりません。ここでの結論を 踏まえてということになりますけれども、内々に接触したところでは、ここでの検討結 果については前向きに受けとめる余地はあるということでございました。  吉田構成員  治験の実現性はどうですか。  川原課長  治験についても、行う用意はないわけではないという。  中村参考人  私が実際にやる立場にないのに答えるのは気が引けるんですけれども、メーカーさん もかつて治験をすることを考えられたことがありまして、現場の先生方でもジアゾキサ イド委員会なるものをつくっておられて、専門医のところにある程度患者さんが集中す る形になっておりますので、多くの症例数という話になると期間がかかってしまうと思 いますけれども、そう多くない症例数ということであれば可能であると理解しておりま す。  堀田座長代理  というわけで、非常に古い薬で、教科書にも書いてあるんだけども、今から非臨床試 験まで含めての治験をやるというのは現実的ではないので、今後、臨床試験という形で の治験を早期に開始してはどうかというのがワーキンググループからの提案であります が、特に御異議がなければ、そのような形で今後企業に要請していただきたいと思いま す。  川原課長  はい、承知しました。  堀田座長代理  それでは、今日の議題はここまででありますが、この検討会は未承認薬と治験をする かしないか振り分けまではいってるけど、その先はどうなるんだというのがいつも気に なるところです。フリーディスカッションという形で、治験の検討会で今何が語られて いるかということなども含めて、情報をいただければと思います。  本日の結論について、事務局の方からまとめていただきます。  川原課長  いずれもワーキンググループからの報告が了承されたという形でございまして、本日 の会議の結論については、事務局から該当企業に伝達しまして対応を図っていただくと いうことをいたします。その後の企業の対応状況等については本検討会議、次回7月を 予定しておりますが、そこに報告させていただきたいと思います。  今後の予定でございますけれども、今後は原則として3カ月に1回開催させていただ きたいと考えておりまして、次回は7月を予定しております。次回の検討会議では、本 年4月〜6月の3カ月間に欧米4カ国のいずれかの国で承認された国内未承認薬につい て、ワーキンググループに調査検討をいただき、その結果を報告させていただくととも に、類型II及びIIIの対象医薬品のうち、必要なものについて追加検討して、結果を報告 させていただく予定でございます。具体的な開催日については1カ月程度前に先生方の 御都合を伺った上で調整させていただきたいと思います。  それから、治験のあり方に関する検討会の関係のお話がございましたが、3月29日に 治験のあり方に関する検討会というものを開催いたしまして、2回目は4月20日に開催 しておりまして、2回これまでに開催しております。資料等については厚生労働省のウ ェブサイトの医薬品・医療機器というところをクリックしていただきますと、検討会等 というところがございまして、未承認薬の検討会議と並ぶ形で治験のあり方に関する検 討会のところがございまして、そこに配付資料等もございますので、ごらんいただけれ ばと思います。現在のところは医師主導治験を中心とする治験の円滑な実施に向けた環 境整備の問題ですとか、実務上の負担をどう軽減すればいいかといったようなところに ついて、主として御議論いただいているという状況でございまして、5月にも会議を予 定しておりまして、大体月1回ぐらいのペースで会議を開催しているという状況でござ います。  堀田座長代理  ありがとうございました。この検討会は、要望の強い未承認薬について、どのような 形で治験につなげて切れ目なくやっていくかという振り分けが主たるものですが、こう やって振り分けた後、うまく軌道に乗れるのかどうかということも大変気になるところ であります。そういう意味では治験のこれまでのあり方に対して別の検討会で語られる ことではありますが、せっかく振り分けて企業治験あるいは医師主導治験のトラックに 乗せて、その後うまく動く保証をお願いしたいということであります。この辺について 先生方からの御要望なり御意見がありましたらいただきまして、これはフリーディスカ ッションということで、別にこの会議で決めることではないんですが、御意見ございま すでしょうか。  例えば、追加的治験にしても安全性確認試験にしても、企業がもしやるとしても、大 変なリソースを割かなければいけないという状況があって、今までどおりの治験の枠組 みで対応するというのは大変負担になるし、ましてや医師主導治験でそれだけの対応を しようと思うと大変な状況であります。このあたりが治験のあり方に関する検討会で議 論されているところでありますが、どこまで安全性情報を求めるかとか、そういったこ とも含めて、ポイントがあれば伺いたいと思います。  川原課長  実際には3月にこの会議を始めまして、4月20日の段階でいろんな方からプレゼンテ ーション等もいただいております。もしよろしければ、7月にこの会議を開催する段階 では、治験のあり方に関する検討会での議論がある程度煮詰まっていると期待している んですけれども、堀田先生がおっしゃった医師主導治験の環境整備のために改善すべき 点ですとか、実務上の負担の軽減、副作用の報告の部分、そういったものについてある 程度議論が煮詰まって、対応の方向性のようなものが出ておりますれば、7月のこちら の会議にも、この会議の本分は未承認薬ですので、報告は手短にということになるかと 思いますけれども、そういう形で報告させていただければと思いますけれども、いかが でございましょうか。  堀田座長代理  治験のあり方に関する検討会の方は、すべての治験を対象にしての話ですよね。ここ は未承認薬という、しかも要望の強いもので、患者さんの切実な要求にこたえるという ことを前提にして、海外で承認されたもののみ扱うというふうになっているので、少し 対象が違ってくるのかもしれませんが、ここで扱う未承認薬の治験というものも、基本 的にはダブルスタンダードにしないということで、通常の治験と同じ薬事法上の扱いを 受けるということですよね。そういう理解でよろしいですか。  川原課長  はい。承認申請に使用されるということであれば薬事法上通常の治験と同じ扱いを受 けます。  堀田座長代理  承認のための治験については。例えば追加的治験とか、安全性確認試験の場合はどう なんですか。  川原課長  それも薬事法上の治験の枠組みですので。そこらの部分も視野に入れた形で、治験の あり方に関する検討会の方で、事実上は医師主導治験の実務上の負担軽減とか、そうい ったところにフォーカスが当たったような議論になっておりますけれども、まだ議論が 煮詰まっているという状況ではございませんので、そちらの御議論を見守っていただい て、できますれば5月、6月とまた開催していただきますので、7月のこの会議の方 で、煮詰まった状況については御報告させていただくということで御理解いただければ と思っておりますけれども、いかがでございましょうか。  堀田座長代理  この点、何か御意見あれば。  堀内構成員  今のお話の中で、治験のあり方に関する検討会の方で議論されるかもしれませんが、 安全性確認試験について、先ほど局長がおっしゃった、リジッドに考えるのではなく て、ケース・バイ・ケースで安全性確認試験を前倒しでやるというのは大変結構なこと だと思いますので、あまりそこのところがリジッドな形になっていかないようにしてい ただければありがたいと思います。  川西構成員  2点ほど。まず1点なんですけど、こういう感じでやっているといけいけどんどんで いく可能性もあるなと思っておりまして、3カ月ごとというので非常に大変だし、あま り偉そうなことも言えませんけれども、もう少し前に資料を送っていただけると、私ど もでも事前に、この場に来てやってしまいますとどうしても、まあいいやという話にな りがちですので。  それからもう1つは、これは既に欧米で承認を受けたものということが重要なポイン トですから、それはそれでいいかもしれませんけど、それぞれの薬に関してはその後総 合機構が審査をするということが原則でもありますし、ある部分、我々がうかつに判断 すると、それに対して予断を与えるということが、ものすごい影響力だと思うんです ね。私などはそちらに片足を突っ込んでおりますので、慎重にやりたい部分もあります ので、その辺は資料を事前に渡していただくなり何なりで少し配慮いただければ大変助 かります。  川原課長  はい。今回、資料の送付が遅れて直前になってしまいましたので申し訳ございませ ん。その辺についてはできるだけ今後改善していきたいと考えております。  堀田座長代理  他に御意見いただくことありますでしょうか。どうぞ。  阿曽沼局長  今の川西先生のお話ですが、総合機構の審査は厳正中立にやるということで、それは この会議とは全く関係なくやるということですから申し上げておきたいと思います。  それから、3カ月ごとというのは、このスキームは類型Iのスキームですね。17年4月 以降に欧米4カ国のいずれかの国で承認されたものにどう対応するかということですか ら、3カ月に1回ぐらいやらないとこなせないということでそういうスキームをつくっ ておりますが、基本的にはどこかの1カ国で承認された場合に、日本で早急に治験を開 始すべきかどうかという判断をしていただくということですから、あくまでも治験を開 始すべきかどうか、必要性があるかないかということだけの判断でございますので、そ こはそういう立場で中立的に御検討いただければありがたいと思います。  堀田座長代理  ありがとうございます。他によろしいでしょうか。どうぞ。  黒川大臣官房審議官(医薬担当)  治験のあり方に関する検討会での、検討の雰囲気といいますか、空気といいますか、 何を主題にどう取り組んでいくのかぜひ知りたいという堀田座長のお話だったと思いま すので、もう少し具体的に、これまでの枠組み、取り組みの具合、問題意識をちょっと 申し上げたいと思います。  課長から負担の軽減という話がありましたけれども、これまで日本で行われてきた臨 床試験、治験について、例えば欧米との比較等をもとに時間とか費用などの点でどうい う状況にあるのかという現状認識から始まりました。かなり欧米に比べて遅れていたり 費用が外見上かかっていたりする部分があって、どういうところが最も問題視されてい るかというようなことがあったわけであります。  その中で、1つはGCPの問題がございます。これはそれぞれ理由があって組み立てら れているわけでありますけれども、ものによっては細か過ぎる部分での手続が非常に大 変だというようなお話がありまして、被験者の安全に妥協することなく、データの質に 妥協することなく合理的なものに変えられる工夫はないだろうかという目つきで議論を していただいております。  それから、もう1つは医師主導治験について、これもスキームが始まっておりますけ れども、さらに具体的に成果をいただくための解決されるべき問題は何かということ で、GCPも入るわけでありまして、併せて議論されていて、これらについては、できる ものをその段階でどんどん取り込んで対応を進めていくということでやっております。  したがって、この検討会は、巷間言われております、臨床開発が遅いという問題意識 から始まっているわけでありますけれども、そのための入り口としてこういった議論か ら始まりましたけれども、さらに進めば、臨床試験データの質の問題とか、エンドポイ ントとか、国際共同治験というようなものに我が国もある程度期待されている部分もあ るわけでありまして、それを踏まえて、どういった問題がどういう優先順位で解決され るべきであるか。結果として、質のよい臨床試験データがタイムリーに、短い時間で行 われるようになる。以て、ここでの検討、患者さんに早く、よい薬をということになり ますけれども、将来的には軌を一にしたところで同じところにたどり着くのではない か。アプローチが多少違う、こういうような状況にきているかと思います。  堀田座長代理  ありがとうございます。他に何か御意見ございますか。よろしいですか。  はい、どうもありがとうございました。並行しております治験のあり方に関する検討 会も大変重要な議題をやっていまして、車の両輪のような形で、我々が検討しているも のがどのように効率的かつ安全確実に行えるかということにつながってまいりますの で、注目したいと思っております。  特にございませんでしたら、これで本日の検討会議を終了させていただきたいと思い ます。どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03−5253−1111