生活保護制度において
 国は責任を全うすべきである!


【憲法第25条】 (1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
(2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

【生活保護法第1条】  この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。


平成17年

全国市長会

 国は三位一体改革の中で、一方的に生活保護費負担金の負担割合を現行の4分の3から3分の2又は2分の1に引き下げようとしている。
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 我々地方自治体は、生活保護費負担金の国庫負担割合引下げに断固反対するものである。仮に強行されるようなことがあれば、生活保護事務の国への返上も辞さない。
 ・ 生活保護は、そもそも現金給付による所得再分配であり、国が行うべき典型的な仕事である。
 ・ 生活保護費負担金の国庫負担割合引下げは、国の責任の後退であり、単なる地方への負担転嫁に過ぎない。
 ・ 負担割合の引下げを行っても、地方の自由度は高まらず、三位一体改革の趣旨に沿うものではない。
 ・ 「地方負担を増やすことにより保護率を下げるというインセンティブが働く」との国の考え方には、これまでの負担率の引上げ・引下げの経緯からみて、根拠がない。【下図参照】
 ・ 保護率の近年の上昇は、社会的要因(単身高齢世帯、離婚による母子家庭、長期入院患者の増加等)と経済的要因(企業の倒産、リストラ・失業者・ホームレスの増加等)によるものである。【下図参照】
 ・ 保護率の地域差が見られるが、これは地方自治体がただ漫然と保護を適用している結果ではなく、失業率の悪化、地域固有の歴史的背景など構造的要因によるものである。

都市自治体の保護率と失業率の推移のグラフ
<緊急調査>対象市100市 回答市75市

 本会が、生活保護に関し、緊急にアンケート調査を実施したところ、次のような結果であった。(対象市:100市(政令市13市、中核市35市、特例市40市、一般市12市)、回答市:88市)

生活保護費負担金の国庫負担割合を引き下げ、地方の負担割合を増やすことは妥当だと思いますか。












保護率上昇の主たる要因は、自立支援対策などに対する地方の努力不足にあると思いますか。
グラフ グラフ


 現行の生活保護制度は次のような課題・問題点を抱えています。

 ・ 景気の長期低迷により、保護率が上昇していると考えられることから、景気・雇用対策など国による総合的な政策の推進が必要である。
 ・ 老齢基礎年金額(満額で月額約67,000円)より生活保護基準額(月額で約110,000円)の方が高いなど、一般世帯と被保護者世帯との間に不公平感がある。
 ・ 年金担保貸付制度を悪用するケースが目立っているが、これを取り締まる法的根拠がない。
 ・ 医療扶助・介護扶助は現物給付であるため、保護を受けている者に費用負担意識がなく、過剰な受診やサービスの受給につながっている。
 ・ 生活保護法による諸調査は、「報告を求めることが出来る」という規定となっているため、関係機関の協力が得られないと十分な調査が出来ない。
 ・ 国における福祉施策と雇用施策との連携が不十分である。
 ・ 本来、国が実施するべき生活保護のために、地方では、ケースワーカーとして10,852人(平成15年10月1日現在、厚生労働省「福祉事務所現況調査」より)の人員を割いており、極めて大きな財政負担になっている。
 ・ ケースワーカーが一人で問題に対処せざるを得ないため、窮地に追い込まれる場合がある。


図


全国市長会 社会文教部
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