社保審―医療保険部会 資料2
第14回 (H17.4.20)


健保組合等の再編・統合について




基本方針(※)において示されている改革の方向

健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針(平成15年3月28日閣議決定)

 健保組合については、小規模・財政窮迫組合の再編・統合に資するよう規制緩和等を進めるとともに、再編・統合の新たな受け皿としての都道府県単位の地域型健保組合の設立を認める。

 全国展開の健保組合や都道府県単位の健保組合で、健全かつ安定的な運営が確保されているものについては、引き続き、自主性・自律性のある保険運営を行うものとする。

 共済組合については、その自立性を尊重しつつ、保険者としての運営の在り方を検討する。



健保組合の再編・統合の具体的なイメージ
健保組合の再編・統合の具体的なイメージの図
 財源率=法定の給付費・拠出金を賄うために必要な保険料率(=(法定給付費+老健・退職等拠出金)/総報酬)
(注1)  保険料率の上限が95‰であることを踏まえたもの。
(注2)  現行制度を前提に、政管健保の財源率を80‰として、16年度予算ベースの財源率でそれを上回る健保組合数を試算。
(注3)  設立認可基準(被保険者数が単一組合で700名、総合組合で3,000名)に満たない組合(約150組合)
(注4)  単一組合については、14年度末現在での調査に基づいて、複数の都道府県において相当数(組合が設立できる700名)の被保険者を有する組合を、総合組合については、規約上複数都道府県に展開している組合を、全国展開の健保組合とした。



小規模・財政窮迫組合に対する措置

1. 財政窮迫組合
(1) 指定組合制度による重点的指導
 解散を視野に入れて財政健全化のために重点的な指導を行う。
(2) 給付費補助
 財政基盤が脆弱な健保組合に対して、保険給付費の一部を補助し、その事業の円滑な運営を図る。
(3) 共同事務事業に対する補助
 事務・事業の共同実施を促し、保険運営の効率化を図る。

2. 小規模組合
(1) 小規模組合の合併促進に対する補助
 小規模組合が合併する際の1人当たり保険料額の格差を補助することにより、小規模組合の合併を促す。
(2) 共同事務事業に対する補助
 事務・事業の共同実施を促し、保険運営の効率化を図る。



健康保険組合給付費等臨時補助金の概要


 補助金等の交付の目的
 保険財政の基盤がぜい弱なため健康保険事業の運営に支障をきたす恐れのある健康保険組合に対し、その事業の執行に要する費用のうち、保険給付に要する費用につき補助を行い、その事業の円滑な運営を図る。

 補助金等の創設
 創設年度   昭和33年度に計上
 沿革   第26国会において、組合管掌の健康保険に対して、国庫負担の途を考慮すべきである旨の付帯決議があり、昭和33年度から給付費等につき補助してきている。

 補助区分
 予算補助

 交付要件
 財政窮迫組合に対する補助((1)〜(3)の全てを満たす組合)
(1)   保険料率が82‰以上
(2)   財源率(法定給付費等に要する保険料換算率)が90‰超
(3)   法定準備金が3ヶ月未満
 小規模組合合併に対する補助((1)〜(3)の全てを満たす組合)
(1)   小規模組合(単一組合:700人未満、総合組合:3000人未満)と合併
(2)   合併後も引き続き存続する組合の1人当たり年間保険料収入額が、合併により消滅した組合の1人当たり年間保険料収入額を上回っている
(3)   合併により消滅した組合の合併直前の保険料率が82‰以上

 17年度予算額
 85.0億円



指定組合制度の概要

財政窮迫組合を指定し、解散を視野に入れて財政健全化のために重点的な 指導を行う制度(13年度〜)
指定の条件は、3年連続で経常収支が赤字であり、かつ、
被保険者数が設立基準未満、又は
財源率が95‰以上、かつ、積立金が3か月未満
の状態が3か年度継続すること。
指定された組合は、3か年の財政健全化計画を立てなければならない。

  指定組合数 解散数
13年 85 30
14年 24
15年 19
16年 10



−共同事務事業に対する補助−
共同事務事業に対する補助の図



−小規模健保組合の合併促進に対する補助−
小規模健保組合の合併促進に対する補助の図



地域型健保組合について

1. 趣旨
 健保組合の再編・統合の新たな受け皿として、小規模・財政窮迫の組合の統合を促進する観点から、都道府県単位の地域型健保組合の設立を認める。

2. 地域型健保組合の主な内容
 地域型健保組合については、健保組合の再編・統合の有効な受け皿となるよう、既存の健保組合の再編・統合に当たって支障となっている点について以下のような措置を講じることとしてはどうか。
(1) 保険料率
 地域型健保組合として再編・統合する健保組合については、一定期間は経過措置として、再編・統合した健保組合ごとに、複数の保険料率の設定を認めることとしてはどうか。
(2) 積立金
 地域型健保組合として再編・統合する健保組合については、一定期間は経過措置として、統合前の組合ごとに保有していた積立金を別勘定で保有することを認めることとしてはどうか。
(3) 同種同業要件
 地域型健保については、小規模・財政窮迫組合の統合を促進するため、異業種の健保組合同士の再編・統合の受け皿にもなるよう、同種同業の健保組合でなくても、統合を認めることとしてはどうか。

3. 政管健保との相違
 地域型健保は、健保組合の再編統合の受け皿であることから、政管健保の適用事業所が地域型健保に加入することは認めないこと
 政管健保は被用者保険の受け皿として位置付けられるのに対し、地域型健保組合は健保組合の再編統合の受け皿として自発的に設立され、自発的に加入した事業所により運営される保険者であること
 政管健保は都道府県単位での財政運営となるのに対し、地域型健保は同一都道府県に複数設立されることもあり得ること



健保組合の再編統合に係る支障と地域型健保での措置について


【保険料率】
 組合が合併するに当たり、保険料率が上昇する組合が生じる場合には(=相対的に財政状況が良い組合)、当該組合としては合併に躊躇することが考えられる
【保険料率】
 地域型健保として合併する健保組合については、一定期間、経過措置として合併前の健保組合ごとの別建の料率設定を認める
【積立金】
 合併により、それまで保有していた積立金は他の組合事業所と共有することとなることから、積立金を保有している組合としては、当該積立金を費消するまで(=財政状況の悪化)、他の組合との合併に踏み切らないインセンティブが働くことが考えられる
【積立金】
 地域型健保として合併する健保組合については、一定期間、経過措置として合併前の健保組合ごとに別勘定を設け、合併前まで保有していた積立金について、別管理を認める
【同種同業要件】
 健保組合は、原則として同種同業の事業所を適用していることが必要であり、異業種の事業を適用している健保組合同士は原則として合併できない。
【同種同業要件】
 地域型健保組合については、同一都道府県に存在する健保組合であれば、同種同業でなくても合併を認める



健保組合の現状 (財源率別)

健保組合の現状 (財源率別)のグラフ



健保組合の現状 (規模別)

健保組合の現状 (規模別)のグラフ



都道府県別の健保組合の状況

(平成16年予算ベース)
  東京 大阪 愛知 神奈川 兵庫 静岡 埼玉 千葉 京都 福岡 広島 長野 新潟 富山 岐阜 茨城 北海道 栃木 福島 群馬 宮城 石川 福井 滋賀 岡山 三重 香川
単一 組合数 514 159 94 73 52 34 27 27 24 25 20 15 17 19 12 15 10 10 13 9 8 9 8 8 9 7 8
  該当 (1)又は(2) 59 36 18 17 20 11 7 6 1 10 4 4 4 7 6 2 4 3 8 1 1 1 3 3 2 1 2
  (1)700人以下 36 18 11 9 11 6 2 3 - 3 2 2 1 2 4 2 - 2 - 1 - - - 2 1 - 1
(2)財源率80‰超 37 22 11 13 11 9 7 3 1 10 4 2 4 6 5 1 4 2 8 1 1 1 3 1 2 1 1
  うち財源率
90‰超
9 3 6 3 2 1 3 - - 5 2 - - 1 3 1 2 1 2 1 1 1 - - 1 - 1
総合 組合数 89 41 17 18 12 15 13 11 4 4 5 7 3 1 7 3 6 4 - 4 4 3 2 2 1 2 1
  該当 (1)又は(2) 7 21 6 6 9 6 9 3 1 3 3 1 2 1 3 1 3 2 - 2 2 1 1 1 - - 1
  (1)3000人以下 1 3 3 - - 1 4 - - 1 2 1 1 1 1 1 1 1 - 1 - - 1 - - - 1
(2)財源率80‰超 6 20 4 6 9 6 7 3 1 3 1 - 2 - 3 1 3 2 - 2 2 1 1 1 - - -
  うち財源率
90‰超
- 6 3 2 4 - 2 - - 3 - - 1 - 2 1 3 2 - 1 - - - - - - -
合計 組合数 603 200 111 91 64 49 40 38 28 29 25 22 20 20 19 18 16 14 13 13 12 12 10 10 10 9 9
  該当 (1)又は(2) 66 57 24 23 29 17 16 9 2 13 7 5 6 8 9 3 7 5 8 3 3 2 4 4 2 1 3
  (1)設立要件以下 37 21 14 9 11 7 6 3 - 4 4 3 2 3 5 3 1 3 - 2 - - 1 2 1 - 2
(2)財源率80‰超 43 42 15 19 20 15 14 6 2 13 5 2 6 6 8 2 7 4 8 3 3 2 4 2 2 1 1
  うち財源率
90‰超
9 9 9 5 6 1 5 - - 8 2 - 1 1 5 2 5 3 2 2 1 1 - - 1 - 1

  愛媛 岩手 山形 山梨 山口 和歌山 熊本 奈良 長崎 鹿児島 島根 徳島 高知 沖縄 青森 秋田 大分 宮崎 鳥取 佐賀
単一 組合数 8 6 6 6 6 4 5 5 5 4 3 4 4 4 3 2 3 3 2 1 1,344
  該当 (1)又は(2) 2 1 3 3 - 3 1 1 1 1 2 - 1 1 1 - 1 - 2 - 314
  (1)700人以下 1 1 - 2 - 1 - - - - 1 - 1 - 1 - 1 - - - 127
(2)財源率80‰超 1 - 3 3 - 2 1 1 1 1 1 - 1 1 - - 1 - 2 - 241
  うち財源率
90‰超
1 - 1 1 - - - - 1 - - - 1 - - - - - 1 - 89
総合 組合数 - 1 1 1 1 2 1 - - 1 1 - - - - 1 - - - - 295
  該当 (1)又は(2) - - - 1 - 2 - - - 1 - - - - - - - - - - 113
  (1)3000人以下 - - - - - 1 - - - 1 1 - - - - - - - - - 29
(2)財源率80‰超 - - - 1 - 2 - - - - - - - - - - - - - - 101
  うち財源率
90‰超
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 27
合計 組合数 8 7 7 7 7 6 6 5 5 5 4 4 4 4 3 3 3 3 2 1 1,599
  該当 (1)又は(2) 2 1 3 4 - 5 1 1 1 2 2 - 1 1 1 - 1 - 2 - 364
  (1)設立要件以下 1 1 - 2 - 2 - - - 1 2 - 1 - 1 - 1 - - - 156
(2)財源率80‰超 1 - 3 4 - 4 1 1 1 1 1 - 1 1 - - 1 - 2 - 277
  うち財源率
90‰超
1 - 1 1 - - - - 1 - - - 1 - - - - - 1 - 85

(注) 平成16年度組合予算の数値をもとに算出。ただし、各拠出金については平成16年度賦課額を使用。



健康保険組合の状況

健康保険組合の状況のグラフ

 対象組合数は、平成16年4月1日現在の組合数である。

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