医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会議事録
(臨床研修にかかる修了基準等について:第3回)


日時 平成17年4月13日(水)
 16:00〜18:00
場所 「厚生労働省 省議室 9階」


○臨床研修推進室長
 本日、長尾委員より遅れるとのご連絡をいただいています。また、医事課長はこの前の会議が長引いておりますが、定刻になりましたので、ただいまから「医道審議会医師分科会医師臨床研修部会」を開催します。本日、先生方におかれましてはご多忙のところをご出席いただき、まことにありがとうございます。では、議事の進行に入ります。部会長、よろしくお願いいたします。

○部会長(齋藤)
 はじめに、本日の議事について説明をお願いします。

○臨床研修指導官
 議事の説明と資料の確認をいたします。まず、議題については、次第にあるように1「医師臨床研修の修了基準等について」ということです。最初に資料1に基づき、前回の部会で宿題となっていた臨床研修における中断・未修了について説明させていただきます。
 次に資料2に基づき、前回の部会において、議論未了となっている部分についてご意見をいただきたいと思います。内容としては、評価結果に対し、不服がある場合の取扱いについてです。
 その次に資料3に基づき、修了基準の骨子たたき台案について議論していただきたいと思います。これは前回までの論点整理に沿った議論を踏まえ、あくまでもたたき台の案としてさらに整理をしたものであります。
 議事としては以上ですが、その他参考資料として、「臨床研修医在籍状況の推移」をいちばん最後に資料として用意しています。のちほど説明する時間がありませんので、本日のテーマとは若干異なりますが簡単に紹介させていただきます。3月30日に行われた医師国家試験の合格発表を踏まえ、臨床研修病院と大学病院における研修医の在籍状況を整理しています。平成15年度、これは旧制度の臨床研修ですが、臨床研修病院と大学病院の研修医の割合は約3対7でした平成16年度以降、新制度になってからは臨床研修病院の割合が増え始め、今回平成17年度、新制度の2期生においては、国家試験合格発表後の在籍状況を整理すると、初めて臨床研修病院における研修医の数が大学病院を上回っている状況になっています。臨床研修病院が比率として50.8%、大学病院が49.2%となっています。研修医の在籍状況としてご報告させていただきます。
 その他、机上資料として前回までの資料、および前回の議事録(案)を置いています。議事録(案)については委員の先生方に予めお配りし、確認していただいていますが、あとでまたお気づきの点がありましたら事務局までお願いしたいと思います。その上で確定とさせていただきます。以上です。

○部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明について、何かご意見、ご質問はありますか。もしないようでしたら、いま話がありましたように、まず旧制度下というか、必修化になる前の研修の中断・未修了の事例の説明、2番目として医師としての適性を欠く場合の考え方、3番目としては4月1日現在の暫定集計ですが、3月に行った研修病院に対するアンケートの結果における、新制度下での中断と中断者の受入事例について説明をお願いします。

○臨床研修審査官
 旧制度については、研修の修了基準に関しては厳しい基準がなかったわけですが、旧制度において2年の研修期間の中途で研修を中止した事例を代表的な研修病院、および大学病院より収集し、概ね頻度の高いと思われる順番に整理しています。これで大多数の事例をカバーしているものと思われます。
 資料に従って説明いたします。まず、「修了期間を待たずして病院等に就職したり、大学院等に進学する事例」、2番目として「精神疾患を含む精神的な問題があった者」、3番目として「他の臨床研修プログラムへの変更」、4番目として「臨床医としての適性に問題があった場合」、5番目として「妊娠・出産・育児に伴うもの」、6番目として「精神以外の問題で研修継続を困難とするような傷病があった場合」、7番目として「基礎医学系統への転向による進路変更」、「海外への留学」、9番目として「配偶者の都合」、10番目として「結婚による退職」、11番目に「交通事故等による死亡」、それから「その他」というようになっています。
 これまでの議論より、医師としての適性を欠くと考えられる場合について、大きく3つに分けて整理いたしました。まず1番目として、「社会性の欠如又は医療現場に不相応」、医療安全の確保ができない、患者および家族とのコミュニケーションができない、プライバシーへの配慮ができない、職場での人間関係が築けない。または、遅刻、無断欠勤の常習者である。2番目として「法令・規則が遵守できない」、これには犯罪行為、または院内での迷惑行為等が含まれます。3番目として「重大な傷病の罹患」、長期にわたり、治療に専念する必要のある疾病や大きな怪我が含まれるというように考えられました。
 3は新制度における中断・受入事例に関するアンケート調査の回答状況、4月1日現在の暫定的な集計結果です。中断事例には研修医の申し出によるものが53件、逆に病院からの勧告によるものが1件、都合54件ありました。一方、中断・受入事例については33件ありました。
 研修医からの申し出による研修中断の内訳としては、ここにあるようにまず「病気」がいちばん多く、その次に「本人又は家庭の事情」、それから「研修内容に不満がある場合」、「進路変更」、「妊娠・出産・育児」、「その他」となっています。
 逆に、病院からの勧告による研修の中断の事例としては1件ありました。これについては、病院の研修の趣旨にどうしてもなじめなかったと聞いています。以上です。

○部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明について、何かご質問、ご意見はあ りますでしょうか。

○北島委員
 「研修の中断:研修医からの申し出」の中に「研修内容に不満」とあります。これはプログラム、あるいは指導医との評価の乖離など、その辺のことはわかりますか。

○臨床研修審査官
 特段、そういう事例は聞いていません。子細については不明です。

○部会長
 いまの資料1の3頁目、同じところなのですが、53名の中断の申し出があって受け入れが33名ということは、あとの20名の研修医はこの時点ではそこで止まっているわけですか。

○臨床研修審査官
 これについては報告の義務がありませんので、完全にフォローできているとは考えられておりません。

○臨床研修推進室長
 理由として「病気」というものもあります。治療に専念していることも考えられます。また、「その他」の中に海外留学というものもあります。そういった理由で、必ずしも病院が見つからないからということではないと考えられています。

○山口委員
 これは53例の申し出があって中断したのであって、この調査を受け入れたのが33名ということでしょうか。調査の対象外のどこかに漏れている可能性はいくらもあるわけですか。

○臨床研修推進室長
 これはまだ4月1日現在の暫定集計なので、回答していない病院の中に埋もれている可能性も確かにあります。

○山口委員
 もう1つ、ご本人から申し出があったというもの、もう1つ勧告は病院からの勧告ですよね。これはこの1件だけ、どういう事例なのでしょうか。

○臨床研修審査官
 病院の方針と、本人の研修に対する期待が噛み合わなかったということです。病院では「こうしてほしい」ということがあったらしいのですが、それについて非常に不満があったと聞いています。

○山口委員
 病院で不適応と判断して、「君は辞めなさい」と言ったということですか。

○臨床研修審査官
 はい。

○吉田委員
 回答率はどのぐらいなのですか。つまり、この数字の分母はどのぐらいだと考えたらいいのですか。およそで結構です。

○臨床研修指導官
 母数が927という単独・管理型病院に対して、回答があったのが約800ということでした。大体9割近くの回答率を得ています。

○吉田委員
 ありがとうございました。

○部会長
 研修医が7,500人ぐらいいる。そのうちの53名ということは1%弱ですか。

○矢崎委員
 一応、マッチング協議会というものがあって、マッチングしたあとのフォローアップをするということになっています。そこにも中断、あるいは研修先を変えたいという要望がある。それを1例1例、皆さんで検討して、基本的な基準みたいなものを作って判定しています。数は少ないと言えども、我々と言うと語弊がありますが、マッチング協議会で関与していないところで、「研修内容に不満」、あるいは「本人又は家庭の事情」での変更がどういう基準で進められたのか。前回も申し上げたのですが、判定が医事課とマッチング協議会とで基準が違ってくるとまずいと思うのです。その辺の調整をしないとならないだろう。

○部会長
 ちなみに、マッチング協議会で把握されている数というのは53名よりも少ないということですか。

○矢崎委員
 全然少ないですね、数例です。

○部会長
 確かに、基準が違うと。

○矢崎委員
 厚生労働省に申請したらOKで、マッチング協議会ではそれは認めませんという、ダブル・スタンダードになっています。

○臨床研修推進室長
 実は、中断については手続き上、特に厚生労働省に判定を求めるなどの規定がありません。ですから、今回の53名というのも我々はこれまで把握していなくて、今回アンケート調査をやって初めて把握できたというのが実情です。
 この件について、矢崎委員の問題提起に対応するにはおそらく2つ必要だと思います。まず、1つは中断の手続きというものをもう少し明確化して、必要があればきちんと国に相談してもらうというものを入れ込むことが必要かなと思います。2点目は先ほどおっしゃったような、マッチング協議会と齟齬のないような基準をこちらで議論していただいて、そういうものを作って、全国にお示しすることかなと思っています。のちほど、骨子の案のところにもその辺が出てきますので、そこでまたご議論いただけたらありがたいと思います。

○矢崎委員
 すみません、私の誤解があったと思います。マッチング協議会でマッチングに決まったけれども、変更したいということに関してマッチング協議会に申請するということになっています。

○橋本委員
 変更はあるけれども、中断はなかったと思います。

○矢崎委員
 中断は違うかもしれませんね。その辺を整理しておいたほうがいいと思います。おそらく、マッチング協議会はマッチングした結果を変更することに対して、マッチング協議会に申請するのであって、始まったあとの中断とかはもしかするとマッチング協議会ではなくて、医事課のほうに相談が行っているのではないかと思います。
 ただ、本人の事情と家庭の事情で変更するときと、やってから変更する場合、基準が違っているとまずいと思います。やはり、どこかで統一したスタンダードを作っていただくとよろしいかと思います。よろしくお願いします。

○橋本委員
 それと関連して、「研修内容に不満」とあります。これで研修を中断してしまうのですか。要するに、もう研修しないでどうするのでしょうか。医師ではあるということですか。「進路変更」は3人ですから少ないですけれども、これも臨床医を辞めてしまう。要するに、研修をやめてしまうわけですね。あるいはやめないで、また復活する余地を残している。これはどう解釈したらいいのでしょうか。
 「内容に不満」というのは、良い悪いは別ですが理解はできるのです。でも、この人たちはそのあとどうするのでしょうか。そこまではわかりませんか。

○臨床研修推進室長
 このアンケートでは、その後のフォローのようなことまではやっていないのでわかりません。臨床医になりたいということであれば、おそらくほかの病院を探してということではないかと思います。「進路変更」は基本的には、基礎のほうに行くということだと理解しています。

○橋本委員
 臨床研修は必修化されたわけですから、不満で中断してほかの病院へ行く。それはルール違反ではないのでしょうか。中断して何をしているのか、あるいはほかの病院がそれを受け入れるのか。

○部会長
 その辺は多分、たたき台の案の中に「中断の定義」などを、どのように考えるかという点が出てくると思います。また、のちほどまとめて議論したいと思います。

○西澤委員
 いまのお話、中断した例が受け入れたときの病院と別だと思ったのですが、多分そうではなくて、同じ病院が受け入れている例が混じっていると思います。というのは、下の理由で「病気」や「妊娠・出産」の例がありますから、これなどは病院が変わっているとは考えられないのです。受け入れは同じ病院で、病気や出産で中断して同じ病院が受け入れた例、受け入れが別な病院の例を分けて数字を示していただけると理解しやすいと思います。

○部会長
 これは一断面の統計なので、フォローアップまでされていないから、おそらくその辺がはっきりしていないと思います。そのほか、例えば2頁目の「医師としての適性を欠くと考えられる事例」、これは主として臨床の医師としてという意味だと思います。これについてご意見はいかがでしょうか。考え方はここに出ております。

○吉田委員
 しかし、この議論は旧制度のものですか。

○部会長
 いや、これは。

○吉田委員
 いま、2頁とおっしゃったのではないですか。

○部会長
 この2枚目の資料は旧制度も新制度もなくて、基本的な考え方でしょう。

○臨床研修推進室長
 考え方の整理としてお出ししました。

○吉田委員
 そうですか、わかりました。

○橋本委員
 1頁目だけが旧制度ですか。2頁目は考え方ということですね。

○山口委員
 そうすると、新制度のアンケート調査で、結局臨床医としての適性に多少でもかかわり合いがありそうな人たちは、「本人または家庭の事情」と言われているものと「研修内容に不満」、この中に含まれている可能性があるということですか。ご本人が研修内容に不満ということもあるのでしょうが、こういう中には単に病院の研修のプログラムとご本人の希望が合わないだけでない可能性がありますよね。

○臨床研修推進室長
 そうですね。あとは「病気」の中にもあるのかなという気がします。

○冨永委員
 前回も、「社会性の欠如又は医療現場に不相応」という事例に関しては、慎重に対応するということが言われたと思います。2の精神的な問題、3の他の臨床研修プログラムへの変更は別として、いまのアンケートの結果から見ると、病院からの勧告というのは1例だけですので、実際、現在の新臨床研修制度においては臨床医として不適格、という病院からの勧告はあまりないと考えてよろしいのでしょうか。本人の申し出がほとんどですか。

○臨床研修推進室長
 はい。

○冨永委員
 やはり、この辺は慎重に考えて対応していく必要があると思います。2、3については、どの程度であればどの程度の処分をし、どの程度の期間中断させて再開させるか。例えば犯罪の場合、犯罪の重みによって違ってくると思います。

○部会長
 いかがでしょうか。3頁目の統計の研修医からの申し出の中にはそのように病院が持っていったというか、多分角が立たないようにしたものもあるかもしれません。2頁目の適性を欠くという基本的な考えとしては、こんなところでしょうか。

○吉田委員
 いま、冨永委員が言われたことに尽きると思います。協調性がない、あるいは社会性の欠如というようなことは、特に研修病院のほうでそれを、評価する場合にはよほど慎重でなくてはいけない。きちんとしたある程度のルールなどがないと、この辺を曖昧にしておくと良くないと思います。大体、冨永委員の言われるとおりだと思います。

○部会長
 そのほか、資料1についてはよろしいでしょうか。次に、前回積み残した部分がありました。指導医が評価するわけですが、評価結果に不服がある場合の取扱いについてです。資料2ですが、いかがでしょうか。

○北島委員
 これは例えば、未修了、中断という、例えば申し出で中断したことに対する不服ということですか。

○部会長
 おそらく評価結果でしょう。

○臨床研修推進室長
 これはむしろ、病院側の評価に対する不服ということなので、自分からの申し出ということではありません。

○部会長
 EPOCの場合も指導医と研修医の両方を評価しますが、あの場合、乖離したときは解決するのでしょうか。

○臨床研修審査官
 研修医と指導医がフェイス・トゥ・フェイスで話し合って、どうしてこのようになったのかを話し合った上で、納得できるところは納得ということになります。そのときに、どうしてもすり合わせができない場合は問題になってくるというように理解しています。

○冨永委員
 前回も申し上げたかと思うのですが、自己評価はともかくとして、研修医に対する評価ですが、どういう割合にするかは別として、指導医だけでなく、看護師を含めたコメディカル、あるいは基準で定められている指導医以外の指導する医師等の意見を総合的に、評価をした上で判定を出すべきだと思います。というのは、指導医の前では非常に態度が良い。しかし、まれではありますが、コメディカルや患者に対しては不遜な態度で接する人もいます。いろいろな人が見て総合評価をすれば、ある程度納得してもらえるのではないかと思っています。

○北島委員
 指導医と研修医の評価間の乖離の場合、誰がどう評価するのか。そうするとやはり研修管理委員会、ならびにプログラム責任者、この方が第3者として評価をして間に入って調整をしないとうまく収まらないと思います。

○部会長
 一方、確か橋本委員の研究報告書では、研修医から指導医の評価というものもありましたね。

○橋本委員
 研修医を評価することで、乖離があった場合には、いま北島委員がおっしゃったような、第3者評価という意味では院長、あるいは研修管理委員会で総合的に評価することで、乖離がある程度防げるのではないかと思っています。

○部会長
 そういうことでよろしいでしょうか。

○橋本委員
 話が混乱するかもしれませんが、むしろ本人の申し出があって、この勧告というのは現在のアンケートでも非常に少ない。多いのは申し出です。この申し出をそのまま受け入れるかどうか、ということの評価判断はどこで、どのようにやるのでしょうか。病気などならわかるのですが、先ほども話が出ていた以外、本人の申し出。

○部会長
 中断についての申し出ですね。

○橋本委員
 修了も含めて。これは中断、修了後ですか。やはり、中断の不服もある場合がありますね。

○部会長
 その辺、いま北島委員が言われたような、解決するのは研修委員会やプログラム責任者の責任だと思います。

○矢崎委員
 施設によって、バックグラウンドの背景を十分把握していないといけないということがあります。臨床研修協議会が厚生労働省の補助金をいただいて、いままでは指導医の講習会をやっていた。今度はプログラム責任者の講習会、そういう課題も取り上げていま講習会で1泊2日かけてやっています。ですから、第3者といえども、病院の中の責任者がそこを調整して、評価する。そういうスキームでいまやっています。

○部会長
 それでは、それが行き渡ればこの問題も対応できますね。そのほか、この点についてディスカッションはありますでしょうか。どうもありがとうございました。
 続いて、前回までの議論を踏まえて作成した、「臨床研修修了基準等(骨子のたたき台案)」があります。まず、その資料の説明をお願いします。

○臨床研修指導官
 資料3について説明いたします。資料3については前回までの論点整理、およびこれに対する議論を踏まえ、修了基準の骨子たたき台案として、さらに整理し直しています。若干、前回の論点整理とは構成が変わっています。
 まず第1、基本的な考え方をここで整理しています。1、今回の議論は研修医の評価のみを対象とすべきではないか。2、病院指定時に到達目標達成可能ということでプログラムが認定されているので、きちんとプログラムをこなすことができれば修了を認めるべきではないか。3、柔軟性を持った、全国共通の評価基準の設定が必要ではないか。4、評価方法として、研修中は形成的評価によりフィードバックをかけることが大切。その上で最終的に総括的評価を行い、修了認定に当たっては絶対評価とすべきではないか。5、到達目標の達成についての評価、病休などによる欠席期間についての評価の2つに分けるべきではないか。6、研修医に対する評価、各分野における評価については担当指導医が、研修期間を通じた評価についてはプログラム責任者が行い、最終的な評価を研修管理委員会が行う。研修管理委員会の評価に基づいて、単独・管理型病院の管理者が臨床研修の修了を認定する。この辺については、ある程度各委員共通の認識を得ているものと考えています。
 次に第2、評価・認定等における関係者の役割についてです。まず1、指導医等ということで、(1)は評価の仕組みを書いています。(2)その上で指導医のみならず、研修医のすぐ上の医師やコメディカルからの評価も重要である。これらの職員とよくコミュニケーションを取り、それぞれの評価を把握した上で責任を持って評価を行うべきではないか。(3)指導医は研修医とよくコミュニケーションを取り、評価に大きな乖離が生じないように努めるべきではないか。(4)研修医による指導医の評価も、指導医の質の確保、向上のための一方策ではないかというご意見でした。
 2、プログラム責任者、(1)は評価の仕組みを書いています。(2)プログラム責任者は定期的に各研修医の研修進捗状況をチェックし、指導医にフィードバックするべきではないか。
 3、研修管理委員会、(1)は評価の仕組みを書いています。(2)研修管理委員会でも各研修医の研修進捗状況をチェックし、プログラム責任者と指導医にフィードバックすることが大事ではないかというご意見でした。
 4、単独型・管理型臨床研修病院の管理者として、第1段落、第2段落については修了認定の仕組みを書いています。第3段落目から、管理者は研修管理委員会の勧告又は研修医の申し出を受け、当該研修医の臨床研修を中断することができる。これも仕組みではありますが、この場合、先ほどもご意見が出ましたが、研修医からの申し出を直接管理者に申し出ることになるので、中断の判断を下す前に、本人及び研修指導関係者と十分話し合うとともに、必要に応じて地方厚生局に相談することが望ましいとすることも考える必要があるのではないかと整理しています。
 第3、評価方法。1、研修プロセスの評価、(1)実際に研修したかどうかの評価を「臨床研修到達目標」に記載された個々の項目について、研修医手帳又はオンライン臨床研修評価システム(EPOC)などでチェックしたらよいのではないか。その評価基準は、安全性の確保に十分留意した上で柔軟性を持ったものである必要があるのではないか。(2)研修プロセスの評価は形成的評価を行うべきではないか。すなわち、指導医は研修医の毎日の指導に基づいて、評価を定期的に行うのみならず、その結果を研修医本人にフィードバックし、医師として資質の向上を図るべきではないか。
 評価方法の2として、研修終了時の評価です。(1)評価は、休止期間の評価、到達目標の達成度の評価の2種類に分けるべきではないか。(2)到達度の評価は2年間を通じ、少なくともすべての必修項目について、目標を達成したかということを確認すべきではないかというご意見として整理しています。
 第4、修了の評価・認定基準、1、研修休止期間の評価。(1)休止の理由についての基準を決めるべきではないか。(1)として、休止の理由は妊娠・出産・育児・病気その他、正当な理由として妊娠・出産・育児もそれ以外の理由の場合と同じ扱いにしてはどうか。(2)休止の期間についての基準を決めるべきではないか。(1)到達目標を達成するという前提で、研修期間(2年間)を通じた休止期間の上限は90日(土日、祝祭日は含めない)としてはどうか。この場合、年次休暇を90日の中に含めるか否かという点についても整理する必要があります。
 (2)基本研修科目、必修科目それぞれについて最低履修期間を設けるべきか否かについて、少し議論をしていただく必要があるのではないかと思っています。前回まで、ここは14週という話をしておりましたが、改めて司法修習との兼ね合いも合わせて90日として、最後、5頁にも例として整理しています。それについて、のちほど若干説明させていただきたいと思います。(3)休止の補習についての基準を決めるべきではないか。補習の考え方についても、日数、時間外の日時、選択科目の期間の利用など、整理する必要があるのではないか。
 2、到達目標の到達度の評価。(1)到達度の評価は総括評価。2年間を通じ、少なくともすべての必修項目について目標を達成したか否かという観点で評価を行うべきではないか。(2)個々の項目については、安全性の確保に十分留意した上で柔軟性のある到達度を設定し、最終的には成績の良し悪しではなく、あるレベルに達しているという絶対評価を行うべきではないか。
 3、医師としての適性の評価。(1)医師としての適性を欠くというのはかなり慎重に判断する必要がある。手順をきちんと決めるべき。病院外の者の意見などもあったほうがいいのではないか。(2)「医師としての適性を欠く」場合について、患者とのコミュニケーションがとれない場合、犯罪を犯した場合、傷病の場合等、想定し得るケースについて検討する必要があるだろう。その上で、復活の可能性を残すのか否かについて議論すべきではないか。(3)医師として適性を欠く場合、必要に応じ大学に卒業させた理由を聞くべきではないか、というご意見を整理しています。
 ここには書いていませんが、「修了認定」という意味で、休止期間とは若干異なりますが、新制度一期生については多くのプログラムが国家試験の合格発表の日程の関係で、平成16年5月からのスタートになっています。平成18年3月までの23月で終了することの是非についてもご意見をいだければと思います。
 第5、未修了。1については基本的な考え方を整理しています。2、未修了としては、(1)未修了の生じる場合、本人が医師としての不適格者である場合を除き、研修医のみならず、研修プログラム側や指導医に責任のある場合もある。原則として、プログラム側には全員修了させる義務があるのではないか。(2)未修了となった場合、それを到達させるための研修プログラムを地方厚生局に提出させる必要があるのではないか、という整理をしています。
 第6、中断。1としては基本的な考え方を整理しています。2、中断として(4)中断判定までの手続きを明確化すべきではないか。特に、医師としての適性の判断を行う場合にはきちんとすべき。(5)中断の基準をマッチング協議会における基準とそろえるべきではないか。(6)管理者が研修医本人からの中断の申し出を受けた場合、必要に応じて事実関係の調査を行うとともに、研修医の意見を十分聞いた上で、管理者の単独判断ではなく、研修の関係者と十分協議するための仕組みが必要ではないか、と整理しています。
 この骨子たたき台案を議論していただき、考え方を整理し、説明ぶりの肉づけをした上で、修了認定基準案につなげていただきたいと考えています。以上です。

○部会長
 最後の表の説明をしてください。

○臨床研修指導官
 休止期間の考え方として、例を4つ、研修医AからDについて考えてみました。基本的には2年間の研修プログラムとして、休止期間の上限を90日とした場合の各ケースの考え方として整理しています。あくまでも休止期間の考え方としては、2年間という研修期間中、本来研修を受ける必要がある日に研修を受けなかった日という考え方で、土日、祝祭日は除き、年次休暇や病気休暇は含めるものとしてこのペーパーでは整理しています。
 研修医Aの場合、小児科の研修期間中に怪我による入院期間が1月、いわゆる選択科目の期間を活用して小児科を履修し、研修期間終了時に到達目標を達成していれば研修修了とみなすケースです。 研修医Bについては、外科・救急部門の研修にまたがる期間に産前・産後の休暇を14週取得(土日を除くと70日)、さらにその前後に合わせて10日の年次休暇を取得、合計で80日の休止期間を取った場合です。いわゆる選択科目の期間を活用し、外科・救急を履修した場合に、研修期間終了時に到達目標を達成していれば研修修了とみなすケースの考え方です。
 研修医Cについては、外科・救急・小児科の研修にまたがる期間に交通事故により、約半年間入院、これを仮に24週、土日、祭日を除くと115日とセッティングし、休止期間90日という上限を考慮しても25日超えてしまう。その分延長し、いわゆる選択科目の期間を活用し、外科・救急・小児を履修したとしても、予め定められた研修期間終了時には、履修期間の不足を理由に未修了、延長期間の終了時に到達目標を達成していれば研修修了とみなす考え方の例です。
 研修医Dについては、研修の初年度、職場に馴染めず出勤・欠勤の繰返し、2年目は周囲のフォローアップにより通常勤務、結果的に休止期間が2年を通じて110日、休止期間90日という上限を考慮しても20日超えている。その分は延長という形になります。予め定められた研修期間終了時には、研修医Cと同様、履修期間の不足を理由に未修了とする。延長期間終了時に到達目標に達していれば研修修了、達していなければさらに延長という考え方の例です。以上です。

○部会長
 ありがとうございました。この資料3について順番に議論をしていただきたいと思います。最初は1頁目の第1、基本的な考え方です。1から6まであるのは、前回までの主な議論はすべて入っていると思いますが、何かこの部分についてご意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 もしありましたら、また後から入れるとして、次の第2、関係者の役割のところ、「指導医とプログラム責任者、研修管理委員会、管理者」というように階層的に書いてあります。ここはいかがでしょうか。先ほど、冨永委員からご指摘のあった、年次の上の医師やコメディカルからの評価も一応ここには入っていると思います。
 その次にプログラム責任者が全体を把握するということ、研修管理委員会は主としてシステムのことが書いてあり、管理者の役割とあります。ここに「地方厚生局」という言葉も出てきますが、臨床研修審査官がそういう場合には相談に乗るという意味ですか。
 ここまで問題なければ、第3の評価方法に進みます。評価方法について、基本的な考え方の中に「柔軟性を持った全国共通の評価基準の設定」ということが謳ってあります。具体的には、例えば研修医手帳、オンライン臨床研修評価システム(EPOC)を想定しているのですか。あるいは、考え方だけが全国共通で、あとは各プログラムで独自の評価でもいいというように考えるのでしょうか。

○臨床研修推進室長
 ここの部分については2頁というより、むしろ3頁の2、「到達目標(医師としての適性を除く)の到達度の評価」という部分に反映させています。「すべての必修項目について目的を達成したか否か」という観点を前提として、「個々の項目について柔軟性のある評価基準」と言いながらも、「最低レベルとして安全性の確保ということだけはきちんと踏まえる」、ということを全国共通とするのかなという感じでこちらに書きました。

○部会長
 安全性の確保というのは、医療の安全性という意味ですね。

○臨床研修推進室長
 そうですね。例えば手技についても、うまい、下手ということではなくて、若干時間がかかってもきちんと、安全にできるということだと思います。

○北島委員
 先ほど、「医師の適性を欠く」という事例の中で、医療安全の確保ができないとありました。まさしくこれだと思います。医療安全の確保ができないという、指導医はどうして判断評価できるのか。結局、指導しながら、この人は医療安全の確保ができそうもない。それはどういう事例なのか、よくわからないのです。

○臨床研修推進室長
 私も臨床の現場を離れてだいぶ長いので詳しくはわからないのですが、薬の確認をきちんとしないで間違えるとか・・・

○北島委員
 不注意というか、ケアレスミスということですか。

○臨床研修推進室長
 はい。いわゆるリピーター医師の話などが出てきていますが、そういう側面が研修医の時点から出ているような医師ということかなと思います。

○北島委員
 やはり、この辺がいちばん重要な点だと思います。

○部会長
 2頁目の「研修プロセスの評価」、研修中は形成的評価、終わったときには絶対評価ということでした。どこかで出てきたと思います。そうすると、第4の「修了の評価・認定基準」のところ、先ほど表で説明があった休止の問題がありますが。

○冨永委員
 司法修習生の場合、90日という話だったでしょうか。その場合は土日は含めなくて90日なのですか。

○臨床研修推進室長
 研修を行うべき日にちというように伺っています。

○冨永委員
 産前6週、産後8週で98日(土日を含めないと70日)になりますので、90日であれば十分可能と思います。とすると、研修が実際にできるのは一年間におよそ何日となりますか。

○臨床研修推進室長
 だいぶ少なくなると思います。

○冨永委員
 一年に220〜230日ですか。土日、祝祭日を含めると非常に少ない。ということは、研修ができる日数のうち3分の1強休んでもいいことになるわけです。

○臨床研修推進室長
 2年間ですから。

○冨永委員
 ああ、そうですか。

○臨床研修推進室長
 2割弱ですね、大体。

○矢崎委員
 「医師としての適性を欠く」というのがいちばんキーポイントだと思います。まず、文章で「安全性の確保」が2カ所出てくるのですが、わかりにくいので、やはり「医療安全の確保」にしておいたほうがわかりやすいと思います。国家試験の禁忌肢というのは必ずしも賛成ではないのですが、あの趣旨はやはり患者の生命を脅かすような、誤りを犯すような選択肢を選んだ場合、ほかの点数が良くても国家試験を通らないということがあります。先ほど「事例」という北島委員のお話がありましたが、ある程度のものを決めないと、それこそやはり。

○部会長
 主観的になりますよね。

○矢崎委員
 主観的になると、いろいろな問題を引き起こす可能性があります。私が学部長の責任ということで、学生に自主退学をしていただいた方もいます。そういう具体的な事例はある程度の基準がないと、なかなか重い判定は下せないところですね。

○部会長
 これは当然2頁にあるように、そういう場合は地方厚生局にも相談してというように、みんなで相談するわけですね。ですから、その地方厚生局、あるいは身近なほうで公表する必要はないかもしれませんが、考え方を整理しておかれれば、よいと思います。

○矢崎委員
 確かに禁忌肢も、オープンにはなっていないのでしたね。

○部会長
 オープンにはなっていないと思います。

○矢崎委員
 どの問題が禁忌肢だったか。だから、必ずしもこういう基準でとオープンにできない、極めて重大なこともありますね。いわゆる外形基準的にこれに反したものは駄目ですということはできないけれども、ある程度のことはできても、オープンにできない事情もある、そういうのをどういうようにするか、難しいところはありますね。

○篠崎委員
 医療安全という言葉だけでは表現に難しい点もあるかもしれないので。前にも申し上げたのですが、ケーススタディ的にこんな事例でどうこうと、もう少し長い文章で書いて添付する。そういうこともあるかと思います。過去の事例でこういうものがあってと、臨床経験の豊かな先生に作っていただいて、例示すれば、具体的なイメージが湧くのではないかという気がします。

○部会長
 その辺がちょっと難しい面がありますね。国家試験の場合はペーパーテストだからいいのですが、実際に起こったことになりますから、結局はインシデントやアクシデントですね。

○橋本委員
 そこはある程度具体的にチェック項目を作ることは可能だと思います。例えば知識、技能、態度と3つに分けて、医学的知識で犯してはならないというのは国家試験の禁忌肢的にできますし、技能や態度については、こういう態度をとったら駄目というようなものは、例えばレーティングスケールといった方法を使えば、態度評価という意味でやっていけるのではないかと思います。ですから、ある程度、そういった評価のモデルを作ればできるのではないかと思います。技能の問題にしても実際に抗生物質をやるときに、きちんとアナムネーゼを聞いていないとか、皮内テストをしていないということで最小限のチェック項目を作っておけば、ある程度できるのではないかと思います。医師としての適性に欠くといういちばんの問題は、態度、行動の評価ではないかと思います。

○北島委員
 学生のころは患者に相対していないのです。クリニカルクラークシップ辺りになると、ある程度患者と対するので、その辺からの観察で、ここにそれで大学を卒業させた理由だとか、問題なしと書いてあるのかもしれませんが、患者と初めて対してコミュニケーションの悪さとかがだんだん出てくるのではないでしょうか。だから、いわゆる適性に欠けると評価されたら大変な問題です。ある程度の評価基準や事例を先ほど橋本委員が言われたようにチェック項目を決めておいていただいたほうがわかりやすいのではないかと思います。

○部会長
 ここで大学という言葉が出てきますが、これは基礎研究者だったら問題ないわけですから、そこまで大学に聞くのは無理ですね。

○山口委員
 やはりここでいう医師としての適性、漠然として医師ではなく、卒後臨床研修ですから、臨床医としての適性の評価だと思うのです。そうすると、やっていることが患者にとって安全であればいいというだけでは不十分で、安全だけでは駄目なので、患者とコミュニケーションがきちんととれるとか、医療スタッフとチーム医療ができるということも含めたところで線を引かないと、安全のところで線を引いてしまうと、それでは不十分だと思います。ですからそれからいうと、ただ単に、医療安全のところで合格であればオーケーではなくて、もう一歩進めて対患者で合格かどうかという判定をしないといけないと思います。そういう意味ではもう一歩進めていただいて、患者とコミュニケーションがとれないといけない。それから、そういう意味でのコメディカルの看護師等の判断は、もう少し重視してもいいのではないかと思います。この研修で臨床医としての適性がないと判断されても、医学に携われないという判断ではないわけですから、そういう意味ではただ単に安全のところで問題があるだけではやはり不十分なので、もう一歩踏み込んで。

○部会長
 ほかのキーワードも入れるということですね。

○山口委員
 入れなければ、不十分ではないかと思います。

○北島委員
 だから安全と安心の医療を提供できるということです。安心というのは患者に対して必要だと思うのです。

○部会長
 いまの3頁の上のほうで、確認ですが、90日という数はよろしいですね。それからもう1つは、基本研修科目、必修科目に、最低履修期間を設けるかどうかということについては案が1と2と2つありますが、いかがでしょうか。

○冨永委員
 基本研修科目は6ヶ月、3ヶ月、3ヶ月と決まっていますが、必修科目については、1カ月から3カ月と考えられていますので、最低1カ月以上になると思います。

○部会長
 1カ月以上ですね。では案の1ですね。それから補習についてということが次に書いてありますが、表の研修医CとDの場合、補習について2年間を超えてはみ出した場合でしょうか。

○長尾委員
 先ほどの最低履修期間というのは、全基本研修科目も含めてということですか。1カ月以上ということですか。

○部会長
 それはちょっと無理でしょうね。6カ月。

○長尾委員
 これは必修が1カ月ということですね。

○部会長
 小児科や産婦人科、精神科。

○長尾委員
 わかりました。

○臨床研修推進室長
 すると、案の1−1ではなくて、1−2ということになると考えてよろしいわけでしょうか。通知では「1年目には基本研修科目の内科、外科、救急を履修しなさい。2年目にそれ以外の必修科目」と書いてあって、ただ期間については1カ月以上としかなっていないのです。ですから、ここのところが非常に曖昧なので、基本研修科目も含めて1カ月以上というような感じの通知になっているので、そうすると、ちょっと矛盾が生じてしまいます。いまのお話ですと、基本研修科目というのは、やはり1カ月ということでなく、もう少し長くすべきではないかというお話ですので、その場合、具体的に何カ月以上にするのかということを、決めていただきたいと思います。

○部会長
 5頁の表によりますと、内科6カ月、外科3カ月、救急3カ月ですね。この3つの基本研修科目については、最低をどれだけにするかということかと思うのですが、常識的には半分はやらないと具合いが悪いような気がしますがいかがでしょうか。

○冨永委員
 休めるのは、2年間を通じて90日という話ですね。それぞれ一応基本研修 科目、必修科目における目安はあると思うのです。その期間中に、どれくらい休んでも次に進めるかということだろうと思います。全体としては90日ですが、内科6カ月のうち病気を2週間した。もちろん90日以内であるが、そのときに次に進めるかどうかということだろうと思うのです。ですから、2年間のうちに何日休めるのか、各科目の研修期間中に何日まで休めるのか、を認めるのかということだろうと思います。しかし到達目標に達していることが条件と考えます。

○臨床研修推進室長
 ちなみにこの机上資料の1回目の資料の通知の7頁の(ウ)の(1)、研修期間は原則として合計2年とする。(2)で臨床研修を行う分野ごとの研修期間はそれぞれ1カ月以上とし、臨床研修病院への実情、研修プログラムの特色を考慮して定める。(3)で原則として当初の12月は基本研修科目を研修し、また内科においては6月以上研修を行うことが望ましいという書き方になっています。(5)の例示として3行目から、例えば当初の12月について、内科において6月の研修、外科及び救急において合計6カ月の研修を行うこととし、次の12月について、必修科目それぞれ3月と、こういう記述になっています。

○部会長
 そうすると望ましいという言い方は必ずしもしなくてもいいと解釈すれば、1月あればいいということなのですか。

○臨床研修推進室長
 実際には基本研修科目で1カ月というプログラムは認めていないです。そういうのを出してきているところもないようなのですが。

○長尾委員
 これは90日というのは選択科目の部分がありますね。それは90日でカバーできるわけですね。だから、必修科目も1カ月以上というのはそれぞれが1カ月以上で決まっているわけですし、基本研修科目も一応それぞれの期間が決まっているわけですから、それは最低としてもいいのではないですか。あとは90日というのは選択の部分なので、9割か8割ぐらいはするなど何かしないといけないのではないでしょうか。

○冨永委員
 割合を決めてほしいと申し上げましたのは、そういうカリキュラムがあるかどうかは知りませんが、基本研修科目は全体として1年だと思うのですが、2年目の必修科目の研修で実際にはないと思うのですが、それぞれ3カ月間行うと基本研修・必修科目の研修で2年間終わってしまうわけですね。そうすると選択研修の機会がなくなるということですので、各到達目標に達していて、何割まで休むことを認めるか、2年間を通じての休みと、各科研修中の休みと、ある程度マッチさせて、認めたほうがいいのかなという気がします。

○部会長
 それともう1つは期間以外に経験する症例数の問題がありますね。

○冨永委員
 ですから、到達目標に達しているということが条件になるかと思います。

○部会長
 では、これは事務局でいまの議論を踏まえて、それぞれの最低の案をまた作ってみてください。いま議論をしていても、なかなかまとまらないと思いますのでお願いします。そうすると、いまの次は3頁の下のほうの第5の未修了のところですが。

○臨床研修推進室長
 すみません。いまの3頁の上のほうで、年次休暇を含めるか否かと いうのを1つ課題として投げているのですが、実は司法修習のほうは年次休暇という発想はないというか、すべての休暇をこの90日の中に入れているというお話でした。こちらのほうも同じような扱いでよろしいか、あるいは年次休暇はまた別と考えるか、そこをご議論いただけたらと思います。

○部会長
 年次休暇は10日ですか。

○臨床研修推進室長
 それは施設によって若干違います。

○冨永委員
 一般職員だったら、私の所は一年間20日です。

○部会長
 いかがでしょうか。

○冨永委員
 含めるべきだと思います。

○部会長
 含めるべきというご意見ですが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○部会長
 未修了は原則として同一病院でやる場合が未修了という考え方ですね。中断とは違うのは、中断の場合は同一病院では再開しないということで分けていると思いますが。

○冨永委員
 確認ですが、未修了の場合は理解できましたが、4頁の中断の場合、医師としての適性に欠ける場合と研修医の申し出というのがあります。研修医の申し出については厚生局、あるいは大学、医師会等々と相談していただいて、最終的に臨床研修管理委員長の判断によると思うのです。医師としての適性を欠くという判断をするかしないかという場合、もし地方厚生局にも相談した上で、適性を欠くといった場合、よその病院に移るということが可能かどうか。適切であるかどうかということが残ると思うのです。臨床医として問題がある場合には、いろいろな指導力を発揮して、いい方向に指導するということが大事なことなのですが、本当に医師としての適性がないと判断したときに、よその病院に変わることができるのかということが1つあると思います。それだったら、ご本人にも、例えば基礎に行ったほうがベターでしょうと指導したほうが、その人の一生のためにいいのか。その辺の判断は非常に難しいので誰がするのか、どこでするのかということは大変慎重な判断の手続きを要すると思います。

○部会長
 その病院からの勧告で、そういう場合、先ほど非常に稀だということですが、どうしたらいいかということと、やはり多かったのは研修医からの申し出の場合は、先ほど矢崎委員からご意見がありましたように、マッチング協議会との基準との整合性ですね。ちなみに5頁の図2は中断の例は書いていないのですね。

○臨床研修指導官
 中断の例はありません。

○部会長
 ないのですね。未修了の場合ですね。

○臨床研修指導官
 そうです。

○吉田委員
 これは当初から問題になっていたところで、意見がいろいろと分かれるところではあろうかと思いますが、そういう適性を欠くと判断をした場合、例えば患者とのコミュニケーションがうまくいかないという場合に、あなたは適性を欠くと結論付ける前に、地方厚生局のほうに相談しても、地方厚生局のほうでは相談されたらどうするのですか。

○臨床研修審査官
 非常に難しい質問ですが、厚生局としては良い悪いの判断はできないわけです。

○吉田委員
 そうでしょう。

○臨床研修審査官
 そこでできることというのは、この間の部会でもお話したように、当事者がきちんと向き合って話をしているかどうかを確かめて、そうでなければきちんと話合いをしてほしいということを申し上げるわけです。

○吉田委員
 極めて常識的で、厚生局に相談しなくても。

○臨床研修審査官
 そのようなことがきちんとなされていない場合が非常に多いということを私は認知していますので、まずそれをやっていただく。基本的には病院の中で受けとめをやっていただくことを一義的に考えるということです。

○吉田委員
 そうですね、やはりそれぞれの研修の病院等できちんと責任を持ってやらなければいけない。そういうような面でマッチングもきちんとやってきているわけですから、何か本当にポンと渡すようなことはやらないほうがいいと思います。

○部会長
 しかも中断の判断する時期が2ヶ月ぐらい見ただけで、そういう判断はできないわけですから、コミュニケーションが悪ければ教育してできるようにするのが研修病院の務めなので、そうすると、病院からの勧告で中断をするというのは、いつごろするのでしょうか。2年目の終わりごろになって、どうしようもないと思っていうのでしょうか。

○吉田委員
 研修をするのが目的で評価するところではないですから、そこは確かに大事なことではありますが、これは本当に難しいですね。やはり先ほど篠崎委員がおっしゃったように、どういう事例でどうこうということを積み重ねていって、適正な判断をしないと駄目ではないでしょうか。そのケースケースで誰が見ても当然だと納得できるような形で事例がいくつか出てくるというような形でないと、ほかに方法はないような気がします。

○臨床研修推進室長
 本当に非常に難しいです。いまのは特に中断の判断なのですけども、3頁の3の(2)で書いているのですが、適性を欠くという場合について検討した上で、復活の可能性を残すのか否かという、先ほどの中断してよその病院に行けばいいのかというのはここの部分だと思うのです。ただ復活の道を閉ざすような判断ができるのかということを少しご議論いただきたいということと、この辺の話はおそらく別のほうで議論された、処分された医師の再教育とも関連してくるのではないかと思うのです。そちらのほうの委員の先生方もいらっしゃるので、その辺のご見解もお話していただければと思います。

○北島委員
 内容によると思うのです。適性がないという場合に、例えば遅刻、無断欠席、協調性、コミュニケーションは教育すればある程度修正できるのではないかと思います。ですから、この辺は、やはりいわゆる指導者とプログラム責任者、研修管理委員会と、最終的にはそこの長である病院長と、ここまでの責任でやれますが、やはり医療安全という、この辺がいちばん引っかかるところです。ここが再教育のほうに入っていくのではないかと思います。

○吉田委員
 ですからここで復活云々ということを書いているが、再教育云々というようなことや復活という言葉が当てはまる場合と、そうではなくて教育的な側面が非常に強い場合と一緒にしてはいけないです。そこは別に分けて考えないといけないです。

○橋本委員
 ですからここの(2)、医師としての適性を欠く場合についてと、それ以下に、患者とのコミュニケーションがとれない場合、犯罪を犯した場合、傷病の場合とこの3つは並列的に並べられないのではないでしょうか。

○部会長
 そうですね。

○橋本委員
 ですから、いま資料1の2枚目、(1)の社会性の欠如は、まさに患者に対する態度やコミュニケーションがとれないとか、医療の安全が確保できないという場合ですが、この(2)の犯罪行為、わいせつというような問題は、まさに北島委員が報告書を出された行政処分を受けた医師の再教育です。ですから、全く別のカテゴリーに入るのではないかと思います。それはそちらのほうに委ねなければならないことで、実際に復帰するにはこういう条件を付けなければ医療に復帰してはいけないというものが別にあるわけですから、それは医師としての適性以外の問題ではないかと思います。傷病になったら、これはまた病気ですから、(3)の重大な疾病ということで別になってくるので、これは並べられないのではないでしょうか。

○部会長
 そうですね。医師としての適性については随分ご議論いただきましたが、ここはもう少し整理する必要はありますね。でも、すべてのことをこの中には書き込めないわけで、慎重にやるとか、そういうことを強調すればいいのでしょうね。また、それは後で。

○山口委員
 やはりいまの臨床医としての適性の判断というのは、なかなか難しいので、1つの病院で絶対に適性がないと決め付けるのは結局無理です。そうすると、現実的には多分、まあ仕方がないというので、通り抜けていくことが起こるのではないかと思うのです。そうすると、やはりあるところ、病院で待ったがかかったら、そこだけで評価をしようとすると、最終的に駄目という判断は出しにくいということになれば、本当にプログラムに合わない、あるいはそこの病院の方針に合わない、指導医と合わないなどいろいろなことがあり得るので、本当にマッチング協議会にもう一度登場してもらって、もう一遍チャンスを与えるという意味でも、ほかのプログラムにいくというチャンスを与えて、そこでもまだ上がってくれば、また違う判断ができるのではないかと思うのです。1つの病院だけのプログラムの判断で、どうですかと言われたら、病院は迫られるわ、完全に教え方も悪かったかもしれないという返事をせざるを得ないので、完全に駄目ということは出しにくいと思うのです。そうすると、2つのプログラムに乗って、両方から駄目が出てくれば、やはりもう少し違った形で判断ができるのではないか。だから具体的に2つプログラムにわたるというチャンスを与えて、そこでもう一度というようなことをやらないと、実際にはどこの病院も駄目の判断を出せないで終わってしまうのではないかという気がするのです。だから、そういう意味で、マッチング協議会がいちばんいいのであれば、2カ所で判断をしてもらうという発想もよろしいのではないかと思います。

○部会長
 いま言われたのは資料1の2頁の(1)、社会性の欠如または医療現場に不相応という判定についてですか。

○山口委員
 犯罪云々ではなくて、患者とのコミュニケーション、医療チームとコミュニケーションがうまくとれない、臨床医としての問題はその1点だと思うのです。

○部会長
 しかし、中断という判断をされた人は、なかなか次の病院では採りにくいですね。

○山口委員
 だから建て前としては確かにその病院のあれを中断してほかへ移るということ自身がそもそもちょっとマッチング精神に反するということなのでしょうけれども、現実的な話としては、やはりあり得る話ではないかと思うのです。だから、それが違ったところへ行けば、またいい教育を受け、十分に立ち直るチャンスはあり得ると思うので、そこで判断をして、ここでは”×”で、中断でほかという判断になるとちょっと難しいと思うのですが、その辺がもう少し現実的な話としては、2つを経て、本当の最終的な中断という判断のほうが現実的にいいのではないかと思います。

○部会長
 そうすると、同じ中断でも矯正不能な中断と、可能性がある中断とがあるということですか。

○矢崎委員
 先ほどの53名の中にそういう人が入っている可能性がありますね。だから、この53名の方がもう少しプライバシーに触わらない程度にケーススタディ的な、というのは適性を欠くということを包括的に議論して、適性を欠くというのはなかなか判定は難しくて、ある程度のこういう場合ああいう場合というのが必要なのではないでしょうか。

○臨床研修推進室長
 まさにいま53例の中断、勧告を入れれば54例ですが、その受け入れも33例あるわけです。ですから、何となくそれなりにうまくいっているということがあるような気がするのです。先ほどちょっとお話に出ましたが、本来、本当は勧告的なケースであっても、おそらく次を考えて申し出というようなことで処理しているのもあるような気もするのです。その辺をギチギチと詰めていったほうがいいのか、ある程度大目に見るというか、そのほうがいいのかというのはちょっとわからないところです。

○部会長
 そうすると、いまの分け方だと申し出による中断と、勧告による中断というのは、かなり同じ中断でも重みが違うのです。

○山口委員
 もう1回チャンスをあげるということは、やはり必要なのではないかと思います。

○冨永委員
 山口委員がおっしゃるような意味でとるならば、2枚目の「適性を欠く」という言葉が適切かどうかを考える必要があります。適性を欠くと判断してしまったら、チャンスは与えられないような気がするのです。ですから、病院を変わって研修することを認めるとするならば、少し書き方を変えたらいいのではないでしょうか。社会的に医師として適性を欠くと判断された人が社会に受け入れられるのかという判断になると思います。ですから、再教育、指導など研修医の指導も当然あるわけですが、人間性に対する指導と、医学、医療に対する指導、を含めたらチャンスが与えられる場合は与えたらよいと思います。そうしますと「医師として適性を欠く」という言葉はきつい書き方に聞こえます。

○部会長
 中断証というのを出す場合に、中断の理由は書くようになっていましたか。

○臨床研修推進室長
 はい。

○部会長
 実際的にはそこの具体的な書き方ですね。そういう適性を欠くという強い言葉を使わなくても、中断できるわけですから。

○冨永委員
 といいますのは公表されるかどうかは別として、適性を欠くと判断された場合に、次に変わった病院の患者が、この研修医は適性を欠くという判断されているじゃないか、なぜ私たちに医療を提供することが適切なのかという苦情が出てくる可能性はあるわけです。個人情報保護法がありますので、どこまで情報公開されるのかわかりませんが、研修医に患者が著しく不満を覚えたり、あるいは不幸にして医療事故になった場合に、前の病院でどうだったか、例えば裁判事例になったような場合、前の病院で適性を欠くとなっていたら、なぜ研修を続けさせたのかという責任問題も出てくるかもしれません。

○部会長
 ただ逆に、実際は適性を欠いていたけれども、ほかの理由で中断して、また起こしたら、もっと問題ですね。

○冨永委員
 はい。

○部会長
 なぜ手当てできなかったかということになりますね。篠崎委員、何かご意見はありますか。そうすると、中断についてはいままでの主な議論としては、あくまでも慎重に地方厚生局も入れて話し合って、しかも本人の了解もできるような理由でやることが望ましいということだと思いますし、ほとんどの場合そうだと思うのですが、そうでない場合、例外的な場合にどうするかということを、公表する必要はないと思いますが、具体的な事例を少し考えていただければと思います。

○長尾委員
 適性を欠くというのは本当に大変なことなので、実際問題としてそういうことで中断されるというのは、本当にレアケースだと思うのですが、その判断をするのは相当な覚悟で、それは下されるのだと思うのです。だから、それはそれとしても、このいまの形でも出すものは出していいのではないか、それでなおかつ、それに不満があるということであれば、それこそ司法判断を待つというような形でせざるを得ないのではないかという気もします。研修生がそれで中断されて適性を欠くと判断されて不満であれば、最終的にはそういうこともあり得る。それで、なおかつ、やはりこういうことで適性を欠くということであれば、それでやむを得ないということで、ある程度事例ということであまり細かくしてしまわないでやらざるを得ないのではないかという気がします。

○橋本委員
 冨永委員がおっしゃったことは大変大事だと思います。医師としての適性を欠くと判断して、その研修医がほかの病院で医療を行っていいかどうかというのは、おっしゃるとおりだと思います。もし、本当に医師としての適性を欠く医師ならば、どこに行っても患者に医療を提供してはいけないという論理が成り立つのではないか。ですから、その判断をする前に、もうひとつ考える必要があるのではないか。例えば、現在いる研修病院とプログラムはマッチしたけれども、実際に医療の現場でマッチしなかったという判断を1回してあげるほうがいいのではないか。それでも駄目だったときには、やはり医師としての適性を欠くという、二重か三重構造にしないと、この人を一生駄目にしてしまう。このことは、前に議論したのではないかと思います。

○部会長
 そのときに地方厚生局の臨床研修審査官は、その話合いの中に入ると思うのですが、それだけでいいかどうかということですね。それ以外の人、外部の人も入れてやるべきかどうかということではないでしょうか。

○山口委員
 ここに数字があるわけですから、その中断者の受入れ事例が33であるわけですね。その受け入れた後に、かなりの理由はそういうことを含んだ中断者でないかと思うのです。だから、それを、その研修内容の不満というレベルで取り上げて、ほかに代わって別のプログラムにトランスファーしたという。その後の結果この33例をフォローしていただいて、そこでならうまくいくということであれば、そういう形で収容できる。それでもうまくいかなかった事例というのは、また別な判断があり得ると思うので、中断という判断ではないプログラム変更という途中の扱いができれば。実際にはそういう扱いがこの33例はされていると思います。

○部会長
 ただそこでマッチング協議会の基準との整合性でしょうね。

○吉田委員
 これは、マッチング協議会に委ねるべき問題でもないでしょうね。もしそのような重大な決断をするならば、やはり第三者的なある方式で慎重に審議した上で判断しないと。

○部会長
 もちろん適性を欠く場合ですね。しかし、プログラムに不満というのは、やは りマッチング協議会にも関係すると思うのです。

○吉田委員
 いまの不満もちょっと話がずれているような気がするのですが。その場合はマッチング協議会でいいですね。先ほどの場合は、やはり地方厚生局と相談しても始まらないし、何かそういったことを諮問する場所が要るのではないかという気がします。

○部会長
 その場合1枚要るでしょうね。

○吉田委員
 そうしないと、それだけの決断はできないのではないですか。

○部会長
 例えばどのようなメンバーが考えられるでしょうか。

○吉田委員
 例えば先生が委員長になって。

○部会長
 いえいえ。

○吉田委員
 医道審議会などでもいろいろありますね。そこまでやらないと、そんな決断はできないですよ。

○部会長
 できないでしょうね。

○冨永委員
 そのことに関連して、先ほど理事長がおっしゃいましたように、53名の中には研修医の方から申し出をさせた、仕向けたという例があるかと思うのです。ですから、そのような場合はマッチングシステムそのものの問題とはいえないと思います。カリキュラムはあくまでもハードであって、指導医、指導体制というソフト面があるわけですから、そこで合わなかったという判断によって変わるということは許されるのではないかと、私自身は考えています。

○矢崎委員
 やはり臨床医にしろ医師として適性を欠くというのは臨床現場を見ていないとわからないと思うのです。ですから、第三者機関に判断を委ねるといっても、最終的なエビデンスというか、根拠は研修病院が提出するということになると思うのです。その場合には、司法の判断は過去の判例に基づいて、法律に基づいて判断を下すわけです。だから、やはり研修病院でいろいろ議論をしてもらったエビデンスで、どこかで適正な判断をしてもらう。ですから、研修病院で指導した病院の判断がいちばん重要な判断だと思うのです。ですから、それを一つひとつ、いままでの経験でこういう場合はこうだったということを、ケーススタディみたいなもので、判断していくよりしようがないのではないかというところがありますね。ただ、その判断もいま8,000人の中のわずかですから、一つひとつを明らかにすると、本当に個人のプライバシーになりますし、それは慎重に判定を進めていく。プロセスは極めて慎重にせざるを得ないと思います。こういう問題提起というのは、しっかり研修病院でやっていただくことは、周知徹底するということが重要ではないかと思います。

○臨床研修審査官
 研修病院でそういう事例があったときには、もちろんとことん話し合っていただいて、中で解決するようにしているのですが、そのときにどういう議論があって、事実の確認をどうやって、どうなったかという軌跡を必ず記録に留めていただきたいということです。

○篠崎委員
 研修管理委員会が最終判断をするのだけれども、いろいろな事例の積み重ねをしても、なかなか難しい事もあるでしょう。そのときにどういう仕組みで最終決断ができるようにするか、橋本委員が言われたように、もう一層、間に入るような仕組みを考えていただいて、その仕組みはやはり行政で考えたらどうでしょうか。先ほど審査官がおっしゃったように、よく話し合ってくださいだけでは、なかなか結論は出ないと思いますが。

○部会長
 先ほど1つ飛ばしてしまったのですが、実は修了の認定基準で、2年以上の期間が必要であるということが決まっているのですが、たまたま今は制度の移行期で16年の5月から始まって、18年の3月末でひと月足りないのですが、移行期ということで特例的にお認めいただけますでしょうか。
(異議なし)

○部会長
 あとは全般を通じて、たたき台の案についてご意見はいかがでしょうか。

○西澤委員
 先ほどのこと、勘違いなのかもしれませんが、資料1のアンケートの中断というのと、いまの資料3の中断と一致しているのか、あるいはアンケートの中断の中には、研修休止というものが混じっているのか。

○臨床研修推進室長
 これはまさに中断の手続を行ったという中断です。

○西澤委員
 休止は入っていない。

○臨床研修推進室長
 ええ、一時的な休止みたいなものは入っていないです。

○西澤委員
 ということは、下の中断申し出、病気14例と妊娠・出産・育児が3例入っているのです。これがちょっと違和感を感じるのですが、これで病院を変わったということですか。

○臨床研修推進室長
 病院を変わっていなくて、とりあえず中断して、療養に専念しているとか、育児に専念しているというケースもあります。

○西澤委員
 そうであれば、また同じ病院に戻ればそれは新しい定義では休止に入りますよね。

○臨床研修推進室長
 もし戻れればそうです。

○西澤委員
 戻っていないでそのままということで、戻った例は入っていないということですか。

○臨床研修推進室長
 病院側で中断証を出したということです。だから、将来的に戻る可能性はおそらく考えていないということかと思います。

○部会長
 その辺は現場で中断と休止の違いとかは理解はよくされていますでしょうか。

○臨床研修推進室長
 その辺のところが厚生局にご相談いただければ、もちろん説明するのですが、必ずしも厚生局に相談するとなっていないものですから、その辺はよくわからないところです。

○部会長
 ほかにいかがでしょうか。

○吉田委員
 いま山口委員と話していたのですが、54例というのは中断証をもう出してしまったのですか。

○部会長
 どうでしょうね。

○吉田委員
 やはり出していますね。

○山口委員
 ただ、病気が理由で中断証を出したということは、病気が回復してもその病院で続けてやらないという意味ですね。

○臨床研修推進室長
 病気の中に精神的なものとかもあるので。

○山口委員
 ええ、それも含めてですね、だから病気がよくなっても、その病院で継続してやらないという意味の中断ですね。

○臨床研修推進室長
 ただ、これはあくまでも原則ですので、治療に1カ月、2カ月程度であれば、また復帰という前提ですが、例えば何年かかるかわからないという場合には、やはり中断証を出してしまうというケースもあるのではないかと思います。

○山口委員
 そうすると、研修内容に不満とか、家庭や本人の事情というのも、その病院で継続しないという前提の中断証ですね。

○臨床研修推進室長
 家庭の事情というのは、もちろんそういうつもりです。

○橋本委員
 妊娠、出産が3例あります。これも戻らないということですね。

○冨永委員
 おそらくこれは臨床研修病院が、「中断」の意味するところを十分にご理解していただいていない結果だろうと思うのです。といいますのは、いまここで90日認めますよということを審議しているわけですから、実際に現場では「中断」の意味がわからないわけです。90日したら再び研修するのなら「休止」ということになると思うのですが、現場ではわかっていないので、いろいろな事例が混じっていると思います。

○山口委員
 しかし、いずれにしても中断という、ここで続けないという中断が一応53例あって、しかも受け入れたというのは33例あるわけですから、0.3%か0.4%の人は現実にどこかにトランスファーしているわけですね。

○冨永委員
 確認したいのですが、いま山口委員が言われたように、53例中33例が中断を受け入れましたというのは、これはよその病院に変わったというのが33例あるということですか。

○臨床推進室長
 そういうように理解しています。

○冨永委員
 中断の申し出と勧告を合わせて54例あって、研修医からの申し出が53例あったのですが、それで受入れ事例が33事例あったということは、21例については認められなかったので、その病院で研修を継続していると解釈していいですか。

○臨床研修推進室長
 ですから、これはまずそもそも大前提として、まだ暫定集計なので、すべての病院が出揃っていないということが1点と、もう1点は冒頭でもお話したのですが、まだ病気の治療をしていてよその病院でできる状態ではないとか、あるいは海外留学という例もありましたし、そういうものが含まれると思います。

○西澤委員
 確認ですが、今日の議論が終わった後で判断するときには、例えば出産などの場合には中断ではなくて休止ということで判断するわけですね。

○臨床研修推進室長
 もちろん復帰の意思がある場合には、休止という感じになると思いますし、復帰の意思がないというか、あるいは数年間育児に専念するという方であれば中断ということもあると思います。

○西澤委員
 その判断の時期は、休んだそのときにしてしまうのか、ある程度の期間が経ってからなのですか。

○臨床研修推進室長
 それはケースによっていろいろあるのではないかと思います。

○北島委員
 それは研修医とそこの指導者、あるいは上級指導者、プログラム責任者といろいろ話し合って、その場で即座にやるのではなくてタイミングとか、そういうのはおそらく決めているのではないでしょうか。

○西澤委員
 この次までに整理していただきたいのですが、今回のアンケートにはどうも休止が入っているように思えてなりませんし、中断者の受入れ事例の中にも、同じ病院に戻った例があるように感じますので、この辺りの精査をよろしくお願いします。

○臨床研修推進室長
 もちろんできる限りはしたいとは思うのですが、先ほどちょっとお話にありましたが、そもそも中断とか休止の基準がない状態で、手続だけが先に通知で出てしまっているので、その辺のところはある程度やむを得ない部分もあるかと思います。

○部会長
 ほぼ時間が近付いてきました。議論を有効に進めていただきまして、たたき台の案も一通りはご議論いただけたと思います。それでは事務局から今後の日程について、説明をお願いします。

○臨床研修推進室長
 今後の日程についてですが、この修了基準についてはあと2回検討をさせていただきたいと思っております。次回は5月23日の16時から18時を予定しております。次回は本日いただいたご意見に基づいて、修了基準の原案を作成させていただき、それをご議論いただきたいと思います。また、できれば2回目は最終回にさせていただきたいと思いますが、それは6月8日の15時30分から17時30分までを予定しております。会場については追ってご連絡させていただきたいと思います。

○部会長
 いまの提案は、あと2回でこれを完成したいという方向ですが、よろしいでしょうか。それでは長時間どうもありがとうございました。


(照会先)
厚生労働省医政局医事課
  医師臨床研修推進室
  (代表)03−5253−1111
  (内線4123)

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