第13回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時平成17年4月13日(水)10:00〜12:00
場所厚生労働省専用第21会議室
出席者今野座長、荻野、小澤、北浦、武石、田村、成瀬、山極の各参集者
議題
 多様就業型ワークシェアリング業種別制度導入事業の状況について
 ・社団法人日本自動車工業会
 ・東京経営者協会
 その他

議事要旨 :
1.多様就業型ワークシェアリング業種別制度導入事業の状況について
 (1)社団法人日本自動車工業会から平成16年度の取組状況を説明後、質疑応答
 平成16年度は、従業員が望む多様な働き方を把握するため、会員企業の従業員を対象に多様な働き方に関する意識調査を実施。昨年度実施した企業の実態調査結果と比較することで、今後自動車産業において考え得る多様な働き方を検討。また、企業の取組事例として、短時間勤務制度と事業所内保育施設を取り入れている業界内外の企業について、視察、アンケート調査を行った。

 従業員調査結果について
現時点であるいは将来も含めて短時間勤務制度利用希望者は5割強おり、特に女性従業員の中で育児を理由とし希望するものが多い。一方、男性従業員は退職後の再雇用として利用したいという声が多かった。処遇については、「フルタイム正社員と同等であるべき」と「同等でなくても仕方がない」がほぼ半数ずつであった。

短時間勤務という働き方のメリットの第1位は、「育児・介護など仕事と家庭の両立が可能である」であった。一方、問題点として、「仕事の配分が難しい」、「担当する仕事が限定される」、「代替要員の確保が困難でフルタイム正社員に仕事のしわ寄せがいく」という回答が多かった。

現時点であるいは将来も含めて在宅勤務制度利用希望者は3割程度おり、主な理由は「通勤時間を節約して時間を効率的に使うため」、「育児のため」であった。処遇については、特に男性希望者において「フルタイム正社員と同等であるべき」という比率が高かった。

在宅勤務のメリットの第1位は、「育児・介護など仕事と家庭の両立が可能」であった。一方、問題点として、「上司等とのコミュニケーションがとりづらくなる」、「生活の境目が不明確になる」、「担当する仕事が限定される」という回答が多かった。

 (2)東京経営者協会から平成16年度の取組状況を説明後、質疑応答
 平成16年度は、取組企業3社における多様な働き方に関する取組を支援し、取組の成果や課題を取りまとめるとともに、会員企業を対象に多様な働き方に関するアンケート調査を実施し、多様な働き方の普及を促進する上での課題を分析した。

 取組企業3社の取組
取組企業 事業概要
(株)資生堂 働き方見直しプロジェクト
企業競争力の強化とワークライフバランスの均衡という2つの課題解決のため、問題点となっていた長時間労働の恒常化に対する対策を検討。
多様な働き方推進の具体的施策として、社員が育児時間を取得する際の代替要員として退職社員を活用する「店頭応援団」制度と、在庫調査や棚替え支援に退職社員を活用する「社会参画応援団」制度を導入。
(株)損害保険ジャパン 女性活躍推進
全社員の約4割に当たる女性社員が能力を最大限に発揮できる労働環境作りを推進。男性社員を含めた全社員の価値観の変化に対応し、活力向上、能力発揮を追求。
両立支援のための「多様就業型ワークシェアリング」として、出産・育児・介護時期の社員に対応できる制度を設置し、その代替要員の確保・配置が必要であるとの認識から、スキルや知識の十分なOB・OG社員の再雇用制度を設計。
(株)ニチレイ CSRとしての多様な働き方
CSR経営の在り方を検討する中で、「従業員の働きがい(仕事と生活の両立)」を大きな課題の一つとして取り上げ、ワークライフバランス推進の観点から多様な働き方を検討。
試験的に女性社員2名の在宅勤務を実施する中で、情報セキュリティやマネージメントの問題などの課題も明らかになったことから「部分在宅勤務トライアル」を開始。また、人材確保を主な目的として、結婚・出産などで退職した女性社員の組織化を図る。

 (3)その他意見
 ワークシェアリングというと、短時間勤務や在宅勤務などを考えがちだが、長時間労働を見直すことによってかなり雇用の創出はあるのではないか。

 短時間正社員でいつも問題になるのが代替要員だが、退職者の組織化をする際に会社からのアプローチだけでなく、退職者からアプローチできるように、企業が空き業務を掲示するなどシステム化することも考えられるのではないか。

 事務局より、次回の日程について、5月27日(金)14:00〜16:00に開催する旨説明。


照会先:
 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
 電話03−5253−1111(内線7876)


多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1)本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2)本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3)座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1)多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2)(1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3)(2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4)その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。



多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿

平成17年4月1日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室担当部長
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 (株)ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長兼労働条件局長
  土田 道夫 同志社大学法学部教授
  成瀬  豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  茂出木 幸二 日本経済団体連合会出版・研修事業本部長兼人事賃金センター長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)

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