資料1


病院小児科医の将来需要について


2005年4月6日

日本小児科学会


※誤字、脱字等がありましたため、会議資料の差し替えを行っております。



A. 現状
(1) 概要
1. 15歳未満の子どもの一日の小児科外来受診数は、病院89,300人、診療所207,600人であった。これは人口100万人に換算すると一日受診数は病院735人、診療所2,167人に相当する。
2. 医療機関は、一般病院数8,200余のうち小児科は3,528、診療所については91,500のうち小児科は26,788である。
3. 医師数は、小児科を主たる標榜科とする医師数は14,156、うち病院勤務小児科医が実質で6,500名余と推計できるので、診療所に働く小児科医はその差である7,600名余と推定される。これらをまとめると、人口100万人あたりでは27病院小児科、200余診療所となり、小児科医数は病院勤務医50名余、診療所に60名余と推定できる。
4. 見方を変えると、わが国ではひとつの病院小児科が人口約37,000人、子ども人口にすると5000人余を担当している。診療所については施設当たり人口で5000人、子ども人口で700人の担当となる。小児科当たりの一日平均外来受診数は診療所が10.4,病院が26.7である。
5. 病院調査によると、小児科患者のうちprimary careのみを必要とする患者の占める割合が80%以上という病院が51.3%と半数を占める。業務量の68%がプライマリケアに配分され、専門医療を提供したいという意向にも関わらず二次医療・専門医療の比率は低い
6. 小児救急は国民のニーズが特に高い業務である。国は小児一次救急を市町村の責任で体制整備するよう規定しているがその開設時間に制限が大きく、深夜はほとんど実施できていないというところに重大な欠陥がある。
7. 夜間休日診療所の診療時間外になると患者は一般病院で小児科当直が置かれている病院に向かい、小児科医は本来院内当直程度の定員でほぼ連日の時間外診療を余儀なくされている。73.7%の病院小児科が夜間休日の時間外診療を実施している。
8. 小児科勤務医の労働条件は悪化しており、時間外診療をしている小児科医(N=3628人)の月超過労働時間合計は平均86.7時間で、時間外診療をしていない小児科の医師(N=650)の同合計平均の58.2時間を48%上回っている。
9. 病院小児科の勤務医師は、長い労働時間にみられるように過重な業務に追われている。病院小児科の平均医師数が2.3人であることに過剰業務の原因があると考えられ、一人小児科医が27%、2人が22%である。
10. 小児科の診療経費が嵩むため、一般病院では小児科を赤字部門と位置づけているので、少しでも高い診療報酬を求める病院経営の圧力もあって、小児科としても時間外診療を維持せざるを得ないという状況がある。そして何よりも小児科医自身、子どもの急病で不安を膨らませている保護者と子どもの期待に応えなければならないという職業的使命感があり、結果的に病院小児科はきわめて不十分な体制のまま休日夜間時間外診療を続けているのである

(2) 統計
表1
 医師数(病院)の年次推移

  医師        
  総数 内科 小児科 産婦人科 麻酔科
  医療施設の従事者        
平成6年('94) 220 853 71 106 13 346 11 039 4 683
  8 ('96) 230 297 72 746 13 781 10 847 5 046
  10 ('98) 236 933 72 702 13 989 10 916 5 585
  12 (2000) 243 201 74 539 14 156 10 585 5 751
  病院の従事者        
平成6年('94) 143 412 36 778 7 714 6 419 4 504
  8 ('96) 148 199 36 850 7 919 6 319 4 804
  10 ('98) 153 100 36 408 8 022 6 456 5 315
  12 (2000) 154 588 36 130 8 158 6 154 5 443
  診療所の従事者        
平成6年('94) 77 441 34 328 5 632 4 620 179
  8 ('96) 82 098 35 896 5 862 4 528 242
  10 ('98) 83 833 36 294 5 967 4 460 270
  12 (2000) 88 613 38 409 5 998 4 431 308
医師・歯科医師・薬剤師調査
第4表  医療施設従事医師・歯科医師数の年次推移,医療施設の種別・診療科名(主たる)別


図1
 医師数(病院)の年次推移
図1 医師数(病院)の年次推移


図2
 医師数(診療所)の年次推移
図2 医師数(診療所)の年次推移


表2
 小児科学会認定医登録数 2005年1月現在

認定医数 診療所 医育機関 病院 その他
12,759 8,883 3,876 3,457 2,835 5,548 868


図3
 小児科学会認定医登録数は10年間不変
図3 小児科学会認定医登録数は10年間不変


図4
図4


図5
 3割以上を占める女性小児科医
図5 3割以上を占める女性小児科医


図6
 減少する小児科入局者数の例
図6 減少する小児科入局者数の例


図7
 20代の4割を占める女性小児科勤務医師は30代以降に急減する
図7 20代の4割を占める女性小児科勤務医師は30代以降に急減する
(病院小児科・医師現状調査。日本小児科学会、2004)


表3
 小児科の主たる標榜科と、従として標榜する科に従事する医師数

診療科名   診療科名(主たる)別医師数1) 診療科名(重複計上)別医師数2)*
  総数 病院 診療所 病院 診療所
小児科 14 156 8 158 5 998 9 457 24 123
(厚生労働省統計情報部「医療施設調査」第2−53表 医療施設に従事する医師数・歯科医師数,診療科名別(H12))


表4
 小児科医療(外来)の現況
   15歳未満(平成11年10月患者動向調査、平成12年施設調査、日本小児科学会資料)
  診療所 病院
外来小児患者数(人、一日)  
 小児科(主標榜)外来 207,600 89,300 296,900
 (小児科外来+内科外来) (277,500) (94,100) (371,600)
 人口100万人当たり 2,167 735 2,902
小児科施設数 *26,788 3,528 30,316
 小児科当たり一日平均外来受診数 10.4 26.7 12.3
 人口100万人あたり小児科施設数 209 27 236
小児科医師数  
 小児科を主たる標榜科とする医師数 5,998 8,158 14,156
 (小児科を従たる標榜科とする医師数) (18,125) (1,299) (19,424)
 施設当たりの小児科医師数 - 2.3 -
 人口100万人あたり小児科医師数(概数) 主たる標榜46
(従標榜 142)
50 110
ひとつの小児科が担当する人口(概数) 5000 37,000 42,000
ひとつの小児科が担当する小児(<15歳)人口(概数) 700 5000 5,700
 *  他科重複標榜診療所を含む
142=(24,123-5,998)/128


図8
 S56年を1とした時の小児患者の年次推移
図8 S56年を1とした時の小児患者の年次推移


(3) 国民のニードへの対応困難
図9
 増加する小児時間外診療受診者数
図9 増加する小児時間外診療受診者数
(図9:中澤 誠)


図10
 疲労の極限に至る小児科勤務医
図10 疲労の極限に至る小児科勤務医
(図10:藤村正哲。病院小児科・医師現状調査。(こども家庭総合研究事業)「小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究」2004)


(4) 長い労働時間とストレス下の小児科勤務医
日本小児科学会、[病院小児科・医師実態調査] 2004〜2005
対象 日本小児科学会会員の勤務する全国の病院の小児科と、そこに勤務する小児科医

表5
 小児科勤務医の超過労働時間〔月間〕の実態
 日本小児科学会調査(回答数 4,325人)
月間の「平日超過勤務時間+夜間当直+休日日直(各12時間に換算)」の総計

月超勤時間数 (空白) 総計 割合 累積割合 週労働時間換算
12時間未満 149 299 9 457 11% 11% 40時間以上
12時間以上 61 113 4 178 4% 15% 43時間以上
24時間以上 58 205 6 269 6% 21% 46時間以上
36時間以上 87 201 6 294 7% 28% 49時間以上
48時間以上 101 270 3 374 9% 37% 52時間以上
60時間以上 104 297 2 403 9% 46% 55時間以上
72時間以上 90 261 2 353 8% 54% 58時間以上
84時間以上 80 253   333 8% 62% 61時間以上
96時間以上 101 237 4 342 8% 70% 64時間以上
108時間以上 84 226 7 317 7% 77% 67時間以上
120時間以上 63 178 2 243 6% 83% 70時間以上
132時間以上 34 120 2 156 4% 86% 73時間以上
144時間以上 38 92   130 3% 89% 76時間以上
156時間以上 29 99   128 3% 92% 79時間以上
168時間以上 31 71   102 2% 95% 82時間以上
180時間以上 18 51 2 71 2% 96% 85時間以上
192時間以上 10 27 1 38 1% 97% 88時間以上
204時間以上 12 22   34 1% 98% 91時間以上
216時間以上 32 70 1 103 2% 100% 94時間以上
  1182 3092 51 4325 100%    


図11
図11


図12
図12


表6
 小児科勤務医の超過勤務・宿日直・オンコール(男女別)月間平均値

性別   平日超過勤務時間 平日宿直回数 平日オンコール回数 休日超過勤務時間 休日日直回数 休日宿直回数 休日オンコール回数
平均値 35 2 5 13 1 1 2
平均値 33 2 5 13 1 1 2
合計 平均値 34 2 5 13 1 1 2
日本小児科学会 2005


図13
 一ヶ月の休日日数
(回答:55大学の小児科医859名)
図13 一ヶ月の休日日数
(桃井真里子、森 雅人。小児科の労働条件。厚生労働科学研究費補助金(こども家庭総合研究事業)「小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究」2004)


表7
 小児科勤務医の労働時間(週)
 若手医師の長時間労働
年齢 週平均
労働時間
医師数 標準偏差
20歳〜 68.2 814 15.9
30歳〜 62.9 1446 13.2
40歳〜 58.9 1241 12.5
50歳〜 52.5 664 11.3
60歳〜 46.9 122 8.6
70歳〜 46.0 23 13.8
80歳〜 40.0 1 .
合計 60.6 4325 14.3


(5) 小規模で高度医療提供に不適切な病院小児科の現状
表8
 小児科医師数別病院数

小児科の
医師数
病院数 比率
1人 288 27%
2人 239 22%
3人 159 15%
4人 100 9%
5人 75 7%
6人 47 4%
7人 47 4%
8人 20 2%
9人 16 1%
10人 12 1%
10人以上 79 7%
総計 1082 100%


表9
 業務量の配分比率(全業務量を100%としたときの割合、平均値) 小児科の数=1052

病院の種類 primary care 二次医療 専門医療
一般病院 68.0% 22.1% 17.1%
大学病院 25.5% 22.0% 51.0%
小児専門病院 30.2% 13.4% 68.1%
その他 35.7% 18.3% 63.2%
日本小児科学会 2005


(6) 女性医師の増加と離職問題
図14
 労働時間と女性医師  ○ 子育て女性医師の労働時間は短い
図14 労働時間と女性医師 ○子育て女性医師の労働時間は短い


図15
図15
(大澤 真木子。女性小児科医師全国調査。厚生労働科学研究費補助金(こども家庭総合研究事業)「小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究」2004)


(7) 小児救命救急医療体制の致命的不備
  欧米では子ども病床の10%がICUベッドである。一方、平成16年の日本集中治療学会の全国調査によると、わが国の子どものICUベッド数は全国で97床しかなく、子どものベッド数のわずか1.2%に留まっている。


(8) 充足困難な小児科勤務医
図16
 規模の大きい小児科には増員傾向あり
図16 規模の大きい小児科には増員傾向あり


図17
 規模の小さい小児科では空席補充困難
図17 規模の小さい小児科では空席補充困難
(藤村正哲。病院小児科・医師現状調査(こども家庭総合研究事業)「小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究」2004)


B. 小児医療提供体制の構造改革
(1) 二次、三次医療圏における集約化プランについて
図18
図18


表10
 
「わが国の小児医療提供体制の構想」→今後形成するべき小児科の型
日本小児科学会
今後形成を目指す
小児科の型
対象人口
など
提供する小児医療 小児科医数
(研修医を含まず)
新生児医療
小児科診療所   一般小児科
地域の一次救急に当番参加
   
一般小児科
(病院)
対象人口は不定 一般小児科
  軽症用入院病床を設置し、それ以上は地域小児科センターへ紹介
  地域の一次救急に当番参加
6人未満
当直なし
オンコール
地域小児科センターと交流
NICUなし、重症新生児は転送
過疎小児科
(病院)
対象人口は不定 地理的に孤立し、その地域に不可欠の小児科=他地域の小児科と統廃合が不適当である小児科
  軽症用入院病床を設置し、それ以上は地域小児科センターへ紹介
2人、当直なし
費用対効果が一定値を上回る小児科に「割り増し診療報酬」を与える
地域小児科センターと交流
地域小児科センター (救急型)
人口
30(10-)-50万人
1. 入院管理体制の整った一般小児科
2. 小児救急
一次、二次救急
 365日、24時間診療
うち一次は市町村(複数共同も含む)の運営で、地域小児科医との共同参加
10人
+救急担当:4人、シフト勤務制とする
 
(NICU型)
人口
30(10-)-50万人
1. 入院管理体制の整った一般小児科
2. 小児救急は行わない
10人 地域周産期母子型(新生児強化治療室)
 B1型  91箇所
 B2型  26箇所
+新生児専任4人、シフト勤務制とする
(救急+NICU型)
人口
50-100万人
1. 小児専門医療
2. 小児保健、育児援助、学校保健など
3. 小児救急
一次、二次救急(〜三次)
 365日、24時間診療
一次は市町村(複数共同も含む)の運営で、地域小児科医との共同参加
救急部がある場合、参加
10人
+救急担当:4人、シフト勤務制とする
総合周産期母子型
 (NICU)
 A1型  38箇所
 A2型  60箇所

NICU専任:10人、シフト勤務制とする
中核病院 三次医療圏の中心総合病院、又は小児病院等
人口
100-300万人
1. 小児高度専門医療
2. 小児救急科
一次は地域小児科医との共同運営
1. 二次、三次救急は小児救急科で
 感染病室を設置する
 PICUを設置する
2. 救急搬送(入院・転送)
3. 小児救命救急センターを検討
小児科は救急科を支援
(専門医療・研究専従、は本案の員数外)

小児救急科:10人
(又は救急担当10人)、シフト勤務制とする
PICU:10人、シフト勤務制とする

(注) 「地域小児科医」とは、日常的に一般小児科の診療を担当している医師。小児科認定医、専門医に加えて、いわゆる内科・小児科など小児科標榜医を含む。専門医履修中の医師を含む。
(注) 「シフト制」とは、当直(夜勤)翌日は交代し勤務を離れるシステム。


表11
 
現状(全国)

小児科のカテゴリー 施設数 医師数
小児科医 新生児専任
大学 102 1388** 254
小児病院 21 320 124
A 小児科医15人以上 5 75 47
B 10-14人 25 285 93
C 7,8,9人 61 470 87
D 5,6人 117 632 46
(A+B+C+D)小計 (208) (1462) (273)
E 3,4人 277 932 30
F 1,2人 376 613 12
G 0人 36 0 23
その他 271 - 6
(E+F+G+他)小計 (960) (1545) (71)
診療所 - - -
合計 1291 4715 722
*対象 小児科、産科がある100床以上の病院。2000年小児科学会・新生児委員会調査


表12
 
目標(試算)
 「小児医療・救急医療計画モデル」

現状の型 将来の
小児科の型
将来の施設数 施設当り医師数 必要医師総数
小児救急専任 PICU 小児科医 新生児
専任
小児救急専任 PICU 小児科医 新生児
専任
三次医療圏の中心病院、小児病院等 中核病院型(+PICU) 50 10 10 10 10 500 500 500 500
小児科A,B,C,D 地域小児科センター (救急+NICU型) 70 4 0 10 10 280 0 700 700
(救急型) 50 4 0 10 0 200 0 500 0
(NICU型) 120 0 0 10 4 0 0 1200 480
小児科E,F,G 一般小児科 400 0 0 3 0 0 0 1200 0
過疎小児科 150 0 0 2 0 0 0 300 0
診療所 診療所 - - - - - - - - -
  合計 840 - - - - 980 500 4400 1680
  /小児人口10万 4.2 - - - - 4.9 2.5 22 8.4
(注) 研究・教育要素を含まない


表13
 
三次医療圏の病院小児科医療計画 日本小児科学会

    総数 0〜14歳 面積 平方km 中核病院の数 地域小児科センター病院の数 1中核病院当たり小児人口 1地域小児科センター病院当たりの小児人口 1中核病院当たり面積(km2) 1地域小児科センター病院当たりの面積 (km2) 小児人口密度 (人/km2)
1 北海道 5 679 777 78625 6 11 129,500 70,636 13,104 7,148 10
2 青森 1 474 218 9617 1 4 218,000 54,500 9,617 2,404 23
3 岩手 1 413 208 15279 1 9 208,000 23,111 15,279 1,698 14
4 宮城 2 371 347 7292 1 4 347,000 86,750 7,292 1,823 48
5 秋田 1 184 159 11577 検討中 検討中          
6 山形 1 241 180 9327 検討中 検討中          
7 福島 2 125 333 13680 1 4 333,000 83,250 13,680 3,420 24
8 茨城 2 992 449 6075 3 4 149,667 112,250 2,025 1,519 74
9 栃木 2 010 302 6414 検討中 検討中          
10 群馬 2 031 303 6356 検討中 検討中          
11 埼玉 6 978 1019 3799 5 10 203,800 101,900 760 380 268
12 千葉 5 968 837 5150 2 14 418,500 59,786 2,575 368 163
13 東京 12 138 1440 2158 9 36 160,000 40,000 240 60 667
14 神奈川 8 570 1194 2402 検討中 検討中          
15 新潟 2 473 358 12579 1 4 358,000 89,500 12,579 3,145 28
16 富山 1 121 155 4252 1 4 155,000 38,750 4,252 1,063 36
17 石川 1 182 174 4197 2 10 87,000 17,400 2,099 420 41
18 福井 830 127 4191 1 2 127,000 63,500 4,191 2,096 30
19 山梨 890 136 4463 検討中 検討中          
20 長野 2 223 331 13585 検討中 検討中          
21 岐阜 2 111 318 10596 1 8 318,000 39,750 10,596 1,325 30
22 静岡 3 781 558 7704 検討中 検討中          
23 愛知 7 087 1084 5138 5 12 216,800 90,333 1,028 428 211
24 三重 1 861 278 5777 1 5 278,000 55,600 5,777 1,155 48
25 滋賀 1 353 218 3344 1 4 218,000 54,500 3,344 836 65
26 京都 2 646 360 4608 検討中 検討中          
27 大阪 8 818 1250 1868 7 14 178,571 89,286 267 133 669
28 兵庫 5 571 820 8378 3 10 273,333 82,000 2,793 838 98
29 奈良 1 442 210 3692 検討中 検討中          
30 和歌山 1 066 155 4725 検討中 検討中          
31 鳥取 613 92 3489 検討中 検討中          
32 島根 761 109 6549 検討中 検討中          
33 岡山 1 953 287 7090 検討中 検討中          
34 広島 2 879 421 8466 1 13 421,000 32,385 8,466 651 50
35 山口 1 524 209 6106 1 6 209,000 34,833 6,106 1,018 34
36 徳島 822 114 4145 1 3 114,000 38,000 4,145 1,382 28
37 香川 1 022 145 1882 検討中 検討中          
38 愛媛 1 491 213 5672 1 4 213,000 53,250 5,672 1,418 38
39 高知 813 110 7107 検討中 検討中          
40 福岡 5 032 732 4960 4 9 183,000 81,333 1,240 551 148
41 佐賀 876 141 2433 1 4 141,000 35,250 2,433 608 58
42 長崎 1 513 235 4112 1 2 235,000 117,500 4,112 2,056 57
43 熊本 1 860 283 7408 1 3 283,000 94,333 7,408 2,469 38
44 大分 1 221 176 6337 1 4 176,000 44,000 6,337 1,584 28
45 宮崎 1 169 183 7735 検討中 検討中          
46 鹿児島 1 783 274 9165 1 9 274,000 30,444 9,165 1,018 30
47 沖縄 1 329 262 2254 検討中 検討中          
                       
99 全国 127291 18283 371756 65 227         49


(2) 労働時間はグローバル・スタンダードとの整合を図るべきである
UK, EU   source: Royal College of Paediatrics and Child Health
THE WORKING TIME DIRECTIVES (AMENDMENT) REGULATIONS 2003 - DEROGATION

The provisions of the Working Time (Amendment) Regulations 2003
Working Time Limits
From 1 August 2004, doctors in training will be subject to weekly working time limits, which will be phased in as follows:
58 hours from 1 August 2004 to 31 July 2007.
56 hours from 1 August 2007 to 31 July 2009.
48 hours from 1 August 2009.

USA   source: American Academy of Pediatrics

図19
図19


C. 試算:小児科医需要  視点を変えて試算した数値は以下の通り。

1) 小児救急は他科と異なり当直体制は不適当。現体制のまま、当直を夜勤に変更すると:
翌日勤務の増員1名⇒現在小児救急を実施しているのは2,500病院:
2,000名余の増員が必要

2) 小児科医の労働時間を週58時間に規制すると:
58時間以上の勤務をしている2,237名について、119,341時間/月が過剰労働時間となる。
58時間勤務をすると、週では29,835時間(119,341時間/4)の労働時間が不足する。
29,835時間 /58= 514人分の追加増員が必要
(調査済み4,325人。未調査分約2,000人は算定せず)

3) 小児科勤務医師数は6〜12人を適当とし、年少人口は15,000〜17,500人を適当とする。
理想小児科勤務医医師数は年少人口15,000人につき1人として、都道府県別に試算すると:
1,737名の増員が必要(データは示していない)

4) 小児科学会計画モデル(目標)達成後の小児科勤務医は7,560名。これは現状6,500名と比較して:
約1,000名の増員が必要
(女性医師の育児休業を補う員数は算定していない)


D. 結論
1)   病院小児科勤務医の長時間労働は、良質な医療の提供・医療の安全性等の観点からも、早急に是正される必要がある。
2)   女性小児科勤務医師の割合は急増して20代では40%に達した。子育ての時期は休職又は労働時間半減が一般的である。
3)   一部の大学小児科では急速な小児科志望者数の減少が認められる。
4)   一般病院小児科の医師空席について、充足困難な状況が常態化しつつある。
5)   病院小児医療環境を改善して若手医師の志望者誘導を図らなければ、いっそうの労働条件の悪化による医師確保困難の悪循環がさらに進行するおそれがある。
6)   小児医療提供体制の構造改革が焦眉の課題である。その基本方針は病院小児科の集約化である。それによって必要最小限の医師数増加で、提供できる医療内容の向上、医師労働条件の改善を図ることが期待できる。
7)   病院小児科を中心とする小児医療提供体制の改革は、三次医療圏における病院小児科ネットワーク・広域小児救急システム・新生児医療システム・医師の供給・各段階の教育-研修-研究等を含む。その企画立案・実施・評価の全過程において、地方自治体・関係諸団体と共に、日本小児科学会・同地方会及び医療・労働を提供する主体である大学・病院小児科医の参画が不可欠である。
8)   改革と並行して着実な病院勤務の小児科医の増加が必要である。少なくとも1000名の純増が必要で、退職を考慮すると、毎年各大学小児科に3割増の志望者(従来440名、3割は132名)が10年続く必要がある。現在の志望者が各大学で5名平均とすれば、2名の純増で7名の志望者が必要である。

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