05/03/31 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織各分科会 平成17年3月31日慢性期入院評価分科 05/3/31 診療報酬調査専門組織         平成16年度第5回慢性期入院医療の包括評価分科会議事録 (1)日時  平成17年3月31日(木)10:00〜11:55 (2)場所  三田共用会議所大会議室 (3)出席者 池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理         猪口雄二委員 大塚宣夫委員 川越雅弘委員 木下毅委員        近藤正晃ジェームス委員 椎名正樹委員 三上裕司委員 野中博委員        <事務局>        堀江保険医療企画調査室長 桑島課長補佐 江浪課長補佐  他 (4)議題  ○平成16年度慢性期入院医療の包括評価調査について( 実施状況等 )        ○その他 (5)議事内容 ○池上分科会長  ただいまから、平成16年度の第5回診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評 価調査分科会を開催させていただきます。私は分科会長の池上でございます。  本日は阿部委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、分科会長代理の高 木先生は間もなくお見えになると思いますが、時間となりましたので始めさせていただ きたいと思います。また、オブザーバーとして、中医協委員である野中委員も今日御出 席いただいております。  それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○桑島補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、御用意させていただいてござい ます資料ですが、診調組 慢−1、これは今回の調査の実施状況につきましての紙でご ざいます。それから、その別紙が2つございます。診調組 慢−1−別紙1が「調査客 体の抽出方法について」、別紙2が今回の包括調査のスケジュールの御報告でございま す。慢−2でございますが、「平成16年度調査の粗集計について」少し厚い資料がつけ てございます。慢−3が「今後の進め方について」、それから猪口委員から御提出いた だいている資料もつけさせていただいてございます。それから、今回の調査実施説明会 資料ということで、委員の皆様方のお手元に冊子を一部御用意させていただいてござい ます。  資料につきましては以上でございます。 ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは、今のお手元の資料はございますでしょうか。ま た、今いただいた内容について御質問等ございますでしょうか。  それでは早速ですが、実施状況について御説明いただけますでしょうか。 ○桑島補佐  それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。  慢−1をごらんいただけますでしょうか。「平成16年度慢性期入院医療の包括評価に 関する調査の実施状況について」ということで御説明を申し上げます。この資料の大半 は前回までに、この調査自体どうやっていこうかということで御説明をさせていただい ている部分でございますので、重複いたしますところは割愛させていただきます。  まず1つ目でございます。調査の目的、この部分につきましては従前どおりでござい ますので、御説明を省略させていただきます。  2.調査対象病院でございますが、これも従前御説明申し上げましたけれども、一応 念のため確認させていただきます。療養病棟の入院基本料を算定している、いわゆる医 療療養病棟、それから2つ目のダイヤのところに書いてございますが介護療養病棟、そ れから特殊疾患療養病棟の1、2、それから一般病棟の長い部分でございますがII群 3、それから回復期リハビリテーションと、この5つの病棟を持っていただいている病 院に対して、今回調査をお願いしたわけでございます。  それでは次のページをごらんいただけますでしょうか。3.でございます。ここは少 し丁寧に御説明を申し上げます。調査対象病院数のところでございますが、経緯も含め まして御説明をさせていただいてございます。最初に「別紙1」と書いてございます が、前回の会議で御説明させていただきましたが、抽出方法を定めてございました。そ の抽出方法によりまして、250の病院を調査対象としてお願いしたわけでございますが、 さらに確実に多くの病院を、最初イメージしてございましたのは100病院で1万症例を 集めようということで考えておったわけでございますので、そういった意味で確実に調 査協力病院の確保を考えるということで、木下先生にここにいらっしゃっていただいて ございますが、日本療養病床協会、それから猪口先生にも全日病の協力をお願いいたし ました。その中で、療養病床をお持ちいただいている会員の約700病院に対して、調査 協力をお願いしたわけでございます。これを、後で二次調査というものも出てまいりま すので、便宜的に一次調査ということでくくらせていただいてございます。  さらにその一次調査の協力依頼によりまして、調査協力を得られた病院の属性を一時 的に確認いたしました。その結果、調査客体にやはり少し足りない部分が、偏りがみら れたわけでございまして、その偏りを補正することを目的といたしまして、許可病床数 が200床未満の病院であって特殊疾患療養病棟、それからII群3、それから回復期リハ ビリテーションを算定していただいている病院など約350病院に対して、追加的な調査 依頼を行ったわけでございます。これが、括弧で書いてございますが、二次調査という ふうにくくっております。  以上2段階に分かれたわけでございますが、上記の結果、最終的に調査協力を得られ た病院が90病院であったわけでございます。  最後の段落でございますが、各病院の調査対象病棟数は、1病院原則2病棟といたし まして、最大で3病棟ということでございます。その結果につきましては、一番下の表 にお示ししておるわけでございまして、それぞれの特性であまり偏りがないようにとい うことで、極力配慮をいたしたわけでございますが、結果的に若干薄いところはござい ますけれども、最終的に90病院の調査を行うことができたわけでございます。調査対象 病院につきましては以上でございます。  3ページをおめくりいただきますが、調査票の種類と内容、これは前回の分科会で御 説明をさせていただいたわけでございますが、内容的には変わってございません。大き く分かれておりますが、1)施設特性調査票、2)患者特性調査票、次の4ページにな りますが3)タイムスタディ調査票、4)コスト調査票、5)診療報酬明細書調査票と いうことでございます。この内容につきましては、先ほど申し上げましたが、前回の分 科会で御報告を申し上げたわけでございます。  別紙の方に移ってまいります。別紙1につきましては、前回もお示しをしてございま すが、抽出の方法についてでございます。  それから別紙2でございます。別紙2は実際のスケジュールがどうなったかというこ とを、日にちも含めて御報告を申し上げているわけでございますが、1ページ目は実際 にいつ調査をやったかということで、左の方に矢印が太く書いてございます。調査実施 基準日でございますが、2月4日を中心にタイムスタディを行っていただいたわけでご ざいまして、最終的に調査が終了いたしましたのが2月25日頃でございます。それで、 私どもの方の事務局に送っていただいたのが2月末ぐらいということでございます。こ れが先ほど御説明いたしました一次調査です。  1枚おめくりいただきますと、二次調査でお願いした部分でございまして、これはそ ういう意味ではその後ということで、1カ月ほど遅れてございますが、基準日といたし まして2月末、28日頃、それから最終的にデータが集まってまいりましたのが3月20日 以降、24日頃ということでございます。現在集計をやってございます。  資料1につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは、今御説明いただいた点で御質問はございますで しょうか。  特にこれはこれまでの確認でございますので、木下先生、猪口先生に御尽力をいただ いて、会員の病院から追加調査の病院も含めて一次調査をしていただいて、一次調査で 特に不足しているところを補完する形で二次調査を行い、そして二次調査の結果につい ては、ちょうど先週ぐらいにまとまったところでございますので、今日、後ほど御報告 するのは一次調査の一部の病院についての結果でございます。そういうことでよろしゅ うございますでしょうか。  それでは、続いて粗集計についてお願いいたします。 ○桑島補佐  それでは、慢−2でございます。「平成16年度調査の粗集計について」、今座長の方 からも御説明いただきましたけれども、中間的な集計ではございますが、粗集計を取り まとめさせていただいてございますので、御報告をさせていただきたいと思っておりま す。  1ページ目でございます。今回の集計につきましては、3月7日までに回収をされた 資料に基づきまして集計を行ってございます。最終的には、先ほども御説明いたしまし たが、90病院からの集計をもとに取りまとめる予定でございますので、これはあくまで 中間的な御報告でございます。図表をごらんいただきますが、病院数が53病院、90分の 53の病院についての集計をまとめたものでございます。病棟数につきましては、合計の ところをごらんいただきますが94病棟、患者数につきましては3,898名の方のデータに 基づきまして集計をしてございます。  次のページに参ります。集計させていただいている項目でございます。2〜4ページ まで全体の集計させていただいている項目を並べてございますが、項目の一番右側にな りますが、今回集計分ということで○印をつけさせていただいてございます。今回の粗 集計に用いました項目は、この○印をつけたものでございます。あくまで単純集計でご ざいますので、今後それぞれのクロスですとか、あるいはいろいろな条件に基づいた集 計というものが可能となってまいりますが、今回御説明を申し上げますのはこの○印の 単純集計でございます。  飛ばしていただきます。実際のデータを御報告申し上げます。5ページ以降でござい ます。病棟種別ごとの集計でまとめてございます。項目ごとに1ページずつグラフを作 成させていただいてございます。  まず1つ目でございます。性別でございますが、上から医療療養病棟、介護療養病 棟、特殊疾患療養病棟、一般病棟II群3、回復期リハビリテーションということで並べ てございます。それから、n数を病棟種別ごとに並べてございます。御確認いただけれ ばと思います。実際に医療療養病棟の中をごらんいただきますと、すべての病棟で共通 していることでございますが、女性の方が多ございまして、6〜5割の間でございま す。それぞれの特徴というわけではございませんが、おおむね似たような性別の比率で ございます。  次のページをごらんいただきます。年齢の構成でございます。ごらんいただきますと おり、病棟種別ごとに「75歳以上」の方々が最も多いわけでございますが、最も低い特 殊疾患の6割ぐらいのところから、介護療養病棟の8割を超えるところまで、それぞれ 分布はございますが、年齢の区分はごらんいただきますとおりでございます。  次の7ページでございます。入院あるいは転棟された日から、実際に調査をした日で ございます。先ほど基準日ということで申し上げましたけれども、その前後でございま すが、調査の日までの日数、調査時点での在院日数ということでお調べをしたものでご ざいます。これは医療療養病棟、介護療養病棟、特殊疾患療養病棟で似たような傾向で はございますが、それ以外の一般病棟と明らかに違った傾向が見受けられるわけでござ います。医療療養病棟、介護療養病棟とも180日を超える部分で非常に多くの方が入院を されておるわけでございますが、一般病棟、あるいは回復期リハビリテーションはもち ろん短期の、「30日未満」のところで大きな山が築かれておるわけでございます。  それから、一部データの修正がございますので、まず御報告を申し上げますけれど も、介護療養病棟の一番左の「30日未満」のところでございますが、4.4%、そこか ら線を引っ張ってございまして「(うち)14日以内4.8%」となってございます。 4.4%の内数が4.8%ということはあり得ませんので、これは私どもの記載ミスで ございます。これは4.8%ではなくて4.0%でございます。この修正がございます。 申し訳ございませんでした。  次のページに参ります。入院する前はどこにいらっしゃったかということで、単数の 回答でございますが、医療療養病棟、介護療養病棟、特殊疾患療養病棟、似たような傾 向がございます。「自院の他の病棟」にいらっしゃった方が約4割近く、それから同数 でございますが、「他の医療機関」からの転院というような方々が多いように見受けら れます。一方、一般病棟は急性期の病棟でございますので、「自宅」からの入院が一番 多いわけでございます。それから、回復期リハビリテーションについては6割近くが 「他の医療機関」からの入院と、それぞれの特徴が出ております。  次のページでございます。そうした際の転院、あるいは転棟した背景は何かというこ とでごらんいただきます。これは複数回答でございますので足しても100%にはなりま せんが、ごらんいただきますとおり、医療療養病棟、介護療養病棟ともに約6割近く が、「急性期状態が安定」したのでこちらの病棟に移っていらっしゃったということで ございます。さらに加えて、「家族等が希望」ということもあったり、あるいは「継続 的なリハビリが必要」ということで転院・転棟をなさっておられるわけでございます。 それが似たような傾向ではございますが、特徴としてとらえることができるかと思いま す。  次のページに参ります。それぞれの病棟でどのような疾患が背景にあるのかというこ とで調査をしたものでございますが、複数回答でございます。網掛けをさせていただい てございますのは、10%以上を占める疾患名でございます。ザッとごらんいただきます と、ほぼ似たような疾患で入院なさっている方が多いということでごらんいただけるか と思います。医療療養病棟、介護療養病棟ともに似たような傾向、あるいは特殊疾患も 同じような方々が入っていらっしゃるということでごらんいただけるかと思います。  次のページに参ります。状態の安定性ということで、これも複数回答でございまし て、「絶対安静」「個室における管理が必要」「急性症状が発生したり再発性や慢性の 問題が再燃した」「末期の疾患であり余命が6ヶ月以下である」ということで区分をし てございますが、一般病棟を除きまして似たような傾向がございます。それぞれ急性期 の再燃というような状態におられる方があるということでございます。  次のページに参ります。医療の提供の頻度ということでお示しをしてございます。こ れは医師の指示、見直しの頻度ということで見ておるわけでございますが、実際に見直 しをするかどうかということで、そういう観点で見てございますので、お医者さんが別 に「ほとんど必要なし」ということで書いてございますが、指示を出したかどうかとい うことでごらんいただければと思います。「週1回程度」あるいは「ほとんど必要なし 」という方々が8割近くあるわけでございます。医療療養病棟、介護療養病棟とも似た ようなお医者さんのかかわり方があったわけでございます。  次のページでございます。今度は看護師が直接どのような看護提供をしたか、頻度を お聞きしたわけでございますが、「定時観察のみ」「定時以外1日数回まで」というこ とでごらんいただくところが一番多いわけでございまして、医療療養病棟、介護療養病 棟ともに、あるいはほかの病棟もかなり似たような傾向があるわけでございます。慢性 期の看護師さんのかかわり方、看護提供の頻度をお示ししております。  次に14ページでございます。実際の処置・治療の内容について、これは複数回答でご ざいますが、-病棟ごとにお示しをしてございます。網掛けをしておりますのは、5% 以上ということで御回答があった部分について、特徴を見ていただければと思います。 回復期リハビリテーション以外のところはほぼ似たような処置、あるいは治療の提供が あるわけでございまして、「胃瘻、腎瘻、人工肛門などの瘻のケア」「酸素療法」「吸 引」「膀胱留置カテーテル」「血糖チェック」等が共通した医療の処置、あるいは治療 ということで提供されております。  次のページでございます。実際にリハビリテーションの必要性ということで御回答い ただいた部分の集計でございますが、もちろん回復期リハビリテーションはそのための 病棟でございますので、最も「積極的リハビリテーションが必要な状態」の方が7割近 くあるわけでございます。あるいは「維持的リハビリテーションが必要な状態」であっ ても、ほとんどの方がここでリハビリテーションを積極的に、あるいは必ず提供されて いるわけでございます。それ以外の病棟につきましては多少のばらつきがございます が、「特にリハビリテーションは必要ではない」という部分も含めまして、ごらんいた だきますとおりの提供の状況でございます。特に急性期につきましては、リハビリテー ションというよりは、一般的な処置等が十分なされているものという感じがいたしま す。医療療養病棟、介護療養病棟とも同じような傾向にございます。  次のページでございます。実際にそのリハビリテーションの中身でございますが、 「個別実施」「集団実施」、それから「どちらか一方実施」あるいは「両方実施」とい うことでごらんいただければと思います。ごらんいただきますと、「個別実施」が約6 割実施されている。これも複数回答でございますので、あるいは個別も集団も両方やっ ているというような方々が7割近くというようなことが、医療療養病棟、介護療養病棟 で見受けることができるかと思います。  次の17ページでございますが、中心静脈栄養、末梢静脈栄養、経管栄養と、これらの 実施状況について、これは単数回答でございますけれども、どの程度それぞれの病棟で 実施されているのかということでございます。医療療養病棟、介護療養病棟とも3割近 くの方に、こうした栄養の提供のされ方がなされているということでございます。特殊 疾患につきましてはさらに半分近くの方、一般病棟の長いところもそういうような栄養 の管理がなされているということでございます。  次のページでございますが、実際にどういう管理がされているかということでござい ますが、医療療養病棟、介護療養病棟とも約4分の1の方々に「経管栄養」が施されて いるということが、この集計で見受けることができます。もちろん特殊疾患のところは それをさらに超えて、4割余りの方々に「経管栄養」がなされているということでござ います。  次のページに参ります。ADLの状況でございます。これは本来ならばもう少し細か い区分があるわけでございますが、「自立」「J」「A」「B」「C」というふうに分 けての集計をさせていただいてございます。医療療養病棟、介護療養病棟とも最も重い 「C」が46.6%、あるいは47%近くの集計があるわけでございますが、それぞれ同じ ような傾向でございます。一日中ベッドの上でお過ごしになる方、あるいは排泄、食 事、着がえなどはやはり介助が必要な方々がこれだけ、このそれぞれの病棟にいらっし ゃるということがごらんいただけるかと思います。  それで、この区分ですとなかなか見えてこない部分もございますので、さらにもう少 しそれぞれの行為別に落として、あるいは食事等に落としてみて、どういう状態にある のかということをお示ししておりますのが次の20ページ、21ページでございまして、20 ページはADLの自立度を更衣で見ております。医療療養病棟、介護療養病棟ともに 「全面依存」というところが、あるいは実際にそういうことは「本動作なし」というよ うな重症の方々の割合が、一番右の斜線のところでごらんいただけると思います。半分 以上の方々がそういうような状況にあるのがごらんいただけるかと思います。医療療養 病棟、介護療養病棟ともに、あるいは特殊疾患になるともっと増えますが、そういうよ うな数字が見てとれます。  次のページに参ります。次は食事でどの程度の自立度が、ADLがあるのかというこ とでございますが、医療療養病棟、介護療養病棟ともに約4割近くの方々が実際に「全 面依存」、あるいは胃瘻というところが先ほど出てまいりました、あるいは経管栄養と いうことが出てまいりましたので、実際に「本動作なし」というところにも含まれてし まうかと思いますが、約4割の方々がADLのこの部分に入ってまいります。ただ一方 で、医療療養病棟、介護療養病棟の中でもやはりちゃんと「自立」をしている、あるい は「広範な援助」は必要ですがまだ十分自分で食べられるという方もなかにはいらっし ゃるわけでございます。  次の22ページでございます。今度はADLに対しまして認知症、いわゆる昔でいう痴 呆の状態でございます。この状態につきましても、ランクが「M」も含めますと全部で 5つあるわけでございますが、その状況についてお示しをしたわけでございます。医療 療養病棟、介護療養病棟ともにランクの「M」まで含めてかなりの数がいらっしゃるわ けでございまして、2つの病棟を比較いたしますと、そんなに大きな差はないようにご らんいただけるかと思います。  次のページでございます。今の認知の回答につきまして、もう少し細かく分けてござ いますが、日常の意思決定を行うための認知能力ということでお示しをしてございま す。「重度の障害」につきまして一番右の方、黒く塗りつぶしてございますが、約4分 の1、介護療養病棟におきましてはさらに重たい方が37%程度、この中にいらっしゃる ということがごらんいただけるかと思います。  次の24ページでございます。ケアニーズの変化ということでございますが、今回の調 査の中で、90日前の状況と現時点での状況について比較をすることが調査項目の中に入 ってございましたけれども、その状況についてごらんいただきますと、医療療養病棟、 介護療養病棟、特殊疾患、ほぼ8割近くの方々が「不変」ということで回答がございま す。一方、一部でございますが、一番黒く塗ってございますが、「悪化」をされたとい うこともございますけれども、大方これらの慢性期病棟におきましては、状態としては あまり変わっていないということがごらんいただけるかと思います。  次のページでございます。ここから、要介護認定を受けていらっしゃるかどうかとい うことをまとめてございます。観点といたしましては、実際に特殊疾患で取れることに なってございますけれども、40歳以上と65歳以上に分けて集計をしてございます。再計 ということになりますけれども、40歳以上の方々は医療療養病棟で約7割が要介護認定 を受けていらっしゃいます。斜め線のところでございますが、要介護認定を受けていら っしゃらない方が22.5%、「無回答」の方が6.1%ということでございます。それか ら、介護療養病棟のところは、97.4%がもちろん要介護認定を受けておられるわけで ございますが、0.6%の方が受けていないという回答がございます。これはデータの 誤りの可能性がございますので、これからデータのクリーニングを、確認をさせていた だく作業がございますので、整理をさせていただきたいと思ってございます。あとはご らんいただきますとおり、約半分の方々が介護認定を受けていらっしゃるということで ございます。  それから、同じような内容ではございますが、年齢区分を65歳以上にいたしまして集 計をし直しますと、ごらんいただきますとおりでございます。これは省略させていただ きます。  それから、要介護認定をお持ちの方で、実際にどの程度の要介護度をお持ちなのかと いうことでごらんいただきますと、医療療養病棟、介護療養病棟、ザッと比較をしてい ただきますが、介護療養病棟におきまして約半分の方が「要介護5」でございまして、 医療療養病棟につきましては若干減りますが、35%の方が要介護認定の一番重たい5を 取っておられるという集計でございます。  次のページは、年齢を65歳以上に切り上げて再集計をしたものでございます。省略を させていただきます。  次は、要介護認定を受けていない方が先ほどいらっしゃったわけでございますが、ど のような理由で取っていないのかということでございます。一番上の医療療養病棟につ きましては、54.9%の方が「180日超特定患者除外規定に該当」するので取っていない という回答をいただいてございます。あとはごらんいただきますとおり、一番左でござ いますが、「65歳未満の第二号被保険者で特定疾患に該当しないため」ですとか、ある いは「交通事故・労災等のため」ですとか、あるいは波線でございますが「特殊疾患療 養、特殊疾患入院管理加算該当のため」ですとか、こういうような回答をいただいてお るわけでございます。  次のページは、今申し上げた点を65歳以上で切ったところでございます。  非常にラフではございますが、現時点での集計をさせていただいた粗集計でございま す。以上でございます。 ○池上分科会長  ありがとうございました。念頭に置いていただきたいことは、これは90病院のうちの 53病院で、過半数の病院から御回答をいただいておりますが、冒頭の説明にございまし たように、特に一般病棟II群3については回答状況が悪かったので、二次調査をさせて いただいて、それはもちろん反映していないので、一般病棟については4病棟の100数 十名の方の結果でございます。ほかはそれほど移動はないと思いますが、これはサンプ リングの問題としてちょっとこのままかどうかは確認が必要かと思います。それを踏ま えまして、これは半分のところの集計結果ということでございますが、これについて御 質問、コメント等ございましたらよろしくお願いいたします。  ADLについて更衣と食事を取り上げましたのは、更衣については比較的早期に失わ れる能力でございますので、それを代表して更衣、そして食事は最後まで保たれるAD Lの能力でございますので、それを選ばれて、もちろん更衣の方が自立している割合が 低くて、食事の方が高くなっておりまして、そういう意味では妥当な結果ではないかと 思います。  ただ、ここで調査票のデザインのところで、若干反省材料として、JABCの日常生 活自立度と痴呆度に関しては、必ずしもアセスメント基準日における状況について記載 をいただくという形式をとっていませんで、通常要介護度の判定を受けた場合に、JA BCと痴呆度と昔言っていたものをあわせて記載していますので、それを転記している 可能性がございます。その場合は認定を受けた時点のレベルを記載していただく関係 上、調査日から最長で1年ずれている可能性もあるということでございます。  それから、先ほど介護療養病棟でありながら、あるはずがないようなものもあります ので、今後これをデータクリーニングしていく上で、特に不明となっているようなもの はできるだけつぶして、消化して、不明ということがないように整理していただければ と存じます。また、これについては、全部の調査対象における集計結果が改めて出るか と存じますが、結果についてはそうでございまして、中間報告のための、今日のための 集計でございまして、かなり恣意的に選んだ経緯もございますので、何か全部の集計ま で待てなくて、この結果を火急的にごらんになりたいという項目、今あるデータセット でいいからこれだけはすぐに結果が知りたいとか、そういうのがございましたら、それ もあわせて今伺うことができればと思います。  いかがでしょうか。ちょっと大変なデータで、今日一挙に御説明いただいて、また中 間のことということでありまして、すぐに何か思いつかれないかもしれませんので、も しこの集計が欲しいということがありましたら、また事務局の方にお知らせいただくと いうことで、中間の結果、あらあらの状況の御説明ということで。猪口先生、どうぞ。 ○猪口委員  これはまだザッとしか見ていないのでよくわからないんですけれども、明らかに一般 病棟の入院基本料II群3というのは、ほかの病棟とは違う特性を持っていて、恐らく一 般病棟は急性期の要素がかなり強く出ていると。問題はこの4病棟という数でありまし て、これが最終的には何病棟ぐらいに増える予定なのでしょうか。 ○桑島補佐  すいません、今ちょっと手元に細かい数字がございませんが、おおむね10病棟程度、 御協力いただけるものと考えてございます。 ○池上分科会長  もともとは16病棟が参加の予定だったんですね。90病院のうちの16病院が参加の予定 だったんでございますけれども、二次調査を含めてなかなか御協力がいただけないの で、もう少し多かったかもしれませんが、10か12ぐらいであったかと思います。仮に13 であったとしても、たまたま御回答いただけたところがそれだけでありまして、これを もって全体を代表できるかどうかという問題は残るわけです。ほかはお願いしたところ にほぼ回答をいただいたのですが、ここはほぼ全数にお願いして、だけど回答をいただ いたのが最終的に10病院程度ということでありますので、そういう意味では回収率は逆 に言うと1割ぐらいということになるわけですね。はい、どうぞ。 ○猪口委員  この調査資料を見ると、ものすごく膨大な資料で、一応各利用者さんの状態を書くの はまだしも、タイムスタディ、コストスタディのところはかなり病院でなれていないと やれないものかなと思っていたのですが、基本的にはこれにすべて答えた病院のデータ をデータとすると。やりきれなかったところは、患者像すらも利用しないというふうに 考えていいのですか。 ○桑島補佐  前回、この調査全体が始まる前に、先生方にお願いしました分科会での御議論の中で は、一応パッケージとしてすべてワンセットでございますので、患者実態だけで御集計 させていただくということではなかったので、とりあえずフルセットでいただいてある ところだけ集計させていただくという方針でございました。 ○池上分科会長  これは包括評価のための分類作成のための調査でありまして、その実態に関してはこ れから検討するべき平成17年度調査ということも関連してきますので、そこで実態はよ り広く把握できるのではないかと考えております。平成16年度調査に関しては、事務局 から御説明があったとおりでございます。  それでは、今後の進め方に移ってよろしゅうございますでしょうか。また粗集計は、 中間段階の対象病院半数程度でもいいからお知りになりたいということであれば、事務 局へお伝えいただければと思います。それでは、今後の進め方について御説明いただき たいと思います。 ○桑島補佐  それでは慢−3についてでございます。「今後の進め方について」、この資料で今後 の進め方を御議論いただきたいと思ってございますが、大きく2つに分かれるのではな いかと思ってございます。(1)と(2)に分けてございますが、(1)の方が慢性期 入院患者に係る患者さんの特性、それからサービス提供の実態に関するものの一かたま りと、(2)におきます患者分類に関する検討についてということで、大きく2つに分 けて書かせていただいてございます。  まず1つ目でございますが、患者さんの特性、あるいはどのようなサービスが提供さ れているのかと。このサービスという中にはもちろん介護的な部分もございますし、医 療的な内容の部分もあろうかと思います。それから、どの程度コストがかかっているの かというようなことも、この中で検討していただくことではないかと考えてございま す。  まず1つ目の○でございますが、平成16年度調査の調査データに基づきまして、今後 過去に実施された調査も参考にということで、次ページに参考として書かせていただい てございますが、これはもう従前からこの分科会の中でも十分御議論の対象になってご ざいました。健保連さんの方で調査をしていただいた報告、それから日医総研さんの方 で調査をされました報告、従前はこの2つのやり方でデータ分析をされておるわけでご ざいます。今後そういったものを参考にしながら患者さんの特性、それから文言は少し 足りてございませんが、口頭でつけ加えさせていただきますが、このサービス提供の中 に入ってございますけれども、医療がどの程度提供されているのかという状況、それか ら実際にどの程度手間がかかっているのかといったような状況、それから実際のコスト がどの程度になっているのかという状況につきまして、先ほども粗集計では見ていただ きましたが、病棟の種別ごと、あるいは病棟の区分、規模、それから地域別というよう な話も調査の中でやってございますけれども、そういうような種別ごとに集計・分析を 進めることとしてはいかがでしょうかということで、御提案を事務局からさせていただ いてございます。  例えばでございますが、集計の視点例として、病棟種別に患者さんの特性、ここでは 患者さんの病態、あるいはADLの状況、あるいは痴呆というようなこともあろうかと 思いますが、それでケア時間等でどのように異なっているのでしょうか、というような 視点があってもよろしいのではないかという気がいたします。こういうような視点で、 それぞれの患者の実態を切っていくものが(1)でございます。  それから2つ目でございますが、実際にその支払いの仕方にも結びつく話ではござい ますけれども、患者の分類についてどのように検討していくのかということでございま す。○でございますけれども、データに基づきまして、これも先ほど申し上げました今 までとられてきてございます患者の分類の方法が、それぞれ次ページにお示ししたよう なものであるわけでございますが、その妥当性の検証の分類を進めてはどうかというこ とで考えてございます。  今回、それぞれの2つの分類の仕方以外に、猪口先生の方からも御提案をいただいて ございますので、その説明も後ほど先生にお願いしたいと考えてございますが、そうし た新たな分類も含めまして、実際にどの分類の仕方が一番妥当なのかということを、こ の中で御検討いただければと考えてございます。  その際、その下の段落になりますけれども、分析の基本とするデータは「療養病棟入 院基本料を算定している病棟」に係るデータをもちろん基本とするわけでございます が、医療必要度の高い患者データを補足する観点から、「特殊疾患療養病棟入院料 (1、2)を算定している病棟」、それから「一般病棟入院基本料(老人一般病棟入院 基本料)II群3を算定している病棟」に係るデータも追加してはいかがかということで ございます。  一方、患者さんの分類をするという意味には、ここは大きな御議論があるところだと 思いますが、回復期リハビリテーションについては、実はコストの部分をとってござい ませんので、その部分はなかなかデータとして使いにくいと思います。介護療養病棟に つきましては、実際には算定の仕方につきましては、介護保険の要介護認定を用いて算 定しているわけでございますので、そのデータの取り扱いをどうするかということにつ きましては、ここでは一応事務局の案としてはデータとして使えないのではないかとい うことでございますが、もっと参考として使ってみてはいかがとか、ちゃんと分類すべ きではないかとか、いろいろな御意見を御検討いただければと考えてございます。  この進め方については以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  それでは、後ほど猪口先生から提出資料の御説明をいただきたいと思いますが、それ はいわば分類方式の第3の候補として、あるいは第3の案としてのことでございますの で、その議論に入りますと猪口先生に対する御質問といいますか、それと今後の進め方 のものと分けて考えた方がいいと思います。猪口先生からこの議論が終わった直後に説 明していただくことは、猪口先生の案についての説明とコメントということで、今の段 階では基本的に(1)のところで、こういう実態を、実態というのは患者特性、医療の 程度、あるいはコストという観点から主に病棟種別を切り口に、今日は半数程度の調査 対象しかまだ入っていませんし、データクリーニングが終わっていませんが、それはせ っかく調査に御協力いただいたので、それについていわば実態として病棟種別に見てい こうということで、ほかの切り口もあるかと思いますが、そういうコストを含めて見て いくということでございます。  2番目は、これは包括評価の分科会でございますので、包括評価のための分類に向け て、どういう分類の仕方があるかということで、今のところ健保連案、日医案、そして これから間もなく御説明いただく猪口先生の案がございますが、その案について検討す る際に、どのデータセットを用いた分類案が妥当かを見ていくということの検討でござ います。その際、介護保険の病棟について、それは分類が確定して、例えば健保連の案 にしても日医の案にしてもこれから説明します猪口先生の案にしても、分類した結果、 ちょっと修正をしなければいけないということも出てきますので、これまでの案という のはこれまでのデータセットに基づいての案ですが、今回新たに広範なデータセットを 用意しましたので、その案の分類の仕方を修正しなければいけない可能性も出てくるわ けです。その分類の案を修正する際に、どういう対象者を用いて修正するかということ でございますので、そうしますと先ほどの御説明で、介護保険の療養病棟と医療保険の 療養病棟と患者の属性等において似たところもあるわけですが、介護保険の療養病棟に 対する報酬は介護報酬で規定されていますので、今のところは診療報酬が適用されます 医療保険の病棟に限って、データセットを分析しなければいけないのではないかと思い ました。  その際、これから御議論いただく点に関して、まず分類を作成する上で除外するの は、介護保険の「療養型介護療養施設サービス費を算定している病棟」、及び「回復期 リハビリテーション病棟入院料を算定している病棟」について、これはコストデータも とっていないわけですので、もともとこれは分析できないので、この2つを除外するこ とに関しては御異論は少ないのではないかと思います。問題は、「療養病棟入院基本料 を算定している病棟」を基本としつつ、それだけでは今診療報酬の制約で、必ずしも医 療の必要性の高い患者さんが入院しにくい報酬体系となっておりますので、それを補完 する意味で、「特殊疾患療養病棟入院基本料(1、2)を算定している病棟」及び「一 般病棟入院基本料II群3を算定している病棟」を含めたデータセットを入れて、分類群 の修正・開発を行っていくという案が事務局から提示されています。  もちろんこの中に入るということは、この実際の診療報酬においてそれが及ぶかどう かというのはまた別の問題で、それは十分別な課題であって、これは一つの包括評価の 分類案を作成する上で、データセットとして使うかどうかということの議論でございま す。実際の包括評価の分類をこれらの病棟に適用するかしないかというのは、これは全 然別な問題で、ただデータセットとしてせっかくあるので、これを含めて分類案の妥当 性や修正を行っていった方がよろしいのではないかということで、事務局案として提示 されたわけでございます。  これについて御意見、コメントをいただければと存じます。 ○三上委員  介護療養型を最終的にコストの方から除外するというお話ですが、病棟数からして も、療養病棟はこの調査対象の中では一番多いわけですし、一般の方々も医療の療養と 介護の療養をどのように考えるかというのが一番関心が高いのではないかと思います。 10ページの疾患を見ましても、介護療養、医療療養とも大体1人当たり2〜3の病名が つく、あるいは14ページの医療的な処置につきましても、10%以上のものもかなりある というようなことを考えますと、介護療養の方も一応コストに入れていただいて比較を するということが大事ですし、どちらかというと包括すべきものというのは共通するも のを包括をする、それで例外的なものについては包括から外す、というのが本来あるべ き姿ではないかと思います。介護療養についても、14ページにありますけれども、結構 たくさん医療が必要な、処置が必要なものもあると。また、今日出ておりませんけれど も、注射や薬剤についてのデータが出てくると、医療部分というのがかなり出てきます ので、その辺で非常に高額な薬剤とか注射とか、そういったものについても包括から外 すというようなことの作業が要るのではないかと思いますので、ぜひ介護療養の方も一 緒にデータをとってほしいと思います。 ○池上分科会長  すいません、私の説明がちょっと。(1)についてはすべて先生のおっしゃるよう に、介護療養についてもとっていくわけでございます。今ちょっと確認させていただき たいのは(2)について、包括評価の分類をつくる際にそれを入れるかどうかという問 題で、入れた結果、それを介護療養病棟に当てはめた場合にどうであるかという結果は もちろん出すわけでございますが、分類をつくる上で、今先生のおっしゃるとおり、介 護保険と医療保険というのはかなり操作的に分かれていて、必ずしも実態を反映してい ないんですけれども、今後の包括評価の点数を決める上では、診療報酬が適用される病 棟のデータセットをもとにつくるべきかどうかということが、今検討させていただいて いることでございます。  したがって、ちょっと確認させていただきますが、(2)についても「療養型介護療 養施設サービス費を算定している病棟」を含めて分類案を作成するべきである、という のが先生の御意見でございますか。  はい、わかりました。それについて御意見はございますでしょうか。 ○椎名委員  ちょっと教えてください。今、三上先生が言われたような形で、介護療養型のデータ を入れることによって、何かメリットとか逆にデメリットとか、具体的にどんなものが 想定されるか教えてください。 ○池上分科会長  これは座長としてよりは、これまでの研究者としての立場で申し上げますと、結局何 が例外的といいますか、そのグループにくくれるかどうかというのは、例えば5,000人 の中で30人非常に特別な医療の高い方があるというのをくくるというんですね。5,000 人の中の30人というと、むしろノイズになってしまって、なかなか30人をくくりにくい という状況があるわけです。それに対して、例えば3,000人の中とか2,000人の中の30人 ということであれば、分類として統計的に識別できる可能性があります。実は10数年前 に木下先生の前身の団体にお願いして調査したときには、同じような患者さんがずらっ と出てきまして、分類の分布でそういう医療度の高い患者さんを識別することがなかな か難しかったという経緯があります。そのために今回は御無理をいただいて、フルセッ トのデータを日本の代表性というより、広く薄くというより、集中的にいろいろなタイ プの患者さんがいらっしゃる病院を中心に調査させていただいたわけです。  したがって、椎名先生にお答えするのは、もし介護療養と医療療養を一緒にしたとき に、非常に医療度の高い比較的少数の患者さんが、全体の中に埋もれてしまうのではな いかということを危惧したわけでございます。ただ、それについては実際に分析してみ ないとわからないかもしれませんが、過去にそういう調査の結果がありましたというこ とを申し上げたかったわけです。 ○椎名委員  ある程度サンプル数が確定して、その中の医療必要度の高いリストが、データが確定 した後になるんでしょうけれども、その辺を見ないと、今座長が危惧したようなことが 実際にあり得るかどうかわからないと、そういう話ですか。 ○池上分科会長  はい。 ○木下委員  今後の進め方というのは、本当は調査を設計する前に決めておかないといけないかな という気がするんですけれども、この段階になってどう使うかを決めるのはどうかなと いう気がするんですけど。基本的な説明ではいいと思いますが、そうすると介護療養の 方でタイムスタディまでとったデータはあまり役に立たないというか、「ああ、そうか 」とみんなが納得する程度の資料にしかならないということになると、何のために調査 したのかということになるので、この辺ははっきり前もってちゃんとやっておいた方が いいかなという気がしたのと、基本的には医療保険の費用を決めるデータなら、医療の 病棟でやるのがいいと思いますが。 ○池上分科会長  決して介護保険の療養病棟のデータがむだになるということではなく、同じ医療保険 の方の病棟で開発した分類を介護保険の病棟に当てはめてみたら、タイムスタディ、デ ータなどを含めて比較対照としてやって、そして当然介護報酬との格差があまり出てき ては困るものですので、今までは点数上の格差が問題だったんですけれども、コスト上 の格差についても今回のデータから、より厳密に比較できると思いますので。そういっ た意味でこの包括分類の開発と、それから介護保険と医療保険の比較というのは全然別 な観点で、ここの中でむしろ(3)として、この分類を用いて、さらに(1)にあるよ うな分類の格差を見ていくという作業があるのではないかという気がいたします。その 際には、介護保険の療養病棟のタイムスタディとコストのデータは、非常に参考になる のではないかと思います。 ○木下委員  興味とか参考になるというのでは非常におもしろいことができると思いますが、医療 保険の方から介護保険に物を言うというか、お互いに今それぞれの報酬に対して物が言 えるような状態ではないということを考えると、余計なお世話だと言われるような気も するので、データとしては非常に興味あると思いますが、それを報酬に結びつけて考え ようというのは、現状では非常に無理があるような気がするので。 ○池上分科会長  ただそうすると、介護保険と同じでない限り進まないという気もいたしますので、参 照する上であまり大きく違わないことは必要であっても、介護保険の体制であれば医療 についての対応が不十分だと思いますので、総報酬としては変わらなくても、医療にも う少し厚みをつけた報酬にしていく必要があるのではないかと個人的には考えておりま す。はい、どうぞ。 ○猪口委員  できるだけ私は、今度集まったデータは病棟別に分類して考えるということの手前か ら、病棟ではなくてそれぞれの患者さんの状態、病名等からまず仕事量等を割り出すべ きだと思っているのです。というのは、現状の規則で箱を決めて、値段を決めて、じ ゃ、そこに見合う人が入ってきているわけですから、これが本当に長期に医療が必要な 慢性期の患者さんがそこに集まっているのと違うんですよ。ですから、今本当はここで 集めたデータがどんなデータだと。多分去年の段階で申し上げたと思いますが、本当に 長期に医療の必要度が高くて、長期入院をしている患者さんはどこにいるかというと、 一般病床にいるはずです。そこから出せないから。受け取るところがないから。でも、 そこを調べることは今回は無理だということでやらなかったので、そこはもう完全に今 外れていますから。  だから少なくとも今やるべきは、それぞれの病棟をまず抜きにして、どういう患者さ んがこういうところにどれだけいて、どれだけの医療のニーズがあるかということをま ず割り出して、そこからこういう分類に変えていった方が妥当性があるんじゃないか、 という考え方に立っていった方が私はいいと思います。現状の決められた病棟区分、そ れから支払い方法で集められた患者さんを、まずそこから認めるのではなくて、その手 前から始めないと、今後の医療提供体制には役に立たないのではないかと思います。 ○池上分科会長  それは介護保険の病棟を含めてということでございますか。わかりました。ほかに御 意見はございますでしょうか。  では、この問題にまた戻りたいと思いますが、「慢性期入院医療調査 ケースミック ス分類法(案)」という猪口委員からの提出資料がございますので、猪口先生、続けて これについて御説明いただけますでしょうか。 ○猪口委員  はい。これは前に調査票をつくる頃も一回ちょっとお出ししたことですが、今回の基 本的な考え方としては、患者の状態像の把握を行うということと、資源消費量に見合っ た合理的な診療報酬を開発するということで、できるだけシンプルなものがいいだろう ということを考えました。基本的な考え方としては、今後ケースミックス分類を行って 診療報酬に結びつけていくということになると、1ページ目の下にあるような介護の必 要度と医療の必要度を、ここはたまたま4段階ずつに分けて合計16という分類を行って おります。別にこれはこれに決めたということではなくて、考え方です。あと、出来高 払いが当然、そういうものがあってもいいだろうということであります。  2ページ目は、その介護必要度の決定方法というのは、やはりなかなか難しいのだろ うと思っております。4つに分ける場合に、まず少なくとも今回のデータから得られる ものとして、痴呆性の老人自立度と障害の老人自立度というのは恐らく全例記載されて おりますので、そこからその組み合わせで4段階に分けることは多分できるだろうと思 っております。それがここにある表でありまして、1〜4を組み合わせるとこういう格 好になってくるのかなと思っております。やはり一番問題になりますのは、現在の要介 護度の認定との関係でありまして、現在もう介護認定を行われている方、特に医療療養 では7割以上の方が要介護度の認定を行われているわけでありますから、要介護度認定 の行われている人と、痴呆性老人の自立度、障害老人の自立度、こういうものを出てい るデータで見ていくと、この4段階が妥当性があるかどうかという検証はある程度でき るであろうと思っております。実際に介護の必要性を推しはかるときに、要介護認定と のその関係をどう整理するかということは、今後の議論であろうと思っております。  続いて、医療の必要度のことでありますが、3ページ目はこれを4段階に最終的に分 ける、ここでは「重」「中」「軽」「その他」と書いてありますが、一応スコア化を図 るべきであろうと考えました。これはたまたまのイメージで、実際の点数がこうなると いうことを言っているのではありません。  これの最後の7ページを見ていただきますと、IIIのところに治療項目というのがあ りますが、今回の調査から持ってこられる医療項目を列記いたしました。一番右端は調 査票に振られているナンバーであります。それらを引き上げていくと、これぐらいの数 のものが出ておりまして、今回の報告でも大分これと似たものが出ておりますが、それ ぞれの医療項目でタイムスタディやコストデータから仕事量や消費量というのが出てき ますので、それらをずっと並べて、その消費量、仕事量が多いものから高い点数をつけ ていってスコア化して、それで1人の患者さんに何項目もある場合もありますので、そ れらの合計で、そうすると医療処置としては何点になるというようなことから、医療レ ベルを4段階ぐらいに分けられるのではないかということであります。  4ページ目は今の説明でありまして、各処置項目の点数の決めの方法としましては、 人件費、材料費、その他を解析しまして、その患者さんの医療処置に要したコストとい うものを出して、スコア化していくのがいいのではないかと思っております。  続きまして5ページです。別表というのはこの後の6ページ目、7ページ目を示して おりますが、別表に示すように、調査からは下記のデータが得られる、つまり疾患名、 これは6ページ目の大きいIのところにありますのが、今回の調査から得られる疾患名 であります。それから医療必要状態、これは大きいIIの医療必要状態ということで、 これらも今回の調査から得ることができます。それからIIIは、先ほど言いましたよう に治療の項目であります。この3つがそれぞれ前のページで示した方法で点数化されま す。主として先ほど説明しましたように、治療項目から得た点数によって医療必要度と いうのは決定することができると思います。それからIとIIを点数化することによって、 疾患別、もしくは状態別の資源消費量を把握することができます。そうしますと、これ らをそれぞれの相関、クロスをかけたりすることによって、どういう疾患でどういう状 態で非常に医療資源を多く必要としている、というような結果が得られますので、それ によって医療必要度をどのような枠組みにしていくか、というようなことが決定できる のではないかと思っております。  さらにこの6ページ、7ページを見ていただきますと、180日超、90超、特殊疾患療 養の1と2、特殊疾患療養加算、現行の診療報酬点数においてどれが使われているかと いうことを○印であらわしております。この○印であらわしたものを集計することによ って、現状のそれぞれの180日超、90日超等の除外規定等が妥当なものかどうかという ことが、検証できるであろうと思います。ですから、これらのデータをミックスしてい くことによって、本来の除外規定が非常に的を射ているものなのか、またこういうもの を追加すべきなのか、これは当たらないのではないか、というようなことも検証できて いくだろうと思っております。  したがいまして、私の提案はこの別表にあるそれぞれの右にある項目から、それぞれ を引き出して、それを点数化することによって分類をもう一回検証していって、さらに 医療必要度を出すのはどうかというような提案であります。 ○池上分科会長  ありがとうございました。では、今の御提案について御意見をいただければと思いま す。猪口先生、これはどこかで検証されましたですか。 ○猪口委員  いえ、この手のことはどこでも今までやられていないので、むしろ今までの診療報酬 点数の検証、それから今後の病棟機能がどうあるべきかということも含めて、今回検証 も含めて行うのが最大のチャンスではないかと思っております。 ○三上委員  医療におけるタイムスタディの考え方というのが、介護とやはり違うのではないか と。もともと介護はどれぐらい時間がかかったかというケア時間によって算出されるわ けですが、医療は急変に対応するためのスタンバイのところも、すべて働いた時間に入 ってくるんじゃないかという気がいたしますし、それをなかなかタイムスタディではか ることが難しいのではないかということで、人件費の考え方ですが、ここは少しどうい うやり方をするかもう一度検討していただきたいなと思います。 ○猪口委員  それはそう思っております。それで、一応6ページ目の表の医療必要状態というとこ ろの一番下の2行、「医師による直接医療提供頻度」と「看護師による直接医療提供頻 度」というのは、実際のタイムスタディとは別に、それぞれの医師、看護師がどのよう に考えているかということ。今回の事務局の報告にも一部入っておりますが、そういう 考え方も入れていくといいと思っています。というのは、実際にその医師が慢性期の患 者さんに1日どれだけ手を出しているかということと、この患者さんに対してどういう 方針で、これからどういうふうに持っていこうかという、その仕事量と多分違うと思う んですね。ですから、それぞれの医師がそれぞれの患者さんに対してどういうふうに考 えているかというのは、この項目であらわれてくるのだろうと思っております。  ですから、今回の今までのデータの集計の中にも出ていましたような考え方を入れ て、これをあとどういうふうに解析するかというのは、今後のデータを見た上でまた組 み立てていけばいいのではないかなと思っております。 ○池上分科会長  はい、川越委員、どうぞ。 ○川越委員  私も、タイムスタディの限界はちゃんと理解しておく必要があると思っています。タ イムスタディというのは、実際に行なった行為に対してどれだけの時間がかかったかと いうことを評価しているだけであって、介護というのは直接手を出して、そこにかかっ た時間をはかるというので、非常にはかりやすい部分がある。ところが、医療という行 為はタイムスタディだけでは十分評価しきれない部分、例えば、ある状態にならないよ うにどうするかという予防的対応の部分などがある訳で、結果的にそういう予防的対応 が事前にあって、その上で起こったことに対する行為に実際にかかった時間というのは 非常に短いかもしれないと。そうすると同じ1分でも、医療の1分と介護の1分を同じ 重さで評価すべきでは全くないと思います。ですので、三上委員がおっしゃったよう に、医療の必要性にかかる部分と、介護の必要性にかかる部分というのは、タイムスタ ディだけで、画一的に同じ土俵で評価をすべきものではないのではないかと、少し重み を分けるべきではないかなと、これが一つです。  それと、猪口先生がおっしゃっている医療の必要性にかかわるランクづけの部分です が、これら点数とタイムスタディの結果を付き合わせて、実際現場の方々がこういう複 数の病名を持っている状態の方に対すると、本当にやはり大変だよねという感覚が合う のかどうかというのを、少し検証された方がいいのではないかなと私は思います。 ○池上分科会長  はい、どうぞ。 ○高木分科会長代理  今の川越先生の意見に私も賛成で、この猪口先生の方式の一番の問題は、やはり介護 必要度と医療必要度というのが分かれてしまっていて、多分ADLと処置とかそういう ケースミックスで、総合的に資源必要量をはかっていくというのが切断されてしまうの ではないかと。やってみなければわからないと、今、川越先生も言っていましたが、や はりそれを総合的にはかるというのが、この調査会のスタートではないかなと私は思っ ているので、一つの方法としてはやってみる価値はあると思いますが、やはり医療の必 要度の軸というのと、慢性期の総合的に包括評価を考えるという軸は、ちょっと違うの ではないかという気が私もしています。 ○大塚委員  いいですか。ちょっと理解が悪くて申し訳ないのですが、今この実態調査をやられ た、そこから出てくるものは、ある条件のもとでそこで何が行われているかを見たわけ ですね。一方、猪口委員の御提案というのは、ある状態の人に対して何が必要かを割り 出していこうというもので、全く次元の違うものだと思います。それは介護保険スター トに当たって行われた要介護度の調査も全く同じであって、施設ごとに非常に大きなば らつきがあったということもきっと御存じだと思います。だから、その状態の人に対し て本当に何が必要かということは、ここからは出てこないんですよね。そこの議論と一 緒にしようとするとかなり無理があると思います。 ○川越委員  私も非常に考え方が近いのですが、要はタイムスタディでわかってくるというのは現 在の実態が出てくるだけの話ですね。その実態と、では本当にその患者さんにとって適 正なサービス提供が実際に行われていたかどうかということとはまた違う話であって、 現在どうなっているか、どの人にどれぐらいかかっているか、それは人員配置基準上の 制限もある中でやっていたりとか、いろいろな制限の中で現在行われている実態が出て きているだけだと。ですから、タイムスタディというのはある意味で現状を評価してい るだけの話であって、それが適切な姿なのかどうかということまでをあらわしているわ けではないと。  そうしたときに、猪口先生がおっしゃるように、先ほど病棟の種別を取っ払って、こ ういう人に対してはどれぐらい医療が実際にかかっているかというところを、例えば特 殊疾患でみてみたり、介護療養で、あるいは医療の療養でみていくと、かなり違いが出 てきてしまうかもしれない。そうしたら、医療依存度の高い方に対し特殊疾患などで提 供されているこれぐらいのサービス量が実は適切な量なのかもしれないとなると、介護 療養型、医療療養型はもっとマンパワーを置くべきなのではないかという議論になるか もしれない。ですから、現状を把握しようとするのがタイムスタディや今回の調査であ って、でもそれを具体的に最終的にどういう姿があるべきなのかというのは、また違う 議論としてきちんとやるべきではないかなという気がいたします。 ○池上分科会長  ほかに御意見はございますか。木下先生、いかがでしょうか。 ○木下委員  やはり基本的には患者の状態像によって分類していくというのが、どこにいようがと いうことで、それに対してどういうサービスが必要かというので、また人員配置とか何 かを決めていく方向になると思うのですが、最初はやはり個人別というか。ただ、それ にどういうサービスが必要かというのをつくるのは非常に難しいような気もするんです けどね。 ○池上分科会長  個人的な意見を申し上げさせていただきますと、あるべき姿というところからこの調 査は出発していなくて、現状はどうであるかということから出発しています。そして、 現状の人員配置や診療報酬の制約のもとで、どういう医療とケアが行われているかとい うことが対象でございまして、その現状からわかった範囲でどこまで再配分することが 可能かということであります。その次のステップとして適正かどうかというと、例えば 褥瘡の発生がどうであるとか、ADLの低下はどうであるとか、そういう質の評価のデ ータがないと。これは手術の成績と違いますので、やはりそういう客観的な質の評価の データがないと、適正かどうかということはなかなか言えませんので、そういうことを するのだったらまた別な切り口を。今の人員配置と今の資源の範囲でどこまで適正に行 っているかどうかを見るということは、また別の評価視点を、既存のデータを用いてそ れを見ることは可能だと思うんですけれども、それと今の包括評価の分類の議論とはち ょっとまた別の議論で、それについて適正ということを言うのだったら、質の評価とい うことを行わないといけないと思います。  それを行うかどうかというのは今後の議論としまして、今は実態に基づいて、より合 理的に診療報酬で対応するときにはどうするかということに話を戻しますと、確かにタ イムスタディの限界はあって、あるべき時間をかけているかどうかというと、これは何 とも言えないんですけれども、それはあるべき時間をかけた場合に本当に褥瘡の発生が 減るのか、ADLの低下が遅くなるのかということを見ない限り、それが適正かどうか ということはわからないですので、それは別の議論として、今ある問題として、コスト の発生と診療報酬の値付けの問題との乖離がどの程度あって、その乖離をどうやったら より合理的な体系に持っていけるかどうかということが課題になっていると思います。 その場合には、適正とかという議論以前に、診療報酬の点数とコストとの乖離を見てい く必要があるのではないかと思っております。  そういった観点から、恐らく猪口先生がケースミックス分類法ということを考案され て、私もこの基本的な考え方には賛成しますが、ただ、こういう形でマトリックスとし て示されているんですよね。相互作用が見えにくくなってしまうのではないかと思いま して、例えば点滴など比較的簡単な処置を行うにしても、痴呆で徘徊をしている方に点 滴をするのと、比較的寝たきりで手間がかからない場合とでは当然違って、そうします とマトリックスでは相互作用が見えてこないと。それと、この処置が例えば5つの処置 を行うことにかかる手間と、似たような処置は処置としてまとめられるので、そのまま 加算で積み上がっていくかどうかというところが、これだと似たような処置を行っても それはそのまま加算していくという方式になりますので、これはもう少しまとめ方など について検討しなければいけないのではないかと思います。そうしませんと、この中で 一緒にやるような処置もあるわけですよね。それから全然別な処置としてやるものもあ って、それを単純に加算していきますと、独立にやった場合と、2つあるいは3つ一緒 にやった場合とで、状況が変わってくるのではないかと思いまして、そういう検討が今 後必要ではないかと思います。  ただ、考え方としまして、戻るようでございますけれども、現状のタイムスタディや 現状のケアの実態から何かを言おうとしているわけでございますので、それが適正かど うかというのはまた別の議論として質の評価が必要ではないかと思います。 ○三上委員  この猪口先生の案ですが、先ほどからのお話で介護の質というんですか、ケアの質の 評価については褥瘡やADLの状態を見ればある程度わかるという話がありましたが、 医療についてはなかなか質の評価が難しいというようなことなので、この猪口先生は縦 軸、横軸に介護、医療となっておりますが、基本的には2階建てというんですか、介護 の上にまた医療があって、別々に算定されたものが積み重なるというイメージの方が、 わかりやすいのではないかという気はするんですけれども、どうでしょうか。 ○猪口委員  マトリックスにするか、そういう積立方式にするかの表現の違いで、基本的には同じ だと思います。ですから、2階建てと言われればそうだと思いますが、それは考え方に よっては健保連の日本版の先ほどRUGという話が出ていましたけれども、あれもある 程度介護とか分けて、その後医療のものが、ADLとかものっかってきているわけです から。最終的に分かれてくるということで、考え方としては同じなのではないかなと思 っています。 ○池上分科会長  基本的にはどれもみんなそう。3つの案とも変わらなくて、医療も見なければいけな いし、介護の費用保障も見なければいけないという、それをどう組み合わせるかという だけだと思いますが。 ○高木分科会長代理  おっしゃるとおりでは同じですが、やはり要するにこういう慢性期のときに、ADL という軸で変わっていくことによる医療投入の変化があるんじゃないですかということ なんですよね。痴呆の程度によってインターベンションも少しは変わるから総合的に見 ましょうというのが、この包括評価の原点だと私は思っているので、その2階建てとい うのも、それをどう2階建てと理解するかは別にしても、やはりその組み方は単純な加 算とかそういう形ではなくて、もっと総合的に見ていく形じゃないですかというのが、 私はこの包括評価の原点だと思っているのですが。 ○川越委員  今のお話はわかるのはわかるのですが、ただ相互作用がどの程度全体に影響を及ぼす かと。要はグルーピングしたときに、それがどれだけグループの差に影響を及ぼすかを 考えたときに、というのが一つあるんですよね。それと、グループをあまり細かく分け すぎると、現場は非常に困るし大変だというのがあるから、グループ数をそんなに多く しない中で、どうやってグループ間の差がきちんと表現できるかということを考えた ら、そういう相互作用のところも大事だとは思いますが、逆に言うと医療の必要性の部 分と介護の必要性という部分をきちんと評価しておくスタンスというのは、私は非常に わかりやすいのではないかなという気はいたします。 ○池上分科会長  さっき言いかけましたが、ここに猪口先生の案を含めて3つ出ていましたけれども、 いずれにしても医療の必要性、介護の必要性というのを十分考慮しようと試みて、そし て分類の数も川越先生が心配されるまでもなく、一定の数に抑えられていると思うので す。  猪口先生についての御質問はほかにございますでしょうか。 ○木下委員  2ページの痴呆度のところで、自立からMまで分けてあるんですけれども、今このM というのが割とはっきりしないというか、定義が不安定というか、判定不能まで入って いるような言い方をする人もいるし、その辺をちょっとどう扱っていいかなというの と、あと日医総研で出ているような問題行動の分類というか、痴呆でも問題行動がある かないかによってかなり影響があるので、その辺も少し入れた方がいいのかなという気 がします。 ○猪口委員  確かにIVとMはどう違うのかという話で、今でも介護認定審査をやると、つけるとき にどうつけるかというのに、例えば全く意識障害で意識がない人はどこに入るのかとい って、「IVでしょう」と言うと、「いや、これはMにしなくちゃ」。意識がない人に何 でMなんだろうと思うようなことも現実はあるわけです。ですから、この表では実はIV とMの段階は全く同じになっています。これは、とある今介護認定審査で使っている資 料がありますよね。痴呆度と障害度から要介護度を考えたときに何10%がどこにのる と。それをずっと集計していって出していった表なので、大体当たっているのではない かなという感じがしております。  もう一つ、その問題行動のことは確かに非常に手がかかるので、ここは6ページ目の 医療必要状態の7番のところに問題行動というのだけ、これは○×ではなくて数値によ って出るようになっております。その数値によってまた評価を変えて、重み付けを変え ていったらいいのではないかなということで、別項目立てにしております。 ○池上分科会長  あと、私は別の観点からちょっと心配な点がありまして、それはJABC及び痴呆性 老人の自立度の、この評価がアセスメント基準日になされているかどうかということで して、それは冒頭申し上げたように、要介護度の判定を受けた方、これは療養病棟は医 療保険、介護保険を問わず大半の方が受けていらっしゃいますが、その場合の認定のた めの附属資料としてこれを付記して出しているわけですので、恐らくそれがこの調査票 に転記されていて、アセスメント基準日の状態を必ずしも反映していない可能性もある のではないか。そうしますと、ほかの調査項目、例えば医療処置の項目とか、そういう ものとの関連性が場合によっては問題なのではないかということが、もっとこのデザイ ンの上で、この認定調査のときの資料ではなく、改めてこれを書いてくださいというふ うに注意を喚起すればよかったのですが、残念ながらそれをしていないものですから、 ちょっとそのことが気になりまして。ほかにADLや痴呆を見るほかの項目が用意され て、それはアセスメント基準日に評価されているのでいいんですけれども、これだけで やるとちょっと心配なところもあるのではないかと思います。 ○川越委員  ちょっと事務局に確認ですが、これは要介護度は保険証で確認しますので多分わかる のでしょうけれども、寝たきり度と痴呆度は要介護度と同じときに測定しているという ことは、訪問調査員しかしませんので、だからこれは多分ちゃんとした調査日に書いて いるのではないですか。 ○桑島補佐  現時点での集計の中では、その時点ははっきりわからない状況でございますが、恐ら く……。すいません、確認は今のところできません。 ○池上分科会長  といいますのは、私が老健と特養で全然別な終末期の調査をさせていただいたときに は、そういう調査員といっても、認定調査員といっても、大部分は同じ施設の人か、あ るいは別の施設の方が調査員をしてこられて、そのときの情報がそのままファイルされ ていて、そういうものが転記されていたということをヒアリング等で伺いましたので、 あえて申し上げた次第でございます。 ○木下委員  そこのところはあまり正確にはとれないと思うんですよね。見た時間とか見た……。 要介護認定のときでも、主治医の意見書と調査票はかなりズレがあるというようなこと からいうと、どれだけ正確にとれているかというのはわからないので、1ランクぐらい 違ってもいいようなシステムにしておけたら問題がないかなという気はするんですけ ど。 ○池上分科会長  あと、私がほかの調査でこのJABCを使おうとしたときに、分岐点があまりはっき りしなくて、評価者によってAとCという違いはまさかないですけれども、BとCと か、AとBとか。それでここのアセスメント項目では、第三者が評価してもそれが同じ になるような項目に限定したわけです。ですから、これは集計データとしてJABCを 見るというと、非常にざっくり見る上ではいいんですけれども、実際に患者さんをこれ に、ましてこれで報酬が決まるということに使おうとすると、ちょっとアバウトなとこ ろがあるのではないかというのと、それから調査日とのズレという問題が少し出てくる のではないかと思いました。考え方としてはこれはこういうことで、一つの案としてよ くわかりましたので。  では、そろそろ時間が迫ってきましたので、猪口先生の案についての御質問がなけれ ばこれで、猪口先生の案は案として承りたいと思います。今後の進め方ということに戻 りまして、(1)の病棟種別などのこの患者特性を見るという、いわば単純集計につい ては御議論はないと思いますが、(2)について分類作成をする上でのデータセットを どうするかということ、ここだけはっきりしませんと今後の作業ができないものですか ら、いかがでしょうか。事務局、どうぞ。 ○桑島補佐  この(2)の方の分類の仕方につきましては、恐らくこちらのデータ量としても非常 に多ございます。という意味からいたしまして、まず(1)の患者さんの特性等のデー タを固めていきたいと考えてございます。そういうことからしますと、ある程度実態が 出てまいりましたときに、もう一度何をベースにやっていくのかということを御議論い ただいてもよろしいのかなという気がいたしますが、いかがでございましょうか。もち ろん淡々とやることはやるんですけれども、もう少しこの部分については御議論があり そうなので、いかがでございましょうか。その部分はもう少し保留、ペンディングにさ せていただいてはいかがかと思いますが。 ○池上分科会長  実際、この分類案に従って分類してみて、またそれを少し操作するとなるとかなりの 時間を要するので、(1)のデータセットとしてそろっていないとなかなか無理なの で、次回の分科会、これは来年度も行うわけですね。ですから、平成17年度の分科会の 最初は、事務局の方から御提案になったように(1)のデータの集計結果を出していた だいて、今日は半分程度、特に一般病床については3分の1ぐらいしか結果が出ていな かったので、そのときはフルのデータについて分析を出していただいて、これをやるに もコストのデータ、特に薬剤のデータを含めてやると、これは処方せんから薬価を積み 上げていかないといけないので、これも次回までにできるかどうかちょっとわからない ところもありますが、できるだけ次回の分科会までに(1)を出していただいて、その 上で(2)について改めて議論するということでよろしゅうございますでしょうか。は い、どうぞ。 ○木下委員  大体いつ頃データが出るんですか。 ○桑島補佐  鋭意努力させていただきます、ということぐらいしか今ちょっと申し上げられませ ん。最初に実施状況ということで御説明いたしましたけれども、二次調査の部分が実は 今データがようやく集まってきているところでございますので、そのデータのクリーニ ングも含めて考えますと、もう少しお時間をちょうだいできないかなと考えてございま す。具体的にいつ頃までにというのは、なかなかちょっと今明言することは難しいわけ でございますが、そういうような状況でございます。 ○池上分科会長  はい。椎名先生、どうぞ。 ○椎名委員  今、これから分析の方法や何をデータセットに使うかと、これは本当に早く決めて動 かないと。私は蒸し返しません。この調査の実施が年度末のぎりぎりになって、それは いろいろ事務局の都合等もあったのでしょうけれども、蒸し返しませんが、考えてみま すとこの分科会は今年の6月か7月ぐらいでそろそろ2年になりますよね。それで、結 局2年前の3月に閣議決定された基本方針をベースに調査検討組織ができて、次回改定 に向けて慢性期の包括支払いを検討しようと。実際もう2年近くなるわけです。それと あと、今回いろいろ木下先生や猪口先生の御尽力で、危惧していたけれどもこれだけの データが集まったわけですよね。ですからやはり集まった貴重なデータですよね。医療 機関の協力、さらには患者さんの協力があって集まったデータです。それで、事務局に は大変心苦しいんですけれども、本当に速やかにやっていかないと、この分科会が次回 改定に間に合うような材料を中医協に提示できなければ、これは問題視される部分があ るのではないでしょうか。この分科会は一体何をやっているんだという話で。考えてみ るとこれは平成15年度調査ですよ。平成15年度の半分近くの粗集計が今日出ただけです よね。中身は、コストもタイムスタディも何も勘案されていない。まだデータクリーニ ングなされていないと。これはいろいろな事情があったのでしょうけれども、この分科 会の存在自体が問われる話になるのではないですか。そういうことで大変でしょうけれ ども、ぜひ早急にやっていただきたい。  あと、私からの要望ですが、今後の大まかなタイムスケジュールをぜひ提示してほし いんですよね。いつ頃までに何をやるのかと。あと、当然来年度の診療報酬改定、実際 平成16年度の改定にはこの部分が見送られたわけですよね。ですから、次回の診療報酬 改定のスケジュールを見ながら、この分科会のタイムスケジュールというか、そんな細 かいものは求めないですけれども、いつ頃までに何をやっていくかと、そんなものをぜ ひ事務局の方で御提示いただきたい、お願いしたいと思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。タイムスケジュールの御提示をお願いしますということだ と思いますが、野中先生、最後に。 ○野中委員  確かに慢性期の入院のことですが、介護療養という部分もありますけれども、やはり 医療の依存度や医療の必要度というのを適正にはかっていかないと、どうも療養病床の 存在価値というのが問われているような気がしますし、点数を決めるのもいいんですけ れども、それの方が本当はむしろ患者さんに対して必要な医療が提供できるという部分 があるので、やはりそこの辺を。どっちの面からと言いながらも、医療の必要度という ものをもうちょっと強く調査してほしいなという気持ちで私は先ほどの意見を聞いてい ましたので、よろしくどうぞお願いします。 ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは本日の分科会は以上としたいと思います。今後の スケジュールについて事務局からお願いいたします。 ○桑島補佐  今、椎名委員からも御指摘をちょうだいしました。いろいろと私どもの不手際がござ いまして、調査自体が年度末までずれ込んで、非常に委員の皆様方にも御迷惑をおかけ しているところではございますが、いかんせん膨大な資料でございます。そうしたもの の整理をさせていただくわけでございますので、多少お時間もかけさせていただくわけ でございますが、まずは少し、先ほどもお話に出てまいりましたけれども、今後の進め 方の中の2つの柱の一方でございますけれども、(1)の患者さんの特性等の部分の集 計の御検討を先にさせていただくということからいたしますと、その集計にかかります 時間をちょうだいしなくてはいけないと考えてございます。そういった意味では、お時 間をちょうだいするということで、連休明けをイメージしてございます。そのあたりで もう一度ある程度固まったデータの御説明ができればと考えてございますが、いかがで ございましょうか。事務局ではそのように考えてございます。 ○池上分科会長  いかがでございましょうか。では、具体的な日程については後ほどということでござ いますね。 ○桑島補佐  もしよろしければ、この場でお決めいただくことも可能であれば、連休明けの先生方 の日程調整を。いかがでございましょうか。ちょっとイレギュラーでございますが。 ○池上分科会長  そうしますと、9日の週ということでございますが、9日の週で御都合が悪いという のがございましたら。 ○猪口委員  都合が悪い日を言うんですか。 ○池上分科会長  いや、いい日でもよろしいですけれども、先生の場合、都合がいい日の方が少ないん じゃないかと思いまして。 ○大塚委員  どこか提示していただければそこをとります。 ○池上分科会長  例えば中医協は水曜日。 ○桑島補佐  水曜日の午前中でございます。 ○池上分科会長  そうすると、11日の水曜の午後というのはいかがでしょうか。 ○野中委員  私は委員会がありまして。 ○猪口委員  午後といってもいろいろあるので、3時ぐらいからですか。 ○池上分科会長  3時ぐらいならよろしゅうございますか。そうすると、11日の3時という案がござい ますが、御都合が悪い方はいらっしゃいますでしょうか。それでは、事務局、よろしい ですか。 ○桑島補佐  はい、わかりました。確認をさせていただきます。11日水曜日3時ということでよろ しいでしょうか。先生方の、委員の皆様方の御都合がよろしければ、その日程でとらせ ていただきます。 ○池上分科会長  はい。それでは場所についてはまた後ほど。 ○桑島補佐  また御連絡を申し上げます。 ○池上分科会長  では、次回5月11日水曜日の3時からということにさせていただきます。それまでに できる限り集計・分析の結果を御提示いただければと思います。  では、本日はどうもありがとうございました。                                    − 了 −       【照会先】        厚生労働省保険局医療課医療係        代表 03−5253−1111(内線3276)