05/03/03 標準的電子カルテ推進委員会第8回議事録             第8回 標準的電子カルテ推進委員会                     日時 平成17年3月30日(水)                        15:00〜                     場所 厚生労働省17階専用第18会議室 ○高本補佐  定刻になりましたので、ただいまから「第8回標準的電子カルテ推進委員会」を開催 いたします。委員の皆様には、ご多忙のところご出席を賜りまして、ありがとうござい ます。本日の委員会は、公開形式で行います。なお、報道関係の方が撮影等をなさる場 合は、議事に入るまでとさせていただきたいと思いますので、お願い申し上げます。  最初に委員会開催に当たりまして、厚生労働省医政局医療技術情報推進室長新村よ り、ご挨拶を申し上げます。 ○新村室長  それでは、一言ご挨拶を申し上げます。本日、委員の皆様方におかれましては、ご多 忙のところご出席をいただきましてありがとうございます。本委員会は、平成15年8月 に第1回の委員会を開催し、以後1年半に渡り、標準的電子カルテの推進に向けてご議 論をいただいてまいりました。  昨年8月にとりまとめた中間論点整理メモにおいて、電子カルテの現状と普及のため の課題とともに、課題解決に向けた検討の視点と方向性等を整理し、引き続き重要な検 討項目について検討を進めてきているところでございます。  当初より、今年度末頃までには委員会としての結論を出していただきたいということ で、検討をしてきました。前回の委員会で示されました論点整理案を踏まえて、座長と ご相談をしながら、最終報告の叩き台を作成いたしました。委員の皆様方におかれまし ては、本日配付させていただいている報告案について、それぞれのお立場から率直なご 意見を賜りますようお願い申し上げます。  最後に、大江座長をはじめ、各委員の皆様方には、委員会の運営に多大なるご協力を いただいたことに感謝を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。 ○高本補佐  本日の委員の出席状況についてご報告をいたします。新倉委員がご都合により欠席す るとのご連絡をいただいております。新倉委員の代理として、富士通ヘルスケアソリュ ーション事業本部担当部長芝田佳樹様にご出席いただいております。よろしくお願いし ます。  それでは、以降の議事進行につきましては、大江座長にお願いいたします。 ○大江座長  それでは、始めさせていただきます。委員の皆様にはお忙しい中、特に年度末の3月 30日という忙しい時期にお集まりいただき、誠にありがとうございます。議事に入る前 に、事務局のほうで用意している資料の確認をお願いいたします。 ○高本補佐  お手元の資料をご確認ください。第8回標準的電子カルテ推進委員会の議事次第の資 料として、10頁に「標準的電子カルテ推進委員会(最終報告案)」、そのほか参考資料 として「中間論点整理メモ」、それから、前回の「第7回標準的電子カルテ推進委員会 の議事録」です。  資料の未配付など不備がありましたら、事務局のほうに申し出ていただきたいと思い ますが、特にありませんでしょうか。ないようであれば、資料の確認は終ります。 ○大江座長  それでは、本日の議事に移ります。本日は議事次第にもあるように、最終報告案の検 討に、ほとんどの時間を割く予定です。  それでは、議事(1)の「最終報告(案)の検討」について用意されている資料に基 づき、事務局から説明をお願いします。 ○高本補佐  先ほどの資料の「最終報告(案)」をご覧ください。I 「はじめに」では、これまで の医療情報システムの発展段階などを記し、電子カルテシステムは、現に多様な診療情 報システムを電子的に保存し、更新するものとして、実運用されるに至っているという ことを記しています。  そして、技術的な進展や、さまざまな知見の蓄積がなされる一方、こうした実際のシ ステムの導入維持に関しては、高額な費用等の問題が指摘されており、併せて、システ ム間の相互運用性の不足等の、いわゆる、標準化に関連した問題が提起されています。 こうしたシステムを、医療施設間の情報連携を進めるために使われるということについ てはまだまだ不十分であり、その点でも標準化の推進が必要だと記しています。  こうした背景の下、この委員会に関連する研究班として、厚生労働科学研究費を用い た標準的電子カルテの開発と、環境整備に向けた研究プロジェクトが発足し、これまで 2年間取り組んできました。  また、電子カルテ推進委員会、本委員会におきましては、こうした関連事業の成果を 踏まえつつ、標準的電子カルテに求められる共通の機能、基本要件、運用管理のあり 方、今後の適切な普及法策等の検討を行ってきました。  昨年の8月に中間論点整理メモをとりまとめ、そのメモにおいて、主要な検討項目ご とに引き続き委員会で検討を深めて、委員会としての考え方をとりまとめ、最終報告と しています。  1頁の下のほうに、II 「電子カルテの現状と普及のための課題」について整理をし ています。IIの1は、医療の情報化に向けた取組みの動向であり、まず、行政府の取組 みとして、厚生労働省の取組みを紹介しています。基本的に、平成11年の厚生省通知、 診療録等を電子媒体に保存することを認めた通知、により、電子カルテを導入するため の環境整備が整い、その後、1頁から2頁にかけて、平成13年12月に公表された「保健 医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」のことが書かれています。  この中で、医療情報システムにおける標準化の推進の重要性が強調されているといっ た点を改めて書いています。また、更に電子カルテについては、単なる保存システムの 役割だけではなく、医療の質の向上、医療組織の経営効率化の支援を図る有力な手段と しても位置づけられています。  電子カルテの普及策として、平成13、14年度に取り組まれた補正予算のこと、あるい は、税制上の優遇措置、低利融資、また、さまざまな経済支援策について取りまとめる とともに、推進基盤である標準的な医療用語やコード、これは平成15年度までに一定の 整備を終えていますが、そうしたものの定期的なメンテナンスの実状などについて書い てあります。  それから、電子カルテを基盤とする地域医療のネットワークを平成14年度から行って いること。また、そうした取組みと相まって、情報セキュリティー確保への関心が高ま っており、これについては、医政局の別の検討会「医療情報ネットワーク基盤検討会」 を設置し、平成16年9月に保健医療福祉分野の公開鍵基盤、書類の電子化及び診療記録 の電子保存の主要検討課題を中心に、最終報告をとりまとめています。  (2)で学会・企業の取組みについてまとめてあります。医療情報学会平成15年2月 の「電子カルテの定義に関する見解」の提示について、それから、医療情報標準化推進 協議会(通称HELICS)が関連団体とともに、標準化規約等のうち安定的に維持がなされ ひろく採用が推奨されるものについて、HELICS標準化指針として、採択し、公表してい る活動について書いてあります。  3頁にかけて、同じく医療情報学会で平成15年度から行っている人材育成、医療情報 育成事業について書いてあります。そのほか、日本HL7協会、保険医療福祉情報システ ム工業界(JAHIS)、社団法人日本画像医療システム工業界(GIRA)などの活動につい ても紹介しています。  (3)は医療の情報化に向けた諸外国の動向であり、これも、いわゆるISO/TC215を 中心とする国際的な検討、HL7やDICOMの活動状況、更にHL7については、メッセージ効 果のインフラーとしてのバージョンIII、いわゆるRIMやCDAなどについて紹介していま す。  それから、電子カルテの機能モデルの開発について、HL7がIOMの委託を受けて取 り組んでいることについても言及しています。また、IHEの活動について、それか ら、医療用語と概念コード化の分野における、いわゆるSNOMED、インターナショナルの 活動についても紹介しています。  4頁で2.電子カルテの普及状況と課題についてとりまとめております。普及状況な のですが、これは公的な統計としては唯一、厚生労働省の医療施設静態調査に基づくも のであり、それにさまざまな実績を加味してデータを取り扱っています。ここに書いて あるのは、医療機関全体でシステムを導入しているものであり、医療情報学会の定義に 基づくものではありません。  平成16年4月現在では、全国の87.8%の二次医療圏で少なくとも1施設、400床以上 の病院の11.7%において、医療機関全体で電子カルテが導入されています。診療所につ きましては、若干古いのですが、平成14年10月1日現在で2.6%という普及状況です。 普及に向けた課題については、先の中間とりまとめに6つの課題を指摘していますが、 それについては省略させていただきます。そのほか、異なるシステム間の情報の通い合 せや、相互運用性の確保等の問題、課題、それから、国際的な情報化、先ほど出てきた 活動、そうした活動とのハモライゼーションなどが必要だということが書いてありま す。  5頁以降は、課題解決に向けた検討の視点と取組みの方向性ということで、これまで 議論していただいたことを中心にとりまとめています。1.として標準的電子カルテが 備えるべき機能等、(1)は標準的電子カルテの目的や目標の明確化です。これも改め て申し上げるまでもありませんが、電子カルテは、標準化されたひとつの電子カルテシ ステムの仕様書を作成し、開発することが目的ではなく、備えるべき機能、装備すべき 標準化仕様、考慮すべき他システムとの整合性などを明確に示すことが目的です。これ は、平成15年度からの研究で成果を上げつつありますが、今後もより具体化に向けた取 組みが必要だということが書かれています。  電子カルテの導入目的と達成すべき目標ですが、これについてはいろいろご議論があ りましたが、そこには、個々の患者に提供される医療サービスの質の向上、医療機関に おける医療情報の管理と利活用の効率性、経済性の向上、日本全体の医療提供システム のさらなる進展、医学的知見の集積と新たな医療の開発への貢献などが期待されます。 電子カルテは今後の医療の基盤的な位置を占めるということが書いてあります。  (2)電子カルテが備えるべき共通の機能と構成、これらの機能を満たすためのシス テム要件について整理しています。これは、研究班からの報告を踏まえたものですが、 患者への医療サービス提供で発生する情報の記録、編集、保持、管理等々に集約されま す。そうしたものはアクター、起動条件、使用場所等の8つの視点から階層的に分類し 記述できることが示されています。  このような方法で、電子カルテが備えるべき機能を記述しモデルとして提示すること が進められているので、その成果物を今後の電子カルテの導入、及び開発にあたって活 用していくことが求められるとしています。実際の活用に当たっては、医療機関の規模 や役割による整理、先ほど出てきたHL7における電子カルテの機能モデルとの整合性の 調査などを併せて進めるべきだと書かれています。  (3)は、優れたマン・マシンインターフェイスのモデル化です。これも、研究班の 発表を踏まえて整理をしていますが、マン・マシンインターフェイスの善し悪しは、電 子カルテが診療中に使用されるということからも、診療の円滑さにも直接影響を与える もので、とりわけ、医療者の診療上の思考の流れと整合性を持ったインターフェイスを 実現することが非常に重要です。このことから、いわゆるグラフィカルインターフェイ ス部品の配置だけでなく、画面やメッセージの展開順序といった、高次のマン・マシン インターフェイスについても、慎重に検討する必要があります。  6頁では、大多数の医療者が円滑と考えるマン・マシンインターフェイスがあるはず であり、既存システムにおける優れたマン・マシンインターフェイスをモデル化して示 すことが効率的で優れたシステムを提供できることにつながります。従って、今後、そ れに向けて研究を発展させていくことが重要です。  また、マン・マシンインターフェイスの実現については、操作上の過誤を防止する観 点、また、優れたマン・マシンインターフェイスを標準とすることによって、操作事故 等を防止する効果があるということが記載してあります。  (4)システム上の共通の機能に対応するソフトウェア部品の標準化のあり方につい てです。1)は、ソフトウェア部品の流通と安全な利用手法の検討です。電子カルテシ ステムのソフトウェア部品の標準化については、各部品が提供する機能と入出力情報が 一定程度標準化されていることが重要です。各部品を技術的に、どのように開発するか については、開発ベンダーに委ねられるが、流通されるソフトウェア部品がどのような 機能を提供しており、どの部品と安全な互換性があるかをわかりやすく示す手法へのあ り方、これについては、業界で検討をし、提示することが必要です。一方、個々の部品 が装着されるプラットホームのあり方の検討、システム全体としての安全性を確認する 手法を提示することも、今後の重要な課題と考えます。  2)は、既存の情報システムとのコネクティビティとラッピングについて整理してい ます。まず、IHEの考え方そのものについて言及をしており、さまざまな業務シナリ オを一連の流れとして遂行する上で必要になる、部品やシステムの相互接続性を実現す るためにガイドラインを示すことであると。  新規のシステムを開発することは負担が大きく、ソフトウェアバグの危険性もあり得 るので、既存の情報システムにおいて、安定的に稼動している部品やザブシステムに、 標準に基づいた相互、接続性を提供できるように、一定のソフトウェア・ラッピングを 施すことによって実現することも推奨されます。その際、システム性能の低下などを来 たさないよう、十分な配慮が必要です。  (5)医療安全確保の視点からの電子カルテの機能です。1).標準的電子カルテシ ステムが医療安全確保に寄与できる領域をいくつか特定しています。対象患者の取り違 い防止、使用する医薬品や器材の取り違いの防止等々ですが、これは多岐にわたって考 えられます。そして、医療安全確保に関する機能を標準的電子カルテの機能として提示 し、日常業務フローに取り込むことによって、安全確保に寄与できると考えられます。 7頁では、操作性の問題、システムの中にあるバグなど、内在する問題を解決する手法 としても標準的電子カルテシステムの考え方が重要であるということが書いてありま す。  2)システムと利用者の役割分担の明確化ですが、情報システムが貢献できることは 多岐にわたるが、限定的です。即ち、人による過誤をチェックすることが主体であり、 情報システムの機能については、その機能が前提としている利用方法あるいは人の役割 分担とをセットで検討される必要があります。  3)今後のシステム開発、運用管理の方向性として、安全性が確認され、使用実績の あるソフトウェア部品の蓄積やその利用方法の重要性についてです。また、そうしたソ フトウェア部品の詳細な仕様の文書化の蓄積や公開についての必要性を指摘していま す。また、いわゆる体表面積の計算式や、心拍拍出量の計算式のような計算ロジックが 電子カルテシステムに組み込まれるにあたっては計算式が異なることのないように、関 連学会などでの十分な検討が必要です。  (6)共通の機能の実装に当たっての安全で適切なシステム運用指針の整備と利用で す。これは、現行の電子保存のガイドラインの制定は、平成11年4月の間違いですの で、ご訂正をお願いします。これは技術ニュートラルに作られているということもあ り、今後はより具体的な技術を踏まえた適切な指針の提示が必要であり、また、今後個 人情報保護法が全面施行されることを踏まえ、個人情報保護の視点を取り込んだ医療情 報システムの一般的なセキュリティ対策の提示が必要です。医療情報ネットワーク基盤 検討会の最終報告を踏まえたガイドラインが作成されたので、そうしたものの利用、ま た、それに基づいた自己の安全対策の評価、見直しなどについて提言しています。  8頁では、2.標準的電子カルテを普及させるために必要な基盤整備です。医療用語 ・コードの標準化マスターの普及と改善、1)病名等の整備された標準マスターの官民 一体となった普及です。1)は、医療用語は早急に標準化をし、普及させ、実際にそれ が導入されることの重要性を謳いつつ、こうしたものについて、一定の技術的・人的・ 経済的支援の必要性、また導入に当たってのインセンティブなどについて指摘していま す。  2)は、適切なメンテナンス体制と、安定に自由に利用できる仕組の構築ということ で、こうした標準マスターが継続的に内容を維持管理していく体制の必要性について、 また、こうしたマスターがデジタル公共知財として、コンピューターで利用可能な形態 で、安定的に利用可能であり続けることが必要です。国や維持管理団体、利用者の一体 となった取組み、仕組の構築が望まれることが指摘されています。  (2)新旧システム間での円滑なデータ移行や、異なるシステム間での互換性確保の 問題について整理しています。1)は、異施設間の情報連携についてです。画像や臨床 検査の結果、処方データなどについては、各種の標準コードやDICOM、HL7に準拠した規 約により、十分に相互互換性のある連携が可能であるということを指摘しています。  しかし、退院時要約等の医療用の定型文書情報については、こうしたものに加え、 ISO化されたHL7、Ver.3の参照情報モデル RIM、J‐MIXを準拠する作業が進められてお りますので、こうしたものによる情報の構造、タグ、データタイプを規定することが可 能になっている状況を踏まえつつ、こうした採用を今後推奨していくということを謳っ ています。所見、経過等の詳細内容については、標準的形式による記述指針の策定が必 要であることを併せて指摘しています。  2)は、個々の新旧システムのデータ移行についてです。ISO化される予定となって いるHL7 CDA R2といった標準的形式で旧システムの電子カルテデータを出力し、新シス テムに移行することが可能であるように、詳細を設計していくことの必要が指摘されて います。  9頁では、文章データ等についてはHL7 RIM準拠のJ‐MIXを用い、CDA R2に準拠する 形式での移行を検討することが推奨されます。また、先ほどの異設間と同様に、記述に よる指針の作成が、詳細内容については必要です。それから、新旧システムの移行時に ついては、独自のコードがある場合はそれを捉え、標準コードマスターへの移行の措置 を推奨するほか、その際にはインセンティブのあり方についても検討が必要です。  (3)標準化を推進するためのインセンティブについてです。標準化は非常に重要で あるが、さまざまな負担があるということで、ここでは、そうした標準化に向けたイン センティブについて整理をしています。  3.標準的電子カルテの導入による効果や影響の評価についてです。これまでも、個 々には医療機関の機能を高め、患者の信頼性を得る上で、有効な手段であるとの個別の 事例報告は学会等で行われてきましたが、医療機関の経営主体の性格、導入前の実状な どの相違があり、一般化が可能な研究成果を得ることが困難であったことを踏まえ、平 成15年度から取り組まれた研究班の報告で、少なくとも、電子カルテが医療機関の戦略 的な運営に広くかかわっている状況等の紹介とともに、その導入の具体的な影響と効果 を明らかにし、医療機関における目標管理や自己評価の手法として、バランスト・スコ アカードの4つの視点や、それを踏まえたKPI(重要業績評価指標)などは、一つの 評価モデルとして利用することが有用であるということが提示されました。こうした評 価指標等の抽出については、今後も電子カルテの機能との関連から更に検討をし、標準 的な評価手法や指標等の選定とその検証を行っていくことが必要です。  4.電子カルテシステムの適切な普及のための方策です。最後の普及方策の今後のあ り方にも書いてありますが、まず、電子カルテの導入のメリットなどをもう一度捉え直 し、電子カルテを導入すること自体が目的化されてはいけないということを改めて再確 認しています。また、幅広く電子カルテのイメージを捉え、期待もありますので、やは り、ここでどのような成果をもたらすものであるかを整理しつつ、今後の普及状況の評 価にあたっては、そうした考え方を取り込むべきであると。これは、上述の日本医療情 報学会が公表している「電子カルテの定義に関する見解」でも同様のことが示されてい ます。さまざまな医療機関で求められる機能に応じた電子カルテのあり方について考え るのであるならば、こうした考え方を今後維持することは必要です。なお、電子カルテ によって望ましい医療行為や診療体制が実現されるといった、国民の理解が得られやす い条件を満足する等については、さまざまな経済的支援策等についても、積極的に検討 をすべきです。  10頁のIV.「おわりに」では、これまでとりまとめてきた報告書の趣旨を踏まえ、そ れぞれの立場で関係団体、機関等は標準的電子カルテを推進していくべきであり、国際 的調和という観点からは、学会や標準化団体等の一層の連携が必要です。国際標準であ る情報技術等の整合性の確保に向けて一層の協調、それから、世界の医療分野の情報化 をリードしていく立場をもう一度再確認し、標準化の推進にかかわる知見を公表し、日 本独自の情報モデル等を確立し、それを国際標準へ反映させていくといった提言をして います。  それ以降は産業界、医療界、行政機関のそれぞれの役割に応じて提言をしています。 産業界では、JAHISを中心とした一層の標準的電子カルテの発展への貢献が必要であり、 医療界では、電子化する必要な情報の範囲、不可欠な機能を決定し、より効率的で効果 のある電子カルテの導入を図っていくべきです。行政機関については、さまざまな機関 団体との調和を図りながら普及、支援策等を検討することにより、標準的電子カルテの 普及に向けた基盤を整備していくべきです。  以上、非常に駆け足でありましたが、この案文については座長にも大変なご努力をい ただきまして、事務局とともにとりまめたということをご報告申し上げまして、最終報 告のご紹介は終わります。 ○大江座長  ありがとうございました。ちょっと駆け足で続けていただいたものと思いますので、 これから約1時間強時間をさきまして、これを順番に見ていき、ご意見をいただきたい と思います。この報告書は大きくIV章立てになっており、とりわけ報告書としての意義 としては、III章、IV章が重要な位置づけになっています。そういうわけでIII章、IV 章、とりわけIII章に関して十分議論をしていただきたいと思いますが、その前にI章、 II章について、特にI章はそれほどご議論が出るところはないのではないかと思います が、I章、II章をまず先にご意見をお伺いしたいと思います。II章は現在までのさまざ まな取組がまとめられている章です。いかがでしょうか。どなたでもお気づきの点から まずご発言いただきたいと思います。 ○手嶋委員  すみません、「はじめに」という所ですが。 ○大江座長  I章ですね。 ○手嶋委員  はい。「電子カルテシステムについては」という書き出しになっていますね。それ が、オーダリングを経て電子カルテへの発展だという言い方にここの部分はなっている のですが、オーダリングと電子カルテというのは進み方というのは違うのではないかと 思っていました。ここの言い方がちょっと引っかかると思っています。 ○大江座長  この文章の構造は、電子カルテのいわば第一段階がオーダー・エントリー・システム で、それが発展してきてこうなったと、それが電子カルテシステムであると、そういう 構造を取っているわけですが、これはいろいろな見解があると思います。いかがでしょ うか。手嶋委員としては、この部分をもし直すとすると、どのような感じにするとよろ しいですか。 ○手嶋委員  さっきちょっと思ったのは、最初の書き出し、もしこの医事会計システムを経て「オ ーダリング」という表現を残すのであれば、この最初の書き出しは「医療情報システム 」になるのではないかと思います。それが現在に至っているということで、1回切って しまって、「患者の病状や治療経過等」というここの書き出しの前に「一方で電子カル テシステムにおいては」というような文言を入れて、前半と後半を分けてしまうという ふうに、少しこれまでのシステムと電子カルテシステムというのを文章としても分けた ほうがいいのではないかと思います。 ○大江座長  いかがでしょうか。確かにそう言われてみますと、まず出だしの「電子カルテについ ては」というのは少し変えてもいいかもしれませんね。大体同様な感想をお持ちでした ら、少しまた事務局と私のほうでそのように修文させていただきますが、よろしいです か。                  (異議なし) ○大江座長  ありがとうございます。ほかに第I章の「はじめに」の部分でお気づきの点がありま したらお願いします。 ○手嶋委員  もう1点。医療関係云々、「高額な」というのがちょっと引っかかっているのです が、これは阻害している要因は高額だからという感じですかね。維持費用です。 ○大江座長  「しかしながら」という、3行ぐらい下ですね。「一方で電子カルテの導入を行った 医療機関等の関係者からシステム導入・維持等に要する高額な費用等の問題に合わせ て、システム間の相互運用性の不足等の標準化に関連した問題が、提起されてくるよう になってきた」。 ○手嶋委員  あえてここであまり強調しなくても、維持費用がかかるというのは十分わかっていら っしゃいますし、阿曾沼委員も前回お話をされていましたが、システムだけの問題では なく、運用の費用の問題だとかいろいろなことが絡んでしまうと思うのですが。 ○大江座長  ただ、費用面がかなり大きな問題の1つであることは事実だというのは、だいぶいろ いろな所で議論されているところでもありますが、いかがでしょうか。 ○阿曾沼委員  高額というのは何をもって高額とするかという所が問題なのだろうと思いますが、費 用負担がやはりいろいろな意味で重荷になっているということは確かに多くの医療機関 が感じているところですので。 ○大江座長  「高額な」というのをとる。 ○阿曾沼委員  費用の負担ということでも。 ○大江座長  それでも十分趣旨は通りますね。ご異論がなければそういう方向で少し検討したいと 思います。そのほかいかがでしょうか。第I章の「はじめに」についてはほかにお気づ きの点ありますか。 ○阿曾沼委員  すみません。私も発表なんかでは、実はあえて「電子カルテ」ではなくて「電子カル テシステム」と言っていたのですが、この「電子カルテ」と「電子カルテシステム」と いうのは細かく議論することはあまり意味がないのかもしれませんが、病院全体の仕組 みに深く係わるという意味では、「システム」と付けたほうがわかりやすいかなという 気もしている。ただ、委員会の名前が電子カルテなので、そこはどうするかと。 ○大江座長  いろいろな所で使っているものですから、場合によってはどこかで、例えば「電子カ ルテ(電子カルテシステム)」とか何とか書く工夫をしましょうか。 ○廣瀬委員  よろしいですか。可能であればですが、電子カルテと電子カルテシステムとは分離し たほうがいいと思います。 ○大江座長  本当は、システムと個々の記録というニュアンスが強いものとの分け方ですから。 ○廣瀬委員  ここの文章の中で、「標準的」という言葉がいくつかの側面を持って使われていると 思うのですが、大きく分けると、「スタンダード」という意味と「リファレンス」とい う意味に分かれると思います。これらが求めることは異なりますので、できれば個々に 分けていただいたほうが私としては読みやすいと思いました。 ○大江座長  標準化されたというような言葉がたぶん「スタンダード」に相当するもので、標準的 な、というのが「リファレンス」というニュアンスですね。場合によっては、その辺は さっきの電子カルテ、電子カルテシステムのことも含めて、統一的に表現を現時点で変 更するのが難しい面もありますので、脚注で少し説明するとか、そのような方法も考え たいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大江座長  ほかに第I章の「はじめに」でお気づきの点ありますか。比較的に短期間で事務局と 私のほうで作文をしましたので、所々に表現の不適切な所があればどうぞ何でもご指摘 いただきたいと思います。  それでは、また後でお気づきの点があったらご指摘いただくとして、第II章の部分、 「現状と普及のための課題」という所、これはこれまでの論点整理などで議論されたこ とが肉付けされておりますが、いかがでしょうか。 ○廣瀬委員  3頁の下のほう、下から6行目ぐらいでしょうか、CDAに関する表現の仕方なのです が、電子カルテに向けた拡張を推進していると。つまり、RIMやドキュメント交換アー キテクチャーというCDAを開発する等、電子カルテに向けた拡張を推進すると。先ほど の「電子カルテ」の意味の部分とも絡むのですが、電子カルテシステムにおける交換メ ッセージ書式ということなら、たしかにその通りだと思いますが。 ○大江座長  具体的に何か提案がありましたらお願いします。 ○廣瀬委員  具体的には、それが明確に分離されるように書いていただければありがたいと思いま す。 ○大江座長  この辺り、木村委員、何か表現についてありますか。 ○木村委員  実におっしゃることはそのとおりだと思いますが、表現は何がいいかなと。確かに交 換アーキテクチャーはどちらかというとシステムですね。間違いなくそうです。 ○大江座長  では、ちょっとそこは後で考えることに。 ○廣瀬委員  すみません。後ほどお考えをいただければと思います。もう1つよろしいですか。4 頁目の真ん中辺りです。(2)の(1)、電子カルテの医療における役割云々で、「医療 機関においてシステムへの要請が多様化しがちであり」云々と。この後の部分でした か、読むと、別にその要請の多様性が悪いと言っているわけではないのですが、ここに おいては多様性が悪いような印象を受けますので、できれば表現の仕方を。 ○大江座長  多様性が悪いと取られないように。 ○廣瀬委員  はい、そのようにしていただければと。全体を見て。 ○大江座長  あまり多様化するのも今一ついいことではないと思いますが、そういう意味ではなく てですね。 ○廣瀬委員  もちろんモジュールとモジュールをつなぐ云々という意味では多様性というのはまず いと思うのですが、それ以外の部分について、の主張です。インターフェイスは多様化 してもらっては当然困るのです。何にしても。それはモジュールにしてもほかのことに しても。ただ、中身については、その多様性を抑制することは不可能だと思います。す べての人間活動において。ちょっとその辺りが。 ○大江座長  実はこれ、中間論点整理メモの冒頭をそのままコピーした文章でして、少しこの文章 の意味合いが、確かにちょっと曖昧なのですが、おそらく中間論点整理メモにおけるこ の部分の意味合いというのは、電子カルテシステムの医療における役割や守備領域が明 確化できてなくて、その取られ方がいろいろあるので、そのためにシステムへの要請が 多様化して、結果的に費用の高額化を招きやすい傾向にあるということで、結局役割領 域の明確化が課題である、ということを言っているのだと私は理解しております。 ○廣瀬委員  可能な範囲で明確に表現を変えていただければ嬉しいなと思います。 ○大江座長  確かに、ちょっと何か曖昧ですね。どれが課題なのかというのがはっきりしていない かもしれませんね。 ○廣瀬委員  その経費の高額化が何によるのかと。本当に多様性だけなのかとか絡んでくると思う のです。確かに私が書けと言われたら、私もたぶん表現に苦労するような気もするので すが。 ○大江座長  おっしゃっているご意見のニュアンスはよくわかりますので、ちょっとここは検討し たいと思いますが、もしいまのご意見に関して、このままでよいとか、あるいはこうし たらよいというようなご意見がありましたらお願いします。 ○木村委員  システムへの期待が膨張しがちであるとか。 ○廣瀬委員  そんな感じです。 ○木村委員  多様化は確かに悪くないが、膨張は困る。高額の場合。 ○廣瀬委員  そうですね。 ○大江座長  ほかにありますか。 ○木村委員  3頁の下から5行目にあるのはEHRですね。HL7 Information Infrastructure EHR-S Functions。単純な誤字ですね。これ、実はさらっとEHR出ますが、EHRとEMRの話はして いませんね。いま電子カルテのデジカルシステムの話はしていましたが。まあ、いいで す。 ○大江座長  EHRと入力すると、何かスペルチェックでフリップが自動的に変わってしまうことが たまにあるようですが。 ○木村委員  もう1つは、その(3)の所で、諸外国の動向でもISO/TC215の話が出てきて、この TC215と出てくるのはここが最初なのですが、一応ここでも、その上の所にほしいので すが、日本でも対策委員会が設置されているというのが。前の所もほしいと言えばほし い。でも、こっちに「国際的な活動」とあるから、この後に、「設置され、日本でも対 策委員会が設置され参加して」とか、ちょっとほしい。 ○大江座長  国内のISOに対する状況ですね。 ○木村委員  はい。本来その上のセクションのほうがいいのかもしれませんが。 ○大江座長  そうですね。 ○木村委員  あれも本当に各業界団体、学会、よく頑張っているので、ちょっとメンションしてあ げるといいかなと。 ○大江座長  はい、わかりました。いまのご意見は、諸外国の動向の中にISOのTC215の記述がある が、国内のそれに対応するさまざまな活動もあるので、その前の部分、「国内の動向」 の所にもそれを記述したほうがよいというご意見ですね。 ○木村委員  はい。 ○大江座長  ほかにありますか。 ○石原委員  質問ですが、4頁の最初の所で、SNOMED-CTが5年間で3,240万ドルという状況です が、ほかの各省もいろいろな形で実際には費用負担があろうかと思うのですが、ここで そういうふうに費用負担をあえてお出しになって米国内で使用権を確保して書いていら っしゃるのは、これは海外で使うと有料であるということを暗に表現されたいのか、そ れともほかのご趣旨でしょうか。 ○大江座長  これは私が書いたのですが、特にあまり趣旨がなくて、事実を述べてあるということ ですが、いかがいたしましょうか。 ○石原委員  現実問題としては、これは日本で使う場合には有料になると。 ○大江座長  そうですね。 ○石原委員  そういうことまでお書きになれば、この値段のことが活きてくると思うのですが、そ れをお入れにならないのであれば、ここだけ生の数値が出てきますので。 ○大江座長  そうですね。 ○石原委員  私なんかとしては、これは日本で使うときには有料だよということを明示しておいた ほうがよいかもしれません。 ○大江座長  ここは諸外国の動向ということですので、確かに唐突にここだけ金額が出るのも適当 ではないかもしれませんね。では、若干ここは表現を検討するということで。 ○石原委員  はい、ご検討ください。 ○大江座長  ほかにいかがでしょうか。 ○阿曾沼委員  質問ですが、2頁の電子カルテの普及策としてということで、厚生労働省における補 正予算の規模(241病院)と書いてあるのですが、IT投資の税制優遇でどのくらいの 医療機関が電子カルテを導入するときにこれを使ったのかとか、低利融資とか何とか、 もし統計上でわかるようであれば、後でもよろしいのですが教えていただければ参考に なるかなと思いまして。 ○大江座長  これは、もしあれば、この中に少し数を書いてはどうかということですね。 ○阿曾沼委員  そうですね。もしあれば。これだけのいろいろな恩恵が医療機関にあるのだというこ とがわかればいいかなと思います。 ○大江座長  これは、事務局、いかがですか。 ○高本補佐  可能な範囲で。 ○大江座長  可能な範囲で。ほかにはいかがでしょうか。II章の範囲内で。II章の最初は厚生労働 省の取組ということで、これは厚生労働省の下の委員会ではありますが、「厚生労働省 等の取組」と書いてありまして、ほかのいろいろもありますが、これは経産省の取組と か、その辺は特に追加記述はいりませんか。 ○新村室長  厚生労働省の委員会ですので、全体は「e-Japan戦略と計画」で一括して述べるとい うことでよろしいのではないでしょうか。もし相互運用性の関連で経産省の事業に言及 する必要がどうしてもあるということになれば、それは委員会のご判断に従います。 ○大江座長  事務局と整理しているときには気づかなかってあるのですが、その相互運用性のこと に関する取組については、若干もし可能であれば追加する形で検討してはどうかと思っ ています。そのほか、(2)の「学会・企業等の取組」それから(3)の「諸外国の動 向」はいかがでしょうか。よろしいですか。その次、2.では「電子カルテの普及状況 と課題」ということで普及状況についてはさらっと書いてありますが、この「電子カル テシステム」というのをどう定義するかで当然普及率が少し評価が変わってくるわけで すが、よろしいでしょうか。 ○木村委員  前回お約束して静岡で調査したこともあるのですが、ここで入れるか、普及の後のほ う、9頁、10頁辺り、そこで言及してもいいのですが、お約束どおり数字は持ってまい りました。 ○大江座長  一応情報として。 ○木村委員  静岡県は実は400床以上は24あるのですが、そのうち15の68%からアンケートの返事 をいただきまして、全部オーダーが入っているのです。いわゆる電子カルテパッケージ を入れているのは2箇所。ということは15分の2で、15%ぐらいになるのですが、これ が日本医療情報学会の定義は、古いのも捨てずに早く出して、患者説明の充実、これは 3年以内のデータを捨てずに5秒以内のレスポンスで外来で患者さんに検査と画像を見 せて説明しているというのは9箇所。15分の9、60%をなんと達成してしまっていま す。ジャミの定義のペーパーレスだと15。例の普通型の電子カルテで60%ということで す。ちなみに20床以上では、要するに全病院ですが、31%に落ちます。 ○大江座長  この辺り、電子カルテをどう定義するかで割合、パーセントで出した場合には少し変 わってくるということで、これは先ほど木村委員にご指摘いただいた10頁の第III章の いちばん最後の部分の「医療情報学会が公表した電子カルテの定義に関する見解でも」 という所に関係してくる部分ですが。 ○木村委員  それでもいいかもしれませんね。それはお任せします。 ○大江座長  ほかにありますでしょうか。その後「普及状況」の次は「諸課題」ということで、こ れは、先ほど1つ目についてはご議論いただきましたが、基本的には「中間論点整理メ モ」で議論した課題がそのまま採用されております。よろしいでしょうか。  それでは、5頁の第III章を見ていきたいと思います。第III章は、構造としては5頁 に1.「標準的電子カルテが備えるべき機能等」とありまして、その後8頁に第2節と して「標準的電子カルテを普及させるために必要な基盤整備」、それから9頁に第3節 として「導入による効果・影響等の評価」。同じく9頁に第4節として「適切な普及の ための方策」と、そういう4節の構造を取っております。まず第1節が、「備えるべき 機能等」ということで、(1)から(6)まで6項目にわたって述べられております。 まず(1)「標準的な電子カルテの目的や目標の明確化」という所についてはいかがで しょうか。あるいはその前に、第III章の構造について、あるいは、いま6項目にある ことについて、大きく欠けているものがないかというようなことについてでも結構で す。 ○井上委員  目的や目標の明確化ですが、この報告書はおそらく専門家だけがご覧になるのではな くて、一般国民だとか、場合によっては予算化する際には、財務省のほうへ説明する必 要があるだろうと思います。そのときにこの標準的な電子カルテの目的や目標の明確化 の後段に書かれている「そもそも電子カルテ導入目的と達成すべき目標を明確化するこ とが重要である。具体的には、」以降なのですが、医療サービスの質の向上、以下いろ いろありますが、電子カルテ導入によってどうして医療サービスの質が向上するのかと いうのは専門家の方には想像ができるのでしょうけれども、一般の方にはなかなか電子 カルテを導入することによってどうして医療サービスの質が向上するのか、それから、 医療情報の管理と利活用の効率化と経済性が向上するのか、日本全体の医療提供システ ムがさらに発展するのか、医学的知見の集積と新たな医療の開発への貢献などが期待で きるのか、できたらもう少し説明してあげるほうが説得力があって、それで、将来電子 カルテについての支持が広まっていくのではないかと思います。これはいろいろな機会 を捉えてそういう説明をしていくことが大事だと思いますが、この中で説明すると相当 なボリュームになるので、注釈とかは別の資料でも結構ですので、付けてあげるとわか りいいのではないかと思いました。 ○大江座長  いろいろな所でそういう説明のなされている資料などが公開されていますので、そう いったものを例示で挙げて、そこで説明されているようにというような形でよろしいで しょうか。ありがとうございます。確かにそういう参照の資料があったほうが大変わか りやすいと思いますので、そういう形にさせていただこうかと思います。よろしいです か。何かお勧めのそういう引用すべきものがありましたら、また事務局のほうにお知ら せいただきたいと思います。その後(2)以降に入っていきますが、どの部分でも結構 ですので、部分のご指摘をお願いします。 ○手嶋委員  ちょっと戻りますが、(1)の2行目の所に、目的ではなく備えるべき機能、装備す べき標準化仕様、考慮すべき他システムとの整合性などと3つ言っていますね。(3) の所にいきなりマン・マシンインターフェイスの話が出てくるのですが、機能がここの マン・マシンインターフェイスの部分を含んでいるのかどうかというのがちょっと気に なる所ですが、操作というのはこの中にはどこまで入れ込むのでしょう。 ○大江座長  「装備すべき標準化仕様」という所に、「装備すべきマン・マシンインターフェイス も曖昧に含んでいると読んでいて思いましたが、明示してもいいと思いますね、どうし ましょうか。明示的に入れたほうがよろしいですか。つまり、「備えるべき機能、装備 すべき標準仕様、考慮すべき他システムとの整合性と3つ書かれているわけですが、さ らに4つ目として、そのあとに出てくる「マン・マシンインターフェイス等の課題」と 書くのでしょうか。 ○石原委員  少し強引かもしれませんが、「考慮すべき他システムとの整合性」というところに優 れたマン・マシンインターフェイスも入っているのかと読めば、このままでもいいので はないかと思います。 ○大江座長  いかようにでも読もうと思えば読めますね。しかし、やや分かりにくい気も確かにし ますね。このあたりは少し表現の仕方を後ほど検討させていただきたいと思います。ほ かにお気付きの点はありますか。 ○廣瀬委員  2点ありまして、1点目は、先ほどの言葉の問題、すなわち、ここの文章の中で、 「標準」という意味が、リファレンスあるいはスタンダード両方使われているというと ころとも絡むのですが、6頁の初めの行、6行目でしょうか、マン・マシンインターフ ェイスに関するコメント、7頁の冒頭部分の「操作性が個々に異なる電子カルテシステ ムにおいて」のところですが、リファレンスという意味では、まあよいだろうと読める のですが、スタンダードと言われると、ちょっと困ってしまうというのが1点です。  もう一つは、人間というのは、メタを理解できる動物です。メタファーと言います か。ですから、マン・マシンインターフェイスのモデルの示し方についても、メタレベ ルがいいのではないかと、個人的には思っているのです。 ○大江座長  モデルの示し方について示す方法としてということですね。 ○廣瀬委員  はい、そうです。そのことについて私は、いますぐこの文章をいかに分かりやすい言 葉で表現するのか、ちょっと思い付かないのです。ただ、この委員会としては、そのあ たりは意識しておく必要があるのかなという気がしましたので、コメントさせていただ きました。  2点目は、7頁の真ん中あたりですが、先ほどの生体パラメータの計算ロジック、云 々というところです。確かにその計算式がそのシステム間で違っていたら困るというこ とも当然あるのですが、もう一つ重要な問題として、情報ソースがあると思います。す なわち、どの情報を使って計算したのかと、その情報ソースが明らかでない限り、ある いは信頼性が低い限りいくら計算してみても、計算したものが出てくるだけ、の話にな ってしまうわけです。実際、その情報ソースへの追跡性といったことも、もし、この計 算ロジックについて言うのであれば、この2点も含めていただいたほうがよろしいので はないかと思います。以上です。 ○大江座長  ありがとうございました。いまご指摘いただいたこの7頁の計算ロジックの部分は、 私が書いたのですが、全体のほかの部分からすると、ちょっと細部に入り過ぎているよ うな気も、正直していまして、もし、そのようにお感じの方が多いようでしたら、この 部分は少し割愛するか、あるいはもう少し一般的な表現にするとか。このまま入れるな らば、いま廣瀬委員にご指摘いただいた部分までも含めて入れるのも一つの手です。 ○廣瀬委員  私の主張は、計算ロジックをできるだけ標準化するのは、それはそれでいいのです。 ただ、それ以前に、例えば体表面積を形算する際に体重を使いますね。でも、それがい つの体重だったのでしょうか、誰が量ったのでしょうか、本当なのでしょうかというこ とは忘れがちになる。 ○大江座長  元になるインターソースの信頼性、質の問題ですか。 ○廣瀬委員  はい。それが追跡できないと、その信頼性は証明できませんね。そういう怖さは意識 しておいて然るべきだろうということです。 ○大江座長  この部分については、取扱いを少し調整させていただきたいと思います。ほかにいか がでしょうか。 ○木村委員  確認なのですが、この(3)は、マン・マシンインターフェイスで、ユーザー・イン ターフェイスよりより高度な話をしていますね。意識して、これはマン・マシンインタ ーフェイスですね。いや、いいと思います。そのあとに、安全に関しては、一通りシス テムの役割分担とちゃんと書いてあるし。つまり、操作のレベルではないと。さらに、 その役割を考えてユース・ケースを考えて、ですね。 ○大江座長  これは脚注か何かで、少しそのニュアンスを書いたほうがよろしいですか。 ○木村委員  通常は、「ユーザー・インターフェイス」という言葉は理解される。「マン・マシン インターフェイスは、マンマシン・システムのマンとマシンの間のインターフェイスな ので。 ○大江座長  これは確か「中間論点整理メモ」をまとめる段階でも、少し「ユーザー・インターフ ェイスス」、「マン・マシンインターフェイス」の書き方については、随分議論の時間 がありましたので、その「報告書」を読む方が誤解しないようにするためにも、少し 「ユーザー・インターフェイス」と区別して、「マン・マシンインターフェイス」とい う言葉を、ここで使っていることを、脚注か何かの形で、少し説明することも考えたい と思います。そういう形でよろしいですか。 ○阿曾沼委員  議論が複雑になってしまうのは、ちょっと気になりますが、マン・マシンインターフ ェイスの中で、6頁目に「操作上の過誤を防止する効果」とかいろいろある中で、実は ワーニングシステムみたいなものは当然組み込まれています。「極量のチェック」と か、いまで言えば薬の相互作用とかも普通にやるわけですが、最低限、電子カルテとし ては、どういうふうに具備すべきだとか、どこまで具備すべきなのか、どこまでシステ ムとしてやっていくべきなのかというところも、本来ちょっと議論があってもよかった かなという気がいたします。 ○大江座長  それは6頁の下のほうの(5)の1)で吸収できると思いますが、いかがですか。 ○阿曾沼委員  はい、分かりました。 ○大江座長  ほかにお気付きの点はありますか。5頁から7頁にかけていかがでしょうか。 ○廣瀬委員  質問に近いのですが、6頁の下から10行目ぐらいの「ラッピング」という一つの例が 挙がっていますが、「等」という言葉がなかったので、ゲートウェイでは駄目なのでし ょうか。それは質問と言いましょうか、「等」があれば別にいいです。  8頁の下から10行目ぐらいでしょうか、ここは「RIM」としか書いてないですね。私 は当然、CDAかなと思ったのですけど。 ○大江座長  8頁はもうちょっとあとで。かなりいろいろ細かいことが出ていますので。7頁まで はいかがでしょうか。 ○手嶋委員  6頁の1)の「ソフトウエア部品の流通と安全な利用手法の検討」というところです が、これは非常に重要だと思っています。それをどう開発するかというのは、「業界に 任されている」というところまではいいのですが、どの部品と安全な互換性があるかを 分かりやすく示す手法は、多分、業界だけに任せていても、なかなか推進しないかなと 思っています。何か、もうちょっといろいろ全体的に動かすことが必要ではないかと思 いますが、いかがでしょうか。 ○大江座長  この(4)の1)の第1パラグラフの後半ですね。「しかし、流通するソフトウエア 部品が」で始まるところでしょうか。 ○手嶋委員  そこのところの4行目から「どの部品と安全な互換性があるかを分かりやすく示す手 法のあり方を、業界が」というところですが、業界だけではなく、もっと全体的に動か ないといけないのではないかと思っていますが。 ○大江座長  少し、ここは表現の方法を。実際、業界だけが単独で指名するか、指名したとして も、それを実際に効果があるかということは別ですから、ここのコンテクストとして は、「業界が」と書いてあっても、当然、業界が中心になって、ほかの関連する所もと いうニュアンスではありますが、少しその辺を分かる形で修文したいと思います。  それでは、先に進めさせていただいて、8頁の「2.標準的電子カルテを普及させる ために必要な基盤整備」、次の頁の「3.効果、影響の評価」、「4.普及の方策」の 3つの節を連続してご意見いただきたいと思います。まず、先ほどこの8頁の(2)の 1)でしょうか、2)でしょうか。廣瀬委員のほうから、先ほど。 ○廣瀬委員  私は、これは退院時要約をCDAなのかなと思ったのですが、これはRIMなんですね。ま ず、CDAを使うのは、それでいいのですが、この「推奨」という言葉を使うのであれば、 例えばレベル1なのかレベル2なのかということを書いたほうがいいのかなという気が したのが一つです。  もし、そのレベル2であるとすると、シンプルなことは表現できると思いますが、デ ータ構造が複雑になってくるとちょっと厳しい部分があるので、それはどうなのでしょ うか。ネガティブな立場ではないのですが、現時点で、すべて網羅できるわけではない ことを意識しておく必要があるのかなという気がしています。 ○木村委員  私の所の診療情報提供紹介所は、J−MIXで読み替えて、RIMに準拠して、CDA R2にしました。それで、レベル3は、いわゆる各科とか各専門ごとの臨床詳細でして、 そこまでは書けません。RIMに辿りきれないから、そこまてRIMに書いてないから ということですが、リリース版では、あまりにもあれは封筒だけは決まったようなもの で、あれは話になりません。定型文書情報、例えば紹介状……の他いろいろな文書はリ リースでちょうどいい位と考えられます。  ですから、あとは、この2つ下のパラグラフにありますが、いわゆる所見記述録、看 護観察記録等も、ナレーティブに書くのにはちょうどいいのです。 ○廣瀬委員  レベル2で、エレメントの中に、いわゆる自然文を入れ込んでいって、ナレーティブ に書くというところに関しては、それはそれで極めて有用かなと思っています。 ○木村委員  J-MIXに準拠すると言えば、実はJ-MIXのほうは、そこまで重度を上げてくれているか ら全部が全部ザアーッと一文に書いてあるものではなくて、ここが初診所見とかいうと ころまでは、J-MIXを使えば、そこまでは箱があるから、ちょうどいいのです。 ○廣瀬委員  このドキュメントの意義と言いますか、位置づけにもかかわるとか、影響力にもかか わることだと思うのですが、このドキュメントで、その「推奨」という言葉を使うので あれば、例えばCDAを使うのであれば、レベル2で、どこどこまでのような言い方をさ れたほうがいいのかな、というのが私の受けた印象でした。 ○大江座長  木村委員、いかがでしょうか。この「退院時要約等の医療用の定型文書情報は」で始 まるパラグラフですが、この中にはCDA R2は出てこないのですが、出たほうが正確だと 思いますが。 ○木村委員  はい。作業は、現実にうちがやっていたわけで、研究班のお金でやったわけですが、 診療情報提供紹介状までは、HL7 CDA R2に準拠した形で進められており、それにより云 々云々で、これが推奨されるとなれば、廣瀬先生のおっしゃる意図も汲めるのではない かと思います。 ○大江座長  そうすると、ここは「J-MIXに準拠させたCDA R2による記述作業」という形がよろし いですか。 ○木村委員  一応例と言いますか、「診療情報提供紹介状」の例として、ここで挙げていただきた いと思います。 ○廣瀬委員  ここで、RIMという言葉は出てくる必要はあるのですか。 ○木村委員  一応J-MIXをRIMに読み替えて、CDA−R2にする時もRIMを見ながら、例えば処方でRIM を見ると、サブスタンスアドミニストレーションなどという言葉になるのです。処方も 注射も同じなのですが。そういうふうに読み替えていく作業はいります。 ○廣藍委員  それを言うのであれば、入浴とかも全部入ってしまいます。 ○木村委員  あそこまで言うとドキュメントがあまりにも専門的になり過ぎている。 ○大江座長  いかがでしょうか。いま議論いただいている(2)の1)の部分は、個々の企画名が 比較的明示的に取り上げられて、「推奨する」あるいは「必要である」という形で書か れていますが、この形でよろしいですか。特に強いご異論はありませんか。 ○木村委員  是非、紹介状のところにも、うちの紹介状の話を例として入れてください。2つ下の パラグラフは、「電子カルテのいわゆる所見や看護記録のところについても」と書いて ありますから、2回出てきてもこの2つ上でもいいと思います。 ○廣瀬委員  この文章の構造ですが、(2)があって、1)があって、2)があってという形です が、その1)の下のほうに退院時要約が出てきて、2)になってCDAが出てくる。 ○大江座長  1)は同じ時期の異なる施設間の情報連携のあり方で、2)は一つの医療機関の中の 新旧システム間のデータ移行です。 ○廣瀬委員  それは理解していますが、その関連するところが跨っているという別の側面から見れ ば出てきますので。 ○木村委員  ここの部分は私が担当した部分で、要は相互操作性というのは、異施設間でもあり、 自分の昔と今、および今の自分と未来の自分という意味では出てきますが、役者は同じ でも、あまり好きではない。 ○廣瀬委員  それは理解しています。ただ、使える要素技術が2つに跨っているわけです。もちろ ん、どちらにも使えて、どちらにも書けばいいではないかというのが、先生の先ほどの ご主張だったと思いますが。 ○木村委員  理論的に書くならば、「それは実は同じことであって」と最初に全部一つにバアーン とまとめればいいのでしょうが、それはちょっと分かりにくいし、その考え方はちょっ と押し付け過ぎかなと思って、私はこれでよいのではないかと思いました。 ○大江座長  確かに抽象的に考えれば同じことですが、他施設間も新旧間も、一応分かりやすくす るために分けてあって、双方に同じ技術が引用されている形で、よいかと思います。  ほかの部分はいかがでしょうか。特に8頁の上段部分の「医療用語・コードの標準化 マスターの普及と改善」で、特に2)の部分はいかがでしょうか。 ○石原委員  質問なのですが、この2)の部分と次の(3)標準化を推進するためのインセンティ ブについて内容に少しオーバラップしているような移行について感覚をもつのですが、 どういうふうに切り分けて理解したらよろしいのでしょうすか。 ○大江座長  この8頁の上の部分に書いてあるのは、この標準化マスターの公共知財としての維持 管理です。9頁の(3)は、特に標準マスターの維持管理ということに限定せず、存在 している標準化を導入するためのインセンティブです。石原委員にご指摘いただいたの は、8頁の(1)の1)の最後ですか。 ○石原委員  2)の最後です。「新旧システム移行時の、例えば独自コードがある場合には」とい う表現、次の(3)の「標準化を推進するためのインセンティブ」というところが、私 が具体的にコンヒューズしている部分は、ある病院の中で、すでにA社のシステムが入 っていて、それを公正な競争によって、リプレースの際に、B社、C社も含めた、例え ばA、B、C3社でちゃんと競争して、より効率的な導入を進めたいという時に、この 8頁の2)と次の9頁の(3)がそれぞれ少しずつオーバラップしますので、そういう 意味において、初めてこれをお読みになった方がどう理解するのかと思っての質問で す。 ○大江座長  オーバーラップしていますね。 ○石原委員  はい。 実際にもっと生々しい話をしますと、500床の病院がA社の電子カルテシス テムなりオーダリングシステムを導入してしまいますと、5年後あるいは7年後のリプ レースの際に、それをA社以外にするのは、現在の日本では非常に難しい。数千万円、 特には数億円の対価を要求されて、そこからB社、C社は出発するわけです。  そうすると、本来適正な競争であったり、標準化ということのずっと手前で阻害要因 がありますので、この2)あるいは次の(3)で、「一定の強制力をもって」という言 葉が使われていますが、これを、標準化のための一定の強制力だけではなく、既存のす でに導入済みのベンダー、メーカーが極めて合理的なコストで、標準的なリプレースメ ントも含めて、あるいは自社のものでも結構ですが、バックアップ等を同様に極めて安 い合理的なコストで、すべてのデジタル情報を漏れなく吐き出すことを強制していただ いてもいいのではないか、というのが本音です。 ○大江座長  確かに、「新旧システム移行」と、既存資産がある場合の新しい新たに標準化された システムの導入は、かなり重複がある概念ですので、ここは少し整理をさせていただき ます。 ○石原委員  お願いいたします。それにかかわって、(3)の第2パラグラフのところは、「既存 資産のない新規導入する場合には、強制力をもってしなさい」という表現は、逆に読め ば、既存資産がある所は、あとにパラグラフに少しあるのですが、既存資産がある所は 温存するぞという利権的な読まれ方をしてはいけませんので、そこの表現もよろしくお 願い申し上げます。 ○大江座長  分かりました。ありがとうございました。  ほかに9頁の3、4はいかがでしょうか。3は主として、研究班としては、阿曾沼委 員が中心になって報告いただきましたが。 ○石原委員  一つ質問いたします。このBSCは非常にいいやり方だと思うのですが、先ほど事務局 のほうがこれをご説明してくださる時に、まさに口頭でのご説明は、「一つの評価モデ ルとしての有用性」という表現を使いましたが、実際に文言でも、文面でもそういう意 味合いを残していただいたほうが、少し広く重要度がありますので、お願いいたしま す。 ○大江座長  「一つの」というのは、要するに、ワン オブ ゼムという意味ですか。 ○石原委員  そうです。BSCがすべてということで、この委員会は、BSCがすべてだというご意思で あれば、私は反論いたしませんが、私は、いまの事務局のほうのご説明で「一つの」と いう表現をしておられましたので、そちらに賛同しての意見です。 ○阿曾沼委員  結構だと思います。 ○大江座長  よろしいですか。 ○阿曾沼委員  はい。 ○大江座長  ほかにこの3については、阿曾沼委員のほうで何かありますか。 ○阿曾沼委員  簡潔にまとめてくれたので、ありがとうございます。 ○大江座長  その次の4はいかがでしょうか。「適切な普及のための方策」これはIT戦略本部に おける話が引用されています。よろしいでしょうか。  それから、日本医療情報学会が公表した「電子カルテの定義に関する見解」の引用が されています。 ○木村委員  (3)の標準化を推進するためのインセンティブの話なのですが、……は非常に正し いので、是非、これは私からもお願いいたします。  こういう……とかと別に、アメリカで、例えば保健所の親玉であるCDC、地健の親玉 であるCDISCあたりが、もうバラバラと紙でもらうのはたまらんと、標準的に欲しいと いうので、スーッと標準化が進んだというケースがあることはあるのです。この間のパ ネルでも申し上げましたが、そういう形もあるのではないかなと思います。つまり、経 済的支援策、普及策ももちろん、この最後の「行政機関は」のところで書くのも、ちょ っとあれなので、そういう形での強制力というのもあると思いました。 ○大江座長  書き方がなかなか難しいですね。表現が難しい。 ○木村委員  ですから、CDCはああいう一方、DODMのサブライはもうCBCコードでないと受けないぞ などと言い出すでしょ。ああいう形ですよね。ですから、それが本当に唯一のものなの かと言われると、多分少しためらいがあるのが行政機関なのだという立場は分かるので す。 ○大江座長  一定の強制力は、実はそういうニュアンスも含めた微妙な書き方ではあったのです が、もう少しそのニュアンスが出てくるような書き方をちょっと考えてみたいと思いま す。 ○木村委員  多分それは医療事務の効率化というところから、国民の要請としてという流れになる と、コンセンサスを得やすい話になります。 ○大江座長  そうですね。いま、このままですと、先ほどご指摘いただいたように、既存資産がな くて、新規に導入する場合だけのほうにかかってしまいますので、そこも含めて少し修 文をしたいと思います。 ○石原委員  いまのよろしいでしょうか。木村先生のおっしゃることに賛成ですが、一つ教えてい ただきたいのは、アメリカの場合には、医療費、特に技術料等周辺については、実際 上、相対の自由契約ですので、強制力があっても構わないのです。そのコストを単純に 上乗せすればよかろうと思います。ただ、日本の医療保険行政の場合は、強制力だけが あって、お金は取れないよと言うと、やはり、ここにいらっしゃる方々皆不幸になると 思いますので、手嶋委員なんかも特にお感じでないかと思いますが、何かの強制力をす る場合には、ある診療報酬上のケアとか、それ以外の何かの施策がないと、単位医療行 為あたり、先進国の中で、いちばん安い日本の医療費にさらに出せと言われると、出せ る医療機関は非常に少ないのではないかと思いますので、あえて発言いたしました。 ○木村委員  基本的に全くそのとおりだと私も思います。ただ、……おさまる数少ないケースがあ って、例えばフイルム代よりも、いまはファックス代のほうがずっと安い。例えば画像 はデータで動かしたほうが、いろいろな意味で、……より報告も……けるということが 可能です。つまり、いまや逆転している部分をうまく使うと、……まとまるというシー ンもあります。そういうところから率先してやるのがいいのではないかと私は思ってい ます。基本的には、石原委員がおっしゃるとおりだと思います。そういういい話は、そ うは転がってはいないのです。 ○廣瀬委員  私は、いまの「一定の強制力をもって」という微妙な言い方でいいのではないかとい う気が、正直なところしてきました。というのは、公的なと言いますか、パブリックな 機関で、このコードを使ってください、このフォーマットを使ってくださいということ が今迄もあったわけですが、それで良い成果が得られたのかどうか、そういった経験を 踏まえると、このぐらいでいいのかなという気がしないでもないです。 ○大江座長  出た意見は参考にさせていただきながら、事務局と私のほうで、少しここの表現につ いて検討したいと思います。いずれにしても、「この標準化を推進するためのインセン ティブについて」というのは、あまりぼかし過ぎても意味がないですし、書き過ぎて も、それ自体が、また強制力を発生することにもなりかねませんので、表現は慎重にし ますが、ただやはり、ある一定の量を確保して、ここにインセンティブについて、この 際書かないといけないと思いますので、それについては同意いただいているということ でよろしいですか。                  (異議なし) ○大江座長  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。  最後のしめのところ、IVの「おわりに」ですが、「おわりに」があまり長いと、また 議論が出ますので、これぐらいの量になっていますが、表現等も含めて、何かお気付き の点がありましたら、ご指摘をお願いします。 ○松原委員  診療報酬上の措置というのは非常に難しい面があって。 ○大江座長  9頁の先ほどとのところですね。 ○松原委員  はい。診療報酬改定を行いますと、IT化のために一部を+にしますと、結局ほかの ところで−になります。これを国家として戦略的に進めるのであれば、やはり持続可能 な補助金を考えていただくのが筋ではないかと私は思っています。 ○大江座長  いまのご意見を取り入れた形で少し検討させていただきたいと思います。  10頁の「おわりに」のところですが、事務局と私とで作文した時には、さらっとこう いう形になりましたが、いま読んでみますと、この役割が産業界、医療界、行政とある わけですが、こういうシステムで、IT化も含めたこういうものに関する理解と支援 を、国民一般の方々に求めるという部分も一言入れてはどうかなという気もするのです が、いかがでしょうか。それは、こういう委員会の「報告書」にはなじまないという考 え方もあろうかとも思いますが、どうでしょうか。ちょっとそういう部分を入れさせて いただいてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大江座長  それでは、大筋はこの「報告書(案)」で、細かいところはもちろん修文いたします が、大筋については合意をいただいたと思いますが、改めてもう一度第1章から第4章 まで見直していただいて、全体的に何かお気付きの点がありましたらお願いいたしま す。 ○高田委員  先ほどの「おわりに」のところで、一般国民もというお話があって、そこに多少絡む と思いますが、やはり社会的な情報資産、公共的な情報資産とも言えるかもしれません が、電子カルテによって作られてくる情報がそういった情報資産になるのではないかと 思います。ですから、そういった情報資産をどううまく作っていって、それを国民の医 療や福祉、その他いろいろなものについて役立てていくかという視点で、国民の理解を 得て、それに対しての投資も呼び込む必要があるという形を加えていただければと思い ます。  ……研究等の成果を、やはりうまく関係者に認識していただいて、広く使っていただ くという取組みを、すでに公開での共同での成果発表会なども繰り返されて行われてい ますが、そういったことも書き加えてはどうかなと思います。 ○大江座長  それは「おわりに」のところでよろしいですか。 ○高田委員  もう少し前かとも思うのですが。 ○大江座長  9頁の4あたりに入れましょうか。「普及のための方策」のあたりで少し入れるよう にしたいと思います。ほかにお気付きの点はありますか。 ○山本委員  一応これでいいと私は思いますが、もし、このままで「報告書(案)」とすれば、い まの議論を踏まえて「報告書(案)」とする場合に、多くの言葉は、それぞれ責任をも って担当する所はあると思うのです。HL7にしても民間ではありながら、本国のHL 7、日本HL7協会がありますし、ただ、例えばこのRIMに準拠させたJ-MIXとかいう所 は、まだそれほどの体制が多分ないのだろうと思いますので、これを「報告書(案)」 とする以上は、「報告書(案)」に書くかどうかは別として、この委員会として、やは り今後こういうことに対してしっかりした体制を作ることを一応求めておいたほうがい いのではないでしょうか。そうでないと、ここの「報告書(案)」の一部は無責任なま まで終わってしまうことになりかねないと思います。 ○大江座長  確かに、どこかで何箇所か、どこがするのかが明示されていないもの、あるいは、想 像はできますが、このままでどこがするのだろうと危惧されるものがいくつかあること はありますが、これは事務局のほうのお考えとしては、この「報告書(案)」に書かれ ているもので、まだこれから取り組まないといけないものについて、どのようにしてい くかは、何か「報告書(案)」の中でもう少し書き込めるのか、それとも何か別の形で フォローしていく形になるのか、どういうように捉えればよろしいですか。 ○新村室長  技術的な部分で、すでに研究成果がある程度蓄積があるものもあるでしょうし、今後 開発を進めていったり研究を進めていったりする必要があるものもあると思いますが、 ある程度研究も、この1、2年で進んできたところもありますので、場合によっては、 この「報告書(案)」を受けて、その研究班の成果をもとに、より詳細な、先ほど指針 等の言葉もありましたが、そういうものを作っていただくことも考えてもいいのではな いかと私は思います。  当然、研究費も、今年度でなくなるわけではありませんので、引き続き研究すべきと ころは、それはそれで進めていくこともあると思います。そのあたりは、また座長とも ご相談しながら場合によっては、作業班みたいなものを作って、研究班の成果をより具 体的な形でまとめて世に示すということもあろうかと思います。 ○大江座長  そういうことでよろしいでしょうか。 ○高田委員  そういうことも含めて、研究班の成果を、相互に共有することが必要かと思って発言 させていただきました。多分RIMに準拠したJ-MIXという部分では、多分複数の研究班な どで手掛けている所があって、その成果を、例えば共有することも必要ではないかと思 っています。私たちの班でも、……にお願いしていた山本先生に、アルバーサリーとい って、患者基本情報とか、カルテの1号用紙、2号用紙、処方等について、そういった 取組みをして、一定の成果が出ていると思いますので、そういったことを今後の作業に 役立てていただく仕組みを考えていくことが必要かなと考えています。 ○大江座長  ありがとうございました。それでは、この最終「報告書(案)」については、今日の この議論はこれで一区切りつけたいと思いますが、本日の委員会を通して、今回でこの 委員会はたしか8回になるわけですが、ご意見などありましたら、お願いいたします。 ○井上委員  これでいいと思いますが、この委員会は専門家だけの集まりだったのです。グランド ・デザインの時は、実は一般の方から東京大学の樋口先生と、静岡大学の石川先生がは いられて、一つひとつの言葉の表現について、大変適切な、我々専門家がわかったよう な顔をしているのですが、実は一般の方には伝わらないということを随分指摘されて、 ああいう「報告書」ができたわけですが。やはり電子カルテというのは、先ほどちょっ とお話がありましたように、非常に国民全般に関係の深いものだと思いますので、ま た、大変多額の経費がかかる問題ですので、多くの方から支持を、理解をされなくては いけないと思います。  そうすると、これからやはり、こういうことをどんどん進めていく時の「報告書」も 一般の人に分かりやすい言葉を使っていく必要があるのではないかと感じました。そう いう観点で言うと、今回の「報告書」は専門家向けの「報告書」かなという感じがして おります。それはそれでいいと思いますが、次に進める時に、一方で、やはりそういう こともお考えになったほうがいいのではないかと感じました。 ○大江座長  ありがとうございました。これは例えば、いくつか使われている用語だけを解説すれ ば分かりやすくなるというものでもないのですが、用語の解説をこの「報告書」の後ろ に付けることは可能でしょうか。 ○高本補佐  特段の必要があれば、そのような配慮も必要かとも思います。最終的には、これはイ ンターネット等で一般に公開されますので、できるだけの配慮は、行政としてもしてま いりたいと思います。委員のご協力もいただきたいと思います。 ○大江座長  先ほどユーザー・インターフェイスも、マン・マシン・インターフェイスの言葉のこ とだとかを少し脚注で書くとか、電子カルテ、電子カルテシステムの違いとかも脚注 に、という話もありましたので、場合によっては、少し付録的に、「報告書」で使われ ている主要な用語について、ごく簡単に解説を付けることも考えてもいいかもしれない と、いま、ちょっと井上委員のご意見をお聞きして思いました。ただ、マンパワーの問 題もありますから、十分は尽せませんが、そうしたいと思います。 ○阿曾沼委員  この中で、例えば、よく分かるようなサイトがあれば、HELICSならHELICS協議会のホ ームページがあれば、そのサイトのリンクを張れれば、そういうものでもいいのではな いかと思いますので、インターネットで公開する時にご考慮をいただければと思いま す。 ○大江座長  分かりました。できる範囲で少し考えてみたいと思います。ほかにありますか。 ○木村委員  この「報告書」をもう一回……先生があれして、もう1ラウンド来るんですね。 ○大江座長  それで、一応、最終的に文章の調整をしたうえで、調整そのものは私、座長と事務局 にお任せいただいて、修文をしたいと思います。その修文のプロセスについては、それ でよろしいでしょうか。 ○木村委員  「それで」というのは、もう1ラウンドあるのですか。 ○大江座長  それはどのようにしましょうか。 ○高本補佐  再度、委員の皆様にはご確認のうえ、お諮りしたいと思います。 ○大江座長  それはメールか何かでですか。 ○高本補佐  はい、見ていただくということで。 ○大江座長  それでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大江座長  それでは、そのようにさせていただきます。ほかに事務局から連絡事項などはありま すか。 ○高本補佐  関連いたしますが、もし特段の追加意見などがありましたら、それについては少し作 業する必要もありますので、来週の頭ぐらいをメドにいただけたらと思っています。4 月4日(月)ぐらいをメドにメール等でいただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○大江座長  それでは、年度末のお忙しい時間を拝借して恐縮ですが、お帰りになる時にでももう 一度よくご覧いただいて、お気付きの点がありましたら、事務局のほうにお知らせいた だきたいと思います。  8回にわたり熱心なご議論ありがとうございました。本日もお忙しい中、長時間にわ たりご議論いただきまして、ありがとうございました。ご協力ありがとうございまし た。 (了) 照会先 医政局 研究開発振興課 医療機器・情報室 企画開発係 中内 TEL 03-5253-1111(内 2588) FAX 03-3503-0595